JP4579774B2 - 積層型電子部品の製造方法 - Google Patents
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シート積層法では、コイル用導体パターンの印刷面であるセラミックグリーンシートの平坦性が良いために印刷積層法の場合に比較してコイル用導体パターンの線幅を細くできるが、安定的にコイル用導体パターンを形成するためには線幅を40μm以上にする必要があった。また、コイル用導体パターンの線幅を小さくすると、スルーホール径も小さくなり、スルーホール内への導体充填が不十分となりやすく、断線が発生しやすかった。さらに、セラミックグリーンシートの積層ずれをなくす必要がある上、コイル用導体パターンが形成されている位置とコイル用導体パターンが形成されていない位置とで段差が生じるといった問題もあり、印刷積層法の場合と同様に0603サイズ(0.6×0.3×0.3mm)よりも小型の積層型電子部品を製造するのは困難だった。
焼成基板上に厚膜フォトリソ技術を用いて積層体を形成する方法では、厚手の焼成基板上に積層体を形成するために、製品の高さの制約で所定の特性を得られなかった。また、焼成基板上に絶縁体層と導体パターンを一層ごとに焼成しながら積み重ねているので、製品に歪みが発生するという問題があった。
この様に、従来の積層型電子部品の製造方法では、0603サイズ(0.6×0.3×0.3mm)よりもさらに小型の0402サイズ(0.4×0.2×0.2mm)といった積層型電子部品を安定的に製造することができなかった。また、不安定ながらも0402サイズ(0.4×0.2×0.2mm)といった小型の積層型電子部品を製造できた場合でも、インダクタンス値やコイルのQ値等の特性の劣化が避けられなかった。
さらに、焼成基板上に厚膜フォトリソグラフィー技術を用いて積層体を形成する場合の問題点を解決するために、感光性絶縁体ペーストと感光性導電ペーストを用いて絶縁体層と導体パターンを積層することが検討されている。しかしながら、感光性絶縁体ペーストと感光性導電ペーストを構成する光重合硬化性を有するバインダー樹脂を同一系にした場合、感光性絶縁体膜上に銀を含有する感光性導電膜を形成し、露光、現像すると本来銀の膜が現像で除去されなければならない未露光部分に銀の残渣が発生してしまい、この残渣を除去しようとするとコイル用導体パターンの断線や流失が発生するという問題がある。
また、本発明は、絶縁体層と導体パターンを積層し、積層体内に導体パターンによって回路素子が形成された積層型電子部品の製造方法において、支持体上に感光性絶縁体ペーストと感光性導電ペーストを用いて絶縁体層と導体パターンを積層して積層体内にコイル素子が形成され、積層体を製品個々へ分割した後外部端子を形成し、かつ、支持体上に絶縁体層と導体パターンを積層する工程が、光重合硬化性を有するアクリル系バインダー樹脂を含有する感光性絶縁体膜を形成し、露光、現像する工程、感光性絶縁体膜上に光重合硬化性を有するセルロース系バインダー樹脂を含有する感光性導電ペーストを塗布して感光性絶縁体膜の全面又は所定部分に感光性導電膜を形成し、露光、現像して感光性絶縁体膜上にコイル用導体パターンを形成する工程、コイル用導体パターンが形成された感光性絶縁体膜上に光重合硬化性を有するアクリル系バインダー樹脂を含有する感光性絶縁体ペーストを塗布してコイル用導体パターンが形成された感光性絶縁体膜の全面又は所定部分に感光性絶縁体膜を形成し、露光、現像して感光性絶縁体膜に上下層のコイル用導体パターンを接続するためのスルーホールを形成する工程及び、スルーホール内に光重合硬化性を有するセルロース系バインダー樹脂を含有する感光性導電ペーストを充填すると共に、スルーホールが形成された感光性絶縁体膜上に光重合硬化性を有するセルロース系バインダー樹脂を含有する感光性導電ペーストを塗布して感光性絶縁体膜の全面又は所定部分に感光性導電膜を形成し、露光、現像して下層のコイル用導体パターンと接続されたコイル用導体パターンを形成する工程を備える。
