JP4579774B2 - 積層型電子部品の製造方法 - Google Patents

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本発明は、絶縁体層と導体パターンを積層し、積層体内に導体パターンによって回路素子が形成された積層型電子部品の製造方法に関するものである。
インダクタ(コイル)の分野でも小型化の要求に対応するために、巻線を用いないタイプの積層型電子部品が実用化されているが、さらなる小型化・薄型化が求められている。これらコイルを内蔵する積層型電子部品の製造方法としては、絶縁体ペーストと導体ペーストを交互に印刷して積層体を形成する印刷積層法、表面にコイル用導体パターンが形成されたセラミックグリーンシートを複数枚積層して積層体が形成され、セラミックグリーンシートに形成されたスルーホール内の導体を介してコイル用導体パターン間が接続されるシート積層法及び、焼成基板上に厚膜フォトリソグラフィー技術や薄膜技術を用いて積層体を形成する方法(例えば、特許文献1を参照。)の3つが知られている。
特開平8-316080号公報
印刷積層法では、絶縁体ペーストと導体ペーストの印刷を繰り返して積層しているために、積層数の増加に伴い、印刷面の平坦性が悪化し、線幅が50μm未満のコイル用導体パターンを安定的に形成することができなかった。また、印刷の滲みやダレの影響でコイル用導体パターンの線幅が不安定になり、0603サイズ(0.6×0.3×0.3mm)よりも小型の積層型電子部品を製造するのは困難だった。
シート積層法では、コイル用導体パターンの印刷面であるセラミックグリーンシートの平坦性が良いために印刷積層法の場合に比較してコイル用導体パターンの線幅を細くできるが、安定的にコイル用導体パターンを形成するためには線幅を40μm以上にする必要があった。また、コイル用導体パターンの線幅を小さくすると、スルーホール径も小さくなり、スルーホール内への導体充填が不十分となりやすく、断線が発生しやすかった。さらに、セラミックグリーンシートの積層ずれをなくす必要がある上、コイル用導体パターンが形成されている位置とコイル用導体パターンが形成されていない位置とで段差が生じるといった問題もあり、印刷積層法の場合と同様に0603サイズ(0.6×0.3×0.3mm)よりも小型の積層型電子部品を製造するのは困難だった。
焼成基板上に薄膜技術を用いて積層体を形成する方法では、コイル用導体パターンの線幅を10μm以下にすることができるが、絶縁体層と導体パターンの層数を多くすることができず、0603サイズ(0.6×0.3×0.3mm)よりも小型の積層型電子部品においては所定のインダクタンス値を得ることができなかった。また、0603サイズ(0.6×0.3×0.3mm)よりも小型の積層型電子部品において所定のインダクタンス値が得られた場合でも、コイル用導体パターンの線幅が細くなるために、コイル用導体パターンの厚みを厚くすることができず、導体抵抗が増加してコイルのQ値が低下するという問題があった。
焼成基板上に厚膜フォトリソ技術を用いて積層体を形成する方法では、厚手の焼成基板上に積層体を形成するために、製品の高さの制約で所定の特性を得られなかった。また、焼成基板上に絶縁体層と導体パターンを一層ごとに焼成しながら積み重ねているので、製品に歪みが発生するという問題があった。
この様に、従来の積層型電子部品の製造方法では、0603サイズ(0.6×0.3×0.3mm)よりもさらに小型の0402サイズ(0.4×0.2×0.2mm)といった積層型電子部品を安定的に製造することができなかった。また、不安定ながらも0402サイズ(0.4×0.2×0.2mm)といった小型の積層型電子部品を製造できた場合でも、インダクタンス値やコイルのQ値等の特性の劣化が避けられなかった。
さらに、焼成基板上に厚膜フォトリソグラフィー技術を用いて積層体を形成する場合の問題点を解決するために、感光性絶縁体ペーストと感光性導電ペーストを用いて絶縁体層と導体パターンを積層することが検討されている。しかしながら、感光性絶縁体ペーストと感光性導電ペーストを構成する光重合硬化性を有するバインダー樹脂を同一系にした場合、感光性絶縁体膜上に銀を含有する感光性導電膜を形成し、露光、現像すると本来銀の膜が現像で除去されなければならない未露光部分に銀の残渣が発生してしまい、この残渣を除去しようとするとコイル用導体パターンの断線や流失が発生するという問題がある。
