JP4600332B2 - 磁石部材およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、希土類磁石などの磁石素体と、それを被覆する被覆層とを有する磁石部材、およびその製造方法に関する。
R(RはYを含む希土類元素の一種以上)、TM(TMはFeを主成分とする遷移元素)およびホウ素を含むR−TM−B系磁石、すなわち、希土類磁石は、優れた磁気特性を有することが知られている。そのため、このような希土類磁石は、各種機器のモーターやアクチュエーター用などの永久磁石部材として、広範に用いられている。
しかしながら、この希土類磁石は、主成分として酸化され易い希土類元素と鉄とを含有するため、耐食性が比較的低く、性能の劣化や、ばらつきなどが問題となる。その対策として、磁石素体(希土類磁石)にめっきや蒸着などの表面処理を施して、耐食性を向上させる方法が提案されている。特に、安価で、耐食性に優れるニッケルをめっきした磁石部材が広く採用されている(特許文献1参照)。
近年、HDD、CD、DVD関連機器等の小型、高性能化に伴い、それらに用いられる磁石部材に対しても、小型化および磁気特性の向上が要求されている。磁石部材を小型化していくと、磁石部材に占めるめっき膜の割合が増加する。よって、磁石部材を小型化するほど、めっき膜の磁気特性が、磁石部材全体の磁気特性に及ぼす影響が大きくなる。希土類磁石のめっき膜として多用されるニッケルは磁性体であり、0.6T程度の飽和磁束密度を有する。よって、ニッケルのめっき膜を有する磁石部材においては、磁石部材を小型化するほど、磁石素体の磁気がニッケルめっき膜によって遮蔽されてしまう。その結果、磁石部材全体の磁気特性が低下することが問題となる。すなわち、小型化した磁石部材では、ニッケルめっき膜の厚みの分だけ、磁石部材の磁気特性が低下してしまう。これは、大型のネオジム磁石等では無視できる現象であるが、小型、薄膜型の磁石部材においては、問題が顕在化する。
また、ハードディスクドライブのヘッド駆動用ボイスコイルモーターや、ハイブリッド自動車用モーターや、ジェネレーター等に上記の磁石部材を用いる場合、めっき膜から剥離した微細片や錆により、高い信頼性が要求されるボイスコイルモーターの誤動作や故障が生じる恐れがある。このため、耐食性、磁気特性だけではなく、耐傷性(硬度)にも優れた磁石部材が求められていた。
特開2002−212775号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、小型化した場合であっても、優れた磁気特性を有することができ、かつ、優れた耐食性および耐傷性を有することができる磁石部材を提供することである。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を行った結果、磁石素体の表面を、NiおよびMoを含む合金で被覆することにより、磁気特性、耐食性、および耐傷性に優れた磁石部材が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本願発明に係る磁石部材は、
磁石素体と、
第1被覆層と、を有し、
前記第1被覆層が前記磁石素体を被覆し、
前記第1被覆層がNiおよびMoを含むことを特徴とする。
好ましくは、前記第1被覆層が非磁性である。なお、非磁性とは、第1被覆層の残留磁束密度(Br)が、10−3T以下(10G以下)であることを意味する。
好ましくは、前記磁石素体が希土類磁石である。
従来のめっき膜であるNiより低い残留磁束密度(Br)を有する非磁性のNi−Mo合金で磁石素体を被覆(めっき)することによって、めっき膜が磁石素体の磁気を遮蔽することを防止できる。その結果、磁石部材の磁気特性を向上させることができる。また、第1被覆層で磁石素体を被覆することによって、磁石部材の耐食性および耐傷性を向上させることができる。
好ましくは、前記第1被覆層が、Sn,W,Cu,Ti,Zn,P,Bのうち少なくとも1つの元素を含む。
上記の元素を第1被覆層に含有させることによって、第1被覆層は、従来のめっき膜であるNiに比べて、優れた耐傷性(高い硬度)を有することができる。よって、この第1被覆層に被覆された磁石部材の耐傷性も向上させることができる。
好ましくは、前記第1被覆層におけるMoの含有率が、前記第1被覆層全体に対して、20〜80原子%である。
第1被覆層におけるMoの含有率を上記の範囲内とすることによって、第1被覆層を非磁性とすることができる。よって、めっき膜(第1被覆層)が磁石素体の磁気を遮蔽することを防止できる。その結果、磁石部材の磁気特性を向上させることができる。
前記第1被覆層が、前記磁石素体に対して垂直方向に長い柱状組織から構成されると好ましい。
第1被覆層が、Ni−Mo合金の柱状組織から構成されることによって、柱状組織間が緻密になる。すなわち、第1被覆層が緻密になる。その結果、磁石部材の耐食性を向上させることができる。
