JP4585627B2 - 板圧延機および板圧延方法 - Google Patents
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Description
例えば、特開平05−038504号公報には、作業ロールチョックを水平方向に押圧する構造のクロスロール圧延機が開示されている。
しかし、この特開平05−038504号公報の圧延機は、作業ロールチョックのみを押圧する構造であるため、作業ロールチョックと作業ロールとの間に存在する作業ロールベアリングのガタに起因する作業ロールオフセット量の変動を抑制することはできないという問題点があった。
特開平05−050109号公報には、圧延機の入出側に作業ロールを水平方向に支持するサポートローラを配備した板圧延機が開示されている。
この特開平05−050109号公報の圧延機の作業ロールは、硬質材、極薄材の圧延用の小径作業ロールを前提としており、直接電動機で駆動されているものではなく、補強ロールを通じて間接的に駆動されている。間接駆動の場合、駆動力伝達のため補強ロールから作業ロールに大きな水平力が作用し、圧延荷重の水平方向力との相互作用により、不安定現象の原因となっていた。特に小径作業ロールの場合は、水平方向作業ロールたわみが大きくなり、不安定現象が助長されるため、このような水平方向サポートローラにより、作業ロールの小径化と剛性アップの両立が必要だった。
しかし、本圧延機は、小径作業ロールの剛性を著しく大きくすることによる、たわみ解消と作業ロール径の最小化を目的としているため、圧延制御する上での基準となるゼロ点調整や、該ゼロ点調整状態の維持という課題は解決されていない。
特開平08−164408号公報には、作業ロールの片側に水平方向支持のためのサポートローラを配備した板圧延機が開示されている。
しかし、この特開平08−164408号公報の圧延機も特開平05−050109号公報の圧延機と同様、小径作業ロールであって、間接駆動型の圧延機である。特開平05−050109号公報と同様に、小径ロールのために、ロールの剛性が小さく、水平方向のたわみが生じ易い。上下の作業ロールでたわみ差が生じると、圧延が不安定となるため、水平方向の作業ロール剛性を高め、上下の作業ロールのたわみ差が生じないようコントロールするため、上下の作業ロールに水平方向のサポートローラを設置したものである。
この圧延機に用いる当該サポートローラは、作業ロールのオフセットによって生じる圧延反力の水平方向分力と逆方向の力を加えて作業ロールを支持する構造となっているため、作業ロールの軸心位置を安定化させることができなかった。そして、特開平05−050109号公報の作業ロールと同様に、圧延制御する上での基準となるゼロ点調整や、該ゼロ点調整状態の維持という課題は解決されていない。
特開平05−185106号公報には、作業ロールの片側又は両側に作業ロールに水平方向たわみを与えるための中間ロールを配備した板圧延機が開示されている。これは、作業ロールのプロフィール(特に被圧延材のパスライン方向の凹凸)により、圧延材の形状をコントロールするため、積極的に作業ロールにたわみを付加するものである。そのため、中間ロールは先細り構造となっており、それに沿うように作業ロールをたわませるため、軸受け部にベンディング力を付与する構造となっている。
しかし、この特開平05−185106号公報の圧延機に用いられている作業ロール軸端部は水平方向ベンディング力を付与して荷重制御で支持する構造となっており、作業ロールオフセット位置を厳密に制御する構造とはなっていないという問題点があった。そして、ゼロ点調整や、該ゼロ点調整状態の維持という、圧延制御をする上での基準点が定まらないという問題点は残ったままである。
特開平10−277619号公報には、上下作業ロールのどちらか一方に水平力を付与する板圧延機が開示されている。この特開平10−277619号公報の圧延機は、作業ロールの軸心を補助強ロールの軸心から、圧延出側方向へオフセットされた圧延機であって、圧延材が圧延機を抜けたとき、ロールギャップが小さいと上下作業ロールが接触し、上下作業ロールの径差により、大径ロールが圧延入側方向に移動することを防止するため大径側ロールに水平力を付与し、大径作業ロールを圧延出側方向に押し付ける構造となっている。
しかし、特開平10−277619号公報の発明による水平力付与は、圧延材が圧延機を抜け、上下作業ロールが接触したときに、大径作業ロールのみに適用することを前提としているため、例えば上作業ロールが大径で下作業ロールに水平力付与装置がない場合,上下作業ロール間にオフセット量の偏差を生じ圧延材の反りの発生原因となることに加え,下作業ロールと下補強ロール間に微小クロス角、そしてスラスト力が発生して、蛇行やキャンバーが生ずるという問題点があった。
特表WO01/064360号公報には、圧延機の作業ロールのロール軸受箱を介して、ロールに上下方向のバランス力又はベンダー力を与える第一の押圧装置と、水平面内で圧延ロール軸と直交する方向の押圧力を与える第二の押圧装置を備える圧延機が開示されている。
しかし、これら押圧装置による外力は、軸受箱を介して付与されるため、特開平05−038504号公報と同様に、作業ロール軸受箱と作業ロールとの間に存在する作業ロールベアリングのガタに起因する作業ロールオフセット量の変動を抑制することはできないという問題点があった。
本発明者は、前述の課題について鋭意検討した結果、板圧延操業において重大なトラブルや品質異常に繋がる問題である圧延材の反り、蛇行およびキャンバーの問題に関して、圧延中の上下の各作業ロールオフセット量(作業ロール軸心と補助強ロール軸心の水平方向のずれ量)の変動が、重大な関与をしていることを見出した。
