JP4595213B2 - 積層体 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、樹脂積層体に関する。詳しくは、ポリオレフィン樹脂層と極性樹脂層との接着性良好な積層体に関する。ポリオレフィンとの接着性に難のあった極性樹脂との接着性が良好で、高温での使用や、耐ガソリン性などについて優れた性能を有する積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリオレフィン樹脂は成形性、耐溶剤性、コスト、軽量化、安全性など様々な長所を持つ汎用樹脂である。このポリオレフィン樹脂の長所を生かしながら、ガスバリア性や、オイルバリア性などを付与する最も一般的な方法として、これらの性能を有する極性樹脂、例えば、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エチレンー酢酸ビニル共重合体などと積層する方法が知られている。これらの積層体は種々の成形方法で成形され、種々の用途に利用されている。特にポリエステル系樹脂はポリアミド等に比べて吸水率が低くまた、水蒸気透過性が優れることからガソリンタンクのバリア層などに有用である。
【0003】
非極性のポリオレフィン樹脂と極性樹脂とは親和性に乏しく、単なる熱融着では界面に剥離が生じるため接着剤層を必要とする。かかる接着剤層としては、ポリオレフィンにカルボン酸や、無水酸、エポキシ基などの極性官能基を持つ不飽和単量体をラジカルグラフトした変性ポリオレフィン、またはかかる極性官能基を持つ不飽和単量体とオレフィンとの共重合体などが使用されている。
極性樹脂の中でもポリアミド樹脂などは無水酸変性ポリオレフィン樹脂との反応性が高く、ある程度必要とされる接着力が得られている。しかし、接着に要する時間が長いことから、界面応力の緩和のために低弾性率の材料を使用したり、配合したりするなどの制限を受ける場合があった。ところが柔らかい低弾性率の材料を使用したり配合したりすると、ガソリンやオイルに接触するような用途の場合、樹脂が膨潤して材料が破壊するといった別の問題が発生する。
ポリエステル系樹脂については、無水酸変性ポリオレフィンとエステル基などの水素結合を利用する方法や、エポキシ基変性ポリオレフィンとポリエステル末端のカルボキシル基を利用する方法が知られているが、十分な接着力を得ることは難しい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、極性樹脂層(A)とポリオレフィン樹脂層(B)とを接着剤層(C)を用いて接着するに際し、変性ポリオレフィンと極性樹脂との反応を早め、接着時間を短縮するだけでなく作用そのものを強化することによって、接着しにくい極性樹脂とも十分な接着力を有する積層体を提供すること、さらに、接着剤層の弾性率や結晶化度、融点などの設計領域を広げ高温使用や、オイル、ガソリンなどとの接触用途においても問題なく使用できる積層体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、極性樹脂に4級ホスホニウム塩または4級アンモニウム塩を配合することによって、変性ポリオレフィン樹脂と極性樹脂の相互作用が向上することを見いだし、本発明を完成した。すなわち、本発明は、極性樹脂層(A)とポリオレフィン樹脂層(B)とを接着剤層(C)を介して接着してなる積層体であって、極性樹脂層(A)には4級ホスホニウム塩または4級アンモニウム塩(D)が配合され、かつ接着剤層(C)がカルボキシル基またはエポキシ基で変性した変性ポリオレフィン樹脂を含有することを特徴とする積層体に存する。
【0006】
以下に、本発明を詳細に説明する。
(A)極性樹脂層
本発明に使用される極性樹脂としては特に限定されるものではなく、一般的に用いられる樹脂を目的、用途、性能などによって任意に選択することが出来る。
具体的に良く用いられる樹脂としては、バリア材などに用いられるポリアミド樹脂、エチレンービニルアルコール共重合体、飽和ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂などがあげられるがこの限りでは無い。
ポリアミド樹脂としては、ナイロン4、ナイロン4,6、ナイロン6、ナイロン7、ナイロン8、ナイロン11、ナイロン12,ナイロン6,6、ナイロン6,9、ナイロン6,10、ナイロン6,11、ナイロン6,12、ナイロン6,Tなどのほか、MXDナイロン(ジアミン成分としてメタキシリレンジアミンを、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸などを使用したもの)のような芳香族ポリアミド樹脂も好適に用いられる。