好ましくは、前記第1被覆層のヴィッカース硬度が、400以上である。
好ましくは、前記磁石部材が、
前記磁石素体と、
前記第1被覆層と、
第2被覆層と、を有し、
前記第2被覆層が、前記磁石素体を被覆し、
前記第1被覆層が、前記第2被覆層に被覆された前記磁石素体を被覆し、
前記第2被覆層が、Cuを含み、非磁性である。
Cuを含み、非磁性である第2被覆層で磁石素体を被覆すると、第2被覆層によって磁石素体の磁気が遮蔽されることがない。また、磁石素体である希土類磁石に対して、これに接するように、第2非服装を形成することによって、希土類磁石主相が、希土類リッチ相と、非磁性の第2被覆層とで完全に覆われる。その結果、磁石部材は、永久磁石として機能できる。このようにして磁石部材の磁気特性を向上させることができる。
さらに、Cuを含む第2被覆層は、柔らかいため、磁石部材の落下時に、その衝撃に耐え得るクッション(衝撃緩衝材)として機能する。その結果、磁石部材の耐傷性を向上させることができる。
さらに、第2被覆層を介して、第1被覆層を形成することによって、磁石素体と、第2被覆層および第1被覆層との密着性を向上させることができる。
前記磁石素体および前記第1被覆層を有する前記磁石部材の製造方法は、
前記磁石素体を形成する工程と、
前記第1被覆層で、前記磁石素体を被覆して磁石部材を形成する工程と、
前記磁石部材を熱処理する工程と、を有する。
前記磁石素体、前記第1被覆層、および前記第2被覆層を有する前記磁石部材の製造方法は、
前記磁石素体を形成する工程と、
前記第2被覆層で、前記磁石素体を被覆する工程と、
前記第1被覆層で、前記第2被覆層に被覆された前記磁石素体を被覆して磁石部材を形成する工程と、
前記磁石部材を熱処理する工程と、を有する。
磁石部材を熱処理することによって、Ni−Mo合金(第1被覆層)の硬度(耐傷性)を向上させることができる。その結果、磁石部材の耐傷性も向上させることができる。
好ましくは、100〜450℃の雰囲気温度で、前記磁石部材を熱処理する。
磁石部材を、上記の雰囲気温度で熱処理することによって、磁石素体(希土類磁石)の保磁力を劣化させることなく、Ni−Mo合金(第1被覆層)の硬度(耐傷性)を向上させることができる。その結果、磁石部材の耐傷性を向上させることができる。
以下、本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る磁石部材の概略断面図、
図2は、本発明の第2実施形態に係る磁石部材の概略断面図である。
第1実施形態
図1に示すように、第1実施形態において、磁石部材2は、磁石素体4と、第1被覆層6とから構成される。第1被覆層6は、磁石素体4の表面を被覆する。なお、第1被覆層6は、必ずしも、磁石素体4の表面全体を被覆する必要はなく、磁石素体4の表面の一部分を被覆してもよい。好ましくは、第1被覆層6は、磁石素体4の表面全体を被覆する。
磁石素体4
まず、磁石素体4について説明する。
磁石素体4としては、特に限定されないが、希土類磁石を用いることが好ましい。希土類磁石としては、特に限定されないが、R(ただし、RはYを含む希土類元素の1種以上)、FeおよびBを含むR−Fe−B系の希土類磁石が好ましい。このR−Fe−B系希土類磁石において、R、FeおよびBの含有量は、好ましくは、5.5原子%≦R≦30原子%、42原子%≦Fe≦90原子%、2原子%≦B≦28原子%である。
希土類磁石を焼結法により製造する場合、下記の組成であることが好ましい。
Rとしては、Nd,Pr,Dy,Ho,Tbのうち少なくとも1種、あるいはさらに、La,Sm,Ce,Gd,Er,Eu,Pm,Tm,Yb,Lu,Yのうち1種以上を含むものが好ましい。
なお、Rとして2種以上の元素を用いる場合、原料としてミッシュメタル等の混合物を用いることもできる。
Rの含有量は、5.5〜30原子%であることが好ましい。
Rの含有量が少なすぎると、磁石の結晶構造がα−Feと同一構造の立方晶組織となるため、高い保持力(iHc)が得られず、多すぎると、Rリッチな非磁性相が多くなり、残留磁束密度(Br)が低下する。
Feの含有量は42〜90原子%であることが好ましい。
Feの含有量が少なすぎると、Brが低下し、多すぎると、iHcが低下する。
Bの含有量は、2〜28原子%であることが好ましい。
Bの含有量が少なすぎると、磁石の結晶構造が菱面体組織となるため保持力(iHc)が不十分であり、多すぎると、Bリッチな非磁性相が多くなるため、残留磁束密度(Br)が低下する。
なお、Feの一部をCoで置換することにより、磁気特性を損なうことなく温度特性を改善することができる。この場合、Co置換量がFeの50原子%を超えると磁気特性が劣化するため、Co置換量は50原子%以下とすることが好ましい。
