JP4576687B2 - 面光源反射部材用白色積層ポリエステルフィルム - Google Patents

面光源反射部材用白色積層ポリエステルフィルム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、白色積層ポリエステルフィルムに関するものである。更に詳しくは、液晶画面用の光源としてサイドライト(エッジライトとも言う)方式の面光源を用いた場合、該面光源用の反射部材である反射板およびリフレクターとして最適な白色積層ポリエステルフィルムであって、より明るく、かつ照明の効率に優れた液晶画面を得ることの出来る、面光源反射部材用白色積層ポリエステルフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶画面などの照明用器材として平板状の面光源が一般に用いられるが、この面光源として、従来はバックライト方式が採用されていた。しかし近年では、特開昭63−62104号公報に示されるようなサイドライト方式の面光源が、薄型で均一に照明できるというメリットを有することから、広く用いられるようになっている。サイドライト方式とは、片面に網点印刷の施されたアクリル板などの透明性基材の端部(エッジ)より冷陰極線管などの照明光源からの光を当てる方式であり、別名エッジライト方式とも呼ばれている。この方式では照明光源からの光が面光源の周囲へ逃げるのを防止し、より光の伝達ロスを少なく、すなわち、より効率的に液晶画面を照明する目的で、面光源の背面側に反射板、さらに照明光源の周囲にリフレクターが設けられている。この反射板、リフレクターは共に光反射機能を有するものであり、以降では両者を「面光源反射部材」と総称する。
【0003】
サイドライト方式の面光源を用いた装置構造の一例を図1に示す。図1において、片面に網点印刷16が施された透明性基材からなる透明導光板15の片面(網点印刷側)に反射板11、他方の側に拡散板14、液晶画面13が設けられ、さらに透明導光板15の端部に照明光源として冷陰極線管17が配置される。また、冷陰極線管17の周囲にはリフレクター12が設けられる。以上がサイドライト方式の装置構造の概略であり、次にこの方式の基本原理を説明する。冷陰極線管17からの光は、直接に、またはリフレクター12により反射されて透明導光板15の端部に入射光として導入される。該入射光は、網点印刷16により均一に分散され、反射板11により反射される。そして、この反射光は再度、透明導光板15を通り、さらに拡散板14により拡散されることによって液晶画面13を明るく均一に照らすのである。
【0004】
サイドライト方式では、照明光源が面光源のエッジ側に設置されるため、背面側に該照明光源が設置されるバックライト方式よりも薄型にできるという大きな特長がある。
【0005】
上記の面光源反射部材には、第一に薄さと光の高反射特性が要求されることから、従来より、白色染料や白色顔料を添加したり、あるいは微細な気泡を含有せしめる等の方法で光の反射特性を高めた白色フィルムが用いられてきた。特に、気泡による光の反射は基本的に光の吸収がなく、また反射特性が乱反射(拡散反射)であることから液晶画面をより明るく、かつ広く均一に照らすことができる点で優れている。このような点で、微細な気泡を含有する白色フィルムは面光源反射部材として特に好ましいものである。上述の微細な気泡を含有する白色フィルムとしては、例えば特開平6−322153号公報、特開平7−118433号公報などに開示されているものが挙げられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、液晶画面の用途は、従来からのノート型パソコンに加えて、近年では据置型のパソコンやテレビ、携帯電話のディスプレイなど、様々な機器に採用されており、需要は急速に増大している。一方、液晶画面の画像もより高精細なものが求められるのに伴い、液晶画面の明るさを増して画像をより鮮明に、より見やすくする改良が進められており、照明光源(例えば、冷陰極線管)もより高輝度、高出力のものとなってきている。しかしながら、面光源反射部材である反射板やリフレクターとして上記フィルムを用いた場合には、隠蔽性に劣るために照明光源の光の一部が反対面に透過してしまい、液晶画面の輝度(明るさ)が不十分となったり、照明光源からの光の伝達ロスによって照明の効率が低下してしまう等の問題が指摘されており、白色フィルムの隠蔽性向上が強く求められている。
【0007】
例えば、隠蔽性を向上せしめるため、微細な気泡や白色顔料を多量に含有せしめようとすると、延伸時にフィルム破れが頻発して製膜性が大きく低下したり、粉発生などの後加工時のトラブルが起こりやすくなるという問題があった。また、たとえフィルムが得られても、気泡同士が連結して微細な気泡とは成り難かったり、白色顔料が凝集体となって、かえって反射特性が低下しやすくなるという問題もあった。
【0008】
本発明は、上記のような問題点を解決し、軽量性と高度の反射特性を保持し、しかも優れた隠蔽性を有する面光源反射部材用白色積層ポリエステルフィルムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するための、本発明の面光源反射部材用白色積層ポリエステルフィルムは、微細な気泡を含有する白色ポリエステル層(B)の片面に少なくとも無機系微粒子(a)を含有する白色ポリエステル層(A)が積層され、かつ、反対面に少なくとも無機系微粒子(c)を含有する白色ポリエステル層(C)が積層されて成る白色積層ポリエステルフィルムであって、無機系微粒子(a)、無機系微粒子(c)およびポリエステルの各々の屈折率(それぞれ、na,nc,npとする)が以下の関係式(1)〜(3)を満足し、前記微細な気泡が、気泡部分の断面積の平均値が1〜25μm の範囲内にある気泡であることを特徴とする。