【0007】
飽和ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリアリレートなど芳香族ポリエステルが好適に用いられる。またポリ乳酸、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンセバケートのような、脂肪族ポリエステルも使用できるほか、上記芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエステルの共重合体も使用できる。また、これらポリエステルユニットのほかにポリエーテルユニットを含む共重合体も本発明に使用できる。
【0008】
(B)ポリオレフィン樹脂層
本発明に用いられるポリオレフィン層は特に限定されるものではなく、接着剤層(C)との相溶性、積層体としての目的、用途、物性などの様々の因子から自由に選定することが出来る。例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンープロピレン共重合体、エチレン-αオレフィン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体ゴム(EPM)、エチレン−ブテン共重合体ゴム(EBM)、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体が挙げられる。並びに、それらに第3成分として、例えば、5−エチリデンノルボルネン、5−メチルノルボルネン、5−ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−ペンタジエンなどの非共役ジエンを用いたエチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴム(EPDM)やエチレン−プロピレン−ブテン3元共重合体ゴムなども好適に用いられる。これらは単一または数種類の複合して使用することができる。
【0009】
この中でも、100℃に近い高温での使用や、ガソリンやオイルなど、ポリオレフィンを膨潤させるような物質に直接接触するような場合には、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレンなど融点や結晶性が高いポリオレフィンを使用することが望ましい。曲げ弾性率で表現すると、通常200〜1300MPa、好ましくは300〜1000MPaのポリオレフィン樹脂が用いられる。
【0010】
(C)接着剤層
本発明に使用される接着剤層は、カルボキシル基またはエポキシ基で変性した変性ポリオレフィン樹脂を含有することが特徴である。かかる変性ポリオレフィン樹脂は、ポリオレフィン樹脂に、不飽和カルボン酸またはその誘導体、またはエポキシ基と重合性不飽和結合を含む不飽和化合物をラジカルグラフトすることによって製造することができる。
【0011】
不飽和カルボン酸またはその誘導体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ナジック酸(エンドシスービシクロ(2,2,1)ヘプトー5−エン-2,3-ジカルボン酸)などの不飽和カルボン酸;またはそれらの誘導体、例えば、酸ハライド、アミド、イミド、無水物、エステルなどがあげられる。これらの具体例としては、塩化マレニル、マレイミド、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチルなどがあげられる。これらの中では、グラフト特性及び、得られた変性ポリオレフィン樹脂の反応性を考慮すると不飽和カルボン酸またはその無水物が好適であり、特にマレイン酸、無水マレイン酸は好ましく用いられる。
【0012】
エポキシ基を含む不飽和化合物としては、1分子の中に重合可能な不飽和結合とエポキシ基とを少なくとも1個以上有する化合物である。具体的には、グリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレート、マレイン酸のモノ及びジグリシジルエーテル、フマル酸のモノ及びジグリシジルエーテル、クロトン酸のモノ及びジグリシジルエーテル、テトラヒドロフタル酸のモノ及びジグリシジルエーテル、イタコン酸のモノ及びジグリシジルエーテル、シトラコン酸のモノ及びジグリシジルエーテル、p-スチレンカルボン酸のアルキルグリシジルエステル、アリルグリシジルエーテル、2-メチルアリルグリシジルエーテル、スチレン-p-グリシジルエーテル、3,4-エポキシ-1-ブテン、3,4-エポキシ-3-メチル-1-ブテン、3,4-エポキシ-1-ペンテン、3,4-エポキシ-3-メチル-1-ペンテン、5,6-エポキシ-1-ヘキセン、ビニルシクロヘキセンモノオキシドのほか、脂環型エポキシ基を持つ不飽和カルボン酸エステル類(ダイセル化学社製 サイクロマーなど)、グリシジル基を有するアクリルアミド化合物(鐘淵化学社製 カネカAXE)などがあげられる。