また、R、FeおよびBの他、不可避的不純物として、Ni,Si,Al,Cu,Ca等が全体の3原子%以下含有されていてもよい。
さらに、Bの一部を、C,P,S,Cuのうちの1種以上で置換することにより、生産性の向上および低コスト化が実現できる。この場合、置換量は全体の4原子%以下であることが好ましい。また、保磁力の向上、生産性の向上、低コスト化のために、Al,Ti,V,Cr,Mn,Bi,Nb,Ta,Mo,W,Sb,Ge,Sn,Zr,Ni,Si,Hf等の1種以上を添加してもよい。この場合、添加量は総計で10原子%以下とすることが好ましい。
本実施形態における希土類磁石は、実質的に正方晶系の結晶構造の主相を有する。この主相の粒径は、1〜100μm程度であることが好ましい。そして、通常、体積比で1〜50%の非磁性相を含むものである。
磁石素体4(希土類磁石)における磁化方向の厚さは、特に限定されないが、好ましくは、1.5mm以下である。小型の磁石素体4においては、磁化方向の厚さが1.5mm以下程度であり、磁化方向を法線とする磁石面が2cm以下程度である。この程度の寸法を有する磁石素体4にNiめっき膜を形成すると、磁石素体4の磁束が、およそ0.5%以上低下する。そこで、Niめっき膜の代わりとして、非磁性の第1被覆層6を形成することによって、Niめっき膜の場合に比べて、磁石素体に対する磁気遮蔽を防止できる。その結果、磁石部材6全体の磁束を増加させることができる。
磁石素体4の形成方法
上記のような磁石素体4(希土類磁石)は、以下に述べるような粉末冶金法により製造される。
まず、原料となる金属や合金を所望の組成となるように配合する。そして、配合した原料を、真空または不活性ガス雰囲気にて、溶解し、その後、鋳造し、所望の組成を有する合金を得る。鋳造方法としては、特に限定されないが、たとえば、ストリップキャスト法などが挙げられる。ストリップキャスト法とは、溶融し、液体状となった合金を、回転ロール上に供給することにより、合金薄板を連続的に鋳造する方法である。鋳造により得られる合金は、必ずしも、最終組成を有する単一の合金でなくても良く、たとえば、組成の異なる複数種の合金を混合したものであっても良い。また、合金の形状も特に限定されず、必ずしも薄板状である必要はなく、たとえば、インゴットであっても良い。
そして、得られた合金を、ジョークラッシャなどを使用して粉砕することにより、5〜100mm角程度の大きさの合金塊とし、得られた合金塊に対して水素吸蔵させる。次いで、水素吸蔵処理をした合金塊について、粗粉砕を行い、合金粉末を得る。なお、粗粉砕を行う際に、予め合金塊に水素を吸蔵させておくことにより、表面から自己崩壊的に粉砕を進行させることができる。その後、得られた合金粉末を熱処理することにより、脱水素処理を施す。
次いで、脱水素処理を行った合金粉末について、粉砕助剤を0.03〜0.4重量%程度添加する。粉砕助剤を添加することにより、焼結後の残留炭素の量を低減することができ、磁気特性の向上を図ることができる。なお、粉砕助剤としては特に限定されないが、たとえば、脂肪酸系化合物が使用できる。
次いで、粉砕助剤を添加した合金粉末に対して、ジェットミルなどを使用して、微粉砕を行う。微粉砕は、たとえば、合金粉末の粒径が1〜10μm程度、特に、3〜6μm程度となるまで行うことが好ましい。
次いで、微粉砕により得られた粉末を、好ましくは磁場中にて成形し、成形体を得る。この場合、磁場強度は400〜1600kA/m程度、成形圧力は、50〜500MPa程度であることが好ましい。
得られた成形体を、1000〜1200℃で0.5〜5時間焼結し、急冷する。その後、好ましくは不活性ガス雰囲気中で、500〜900℃にて1〜5時間、熱処理(時効処理)を行う。なお、熱処理(時効処理)までの各工程は、酸化防止のため、真空中あるいはArガス等の非酸化性ガス雰囲気中とすることが好ましい。
このようにして製造された磁石素体4(希土類磁石)は、たとえばRがNdであるネオジム磁石である場合に、特に磁気特性に優れるが、C軸と垂直な方向に負の熱膨張係数を有することが知られている。
第1被覆層6
次に、第1被覆層6について説明する。
第1被覆層6は、NiおよびMoを含む合金層である。また、好ましくは、第1被覆層は非磁性である。第1被覆層6(Ni−Mo合金)の残留磁束密度(Br)は、好ましくは、10−3T以下(10G以下)、さらに好ましくは、10−4T以下である。
従来、磁石素体4のめっき膜として多用されるNiの飽和磁束密度は、0.6T程度である。このように、従来は、磁性を有するNiで磁石素体4をめっきするため、めっき膜が磁石素体4の磁気を遮蔽する。その結果、磁石部材2全体の磁束が低下してしまう。さらに、磁石部材2を小型化し、磁石部材2全体におけるNiめっき膜の体積比率が増加するほど、Niめっき膜が磁石素体4の磁気を遮蔽する程度が高くなり、磁石部材2における磁束の低下が顕著になる。
