JP4601089B2 - 熱活性接着剤組成物およびフィルム接着剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面が実質的に粘着性を持たないフィルム接着剤を形成することができる熱活性接着剤組成物およびフィルム接着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
粘着性ポリマーを主成分とする接着剤は感圧性接着剤(粘着剤)とも呼ばれ、圧力を加えるだけで容易かつ強力に接着することができる。しかしながら、粘着性があるので、打ち抜き加工等の加工性が悪く、また位置合わせが困難である。
【0003】
そこで、粘着フィルム(粘着剤からなる接着層を有する)の粘着性の制御については、多数の技術が提案されている。たとえば、粘着面にエンボス加工で凹凸を施して見かけ上の粘着性を低下させ、加熱により平滑化して接着力を増大させる方法(特開平4−309583号公報等に開示。)がある。すなわち、加工や位置合わせの際には、粘着面を被着体に対する接着力の低い凹凸状態に保ち、接着を完了させる段階で、粘着面を平滑にして接着力を増大させる方法である。
【0004】
また、結晶性の成分を含む粘着層を有する粘着フィルムとして、国際公開特許公報WO97/46633号に開示されたものがある。この粘着フィルムの粘着層では、粘着性ポリマー中に、結晶性のアクリレート成分が連続相として導入される。また、この粘着層でも、接着力を落とさずに完全に粘着性をなくすことが比較的難しく、通常は接着面(粘着面)が粘着性を有する。したがって、その形状記憶性を生かし、2次形状としての凹凸を有する粘着面を、記憶形状(1次形状)である平滑粘着面へと変化させることで、上記と同様にして、加工性や位置合わせ容易性を高めている。
【0005】
しかしながら、これらの粘着フィルムでは、加工や位置合わせの段階(初期段階)から平滑な接着面を有するフィルム接着剤を形成することはできない。接着面が粘着性を有し、しかも凹凸構造を有する場合、加工や位置合わせの際に付着したゴミの除去が困難である。また、その様な凹凸接着面を確実に保護するためには、特殊なライナー(剥離面が凹凸構造を有するもの等)が必要であり、経済性にも難があった。また、粘着性ポリマー自体のTgが比較的低く、耐熱性も低い。
【0006】
一方、加熱により粘着性を発現または増大させる、いわゆる熱活性接着剤も知られている。熱活性接着剤は、ホットメルトフィルム接着剤や、感熱型接着剤とも呼ばれる。また、その接着力を高めるために、粘着性ポリマーと熱可塑性樹脂とを組み合わせることも知られている。
【0007】
熱活性接着剤で用いられる熱可塑性樹脂は多岐にわたるが、たとえば、ポリエステルが使用できる。たとえば、特表昭56−501131号公報には、次の様な、改善された耐熱性を有する熱活性接着剤組成物が開示されている。すなわち、(i)約100重量部の熱可塑性ポリマーと、(ii)交差結合剤(架橋剤)と、(iii)この交差結合剤と交差結合反応するのに利用できる複数個の官能基をもつ約1から100重量部の有機ポリマーとを含む、接着剤組成物である。上記熱可塑性ポリマーとしては、ポリエステルやポリウレタン等が使用でき、上記有機ポリマーとしては、ポリアルコール類やポリアミン類が使用できる。また、上記交差結合剤には、ジイソシアネートやポリイソシアネートが使用できる。この様に架橋された熱活性接着剤組成物は、耐熱性を効果的に高めることができる。また、この様な熱活性接着剤は、通常、常温で粘着性を持たないので、加工性や位置合わせ容易性を高めることができる。しかしながら、ここに開示の接着剤組成物には粘着性ポリマーは含有されないので、接着力を高めることは困難である。
【0008】