本発明は、高精細度なコイル用導体パターンと高精細度な微小径のスルーホールに加え、コイル用導体パターンとスルーホールを高い位置精度で形成することにより、小型の積層型電子部品を安定的に製造できる積層型電子部品の製造方法を提供するものである。
本発明の積層型電子部品の製造方法は、感光性絶縁体ペーストと感光性導電ペーストを構成する光重合硬化性を有するバインダー樹脂を異なる系にすることにより前述の課題を解決するものである。すなわち、本発明は、絶縁体層と導体パターンを積層し、積層体内に導体パターンによって回路素子が形成された積層型電子部品の製造方法において、支持体上に光重合硬化性を有するアクリル系バインダー樹脂を含有する感光性絶縁体ペーストを用い、露光、現像を施して第1の感光性絶縁体膜を形成する工程、第1の感光性絶縁体膜上に、光重合硬化性を有するセルロース系バインダー樹脂を含有する感光性導電ペーストを用い、露光、現像を施して形成された導体パターンと、光重合硬化性を有するアクリル系バインダー樹脂を含有する感光性絶縁体ペーストを用い、露光、現像を施して形成された第2の感光性絶縁体膜とが積み重ねられる工程及び、これらの積層体上に、光重合硬化性を有するアクリル系バインダー樹脂を含有する感光性絶縁体ペーストを用いて第3の感光性絶縁体膜を形成する工程を備える。
また、本発明は、絶縁体層と導体パターンを積層し、積層体内に導体パターンによって回路素子が形成された積層型電子部品の製造方法において、支持体上に感光性絶縁体ペーストと感光性導電ペーストを用いて絶縁体層と導体パターンを積層して積層体内にコイル素子が形成され、積層体を製品個々へ分割した後外部端子を形成し、かつ、支持体上に絶縁体層と導体パターンを積層する工程が、光重合硬化性を有するアクリル系バインダー樹脂を含有する感光性絶縁体膜を形成し、露光、現像する工程、感光性絶縁体膜上に光重合硬化性を有するセルロース系バインダー樹脂を含有する感光性導電ペーストを塗布して感光性絶縁体膜の全面又は所定部分に感光性導電膜を形成し、露光、現像して感光性絶縁体膜上にコイル用導体パターンを形成する工程、コイル用導体パターンが形成された感光性絶縁体膜上に光重合硬化性を有するアクリル系バインダー樹脂を含有する感光性絶縁体ペーストを塗布してコイル用導体パターンが形成された感光性絶縁体膜の全面又は所定部分に感光性絶縁体膜を形成し、露光、現像して感光性絶縁体膜に上下層のコイル用導体パターンを接続するためのスルーホールを形成する工程及び、スルーホール内に光重合硬化性を有するセルロース系バインダー樹脂を含有する感光性導電ペーストを充填すると共に、スルーホールが形成された感光性絶縁体膜上に光重合硬化性を有するセルロース系バインダー樹脂を含有する感光性導電ペーストを塗布して感光性絶縁体膜の全面又は所定部分に感光性導電膜を形成し、露光、現像して下層のコイル用導体パターンと接続されたコイル用導体パターンを形成する工程を備える。
本発明の積層型電子部品の製造方法は、支持体上に光重合硬化性を有するアクリル系バインダー樹脂を含有する感光性絶縁体ペーストを用い、露光、現像を施して第1の感光性絶縁体膜を形成する工程、第1の感光性絶縁体膜上に、光重合硬化性を有するセルロース系バインダー樹脂を含有する感光性導電ペーストを用い、露光、現像を施して形成された導体パターンと、光重合硬化性を有するアクリル系バインダー樹脂を含有する感光性絶縁体ペーストを用い、露光、現像を施して形成された第2の感光性絶縁体膜とが積み重ねられる工程及び、これらの積層体上に、光重合硬化性を有するアクリル系バインダー樹脂を含有する感光性絶縁体ペーストを用いて第3の感光性絶縁体膜を形成する工程を備えるので、高精細度なコイル用導体パターンと高精細度な微小径のスルーホールを安定的に形成することができると共に、コイル用導体パターンとスルーホールを高い位置精度で形成することができ、特性を劣化させることなく小型の積層型電子部品を安定的に製造することができる。
