JP4600100B2 - ベルト部材を駆動するロール部材を備えた装置、定着装置および画像形成装置 - Google Patents

ベルト部材を駆動するロール部材を備えた装置、定着装置および画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、ベルト部材を駆動するロール部材を備えた装置等に関し、より詳しくは、例えば電子写真方式を利用した画像形成装置に用いられる定着装置等に関する。
近年、複写機、プリンタ等の画像形成装置では、電子写真方式や静電記録方式等を利用したものが主流となっている。このような画像形成装置では、例えば電子写真方式を用いた場合には、次のような画像形成プロセスが用いられている。まず、例えばドラム状に形成された感光体(感光体ドラム)を一様に帯電し、この感光体ドラムを画像情報に基づいて制御された光で走査露光して感光体ドラム上に静電潜像を形成する。さらに、この静電潜像をトナーによって可視像(トナー像)とし、このトナー像を感光体ドラム上から記録紙に直接転写するか、或いは、このトナー像を一旦中間転写体に一次転写し、中間転写体から記録紙に二次転写することで、記録紙上にトナー像を形成する。そして、記録紙上に形成されたトナー像を定着装置によって定着している。
このような画像形成装置に用いられる定着装置は、例えば、円筒状の芯金の内部に加熱源が配設され、その芯金に耐熱性弾性体層と、その外周面に離型層とが積層されて形成された定着ロールと、この定着ロールに対して圧接配置され、芯金に耐熱性弾性体層と、その外周面に耐熱性樹脂被膜あるいは耐熱性ゴム被膜による離型層とが積層されて形成された加圧ロールとで構成されている。そして、定着ロールと加圧ロールとの間に、未定着トナー像を担持した記録紙を通過させ、未定着トナー像に対して加熱と加圧とを行うことによって、記録紙にトナー像を定着している。このような定着装置は、2ロール定着方式と呼ばれて一般に広く利用されている。
ところが、かかる2ロール定着方式のような定着ロールを用いる従来の定着装置では、定着ロールが大きな熱容量を有するため、画像形成装置の電源をオンすると同時に定着装置に通電を開始したとしても、定着ロールを室温から定着可能温度に上昇させる(ウォームアップ)までには相当の時間が必要となるという不都合がある。また、このようなクイックスタートが困難であるという定着ロールの特性から、画像形成装置が待機状態にある場合には、画像形成動作の開始に備えて、定着ロールの温度は常時所定の温度に維持しておく必要がある。そのために、電力の消費量が大きくなるという問題も有している。
そこで、このような問題を解消するため、定着ロールを用いる構成に代えて無端状の定着ベルト部材を用いた定着装置が開発されている。定着ベルト部材は、フィルム状の耐熱性樹脂や金属等を基体としているため、定着ロールのようなロール状部材に比べて熱容量が小さく、短い時間でウォームアップを行うことができるという利点を有している。さらに、クイックスタートが容易であることから、画像形成装置の待機時における消費電力を小さなものとすることも可能である。
ここで、定着ベルト部材を用いた定着装置に関する従来技術として、例えば、内部空間にハロゲンヒータが配設されるとともに、支持部材によって回動自在に支持された加熱フィルム(定着ベルト部材)と、加熱フィルムに対して圧接して配置され、定着ニップを形成するとともに加熱フィルムを従動させて駆動する加圧ロール部材とで構成されており、ハロゲンヒータから放射される赤外線を定着ニップに集中させることで定着ニップにおける加熱フィルムを加熱して、定着ニップを通過する記録紙上のトナー像をオンデマンドに定着する技術が存在する(例えば、特許文献1参照)。
また、定着ベルト部材を用いた定着装置において、定着ベルト部材に導電層を設け、導電層を電磁誘導加熱によって発熱させる定着装置に関する技術も存在する(例えば、特許文献2参照)。電磁誘導加熱方式は、変動磁界を発生する励磁コイルを定着ベルト部材(導電層)に近接配置し、導電層に発生する渦電流によって定着ベルト部材を加熱するものである。このような電磁誘導加熱方式によれば、定着ベルト部材を直接的に加熱することができるので、エネルギーの利用効率が高く、省電力化に有効であるという利点がある。また、定着ベルト部材の極めて限られた領域を加熱するので、定着ベルト部材を短時間で所定の温度まで加熱することも可能となる。さらには、定着ベルト部材の発熱量は供給電力に比例するため、供給電力の可変制御により定着ベルト部材の温度制御をレスポンス良く、かつ容易に行うことができるという点でも優れている。
ところが、上述した定着ベルト部材のようなベルト部材を用いた定着装置では、動作時においてベルト部材に幅方向への移動(ベルトウォーク)が生じ易い。そのため、ベルト部材の両端部には、ベルト部材の幅方向への移動を規制する規制部材が配設されている。しかし、規制部材を配設する構成においては、規制部材によりベルトウォークを抑えることは可能となるが、動作時におけるベルト部材と規制部材との間で生じる摩擦力によって、ベルト部材の端部に亀裂や座屈等の破損が生じるおそれがあった。そこで、動作時におけるベルト部材と規制部材との間の摩擦力を低減するための技術として、例えば、規制部材をベルト部材とともに回転可能な円筒部材で形成し、ベルト部材に生じる幅方向の摩擦力をこの円筒部材で受けることで、ベルト部材の端部に摩擦力が伝わるのを防ぐための技術が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2003−223064号公報(第6−8頁) 特開2004−198969号公報(第8−9頁) 特開2001−117395号公報(第6−7頁)
ところで、上述したようなベルト部材を用いた定着装置では、通常、ベルト部材は、ベルト部材の周面に当接して配置された駆動ロールによって従動回転するように構成されている。その際に、駆動ロールに駆動力を伝達する伝達ギヤをハス歯形状のギヤ(ハス歯ギヤ)で構成することにより、動作時の振動や騒音の発生を低く抑えることが可能となる。そのため、画像形成装置の静粛性を高めることができることから、オフィス等における使用環境をより快適なものにできるというメリットを有している。
しかしながら、ハス歯ギヤは、そのハス歯形状に起因して、駆動力が伝達される際に、回転方向の力と同時に回転軸方向に向かう力が作用するという特性を有している。そのために、駆動ロールがハス歯ギヤから駆動力を受けるように構成した場合には、ハス歯ギヤと一体の駆動ロールにも回転方向の力と回転軸方向に向かう力との両方が作用することとなる。そして、駆動ロールに作用するこの回転軸方向の力は、当接するベルト部材に対して幅方向に移動させる力として作用する。そのため、駆動ロールは、動作時にベルト部材を一方の端部に積極的に押しつけることとなる。それにより、動作時にはベルト部材と規制部材との間で生じる摩擦力が従来の平歯ギヤを用いた場合に比べて大きなものとなる。その結果、ベルト部材の一方の端部に亀裂や座屈等の破損が生じ易くなり、定着装置において定着動作不良が生じる可能性が高くなるという問題があった。
なお、このように駆動ロールにハス歯ギヤを結合させた構成を用いることで、駆動ロールからベルト部材に対して一方の端部に押しつける力が積極的に働く場合には、上記した特許文献3に記載された技術では、ベルト部材の端部における破損の発生を抑制するには不充分である。すなわち、駆動ロールからベルト部材に対して一方の端部に押しつける力が積極的に働くと、ベルト部材とともに回転可能な規制部材と、さらにその外側に配置される固定部材との間の摩擦力が大きくなる。それにより、規制部材の回動がベルト部材の回転に対して相対的に遅くなり、ベルト部材と回転可能な規制部材との間でも大きな摩擦力が作用することとなる。そのため、ベルト部材の端部での破損の発生を充分に抑制することは困難である。
そこで本発明は、以上のような技術的課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、ベルト部材を用いた装置において、ベルト部材を従動回転させる駆動側にハス歯ギヤを用いても、ベルト部材に破損が生じることを抑制することにある。