一方、特開平8−134428号公報には、熱可塑性結合剤と、粘着性ポリマーとを含有するホットメルト接着剤組成物が開示されている。この公報には、熱可塑性結合剤としてポリエステルが、粘着性ポリマーとしてイソオクチルアクリレートーアクリル酸系共重合体が、それぞれ例示されている。この組成物では、粘着性ポリマーと、熱可塑性結合剤とは相分離していることが必要である。その理由は、ホットメルト接着剤を液状にして塗布する際の塗工性を高め、かつ、塗工後に比較的長い時間(冷えて、見かけ上固化した後も)、粘着性を保持させるためである。すなわち、この組成物は、加熱により接着面の粘着性が高められるフィルム接着剤として利用するよりも、液化させて使用するタイプの接着剤として利用するのに適したものである。
【0009】
特開平6−256746号公報、特開平5−339556号公報等には、粘着性アクリル系ポリマーと、熱可塑性樹脂としてのフェノキシ樹脂、さらにエポキシ樹脂と、その架橋剤とを含有する組成物から形成された、熱活性フィルム接着剤が開示されている。上記粘着性アクリル系ポリマーは、カルボキシル基、水酸基、またはエポキシ基を分子内に有することが好適とされている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
通常、電気用途で用いられるフィルム接着剤(フィルム状の接着剤)は、打ち抜き加工後に位置合わせをし、電子部品等を接着するために使用されるので、粘着性(常温、約25℃での粘着性)は可及的に低い方が良く、実質的に粘着性がないものが特に好適である。また、電気用途の接着剤は、耐熱性が要求される場合が多いので、通常の感圧性接着剤は、この用途に適さなかった。
【0011】
一方、通常の粘着性ポリマーと、熱可塑性樹脂との組み合せでは、フィルム接着剤の接着面が粘着性を持つことは避けられなかった。接着面が粘着性を持つフィルム接着剤では、前述の粘着フィルムがかかえる問題を解決することはできない。また、粘着性ポリマーを効果的に用いなければ、接着力を高めることは困難である。
【0012】
したがって、本発明の目的は、表面が実質的に粘着性を持たない(いわゆる、「タックフリーの」)フィルム接着剤の形成が可能で、前述の粘着フィルムがかかえる問題を解決でき、かつ、接着力を高めることが容易である、熱活性接着剤組成物を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、粘着性ポリマーと、ポリエステルとを含んでなる熱活性接着剤組成物において、前記粘着性ポリマーが、分子内にヒドロキシル基とフェニル基とを有するポリマーを含んでなることを特徴とする、熱活性接着剤組成物を提供する。
【0014】
本発明の熱活性接着剤組成物では、ポリエステルと組み合わせて用いられる粘着性ポリマーが、分子内にヒドロキシル基とフェニル基とを有するポリマーを含んでなることを特徴とする。この様な粘着性ポリマーは、ポリエステルとの相溶性が高く、接着剤組成物の常温での粘着性を実質的に無くすことができ、通常の感圧性接着剤に比べて高い耐熱性を有する。一方、加熱した時には高い粘着性を示すので、加熱圧着操作により高接着力で被着体どうしを接着することができる。
【0015】
接着剤組成物全体に占める、上記ポリエステルの含有割合は、通常5〜50重量%、好適には10〜45重量%である。ポリエステルが少なすぎると、接着剤組成物の常温での粘着性を実質的に無くすことができず、反対に多すぎると、圧着直後から高い接着力を発揮することができないおそれがある。一方、上記2つの官能基(ヒドロキシ基およびフェニル基)を含む粘着性ポリマーの接着剤組成物全体に占める割合は、通常50〜95重量%以上、好適には55〜89重量%である。
【0016】
上記ポリエステルは、常温(約25℃)で実質的に非粘着性であり、かつ加熱により溶融可能な結晶性を有するものであれば特に限定されない。しかしながら、好適にはポリカプロラクトンである。ポリカプロラクトンとは、(i)カプロラクトンを含有する出発物質を重合して得られるポリエステル、または、(ii)カプロラクトンの開環重合により得られた重合単位(ユニット)を、分子内に含むポリエステルである。上記粘着性ポリマーとポリカプロラクトンとを含む組成物では、ポリカプロラクトンの結晶化により、常温ではほとんど粘着性がないが、加熱によりポリカプロラクトンが溶融し、強い接着力を発現することができる。この様な効果は、上記の分子内にヒドロキシ基とフェニル基とを同時に有する粘着性ポリマーが、アクリル系ポリマーである場合に特に高められる。この様なアクリル系ポリマーと、ポリカプロラクトンとの相溶性が特異的に優れているからである。
