JP4584543B2 - 水中油型乳化組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は使用性および安定性に優れた水中油型乳化組成物およびこれを用いた化粧料に関する。さらに詳しくは、皮膚や毛髪上でのびが軽く、べたつかず、有効成分が肌や毛髪に浸透していく感じの浸透感に優れ、うるおいを与え、しっとりし、しかも経時安定性にも優れた水中油型乳化組成物およびこれを用いた化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
水中油型乳化組成物を調製する場合、経時安定性を考慮すれば、HLB10以上の界面活性剤を用いて各種油剤を乳化するのが一般的であり、理論上も成り立つこととして日頃行われている。しかしながら、化粧料として考えた場合、前記のような方法によって調製された乳化化粧料は、安定性には優れるものの、皮膚や毛髪に塗布した場合、のびや肌や毛髪へのなじみが悪く、べたついて、浸透感に劣るものであり、必ずしも使用性に満足できるものではなかった。
【0003】
近年、べたつきを低減し、さっぱりさを得るために、水中油型の非連続相となる油相に極性油を用いる場合が多くみられる。そして、極性油を用いて安定な水中油型の乳化化粧料を得るために、乳化剤として、POE硬化ヒマシ油(POE60)(HLB=14)、POEベヘニルエーテル(POE30)(HLB=15)、POEグリセリルモノステアレート(POE40)(HLB=17)などのHLB10以上の界面活性剤が用いられている。
【0004】
しかしながら、これらHLBの高い界面活性剤を乳化剤として用いた場合には、経時安定性には優れるものの、のびや肌や毛髪へのなじみが悪く、べたついて、有効成分が肌や毛髪に浸透していく感じの浸透感には劣るものであった。
【0005】
なお本出願に関する記載すべき先行技術文献情報は、特にはない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、乳化安定性が良好で、しかも使用性に優れる水中油型乳化組成物およびこれを用いた化粧料を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討した結果、水中油型乳化組成物を調製するのに、あえてHLBの低いHLB7〜9の界面活性剤を乳化剤として用い、さらに、安定性を保つために内油相に全乳化組成物に対し、0.5質量%以上の高級アルコールを添加して、内油相の固化作用により、経時安定性に優れ、しかものびが軽く、皮膚や毛髪へのなじみがよく、しっとりとし、べたつかない水中油型の乳化組成物が得られることを見出した。
【0008】
すなわち本発明は、(A)トリ脂肪酸POEグリセリル類、セトステアリルグルコシド、およびセテアリルグルコシドの中から選ばれる1種または2種以上のHLB7〜9の非イオン性界面活性剤を0.1〜5.0質量%、(B)有機概念図におけるIOBが0.2〜0.6のエステル油を0.1〜30.0質量%、(C)0.5質量%以上の高級アルコール、および(D)アクリルアミド系増粘剤を0.01〜3.0質量%含有する水中油型乳化組成物に関する。
【0009】
上記において、(A)成分として、トリイソステアリン酸POEグリセリル(POE20)、トリオレイン酸POEグリセリル(POE20)、トリイソステアリン酸POEグリセリル(POE7)の中から選ばれる1種または2種以上のトリ脂肪酸POEグリセリル類を含むものであるのが好ましい。
【0011】
上記において、(D)成分が、ビニルピロリドン/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、ジメチルアクリルアミド/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、アクリル酸アミド/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、ポリアクリル酸アミドとポリアクリル酸ナトリウムの混合物、アクリル酸ナトリウム/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリルアミド/アクリル酸アンモニウム共重合体、アクリルアミド/アクリル酸ナトリウム共重合体の中から選ばれる1種または2種以上であるものが好ましい。
【0012】
また本発明は、さらに(E)塩型薬剤成分を含有する、上記水中油型乳化組成物に関する。
【0013】
また本発明は、上記水中油型乳化組成物を用いた化粧料に関する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳述する。
本発明で用いられる(A)成分としてのHLB7〜9の非イオン性界面活性剤は、トリ脂肪酸POEグリセリル類、セトステアリルグルコシド、およびセテアリルグルコシドの中から選ばれる1種または2種以上である。
