JP4574897B2 - 色素増感型太陽電池およびその作製方法 - Google Patents

色素増感型太陽電池およびその作製方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、色素増感型太陽電池およびその作製方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、増感色素として、異なる最大光吸収波長を有する少なくとも2種の色素が互いに化学吸着結合した複合体色素を吸着した多孔性半導体層を備えた、2つの発色系、すなわち広い光吸収波長領域を有する色素増感型太陽電池およびその作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
色素増感型太陽電池(以下、「太陽電池」と称する)は、有機系太陽電池の中で高変換効率を示すため、広く注目されている。太陽電池は、半導体電極と対極との間に狭持されたキャリア輸送層から構成され、半導体電極に光が照射されると、この電極側で電子が励起され、励起された電子が電気回路を通って対極に移動し、対極に移動した電子がキャリア輸送層中をイオンとして移動して半導体電極に戻り、このようなサイクルが繰り返されることにより電気エネルギーが取り出されるものである。
【0003】
具体的には、太陽電池は次のような手順により作製される。
まず、透明支持体の表面に形成した透明導電体上に、酸化チタンなどの多孔性半導体層(半導体電極)を形成し、その多孔性半導体層に増感色素を吸着させる。他方、対極に白金などの触媒をコーティングし、多孔性半導体層と白金を対面するように透明支持体と対極を重ね合わせ、その間にキャリア輸送層として電解液を注入し、透明支持体と対極の側面をエポキシ樹脂などで封止する。
【0004】
このような太陽電池の光電変換材料として用いられる半導体電極としては、可視光領域に吸収をもつ分光増感色素を表面に吸着させた多孔性半導体が用いられている。そのような太陽電池としては、例えば、遷移金属錯体からなる分光増感色素を半導体表面に吸着させた金属酸化物半導体を用いた太陽電池が挙げられる(特許第2664194号)。しかし、このような太陽電池は、単一の増感色素を用いるために、光電交換に作用する色素の吸収波長領域が狭くなり、シリコン系太陽電池と比較して光電交換効率が低い。
【0005】
特開2000−195569号公報には、少なくとも2種の異なった色素からなる色素層を用いて、光吸収波長領域を有効に利用した太陽電池が記載されている。この色素層には、例えば、下記の式(1)および式(2)で表わされる色素を使用している。
【0006】
【化1】
Figure 0004574897
【0007】
具体的には、このような太陽電池は、所定の極性に帯電した第1の色素を含む溶液に多孔性半導体層を接触させて、前記第1の色素を吸着させる工程と、前記第1の色素とは逆極性に帯電した第2の色素を含む溶液に第1の色素を接触させて、第1の色素に第2の色素を吸着させる工程により形成される。より具体的には、酸化チタン半導体層を式(1)の色素を含むアセトニトリル溶媒中に浸漬し、余分の色素をアセトニトリルで洗浄して、酸化チタン半導体層に式(1)の色素を吸着させる。次いで、式(2)の色素を含む溶媒中に酸化チタン半導体層を浸漬し、余分の色素を前記溶媒で洗浄して、式(1)の色素に式(2)の色素を吸着させることにより、2つの異なった色素からなる色素層を酸化チタン半導体層の表面に形成している。しかし、これらの色素は互いに化学結合していない。
このような太陽電池では、異なる色素間に静電引力が生じるので、2つの色素の積層構造が容易に形成され、剥離などの問題を防止することができるが、色素間にエネルギー障壁が生じるので、太陽電池の抵抗が高くなるという問題がある。
【0008】
特開2000−268892号公報にも、少なくとも2種の異なった色素からなる色素層を用いて、光吸収波長領域を有効に利用した太陽電池が記載されている。具体的には、このような太陽電池は、各色素について吸着用の溶液を調製し、これらを用いて各色素を順番に多孔性半導体層に吸着させるか、あるいは使用するすべての色素を含む混合色素の吸着用の溶液を用いて混合色素を多孔性半導体層に吸着させることにより形成される。しかし、多数の色素を同時に吸着させる場合、各色素の吸着速度が異なるために、所定量の色素を吸着させることが困難である。また、これらの色素は互いに化学結合していない。
【0009】
