JP4590669B2 - 導電性ゴム組成物及びその製造方法並びに導電性ゴム部材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電性ゴム組成物及びその製造方法並びに導電性ゴム部材に関し、更に詳しくは、低硬度で、低歪みで、且つ体積固有抵抗値のばらつき及び環境依存性が小さい導電性ゴム組成物及びその製造方法、更にはこの組成物を用いて得られ、電子写真装置や静電記録装置等の画像形成装置に用いられる導電性ゴム部材に関する。
本発明は、自動車部品、ホース、ベルト、コピー,ファックス,プリンター等の各種ロール、履物、AV機器、OA機器、シール材等に使用されるゴム部材、特に電子写真、静電記録等によるプリンターに使用される各種ゴム部材等に、広く利用される。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子写真技術の進歩に伴い乾式電子写真装置の転写材、トナーに対する接触帯電部材として半導電性弾性ロールが注目されており、現像ロール、転写ロール等に用いられている。このような用途に用いられる半導電性部材は所定の電気抵抗値であるのみならず、電気抵抗の位置ばらつきが少なく、且つ電気抵抗の印加電圧依存性が少なく、且つ連続して通電した際の電気抵抗の変動幅が少ないこと、更には低温・低湿から高温・高湿に至るまでの環境変化に対してもその電気抵抗値の変動幅が小さいことが要求される。
【0003】
一般に、カーボンブラック等の混入により導電性(体積固有抵抗値:1×106Ω・cm以下)を付与させるために、通常の方法では、その添加量が増えるため、系の粘度が上昇し加工性に支障を来たし、また硬さが高くなりその結果感光体ドラムとの接触面積が減少するため印刷特性に問題が生じる。これを防止するために、所定の電気抵抗と硬さを有し、電子写真複写機や静電記録装置等の画像形成装置において使用される導電性ブレードなどのゴム材料として好適な導電性ゴム組成物が知られている(特開平10−87897号公報)。この組成物は、ゴム成分A(エポキシ含有ゴム等)の加硫物、該ゴム成分Aとは異なる機構により加硫されるゴム成分B(SBR、NBR等)、及び導電性粒子を含有する。そして、ゴム成分B中の導電性粒子の濃度を高くすることにより、導電性と硬度を所定範囲に調整するものである。しかし、混練中に、導電粒子の相当部がゴム成分A側に移行してしまい、所望の導電性を安定的に付与させることが困難である。また、これは、加硫機構の異なる2種類の加硫剤を必須としており、2段階の加硫を行うこととなり、煩雑である。また、WO97/03122には、ゴム成分(A)、該ゴム成分(A)とは異なる機構により加硫されるゴム成分(B)、及びゴム成分(A)の加硫剤を混練して、ゴム成分(A)のみを加硫し、次いで、ゴム成分(B)の加硫剤、及び導電性粒子を添加する工程を含むことを特徴とする導電性ゴム組成物の製造方法が知られている。しかし、この方法も、導電性粒子の分散不良が生じ、導電性にばらつきが生じるという問題があった。
更に、可塑剤・軟化剤を多量に添加して低硬度化すると、導電付与剤の分散不良が生じ、導電性にばらつきが生ずるという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来の問題点を解決するために創案されたものであって、所定の電気抵抗値を示すのみならず、電気抵抗のばらつきが少なく、低温・低湿から高温・高湿に至るまでの環境変化に対してもその電気抵抗値の変動幅が小さく、且つ低硬度、低圧縮永久歪に優れた導電性ゴム組成物を提供することを目的とする。更に、本発明は、このような導電性ゴム組成物の製造方法、及びこの組成物を使用して得られる導電性ゴム部材を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、架橋粒子状ポリマー(A1)、未架橋ポリマー(A2)及び導電性付与剤(B)を含有し、未架橋ポリマーのムーニー粘度が架橋粒子状ポリマーのムーニー粘度と同じか又は小さくなる温度で混練開始させて導電性付与剤(B)を未架橋ポリマー(A2)中に偏在させることにより、本目的を達成できることを見い出して、本発明がなされたものである。本発明の導電性ゴム組成物は、架橋粒子状ポリマー(A1)、未架橋ポリマー(A2)及び導電性付与剤(B)を含有し、上記架橋粒子状ポリマー(A1)が、ブタジエンゴム及びスチレン−ブタジエンゴムから選択される少なくとも一種であり、上記未架橋ポリマー(A2)が、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリルゴム、エチレン−アクリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、多硫化ゴム、エピクロロヒドリンゴム、エピクロルエチレンオキシドゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム及びフッ素ゴムから選択される少なくとも一種であり、上記導電性付与剤(B)が、上記未架橋ポリマー(A2)及び上記架橋粒子状ポリマー(A1)のうち、該架橋粒子状ポリマー(A1)中よりも該未架橋ポリマー(A2)中に多く存在し、上記架橋粒子状ポリマー(A1)は、乳化重合により得られ、且つ架橋反応性モノマーを共重合させて得られた架橋粒子状ポリマーであり、上記架橋粒子状ポリマー(A1)の平均粒子径が25μm以下であり、デュロA硬さが45〜80であり、上記未架橋ポリマー(A2)の溶解度パラメータと、上記架橋粒子状ポリマー(A1)の溶解度パラメータとの差が、0.5〜5であり、上記架橋反応性モノマーが、ジビニルベンゼンであることを特徴とする。
【0006】
本発明の導電性ゴム組成物の製造方法は、架橋粒子状ポリマー(A1)、未架橋ポリマー(A2)及び導電性付与剤(B)を含有し、上記架橋粒子状ポリマー(A1)がブタジエンゴム及びスチレン−ブタジエンゴムから選択される少なくとも一種であり、上記未架橋ポリマー(A2)がアクリロニトリル−ブタジエンゴム及び水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴムから選択される少なくとも一種である配合物を、以下に示す(1)式が成立する温度(T℃)において混練開始し、
上記架橋粒子状ポリマー(A1)は、乳化重合により得られ、且つ架橋反応性モノマーを共重合させて得られた架橋粒子状ポリマーであり、上記未架橋ポリマー(A2)の溶解度パラメータと、上記架橋粒子状ポリマー(A1)の溶解度パラメータとの差が、0.5〜5であり、上記架橋反応性モノマーが、ジビニルベンゼンであることを特徴とする。この温度(T℃)とは、混練開始の温度であり、即ち混練途中の温度ではなく、実質上、混練機の設定温度を意味する。
上記未架橋ポリマー(A2)のムーニー粘度(T℃)/上記架橋粒子状ポリマー(A1)のムーニー粘度(T℃)≦1.0 (1)
このムーニー粘度は、架橋粒子状ポリマー、未架橋ポリマーそれぞれ単独について、ローターを用い、所定の温度で、1分間予熱後、2rpmで4分間回転させ4分におけるム−ニー粘度をいう。
【0007】
本発明の導電性ゴム部材は、上記導電性ゴム組成物を加硫して得られる画像形成装置に使用されることを特徴とする。
【0008】
本発明における「架橋粒子状ポリマー(A1)」は、非極性ポリマーであり、ブタジエンゴム及びスチレン−ブタジエンゴムから選択される少なくとも一種である。これらのゴムのなかで、好ましくは、スチレン−ブタジエンゴムである。これらのゴムは、1種単独あるいは2種類以上ブレンドして用いてもよい。
本発明以外のその他の非極性ポリマーとしては、天然ゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエンゴム、エチレン−ブテン−非共役ジエンゴム等のエチレン−αオレフィン−非共役ジエンゴム、エチレン−酢酸ビニルゴム等が挙げられる。