例えば、作業ロールオフセット量が上下偏差が0.2mm程度変動することで、圧延材の反りやうねりが大きく変化すること、また作業ロールオフセット量の左右差(作業側WSと駆動側DSの差)が0.2mm程度変動することで、作業ロール〜補強ロール間のスラスト係数が約0.004程度、すなわち1000tfの圧延荷重に対して4tf程度の有意なスラスト力が発生することを知見した。
作業ロール〜補強ロール間に作用するスラスト力は圧延機の構造や寸法にも左右されるが、ほぼ同程度の圧延荷重の左右差として顕在化する。例えば、駆動側および作業側の圧下装置の圧下位置零点調整を圧延荷重測定用荷重検出装置の出力によって行う場合、作業ロール〜補強ロール間のスラスト力が外乱となり、正確な圧下位置零点調整が実施できず蛇行やキャンバー等の問題の発生原因にもなる。そこで本発明では、作業ロールベアリングのガタや作業ロールネック部の変形も考慮した上で、作業ロールオフセット量の上下および左右偏差を厳密に解消して安定圧延を実現する必要がある。
また、圧延中においても、スラスト力起因の圧延荷重の左右差は、ミル変形の左右差を通じて圧下率の左右差や圧延材の蛇行を誘発することになる。さらに、作業ロールオフセット量の左右差は、それ自身で圧延材の水平面内での進入角度の微小な誤差になるので、この状態で圧延を続けることは、圧延材の蛇行に直接的に繋がる。以上のことから、作業ロールの位置を安定化させることで、反りや蛇行およびキャンバーの発生を防止することが可能となると考えた。
本発明者は、これら課題解決の基本的考え方に沿って、本発明を成すに至った。
その結果、圧延方向オフセットによって作業ロールに負荷される圧延反力の水平方向分力と同じ方向の略水平方向の外力を、作業ロールに負荷する装置を設けることにより、圧延中や圧延前の零点調整作業等のキスロール締め込み状態で発生する圧延機の上下および左右(作業側WS/駆動側DS)における作業ロールのオフセット量の偏差を厳密に解消し、板反りや作業ロール〜補強ロール間に生じるスラスト力に起因する蛇行やキャンバー等の問題を解消することができる板圧延機および板圧延方法を提供するものである。
その要旨は、以下のとおりである。
(1)電動機によって駆動される上下一対の作業ロールと、該作業ロールに接して該作業ロールに負荷される圧延反力を支持する上下一対の補強ロールとを有し、該作業ロールの軸心とそれに接する補強ロールの軸心が水平方向にオフセットされている板圧延機であって、該上下作業ロールのそれぞれに対して圧延機の幅方向の中心を挟んで作業側および駆動側に各1箇所以上、合計2箇所以上の位置の該作業ロール胴部または軸部に略水平方向の外力を負荷する装置を有し、前記作業ロールに負荷する水平方向外力の方向は、該作業ロール軸心位置と補強ロール軸心位置との圧延方向オフセットによって該作業ロールに負荷される圧延反力の水平方向分力と同じ方向であり、該作業ロールに負荷された水平方向外力は、作業ロールチョックを介して圧延機ハウジングのプロジェクトブロック、または、補強ロールチョックに繋がる作業ロールチョック支持部材により支持されていることを特徴とする板圧延機。
(2)さらに、前記上下一対の補強ロールのそれぞれに対して圧延機の幅方向の中心を挟んで作業側および駆動側に各1箇所以上、合計2箇所以上の位置の該補強ロール胴部または軸部に略水平方向の外力を負荷する装置を有し、該補強ロールに負荷する水平方向外力の方向は、前記作業ロール軸心位置と補強ロール軸心位置との圧延方向オフセットによって該補強ロールに負荷される圧延反力の水平方向分力と同じ方向であることを特徴とする(1)に記載の板圧延機。
(3)前記作業ロールに略水平方向の外力を負荷する装置は、該作業ロール胴部の端部近傍に力を負荷する位置に設けられていることを特徴とする(1)または(2)に記載の板圧延機。
(4)前記作業ロールに略水平方向の外力を負荷する装置は、該作業ロールチョックの外側の作業ロール軸端部に力を負荷する位置に設けられていることを特徴とする(1)または(2)に記載の板圧延機。
(5)前記作業ロールに略水平方向の外力を負荷する装置は、該作業ロール胴部の端部近傍に力を負荷する位置、および、該作業ロールチョックの外側の作業ロール軸端部に力を負荷する位置に設けられていることを特徴とする(1)または(2)に記載の板圧延機。
(6)前記作業ロールに略水平方向の外力を負荷する装置は、該作業ロール胴部の端部近傍に力を負荷する位置に設けられ、かつ、該作業ロール胴部の中央部には、該作業ロール胴部の端部近傍に負荷される該水平方向外力の合計値よりも小さくかつ逆方向に略水平方向の外力を負荷する装置が設けられていることを特徴とする(1)または(2)に記載の板圧延機。
(7)前記作業ロールに略水平方向の外力を負荷する装置は、該作業ロールチョックの外側の作業ロール軸端部に力を負荷する位置に設けられ、かつ、該作業ロール胴部の中央部には、該作業ロール軸端部に負荷される該水平方向外力と同方向に略水平方向の外力を負荷する装置が設けられていることを特徴とする(1)または(2)に記載の板圧延機。
(8)前記作業ロールチョックと、圧延機ハウジングのプロジェクトブロック、または、補強ロールチョックに繋がる作業ロールチョック支持部材との間に、前記作業ロールに負荷される水平方向荷重を測定する作業ロール水平方向荷重検出装置を設けたことを特徴とする(1)乃至(7)のいずれか一項に記載の板圧延機。
(9)前記作業ロールに略水平方向の外力を負荷する装置は、該作業ロールと接触する部分がローラ形式であることを特徴とする(1)乃至(8)のいずれか一項に記載の板圧延機。
(10)前記作業ロールに略水平方向の外力を負荷する装置は、流体圧力を介して該作業ロールに力を伝達することができる静圧軸受形式であることを特徴とする(1)乃至(8)のいずれか一項に記載の板圧延機。
