JP4579935B2 - 光電変換素子および電子機器 - Google Patents

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Description

本発明は、光電変換素子および電子機器に関するものである。
従来から、環境にやさしい電源として、シリコンを用いた光電変換素子、いわゆる太陽電池が注目を集めている。シリコンを用いた太陽電池の中には、人工衛星等に用いられる単結晶シリコン型の太陽電池もあるが、実用的なものとしては、特に多結晶シリコンを用いた太陽電池や、アモルファスシリコンを用いた太陽電池が、産業用や家庭用として実用化が始まっている。
しかしながら、これらのシリコンを用いた太陽電池は、いずれも、製造コストが高く、また、製造に多大なエネルギーを必要とするため、必ずしも省エネルギーな電源とは言えなかった。
これに代わる次世代の太陽電池として開発され、製造コストが安く、また、製造エネルギーが少ないとされる色素増感太陽電池が提案されている。
色素増感太陽電池は、透明電極と対向電極との間に、色素を担持させた半導体層(電子輸送層)を有する構成とされ、受光により色素で発生した電子と正孔とが、それぞれ透明電極と対向電極とに引き分けられ、これらの間に電位差を生じさせるものである。
例えば、特許文献1には、半導体層(電子輸送層)を酸化チタンの多結晶材料で構成してなる色素増感太陽電池が提案されている。酸化チタンの多結晶材料表面には、色素が吸着しており、色素で発生した電子は、酸化チタンを介して、電極に移動する。
しかしながら、酸化チタンの多結晶材料は、色素から電極に電子を移動させる電子輸送能が十分ではないという問題があった。
特許第2664194号公報
本発明の目的は、電子輸送能に優れた電子輸送層を備え、より高い光電変換効率を実現し得る光電変換素子、およびかかる光電変換素子を備え、信頼性の高い電子機器を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される
本発明の光電変換素子は、第1の電極と、
該第1の電極と対向して設けられた第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に位置する電子輸送層と、
該電子輸送層と接触する色素層と、
前記電子輸送層と前記第2の電極との間に位置し、前記色素層と接触する電解質層とを有する光電変換素子であって、
前記電子輸送層は、主として、層状構造およびトンネル構造のいずれかの結晶構造を含む複酸化物塩の単結晶材料を粉砕してなる粒子の集合物で構成されたものであり、
前記複酸化物塩は、前記層状構造の三チタン酸ナトリウムまたは前記トンネル構造の八ニオブ酸カリウムであり、
前記色素層の少なくとも一部は、前記結晶構造の内部に取り込まれていることを特徴とする。
これにより、電子輸送能に優れた電子輸送層を備え、より高い光電変換効率を実現し得る光電変換素子が得られる。
また、これにより、特に、結晶構造の内部または表面に色素を担持し易い。このため、電子輸送層における色素の全担持量が多くなり、光電変換素子の光電変換効率をさらに高めることができる。
また、これにより、製造が困難な大型の単結晶材料を用いる必要がないので、電子輸送層を容易かつ安価に形成することができる。また、電子輸送層が単結晶材料の粒子の集合物で構成されていると、内部に発生する応力を分散させることができるので、応力に対する耐久性を高めることができる。
また、これにより、複酸化物塩と色素との物理的距離が近くなり、電子輸送層と色素との間で電子の受け渡しを速やかに行うことができるので、電子輸送層における電子輸送能を高める作用をもたらす。
本発明の光電変換素子では、前記複酸化物塩の単結晶材料の粒子の平均粒径は、0.01〜150μmであることが好ましい。
これにより、各粒子の粒径をある程度確保することができるので、各粒子が、電子の輸送において単結晶としての振る舞いを示すことができる。また、平均粒径が最適化されているので、この粒子を分散媒に分散してなる分散液を用いることにより、電子輸送層を塗布法にて効率よく形成することができる。したがって、複酸化物塩の単結晶材料で構成された電子輸送層を、その単結晶が有する特性を維持しつつ、容易かつ安価に形成することができる。
本発明の光電変換素子では、前記電子輸送層の平均厚さは、25〜300μmであることが好ましい。
これにより、電子輸送層が十分な量の色素を担持することができる。
本発明の光電変換素子では、前記第1の電極は、主として、金属酸化物材料で構成されていることが好ましい。
金属酸化物材料で構成された第1の電極は、透光性に優れているため、このような第1の電極を備えた光電変換素子は、光電変換効率の高いものとなる。
本発明の電子機器は、本発明の光電変換素子を備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電子機器が得られる。
以下、本発明の光電変換素子および電子機器を添付図面に示す好適な実施形態について詳細に説明する。
まず、本発明の光電変換素子を太陽電池に適用した場合を一例に説明する。
図1は、本発明の光電変換素子を太陽電池に適用した場合の実施形態を示す縦断面図、図2は、図1に示す太陽電池の厚さ方向の一部を模式的に示す拡大図、図3および図4は、図1に示す太陽電池の製造方法を説明するための模式図である。なお、以下では、説明の都合上、図1ないし図4中、上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。
図1に示す太陽電池1は、基板2上に設けられた第1の電極3と、第1の電極3と対向して設置された、対向基板7に支持された第2の電極6と、これらの電極3、6間において、第1の電極3側に位置する電子輸送層4と、電子輸送層4と接触する色素層Dと、電子輸送層4と第2の電極6との間に位置し、色素層Dに接触する電解質層5とを有している。また、各電極3、6間の縁部全周にわたって、隔壁8が設けられている。そして、各電極3、6と隔壁8とで画成された空間内に、電子輸送層4、色素層Dおよび電解質層5が設けられている。
以下、各部の構成について説明する。
本実施形態では、基板2および対向基板7は、第1の電極3、電子輸送層4、色素層D、および第2の電極6を支持するためのものであり、平板状の部材で構成されている。
本実施形態にかかる太陽電池1は、図1に示すように、基板2および後述する第1の電極3側から、例えば、太陽光等の光(以下、単に「光」と言う。)を入射させて(照射して)使用するものである。このため、基板2および第1の電極3は、それぞれ、好ましくは実質的に透明(無色透明、着色透明または半透明)とされる。これにより、光を、後述する色素層Dに効率よく到達させることができる。
基板2および対向基板7の各構成材料としては、それぞれ、例えば、ガラス材料、セラミックス材料、樹脂材料、アルミニウムのような金属材料等が挙げられる。