この架橋粒子状ポリマーは、トルエン不溶解分が80重量%以上のものとすることができ、好ましくは90%以上、更に好ましくは92%以上である。
【0009】
架橋粒子状ポリマーを構成する単量体、又は製造に用いる単量体としては、(1)脂肪族共役ジエン単量体及び/又はオレフィン単量体(以下「単量体(1)」という。)が必須である。そして、この架橋粒子状ポリマーとしては、架橋反応性単量体(以下「単量体(2)」という。)を共重合させて得られた架橋粒子状ポリマーである。尚、この架橋粒子状ポリマーとしては、この共重合方法以外に、加硫ゴムを作った後これを粉砕させたもの、又は、動的加硫が可能なポリマー(A1’)と動的加硫されないポリマー(未架橋ポリマー,A2)とこのA1’ポリマーのみを加硫できる加硫剤とを混合して前者のポリマーのみを動的に加硫させて得られたもの(A1+A2)等とすることができる。
上記単量体(1)の脂肪族共役ジエン単量体の例としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられる。また、上記オレフィン単量体の例としては、エチレン、プロピレン、ブテン、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。これらの単量体は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。粒子状共重合体中の繰り返し単位において、単量体(1)単位の含有率は、10〜95モル%、好ましくは30〜90モル%である。単量体(1)単位の含有率が10モル%未満では、得られる導電性ゴム組成物の機械的性質が不十分であり、一方95モル%を越えると、得られる導電性組成物の導電性が不十分となり好ましくない。
また、上記エチレン−αオレフィン−非共役ジエンゴムに使用される非共役ジエン単量体としては、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、5−メチル2,5−ノルボルナジエン、5−メチル−2−ノルボルネン、5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、5−(1−ブテニル)2−ノルボルネン、シクロオクタジエン、ビニルシクロヘキセン、1,5,9−シクロドデカトリエン、6−メチル−4,7,8,9−テトラヒドロインデン、2,2’−ジシクロペンテニル、トランス−1,2−ジビニルシクロブタン、2−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、3,4,7−オクタトリエン、5−メチル−1,8−ノナジエン、ジシクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン等を挙げることができる。これらは一種又は二種以上を混合して使用してもよい。
【0010】
上記単量体(2)としては、エチレングリコール−ジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール−ジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオール−ジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオール−ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン−ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン−トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール−トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール−テトラ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ヘキサメチレンジ−(メタ)アクリレート等が挙げられるが、本発明では、ジビニルベンゼンである。
粒子状共重合体中の繰返し単位において、単量体(2)単位の含有率は、0.1〜20モル%、好ましくは0.5〜10モル%である。単量体(2)単位の含有率が0.1モル%未満では得られる導電性ゴム組成物の導電性が不十分であり、一方20モル%を越えると導電性ゴム組成物の機械的性質が不十分となり好ましくない。
【0011】
上記架橋粒子状ポリマーは、ラジカル開始剤を用いる乳化重合法により製造する。粒子の大きさ、粒子サイズの均一性の点で乳化重合法が好ましい。上記ラジカル開始剤としては、例えば、(1)ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、パラメンタンヒドロペルオキシド、ジーt−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド等の有機過酸化物、(2)アゾイソブチロニトリルで代表されるジアゾ化合物、(3)過硫酸カリウムで代表される無機過酸化物、(4)これらの過酸化物−硫酸第一鉄の組み合わせで代表されるレドックス系触媒等が挙げられる。これらのラジカル開始剤は、単独であるいは2種以上を混合して使用することができる。
【0012】
乳化重合に使用される乳化剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられ、またこれらの界面活性剤はフッ素系であることもできる。これらの乳化剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することもできる。
また、本発明以外の懸濁重合に使用される懸濁安定剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。これらの懸濁安定剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。乳化重合又は懸濁重合において、各単量体やラジカル開始剤等の重合薬剤は、反応開始時に全量添加してもよい。
重合は、通常、酸素を除去した反応器中、0〜80℃で行われるが、反応途中で温度や攪拌等の操作条件を適宜に変更することもできる。重合方式は、連続式、回分式のいずれも可能である。
【0013】
架橋粒子状ポリマー(A1)の平均粒子径は、25μm以下、好ましくは10μm以下、更に好ましくは5μm以下である。25μmを超えると、得られる導電性ゴム組成物の体積固有抵抗値にばらつきが生じ好ましくない。
また、架橋粒子状ポリマー(A1)の硬さとしては、デュロAで45〜80である。45以下では、導電性付与剤(B)の未架橋ポリマー(A2)への偏在が少なくなり、所望の導電性を付与するために導電性付与剤(B)の増量を余儀なくされ、硬さ上昇を伴い好ましくない。一方、80を越えると、得られる導電性ゴム組成物の機械的性質が不十分となり好ましくない。
【0014】
本発明における未架橋ポリマー(A2)は、極性ポリマーであり、通常、線状ポリマーである。この未架橋ポリマーは、アクリロニトリル−ブタジエンゴム及び水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴムから選ばれる少なくとも1種である。これらのゴムのなかで、好ましくはアクリロニトリル−ブタジエンゴムである。これらのゴムは1種単独あるいは2種類以上ブレンドして用いてもよい。
本発明以外のその他の極性ポリマーとしては、アクリルゴム、エチレン−アクリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、多硫化ゴム、エピクロロヒドリンゴム、エピクロルエチレンオキシドゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム又はフッ素ゴムが挙げられる。