そこで、非磁性のNi−Mo合金から成る第1被覆層6で、磁石素体4を被覆することによって、第1被覆層が磁石素体4の磁気を遮蔽することを防止できる。その結果、Niめっき膜の場合に比べて、磁石部材2の磁気特性(磁束)を向上させることができる。
また、上記の第1被覆層6で磁石素体4を被覆することによって、磁石部材2に耐食性をもたせることができる。 Ni−Mo合金を主成分とする第1被覆層6は、水溶液中において、僅かにモリブデン酸イオンを生じさせる。このモリブデン酸イオンは、Ni−Mo合金層表面の活性点に吸着し、インヒビターとして働く。その結果、Ni−Mo合金層(第1被覆層6)は、極めて高い耐食性を有することができる。
好ましくは、第1被覆層6におけるMoの含有率が、第1被覆層全体に対して、20〜80原子%である。第1被覆層6におけるMoの含有率を、この範囲内とすることによって、第1被覆層6を非磁性とすることができる。
好ましくは、第1被覆層6が、Sn,W,Cu,Ti,Zn,P,Bのうち少なくとも1つの元素を含む。これらの元素を第1被覆層6に含有させることによって、第1被覆層6は、従来のめっき膜であるNiに比べて、優れた耐傷性(高い硬度)を有することができる。よって、この第1被覆層6に被覆された磁石部材2の耐傷性も向上させることができる。
第1被覆層6における上記元素の含有率(原子%)の合計値は、好ましくは、第1被覆層6におけるNiおよびMoの含有率(原子%)の合計値よりも小さいことが好ましい。その結果、非磁性であり、かつ、耐傷性に優れた第1被覆層6を得ることができる。
なお、第1被覆層6に含まれるWの含有量は、特に限定されないが、第1被覆層全体に対して、好ましくは、15原子%以上、より好ましくは、22原子%以上である。Wの含有量を15原子%以上とすることによって、第1被覆層6を非磁性とすることができる。さらに、Wの含有量を22原子%以上とすることによって、第1被覆層6が非晶質となり、第1被覆層6の磁性をさらに低下させることができる。
また、第1被覆層6に含まれるPの含有量は、特に限定されないが、好ましくは、第1被覆層全体に対して、8原子%より大きい。また、第1被覆層6に含まれるBの含有量は、特に限定されないが、好ましくは、第1被覆層全体に対して、3原子%より大きい。P、Bの各含有率を、上記の値とすることによって、第1被覆層6を非磁性とすることができる。
好ましくは、第1被覆層6が、磁石素体4に対して垂直方向に長い柱状組織から構成される。第1被覆層6が、Ni−Mo合金の柱状組織から構成されると、柱状組織間が緻密になる。すなわち、第1被覆層6が緻密になる。その結果、磁石部材2の耐食性を向上させることができる。
第1被覆層6のヴィッカース硬度は、好ましくは、400以上、より好ましくは、450以上900以下、さらに好ましくは、450以上600以下である。磁石部材2は、ヨークなどに機械的に固定されたり接着される。ヨークはケイ素鋼板に無電解NiPめっきが施されている場合が多い。無電解NiPめっきの硬度は450以上600以下である。また、熱処理した無電解NiPめっきの硬度は、500以上900以下である。磁石部材2を被覆する第1被覆層6は、これら無電解NiPめっきと同等の硬度を有することが好ましい。
第1被覆層6の厚さT1は、特に限定されないが、好ましくは、3〜30μm、より好ましくは、5〜10μmである。厚さT1が薄すぎる場合、磁石素体4表面(希土類磁石表面)の凹凸から生ずるピンホールが形成される恐れがある。厚さT1が厚すぎる場合、磁石部材2の寸法が大きくなる。すなわち、磁石部材2において、非磁性である第1被覆層6の体積割合が大きくなる。その結果、磁石部材6の体積あたりの磁気特性が低下する。そこで、第1被覆層6の厚さT1を上記の範囲内とすることによって、これらの不具合を防止することができる。
第1被覆層6の形成方法
次に、第1被覆層6について説明する。まず、磁石素体4の表面をアルカリ脱脂処理した後、酸による化学エッチングを施し、磁石素体4の表面を清浄する。この処理を行うことにより磁石素体4の表面の汚れを除去でき、確実に第1被覆層6を形成できる。化学エッチングで使用する酸としては、硝酸を用いることが好ましい。なお、アルカリ脱脂処理前に、磁石素体4の表面のバリなどを取り除くため、バレル研磨を行ってもよい。
上記の酸洗浄処理を施した後には、磁石素体4の表面に黒色異物(スマット)が残存しているため、超音波洗浄を行って、それらを除去することが好ましい。また、超音波洗浄の際には、グルコン酸溶液を用いることが好ましい。また、前記超音波洗浄の前後、および前記前処理の各過程で必要に応じて同様な水洗を行ってもよい。
次に、上述した前処理が施された磁石素体4の表面に、第1被覆層6を形成する。第1被覆層6を形成する方法としては、特に限定されないが、生産性に優れることから、湿式めっきにより形成するのが好ましい。本実施形態では、第1被覆層6を構成する合金の組成に応じて、電解めっきや無電解めっきなどを適宜選択するのが好ましい。具体的には、めっき液を所定の条件に調整しためっき浴に、磁石素体4を浸漬し、磁石素体4の表面に第1被覆層6を形成する。