【0013】
変性ポリオレフィン樹脂の製造原料に使用されるポリオレフィンとしては、上記ポリオレフィン樹脂層(B)に記載のポリオレフィンがすべて好適に使用される。使用目的によって、(B)と同様に結晶性や融点を考慮して単一、または複数複合して使用することが出来る。
変性ポリオレフィン樹脂の製造方法としては、ポリオレフィンと上記不飽和化合物とを、ラジカル開始剤が分解する温度以上に加熱するラジカルグラフト法が好適に用いられる。
【0014】
ラジカル開始剤としては、t−ブチルヒドロパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、2、5ージメチルヘキサンー2、5ージヒドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ベンゾイルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、1、3ービス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジブチルパーオキシド、メチルエチルケトンパーオキシドなどの有機過酸化物、過酸化カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素などの無機過酸化物、2、2ーアゾビスイソブチロニトリル、2、2ーアゾビス(イソブチルアミド)ジハライド、2、2ーアゾビス[2ーメチルーN−(2ーヒドロキシエチルプロピオンアミド]、アゾジーt−ブタンなどのアゾ化合物、ジクミルなどの炭素ラジカル発生剤なども用いることができる。これらのラジカル開始剤は、変性剤(グラフト用不飽和化合物)の種類や反応条件との関連において適宜選択でき、2種以上を併用することもできる。またラジカル開始剤は、アセトン、キシレンなどの有機溶剤に溶解して用いることもできる。
【0015】
ラジカルグラフト法は一般的な方法によって行うことが出来る。すなわち、溶融混練による方法、溶液による方法、懸濁法などが挙げられる。この中では、溶融混練法が経済的に優れ、溶液法が品質的に優れる。二つの方法に対する好ましい条件を以下に示すがこの限りではない。
溶融混練法に用いる好ましい装置は、押出機または撹拌機、具体的にはラボプラストミルや一軸または二軸混練機、横型二軸多円板装置または横型二軸表面更新機のような横型二軸撹拌機、あるいはダブルヘリカルリボン撹拌機のような縦型撹拌機等があげられる。
【0016】
混練温度は、ポリオレフィン樹脂が溶融状態になる温度であれば任意の温度で実施可能であるが、劣化防止などのため150〜250℃が望ましい。反応中、または反応後、未グラフト物を除去するために、また劣化防止のために反応系を減圧にすることが望ましい。変性剤とラジカル開始剤の添加方法としては、ポリオレフィン樹脂とドライブレンドして一括混練する方法、変性剤またはラジカル開始剤のいずれか一方とポリオレフィン樹脂をドライブレンドし、混練を行っている途中に他方を添加する方法、溶融状態の樹脂に変性剤とラジカル開始剤を添加する方法などがあげられる。反応効率の向上及び混練時の粘度調節等のためにキシレンなどの有機溶剤を少量添加することもできる。
【0017】
溶液法における溶媒は、ポリオレフィン樹脂が溶解するものであれば特に制限はないが、グラフト反応時に用いるラジカル開始剤の溶解性や半減期温度などを考慮すると、キシレンやクロロベンゼンなどの芳香族系で沸点が100℃以上であるものが望ましい。反応温度、及び反応時間は、ラジカル開始剤の半減期によって異なる。例えば、80〜120℃で2〜8時間程度が好ましい。反応終了後は、ポリオレフィン樹脂が溶解せず、かつ、溶媒と分離しない溶剤と反応溶液を加えてポリマーを再沈させて変性ポリオレフィン樹脂を得ることができる。
グラフト変性時の配合は、その変性方法により好適値が異なる。代表的な変性方法における望ましい配合を以下に示す。
【0018】
