JP4573408B2 - 列車非常停止装置 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は列車非常停止装置に係り、特に、ループコイル式の列車制御装置に用いられるものに関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、列車（電車）の走行する軌道（レール）に沿って布設されたループコイルから列車制御信号（ＡＴＣ信号）を受信して列車制御を行うループコイル式の列車制御装置（ＡＴＣ）において、そのループコイル上で列車を非常停止させようとする場合は、そのループコイルに、例えば、０２信号と呼ばれるような所定の停止信号が送信器から印加されるように構成されている。したがって、そのループコイルから所定の停止信号を受信した列車は、非常ブレーキが作動して非常停止される。
【０００３】
また、ＡＴＣは、上述のようにループコイルからＡＴＣ信号を受信する場合だけでなく、列車の走行するレールからＡＴＣ信号を受信する場合も、車上においてＡＴＣ信号を受信できないとき、すなわち、無信号のときは、列車は運転を続行することができないので、非常ブレーキが作動して列車が非常停止するように構成されている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のループコイル式のＡＴＣにおいては、何らかの理由で列車を非常停止させたい場合、ループコイルに送信器から所定の停止信号を印加しなければならず、列車を停止させるタイミングが遅れるおそれがあった。
【０００５】
そこで、本発明は、上記欠点を解決するためになされたものであって、その目的は、列車を非常停止させなければならない何らかの事情が発生したときに、タイムリーに列車を停止させることのできる列車非常停止装置を提供することにある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る列車非常停止装置は、上記目的を達成するために、列車の走行する軌道に沿って布設されたループコイルから所定の信号を受信して列車制御を行うとともに、そのループコイルから信号を受信できないときに列車停止制御を行う列車制御装置に設けられる列車非常停止装置であって、前記ループコイルに接続されたスイッチを含んで構成され、このスイッチの閉又は開動作により、送信器からの所定の信号が印加される前記ループコイルの始端側を短絡させ、又は、そのループコイルの一部を切り離してそのループコイルを無信号状態とする無信号生成手段と、前記ループコイルの区間に張設されたワイヤを含んで構成され、このワイヤが引かれることで、前記スイッチを閉又は開動作させて前記ループコイルを無信号状態に操作する操作機構と、を有することを特徴としている。
【０００７】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図１は、一実施の形態に係る列車非常停止装置の概略構成図であって、列車イの走行する軌道（レール）ｒは、所定の長さに区分されて複数（図示の例では４個）の閉そく区間１Ｔ〜４Ｔに形成されている。
【０００８】
図中、Ｃ1 〜Ｃ4 は、各閉そく区間１Ｔ〜４Ｔにそれぞれ対応し、かつ、軌道ｒに沿ってそれぞれ布設されたループコイルである。そして、各ループコイルＣ1 〜Ｃ4 の始端側には、ＡＴＣ信号を各ループコイルＣ1 〜Ｃ4 に印加する送信器ａ1 〜ａ4 がそれぞれ設けられている。各送信器ａ1 〜ａ4 は、同一構成であるので、送信器ａ1 について説明すると、この送信器ａ1 には、先行列車位置情報や前方線路条件情報等の所定の情報に基づいてＡＴＣ信号を生成するＡＴＣ信号生成回路ａ1 ′が設けられており、このＡＴＣ信号生成回路ａ1 ′で生成されたＡＴＣ信号は、接続トランスｔを介してループコイルＣ1 の始端側に印加されるように構成されている。
【０００９】
図中、Ｓは、本発明の無信号生成手段を構成する短絡スイッチであって、接続トランスｔの二次側に並列に、すなわち、ループコイルＣ1 のＡＴＣ信号の印加される始端側に並列に接続されている。この短絡スイッチＳは、定常状態（異常状態が発生していない状態）において開放され、一旦、ＯＮとされたときは、そのＯＮ状態を保持するように構成されている。
【００１０】
図中、Ｗは、ワイヤであって、本発明の操作機構に相当している。このワイヤＷは、ループコイルＣ1 が、例えば、駅のホームに位置するときは、そのホームに張設される。そして、このワイヤＷが、一旦、引かれると、短絡スイッチＳをＯＮとすることができるように構成されている。
【００１１】
なお、短絡スイッチＳは、必要に応じて他の送信器、例えば、ループコイルＣ3 用の送信器ａ3 等にも設けることができる。
【００１２】