(11)電動機によって駆動される上下一対の作業ロールと、該作業ロールに接して該作業ロールに負荷される圧延反力を支持する上下一対の補強ロールと、該上下作業ロールのそれぞれに対して圧延機の幅方向の中心を挟んで作業側および駆動側に各1箇所以上、合計2箇所以上の位置の該作業ロール胴部または軸部に略水平方向の外力を負荷する装置を有し、前記作業ロールに負荷する外力の方向は、該作業ロール軸心位置と該補強ロール軸心位置との圧延方向オフセットによって該作業ロールに負荷される圧延反力の水平方向分力と同じ方向であり、該作業ロールに負荷された水平方向外力は、作業側および駆動側の該作業ロールチョックおよび水平方向負荷を測定するための作業ロール水平方向荷重検出装置を介して、圧延機ハウジングのプロジェクトブロックまたは補強ロールチョックに繋がる作業ロールチョック支持部材で支持し、かつ、圧延荷重を測定するための荷重検出装置を圧延機の作業側および駆動側それぞれに有する板圧延機による板圧延方法であって、
圧延作業を開始する前の圧下位置零点調整作業において、ロール回転状態で該板圧延機の圧下装置を操作してキスロール締め込み状態として、該圧延荷重測定用の荷重検出装置による作業側荷重測定値と駆動側荷重測定値の合計値を予め与えられた零点調整荷重に設定し、前記作業ロール水平方向荷重検出装置の出力が作業側および駆動側それぞれ予め決められた値になるように前記作業側および駆動側の水平方向外力負荷装置から作業ロールに負荷する水平方向外力を調整し、この状態を維持しつつ前記圧延荷重測定用の荷重検出装置による作業側荷重測定値と駆動側荷重測定値とが等しくなるように圧下位置の作業側と駆動側のバランスを調整して圧下位置零点を決定し、この圧下位置零点に基づいて圧延作業を実施することを特徴とする板圧延方法。
(12)電動機によって駆動される上下一対の作業ロールと、該作業ロールに接して該作業ロールに負荷される圧延反力を支持する上下一対の補強ロールと、該上下作業ロールのそれぞれに対して圧延機の幅方向の中心を挟んで作業側および駆動側に各1箇所以上、合計2箇所以上の位置の該作業ロール胴部または軸部に略水平方向の外力を負荷する装置を有し、前記作業ロールに負荷する外力の方向は、該作業ロール軸心位置と該補強ロール軸心位置との圧延方向オフセットによって該作業ロールに負荷される圧延反力の水平方向分力と同じ方向であり、該作業ロールに負荷された水平方向外力は作業側および駆動側の該作業ロールチョックおよび水平方向負荷を測定するための作業ロール水平方向荷重検出装置を介して、圧延機ハウジングのプロジェクトブロックまたは補強ロールチョックに繋がる作業ロールチョック支持部材で支持する板圧延機による板圧延方法であって、前記作業ロール水平方向荷重検出装置の出力が作業側および駆動側それぞれ予め決められた値になるように前記作業側および駆動側の水平方向外力負荷装置から作業ロールに負荷する水平方向外力を調整し、この状態を維持するよう該水平方向外力を制御しつつ圧延することを特徴とする板圧延方法。
<作用の説明>
(1)の発明によれば、圧延方向オフセットによって作業ロールに負荷される圧延反力の水平方向分力と同じ方向の略水平方向の外力を負荷する装置を上下作業ロールの両方に設けることにより、作業ロールを剛性の高い支持部材に押付けて軸芯位置を安定化させることができるので、圧延中や圧延前の零点調整作業等のキスロール締め込み状態で発生する圧延機の上下および左右(作業側WS/駆動側DS)における作業ロールのオフセット量の偏差を厳密に解消し、板反りや作業ロール〜補強ロール間に生じるスラスト力に起因する蛇行やキャンバー等の問題を解消することができる。
(2)の発明によれば、圧延方向オフセットによって補強ロールに負荷される圧延反力の水平方向分力と同じ方向の略水平方向の外力を負荷する装置を上下補強ロールの両方に設けることにより、補強ロールを剛性の高い支持部材に押付けて軸芯位置を安定化させることができるので、さらに、板反りや作業ロール〜補強ロール間に生じるスラスト力に起因する蛇行やキャンバーをさらに低減することができる。
(3)の発明によれば、作業ロールに略水平方向の外力を負荷する装置を作業ロール胴部の端部近傍に力を負荷する位置に設けることにより、外力を負荷し易いうえ、外力による作業ロールの水平方向撓みが過大になることを防止することができる。
(4)の発明によれば、作業ロールに略水平方向の外力を負荷する装置を作業ロールチョックの外側の作業ロール軸端部に力を負荷する位置に設けることにより、圧延材のガイドとの干渉を回避できるうえ、ベアリング部の水平方向隙間を低減することができる。
(5)の発明によれば、作業ロールに略水平方向の外力を負荷する装置を作業ロール胴部の端部近傍に力を負荷する位置、および、作業ロールチョックの外側の作業ロール軸端部に力を負荷する位置に設けることにより、異なる方向の外力による作業ロールの水平方向撓みを相殺することができる。
(6)の発明によれば、作業ロールに略水平方向の外力を負荷する装置を作業ロール胴部の端部近傍に力を負荷する位置に設け、かつ、作業ロール胴部の中央部に、該作業ロール胴部の端部近傍に負荷される該水平方向外力の合計値よりも小さくかつ逆方向に略水平方向の外力を負荷する装置を設けることにより、異なる方向の外力による作業ロールの水平方向撓みを相殺することができる。
(7)の発明によれば、作業ロールに略水平方向の外力を負荷する装置を作業ロールチョックの外側の作業ロール軸端部に力を負荷する位置に設け、かつ、作業ロール胴部の中央部に、作業ロール軸端部に負荷される該水平方向外力と同方向に略水平方向の外力を負荷する装置を設けることにより、同じ方向の外力による作業ロールの水平方向撓みを相殺することができる。
(8)の発明によれば、作業ロールチョックと、圧延機ハウジングのプロジェクトブロック、または、補強ロールチョックに繋がる作業ロールチョック支持部材との間に、作業ロールに負荷される水平方向荷重を測定する作業ロール水平方向荷重検出装置を設けることにより、左右の水平方向外力を等しく保持することができるので、常に作業ロールを補強ロールに対して平行に維持することが可能となり、スラスト力の発生による板の蛇行やキャンバーを防止することができる。
