JP4569458B2 - 析出物が微細分散した鋼材および鋼材用鋳片の連続鋳造方法 - Google Patents

析出物が微細分散した鋼材および鋼材用鋳片の連続鋳造方法 Download PDF

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Description

本発明は、鋼の連続鋳造過程において金属元素を添加することにより微細析出物を分散形成させた鋳片を素材として製造され、再加熱時のオーステナイト粒径の成長が抑制された鋼材、および鋼材用鋳片を鋳造するための連続鋳造方法に関する。
自動車用素材として用いられる熱延鋼板は、軽量化による環境負荷低減を目的として高強度化が計られている。自動車用の熱延鋼板は、使用される部位により要求される特性が異なり、高強度および高靱性であるとともに、良好な深絞り性、張り出し性、穴拡げ性、および曲げ性といった加工性をも具備することが要求される。これらの特性を向上させるためには、要求される特性のレベルに合わせて熱延鋼板の金属組織や析出物を最適化することが必要である。このうち、析出物に関しては、そのサイズを微細化し、しかも鋼板内に均一に分散させることが重要である。
例えば、自動車の足回り部分として使用される高強度の熱延鋼板における穴拡げ性を向上させる方法として、特許文献1に開示された技術がある。同文献には、フェライトと、ベイナイトを主体とする第二相とからなり、また鋼板中に介在物が総量で0.05%以下、かつA系+B系介在物が合計で0.01%以下であることを特徴とする穴拡げ性及びHAZ部疲労特性に優れた高強度熱延鋼板およびその製造方法が開示されている。また、特許文献2には、粒子径が0.005〜0.5μmの範囲にあるMgOまたは、MgOを含みAl23、SiO2、MnO、Ti23の1種もしくは2種以上の複合酸化物を1.0×103個〜1.0×107個/mm2の範囲で含み、鋼組織はフェライト組織を主とし残ベイナイト組織とすることを特徴とする穴拡げ性と延性に優れた高強度熱延鋼板が開示されている。これらの技術では、いずれも溶鋼中にマグネシウム(Mg)を添加してMg化合物を生成させる方法が採用されている。
また、自動車用の鋼板は、溶接により結合されることが多く、そのため、鋼板が薄肉化すると鋼板単位体積当たりの溶接時の入熱量が著しく増大する。溶接時の入熱量が増大すると、厚板の大入熱溶接の場合に見られるように、大入熱溶接に起因する熱影響部(以下、「HAZ」とも記す)の機械的特性の低下を惹起する。この機械的特性の低下を防止するためには結晶粒の粗大化を抑制することが必要であり、この結晶粒粗大化の抑制に対しては、上記のMg添加により生成する微細なMg化合物粒子によるピン止め効果が大きく寄与している。
しかしながら、今後ますます進められる熱延鋼板の薄肉軽量化のためには、更なる高強度化が求められ、上記のように単なるMg添加による結晶粒の粗大化抑制技術のみでは充分に対応できない。したがって、同じMg添加の場合であっても、溶鋼中に添加されたMgを連続鋳造スラブ内でいかに微細に、しかも均一に分散させることができるかが熱延鋼板の高強度化には重要である。
Mgの沸点は、溶鋼温度よりも著しく低いために、Mg塊を溶鋼中に添加しようとしても、溶鋼表面に到達するまでに燃焼して消耗するか、あるいは溶鋼内に侵入しても、急激な体積膨張により溶鋼が激しく飛散し、連続鋳造操業が困難となる。MgをSiやNiなどと合金化して沸点を上昇させて添加することも可能であるが、添加を目的としないSiやNiが溶鋼中に混入することになり、熱延鋼板の機械的特性が損なわれる。溶鋼中にMgが添加されたとしても、Mgの溶解量が少なく蒸気圧が高いために、添加と同時にMgの濃度が急激に低下し、Mg添加の効果を維持することが困難である。
特開2003−3240号公報(特許請求の範囲および段落[0009]) 特開2001−342543号公報(特許請求の範囲および段落[0006]〜[0015]) 特開2004−249315号公報(特許請求の範囲など) 特開2005−169404号公報(特許請求の範囲など) 特願2004−27514号公報(特許請求の範囲など)