(1)nc−na>0.2
(2)nc−np>0.2
(3)−0.3≦n a −n p ≦0.2
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明において、ポリエステルとは、ジオールとジカルボン酸とから縮重合によって得られるポリマーであり、ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等で代表されるものであり、またジオールとは、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等で代表されものである。具体的には例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−p−オキシベンゾエート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(ポリエチレンナフタレート)等を使用することができる。
【0011】
もちろん、これらのポリエステルは、ホモポリエステルであっても、コポリエステルであってもよく、共重合成分としては、例えば、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール等のジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等のジカルボン酸成分を用いることができる。また、このポリエステルの中には、必要に応じて、本発明の効果が損なわれない量で適宜な添加剤、例えば耐熱安定剤、耐酸化安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、有機の易滑剤、有機系微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤、染料、分散剤、カップリング剤等が配合されていてもよい。
【0012】
本発明に用いられるポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが耐水性、耐久性、耐薬品性等に優れているため、特に好ましいものである。
【0013】
本発明の白色積層ポリエステルフィルムは、微細な気泡を含有する白色ポリエステル層(B)の片面に少なくとも無機系微粒子(a)を含有する白色ポリエステル層(A)が積層され、かつ、反対面に少なくとも無機系微粒子(c)を含有する白色ポリエステル層(C)が積層された構成(A/B/C)であり、さらに無機系微粒子(a)、無機系微粒子(c)、およびポリエステルの各々の屈折率(それぞれ、na,nc,npとする)が以下の関係式(1)および(2)を満足することが必要である。
(1)nc−na>0.2
(2)nc−np>0.2
上述のように、本発明においては、無機系微粒子(c)と無機系微粒子(a)の屈折率の差(nc−na)を0.2より大きくする必要があるが、より好ましくは0.25以上、さらには0.3以上とすることが最も好ましい。(nc−na)が0.2以下の場合、フィルムの反射特性または隠蔽性のいずれか、あるいはその両方が低下し、結果的に液晶画面の明るさや照明の効率が低下することがある。なお、(nc−na)の上限は特に限定されないが、実質的には2程度であり、より好ましくは1.8程度である。
【0014】
また、本発明においては、無機系微粒子(c)とポリエステルの屈折率の差(nc−np)を0.2より大きくする必要があるが、より好ましくは0.22以上、さらには0.25以上とすることが最も好ましい。(nc−np)が0.2以下の場合、フィルムの隠蔽性が低下し、結果的に液晶画面の照明の効率が低下する傾向にある。なお、(nc−np)の上限は特に限定されないが、実質的には2程度であり、より好ましくは1.8程度である。
【0015】
すなわち、本発明における白色ポリエステル層(A)は、ポリエステルとの屈折率差のより小さな無機系微粒子(a)を含有せしめることによって白色化した、より反射特性に優れた層である。一方、白色ポリエステル層(C)とは、ポリエステルとの屈折率差のより大きな無機系微粒子(c)を含有せしめることによって白色化した、より隠蔽性に優れた層である。このような構成とすることにより、本発明の白色積層ポリエステルフィルムの反射特性と隠蔽性の両者が著しく向上し、面光源反射板やリフレクターなどの面光源反射部材として使用した場合に液晶画面が非常に明るく、画像がより鮮明で見やすい他、照明光源からの光の伝達ロスの無い、照明の効率にも優れた液晶画面を得ることができるのである。
【0016】
さらに、本発明においては、無機系微粒子(a)およびポリエステルの屈折率(それぞれ、na,npとする)が、さらに以下の関係式(3)を満足することが必要である
(3)−0.3≦na−np≦0.2
すなわち、本発明においては、無機系微粒子(a)とポリエステルの屈折率の差(na−np)を−0.3〜0.2の範囲内とすることが必要であり、より好ましくは−0.25〜0.15、さらには−0.2〜0.1とすることが最も好ましい。(na−np)が上記範囲外の場合、フィルムの反射特性が低下し、結果的に液晶画面の明るさや照明の効率が低下する傾向にある。
【0017】
次に、ポリエステルとしてポリエチレンテレフタレート(フィルムの屈折率=1.5〜1.7)を使用した場合における、この無機系微粒子(a)、(c)についての一例を示す。もちろん、本発明では関係式(1)および(2)を満たす無機系微粒子であればよく、これらの例にのみ限定されることはない。
無機系微粒子(a):炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸亜鉛、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、シリカ、アルミナ、マイカ、タルク、カオリン、フッ化リチウム、フッ化カルシウム等を用いることができる。特に好ましい例としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、アルミナが用いられる。
