JP4599889B2 - 軸継手監視装置 - Google Patents
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Description
上記のような十字軸継手では、例えば下記特許文献1に記載されているように、その十字軸の4つの各軸にベアリングカップを設けるとともに、このカップと軸との間にころを転動自在に配置して当該軸の外周面を転動面に利用するものが提供されている。そして、この十字軸継手では、駆動軸の駆動モータ側及び圧延ローラ側にそれぞれ配置される駆動軸部及び従動軸部の各端部を、相異なる直線上の2つの上記ベアリングカップに接続することで当該継手は駆動軸内に組込まれて駆動モータの回転力を圧延ローラ側に伝達する。
ところが、圧延設備などでは、十字軸継手の十字軸は4つの上記ベアリングカップによって軸方向周りの部分が覆われるとともに、上記駆動軸部及び従動軸部の各端部が十字軸の中央部にほぼ密着するように繋がれて当該十字軸は外部にほとんど露出されることなく駆動軸内に組込まれている。このため、各軸に設けられた転動面での剥離などの損傷を検出するためのセンサを十字軸継手に取り付けることは困難であり、センサ検出結果による損傷検知を行うことも難しかった。それ故、圧延設備では、定期的に、駆動軸から十字軸継手を取外し、さらには軸とベアリングカップとを分離して十字軸継手を完全に分解することで、各軸での表面剥離の程度を目視確認することが要求されて、この定期点検作業に大変な労力と時間を要した。また、上記転動面に供給された使用済みのグリース内の鉄粉の含有量を測定することで、軸表面での損傷発生を類推することも行われているが、この方法では損傷検知を常時行うことができず、しかも、その類推結果による損傷発生の検知精度は低く、さらには軸単位の損傷検知を行うことは困難であった。
前記転動面に向けて超音波を発信し、かつ、その転動面で反射した超音波を受信可能な超音波センサを前記軸の内部に配置したことを特徴とするものである。
この構成により、送信波と反射波との干渉作用により、超音波センサに入力される転動面からの超音波の振幅を大きくすることができ、当該転動面に対する損傷検知精度を向上させることができる。
この場合、超音波センサがベアリングカップに固定されているので、そのカップが対応する軸に対して揺動したときに、当該センサもともに揺動して、その転動面上の超音波の発信先の箇所(センシング箇所)を移動させることができる。つまり、超音波センサは、上記カップの揺動に応じて、転動面を順次センシングすることができ、超音波の発信範囲を大きくすることなく必要な範囲に超音波を照射することができるとともに、当該転動面における損傷発生の箇所を特定することも可能となる。
この場合、超音波センサと転動面との間の超音波の伝播経路上に界面が生じるのを防ぐことができ、界面による屈折などの超音波の伝播経路が変更されるのを防止して、転動面の所望箇所に対する超音波センシングを確実に行わせることができる。
この場合、超音波センサを軸内部に配置するための穴や凹部等を当該軸に設けることなく、当該センサを設置することができる。
また、上記孔131bには、蓋14が着脱可能に取り付けられており、上記転がり接触部から当該孔131bを介して外部にグリースが漏れ出るのを防ぐようになっている。詳細にいえば、この蓋14には、例えば段差状に形成された孔131bの内周面と密接して当該孔131bを実質的に密閉する平底碗状の取付部14aと、その底部から軸12aの軸方向に延設されてその軸側の上記孔12bに挿入された丸棒状の支持部14bとを有している。
具体的には、図3に例示するように、超音波センサ151は、配置スペースとしての上記孔12bの内部において、超音波の発信部及び受信部が構成されたセンサ端部が孔12bの内壁面12b1に密接した状態で、軸12aの外周面からなる上記転動面12a1に向けて超音波の発信波Sを発信し、かつその転動面12a1からの超音波の反射波Rを受信可能に構成されている。また、この超音波センサ151は、ブラケット等の取付手段(図示せず)にて軸12a側に固定されたものであり、上記センサ端部と内壁面12b1との間に同図に点にて示すグリースを介在させることなく孔12b内部に配置されている。