(9)の発明によれば、作業ロールに略水平方向の外力を負荷する装置の作業ロールと接触する部分がローラ形式とすることにより、作業ロールに損傷を与えることなしに外力を負荷することができ、また、圧延時に作業ロールが上下動した場合でも傾斜した状態で略水平方向の外力を負荷することができる。
(10)の発明によれば、作業ロールに略水平方向の外力を負荷する装置を流体圧力を介して該作業ロールに力を伝達することができる静圧軸受形式とすることにより、作業ロールに非接触の状態で外力を負荷することができるので作業ロールを傷つける心配がない上に、外力負荷装置側もほとんど損耗することがなくなる。
(11)の発明によれば、作業ロール水平方向荷重検出装置の出力が作業側および駆動側それぞれ予め決められた値になるように前記作業側および駆動側の水平方向外力負荷装置から作業ロールに負荷する水平方向外力を調整し、この状態を維持しつつ前記圧延荷重測定用の荷重検出装置による作業側荷重測定値と駆動側荷重測定値とが等しくなるように圧下位置の作業側と駆動側のバランスを調整して圧下位置零点を決定し、この圧下位置零点に基づいて圧延作業を実施することにより、左右の水平方向外力を等しく保持し、ロール間スラスト力を極小化した状態の正確な圧下位置零点を常に再現することができるので、板の蛇行やキャンバーを防止することができる。
(12)の発明によれば、作業ロール水平方向荷重検出装置の出力が作業側および駆動側それぞれ予め決められた値になるように前記作業側および駆動側の水平方向外力負荷装置から作業ロールに負荷する水平方向外力を調整し、この状態を維持するよう該水平方向外力を制御しつつ圧延することにより、左右の水平方向外力を等しく保持することができるので、圧延中のスラスト力の発生による板の蛇行やキャンバーを防止することができる。
本発明により得られる効果について説明する。本発明により、圧延前の零点調整作業等のキスロール締め込み状態や圧延中に発生する圧延機の上下および左右(作業側WS/駆動側DS)における作業ロールのオフセット量の偏差を厳密に解消し、板反りや作業ロール〜補強ロール間に生じるスラスト力に起因する蛇行やキャンバー等の問題を解消することができる板圧延機および板圧延方法を提供することができるなど、産業上有用な著しい効果を奏する。
図1(b)は、本発明の板圧延機(4Hiミルの場合)における第1の実施形態を例示する側面図である。
図1(c)は、本発明の板圧延機(6Hiミルの場合)における第1の実施形態を例示する側面図である。
図2(a)は、本発明の板圧延機(プロジェクトブロック形式)における第1の実施形態を例示する圧延機の側面図である。
図2(b)は、本発明の板圧延機(補強ロールチョック抱え込み方式)における第1の実施形態を例示する圧延機の側面図である。
図3(a)は、本発明の板圧延機(4Hiミルの場合)における第2の実施形態を例示する側面図である。
図3(b)は、本発明の板圧延機(6Hiミルの場合)における第2の実施形態を例示する側面図である。
図4は、本発明の板圧延機における第3の実施形態を例示する平面図である。
図5は、本発明の板圧延機における第4の実施形態を例示する平面図である。
図6は、本発明の板圧延機における第5の実施形態を例示する平面図である。
図7は、本発明の板圧延機における第6の実施形態を例示する平面図である。
図8は、本発明の板圧延機における第7の実施形態を例示する平面図である。
図9は、本発明の板圧延機(4Hiミルの場合)における第8の実施形態を例示する側面図である。
図10は、本発明の板圧延方法における実施形態を例示するフロー図である。
21、22 作業ロール
31,32,33,34 作業ロールチョック
41,42 プロジェクトブロック(圧延機ハウジング)
51,52 補強ロール
61,62 中間ロール
71,72,73,74 中間ロール押さえローラ
81,82,83,84 補強ロールチョックに繋がる作業ロールチョック支持部材
91,92,93,94 補強ロール押さえローラ
101,102 作業ロール水平方向荷重検出装置
111,112 押さえローラ荷重検出装置
121、122、123、124 作業ロール押さえ用静圧軸受
131,132 圧延荷重測定用荷重検出装置
図1乃至図10において、11、12、13、14は作業ロール押さえローラ(11、12は上作業ロール押さえローラ、13、14は下作業ロール押さえローラ。以下同様に、被圧延材のパスラインより上側を「上」、下側を「下」と呼ぶ。)、21、22は作業ロール、31,32,33,34は作業ロールチョック、41,42はプロジェクトブロック(圧延機ハウジング)、51,52は補強ロール、61,62は中間ロール、71,72,73,74は中間ロール押さえローラ、81,82,83,84は補強ロールチョックに繋がる作業ロール支持部材、91,92,93,94は補強ロール押さえローラ、101,102は作業ロール水平方向荷重検出装置、111,112は押さえローラ荷重検出装置、121、122、123、124は作業ロール押さえ用静圧軸受、131,132は 圧延荷重測定用荷重検出装置を示し、同じ要素については同じ番号を付すことにより重複した説明を省略する。
図1は、本発明の板圧延機における第1の実施形態を例示する図である。
本発明の板圧延機は、電動機(図示せず)によって駆動される作業ロール21、22と、該作業ロール21、22に接して該作業ロール21、22に負荷される圧延反力を支持する補強ロール51,52と、該作業ロール21、22に対して圧延機の幅方向の中心を挟んで作業側および駆動側に各1箇所以上、合計2箇所以上の位置に略水平方向の外力を負荷する装置(作業ロール押さえローラ11、12、13、14)とを有する。前記作業ロール21、22に負荷する水平方向外力の方向は、該作業ロール軸心位置と補強ロール