上記構成の列車非常停止装置において、今、送信器ａ1 からは、ループコイルＣ1 に対して列車イに対して所定の列車速度で通過できるＡＴＣ信号が印加されているものとする。このとき、ループコイルＣ1 （閉そく区間１Ｔ）上で列車イを緊急に停止させなければならない何らかの非常事態が発生したとする。この非常事態発生により、係員等によりワイヤＷが引かれると短絡スイッチＳがＯＮとなり、ループコイルＣ1 の始端側が短絡され、送信器ａ1 からのＡＴＣ信号がループコイルＣ1 に供給されなくなって無信号となる。したがって、列車イがループコイルＣ1 にさしかかると、列車イの車上装置ｂの受電器（アンテナ）ａは、ループコイルＣ1 からＡＴＣ信号を受信できなくなるので、車上装置ｂは、列車イに搭載されている非常ブレーキを作動させて列車イを緊急停止させる。一旦、ＯＮとされた短絡スイッチＳは、非常状態が解消したときに係員によってＯＦＦ（復旧）とされる。
【００１３】
なお、短絡スイッチＳがＯＮになったことの情報を後方の送信器ａ2 ，ａ3 ，ａ4 に送信し、これら送信器ａ2 ，ａ3 ，ａ4 から列車イが閉そく区間１Ｔの手前で停止できるように制御することもできる。
【００１４】
図２は、無信号生成手段の他の例を示すもので、ループコイルＣ1 （閉そく区間１Ｔ）上で非常事態が発生したときに、ループコイルＣ1 の始端側を切離しスイッチＳ′で切離してループコイルＣ1 を無信号とする例が示されている。すなわち、この切離しスイッチＳ′は、ワイヤＷが、一旦、引かれるとＯＦＦとなり、そのＯＦＦ状態を保つように構成されている。この場合も、ループコイルＣ1 が無信号となるので、このループコイルＣ1 上で列車イを緊急に停止させることができる。
【００１５】
【発明の効果】
本発明に係る列車非常停止装置は、列車の走行する軌道に沿って布設されたループコイルから所定の信号を受信して列車制御を行うとともに、そのループコイルから信号を受信できないときに列車停止制御を行う列車制御装置に設けられる列車非常停止装置であって、前記ループコイルに接続されたスイッチを含んで構成され、このスイッチの閉又は開動作により、送信器からの所定の信号が印加される前記ループコイルの始端側を短絡させ、又は、そのループコイルの一部を切り離してそのループコイルを無信号状態とする無信号生成手段と、前記ループコイルの区間に張設されたワイヤを含んで構成され、このワイヤが引かれることで、前記スイッチを閉又は開動作させて前記ループコイルを無信号状態に操作する操作機構とからなるので、非常事態にタイムリーに対処することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施の形態に係る列車非常停止装置の概略構成図である。
【図２】無信号の他の例を示す説明図である。
【符号の説明】
ｒ 軌道（レール）
１Ｔ〜４Ｔ 閉そく区間
Ｃ1 〜Ｃ4 ループコイル
ａ1 〜ａ4 送信器
イ 列車
ｂ 車上装置
Ｓ 短絡スイッチ
Ｓ′ 切離しスイッチ
【発明の属する技術分野】
本発明は列車非常停止装置に係り、特に、ループコイル式の列車制御装置に用いられるものに関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、列車（電車）の走行する軌道（レール）に沿って布設されたループコイルから列車制御信号（ＡＴＣ信号）を受信して列車制御を行うループコイル式の列車制御装置（ＡＴＣ）において、そのループコイル上で列車を非常停止させようとする場合は、そのループコイルに、例えば、０２信号と呼ばれるような所定の停止信号が送信器から印加されるように構成されている。したがって、そのループコイルから所定の停止信号を受信した列車は、非常ブレーキが作動して非常停止される。
【０００３】
また、ＡＴＣは、上述のようにループコイルからＡＴＣ信号を受信する場合だけでなく、列車の走行するレールからＡＴＣ信号を受信する場合も、車上においてＡＴＣ信号を受信できないとき、すなわち、無信号のときは、列車は運転を続行することができないので、非常ブレーキが作動して列車が非常停止するように構成されている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のループコイル式のＡＴＣにおいては、何らかの理由で列車を非常停止させたい場合、ループコイルに送信器から所定の停止信号を印加しなければならず、列車を停止させるタイミングが遅れるおそれがあった。
【０００５】