不飽和カルボン酸またはその誘導体の配合として、溶融混練法ではポリオレフィン樹脂100重量部に対して、0.005〜20重量部、好ましくは0.05〜10重量部の範囲である。溶液法では、ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、0.1〜100重量部、好ましくは、3〜50重量部の範囲である。
好適な範囲未満の添加では充分なグラフト量が得られず、好適な範囲を超えて添加してもグラフト量の向上は少なく、溶融混練法においては未グラフト成分が多くなり悪影響を及ぼすことがある。
ラジカル開始剤の添加量は、ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、通常0.001〜30重量部使用される。少なすぎては、充分なグラフト量が得られず、多すぎると、分子架橋または分子切断など、グラフト反応と競争する副反応が多くなるので好ましくない。
【0019】
変性剤は不飽和カルボン酸またはその誘導体の中から2種類以上併用したり、エポキシ基を有する不飽和化合物の中から2種類以上併用することが出来るが、不飽和カルボン酸またはその誘導体とエポキシ基含有不飽和化合物との併用は避けるべきである。グラフト反応に優先して、カルボキシル基とエポキシ基の反応が起こるからである。しかし、OH基,NH2基などの官能基を有しない他の変性剤を併用することは、不飽和カルボン酸またはその誘導体、エポキシ基含有不飽和化合物それぞれについて可能である。かかる変性剤としては、ブチルアクリレートなどのようなα,β-不飽和カルボン酸のアルキルエステル化合物やスチレンのような芳香族ビニル系化合物があげられる。
【0020】
本発明の接着剤層(C)には、上記した変性ポリオレフィン樹脂のほかに、先に挙げたポリオレフィン系樹脂、スチレン系エラストマーなどの樹脂を配合することが出来る。変性ポリオレフィンとその他の樹脂(未変性樹脂)の配合比率は十分な接着力を保つために、変性ポリオレフィンの配合量が10重量%以上、好ましくは20重量%以上であることが望ましい。配合量は、被着層の極性や、収縮度など、さらに接着剤層の密度や弾性率、結晶性、成形性、透明性など使用目的に合わせ、任意に配合することが出来る。積層体をガソリン、油脂類に接触するような用途に使用する場合は、接着剤に配合する材料として、これらに膨潤しない耐油性のあるものを選択することが好ましい。尚、ここでも、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂とエポキシ変性ポリオレフィン樹脂との併用は出来ない。
【0021】
(D)4級ホスホニウム塩または4級アンモニウム塩
本発明における極性樹脂層(A)には、4級ホスホニウム塩または4級アンモニウム塩が配合される。
4級ホスホニウム塩としては、テトラメチルホスホニウムブロマイド、テトラエチルホスホニウムブロマイド、トリメチルベンジルホスホニウムブロマイド、トリエチルベンジルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラメチルホスホニウムクロライド、テトラエチルホスホニウムクロライド、トリメチルベンジルホスホニウムクロライドなどがあげられる。
【0022】
4級アンモニウム塩としては、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムブロマイド、トリエチルベンジルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラステアリルアンモニウムクロライドテトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等があげられる。
【0023】
これらのうち、4級ホスホニウム塩が耐熱性等から好適に用いられ、その中でも不飽和カルボン酸変性ポリオレフィンを接着剤層に配合する場合には、塩基性が低い例えばテトラフェニルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレートなどが好ましく用いられる。 エポキシ基変性ポリオレフィンを接着剤層に配合する場合には塩基性が高い例えばテトラブチルホスホニウムブロマイドなどが好適に用いられる。
配合量は、極性樹脂層(A)100重量部に対して通常0.001〜3.0重量部、好ましくは0.01〜2.0重量部である。上記範囲より少なくては充分な接着性を上げることができず、多すぎても添加効果は飽和し積層体の機械的物性の低下を招くので好ましくない。
【0024】
(E)付加的成分