このうち、基板2および対向基板7の各構成材料は、特に樹脂材料であるのが好ましい。樹脂材料は、柔軟性に富んでいるため、太陽電池1の柔軟性を高めることができる。また、樹脂材料は、軽量なため、太陽電池1の可搬性や製造容易性を高めることもできる。
ここで、基板2および対向基板7を構成する樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVAC)等のポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリアミド(例:ナイロン6)、熱可塑性ポリイミド、芳香族ポリエステル等の液晶ポリマー、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリスルホン(PSU)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、スチレン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)のようなポリエステル系、ポリイミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性樹脂等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。
これらの中でも、樹脂材料としては、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリスルホン(PSU)、ポリプロピレン(PP)またはポリイミド(PI)が好ましく用いられる。
さらに、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートがより好ましい。これらの樹脂材料は、比較的耐熱性および耐薬品性に優れているため、かかる樹脂材料で構成された基板は、太陽電池1を製造する際の熱処理や液相プロセスにおいて優れた耐久性を有する。
また、これらの樹脂材料は、透光性が高いので、より多くの光を色素層Dに到達させることができ、太陽電池1の光電変換効率を高めることができる。さらに、安価で入手が容易なため、太陽電池1の製造コストの低減を図ることができるという利点もある。
基板2および対向基板7の各平均厚さは、それぞれ、その構成材料、太陽電池1の用途等により適宜設定され、特に限定されないが、例えば、次のように設定することができる。
基板2および対向基板7をそれぞれ硬質材料で構成する場合、その平均厚さは、0.1〜1.5mm程度であるのが好ましく、0.3〜1.2mm程度であるのがより好ましい。また、基板2および対向基板7をそれぞれ可撓性材料で構成する場合、その平均厚さは、0.5〜500μm程度であるのが好ましく、10〜300μm程度であるのがより好ましい。
なお、対向基板7は、必要に応じて、省略することもできる。
基板2上(基板2の一方の面側)には、第1の電極3が設けられている。この第1の電極3は、後述する色素層Dで発生した電子を、電子輸送層4を介して受け取り、これに接続された外部回路10へ伝達する。
第1の電極3の構成材料としては、例えば、酸化インジウム錫(ITO)、フッ素原子を含有する酸化錫(FTO)、酸化インジウム(InO)、酸化錫(SnO)のような金属酸化物材料、アルミニウム、ニッケル、コバルト、白金、銀、金、銅、モリブデン、チタン、タンタルまたはこれらを含む合金のような金属材料、黒鉛のような炭素材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば、複数層の積層体等として)用いることができる。
第1の電極3の平均厚さは、その構成材料、太陽電池1の用途等により適宜設定され、特に限定されないが、例えば、次のように設定することができる。
第1の電極3を金属酸化物材料(透明導電性金属酸化物材料)で構成する場合、その平均厚さは、0.05〜5μm程度であるのが好ましく、0.1〜1.5μm程度であるのがより好ましい。また、第1の電極3を金属材料や炭素材料で構成する場合、その平均厚さは、0.01〜1μm程度であるのが好ましく、0.03〜0.1μm程度であるのがより好ましい。
なお、第1の電極3は、図示の形状に限定されず、例えば、複数の櫛歯を有する形状のもの等であってもよい。この場合、光は、複数の櫛歯同士の間を通過して、色素層Dに到達するので、第1の電極3は、実質的に透明でなくてもよい。これにより、第1の電極3の構成材料や形成方法(製造方法)等の選択の幅の拡大を図ることができる。
また、第1の電極3は、このような櫛歯状の電極と、層状の電極とを組み合わせて(例えば、積層等して)用いることもできる。
第1の電極3上には、電子輸送層4が設けられている。
電子輸送層4は、少なくとも色素層Dで発生した電子を輸送する機能を有するものである。
このような電子輸送層4は、主として、複酸化物塩の単結晶材料で構成されている。
ここで、複酸化物塩とは、2種類以上の金属酸化物を含む金属酸塩である。このような複酸化物塩の単結晶材料は、一般に、立体的な結晶構造を有している。この立体的な結晶構造は、その内部または表面に色素(増感色素)が担持され易くなるので、複酸化物塩の単結晶材料は、その内部または表面に色素を担持した状態を容易に維持することができる。
結晶構造の内部に色素を担持した状態の電子輸送層4では、複酸化物塩と色素との物理的距離が近くなり、色素(色素層D)との間で電子の受け渡しをより速やかに行うことができるので、電子輸送層4における電子輸送能を高める作用をもたらす。
また、単結晶材料は、多結晶材料に比べ、電子の移動を妨げる結晶粒界がほとんどない(または非常に少ない)ので、電子輸送能に優れているという特徴も有する。
これらのことから、電子輸送層4は、色素層Dで発生した電子を効率よく第1の電極3に輸送することができる。これにより、太陽電池1の光電変換効率を高めることができる。
なお、このような電子輸送層4は、単結晶材料で構成されているため電気抵抗成分が小さく、電子輸送能が高いことから、その厚さを厚くしても、電子輸送能が著しく低下するのを防止することができる。このため、電子輸送層4の厚さを厚くすることができ、これにより、電子輸送層4を透過する光の透過量を抑制することができる。その結果、色素層Dにおける光電変換作用をより高めることができる。
さらに、単結晶材料には、結晶中に点欠陥や線欠陥等の微小欠陥が極めて少ない。このため、単結晶材料で構成された電子輸送層4は、光を効率的に利用することができるという特徴も有する。
また、複酸化物塩の単結晶材料の結晶構造は、層状構造、トンネル構造またはペロブスカイト構造を有するのが好ましい。複酸化物塩の単結晶材料の結晶構造中にこれらの構造を有していると、特に、結晶構造の内部または表面に色素を担持し易い。このため、電子輸送層4における色素の全担持量が多くなり、太陽電池1の光電変換効率をさらに高めることができる。
このような複酸化物塩は、前述したように、2種類以上の金属酸化物を含む金属酸塩であれば特に限定されないが、ニオブ、チタン、亜鉛、錫、バナジウム、インジウム、タングステン、タンタル、ジルコニウム、モリブデンおよびマンガンのうちの少なくとも1種を含むものが好ましい。これらの金属元素は、物性が類似しており、いずれも、アルカリ金属元素等とともに化学的に安定な複酸化物塩となる。そして、この複酸化物塩は、電子を輸送する機能を有する電子輸送層4の構成材料として好適である。