【0021】
トリ脂肪酸POEグリセリル類としては、トリイソステアリン酸POEグリセリル(POE20)、トリオレイン酸POEグリセリル(POE20)、トリイソステアリン酸POEグリセリル(POE7)等が挙げられる。
【0025】
中でも使用性(肌へのなじみ、毛髪へのなじみ)の点からトリ脂肪酸POEグリセリル類が好ましく、特にはトリイソステアリン酸POEグリセリル(POE20)が最も好ましい。
【0026】
HLB7未満の界面活性剤を使用した場合には、水中油型乳化組成物を調製できず、一方、HLB9を超えた界面活性剤を用いた場合には、系の安定性には優れるものの、使用性の面において、目的とするのび、皮膚や毛髪に対するなじめのよさ、有効成分が浸透していく感じの浸透感を得ることができない。
【0027】
(A)成分は1種または2種以上を用いることができる。(A)成分の配合量は、本発明化粧料中、0.1〜5.0質量%であり、好ましくは0.2〜3.0質量%である。0.1質量%未満では、系の安定性乏しく、一方、5.0質量%を超えて配合しても、効果を増強するものではなく、かえってべたつきを生じるものとなる。
【0028】
本発明に用いられる(B)成分としてのエステル油は有機概念図におけるIOBが0.2〜0.6のものである。
有機概念図とは、藤田穆により提案されたものであり、その詳細は"Pharmaceutical Bulletin", vol.2, 2, pp.163-173(1954)、「化学の領域」vol.11, 10, pp.719-725(1957)、「フレグランスジャーナル」, vol.50, pp.79-82(1981)等で説明されている。すなわち、すべての有機化合物の根源をメタン(CH4)とし、他の化合物はすべてメタンの誘導体とみなして、その炭素数、置換基、変態部、環等にそれぞれ一定の数値を設定し、そのスコアを加算して有機性値、無機性値を求め、この値を有機性値をX軸、無機性値をY軸にとった図上にプロットしていくものである。この有機概念図は、「有機概念図−基礎と応用−」(甲田善生著、三共出版、1984)等にも示されている。
有機概念図におけるIOBとは、有機概念図における有機性値(OV)に対する無機性値(IV)の比、すなわち「無機性値(IV)/有機性値(OV)」をいう。
本発明の(B)成分としてのエステル油は、さっぱりしてべたつかないという点から、該IOBが0.2〜0.6であることが必要である。IOBが0.2未満のエステル油では、敏感な肌に対して刺激を生じる場合があり、また、使用感の面でもさっぱりせず、べたつく感触を生じる場合がある。一方、IOBが0.6を超えるものでは、水に溶解しやすくなり、油分としての機能を発揮しなくなる。
【0029】
上記(B)成分の具体例としては、ジネオペンタン酸トリプロピレングリコール(IOB=0.52)、イソデシルベンゾエート(IOB=0.23)、ジカプリル酸プロピレングリコール(IOB=0.32)、イソノナン酸イソノニル(IOB=0.2)、2−エチルヘキサン酸セチル(IOB=0.52)、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル(IOB=0.36)、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリト(IOB=0.35)、コハク酸ジ2−エチルヘキシル(IOB=0.32)等が挙げられるが、これら例示に限定されるものでない。(B)成分は1種または2種以上を用いることができる。
【0030】
(B)成分の配合量は、使用性の点から、本発明化粧料中、0.1〜30.0質量%であり、好ましくは0.5質量〜20.0質量%である。0.1質量%未満では、本発明の効果であるさっぱりとして、べたつきのない感触を感じることができない。
【0031】
本発明に用いられる(C)成分として高級アルコールは、一般式R1OH(R1は炭素原子数6〜30、好ましくは12〜22のアルキル基を表す)で表される1価アルコール、一般式CH2OH−CHOH−CH2OR2(R2は炭素原子数6〜30、好ましくは12〜22のアルキル基またはアルキレン基を表す)で表されるグリセリンモノアルキルエーテルが好ましく用いられる。上記式において、Rが炭素原子数6未満の基では、本発明の効果が得られず、一方、Rの炭素原子数が30超の基では系の安定性を保持できない。
【0032】
(C)成分の具体例としては、例えば、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セリルアルコール、ベヘニルアルコール、トリアコンチルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール等が挙げられるが、これら例示に限定されるものでない。
