JP4577716B2 - 加熱硬化型エポキシ樹脂組成物及びその硬化接着層を有する物品 - Google Patents

加熱硬化型エポキシ樹脂組成物及びその硬化接着層を有する物品 Download PDF

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本発明は、光学、電気、電子部品に好適な加熱硬化型エポキシ樹脂組成物に関し、該組成物は接着剤として有用で、特に低温で短時間での硬化が可能であり、その硬化接着層は高耐熱性且つ耐高温高湿性を有する。
従来から加熱硬化型エポキシ樹脂組成物は、硬化後の電気、機械、耐熱特性に優れ、さらにはガラス、金属、無機物、プラスチック等への接着性も良好なために、特に接着剤として多くの分野で採用されてきた。
光学、電気、電子部品等の高度化につれ、前記エポキシ樹脂組成物に求められる要求も多様となり、特に光学、電気、電子等の精密部品の接着剤用途では、微少領域や複雑形状への塗布が必要なために低粘度であること、さらに硬化加熱処理による周辺部品への影響を少しでも抑えるために低温短時間硬化が可能であること等の作業性改善における要求が中心であった。
近年、接着剤分野ではさらに信頼性重視となり、耐環境試験性に優れた接着剤、具体的には高温高湿環境下(85℃で湿度85%)での使用に十分耐えうる接着剤が要求されているが、前記の作業性も両立した接着剤は未だ無いのが現状である。
前記の低温短時間硬化に対応できる硬化剤としては、メルカプト化合物や脂肪族アミン化合物等が一般に知られている。しかし、メルカプト化合物では通常の使用条件において硬化反応速度が速すぎて作業性に難点があり、脂肪族アミン化合物ではその硬化物の耐熱性が低く市場要求に十分応えられる物ではない。
非特許文献1には、エポキシ樹脂としてビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(100部)、硬化剤として2−メチルイミダゾール(4部添加)を使用した場合に100℃において4分でゲル化し、2−エチル−4−メチルイミダゾール(4部添加)を使用した場合は100℃において6分でゲル化すると報告されている。これらのイミダゾール化合物の使用により、100℃、30〜60分での低温短時間硬化処理が可能となる。そして、その硬化物の耐熱性が高いのも特徴の一つとして挙げられている。
しかしながら、前記イミダゾールを硬化剤として使用した場合、低温短時間硬化を実現し且つその硬化物の耐熱性は高いという特徴はあるものの、その接着機能という点では高温高湿下という最近の厳しい耐環境試験に十分に耐えられるものではなく、高温高湿下での接着力低下が著しい。
また、特許文献1にはエポキシ基を有するアルコキシケイ素化合物を含む組成物が記載されているが、フェノール性水酸基を有する化合物を含有する組成物についての記載がなく、接着剤としての使用についても記載がない。
四国化成工業株式会社/イミダゾール系エポキシ樹脂硬化剤/キュアゾールカタログ 特開2004−256609号
本発明の目的は、特に、精密部品用接着剤として低温(例えば、130℃以下)において短時間(1時間以内)で硬化可能であり、その硬化物は耐熱性に優れるばかりではなく、高温高湿の劣悪条件下に於いても良好な接着機能を維持することができる、光学、電気、電子等の精密部品用接着剤を提供する事にある。
本発明者らは前記した課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の構造を有するエポキシ樹脂(A)、エポキシ樹脂(A)以外で2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(B)、イミダゾール化合物(C)、フェノール性水酸基を有する化合物(D)を含有する加熱硬化型エポキシ樹脂組成物を見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、
1)下記式(1)
[化1]
Si(OR (1)
[式中、Rはエポキシ基を有するアルキル基を示し、Rは(C1〜C4)アルキル基を示す。]
で表されるエポキシ基含有アルコキシケイ素化合物を塩基性触媒の存在下で縮合させて得られるエポキシ樹脂(A)、エポキシ樹脂(A)以外で2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(B)、イミダゾール化合物(C)、フェノール性水酸基を有する化合物(D)を含有する加熱硬化型エポキシ樹脂組成物;
2)Rのエポキシ基を有するアルキル基がグリシドキシ(C1〜C3)アルキル基である上記1)記載の加熱硬化型エポキシ樹脂組成物;
3)エポキシ樹脂(A)以外で2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(B)がポリフェノール類化合物のグリシジルエーテル化物である多官能エポキシ樹脂であり、フェノール性水酸基を有する化合物(D)がビスフェノールA、ビスフェノールF、レゾルシン、カテコールまたはジアリルビスフェノールAである上記1)または2)に記載の加熱硬化型エポキシ樹脂組成物;
4)加熱硬化型エポキシ樹脂組成物が接着剤用加熱硬化型エポキシ樹脂組成物である上記1)〜3)のいずれか一項に記載の加熱硬化型エポキシ樹脂組成物;
5)上記1)〜4)のいずれか一項に記載の加熱硬化型エポキシ樹脂組成物を塗布または注入後、加熱硬化して得られる接着層を有する物品;
6)物品が光ファイバー用コネクタである上記5)に記載の物品;
に関する。