また、特開2000−243466号公報には、異なる吸収波長を有する色素を担持した複数の半導体層を有する太陽電池(光電交換素子)が記載されている。太陽電池の作製を行う場合、酸化物半導体粒子に色素を吸着させ、乾燥させた後、アルコールに溶解したバインダーと混合しペースト化したものを使用して成膜・乾燥させる工程を繰り返すことにより、それぞれの色素を吸着させた酸化物半導体層を形成させている。このような作製方法では、燒結工程が行えないため、酸化物半導体粒子間の接触が悪く、抵抗が大きくなり高性能な太陽電池の作製は不可能である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、広い光吸収波長領域と高い光電交換効率を有する太陽電池を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、太陽電池が、異なる最大光吸収波長を有する少なくとも2種の色素が互いに化学吸着結合した複合体色素を吸着した多孔性半導体層を備えることにより、広い光吸収波長領域と高い光電交換効率を有する太陽電池が提供できることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0012】
かくして、本発明によれば、透明基板の表面に形成された透明導電膜と導電性基板との間に、色素が吸着された多孔性半導体層とキャリア輸送層とを有する色素増感型太陽電池において、色素が、異なる最大光吸収波長を有する少なくとも2種の色素が互いに化学吸着結合した複合体色素であることを特徴とする色素増感型太陽電池が提供される。
【0013】
また、本発明によれば、透明基板の表面に形成された透明導電膜と導電性基板との間に、色素が吸着された多孔性半導体層とキャリア輸送層とを有する色素増感型太陽電池の作製方法において、
(1)多孔性半導体層を形成した基板を最大感度波長領域が短い第1色素を溶解した溶液に浸漬して、第1色素を多孔性半導体層に吸着させるか、あるいは
透明導電膜を形成した基板を多孔性半導体層となる半導体材料と第1色素との混合溶液に浸漬し、電気化学反応により第1色素が吸着された多孔性半導体層を透明導電膜上に形成し、
次いで、第1色素が吸着された多孔性半導体層を最大感度波長領域が長い第2色素を溶解した溶液に浸漬し、第1色素と第2色素とを化学反応(化学吸着結合)させて、複合体色素を形成することを特徴とする色素増感型太陽電池の作製方法、および
(2)最大感度波長領域が短い第1色素と最大感度波長領域が長い第2色素とを化学反応(化学吸着結合)させて、複合体色素を調製し、
次いで、多孔性半導体層を形成した基板を複合体色素を溶解した溶液に浸漬して、複合体色素を多孔性半導体層に吸着させることを特徴とする色素増感型太陽電池の作製方法
が提供される。
【0014】
本発明において、「最大感度波長領域」とは、色素の光吸収スペクトルのうち、最大の吸収感度を示すピーク波長(最大光吸収波長)において、ピーク波長を中心として吸収感度がピーク波長の−20%となる波長の領域、もしくはピーク波長を中心とする50nm幅の波長領域を意味する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の太陽電池は、透明基板の表面に形成された透明導電膜と導電性基板との間に、色素が吸着された多孔性半導体層とキャリア輸送層とを有する色素増感型太陽電池において、色素が、異なる最大光吸収波長を有する少なくとも2種の色素が互いに化学吸着結合した複合体色素であることを特徴とする。
【0016】
色素は、元来、染料および一部の顔料のように可視光を吸収するものとされていたが、近年、このような色素の概念が拡大され、紫外から赤外領域の光を吸収するものとされている。このような色素としては、例えば、CD−R色素、レーザー用色素、EL発光体などの機能性色素などが挙げられる(例えば、大河原、松岡等著「機能性色素」、株式会社講談社、1992年3月発行を参照)。また、天然色素以外の合成色素のほとんどは有機色素であり、π電子共役系(発色系)を有し、これらの発色系は一般的に電子供与基(ドナー)、電子吸引基(アクセプター)を有している。色素固有の発色系、すなわちπ電子共役系の長さ、電子供与基と電子吸引基の数や位置によって、その色素の光吸収波長が決まる。典型的な発色系としては、アゾ系、アントラキノン系、トリフェニルアミン系、フタロシアニン系、インジゴ系などが挙げられる。
【0017】
本発明において用いられる色素は、異なる最大光吸収波長を有する少なくとも2種の色素が互いに化学吸着結合した複合体色素からなり、これらが多孔性半導体層に吸着されている。
本発明の太陽電池では、異なる最大光吸収波長、すなわち発色系を有する、少なくとも2種の色素がπ電子共役ではなく化学吸着により結合する会合体(複合体色素)を形成しているので、各色素の発色系が持続され、広い光吸収波長領域を実現できる。このように、本発明において「化学吸着結合」とは、色素同士が通常の化学結合によらないで、2種以上の化合物が1つの行動単位となる会合体を形成することを意味する。
