JP4573507B2 - ガスバリア性塗工剤及びこれを用いたガスバリア性フィルム - Google Patents

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Description

この発明は、ガスバリア性塗工剤及びこれを用いたガスバリア性フィルムに関する。
食品や薬品の包装分野において、内容物の品質劣化を防ぐ目的で、酸素ガスバリア性等のガスバリア性に優れている包装材料が使用されている。このようなガスバリア性フィルムとしては、ポリ塩化ビニリデンを積層したフィルム、ポリビニルアルコール系樹脂を用いたフィルム等が知られている。特に、上記ポリ塩化ビニリデンを積層したフィルムは、食品包装用として幅広く使用されている。
しかし、上記ポリ塩化ビニリデンを積層したフィルムは、近年のダイオキシンをはじめとする環境問題から、使用が控えられる傾向にある。また、上記ポリビニルアルコール系樹脂を用いたフィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂が水酸基を含有するため、高湿度下でのガスバリア性が低下する問題点を有する。
これに対し、高湿度下でのガスバリア性を向上させる方法として、ポリビニルアルコール系樹脂あるいはエチレン−ビニルアルコールコポリマーとアルコキシシランを含有する組成物を、ゾル−ゲル法によって重縮合した複合ポリマーをフィルムに塗工した例が特許文献1,2に開示されている。
特許第2556940号公報 特許第2880654号公報
しかしながら、上記の各特許文献に記載のガスバリア組成物では、組成物をフィルムに塗工する際、熱処理を行う乾燥時間が短かったり、乾燥温度が低かったりすると、高湿度下におけるガスバリア性が必ずしも十分ではなくなってしまう。このため、実生産において十分なガスバリア性を発現させようとすると、時間がかかりすぎ、生産性が低くなることがあった。
そこでこの発明は、塗工フィルムの実生産において、生産性を高め、ガスバリア性をより向上させたガスバリア性フィルムを作製する塗工剤を提供することを目的とする。
この発明は、水溶性高分子、金属アルコキシドの加水分解物及び/又はその縮合物、並びに、アルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩を含有する、ガスバリア性塗工剤によって、上記の課題を解決したのである。
この発明にかかるガスバリア性塗工剤を、基材の少なくとも片面に塗工してガスバリア性フィルムを作製すると、ガスバリア性塗工剤に含まれる水溶性高分子と、金属アルコキシドの加水分解物及び/又はその縮合物とが重縮合反応を起こすことにより、有機物と無機物とが複合した緻密な構造体を形成して一定のガスバリア性を発現させる。また、アルカリ金属塩及び又はアルカリ土類金属塩を含有しているために、さらにガスバリア性を向上させる効果もあるので、高湿度条件下でも非常に優れたガスバリア性を発現するガスバリア性フィルムを得ることができる。
この発明にかかるガスバリア性塗工剤を塗工することにより、高湿度条件下でも高いガスバリア性を有するフィルムを得ることができる。
以下、この発明について詳細に説明する。
この発明にかかるガスバリア性塗工剤は、水溶性高分子、金属アルコキシドの加水分解物及び/又はその縮合物、並びに、アルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩を含有する、ガスバリア性塗工剤である。
具体的に、上記アルカリ金属塩としては、リチウムやナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等を含有した塩が挙げられる。また、上記アルカリ土類金属塩としては、マグネシウムやカルシウム、ストロンチウム、バリウム等を含有した塩が挙げられる。これらは強酸由来の塩でも、弱酸由来の塩でも、どちらであってもよい。すなわち、上記強酸由来の塩としては、例えば、塩酸のアルカリ金属塩である塩化ナトリウムや塩化カリウム、アルカリ土類金属塩である塩化マグネシウムや塩化カルシウム、硫酸のアルカリ金属塩である硫酸ナトリウムや硫酸カリウム、硫酸のアルカリ土類金属塩である硫酸マグネシウムや硫酸カルシウム、硝酸のアルカリ金属塩である硝酸ナトリウムや硝酸カリウム、硝酸のアルカリ土類金属塩である硝酸マグネシウムや硝酸カルシウム等が挙げられる。