本発明の加熱硬化型エポキシ樹脂組成物は、精密部品用接着剤として使用すると低温短時間で硬化でき、その硬化物は高耐熱性で且つ耐高温高湿性に優れ、その硬化物を使用した光学、電気、電子等の精密部品の耐環境信頼性を向上させることができるものである。
本発明について詳細に説明する。なお、以下において「%」及び「部」は特記しない限りそれぞれ「重量%」及び「重量部」を意味する。
本発明の加熱硬化型エポキシ樹脂組成物は、上記式(1)[式中、Rはエポキシ基を有するアルキル基を示し、Rは(C1〜C4)アルキル基を示す。]で表されるエポキシ基含有アルコキシケイ素化合物を、塩基性触媒の存在下で縮合させて得られるエポキシ樹脂(A)、エポキシ樹脂(A)以外で2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(B)、イミダゾール化合物(C)、フェノール性水酸基を有する化合物(D)を含有する。
本発明の加熱硬化型エポキシ樹脂組成物に含有されるエポキシ樹脂(A)の製造に使用されるエポキシ基含有アルコキシケイ素化合物におけるRはエポキシ基を有するアルキル基であれば特に制限はないが、例えば、グリシジル基;β−グリシドキシエチル基、γ−グリシドキシプロピル基、γ−グリシドキシブチル基等のグリシドキシ(C1〜C4)アルキル基、あるいはβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル基、β−(3,4−エポキシシクロヘプチル)エチル基、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル基、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチル基、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ペンチル基等のエポキシ基を有する(C5〜C8)シクロアルキル基で置換されたアルキル基等が挙げられ、グリシドキシ(C1〜C3)アルキル基が好ましく、β−グリシドキシエチル基、γ−グリシドキシプロピル基が特に好ましい。
は(C1〜C4)アルキル基であるが、具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等が挙げられ、反応性の点からメチル基、エチル基が好ましい。
前記式(1)で表されるエポキシ基含有アルコキシケイ素化合物としては、上記のR、Rの中から選ばれる組み合わせの化合物が挙げられ、具体的には例えば、β−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等が挙げられ、β−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランが好ましい。
本発明の加熱硬化型エポキシ樹脂組成物に含有されるエポキシ樹脂(A)の製造法について説明する。エポキシ樹脂(A)は式(1)のエポキシ基含有アルコキシケイ素化合物を、塩基性触媒存在下で縮合させて得られる。
縮合を促進するため、必要に応じ水を添加してもよい。水を添加する場合、その添加量は、全反応混合物のアルコキシ基1モルに対し、通常0.05〜1.5モル程度、好ましくは0.07〜1.2モル程度である。
縮合反応に使用する塩基性触媒は特に限定されないが、例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の無機塩基、トリエチルアミン、ジエチレントリアミン、n−ブチルアミン、ジメチルアミノエタノール、トリエタノールアミン、水酸化テトラメチルアンモニウム等の有機塩基が挙げられ、生成物からの除去が容易である点から無機塩基が好ましい。
触媒の添加量としては、式(1)のエポキシ基含有アルコキシケイ素化合物に対し、通常5×10−4〜7.5重量%、好ましくは1×10−3〜5重量%である。
反応温度は触媒量にもよるが、通常20〜160℃、好ましくは40〜140℃である。また、反応時間は通常1〜12時間である。
前記縮合反応は無溶剤または有機溶剤中で行うことができる。該溶剤としては、式(1)のエポキシ基含有アルコキシケイ素化合物が溶解する溶剤であれば特に制限はないが、具体的には例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の非プロトン性の極性溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。
このようにして得られる本発明のエポキシ樹脂(A)の分子量は、重量平均分子量で400〜50000程度のものが好ましく、750〜30000程度のものがより好ましい。重量平均分子量が400未満の場合、耐熱性向上効果に乏しくなり、50000より大きい場合、組成物としての相溶性の低下や粘度の上昇といった物性の低下が起き好ましくない。
本発明の加熱硬化型エポキシ樹脂組成物に含有されるエポキシ樹脂(A)以外で2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(B)としては、ポリフェノール類化合物のグリシジルエーテル化物である多官能エポキシ樹脂、各種ノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物である多官能エポキシ樹脂、脂環式多官能エポキシ樹脂、脂肪族系多官能エポキシ樹脂、複素環式多官能エポキシ樹脂、グリシジルエステル系多官能エポキシ樹脂、グリシジルアミン系多官能エポキシ樹脂、ハロゲン化フェノール類をグリシジル化した多官能エポキシ樹脂等が挙げられる。