本発明における極性樹脂層(A)、ポリオレフィン樹脂層(B)、及び接着剤層(C)の各層には、必要に応じて任意の付加的成分を配合することができる。具体的には、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、架橋剤、架橋助剤、着色剤、難燃剤、分散剤、帯電防止剤等の各種添加物を添加することができる。これらの中でも特に酸化防止剤を添加することが好ましく、フェノール系、ホスファイト系、チオエーテル系等の各種酸化防止剤を使用することができる。
【0025】
[成形法]
本発明の積層体を得るための方法は、特に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂について一般的な成形法、すなわち、押出成形、中空成形、圧縮成形並びにインフレーション,Tダイのようなフィルム成形、2色射出成形など各種の成形法が適応できる。また、おのおの別に成形したフィルム、シート、成形体を熱プレス法、ラミネーション法、熱板融着法などの一般的手法によって、接着させて目的の積層体や、成形体を得ることも可能である。積層体の層構成は接着剤層を含めて通常3層であるが、必要に応じて、保護層、装飾材層、着色層などを付加的に設けることができる。これらの成形及び接着行程における温度等の条件については、特に規定するものではないが、極性樹脂層(A)、接着剤層(B)、ポリオレフィン樹脂層(C)が溶融する温度であることが望ましく、通常200〜300℃の範囲で行われる。積層成形体の一例として、中空成形などにより成形したポリオレフィン製の容器・タンク類本体に、別途成形したポリエステル製の注入口部材や抜出口部材を接合するような場合も、本発明は好適に利用できる。この場合、容器・タンク類の孔部にフランジ付きのパイプなどが接合した構造となるが、当該接合部位が極性樹脂層(A)とポリオレフィン樹脂層(C)との積層構造となる。
【0026】
各層の厚さは積層体の用途により適宜に選択される。極性樹脂層(A)とポリオレフィン樹脂層(B)の厚さは、通常0.03〜10mm、好ましくは0.05〜5mm、接着剤層(C)は10〜2000μm、好ましくは50〜1000μmの範囲で用いられる。例えば、ガソリンタンク用では、極性樹脂層(A)として厚さ0.5mmのポリブチレンテレフタレート層、ポリオレフィン樹脂層(C)として厚さ1mmの結晶性高密度ポリエチレン樹脂層などが使用できる。
【0027】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0028】
[実施例1〜7]
<接着剤層用変性ポリオレフィンの製造>
線状低密度ポリエチレン(日本ポリケム社製、密度0.926g/cm3、MFR2。以下、以下、LLD1と略記)2kgと、無水マレイン酸(和光純薬社製。以下、MAHと略記)20g、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン(日本油脂社製、商品名パーヘキサ25B。以下、PH25Bと略記)1gをアセトン20gに溶解させた溶液をドライブレンドした。その後、二軸混練機(日本製鋼所製、TEX-30)を用いて樹脂温度230℃、スクリュー回転数250rpm、吐出量10kgにて押し出し、変性ポリエチレン-1(以下、変性PE1と略記)を得た。
上記同様のLLD−1を2kgと、グリシジルメタアクリレート(和光純薬社製、以下GMAと略記)100g、スチレンモノマー(和光純薬社製、以下SMと略記)100g、1,1-ジ-t-ブチルパーオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(日本油脂社製、商品名パーヘキサ3M。以下PH3Mと略記)6gをドライブレンドし、二軸混練機を用い、樹脂温度170℃、スクリュー回転数250rpm、吐出量10kgにて押し出し変性ポリエチレン-2(以下、変性PE2と略記)を得た。
得られた変性PE1、変性PE2をキシレンに溶解、アセトンに再沈させて生成し、無水マレイン酸及びGMAのグラフト量を測定したところ0.75重量%及び1.8重量%であった。
【0029】
<接着剤の製造>
上記で製造した変性PE1または変性PE2に、線状低密度ポリエチレン(日本ポリケム社製、密度0.920g/cm3、MFR2.1。以下、LLD2と略記)、高密度ポリエチレン(日本ポリケム社製、密度0.942g/cm3 、MFR2。以下HDPEと略記。)、またはエチレン・ヘキセン共重合体(日本ポリケム社製、密度0.885g/cm3、MFR8。以下、C2-C6と略記)、を表-1に示す配合でラボプラストミル(東洋精機社製)にて200℃、100rpm、2分間溶融混練し、接着剤1〜接着剤6を製造した。接着剤の弾性率と密度の測定結果と共に表1に示した。