【0015】
架橋粒子状ポリマー(A1)と未架橋ポリマー(A2)とのブレンド比率(重量比)としては、10/90〜90/10である。好ましくは、20/80〜80/20、更に好ましくは25/75〜75/25である。架橋粒子状ポリマー(A1)の比率が10未満では、所望の体積固有抵抗値を得るためには、多量の導電性付与剤(B)の添加が必要となり好ましくない。一方、90を越えると、機械的性質が不十分となり好ましくない。
また、上記未架橋ポリマー(A2)の溶解度パラメータと上記架橋粒子状ポリマー(A1)の溶解度パラメータとの差が0.5以上である。この差は、好ましくは0.6以上であり、より好ましくは0.7以上であり、通常、5以下である。また、この差は、通常、0.7〜3.0、好ましくは0.7〜2.5である。
【0016】
本発明における導電性付与剤(B)は、これをポリマー中に分散させることにより、ポリマーの電気抵抗を低下させるものであり、一般に粒状をなしている。
導電性付与剤(B)の具体例としては、(1)EC(ExtraConductive)、ECF(Extra Conductive Furnace)、SCF(Super conductive Furnace)、CF(Conductive Furnace)、アセチレンブラック(ケッチェンブラックEC(EC600JD)を含む。)、SAF(Super Abrasion Furnace)、ISAF(Intermediate SAF)、HAF(High Abrasion Furnace)、FEF(Fast Extruding Furnace)、GPF(General Purpose Furnace)、SAF(Semi Reinforcing Furnace)、FT(Fine Furnace)、MT(Medium Thermal)などのカーボンブラック、(2)ZnO(Alドープ)、SnO2(酸化アンチモンドープ)、TiO2、SnO2(酸化アンチモンドープ)、金属被覆SnO2、金属被覆TiO2、K2O−nTiO2/SnO2(酸化アンチモンドープ)、SnO2(酸化アンチモンドープ)、金属被覆複合酸化物などの金属酸化物、(3)銅粉、銀粉、アルミニウム粉などの金属単体、(4)ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレンなどの導電性ポリマー等が挙げられる。これらのうち、好ましくは、カーボンブラックである。
【0017】
また、上記導電性付与剤(B)、特にカーボンブラックの一次粒子径としては、10〜100nmのもの、好ましくは20〜80nm、更に好ましくは30〜60nmである。また、上記導電性付与剤(B)の添加量としては、0.5〜100重量部が好ましく、1〜50重量部がより好ましく、2〜40重量部が更に好ましい。0.5重量部未満では、添加時の計量における測定誤差が問題となり、また100重量部を超えると、低硬さ、低圧縮永久ひずみ特性に支障を来し好ましくない。
【0018】
本発明の導電性ゴム組成物の製造方法としては、たとえば、以下のもの等が挙げられる。
(1)架橋粒子状ポリマーと未架橋ポリマーと導電性付与剤とを混練機を用いて混練りする方法、
(2)未架橋ポリマーの水分散液あるいは乳化液と、架橋粒子状ポリマーの水分散液又は乳化液とを混入後凝固・乾燥した後、混練機を用いて導電性付与物質を混練りする方法、
(3)予め、未架橋ポリマーと導電性付与剤とを混練機にて混練りした後、架橋粒子状ポリマーを添加混練りする方法。
【0019】
混練機としては、密閉型混練機(例えば、バンバリーミキサ、インターナルミキサ、ニーダー)、オープンロール等が挙げられる。混練条件として、その混練開始温度(混練機の設定温度)は、架橋粒子状ポリマー(A1)と未架橋ポリマー(A2)のムーニー粘度の間に前記の式が成立する温度である。この条件から外れると、得られる導電性ゴム組成物中の導電性付与剤(B)の未架橋ポリマーへの偏在が不十分となり、体積固有抵抗値が所望のレベルに十分に到達せず、更には、製造の度にばらつき大きくなり好ましくない。また、機械的性質においてもばらつきが大きくなり好ましくない。
例えば、上記架橋粒子状ポリマー(A1)がスチレン−ブタジエン系ゴムであり、上記未架橋ポリマー(A2)がアクリロニトリル−ブタジエン系ゴムである場合、混練開始温度は80℃以上(好ましくは90℃以上、通常、150℃以下)とすることができる。
【0020】
本発明の導電性ゴム組成物においては、必要に応じてイオン性導電性付与剤、加硫剤、充填剤、着色剤、滑剤、金属酸化物、軟化剤、可塑剤、老化防止剤、加工助剤、スコーチ防止剤、プリング剤、酸化防止剤、活性剤、紫外線吸収剤、粘着付与剤、奪水剤、ワックス、光安定剤、内部離型剤、発泡剤、発泡助剤、抗菌剤、難燃剤、素練り促進剤等を添加することができる。
【0021】
上記イオン性導電性付与剤としては、例えば、LiCF3SO3、NaClO4、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、NaSCN、KSCN、NaCl等の周期律表第1族金属の塩;NH4Cl、NH4SO4、NH4NO3、過塩素酸の第四級アンモニウム塩等のアンモニウム塩;Ca(ClO4)2、Ba(ClO4)2等の周期律表第2族金属の塩;これらの塩と1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等の多価アルコールやそれらの誘導体との錯体;これらの塩とエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル等のモノオールとの錯体;第四級アンモニウム塩等の陽イオン性界面活性剤;脂肪族スルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等の陰イオン性界面活性剤;高級アルコールのポリエチレングリコール付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸ジエステル等の非イオン性界面活性剤、ベタイン等の両性界面活性剤とを挙げることができる。
上記過塩素酸の第四級アンモニウム塩は、例えば、次の一般式(I)で表される。上記ポリアルキレングリコールの脂肪族カルボン酸ジエステルは、例えば、次の一般式(II)で表される。そして、これらの過塩素酸の第四級アンモニウム塩及び/又はポリアルキレングリコールの脂肪族カルボン酸ジエステルの群から選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。
【0022】
[R4−O−(A1−O)m−C(O)]x−R1−[C(O)−(O−A2)n−N+(R2)(R3)(R5)・ClO4−]y (I)
(式中、R1は炭素数2〜20の脂肪族又は芳香族カルボン酸から全てのカルボキシル基を除く基を示し、R2及びR3は各々独立に炭素原子数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基を示し、A1及びA2は各々独立に炭素数2〜4のアルキレン基を示し、mは0〜20の整数であり、nは1〜20の整数であり、R4は炭素数4〜22のアルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基又はR’CONHR”−(但し、R’は炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルケニル基、R”は炭素数1〜10のアルキレン基である。)を示し、R5は炭素数1〜20のアルキル基を示し、xは0〜3の整数で、yは1〜4の整数であり、(x+y)はR1の価数に等しい。)
【0023】
R6−C(O)−O−(R7−O)k−C(O)−R8 (II)