第1被覆層6を形成するのに用いられるめっき液は、特に限定されず、第1被覆層6を構成する金属を含有するめっき液を適宜選択すればよい。本実施形態においては、第1被覆層6が、NiおよびMoを含む。よって、これら元素の金属塩化合物を含有するめっき液を用いればよい。
めっき液に含まれるニッケル塩化合物としては、特に限定されないが、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、硝酸ニッケル、スルファミン酸ニッケル、水酸化ニッケル、炭酸ニッケルおよびピロリン酸ニッケルなどが挙げられる。
めっき液に含まれるモリブデン塩化合物としては、特に限定されないが、硫酸モリブデン、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、モリブデン酸アンモニウム、三酸化モリブデンなどが挙げられる。
また、第1被覆層6に、Sn,W,Cu,Ti,Zn,P,Bのうち少なくとも1つの元素を含有させる場合、これらの金属塩化合物をめっき液に含有させればよい。
めっき浴のpHおよび浴温度は、特に限定はされず、めっき液の組成に応じて適宜決めればよい。めっき浴のpHは、たとえば水酸化物塩などを用いて調整することができる。水酸化物塩としては、特に限定されないが、たとえば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムなどが挙げられる。また、水酸化物塩に加えて、pH緩衝材として、ホウ酸を含有していても良い。
めっき浴での処理時間は、特に限定されず、所望の層厚さT1に応じて、適宜決めればよい。処理時間が短すぎると、磁石素体4の表面に処理液が十分に接触せず、反応不十分となり均一な第1被覆層6を形成できない傾向がある。一方、処理時間が長すぎると、第1被覆層6が厚くなり過ぎる傾向にある。
次に、第1被覆層6で被覆された磁石素体4を、純水で洗浄し、80〜150℃程度の温度で、第1被覆層表面の水分を乾燥させる。工程簡略化のためアルコール浸漬して風乾してもよい。
次に、好ましくは、磁石部材2を加熱処理する。また、好ましくは、100〜450℃の雰囲気温度で、磁石部材2を熱処理する。
磁石部材2を熱処理することによって、Ni−Mo合金(第1被覆層6)の硬度(耐傷性)を向上させることができる。その結果、磁石部材2の耐傷性も向上させることができる。また、磁石部材2を、上記の雰囲気温度で熱処理することによって、磁石素体4(希土類磁石)の保磁力を劣化させることなく、Ni−Mo合金(第1被覆層6)の硬度(耐傷性)を向上させることができる。
例えば、第1被覆層6におけるMoの含有率が、第1被覆層全体に対して、20原子%である場合、熱処理前における第1被覆層6のヴィッカース硬度(以下、Hvと記す)は450である。しかし、磁石部材2を100℃の雰囲気温度で1時間熱処理すると、Hv=550まで硬度を向上させることができる。さらに、200℃での熱処理では、Hv=650、300℃での熱処理では、Hv=750、400℃での熱処理では、Hv=800まで、第1被覆層6の硬度(耐傷性)を向上させることができる。450℃以上で磁石部材2を熱処理をすると、磁石素体4(希土類磁石)の保磁力が低下する。この保磁力の低下を避けるために、450℃以下で熱処理することが好ましい。
以上の工程を経ることにより、図1に示す磁石部材2が得られる。
本実施形態においては、上述のように、非磁性の第1被覆層6で磁石素体4を被覆することによって、第1被覆層6が磁石素体4の磁気を遮蔽することを防止できる。よって、磁石部材2の磁気特性(磁束)を向上させることができる。また、第1被覆層6で磁石素体4を被覆することによって、磁石部材6に耐食性および耐傷性をもたせることができる。特に、磁石部材2を小型化した場合において(例えば、磁化方向の厚さが、1.5mm以下)、本願発明に係る作用効果が顕著となる。
第2実施形態
第2実施形態においては、図2に示すように、磁石部材2は、磁石素体4と、第1被覆層6と、第2被覆層8とを有する。第2被覆層8は、磁石素体4の表面を被覆する。第1被覆層6は、第2被覆層8の表面を被覆する。なお、第2被覆層8は、複数の層から構成されてもよい。第2実施形態における磁石素体4および第1被覆層6ついては、第1実施形態と同様であるため、これらの説明は省略する。以下では、主に第2被覆層8について説明する。
第2被覆層8は、Cuを含み、非磁性である。第2被覆層8がCu単独で構成されていてもよい。非磁性である第2被覆層8で磁石素体4を被覆するため、第2被覆層8によって磁石素体4の磁気が遮蔽されることがない。また、磁石素体4を、第2被覆層6で被覆することによって、磁石部材6を、永久磁石として機能させることができる。その結果、その磁気特性を向上させることができる。