ポリフェノール類化合物のグリシジルエーテル化物である多官能エポキシ樹脂におけるポリフェノール類化合物とは、フェノール性水酸基を複数有する化合物であれば特に限定されないが、具体的には例えば、2−[4−(2,3−ヒドロキシフェニル)−2−[4−[1,1−ビス[4−(2,3−ヒドロキシ)フェニル]エチル]フェニル]プロパン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4'−ビフェノール、テトラメチルビスフェノールA、ジメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、ジメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールS、ジメチルビスフェノールS、テトラメチル−4,4'−ビフェノール、ジメチル−4,4'−ビフェノール、1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−[4−(1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニル]プロパン、2,2'−メチレン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリスヒドロキシフェニルメタン、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロガロール、フロログリシノール、1,1−ジ−4−ヒドロキシフェニルフルオレン等のフルオレン骨格を有するフェノール類、フェノール化ポリブタジエン等のポリフェノール化合物、ジアリル化ビスフェノールA等のモノまたはジアリル基が結合したフェノール類等が挙げられる。これらのポリフェノール類化合物をハロゲン化グリシジル化合物との通常の置換反応に付すことによりポリフェノール類化合物のグリシジルエーテル化物が得られる。
各種ノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物である多官能エポキシ樹脂とは、フェノール、クレゾール類、エチルフェノール類、ブチルフェノール類、オクチルフェノール類、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等)、ナフトール類等の各種フェノールを原料とするノボラック樹脂;キシリレン骨格含有フェノールノボラック樹脂;ジシクロペンタジエン骨格含有フェノールノボラック樹脂;ビフェニル骨格含有フェノールノボラック樹脂;フルオレン骨格含有フェノールノボラック樹脂等の各種ノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物が挙げられる。
脂環式多官能エポキシ樹脂とは、シクロヘキサン等の脂環式化合物の多官能エポキシ樹脂が挙げられる。例えば、ダイセル化学工業社製のセロキサイド2080、セロキサイド3000、セロキサイド2021等である。
脂肪族系多官能エポキシ樹脂とは、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ペンタエリスリトール等の多価アルコールのグリシジルエーテル化物が挙げられる。
複素環式多官能エポキシ樹脂とは、イソシアヌル環、ヒダントイン環等の複素環を有する複素環式多官能エポキシ樹脂が挙げられる。例えば、トリグリシジルイソシアヌル酸等である。
グリシジルエステル系エポキシ樹脂とは、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等のカルボン酸エステル類が挙げられる。
グリシジルアミン系多官能エポキシ樹脂とは、アニリン、トルイジン等のアミン類をグリシジル化したエポキシ樹脂が挙げられる。
ハロゲン化フェノール類をグリシジル化した多官能エポキシ樹脂とは、例えば、ブロム化ビスフェノールA、ブロム化ビスフェノールF、ブロム化ビスフェノールS、ブロム化フェノールノボラック、ブロム化クレゾールノボラック、クロル化ビスフェノールS、クロル化ビスフェノールA等のハロゲン化フェノール類のフェノール性水酸基をグリシジル化したエポキシ樹脂が挙げられる。
これらの樹脂のうち、エポキシ樹脂(B)としては、液状、低温短時間で硬化、硬化後の耐熱性、耐湿性の観点から、ポリフェノール化合物のグリシジルエーテル化物である多官能エポキシ樹脂が好ましく、具体的には例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、レゾルシノール、アリル化ビスフェノールA等の化合物のグリシジルエーテル化物が好ましい。
エポキシ樹脂(B)として上記の多官能エポキシ樹脂を、用途による硬化条件と粘度を鑑みて、単独で使用しても2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の加熱硬化型エポキシ樹脂組成物において、該組成物の全エポキシ樹脂中のエポキシ樹脂(A)の割合は、高温高湿下での接着力の低下を防ぐため、10〜70%程度、好ましくは30〜70%程度、さらに好ましくは40〜70%程度である。70%を超えて含有した場合は初期接着力の低下を招くことがある。
また、本発明の加熱硬化型エポキシ樹脂組成物において、該組成物中のエポキシ樹脂(A)の割合としては凡そ3〜67%程度である。
