JP4590728B2 - 熱間圧延方法及び熱間クロスロール圧延機のレベリング設定方法 - Google Patents

熱間圧延方法及び熱間クロスロール圧延機のレベリング設定方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、熱間圧延方法及び熱間クロスロール圧延機のレベリング設定方法に関し、特に、上下のワークロールを互いにクロスさせるクロスロール圧延機に用いるのに好適な熱間圧延方法、及び、そのためのレベリング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱間圧延ラインは図1に示すようなものが代表的である。熱間圧延ライン100は、大きく分けて、複数の加熱炉1(図1の場合は3基、No.1、No.2、No.3とそれぞれ符号を付す)、複数の粗圧延機2(図1の場合は3基、R1、R2、R3とそれぞれ符号を付す)、クロップシャー3、複数の仕上圧延機4(図1の場合は7基、F1、F2、F3、F4、F5、F6、F7とそれぞれ符号を付す)、冷却ゾーン5、コイラー6(図1の場合は2基、DC1、DC2とそれぞれ符号を付す)などの設備から構成され、被圧延材7を何本も断続的に圧延する。
【0003】
金属帯の熱間圧延においては、従来から、被圧延材を何本も断続的に圧延するので、圧延機は一本一本個々の被圧延材ごとに、その先端の噛み込み、全長の圧延、尾端の尻抜け、という一連の動作を行っていたが、仕上圧延後の被圧延材の曲がり(蛇行)、特に仕上圧延後の被圧延材先端の曲がり(蛇行)が問題となる場合があった。その問題とは、被圧延材先端の仕上圧延後の曲がり(蛇行)が大きくなると、被圧延材先端がまっすぐにコイラー6に巻き付かないで、図2に示すように、巻き取り後、コイルの内巻き部が、いわゆるテレスコ状態になって、アップエンド時に耳折れが生じて品質不良になる頻度が高くなるほか、ひどい場合には、被圧延材の先端がコイラーに巻き付かず、操業が継続不可能になる場合もあったことである。
【0004】
仕上圧延後の曲がりが発生する主たる原因は、次のように推定されている。
【0005】
図3を示しながら説明すると、被圧延材7の圧延中に圧延機に作用する圧延荷重が、圧延機のハウジング40を構成する複数の支柱42に均等に分散したとしても、個々の支柱はそっくり同じに作られているわけではないため、圧延荷重作用時に個々の支柱間、更には被圧延材7を挟んでオペレータのいる側(以下、オペレータサイド(Op)と称する)42Aと、駆動装置のある側(以下、ドライブサイド(Dr)と称する)42Bで支柱に伸び差があるからである。図3において、50Aは上ワークロール、50Bは下ワークロールである。
【0006】
更に詳しく述べると、圧延荷重作用時に、オペレータサイドのハウジング支柱42Aとドライブサイドのハウジング支柱42Bに伸び差があると、図4(B)に示すように、ハウジング支柱の伸びが小さい側(図4(B)の右側)の板厚が薄く、ハウジング支柱の伸びが大きい側(図4(B)の左側)の板厚が厚くなるため、これが被圧延材の圧延長手方向への伸び差につながって、図4(D)に示す如く、板厚が薄い側が長手方向によく伸び、板厚が厚い側が比較的長手方向の伸びが小さくなることから、板厚が薄い側から厚い側(図4(D)では左側)に向かって曲がってしまう。図4(A)、(C)は、それぞれ図4(B)、(D)に対応する正常な状態を示したものである。
【0007】
この対策としては、オペレータサイドとドライブサイドの上下ロール間隙を、被圧延材先端の仕上圧延機への噛み込みに先だって、圧延荷重作用時に板厚が厚くなると予想される側を狭め、逆に板厚が薄くなると予想される側を広げるように補償介入することが考えられる。これは、コフィンスケジュールで操業していた時代から、オペレータの主な手動介入操作の一つであった。このコフィンスケジュールについては後述する。
【0008】
オペレータの手動介入操作により、圧延荷重作用時に板厚が厚くなると予想される側を狭め、逆に板厚が薄くなると予想される側を広げるように補償介入操作することを、以下レベリング(片圧下)と称し、具体的にオペレータサイドとドライブサイドで圧下用アクチュエータ長あるいは圧下位置差に何μmの差をつけるか、その操作量のことをレベリング設定値と称することにする。