(式中、R6及びR8は各々独立に炭素数4〜18の脂肪族モノカルボン酸からカルボキシル基を除いた基を示し、R7は炭素原子数2〜4のアルキレン基を示し、kは2〜30の整数である。)
【0024】
加硫剤としては、用いるゴム種により異なり、硫黄系加硫剤、有機過酸化物、キノイド加硫剤、樹脂加硫剤、金属酸化物加硫剤、含硫黄有機化合物、アミン加硫剤、トリアジン系加硫剤、ポリオール加硫剤、金属石けん系加硫剤、マレイミド系加硫剤等が挙げられる。
硫黄系加硫剤として粉末硫黄、硫黄華、高分散性硫黄、不溶性硫黄、沈降硫黄、表面処理硫黄、コロイド硫黄、塩化硫黄、一塩化硫黄、二塩化硫黄等が挙げられる。硫黄系加硫剤を使用する場合には、加硫促進剤を使用することができる。
【0025】
加硫促進剤の具体的な例としては、例えば、(1)ヘキサメチレンテトラミン、アセトアルデヒド−アンモニア等のアルデヒドアンモニア類、(2)n−ブチルアルデヒド−アニリン縮合品、ブチルアルデヒド−モノブチルアミン縮合品、ヘプトアルデヒド−アニリン反応品、トリクロトニリデン・テトラミン等のアルデヒドアミン類、(3)ジフェニルグアニジン、ジ−o−トリルグアニジン、オルト・トリル・ビグアニド、ジカテコール・ホウ酸のジオルト・トリル・グアニジン塩等のグアニジン塩類、(4)2−メルカプトイミダゾリン等のイミダゾリン、(5)2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトチアゾリン、ジベンゾチアジル・ジスルフィド、2−メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩、2−メルカプトベンゾチアゾールのナトリウム塩、2−メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩、2−(2,4−ジニトロフェニルチオ)ベンゾチアゾール、2−(N,N−ジエチルチオ・カルバモイルチオ)ベンゾチアゾール、2−(4’−モルホリノ・ジチオ)ベンゾチアゾール、4−モルホニル−2−ベンゾチアジル・ジスルフィド等のチアゾール、(6)N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジル・スルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアジル・スルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアジル・スルフェンアミド、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアジル・スルフェンアミド、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアジル・スルフェンアミド等のスルフェンアミド類、(7)チオカルバミド、エチレン・チオ尿素(2−メルカプトイミダゾリン)、ジエチル・チオ尿素、ジブチル・チオ尿素、混合アルキルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、ジラウリルチオ尿素等のチオ尿素類、(8)ジメチル・ジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチル・ジチオカルバミン酸ナトリウム、ジ−n−ブチル・カルバミン酸ナトリウム、ジメチル・ジチオカルバミン酸鉛、ジアミル・ジチオカルバミン酸鉛、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジアミル・ジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチル・ジチオカルバミン酸亜鉛、ジーn−ブチル・ジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジル・ジチオカルバミン酸亜鉛、N−ペンタメチレン・ジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニル・ジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチル・ジチオカルバミン酸セレン、ジエチル・ジチオカルバミン酸セレン、ジエチル・ジチオカルバミン酸テルル、ジエチル・ジチオカルバミン酸カドミウム、ジメチル・ジチオカルバミン酸銅、ジメチル・ジチオカルバミン酸鉄、ジメチル・ジチオカルバミン酸ビスマス、ジメチル・ジチオカルバミン酸ピペリジン、メチルペンタメチレン・ジチオカルバミン酸ピペコリン、活性化ジチオカルバメート等のジチオカルバミン酸塩類、(9)テトラメチルチウラム・モノスルフィド、テトラメチルチウラム・ジスルフィド、活性テトラメチルチウラム・ジスルフィド、テトラエチルチウラム・ジスルフィド、テトラブチルチウラム・ジスルフィド、N,N’−ジメチル−N,N’−ジフェニルチウラム・ジスルフィド、ジペンタメチレンチウラム・ジスルフィド、ジペンタメチレンチウラム・テトラスルフィド、混合アルキル・チウラム・ジスルフィド等のチウラム類、(10)イソプロピル・キサントゲン酸ナトリウム、イソプロピル・キサントゲン酸亜鉛、ブチル・キサントゲン酸亜鉛等のザンテート類、(11)4,4’−ジチオジモルホリン、アミノジアルキルジチオホスフェート、亜鉛−o,o−n−ブチル・ホスホロジチオエート、3−メルカプトイミダゾリン−チオン−2、チオグリコール酸エステル等が挙げられる。これらは一種類単独であるいは2種類以上混合して使用することができる。
【0026】
有機過酸化物としては、1,1−ジ−tert−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ(tert−ブチルパ−オキシ)ヘキサン)、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン、1,3ビス−(tert−ブチルパーオキシ−イソ−プロピル)ベンゼン、tert−ブチルパーオキシ−イソ−プロピルカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルフォニルパーオキサイド、イソ−ブチルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−アリルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、ジ(メトキシイソプロピル)パーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、tert−ヘキシルパーオキシネオヘキサネート、ジ(3−メチル−3−メチロキシブチル)パーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシネオデカネート、tert−ヘキシルパーオキシネオデカネート、tert−ブチルパーオキシネオヘキサネート、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド、tert−ヘキシルパーキシピバレート、tert−ブチルパーヘキシピバレート、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、クミルパーオキシオクテート、アセチルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサネート)、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシイソイソブチレート、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、tert−ブチルパーオキシマレイックアシッド、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチルパーオキシ3,3,5−トリメチルヘキサネート、シクロヘキサノンパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシアリルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,2,−ビス(tert−ブチルパーオキシ)オクタン、tert−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ−tert−ブチルジパーオキシイソフタレート、メチルエチルケトンパーオキサイド、α,α’−ビス(tert−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ヘキサン、ジ−イソプロピルベンゼン−ヒドロパーオキサイド、p−メタンヒドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド、2,5,−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、tert−ブチルヒドロパーオキサイドなどが挙げられる。