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その課題の第1は、高強度熱延鋼板の素材とすることができ、析出物の微細分散化により再加熱時のオーステナイト粒の成長が抑制された組織を有する鋼材を提供することにある。また、課題の第2は、上記の鋼材を得るために必要な金属元素を溶鋼中に効率よく添加し、連続鋳造スラブ内に微細かつ均一に分散させることのできる連続鋳造方法を提供することにある。
本発明者らは、上述の課題を解決するために、鋼材の再加熱時におけるオーステナイト結晶粒の成長を抑制するための添加金属元素、および、それらの金属元素を連続鋳造スラブ内に効率良く、しかも均一に添加するための連続鋳造方法を検討し、下記の(a)〜(d)の知見を得て、本発明を完成させた。
(a)鋼材の再加熱時におけるオーステナイト結晶粒の成長を抑制するためには鋼中に、AgおよびMg、またはこれらに加えてBiを添加し、微細酸化物を分散形成させることが効果的である。さらに、Ca、NdおよびSnのうちの1種以上を添加することにより上記の効果を高めることができる。また、これらの金属元素を連鋳スラブ内に均一にしかも効率良く添加するためには、タンディッシュ内溶鋼または鋳型内溶鋼に金属元素の蒸気を添加することが有効である。
ここで、「再加熱」とは、分塊圧延もしくは熱間圧延に先だって行われる加熱もしくは均熱、または溶接による加熱を意味する。また、「再加熱時のオーステナイト結晶粒の成長が抑制された」とは、Ag、Mg、Bi、Ca、NdおよびSnのいずれをも含有しない場合の結晶粒の成長に比較して、相対的に結晶粒の成長が小さいことを意味する。
(b)上記(a)の粒成長の抑制効果は、下記の作用による。すなわち、Ag、BiおよびMgは、溶鋼中の酸素と反応してそれぞれ微細なAg酸化物、Bi酸化物およびMg酸化物を晶出し、これらの「晶出物によるピン止め効果」により結晶粒の粗大化が抑制される。また、固溶Biは界面活性効果を有するので、その効果により不均質核生成が促進され、結晶粒の粗大化が抑制される。これらの析出物が微細化されると、例えば、穴拡げ加工などの加工時に析出物への応力集中が起こりにくくなることから、クラックの発生が抑制され、したがって、穴拡げ性などの加工性が著しく向上する。
(c)さらに、Ca、NdおよびSnは、それぞれ固溶状態において、後述する「結晶粒界における引き摺り効果」を有し、この作用により、結晶粒の粗大化が抑制される。また、Ndは酸化物を晶出するので、その晶出物によるピン止め効果により結晶粒の粗大化を抑制する。そして、固溶Snは界面活性効果を有するので、その効果により不均質核生成が促進され、粒成長が抑制される。
(d)上記(a)〜(c)にて述べたような蒸気圧の高い金属元素または融点の低い金属元素を溶鋼中に添加する場合、それらの添加金属は、溶鋼と接触するかまたは溶鋼からの輻射熱を受けて溶融あるいは気化する。溶鋼中に添加する以前に、あるいは添加した瞬間に金属元素が溶融または気化すると、これらの金属元素を溶鋼中に均一に、かつ歩留り良く添加することは困難である。このような問題を解決し、連続鋳造鋳片内に金属元素を均一に添加するには、連続鋳造鋳型に近いタンディッシュ内、または連続鋳造鋳型内の溶鋼に、金属元素の蒸気を添加する方法が最適である。
本発明は、上記の知見に基いて完成されたものであり、その要旨は、下記の(1)〜(3)に示す鋼材、ならびに()および()に示す鋼の連続鋳造方法にある。
(1)連続鋳造された鋳片を素材として熱間圧延により得られる鋼材であって、該鋼材は、質量%で、C:0.03〜0.08%、Si:0.1〜2.0%、Mn:0.5〜3.0%、P:0.02%以下、S:0.005%以下、Ti:0.003〜0.25%、N:0.01%以下、Al:0.002〜0.2%を含み、さらに、AgおよびMgをそれぞれ0.00005〜0.001%含有するか、またはAgおよびMgをそれぞれ0.00005〜0.001%ならびにBi:0.00005〜0.001%を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、熱延鋼板から採取した試料をSEMにより500〜2000倍の倍率で観察し、観察された析出物粒子200個あたりの平均値が1μm以下であるような析出物が分散していることを特徴とする鋼材。
(2)さらに、質量%で、Ca:0.005%以下、Nd:0.001%以下およびSn:0.01%以下のうちの1種以上を含有する前記(1)に記載の鋼材。