【0009】
他方で近年、熱間圧延ラインの操業においては、スケジュールフリー圧延が志向されている。
【0010】
図1に示すような熱間圧延ラインにおいては、従来、被圧延材を何本も断続的に圧延するのに伴って仕上圧延機のワークロール(以下、単にロールと称する)の摩耗がある程度進展すると、それを研磨したものと交換する、という操業形態をとっている。ロールを研磨したものにし、何本かの被圧延材を圧延し、次にまたロールを研磨したものに交換するまでの間に圧延する被圧延材群を、圧延順に並べた構成単位を圧延サイクルと呼んでいるが、その本数は数十本から百本内外である。
【0011】
これをイメージ的に描くと図5のようになるが、従来は、圧延サイクルの1本目から最終本目まで順に見ていったとき、圧延サイクルの前半中ほどに圧延サイクル中の最大幅の被圧延材がくるようにし、最大幅の被圧延材よりも前は次第に広い幅に変わっていき、最大幅の被圧延材よりも後は次第に狭い幅に変わっていくような圧延順とする、いわゆるコフィンスケジュールと呼ばれる圧延順幅構成とするのが通常であった。このようにしていた理由は、大きく分けて2つあり、1つ目は、圧延サイクル前半の未だロールが十分に昇温していない段階では、次第にロール熱膨張がロール全体に進展していくようにするために、次第に被圧延材の幅を広げていくようにすること、2つ目は、ロールの摩耗が進展してくる、最大幅の被圧延材よりも以降は、ロールの摩耗底のコーナーに被圧延材の幅エッジがかかって、図6に示すエッジビルドアップと呼ばれる被圧延材の幅方向板厚分布になり、焼鈍時の圧着といった品質不良にならないようにすることであった。
【0012】
ところで、圧延サイクルを上述のような圧延順幅構成になるように実際に作成しようと思うと、熱間圧延ラインの加熱炉1に装入するのに先立って、被圧延材がまだスラブ段階にあるうちに、そのような順番になるように準備しておかなければならない。これは非常に時間と労力がかかる。
【0013】
そのような順番に被圧延材スラブを準備して配列することは、何十本もの被圧延材スラブを、何日もの間貯蔵しておかねばならないことにつながり、在庫資産の増加、置き場スペースの不足、鋳造後スラブの完全冷却に伴う熱エネルギーのロスや、納期の遅延といった問題を引き起こしていた。
【0014】
そこで、これらの諸問題を解決するために、特に、仕上圧延機4について、ワークロールシフト圧延機によるロールの熱膨張や摩耗の分散、クロスロール圧延機によるロールクラウンの可変制御下での圧延、オンラインロールグラインダーによるロール摩耗段差の研削による解消、といった技術が開発され、被圧延材の圧延順の制約を緩和ないしは撤廃する、いわゆる圧延のスケジュールフリー化が指向されてきている。これらの中でも、特に、クロスロール圧延機によるロールクラウンの可変制御下での圧延と、オンラインロールグラインダーによる摩耗段差の研削による解消が、当技術分野での主流の地位を不動のものとしつつある。
【0015】
このスケジュールフリー圧延を実際に行うと、例えば図7に示すように、ところどころで、狭幅から広幅の被圧延材という接続順となる圧延順に圧延サイクルを作成しても、被圧延材製品が、エッジビルドアップのような品質不良を発生することもなく、前述の在庫資産の増加といった問題を解決できる。
【0016】
しかしながら、上述のスケジュールフリー圧延を行うと、連続する2本の被圧延材の圧延荷重が大きく異なる条件で圧延せざるを得ない状況が生じる。連続する2本の被圧延材の圧延荷重が大きく異なる条件で圧延すると、被圧延材先端の仕上圧延後の曲がりが大きくなる。原因は、前述のように、圧延荷重作用時に、オペレータサイドのハウジング支柱とドライブサイドのハウジング支柱の伸び差があると、連続する2本の被圧延材の圧延荷重が大きく異なるほど、オペレータサイドのハウジング支柱とドライブサイドのハウジング支柱の伸び差が拡大しやすくなり、従って、被圧延材の先端の曲がり(蛇行)が助長されるからである。
【0017】
