JP4585069B2 - 誘導結合プラズマ質量分析装置及び方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)に関し、より詳しくはプラズマ及びそこからのイオンの取り込みに対する制御性に優れ、マトリックス効果による分析感度の変動を低減可能な装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ICP-MSは、金属元素を中心とする多くの無機元素について、超微量(ppt)レベルの分析を可能にする技術である。この技術は、多元素を同時に分析可能であり、同位体比の測定が可能であり、しかも分析を高精度且つ迅速に実行可能であるといった多くの特長を有し、半導体などの材料産業、地質学や環境などの分野において広く応用されている。
【0003】
ICP-MSは、通常はアルゴンによる誘導結合プラズマ(ICP)を使用し、そこでイオン化された試料中の被分析物を分離、測定するために質量分析器(MS)を用いる。一般に、試料は溶液化されてペリスタルティックポンプによりネブライザに注入され、試料エアロゾルとなる。試料エアロゾルはスプレーチャンバを経てICPに送り込まれ、イオン化される。こうして得られた試料イオンは、大気圧のプラズマから、差動排気されたインタフェースに運ばれる。インタフェースは典型的には、高温のままでのサンプリングを可能にする大きなオリフィス径を有するサンプリングコーンと、イオンビーム形成のためのスキマーコーン及び引き出し電極とからなり、形成されたイオンビームは真空チャンバ内に位置する質量分析器、例えば四重極質量分析器に集束される。この分析器は、質量/電荷比に基づいて試料非分析物のイオンを分離し、分離された試料非分析物イオンはその後、電子増倍管検出システムにより測定される。
【0004】
ICP-MSは、原子吸光分析法(AAS)やICP原子発光分析法(ICP-AES)のような従来の元素分析技術より高い感度とより低い検出限界を備えることが認めらているが、依然として解決されなければならない幾つかの問題がある。その1つに、マトリックス効果と呼ばれる非分光学的干渉がある。これは他の分析手法におけると同様に、試料中に存在する高濃度のマトリックスによって被分析物に対する感度が増減して誤差が生じ、分析が妨害される問題である。例えば試料中にセシウムがマトリックスとして100〜1000 ppm程度存在すると、リチウム、タリウム、イットリウムといった被分析物に対する相対的な感度は、マトリックスが存在しない場合に比べて0.6〜1.25程度の範囲で変動する。多くの用途においては、こうしたマトリックス効果による減感や増感を少なくし、あるいは排除することが強く求められている。
【0005】
こうした問題に対する解決策としては、試料溶液を希釈したり、試料を前処理してマトリックスから分離したりすることが挙げられるが、希釈の結果被分析物の濃度が検出限界以下になってしまったり、付加的な労力が必要になるといった、別の問題が生じてくる。また、プラズマ温度を上げてマトリックス効果を相対的に小さくする手法もあるが、これにより感度が全体的にかなり低くなるといった問題があり、これらの間でトレードオフを行うことが必要である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の1つの課題は、試料中の元素に対する感度を調節可能にすることによって、マトリックス減感や増感を改善可能な、改良されたICP-MS測定装置及び方法を提供することにある。
【0007】
本発明の他の課題は、インタフェースに印加される電圧を切り換えることによって、プラズマからのイオンの引き出しを最適に制御可能な、改良されたICP-MS測定装置及び方法を提供することにある。
【0008】
本発明の別の課題は、インタフェースに印加される電圧の制御を通じてプラズマ面の位置及び形状を調節可能な、改良されたICP-MS測定装置及び方法を提供することにある。
【0009】
本発明のさらに別の課題は、ICP-MS測定装置のための新規なインタフェースを提供することにある。
【0010】
本発明の他の課題、機能及び利点については、以下の詳細な説明から理解されるところであり、またより特定的には特許請求の範囲に記載されている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ICP-MS装置を開示し、この装置は大気圧のプラズマを発生するための手段と、試料をプラズマ中に導入して被分析物のイオンを形成するための手段と、この被分析物のイオンをプラズマから取り入れるためのインタフェース手段と、取り入れられた被分析物のイオンを分離及び測定を行うための質量分析器へと移送するためのイオンレンズ手段とを備える。インタフェース手段の圧力は通常200〜400Paの範囲にあり、他方質量分析器の段の圧力は正常動作時において10-2〜10-4Paのレベルにある。