また、本発明の積層型電子部品の製造方法は、支持体上に感光性絶縁体ペーストと感光性導電ペーストを用いて絶縁体層と導体パターンを積層して積層体内にコイル素子が形成され、積層体を製品個々へ分割した後外部端子を形成し、かつ、支持体上に絶縁体層と導体パターンを積層する工程が、光重合硬化性を有するアクリル系バインダー樹脂を含有する感光性絶縁体膜を形成し、露光、現像する工程、感光性絶縁体膜上に光重合硬化性を有するセルロース系バインダー樹脂を含有する感光性導電ペーストを塗布して感光性絶縁体膜の全面又は所定部分に感光性導電膜を形成し、露光、現像して感光性絶縁体膜上にコイル用導体パターンを形成する工程、コイル用導体パターンが形成された感光性絶縁体膜上に光重合硬化性を有するアクリル系バインダー樹脂を含有する感光性絶縁体ペーストを塗布してコイル用導体パターンが形成された感光性絶縁体膜の全面又は所定部分に感光性絶縁体膜を形成し、露光、現像して感光性絶縁体膜に上下層のコイル用導体パターンを接続するためのスルーホールを形成する工程及び、スルーホール内に光重合硬化性を有するセルロース系バインダー樹脂を含有する感光性導電ペーストを充填すると共に、スルーホールが形成された感光性絶縁体膜上に光重合硬化性を有するセルロース系バインダー樹脂を含有する感光性導電ペーストを塗布して感光性絶縁体膜の全面又は所定部分に感光性導電膜を形成し、露光、現像して下層のコイル用導体パターンと接続されたコイル用導体パターンを形成する工程を備えるので、高精細度なコイル用導体パターンと高精細度な微小径のスルーホールを安定して形成することができると共に、コイル用導体パターンとスルーホールを高い位置精度で形成することができ、特性を劣化させることなく小型の積層型電子部品を安定的に製造することができる。
本発明の積層型電子部品の製造方法は、まず、支持体上に光重合硬化性を有するアクリル系バインダー樹脂を含有する感光性絶縁体ペーストを塗布し、露光、現像して第1の感光性絶縁体膜が形成される。次に、第1の感光性絶縁体膜上に、光重合硬化性を有するセルロース系バインダー樹脂を含有する感光性導電ペーストを塗布して第1の感光性絶縁体膜の表面全体又は表面の所定部分に感光性導電膜を形成し、露光、現像して第1の感光性絶縁体膜上にコイル用導体パターンが形成される。続いて、コイル用導体パターンが形成された第1の感光性絶縁体膜上に光重合硬化性を有するアクリル系バインダー樹脂を含有する感光性絶縁体ペーストを塗布して第1の感光性絶縁体膜の表面全体又は表面の所定部分に第2の感光性絶縁体膜を形成し、露光、現像してスルーホールが形成される。さらに、第2の感光性絶縁体膜のスルーホール内に光重合硬化性を有するセルロース系バインダー樹脂を含有する感光性導電ペーストを充填すると共に、第2の感光性絶縁体膜上に光重合硬化性を有するセルロース系バインダー樹脂を含有する感光性導電ペーストを塗布して第2の感光性絶縁体膜の表面全体又は表面の所定部分に感光性導電膜を形成し、露光、現像して下層のコイル用導体パターンと接続されたコイル用導体パターンが形成される。この様にして第1の感光性絶縁体膜上に、所定層数分の導体パターンと第2の感光性絶縁体膜を積み重ね、これらの積層体上に光重合硬化性を有するアクリル系バインダー樹脂を含有する感光性絶縁体ペーストを塗布して第3の感光性絶縁体膜が形成されることにより積層体内にコイル素子が形成される。そして、この積層体を製品個々に分割した後外部端子が形成される。
従って、本発明の積層型電子部品の製造方法は、コイル用導体パターンが光重合硬化性を有するセルロース系バインダー樹脂を含有する感光性導電ペーストを用いたフォトリソグラフィー技術によって形成され、絶縁体層が光重合硬化性を有するアクリル系バインダー樹脂を含有する感光性絶縁体ペーストを用いたフォトリソグラフィー技術によって形成されるので、コイル用導体パターンの線幅を30μm以下に、スルーホールの直径を50μm以下にすることができると共に、コイル用導体パターンの線幅のバラツキを数μm以下に低減することができる。また、感光性導電ペーストと感光性絶縁体ペーストを構成する光重合硬化性を有するバインダー樹脂が異なる系なので、感光性絶縁体膜上のコイル用導体パターンを現像残渣無く安定的に形成することができる。さらに、積層体を構成する感光性絶縁体膜に含まれるバインダー樹脂がアクリル系なので、600℃以下で熱分解が可能であり、積層体内にバインダー樹脂が残存することがなく、印刷積層法やシート積層法と同様に焼成することができる。