本発明の加熱硬化型エポキシ樹脂組成物に含有されるイミダゾール化合物(C)は、エポキシ樹脂が架橋反応する際の硬化剤として使用される。イミダゾール化合物(C)としては、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール(2MZ)、2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ)、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール(1B2PZ)、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール(1B2MZ)、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ−CN)、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ−〔1,2−a〕ベンズイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−(2'−メチルイミダゾール(1'))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2'−ウンデシルイミダゾール(1'))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2'−エチル−4−メチルイミダゾール(1'))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2'−メチルイミダゾール(1'))エチル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾール・イソシアヌル酸の2:3付加物、2−フェニルイミダゾール・イソシアヌル酸付加物、2−フェニル−3,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールまたは1−シアノエチル−2−フェニル−3,5−ジシアノエトキシメチルイミダゾール等が挙げられ、これらイミダゾール化合物は単独で使用しても2種以上を混合して用いてもよい。
上記イミダゾール化合物の内、2MZ,2E4MZ、2E4MZ−CN、1B2PZが好ましく、また、2E4MZと1B2PZの混合物、もしくは2E4MZ−CNと1B2PZの混合物が粘度と反応性のバランスの上で好ましい。
また、固形のイミダゾール化合物を、液状樹脂等に溶解して液状化イミダゾール化合物マスターバッチとして使用することも可能である。溶解する例えば液状樹脂等とは、脂環式エポキシ樹脂(例えば、ダイセル化学工業社製のセロキサイド2080、セロキサイド3000、セロキサイド2021等)、液状酸無水物(例えば、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等)、液状アミン化合物(例えば、ヘキサメチレンジアミン等)、130℃以上の高沸点溶剤(例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル等)が挙げられる。
本発明の加熱硬化型エポキシ樹脂組成物においてイミダゾール化合物の添加量は各用途での硬化条件により調整され得るが、例えば、100℃で30分の硬化条件では、該組成物中の全エポキシ樹脂100重量部に対して、イミダゾール化合物全量として1〜15重量部、好ましくは5〜15重量部の範囲がよい。1重量部未満では低温での硬化時間が長くかかり、耐熱性も実用的に見て欠如しがちである。また、15重量部を越えると、エポキシ樹脂と混合した後の使用可能時間が短くなり、作業性が落ちる傾向にある。
さらに、耐熱性を損なわない範囲で通常のエポキシ樹脂の開環反応を促進する添加剤と併用して低温短時間硬化を実現してもよい。このような添加剤としては、例えば、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7(DBU)等の第3級アミン類あるいはトリフェニルホスフィン等のホスフィン類が挙げられる。
また、低温短時間硬化、耐熱性、高温高湿後の接着性保持等の本発明の加熱硬化型エポキシ樹脂組成物の特性に影響を与えない程度であれば、イミダゾール化合物(C)以外の硬化剤を併用してもよい。該硬化剤としては、例えば、酸無水物系硬化剤、カルボン酸系硬化剤、アミン系硬化剤、ヒドラジド系硬化剤等が挙げられる。
酸無水物系硬化剤とは、例えば、フタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコール無水トリメリット酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物等の芳香族カルボン酸無水物;アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の脂肪族カルボン酸無水物;テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、ナジック酸無水物、ヘット酸無水物、ハイミック酸無水物等の脂環式カルボン酸無水物が挙げられる。なかでも、組成物の粘度上昇を防ぐ点から液状の酸無水物がより好ましい。
カルボン酸系硬化剤とは、例えば、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の炭素数2〜22の脂肪族ポリカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸、ナフタレンジ(またはテトラ)カルボン酸等の芳香族ポリカルボン酸;テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸等の脂環式ポリカルボン酸等が挙げられる。