そこで、本発明は、上記欠点を解決するためになされたものであって、その目的は、列車を非常停止させなければならない何らかの事情が発生したときに、タイムリーに列車を停止させることのできる列車非常停止装置を提供することにある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る列車非常停止装置は、上記目的を達成するために、列車の走行する軌道に沿って布設されたループコイルから所定の信号を受信して列車制御を行うとともに、そのループコイルから信号を受信できないときに列車停止制御を行う列車制御装置に設けられる列車非常停止装置であって、前記ループコイルに接続されたスイッチを含んで構成され、このスイッチの閉又は開動作により、送信器からの所定の信号が印加される前記ループコイルの始端側を短絡させ、又は、そのループコイルの一部を切り離してそのループコイルを無信号状態とする無信号生成手段と、前記ループコイルの区間に張設されたワイヤを含んで構成され、このワイヤが引かれることで、前記スイッチを閉又は開動作させて前記ループコイルを無信号状態に操作する操作機構と、を有することを特徴としている。
【０００７】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図１は、一実施の形態に係る列車非常停止装置の概略構成図であって、列車イの走行する軌道（レール）ｒは、所定の長さに区分されて複数（図示の例では４個）の閉そく区間１Ｔ〜４Ｔに形成されている。
【０００８】
図中、Ｃ1 〜Ｃ4 は、各閉そく区間１Ｔ〜４Ｔにそれぞれ対応し、かつ、軌道ｒに沿ってそれぞれ布設されたループコイルである。そして、各ループコイルＣ1 〜Ｃ4 の始端側には、ＡＴＣ信号を各ループコイルＣ1 〜Ｃ4 に印加する送信器ａ1 〜ａ4 がそれぞれ設けられている。各送信器ａ1 〜ａ4 は、同一構成であるので、送信器ａ1 について説明すると、この送信器ａ1 には、先行列車位置情報や前方線路条件情報等の所定の情報に基づいてＡＴＣ信号を生成するＡＴＣ信号生成回路ａ1 ′が設けられており、このＡＴＣ信号生成回路ａ1 ′で生成されたＡＴＣ信号は、接続トランスｔを介してループコイルＣ1 の始端側に印加されるように構成されている。
【０００９】
図中、Ｓは、本発明の無信号生成手段を構成する短絡スイッチであって、接続トランスｔの二次側に並列に、すなわち、ループコイルＣ1 のＡＴＣ信号の印加される始端側に並列に接続されている。この短絡スイッチＳは、定常状態（異常状態が発生していない状態）において開放され、一旦、ＯＮとされたときは、そのＯＮ状態を保持するように構成されている。
【００１０】
図中、Ｗは、ワイヤであって、本発明の操作機構に相当している。このワイヤＷは、ループコイルＣ1 が、例えば、駅のホームに位置するときは、そのホームに張設される。そして、このワイヤＷが、一旦、引かれると、短絡スイッチＳをＯＮとすることができるように構成されている。
【００１１】
なお、短絡スイッチＳは、必要に応じて他の送信器、例えば、ループコイルＣ3 用の送信器ａ3 等にも設けることができる。
【００１２】
上記構成の列車非常停止装置において、今、送信器ａ1 からは、ループコイルＣ1 に対して列車イに対して所定の列車速度で通過できるＡＴＣ信号が印加されているものとする。このとき、ループコイルＣ1 （閉そく区間１Ｔ）上で列車イを緊急に停止させなければならない何らかの非常事態が発生したとする。この非常事態発生により、係員等によりワイヤＷが引かれると短絡スイッチＳがＯＮとなり、ループコイルＣ1 の始端側が短絡され、送信器ａ1 からのＡＴＣ信号がループコイルＣ1 に供給されなくなって無信号となる。したがって、列車イがループコイルＣ1 にさしかかると、列車イの車上装置ｂの受電器（アンテナ）ａは、ループコイルＣ1 からＡＴＣ信号を受信できなくなるので、車上装置ｂは、列車イに搭載されている非常ブレーキを作動させて列車イを緊急停止させる。一旦、ＯＮとされた短絡スイッチＳは、非常状態が解消したときに係員によってＯＦＦ（復旧）とされる。
【００１３】
なお、短絡スイッチＳがＯＮになったことの情報を後方の送信器ａ2 ，ａ3 ，ａ4 に送信し、これら送信器ａ2 ，ａ3 ，ａ4 から列車イが閉そく区間１Ｔの手前で停止できるように制御することもできる。
【００１４】
図２は、無信号生成手段の他の例を示すもので、ループコイルＣ1 （閉そく区間１Ｔ）上で非常事態が発生したときに、ループコイルＣ1 の始端側を切離しスイッチＳ′で切離してループコイルＣ1 を無信号とする例が示されている。すなわち、この切離しスイッチＳ′は、ワイヤＷが、一旦、引かれるとＯＦＦとなり、そのＯＦＦ状態を保つように構成されている。この場合も、ループコイルＣ1 が無信号となるので、このループコイルＣ1 上で列車イを緊急に停止させることができる。
【００１５】
【発明の効果】