以下、本発明の積層型電子部品の製造方法を図1乃至図5を参照して説明する。
図1は本発明の積層型電子部品の製造方法の実施例に係る積層型電子部品の分解斜視図、図2は本発明の積層型電子部品の製造方法の実施例に係る積層型電子部品の斜視図である。
本発明の積層型電子部品の製造方法の実施例に係る積層型電子部品としては、例えば、図1、2に示す様に、絶縁体層11A上に、コイル用導体パターン12A〜12Eと絶縁体層11B〜11Eとを積み重ね、これら積層体上に絶縁体層11Fを形成して、積層体内にコイルを形成したものがある。
絶縁体層11A〜11Fは、ガラスセラミックス、誘電体セラミックス、磁性体セラミックス等の絶縁体セラミックスで形成される。
絶縁体11A〜11Eの表面には、それぞれ導体パターン12A〜12Eが形成される。導体パターン12A〜12Eは、銀、銀系、金、金系、銅、銅系等の金属材料で構成される。図1では1ターン未満のコイル用導体パターンが示されており、絶縁体層間の導体パターン12A〜12Eが絶縁体層のスルーホール内の導体を介して螺旋状に接続されて積層体内にコイルが形成される。このコイル用導体パターンの材質は、絶縁体層を構成するセラミックスの焼成条件に適合する金属材料を選択する必要があるが、導体パターンの導体抵抗が高いとコイルのQ値が低下してしまうことから導体抵抗の低い金属材料が望ましい。
コイルの一端を構成する絶縁体層11A上の導体パターン12Aの一端は、絶縁体層11Aの端面に引き出され、積層体の端面に形成された外部端子23に接続される。また、コイルの他端を構成する絶縁体層11E上の導体パターン12Eの他端は、絶縁体層11Eの端面に引き出され、積層体の端面に形成された外部端子24に接続される。
この様な積層型電子部品は、次のようにして製造される。まず、図3(A)に示す様に、支持体30の表面に、光重合硬化性を有するアクリル系バインダー樹脂を含有する感光性絶縁体ペーストを所定の厚みに塗布し、乾燥させた後、光線(例えば、紫外線)を用いて露光し、現像することにより、支持体30上に感光性絶縁体膜31Aが形成される。支持体30は、金属板、セラミック板、可撓性を有するフィルム等を用いることができるが、積層体形成後に製品を支持体から剥離する必要があることから剥離性を考慮して決定するのが望ましく、必要に応じて離型処理を行うと良い。また、導体パターンやスルーホールの形成位置の精度を向上させるために、露光時の光学アライメント用マーカを具備していることが望ましい。図3では、露光時の光学アライメント用孔2ヶ所(図示せず)を具備したステンレス板上に、積層体を形成する面と反対の面に接着層を有するポリエチレンテレフタレート(PET)30Aを光学アライメント孔を避けて貼り付けて支持体30とした。感光性絶縁体ペーストは、ガラスセラミックス、誘電体セラミックス、磁性体セラミックス等の絶縁体セラミックスに光重合硬化性を有するアクリル系バインダー樹脂が混入されてペースト状に形成され、スクリーン印刷法により支持体のポリエチレンテレフタレート(PET)30A上に塗布される。図3では、絶縁体セラミックスとしてガラスセラミックスを用いた。また、感光性絶縁体ペーストの乾燥は、約80℃で10分間行われるが、箱型乾燥機によるバッチ処理に限定されず、インライン方式の赤外乾燥等作業性を考慮して決定すれば良い。なお、絶縁体膜を感光性絶縁体ペーストに限定せずに非感光性絶縁体ペーストで形成する方法もあるが、後の工程で使用する感光性絶縁体ペーストや感光性導電ペーストは光重合硬化及び熱硬化により収縮するため非感光性絶縁体膜との収縮差異を生じ、脱脂時に非感光性絶縁体膜とこの後に形成する感光性絶縁体膜や導体パターン間でクラックや剥離を生じる。