また、上記のような金属元素を含む複酸化物塩の中でも、特に、ニオブ酸カリウムまたはチタン酸ナトリウムであるのが好ましい。このような組成の複酸化物塩は、化学的に特に安定であるとともに、電子輸送能に優れたものとなる。したがって、かかる複酸化物塩は、電子輸送層4の構成材料として、特に好適である。
なお、ニオブ酸カリウムとしては、例えば、KNbO、KNb17、KNb21等が挙げられるが、特に、KNb17(六ニオブ酸カリウム)またはKNb21(八ニオブ酸カリウム)が好ましい。六ニオブ酸カリウムの単結晶材料の結晶構造は、層状構造で層状形状をなしているため、その層間や表面に多量の色素を担持することができる。また、八ニオブ酸カリウムの単結晶材料の結晶構造は、トンネル構造でウィスカー形状をなしており、そのトンネル内部や表面の表面電荷に分布があるため、多量の色素を担持することができる。
また、これらの単結晶材料は、前述したように、光の利用効率が高い他、触媒毒の被毒からの回復が早く、かつ、材料の寿命が長いという利点を有する。このため、かかる材料で構成された電子輸送層4を備えてなる太陽電池1は、長寿命で、かつ光電変換効率が高いものとなる。
一方、チタン酸ナトリウムとしては、例えば、NaTiO、NaTi、NaTiO、NaTi13等が挙げられるが、特に、NaTi(三チタン酸ナトリウム)またはNaTi13(六チタン酸ナトリウム)が好ましい。三チタン酸ナトリウムの単結晶材料の結晶構造も、前述の六チタン酸ナトリウムと同様に、層状構造で層状形状をなしているため、その層間や表面に多量の色素を担持させることができる。また、六チタン酸ナトリウムの単結晶材料の結晶構造も、前述の八ニオブ酸カリウムと同様に、トンネル構造でウィスカー形状をなしているため、そのトンネル内部や表面に多量の色素を担持することができる。
また、チタン酸ナトリウムの単結晶材料においても、前述のニオブ酸カリウムと同様に、光の利用効率が高い、触媒毒からの回復が早い、材料の寿命が長い等の利点を有することから、この単結晶材料で構成された電子輸送層4を備えてなる太陽電池1は、長寿命で、かつ光電変換効率が高いものとなる。
ところで、電子輸送層4を構成する複酸化物塩の単結晶材料は、いかなる形態であってもよく、例えば、電子輸送層4全体が1つのバルク状の単結晶材料で構成されていてもよいが、好ましくは、図2に示すように、複酸化物塩の単結晶材料の粒子40が集合してなる形態とされる。これにより、製造が困難な大型の単結晶材料を用いる必要がないので、電子輸送層4を容易かつ安価に形成することができる。また、電子輸送層4全体が1つの単結晶材料で構成されている場合、割れ等が発生し易く、応力に対する耐久性が低いが、単結晶材料の粒子40の集合物で構成されている場合、内部に発生する応力を分散させることができるので、応力に対する耐久性を高めることができる。したがって、例えば、基板2の構成材料として柔軟性の高い材料を用い、太陽電池1全体を湾曲させても、その光電変換機能を維持することができる。
この場合、複酸化物塩の単結晶材料の粒子40の平均粒径は、0.01〜150μm程度であるのが好ましく、0.05〜50μm程度であるのがより好ましい。単結晶材料の粒子40の平均粒径が前記範囲内にあれば、各粒子40の粒径をある程度確保することができるので、各粒子40が、電子の輸送において単結晶としての振る舞いを示すことができる。また、平均粒径が最適化されているので、この粒子を分散媒に分散してなる分散液を用いることにより、電子輸送層4を塗布法にて効率よく形成することができる。したがって、複酸化物塩の単結晶材料で構成された電子輸送層4を、その単結晶が有する特性を維持しつつ、容易かつ安価に形成することができる。
また、電子輸送層4の平均厚さは、特に限定されないが、1〜300μm程度であるのが好ましく、5〜100μm程度であるのがより好ましく、10〜50μm程度であるのがさらに好ましい。これにより、電子輸送層4が十分な量の色素を担持することができる。
このような電子輸送層4において、粒子40の内部には、図2に示すように色素dが担持されており、これにより色素層Dが形成されている。また、図2に図示はしていないが、粒子40の表面にも色素dが担持されている。このように担持された色素dは、電子輸送層4および電解質層5とそれぞれ接触している。これにより、色素層Dで発生した電子を効率よく電子輸送層4に受け渡すことができる。
この色素層Dを構成する色素dとしては、顔料および染料を単独または混合して使用することができる。なお、経時的変質、劣化がより少ないという点で顔料を、電子輸送層4への吸着性(電子輸送層4との結合性)がより優れるという点で染料を用いるのが好ましい。
ここで、顔料としては、例えば、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルー等のフタロシアニン系顔料、ファストイエロー、ジスアゾイエロー、縮合アゾイエロー、ペンゾイミダゾロンイエロー、ジニトロアニリンオレンジ、ペンズイミダゾロンオレンジ、トルイジンレッド、パーマネントカーミン、パーマネントレッド、ナフトールレッド、縮合アゾレッド、ベンズイミダゾロンカーミン、ベンズイミダゾロンブラウン等のアゾ系顔料、アントラピリミジンイエロー、アントラキノニルレッド等のアントラキノン系顔料、銅アゾメチンイエロー等のアゾメチン系顔料、キノフタロンイエロー等のキノフタロン系顔料、イソインドリンイエロー等のイソインドリン系顔料、ニッケルジオキシムイエロー等のニトロソ系顔料、ペリノンオレンジ等のペリノン系顔料、キナクリドンマゼンタ、キナクリドンマルーン、キナクリドンスカーレット、キナクリドンレッド等のキナクリドン系顔料、ペリレンレッド、ペリレンマルーン等のペリレン系顔料、ジケトピロロピロールレッド等のピロロピロール系顔料、ジオキサジンバイオレット等のジオキサジン系顔料のような有機顔料、カーボンブラック、ランプブラック、ファーネスブラック、アイボリーブラック、黒鉛、フラーレン等の炭素系顔料、黄鉛、モリブデートオレンジ等クロム酸塩系顔料、カドミウムイエロー、カドミウムリトポンイエロー、カドミウムオレンジ、カドミウムリトポンオレンジ、銀朱、カドミウムレッド、カドミウムリトポンレッド、硫化等の硫化物系顔料、オーカー、チタンイエロー、チタンバリウムニッケルイエロー、べんがら、鉛丹、アンバー、褐色酸化鉄、亜鉛鉄クロムブラウン、酸化クロム、コバルトグリーン、コバルトクロムグリーン、チタンコバルトグリーン、コバルトブルー、セルリアンブルー、コバルトアルミニウムクロムブルー、鉄黒、マンガンフェライトブラック、コバルトフェライトブラック、銅クロムブラック、銅クロムマンガンブラック等の酸化物系顔料、ビリジアン等の水酸化物系顔料、紺青等のフェロシアン化物系顔料、群青等のケイ酸塩系顔料、コバルトバイオレット、ミネラルバイオレット等のリン酸塩系顔料、その他(例えば硫化カドミウム、セレン化カドミウム等)のような無機顔料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