無機系微粒子(c):酸化チタン(結晶形により、アナターゼ型、ルチル型、アナターゼ/ルチル混晶型、アモルファス構造型などに大別される)、硫化亜鉛、酸化アンチモン、酸化亜鉛(亜鉛華)、塩基性炭酸鉛(鉛白)、酸化ジルコニウム、酸化錫、酸化ランタン、硫酸鉛、酸化セリウム、雲母チタン等を用いることができる。特に好ましい例としては、酸化チタン、硫化亜鉛、酸化亜鉛、酸化セリウムが用いられる。
【0018】
上記の無機系微粒子(a)、(c)の各々については単独でも2種以上を併用してもよい。また、併用方法としては、複数種を単に混合添加せしめても、あるいは粒子組成自体が複数種のものである複合体であってもよい。もちろん、屈折率の異なるものを併用した場合には、併用時の屈折率が上記の関係式(1)および(2)を満たしていることが必要である。また、その形態は多孔質や中空多孔質等の特殊なものであってもよく、さらには本発明の効果を阻害しない範囲内において、樹脂に対する分散性を良化せしめるために、さらに表面処理が施されていてもよい。
【0019】
本発明における無機系微粒子(a)、(c)は、ポリエステル中での平均粒子径はいずれも0.05〜3μmであることが好ましく、より好ましくは0.07〜1μmである。該平均粒子径が上記範囲外である場合、凝集などによる無機系微粒子の均一分散性不良によって反射特性が低下したり、あるいは表面での乱反射(拡散反射)特性が低下して、観る角度によって液晶画面の明るさにムラが発生する場合があるので好ましくない。
【0020】
また、白色ポリエステル層(A)中の無機系微粒子(a)の含有量Wa、及び、白色ポリエステル層(C)中の無機系微粒子(c)の含有量Wcは、特に限定されないが、1〜40重量%が好ましく、より好ましくは3〜35重量%、さらには5〜30重量%の範囲内にあるものが最も好ましい。含有量Wa、Wcが上記範囲より少ない場合にはフィルムの反射率などの特性を向上させることが難しく、逆に上記範囲より多い場合には延伸時にフィルム破れや、後加工の際に粉発生等の不都合を生じることがある。
【0021】
また、本発明においては、無機系微粒子(a)の含有量Waに対する無機系微粒子(c)の含有量Wcの比率(Wc/Wa)が0.5〜10であることが好ましく、より好ましくは0.6〜8、さらには0.7〜7が最も好ましい。上記比率が0.5未満の場合、フィルムの隠蔽性が不十分となることにより、面光源反射板部材として用いたときに液晶画面を照明する効率が低下して画面の明るさが不十分となりやすい。一方、上記比率が10より大きい場合には、フィルムの反射特性が不十分となって画面の明るさが不十分となったり、あるいは延伸時にフィルム破れや、後加工の際に粉発生等の不都合を生じることがある。
【0022】
本発明の白色積層ポリエステルフィルムは、白色ポリエステル層(B)の片面に白色ポリエステル層(A)を積層し、かつ、反対面に白色ポリエステル層(C)を積層した構成(A/B/C)としたものであるが、該白色ポリエステル層(B)は、微細な気泡を含有せしめた層とすることが必要である。微細な気泡を含有せしめる方法としては、▲1▼発泡剤を含有せしめ、押出や製膜時の加熱により発泡、あるいは化学的分解により発泡させて気泡を形成する方法、▲2▼押出時にガスまたは気化可能物質を添加する方法、▲3▼ポリエステルに対し非相溶性の熱可塑性樹脂(非相溶樹脂)を添加し、それを一軸または二軸延伸することにより微細な気泡を発生させる方法、▲4▼前記の非相溶樹脂の代わりに気泡形成性の無機系微粒子を多量添加する方法等が一般に用いられる。本発明の目的の範囲内であれば、いずれの方法を用いてもよいが、製膜性、内部に含有せしめる気泡の量の調整しやすさ、より微細で均一な大きさの気泡の形成しやすさ、さらに軽量性などの総合的な点から▲3▼非相溶樹脂の使用が特に好ましい。
【0023】
本発明における気泡とは、上述したようにフィルムへの反射特性(乱反射)付与に寄与することのできるものを言うのであって、具体的には、ポリエステル中に含有せしめた該非相溶樹脂を核として生成されたものであることが好ましい。さらに具体的には、白色ポリエステル層(B)の断面(厚み方向)を走査型電子顕微鏡(SEM)または透過型電子顕微鏡(TEM)などによって観察したとき、気泡部分の断面積の平均値が0.5〜25μm2あるものを指し、更には1〜20μm2の範囲内にあるものがより好ましい。
【0024】
本発明でいう非相溶樹脂とは、ポリエステル以外の熱可塑性樹脂であって、該ポリエステルに対して非相溶性を示すため、ポリエステル中では粒子状に分散し、延伸によりフィルム中に気泡を形成せしめる効果が大きい。より具体的に述べれば、示差走査熱量計(DSC)等を用いた公知な方法での測定において、ポリエステルと該熱可塑性樹脂とを溶融した系において、ポリエステルに相当するガラス転移温度(以降、Tgと省略する)以外に該非相溶樹脂に相当するTgが観察される樹脂である。
【0025】
このような非相溶樹脂の融点は、ポリエステルの融点よりも低温であり、かつ製膜時にフィルムを熱固定して配向させる際の温度(熱処理温度)よりも高温であることが好ましい。かかる点から該非相溶樹脂の中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテンのようなポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、フッ素系樹脂などが好ましく用いられる。これらは単独重合体であっても共重合体であってもよく、さらには2種以上の非相溶樹脂を併用してもよい。これらの中でも、ポリオレフィン樹脂、特に、臨界表面張力の小さなポリプロピレン、ポリメチルペンテンが好ましく、さらにはポリメチルペンテンが最も好ましい。該ポリメチルペンテンは相対的にポリエステルとの表面張力差が大きく、かつ融点が高いため、含有量当たりの気泡形成の効果が大きいという特長があり、非相溶樹脂として特に好ましいものである。