また、支持体上への塗布方法としては、スクリーン印刷法、ロールコータ法、バーコータ法等の方法を用いることができるが、この後の工程の感光性絶縁体膜に形成されたスルーホール内への導体充填性からスクリーン印刷法に統一して塗布を行った。ここでスルーホールを形成する必要がないにも係らず感光性絶縁体膜31Aを露光、現像処理を施して形成するのは、支持体上に塗布し乾燥した感光性絶縁体膜は粘着性を有しており、その上部に形成する感光性導電膜や感光性絶縁体膜の塗布膜厚が安定しないためである。この粘着性を低減させる方法としては、光硬化に加え加熱硬化を行う方法もあるが、加熱硬化を併用した場合、加熱収縮のため積層体形成過程で積層体の収縮が進行し支持体から積層体が剥離してしまうという問題を生じる。また、この上部に感光性導電膜を形成した場合、感光性絶縁体膜の光硬化未反応部分が残存してしまい、感光性導電膜を形成するための感光性導電ペーストを印刷する時に、感光性導電ペーストに含まれる溶剤と光未硬化部分が反応することに加え、未反応部分が感光性導電ペーストに含まれる溶剤に溶解してしまい、感光性導電膜の露光、現像時に銀の残渣が発生するという問題がある。これを防止するために、前述の様に感光性絶縁体膜に露光、現像処理が施される。また、感光性絶縁体膜31Aは、後の外部端子形成時のメッキ工程における薬液が積層体に侵入するのを防ぐため、2層以上形成するのが望ましい。
次に、図3(B)に示す様に、感光性絶縁体膜31Aの表面全体又は、表面の製品となる部分に光重合硬化性を有するセルロース系バインダー樹脂を含有する感光性導電ペーストを所定の厚みに塗布して感光性導電膜32を形成し、約80℃で10分間乾燥した後、この感光性導電膜32を露光、現像して、図3(C)に示す様に、感光性絶縁体膜31Aの表面に外部端子引き出し部を有するコイル用導体パターン32Aが形成される。感光性導電ペーストは、銀、銀系、金、金系、銅、銅系等の金属粉末に光重合硬化性を有するセルロース系バインダー樹脂が混入されてペースト状に形成され、感光性絶縁体膜31A上に塗布される。図3では感光性導電ペーストを構成する金属粉末として、絶縁体セラミックスの焼成温度とコイル用導体パターンの導体抵抗を考慮して銀を含有するものを用いた。ここで感光性絶縁体膜上に感光性導電ペーストを塗布すると、感光性導電ペーストに含まれる溶剤にて、感光性絶縁体膜のバインダー樹脂が溶解する。この時、感光性導電ペーストに含有するバインダー樹脂と感光性絶縁体膜に含有するバインダー樹脂を同系列にした場合、塗布された感光性導電ペーストを乾燥させる時に感光性絶縁体膜の溶解したバインダー樹脂と感光性導電ペーストに含まれるバインダー樹脂が加熱硬化反応を起こして、露光された感光性導電膜を現像する際に未露光部分の導電膜の除去が困難となり、感光性絶縁体膜上に銀の残渣が発生する。そのため、この銀の残渣によって積層体の絶縁性が劣化したり、導体パターン間でショートを引き起こすという問題がある。この銀の残渣は塗布された感光性導電ペーストの乾燥条件をより低温、短時間で行うことで抑制することが可能であるが、低温、短時間の乾燥では感光性導電膜の粘着力が強く、ガラス乾板等の露光マスクを介した露光時に、露光マスクと感光性導電膜が貼りついてしまうという問題がある。この露光マスクと感光性導電膜の張り付きを防ぐために露光マスクと感光性導電膜を接触させない、いわゆるオフコンタクト露光を行うことも可能であるが、この場合、露光、現像にて形成される導体パターンの精度が悪化するという問題がある。また、銀の残渣が除去されるまで現像を行った場合、残存すべき導電膜中のバインダー樹脂が現像液にアタックされてしまい、導電膜の剥離や流失が生じてコイル用導体パターンが断線するという問題がある。これらの問題を解決するために、本発明では、光重合硬化性を有するアクリル系感光性バインダー樹脂を含有する感光性絶縁体ペーストにて形成された感光性絶縁体膜上に、光重合硬化性を有するセルロース系感光性バインダー樹脂を含有する感光性導電ペーストにて感光性導電膜を形成し、露光、現像してコイル用導体パターンを形成している。