また、上記弱酸由来の塩としては、例えば、炭酸のアルカリ金属塩である炭酸ナトリウムや炭酸カリウム、炭酸のアルカリ土類金属塩である炭酸マグネシウムや炭酸カルシウム、リン酸のアルカリ金属塩であるリン酸ナトリウムやリン酸カリウム、リン酸のアルカリ土類金属塩であるリン酸マグネシウムやリン酸カルシウム、さらには、酢酸やプロピオン酸、ブタン酸等のカルボン酸のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩が挙げられる。また、複数のアルカリ金属元素やアルカリ土類金属元素を含有する複合塩であってもよい。さらに、上記アルカリ金属塩や上記アルカリ土類金属塩は、人工又は天然由来のどちらでも構わない。これらの塩の中では、アルカリ金属塩の方が好ましく、ナトリウム塩又はカリウム塩であればより好ましい。最も好ましいのは、ナトリウム又はカリウムの塩酸塩、すなわち、塩化ナトリウム又は塩化カリウムである。
上記アルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩の添加量は、金属アルコキシドの加水分解物及び/又はその縮合物に含まれる金属元素に対して、0.05〜5mol%であるのがよく、0.1〜4mol%であれば望ましく、0.2〜3mol%であればさらに望ましい。この添加量が0.05mol%未満であったり、または、5mol%を超えてしまうと、上記ガスバリア性塗工剤を塗工したフィルムの、高湿度下におけるガスバリア性が十分なものではなくなってしまうことがある。
上記ガスバリア性塗工剤中に、架橋剤が添加されていると、塗工した際のガスバリア性が向上するので望ましい。上記架橋剤は、上記ガスバリア性塗工剤中の他の成分と架橋反応し得るものであれば特に制限されるものではない。具体的には、エポキシ基、カルボジイミド基、アルデヒド基のうち、少なくとも一種類の官能基を、分子中に少なくとも一個有する化合物が挙げられる。この中でも、カルボジイミド基を含有する化合物(以下、「特定カルボジイミド化合物」と称する。)が最も好ましい。この例としては、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド等のモノカルボジイミド化合物、ポリウレタンの技術分野において公知のジイソシアネート化合物の脱炭酸反応によって得られるポリカルボジイミド化合物等があげられる。上記のポリウレタンの技術分野において公知のジイソシアネート化合物としては、メチレンジフェニルジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレンー1,5−ジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ノルボルネン・ジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等があげられる。この中でも、特に親水性のカルボジイミド化合物が好適であり、具体例としては、日清紡(株)製:商品名 カルボジライト等があげられる。
上記の特定のカルボジイミド基を有する化合物の添加量は、特に限定されないが、水溶性高分子内の反応性基1molに対して、1×10-3〜0.05molがよく、2×10-3〜0.01molが好ましい。1×10-3molより少ないと、上記ガスバリア性塗工剤を塗工することで形成されるガスバリア性塗工層の緻密さが欠け、十分なガスバリア性が発現しにくくなる傾向がある。一方、0.05molより多いと、溶液がゲル化したり、得られるガスバリア性フィルムの性能が低下する傾向がある。
上記水溶性高分子とは、水溶性を有する高分子物質をいい、官能基として、水酸基、アミノ基、酸アミド基、チオール基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等を有するものがあげられる。この水溶性高分子の例としては、ポリビニルアルコール系重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、カルボキシメチルセルロース、 ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、アミロース、アミロペクチン、 プルラン、 カードラン、ザンタン、キチン、 キトサン、ポリアクリル酸、 ポリアクリル酸ナトリウム、 ポリベンゼンスルホン酸、 ポリベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリアクリルアミド、ゼラチン、ポリビニルピロリドン等や、これらの共重合体、変性体等の誘導体があげられる。