従来のコフィンスケジュールでの圧延操業のもとでは、結果的に、連続する2本の被圧延材の圧延荷重がさほど大きく異ならず、被圧延材先端の仕上圧延後の曲がりが大きくならなかったため、顕在化しなかった問題であるが、スケジュールフリー圧延を指向するもとでは、この問題の解決が望まれていた。
【0018】
クロスロール圧延機のレベリング方法に関しては、特開平6-79315のように、各種のクロス角において、オペレータサイドとドライブサイドの圧延反力(圧延荷重)差がゼロになるような圧下量のオペレータサイドとドライブサイドの差を測定し、この圧下量の差から、上下ワークロールの軸中点同士の圧延長手方向のずれ(オフセット)を算出し、任意のクロス角における、オペレータサイドとドライブサイドの圧下量差を設定する、というクロスロール圧延機のレベリング方法が提案されている。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のような、オペレータの手動介入操作では、精度よくレベリングし、被圧延材の曲がり(蛇行)を十分に抑止できない場合があった。
【0020】
また、特開平6-79315のような方法においても、図8に示す、圧延荷重時に作用する引裂力が、ワークロールクロス角の違いによって異なり、上下ワークロール間隙の幅方向分布の違いにつながるが、これを考慮していないという問題があった。
【0021】
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、板曲がりを発生させることなく、クロス角が大きく変わる圧延を可能とすることを課題とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明は、被圧延材1本1本の先端の仕上圧延機への噛み込みに先立って、(1)式に示すモデル式を用いてレベリング設定値を自動計算し、仕上圧延機のレベリング設定を自動で行うようにして、前記課題を解決したものである。
ΔAct={(Pref.i−Pi)/2}×(1/Mdr.i−1/Mop.i)・・・(1)
ここで、ΔActはアクチュエータ長差(オペレータサイド−ドライブサイド)、Pref.iは基準材の先端の圧延荷重、Piは次圧延予定の被圧延材先端の圧延荷重予測値、Mdr.iはドライブサイドの圧延機剛性(ドライブサイドの圧延機支柱の弾性係数)、Mop.iはオペレータサイドの圧延機剛性(オペレータサイドの圧延機支柱の弾性係数)、iは仕上げ圧延機スタンドNo.である。
【0023】
また、本発明は、熱間クロスロール圧延機のレベリング設定に際して、(1´)式および(2)式に示すワークロールのクロス角に対応した分を補償するようにして、同じく前記課題を解決したものである。
ΔAct={(Pref.i−Pi)/2}×(1/Mdr.i−1/Mop.i)+δ・・・(1´)
ここで、δはクロス角補償項(単位は長さ)である。
δ=k×θ・・・(2)
ここで、kは比例係数、θはクロス角である。
また、本発明は、熱間クロスロール圧延機のレベリング設定に際して、(1´)式および(3)式に示すワークロールのクロス角に対応した分を補償するようにして、同じく前記課題を解決したものである。
ΔAct={(Pref.i−Pi)/2}×(1/Mdr.i−1/Mop.i)+δ・・・(1´)
ここで、δはクロス角補償項(単位は長さ)である。
δ=k×θ (0≦θ<θa)
=k1(θ−θa)+kθa (θa≦θ<θb)
=k2(θ−θb)+kθa+k1(θb−θa) (θb≦θ) ・・・(3)
ここで、kは比例係数、θはクロス角である。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0025】
本発明が適用される熱間圧延ラインは、図1に示すようなものが代表的である。その設備構成は前述した通りである。
【0026】
さて、加熱炉1へ被圧延材スラブを装入するのに先立って、スラブを準備し、仮置きしておくためのスラブヤード10が加熱炉の入側にある。
【0027】
スラブを製造するための設備は、熱間圧延ライン100とは別に、連続鋳造機に代表される1つ以上の設備(図1の場合は2基、20、21とそれぞれ符号を付す)があればよく、そこから熱間圧延ライン100へ搬送される経路は、通常、スラブヤードに載置し一時待機する経路30を経るが、一部、待機しないで直送経路31を経るものもあってもよい。