【0017】
本発明の熱活性接着剤組成物は、好適には架橋剤を含有する。これにより、電気用途の接着剤として要求される耐熱性、特に半田耐熱性を効果的に高めることができる。
【0018】
本発明の熱活性接着剤組成物は、加熱により液化させて使用するタイプの接着剤として利用することも可能であるが、加熱により接着面の粘着性が高められるフィルム接着剤として利用するのが好適である。すなわち、本発明の1実施形態は、上記熱活性接着剤組成物からなり、所定の厚さを有するフィルム接着剤を提供する。この様なフィルム接着剤では、室温での粘着性を実質的に無くすことができ、通常の感圧性接着剤に比べて高い耐熱性を有する。一方、加熱した時には高い粘着性を示すので、加熱圧着操作により高接着力で被着体どうしを接着することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる粘着性ポリマーは、常温(約25℃)で粘着性を示すポリマーであり、分子内にヒドロキシル基とフェニル基とを有するポリマーを含んでなるものであれば特に限定されない。たとえば、アクリル系ポリマー、ニトリル−ブタジエン系共重合体(NBR等)、スチレン−ブタジエン系共重合体(SBR等)、ポリウレタン、シリコーン系ポリマー等である。粘着性ポリマーは、これらのポリマー1種単独、または2種以上の混合物から構成される。
【0020】
分子内に上記官能基を含むポリマーは、出発モノマーとして、分子内にヒドロキシ基を有するモノマーと、分子内にフェニル基を有するモノマーとを含む原料を用いて重合して得ることができる。あるいは、重合後、分子内の別の官能基(たとえば、カルボキシル基)を反応させて、ヒドロキシ基およびフェニル基に変換しても良い。
【0021】
ここで、本発明で用いることができるアクリル系ポリマーの好適な1例について説明する。出発モノマーとして、(A)1または2以上のフェノキシアルキルアクリレートと、(B)ヒドロキシル基を分子内に有するモノマー、必要に応じて(C)(メタ)アクリル酸アルキルエステルとを含有する原料を、通常の方法、たとえば、乳化重合、溶液重合、塊状重合、懸濁重合等により共重合させて調製することができる。
【0022】
上記(A)成分としては、たとえば、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシプロピルアクリレート等が使用できる。また、上記(B)成分としては、たとえば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシメチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート等を挙げることができる。さらに、上記(C)成分としては、たとえば、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等を挙げることができる。
【0023】
上記(B)成分としては、ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート等の、分子内にヒドロキシル基とフェニル基との両方を含むモノマーが好適である。これにより、粘着性ポリマーのポリエステルに対する相溶性を特に効果的に高めることができる。
【0024】
粘着性ポリマー全体の重合単位に占める、上記2つの官能基を含むモノマー単位(すなわち、(A)成分および(B)成分に由来する単位の合計)の割合(重量比)は、通常70重量%以上、好適には80重量%以上、特に好適には90重量%以上である。上記2つの官能基を含む単位が少なすぎると、ポリエステルとの相溶性が低下するおそれがある。また、ポリマー全体の重合単位に占める、(B)成分に由来する単位の割合は、0.5モル%以上、好適には1モル%以上、特に好適には5〜15モル%である。(B)成分に由来する単位が少なすぎると、圧着直後から十分に高い接着力(たとえば、0.5kg/cm以上)を発現させるのに不利になるおそれがあり、(B)成分に由来する単位が多すぎると、ポリエステルとの相溶性が低下するおそれがある。