【0026】
白色ポリエステル層(B)中の非相溶樹脂の含有量は特に限定されないが1〜35重量%が好ましく、より好ましくは2〜30重量%、さらには3〜25重量%の範囲内であることが最も好ましい。含有量が上記範囲より少ない場合にはフィルムの反射特性や隠蔽性などを向上させることが難しく、逆に上記範囲より多い場合には延伸時にフィルム破れ等が生じやすくなって、生産性が低下する場合がある。
【0027】
本発明においては、上述のポリエステルと非相溶樹脂に、さらに分散剤を含有せしめることは、非相溶樹脂の分散径が小さくなり、ひいては延伸により発生する気泡をより微細化でき、結果的にフィルムの反射特性を向上させることができるので、より好ましいものである。上記の効果を示す分散剤としては、カルボキシル基やエポキシ基等の極性基やポリエステルと反応性のある官能基をもったオレフィン系の重合体または共重合体、ポリアルキレングリコール、界面活性剤、熱接着性樹脂等を用いることができる。もちろん、これらは単独でも2種以上を併用してもよい。分散剤を添加する方法としては、ポリエステルとの混合であるブレンド化や、ランダム共重合、ブロック共重合などの共重合化が採用できる。
また両者の中間状態である部分共重合化であってもよい。
【0028】
本発明における分散剤の含有量は、0.05〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜7重量%、最も好ましくは0.2〜5重量%である。含有量が0.05重量%より少ない場合、気泡を微細化する効果が小さい。また、10重量%より多い場合には、逆に非相溶樹脂を添加する効果が小さくなり、反射特性の低下やコスト上昇などの問題が発生しやすい。
【0029】
本発明では、面光源反射板用白色積層ポリエステルフィルムに、より高度な反射特性を与えるために、少なくとも白色ポリエステル層(A)に、さらに蛍光増白剤を含有せしめることが望ましい。
【0030】
本発明において用いる蛍光増白剤は、太陽光中や人工光中の紫外線を吸収し、これを紫〜青色の可視光線に変え輻射する機能を保持し、その蛍光作用により高分子物質の明度を低下させることなく白度を助長させる化合物である。蛍光増白剤としては、商品名“ユビテック”(チバガイギー社)、“OB−1”(イーストマン社)、“TBO”(住友精化(株))、“ケイコール”(日本曹達(株))、“カヤライト”(日本化薬(株))、“リューコプア”EGM(クライアントジャパン(株))等を用いることができる。蛍光増白剤は、特に限定されるものではなく、単独、場合によっては2種以上の併用であってもよいが、本発明では、特に耐熱性に優れ、前述ポリエステルとの相溶性がよく均一分散できると共に、着色が少なく、樹脂に悪影響を及ぼさないものの選択が望ましい。
【0031】
白色ポリエステル層(A)あるいは(B)中における蛍光増白剤の含有量は、0.005〜1重量%が好ましく、0.05〜0.5重量%の範囲にあるものがより好ましい。含有量が上記範囲より少ないと充分な増白効果が得にくく、上記範囲を越えるものは均一分散性の低下や着色により、かえって反射特性、耐光性が低下しやすくなる等の問題がある。
【0032】
本発明の白色積層ポリエステルフィルムは、白色ポリエステル層(B)の片面に白色ポリエステル層(A)、反対面に白色ポリエステル層(C)を積層した構成(A/B/C)とする必要がある。例えば、1層の単膜フィルムにより、本発明の効果を得ようとする場合、フィルム破れが発生しやすく、製膜が不安定なため、結果的にコストが高くなる。そこで、白色ポリエステル層(A)をより反射特性に優れた層、白色ポリエステル層(B)を反射特性や軽量性などに優れた層、白色ポリエステル層(C)をより隠蔽性に優れた層とすることで、フィルム全体として、必要な特性の全てを満足させることが可能となるのである。
【0033】
ここで、本発明の白色積層ポリエステルフィルムを面光源反射板やリフレクターなどの面光源反射部材に使用する際には、白色ポリエステル層(A)が透明性基材(例えば、図1では透明導光板15)の側に、リフレクターとして用いる際には白色ポリエステル層(A)が照明光源(同じく、図1での冷陰極線管17)の側に配置され、白色ポリエステル層(A)表面が光反射面となる必要がある。
【0034】
本発明においては、白色ポリエステル層(A)、(B)、(C)の各層を構成するポリエステルは、同一のポリエステル組成物であっても、互いに異なるポリエステル組成物であってもよい。特に異なるポリエステル組成物を使用する場合、例えば、白色ポリエステル層(A)に用いられるポリエステルがポリエチレンナフタレートで、白色ポリエステル層(B)、(C)に用いられるポリエステルがポリエチレンテレフタレートの場合、耐光性、剛性などの向上効果が得られるのでより好ましい。
【0035】
なお、本発明においては、白色ポリエステル層(A)、(B)、(C)を各々積層する方法としては溶融製膜中の共押出により複合化する方法、あるいはそれぞれ別々に製膜した後、ラミネートする方法のいずれでもよいが、コストなどの点で前者の方法がより好ましい。
【0036】
本発明の白色積層ポリエステルフィルムの反射特性としては、白色ポリエステル層(A)側より求めた400〜700nmの平均反射率が85%以上であることが好ましく、より好ましくは90%以上、さらには92%以上が最も好ましい。上記平均反射率が85%未満の場合、反射特性が不十分となって、液晶画面の明るさも不十分となりやすくなるため好ましくない。