【0028】
該熱間圧延ライン100の操業においては、仕上圧延機4のロール50を研磨したものにし、何本かの被圧延材を圧延し、次にまたロールを研磨したものに交換するまでの間に圧延する被圧延材7の群を、圧延順に並べた構成単位である圧延サイクルを、熱間圧延ラインの加熱炉1に被圧延材を装入するのに先立って、図示しないコンピュータを用いて仮想的に作成しておくが(このことを命令組と称する)、スラブヤードに載置し一時待機する経路30を経る被圧延材については、実際にそのような順番になるように、スラブヤード10内でいくつかのスラブの山に被圧延材を分けて配列しておく。
【0029】
本発明において特徴的なことは、仕上圧延機4での被圧延材7のレベリング設定をモデル式を用いて自動で行うようにしたことと、ワークロールクロス角の違いによるレベリング適正量をレベリング設定に反映したことである。
【0030】
以下、順を追って説明する。
【0031】
まず、レベリング設定を自動で行うようにしたことから先に、本発明の実施の態様を説明する。まず、命令組段階で、図示しないコンピュータを使用して、個々の被圧延材1本1本に命令データを付与する。命令データには様々なものがあるが、中でも本発明に直接関係するのは、鋼種、仕上圧延後板厚、仕上圧延後板幅である。
【0032】
鋼種、仕上圧延後板厚、仕上圧延後板幅といったデータをもとに、1つの圧延サイクル内での個々の被圧延材1本1本について、仕上圧延機の各種設定値が、図示しないプロセスコンピュータにて決定され、個々の被圧延材1本1本の先端の仕上圧延機への噛み込みに先立って、実際に仕上圧延機の各種設定が行われる。各種設定とは、主に各仕上圧延機スタンドの、圧下(被圧延材幅中央相当の上下ワークロール間隙)、ベンダー力、ワークロールクロス角、ロール周速、サイドガイド開度である。
【0033】
プロセスコンピュータ内部には、過去の経験にもとづき作られた、鋼種、仕上圧延後板厚、仕上圧延後板幅区分ごとの、仕上圧延機各スタンドにおける板厚(後段スタンドにいくに従い漸減し、最終スタンド出側にて仕上圧延後板厚になる。板厚スケジュールと称する)と、仕上圧延機各スタンドにおける変形抵抗予測データが記憶格納されている。また、図示しない粗圧延機出側温度計により測定した粗圧延後の被圧延材温度実績の違いに応じ、それが低ければ変形抵抗予測値を高めに補正し、逆に高ければ低めに補正するロジックも備わっている。
【0034】
更に、ワークロールと被圧延材の接触弧長、それに、圧下力関数と呼ばれる補正係数を、詳説しない予測ロジックにより設定して、各スタンドでの板幅予測値(正確には、仕上圧延後板幅とは異なるため、これも詳説しない予測ロジックにより各スタンドについて設定される)と共に、上記説明のようにして予測された変形抵抗に、掛け算することにより、被圧延材の圧延荷重が予測され、該予測圧延荷重が作用するもとでの圧延機支柱の伸び分を見越して、その分だけ小さめに圧下(上下ワークロール間隙)が設定される。
【0035】
しかるに、本発明によれば、圧延サイクル内の個々の被圧延材1本1本について、前述した圧下、ベンダー力、ワークロールクロス角、ロール周速、サイドガイド開度といった仕上圧延機の各種設定に加え、更にレベリング量が設定値の1つとして自動的に設定される。
【0036】
具体的には、次のようなモデル式で、レベリング設定値を自動計算し、実際に圧延機に設定することができる。
【0037】
△Act={(Pref.i−Pi)/2}×(1/Mdr.i−1/Mop.i)…(1)
【0038】
ここに、△Act:アクチュエータ長差(オペレータサイド−ドライブサイド)
Pref.i:基準材の先端の圧延荷重(予測値でも実績値でもよいが実績値の方が好ましい)
Pi :次圧延予定の被圧延材先端の圧延荷重予測値
Mdr.i:ドライブサイドの圧延機剛性(ドライブサイドの圧延機支柱の弾性係数)
Mop.i:オペレータサイドの圧延機剛性(オペレータサイドの圧延機支柱の弾性係数)
i :仕上圧延機スタンドNo.