【0012】
インタフェース手段は少なくともスキマーコーンを、通常はその前段に配置されるサンプリングコーンと共に含み、さらにスキマーコーンの背後又は後段に順次配置される第1及び第2のイオン引き出し電極を含む。本発明によれば、第1のイオン引き出し電極には正及び負の間で切り換え可能な電圧が印加され、また第2のイオン引き出し電極には負の電圧が印加される。即ち本発明によれば、ICP-MS装置はこうした電圧の印加及び切り換えを可能にするための手段、例えば正及び負の可変直流電源、切り換えスイッチその他を具備する。より詳しくは本発明は、第1の引き出し電極に対して通常とは異なり、正の電圧を印加することを提案するものである。
【0013】
インタフェース手段は大気プラズマ中に作り出されたイオンを高真空領域へと引き出す役割を果たす。サンプリングコーン及びスキマーコーンは接地されており、通常はプラズマから質量分析器に向けてイオンを引き出すために、第1の引き出し電極には例えば-160 V程度、第2の引き出し電極には第1の引き出し電極よりも高い、例えば-70 V程度の負電圧が印加される。しかしながら本発明によれば、第1の引き出し電極に印加される電圧は正に切り換え可能であり、これによって驚くべき結果が得られる。
【0014】
本発明の好適な1実施例によれば、第1の引き出し電極に、負の電圧との間で切り換え可能な、プラズマの電位と実質的に同じ電位を印加する手段が備えられる。プラズマは0〜10 V程度の正の電位を有し、第1の引き出し電極をこれと同じか多少異なる程度の正の電位に維持することによって、プラズマはスキマーコーンを介してインタフェース手段内部へと入り込み、第1の引き出し電極と電位的に一体化する。すなわち概念的には、プラズマは第1の引き出し電極に対して貼り付くようになる。換言すれば、こうした構成によってプラズマをインタフェース手段内部に入り込ませ、プラズマ面又はイオン引き出し面の位置を、第1のイオン引き出し電極に対して調節することができる。
【0015】
第2の引き出し電極に対しては負の電圧、典型的には0〜-200 V程度の範囲内のものが印加される。こうした範囲内で第2の引き出し電極に印加される電圧を調節することにより、インタフェース手段の内部での、第2のイオン引き出し電極に対面するプラズマの表面形状を調節することができる。これによって、被分析物に対する検出感度を制御することが可能になり、またマトリックス効果による減感または増感を制御することができるようになる。
【0016】
本発明によれば、引き出し電極の効果をより有効に得るためには、第1のイオン引き出し電極がドーナツ盤状、円筒状又は截頭円錐状であるのが好ましい。またプラズマ面又はイオン引き出し面に対する制御をより効果的にするためには、第2のイオン引き出し電極が截頭円錐状又は周縁フランジを有する円筒状であり、第1のイオン引き出し電極の内側に重なって配置されているのが好ましい。周縁フランジは好ましくは円筒の後端に配置されるが、第2の引き出し電極が第1の引き出し電極に向けて突出する特徴を維持できるのであれば、それより前方にあっても構わない。例えば第1及び第2の引き出し電極が共に截頭円錐状であり、入れ子式に重なって配置されるような構成が良好である。これらの場合に、第2のイオン引き出し電極の先端とスキマーコーンの先端の間の間隔が25 mm以内であるのが、十分な密度を有するプラズマに対する良好な制御という面から極めて好ましい。
【0017】
上記説明は、以下の発明の実施形態についての詳細な説明とともに添付図面を参照することによって一層容易に理解することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1に、本発明が適用される例示的なICP-MS装置を、全体を100で概略的に示す。以下に説明するように、このICP-MSは、イオン源である誘導結合プラズマ(ICP)と、イオン化された試料を質量に関して分離するための質量分析器(MS)と、両者の間のインタフェースとを有する。
【0019】
図示の分析装置において、試料は溶液化され、まず試料採取システム110によってICPにつながる噴霧段120へと供給される。即ち液体試料112はペリスタルティックポンプ111によって吸い上げられ、ネブライザ121からスプレーチャンバ122中へと、高圧のアルゴン(Ar)ガスを用いて噴霧されて試料エアロゾルを形成する。このエアロゾルはICPを含むイオン化部130中に吹き込まれる。ICPを含むイオン化部は幾つかの同心状の石英管で構成されるICPトーチ131を具備し、このトーチは高周波(RF)コイル132の内部に配置される。RFコイルによって作り出される高周波磁界はトーチを通過するAr原子をイオン化し、高温のプラズマを形成し、維持する。試料エアロゾルは必要ならば脱溶媒装置を経た後にプラズマ中に吹き込まれ、イオン化される。