少なくとも2種の色素同士の化学吸着作用が強い場合には、色素は、第3の光吸収領域となる会合体構造を形成し、太陽電池としての光吸収領域が広くなるので好ましい。
【0018】
各色素が化学吸着により結合する複合体色素を形成し、この複合体色素が多孔質半導体層に強固に化学吸着するために、少なくとも2種の色素のうち、少なくとも1種は、分子中にインターロック基を有する色素(第1色素)からなり、その他の色素は、第1色素のインターロック基以外の官能基と化学吸着し得る官能基を分子中に少なくとも1つ有する色素(第2色素)からなるのが好ましい。
【0019】
第1色素のインターロック基は、色素と多孔質半導体との強固な化学吸着、すなわち励起状態の色素と多孔質半導体の導電体との電子移動を容易にする電気的結合を提供するものであり、具体的には、カルボキシル基とその誘導体(例えば、カルボキシル基の無水基−(CO)O(CO)−、カルボキシル基と水酸基との無水基−(CO)O−、アルコキシ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、スルホン酸基、エステル基、メルカプト基、ホスホニル基、アミノ基、ニトロ基などが挙げられ、これらの中でもカルボキシル基とその誘導体が好ましい。
第1色素は、このようなインターロック基を含む、同一または異種の複数の官能基を有してもよい。
【0020】
このようなインターロック基を有する第1色素としては、例えば、ルテニウムビピリジン系色素、アゾ系色素、キノン系色素、キノンイミン系色素、キナクリドン系色素、スクアリリウム系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、ポリフィリン系色素、フタロシアニン系色素、ベリレン系色素、インジゴ系色素、ナフタロシアニン系色素などが挙げられる。
【0021】
第2色素は、第1色素のインターロック基ではない官能基と化学吸着結合し得る官能基(例えば、水酸基、アミノ基などが好ましい)を分子中に少なくとも1つ有する。このような第2色素としては、下記式で表わされる色素が挙げられる。
【0022】
【化2】
Figure 0004574897
【0023】
【化3】
Figure 0004574897
【0024】
【化4】
Figure 0004574897
【0025】
以上のことから、少なくとも2種の色素は、カルボキシル基および/またはその誘導体を有する色素(第1色素)と、水酸基および/またはアミノ基を有する色素(第2色素)とからなるのが好ましい。
【0026】
本発明の太陽電池において多孔性半導体層に吸着させる色素として、発色系が異なる色素を3種以上用いる場合には、第2色素には少なくとも2つ以上の官能基が必要となる。すなわち、本発明の太陽電池においては色素が多孔性半導体層に順次、化学吸着するような形態となるが、3種以上の色素の場合には、次のような構成となる。
【0027】
(1)直接、多孔性半導体層に吸着する、分子中にインターロック基を有する第1色素
(2)色素と色素とに挟持されて、両端を色素と化学吸着結合し得る、少なくとも2つ以上の官能基(インターロック基を含む)を分子中に有する第2色素
(3)多孔性半導体層からみて末端に吸着する、上記(2)の第2色素のインターロック基ではない官能基と化学吸着結合し得る官能基を分子中に少なくとも1つ有する第2色素(実施例では「第3色素」ともいう)
【0028】
本発明の太陽電池では、少なくとも2種の色素が多孔性半導体層に順次、化学吸着し、かつ色素同士が化学吸着結合する形態となるが、太陽電池が効率よく光を吸収し、光電変換するためには、最大感度波長領域が短い色素から長い色素の順に、多孔性半導体層に化学吸着するのが好ましい。このような構成にすることにより、最大感度波長領域が長波長側にある色素で吸収できなかった光を、最大感度波長領域が短波長側にある色素で吸収できる。
【0029】
上記の点から、少なくとも2種の色素は、400nm以上600nm未満の波長領域に最大光吸収波長を有する色素と、600nm以上1000nm以下の波長領域に最大光吸収波長を有する色素とからなるのが好ましい。
また、それぞれの色素のエネルギー順位(LUMO、HOMO順位)が、多孔性半導体層に化学吸着している順に高くなっていることが好ましい。
【0030】
多孔性半導体上に光増感剤として機能する色素を吸着させる方法としては、例えば、次の方法が挙げられる。
(1)多孔性半導体層を形成した基板を最大感度波長領域が短い第1色素を溶解した溶液に浸漬して、第1色素を多孔性半導体層に吸着させるか、あるいは
透明導電膜を形成した基板を多孔性半導体層となる半導体材料と第1色素との混合溶液に浸漬し、電気化学反応により第1色素が吸着された多孔性半導体層を透明導電膜上に形成し、