【0039】
仕上圧延機がクロスロール圧延機である場合には、ワークロールのクロス角に対応した分を補償するため、クロス角補償項を下記のように追加するのがよい。
【0040】
△Act=(Pref.i−Pi)/2×(1/Mdr.i−1/Mop.i)+δ…(1´)
δ: クロス角補償項(単位は長さ)
【0041】
ここで、図8に示す、圧延荷重時に作用する引裂力は、ワークロールクロス角が大きくなるほど大きくなる傾向がある。よって、それを補償するためには、クロス角補償項として、線形のモデルを用いるのが簡単なため、好適である。線形のモデルとは例えば、
δ=k×θ …(2)
k:比例係数
θ:クロス角
といったものであり、あるいは、また例えば、クロス角の範囲によって、折れ線状に、
Figure 0004590728
といったものにしてもよい。
【0042】
このモデル式(3)の場合の、クロス角補償項の設定を模式的に図9に示す。
図において、Opはオペレータサイド、Drはドライブサイドの略である。
【0043】
具体的なレベリング設定値は、何を基準に決めればよいかについては、大きく分けて次の3つの考え方がある。
【0044】
1つ目は、零調時の圧延機のオペレータサイドとドライブサイドのレベリング量差を基準とし、それに対して更に上乗せするレベリング量をレベリング設定値とするものである。ここで零調とは、ロールを研磨したものに交換した際に、圧延機のオペレータサイドとドライブサイドの圧下装置を同調的に圧下してゆき、上下ロールを接触させ、荷重をかけて締め込み、ある程度の荷重になったときにオペレータサイドとドライブサイドの圧下量を異ならせ、両者の締め込み荷重が等しくなるように調整し、両者の締め込み荷重が等しくなったところで、圧下位置の基準とすることである。
【0045】
2つ目は、圧延サイクルの前半部分である特定の被圧延材(基準材と称する)を先端が曲がらずに通板できた場合、その被圧延材通板時の、圧延機のオペレータサイドとドライブサイドのレベリング量差を基準とし、それに対して更に上乗せするレベリング量をレベリング設定値とするものである。そして3つ目は、基準材を一本前の被圧延材とするものであり、1本被圧延材を圧延するごとに、基準材を逐次更新していく方法である。
【0046】
上記3つの方法は、どれを使用してもよく、操業状況に応じ、適宜使い分ければよい。
【0047】
なお、上記3つの方法の中に共通しているレベリング量は、(1)オペレータサイドとドライブサイドの圧下用アクチュエータ長差(油圧圧下で言えば油柱長の差、電動圧下で言えば圧下スクリュウ長の差)、あるいは、(2)上下ロール開度の差または圧下位置の差、いずれであってもよい((1)(2)は符号が丁度逆の関係にあることが当業者間で知られている)。
【0048】
【実施例】
以下、レベリング値は、油柱長の差(オペレータサイド油柱長−ドライブサイド油柱長)で定義したものとする。
【0049】
(実施例1)
低炭素鋼の仕上圧延後板厚2.0〜2.3mm、仕上圧延後板幅900〜1200mmからなる被圧延材群を1つの圧延サイクルとした。加熱炉を分け、No.1、No.2、No.3加熱炉に圧延順に振り分けて装入した。加熱温度は1100℃とした。
【0050】
前出のようなモデル式で、レベリング設定値を自動計算し、本発明に基づいて実際に圧延機に自動で設定した場合の効果を図11に示す。ちなみにモデル式は(1)を用いた。
【0051】
レベリングの基準の取り方であるが、特定の被圧延材(基準材と称する)を先端が曲がらずに通板できた場合、その被圧延材通板時の、圧延機のオペレータサイドとドライブサイドのレベリング量差を基準とし、それに対して更に上乗せするレベリング量をレベリング設定値とする方法によった。
【0052】
図10には、比較例として、オペレータの手動介入によった場合を示す。図10、図11は共に、縦軸は、レベリング設定値と被圧延材先端の曲がり(蛇行)量を示す。両者を比較すると、オペレータの手動介入によった場合に比べ、本発明を適用した場合は、蛇行量を小さく抑制できていることがわかる。