【0020】
インタフェース150は、質量分析器を含む後続の高真空段から大気プラズマを分離するように、通常のロータリポンプ(RP)によって通常200〜400Paの圧力に維持される。試料イオンはプラズマから、サンプリングコーン151のオリフィス152を通してインタフェースへと引き出される。試料イオンは次いで、スキマーコーン153のオリフィス154を通り、インタフェースの後段を形成する第1の引き出し電極156及び第2の引き出し電極157を介して、質量分析器へと移送される。なお158はインタフェースの圧力を測定する真空計である。
【0021】
質量分析器は、イオンレンズ領域160、質量フィルタ領域170及び検出器領域180から構成される。イオンレンズ領域160は、一連の静電イオンレンズを内蔵した真空チャンバを含み、イオンビームを質量フィルタ領域に向けて集束させる。これらのイオンレンズは例えば、一連の集束レンズ162と、スキマーオリフィスと軸をずらして取り付けられたステアリングレンズ(Ω形偏光レンズ)163からなることができる。この中間の真空チャンバは、ターボ分子ポンプ(TMP)及びロータリポンプによって、通常は10-2Pa程度の圧力に排気される。質量フィルタ領域170及び検出器領域180はどちらも、差動開口172によってこの中間の真空チャンバと分離されている、別の真空チャンバ内に設けられている。この真空チャンバは第2のターボ分子ポンプによって、通常は10-4Pa程度の圧力に排気される。質量フィルタ領域170は、4本の平行ロッドから構成される四重極質量分析器171を具備し、これらのロッドには高周波及び直流電圧が印加される。印加される高周波電圧と直流電圧の特定の組合せに対して、分析器171は決まった質量/電荷比のイオンだけを検出器へ通過させる。これによって、例えば電子増倍管型検出器181である検出器により、異なる元素のイオンを分離し、測定することが可能になる。各質量のイオン信号は増幅された後、多チャンネルカウンタを用いて測定される。所与の質量(したがって元素)の信号強度は、試料溶液中のその元素の濃度に正比例することになる。
【0022】
図2は、本発明によるインタフェースの好適な1実施例を示す。この例では、インタフェースはサンプリングコーン151と、スキマーコーン153と、第1の引き出し電極156と、第2の引き出し電極157とを備える。サンプリングコーン151及びスキマーコーン153は接地されている。第1の引き出し電極156に印加される電位は、10 V程度までの範囲内で可変なの正の電位と、-200 V程度までの範囲内で可変なの負の電位との間でスイッチSWにより切り換え可能であり、また第2の引き出し電極157に印加される電位は、-200 V程度までの間の範囲で調節される負の電位である。
【0023】
第1のモードでは、第1の引き出し電極156には例えば-160 V程度の負電圧が印加され、第2の引き出し電極157には例えば-70 V程度の負電圧が印加される。この場合、プラズマPのイオン引き出し表面PSはスキマーコーン153のオリフィスから第1の引き出し電極の間に位置し、正の電荷を持つイオンのみがイオン引き出し電極156、157に向けてビーム状に引き出されていく。このようなモードは従来から周知である。第1のモードとの間で切り換え可能な第2のモードでは、第1の引き出し電極156にはプラズマPの電位と実質的に同程度の、通常は2〜3 V程度の正の電圧が印加される。これによってプラズマPのイオン引き出し表面PS’は、第1の引き出し電極156の近傍で位置調節可能となり、プラズマPが第1の引き出し電極内へと実際に入り込むことを可能にする。他方、このモードでは第2の引き出し電極157は第1の引き出し電極156に対して常に負となり、-200 V程度までの間の適当な、例えば-150 V程度の電位とされる。この第2の引き出し電極157に印加される電圧を制御することによって、これに対面するプラズマ面又はイオン引き出し表面PS’の形状を変化させ、被分析物イオンの検出に対する制御を行うことができるようになる。
【0024】