かかる目的のもと、本発明の装置は、回動可能なベルト部材と、ベルト部材に当接して配設され、ベルト部材を従動回転させるロール部材と、ハス歯で構成されるとともに、ロール部材と一体的に結合されたギヤ部材とを備え、ベルト部材は、ロール部材と交差するように配置されたことを特徴としている。
ここで、ベルト部材は、ロール部材がギヤ部材から受ける回転軸方向の力の作用方向側の端部が、記録材搬送方向上流側に傾けて配置されたことを特徴とすることができる。また、ベルト部材は、ベルト部材の軸線とロール部材の回転軸とが0.01〜0.05°の交差角を持って交差することを特徴とすることもできる。さらに、ロール部材は、回転軸方向中央部の外径が両端部よりも小さく形成されたことを特徴とすることもできる。
また、ベルト部材とロール部材とは、ベルト部材とロール部材との間で形成されるニップ部にて、記録材に担持されたトナー像を定着することを特徴とすることができる。
また、本発明を定着装置として捉え、本発明の定着装置は、記録材上のトナー像を定着する定着装置であって、回動可能なベルト部材と、ベルト部材を従動回転させるロール部材とを備え、ベルト部材は、ロール部材から受けるベルト部材を軸線方向に移動させる力と反対方向の力を生成するような交差角をもって、ロール部材に当接することを特徴としている。
ここで、ロール部材は、一方の端部に回転駆動力を受けるハス歯ギヤが配設されたことを特徴とすることができる。また、ベルト部材は、交差角が0.01〜0.05°であることを特徴とすることもできる。さらに、ベルト部材は、幅方向両端部だけが回動自在に支持されたことを特徴とすることもできる。加えて、ベルト部材を加熱する加熱部材をさらに備えたことを特徴とすることもできる。特に、加熱部材は、ベルト部材を電磁誘導加熱することを特徴とすることもできる。
さらに、本発明を画像形成装置として捉え、本発明の画像形成装置は、トナー像を形成するトナー像形成手段と、トナー像形成手段によって形成されたトナー像を記録材上に転写する転写手段と、記録材上に転写されたトナー像を記録材に定着する定着手段とを含み、定着手段は、回動可能なベルト部材と、ベルト部材に当接して配設され、ベルト部材を従動回転させるロール部材と、ハス歯で構成されるとともに、ロール部材と一体的に結合されたギヤ部材とを備え、ベルト部材は、ロール部材と交差するように配置されたことを特徴としている。
ここで、定着手段は、ベルト部材が、ロール部材がギヤ部材から受ける回転軸方向の力の作用方向側の端部を、記録材搬送方向上流側に傾けて配置されたことを特徴とすることができる。また、定着手段は、ベルト部材の軸線とロール部材の回転軸とが0.01〜0.05°の交差角を持って交差することを特徴とすることもできる。さらに、定着手段は、ベルト部材を加熱する加熱部材をさらに備えたことを特徴とすることもできる。
本発明によれば、ベルト部材を用いた装置において、ベルト部材を従動回転させる駆動側にハス歯ギヤを用いても、ベルト部材に破損が生じることを抑制することが可能となる。それにより、定着装置においては、長期に亘り良好な定着性能を維持することができる。また、画像形成装置の静粛性を高めることができることから、オフィス等における使用環境をより快適なものとすることも可能となる。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[実施の形態1]
図1は本実施の形態が適用される画像形成装置を示した概略構成図である。図1に示す画像形成装置は、一般にタンデム型と呼ばれる中間転写方式の画像形成装置であって、電子写真方式により各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1K、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにより形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト15に順次転写(一次転写)させる一次転写部10、中間転写ベルト15上に転写された重畳トナー画像を記録材(記録紙)である用紙Pに一括転写(二次転写)させる二次転写部20、二次転写された画像を用紙P上に定着させる定着装置60を備えている。また、各装置(各部)の動作を制御する制御部40を有している。
本実施の形態において、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、矢印A方向に回転する感光体ドラム11の周囲に、これらの感光体ドラム11を帯電する帯電器12、感光体ドラム11上に静電潜像を書込むレーザ露光器13(図中露光ビームを符号Bmで示す)、各色成分トナーが収容されて感光体ドラム11上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像器14、感光体ドラム11上に形成された各色成分トナー像を一次転写部10にて中間転写ベルト15に転写する一次転写ロール16、感光体ドラム11上の残留トナーが除去されるドラムクリーナ17、などの電子写真用デバイスが順次配設されている。これらの画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、中間転写ベルト15の上流側から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の順に、略直線状に配置されている。
中間転写体である中間転写ベルト15は、ポリイミドあるいはポリアミド等の樹脂にカーボンブラック等の帯電防止剤を適当量含有させたフィルム状の無端ベルトで構成されている。そして、その体積抵抗率は10〜1014Ωcmとなるように形成されており、その厚みは例えば0.1mm程度に構成されている。中間転写ベルト15は、各種ロールによって図1に示すB方向に所定の速度で循環駆動(回動)されている。この各種ロールとして、定速性に優れたモータ(図示せず)により駆動されて中間転写ベルト15を回動させる駆動ロール31、各感光体ドラム11の配列方向に沿って略直線状に延びる中間転写ベルト15を支持する支持ロール32、中間転写ベルト15に対して一定の張力を与えると共に中間転写ベルト15の蛇行を防止する補正ロールとして機能するテンションロール33、二次転写部20に設けられるバックアップロール25、中間転写ベルト15上の残留トナーを掻き取るクリーニング部に設けられるクリーニングバックアップロール34を有している。
一次転写部10は、中間転写ベルト15を挟んで感光体ドラム11に対向して配置される一次転写ロール16で構成されている。一次転写ロール16は、シャフトと、シャフトの周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層とで構成されている。シャフトは鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層はカーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が107.5〜108.5Ωcmのスポンジ状の円筒ロールである。そして、一次転写ロール16は中間転写ベルト15を挟んで感光体ドラム11に圧接配置され、さらに一次転写ロール16にはトナーの帯電極性(マイナス極性とする。以下同様。)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が印加されるようになっている。これにより、各々の感光体ドラム11上のトナー像が中間転写ベルト15に順次、静電吸引され、中間転写ベルト15上において重畳されたトナー像が形成されるようになっている。
二次転写部20は、中間転写ベルト15のトナー像担持面側に配置される二次転写ロール22と、バックアップロール25とによって構成される。バックアップロール25は、表面がカーボンを分散したEPDMとNBRとのブレンドゴムのチューブ、内部がEPDMゴムで構成されている。そして、その表面抵抗率が10〜1010Ω/□となるように形成され、硬度は例えば70°(アスカーC)に設定される。このバックアップロール25は、中間転写ベルト15の裏面側に配置されて二次転写ロール22の対向電極をなし、二次転写バイアスが安定的に印加される金属製の給電ロール26が当接配置されている。