一方、染料としては、例えば、RuL(SCN)、RuLCl、RuLCN、Rutenium535−bisTBA(Solaronics社製)、[RuL(NCSO]のような金属錯体色素、シアン系色素、キサンテン系色素、アゾ系色素、ハイビスカス色素、ブラックベリー色素、ラズベリー色素、ザクロ果汁色素、クロロフィル色素等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、前記組成式中のLは、2,2’−bipyridineまたはその誘導体を示す。
色素層Dに接触して、電解質層5が設けられている。この電解質層5は、色素層Dで発生した正孔を捕捉し、輸送する機能を有する。
本実施形態にかかる電解質層5は、図2に示すように、その一部が電子輸送層4内に入り込んでいる。これにより、色素層Dと電解質層5との接触面積を増大することができ、色素層Dで発生した正孔(ホール)を、より効率よく電解質層5へ受け渡すことができる。その結果、太陽電池1の発電効率をより向上させることができる。
このような電解質層5は、液体状、ゲル状、または固体状とされる。なお、図1および図2には、液体状の電解質層5を図示している。
液体状の電解質層5は、例えば、I/I系、Br/Br系、Cl/Cl系、F/F系のようなハロゲン系、キノン/ハイドロキノン系等のレドックス電解質(酸化還元物質:電解質成分)の1種または2種以上を組み合わせたものを、例えば各種水、アセトニトリル、エチレンカーボネート、炭酸プロピレン、ポリエチレングリコール等の溶媒(または、これらの混合溶媒)に溶解した電解質溶液で構成することができる。
これらの中でも、電解質溶液としては、特に、ヨウ素溶液(I/I系溶液)が好ましく用いられる。より具体的には、電解質溶液は、例えば、ヨウ素およびヨウ化カリウムをエチレングリコールに溶解した溶液、ジメチルヘキシルイミダゾリウム、ヨウ素およびヨウ化リチウムを所定量のTertiary-butylpyridineが添加されたアセトニトリルに溶解した溶液、IodolyteTG50(Solaronics社製)、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムイオダイド等を用いることができる。
電解質溶液中の電解質成分の濃度(含有量)としては、特に限定されないが、例えば、0.1〜25wt%程度であるのが好ましく、0.5〜15wt%程度であるのがより好ましい。
また、ゲル状の電解質層5は、例えば、前述のような電解質溶液をゲル状の基材(ゲル基材)中に保持させたもので構成することができる。
このゲル基材としては、例えば、主として熱可塑性樹脂で構成されるもの、主として熱硬化性樹脂で構成されるもの、主として共重合体で構成されるもの、主としてシロキサン結合を有する化合物で構成されるもの等を用いることができ、さらに、これらのうちの任意の2種以上を組み合わせて用いることもできる。
このうち、熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等が挙げられ、これらの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂(PI)、エポキシ樹脂、石炭酸樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。
また、共重合体は、少なくとも2種の化合物(共重合体の前駆体)を、例えば、イオン重合(カチオン重合、アニオン重合)、ラジカル重合等、あるいは、これらを併用して重合させることにより得られるものであり、例えば、エポキシ系共重合体、ビニルエーテル系共重合体、オキセダン系共重合体、ウレタンアクリレート系共重合体、エポキシアクリレート系共重合体、エステルアクリレート系共重合体、アクリレート系共重合体等が挙げられる。
したがって、前記化合物(共重合体の前駆体)としては、例えば、ウレタン、ポリアセン、ポリアセチレン、ポリエチレン、ポリカーボン、ポリピロール、ポリアニリン、活性硫黄等のうちから、任意の2種以上を適宜選択して用いることができる。
また、シロキサン結合を有する化合物としては、ポリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリアルキルフェニルシロキサン、シリコン原子の一部が他の金属原子(例えば、アルミニウム、チタン等)と置換したポリメタロシロキサン等が挙げられる。
また、固体状の電解質層5としては、例えば、ポリアリールアミン、フルオレン−アリールアミン共重合体、フルオレン−ビチオフェン共重合体、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリビニルピレン、ポリビニルアントラセン、ポリチオフェン、ポリアルキルチオフェン、ポリヘキシルチオフェン、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリチニレンビニレン、ピレンホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾールホルムアルデヒド樹脂またはこれらの誘導体のような有機ポリマーや、チオフェンを骨格に有するデンドリマー等の有機高分子、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン、フタロシアニン、ペリレン、ヒドラゾン、トリフェニルメタン、ジフェニルメタン、スチルベン、アリールビニル、ピラゾリン、トリフェニルアミン、トリアリールアミン、オリゴチオフェン、フタロシアニンまたはこれらの誘導体等の有機低分子、CuI、AgI、AgBr、CuSCN等の無機材料などが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、前記有機ポリマーは、他のポリマーとの混合物として用いることもできる。一例として、ポリチオフェンを含有する混合物としては、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン/スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)等が挙げられる。
電解質層5の平均厚さ(電子輸送層4内に入り込んだ部分を除く)は、特に限定されないが、1〜500μm程度であるのが好ましく、10〜300μm程度であるのがより好ましく、10〜100μm程度であるのがさらに好ましい。
電解質層5上(第1の電極3と反対側)には、第1の電極3に対向する第2の電極6が設けられている。