次いで、第1色素が吸着された多孔性半導体層を最大感度波長領域が長い第2色素を溶解した溶液に浸漬し、第1色素と第2色素とを化学反応させて、複合体色素を形成することを特徴とする色素増感型太陽電池の作製方法、および
(2)最大感度波長領域が短い第1色素と最大感度波長領域が長い第2色素とを化学反応させて、複合体色素を調製し、
次いで、多孔性半導体層を形成した基板を複合体色素を溶解した溶液に浸漬して、複合体色素を多孔性半導体層に吸着させることを特徴とする色素増感型太陽電池の作製方法
【0031】
方法(1)において、第1色素を多孔性半導体層に吸着させる方法としては、例えば、基板上に形成された多孔性半導体層を、第1色素を溶解した溶液に浸漬する方法が挙げられる。
【0032】
第1色素を溶解する溶剤は、色素を溶解するものであれば特に限定されず、例えば、エタノールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトニトリルなどの窒素化合物類、クロロホルムなどのハロゲン化脂肪族炭化水素、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼンなどの芳香族炭化水素、酢酸エチルなどのエステル類、水などが挙げられる。これらの溶剤は2種以上を混合して用いることもできる。
【0033】
溶液中の色素濃度は、使用する色素および溶剤の種類により適宜調整することができるが、吸着機能を向上させるためにはできるだけ高濃度である方が好ましい。色素濃度は、例えば5×10-5モル/リットル以上であればよい。
【0034】
第1色素を溶解した溶液を多孔性半導体層に浸漬するときの条件、例えば、溶液温度、雰囲気温度および圧力は特に限定されるものではなく、例えば室温程度で、かつ大気圧下が挙げられる。浸漬時間は、使用する色素、溶剤の種類、溶液の濃度などにより適宜調整することができる。なお、浸漬を効果的に行うには、加熱下で行えばよい。これにより、多孔性半導体上に第1色素が吸着され易くなるので好ましい。また、浸漬後は公知の方法により、半導体を洗浄、乾燥すればよい。
【0035】
多孔性半導体層の形成方法については後で詳しく説明するが、第1色素を担持した多孔性半導体層を形成することにより、多孔性半導体層の形成と、多孔性半導体層への第1色素の吸着とを同時に行うこともできる。
この方法では、例えば、硝酸塩を電気化学的に還元することにより、基板上に多孔質半導体層を形成する。具体的には、硝酸塩と第1色素との混合溶液に基板を浸漬し、電気化学反応により、第1色素が担持された金属酸化物の多孔性半導体層を形成する。用いる硝酸塩により形成される金属酸化物が決定されるが、金属酸化物としては酸化亜鉛が好ましい。
【0036】
硝酸塩溶液が硝酸亜鉛水溶液である場合、その濃度は、0.01〜1モル/リットル程度が好ましく、0.1〜0.5モル/リットルが特に好ましい。また、色素の濃度としては、1×10-6〜1×10-4モル/リットルが好ましく、3×10-5〜6×10-5モル/リットルが特に好ましい。また、硝酸塩の溶媒は、水と有機溶剤の混合溶剤であってもよい。
【0037】
次に、硝酸亜鉛を用いた電気化学反応について説明する。
硝酸亜鉛水溶液と色素の混合溶液に、透明導電膜が形成された基板、対極および参照電極を浸漬し、電解電位を印加することにより、下記の反応式により透明導電膜上に酸化亜鉛が形成される。
NO3 -+H2O+2e-→NO2 -+2OH-
Zn2++2OH-→Zn(OH)2
Zn(OH)2→ZnO+H2
【0038】
電気化学反応は、電解電位−0.7〜−1.3V(vs.SCE)の範囲で行われるのが好ましい。電解電位が上記の範囲よりも高い場合には、反応が起こらず、また低い場合には、亜鉛メッキが起こるので好ましくない。
【0039】
また、電気化学反応は、反応温度0〜100℃の範囲で行われるのが好ましい。反応温度が上記の範囲よりも高温の場合には、成長速度が速くなり基板との付着性が悪くなるので好ましくない。また、反応温度が上記の範囲よりも低温の場合には、反応が起こらないので好ましくない。
【0040】
電気化学反応の方式は、2極式および3極式のいずれであってもよく、3極式の場合に用いる参照電極としては、SCE(飽和甘コウ電極)、NHE(標準水素電極)、RHE(水素圧における可逆水素電極)、NCE(標準甘コウ電極)などが挙げられる。また、用いる対極としては、白金、亜鉛が好ましい。
【0041】
上記の反応式に示すとおり、酸化亜鉛の形成は硝酸イオンの亜硝酸イオンへの還元に伴う塩基生成によるものである。この生成過程において、溶液中に色素が混在する場合、酸化亜鉛の表面のOH基と第1色素の官能基(インターロック基)の化学吸着により、酸化亜鉛が成長すると共に第1色素分子の修飾を受ける。