さらに、図3(D)に示す様にこのコイル用導体パターンが形成された感光性絶縁体膜の表面全体又は、表面の製品となる部分に光重合硬化性を有するアクリル系バインダー樹脂を含有する感光性絶縁体ペーストを所定の厚みに塗布して感光性絶縁体膜31Bを形成し、乾燥した後、この感光性絶縁体膜31Bを露光、現像して、図3(E)に示す様に、感光性絶縁体膜31BにスルーホールHが形成される。このスルーホールHの底面には、コイル用導体パターン32Aの端部が露出する。この時、コイル用導体パターン中に含まれるバインダー樹脂と感光性絶縁体ペースト中に含まれるバインダー樹脂を異なる系にすることで、感光性絶縁体膜31Bに形成されるスルーホールHの底面に露出するコイル用導体パターン32Aの端部上に絶縁体の残渣が生じることを防止できる。これにより、コイル用導体パターン間の接続の信頼性を向上させることができる。
続いて、この感光性絶縁体膜31BのスルーホールH内に光重合硬化性を有するセルロース系バインダー樹脂を含有する感光性導電ペーストを充填すると共に、図3(F)に示す様に、感光性絶縁体膜の表面全体又は、表面の製品となる部分に光重合硬化性を有するセルロース系バインダー樹脂を含有する感光性導電ペーストを所定の厚みに塗布して感光性導電膜32を形成し、乾燥した後、この感光性導電膜32を露光、現像して、図3(G)に示す様に、感光性絶縁体膜31Bの表面にコイル用導体パターン32Bが形成される。コイル用導体パターン32Bの一端は、感光性絶縁体膜31Bのスルーホール内の導体によってコイル用導体パターン32Aに接続される。この時、感光性導電膜32のスルーホールと対応する位置の膜厚は、スルーホールの深さ分だけ他の部分より厚くなって露光可能な膜厚を超えた膜厚となるので、スルーホールの底部付近の感光性導電体は半露光又は未露光の状態となる。しかしながら、スルーホール内に感光性導電ペーストを充填した後、このスルーホール部分を露光する工程を追加することにより、スルーホール内に充填された感光性導電体の上部が光重合硬化し、この光重合硬化した部分がスルーホール内に充填された感光性導電体のレジストとなり、充填された感光性導電体に含まれる半露光又は未露光のバインダー樹脂の現像液による溶解を防止でき、コイル用導体パターン間の接続の信頼性を向上させることができる。
この様にして、感光性絶縁体膜31A上に、所定のインダクタンス値を得るのに必要な層数分のコイル用導体パターンと感光性絶縁体膜を積み重ね、コイル用導体パターン12Eが形成された感光性絶縁体膜上に光重合硬化性を有するアクリル系バインダー樹脂を含有する感光性絶縁体ペーストを塗布して外装用絶縁体層11Fとなる感光性絶縁体膜が形成されることにより積層体内にコイル素子が形成される。ここで、外装用絶縁体層を非感光性絶縁体ペーストで形成する方法もあるが、コイル用導体パターン12Eを構成する感光性導電膜や絶縁体層11Eを構成する感光性絶縁体膜と非感光性絶縁体ペーストとの収縮差異によって、脱脂時に外装用絶縁体層とコイル用導体パターン12E、絶縁体層11E間でクラックや剥離が生じる。また、外装用の絶縁体層は、厚みが薄かったり、ピンホールがあると、外部端子にメッキを施す際の薬液が素体内に侵入して特性が劣化するので、2層以上形成するのが望ましい。外装用の絶縁体層を2層以上形成する場合には、1層目の感光性絶縁体膜を形成した後、露光、現像することにより感光性絶縁体膜の粘着性を低減できる。
この支持体上に形成された積層体は、図4に示す様に点線の部分で切断機等で切断することにより、製品個々に分割し、支持体30から剥離し、所定の条件で脱脂を行った後、これを焼成し、外部端子が形成される。外部端子は、支持体30から剥離し、焼成した焼成体に銀を含有する導体ペーストを塗布し、乾燥させて焼成し、はんだ実装性を確保するためにニッケルとスズのメッキが施される。
この様に本発明の積層型電子部品の製造方法で積層型電子部品を製造したところ、従来の不安定ながら製造したものの様に特性が劣化することなく、0402サイズ(0.4×0.2×0.2mm)、03015サイズ(0.3×0.15×0.15mm)、0201サイズ(0.2×0.1×0.1mm)を安定的に製造することができた。本発明の積層型電子部品の製造方法で製造した0402サイズ(0.4×0.2×0.2mm)の積層型電子部品の特性を測定したところ、図5に示す様な特性が得られた。なお、図5において、51はインダクタンス値が1nHのものの周波数に対するQ値、52はインダクタンス値が5.6nHのものの周波数に対するQ値、53はインダクタンス値が8.2nHのものの周波数に対するQ値をそれぞれ示している。