これらの中でも、高分子中に窒素含有官能基を2個以上含有する水溶性高分子が好ましく、ポリアクリルアミドが特に好ましい。ポリアクリルアミドを用いることにより、得られるガスバリア性塗工剤を塗工する後述の基材と、この基材に上記ガスバリア性塗工剤を塗工して形成されるガスバリア性塗工層との密着性が向上し、より良好な性能が得られる。これらは、少なくとも1種が使用され、1種のみを使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
上記水溶性高分子の重量平均分子量は、特に限定されないが、500〜2000万が好ましく、5000〜1500万がより好ましい。500より小さいと、最終的に得られる塗工剤のガスバリア性が悪くなる傾向がある。一方、2000万より大きいと、水溶液とした場合の粘度が高くなりすぎる傾向がある。
上記の金属アルコキシドとは、下記の化学式(I)であらわされる化合物をいう。
1 m M(OR2 n (I)
上記式(I)において、Mは金属元素であり、ケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウム等から選ばれる少なくとも一種の金属元素であると望ましい。R1 は、水素原子又は炭素数1〜4の低級アルキル基であると望ましく、R2 は炭素数1〜4のアルキル基であると望ましい。R1 とR2 とは同一であってもよいし、違っていてもよい。また、mは0以上、nは1以上の整数で、かつ、m+nは金属元素Mの原子価と一致するものである。
上記金属アルコキシドは、その加水分解物及び/又はその縮合物を使用するので、触媒の作用で加水分解及び縮合するものであれば特に限定されない。この金属アルコキシドの例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン等のアルコキシシラン化合物、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラ−tert−ブトキシチタン、テトラ−sec−ブトキシチタン等のチタンアルコキシド化合物、テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラ−n−プロポキシジルコニウム、テトラ−n−ブトキシジルコニウム、テトラ−tert−ブトキシジルコニウム、テトラ−sec−ブトキシジルコニウム等のジルコニウムアルコキシド化合物、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリ−n−プロポキシアルミニウム、トリ−n−ブトキシアルミニウム、トリ−tert−ブトキシアルミニウム、トリ−sec−ブトキシアルミニウム等のアルミニウムアルコキシド化合物等があげられる。これらの中でも、アルコキシシラン化合物が最も好適である。これらは、少なくとも1種が使用され、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記金属アルコキシドの添加量は、上記水溶性高分子100重量部に対して、対応する金属酸化物換算で80〜1400重量部がよく、140〜1000重量部が好ましく、160〜600重量部であればより好ましい。80重量部より少ないと、十分なガスバリア性や耐熱水性が発現しにくくなる傾向にある。また、1400重量部より多いと、得られるガスバリア性塗工剤からなるガスバリア性塗工層の脆性が増し、性能が悪くなる傾向がある。
上記金属アルコキシドの加水分解反応や縮合反応を行うためには、水、加水分解反応や縮合反応を行う触媒、及び有機溶媒が用いられる。さらに、上記の水溶性高分子と金属アルコキシドの加水分解物及び/又はその縮合物の結合性をより向上するため、下記の一般式(II)で示される有機官能基及び加水分解基を有するシラン化合物(以下、「特定シラン化合物」と称する。)を添加してもよい。
3 p Si(OR4 q (II)