【0037】
また、本発明の白色積層ポリエステルフィルムは、透過方式での光学濃度(O.D)が、フィルム厚み100μm換算で0.6以上であることが好ましく、より好ましくは0.8以上、さらには1より大きいことが最も好ましい。光学濃度は隠蔽性を表す指標となるものであるが、この光学濃度が0.6未満であると、フィルムの隠蔽性が小さいため裏側が透けて見え、反射特性が不十分となるため好ましくない。また、光学濃度の上限は特に限定されないが、フィルムに非相溶樹脂あるいは無機系微粒子を添加せしめる場合のフィルム強度、製膜性あるいは生産性等を考慮すれば、実質的には3程度である。
【0038】
また、本発明においては、フィルムの比重が0.4以上1.3未満であることが好ましく、より好ましくは0.45以上1.2以下、さらには0.5以上1.1以下が最も好ましい。比重が0.4より小さい場合、低比重化のために気泡を大量に含有せしめねばならず、そのためにフィルム強度が低下したり、製膜時にフィルム破れ等が発生しやすくなって生産性が低下することがあり好ましくない。また、比重が1.3以上の場合には、フィルムの反射特性が不十分となるため好ましくない。
【0039】
さらに、本発明の白色積層ポリエステルフィルムは、白色ポリエステル層(A)側より求めた光沢度が5〜70%であることが好ましく、より好ましくは10〜60%、さらには10〜50%であることが最も好ましい。光沢度が70%より大きい場合、フィルム表面の反射のうち、鏡面反射の割合が多くなり、乱反射(拡散反射)特性が低下し、観る角度によって液晶画面の明るさにムラが発生することがあるので好ましくない。一方、光沢度が5%未満の場合には、フィルム表面が粗くなりすぎて、例えば、面光源としたとき導光板との重なりが不均一になって、結果的には液晶画面の明るさにムラが発生することがあるので好ましくない。
【0040】
本発明においては、白色積層ポリエステルフィルムの厚みは、特に限定されないが、通常10〜500μm、さらには20〜300μmの範囲にあるものが、面光源反射板の反射特性や実用面での取扱性に優れるので好ましい。また、このうち白色ポリエステル層(A)、(C)の積層厚みは、1〜50μmが好ましく、さらには2〜30μmがより好ましい。積層厚みが1μmより薄い場合、光沢度が低下して液晶画面の明るさにムラが出たり、あるいは十分な反射特性や隠蔽性が得にくくなることがある。一方、50μmより厚い場合には、軽量性や反射特性が不十分となることがある。
【0041】
また、上記の厚み構成において、白色ポリエステル層(A)の厚みTaに対する白色ポリエステル層(C)の厚みTcの比率(Tc/Ta)は0.5〜10であることが好ましく、より好ましくは0.6〜8、さらには0.7〜7が最も好ましい。上記比率が0.5未満の場合、フィルムの隠蔽性が不十分となることにより、面光源反射板部材として用いたときに液晶画面を照明する効率が低下して画面の明るさが不十分となりやすい。一方、上記比率が10より大きい場合には、かえってフィルムの反射特性が不十分となって画面の明るさが不十分となることがある。
【0042】
次に、本発明の白色積層ポリエステルフィルムの製造方法について、その一例を説明するが、かかる例のみに限定されるものではない。
【0043】
押出機(A)、押出機(B)、押出機(C)を有する複合製膜装置において、白色ポリエステル層(B)を形成するため、真空乾燥したポリエステルのチップと必要に応じて真空乾燥した非相溶樹脂のチップとを、非相溶樹脂が1〜35重量%となるよう混合したものを押出機(B)に供給する。非相溶樹脂の添加は予めマスターチップとしたものを使用してもよい。また、白色ポリエステル層(A)を積層するため、ポリエステルのチップ、無機系微粒子(a)のマスターチップを無機系微粒子(a)が1〜40重量%となるよう混合し、充分に真空乾燥した後に、270〜300℃に加熱された押出機(A)に供給する。さらに、白色ポリエステル層(C)を積層するため、ポリエステルのチップ、無機系微粒子(c)のマスターチップを無機系微粒子(c)が1〜40重量%となるよう混合し、充分に真空乾燥した後に、270〜300℃に加熱された押出機(C)に供給する。このようにして各押出機に原料を供給し、Tダイ複合口金内で押出機(B)のポリマーの片面に押出機(A)のポリマーが、反対面に押出機(C)のポリマーが来る様に積層(A/B/C)してシート状に共押出成形し、溶融積層シートを得る。
【0044】
この溶融積層シートを、表面温度10〜60℃に冷却されたドラム上で静電気により密着冷却固化し、未延伸積層フィルムを作製する。該未延伸積層フィルムを70〜120℃に加熱したロール群に導き、長手方向(縦方向、すなわちフィルムの進行方向)に2〜5倍延伸し、20〜30℃のロール群で冷却する。
【0045】
続いて長手方向に延伸したフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き90〜140℃に加熱した雰囲気中で長手方向に垂直な方向(横方向あるいは幅方向)に2〜5倍延伸する。
【0046】
延伸倍率は、縦、横それぞれ2〜5倍に延伸するが、その面積倍率(縦延伸倍率×横延伸倍率)は6〜20倍であることが好ましい。面積倍率が6倍未満であると得られるフィルムの反射特性が不十分となり、逆に20倍を越えると延伸時に破れを生じやすくなる傾向がある。
【0047】
こうして得られた二軸延伸積層フィルムの平面性、寸法安定性を付与するために、引き続いてテンター内で150〜230℃の熱固定を行い、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取り、本発明の白色積層ポリエステルフィルムを得ることができる。
【0048】