アミン系硬化剤とは、例えば、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジフェニルエーテル、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、m−キシリレンジアミン等の芳香族アミン;エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ポリエーテルジアミン等の脂肪族アミン;ジシアンジアミド、1−(o−トリル)ビグアニド等のグアニジン類が挙げられる。
ヒドラジド系硬化剤とは、例えば、カルボジヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、スベリン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカンジオヒドラジド、ヘキサデカンジオヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、2,6−ナフトエ酸ジヒドラジド、4,4'−ビスベンゼンジヒドラジド、1,4−ナフトエ酸ジヒドラジド、2,6−ピリジンジヒドラジド、1,4−シクロヘキサンジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イミノジ酢酸ジヒドラジド、N,N'−ヘキサメチレンビスセミカルバジド、イタコン酸ジヒドラジド等のジヒドラジド系化合物;ピロメリット酸トリヒドラジド、エチレンジアミン四酢酸テトラヒドラジド、1,2,4−ベンゼントリヒドラジド等のポリヒドラジド系化合物が挙げられる。
前記のイミダゾール化合物(C)以外の硬化剤を添加する場合、その添加量としては本発明の加熱硬化型エポキシ樹脂組成物中の全エポキシ樹脂のエポキシ基に対する硬化剤の硬化に関与する官能基の当量比として、通常0.1〜0.5の範囲で使用するのが好ましい。0.5より多くなると、低温短時間硬化、耐熱性等の特性を損なう可能性がある。
本発明の加熱硬化型エポキシ樹脂組成物に含有されるフェノール性水酸基を有する化合物(D)は、通常公知で使用されているような硬化剤としてではなく、硬化反応時間を短縮する役目をする。例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4'−ビフェニルフェノール、テトラメチルビスフェノールA、ジメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、ジメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールS、ジメチルビスフェノールS、テトラメチル−4,4'−ビフェノール、ジメチル−4,4'−ビフェノール、1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−[4−(1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニル]プロパン、2,2'−メチレン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリスヒドロキシフェニルメタン、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロガロール、ジイソプロピリデン骨格を有するフェノール類;1,1−ジ−4−ヒドロキシフェニルフルオレン等のフルオレン骨格を有するフェノール類;フェノール化ポリブタジエン、フェノール、クレゾール類、エチルフェノール類、ブチルフェノール類、オクチルフェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ナフトール類等の各種フェノールを原料とするノボラック樹脂;キシリレン骨格含有フェノールノボラック樹脂;ジシクロペンタジエン骨格含有フェノールノボラック樹脂;ビフェニル骨格含有フェノールノボラック樹脂;フルオレン骨格含有フェノールノボラック樹脂;フラン骨格含有フェノールノボラック樹脂;ジアリルビスフェノールA等のアリル化され低融点もしくは液状化されたフェノール化合物等が挙げられる。
フェノール性水酸基を有する化合物(D)として上記の化合物を単独に使用しても、複数の化合物を混合して使用してもよい。
フェノール性水酸基を有する化合物(D)が室温にて固体の場合、液状樹脂等に溶解し、それをマスターバッチとして使用してもよい。例えば、液状樹脂等としては、脂環式エポキシ樹脂(例えば、ダイセル化学工業社製のセロキサイド2080、セロキサイド3000、セロキサイド2021等)、液状酸無水物(例えば、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等)、液状イミダゾール化合物(例えば、2E4MZ、2E4MZ−CN等)、130℃以上の高沸点溶剤(例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル等)が挙げられる。
フェノール性水酸基を有する化合物(D)の添加量は、各用途での硬化条件により調整され得るが、例えば、100℃で30分の硬化条件では本発明の加熱硬化型エポキシ樹脂組成物中の全エポキシ樹脂100重量部に対して、フェノール性水酸基を有する化合物(D)の量として5〜40重量部、好ましくは10〜30重量部、さらに好ましくは10〜20重量部の範囲がよい。5重量部未満では低温での硬化時間が長くなり、40重量部を超えると、液状エポキシ樹脂組成物の粘度上昇が顕著となり作業性が落ちる傾向にある。