(3)さらに、Mo:0.5%以下、Cu:1.5%以下、Nb:0.04%以下、V:0.04%以下、Ni:5.0%以下、Cr:2.5%以下およびB:0.003%以下のうちの1種以上を含有することを特徴とする前記(1)または(2)に記載の鋼材。
)前記(1)〜(3)のいずれかに記載の鋼材を製造するための熱間圧延用素材としての鋳片を鋳造する連続鋳造方法であって、タンディッシュ内の溶鋼に浸漬させた浸漬ランスまたは鋳型内の溶鋼に浸漬させた浸漬ランスを通して、前記AgおよびMg、またはAg、MgおよびBiの金属蒸気および/または金属粒子をキャリアガスとともに該溶鋼中に供給するか、または、さらにCa、NdおよびSnのうちの1種以上の金属蒸気および/または金属粒子をキャリアガスとともに該溶鋼中に供給する鋼の連続鋳造方法。
)前記(1)〜(3)のいずれかに記載の鋼材を製造するための熱間圧延用素材としての鋳片を鋳造する連続鋳造方法であって、タンディッシュ内の溶鋼に浸漬させた浸漬ランスまたは鋳型内の溶鋼に浸漬させた浸漬ランスを通して、前記AgおよびMg、またはAg、MgおよびBiを含有するワイヤーまたはロッドをキャリアガスとともに該溶鋼中に供給するか、または、さらにCa、NdおよびSnのうちの1種以上を含有するワイヤーまたはロッドをキャリアガスとともに該溶鋼中に供給する鋼の連続鋳造方法。
本発明において、「析出物が微細分散した」とは、熱延鋼板から採取した試料をSEMにより500〜2000倍の倍率で観察し、観察された析出物粒子200個あたりの平均値が1μm以下であるような析出物が分散している鋼を意味する。
「金属蒸気および/または金属粒子」とは、金属蒸気および/または、蒸発が不十分なために液体または固体粒子として存在する金属粒子、もしくは金属蒸気が凝縮して形成される金属粒子を意味する。また、「金属」とは、純金属および金属の合金を含む。
なお、以下の説明では、特に断らない限り、鋼の成分組成表示における「%」は、「質量%」を意味する。
本発明の鋼材は、析出物が微細に分散しているので、超大入熱溶接におけるHAZをはじめとして、再加熱時におけるオーステナイト粒の成長が抑制され、強度や靱性といった特性に加えて、鋼板の穴拡げ性などの加工性に優れた鋼材として好適である。また、本発明の連続鋳造方法は、上記の鋼材を得るために必要な金属元素の適正量を溶鋼中に効率よく添加し、連続鋳造スラブ内に均一に分散させるための最適の連続鋳造方法である。
本発明の鋼材は、前記のとおり、連続鋳造された鋳片を素材として熱間圧延により得られる鋼材であって、該鋼材は、C、Si、Mn、P、S、Ti、NおよびAlを含み、さらに、Mo、Cu、Nb、V、Ni、CrおよびBのうちの1種以上を含有し、さらに、AgおよびMgをそれぞれ0.00005〜0.001%含有するか、またはAgおよびMgをそれぞれ0.00005〜0.001%ならびにBi:0.00005〜0.001%を含有し、残部がFeおよび不純物からなる、析出物が微細分散した鋼材である。
また、本発明の方法は、前記の鋼材を製造するための熱間圧延用素材としての鋳片を鋳造する連続鋳造方法であって、タンディッシュ内の溶鋼に浸漬させた浸漬ランスまたは鋳型内の溶鋼に浸漬させた浸漬ランスを通して、前記AgおよびMg、またはAg、MgおよびBiの金属蒸気および/または金属粒子をキャリアガスとともに溶鋼中に供給するか、または、上記金属元素を含有するワイヤーまたはロッドをキャリアガスとともに溶鋼中に供給する鋼の連続鋳造方法である。以下に、本発明の鋼材および鋼の連続鋳造方法について、さらに詳細に説明する。
(1)金属元素の添加による結晶粒粗大化の抑制および鋳造方法
鋼材の機械的特性を向上させるには結晶粒を微細化する必要があり、従来から制御冷却、制御圧延といった手法が採られ、鋼材の加熱温度、冷却開始温度、冷却速度や圧下率の管理が行われてきた。また、これらに加えて鋼材中に合金元素を含有させることにより、上述の効果を高める技術が開発されてきた。さらに、溶接時のHAZのように鋼材が再加熱される場合には、鋼材が高温に晒されるため、鋼材が最初に有した結晶粒が粗大化して、強度、靱性、穴拡げ性をはじめとする加工性などの機械的特性が低下するという問題がある。