【0025】
本発明で使用される粘着性ポリマーは、本発明の効果を損なわない限り、上記2つの官能基(ヒドロキシ基およびフェニル基)を含むポリマーに加えて、上記2つの官能基を持たないポリマーも含むことができる。しかしながら、粘着性ポリマー全体に占める、上記2つの官能基(ヒドロキシ基およびフェニル基)を含むポリマーの割合は、通常70重量%以上、好適には80重量%以上、特に好適には90重量%以上である。
【0026】
また、粘着性ポリマーの分子量は、所定の接着力が発揮される範囲であれば良く、通常は重量平均分子量で10, 000〜100, 000の範囲である。また、従来の感圧性接着剤と同様に、粘着性ポリマーとともに粘着付与剤を使用することもできる。また、本発明の効果を損なわない限り、上記粘着性ポリマーは、熱または放射線(紫外線、電子線等)により架橋可能なものであっても良い。粘着性ポリマーの架橋は、被着体に接着する前または/および後に架橋することができる。
【0027】
一方、ポリエステルの分子量は、所定の接着力が発揮され、かつ組成物の常温での粘着性を実質的に無くせる範囲であれば良く、重量平均分子量が、通常500〜200, 000、通常1,000〜100, 000、の範囲である。分子量が小さすぎると、接着力が低下するおそれがあり、反対に大きすぎると、粘着性ポリマーとの相溶性が低下し、組成物の常温での粘着性を無くすのが困難になるおそれがある。
【0028】
本発明の熱活性接着剤組成物は、通常の混合操作により、各原料を均一に混合して調製できる。たとえば、粘着性ポリマー、ポリエステル、溶剤、必要に応じて加えられる架橋剤等の添加剤を、ホモミキサー、プラネタリーミキサー等の混合装置で混合し、各材料を均一に溶解または分散させ、液体の組成物を調製することができる。
【0029】
この液体の組成物は、通常、前記粘着性ポリマーを溶解して含む第1溶液と、前記結晶性ポリマーを溶解して含む第2溶液とを混合し、前記粘着性ポリマーと前記結晶性ポリマーとを均一に溶解して含む前駆体溶液として調製でき、この前駆体溶液を乾燥し、その前駆体溶液の乾燥物からなる熱活性接着剤組成物を形成することができる。この様にすれば、結晶性のポリカプロラクトンと、ヒドロキシ基とフェニル基とを有する粘着性ポリマーとの、特異なモルフォロジー(相互連結構造)を形成でき、前述の性能(常温での非粘着性および高接着力)を、特に効果的に発揮させることができる。なお、架橋剤を添加する場合、通常、架橋剤を含む第3溶液を、上記前駆体溶液に添加する。
【0030】
上記の様にして調製された液体組成物を、基材上に塗布、乾燥し、接着剤組成物からなるフィルム接着剤を形成することができる。塗布手段には、ナイフコーター、ロールコーター、ダイコーター、バーコーター等の公知の手段が使用できる。上記基材としては、ライナー等の剥離性を有するもの、接着すべき被着体、接着シートの支持体等が使用できる。ライナー等の剥離性を有するものを用いた場合、接着剤組成物からなるフィルム接着剤を容易に単離して得ることができる。
【0031】
また、フィルム接着剤を形成する際の乾燥は、通常60〜180℃の温度にて行われる。乾燥時間は、通常、数十秒から数分である。フィルム接着剤の厚みは、10〜1,000μm、好適には20〜500μm、特に好適には50〜100μmである。
【0032】
本発明のフィルム接着剤は、接着シートの接着層として使用することもできる。すなわち、本発明は、支持体と、その支持体の一方の主要面上に固着された熱活性接着剤組成物からなる接着層とを有する、接着シートを提供する。上記支持体は、特に限定されないが、通常は、従来の接着シートのベースフィルムとして使用されているものであって、可撓性を有するものが使用される。たとえば、紙、金属フィルム、プラスチックフィルム等が使用できる。プラスチックとしては、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、アクリル系ポリマー、フッ素系ポリマー、ポリエステル(PET等)、ポリウレタン等の合成ポリマーが使用できる。