一方、二次転写ロール22は、シャフトと、シャフトの周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層とで構成されている。シャフトは鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層はカーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が107.5〜108.5Ωcmのスポンジ状の円筒ロールである。そして、二次転写ロール22は中間転写ベルト15を挟んでバックアップロール25に圧接配置され、さらに二次転写ロール22は接地されてバックアップロール25との間に二次転写バイアスが形成され、二次転写部20に搬送される用紙P上にトナー像を二次転写する。
また、中間転写ベルト15の二次転写部20の下流側には、二次転写後の中間転写ベルト15上の残留トナーや紙粉を除去し、中間転写ベルト15の表面をクリーニングする中間転写ベルトクリーナ35が接離自在に設けられている。一方、イエローの画像形成ユニット1Yの上流側には、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにおける画像形成タイミングをとるための基準となる基準信号を発生する基準センサ(ホームポジションセンサ)42が配設されている。また、黒の画像形成ユニット1Kの下流側には、画質調整を行うための画像濃度センサ43が配設されている。この基準センサ42は、中間転写ベルト15の裏側に設けられた所定のマークを認識して基準信号を発生しており、この基準信号の認識に基づく制御部40からの指示により、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは画像形成を開始するように構成されている。
さらに、本実施の形態の画像形成装置では、用紙搬送系として、用紙Pを収容する用紙トレイ50、この用紙トレイ50に集積された用紙Pを所定のタイミングで取り出して搬送するピックアップロール51、ピックアップロール51により繰り出された用紙Pを搬送する搬送ロール52、搬送ロール52により搬送された用紙Pを二次転写部20へと送り込む搬送シュート53、二次転写ロール22により二次転写された後に搬送される用紙Pを定着装置60へと搬送する搬送ベルト55、用紙Pを定着装置60に導く定着入口ガイド56を備えている。
次に、本実施の形態に係る画像形成装置の基本的な作像プロセスについて説明する。図1に示すような画像形成装置では、図示しない画像読取装置(IIT)や図示しないパーソナルコンピュータ(PC)等から出力される画像データは、図示しない画像処理装置(IPS)により所定の画像処理が施された後、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって作像作業が実行される。IPSでは、入力された反射率データに対して、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消しや色編集、移動編集等の各種画像編集等の所定の画像処理が施される。画像処理が施された画像データは、Y、M、C、Kの4色の色材階調データに変換され、レーザ露光器13に出力される。
レーザ露光器13では、入力された色材階調データに応じて、例えば半導体レーザから出射された露光ビームBmを画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各々の感光体ドラム11に照射している。画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各感光体ドラム11では、帯電器12によって表面が帯電された後、このレーザ露光器13によって表面が走査露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、各々の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって、Y、M、C、Kの各色のトナー像として現像される。
画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの感光体ドラム11上に形成されたトナー像は、各感光体ドラム11と中間転写ベルト15とが当接する一次転写部10において、中間転写ベルト15上に転写される。より具体的には、一次転写部10において、一次転写ロール16により中間転写ベルト15の基材に対しトナーの帯電極性(マイナス極性)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が付加され、トナー像を中間転写ベルト15の表面に順次重ね合わせて一次転写が行われる。
トナー像が中間転写ベルト15の表面に順次一次転写された後、中間転写ベルト15は移動してトナー像が二次転写部20に搬送される。トナー像が二次転写部20に搬送されると、用紙搬送系では、トナー像が二次転写部20に搬送されるタイミングに合わせてピックアップロール51が回転し、用紙トレイ50から所定サイズの用紙Pが供給される。ピックアップロール51により供給された用紙Pは、搬送ロール52により搬送され、搬送シュート53を経て二次転写部20に到達する。この二次転写部20に到達する前に、用紙Pは一旦停止され、トナー像が担持された中間転写ベルト15の移動タイミングに合わせてレジストロール(図示せず)が回転することで、用紙Pの位置とトナー像の位置との位置合わせがなされる。
二次転写部20では、中間転写ベルト15を介して、二次転写ロール22がバックアップロール25に押圧される。このとき、タイミングを合わせて搬送された用紙Pは、中間転写ベルト15と二次転写ロール22との間に挟み込まれる。その際に、給電ロール26からトナーの帯電極性(マイナス極性)と同極性の電圧(二次転写バイアス)が印加されると、二次転写ロール22とバックアップロール25との間に転写電界が形成される。そして、中間転写ベルト15上に担持された未定着トナー像は、二次転写ロール22とバックアップロール25とによって押圧される二次転写部20において、用紙P上に一括して静電転写される。
その後、トナー像が静電転写された用紙Pは、二次転写ロール22によって中間転写ベルト15から剥離された状態でそのまま搬送され、二次転写ロール22の用紙搬送方向下流側に設けられた搬送ベルト55へと搬送される。搬送ベルト55では、定着装置60における最適な搬送速度に合わせて、用紙Pを定着装置60まで搬送する。定着装置60に搬送された用紙P上の未定着トナー像は、定着装置60によって熱および圧力で定着処理を受けることで用紙P上に定着される。そして定着画像が形成された用紙Pは、画像形成装置の排出部に設けられた排紙載置部に搬送される。
一方、用紙Pへの転写が終了した後、中間転写ベルト15上に残った残留トナーは、中間転写ベルト15の回動に伴ってクリーニング部まで搬送され、クリーニングバックアップロール34および中間転写ベルトクリーナ35によって中間転写ベルト15上から除去される。
次に、本実施の形態の画像形成装置に用いられる定着装置60について説明する。
図2は本実施の形態の定着装置60の構成を示す概略構成図である。図2に示すように、本実施の形態の定着装置60は、無端状の周面を有するベルト部材の一例としての定着ベルト61、定着ベルト61の外周面に圧接して配設され、定着ベルト61を従動回転させる駆動部材の一例としての加圧ロール62、定着ベルト61の内側にて定着ベルト61を介して加圧ロール62に圧接配置される押圧パッド63、押圧パッド63等を支持する支持部材の一例としてのパッド支持部材64、定着ベルト61の外周面形状に倣って形成されるとともに定着ベルト61とは所定の間隙を持って配設され、定着ベルト61を長手方向に亘って電磁誘導加熱する加熱部材の一例としての電磁誘導加熱部材65、定着ベルト61の内側にて定着ベルト61の内周面に沿って配設され、電磁誘導加熱部材65による定着ベルト61への加熱効率を高めるフェライト部材67により主要部が構成されている。