磁石素体4(希土類磁石)の一種であるネオジム磁石は、NdFe14Bを主成分とする主相と、Ndを多く含む希土類リッチ相と、Bを多く含むホウ素リッチ相と、から構成される。Ndを多く含む希土類リッチ相は、主相の粒界に存在する。希土類磁石に接するように、第2被覆層8を形成すると、主相が、希土類リッチ相と第2被覆層8で完全に覆われる。その結果、磁石部材6を、磁石部材2は永久磁石として機能できる。このようにして磁石部材6の磁束を向上させることができる。
主相がNiなどの磁性層に接触していると、その接触部分以外は希土類リッチ相で被覆されていても磁気的遮蔽が行われないので、磁気特性が充分に発現されない恐れがある。そこで、上記のような構成にすれば、主相と第2被覆層8との界面においても、主相が磁気特性を有効に発現できる。
また、Cuを含む第2被覆層8は、柔らかいため、磁石部材2の落下時に、その衝撃に耐え得るクッション(衝撃緩衝材)として機能する。その結果、磁石部材6の耐傷性を向上させることができる。
さらに、第2被覆層8を介して、第1被覆層6を形成することによって、磁石素体4と、第2被覆層8および第1被覆層6との密着性を向上させることができる。
第2被覆層8の厚さT2は、特に限定されないが、特に限定されないが、好ましくは、3〜30μm、より好ましくは、5〜10μmである。厚さT2が薄すぎる場合、磁石素体4(希土類磁石)表面の凹凸から生ずるピンホールが形成される恐れがある。厚さT2が厚すぎる場合、磁石部材2の寸法が大きくなる。すなわち、磁石部材2において、非磁性である第2被覆層8の体積割合が大きくなる。その結果、磁石部材6の体積あたりの磁気特性が低下する恐れがある。そこで、第2被覆層8の厚さT2を上記の範囲内とすることによって、これらの不具合を防止することができる。
第2被覆層8の形成方法
第2被覆層8の形成方法は、第1実施形態において説明した第1被覆層6の場合と同様である。よって第1実施形態と重複する事項については、以下説明を省略する。
まず、第1実施形態と同様の方法で磁気素体4を形成する。次に、湿式めっき等によって、磁石素体4の表面に、第2被覆層8を形成する。
本実施形態においては、第2被覆層8が、Cuを含む。Cuを第2被覆層8に含有させるためには、Cuの金属塩化合物をめっき浴に含有させればよい。銅の金属塩化合物としては、特に限定されないが、硫酸銅、硝酸銅、塩基性硫酸銅、炭酸銅、ピロリン酸銅、酸化第一銅、酸化第二銅、塩化銅、臭化銅などが挙げられる。
次に、湿式めっき等によって、第2被覆層8の表面に第1被覆層6を形成する。
次に、好ましくは、磁石部材2を加熱処理する。また、好ましくは、100〜450℃の雰囲気温度で、磁石部材2を熱処理する。磁石部材2を熱処理することによって、Ni−Mo合金(第1被覆層6)の硬度(耐傷性)を向上させることができる。その結果、磁石部材2の耐傷性も向上させることができる。また、磁石部材2を、上記の雰囲気温度で熱処理することによって、磁石素体4(希土類磁石)の保磁力を劣化させることなく、Ni−Mo合金(第1被覆層6)の硬度(耐傷性)を向上させることができる。
以上の工程を経ることにより、図2に示す磁石部材2が得られる。
本実施形態においては、上述のように、非磁性の第2被覆層8で磁石素体4を被覆する。その結果、第2被覆層8によって磁石素体4の磁気が遮蔽されることがなく、また、磁石部材6の永久磁石としての機能を向上させることができる。よって、磁石部材2の磁気特性を向上させることができる。
また、Cuを含む第2被覆層8は、柔らかいため、磁石部材2の落下時に、その衝撃に耐え得るクッション(衝撃緩衝材)として機能する。その結果、磁石部材6の耐傷性を向上させることができる。
さらに、第2被覆層8を介して、第1被覆層6を形成することによって、磁石素体4と、第2被覆層8および第1被覆層6との密着性を向上させることができる。
また、第1被覆層6および第2被覆層8で磁石素体4を被覆することによって、磁石部材6の耐食性を向上させることができる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
例えば、第1被覆層6および/または第2被覆層8を、真空蒸着、イオンスパッタリング、イオンプレーティングなどの気相反応を利用した方法等により形成してもよい。この場合も、上述した実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
実施例1,5,6
実施例1,5,6においては、電解めっきあるいは無電解めっきにより、磁石素体の表面に第1被覆層を形成した。
まず、粉末冶金法によって作成した14Nd−1Dy−7B−78Fe(数字は原子比)の組成をもつ焼結体を、Ar雰囲気中で600℃にて2時間、熱処理を施し、所定の寸法に加工して磁石素体を得た。なお、以下の各実施例、および各比較例においては、すべて、同一組成、同一寸法の磁石素体を用いて、磁石素体を作製した。