これらは、一種類単独であるいは二種類以上混合して使用することができる。
【0027】
加硫剤として有機過酸化物を使用する場合には、有機過酸化物と併用して硫黄、p−キノンジオキシム、p−ベンゾキノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシム、テトラクロロ−p−ベンゾキノン、ポリ−p−ジニトロベンゼン、N−メチル−N’−4−ジニトロソアニリン、N,N’−m−フェニレンジマレイミド、ジペンタメチレンチウラムペンタスルフィド、ジニトロソベンゼン、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアジンチオール、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エリスリトールテトラメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジアリルメラミン、トリメタクリレート、ジメタクリレート、ジビニルアジペート、ビニルブチラート、ビニルステアレート、液状ポリブタジエンゴム、液状ポリイソプレンゴム、液状スチレンーブタジエンゴム、液状アクリロニトリルーブタジエンゴム、マグネシウムジアクリレート、カルシウムジアクリレート、アルミニウムアクリレート、亜鉛アクリレート、スタナスアクリレート、メタクリル酸亜鉛、メタクリル酸マグネシウムジメタクリル酸亜鉛等の共架橋剤を配合することができる。
【0028】
樹脂加硫剤としては、アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂、メラミンーホルムアルデヒド縮合物、トリアジン−ホルムアルデヒド縮合物、オクチルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂、アルキルフェノール・スルフィド樹脂、ヘキサメトキシメチル・メラミン樹脂等が挙げられる。
金属酸化物加硫剤としては、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、一酸化鉛等が挙げられる。
含硫黄有機加硫剤としては、モルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、N、N−[ジチオ−ビス(ヘキサヒドロ−2H−アゼピノン−2)、チウラムポリスルフィド、2−(4−[モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール等が挙げられる。
【0029】
ポリアミン系加硫剤としては、ヘキサメチレンジアミンカルバメート、N,N’−1,6−ヘキサンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレン・テトラミン、テトラエチレン・ペンタミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)カルバメート、N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサンジアミン、アンモニウムベンゾエート等が挙げられる。
トリアジン系加硫剤としては、2,4,6−トリメルカプト−S−トリアジン、2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン等が挙げられる。
【0030】
ポリオール系加硫剤としては、ビスフェノールA、ビスフェノールAF、ハイドロキノン、ペンタエリトリトール等が挙げられる。
金属石けん系加硫剤としては、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム等が挙げられる。
マレイミド系加硫剤としては、N,N’−m−フェニレンジマレイミド等が挙げられる。
【0031】
前記充填剤としては、例えば、重質炭酸カルシウム、胡粉、軽微性炭酸カルシウム、極微細活性化炭酸カルシウム、特殊炭酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、カオリンクレー、焼成クレー、パイロフライトクレー、シラン処理クレー、天然ケイ酸、合成無水ケイ酸、合成含水ケイ酸、合成ケイ酸カルシウム、合成ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、カオリン、セリサイト、タルク、微粉タルク、ウォラスナイト、ゼオライト、ゾーノトナイト、マイカ、アスベスト、PMF(Processed Mineral Fiber)、セピオライト、チタン酸カリウム、エレスタダイト、石膏繊維、ガラスバルン、シリカバルン、ハイドロタルサイト、フライアシュバルン、シラスバルン、カーボン系バルン、フェノール樹脂、尿素樹脂、スチレン系樹脂、サラン樹脂等の有機系バルン、アルミナ、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、二硫化モリブデン、グラファイト、ガラス繊維(チョップドストランド、ローピング、ミルドガラス繊維、ガラスフレーク)、カットファイバー、ロックファイバー、ミクロファイバー、炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維、チタン酸カリウム繊維、再生ゴム、ゴム粉末、エボナイト粉末、セラック、木粉等が挙げられる。
【0032】
着色剤としては、(1)酸化チタン、酸化亜鉛、リトポン、バライト、沈降性硫酸バリウム、炭酸カルシウム、せっこう、カーボンブラック、鉛白、弁柄等の無機顔料、(2)不溶性ジスアゾ系、縮合アゾ系、イソインドリノン系、ベンズイミダゾロン系、アニリンブラック等の有機顔料が挙げられる。
滑剤としては、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、ラウリル酸、ジブチルアンモニウム・オレート、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0033】
金属酸化物としては、例えば、亜鉛華、活性亜鉛華、表面処理亜鉛華、炭酸亜鉛、複合亜鉛華、複合活性亜鉛華、表面処理酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、極微細水酸化カルシウム、一酸化鉛、鉛丹、鉛白等が挙げられる。