この第2の電極6の構成材料としては、例えば、酸化インジウム錫(ITO)、フッ素原子を含有する酸化錫(FTO)、酸化インジウム(InO)、酸化錫(SnO)のような金属酸化物材料、アルミニウム、ニッケル、コバルト、白金、銀、金、銅、モリブデン、チタン、タンタルのような金属またはこれらを含む合金、あるいは、黒鉛のような各種炭素材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、第2の電極6は、層状の電極を組み合わせて(例えば、積層等して)用いるようにしてもよい。
なお、第2の電極6の平均厚さは、その構成材料、太陽電池1の用途等により適宜設定され、特に限定されない。
このような太陽電池1では、光が入射すると、主に色素層Dにおいて、電子が励起され、電子(e)と正孔(h)とが発生する。このうち、電子は、電子輸送層4へ、正孔は、電解質層5へ移動し、第1の電極3と第2の電極6との間に、電位差(光起電力)が生じて、外部回路10に、電流(光励起電流)が流れる。
また、このような太陽電池1では、第1の電極3が正、第2の電極6が負となるようにして、0.5Vの電圧を印加したとき、その抵抗値が100Ω/cm以上(好ましくは1kΩ/cm以上)となる特性を有するのがより好ましい。このような特性を有する太陽電池1では、第1の電極3と電解質層5との間での接触等による短絡(リーク)が好適に防止または抑制されていることを示すものであり、その発電効率(光電変換効率)をより向上させることができる。
なお、必要に応じて、第1の電極3と電子輸送層4との間に、バリア層を有していてもよい。このバリア層は、電解質層5と第1の電極3との接触を防止または抑制する機能を有するものである。このようなバリア層を設けることにより、漏れ電流の発生が増大するのを防止して、太陽電池1の発電効率が低下するのを防止することができる。
バリア層の構成材料としては、例えば、TiO、SrTiO、ZnO、SiO、Al、SnO、CdS、CdSe、TiC、Si、SiC、BN、BN等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、バリア層の平均厚さ(膜厚)は、0.01〜10μm程度であるのが好ましく、0.1〜5μm程度であるのがより好ましく、0.5〜2μm程度であるのがさらに好ましい。これにより、前記効果をより向上することができる。
なお、このようなバリア層は、例えば、ゾル・ゲル法、蒸着(真空蒸着)法、スパッタリング法(高周波スパッタリング、DCスパッタリング)、スプレー熱分解法、ジェットモールド(プラズマ溶射)法、CVD法等により形成することができる。
このような太陽電池1は、例えば、次のようにして製造することができる。
[1] まず、太陽電池1の本体の製造に先立って、電子輸送層4を構成する複酸化物塩の単結晶材料を作製する。
複酸化物塩の単結晶材料は、各種の結晶育成方法により作製することができるが、ここでは、代表的にフラックス法による作製方法について説明する。また、以下の説明では、電子輸送層4が複酸化物塩の単結晶材料の粒子の集合物で構成されているとともに、電解質層5が液体状である場合を例に説明する。
[1−1] まず、電子輸送層4を構成する複酸化物塩の原材料と融剤(フラックス)を、るつぼ中に投入する。
例えば、ニオブ酸カリウムの単結晶材料を作製する場合、原材料には、KCOとNbとが用いられ、融剤には、KCOとMoOの混合物あるいはKCl(単独)が用いられる。
また、例えば、チタン酸ナトリウムの単結晶材料を作製する場合、原材料には、NaCOとTiOの混合物あるいはTiO(単独)が用いられ、融剤には、NaClが用いられる。
[1−2] 次に、るつぼに軽く蓋をした後、るつぼを加熱して、原材料と融剤とを溶融する。そして、この状態で所定の時間維持するとともに、所定の冷却速度で冷却する。
ここで、るつぼの加熱温度は、用いる原材料や融剤の融点以上とされる。例えば、ニオブ酸カリウムの単結晶材料を作製する場合、加熱温度は、700℃以上、得られる単結晶材料の融点未満とするのが好ましい。また、チタン酸ナトリウムの単結晶材料を作製する場合も、加熱温度は、700℃以上、得られる単結晶材料の融点未満とするのが好ましい。なお、環境への負荷や、装置の耐熱温度を考慮すると、加熱温度は1100℃以下に設定するのが好ましい。
また、上記加熱温度での保持時間は、るつぼの容量に応じて調整するため、特に限定されないが、一例を挙げると、1〜1000時間程度とされる。
さらに、加熱の際の加熱速度は、るつぼの容量、目的とする単結晶の品質、生産効率等に応じて変えることができ、特に限定されないが、一例を挙げると、1〜1500℃/時間程度とされる。また、冷却の際の冷却速度も、るつぼの容量や、目的とする単結晶の品質、生産効率等に応じて変えることができ、特に限定されないが、一例を挙げると、0.1〜60000℃/時間程度とされる。
なお、結晶育成方法としてフラックス法を用いた場合、融剤の蒸発を駆動力として結晶が育成される。この場合、冷却速度を特に制御しなくても十分な品質の単結晶材料を作製することができるという利点がある。すなわち、フラックス法における冷却過程では、加熱を終了して自然冷却させればよい。
以上のようにして、るつぼ内に、複酸化物塩の単結晶材料を作製することができる。
[2] 次に、得られた複酸化物塩の単結晶材料を粉砕し、粉末状の単結晶材料(単結晶材料の粒子の集合物)を得る。
続いて、得られた粉末を分散媒に分散させ、撹拌してペースト状の分散液を調製する。
分散媒としては、例えば、各種水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のアルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、フェニルセロソルブ等のセロソルブ類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ぺンタン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素類、シクロへキサン、メチルシクロへキサン等の脂環式炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ドデシルベンゼンのような長鎖アルキル基を有するベンゼン類等の芳香族炭化水素類、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、ピリジン、ピラジン、フラン、ピロール、チオフェン、メチルピロリドン等の芳香族複素環類、アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等のニトリル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、カルボン酸塩またはその他の各種油類等が挙げられ、これらを単独または混合物として用いることができる。
なお、分散液に対し、必要に応じて、混練等を行ってもよい。
混練は、ニーダーやバッチ式の三軸ロール、連続2軸ロール、ホイールミキサー、ブレード型ミキサー等の各種混練機、ボールミル、ビーズミル等の各種ミルを用いて行うことができる。
さらに、このようにして得られた分散液に対し、必要に応じて、粘度調整を行ってもよい。