詳細には、上記駆動軸10では、圧延ローラ側の従動軸部10cが上下方向に動くのを許容するため、従動軸部10c及び中間軸部10aはそれぞれ中間軸部10a及び駆動軸部10bに対して、所定の作動角(例えば、最大5deg)の範囲内で上下方向に揺動可能に対応する十字軸継手11を介して連結されている。それ故、例えば図4(a)に示すように、中間軸部10aが駆動軸部10bに対して最大作動角で上方向に傾いている場合には、例えば中間軸部10aに連結された各ベアリングカップ13は、同図(b)の二点鎖線にて示すように、その装着された軸12aに対し図の右端部が上方向に傾いた状態となっている。また、中間軸部10aが上記図4(a)に示す状態から最大作動角を維持した状態で90deg及び180deg回転すると、このカップ13も中間軸部10aの回転動作に応じて、同図(b)の実線及び点線にて示すように、軸12aに対して揺動する。すなわち、十字軸継手11では、当該継手11が駆動軸10とともに回転したときに、各ベアリングカップ13はその駆動軸10に設定された最大作動角の2倍の角度範囲(例えば、+5〜−5deg)で軸12aの中心Oに対して揺動(往復回動)するようになっている。
さらに、十字軸継手11から中間軸部10aに伝えられる回転力は、軸12aからこの軸先端部側に設けられたベアリングカップ13を介して中間軸部10aに伝えられることから、最大負荷範囲Aは転動面12a1の軸先端部側であり、超音波センサ151は、図2に示したように、上記最大負荷範囲Aに対応すべく孔12b内で転動面12a1(図3)の軸先端部側に対向配置されている。
また、図3(a)に示すように、転動面12a1に損傷(剥離H)が生じていない場合には、超音波センサ151の発信部が転動面12a1に向けて発射した発信波Sは、当該転動面12a1にて反射されて、その発信後から所定時間を経過した後に反射波Rとしてセンサ151の受信部で受信される。そして、超音波センサ151は、受信した反射波Rに応じた検出信号(電圧信号)を後述のセンサ回路に出力する。
また、他の3箇所の軸12aについても同様に、蓋14(図示せず)、超音波センサ152、153、及び154にそれぞれ接続された子機2、3、及び4が設けられており、合計4個の子機1〜4からそれぞれ検出信号(結果)データを発信することができる。
上記ワイヤレス基板32には、例えばDSPを用いて構成された送受信回路32aと、この送受信回路32aや上記センサ回路31aなどで使用されるプログラム等のデータを保持するメモリ32bとを備えており、当該ワイヤレス基板32が超音波センサ151の検出信号データを無線送信するデータ送信部を構成している。上記送受信回路32aには、所定周波数の発信波(搬送波)を発振する発振機能、この搬送波に検出信号データを乗せるための変調機能が付与されている。また、送受信回路32aは、後述の親機5(図7)からの発信波を受信して、その受信した発信波を復調してその発信波に含まれた同親機5からの指示信号を抽出する復調機能を有しており、前記指示信号によって子機1の各部はその駆動制御が行われるようになっている。また、送受信回路32aには、バッテリー電源33の上方で蓋14の開口端付近に配置されるアンテナ34が接続されており、このアンテナ34が上記検出信号データのシリアルデータ列を含んだ送信波を外部に発信する。尚、この説明以外に、アンテナ34をベアリングカップ13の外表面に沿わせて配置する構成でもよい。
また、上記子機1〜4及び超音波センサ151〜154は、上記軸継手監視装置Tに含まれたものであり、各子機1〜4にはそれぞれ識別子としての連続した整数のID番号0,1,2,3が割り当てられており、各子機1〜4の上記送受信回路32aでは、センサ検出結果の送信を行うときに例えばヘッダー部に割り当てられたID番号を含めて、送信波を発信するように構成されている。そして、軸継手監視装置T内で各子機1〜4と超音波センサ151〜154とを特定可能になっている。
また、PC 8には、パネルコンピュータ7が有する上記のコンピュータ機能に加えて、入力した検出データやそれに基づく損傷の診断結果などのデータを保存したり、他の情報処理端末21に上記の保存データを提供するWebサーバとして働いたりするようなサーバ機能が付与されている。
また、本実施形態では、各超音波センサ151〜154は、孔12bの内壁面12b1に密接した状態で、転動面12a1に向けて超音波を発信しているので、これらセンサ151〜154と各転動面12a1との間の超音波の伝播経路上に界面が生じるのを防ぐことができる。従って、界面による屈折などの超音波の伝播経路が変更されるのを防止して、転動面12a1の所望箇所に対する超音波センシングを確実に行わせることができる。