よって該作業ロール21、22に負荷される圧延反力の水平方向分力と同じ方向である。
また、板圧延機には、図2(a)に示すプロジェクトブロック形式の圧延機と、図2(b)に示す補強ロールチョック抱え込み形式の圧延機があり、プロジェクトブロック形式の圧延機の場合は、作業ロール21、22に負荷された水平方向外力は、作業ロールチョック31、32、33、34を介して圧延機ハウジングのプロジェクトブロック41、42で支持され、補強ロールチョック抱え込み形式の圧延機の場合は、補強ロールチョックに繋がる作業ロールチョック支持部材81,82,83,84により支持される。
荷される圧延反力の水平方向分力と同じ方向の略水平方向の外力を負荷する装置として、例えば、図1(a)に示すような作業ロール押さえローラ11、12、13、14を設ける。この作業ロール押さえローラ11、12、13、14で、作業ロール21、22を押し付ける。作業ロールを押し付けることにより、圧延機がプロジェクトブロック形式の場合(図2(a))は、作業ロールの軸と軸受け間のガタ、軸受け自体のガタ、軸受けと軸受けハウジング(ロールチョック)間のガタ,およびロールチョックとプロジェクトブロック間のガタが吸収され、剛性の高い圧延機ハウジングのプロジェクトブロック面を基準面とすることができる。圧延機が補強ロールチョック抱え込み方式の場合(図2(b))は同様に、作業ロールの軸と軸受け間のガタ、軸受け自体のガタ、軸受けと軸受けのハウジング(ロールチョック)間のガタ,ロールチョックと作業ロールチョック支持部材間のガタ,および作業ロールチョック支持部材と圧延機ハウジングウインドウ面間のガタが吸収され、剛性の高い圧延機ハウジングのウィンドウ面を基準面とすることができる。
このように、剛性の高い圧延機ハウジング部材に押付けて軸芯位置を安定化させることができるので、圧延中や圧延前の零点調整作業等のキスロール締め込み状態で発生する圧延機の上下および左右(作業側WS/駆動側DS)における作業ロールのオフセット量の偏差を厳密に解消し、板反りや作業ロール〜補強ロール間に生じるスラスト力に起因する蛇行やキャンバー等の問題を解消することができる。
前記作業ロール21、22に略水平方向の外力を負荷する装置は、図1(a)に示すように、該作業ロール胴部の端部近傍に力を負荷する位置に設けることが好ましい。例えば、図1(a)に示すような作業ロール押さえローラ11、12、13、14を作業ロール胴部の端部近傍に力を負荷する位置に設けることにより、外力を負荷し易いうえ、外力による作業ロールの水平方向撓みを防止することができる。
また、前記作業ロール21、22に略水平方向の外力を負荷する装置を、図1(a)に示すように、作業ロール21、22と接触する部分がローラ形式にすることにより、作業ロールに損傷を与えることなしに外力を負荷することができ、また、圧延時に作業ロールが上下動した場合でも傾斜した状態で略水平方向の外力を負荷することができる。
本発明の板圧延機を用いて圧延を実施する際には、まず、圧延作業を開始する前の圧下位置零点調整作業において、ロール回転状態で該板圧延機の圧下装置を操作してキスロール締め込み状態として予め与えられた零点調整荷重に設定し、次に、圧下位置の作業側と駆動側のバランスを調整して圧下位置零点を決定し、この圧下位置零点に基づいてあらかじめ設定した左右の水平方向外力を負荷させながら圧延作業を実施する。
なお、本発明は、図1(b)に示すような、作業ロール21、22と補強ロール51、52を有する4段圧延機(4Hiミル)の他、図1(c)に示すような、作業ロール21、22、中間ロール61、62、補強ロール51、52を有する5段圧延機や6段圧延機(6Hiミル)にも適用できる。中間ロール61、62を有する5段圧延機や6段圧延機の場合、本発明における「補強ロール」は、作業ロール21、22を直接サポートする中間ロール61、62をも意味する。
また、本発明における作業ロールに負荷する「外力」という表現は、1)圧延荷重とは独立に作用し、2)力を負荷する装置はハウジング等の作業ロールの外側の構造物に取り付けられている、という意味で用いている。
図3は、本発明の板圧延機における第2の実施形態を例示する図である。
本発明の板圧延機における第2の実施形態は、前述の作業ロールに略水平方向の外力を負荷する装置に加えて、前記補強ロール51、52に対して圧延機の幅方向の中心を挟んで作業側および駆動側に各1箇所以上、合計2箇所以上の位置に略水平方向の外力を負荷する装置(補強ロール押さえローラ91、92、93、94)を有し、該補強ロール51、52に負荷する水平方向外力の方向は、前記作業ロール軸心位置と補強ロール軸心位置との圧延方向オフセットによって該補強ロールに負荷される圧延反力の水平方向分力と同じ方向であることを特徴とする。
図3(a)4Hiミル、(b)6Hiミルの場合に示すように、例えば、図3(a)、(b)に示すような補強ロール押さえローラ91、92、93、94を設ける。この補強ロール押さえローラで、圧延方向オフセットによって補強ロールに負荷される圧延反力の水平方向分力と同じ方向の略水平方向の外力を負荷することにより、補強ロール51、52を、結果的に剛性の高い圧延機のハウジング部材に押付けて軸芯位置を安定化させることができるので、さらに、板反りや作業ロール〜補強ロール間に生じるスラスト力に起因する蛇行やキャンバーをさらに低減することができる。
図4は、本発明の板圧延機における第3の実施形態を例示する図である。
本発明の板圧延機における第3の実施形態は、前記作業ロール21、22に略水平方向の外力を負荷する装置(作業ロール押さえローラ11、12)が、該作業ロールチョック31、32の外側の作業ロール軸端部に力を負荷する位置に設けられていることを特徴とする。