【0053】
(実施例2)
モデル式として(1´)、(3)を用いた以外は、実施例1と同条件とした結果を、図12に示す。図12は、図10と比較すると、更に蛇行量を小さく抑制できていることがわかる。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、仕上圧延後の被圧延材先端の曲がり(蛇行)を抑制でき、巻き取り後コイルの内巻き部がテレスコ状態になり、アップエンド時に耳折れするなどの品質不良の発生を抑制できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱間圧延ラインの全体概観を示す図
【図2】コイルの内巻き部のテレスコ状態を示す斜視図
【図3】被圧延材の曲がり(蛇行)発生のメカニズムを解説するための、圧延機ハウジングの斜視図
【図4】同じく、被圧延材を圧延している状態の正面図及び圧延機出側の平面図
【図5】従来の圧延順幅構成(圧延サイクル)の例を示す図
【図6】エッジビルドアップの発生メカニズムを解説するための図
【図7】スケジュールフリー圧延時の圧延順幅構成(圧延サイクル)を示す図
【図8】従来例で問題となる引裂力について模式的に示した図
【図9】本発明によるクロス角補償項の設定を模式的に示した図
【図10】従来例の実施結果の一例を示す図
【図11】本発明の実施例の効果の一例を示す図
【図12】本発明の他の実施例の効果の一例を示す図
【符号の説明】
1…加熱炉
2…粗圧延機
3…クロップシャー
4…仕上圧延機
5…冷却ゾーン
6…コイラー
7…被圧延材
10…スラブヤード
20、21…スラブを製造するための設備(連続鋳造機)
40…圧延機ハウジング
42…ハウジング支柱
42A…ハウジング支柱(オペレータサイド)
42B…ハウジング支柱(ドライブサイド)
50、50A、50B…ロール
100…熱間圧延ライン

Claims (3)

  1. 被圧延材1本1本の先端の仕上圧延機への噛み込みに先立って、(1)式に示すモデル式を用いてレベリング設定値を自動計算し、仕上圧延機のレベリング設定を自動で行うことを特徴とする熱間圧延方法。
    ΔAct={(Pref.i−Pi)/2}×(1/Mdr.i−1/Mop.i)・・・(1)
    ここで、ΔActはアクチュエータ長差(オペレータサイド−ドライブサイド)、Pref.iは基準材の先端の圧延荷重、Piは次圧延予定の被圧延材先端の圧延荷重予測値、Mdr.iはドライブサイドの圧延機剛性(ドライブサイドの圧延機支柱の弾性係数)、Mop.iはオペレータサイドの圧延機剛性(オペレータサイドの圧延機支柱の弾性係数)、iは仕上げ圧延機スタンドNo.。
  2. 熱間クロスロール圧延機のレベリング設定に際して、(1´)式および(2)式に示すワークロールのクロス角に対応した分を補償することを特徴とする、熱間クロスロール圧延機のレベリング設定方法。
    ΔAct={(Pref.i−Pi)/2}×(1/Mdr.i−1/Mop.i)+δ・・・(1´)
    ここで、δはクロス角補償項(単位は長さ)
    δ=k×θ・・・(2)
    ここで、kは比例係数、θはクロス角。
  3. 熱間クロスロール圧延機のレベリング設定に際して、(1´)式および(3)式に示すワークロールのクロス角に対応した分を補償することを特徴とする、熱間クロスロール圧延機のレベリング設定方法。
    ΔAct={(Pref.i−Pi)/2}×(1/Mdr.i−1/Mop.i)+δ・・・(1´)
    ここで、δはクロス角補償項(単位は長さ)。
    δ=k×θ (0≦θ<θa)
    =k1(θ−θa)+kθa (θa≦θ<θb)
    =k2(θ−θb)+kθa+k1(θb−θa) (θb≦θ) ・・・(3)
    ここで、kは比例係数、θはクロス角。
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