【0033】
(C)成分の配合量は、本発明化粧料中、0.5〜10.0質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜8.0質量%である。0.5質量%未満では、本発明の効果、すなわち、内油相を固化作用に劣り、安定性に問題を生じ、しかも使用性の面においても本発明の効果であるしっとりとしながらもさっぱりとして、べたつきのない感触を得ることができない。一方、10.0質量%を超えて配合しても本発明の効果を増強せず、逆にしっとりするが、さっぱりしない感触となってしまい、また、安定性の面においても問題を生じる。
【0034】
本発明では、特に、化粧料としてより望ましいローション状やクリーム状の製品を得るために、上記(A)〜(C)成分に加えてさらに、(D)アクリルアミド系増粘剤を配合する。
【0035】
該(D)成分としては、ビニルピロリドン/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、ジメチルアクリルアミド/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、アクリル酸アミド/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、ポリアクリル酸アミドとポリアクリル酸ナトリウムの混合物、アクリル酸ナトリウム/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、ポリアクリルアミド/アクリル酸アンモニウム共重合体、アクリルアミド/アクリル酸ナトリウム共重合体等が挙げられるが、これら例示に限定されるものでない。(D)成分は1種または2種以上を用いることができる。
【0036】
(D)成分の配合量は、本発明化粧料中、0.01〜3.0質量%であり、好ましくは0.05〜2.5質量%である。
【0037】
なお増粘剤として、本願発明の効果を損なわない範囲で、上記(D)成分以外の他の増粘剤、例えばカルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル酸ナトリウム/アクリル酸アルキル/メタクリル酸ナトリウム/メタクリル酸アルキル共重合体、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム)共重合体などを配合することもできる。
【0038】
本発明ではさらに、(E)塩型薬剤を配合してもよい。(E)成分は塩を形成可能な水溶性の薬剤を意味し、本発明においては水溶性薬剤であれば特に制限がなく希望する薬剤を配合することができる。例えば、L−アスコルビン酸およびその誘導体の塩、トラネキサム酸およびその誘導体の塩、アルコキシサリチル酸およびその誘導体の塩、グルタチオンおよびその誘導体の塩などが好ましいものとして挙げられるが、これら例示に限定されるものでない。
【0039】
L−アスコルビン酸は、一般にビタミンCと言われ、強い還元作用により細胞呼吸作用、酵素賦活作用、膠原形成作用を有し、かつメラニン還元作用を有する。L−アスコルビン酸誘導体としては、L−アスコルビン酸モノステアレート、L−アスコルビン酸モノパルミテート、L−アスコルビン酸モノオレートなどのL−アスコルビン酸モノアルキルエステル類;L−アスコルビン酸モノリン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−硫酸エステルなどのL−アスコルビン酸モノエステル類;L−アスコルビン酸ジステアレート、L−アスコルビン酸ジパルミテート、L−アスコルビン酸ジオレートなどのL−アスコルビン酸ジアルキルエステル類;L−アスコルビン酸トリステアレート、L−アスコルビン酸トリパルミテート、L−アスコルビン酸トリオレートなどのL−アスコルビン酸トリアルキルエステル類;L−アスコルビン酸トリリン酸エステルなどのL−アスコルビン酸トリエステル類;L−アスコルビン酸2−グルコシドなどのL−アスコルビン酸グルコシド類などが挙げられる。本発明ではL−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸リン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−硫酸エステル、L−アスコルビン酸2−グルコシドの各塩の形で好適に用いられる。
【0040】