作業ロール21、22に、図4に示すような、作業ロール押さえローラ11、12を作業ロールチョック31、32の外側の作業ロール軸端部に力を負荷する位置に設けることにより、圧延材のガイドとの干渉を回避できるうえ、ベアリング部の水平方向隙間を低減することができる。
なお、作業ロール21、22に略水平方向の外力を負荷する装置(作業ロール押さえローラ11、12)を作業ロールチョック31、32に取り付けてもよく、この場合は、チョックを含めた作業ロール21、22の内力となるので作業ロールチョック31、32の位置を安定化させるため、作業ロールチョック31、32を水平方向に押し付ける装置が必須となる。
図5は、本発明の板圧延機における第4の実施形態を例示する図である。
本発明の板圧延機における第4の実施形態は、前記作業ロール21、22に略水平方向の外力を負荷する装置(作業ロール押さえローラ11、12、13、14)が、該作業ロール21、22胴部の端部近傍に力を負荷する位置、および、該作業ロールチョック31、32の外側の作業ロール軸端部に力を負荷する位置に設けられていることを特徴とする。
作業ロール21、22に、図5に示すような、作業ロール押さえローラ11、12、13、14を作業ロール21、22胴部の端部近傍に力を負荷する位置、および、作業ロールチョック31、32の外側の作業ロール軸端部に力を負荷する位置に設けることにより、外力による作業ロールの水平方向撓みを相殺することができる。
図6は、本発明の板圧延機における第5の実施形態を例示する図である。
本発明の板圧延機における第5の実施形態は、前記作業ロール21、22に略水平方向の外力を負荷する装置(作業ロール押さえローラ11、12)が、該作業ロール21、22胴部の端部近傍に力を負荷する位置に設けられ、かつ、該作業ロール21、22胴部の中央部には、該作業ロール胴部の端部近傍に負荷される該水平方向外力の合計値よりも小さくかつ逆方向に略水平方向の外力を負荷する装置(作業ロール押さえローラ13)が設けられていることを特徴とする。
作業ロール21、22に、図6に示すような、作業ロール押さえローラ11、12を作業ロール21、22胴部の端部近傍に力を負荷する位置に設け、かつ、作業ロール21、22胴部の中央部に、該作業ロール胴部の端部近傍に負荷される該水平方向外力の合計値よりも小さくかつ逆方向に作業ロール押さえローラ13を設けることにより、異なる方向の外力による作業ロールの水平方向撓みを相殺することができる。
図7は、本発明の板圧延機における第6の実施形態を例示する図である。
本発明の板圧延機における第6の実施形態は、前記作業ロール21、22に略水平方向の外力を負荷する装置(作業ロール押さえローラ11、12)が、該作業ロールチョック31、32の外側の作業ロール軸端部に力を負荷する位置に設けられ、かつ、該作業ロール胴部の中央部には、該作業ロール軸端部に負荷される該水平方向外力と同方向に略水平方向の外力を負荷する装置(作業ロール押さえローラ13)が設けられていることを特徴とする。
作業ロール21、22に、図7に示すような、作業ロール押さえローラ11、12を作業ロールチョック31、32の外側の作業ロール軸端部に力を負荷する位置に設け、かつ、作業ロール胴部の中央部に、作業ロール押さえローラ13を設けることにより、同じ方向の外力による作業ロールの水平方向撓みを相殺することができる。
図8は、本発明の板圧延機における第7の実施形態を例示する図である。
本発明の板圧延機における第7の実施形態は、前記作業ロールチョック31、32と、圧延機ハウジングのプロジェクトブロック41、42との間に、前記作業ロール21、22に負荷される水平方向荷重を測定する作業ロール水平方向荷重検出装置101,102を設けたことを特徴とする。圧延機ハウジングのプロジェクトブロック41、42は、補強ロールチョックに繋がる作業ロールチョック支持部材81,82,83,84であってもよい。
作業ロールチョック31、32と、圧延機ハウジングのプロジェクトブロック41、42、または、補強ロールチョックに繋がる作業ロールチョック支持部材81,82,83,84との間に、作業ロール21、22に負荷される水平方向荷重を測定する作業ロール水平方向荷重検出装置101,102を設けることにより、左右の水平方向外力を等しく保持することができるので、スラスト力の発生による板の蛇行やキャンバーを防止することができる。このとき、圧延機ハウジングのプロジェクトブロック41、42は、補強ロールチョックに繋がる作業ロールチョック支持部材81,82,83,84であっても同様な効果が得られる。
なお、押さえローラの荷重検出装置111,112の配備は,好ましい実施態様であって押し力を与える油圧シリンダーの圧力で代替することもできる。ただし、作業ロール水平方向荷重検出装置101,102で測定される水平方向力は,押さえローラから作用し、押さえローラ荷重検出装置111,112で測定される水平方向力と,オフセット力を含む補強ロールから作業ロールに作用する力との合力であるので,作業ロール水平方向荷重検出装置101,102の機能を押さえローラ荷重検出装置111,112で代替することはできない。
言うまでもないが、作業ロール水平方向荷重検出装置及び押さえローラの荷重検出装置は、上下作業ロールに対して設置することが望ましい。
図9は、本発明の板圧延機における第8の実施形態を例示する図である。
本発明の板圧延機における第8の実施形態は、前記作業ロール21、22に略水平方向の外力を負荷する装置(作業ロール押さえ用静圧軸受121、122、123、124)が、流体圧力を介して該作業ロールに力を伝達することができる静圧軸受形式であることを特徴とする。
作業ロール21、22に略水平方向の外力を負荷する装置を油や水などの流体圧力を介して該作業ロールに力を伝達することができる静圧軸受形式とすることにより、作業ロールに非接触の状態で外力を負荷することができるので作業ロールを傷つける心配がない上に、外力負荷装置もほとんど損耗することがなくなる。