上記式(II)において、R3 は上記水溶性高分子と反応し得る有機官能基であるビニル基、メルカプト基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基のうち少なくとも一種類を、少なくとも一つ含有していることが望ましく、エポキシ基を含有していればより望ましい。また、R4 は炭素数1〜4のアルキル基であることが望ましい。なお、p及びqは1以上の整数であり、かつ、p+q=4の等式が成り立つ。
上記金属アルコキシドの加水分解反応及びその縮合反応、又はそれらの反応生成物と上記水溶性高分子との重縮合反応は、酸性条件、塩基性条件のいずれの条件下においても促進される。なお、上記ガスバリア性塗工剤には、ガスバリア性が劣化しない範囲内で、上記の加水分解反応及び重縮合反応を起こすための、一般に知られている触媒を添加してもよい。
酸性条件下における上記触媒となる酸触媒としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸等の鉱酸、リン酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸が挙げられる。また、塩基性条件下における上記触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の無機塩基、アンモニア、ピリジン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン等の有機塩基が挙げられる。これらの中でも、酸性条件が好ましく、塩酸が特に好ましい。さらに、これらの触媒は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。さらにまた、触媒は、加水分解反応を目的とする触媒と、重縮合反応を目的にする触媒とに分けて用いてもよい。
上記の触媒の添加量は、特に限定されず、溶液がゲル化しない範囲内で、任意の量を添加することができる。
上記有機溶媒は、上記の金属アルコキシドを溶解させ、さらに、上記水溶性高分子の水溶液と相溶するものであれば特に限定はされないが、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコールが好ましい。これらは、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記有機溶媒の添加量は、特に限定されないが、上記の金属アルコキシド100重量部に対し、2〜500重量部がよく、10〜300重量部が好ましい。2重量部より少ないと、上記の金属アルコキシドが十分に溶解せず、加水分解反応が抑制される。一方、500重量部より多いと、水溶性高分子の溶解性が低下する傾向がある。
上記ガスバリア性塗工剤のpHは、1.0〜5.0であることが望ましく、1.1〜4.5であればより望ましく、1.5〜3.5であれば最も望ましい。もし上記塗工剤のpHが5.0より高いと、すぐに溶液がゲル化して塗工不能になっていまう。一方で、pHが1.0より低いと、ガスバリア性が劣化することはないが、酸性が強すぎるために製造が困難となり、望ましくない。このようにpHが1.0〜5.0の間から外れてしまった場合は、水酸化ナトリウム等の塩基、塩酸等の酸を添加して、pHを1.0〜5.0の間に調整しなおすことが望ましい。
また、上記低級アルコールは、上記水溶性高分子が析出しない範囲内で添加することが望ましい。
次に、この発明にかかるガスバリア性塗工剤の製造方法について説明する。この発明にかかるガスバリア性塗工剤は、上記の各種原料を混合することにより製造される。このとき、上記の金属アルコキシドは、あらかじめ加水分解したものを用いてもよい。
上記ガスバリア性塗工剤の各種原料の混合順序は、特に制限されないが、金属アルコキシドを直接加える場合の一例を以下に示す。まず、上記水溶性高分子の水溶液に上記低級アルコール及び上記酸触媒を添加し、次いで、上記金属アルコキシド及び、必要に応じて上記特定シラン化合物を混合して、溶液を完全に溶解させる。次に必要に応じて、上記特定カルボジイミド化合物を加える。その次に、アルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩を添加し、さらにその他の各種添加剤を必要に応じて加えることができる。
この発明にかかるガスバリア性塗工剤を含有する塗工剤を、基材の少なくとも片面に塗工することによって、ガスバリア性フィルムを製造することができる。