鋼材の結晶粒の粗大化を抑制するには、晶出物あるいは析出物による「ピン止め効果」を利用する方法の他に、溶質元素の「結晶粒界における引き摺り効果」を利用することもできる。ここで、「結晶粒界における引き摺り効果」とは、溶媒元素(鉄元素)の移動方向とは逆方向に移動する結晶粒界に取り込まれた溶質元素の移動速度が溶媒元素の移動速度よりも遅いために、移動する結晶粒界が結晶粒界の層内に取り込まれた溶質元素を粒界の移動方向に引き摺ることとなり、これが結晶粒界の移動抵抗となって、結晶粒の粗大化を抑制する効果をいう。
また、鋼の固相線温度よりも融点の低い化合物を微細に分散させることにより、結晶粒の成長を抑制することができる。さらに、ピン止め効果を利用する場合においても、その効果を高めるために、晶出あるいは析出頻度を増大することが有効である。
鋼中にはMn、S、Tiなどの溶質元素も含有されており、これらの反応生成物であるMnS、TiNなどが鋼中に存在する。これらの析出物も粗大化すると機械的特性を著しく低下させる。そこで、これらの析出物を微細に分散させれば、結晶粒の粗大化抑制に効果を発揮し、むしろ強度、靱性および加工性を向上させることができる。このためには、微細に分散したMg酸化物、Nd酸化物上に、MnS、TiNなど不均質核生成させれば良く、これを促進させるためには界面活性元素であるBiやSnを添加すれば良い。
上述したAg、Bi、Mg、Nd、Snなどの蒸気圧が高い金属元素または融点が低い金属元素を溶鋼中に添加する場合には、それらの添加金属は、溶鋼と接触または溶鋼からの輻射熱を受けて溶融あるいは気化する。溶鋼中に添加する以前あるいは添加時に金属元素が溶融または気化すると、これらの金属元素を溶鋼中に均一に、しかも歩留り良く添加することは困難である。このような問題を解決して連続鋳造鋳片内に金属元素を均一に添加するには、鋳型に近いタンディッシュ内、または鋳型内の溶鋼に添加する方法が最適である。
そこで、本発明者らは、結晶粒の粗大化抑制機構および抑制方法、ならびにそれを達成するための連続鋳造方法について、さらに研究開発を進めた。本発明者らは、先に、特許文献3、特許文献4および特許文献5において、金属元素の蒸気あるいは金属元素の化合物をタンディッシュ内または連続鋳造鋳型内の溶鋼中に添加する方法を提案し、これらの方法により金属元素を溶鋼中に均一に、しかも歩留り良く添加できることを確認している。これらの結果も踏まえて検討を重ねた結果、下記の(a)および(b)に示す結晶粒の粗大化抑制機構およびその方法についての知見、ならびに、(c)および(d)に示す連続鋳造方法および装置についての知見を得て、本発明を完成させた。
(a)Ag、BiおよびMg含有の効果
溶鋼中に各種金属元素を種類別に添加して溶製した鋼材から試験片を作製し、各試験片を1400℃に加熱して60秒間保持する試験を行った。試験片の光学顕微鏡による観察により、金属元素のうちで、Ag、BiおよびMgを添加した試験片のオーステナイト粒径の成長が顕著に抑制されていることが判明した。さらに、これらの試験片の結晶粒の内
部および粒界をEDX(エネルギー分散型X線分析装置)により組成分析した結果、Ag、BiおよびMg元素が結晶粒界に濃化していることが分かった。また、微細なAg酸化物およびMg酸化物が分散していることも確認された。
AgおよびBiは、鋼に対する溶解度が小さいことから、鋼の凝固過程において、凝固界面の液相側に濃化され、これが溶鋼中の酸素と反応して微細なAg酸化物およびBi酸化物を晶出する。これらの酸化物の融点は鋼の固相線温度よりも低いので、鋼が溶融状態にある間においてはこれらの結晶粒は形成されない。このため、鋼が凝固して鋼の結晶粒が形成されても、Ag酸化物あるいはBi酸化物が完全に凝固するまでは、鋼の結晶粒界は酸化物により途切れる。
鋼の温度がさらに低下して、酸化物の凝固が完了して初めて結晶粒界が結合することとなり、結晶粒が成長する。酸化物の凝固が完了した時点では、鋼の温度も充分に低下しており、結晶粒の成長速度は小さくなる。その結果、結晶粒の成長が抑制され、いわゆる「ピン止め効果」を示すことを、本試験により新たに見出した。
これにより、融点の高いMg酸化物と融点の低いAg酸化物およびBi酸化物の相乗効果により、従来以上に結晶粒の粗大化を抑制することが可能となった。
次に、Ag、BiおよびMg含有量の適正範囲について説明する。
