JP4599742B2 - 嵩高パルプを製造する方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は印刷用紙、情報記録用紙、特殊紙等の種々の紙製品に使用される嵩高パルプを製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
紙製品は、その使用目的に応じて、様々な物性が要求される。例えば、機械的強度、寸法安定性、地合等である。近年これらの物性の中で、特に重要性を増してきたものに嵩高性があげられる。嵩高い紙は、その感触が良好な為、種々の嵩高紙の製造方法が検討されている。
【0003】
例えば、特開平1-118625号公報ではパルプと炭素繊維製造用有機繊維及び有機高分子物質のエマルジョンの特定割合からなる抄紙シートを加熱処理後、加熱炭化させることにより、嵩高な炭素板を得ている。
【0004】
同様に、特開平3-174089号公報ではガラスウール等の鉱物繊維をセルロース繊維に混合することにより嵩高で剛性のあるパルプを得ている。特開平3-269199号公報においては、パルプと特定のポリエステル複合繊維と熱融着性バインダー繊維を高速撹拌ミキサーで混合分散後積層し、熱処理することにより、崇高なパルプシートを製造している。
【0005】
また、填料を改良した例としては、特開平3-124895号公報において粒子径0.5μm〜30μmの範囲にある中空球状バテライト型炭酸カルシウムを填料として紙中に3%以上含有させることにより、嵩高な中性紙の製造を行っている。
【0006】
しかしながら、上記の方法は、パルプに対して他の繊維、高分子物質あるいは填料等を添加することにより、紙を嵩高化するものであり、嵩高性が得られるのは、添加物によるものであり、セルロース繊維そのものが改質されるものではない。また、添加された他の繊維や高分子物質等により、紙の性質が大きく左右されることになる。
【0007】
さらに、弾性ロールを用いてカレンダー仕上げをする、”ソフトカレンダー”処理も試みられている。特開平4-370293号公報ではグラビア用紙のカレンダー処理直線に、低圧で軽度の加熱蒸気(蒸気圧1kg/cm2以下、蒸気流量15〜18kg/Hr/m幅、紙の水分増加率0.3〜1.2%の蒸気)を付与して紙面を加湿、加熱後、カレンダーロール温度100〜150℃でソフトカレンダー処理をすることにより、目的の嵩高紙を得ている。ソフトカレンダー法では、カレンダー処理における“紙の押しつぶし方”を柔らかくする方法であり、セルロース繊維そのものが従来法に比べて嵩高な性質に改質されるものではない。また、紙の製造工程の中でロールは比較的高いので、その初期投資額は大きくなる。
【0008】
さらに繊維そのものを嵩高にする方法として、特開平7-54293号公報ではセルラーゼ、ヘミセルラーゼ等の多糖類分解酵素あるいはそれらを生産する微生物でパルプを処理することにより、パルプそのものを嵩高な性質に改質し、嵩高紙を得る方法が開示されている。しかしながら、この方法では酵素が高価であること、本質的に多糖類を分解する酵素であるためその制御が難しく、過剰に反応を行えば繊維そのものが分解され強度が低下してしまう。また、特開平7-189168号公報、特開平8-291494号公報にはパルプを水酸化ナトリウムで処理することによりパルプを嵩高する方法が記載されているが、この方法では強度の低下が大きい。
【0009】
また、繊維そのものを嵩高にする別の方法として、特開平8-13381号公報では製紙用パルプ及び/または脱墨処理などを行って回収された古紙からなる原料を解繊することにより、繊維を嵩高にしソフトな感触を有する紙の製造方法が開示されている。しかし、この発明の主目的はソフトな感触を有し、吸水性、吸油性に優れた紙を提供することであり、パルプ繊維に撚れを起こさせて嵩高化するものであり、寸法安定性が悪化してしまう。また、吸水剤や給油剤を添加することや水溶性高分子フィルムを積層することが行われている。さらに、その対象材料として、ミルクカートン古紙といった元々嵩高である材料が用いられている。また、この方法では乾燥したシート状のパルプを再度離解するために、その処理時間がかかるとともに、パルプスラリーが流れていく通常のファイバーラインに応用することは難しかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明では、上記現状を鑑み、通常の製紙用パルプを現状のファイバーラインの中で簡単にしかも短い時間の処理で嵩高化することが可能で、かつ初期投資も少なくてすむような方法で原料であるパルプそのものを嵩高化することにより、製品である紙の嵩高性を改良することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、パルプを酸性条件下で撹拌処理することにより嵩高パルプを製造できることを見い出した。即ち、酸性下でパルプにせん断応力を与えるように撹拌処理することによりパルプそのものを嵩高化し、この方法により改質された嵩高パルプを用いて紙を製造することにより、嵩高性の良好な紙を得ることが可能となった。
【0012】
【発明の実施の形態】