分散液の粘度調整は、例えば、粘度調整剤の添加、液状材料の温度調整、分散媒の除去等の方法により行うことができる。
粘度調整剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、水溶性アクリル樹脂、ポリビニルピロリドン、アラビアゴムスターチ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
[3] 次に、基板2を用意し、この基板2上に、図3(a)に示すように、第1の電極3を形成する。
この第1の電極3は、例えば、蒸着法、スパッタリング法、印刷法等により形成することができる。
[4] 次に、第1の電極3上に、電子輸送層4を形成する。
[4−1] まず、第1の電極3上に、前記工程[2]で作製した複酸化物塩の単結晶材料の粒子の分散液を塗布する。これにより、第1の電極3上に、図3(b)に示すように、液状被膜41を形成することができる。
この際の塗布法には、例えば、スピンコート法、ディップコート法、スキージ印刷法、スクリーン印刷法、液滴吐出法等の方法が用いられる。
[4−2] 次に、液状被膜中の分散媒を揮発・除去する。これにより、液状被膜を乾燥・固化させ、第1の電極3上に、図3(c)に示す電子輸送層4が得られる。
液状被膜中の分散媒を除去する方法としては、例えば、自然乾燥による方法、空気、窒素ガス等の気体を吹き付ける方法、凍結乾燥による方法、比較的低温での熱処理による方法等により行うことができるが、特に、比較的低温での熱処理により行うのが好ましい。これにより、広い面積の液状被膜に対して、分散媒の除去を効率よく行うことができる。
ここで、従来では、電子輸送層を形成する際に、その電子輸送能を高めるために高温での熱処理を行っていた。このため、基板や電極が熱による影響で変質・劣化し、太陽電池の機能が損なわれるという問題があった。
これに対し、複酸化物塩の単結晶材料は、電子輸送能が高いため、そのような高温での熱処理を必要としない。このため、本工程における熱処理の温度は、液状被膜中から分散媒を揮発・除去し得る温度であればよく、したがって、熱処理の温度を基板2や第1の電極3の耐熱温度より低く設定しても、電子輸送能に優れた電子輸送層4を形成することができる。
この場合、熱処理の温度は、基板2と第1の電極3の各構成材料に応じて適宜設定されるが、好ましくは、一般的な構成材料の耐熱温度未満とされる。これにより、基板2や第1の電極3が熱による影響で変質・劣化し、太陽電池1としての機能が損なわれるのを、確実に防止することができる。換言すれば、基板2や第1の電極3の構成材料として、耐熱性が比較的低い材料を用いることができる。
また、第1の電極3は、主として、金属酸化物材料で構成されているのが好ましい。金属酸化物材料で構成された電極は、透光性に優れているものの、耐熱性が低いという問題があったが、本発明では、電子輸送層の構成材料として、高温での熱処理を必要としない複酸化物塩の単結晶材料を用いることとしたので、金属酸化物材料で構成された第1の電極3を容易に用いることができる。これにより、透光性に優れた第1の電極3を備えた光電変換効率の高い太陽電池1を得ることができる。
以上のことから、本発明によれば、例えば、基板2として、ガラス基板のような耐熱温度が比較的高い基板はもちろん、耐熱温度が比較的低く、柔軟性に富んだ樹脂材料で構成された基板を用いた場合にも、光電変換効率が高くかつ柔軟性の高い太陽電池1を得ることができる。
なお、熱処理の温度は、基板2の構成材料に応じて若干異なるものの、70〜450℃程度であるのが好ましく、70〜250℃程度であるのがより好ましい。これにより、基板2や第1の電極3の変質・劣化を、より確実に防止することができる。
[5] 次に、電子輸送層4を、色素(増感色素)を含む色素液に接触させる。これにより、図2に示すように、電子輸送層4を構成する複酸化物塩の単結晶材料中に色素が入り込む。
電子輸送層4に色素液を接触させる方法としては、例えば、図4(d)に示すように、色素液D1中に電子輸送層4を備えた基板2を浸漬する方法(浸漬法)、電子輸送層4に色素液をシャワー状に供給する方法(噴霧法)等を用いることができるが、特に、浸漬法が好ましい。この浸漬法によれば、電子輸送層4に対して色素をムラなく、かつ効率よく担持させることができる。
この場合、色素液D1中に電子輸送層4を浸漬する時間は、特に限定されないが、0.5〜72時間程度であるのが好ましく、2〜24時間程度であるのがより好ましい。これにより、必要かつ十分な量の色素を、電子輸送層4に担持させることができる。なお、浸漬する時間を前記上限値より長くしてもよいが、担持量のさらなる増大を期待することはできない。
また、このときの色素液D1の温度は、特に限定されないが、20〜100℃程度であるのが好ましく、50〜90℃程度であるのがより好ましい。これにより、熱による色素の変質、変色、光電変換能の低下等を防止しつつ、電子輸送層4に対して色素を効率よく担持させることができる。
色素液D1中に浸漬した電子輸送層4には、必要に応じて、色素液D1の乾燥を行う。
色素液D1の乾燥は、前述の分散媒を除去する方法と同様の方法により行うことができる。
[6] 次に、対向基板7を用意し、この対向基板7上に、第2の電極6を形成する。
この第2の電極6は、前記第1の電極3と同様の方法により形成することができる。
[7] 次に、図4(e)に示すように、第2の電極6を備えた対向基板7を、第1の電極3と第2の電極6とが対向するように配置する。そして、第1の電極3と第2の電極6との間の縁部の全周にわたって隔壁8を設ける。これにより、第1の電極3、第2の電極6および隔壁8で画成された液密な空間9を得る。
なお、隔壁8の一部には、空間9と空間9の外部とに連通する貫通孔(図示せず)を設けるようにする。
また、隔壁8は、例えば、エポキシ系接着剤、シリコーン系接着剤のような各種接着剤、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂のような各種樹脂材料等により構成される。
[8] 次に、図4(f)に示すように、前記貫通孔を介して、空間9に電解質溶液(液体状の電解質層5)を注入し、充填する。注入された電解質溶液は、電子輸送層4中にも浸透する。
続いて、隔壁8の構成材料により、前記貫通孔を封止する。
なお、電解質層5が固体状である場合、前記工程[7]に先立って、電子輸送層4(色素層D)上に電解質層5を形成すればよい。
また、電解質層5がゲル状である場合、ゲル化剤を含む電解質溶液を空間9に注入した後、ゲル化剤の作用により電解質溶液をゲル化すればよい。
[9] 次に、第1の電極3と第2の電極6とに、それぞれ、外部回路10の端部を接続する。
以上のようにして、太陽電池(本発明の光電変換素子)1が製造される。
なお、本実施形態では、第1の電極3上に電子輸送層4を形成した後、電子輸送層4に色素を担持させるようにしたが、これとは逆に、電子輸送層4を構成する粒子にあらかじめ色素を担持させた後、この色素を含む分散液を第1の電極3上に塗布して、色素を担持してなる電子輸送層4を形成するようにしてもよい。