Agの含有量、Bi含有量およびMg含有量は、いずれも0.00005〜0.001%の範囲とするのが適切である。Ag、BiおよびMgともに、その含有量が0.00005%未満では結晶粒の粗大化抑制効果が得られない。
一方、Ag含有量が0.001%を超えて多くなると、鋼の製造コストが上昇して経済的に不利となるので、Ag含有量の上限を0.001%とした。Bi含有量が0.001%を超えて多くなると、結晶粒界におけるBiの濃化が著しくなって脆化し、逆に機械的特性が低下することから、その含有量の上限を0.001%とした。また、Mg含有量が0.001%を超えて多くても、結晶粒径の粗大化抑制効果が飽和し、鋼の製造コストが上昇するだけであるため、その含有量の上限を0.001%とした。
なお、鋼中にはTiやMn、Sなどの溶質元素が含有されている場合が多い。これらの反応生成物であるTiNやMnSが粗大に析出すると、強度、HAZ靱性、穴拡げ性を含めた加工性などの機械的特性を低下させる。
また、界面活性元素であるBiやSnが含有されていると、Mg酸化物が晶出した後にこの酸化物上にTiNやMnSなどが析出し易くなる。Mg酸化物が微細に分散されると、Mg酸化物上に不均質核生成するTiNやMnSも結果的に微細に分散されることとなり、機械的特性の向上に寄与する。
(b)Ca、NdおよびSn含有の効果
上記(a)の鋼材中にCa、NdおよびSnの1種以上が含有されると、結晶粒界の移動に対して引き摺り効果を発揮し、再加熱時のオーステナイト粒の成長を抑制する作用を有することを見出した。これらの元素は、含有させてもさせなくてもよいが、これらの元素の効果を得たい場合は、Caについては0.00005〜0.005%の範囲内で、Ndについては0.00005〜0.001%の範囲内で、また、Snについては0.00005〜0.01%の範囲内で、1種以上を含有させる。
Ca、NdおよびSnともに、その含有量が0.00005%未満ではそれらの効果が得られない。一方、Ca含有量が0.005%を超えて多くなると、Ca硫化物が生成され、逆に、機械的特性が低下する。また、Nd含有量が0.001%を超えて多くなると、Nd酸化物が晶出してピン止め効果も現れ、結晶粒の成長抑制効果は大きくなるが、同時に浸漬ノズルの閉塞頻度が高まり、連続鋳造操業におけるトラブルを引き起こすこととなるので、好ましくない。
さらに、晶出したNd酸化物上にMnSやTiNなどが不均質核生成するので、界面活性元素であるBiやSnが含有されていると、不均質核生成が起こり易くなる。Nd酸化物が微細に分散すると、その上に不均質核生成するMnSやTiNも微細に分散することになり、機械的特性が向上する。
Sn含有量が0.01%を超えて多くなると、Snが結晶粒界に著しく濃化されるため、鋼の脆化が顕著となる。したがって、その含有量は0.01%以下とすることが好ましい。
(c)浸漬ノズルの閉塞を回避できる連続鋳造方法
溶鋼中に希土類元素のNdを添加すると、浸漬ノズルが閉塞しやすく、長時間におよぶ操業は困難であった。従来、取鍋中に金属元素Ndの単体あるいはNd合金の塊を一括添加する方法が一般に採られているが、この方法では、浮上分離したり、溶鋼内で沈降したり、または、溶鋼の流動で撹拌されて衝突・凝集して粗大化し、例えば粗大な酸化物が溶鋼中に懸濁することになる。そして、この反応生成物が浸漬ノズルの内壁に付着して浸漬ノズルの閉塞を引き起こす。
これに対して、タンディッシュ内の溶鋼に浸漬させた浸漬ランスまたは鋳型内の溶鋼に浸漬させた浸漬ランスを通して、Ndをキャリアガスとともに溶鋼中に供給するか、または、金属元素のNdを含有するワイヤーまたはロッドをキャリアガスとともに溶鋼中に供給して連続鋳造を行うことにより、凝集・肥大化する以前に連鋳鋳型内に供給され、凝固するため、浸漬ノズルの閉塞といった問題が生じなくなる。さらに、微細な生成物のままで連鋳スラブ内に分散させることができる。
(d)上記の連続鋳造方法を実施するための装置
後述する実施例にて説明するとおり、タンディッシュと、タンディッシュ下部に設けられタンディッシュ内の溶鋼を鋳型に供給するための浸漬ノズルと、タンディッシュの下方に位置する鋳型と、前記タンディッシュ内の溶鋼にワイヤーもしくはロッドを供給するための浸漬ランスまたは前記鋳型内の溶鋼にワイヤーもしくはロッドを供給するための浸漬ランスと、前記浸漬ランスの孔内に前記ワイヤーまたはロッドを供給するためのワイヤまたはロッド供給装置と、前記浸漬ランス内にキャリアガスを供給するガス供給装置とを有する溶鋼の連続鋳造装置が好適である。