例えば第2の引き出し電極157に印加される電圧の値によって、ICP-MS装置の被分析物に対する感度は変化しうるが、第2のイオン引き出し電極に印加される負電圧を所定範囲内、例えば0〜-200 Vの間で掃引し、これによる感度の変化を測定し、これに応じて検出用電圧を決定することができる。またこの掃引につれて、被分析物のイオンの分離及び検出に対して試料マトリックスが有する効果を測定し、この測定に応じて、例えば最もマトリックス効果の少ないところに検出用電圧を定めることができる。
【0025】
図3は、第1及び第2の引き出し電極のそれぞれについて利用可能な、種々の電極形状を示す断面図である。第1のイオン引き出し電極156は、図3(b)及び図2に示す截頭円錐状の他、図3(a)のドーナツ盤状をとることができる。第2のイオン引き出し電極157については、第1のイオン引き出し電極156の内側に重なって配置されるのが好ましく、図2の截頭円錐状の他、図3(d)に示すような周縁フランジを有する円筒状が好ましく使用できる。但し図3(d)の場合、前方に凸な形状を維持できるのであれば、周縁フランジは円筒の後端以外の位置にあってもよい。前述したように、プラズマに対する良好な制御という面から、第2のイオン引き出し電極157の先端と、スキマーコーン153の先端の間の間隔が25 mm以内であるのが極めて好ましい。
【0026】
【実施例】
横河アナリティカルシステムズ株式会社及び米国カリフォルニア州パロアルトのアジレント・テクノロジーズ・インクより入手可能なICP-MS装置モデルHP4500を改造し、図2に示すように、スイッチSWの切り換えによって第1の引き出し電極に対してプラズマとほぼ同電位の2〜3 Vを印加可能なようにした。また第2の引き出し電極に対して加えられる電圧が、0〜200 Vの範囲内で可変的に印加できるようにした。
実験例1
リチウム、バナジウム、イットリウム、インジウム、セリウム、タリウム、ビスマス及びウランを含有する溶液について、セシウムによるマトリックス効果を測定するために、マトリックス濃度がそれぞれ0 ppm、0.01 ppm、0.1 ppm、1 ppm、10 ppm、100 ppm及び1000 ppmのサンプル溶液を調製した。通常のモード(第1の引き出し電極の電位-160 V、第2の引き出し電極の電位-70 V)において、セシウムが0 ppmの溶液に対する相対感度を測定したところ、マトリックス濃度が100 ppm及び1000 ppmの場合に減感及び増感が大きく、相対感度は約0.6〜1.25程度の範囲内でばらついた。この結果を表1に示す。また他の動作条件は次の通りであった。
【0027】
ICP高周波電力 1.6 kW
キャリヤーガス流量 1.4 リットル/分
サンプリング深さ 8 mm
【0028】
【表1】
【0029】
実験例2
次いで、リチウム、イットリウム及びタリウムを含有する溶液について、セシウムのマトリックス濃度を0 ppm及び1000 ppmとしたサンプル溶液を調製し、第1の引き出し電極の電位を4 Vに切り換えてプラズマ電位と実質的に同じとし、第2の引き出し電極に印加される電圧を0から-200 Vの範囲で掃引して、マトリックスがない場合のICP-MS装置の感度と、これに対するマトリックス1000 ppmの溶液についての相対的な検出感度を測定した。結果を表2及び表3に示す。
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】
表2に示されるように、このモードでは第2の引き出し電極に対して-40〜-60 V程度の負電圧を印加した場合が感度が最も高い。しかしながら、表3から明らかなように、セシウムのマトリックス効果により、第2の引き出し電極に対して-20〜-60 V程度の負電圧を印加した場合、相対感度は0.6〜0.8程度に低下する。
実験例3
そこで第2の引き出し電極に対して印加する電圧として-150 Vを選び、実験例1と同様のサンプル溶液について同様の測定を行った。結果を表4に示す。この場合は、セシウムのマトリックス濃度が高い場合においても、相対感度は0.25程度の振幅内に収まっており、表1に示した場合に対して減感及び増感に対する顕著な効果が見られる。また、例外はあるものの、相対感度の推移も元素ごとにほぼ一定している。
【0033】
【表4】
【0034】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明はICP-MSのインタフェースに印加される電圧の制御を介して、イオン引き出し表面の位置及び形状を制御することを通じて、ICP-MSによる測定性能を改善するための非常に拡張性のある技術を提供するものである。本明細書において用いられた用語及び表現は記載のための術語として使用されたものであって限定のためのものではなく、こうした用語及び表現を用いるについては、図示し記載した特徴又はその部分に均等な何物をも排除する意図はない。むしろ、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、種々の変更が可能であることが認識されるものである。例えば、実施例においては本発明を、マトリックスイオンとしてセシウムを例にとって特に具体的に説明したが、当業者であれば、測定を行う用途に応じて適切なマトリックスを適宜選択可能であり、このような応用態様は全て本発明の範囲内に包含されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用可能な例示的なICP-MS装置を概略的に示す説明図である。