次に、この磁石素体を、アルカリ性脱脂液で洗浄後、3%硝酸溶液にて表面の活性化を行い、純水で良く洗浄した。そして、この磁石素体の表面に、表1に示す組成を有するめっき浴を用いて、平行回転バレルによる電解めっき処理、あるいは無電解めっき処理を行い、磁石素体の表面にめっき膜(第1被覆層)を形成して磁石部材を得た。なお、各めっき浴は、水酸化カリウム(KOH)を用いて、pHが表1に示す値となるように適宜調整した。また、めっき処理の際におけるめっき条件(電流密度、およびめっき浴の温度)は、表1に示す通りとした。得られためっき膜(第1被覆層)の厚さT1は、いずれの実施例においても7μmであった。
Figure 0004600332
次に、得られた各磁石部材について、磁束(単位:mWb・T、ミリウェーバーターン)の測定および耐食性(恒温恒湿試験)の評価を行った。
磁束の測定は、得られた磁石部材を、飽和状態まで着磁し、その後、室温(25℃)下に30分以上放置した後に、フラックスメーターを用いて行った。磁石部材の磁束が大きいほど、その磁気特性が優れていることを意味する。
また、耐食性(恒温恒湿試験)の評価は、121℃、2atm、100%RH、48時間の条件によるP.C.T.試験(プレッシャークッカー試験)により行った。本実施例では、P.C.T.試験の結果、錆が発生していないサンプルを「合格」とし、一方、少しでも錆が発生したサンプルを「不合格」とした。
実施例1,5,6において得られた得られためっき膜(第1被覆層)の組成、残留磁束密度(Br)、およびヴィッカース硬度Hvを表2に示す。また、得られた磁石部材の磁束、および恒温恒湿試験の結果を表2に示す。なお、以下の各表に示すめっき膜の組成比の単位は、原子%である。
Figure 0004600332
実施例2
実施例2においては、表1に示す組成のめっき浴、めっき条件によって、磁石素体を第1被覆層で被覆して磁石部材を形成した。次に、この磁石部材を200℃の雰囲気温度で1時間熱処理した。このようにして、実施例2の磁石部材を形成した。
実施例3
実施例3においては、スパッタリングによって、磁石素体の表面に第1被覆層を形成した。
まず、高周波マグネトロンスパッタリング装置において、容器内を以下の条件下に調整した。
アルゴン圧: 1Pa、
高周波電力: 300W、
基材(磁石素体)の温度550℃、
基材・ターゲット間距離、200mm。
次に、純ニッケルターゲットと純モリブデンターゲットを保持台上に配置した。次に、磁石素体をターンテーブルに固定した。次に、磁石素体を、純ニッケルターゲット上に4秒間、純モリブデンターゲット上に6秒間停止させる通過条件で、ターンテーブルを180°回転させた(成膜時間30分間)。このようにしてスパッタ膜(第1被覆層)を得た。得られたスパッタ膜の組成をICP分析で調べた。このようにして、実施例3の磁石部材を形成した。
実施例4
実施例4においては、以下に示すように、真空蒸着法によって、磁石素体の表面に第1被覆層を形成した。
まず、希土類磁石を、蒸着機能を備えた真空チャンバ内のホルダ上に設置した。次に、このチャンバ内を6.7×10−4 Pa(5×10−6Torr)に真空引きした。次に、イオン源からArイオンを、加速電圧5kVの条件で純鉄板の鏡面に5分間照射して、表面清浄化のための前処理を施した。次に、トリプルハース方式の電子ビーム蒸着法で、Ni、Mo金属を磁石素体に蒸着させることによって、第1被覆層を、磁石素体の表面に形成した。このようにして、実施例4の磁石部材を形成した。
比較例1,2
比較例1,2においては、電解めっきによって、磁石素体の表面にNi単独で構成されるめっき膜(第1被覆層)を形成した。比較例1,2で用いためっき浴の組成、めっき条件を表1に示す。それ以外は実施例1と同じ条件で、比較例1の磁石部材を形成した。
実施例2,3,4、および比較例1,2で得られた第1被覆層の組成、残留磁束密度(Br)、およびヴィッカース硬度Hvを表2に示す。また、得られた磁石部材の磁束、および恒温恒湿試験の結果を表2に示す。
評価1
表2に示すように、実施例1〜4の各磁石部材においては、非磁性のNi-Mo合金(非晶質)から成る第1被覆層で、磁石素体を被覆した。実施例5の磁石部材においては、非磁性のNi-Mo−P合金(非晶質)から成る第1被覆層で、磁石素体を被覆した。実施例6の各磁石部材においては、非磁性のNi-Mo−W(非晶質)から成る第1被覆層で、磁石素体を被覆した。一方、比較例1,2の各磁石部材においては、磁性を有するNi単独で構成される第1被覆層で、磁石素体を被覆した。
実施例1〜6においては、磁束が0.30mWb・Tであり、比較例1,2より大きかった。一方、比較例1,2の磁石部材では、それぞれの磁束が、0.25mWb・T、0.26mWb・Tであった。すなわち、実施例1〜6においては、比較例1,2に比べて、磁石部材の磁気特性が優れていることが確認された。