以上、本発明の積層型電子部品の製造方法の実施例を述べたが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。例えば、外部端子は、図4に示す様に点線の部分で切断することにより、製品個々に分割し、支持体から剥離し、これに銀を含有する導体ペーストを塗布し、脱脂し、焼成して形成されてもよい。
本発明の積層型電子部品の製造方法の実施例に係る積層型電子部品の分解斜視図である。 本発明の積層型電子部品の製造方法の実施例に係る積層型電子部品の斜視図である。 本発明の積層型電子部品の製造方法の実施例を模式的に示す製造工程説明図である。 本発明の積層型電子部品の製造方法の積層体を製品個々に分離する工程を模式的に説明する説明図である。 本発明の積層型電子部品の製造方法によって製造された積層型電子部品の特性図である。
符号の説明
11A〜11F 絶縁体層
12A〜12E 導体パターン

Claims (2)

  1. 絶縁体層と導体パターンを積層し、積層体内に該導体パターンによって回路素子が形成された積層型電子部品の製造方法において、
    支持体上に光重合硬化性を有するアクリル系バインダー樹脂を含有する感光性絶縁体ペーストを用い、露光、現像を施して第1の感光性絶縁体膜を形成する工程、
    第1の感光性絶縁体膜上に、光重合硬化性を有するセルロース系バインダー樹脂を含有する感光性導電ペーストを用い、露光、現像を施して形成された導体パターンと、光重合硬化性を有するアクリル系バインダー樹脂を含有する感光性絶縁体ペーストを用い、露光、現像を施して形成された第2の感光性絶縁体膜とが積み重ねられる工程及び、
    これらの積層体上に、光重合硬化性を有するアクリル系バインダー樹脂を含有する感光性絶縁体ペーストを用いて第3の感光性絶縁体膜を形成する工程を備えたことを特徴とする積層型電子部品の製造方法。
  2. 絶縁体層と導体パターンを積層し、積層体内に該導体パターンによって回路素子が形成された積層型電子部品の製造方法において、
    支持体上に感光性絶縁体ペーストと感光性導電ペーストを用いて絶縁体層と導体パターンを積層して積層体内にコイル素子が形成され、該積層体を製品個々へ分割した後外部端子を形成し、かつ、
    該支持体上に絶縁体層と導体パターンを積層する工程が、
    光重合硬化性を有するアクリル系バインダー樹脂を含有する感光性絶縁体膜を形成し、露光、現像する工程、
    該感光性絶縁体膜上に光重合硬化性を有するセルロース系バインダー樹脂を含有する感光性導電ペーストを塗布して該感光性絶縁体膜の全面又は所定部分に感光性導電膜を形成し、露光、現像して該感光性絶縁体膜上にコイル用導体パターンを形成する工程、
    該コイル用導体パターンが形成された感光性絶縁体膜上に光重合硬化性を有するアクリル系バインダー樹脂を含有する感光性絶縁体ペーストを塗布して該コイル用導体パターンが形成された感光性絶縁体膜の全面又は所定部分に感光性絶縁体膜を形成し、露光、現像して該感光性絶縁体膜に上下層の該コイル用導体パターンを接続するためのスルーホールを形成する工程及び、
    該スルーホール内に光重合硬化性を有するセルロース系バインダー樹脂を含有する感光性導電ペーストを充填すると共に、該スルーホールが形成された感光性絶縁体膜上に光重合硬化性を有するセルロース系バインダー樹脂を含有する感光性導電ペーストを塗布して該感光性絶縁体膜の全面又は所定部分に感光性導電膜を形成し、露光、現像して下層のコイル用導体パターンと接続されたコイル用導体パターンを形成する工程を備えたことを特徴とする積層型電子部品の製造方法。
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