本発明の導電性組成物はその低硬度化の手段として、一般的に行われている様な方法例えば、軟化剤、可塑剤の添加による方法及び/又は、発泡剤、発泡助剤の添加によるスポンジゴムとする方法が有効である。このうち、ソリッドゴムをスポンジゴム化すると、通常、ソリッドゴムにおける電気抵抗値のバラツキが更に増幅される傾向にあり問題点が多い。しかし、本発明の導電性ゴム組成物は、ソリッドゴムのバラツキが極めて小さいためスポンジゴムにおいてもバラツキが小さくなる。発泡剤としては、例えば炭酸アンモニウム、重炭酸ナトリウム、無水硝酸ナトリウム等の無機発泡剤;ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジメチル−N,N’ジニトロソテレフタルアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、3,3’−ジスルホンヒドラジドジフェニルスルホン、アゾイソブチロニトリル、アゾビスホルムアミド等の有機発泡剤を挙げることができる。これらの発泡剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
また、上記発泡剤とともに、尿素系、有機酸系、金属塩系等の発泡助剤を用いることもできる。
軟化剤としては石油系軟化剤、植物油系軟化剤、サブが挙げられる。石油系軟化剤は、アロマティック系、ナフテン系、パラフィン系軟化剤等が挙げられる。植物系軟化剤は、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やじ油、落花生油、木ろう等が挙げられる。サブとしては、黒サブ、白サブ、飴サブ等が挙げられる。このうち、現像ロールはトナーとの反応性のないこと(トナーの脱離性に優れること)が必要であり、この点において、特にパラフィン系、ナフテン系油が好ましい。
【0034】
可塑剤としては、フタル酸系、イソフタル酸系、テトラヒドロフタル酸系、アジピン酸系、アゼライン酸系、セバシン酸系、ドデカンー2ー酸系、マレイン酸系、フマル酸系、トリメリット酸系、クエン酸系、イタコン酸系、リシノール酸系、ステアリン酸系、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリエーテルエステル系、フォスフェート系、グリコール系、エポキシ系等の可塑剤が挙げられる。中でも、トナーの脱離の点で、セバシン酸系が好ましい。
【0035】
老化防止剤としてナフチルアミン系、ジフェニルアミン系、p−フェニレンジアミン系、キノリン系、ヒドロキノン誘導体系、モノ、ビス、トリス、ポリフェノール系、チオビスフェノール系、ヒンダートフェノール系、亜リン酸エステル系、イミダゾール系、ジチオカルバミン酸ニッケル塩系、リン酸系の老化防止剤等が挙げられる。
【0036】
上記方法によって得られた導電性ゴム組成物は、その後、加硫されて導電性ゴム部材が製造される。この際、この導電性ゴム組成物を加硫(架橋)させるために、加硫剤(架橋剤)を混練機にて添加したのち、架橋成形を行う。この加硫剤としては、前記に示すものを使用できる。また、混練温度が低い場合、又は反応温度が高い加硫剤のように混練時に加硫剤が反応しない場合には、最初から加硫剤を配合しておいて、混練時に配合しなくてもよい。
導電性ゴム部材として使用されるロール、ブレード、ベルト等に適用するために所望の形状に成形される。成型方法は特に限定されず、通常の方法を採用することができる。例えば、プレス成形、トランスファー成形、押し出し成形、インジェクション成形、などの方法が挙げられる。更には、成型物を電子線、高周波、空気加熱等の架橋を行うこともできる。
【0037】
また、体積固有抵抗値の同一バッチ間のばらつき範囲(最大値と最小値との差)は、以下の実施例にて示す測定条件において、1.0Ω・cm以下、好ましくは0.5Ω・cm以下、更に好ましくは0.4Ω・cm以下である。更に、以下の実施例にて示す測定条件において測定される環境依存性について、10℃、15%RH下の体積固有抵抗値(L/L値)と、30℃、85%RH下の体積固有抵抗値(H/H値)の差が、0.7Ω・cm以下、好ましくは0.5Ω・cm以下、更に好ましくは0.4Ω・cm以下である。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、実験例により本発明のゴム組成物を説明するが、本発明はこれらの実験例に限定されるものではない。尚、実験例1及び2、並びに実験例5〜10は実施例であり、実験例3及び4は参考例である。
実験例1
本実験例の架橋粒子状ポリマー(A1−1)は、以下の方法により製造された。即ち、ラウリル硫酸ナトリウムを乳化剤とし、過酸化ベンゾイルを重合開始剤として、ブタジエン/スチレン/ジビニルベンゼン=70/20/10(モル%)の割合からなる単量体混合物の乳化重合を実施した。得られた共重合体エマルジョンを、塩化カルシウムを用いて塩凝固し、乾燥して、架橋粒子状ポリマー(A1、溶解度パラメータ(以下、SP値という。);8.45)を得た。このときの重合転化率はほぼ100%であった。
この架橋粒子状ポリマー(A1−1)の平均粒子径は、ゴム組成物を凍結切断し、切断面を透過型電子顕微鏡で分散ゴム粒子の数が約50〜100個からなる領域を任意に3カ所選び、各々について分散ゴム粒子の長径と個数を観察し、数平均粒子径を算出し、3領域の平均値を平均粒子径とした。
また、トルエン不溶分は、ゴム成分の架橋度を示す指数であり、以下のようにして定量される。即ち、架橋粒子状ポリマー(A1)を325メッシュの金網のカゴに精秤して入れ、大過剰の沸騰トルエン中に放置し、6時間後カゴを取り出して不溶分を乾燥後、精秤し、溶解前の架橋粒子状ポリマー全量で除した価である。
このようにして求めた架橋粒子状ポリマー(A1−1)の平均粒子径は0.7μmで、ムーニー粘度は75(100℃)であった。このトルエン不溶分の結果は表2に示した。また、架橋粒子状ポリマー(A1−1)を170℃で20分間圧縮プレスして得られた成型物の硬さは、50(デュロ A)であった(表2参照)。
次に、未架橋ポリマー(線状ポリマー、A2)として、アクリロニトリルブタジエン共重合体ゴム(JSR(株)製「 N230S」、100℃のムーニー粘度;56、SP値;10.0)を用いた。尚、両者のSP値の差は1.55(表1参照)であった。
導電性付与剤(B)として、カーボンブラック(ライオン(株)製、「ケッチェンブラックEC600JD」)を用いた。これら及び他の添加剤を、表1に示す配合処方でバンバリーミキサを用いて、混練設定温度100℃にて混練し、導電性ゴム組成物を得た。
【0039】
【表1】
【0040】
尚、表1に示す他の添加剤の内容等は、以下の通りである。
「PW380」;出光興産製、パラフィン系軟化剤
「LV70」;旭電化社製、導電性可塑剤
「コーモレックス2号プロセスオイル」;日本石油社製、ナフテン系軟化剤
「LV808」;旭電化社製、導電性可塑剤
「RS700」;旭電化社製、非導電性可塑剤
「パーカドックス14/40」;日本化薬アクゾ社製、架橋剤
「バルノックPM」;大内新興化学工業社製、架橋助剤
「ノンスコーチN」;精工化学社製、加硫遅延剤
「DOS」;大八化学製、非導電性可塑剤
「コーモレックス2号プロセスオイル」;日本石油社製、ナフテン系軟化剤「CL#2」
「MP100」;昭島化学工業(株)製、NaClO4とCH3OCH2CH2OCH2CH2OHとの錯塩
「MP100A」;昭島化学工業(株)製、LiClO4とCH3OCH2CH2OCH2CH2OHとの錯塩
「ノクセラーCZ」;大内新興化学工業社製
「ノクセラーTT」;大内新興化学工業社製
「硫黄」;鶴見化学工業(株)製
「ネオセルボンN#1000」;永和化成(株)製
「セルトンNP」;三協化成(株)製
「ベスタPP」;井上石灰(株)製
【0041】
次いで、170℃、20分プレス加硫し160mm×160×mm×2mmのシート及びブロック(φ29mm、厚さ12.7mm)を作製し、体積固有抵抗値、機械的性質(硬さ、引張強度、破断伸び、圧縮永久歪み)及びカーボンブラックの偏在の有無を測定した。その結果を表2に示した。
【0042】
【表2】