また、、実施例1〜6においては、比較例1,2に比べて、第1被覆層のヴィッカース硬度が高いこと、すなわち、磁石部材の耐傷性が優れていることが確認された。特に、磁石部材に対して熱処理を行った実施例2においては、同一組成の第1被覆層を有する実施例1に比べて、第1被覆層のヴィッカース硬度が高いことが確認された。すなわち、磁石部材に対する熱処理によって、第1被覆層の硬度が向上することが確認された。
さらに、実施例1〜6においては、磁石部材が優れた耐食性を有することが確認された。一方、比較例1では、耐食性を有する磁石部材が得られなかった。
実施例7
実施例7においては、まず、電解めっきによって、磁石素体の表面に第2被覆層を形成した。次に、電解めっきによって、第2被覆層の表面に第1被覆層を形成した。また、得られた第1被覆層の厚さT1、第2被覆層の厚さT2は、それぞれ7μmであった。実施例7で用いためっき浴の組成、めっき条件を表3に示す。
実施例7で得られた第1被覆層および第2被覆層の各組成、各残留磁束密度(Br),およびヴィッカース硬度Hvを表3に示す。また、得られた磁石部材の磁束、および恒温恒湿試験の結果を表3に示す。
Figure 0004600332
評価2
実施例7の磁石部材は、非磁性のNi−Mo合金(非晶質)から成る第1被覆層と、非磁性のCuから成る第2被覆層とを有する。実施例7の磁石部材においては、比較例1,2(表2)の磁石部材に比べて、磁束が大きかった。これらの結果から、実施例1〜7においては、比較例1,2に比べて、磁石部材の磁気特性が優れていることが確認された。また、実施例7においては、第1、2被覆層の厚さを総計した値(総めっき厚さ)が14μmであり、全実施例および全比較において、総めっき厚さが最も厚いにも関わらず、磁束が最も大きい(磁気特性に優れる)ことが確認された。
また、実施例7においては、比較例1,2に比べて、第1被覆層のヴィッカース硬度が高いこと、すなわち、耐傷性に優れていることが確認された。
さらに、実施例7においては、比較例1に比べて、磁石部材の耐食性が優れていることが確認された。
図1は、本発明の第1実施形態に係る磁石部材の概略断面図である。 図2は、本発明の第2実施形態に係る磁石部材の概略断面図である。
符号の説明
2… 磁石部材
4… 磁石素体
6… 第1被覆層
8… 第2被覆層

Claims (8)

  1. 磁石素体と、
    第1被覆層と、を有し、
    前記第1被覆層が前記磁石素体を被覆し、
    前記第1被覆層がNi−Mo合金を主成分とし、
    前記第1被覆層におけるMoの含有率が、前記第1被覆層全体に対して、20〜80原子%であり、
    前記第1被覆層の残留磁束密度(Br)が、10 −3 T以下であり、
    前記第1被覆層が非磁性であることを特徴とする磁石部材。
  2. 前記磁石素体が希土類磁石であることを特徴とする請求項1に記載の磁石部材。
  3. 前記第1被覆層が、Sn,W,Cu,Ti,Zn,P,Bのうち少なくとも1つの元素を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の磁石部材。
  4. 前記第1被覆層のヴィッカース硬度が、400以上であることを特徴とする請求項1〜に記載の磁石部材。
  5. 前記磁石素体と、
    前記第1被覆層と、
    第2被覆層と、を有し、
    前記第2被覆層が、前記磁石素体を被覆し、
    前記第1被覆層が、前記第2被覆層に被覆された前記磁石素体を被覆し、
    前記第2被覆層が、Cuを含み、非磁性であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の磁石部材。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載の磁石部材を製造する方法であって、
    前記磁石素体を形成する工程と、
    前記第1被覆層で、前記磁石素体を被覆して磁石部材を形成する工程と、
    前記磁石部材を熱処理する工程と、を有する磁石部材の製造方法。
  7. 請求項に記載の磁石部材を製造する方法であって、
    前記磁石素体を形成する工程と、
    前記第2被覆層で、前記磁石素体を被覆する工程と、
    前記第1被覆層で、前記第2被覆層に被覆された前記磁石素体を被覆して前記磁石部材を形成する工程と、
    前記磁石部材を熱処理する工程と、を有する磁石部材の製造方法。
  8. 100〜450℃の雰囲気温度で、前記磁石部材を熱処理することを特徴とする請求項またはに記載の磁石部材の製造方法。
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