また、本発明の積層型電子部品の製造方法は、支持体上に感光性絶縁体ペーストと感光性導電ペーストを用いて絶縁体層と導体パターンを積層して積層体内にコイル素子が形成され、積層体を製品個々へ分割した後外部端子を形成し、かつ、支持体上に絶縁体層と導体パターンを積層する工程が、光重合硬化性を有するアクリル系バインダー樹脂を含有する感光性絶縁体膜を形成し、露光、現像する工程、感光性絶縁体膜上に光重合硬化性を有するセルロース系バインダー樹脂を含有する感光性導電ペーストを塗布して感光性絶縁体膜の全面又は所定部分に感光性導電膜を形成し、露光、現像して感光性絶縁体膜上にコイル用導体パターンを形成する工程、コイル用導体パターンが形成された感光性絶縁体膜上に光重合硬化性を有するアクリル系バインダー樹脂を含有する感光性絶縁体ペーストを塗布してコイル用導体パターンが形成された感光性絶縁体膜の全面又は所定部分に感光性絶縁体膜を形成し、露光、現像して感光性絶縁体膜に上下層のコイル用導体パターンを接続するためのスルーホールを形成する工程及び、スルーホール内に光重合硬化性を有するセルロース系バインダー樹脂を含有する感光性導電ペーストを充填すると共に、スルーホールが形成された感光性絶縁体膜上に光重合硬化性を有するセルロース系バインダー樹脂を含有する感光性導電ペーストを塗布して感光性絶縁体膜の全面又は所定部分に感光性導電膜を形成し、露光、現像して下層のコイル用導体パターンと接続されたコイル用導体パターンを形成する工程を備えるので、高精細度なコイル用導体パターンと高精細度な微小径のスルーホールを安定して形成することができると共に、コイル用導体パターンとスルーホールを高い位置精度で形成することができ、特性を劣化させることなく小型の積層型電子部品を安定的に製造することができる。
図1は本発明の積層型電子部品の製造方法の実施例に係る積層型電子部品の分解斜視図、図2は本発明の積層型電子部品の製造方法の実施例に係る積層型電子部品の斜視図である。
本発明の積層型電子部品の製造方法の実施例に係る積層型電子部品としては、例えば、図1、2に示す様に、絶縁体層11A上に、コイル用導体パターン12A〜12Eと絶縁体層11B〜11Eとを積み重ね、これら積層体上に絶縁体層11Fを形成して、積層体内にコイルを形成したものがある。
絶縁体層11A〜11Fは、ガラスセラミックス、誘電体セラミックス、磁性体セラミックス等の絶縁体セラミックスで形成される。
絶縁体11A〜11Eの表面には、それぞれ導体パターン12A〜12Eが形成される。導体パターン12A〜12Eは、銀、銀系、金、金系、銅、銅系等の金属材料で構成される。図1では1ターン未満のコイル用導体パターンが示されており、絶縁体層間の導体パターン12A〜12Eが絶縁体層のスルーホール内の導体を介して螺旋状に接続されて積層体内にコイルが形成される。このコイル用導体パターンの材質は、絶縁体層を構成するセラミックスの焼成条件に適合する金属材料を選択する必要があるが、導体パターンの導体抵抗が高いとコイルのQ値が低下してしまうことから導体抵抗の低い金属材料が望ましい。
コイルの一端を構成する絶縁体層11A上の導体パターン12Aの一端は、絶縁体層11Aの端面に引き出され、積層体の端面に形成された外部端子23に接続される。また、コイルの他端を構成する絶縁体層11E上の導体パターン12Eの他端は、絶縁体層11Eの端面に引き出され、積層体の端面に形成された外部端子24に接続される。