【図2】本発明の1つの例示的な実施形態による、第1及び第2の引き出し電極に対する印加電圧の制御を示す例示的な模式図である。
【図3】(a)から(d)は、本発明に用いられる第1及び第2の引き出し電極がとりうる、種々の形態を例示的に示す断面図である。
【符号の説明】
100 ICP-MS装置
110 試料採取システム
120 噴霧段
130 イオン化部
150 インタフェース
151 サンプリングコーン
153 スキマーコーン
156 第1の引き出し電極
157 第2の引き出し電極
160 イオンレンズ領域
170 質量フィルタ領域
180 検出器領域
Claims (5)
- プラズマを発生するための手段と、
試料を前記プラズマに導入して被分析物のイオンを形成するための手段と、
前記被分析物のイオンを前記プラズマから取り入れるための、スキマーコーンを含むインタフェース手段と、
取り入れられた前記被分析物のイオンを移送するためのイオンレンズ手段と、
移送された前記被分析物のイオンを分離する手段と、
分離された前記被分析物のイオンを検出するための測定手段とからなる誘導結合プラズマ質量分析装置であって、
前記インタフェース手段が前記スキマーコーンの背後に順次配置される截頭円錐状の第1及び第2のイオン引き出し電極を少なくとも含み、
前記第1のイオン引き出し電極に正の電圧が印加され、
前記第2のイオン引き出し電極に負の電圧が印加されることを特徴とする誘導結合プラズマ質量分析装置。 - 移送された前記被分析物のイオンを分離する手段が、移送された前記被分析物のイオンを分離する四重極質量分析手段であり、
前記正の電圧が、10V以下の任意の値であることを特徴とする請求項1に記載の誘導結合プラズマ質量分析装置。 - 誘導結合プラズマ質量分析方法であって、
プラズマを発生させるステップと、
試料を前記プラズマに導入して被分析物のイオンを形成するステップと、
前記被分析物のイオンをインタフェース手段を介して前記プラズマから取り入れるステップと、
取り入れられた前記被分析物のイオンをイオンレンズ手段を介して移送するステップと、
移送された前記被分析物のイオンを分離するステップと、
分離された前記被分析物のイオンを検出するステップとからなり、
前記インタフェース手段が順次配置される截頭円錐状の第1及び第2のイオン引き出し電極を少なくとも含むものにおいて、
前記第1のイオン引き出し電極に正の電圧である第1の電圧を印加するステップと、
前記第2のイオン引き出し電極に前記第1の電圧より低い第2の電圧を印加するステップと、
をさらに含むことを特徴とする誘導結合プラズマ質量分析方法。 - 移送された前記被分析物のイオンを分離するステップが、移送された前記被分析物のイオンを四重極質量分析手段を用いて分離し、
前記正の電圧が、10V以下の任意の値であることを特徴とする請求項3に記載の誘導結合プラズマ質量分析方法。 - 誘導結合プラズマ質量分析方法であって、
プラズマを発生させるステップと、
試料を前記プラズマに導入して被分析物のイオンを形成するステップと、
前記被分析物のイオンをインタフェース手段を介して前記プラズマから取り入れるステップと、
取り入れられた前記被分析物のイオンをイオンレンズ手段を介して移送するステップと、
移送された前記被分析物のイオンを分離するステップと、
分離された前記被分析物のイオンを検出するステップとからなり、
前記インタフェース手段が、順次配置される第1及び第2のイオン引き出し電極を少なくとも含むものにおいて、
前記第1のイオン引き出し電極に第1の電圧を印加して、前記プラズマを前記インタフェース手段内部に入り込ませるステップと、
前記第2のイオン引き出し電極に前記第1の電圧より低い第2の負の電圧を印加して、前記インタフェース手段の内部での、前記第2のイオン引き出し電極に対面する前記プラズマのイオン引き出し表面の形状を調節するステップと、
をさらに含むことを特徴とする誘導結合プラズマ質量分析方法。
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