ここで、第1色素の化学吸着は、酸化亜鉛の(002)面に対して優先的に起こる。この結果、酸化亜鉛は(002)面の成長が抑制され、(100)方向に成長する。このようにして、色素を担持した酸化亜鉛の多孔性半導体層の作製が可能となる。(Chem.Mater.1999,11,2657−2667参照)
【0042】
次に、第1色素と第2色素とを化学吸着結合させて、複合体色素を形成する方法としては、例えば、第1色素が化学吸着している多孔性半導体層を、第2色素を溶解した溶液に浸漬し、化学反応させる方法が挙げられる。第2色素を溶解する溶剤および色素濃度は、第1色素と同様に選択することができる。
また、それぞれの色素の化学反応工程に応じて、触媒の添加、加熱、不活性ガスの注入などを行う必要がある。触媒としては、例えばアゾジカルボン酸ジエチル、トリフェニルホスフィンなどが挙げられ、加熱処理としては、例えばアルゴンガス気流中での加熱(140〜180℃程度)が挙げられる。
このように第1色素と第2色素とを化学吸着結合させた後には、公知の方法により、多孔性半導体層を洗浄、乾燥すればよい。
なお、複数の第2色素を用いる場合には、上記の工程を繰り返せばよい。
【0043】
また、第1色素と第2色素とを中間体を介して化学吸着させてもよい。このような場合には、多孔性半導体層に第1色素を化学吸着させ、次いで第1色素に中間材料を反応させ、さらに中間材料に第2色素を反応させればよい。中間材料としては、例えば、テトラメチルエチレンジアミンなどが挙げられる。
【0044】
方法(2)において、それぞれの色素を化学反応させて、複合体色素を調製する方法としては、上記と同様の溶媒および色素濃度で、触媒(例えば、アゾジカルボン酸ジエチル、トリフェニルホスフィンなどなど)を用いて第1色素と第2色素とを化学反応させて複合体色素を調製し、次いで、複合体色素の第1色素のインターロック基を介して多孔性半導体層に吸着させる方法が挙げられる。その条件は、色素を順次、化学吸着させる場合と同様である。
このように半導体層に複合体色素を吸着させた後には、公知の方法により、半導体層を洗浄、乾燥すればよい。
【0045】
上記の方法(1)および(2)の変形例として、発色系が異なる3種以上の色素(第1色素と2種の第2色素)を用いる場合には、まず第1色素を半導体層に吸着させ、次いで予め2種の第2色素を化学反応させて複合体色素を調製しておき、この複合体色素を溶解した溶液に、第1色素が吸着された半導体層を浸漬して、第1色素と2種の第2色素からなる複合体色素とを化学反応させて、第1色素と2種の第2色素とからなる複合体色素を形成してもよい。
【0046】
次に、本発明の太陽電池における他の構成要素について説明する。
本発明の太陽電池は、光増感剤として使用する色素に特徴を有するものであり、他の構成要素は、公知の材料および形態のものを用いることができ、特に限定されない。
【0047】
多孔性半導体層を構成する材料としては、先に説明した酸化亜鉛の他に、例えば、酸化チタン、酸化タングステン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、硫化カドミウムなどの公知の半導体が挙げられる。これらの材料は2種以上を混合して用いることもできる。これらの中でも、変換効率、安定性、安全性の点から酸化亜鉛および酸化チタンが特に好ましい。酸化チタンとしては、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、無定形酸化チタン、メタチタン酸、オルソチタン酸などの種々の酸化チタン、含酸化チタン複合体などが挙げられるが、これらはいずれであってもよい。
【0048】
多孔性半導体は、粒子状、膜状など種々の形態のものを用いることができるが、基板上に形成された膜状の多孔性半導体(多孔性半導体層)が好ましい。
多孔性半導体層を形成する場合の基板としては、例えば、ガラス基板、プラスチック基板などが挙げられ、中でも透明性の高い基板(透明基板)が特に好ましい。この基板上には、公知の方法でSnO2などの透明導電膜が形成される。
【0049】
多孔性半導体層を基板上に形成する方法としては、公知の種々の方法を使用することができる。具体的には、▲1▼基板上に半導体粒子を含有する懸濁液を塗布し、乾燥・焼成する方法、▲2▼基板上に所望の原料ガスを用いたCVD法またはMOCVD法などにより半導体膜を形成する方法、▲3▼原料固体を用いたPVD法、蒸着法、スパッタリング法またはゾル−ゲル法などにより半導体膜を形成する方法、および▲4▼電気化学的な酸化還元反応により半導体膜を形成する方法などが挙げられる。
【0050】
前記の多孔性半導体層の形成方法▲1▼における乾燥・焼成は、使用する基板や半導体粒子の種類により、温度、時間、雰囲気の条件などを適宜調整して行われる。例えば、大気下または不活性ガス雰囲気下、50〜800℃程度の範囲内で、10秒〜12時間程度行うことができる。この乾燥および焼成は、単一の温度で1回または温度を変化させて2回以上行うことができる。