トラネキサム酸誘導体としては、トラネキサム酸の二量体、(例えば、塩酸トランス−4−(トランス−アミノメチルシクロヘキサンカルボニル)アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸、等)、トラネキサム酸とハイドロキキノンのエステル体(例えば、4−(トランス−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸4’−ヒドロキシフェニルエステル、等)、トラネキサム酸とゲンチシン酸のエステル体(例えば、2−(トランス−4−アミノメチルシクロヘキシルカルボニルオキシ)−5−ヒドロキシ安息香酸、等)、トラネキサム酸のアミド体(例えば、トランス−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸メチルアミド、トランス−4−(p−メトキシベンゾイル)アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸、トランス−4−グアニジノメチルシクロヘキサンカルボン酸、等)などが挙げられる。本発明ではトラネキサム酸の塩あるいはトラネキサム酸誘導体の塩の形で好適に用いられる。
【0041】
アルコキシサリチル酸は、サリチル酸の3位、4位または5位のいずれかの水素原子がアルコキシ基にて置換されたものであり、置換基であるアルコキシ基は、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基のいずれかであり、さらに好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。具体的に化合物名を例示すれば、3−メトキシサリチル酸、3−エトキシサリチル酸、4−メトキシサリチル酸、4−エトキシサリチル酸、4−プロポキシサリチル酸、4−イソプロポキシサリチル酸、4−ブトキシサリチル酸、5−メトキシサリチル酸、5−エトキシサリチル酸、5−プロポキシサリチル酸などが挙げられる。本発明ではアルコキシサリチル酸およびその誘導体(エステルなど)の各塩の形で好適に用いられる。
【0042】
上記薬剤の塩としては、特に限定されないが、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩のようなアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩のほか、アンモニウム塩、アミノ酸塩等の塩が挙げられる。
【0043】
(E)成分は1種または2種以上を用いることができ、その配合量は任意である。製品設計において希望する塩型薬剤の配合量を水相成分の配合量と調整しながら適宜決定する。例えば、水相成分全量に対して、0.1〜30.0質量%程度配合される。
【0044】
本発明の水中油型乳化組成物では、油相成分とともに水相成分が配合される。水相成分は、水若しくは水を主成分とする水相に、これに各種水溶性成分を含むものである。水相成分が、水中油型乳化組成物全量に対して、50.0〜90.0質量%配合された場合、本発明の効果はさらに効果的に発揮され、水中油型乳化組成物を得ることができる。水相成分が50.0質量%未満であると、重さを感じ、べたつきを生じる場合がある。一方、90.0質量%を超えると、さっぱりしているが、しっとりせず、本発明の効果であるしっとりとしながらもさっぱりとした使用感が得られにくくなる。
【0045】
本発明の水中油型乳化組成物においては、内油相中の(C)成分の固化作用により乳化組成物を安定化させているため、希望する配合量の(E)成分を安定に配合できるという利点を有する。さらに、(E)成分による粘度低下を起すことがなく、安定した水中油型乳化組成物が得られる。
【0046】
本発明の水中油型乳化組成物においては、上記成分のほかに、通常乳化組成物に配合され得る成分を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。このような成分としては、例えば紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、ロウ類、シリコーン油、多価アルコール、水溶性高分子等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0047】
紫外線吸収剤としては、例えば、パラアミノ安息香酸、オクチル−p−メトキシシンナメート(2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート)、グリセリルモノ−2−エチルヘキサノイル−ジパラメトキシシンナメート、トリメトキシケイ皮酸メチルビス(トリメチルシロキサン)シリルイソペンチル等のケイ皮酸系紫外線吸収剤、2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニルベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン、5−(3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オン、ビス−エチルヘキシルオキシフェノール−メトキシフェニル−トリアジン、2,4,6−トリス[4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]1,3,5−トリアジン、ジモルホリノピリダジノン等が挙げられる。