(2)鋼の成分組成範囲
本発明に係る鋼の成分組成のうち、既に述べた添加金属元素を除く成分組成の限定理由について下記に説明する。
C:0.03〜0.08%
Cは、母材および溶接部の強度および靱性を確保するために有効な元素である。その含有量が0.03%未満では、上記の効果が充分に得られず、一方、その含有量が0.08%を超えて高くなると炭化物が生成し、熱延鋼板に要求される穴拡げ性が低下するとともに、溶接部の靱性も低下する。そこで、Cの適正範囲を0.03〜0.08%とした。
Si:0.1〜2.0%
Siは、炭化物の生成を抑制するとともに、強度および延性を確保するために必要な元素である。強度および延性を向上させるためにはその含有量を0.1%以上とする必要がある。また、一方、その含有量が2.0%を超えて高くなると、溶接部の靱性が劣化する。上記の理由から、その適正範囲を0.1〜2.0%とした。
Mn:0.5〜3.0%
Mnは、鋼板の高強度化と靱性の確保およびHAZの焼入れ性の確保のために有効な元素である。上記の効果を得るためには、その含有量を0.5%以上とする必要がある。一方、その含有量が3.0%を超えて高くなると、靱性が損なわれ、溶接性が低下する。このため、Mn含有量の適正範囲を0.5〜3.0%とした。
P:0.02%以下
Pは、鋼板の延性および靱性、ならびに溶接性および加工性を劣化させる元素であることから、その含有量を0.02%以下に制限する。また、Pは鋼板の高強度化に有効な作用を有する元素であることから、その効果を得るためには、0.001%以上を含有させることが好ましい。
S:0.005%以下
Sは、MnS介在物などを形成して鋼板の延性や穴拡げ性を低下させる元素である。このため、その含有量を0.005%以下とした。製鋼コストの上昇が許容される鋼種においては、0.0005%以下にまで低下させることが好ましい。
Ti:0.003〜0.25%
Tiは、主として炭窒化物を析出し、その析出強化作用により母材強度の向上に寄与する有効な元素である。Ti含有量が0.003%未満では、上記の効果は充分でなく、一方、その含有量が0.25%を超えて高くなると、鋼中に粗大な析出物や介在物を形成して、鋼の延性、靱性および加工性を低下させる。上記の理由から、Ti含有量の適正範囲を0.003〜0.25%とした。
N:0.01%以下
Nが鋼中に含有されると延性、靱性および加工性が低下するので、Nは有害元素である。その含有量が0.01%を超えて高くなると、上記特性の劣化が著しくなることから、含有量の上限を0.01%とした。しかしながら、工業的にNを完全に除去することは不可能であるため、実操業において低減可能な範囲を考慮すると、その下限は0.001%とすることが好ましい。
Al:0.002〜0.2%
Alは、溶鋼の脱酸元素であり、その効果を得るためには0.002%以上を含有させる必要がある。しかし、その含有量が0.2%を超えて高くなると、鋼中の粗大な酸化物系介在物量が増大し、母材強度に悪影響を及ぼす。上記の理由から、その含有量の適正範囲を0.002〜0.2%とした。なお、本発明において、Alとは、酸可溶Al(sol.Al)を意味する。
次に鋼の任意添加元素について説明する。
Mo:0.5%以下、Cu:1.5%以下、Nb:0.04%以下、V:0.04%以下、Ni:5.0%以下、Cr:2.5%以下およびB:0.003%以下のうちの1種以上を含有
上記のMo、Cu、Nb、V、Ni、CrおよびBは、含有してもしなくてもよいが、
それらの元素の効果を得たい場合は、下記の含有量の範囲内において、それらの元素のうちから1種以上を含有させることができる。
Mo:0.5%以下
Moは、含有させれば焼入れ性の向上および強度の向上に有効な作用を発揮する元素である。その明確な効果を得るには0.1%以上を含有させることが好ましい。しかし、その含有量が0.5%を超えて高くなると、鋼の靱性および延性の低下ならびに溶接性の劣化が顕在化する。そこで、Moを含有させる場合の含有量の範囲を0.5%以下とした。
Cu:1.5%以下