本発明に係る列車非常停止装置は、列車の走行する軌道に沿って布設されたループコイルから所定の信号を受信して列車制御を行うとともに、そのループコイルから信号を受信できないときに列車停止制御を行う列車制御装置に設けられる列車非常停止装置であって、前記ループコイルに接続されたスイッチを含んで構成され、このスイッチの閉又は開動作により、送信器からの所定の信号が印加される前記ループコイルの始端側を短絡させ、又は、そのループコイルの一部を切り離してそのループコイルを無信号状態とする無信号生成手段と、前記ループコイルの区間に張設されたワイヤを含んで構成され、このワイヤが引かれることで、前記スイッチを閉又は開動作させて前記ループコイルを無信号状態に操作する操作機構とからなるので、非常事態にタイムリーに対処することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施の形態に係る列車非常停止装置の概略構成図である。
【図２】無信号の他の例を示す説明図である。
【符号の説明】
ｒ 軌道（レール）
１Ｔ〜４Ｔ 閉そく区間
Ｃ1 〜Ｃ4 ループコイル
ａ1 〜ａ4 送信器
イ 列車
ｂ 車上装置
Ｓ 短絡スイッチ
Ｓ′ 切離しスイッチ
Claims (1)
- 列車の走行する軌道に沿って布設されたループコイルから所定の信号を受信して列車制御を行うとともに、そのループコイルから信号を受信できないときに列車停止制御を行う列車制御装置に設けられる列車非常停止装置であって、
前記ループコイルに接続されたスイッチを含んで構成され、このスイッチの閉又は開動作により、送信器からの所定の信号が印加される前記ループコイルの始端側を短絡させ、又は、そのループコイルの一部を切り離してそのループコイルを無信号状態とする無信号生成手段と、
前記ループコイルの区間に張設されたワイヤを含んで構成され、このワイヤが引かれることで、前記スイッチを閉又は開動作させて前記ループコイルを無信号状態に操作する操作機構と、
を有することを特徴とする列車非常停止装置。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2000228358A JP4573408B2 (ja) | 2000-07-28 | 2000-07-28 | 列車非常停止装置 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2000228358A JP4573408B2 (ja) | 2000-07-28 | 2000-07-28 | 列車非常停止装置 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2002037072A JP2002037072A (ja) | 2002-02-06 |
| JP4573408B2 true JP4573408B2 (ja) | 2010-11-04 |
Family
ID=18721656
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2000228358A Expired - Lifetime JP4573408B2 (ja) | 2000-07-28 | 2000-07-28 | 列車非常停止装置 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP4573408B2 (ja) |
Citations (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS61232962A (ja) * | 1985-04-09 | 1986-10-17 | 株式会社京三製作所 | 過走防護システム |
| JPH09123910A (ja) * | 1995-11-01 | 1997-05-13 | Railway Technical Res Inst | 緊急情報伝達装置 |
-
2000
- 2000-07-28 JP JP2000228358A patent/JP4573408B2/ja not_active Expired - Lifetime
Patent Citations (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS61232962A (ja) * | 1985-04-09 | 1986-10-17 | 株式会社京三製作所 | 過走防護システム |
| JPH09123910A (ja) * | 1995-11-01 | 1997-05-13 | Railway Technical Res Inst | 緊急情報伝達装置 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JP2002037072A (ja) | 2002-02-06 |
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Legal Events
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