【0048】
紫外線散乱剤としては、例えば、平均粒径10〜100nmの微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化鉄、微粒子酸化セリウムなどの粉末が挙げられる。
【0049】
また、メチルハイドロジェンポリシロキサンやシランカップリング剤などのシリコーン処理;金属石鹸処理;パーフルオロアルキルリン酸ジエタノールアミン塩やパーフルオロアルキルシラン等のフッ素処理、デキストリン脂肪酸エステル処理等により、疎水化処理した紫外線散乱剤も剤系によって適宜配合できる。
【0050】
ロウ類としては、例えば、ミツロウ、カンデリラロウ、カルナウバロウ、ラノリン、液状ラノリン、ジョジョバロウ等が挙げられる。
【0051】
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプッシュワックス等が挙げられる。
【0052】
シリコーン油としては、例えば、鎖状ポリシロキサン(例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等);環状ポリシロキサン(例えば、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等)、3次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、平均分子量20万以上のシリコーンゴム、各種変性ポリシロキサン(アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等)等が挙げられる。
【0053】
多価アルコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール,グリセリン、ジグリセリン、1,3−ブチレングリコール,エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、1,2−ペンタンジオール、ヘキシレングリコール等が挙げられる。
【0054】
水溶性高分子としては、例えば、カラギーナン、ペクチン、マンナン、カードラン、コンドロイチン硫酸、デンプン、グリコーゲン、アラビアガム、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、キサンタンガム、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、グアガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン、キチン、キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天等が挙げられる。
【0055】
その他、エタノール等の低級アルコール;ブチルヒドロキシトルエン、δ−トコフェロール、フィチン等の酸化防止剤;安息香酸、サリチル酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、フェノキシエタノール、ヘキサクロロフェン、ε−ポリリジン等の防腐剤;クエン酸、乳酸、ヘキサメタリン酸等の有機または無機酸よびその塩;ビタミンA、ビタミンAパルミテート、ビタミンAアセテート等のビタミンA誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2およびその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15およびその誘導体等のビタミンB類、α−トコフェロール、β−トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン等のビタミン類;γ−オリザノール、アラントイン、グリチルリチン酸(塩)、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリル、ヒノキチオール、ビサボロール、ユーカルプトーン、チモール、イノシトール、サイコサポニン、ニンジンサポニン、ヘチマサポニン、ムクロジサポニン等のサポニン類、パントテニルエチルエーテル、アルブチン、セファランチン等の各種薬剤、ギシギシ、クララ、コウホネ、オレンジ、セージ、ノコギリソウ、ゼニアオイ、センブリ、タイム、トウキ、トウヒ、バーチ、スギナ、ヘチマ、マロニエ、ユキノシタ、オウゴン、アルニカ、ユリ、ヨモギ、シャクヤク、アロエ、クチナシ、サクラリーフ等の植物の抽出物、β−カロチン等の色素等も配合することができる。
【0056】