図10は、本発明の板圧延方法における実施形態を例示するフロー図である。
本発明の板圧延方法に用いる板圧延機の実施形態は前述の通りであるので省略する。
まず、圧延作業を開始する前の圧下位置零点調整作業において、ロール回転状態で該板圧延機の圧下装置を操作してキスロール締め込み状態として、該圧延荷重測定用の荷重検出装置131,132による作業側荷重測定値と駆動側荷重測定値の合計値を予め与えられた零点調整荷重に設定する(図10 S−1)。
次に、作業ロール水平方向荷重検出装置101,102の出力が作業側および駆動側それぞれ予め決められた値になるように前記作業側および駆動側の水平方向外力負荷装置から作業ロールに負荷する水平方向外力を調整する(図10 S−2)。
次に、作業ロール水平方向荷重検出装置101,102の作業側WS/駆動側DS負荷バランスを維持しつつ、記圧延荷重測定用の荷重検出装置131,132による作業側荷重測定値と駆動側荷重測定値とが等しくなるように圧下位置の作業側と駆動側のバランスを調整して圧下位置零点を決定する(図10 S−3)。
そして、この圧下位置零点に基づいて圧延作業を実施する(図10 S−4)。
作業ロール水平方向荷重検出装置101,102の出力が作業側および駆動側それぞれ予め決められた値になるように前記作業側および駆動側の水平方向外力負荷装置から作業ロールに負荷する水平方向外力を調整し、この状態を維持しつつ前記圧延荷重測定用の荷重検出装置131,132による作業側荷重測定値と駆動側荷重測定値とが等しくなるように圧下位置の作業側と駆動側のバランスを調整して圧下位置零点を決定し、この圧下位置零点に基づいて圧延作業を実施することにより、左右の水平方向外力を等しく保持し、ロール間スラスト力を極小化した状態の正確な圧下位置零点を常に再現することができるので、板の蛇行やキャンバーを防止することができる。
なお、本発明においては、圧下位置零点調整時のキスロール締め込み状態もロールは回転状態であることを前提としている。
また通常、圧下零点調整は作業ロール組替時に行われるので、作業ロールは研削直後の左右対称のプロフィールになっていると考えることができるが、補強ロールについては必ずしも組替直後ではないため、使用中の偏摩耗等によって一般に左右非対称になっていると考える必要がある。
この状態で、キスロール締め込みを実施した場合、補強ロール直径の左右アンバランスによって補強ロールから作業ロールに作用するオフセット分力は左右非対称になり、これが作業ロールネックおよびベアリング隙の変化を介して作業ロール軸を水平面内で僅かに傾けることになり、その結果、作業ロール〜補強ロール間にスラスト力が発生し、圧延荷重検出用荷重検出装置131,132の左右バランスの外乱となり、この状態で圧下位置の零点調整を実施すると、正確な調整ができなくなり、蛇行およびキャンバーの発生原因となる。
これに対して(11)に記載したように、作業ロールの水平方向負荷測定用荷重検出装置101,102の出力が作業側WSと駆動側DSで同じになるように作業ロールに負荷する水平方向外力を調整すると、作業ロールネックおよび作業ロールベアリングに作用する水平力は駆動側と作業側で等しくなるため、作業ロール軸を補強ロールに偏摩耗がない場合の状態と同じ姿勢に維持できるのでロール間スラスト力が発生せず、正確な圧下位置零点調整が可能となる。
また、(12)に記載したように、作業ロール水平方向荷重検出装置101,102の出力が作業側WSおよび駆動側DSそれぞれ予め決められた値になるように前記作業側および駆動側の水平方向外力負荷装置から作業ロールに負荷する水平方向外力を調整し、この状態を維持するよう該水平方向外力を制御しつつ圧延することにより、左右の水平方向外力を等しく保持することができるので、圧延中のスラスト力の発生による板の蛇行やキャンバーを防止することができる。
以上、図8に示した構成を参考に説明したが、前述したように、作業ロール水平方向荷重検出装置は、上下の作業ロールに対応するように設置することが好ましく、従って上記説明も、上下に設置した作業ロール水平方向荷重検出装置の出力値を基に、零点調整作業や圧延制御を行うことは、言うまでもない。
また、作業ロールと同様に、補強ロールや中間ロールにも水平方向力付与装置を設置する場合は、補強ロールや中間ロールに水平方向荷重検出装置を設定してもよく、これらの検出装置により検出される出力をも合わせて、圧延位置の零点調整を行い、これら水平方向荷重検出装置の出力が作業側WSおよび駆動側DSそれぞれ予め決められた値になるように前記作業側および駆動側の水平方向外力負荷装置から作業ロール、中間ロール、補助ロールに負荷する水平方向外力を調整し、この状態を維持するよう該水平方向外力を制御しつつ圧延することにより、左右の水平方向外力を等しく保持することができるので、さらに精度よく圧延中のスラスト力の発生による板の蛇行やキャンバーを防止することができる。
Claims (12)
- 電動機によって駆動される上下一対の作業ロールと、該作業ロールに接して該作業ロールに負荷される圧延反力を支持する上下一対の補強ロールとを有する板圧延機であって、
該上下作業ロールのそれぞれに対して圧延機の幅方向の中心を挟んで作業側および駆動側に各1箇所以上、合計2箇所以上の位置の該作業ロール胴部または軸部に略水平方向の外力を負荷する装置を有し、