前記フェノール性水酸基を有する化合物の中でも、粘度上昇を抑える点から、2官能で比較的融点の低いビスフェノールA、ビスフェノールF、レゾルシン、カテコール、あるいはアリル化され低融点もしくは液状のフェノール化合物(例えば、ジアリルビスフェノールA)等が好ましい。
さらに、本発明の加熱硬化型エポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、カップリング剤、界面活性剤、充填剤、酸化安定剤、光安定剤、耐湿性向上剤、チキソトロピー付与剤、消泡剤、粘着付与剤、帯電防止剤、滑剤、紫外線吸収剤等の添加剤を配合することもできる。
該カップリング剤とは、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−(2−(ビニルベンジルアミノ)エチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等のシラン系カップリング剤;イソプロピル(N−エチルアミノエチルアミノ)チタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、チタニウムジ(ジオクチルピロホスフェート)オキシアセテート、テトライソプロピルジ(ジオクチルホスファイト)チタネート、ネオアルコキシトリ(p−N−(β−アミノエチル)アミノフェニル)チタネート等のチタン系カップリング剤;ジルコニウム アセチルアセトネート、ジルコニウム メタクリレート、ジルコニウム プロピオネート、ネオアルコキシジルコネート、ネオアルコキシトリスネオデカノイルジルコネート、ネオアルコキシトリス(ドデカノイル)ベンゼンスルホニルジルコネート、ネオアルコキシトリス(エチレンジアミノエチル)ジルコネート、ネオアルコキシトリス(m−アミノフェニル)ジルコネート、アンモニウムジルコニウムカーボネート等のジルコニウム系カップリング剤;アルミニウム アセチルアセトネート、アルミニウム メタクリレート、アルミニウム プロピオネート等のアルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。
中でもシラン系カップリング剤が好ましく、エポキシ基を有するシラン系カップリング剤がより好ましい。カップリング剤を使用すると基材との密着性が向上し、さらに耐湿信頼性の点でより優れた接着層が得られる。
カップリング剤を用いる場合、その使用量は本発明の加熱硬化型エポキシ樹脂組成物中の全エポキシ樹脂100部に対して0.1〜5部程度、好ましくは0.5〜5部程度である。
該無機充填材とは、例えば、溶融破砕シリカ、結晶破砕シリカ、球状シリカ、シリコンカーバイド、窒化珪素、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、マイカ、タルク、クレー、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸リチウムアルミニウム、珪酸ジルコニウム、チタン酸バリウム、硝子繊維、炭素繊維、二硫化モリブデン等が挙げられ、好ましくは溶融破砕シリカ、結晶破砕シリカ、球状シリカ、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、珪酸カルシウムであり、さらに耐クラック性を考慮すると、溶融破砕シリカ、結晶破砕シリカ、球状シリカ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムが特に好ましい。
これらの無機充填材は単独で使用しても二種以上を混合して使用してもよい。無機充填材を使用する場合、その使用量は加熱硬化型エポキシ樹脂組成物として求められる粘度に影響を与えない程度にする必要があり、該組成物の5重量%〜50重量%、好ましくは5重量%〜30重量%、さらに好ましくは5重量%〜20重量%である。50重量%を越えると本発明の組成物の粘度が上昇し作業面で不具合を生じる可能性がある。また、該充填剤を上記カップリング剤で表面処理を施したものも使用可能である。
無機充填剤の粒径については特に限定されないが、本発明の加熱硬化型エポキシ樹脂組成物が硬化時にしみ出してブリード等を発生しないためにも、500ミクロン以下の粒径の物を用いるのがよく、好ましくは100ミクロン以下の物がよい。
前記の成分から得られる加熱硬化型エポキシ樹脂組成物が液状の場合はそのまま使用しても溶剤で希釈して使用してもよく、該組成物が固形の場合は溶剤で希釈して使用するのが好ましい。該組成物が可溶な溶剤なら特に制限はないが、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール系溶剤等が挙げられる。
さらに、基材への塗布性を向上させるために界面活性剤を用いてもよい。該界面活性剤としては、例えば、シリコン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が用いられ、添加する場合、その添加量は本発明の加熱硬化型エポキシ樹脂組成物100部に対し、通常0.001〜0.5部程度、好ましくは0.08〜0.3部程度である。
本発明の加熱硬化型エポキシ樹脂組成物を使用する場合、含有する成分を予め配合して使用してもよく、また、可使時間(硬化剤を配合してから通常に使用が可能な時間)と使用するまでの時間を考慮して、エポキシ樹脂類と硬化剤類を分けておき、使用直前に両者を混ぜて使用してもよい。