続いて、この感光性絶縁体膜31BのスルーホールH内に光重合硬化性を有するセルロース系バインダー樹脂を含有する感光性導電ペーストを充填すると共に、図3(F)に示す様に、感光性絶縁体膜の表面全体又は、表面の製品となる部分に光重合硬化性を有するセルロース系バインダー樹脂を含有する感光性導電ペーストを所定の厚みに塗布して感光性導電膜32を形成し、乾燥した後、この感光性導電膜32を露光、現像して、図3(G)に示す様に、感光性絶縁体膜31Bの表面にコイル用導体パターン32Bが形成される。コイル用導体パターン32Bの一端は、感光性絶縁体膜31Bのスルーホール内の導体によってコイル用導体パターン32Aに接続される。この時、感光性導電膜32のスルーホールと対応する位置の膜厚は、スルーホールの深さ分だけ他の部分より厚くなって露光可能な膜厚を超えた膜厚となるので、スルーホールの底部付近の感光性導電体は半露光又は未露光の状態となる。しかしながら、スルーホール内に感光性導電ペーストを充填した後、このスルーホール部分を露光する工程を追加することにより、スルーホール内に充填された感光性導電体の上部が光重合硬化し、この光重合硬化した部分がスルーホール内に充填された感光性導電体のレジストとなり、充填された感光性導電体に含まれる半露光又は未露光のバインダー樹脂の現像液による溶解を防止でき、コイル用導体パターン間の接続の信頼性を向上させることができる。
この支持体上に形成された積層体は、図4に示す様に点線の部分で切断機等で切断することにより、製品個々に分割し、支持体30から剥離し、所定の条件で脱脂を行った後、これを焼成し、外部端子が形成される。外部端子は、支持体30から剥離し、焼成した焼成体に銀を含有する導体ペーストを塗布し、乾燥させて焼成し、はんだ実装性を確保するためにニッケルとスズのメッキが施される。
12A〜12E 導体パターン
Claims (2)
- 絶縁体層と導体パターンを積層し、積層体内に該導体パターンによって回路素子が形成された積層型電子部品の製造方法において、
支持体上に光重合硬化性を有するアクリル系バインダー樹脂を含有する感光性絶縁体ペーストを用い、露光、現像を施して第1の感光性絶縁体膜を形成する工程、
第1の感光性絶縁体膜上に、光重合硬化性を有するセルロース系バインダー樹脂を含有する感光性導電ペーストを用い、露光、現像を施して形成された導体パターンと、光重合硬化性を有するアクリル系バインダー樹脂を含有する感光性絶縁体ペーストを用い、露光、現像を施して形成された第2の感光性絶縁体膜とが積み重ねられる工程及び、
これらの積層体上に、光重合硬化性を有するアクリル系バインダー樹脂を含有する感光性絶縁体ペーストを用いて第3の感光性絶縁体膜を形成する工程を備えたことを特徴とする積層型電子部品の製造方法。 - 絶縁体層と導体パターンを積層し、積層体内に該導体パターンによって回路素子が形成された積層型電子部品の製造方法において、
支持体上に感光性絶縁体ペーストと感光性導電ペーストを用いて絶縁体層と導体パターンを積層して積層体内にコイル素子が形成され、該積層体を製品個々へ分割した後外部端子を形成し、かつ、
該支持体上に絶縁体層と導体パターンを積層する工程が、
光重合硬化性を有するアクリル系バインダー樹脂を含有する感光性絶縁体膜を形成し、露光、現像する工程、
該感光性絶縁体膜上に光重合硬化性を有するセルロース系バインダー樹脂を含有する感光性導電ペーストを塗布して該感光性絶縁体膜の全面又は所定部分に感光性導電膜を形成し、露光、現像して該感光性絶縁体膜上にコイル用導体パターンを形成する工程、
該コイル用導体パターンが形成された感光性絶縁体膜上に光重合硬化性を有するアクリル系バインダー樹脂を含有する感光性絶縁体ペーストを塗布して該コイル用導体パターンが形成された感光性絶縁体膜の全面又は所定部分に感光性絶縁体膜を形成し、露光、現像して該感光性絶縁体膜に上下層の該コイル用導体パターンを接続するためのスルーホールを形成する工程及び、
該スルーホール内に光重合硬化性を有するセルロース系バインダー樹脂を含有する感光性導電ペーストを充填すると共に、該スルーホールが形成された感光性絶縁体膜上に光重合硬化性を有するセルロース系バインダー樹脂を含有する感光性導電ペーストを塗布して該感光性絶縁体膜の全面又は所定部分に感光性導電膜を形成し、露光、現像して下層のコイル用導体パターンと接続されたコイル用導体パターンを形成する工程を備えたことを特徴とする積層型電子部品の製造方法。
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