定着ベルト61は、図3に示すように、内周面側から順に、耐熱性の高いシート状部材からなる基層61aと、導電層61bと、弾性層61cと、外周面となる表面離型層61dとが積層されて構成されている。また、各層の間には接着のためのプライマー層等が設けられる場合がある。
基層61aとしては、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、PEEK樹脂、PES樹脂、PPS樹脂、PFA樹脂、PTFE樹脂、FEP樹脂等のフレキシブルで機械的強度に優れ、耐熱性を有する材料が好適に用いられる。厚さは、10〜100μm、好ましくは厚さ50〜100μmが適している。厚さが10μmより小さい場合には定着ベルト61としての強度が得られず、厚さが100μmより大きい場合には、フレキシブル性が損なわれ、また熱容量が大きくなって温度立ち上がり時間が長くなるからである。本実施の形態では、円筒状とした場合の内径が30mm、幅が370mm、厚さが50μmのポリイミド樹脂からなるシート状部材を使用している。
導電層61bは、電磁誘導加熱部材65が誘起する磁界により誘導発熱する層(発熱層)であり、鉄、コバルト、ニッケル、銅、アルミニウム、クロム等の金属層を1〜30μm程度の厚さで形成したものが用いられる。また、導電層61bの材質および厚さは、電磁誘導による渦電流によって充分な発熱が得られる固有抵抗値を実現するように適宜選択される。本実施の形態では、厚さ10μm程度の銅を使用している。
弾性層61cは、厚さが10〜500μm、好ましくは50〜500μmであって、耐熱性、熱伝導性に優れたシリコーンゴム、フッ素ゴム、フルオロシリコーンゴム等が用いられる。本実施の形態では、ゴム硬度15°(JIS−A:JIS−K A型試験機)、厚さ200μmのシリコーンゴムを使用している。
ところで、カラー画像を印刷する場合、特に写真画像等の印刷時には、用紙P上で大きな面積領域に亘ってベタ画像が形成されることが多い。そのため、用紙Pやトナー像の凹凸に定着ベルト61の表面(表面離型層61d)が追従できない場合には、トナー像に加熱ムラが発生して、伝熱量が多い部分と少ない部分とで定着画像に光沢ムラが発生する。すなわち、伝熱量が多い部分は光沢度が高く、伝熱量が少ない部分では光沢度が低くなる。このような現象は、弾性層61cの厚さが10μmより小さい場合に生じ易い。そこで、弾性層61cの厚さは、10μm以上に設定するのが好ましい。一方、弾性層61cが500μmより大きい場合には、弾性層61cの熱抵抗が大きくなり、定着装置60のクイックスタート性能が低下する。そこで、弾性層61cの厚さは、500μm以下に設定するのが好ましい。
また、弾性層61cのゴム硬度としては、高すぎると用紙Pやトナー像の凹凸に追従しきれず定着画像に光沢ムラが発生し易い。そこで、弾性層61cのゴム硬度としては50゜(JIS−A:JIS−K A型試験機)以下、より好ましくは35゜以下が適している。
さらに、弾性層61cの熱伝導率λに関しては、λ=6×10−4〜2×10−3[cal/cm・sec・deg ]が適している。熱伝導率λが6×10−4[cal/cm・sec・deg ]よりも小さい場合には熱抵抗が大きく、定着ベルト61の表層(表面離型層61d)における温度上昇が遅くなる。一方、熱伝導率λが2×10−3[cal/cm・sec・deg ]よりも大きい場合には、硬度が過度に高くなったり、圧縮永久歪みが悪化する。そのため、熱伝導率λは6×10−4〜2×10−3[cal/cm・sec・deg ]、より好ましくは8×10−4〜1.5×10−3[cal/cm・sec・deg ]に設定するのが好ましい。
また、表面離型層61dは、用紙P上に転写された未定着トナー像と直接的に接触する層であるため、離型性および耐熱性に優れた材料を使用する必要がある。したがって、表面離型層61dを構成する材料としては、例えばテトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、フルオロシリコーンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム等が好適に用いられる。
また、表面離型層61dの厚さは、5〜50μmが好ましい。表面離型層61dの厚さが5μmよりも小さい場合には、塗膜時に塗りムラが生じて離型性の悪い領域が形成されたり、耐久性が不足するといった問題が発生するからである。また、表面離型層61dが50μmを超える場合には、熱伝導が悪化するという問題が発生し、特に樹脂系の材質で形成された表面離型層61dでは硬度が高くなりすぎ、弾性層61cが有する機能を低下させるからである。なお、本実施の形態では、厚さ30μmのPFAを使用している。
ここで、表面離型層61dにおけるトナー離型性を向上するため、表面離型層61dにトナーオフセット防止のためのオイル(離型剤)を塗布するオイル塗布機構を定着ベルト61に当接させて配設することも可能である。特に、低軟化物質を含有しないトナーを用いた場合には効果的である。
次に、加圧ロール62は、図2に示したように、芯材(コア)としての金属製の円柱状部材62aと、円柱状部材62aの表面にシリコーンゴム、発泡シリコーンゴム、フッ素ゴム、フッ素樹脂等の耐熱性を有する弾性層62bと、最外表面の表面離型層62cとで構成されている。そして、加圧ロール62は、両端部がバネ部材(不図示)によって定着ベルト61側に付勢されて支持されながら、矢印C方向に回転する。本実施の形態では、加圧ロール62は、定着ベルト61を介して総荷重294N(30kgf)で押圧パッド63に付勢されている。それにより、加圧ロール62は、押圧パッド63との間で定着ベルト61を狭持した状態に保持して、定着ニップ部Nを形成している。
ここで、加圧ロール62は、図4に示したように、定着ベルト61とは軸方向において所定の交差角θを持って交差するように設定されている。なお、図4は、加圧ロール62と定着ベルト61との軸方向における位置関係を説明する図であり、下方から見た平面図である。図中の矢印Kは用紙Pの搬送方向を示している。
また、加圧ロール62の長手方向における一方の端部には、円柱状部材62aの外周面に、加圧ロール62と同軸にハス歯ギヤで構成された伝達ギヤ100(後段の図7も参照)が外嵌固定されている。加圧ロール62には、画像形成装置本体に設けられた駆動モータ(不図示)からの駆動力がこの伝達ギヤ100に対して伝達され、加圧ロール62は回転駆動する。そして、加圧ロール62は、定着ニップ部Nにおいて圧接された定着ベルト61を従動回転させている。
なお、本実施の形態では、加圧ロール62は、円柱状部材62aとして外径が24mmのSUSからなる中実ロールで形成し、弾性層62bとして厚さ2mmのシリコーンゴムを用いている。また、表面離型層62cとしては、厚さ50μmのPFAを用いている。さらに、伝達ギヤ100のハス歯はギヤ角度25°に設定している。
押圧パッド63は、図2に示したように、SUS、鉄等の金属、または耐熱性を有する樹脂等からなる台座63aと、台座63aの表面に被覆されたシリコーンゴム、フッ素ゴム等の弾性材料で形成された弾性部材63bとで構成されている。そして、押圧パッド63は、定着ベルト61の幅方向において、用紙Pが通過する領域(通紙域)よりもやや広い領域に亘って配設され、この押圧パッド63の長手方向の略全長に亘って加圧ロール62が押圧されるように構成されている。
そして、押圧パッド63の定着ベルト61との接触面は、加圧ロール62の外表面形状に倣って、凹状曲面で形成されている。そのため、定着ベルト61を介して加圧ロール62との間で充分に広いニップ幅を形成することができる。
また、押圧パッド63と定着ベルト61との間には、定着ニップ部Nにおける押圧パッド63と定着ベルト61との摺動摩擦力を低減するため、耐熱性グリス等の潤滑剤が塗布されている。それにより、定着ベルト61が円滑に回動することを可能としている。