【0043】
本実験例において実施した評価方法は以下の通りである。
[体積固有抵抗値];加硫ゴムシートを用いJIS K6723に従い測定した。環境依存性については、L/L(10℃、15%RH)、M/M(25℃、50%RH)、H/H(30℃、85%RH)の3条件について体積固有抵抗値を測定した。一方、ばらつきの状況はM/Mの条件下で、シート5点について測定した。この値は、同一配合(n=5バッチ)におけるバッチ間のバラツキについての測定値(最大値及び最小値)である。更に、同一加硫シート内の位置バラツキについても測定をした。この値は、縦;150mm、横;150mm、厚さ;2mmの縦、横を各五等分した計25の格子領域について、25℃、50%RH(M/M)の条件下にて測定したもの(最高値、最低値及び標準偏差)である。これらの値は、表2に併記した。
[引張試験];JIS K6251に従い、引張強度(MPa)、破断伸び(%)を測定した。
[硬さ試験];JIS K6253に従い、硬さ(デュロ A)を測定した。
[圧縮永久歪み試験];JIS K6262に従い、測定した(70℃、22時間)。
[カーボンブラックの偏在の有無];上記加硫試片を凍結切断し、その断面を透過型電子顕微鏡で観察し、未架橋ポリマー(A2)及び架橋粒子状ポリマー(A1)のうち、架橋粒子状ポリマー(A1)中よりも未架橋ポリマー(A2)中にカーボンブラックが多く存在している状況が確認できるか否かで判定した。
【0044】
実験例2
本実験例は、SBRエマルジョンとNBRエマルジョンとを混合してブレンドゴムを得て、試験したものである。
本実験例の架橋粒子状ポリマー(A1−2)としては、実験例1で得た共重合体エマルジョン(SP値;8.45)を用いた。そして、この共重合体エマルジョン70部(固形分換算値)と、未架橋ポリマー(A2−2)として、実験例1のNBRエマルジョン(JSR(株)製、「N230Sエマルジョン」、SP値;10.0)30部(固形分換算値)とを混合し、その後、塩化カルシウムを用いて塩凝固し、乾燥して、ブレンドゴムを得た(表1参照)。
このブレンドゴムに、導電性付与剤(B)としてカーボンブラック(三菱カーボン社製、「ダイヤブラック 3030B」)を用い、表1に示す配合処方でバンバリーミキサを用いて、混練設定温度100℃にて混練し、導電性ゴム組成物を得た。次いで、170℃、20分プレス加硫し、前記と同じ評価方法により同評価試験を行い、その結果を表2に示した。
【0045】
実験例3
本実験例においては、未架橋ポリマー(A2)として、アクリルゴム(JSR(株)製、「AREX100」、100℃のムーニー粘度;40、SP値;9.35)を用いた他は実験例1と同様にして、導電性ゴム組成物を得た(表1参照)。
次いで、170℃、20分プレス加硫し、前記と同じ評価方法により同評価試験を行い、その結果を表2に示した。
【0046】
実験例4
本実験例は架橋性単量体として、ジビニベンゼンの代わりにトリメチロールプロパントリアクリレートを用いたものである。
本実験例の架橋粒子状ポリマー(A1−3)は、以下のようにして製造された。即ち、ラウリル硫酸ナトリウムを乳化剤とし、過酸化ベンゾイルを重合開始剤として、ブタジエン/スチレン/トリメチロールプロパントリアクリレート=70/23/7(モル%)の割合からなる単量体混合物の乳化重合を実施した。得られた共重合体エマルジョンを、塩化カルシウムを用いて塩凝固し、乾燥して、架橋粒子状ポリマー(A1−3、SP値;8.6)を得た。このときの重合転化率はほぼ100%であった。
この架橋粒子状ポリマー(A1−3)の平均粒子径は0.4μm、80℃のムーニー粘度は68であった。また架橋粒子状ポリマー(A1−3)を170℃で20分間圧縮プレスして得られた成型物の硬さは、49(デュロ A)であった。
次に、未架橋ポリマー(A2)として、アクリロニトリルブタジエン共重合体ゴム(JSR(株)製、「 N230SV」、80℃のムーニー粘度;55、SP値;10.0)を用いた。導電性付与剤(B)としてカーボンブラック(ライオン(株)製、「ケッチェンブラックEC600JD」)を用い、表1に示す配合処方でバンバリーミキサを用いて、混練開始温度100℃にて混練し、導電性ゴム組成物を得た。次いで、170℃、20分プレス加硫し、前記と同じ評価方法により同評価試験を行い、その結果を表2に示した。
【0047】
実験例5
本実験例は、架橋粒子状ポリマー(A1−2)及び未架橋ポリマー(A2、「N230Sエマルジョン」、SP値;10.0)、更にはカーボンブラック(東海カーボン社製、「トーカブラック#5500」)の配合割合を実験例2の場合と変えて、同様にして、導電性ゴム組成物を得たものである(表1参照)。
次いで、170℃、20分プレス加硫し、前記と同じ評価方法により同評価試験を行い、その結果を表2に示した。
【0048】
実験例6
本実験例は、未架橋ポリマー(A2)として、アクリロニトリルブタジエン共重合体ゴム(JSR(株)製、「N239SV」、100℃のムーニー粘度;30、SP値;10,0)を用い、導電付与剤(B)としてカーボンブラック(昭和電工(株)製、「アセチレンブラック HS−100」を用いた他は、実験例1と同様にして表1に示す配合処方で導電性ゴム組成物を得た。(表1参照)。次いで、170℃、20分プレス加硫し、前記と同じ評価方法により同評価試験を行い、その結果を表2に示した。
【0049】
実験例7
架橋粒子ポリマー(A1)として、ラウリル硫酸ナトリウムを乳化剤とし、過酸化ベンゾイルを重合開始剤として、ブタジエン/スチレン/ジビニルベンゼン=75/24/1(モル%)の割合からなる単量体混合物の乳化重合を実験した。得られた共重合体エマルジョンを、塩化カルシウムを用いて塩凝固し、乾燥して、架橋粒子状ポリマー(A1−5、SP値;8.5)を得た。このときの重合転化率はほぼ100%であった。
この架橋粒子状ポリマー(A1−5)の平均粒子径は0.7μmで、ムーニー粘度は65であった。また、架橋粒子状ポリマー(A1−5)を170℃で20分間圧縮プレスして得られた成型物の硬さは、50(デュロ A)であった(表2参照)。
未架橋ポリマー(A2)として、アクリロニトリルブタジエン共重合体ゴム(JSR(株)製「 N250SL」、100℃のムーニー粘度;43、SP値;9.25)を用い、導電性付与剤(B)として、カーボンブラック(昭和電工(株)製、「アセチレンブラック HS100」)を用い、表1に示す配合処方の他は、実験例1と同様にして、導電性ゴム組成物を得た。
次いで、170℃、20分プレス加硫し、前記と同じ評価方法により同評価試験を行い、その結果を表2に示した。
【0050】
実験例8
本実験例は、架橋粒子ポリマー(A1−5)を用い、未架橋ポリマー(A2)として、アクリロニトリルブタジエン共重合体ゴム(JSR(株)製、「N239SV」、100℃のムーニー粘度;30、SP値;10.0)を用い、導電付与剤(B)としてカーボンブラック(昭和電工(株)製、「アセチレンブラック HS−100」を用いた他は、実験例1と同様にして表1に示す配合処方で導電性ゴム組成物を得た(表1参照)。
次いで、170℃、20分プレス加硫し、前記と同じ評価方法により同評価試験を行い、その結果を表2に示した。
【0051】
実験例9
本実験例は、実験例7と同じの架橋粒子ポリマー(A1−5)、未架橋ポリマー(A2)及びカーボンブラック(「アセチレンブラック HS−100」)を用い、実験例8と異なる配合処方を用いて導電性ゴム組成物を得た(表1参照)。次いで、170℃、20分プレス加硫し、前記と同じ評価方法により同評価試験を行い、その結果を表2に示した。
【0052】
実験例10