図8において、本実施形態では、各軸12aの内部に設けられたセンサ、例えば超音波センサ151は、上記蓋14の支持部14b(図2)に取り付けられた固定部材14dにより、当該蓋14を介してベアリングカップ13に固定された状態で、孔12bの内部に配置されている。また、本実施形態の超音波センサ151は、孔12bの内壁面12b1から離間した状態で、その発信部から超音波の発信波Sを転動面12a1に向けて発信し、かつその受信部にて転動面12a1からの反射波Rを受信するようになっている。また、このように、超音波センサ151は内壁面12b1に対し離間配置されて、軸12aと密度が異なるグリースを介在させているので、当該超音波センサ151では、密度が異なる物質同士の界面を通過するので発信波Sが表面波となって転動面12a1に伝播されない可能性のある横波超音波よりも、表面波とならない縦波超音波を発信する方が好ましい。また、超音波センサ151の内壁面12b1に対する離間距離を小さくしてセンサ151を内壁面12b1に近接配置する方が好ましい。
さらに、上記パネルコンピュータ7やPC 8において、十字軸継手11(駆動軸10)の回転数を検知することにより、転動面12a1における損傷の発生箇所を特定することも可能となる。具体的には、ベアリングカップ13は、軸12aの中心Oに対して順次揺動すると、超音波センサ151はベアリングカップ13に固定されているので、このセンサ151の発信波Sに対する軸12aの相対的な動作は図9(a)〜(d)になる。また、剥離Hも図9(a)に示す状態から図9(b)に示す状態、及び同(b)に示す状態から図9(c)に示す状態に相対的に移動し、上記最大負荷範囲A内で揺動する間に2回、センサ15は反射波Rを受信できなかったり、正常な最大ピーク値P(図5(c))よりも著しく小さくなった反射波Rを受信したりする。そこで、例えばパネルコンピュータ7は、図示しない位置センサから十字軸継手11(または駆動軸10)の回転絶対角情報を取得し、転動面12a1での損傷発生位置を特定するよう構成されている。つまり、ベアリングカップ13の揺動動作と十字軸継手11の回転動作とは、互いに相関関係を有しており、パネルコンピュータ7はその相関関係に基づき予め入力設定されたテーブルなどを参照することで、取得した十字軸継手11の回転絶対角情報からベアリングカップ13の揺動状態(揺動角度・位置)を判別することができる。そして、パネルコンピュータ7は、上記揺動状態の情報と超音波センサ151の検出結果とを用いて、転動面12a1上での剥離位置を特定できる。
また、上記の説明では、超音波センサの検出結果を外部に送信する子機を設けた構成について説明したが、子機の代わりに、同センサの検出結果を記憶するメモリを設置して、このメモリで保持した検出結果を基に損傷監視を行う構成でもよい。但し、上記のように、子機がセンサ検出結果を逐次送信する場合の方が、転動面の損傷検知をよりリアルタイムに行うことができる点で好ましい。
また、上記の説明では、パネルコンピュータまたはPCにおいて、超音波センサの検出結果に基づく損傷有無やその進行度合いの判別処理を行わせる構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば上記センサ回路に設けたDSP等のデータ処理部において上記の判別処理を実行させてもよい。
12 十字軸
12a 軸
12a1 転動面
12b (グリース通路用の)孔(配置スペース)
12b1 内壁面
13 ベアリングカップ
151〜154 超音波センサ
T 軸継手監視装置
Claims (4)
- 十字軸の4つの各軸の外周面を転動体が転動する転動面として用いた十字軸継手を監視する軸継手監視装置であって、
前記転動面に向けて超音波を発信し、かつ、その転動面で反射した超音波を受信可能な超音波センサが前記軸の内部に配置され、
前記超音波センサは、当該超音波センサが受信する前記転動面からの超音波の反射波が増幅されるように、その超音波の発信波の位相を、前記転動面に損傷が生じていないときにその転動面から反射される超音波の反射波の位相に合わせて、当該発信波を前記転動面に向けて発信することを特徴とする軸継手監視装置。 - 前記4つの各軸には、ベアリングカップが揺動可能に装着されるとともに、
前記超音波センサは、前記ベアリングカップ側に固定された状態で、前記軸の内部に設けられた配置スペースに配置されていることを特徴とする請求項1に記載の軸継手監視装置。 - 前記超音波センサは、前記配置スペースの壁面に密接した状態で、前記転動面に向けて超音波を発信することを特徴とする請求項2に記載の軸継手監視装置。
- 前記超音波センサは、前記軸に形成されたグリース通路用の孔の内部に配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の軸継手監視装置。
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