【0030】
<極性樹脂層(A)用組成物の製造>
ポリブチレンテレフタレート(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名ノバドゥール5505S、ポリエーテル結合含有量10重量%。以下、5505Sと略記)にテトラブチルホスホニウムブロマイド(和光純薬社製、以下、TBPBrと略記)、及びテトラフェニルホスホニウムブロマイド(以下、TPPBrと略記)を表2に示す配合でラボプラストミル(東洋精機社製)にて250℃、100rpm、1分間溶融混練しポリエステル-1(以下、PEs−1と略記)及びポリエステル-2(以下、PEs−2と略記)を得た。
【0031】
<積層体の製造>
接着剤1〜接着剤6、及びポリエステル-1〜ポリエステル-2を熱プレスによりそれぞれ0.1mm、0.3mmのシートに成形した。LLD−1の0.1mmTダイフィルムをポリオレフィン樹脂層として使用し、表3に示す各接着剤及び各ポリエステルを用いて積層体を作成した。積層体は、LLD−1/接着剤/ポリエステルの順で各フィルムまたはシートを重ね、LLD−1側から幅0.5mmの熱板(240℃)を2kg/cm2の圧力で30秒または60秒押圧して融着させたものである。
【0032】
<積層体の接着力評価>
上記で製造した積層体を1cm幅に切り、ポリエステル層と接着剤層の界面を引っ張り試験機を使用して180度ピールにて接着力(単位:g/cm)を測定した。測定は室温及び90℃雰囲気下で行った。結果を表3に示す。尚、表3中、接着強度の数値末尾にある*印は、ポリエステル層が界面剥離せずに当該数値において材料破壊が発生したことを示している。
【0033】
<比較例1〜4>
各実施例において極性樹脂層用組成物として使用した、TBPBrまたはTPPBrを配合したポリブチレンテレフタレートの代わりに、未配合品(ノバドゥール5505Sそのもの)を使用して、以下同様にして積層体を製造した。得られた積層体の接着力評価結果を表4に示した。
【0034】
【表1】
Figure 0004595213
【0035】
【表2】
Figure 0004595213
【0036】
【表3】
Figure 0004595213
【0037】
【表4】
Figure 0004595213
【0038】
【発明の効果】
極性樹脂に4級ホスホニウム塩または4級アンモニウム塩を配合することによって、不飽和カルボン酸変性またはエポキシ変性ポリオレフィンとの反応を早め、相互作用を強めることによって、従来接着しづらいポリエステル樹脂とポリオレフィン樹脂との接着力に優れた積層体を得ることが出来る。 また、結晶性が高い材料を主として用いた場合にも、良好な接着力が発現する。本発明の積層体は、高温での使用や、ポリオレフィンを膨潤させるような内容物を使用する用途において好適である。

Claims (6)

  1. 極性樹脂層(A)とポリオレフィン樹脂層(B)とを接着剤層(C)を介して接着してなる積層体であって、極性樹脂層(A)には4級ホスホニウム塩または4級アンモニウム塩(D)が配合され、かつ接着剤層(C)がカルボキシル基またはエポキシ基で変性した変性ポリオレフィン樹脂を含有することを特徴とする積層体。
  2. 極性樹脂層(A)が飽和ポリエステル樹脂である請求項1記載の積層体。
  3. 4級ホスホニウム塩または4級アンモニウム塩(D)の配合量が、極性樹脂層(A)100重量部に対して0.001〜3.0重量部である請求項1または2記載の積層体。
  4. 接着剤層(C)が、ポリオレフィン樹脂に不飽和カルボン酸もしくはその誘導体またはエポキシ基を有する不飽和化合物をラジカルグラフトしたものであり、該ポリオレフィン樹脂の曲げ弾性率が200〜1300MPaである請求項1〜3いずれか1項記載の積層体。
  5. 不飽和カルボン酸もしくはその誘導体またはエポキシ基を有する不飽和化合物のラジカルグラフト量が、ポリオレフィン樹脂100重量部に対して0.005〜20重量部である請求項1〜4いずれか1項記載の積層体。
  6. 接着剤層(C)が、カルボキシル基またはエポキシ基で変性した変性ポリオレフィン樹脂10〜100重量%と未変性ポリオレフィン樹脂90〜0重量%との混合物であることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載の積層体。
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