このようにして得られた本発明の白色積層ポリエステルフィルムは、特に反射特性と隠蔽性に優れるため、該フィルムを面光源反射部材である反射板やリフレクターに用いた面光源は液晶画面を明るく均一に照らすことができ、さらに、画面上の画像も高度に鮮明で非常に見やすいものとすることができる。また、照明光源からの光の伝達ロスなく、非常に効率よく液晶画面を照明させることができる。従って、本発明の白色積層ポリエステルフィルムは面光源反射部材として最適の特性を有するフィルムである。
【0049】
【特性の測定方法および評価方法】
本発明の特性値は、次の評価方法、評価基準による。
(1)無機系微粒子およびポリエステルの屈折率
粒子の屈折率:JIS K−7142のB法(ベッケ線法)に準じ、ナトリウムD線(波長589nm)を光源として、温度23℃、相対湿度65%の条件下にて測定した。また、屈折率に異方性のある場合には、各方向の屈折率の平均値を、その粒子の屈折率とした。なお、一般的に無機系微粒子の融点・熱分解点は、ポリエステルフィルム製膜時の溶融・延伸・熱処理時の加熱温度よりはるかに高く、無機系微粒子の屈折率はポリエステルフィルム製膜後も変わらない場合が殆どである。
ポリエステルの屈折率:同一成分のポリエステルのみから形成されたフィルムについて、JIS K−7142のA法に準じ、ナトリウムD線(波長589nm)を光源として、アッベ屈折計4形((株)アタゴ製)を用いて測定した。このとき、接触液はヨウ化メチレンを使用し、温度23℃、相対湿度65%の条件下にて測定した。また、二軸延伸フィルムの場合には、縦方向(長手方向)、横方向(幅方向)、厚み方向の互いに垂直な3方向について屈折率を測定し、各々の屈折率の平均値を、そのポリエステルの屈折率とした。
【0050】
(2)無機系微粒子の平均粒子径
無機系微粒子の平均粒子径は、その粒子を含有させて得られた白色積層ポリエステルフィルムを断面観察して求めた。すなわち、透過型電子顕微鏡HU−12型((株)日立製作所製)を用い、白色ポリエステル層(A)、白色ポリエステル層(C)の断面部分を3,000〜200,000倍に拡大観察して断面写真を撮影した。次に、この断面写真の粒子部分をマーキングして、その粒子部分をハイビジョン画像解析処理装置PIAS−IV((株)ピアス製)を用いて画像処理を行い、測定視野内の計100個の粒子を真円に換算した時の平均径を算出し、粒子の平均粒子径とした。
(3)フィルム内部の微細な気泡および白色ポリエステル層の厚み
得られた白色積層ポリエステルフィルムの断面を、走査型電子顕微鏡S−2100A形((株)日立製作所製)を用いて500〜5,000倍に拡大観察した断面写真より微細な気泡の含有の有無を調べた。また、断面写真より各白色ポリエステル層の厚み方向の長さを計測し、拡大倍率から逆算して各層の厚みを求めた。なお、各層の厚みを求めるに当たっては、互いに異なる測定視野から任意に選んだ計5箇所の断面写真を使用し、その平均値を白色ポリエステル層の厚みとした。
【0051】
(4)製膜性
製膜時におけるフィルム破れなどのトラブル発生について、以下の3段階評価を行った。○を良好とした。
○:製膜が安定しており、製膜性良好。
△:時々フィルム破れが発生し、製膜性に劣る。
×:フィルム破れが多発し、製膜性が全く不良。
【0052】
(5)比重
フィルムを50mm×60mmの大きさにカットして得た試料サンプルを、高精度電子比重計SD−120L(ミラージュ貿易(株)製)を用い、JIS K−7112のA法(水中置換法)に準じて測定した。なお、測定条件は温度23℃、相対湿度65%にて行った。
(6)光沢度
デジタル変角光沢度計UGV−5B(スガ試験機(株)製)を用いて、白色ポリエステル層(A)側よりJIS Z−8741に準じて測定した。なお、測定条件は入射角=60゜、受光角=60゜とした。
【0053】
(7)平均反射率
本発明の白色積層ポリエステルフィルムについて、白色ポリエステル層(A)側より分光式色差計SE−2000型(日本電色工業(株)製)を用い、JISZ−8722に準じて波長=400〜700nmの範囲の分光反射率を10nm間隔で測定し、各値を平均して求めた。
(8)隠蔽性
光学濃度計TR927(マクベス社製)を用い、透過方式で光学濃度(O.D)を測定して求めた。この値が大きい程、隠蔽性が高い。
(9)面光源輝度
図1の構成と同様にして、厚み2mmのアクリル板に網点印刷を施したものを用意し、該アクリル板の網点印刷側に本発明の白色積層ポリエステルフィルムを、反対側に拡散板として半透明シートを重ね合わせてセットした。次に、端面の片側より6Wの蛍光管にて照明し、拡散板側よりデジタル光度計J16と輝度測定用プローブJ6503(いずれも、テクトロニクス社製)を用いて輝度(単位:cd/m2)を測定し、画面の輝度を得た。なお、該測定は光度計に取付た輝度測定用プローブの受光子部分を拡散板に垂直に押し当てて測定した。また、平均の取り方としては、9カ所の定点上を3回測定し、該3回の測定値の平均を取った後、各9カ所での測定値の平均を取って面光源輝度とした。面光源輝度の値が高いほど、白色積層ポリエステルフィルムが反射板として優れていることを表す。
【0054】
【実施例】
本発明を以下の実施例、比較例を用いて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0055】
実施例1
押出機(A)、押出機(B)、押出機(C)を有する複合製膜装置において、白色ポリエステル層(A)を形成するため、ポリエチレンテレフタレート(以降、PETと省略する)チップに平均粒子径1μmの炭酸カルシウム微粒子(屈折率na=1.6)を14重量%(Wa=14重量%)含有せしめた原料を180℃で3時間真空乾燥した後、押出機(A)に供給し、常法により285℃で溶融してTダイ複合口金に導入した。
【0056】