本発明の電子機器は、このような太陽電池1を備えるものである。
以下、図5および図6に基づいて、本発明の電子機器について説明する。
図5は、本発明の電子機器を適用した電卓を示す平面図、図6は、本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)を示す斜視図である。
図5に示す電卓100は、本体部101と、本体部101の上面(前面)に設けられた表示部102、複数の操作ボタン103および太陽電池設置部104とを備えている。
図5に示す構成では、太陽電池設置部104には、太陽電池1が5つ直列に接続されて配置されている。
図6に示す携帯電話機200は、本体部201と、本体部201の前面に設けられた表示部202、複数の操作ボタン203、受話口204、送話口205および太陽電池設置部206とを備えている。
図6に示す構成では、太陽電池設置部206が、表示部202の周囲を囲むようにして、太陽電池1が複数、直列に接続されて配置されている。
以上、本発明の光電変換素子および電子機器を図示の各実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、光電変換素子および電子機器を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。
なお、本発明の光電変換素子は、太陽電池のみならず、例えば、光センサー、光スイッチのような、光を受光して電気エネルギーに変換する各種素子(受光素子)に適用することができるものである。
また、本発明の光電変換素子では、光の入射方向は、図示のものとは異なり、逆方向からであってもよい。すなわち、光の入射方向は、任意である。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。なお、本発明は、この実施例によって制限されるものではない。
1.太陽電池(光電変換素子)の製造
(実施例1)
次のようにして、図1に示す太陽電池(光電変換素子)を製造した。
[1A] まず、白金製のるつぼ(直径36mm×高さ40mm)中に、原材料として、1.433gのKCO(和光純薬工業社製)と4.134gのNb(和光純薬工業社製)とを投入した。また、融剤として、9.519gのKCO(和光純薬工業社製)と9.914gのMoO(和光純薬工業社製)とを投入した。そして、原材料と融剤とを混合し、るつぼの開口部に軽く蓋をした。
[2A] 次に、るつぼを、炉内にて45℃/時間の加熱速度で1100℃まで加熱し、この温度で10時間保持した。その後、5℃/時間の冷却速度で500℃まで徐冷した後、炉からるつぼを取り出して、室温まで冷却した。これにより、単結晶材料を得た。
[3A] 次に、るつぼから単結晶材料を取り出し、X線回折による結晶構造分析を島津製作所製 XRD−6000にて行ったところ、得られた単結晶材料は、六ニオブ酸カリウムKNb17であった。
[4A] 次に、得られた単結晶材料を乳鉢で粉砕し、粒子状とした。なお、粒子の平均粒径は、15μmであった。続いて、25mLの蒸留水と7.5gのポリエチレングリコールとを混合し、混合液を撹拌しつつ、得られた粒子3gを混合液中に加えた。その後、混合液を7時間撹拌し、六ニオブ酸カリウムの単結晶材料の粒子が前記混合液中に分散してなる分散液を得た。
[5A] 次に、平均厚さ1μmのFTO膜(第1の電極)を備えたガラス基板(平均厚さ1mm)を用意した。
[6A] そして、FTO膜上に、スキージ印刷法により、前記工程[4A]で得られた分散液を塗布し、液状被膜を形成した。
[7A] 次に、液状被膜を450℃で加熱することにより、液状被膜中の分散媒を除去し、平均厚さ25μmの電子輸送層を得た。
[8A] 次に、シス−ビス(チオシアナト)−N,N−ビス(2,2’−ジピリジル−4,4’−ジカルボン酸)−ルテニウム(II)二水和物(N719)を、濃度が4×10−4mol%となるように乾燥エタノールに加えて色素液(温度80℃)を調製した。そして、この色素液中に、電子輸送層を備えたガラス基板を4時間浸漬した。次いで、窒素ガスを吹き付けつつ、色素液中からガラス基板を取り出した。これにより、電子輸送層を構成する六ニオブ酸カリウムの単結晶材料中に、色素が担持された。
[9A] 次に、FTO膜(平均厚さ1μm)と白金膜とをこの順で備えてなる対向基板(ガラス製、平均厚さ1mm)を用意した。
[10A] 次に、白金膜と電子輸送層とが対向するように、2つのガラス基板を所定間隔を開けて配置し、一部を除いて縁部をエポキシ系接着剤で封止した。
[11A] 次に、封止しなかった部分から、電解質溶液(Solaronix社製 Iodolyte AN-50)を両電極間に注入した。これにより、電解質層を形成した。
[12A] 次に、封止しなかった部分をエポキシ系接着剤で封止し、太陽電池を得た。
(実施例2)
以下のようにして、六チタン酸ナトリウムNaTi13の単結晶材料を作製し、この単結晶材料を用いて電子輸送層を形成した以外は、前記実施例1と同様にして太陽電池を得た。
[1B] まず、白金製のるつぼ(直径36mm×高さ40mm)中に、原材料として、0.174gのNaCO(和光純薬工業社製)と0.788gのTiO(和光純薬工業社製)とを投入した。また、融剤として、19.111gのNaCl(和光純薬工業社製)を投入した。そして、原材料と融剤とを混合し、るつぼの開口部に軽く蓋をした。
[2B] 次に、るつぼを、炉内にて45℃/時間の加熱速度で1100℃まで加熱し、この温度で10時間保持した。その後、5℃/時間の冷却速度で500℃まで徐冷した後、炉からるつぼを取り出して、室温まで冷却した。これにより、単結晶材料を得た。
[3B] 次に、るつぼから単結晶材料を取り出し、X線回折による結晶構造分析を島津製作所製 XRD−6000にて行ったところ、得られた単結晶材料は、六チタン酸ナトリウムNaTi13であった。
(実施例3)
基板として、平均厚さ1μmのITO膜(第1の電極)を備えたポリカーボネート(PC)基板(平均厚さ100μm)を用いるようにし、対向基板として、白金膜(第2の電極)を備えたPC基板(平均厚さ100μm)を用いるようにし、液状被膜の加熱温度を120℃とした以外は、前記実施例1と同様にして太陽電池を得た。
(実施例4)
基板として、平均厚さ1μmのITO膜(第1の電極)を備えたPC基板(平均厚さ100μm)を用いるようにし、対向基板として、白金膜(第2の電極)を備えたPC基板(平均厚さ100μm)を用いるようにし、液状被膜の加熱温度を120℃とした以外は、前記実施例2と同様にして太陽電池を得た。
(実施例5)
六ニオブ酸カリウムに代えて、八ニオブ酸カリウムKNb21を用いるようにした以外は、前記実施例3と同様にして太陽電池を得た。
(実施例6)
六チタン酸ナトリウムに代えて、三チタン酸ナトリウムNaTiを用いるようにした以外は、前記実施例4と同様にして太陽電池を得た。
(実施例7、8)