上記基材としては、ガス透過性の有無に関わらず、基材としての強度を有していればよく、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、及びそれらの混合樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂からなる高分子樹脂フィルム、又はそれらの高分子樹脂フィルムの積層体があげられる。この高分子樹脂フィルムは、未延伸フィルムであってもよく、また、延伸フィルムであってもよい。
なお、上記基材の表面には、接着性を向上させるため、公知のコロナ放電処理、 火炎処理、 紫外線処理、 アンカーコート剤塗布処理などを行ってもよい。
上記塗工とは、基材表面に上記ガスバリア性塗工剤を塗工し、上記ガスバリア性塗工層を形成させる方法であれば特に限定されるものではなく、グラビアコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、ダイコーティング等の通常の塗工方法を採用することができる。なお、上記塗工は、フィルムの延伸前であっても延伸後であってもよい。
上記ガスバリア性塗工層の厚みは、乾燥後で厚み0.05〜3μmが好ましく、0.1〜2μmがより好ましい。
上記ガスバリア性塗工剤を上記基材に塗工することによって形成されるガスバリア性塗工層の乾燥は特に限定されないが、基材の融点及び軟化点以下の温度で行うことができ、架橋反応が十分に行われる温度でよい。
さらに、上記ガスバリア性塗工剤を塗工し、乾燥させた基材を、エージングすることによって、形成されたガスバリア性塗工層の架橋密度を増大させ、よりバリア性を向上させることができる。このエージングの温度や時間は、特に限定されないが、20〜120℃で1〜150時間が好ましく、30〜70℃で6〜100時間がより好ましい。
上記温度が20℃より低いと、エージング時間がかかりすぎる傾向にあり、一方、120℃を超えると、基材にダメージを与える場合がある。また、上記時間が、1時間より短いと、十分に架橋密度を増大させることができない場合がある。一方、150時間を超えてもよいが、特に性能向上に与える効果はない。
上記ガスバリア性塗工剤は、例えば、溶液を加熱する等の操作によって、急激に有機物と無機物とを複合化させてしまうと、多孔質な構造となってしまい、十分な性能が得られない場合がある。このため、基材に塗工、乾燥させてから、上記エージング等の操作で徐々に反応させることによって、より緻密な構造を造ることができる。
上記ガスバリア性フィルムは、非常に緻密な構造を有するガスバリア性塗工層を有するので、高湿度条件下で十分なガスバリア性を発揮し、また、表面の平滑性及び透明性に優れる。このガスバリア性フィルムは、具体的には、23℃90%RHの高湿度条件下において、このガスバリア性フィルム1μmあたりの酸素透過度が、5cc/m2 ・day・atm以下であることが好ましく、2cc/m2 ・day・atm以下であればより好ましく、低いほどより好ましい。もし5cc/m2 ・day・atmを超えると、バリア性包装材料として実用性に欠ける。
この発明にかかるガスバリア性フィルムは、そのままガスバリア性フィルムとして使用する以外に、このガスバリア性フィルムを他のフィルム又はシートに少なくとも1層積層することにより、積層体を形成させて使用してもよい。この積層体はガスバリア性を有する積層体として使用することができる。
以下、実験例と比較例により、この発明をさらに具体的に説明する。まず、使用原料及び評価方法について下記に示す。
[使用原料]
(水溶性高分子)
・ポリアクリルアミド・・・東京化成工業(株)製:試薬(10%水溶液 重量平均分子量70万〜100万 以下、「PAM」と略す。)
・ポリビニルアルコール・・・(株)クラレ製:PVA117(平均重合度1700 以下、「PVA」と略す。)
(金属アルコキシド)
・テトラエトキシシラン・・・コルコート(株)製:エチルシリケート(以下、「TEOS」と略す。)
(特定カルボジイミド化合物)
・日清紡(株)製:カルボジライト V−02−L2(有効成分40重量% カルボジイミド当量385)
(特定シラン化合物)
・3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン・・・信越シリコーン(株)製:KBM−403
[フィルムのガスバリア性の評価方法]