パルプを酸性条件下で撹拌処理することによって、パルプ繊維が嵩高化される機構については明白ではない。繊維の分析においては繊維長は特に変化なく、カールやキンクといった繊維の屈曲性にも特に大きな変化は認められないので、繊維全体の形態が変化を起こしているのではない。従って、本発明で製造された嵩高パルプは寸法安定性に影響を与えない。酸性条件下ではパルプ繊維は剛直な状態であるので、強烈なせん断応力をかけることにより繊維表面が改質されるのではないかと考えられる。すなわち、せん断応力が繊維表面に選択的に作用することにより、繊維表面に一部傷が入り、繊維表面が毛羽だった様な形状になるのではないかと推測される。
【0013】
本発明で対象とするパルプの種類としては、未晒しクラフトパルプ、酸素脱リグニン後クラフトパルプ、半晒クラフトパルプ、全晒クラフトパルプ、サルファイトパルプ、グラウンドパルプ、脱墨パルプ、サーモメカニカルパルプ、非木材パルプ等である。
【0014】
処理するパルプ濃度としてはパルプを流動化でき、パルプ繊維に対してせん断応力を与えられる範囲であれば特に限定されないが、0.5重量%〜50重量%が好ましく、特に6重量%〜14重量%が好ましい。パルプ濃度が50重量%より高くなるとパルプを撹拌することができなくなり、0.5重量%より低くなるとパルプ繊維にせん断応力がかからないためパルプが嵩高化されない。
【0015】
また、処理pHはセルロース繊維が膨潤せずに剛直なままである酸性でれば良く、pH1〜6が好ましく、特にpH2〜4が好ましい。pHが6より高いと、繊維が膨潤し柔軟になるため良好な結果は得られない。pHが1より低いと、pHを低下させるための酸の量が多くなり、その分コストが上昇することになる。pHを酸性にするための酸としては、鉱酸、有機酸のいずれでも使用することができる。
【0016】
処理温度としては0〜70℃が好ましく、30〜70℃が特に好ましい。温度を70℃より高くすると加温するためのコストがかかり、逆に低すぎると冷却するためのコストがかかることになる。
【0017】
パルプを流動化しせん断応力をかけるためには、撹拌機のローターの回転数が1000rpm〜3000rpmであることが望ましい。ローターの回転数が100rpm未満であればパルプに十分なせん断応力がかからない。ローターの回転数が10000rpmを越えても嵩高の効果は頭打ちになる上、コストが高くなる。また、パルプを撹拌する装置としては、パルプの漂白に使われるケミカルミキサーとして中濃度ミキサーや低濃度ミキサー、古紙の離解に用いられる高濃度パルパー、古紙の脱墨に用いられるニーダーやディスパーザー等が挙げられる。
【0018】
本発明の嵩高パルプは、印刷用紙、情報用紙、コート紙他全ての紙に使用される。
【0019】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0020】
[実施例1]
広葉樹の酸素脱リグニン後クラフトパルプ(日本製紙株式会社製)を中濃度ミキサー(CRS社製)で、パルプ濃度10重量%、pH3.0、温度50℃、3000rpmの条件で10秒間撹拌処理を行った。得られたパルプを洗浄液のpHが中性になるまで水で洗浄した後、JIS P 8221-2に従いPFIミルで叩解し、フリーネスの異なるパルプを調製した。次に、得られたパルプから丸型シートマシンを用い、JIS P 8209に従い、秤量60g/m2の手抄き紙を調製した。また、叩解後のフリーネスをJIS P 8121に従い測定した。得られた手抄シートの厚さをJIS P 8118、坪量をISO 536-1976に従いそれぞれ測定し、密度を算出し、結果を図1に示した。
【0021】
[比較例1]
実施例1で使用したパルプを酸性下で撹拌処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、手抄き紙を調製し、結果を図1に示した。
【0022】
【図1】
Figure 0004599742
【0023】
[実施例2]
パルプとして広葉樹の全晒クラフトパルプ(日本製紙株式会社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして、手抄き紙を調製し、結果を図2に示した。
【0024】
[比較例2]
実施例2で使用したパルプを酸性下で撹拌処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、手抄き紙を調製し、結果を図2に示した。
【0025】
【図2】
Figure 0004599742
【0026】
[実施例3]
広葉樹の酸素脱リグニン後クラフトパルプ(日本製紙株式会社製)をAMGミキサー2台(アールストローム社製)で、パルプ濃度12重量%、pH3.0、温度60℃、1800rpmの条件で3秒間撹拌処理を行った。次に、このパルプを引き続き二酸化塩素、酸素と過酸化水素を添加したアルカリ抽出段、二酸化塩素で順次漂白し全晒パルプを調製した。得られたパルプを実施例1と同様に手抄紙を調製し、結果を図3に示した。
【0027】
[比較例3]
パルプを酸性下で撹拌処理を行わなかった以外は、実施例3と同様にして、手抄き紙を調製し、結果を図3に示した。
【0028】
【図3】
Figure 0004599742
図1〜図3に示したように、パルプを酸性下で撹拌処理することにより、同一ろ水度で比較した時、嵩高な紙が得られるのは明白である。

Claims (1)

  1. パルプをpH2〜4、パルプ濃度が6〜14重量%、温度が30〜70℃、撹拌機のローターの回転数が1000rpm〜3000rpmの条件で撹拌処理することにより嵩高パルプを製造する方法。
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