一方、白色ポリエステル層(B)を形成するため、上記PETチップにポリメチルペンテン(以降、PMPと省略する)を10重量%、さらに分散剤として分子量4000のポリエチレングリコール(以降、PEGと省略する)を1重量%含有せしめた原料を180℃で3時間真空乾燥した後に、押出機(B)に供給し、常法により285℃で溶融して同様にTダイ複合口金に導入した。
【0057】
さらに、白色ポリエステル層(C)を形成するため、上記PETチップに平均粒子径0.2μmのアナターゼ型酸化チタン微粒子(屈折率nc=2.52)を17重量%(Wc=17重量%)含有せしめた原料を180℃で3時間乾燥した後、押出機(A)に供給し、常法により285℃で溶融してTダイ複合口金に導入し、最終的に該口金内で白色ポリエステル層(B)の片面に白色ポリエステル層(BA)、反対面に白色ポリエステル層(C)が積層(A/B/C)されるよう合流せしめた後、シート状に押出して溶融積層シートとした。次いで、該溶融積層シートを表面温度25℃に保たれた冷却ドラム上に静電荷法で密着冷却固化させ未延伸積層フィルムを得た。続いて、該未延伸積層フィルムを常法に従い98℃に加熱されたロール群を用いて長手方向に3.2倍延伸し、25℃のロール群で冷却した。さらに該延伸フィルムをテンターに導き125℃に加熱された雰囲気中で長手方向に垂直な方向に3.4倍延伸した。その後テンター内で220℃の熱固定を行い均一に徐冷後巻き取り、白色ポリエステル層(A)が5μm(Ta=5μm)、白色ポリエステル層(B)が85μm、白色ポリエステル層(C)が10μm(Tc=10μm)の構成とした、厚み100μmの白色積層ポリエステルフィルムを得た。また、各押出機(A)、(B)、(C)にPETチップのみを供給して該白色積層ポリエステルフィルムと同様の条件で製膜して得たPETフィルムの屈折率npは1.63であった。さらに、該白色積層ポリエステルフィルムの断面をSEMにて拡大観察することにより、白色ポリエステル層(B)の内部に微細な気泡を含有していることを確認した。この微細な気泡は、粒子状に分散せしめられたPMPを核として、その周囲に形成されていた。なお、該白色積層ポリエステルフィルムの原料組成、積層厚み、積層厚みと無機系微粒子含有量の比率、屈折率の関係などについては表1にまとめて示した。
【0058】
かくして得られたフィルムの特性は、表2のとおりであり、平均反射率が91%と反射特性に優れ、かつ光学濃度(O.D)が1.2と隠蔽性にも優れていることが分かる。また、面光源輝度も高いレベルであって、反射板として非常に優れていることが分かる。
【0059】
実施例2
実施例1の押出機(A)に供給する原料として、さらに蛍光増白剤“OB−1”(イ−ストマン社製)を0.03重量%含有せしめたこと以外は、実施例1と同一手法で白色積層ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの特性は、表2に示したとおり各特性に優れており、特に反射特性や面光源輝度に優れるものであった。
【0060】
実施例3
実施例2に基づき、押出機(C)に供給する原料のうち、酸化チタン微粒子の含有量を30重量%に増量(Wc=30重量%)したこと以外は、実施例2と同一手法で白色積層ポリエステルフィルムを得た。このフィルムは、表2に示したとおり各特性に優れ、特に隠蔽性に優れるものであった。
【0061】
実施例4
実施例2に基づき、白色ポリエステル層(C)を20μm(Tc=20μm)とし、白色ポリエステル層(B)の厚みを75μmとしたこと以外は、実施例2と同一手法で面光源反射板用白色積層ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの特性は、表2に示したとおり各特性に優れ、特に隠蔽性に優れるものであった。
【0062】
実施例5
実施例2の押出機(A)に供給する原料のうち、炭酸カルシウム微粒子を平均粒子径0.5μmの硫酸バリウム微粒子(屈折率na=1.63)に変え、その含有量を20重量%(Wa=20重量%)としたこと以外は、実施例2と同一手法で白色積層ポリエステルフィルムを得た。表2に示したとおり、このフィルムの特性は各特性に優れており、特に反射特性に優れるものであった。
【0063】
実施例6
実施例2の押出機(C)に供給する原料のうち、アナターゼ型酸化チタン微粒子を平均粒子径0.4μmの酸化亜鉛微粒子(屈折率nc=2.0)に変え、含有量を20重量%(Wc=20重量%)としたこと以外は、実施例2と同一手法で白色積層ポリエステルフィルムを得た。表2に示したとおり、このフィルムの特性は各特性に優れており、特に反射特性に優れるものであった。
【0064】
比較例1
表1に示したとおり、実施例1の押出機(A)に供給する原料のうち、炭酸カルシウム微粒子を平均粒子径0.2μmのアナターゼ型酸化チタン微粒子(屈折率na=2.52)に変えたこと以外は実施例1と同一手法で白色積層ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの特性は、表2に示したとおり、平均反射率は83%とやや低レベルであり反射特性や面光源輝度に劣るものであった。
【0065】
比較例2
表1に示したとおり、実施例1の押出機(A)に供給する原料のうち、炭酸カルシウム微粒子を平均粒子径0.2μmのアナターゼ型酸化チタン微粒子(屈折率na=2.52)に変え、押出機(C)に供給する原料のうち、アナターゼ型酸化チタン微粒子を平均粒子径1μmの炭酸カルシウム微粒子(屈折率nc=1.6)に変えたこと以外は実施例1と同一手法で白色積層ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの特性は、表2に示したとおり、平均反射率は83%とやや低レベルであり反射特性や面光源輝度に劣るものであった。
【0066】
比較例3