ガラス基板をポリエチレンテレフタレート(PET)基板に変更した以外は、それぞれ、前記実施例1、2と同様にして太陽電池を得た。
(実施例9、10)
ガラス基板をポリエチレンナフタレート(PEN)基板に変更した以外は、それぞれ、前記実施例1、2と同様にして太陽電池を得た。
(実施例11)
以下のようにして、あらかじめ色素を担持させた六ニオブ酸カリウムの単結晶材料の粒子を用いて電子輸送層を形成するようにした以外は、前記実施例1と同様にして太陽電池を得た。
[1C] 得られた単結晶材料を乳鉢で粉砕し、粒子状とした。なお、粒子の平均粒径は、15μmであった。続いて、シス−ビス(チオシアナト)−N,N−ビス(2,2’−ジピリジル−4,4’−ジカルボン酸)−ルテニウム(II)二水和物(N719)を、濃度が4×10−4mol%となるように乾燥エタノールに加えて色素液(温度80℃)を調製した。この色素液20mLに粒子2gを加え、4時間撹拌した。これにより、六ニオブ酸カリウムの単結晶材料中に、色素が担持された。
[2C] 次に、色素を担持させた粒子を、25mLの蒸留水と7.5gのポリエチレングリコールとを混合してなる混合液に加えた。そして、混合液を7時間撹拌し、六ニオブ酸カリウムの単結晶材料の粒子が前記混合液中に分散してなる分散液を得た。
[3C] 次に、平均厚さ1μmのFTO膜(第1の電極)を備えたガラス基板(平均厚さ1mm)を用意した。そして、FTO膜上に、スキージ印刷法により、前記工程[2C]で得られた分散液を塗布し、液状被膜を形成した。
[4C] 次に、液状被膜を120℃で加熱することにより、液状被膜中の分散媒を除去し、平均厚さ25μmの電子輸送層を得た。
(実施例12)
六ニオブ酸カリウムに代えて、六チタン酸ナトリウムを用いた以外は、前記実施例11と同様にして太陽電池を得た。
(実施例13)
基板として、平均厚さ1μmのITO膜(第1の電極)を備えたPC基板(平均厚さ100μm)を用いるようにし、対向基板として、白金膜(第2の電極)を備えたPC基板(平均厚さ100μm)を用いるようにした以外は、前記実施例11と同様にして太陽電池を得た。
(実施例14)
基板として、平均厚さ1μmのITO膜(第1の電極)を備えたPC基板(平均厚さ100μm)を用いるようにし、対向基板として、白金膜(第2の電極)を備えたPC基板(平均厚さ100μm)を用いるようにした以外は、前記実施例12と同様にして太陽電池を得た。
(比較例1)
以下のようにして、酸化チタンの多結晶粒子を用いて電子輸送層を形成するようにした以外は、前記実施例1と同様にして太陽電池を得た。
[1D] まず、平均粒径5μmの酸化チタン(アナターゼ、和光純薬工業社製)の粒子を用意した。
[2D] 次いで、25mLの蒸留水と7.5gのポリエチレングリコールとを混合し、混合液を撹拌しつつ、得られた粒子3gを混合液中に加えた。その後、混合液を7時間撹拌し、酸化チタンの多結晶材料の粒子が前記混合液中に分散してなる分散液を得た。
[3D] 次に、平均厚さ1μmのFTO膜(第1の電極)を備えたガラス基板(平均厚さ1mm)を用意した。
[4D] そして、FTO膜上に、スキージ印刷法により、前記工程[2D]で得られた分散液を塗布し、液状被膜を形成した。
[5D] 次に、液状被膜を450℃で加熱することにより、液状被膜中の分散媒を除去するとともに、粒子表面に焼成を施し、平均厚さ5μmの電子輸送層を得た。
(比較例2)
基板として、平均厚さ1μmのITO膜(第1の電極)を備えたPC基板(平均厚さ100μm)を用いるようにし、対向基板として、白金膜(第2の電極)を備えたPC基板(平均厚さ100μm)を用いるようにした以外は、前記比較例1と同様にして太陽電池を得た。
2.評価
各実施例および各比較例で製造した太陽電池の電流−電圧特性を、それぞれ、ソーラーシミュレータによるAM1.5(100mW/cm)の条件下でI−Vテスターを用いて測定した。そして、各太陽電池の開放電圧および短絡電流を求め、さらに、光電変換効率を求めた。
なお、開放電圧は、太陽電池の両電極に何も繋がない状態で、両電極間に発生する電圧、短絡電流は、太陽電池の両電極間を短絡させた状態で、回路に流れる電流である。
また、光電変換効率は、照射する光エネルギーに対する、出力される電気エネルギーの割合である。
測定結果を表1に示す。
Figure 0004579935
表1からも明らかなように、各実施例で得られた太陽電池は、いずれも、比較例1で得られた太陽電池よりも光電変換効率が高かった。また、比較例2では、液状被膜に熱処理を施した際に、PC基板が溶解したため、電流−電圧特性を求めることができなかった。
本発明の光電変換素子を色素増感太陽電池に適用した場合の実施形態を示す縦断面図である。 図1に示す太陽電池の厚さ方向の一部を模式的に示す拡大図である。 図1に示す太陽電池の製造方法を説明するための模式図である。 図1に示す太陽電池の製造方法を説明するための模式図である。 本発明の電子機器を適用した電卓を示す平面図である。 本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)を示す斜視図である。
符号の説明
1……太陽電池 2……基板 3……第1の電極 4……電子輸送層 40……粒子 41……液状被膜 D……色素層 D1……色素液 d……色素 5……電解質層 6……第2の電極 7……対向基板 8……隔壁 9……空間 10……外部回路 100……電卓 101……本体部 102……表示部 103……操作ボタン 104……太陽電池設置部 200……携帯電話機 201……本体部 202……表示部 203……操作ボタン 204……受話口 205……送話口 206……太陽電池設置部

Claims (5)

  1. 第1の電極と、
    該第1の電極と対向して設けられた第2の電極と、
    前記第1の電極と前記第2の電極との間に位置する電子輸送層と、
    該電子輸送層と接触する色素層と、
    前記電子輸送層と前記第2の電極との間に位置し、前記色素層と接触する電解質層とを有する光電変換素子であって、
    前記電子輸送層は、主として、層状構造およびトンネル構造のいずれかの結晶構造を含む複酸化物塩の単結晶材料を粉砕してなる粒子の集合物で構成されたものであり、
    前記複酸化物塩は、前記層状構造の三チタン酸ナトリウムまたは前記トンネル構造の八ニオブ酸カリウムであり、
    前記色素層の少なくとも一部は、前記結晶構造の内部に取り込まれていることを特徴とする光電変換素子。
  2. 前記複酸化物塩の単結晶材料の粒子の平均粒径は、0.01〜150μmである請求項に記載の光電変換素子。
  3. 前記電子輸送層の平均厚さは、25〜300μmである請求項1または2に記載の光電変換素子。
  4. 前記第1の電極は、主として、金属酸化物材料で構成されている請求項1ないしのいずれかに記載の光電変換素子。
  5. 請求項1ないしのいずれかに記載の光電変換素子を備えることを特徴とする電子機器。
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