パッド支持部材64は、図5に示したように、定着ベルト61の幅方向に軸線を有する棒状部材である。そして、パッド支持部材64の加圧ロール62と対向する部分には押圧パッド63が取り付けられており、定着ベルト61を介して加圧ロール62から押圧パッド63に作用する押圧力をパッド支持部材64によって負担している。そのため、パッド支持部材64には、加圧ロール62から押圧力を受けた際の撓み量が所定のレベル以下、好ましくは1mm以下となる程度の剛性を有するものを用いる必要がある。さらに、後述する電磁誘導加熱部材65による磁束の影響によって加熱されにくいことも必要である。そこで、パッド支持部材64を構成する材質としては、例えば、ガラス繊維入りPPS(ポリフェニレンサルファイド)、ガラス繊維入りPET(ポリエチレンテレフタレート)、液晶ポリマー等の耐熱性樹脂、耐熱ガラス、固有抵抗が小さく誘導加熱の影響を受けにくいアルミニウム等の金属が用いられる。本実施の形態では、パッド支持部材64は、断面形状が加圧ロール62からの押圧力方向に長軸を有する長方形で形成されたアルミニウムで構成されている。
また、パッド支持部材64には、高透磁率の材質(例えば、フェライトやパーマロイ等)から構成され、電磁誘導加熱部材65による加熱効率を高めるためのフェライト部材67が配設されている。
さらに、図5に示したように、パッド支持部材64の軸方向両端部には、定着ベルト61を支持するエッジガイド部材80が固定配置されている。そして、定着ベルト61は両端部の内周面がエッジガイド部材80で支持されることで、定着ベルト61は所定の形状(例えば、略円形)を維持しながら回動するように構成されている。ここで、図6は定着ベルト61がエッジガイド部材80によって支持される構成を説明する図であり、用紙Pの搬送方向下流側から見た定着装置60の一方の端部領域を示している。
図6に示したように、エッジガイド部材80は、定着ニップ部Nとその近傍に対応する部分に切り欠きが形成された円筒状、すなわち断面がC形状のベルト内周面ガイド部801、このベルト内周面ガイド部801の外側に設けられ、定着ベルト61の外径よりも大きな外径で形成されたベルトエッジガイド部802、さらにエッジガイド部材80の外側面に設けられ、エッジガイド部材80を定着装置60本体に結合するための支持部803で構成されている。なお、本実施の形態では、エッジガイド部材80はガラス繊維入りPPSで形成されている。
そして、定着ベルト61は、定着ベルト61の幅方向両端部において、両端部の内周面がエッジガイド部材80のベルト内周面ガイド部801に支持されながら、無張力状態または所定の張力が作用する状態で回動する。その際には、定着ベルト61の断面形状は、ベルト内周面ガイド部801の外周面および押圧パッド63の表面に沿った形状に拘束される。また、その場合に、定着ベルト61のベルト内周面ガイド部801に支持されない幅方向中央部側の領域でも、押圧パッド63以外に内周面に当接する部材がなくとも、定着ベルト61自体の剛性によって両端部と略同様の断面形状が一様に維持されることとなる。
また、定着ベルト61は、ベルトエッジガイド部802によってエンドレスベルト62の幅方向への移動(ベルトウォーク)が制限され、エンドレスベルト62が所定の範囲を超えて片寄るのを抑えている。
次に、電磁誘導加熱部材65について述べる。電磁誘導加熱部材65は、図2に示すように、定着ベルト61の幅方向に沿って、定着ベルト61の外周面形状に倣った曲面を定着ベルト61側に有する台座65aと、台座65aに支持された励磁コイル65bと、この励磁コイル65bに高周波電流を供給する励磁回路65cとで主要部が構成されている。
台座65aは、絶縁性および耐熱性を有する材料からなり、例えば、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、液晶ポリマー樹脂等を用いることができる。また、励磁コイル65bとしては、例えば、耐熱性の絶縁材料(例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等)によって相互に絶縁された直径φ0.5mmの銅線材を複数本束ねたリッツ線を長円形状や楕円形状、長方形状等の閉ループ状に複数回(例えば、11ターン)巻いたものが用いられる。そして、励磁コイル65bは接着剤によって固められることでその形状を維持しながら台座65aに固定されている。
また、励磁コイル65bおよびフェライト部材67と、定着ベルト61の導電層61bとの間の距離は、可能な限り近接させて設置することが磁束の吸収効率を高めるために好ましいことから、これらの距離は5mm以内、例えば、2mm程度に設定されている。
電磁誘導加熱部材65では、励磁回路65cから励磁コイル65bに高周波電流が供給されると、励磁コイル65bの周囲に磁束が生成消滅を繰り返す。ここで、高周波電流の周波数は、例えば10〜50kHzに設定されるが、本実施の形態では30kHzに設定している。励磁コイル65bからの磁束が定着ベルト61の導電層61bを横切ると、定着ベルト61の導電層61bにはその磁界の変化を妨げるような磁界が発生し、それによって導電層61b内に渦電流が発生する。そして、導電層61bでは、渦電流(I)によって導電層61bの表皮抵抗(R)に比例したジュール熱(W=IR)が発生し、定着ベルト61は所定温度に加熱されることとなる。
その際には、定着ベルト61の温度は、定着ニップ部Nの上流側近傍であって定着ベルト61の表面に近接して配設された赤外線センサ70によって計測される。赤外線センサ70は、定着ベルト61から放射される赤外線を非接触状態で検知して定着ベルト61の温度を計測する。そして、赤外線センサ70の計測値に基づいて、画像形成装置の制御部40(図1参照)が励磁コイル65bに供給する電力量または高周波電流の供給時間等を制御することにより、定着ベルト61を所定の温度に維持する。なお、定着ベルト61の温度計測手段としては、赤外線センサ70のほかに、ゼーベック効果を利用した熱電対や抵抗の温度係数が大きな素子を用いたサーミスタ等の接触式の温度計測センサを用いることもできる。
そして、上記のように構成された本実施の形態の画像形成装置においては、トナー像を形成する動作が開始されるのと略同時に、定着装置60では加圧ロール62を駆動するための駆動モータ(不図示)および電磁誘導加熱部材65に電力が供給され、定着装置60が起動する。すると、加圧ロール62に従動して定着ベルト61が回動する。加えて、定着ベルト61が電磁誘導加熱部材65と対向する加熱領域を通過することで、定着ベルト61の導電層61bには渦電流が誘導され、定着ベルト61は発熱する。そして、定着ベルト61が均一に所定の温度に加熱された状態で、未定着トナー像を担持した用紙Pが、定着ベルト61と加圧ロール62とが圧接された定着ニップ部Nに送り込まれる。通紙域における定着ニップ部N内では、用紙Pおよび用紙Pに担持されたトナー像は加熱および加圧され、トナー像が用紙P上に定着される。その後、用紙Pは定着ベルト61の曲率の変化によって定着ベルト61から剥離されて、画像形成装置の排出部に設けられた排紙載置部に搬送される。その際に、定着後の用紙Pを定着ベルト61から完全に分離するための補助手段として、定着ベルト61の定着ニップ部Nの下流側に、剥離補助部材75を配設することも可能である。
本実施の形態の定着装置60では、定着ベルト61がトナー像の定着に必要な所定の温度に均一に加熱されているので、光沢ムラやオフセット等の発生が抑制された良好なトナー像を形成することができる。また、定着ベルト61は熱容量が極めて小さく、さらには押圧パッド63以外に接触する部材がないことから熱を奪われることが少ない。そのため、高速に定着ベルト61を加熱することができるので、ウォームアップタイムを極めて短くすることができる。それと同時に、オンデマンド性に優れているので待機時の電力消費も大きく低減することが可能である。
また、押圧パッド63により、定着ベルト61を介して加圧ロール62との間で充分に広いニップ幅を形成することができるので、定着ニップ部Nにおける熱の伝達を充分に行うことが可能となって、良好な定着性能を得ることができる。
続いて、本実施の形態の定着装置60において、加圧ロール62と定着ベルト61とが軸方向において所定の交差角θを持って交差して設定されている点について説明する。