Cuは、含有させれば焼入れ性の向上および析出強化に有効な作用を有する元素であり、その効果を得るには0.01%以上を含有させることが好ましい。一方、その含有量が1.5%を超えて高くなると、熱間加工性が低下する。上記の理由から、Cuを含有させる場合の含有量の範囲を1.5%以下とした。
Nb:0.04%以下
Nbは、含有させれば低温靭性を向上させる作用を有する元素である。その効果を得るには、0.005%以上を含有させることが好ましい。しかし、その含有量が0.04%を超えて高くなると、鋼中に粗大な炭化物や窒化物を形成するため、鋼板の穴拡げ性などの加工性を低下させる。上記の理由から、Nbを含有させる場合の含有量の範囲を0.04%以下とした。
V:0.04%以下
Vは、含有させれば熱延鋼板内で炭窒化物として析出し、その析出効果により強度およびお靱性を向上させる作用を発揮する。その効果を得るためには0.003%以上を含有させることが好ましい。一方、その含有量が0.04%を超えて高くなると、鋼板の加工性および靱性が劣化する。上記の理由から、Vを含有させる場合の含有量の範囲を0.04%以下とした。
Ni:5.0%以下
Niは、含有させれば母材の靱性を向上させる作用を有する元素である。その効果を得るには0.5%以上を含有させることが好ましい。一方、その含有量が5.0%を超えると、焼入れ性が過剰となり、靱性に悪影響を及ぼす。そこで、Niを含有させる場合の含有量の範囲を5.0%以下とした。
Cr:2.5%以下
Crは、含有させれば焼入れ性の向上、および析出強化による母材強度の向上に有効な作用を発揮する元素である。その効果を得るには0.05%以上を含有させることが好ましい。一方、その含有量が2.5%を超えると、靱性および溶接性が劣化する傾向が認められる。そこで、Crを含有させる場合の含有量の範囲を2.5%以下とした。
B:0.003%以下
Bは、含有させれば鋼板の強度を向上させる作用を発揮する元素である。その効果を得るには0.0005%以上を含有させることが好ましい。しかしながら、その含有量が0.003%を超えて高くなると、鋼中に粗大な硼化物が析出し、これにより鋼の靱性が劣化する。上記の理由から、Bを含有させる場合の含有量の範囲を0.003%以下とした。
本発明における鋼中の介在物微細化効果、および再加熱時における結晶粒の成長抑制に基づく加工性向上効果、ならびに鋼の連続鋳造方法の効果を確認するため、以下に示す試験を行って、その結果を評価した。
〔試験条件〕
溶鋼:後述する表1〜表4に示される成分組成を有する鋼
溶鋼量:5トン/分で連続鋳造
添加金属:後述する表2および表4に示す金属元素
添加方法:金属ワイヤー(ワイヤー直径は3mmφ)
添加位置:タンディッシュ内
キャリアガス:アルゴンガス10L/分
図1は、浸漬ランスを通して金属ワイヤーをタンディッシュ内の溶融金属に供給しながら連続鋳造する方法を示す図である。
取鍋3からタンディッシュ2に供給された溶鋼1は、浸漬ノズル6を経て連続鋳造鋳型8内に注入され、さらに下方に引き抜かれながら凝固シェル7を形成して鋳片となる。添加される金属は、タンディッシュ2内の溶鋼1中に浸漬された浸漬ランス4を通して、最終的に金属の蒸気となってタンディッシュ2内の溶鋼1中に供給された。
浸漬ランス4の一端は、金属ワイヤー供給機5に接続されている。金属ワイヤー供給機5にはワイヤーリール51が装填されており、ワイヤー繰出し速度制御装置53によりその繰出し速度を制御されたワイヤー繰出しロール52により、金属ワイヤー50が浸漬ランス4内に挿入された。金属ワイヤー供給機にはキャリアガス54が導入され、金属ワイヤー50とともに浸漬ランス4内に供給された。
一方、比較例として、金属元素を添加しない条件で連続鋳造を行い、以下、金属元素を添加した場合と同様の試験および調査を行った。
試験に用いた鋼の成分組成を表1〜表4に示した。
Figure 0004569458
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Figure 0004569458
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連続鋳造により得られた連続鋳造スラブを下記の条件で再加熱後熱間圧延し、熱延鋼板を得た。
連鋳スラブの再加熱温度:1250℃
再加熱時間:2時間
熱間圧延仕上げ温度:850〜900℃
熱延鋼板の板厚:3mm
巻き取り温度:400〜500℃