【0051】
多孔性半導体層の膜厚は、特に限定されるものではないが、透過性、変換効率などの観点より、0.5〜20μm程度が好ましい。また、変換効率を向上させるためには、多孔性半導体層に後述する色素をより多く化学吸着させることが必要である。このために、多孔性半導体層は比表面積の大きなものが好ましく、具体的には、10〜200m2/g程度が好ましい。
【0052】
半導体粒子としては、市販されているもののうち適当な平均粒径、例えば1〜500nm程度の平均粒径を有する単一または化合物半導体の粒子などが挙げられる。
また、この半導体粒子を懸濁するために使用される溶媒は、エチレングリコールモノメチルエテール、ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのグライム系溶媒、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒、イソプロピルアルコール/トルエンなどの混合溶媒、水などが挙げられる。
【0053】
キャリア輸送層は、電解液とそれに含まれる電解質とからなる。
電解液は、一般に電池や太陽電池などにおいて使用することができるものであれば特に限定されない。さらに電解液中の電解質は酸化還元性のものがよく、これも一般に電池や太陽電池などにおいて使用することができる電解質であれば特に限定されない。具体的には、LiI、NaI、KI、CaI2などの金属ヨウ化物とヨウ素の組み合わせおよびLiBr、NaBr、KBr、CaBr2などの金属臭化物と臭素の組み合わせが好ましく、この中でも、LiIとヨウ素の組み合わせが好ましい。
【0054】
電解質濃度としては、0.1〜1.5モル/リットルの範囲が挙げられるが、この中で、0.1〜0.7モル/リットルが好ましい。また、電解質の溶媒としては、プロピレンカーボネートなどのカーボネート化合物、アセトニトリルなどのニトリル化合物、エタノールなどのアルコール類、その他、水や非プロトン極性物質などが挙げられるが、その中でも、カーボネート化合物やニトリル化合物が好ましい。
【0055】
電極として使用することができる透明導電体は、特に限定されるものではないが、例えばITO、SnO2などの透明導電膜が好ましい。これらの電極の作製方法および膜厚などは、適宜選択することができる。
【0056】
【実施例】
本発明を実施例および比較例によりさらに具体的に説明するが、これらの実施例により本発明が限定されるものではない。
【0057】
(実施例1)
本発明の実施例1を図1に基づいて説明する。
図1は、本発明の太陽電池の層構成を示す要部の概略断面図である。1は透明支持体(透明基板)、2は透明導電膜、3は多孔性半導体層、4は酸化還元性電解液(キャリア輸送層)、5は対極、6は白金膜、7は封止剤を示す。5と6を合わせて、導電性基板ともいう。
【0058】
まず、多孔性半導体層としての酸化チタン膜3を作製する塗液を調製した。すなわち、市販の酸化チタン粒子(テイカ株式会社社製、商品名:AMT-600、アナターゼ型結晶、平均粒径30nm、比表面積50m2/g)4.0gとジエチレングリコールモノメチルエーテル20mlとを、ガラスビーズを使用し、ペイントシェイカーで6時間分散処理して、酸化チタン懸濁液を調製した。
【0059】
透明支持体1としてのガラス基板上に、透明導電膜2としてSnO2膜を形成した。次いで、透明基板1の透明導電膜2側に、調製した酸化チタン懸濁液をドクターブレードで塗布し、膜厚10μm程度、面積10mm×10mm程度の塗膜を得た。塗膜を100℃で30分間予備乾燥し、さらに酸素雰囲気下、460℃で40分間焼成し、多孔性半導体層3として、膜厚8μm程度の酸化チタン膜を得た。
【0060】
次に、第1色素として、下式(15)で表されるルテニウム色素(Solaronix社製、商品名:Ruthenium535、λmax=535nm)を無水エタノールに溶解して、色素濃度4×10-4モル/リットルの第1色素の吸着用色素溶液を調製した。透明導電膜2と多孔性半導体層3とを具備した透明支持体1を、調製した第1色素の吸着用色素溶液に約30分間浸漬させて、多孔性半導体層3に第1色素を化学吸着させた。その後、透明支持体1を無水エタノールで数回洗浄し、約60℃で約20分間乾燥させた。
【0061】
【化5】
Figure 0004574897
【0062】