まず、上述したように、本実施の形態の定着装置60では、加圧ロール62の長手方向の一方の端部に配設され、加圧ロール62に対して駆動力を伝達する伝達ギヤ100は、ハス歯ギヤで構成されている。そして、伝達ギヤ100は、画像形成装置本体側に配設された駆動モータ(不図示)からの駆動力を伝達する本体側伝達ギヤ110(後段の図7参照)と連結されている。この場合には、本体側伝達ギヤ110も伝達ギヤ100に対応して構成されたハス歯ギヤで構成されている。このように、伝達ギヤ100としてハス歯ギヤを用いることによって、定着装置60の駆動時における振動や騒音の発生を低く抑えることが可能となる。そのため、画像形成装置の静粛性を高めることができることから、オフィス等における使用環境をより快適なものとする効果を有している。
ここで、本体側伝達ギヤ110から伝達ギヤ100が受ける力について述べる。図7は、伝達ギヤ100が受ける力を説明する図であり、加圧ロール62を定着ニップ部N側(上方)から見た図である。なお、用紙Pの搬送方向を図中矢印Kで示した。図7に示したように、伝達ギヤ100のギヤ歯100aは、伝達ギヤ100の回転方向に対して所定の傾斜角(ギヤ角度:例えば、25°)を持って形成されている。そして、本体側伝達ギヤ110から伝達ギヤ100に駆動力が伝達される際には、本体側伝達ギヤ110のギヤ歯から伝達ギヤ100のギヤ歯100aの面に対して垂直な方向の力(F)が働く。そのために、ギヤ歯100aの面に作用する力(F)は、伝達ギヤ100を回転させる回転力f1と、伝達ギヤ100を回転軸方向中央部側(図中矢印J)に移動させようとするスラスト力f2とを含むこととなる。
このように、加圧ロール62に対して駆動力を伝達する伝達ギヤ100において、図7に示したようなハス歯の傾斜をもったハス歯ギヤを用いた場合には、伝達ギヤ100と一体の加圧ロール62には、回転力f1と同時に、伝達ギヤ100が配設された端部側から他方の端部側(図中矢印J)に移動させるスラスト力f2が作用する。そのために、回転動作時において加圧ロール62は回転軸方向に移動することとなる。
すなわち、加圧ロール62が定着装置60に設置される際には、回転動作時において両端部を支持する筺体との間の摩擦力を低減する必要から、両端部の筺体との間に僅かではあるが隙間を設けた状態で加圧ロール62を設置している。それによって、加圧ロール62は回転軸方向に所謂「ガタ」を有しており、このガタ分だけ回転軸方向に移動可能となる。そのため、回転動作時には、スラスト力f2を受けることで、加圧ロール62はガタ分だけ伝達ギヤ100が配設された端部側とは反対の端部側(図中矢印J)に移動する。一方、例えば回転の停止時等に、加圧ロール62にはスラスト力f2に対する反力が作用して、加圧ロール62は伝達ギヤ100が配設された端部側に移動する場合もある。そして、伝達ギヤ100が配設された端部側に加圧ロール62が移動すると、回転動作時のスラスト力f2により、再度伝達ギヤ100が配設された端部側とは反対の端部側に移動することとなる。このように、伝達ギヤ100においてハス歯ギヤを用いた場合には、加圧ロール62は、ガタ分だけ回転軸方向を往復移動することとなる。
一方、本実施の形態の定着装置60では、加圧ロール62に圧接して配置された定着ベルト61においても、回転動作時には、加圧ロール62から、回転力f1と同時に伝達ギヤ100が配設された端部側から他方の端部側へのスラスト力f2が作用する。
そのため、従来の構成においては、定着ベルト61は、加圧ロール62の移動に伴って、伝達ギヤ100が配設された端部側とは反対の端部側へ移動する。逆に、例えば回転の停止時等に、加圧ロール62にスラスト力f2に対する反力が作用して、加圧ロール62が伝達ギヤ100が配設された端部側に移動しても、定着ベルト61にはその内周面において押圧パッド63との間の摩擦力等が作用しているため、定着ベルト61は殆ど移動しない。その結果、従来の構成では、加圧ロール62がガタ分だけ回転軸方向を往復移動する過程において、定着ベルト61は徐々に端部側へ移動し、伝達ギヤ100が配設された端部とは反対の端部側に常時積極的に押し付けられる状態が生じていた。そのため、定着ベルト61の一方の端部とエッジガイド部材80との摩擦力が大きくなって、定着ベルト61の端部に亀裂や座屈等の破損が生じ、定着装置60が通常の定着動作を行うことができなくなる可能性があった。
特に、定着ベルト61の中心軸(軸線)と加圧ロール62の回転軸との位置合わせ(アライメント)において、仮に伝達ギヤ100が受けるスラスト力f2と同じ方向に定着ベルト61が移動するように、アライメントのばらつきが生じている場合には、アライメントのばらつきによるスラスト力も加わることとなる。そのため、定着ベルト61の一方の端部がエッジガイド部材80に押し付けられる力はさらに大きなものとなる。その場合には、定着ベルト61の端部に亀裂や座屈等の破損がいっそう生じ易くなる。
これに対して、本実施の形態の定着装置60では、定着ベルト61と加圧ロール62とは、軸方向において所定の交差角θを持って交差するように設定されている。そして、その際には、定着ベルト61は、加圧ロール62の伝達ギヤ100が配設された端部側が用紙P搬送方向下流側に傾くように設定されている。ここで、交差角θとは、加圧ロール62の回転軸と定着ベルト61の中心軸(軸線)とのなす角をいう。
図8は、定着ベルト61と加圧ロール62とを軸方向において交差するように設定した場合の定着ベルト61に作用する力を説明する図である。図8は、図4と同様に、下方から見た平面図であって、図中の矢印Kは用紙Pの搬送方向を示している。まず、上述したように、回転動作時には、定着ベルト61には、加圧ロール62から、回転力f1と、伝達ギヤ100が配設された端部側から他方の端部側へのスラスト力f2とが作用する。スラスト力f2は、上述したように、定着ベルト61の一方の端部をエッジガイド部材80に押し付けようとする力となる。そして、回転力f1は、定着ベルト61に対する摩擦力Tとなる。
上述したように、本実施の形態の定着装置60では、定着ベルト61は、加圧ロール62の伝達ギヤ100が配設された端部側が用紙P搬送方向下流側に傾くように、加圧ロール62に対して交差角θを持って交差して設定されている。そのため、加圧ロール62から定着ベルト61に対して作用する摩擦力Tには、定着ベルト61を回動する回動力t1と、定着ベルト61を幅方向において加圧ロール62の伝達ギヤ100が配設された端部側に移動させようとするスラスト力t2とが含まれることとなる。そして、定着ベルト61に作用するスラスト力t2は、加圧ロール62から受けるスラスト力f2とは、向きが異なる。そのため、加圧ロール62から定着ベルト61に対して伝達ギヤ100が配設された端部側とは反対の端部側に移動させる力(スラスト力f2)が作用しても、定着ベルト61に作用するスラスト力t2によってこれに対抗することできるので、定着ベルト61を幅方向に移動させようとする力を低減するか、または打ち消すことが可能となる。それにより、加圧ロール62がガタ分だけ回転軸方向を往復移動する際にも、定着ベルト61が伝達ギヤ100が配設された端部とは反対の端部側に押し付けられるのを抑制することが可能となる。そのため、定着ベルト61の一方の端部とエッジガイド部材80との摩擦力が大きくなることが抑制される。その結果、定着ベルト61の端部に亀裂や座屈等の破損が生じることを抑え、定着装置60が長期に亘って通常の定着動作を行うことが可能となる。
続いて、定着ベルト61と加圧ロール62との交差角θについて述べる。ここでは、定着ベルト61と加圧ロール62との交差角θと、定着ベルト61がエッジガイド部材80を押し付ける力(エッジフォース)との関係を調べる実験を行った。本実験では、交差角θは、定着ベルト61における加圧ロール62の伝達ギヤ100側が用紙P搬送方向の下流側に傾く方向をプラス、上流側に傾く方向をマイナスとした。また、回転動作開始前の加圧ロール62の位置としては、伝達ギヤ100側が定着装置60の筺体に接触した状態とし、定着温度170℃、プロセススピード194mm/sに設定して、定着装置60を非通紙状態で駆動させた。そして、交差角θを変化させた設定において、定着ベルト61の位置が安定した状態でのエッジフォースを測定した。その結果を示したものが図9である。
図9において、横軸が交差角θ(°)であり、縦軸がエッジフォース(N)である。また、エッジフォースは、定着ベルト61における加圧ロール62の伝達ギヤ100側とは反対側に向かう方向(図8のY側)をプラス、加圧ロール62の伝達ギヤ100側に向かう方向(図8のX側)をマイナスとしている。