本実験例は、実験例9の架橋粒子ポリマー(A1−5)、未架橋ポリマー(A2)及びカーボンブラック(「アセチレンブラック HS−100」)を用い、表1に示す配合処方を用いて導電性ゴム組成物を得た(表1参照)。次いで、170℃、20分プレス加硫し、架橋発泡体を得た。次に、この発泡体をスポンジすき機によって2mmシートに成形した。このシートを前記と同じ評価方法により同評価試験を行い、その結果を表2に示した。
【0053】
比較例1
実験例1中のバンバリーミキサの混練設定温度を50℃とした以外は、実験例1と同様にして組成物を作製し(表1参照)、同様にして評価した。その結果を表2に示した。
【0054】
比較例2
本比較例は極性の架橋粒子状ポリマー(NBR)と非極性の未架橋ポリマー(SBR)という逆の極性の組合せにしたものである。
本比較例の架橋粒子状ポリマー(A1−4)は、アクリロニトリル/ブタジエン/ジビニルベンゼン=30/60/10(モル%)の割合の単量体混合物の乳化重合を実施し、得られた共重合体エマルジョンを塩化カルシウムを用いて塩凝固し、乾燥して得た。このときの重合転化率は99%であった。また、この平均粒子径は1μm、100℃のムーニー粘度は60、SP値は10.0であった。
次いで、未架橋ポリマーとして、SBR(JSR(株)製、「SBR1502」、100℃のムーニー粘度;52、SP値;8.6)を用いた。導電性付与剤(B)としては、カーボンブラック(三菱カーボン社製、「ダイヤブラック 3030B」)を用い、表1に示す配合処方でバンバリーミキサを用いて、混練設定温度100℃にて混練し、導電性ゴム組成物を得た。次いで、170℃、20分プレス加硫し、前記と同じ評価方法により同評価試験を行い、その結果を表2に示した。
【0055】
実験例1〜10及び比較例1〜2の効果
表1及び表2の結果によれば、比較例1では、混練開始温度における粘度が未架橋ポリマーの方が大きいので、バッチ間のばらつき(Δ)が3.0と大きく、しかもL/L値とH/H値との差も1.0と大きい。また、破断伸びが350%と小さく、硬さ(デュロA)も48とやや硬い。これらは、カーボンブラックとの親和性がよく、一方、混練り時のムーニー粘度については、低粘度側に混入しやすいという性質を持ち、このことがカーボンブラックの混入性が極めて不安定となり、導電性のばらつきの要因となる。また、比較例2は、極性の架橋粒子状ポリマー(NBR)と非極性の未架橋ポリマー(SBR)という逆の極性の組合せのため、バッチ間のばらつき(Δ)が2.5と大きく、しかもL/L値とH/H値との差も1と大きく、破断伸びも360%と小さく、硬さ(デュロA)も48とやや硬い。これらは、カーボンブラックが極性ゴムとは親和性がよく、一方、架橋ゴムには混入し難いという性質を持つために、カーボンブラックの混入性は、極めて不安定な状態におかれ、導電性のばらつきの要因となる。
【0056】
一方、実験例1〜10は、いずれも、バッチ間のばらつき(Δ)が0.2〜0.4Ω・cmであり、比較例1及び比較例2の約1/10である。また、実験例1〜9は、いずれも、同一加硫シート内の位置バラツキ(標準偏差)も、0.01〜0.04であり、比較例1及び比較例2の約1/10である。更に、実験例1〜9は、L/L値とH/H値との差も0.1〜0.7Ω・cmであり、両比較例と比べると大変小さく、特に、実験例1〜3、実験例5及び実験例8は、0.1〜0.5Ω・cmと著しく小さい。また、破断伸びは、400〜650%であり、両比較例と比べると、大変大きく、特に、実験例2は650%と著しく大きい。更に、実験例1〜8及び10において、硬さ(デュロA)は両比較例と比べると、15〜45と小さく、特に、実験例3は35と小さく、実験例10は15と著しく小さい。尚、圧縮永久歪においても、十分な実用性能を示している。
以上より、本実験例のゴム組成物を用いれば、電気抵抗の位置ばらつきが少なく、低温・低湿から高温・高湿に至るまでの環境変化に対してもその電気抵抗値の変動幅が小さく、低硬度で、且つ破断伸びも大きいという、全ての面で優れた性能をバランスよく示すゴム部材(ゴムシート等)を提供できる。
【0057】
また、実験例1〜10に示すように、非極性のSBR架橋粒子状ポリマー及び極性のNBR未架橋ポリマーを用いて、混練設定温度を80℃及び100℃にすれば、上記極めて優れた性能を示す導電性ゴム組成物を、容易に製造できる。
尚、本発明においては、前記具体的実施例に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。
【0058】
【発明の効果】
本発明のゴム組成物によれば、電気抵抗の位置ばらつきが少なく、低温・低湿から高温・高湿に至るまでの環境変化に対してもその電気抵抗値の変動幅が小さく、低硬度で、且つ破断伸びも大きいという、全ての面で優れた性能をバランスよく示す導電性ゴム部材(ゴムシート等)を提供できる。即ち、本発明の導電性ゴム部材は、上記優れた性能を示す。
また、本発明の製造方法によれば、極めて優れた上記性能を示す導電性ゴム組成物を、加硫剤の種類を変えて且つ2段加硫をしなくても、容易に製造できる。
以上より、本発明のゴム組成物等は、LCD関連分野、LSI関連分野、IC関連分野、OA機器、AV機器、家電機器等の導電性あるいは帯電防止性が要求される分野、特に電子写真技術を用いたプリンタ、複写機等の帯電・現像・転写ロール、ベルト等に極めて好適に使用することができる。
Claims (4)
- 架橋粒子状ポリマー(A1)、未架橋ポリマー(A2)及び導電性付与剤(B)を含有し、
上記架橋粒子状ポリマー(A1)が、ブタジエンゴム及びスチレン−ブタジエンゴムから選択される少なくとも一種であり、
上記未架橋ポリマー(A2)が、アクリロニトリル−ブタジエンゴム及び水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴムから選択される少なくとも一種であり、
上記導電性付与剤(B)が、上記未架橋ポリマー(A2)及び上記架橋粒子状ポリマー(A1)のうち、該架橋粒子状ポリマー(A1)中よりも該未架橋ポリマー(A2)中に多く存在し、
上記架橋粒子状ポリマー(A1)は、乳化重合により得られ、且つ架橋反応性モノマーを共重合させて得られた架橋粒子状ポリマーであり、
上記架橋粒子状ポリマー(A1)のデュロA硬さが45〜80であり、
上記未架橋ポリマー(A2)の溶解度パラメータと、上記架橋粒子状ポリマー(A1)の溶解度パラメータとの差が、0.5〜5であり、
上記架橋反応性モノマーが、ジビニルベンゼンであることを特徴とする導電性ゴム組成物。 - 上記架橋粒子状ポリマー(A1)と上記未架橋ポリマー(A2)と、のブレンド比率(重量比)が、(40/60)〜(90/10)である請求項1記載の導電性ゴム組成物。
- 架橋粒子状ポリマー(A1)、未架橋ポリマー(A2)及び導電性付与剤(B)を含有し、上記架橋粒子状ポリマー(A1)がブタジエンゴム及びスチレン−ブタジエンゴムから選択される少なくとも一種であり、上記未架橋ポリマー(A2)がアクリロニトリル−ブタジエンゴム及び水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴムから選択される少なくとも一種である配合物を、以下に示す(1)式が成立する温度(T℃)において混練開始し、
上記架橋粒子状ポリマー(A1)は、乳化重合により得られ、且つ架橋反応性モノマーを共重合させて得られた架橋粒子状ポリマーであり、
上記未架橋ポリマー(A2)の溶解度パラメータと、上記架橋粒子状ポリマー(A1)の溶解度パラメータとの差が、0.5〜5であり、
上記架橋反応性モノマーが、ジビニルベンゼンであることを特徴とする導電性ゴム組成物の製造方法。
上記未架橋ポリマー(A2)のムーニー粘度(T℃)/上記粒子状ポリマー(A1)のムーニー粘度(T℃)≦1.0 (1) - 請求項1又は2に記載の導電性ゴム組成物を加硫して得られる画像形成装置に使用されることを特徴とする導電性ゴム部材。
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