【0033】
支持体は、可視光や紫外線を透過するものであっても、着色されたものや、印刷等により装飾が施されたものであっても良い。また、金属光沢性の外観を付与するために、金属蒸着膜が設けられたものであっても良い。さらに、接着シートに光学的な機能を付与するために、偏光フィルム、誘電反射フィルム、再帰反射フィルム、プリズムフィルム、蛍光フィルム、フィルム状エレクトロルミネッセンス素子等を支持体として用いることもできる。一方、支持体表面の耐汚染性を高めるためには、支持体表面に光触媒層を形成することもできる。また、支持体は、2以上の異なる層から構成されていても良い。支持体の厚みは、通常5〜500μm、好適には10〜300μmである。厚みが薄すぎると接着シートの機械的強度が低下し、耐久性が低下するおそれがあり、反対に厚すぎると、接着シート全体の柔軟性や可撓性が低下し、貼り付け作業が困難になるおそれがある。
【0034】
支持体の接着層を形成する側の面には、プライマー層を設けることもできる。通常、プライマーは、プライマーとなる材料を含む塗液を調製し、これを支持体の一方の主要面上に塗布してプライマー層を形成する。
【0035】
接着層の接着面は、通常ライナーで保護しておく。ライナーは、通常、紙、プラスチックフィルム、またはこれら両者を積層したフィルムから形成される。
【0036】
また、本発明の接着剤組成物に、本発明の効果を損なわない限り、従来公知の添加剤を加えることができる。たとえば、粘度調製剤、消泡剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料、防黴剤、ガラスビーズ等の無機粒子、粘着性ポリマーまたは非粘着性のゴム系ポリマーからなる弾性微小球等である。
【0037】
前述の様に、本発明の接着剤組成物は、架橋剤を含むのが好適である。架橋剤は、接着剤組成物の耐熱性を高めることができる。架橋剤としては、たとえば、イソシアネート化合物、メラミン化合物、エポキシ化合物、ポリ(メタ)アクリレート化合物等が使用できる。接着剤組成物全体に占める架橋剤の割合は、通常20重量%以下、好適には0.2〜10重量%、特に好適には0.5〜5重量%である。架橋剤が少なすぎると、耐熱性を高めることができないおそれがあり、反対に多すぎると接着力が低下するおそれがある。
【0038】
なお、接着剤組成物は、被着体に接着する前または/および後に架橋することができる。ただし、接着剤組成物を被着体に適用する前に架橋する場合、接着剤組成物が、加熱により十分な熱粘着性を発揮する様にしなければならない。また、接着剤組成物の架橋は、通常、粘着性ポリマーを架橋して行う。
【0039】
【実施例】
(実施例1〜10)
まず、粘着性ポリマーを含む酢酸エチル溶液(不揮発分濃度=30重量%)と、ポリカプロラクトンを含むトルエン溶液(不揮発分濃度=30重量%)とを混合し、前駆体溶液を形成した。この前駆体溶液を、剥離フィルム(PETフィルム)上に塗布、乾燥し、剥離フィルムの上に、70μmの厚さのフィルム接着剤を形成した。表1にフィルム接着剤の組成を示す。なお、実施例5〜8では、上記前駆体溶液にイソシアネート系架橋剤を所定量を添加し、添加後の溶液を塗布、乾燥してフィルム接着剤を形成した。
【0040】
すべての実施例のフィルム接着剤では、25℃では粘着性(フィンガータックテストによる)を持たないことが確認された。また、すべての実施例のフィルム接着剤は、120℃で熱活性可能であった。
【0041】
なお、各実施例の粘着性ポリマーは、分子内にフェノキシ基を有するモノマー(フェノキシエチルアクリレート:大阪有機化学工業株式会社製「(品名)ビスコート#192」)と、分子内にフェノキシ基とヒドロキシ基とを有するモノマー(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート:東亜合成化学工業株式会社製「(品名)アロニクスM−5700」)とからなる出発モノマーを、酢酸エチル溶媒中にて溶液重合して調製した。また、各実施例における、分子内にフェノキシ基を有するモノマー(#192)と、分子内にフェノキシ基とヒドロキシ基とを有するモノマー(M5700)との含有割合は、以下に示すとおりであった。