本発明の水中油型乳化組成物を用いた具体的な化粧料としては、乳液、スキンクリーム、ヘアクリーム、リキッドファンデーション、アイライナー、マスカラ、アイシャドウ等の乳液状あるいはクリーム状の製品がある。これら製品の製造は、前記した必須成分およびこれらの化粧料に通常配合される成分を配合して常法により製造することができる。
【0057】
【実施例】
本発明について以下に実施例を挙げてさらに詳述するが、本発明はこれによりなんら限定されるものではない。配合量は特記しない限り質量%で示す。
【0058】
[実施例1〜8および比較例1〜4、参考例1〜2]
下記表1〜3に示す処方で、水中油型乳化組成物であるスキンクリームを下記方法により製造した。
(製法)
(1)〜(9)を70℃にて均一に混合溶解した(油相)。一方、(10)〜(14)を70℃にて均一に混合溶解した(水相)。次いで、70℃を保持した水相に、70℃の油相を徐添しながら、ホモミキサーで乳化した。乳化を終了したら、40℃以下まで急冷し、目的の水中油型の乳化スキンクリームを得た。
【0059】
なお表1〜3中、トリイソステアリン酸POEグリセリル(POE=20)(HLB=7)(*1)は「エマレックスGWIS−320」(日本エマルジョン社製)を、セトステアリルグルコシド(HLB=7)(*2)は「EMULGADE PL68/50」(COGNIS社製)を、POE硬化ヒマシ油(POE=60)(HLB=14)(*3)は「エマレックスHC−60」(日本エマルジョン社製)を、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体(*4)は「SIMULGEL EG」(SEPIC社製)を、それぞれ用いた。
【0060】
得られたクリーム(試料)について、下記試験方法により安定性および使用性(のび、べたつき、さっぱりさ、浸透感)を評価した。
【0061】
[安定性試験]
試料を50℃、1ヶ月間放置後の外観を、目視にて観察し、下記評価基準により判定した。
(評価基準)
○ :分離が全くみられなかった
△ :分離がほとんどみられなかった
× :液相(油相または水相)の分離が生じた
【0062】
[使用性(のび)]
女性専門パネル(10名)による実使用試験を行い、肌へののびについて、それぞれ下記の評価基準により評価してもらった。
(評価基準)
◎: 10名全員が、のびが軽く、なめらかな使用性を有すると判定
○: 7〜9名が、のびが軽く、なめらかな使用性を有すると判定
△: 3〜6名が、のびが軽く、なめらかな使用性を有すると判定
×: 0〜2名が、のびが軽く、なめらかな使用性を有すると判定
【0063】
[使用性(べたつき)]
女性専門パネル(10名)による実使用試験を行い、べたつきについて、それぞれ下記の評価基準により評価してもらった。
(評価基準)
◎: 10名全員が、べたつきがなく、しっとりした使用性を有すると判定
○: 7〜9名が、べたつきがなく、しっとりした使用性を有すると判定
△: 3〜6名が、べたつきがなく、しっとりした使用性を有すると判定
×: 0〜2名が、べたつきがなく、しっとりした使用性を有すると判定
【0064】
[使用性(さっぱりさ)]
女性専門パネル(10名)による実使用試験を行い、さっぱりさについて、それぞれ下記の評価基準により評価してもらった。
(評価基準)
◎: 10名全員が、さっぱりさがある使用性を有すると判定
○: 7〜9名が、さっぱりさがある使用性を有すると判定
△: 3〜6名が、さっぱりさがある使用性を有すると判定
×: 0〜2名が、さっぱりさがある使用性を有すると判定
【0065】
[使用性(浸透)]
女性専門パネル(10名)による実使用試験を行い、浸透感について、それぞれ下記の評価基準により評価してもらった。
(評価基準)
◎: 10名全員が、浸透感がある使用性を有すると判定
○: 7〜9名が、浸透感がある使用性を有すると判定
△: 3〜6名が、浸透感がある使用性を有すると判定
×: 0〜2名が、浸透感がある使用性を有すると判定
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
【表3】
【0069】
表1〜3の結果から、本発明である実施例1〜8の水中油型のスキンクリームは、優れた安定性と使用性を有していることがわかる。
【0070】
以下に本発明のその他の実施例として、実施例9、11、および12(実施例10は欠番)を示す。
【0071】
実施例9 スキンクリーム
(配 合 成 分) 質量%
(1)流動パラフィン 2.0
(2)デカメチルシクロペンタシロキサン 6.0
(3)イソデシルベンゾエート(IOB=0.23) 6.0
(4)セテアリルグルコシド(HLB=7) 3.0
(商品名:「MONTANOV 68」;SEPIC社製)
(5)セチルアルコール 2.5
(6)バチルアルコール 2.5
(7)香料 0.1
(8)イオン交換水 残 余