本発明の加熱硬化型エポキシ樹脂組成物は、ガラス、金属、無機物、プラスチック等の種々の材料に対して優れた密着性を有し、接着剤として優れた特性を有している。特に、光学部品(具体的にはレンズの固定、光ファイバーとコネクタの固定やV溝等へのファイバの固定)等における接着、または、表示装置(具体的には液晶パネル、ELパネル等のフラットパネル関連)における接着等に使用した場合、高温高湿等の劣悪条件下でも接着力を保持することが可能である。また、フィルム(具体的にはポリイミド、ポリアミド、PET)とガラス、フィルムと金属等の接着に使用した場合、130℃以下短時間での接着が可能で、高温高湿等の劣悪条件下でも接着力を保持する。
本発明の加熱硬化型エポキシ樹脂組成物を塗布しまたは注入し、加熱して得られる硬化接着層を有する物品、特に光ファイバー用コネクタも本発明に含まれる。例えば、光学部品である光ファイバー用コネクタの接着の場合で説明すると、コネクタ中心部に本発明の加熱硬化型エポキシ樹脂組成物を注入後、光ファイバーを挿入し、加熱炉にて100℃、30分熱処理を実施して、該接着層により固定された光学部品を得る事ができる。
また、本発明の加熱硬化型エポキシ樹脂組成物をガラスクロス、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、紙、不職布等に含浸させて使用してもよい。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。尚、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、実施例中特に断りがない限り、部は重量部を示す。エポキシ当量はJIS K−7236に準じた方法で測定した。
参考例 エポキシ樹脂Aの調製
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン94.4部、メチルイソブチルケトン94.4部を反応容器に仕込み、80℃に昇温した。昇温後、0.1重量%水酸化カリウム水溶液21.6部を30分間かけて連続的に滴下した。滴下終了後、生成するメタノールを除去しながら80℃にて5時間反応させた。反応終了後、洗浄液が中性になるまで水洗を繰り返した。次いで減圧下で溶媒を除去することにより本発明のエポキシ樹脂(A)67gを得た。得られた化合物のエポキシ当量は170g/eqであった。本エポキシ樹脂(A)のH−NMR(CDCl溶液)から、エポキシ環のメチンピーク(3.2ppm付近)の存在とメトキシ基のピーク(3.6ppm付近)の消失が確認された。
実施例1
参考例で得られたエポキシ樹脂(A)と、エポキシ樹脂(B2)、フェノール化合物(D1)を予め表1に示す配合比率にて秤量して混合し、150℃オーブン中で20〜30分加熱後取り出し、熱いうちに攪拌してフェノール化合物(D1)を溶解させる。それを放冷してエポキシ樹脂/フェノール化合物マスターバッチ(以降エポキシMBと記述する)を得た。
イミダゾール化合物(C1)とイミダゾール化合物(C2)とを表1に示す配合比率にて秤量して混合し、100℃オーブン中で10分〜20分加熱して溶解させ、取り出して攪拌後放冷し、イミダゾール化合物マスターバッチ(以降硬化剤MBと記述する)を得た。
前記、エポキシMBと硬化剤MBを表1に示す割合で室温にて配合後、攪拌して本発明の加熱硬化型エポキシ樹脂組成物を得た。
実施例2、3
実施例1と同様にして表1に示す組成のエポキシMBと硬化剤MBから加熱硬化型エポキシ樹脂組成物を製造した。
比較例1、2、3、4
実施例1等と同じ硬化剤MBを使用した。それ以外の成分と硬化剤MBを表1に示す組成にて室温で配合後攪拌して、比較用加熱硬化型エポキシ樹脂組成物を得た。
表1
実施例1 実施例2 実施例3
エポキシ樹脂(A) 50 50 50
エポキシ樹脂(B)
B1 − 50 −
B2 50 − 50
イミダゾール化合物(C)
C1 5 5 5
C2 5 5 5
フェノール化合物(D)
D1 10 10 −
D2 − − 12

比較例1 比較例2 比較例3 比較例4
エポキシ樹脂(A) 50 100 − −
エポキシ樹脂(B)
B1 50 − 100 100
B2 − − − −
イミダゾール化合物(C)
C1 5 5 5 5
C2 5 5 5 5
フェノール化合物(D)
D1 − − − 10
D2 − − − −
エポキシ樹脂A :γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを塩基性触媒の存在下に縮合させて得られるエポキシ樹脂(エポキシ当量:約170g/eq)
エポキシ樹脂B1 :ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(エポキシ当量:約185g/eq、商品名エピコート828、日本エポキシレジン株式会社製)
エポキシ樹脂B2 :ビスフェノールF型液状エポキシ樹脂(エポキシ当量:約170g/eq、商品名エピコート807、日本エポキシレジン株式会社製)
イミダゾール化合物C1:2E4MZ(2−エチル−4−メチルイミダゾール、室温で液状、四国化成株式会社製)
イミダゾール化合物C2:1B2PZ(1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、室温で半固形、四国化成株式会社製)
フェノール化合物D1 :ビスフェノールA(融点105℃、試薬品)
フェノール化合物D2 :フロログルシノール(融点217℃、試薬品)