前記作業ロールに負荷する水平方向外力の方向は、該作業ロール軸心位置と補強ロール軸心位置との圧延方向オフセットによって該作業ロールに負荷される圧延反力の水平方向分力と同じ方向であり、該作業ロールに負荷された水平方向外力は、作業ロールチョックを介して圧延機ハウジングのプロジェクトブロック、または、補強ロールチョックに繋がる作業ロールチョック支持部材により支持されていることを特徴とする板圧延機。 - さらに、前記上下一対の補強ロールのそれぞれに対して圧延機の幅方向の中心を挟んで作業側および駆動側に各1箇所以上、合計2箇所以上の位置の該補強ロール胴部または軸部に略水平方向の外力を負荷する装置を有し、該補強ロールに負荷する水平方向外力の方向は、前記作業ロール軸心位置と補強ロール軸心位置との圧延方向オフセットによって該補強ロールに負荷される圧延反力の水平方向分力と同じ方向であることを特徴とする請求の範囲1に記載の板圧延機。
- 前記作業ロールに略水平方向の外力を負荷する装置は、該作業ロール胴部の端部近傍に力を負荷する位置に設けられていることを特徴とする請求の範囲1または2に記載の板圧延機。
- 前記作業ロールに略水平方向の外力を負荷する装置は、該作業ロールチョックの外側の作業ロール軸端部に力を負荷する位置に設けられていることを特徴とする請求の範囲1または2に記載の板圧延機。
- 前記作業ロールに略水平方向の外力を負荷する装置は、該作業ロール胴部の端部近傍に力を負荷する位置、および、該作業ロールチョックの外側の作業ロール軸端部に力を負荷する位置に設けられていることを特徴とする請求の範囲1または2に記載の板圧延機。
- 前記作業ロールに略水平方向の外力を負荷する装置は、該作業ロール胴部の端部近傍に力を負荷する位置に設けられ、かつ、該作業ロール胴部の中央部には、該作業ロール胴部の端部近傍に負荷される該水平方向外力の合計値よりも小さくかつ逆方向に略水平方向の外力を負荷する装置が設けられていることを特徴とする請求の範囲1または2に記載の板圧延機。
- 前記作業ロールに略水平方向の外力を負荷する装置は、該作業ロールチョックの外側の作業ロール軸端部に力を負荷する位置に設けられ、かつ、該作業ロール胴部の中央部には、該作業ロール軸端部に負荷される該水平方向外力と同方向に略水平方向の外力を負荷する装置が設けられていることを特徴とする請求の範囲1または2に記載の板圧延機。
- 前記作業ロールチョックと、圧延機ハウジングのプロジェクトブロック、または、補強ロールチョックに繋がる作業ロールチョック支持部材との間に、前記作業ロールに負荷される水平方向荷重を測定する作業ロール水平方向荷重検出装置を設けたことを特徴とする請求の範囲1乃至7のいずれか一項に記載の板圧延機。
- 前記作業ロールに略水平方向の外力を負荷する装置は、該作業ロールと接触する部分がローラ形式であることを特徴とする請求の範囲1〜8のいずれか一項に記載の板圧延機。
- 前記作業ロールに略水平方向の外力を負荷する装置は、流体圧力を介して該作業ロールに力を伝達することができる静圧軸受形式であることを特徴とする請求の範囲1〜8のいずれか一項に記載の板圧延機。
- 電動機によって駆動される上下一対の作業ロールと、該作業ロールに接して該作業ロールに負荷される圧延反力を支持する上下一対の補強ロールと、該上下作業ロールのそれぞれに対して圧延機の幅方向の中心を挟んで作業側および駆動側に各1箇所以上、合計2箇所以上の位置の該作業ロール胴部または軸部に略水平方向の外力を負荷する装置を有し、前記作業ロールに負荷する外力の方向は、該作業ロール軸心位置と該補強ロール軸心位置との圧延方向オフセットによって該作業ロールに負荷される圧延反力の水平方向分力と同じ方向であり、該作業ロールに負荷された水平方向外力は、作業側および駆動側の該作業ロールチョックおよび水平方向負荷を測定するための作業ロール水平方向荷重検出装置を介して、圧延機ハウジングのプロジェクトブロックまたは補強ロールチョックに繋がる作業ロールチョック支持部材で支持し、かつ、圧延荷重を測定するための荷重検出装置を圧延機の作業側および駆動側それぞれに有する板圧延機による板圧延方法であって、
圧延作業を開始する前の圧下位置零点調整作業において、ロール回転状態で該板圧延機の圧下装置を操作してキスロール締め込み状態として、該圧延荷重測定用の荷重検出装置による作業側荷重測定値と駆動側荷重測定値の合計値を予め与えられた零点調整荷重に設定し、前記作業ロール水平方向荷重検出装置の出力が作業側および駆動側それぞれ予め決められた値になるように前記作業側および駆動側の水平方向外力負荷装置から作業ロールに負荷する水平方向外力を調整し、この状態を維持しつつ前記圧延荷重測定用の荷重検出装置による作業側荷重測定値と駆動側荷重測定値とが等しくなるように圧下位置の作業側と駆動側のバランスを調整して圧下位置零点を決定し、この圧下位置零点に基づいて圧延作業を実施することを特徴とする板圧延方法。 - 電動機によって駆動される上下一対の作業ロールと、該作業ロールに接して該作業ロールに負荷される圧延反力を支持する上下一対の補強ロールと、該上下作業ロールのそれぞれに対して圧延機の幅方向の中心を挟んで作業側および駆動側に各1箇所以上、合計2箇所以上の位置の該作業ロール胴部または軸部に略水平方向の外力を負荷する装置を有し、前記作業ロールに負荷する外力の方向は、該作業ロール軸心位置と該補強ロール軸心位置との圧延方向オフセットによって該作業ロールに負荷される圧延反力の水平方向分力と同じ方向であり、該作業ロールに負荷された水平方向外力は、作業側および駆動側の該作業ロールチョックおよび水平方向負荷を測定するための作業ロール水平方向荷重検出装置を介して、圧延機ハウジングのプロジェクトブロックまたは補強ロールチョックに繋がる作業ロールチョック支持部材で支持する板圧延機による板圧延方法であって、前記作業ロール水平方向荷重検出装置の出力が作業側および駆動側それぞれ予め決められた値になるように前記作業側および駆動側の水平方向外力負荷装置から作業ロールに負荷する水平方向外力を調整し、この状態を維持するよう該水平方向外力を制御しつつ圧延することを特徴とする板圧延方法。
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