(9)1,3−ブチレングリコール 3.0
(10)アスコルビン酸グルコシド 2.0
(11)パラベン 0.15
(12)エタノール 3.0
(13)水酸化ナトリウム 0.4
(14)ビニルピロリドン/2−アクリルアミド−
2−メチルプロパンスルホン酸共重合体 0.5
(商品名:「ARISTFLEX AVC」;CLARIANT社製)
(15)クエン酸 0.09
(16)クエン酸ナトリウム 0.01
(製法)
(1)〜(7)を70℃にて均一に混合溶解した(油相)。一方、(8)〜(16)を70℃にて均一に混合溶解した(水相)。70℃に保持した水相に油相を徐添しながら、ホモミキサーで乳化した。乳化が終了したら、40℃以下に急冷し、目的のスキンクリームを得た。
(製品の性状)
得られたスキンクリームについて、実施例1〜8と同様の評価を行ったところ、使用性に優れ(使用性評価:べたつき、のびおよびさっぱりさ、浸透感とも◎)、皮膚に塗布した場合、うるおいを与え、のびが軽く、さっぱりしていながらもしっとりした感触を有しており、しかも、べたつかず、安定性も良好(安定性評価:○)なものであった。
【0075】
実施例11 スキンクリーム
(配 合 成 分) 質量%
(1)流動パラフィン 2.0
(2)デカメチルシクロペンタシロキサン 6.0
(3)イソデシルベンゾエート(IOB=0.23) 6.0
(4)セテアリルグルコシド(HLB=7) 3.0
(商品名:「MONTANOV 68」;SEPIC社製)
(5)セチルアルコール 2.5
(6)バチルアルコール 2.5
(7)香料 0.1
(8)イオン交換水 残 余
(9)1,3−ブチレングリコール 3.0
(10)アルブチン 5.0
(11)アスコルビン酸燐酸エステルマグネシウム 1.0
(12)パラベン 0.15
(13)エタノール 3.0
(14)水酸化ナトリウム 0.4
(15)アクリル酸ナトリウム/2−アクリルアミド−
2−メチルプロパンスルホン酸共重合体 0.5
(商品名「SIMULGEL EG」;SEPIC社製)
(16)クエン酸 0.09
(17)クエン酸ナトリウム 0.01
(製法)
(1)〜(7)を70℃にて均一に混合溶解した(油相)。一方、(8)〜(17)を70℃にて均一に混合溶解した(水相)。70℃に保持した水相に油相を徐添しながら、ホモミキサーで乳化した。乳化が終了したら、40℃以下に急冷し、目的のスキンクリームを得た。
(製品の性状)
得られたスキンクリームについて、実施例1〜8と同様の評価を行ったところ、使用性に優れ(使用性評価:べたつき、のびおよびさっぱりさ、浸透感とも◎)、皮膚に塗布した場合、うるおいを与え、のびが軽く、さっぱりしていながらもしっとりした感触を有しており、しかも、べたつかず、安定性も良好(安定性評価:○)なものであった。
【0076】
実施例12 スキンクリーム
(配 合 成 分) 質量%
(1)流動パラフィン 2.0
(2)デカメチルシクロペンタシロキサン 6.0
(3)イソデシルベンゾエート(IOB=0.23) 6.0
(4)セテアリルグルコシド(HLB=7) 3.0
(商品名:「MONTANOV 68」;SEPIC社製)
(5)セチルアルコール 2.5
(6)バチルアルコール 2.5
(7)香料 0.1
(8)イオン交換水 残 余
(9)1,3−ブチレングリコール 3.0
(10)トリメチルグリシン 1.0
(11)4−メトキシサリチル酸カリウム 2.0
(12)フェノキシエタノール 0.15
(13)エタノール 3.0
(14)水酸化ナトリウム 0.4
(15)アクリル酸ナトリウム/2−アクリルアミド−
2−メチルプロパンスルホン酸共重合体 0.5
(商品名「SIMULGEL EG」;SEPIC社製)
(16)クエン酸 0.09
(17)クエン酸ナトリウム 0.01
(製法)
(1)〜(7)を70℃にて均一に混合溶解した(油相)。一方、(8)〜(17)を70℃にて均一に混合溶解した(水相)。70℃に保持した水相に油相を徐添しながら、ホモミキサーで乳化した。乳化が終了したら、40℃以下に急冷し、目的のスキンクリームを得た。
(製品の性状)
得られたスキンクリームについて、実施例1〜8と同様の評価を行ったところ、使用性に優れ(使用性評価:べたつき、のびおよびさっぱりさ、浸透感とも◎)、皮膚に塗布した場合、うるおいを与え、のびが軽く、さっぱりしていながらもしっとりした感触を有しており、しかも、べたつかず、安定性も良好(安定性評価:○)なものであった。
【0077】
【発明の効果】
本発明によれば、水中油型の乳化剤として、HLB7〜9の非イオン性界面活性剤を用い、感触向上剤として、IOB値0.2〜0.6のエステル油を用い、安定化剤として高級アルコールを所定量用いることにより、安定性および使用性に優れた水中油型の乳化組成物が提供できる。
【0078】