まず、本実験を行うに際して事前に行った実験において、定着装置60を本実験と同じ条件で200kpv(kilo print volume)相当の非通紙状態の駆動を行った際には、エッジフォースが8N以下である場合において、定着ベルト61の端部に破損が生じないことが判明している。そこで、その事前実験の結果に基づいて、図9によって得られたデータから、定着ベルト61の端部に破損が生じない交差角θの条件を求めた。
その結果、図9に示されたデータから、交差角θを0.01〜0.05°に設定することにより、定着ベルト61の端部に破損が生じない条件であるエッジフォース8N以下を実現できることが直ちに把握することができる。すなわち、定着ベルト61と加圧ロール62との交差角θを、0.03°をアライメントの中心値として公差±0.02°に設定することにより、加圧ロール62から定着ベルト61に対して伝達ギヤ100が配設された端部側とは反対の端部側に移動させる力(スラスト力f2)が大きくなりすぎて、定着ベルト61の端部に破損が生じたり、その逆に、定着ベルト61を幅方向において加圧ロール62の伝達ギヤ100が配設された端部側に移動させようとするスラスト力t2が大きくなりすぎて、定着ベルト61の端部に破損が生じることの双方を抑制することが可能となる。
したがって、本実施の形態の定着装置60では、定着ベルト61は、加圧ロール62に対して加圧ロール62の伝達ギヤ100側を用紙Pの搬送方向下流側に向けて0.01〜0.05°だけ傾けて設定している。
なお、本実施の形態の定着装置60では、加圧ロール62の伝達ギヤ100が、本体側伝達ギヤ110から駆動力を受ける際に、伝達ギヤ100を回転させる回転力f1と、伝達ギヤ100を伝達ギヤ100が配設された端部側とは反対の端部側に移動させようとするスラスト力f2が生じるようなギヤ歯100aの傾斜角を設定している。しかし、本体側伝達ギヤ110から駆動力を受ける際に、伝達ギヤ100を回転させる回転力f1と、伝達ギヤ100を伝達ギヤ100が配設された端部側に移動させようとするスラスト力f2´(f2´=−f2)が生じるようなギヤ歯100aの傾斜角を設定することもできる。その場合には、定着ベルト61に対して幅方向に移動させようとする力を低減するか、または打ち消すためには、定着ベルト61は、加圧ロール62に対して加圧ロール62の伝達ギヤ100側を用紙Pの搬送方向上流側に向けて0.01〜0.05°だけ傾けて設定することとなる。
すなわち、加圧ロール62が駆動時において伝達ギヤ100から加圧ロール62の回転軸方向に向かうスラスト力f2、f2´を受けた際に、かかるスラスト力f2、f2´が向かう方向(作用方向)の定着ベルト61の端部が用紙Pの搬送方向上流側に傾くように設定することにより、定着ベルト61に対して幅方向に移動させようとする力を低減するか、または打ち消すことが可能となる。
また、加圧ロール62は、回転軸方向中央部の外径が両端部よりも小さく形成された所謂フレア形状で構成されることで、定着ニップ部Nを通過する用紙Pにおける紙しわの発生を抑制することが可能となる。
この場合、本実施の形態の定着装置60では、定着ベルト61と加圧ロール62とを交差させているので、加圧ロール62をフレア形状で構成することにより、定着ベルト61と加圧ロール62との密着性を高めることも可能となる。そのため、定着ベルト61と加圧ロール62とを交差させた構成において、加圧ロール62をフレア形状で構成することで、定着性の向上を図る効果を得ることもできる。
以上説明したように、本実施の形態の定着装置60では、定着ベルト61を従動回転させる加圧ロール62に駆動力を伝達する伝達ギヤ100は、ハス歯ギヤで構成されている。そして、加圧ロール62が定着ベルト61を幅方向に移動させようとする力を低減するか、または打ち消すように、定着ベルト61は、加圧ロール62に対して交差角θを持って交差して設定されている。それにより、定着ベルト61がいずれか一方の端部側に押し付けられるのを抑制することが可能となる。その結果、定着ベルト61の一方の端部とエッジガイド部材80との摩擦力が大きくなることが抑制されるので、定着ベルト61の端部に亀裂や座屈等の破損が生じることを抑え、定着装置60が長期に亘って通常の定着動作を行うことが可能性となる。
また、加圧ロール62に駆動力を伝達する伝達ギヤ100においてハス歯ギヤを使用することが可能となるので、定着装置60の駆動時における振動や騒音の発生を低く抑えることが可能となる。そのため、画像形成装置の静粛性を高めることができることから、オフィス等における使用環境をより快適なものとすることも可能となる。
[実施の形態2]
実施の形態1では、定着装置60が搭載された画像形成装置であって、定着装置60において、回動部材として加熱源を備えた定着ベルト61と、駆動部材として加圧ロール62とを用いた構成について説明した。実施の形態2では、図1に示した画像形成装置に搭載する定着装置90であって、定着装置90に用いる駆動部材として定着ロール91を用い、回動部材として加圧ベルト92を用いた定着装置90について説明する。なお、実施の形態1と同様な構成については同様な符号を用い、ここではその詳細な説明を省略する。
本実施の形態の定着装置90について説明する。図10は本実施の形態の定着装置90の構成を示す側断面図である。定着装置90は、駆動部材の一例としての定着ロール91、回動部材の一例としての加圧ベルト92、および加圧ベルト92を介して定着ロール91から押圧される圧力部材の一例としての圧力パッド94により主要部が構成されている。
定着ロール91は、金属製のコア(円筒状芯金)911の周囲に耐熱性弾性体層912、および離型層913を積層して構成された円筒状ロールであり、回転自在に支持されて所定の表面速度で回転する。
定着ロール91の内部には、発熱源として、例えば定格600Wのハロゲンヒータ96が配設されている。一方、定着ロール91の表面には温度センサ99が接触して配置されている。画像形成装置の制御部40(図1参照)は、この温度センサ99による温度計測値に基づいてハロゲンヒータ96の点灯を制御し、定着ロール91の表面温度が所定の設定温度(例えば、175℃)を維持するように調整している。
加圧ベルト92は、継ぎ目がない無端状のベルトであり、加圧ベルト92の内部に配置された圧力パッド94と、上流側ベルトガイド部材93aおよび下流側ベルトガイド部材93b、さらには加圧ベルト92の両端部に配置されたエッジガイド部材(不図示)によって回動自在に支持されている。そして、定着ニップ部Nにおいて定着ロール91に対して圧接されるように配置され、定着ロール91に従動して回動する。
圧力パッド94は、加圧ベルト92の内側において金属製のホルダ95に支持されている。そして、加圧ベルト92を介して定着ロール91に押圧される状態で配置され、定着ロール91との間で定着ニップ部Nを形成している。圧力パッド94は、定着ニップ部Nの入口側(上流側)に、幅の広い定着ニップ部Nを確保するためのプレニップ部材94aを配置している。また、定着ニップ部Nの出口側(下流側)には、定着ロール91表面を局所的に押圧することで、トナー像表面を平滑化して画像光沢を付与するとともに、定着ロール91表面に歪み(凹み)を与えて用紙Pにダウンカールを形成し、用紙Pを定着ロール91表面から剥離するための剥離ニップ部材94bを配置している。
また、圧力パッド94には、加圧ベルト92の内周面と圧力パッド94との摺動抵抗を小さくするために、加圧ベルト92と接する面に低摩擦部材の一例としての低摩擦シート98が設けられている。
低摩擦シート98は、定着ニップ部Nの上流側端部が下流側ベルトガイド部材93bによってホルダ95の底面に固定されている。そして、上流側ベルトガイド部材93aを覆うとともに、定着ニップ部Nの全域において、圧力パッド94と加圧ベルト92内周面との間に挟持された状態で配設されている。なお、低摩擦シート98の定着ニップ部N下流側は、低摩擦シート98に歪みが生じないように、固定されず自由端(フリー)の状態に設定されている。そして、低摩擦シート98は、定着ニップ部Nにおいて圧力パッド94と定着ロール91との間に押圧力が印加されている状態の下で、加圧ベルト92内周面と圧力パッド94との摺動抵抗(摩擦抵抗)を低減している。