次に、第2色素として、式(6)で表されるユウロピウム色素(ADS(American Dye Source Inc.)社製、商品名:ADS052RE、λmax=612nm)を無水エタノールに溶解して、色素濃度2×10-4モル/リットルの第2色素の吸着用色素溶液を調製した。第1色素を化学吸着させた透明支持体1と活性化した4Åモレキュラーシーブ0.2gを、調製した第2色素の吸着用色素溶液に入れ、アルゴン気流中、150℃で約120分間保持することにより、第1色素と第2色素を化学吸着結合させた。その後、透明支持体1をジクロロメタンで数回洗浄し、さらに超音波洗浄し、溶媒を乾燥させた。
【0063】
その後、透明支持体1を無水エタノールで数回洗浄し、約60℃で約20分間乾燥させた。洗浄に用いた無水エタノールが着色しなかったことから、第1色素と第2色素が化学的に吸着結合したことが確認できた。また、第2色素を化学吸着させる前後でIR測定を行った結果、吸着前には3480cm-1に−NH2基を示すピークが得られたが、吸着後には3440cm-1に新しいピークが現われた。
【0064】
次に、酸化還元性電解液4を調製した。すなわち、ヨウ化リチウムが濃度0.5モル/リットルになるように、かつヨウ素が濃度0.05モル/リットルになるように、アセトニトリルとエチレンカーボネートの混合溶媒(体積比=1:4)に、ヨウ化リチウムとヨウ素を溶解した。
【0065】
その後、第1色素と第2色素を化学吸着させた多孔性半導体層3を具備した透明性支持体1の多孔性半導体層3側と、白金膜6を具備した対極5としてのITOガラスの白金膜6側とが対向するように設置し、その間に調製した酸化還元性電解液4を注入し、周囲をエポキシ系樹脂の封止剤7で封止して、太陽電池を完成した。
得られた太陽電池を測定条件:AM−1.5(100mW/cm2)で評価したところ、変換効率が8.5%であった。
【0066】
(比較例1)
第2色素として、ユウロピウム色素の代わりに、下式(16)で表されるフタロシアニン色素(Syntec社製、商品名:ST10/13、λmax=658nm)を用いる以外は、実施例1と同様にして太陽電池を作製し、評価した。
第1色素と第2色素を吸着させた後、透明支持体1を無水エタノールで数回洗浄し、約60℃で約20分間乾燥させた。洗浄に用いた無水エタノールが着色したことから、第2色素が化学的に吸着されていないことが確認できた。
得られた太陽電池の変換効率は7.0%であった。これは、第1色素のみを化学吸着させて作製した太陽電池の変換効率7.0%と同等レベルである。
【0067】
【化6】
Figure 0004574897
【0068】
(実施例2)
実施例2では、第1色素と第2色素とを化学吸着結合させた複合体色素を、多孔性半導体層に吸着させることにより、太陽電池を作製した。第1色素として、式(15)で表されるルテニウム色素を使用し、第2色素として、式(5)で表されるシアニン色素(ADS社製、商品名:ADS820H0、λmax=818nm)を使用した。
【0069】
等モルの第1色素とアゾジカルボン酸ジエチルとをエーテルに溶解して、色素濃度1×10-4モル/リットルの第1色素の色素溶液を調製した。また、等モルの第2色素とトリフェニルホスフィンとをエーテルに溶解して、色素濃度1×10-4モル/リットルの第2色素の色素溶液を調製した。次いで、調製した第1色素の色素溶液に、同じく調製した第2色素の色素溶液を室温で滴下することにより、第1色素と第2色素とを化学吸着結合させた。その後、トリフェニルスルフィンオキシド等の沈殿物を濾別し、複合体色素溶液を得た。
【0070】
透明導電膜2と多孔性半導体層3とを具備した透明支持体1を、調製した複合体色素溶液に約30分間浸漬させて、多孔性半導体層3に複合体色素を化学吸着させた。その後、透明支持体1を無水エタノールで数回洗浄し、約60℃で約20分間乾燥させた。
以降の工程については実施例1と同様にして、太陽電池を作製し、評価した。
得られた太陽電池の変換効率は9.8%であった。
【0071】
(実施例3)
実施例3では、酸化亜鉛からなる多孔性半導体層の形成と同時に、電気化学的酸化還元法を用いて、第1色素を吸着させ、次いで2種の第2色素からなる複合体色素を第1色素と化学吸着結合することにより、太陽電池を作製した。
第1色素として、下式(17)で表される色素(日本化薬株式会社製、商品名:Kayanol Yellow NFG、λmax=420nm)を精製したもの、第2色素として、式(15)で表されるルテニウム色素(λmax=535nm)、他の第2色素(第3色素)として、式(14)で表される色素(ACTA PHYSICO−CHEMICA SINICA Vol.15,No.4,April,1999,p293〜298を参考に合成を行ったもの、λmax=650nm)を使用した。
【0072】
【化7】
Figure 0004574897
【0073】