【0042】
(比較例1)
一方、粘着性ポリマーとして、分子内にフェノキシ基もヒドロキシ基も含まない以外は、実施例1と同様にして、比較例1のフィルム接着剤を形成した。フィルム接着剤の組成を表1に示す。比較例1のフィルム接着剤は、25℃では粘着性(フィンガータックテストによる)を有していた。
【0043】
〔表1〕
組成表
実施例1 PS1/PCL = 70/30
実施例2 PS2/PCL = 70/30
実施例3 PS2/PCL = 85/15
実施例4 PS2/PCL = 55/45
実施例5 PS2/PCL/L45 = 70/30/0.7
実施例6 PS2/PCL/L45 = 70/30/1.5
実施例7 PS2/PCL/L45 = 70/30/2.3
実施例8 PS2/PCL/L45 = 70/30/4.5
実施例9 PS3/PCL = 70/30
実施例10 PS4/PCL = 70/30
比較例1 PS5/PCL = 70/30
注)上記の量はすべて重量部である。
PCL :ポリカプロラクトン、
ダイセル化学株式会社製「(品名)プラクセルH7;分子量=70,000」
PS1 :#192:M5700=95:5(モル比)
PS2 :#192:M5700=90:10(モル比)
PS3 :#192:M5700=99:1(モル比)
PS4 :#192:M5700=97:3(モル比)
PS5 :2−エチルヘキシルアクリレート:アクリル酸 = 90:10(重量比)
L45 :イソシアネート系架橋剤、日本ポリウレタン株式会社製「(品名)コロネート」
【0044】
2枚の25μmのポリイミドフィルムの間に、表2に示す各例のフィルム接着剤を挟み、120℃、5kg/cm2 で1分間圧着し、圧着直後の接着力を評価した。結果を表2に示す。なお、接着力は、50mm/分の剥離速度、180度方向の剥離試験における剥離強さである。
【0045】
【0046】
また、これらの結果から、圧着直後に0.5kg/cm以上の接着力を得るためには、粘着性ポリマー中のフェニルキ基とヒドロキシル基とを有するモノマー単位の含有量は、5モル%以上であるのが好適であることが分かった。
【0047】
一方、厚さ2mmのポリエーテルイミドの板と、厚さ25μmのポリイミドフィルムとの間に、表3に示す各例のフィルム接着剤を挟み、120℃、5kg/cm2 、1分の圧着を行った後、150℃で30分の加熱(エージングまたはポストキュア)を行ったものについて、接着力を評価した。結果を表3に示す。また、各例のフィルム接着剤を、260℃の半田浴の上に1分間置いた際の発泡の有無を調べ、半田耐熱性を評価した。発泡が無かった場合を「合格」と判定した。同様に、結果を表3に示す。
【0048】
【0049】
これらの結果から、特に良好な半田耐熱性(260℃/1分という比較的厳しい条件での耐熱性試験)を実現するためには、架橋剤を添加することが好適であることが分かった。
Claims (2)
- 熱活性接着剤組成物を基準として、50〜95重量%の粘着性ポリマーと、5〜50重量%のポリカプロラクトンとを含んでなる熱活性接着剤組成物において、前記粘着性ポリマーが、分子内にヒドロキシル基とフェニル基とを有するアクリル系ポリマーであり、前記粘着性ポリマーが、(A)1または2以上のフェノキシアルキルアクリレートおよび(B)ヒドロキシル基を分子内に有するモノマーに由来するモノマー単位を合計して70重量%以上有し、前記粘着性ポリマーが、前記粘着性ポリマー全体の重合単位を基準として、(B)ヒドロキシル基を分子内に有するモノマーに由来するモノマー単位を0.5モル%〜15モル%有することを特徴とする、熱活性接着剤組成物。
- 請求項1の熱活性接着剤組成物からなるフィルム接着剤。
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