すなわち、安定性については、50℃保存下による経時安定性や遠心分離によっても、油浮きなどの分離がなく、経時安定性に極めて優れている。また、使用性については、特に、べたつかず、のびが軽く、さっぱりしているが、塗布した皮膚や毛髪はしっとりするという使用感に極めて優れた特性を有するものである。
【0079】
さらに、アクリルアミド系増粘剤を用いることによって、水相成分の含有量が50〜90質量%の水中油型乳化組成物をより化粧料として質感の高いものとすることができ、本発明の効果はさらに優れたものになる。
【0080】
本発明の水中油型乳化組成物には、希望する配合量の任意の塩型薬剤を配合でき、さらには乳化組成物の粘度低下を起こすこともない。
Claims (10)
- (A)トリ脂肪酸POEグリセリル類、セトステアリルグルコシド、およびセテアリルグルコシドの中から選ばれる1種または2種以上のHLB7〜9の非イオン性界面活性剤を0.1〜5.0質量%、(B)有機概念図におけるIOBが0.2〜0.6のエステル油を0.1〜30.0質量%、(C)0.5質量%以上の高級アルコール、および(D)アクリルアミド系増粘剤を0.01〜3.0質量%含有する水中油型乳化組成物。
- (A)成分として、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン(以下「POE」と記す)グリセリル(ポリオキシエチレン付加モル数20。以下「(POE20)」と記す)、トリオレイン酸POEグリセリル(POE20)、トリイソステアリン酸POEグリセリル(POE7)の中から選ばれる1種または2種以上のトリ脂肪酸POEグリセリル類を用いる、請求項1記載の水中油型乳化組成物。
- トリ脂肪酸POEグリセリル類としてトリイソステアリン酸POEグリセリル(POE20)を用いる、請求項2記載の水中油型乳化組成物。
- (B)成分が、ジネオペンタン酸トリプロピレングリコール(IOB=0.52)、イソデシルベンゾエート(IOB=0.23)、ジカプリル酸プロピレングリコール(IOB=0.32)、イソノナン酸イソノニル(IOB=0.2)、2−エチルヘキサン酸セチル(IOB=0.52)、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル(IOB=0.36)、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール(IOB=0.35)、コハク酸ジ2−エチルヘキシル(IOB=0.32)の中から選ばれる1種または2種以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
- (C)成分が、一般式R1OH(R1は炭素原子数6〜30のアルキル基を表す)で表される1価アルコール、一般式CH2OH−CHOH−CH2OR2(R2は炭素原子数6〜30のアルキル基またはアルキレン基を表す)で表されるグリセリンモノアルキルエーテルの中から選ばれる1種または2種以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
- 水中油型乳化組成物全量に対して(C)成分を0.5〜10.0質量%含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
- (D)成分が、ビニルピロリドン/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、ジメチルアクリルアミド/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、アクリル酸アミド/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、ポリアクリル酸アミドとポリアクリル酸ナトリウムの混合物、アクリル酸ナトリウム/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリルアミド/アクリル酸アンモニウム共重合体、アクリルアミド/アクリル酸ナトリウム共重合体の中から選ばれる1種または2種以上である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
- さらに(E)塩型薬剤成分を含有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
- (E)成分がL−アスコルビン酸およびその誘導体の塩、トラネキサム酸およびその誘導体の塩、アルコキシサリチル酸およびその誘導体の塩、グルタチオンおよびその誘導体の塩の中から選ばれる1種または2種以上である、請求項8記載の水中油型乳化型組成物。
- 化粧料である、請求項1〜9のいずれかに記載の水中油型乳化組成物。
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