まず、透明支持体1としての10mm×10mmのガラス基板上に、透明導電体2としてSnO2透明導電膜を形成した。次いで、SnO2透明導電膜にリード線を取り付け、ポテンシオスタットの作用極に接続し、その対極側には白金板対極からのリード線を接続し、参照電極として飽和甘コウ電極(SCE)7をリファレンスに接続した。これらをガラス製の非導電性容器に設置した。この容器に、第1色素を0.1モル/リットルの硝酸亜鉛水溶液に溶解した色素濃度5×10-4モル/リットルの水溶液を入れた。
【0074】
容器内を70℃に設定し、安定化電源により電解電位−0.7V(vs.SCE)を60分間印加した。この電解反応により、SnO2透明導電膜上に、第1色素を担持した、膜厚8μmの酸化亜鉛の多孔性半導体層が形成された。その後、これをエタノールで洗浄し、60℃に設定した乾燥器に15分間放置して、多孔性半導体層を乾燥させた。
【0075】
等モルの第2色素とアゾジカルボン酸ジエチルとをエーテルに溶解して、色素濃度1×10-4モル/リットルの第2色素の色素溶液を調製した。また、等モルの第3色素とトリフェニルホスフィンとをエーテルに溶解して、色素濃度1×10-4モル/リットルの第3色素の色素溶液を調製した。次いで、調製した第2色素の色素溶液に、同じく調製した第3色素の色素溶液を室温で滴下することにより、第2色素と第3色素とを化学吸着結合させた。その後、トリフェニルスルフィンオキシド等の沈殿物を濾別し、複合体色素溶液を得た。
【0076】
第1色素を吸着させた多孔性半導体層3を、調製した複合体色素溶液に約30分間浸漬させて、アルゴン気流中、150℃で約120分間保持することにより、第1色素と複合体色素を化学吸着結合させた。
以降の工程については実施例1と同様にして、太陽電池を作製し、評価した。
得られた太陽電池の変換効率は10.2%であった。
【0077】
【発明の効果】
本発明の太陽電池は、増感色素として、異なる最大光吸収波長を有する少なくとも2種の色素が互いに化学吸着結合した複合体色素を吸着した多孔性半導体層を備え、2つの発色系を有するので、従来の太陽電池に比べて、光吸収波長領域が広く、光吸収量が多く、光電交換効率の高い太陽電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の太陽電池の層構成を示す要部の概略断面図である。
【符号の説明】
1 透明支持体(透明基板)
2 透明導電膜
3 多孔性半導体層
4 酸化還元性電解液(キャリア輸送層)
5 対極
6 白金膜
7 封止剤

Claims (6)

  1. 透明基板の表面に形成された透明導電膜と導電性基板との間に、色素が吸着された多孔性半導体層とキャリア輸送層とを有する色素増感型太陽電池において、色素が、異なる最大光吸収波長を有する少なくとも2種の色素が互いに化学吸着結合した複合体色素であることを特徴とする色素増感型太陽電池。
  2. 少なくとも2種の色素が、最大感度波長領域が短い色素から長い色素の順に、多孔性半導体層に吸着されてなる請求項1に記載の色素増感型太陽電池。
  3. 少なくとも2種の色素が、400nm以上600nm未満の波長領域に最大光吸収波長を有する色素と、600nm以上1000nm以下の波長領域に最大光吸収波長を有する色素とからなる請求項1または2に記載の色素増感型太陽電池。
  4. 少なくとも2種の色素が、カルボキシル基および/またはその誘導体を有する色素と、水酸基および/またはアミノ基を有する色素とからなる請求項1〜3のいずれか1つに記載の色素増感型太陽電池。
  5. 透明基板の表面に形成された透明導電膜と導電性基板との間に、色素が吸着された多孔性半導体層とキャリア輸送層とを有する色素増感型太陽電池の作製方法において、
    多孔性半導体層を形成した基板を最大感度波長領域が短い第1色素を溶解した溶液に浸漬して、第1色素を多孔性半導体層に吸着させるか、あるいは
    透明導電膜を形成した基板を多孔性半導体層となる半導体材料と第1色素との混合溶液に浸漬し、電気化学反応により第1色素が吸着された多孔性半導体層を透明導電膜上に形成し、
    次いで、第1色素が吸着された多孔性半導体層を最大感度波長領域が長い第2色素を溶解した溶液に浸漬し、第1色素と第2色素とを化学反応させて、複合体色素を形成することを特徴とする色素増感型太陽電池の作製方法。
  6. 透明基板の表面に形成された透明導電膜と導電性基板との間に、色素が吸着された多孔性半導体層とキャリア輸送層とを有する色素増感型太陽電池の作製方法において、
    最大感度波長領域が短い第1色素と最大感度波長領域が長い第2色素とを化学反応させて、複合体色素を調製し、
    次いで、多孔性半導体層を形成した基板を複合体色素を溶解した溶液に浸漬して、複合体色素を多孔性半導体層に吸着させることを特徴とする色素増感型太陽電池の作製方法。
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