酸素透過度試験機(Modern Contorol社製、OX−TRAN2/20)により、23℃、相対湿度90%RH雰囲気下における酸素透過度を測定した。フィルムのガスバリア性は、基材の種類や厚み、及び、積層させるガスバリア性塗工層の厚みにより変化するため、下記の式に従ってコート層1μmあたりの酸素透過度(Psample)(単位:cc・1μm/m2 ・day・atm)を算出した。
1/Ptotal =1/Psample+1/Pbase
total :測定結果
sample:コート層の酸素透過度
base:コート層を積層する前の基材フィルムの酸素透過度
(実験例1〜3,参考例1
水溶性高分子(PAM:実験例1・2・4、PVA:実験例3)の2重量%水溶液250g(固形分5g)を調製し、次いでこれに、エタノール75g、2N塩酸水溶液を15g、金属アルコキシドとしてTEOSを75g、特定シラン化合物としてKBM−403を7.5g、架橋剤としてV−02−L2を0.5gを順次添加し、液が均一になるまで攪拌した。その後、それぞれアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩として、塩化ナトリウム(実験例1)1mol%、塩化カリウム(実験例2)0.5mol%、硝酸カルシウム(参考例1)2mol%、塩化マグネシウム(実験例)0.5mol%添加し、攪拌した。なお、添加量の単位は金属アルコキシドであるTEOSの加水分解物及び/又はその縮合物中に含まれる金属元素に対するmol%である。
得られたガスバリア性塗工剤を、基材フィルムである延伸ポリエステルフィルム(東洋紡(株)製:E5100、厚さ12μm)のコロナ処理面に、乾燥後の厚みが1μmになるようにメイヤーバーで塗工した。その後、100℃の条件下、熱風乾燥機中で1分間、乾燥・熱処理を行い、ガスバリア性フィルムとした。得られたガスバリア性フィルムを用いて上記の試験を行った。その結果を表1に示す。
(比較例1)
アルカリ金属塩もアルカリ土類金属塩も添加しないこと以外は、実験例1と同様の手順により、ガスバリア性塗工剤を作製し、同様の手順により乾燥・熱処理した。その結果を表1に示す。
(比較例2)
実験例1において、塩化ナトリウムの代わりにジメチルベンジルアミン0.2mol%を用いる以外は、実験例1と同様の手順により、ガスバリア性塗工剤を作製し、同様の手順により乾燥・熱処理した。その結果を表1に示す。
(比較例3)
比較例2において、水溶性高分子であるPAMの代わりにPVAを用いる以外は、比較例2と同様の手順により、ガスバリア性塗工剤を作製し、同様の手順により乾燥・熱処理した。その結果を表1に示す。
Figure 0004573507

Claims (10)

  1. ポリアクリルアミド、金属アルコキシドの加水分解物及び/又はその縮合物、並びに、アルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩を含有する、ガスバリア性塗工剤。
  2. 上記アルカリ金属塩及び/又は上記アルカリ土類金属塩の含有量が、上記金属アルコキシドの加水分解物及び/又はその縮合物中に含まれる金属元素に対して、0.05〜5mol%である、請求項1に記載のガスバリア性塗工剤。
  3. 上記アルカリ金属塩が、ナトリウム及び/又はカリウムを含有する塩である、請求項1又は2に記載のガスバリア性塗工剤。
  4. 上記ガスバリア性塗工剤が、架橋剤を含有するものである、請求項1乃至のいずれかに記載のガスバリア性塗工剤。
  5. 上記架橋剤が、分子中に少なくとも1個のカルボジイミド基を有する化合物である、請求項に記載のガスバリア性塗工剤。
  6. 上記金属アルコキシドが含有する金属元素が、ケイ素、アルミニウム、チタン、及びジルコニウムから選ばれる、少なくとも一種以上の金属元素である、請求項1乃至のいずれかに記載のガスバリア性塗工剤。
  7. 上記ポリアクリルアミドと反応し得る有機官能基及び加水分解基を有するシラン化合物を含有する請求項1乃至のいずれかに記載のガスバリア性塗工剤。
  8. pHが1.0〜5.0である、請求項1乃至のいずれかに記載のガスバリア性塗工剤。
  9. 請求項1乃至のいずれかに記載のガスバリア性塗工剤を、高分子樹脂フィルム上の少なくとも片面に塗工した、ガスバリア性フィルム。
  10. 請求項に記載のガスバリア性フィルムを少なくとも1層積層した、ガスバリア性積層体。
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