以下に前記実施例、比較例により得た組成物についての性能評価を示す。
反応性については100℃ゲルタイムで、耐熱性については動的粘弾性測定で、接着性についてはガラス/ガラスチップ接着試験で評価し、結果を表2に示す。なお、評価方法は下記の通りである。
100℃ゲルタイム
・表面温度100℃にセットされたホットプレート上に本組成物を所定量(約1g程度)置いて、タイマーをスタートさせスパチュラでかき混ぜる。時間と共にゲル化が促進され液状から粘調液体へと変化し最終的に糸の引かない状況になる。その糸の引かない状況までの時間をゲル化時間(ゲルタイム)として記録をした。
動的粘弾性(以降DMAと記述する)
・本組成物をアルミカップに所定量とり、100℃オーブンにて30分硬化させる。その硬化物を厚さ約0.5mm、幅約5mm、長さ4cmほどの薄い板に切り出してDMA用サンプルとした。DMA装置(TAインスツルメンツ社製、DMA2980、測定条件:振幅15μm、振動数10Hz、昇温速度2℃/分)を用いてtanδピーク値をDMA―Tg(ガラス転移点)として耐熱性を評価した。
ガラス/ガラスチップ接着試験
・ガラス基板(5cm×5cm×1mm)の上に、本組成物を少量塗布した。その上にガラスチップ(1.5mm×1.5mm×0.7mm)を塗布樹脂組成物の上に載せて力を掛けて圧接する。接着させたガラス基板をトレーに載せて100℃オーブンに投入して60分硬化後放冷し接着サンプルとした。西進商事製SS−30WDボンドテスターを使用してガラスチップの横方向から外力を加えて(速度0.166mm/s)、剪断接着強度(単位/kgf)を測定する。(接着強度試験1)
さらに、所定条件の高温高湿条件(温度85℃、湿度85%で53時間処理)を接着サンプルに掛けた後に剪断接着強度(単位/kgf)を同様に測定した。(接着強度試験2)
表2
実施例1 実施例2 実施例3
100℃
ゲルタイム 5分 4分半 5分
DMA−Tg 157℃ 167℃ 171℃
接着強度試験1 8.7 11.2 10.8
接着強度試験2 5.3 6.3 8.2

比較例1 比較例2 比較例3 比較例4
100℃
ゲルタイム 11分 >15分 6分 4分
DMA−Tg
93℃*2)*1) 154℃ 141℃
173℃*2)
接着強度試験1 4.5 2.3 5.8 7.5
接着強度試験2 3.7 1.8 2.8 2.4

*1)硬化不足により、サンプルが脆くて測定できない。
*2)硬化不足により、Tg点が93℃、173℃の2点出現した。
接着強度試験1は、所定硬化後の接着強度値を示す。
接着強度試験2は、85℃、85%、53時間試験実施後の接着強度を示す。
表2の結果からエポキシ樹脂(B)を含まないエポキシ樹脂(A)のみ(比較例2)では接着強度が不足している。エポキシ樹脂(A)を含まない場合(比較例3及び比較例4)、接着強度試験2に示されているように高温高湿後の接着強度が低い。エポキシ樹脂(A)とエポキシ樹脂(B)を含むがフェノール化合物(D)を含有しない場合(比較例1)、Tgが2点出現し耐熱不足であり、さらに接着強度が低い。
一方、エポキシ樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)、イミダゾール化合物(C)、フェノール性化合物(D)を成分とする本発明の加熱硬化型エポキシ樹脂組成物は低温短時間硬化の条件にて硬化し、その硬化物は耐熱性も高く且つ接着強度試験1に示されている初期接着強度も十分に有しており、さらに接着強度試験2に示されている高温高湿後の接着強度も高い接着機能を維持していることが確認された。

Claims (5)

  1. 下記式(1)
    [化1]
    Si(OR (1)
    [式中、Rはエポキシ基を有するアルキル基を示し、Rは(C1〜C4)アルキル基を示す。]
    で表されるエポキシ基含有アルコキシケイ素化合物を塩基性触媒の存在下で縮合させて得られるエポキシ樹脂(A)、エポキシ樹脂(A)以外で2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(B)、イミダゾール化合物(C)、フェノール性水酸基を有する化合物(D)としてビスフェノールA、ビスフェノールF、レゾルシン、カテコール、ジアリルビスフェノールAまたはフロログルシノールを含有する樹脂組成物であって、イミダゾール化合物(C)が該樹脂組成物中の全エポキシ樹脂100重量部に対して1〜15重量部、フェノール性水酸基を有する化合物(D)が該樹脂組成物中の全エポキシ樹脂100重量部に対して5〜40重量部である加熱硬化型エポキシ樹脂組成物。
  2. のエポキシ基を有するアルキル基がグリシドキシ(C1〜C3)アルキル基である請求項1記載の加熱硬化型エポキシ樹脂組成物。
  3. エポキシ樹脂(A)以外で2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(B)がポリフェノール類化合物のグリシジルエーテル化物である多官能エポキシ樹脂である請求項1または2に記載の加熱硬化型エポキシ樹脂組成物。
  4. 加熱硬化型エポキシ樹脂組成物が接着剤用加熱硬化型エポキシ樹脂組成物である請求項1〜3のいずれか一項に記載の加熱硬化型エポキシ樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の加熱硬化型エポキシ樹脂組成物を塗布または注入後、加熱硬化して得られる接着層を有する物品。
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