さらに、加圧ベルト92の内周面にアミノ変性シリコーンオイル等の潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布部材97が配設され、加圧ベルト92内周面と圧力パッド94との摺動抵抗(摩擦抵抗)をさらに低減している。
このような構成において、定着ロール91は、図示しない駆動モータに連結されて矢印C方向に回転し、この回転に従動して加圧ベルト92も定着ロール91と同じ方向に回動する。図1に示した画像形成装置の二次転写部20においてトナー像が静電転写された用紙Pは、定着入口ガイド56によって導かれて、定着ニップ部Nに搬送される。そして、用紙Pが定着ニップ部Nを通過する際に、用紙P上のトナー像は定着ニップ部Nに作用する圧力と、定着ロール91から供給される熱とによって定着される。本実施の形態の定着装置90では、ほぼ定着ロール91の外周面に倣う凹形状のプレニップ部材94aにより定着ニップ部Nを広く構成することができるため、安定した定着性能を確保することができる。
なお、定着ニップ部Nの下流側近傍には、剥離ニップ部材94bによって定着ロール91から剥離された用紙Pを完全に定着ロール91から分離し、画像形成装置の排出部へ向かう排紙通路に誘導するための剥離補助部材75を配設することもできる。
ここで、本実施の形態の定着装置90においても、実施の形態1と同様に、定着ロール91には、長手方向における一方の端部に定着ロール91に対して駆動力を伝達する伝達ギヤが配設され、かかる伝達ギヤはハス歯ギヤで構成されている。そして、伝達ギヤは、画像形成装置本体側に配設された駆動モータ(不図示)からの駆動力を伝達する本体側伝達ギヤと連結され、駆動力を定着ロール91に伝えている。
加えて、定着ロール91と加圧ベルト92とは、定着ロール91が加圧ベルト92を幅方向に移動させようとする力を低減するか、または打ち消すように、加圧ベルト92は、定着ロール91に対して交差角θを持って交差して設定されている。それにより、定着ベルト61が端部側に押し付けられるのを抑制することが可能となる。その結果、加圧ベルト92の一方の端部とエッジガイド部材(不図示)との摩擦力が大きくなることが抑制されるので、加圧ベルト92の端部に亀裂や座屈等の破損が生じることを抑え、定着装置90が長期に亘って通常の定着動作を行うことが可能性となる。
また、定着ロール91に駆動力を伝達する伝達ギヤにおいてハス歯ギヤを使用することが可能となるので、定着装置90の駆動時における振動や騒音の発生を低く抑えることが可能となる。そのため、画像形成装置の静粛性を高めることができることから、オフィス等における使用環境を快適なものとすることも可能となる。
本発明の活用例として、電子写真方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置への適用、例えば記録紙(用紙)上に担持された未定着トナー像を定着する定着装置への適用がある。また、インクジェット方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置への適用、例えば記録紙(用紙)上に担持された未乾燥インク像を乾燥する定着装置への適用がある。さらには、ベルト部材がロール部材によって従動回転する構成を用いた装置全般に適用することができる。
本発明の画像形成装置を示した概略構成図である。 実施の形態1の定着装置の構成を示す概略正面図である。 定着ベルトの層構成を説明する図である。 加圧ロールと定着ベルトとの軸方向における位置関係を説明する図である。 パッド支持部材の構成を示す斜視図である。 定着ベルトがエッジガイド部材によって支持される構成を説明する図である。 伝達ギヤが受ける力を説明する図である。 定着ベルトに作用する力を説明する図である。 定着ベルトと加圧ロールとの交差角θと、定着ベルトがエッジガイド部材を押し付ける力(エッジフォース)との関係を示す図である。 実施の形態2の定着装置の構成を示す側断面図である。
符号の説明
1Y,1M,1C,1K…画像形成ユニット、11…感光体ドラム、12…帯電器、13…レーザ露光器、14…現像器、15…中間転写ベルト、16…一次転写ロール、17…ドラムクリーナ、20…二次転写部、40…制御部、60,90…定着装置、61…定着ベルト、62…加圧ロール、63…押圧パッド、64…パッド支持部材、65…電磁誘導加熱部材、65a…台座、65b…励磁コイル、65c…励磁回路、67…フェライト部材、70…赤外線センサ、75…剥離補助部材、91…定着ロール、92…加圧ベルト、93a…上流側ベルトガイド部材、93b…下流側ベルトガイド部材、94…圧力パッド、95…ホルダ、96…ハロゲンヒータ、99…温度センサ、100…伝達ギヤ、110…本体側伝達ギヤ

Claims (13)

  1. 回動可能なベルト部材と、当該ベルト部材に当接して配設され当該ベルト部材を従動回転させるロール部材と、ハス歯で構成されるとともに当該ロール部材の一方の端部に結合されたギア部材と、当該ベルト部材の幅方向への移動を規制する規制部材とを備える装置において、
    前記ベルト部材は、前記ギヤ部材から前記ロール部材に作用する回転軸方向の力の作用方向側の端部を記録材搬送方向上流側に傾けて、当該ロール部材と交差するように配置されたことを特徴とする装置。
  2. 前記ベルト部材は、当該ベルト部材の軸線と前記ロール部材の回転軸とが0.01〜0.05°の交差角を持って交差することを特徴とする請求項1記載の装置。
  3. 前記ロール部材は、回転軸方向中央部の外径が両端部よりも小さく形成されたことを特徴とする請求項1記載の装置。
  4. 前記ベルト部材と前記ロール部材とは、当該ベルト部材と当該ロール部材との間で形成されるニップ部にて、記録材に担持されたトナー像を定着することを特徴とする請求項1記載の装置。
  5. 回動可能なベルト部材と、当該ベルト部材を従動回転させるロール部材と、当該ベルト部材の端部にて当該ベルト部材の幅方向への移動を規制する規制部材とを備え、記録材上のトナー像を定着する定着装置であって、
    記ベルト部材は、前記ロール部材から受ける当該ベルト部材を軸線方向に移動させる力と反対方向の力を生成するような交差角をもって、当該ロール部材に当接することを特徴とする定着装置。
  6. 前記ロール部材は、一方の端部に回転駆動力を受けるハス歯ギヤが配設されたことを特徴とする請求項記載の定着装置。
  7. 前記ベルト部材は、前記交差角が0.01〜0.05°であることを特徴とする請求項記載の定着装置。
  8. 前記ベルト部材は、幅方向両端部だけが回動自在に支持されたことを特徴とする請求項記載の定着装置。
  9. 前記ベルト部材を加熱する加熱部材をさらに備えたことを特徴とする請求項記載の定着装置。
  10. 前記加熱部材は、前記ベルト部材を電磁誘導加熱することを特徴とする請求項記載の定着装置。
  11. トナー像を形成するトナー像形成手段と、
    前記トナー像形成手段によって形成されたトナー像を記録材上に転写する転写手段と、
    記録材上に転写されたトナー像を記録材に定着する定着手段とを含み、
    前記定着手段は、
    回動可能なベルト部材と、当該ベルト部材に当接して配設され当該ベルト部材を従動回転させるロール部材と、ハス歯で構成されるとともに当該ロール部材の一方の端部に結合されたギヤ部材と、当該ベルト部材の幅方向への移動を規制する規制部材とを備える画像形成装置において、
    前記ベルト部材は、前記ギヤ部材から前記ロール部材に作用する回転軸方向の力の作用方向側の端部を記録材搬送方向上流側に傾けて、当該ロール部材と交差するように配置されたことを特徴とする画像形成装置。
  12. 前記定着手段は、前記ベルト部材の軸線と前記ロール部材の回転軸とが0.01〜0.05°の交差角を持って交差することを特徴とする請求項11記載の画像形成装置。
  13. 前記定着手段は、前記ベルト部材を加熱する加熱部材をさらに備えたことを特徴とする請求項11記載の画像形成装置。
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