実施例1の押出機(B)、押出機(C)に供給する原料を、いずれもPETチップに平均粒子径0.2μmのアナターゼ型酸化チタン微粒子(屈折率=2.52)を14重量%含有せしめたものに変えたこと以外は、実施例1と同一手法で白色積層ポリエステルフィルムを得た。SEM断面観察より、この白色積層ポリエステルフィルムは、実施例1の白色ポリエステル層(B)に相当する部分に微細な気泡は含有されておらず、実質的に白色ポリエステル層(A)と白色ポリエステル層(C)の2層積層構成であることを確認した(屈折率nc=2.52)。また、その特性は、表2に示したとおり、平均反射率が80%と低レベルであり反射特性や面光源輝度に劣るものであった。
【0067】
比較例4
実施例1の押出機(A)、押出機(B)、押出機(C)に供給する原料を、いずれもPETチップに平均粒子径1μmの炭酸カルシウム微粒子(屈折率=1.6)を2.5重量%、平均粒子径0.2μmのアナターゼ型酸化チタン(屈折率=2.52)を2.5重量%、PMPを10重量%、PEGを1重量%含有せしめたものに変え、全厚みを100μmとなるようにしたこと以外は、実施例1と同一手法で白色ポリエステルフィルムを得た。SEM断面観察より、このフィルム内部には微細な気泡が含有せしめられているものの、実質的に1層の単膜フィルムであることを確認した。また、その特性は、表2に示したとおり、反射特性や隠蔽性は良好であるものの、製膜中にフィルム破れが発生しやすく、さらに製膜装置のドラムやロール部分が次第に汚れてくるなど、製膜性に劣るものであった。
【0068】
【表1】
Figure 0004576687
【0069】
【表2】
Figure 0004576687
【0070】
【発明の効果】
本発明の面光源反射部材用白色積層ポリエステルフィルムは、微細な気泡を含有する白色ポリエステル層(B)の片面に少なくとも無機系微粒子(a)を含有する白色ポリエステル層(A)が積層され、かつ、反対面に少なくとも無機系微粒子(c)を含有する白色ポリエステル層(C)が積層されて成る白色積層ポリエステルフィルムであって、無機系微粒子(a)、無機系微粒子(c)、およびポリエステルの各々の屈折率が前記した関係式(1)および(2)を満足することから、反射特性、隠蔽性などに優れており、液晶画面を照明する面光源内の反射板やリフレクターとして用いた時、液晶画面を明るく照らして液晶画像をより鮮明にかつ見やすくできると共に、照明光源からの光の伝達ロスなく、非常に効率よく液晶画面を照明させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】反射板を組み込んだサイドライト方式面光源の装置構造の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
11 反射板
12 リフレクター
13 液晶画面
14 拡散板
15 透明導光板(透明性基材)
16 網点印刷
17 冷陰極線管

Claims (10)

  1. 微細な気泡を含有する白色ポリエステル層(B)の片面に少なくとも無機系微粒子(a)を含有する白色ポリエステル層(A)が積層され、かつ、反対面に少なくとも無機系微粒子(c)を含有する白色ポリエステル層(C)が積層されて成る白色積層ポリエステルフィルムであって、無機系微粒子(a)、無機系微粒子(c)およびポリエステルの各々の屈折率(それぞれ、na,nc,npとする)が以下の関係式(1)〜(3)を満足し、前記微細な気泡が、気泡部分の断面積の平均値が1〜25μm の範囲内にある気泡であることを特徴とする面光源反射部材用白色積層ポリエステルフィルム。
    (1)nc−na>0.2
    (2)nc−np>0.2
    (3)−0.3≦n a −n p ≦0.2
  2. 白色ポリエステル層(A)側から測定した、400〜700nmの平均反射率が85%以上であることを特徴とする請求項1に記載の面光源反射部材用白色積層ポリエステルフィルム。
  3. 厚み100μm換算での透過方式の光学濃度が0.6以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の面光源反射部材用白色積層ポリエステルフィルム。
  4. 白色ポリエステル層(A)中の無機系微粒子(a)の含有量Wa、及び、白色ポリエステル層(C)中の無機系微粒子(c)の含有量Wcが1〜40重量%であることを特徴とする請求項1〜請求項のいずれかに記載の面光源反射部材用白色積層ポリエステルフィルム。
  5. 無機系微粒子(a)の含有量Waに対する無機系微粒子(c)の含有量Wcの比率(Wc/Wa)が0.5〜10であることを特徴とする請求項1〜請求項のいずれかに記載の面光源反射部材用白色積層ポリエステルフィルム。
  6. 白色ポリエステル層(A)の厚みTaに対する白色ポリエステル層(C)の厚みTcの比率(Tc/Ta)が0.5〜10であることを特徴とする請求項1〜請求項のいずれかに記載の面光源反射部材用白色積層ポリエステルフィルム。
  7. 少なくとも白色ポリエステル層(A)が、さらに蛍光増白剤を含有することを特徴とする請求項1〜請求項のいずれかに記載の面光源反射部材用白色積層ポリエステルフィルム。
  8. 白色ポリエステル層(B)が、ポリエステルに対し非相溶性の熱可塑性樹脂を含有して成ることを特徴とする請求項1〜請求項のいずれかに記載の面光源反射部材用白色積層ポリエステルフィルム。
  9. ポリエステルに対し非相溶性の熱可塑性樹脂がポリオレフィン樹脂であることを特徴とする請求項に記載の面光源反射部材用白色積層ポリエステルフィルム。
  10. 面光源反射部材として用いられる際、白色ポリエステル層(A)表面が光反射面となることを特徴とする請求項1〜請求項のいずれかに記載の面光源反射部材用白色積層ポリエステルフィルム。
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