試験により得られた結果を表2および表4に示した。同表において、析出物粒径指数は、比較例である試験番号C1における析出物粒径を1.0として、これに対する相対値により指数化して表示した。ここで、析出物の粒径は、熱延鋼板から採取した試料をSEMにより500〜2000倍の倍率で観察し、JIS G 0555に規定された非金属介在物の測定方法に準じて、観察される析出物粒子200個あたりの平均値を求め、これを採用した。
また、熱延鋼板の穴拡げ性指数は、熱延鋼板から採取した試験片を用いて、日本鉄鋼連盟規格JFST 1001−1996に規定された方法に準じて穴拡げ試験を行い、比較例である試験番号C1における穴拡げ試験結果を1.0として、これに対する相対値により指数化して表示した。この指数の値が大きいほど穴拡げ性が優れていることを示す。
〔試験結果〕
試験番号H1〜H26は、本発明で規定する条件を満足する本発明例についての試験であり、試験番号C1〜C7は、Ag、Bi、Mg、Ca、Nd、Snといった金属元素のいずれをも含有しないか、または、それらの含有量が本発明で規定する範囲を超えて高い比較例についての試験である。本発明例および比較例のいずれの試験においても、本発明の連続鋳造方法によれば、制御目標とする含有量の金属元素が鋳片内に均一に、かつ高歩留まりで添加されていた。
金属元素としてAgおよびMgを含有させた本発明例の試験番号H1、ならびにAgおよびMgに加えてさらにBiを含有させた本発明例の試験番号H2およびH7では、比較例の試験番号C1における析出物粒径を基準(1.0)とした析出物粒径指数が、試験番号C1に比して0.4〜0.5低く抑えられていることから、析出物粒径が微細化されて分散していることがわかる。また、比較例の試験番号C1における穴拡げ試験結果を基準(1.0)とした穴拡げ性指数は、比較例に比して0.3〜0.5高くなっており、穴拡げ性が良好に改善されていることがわかる。したがって、これらの事実は、主としてAg、BiまたはMg酸化物のピン止め効果により、再加熱時のオーステナイト結晶粒径の粗大化が抑制された結果、穴拡げ性といった鋼板の加工性が向上したことを示すものと判断される。
さらに、上記金属に加えて、Ca、NdおよびSnのうちの1種以上の金属を含有させた試験番号H3〜H6およびH8〜H10では、上記と同等かまたはそれ以上の析出物の微細化効果が見られ、それに伴って穴拡げ性指数も一層向上している。これは、Ca、NdまたはSnを含有したことにより、上記ピン止め効果に加えて、さらに結晶粒界の引き摺り効果も加わったことによると考えられる。
これらに対して、Ag、Bi、Mg、Ca、Nd、Snといった金属元素のいずれをも含有しない比較例の試験番号C1〜C4では、析出物粒径指数が1.0近傍の値であって、析出物が微細化しておらず、したがって、再加熱時のオーステナイト粒径の粗大化も抑制されないことから、穴拡げ性についても、比較例に比してほとんど改善されていない。
また、Ag、BiまたはMgの含有量が本発明で規定する含有量の範囲を超えて高い試験番号C5〜C7では、上記元素を含有させた効果は飽和しており、鋼材の製造コストが過度に上昇する結果となっている。
本発明の鋼材は、析出物が微細化され分散しているので、超大入熱溶接におけるHAZをはじめとして、再加熱時のオーステナイト結晶粒の成長が抑制され、強度や靱性に加えて、鋼板の穴拡げ性などの加工性に優れた鋼材として好適である。また、本発明の連続鋳造方法は、上記の鋼材を得るために必要な金属元素の適正量を溶鋼中に効率よく添加し、連続鋳造スラブ内に均一に分散させるための最適の連続鋳造方法である。したがって、本発明の鋼材は、自動車用熱延鋼板をはじめとする強度、靱性および加工性に優れた構造用または加工用鋼材として、また、本発明の方法は、上記鋼材用素材を製造するための連続鋳造方法として、広範に適用することができる。
金属ワイヤーを浸漬ランスを通してタンディッシュ内の溶融金属に供給しながら連続鋳造する方法を示す図である。
符号の説明
1:溶鋼、 2:タンディッシュ、 3:取鍋、 4:浸漬ランス、
5:金属ワイヤー供給機、 50:金属ワイヤー、 51:ワイヤーリール、
52:ワイヤー繰出しロール、 53:ワイヤー繰出し速度制御装置、
54:キャリアガス、 55:圧力計、 56:流量制御弁、 6:浸漬ノズル、
7:凝固シェル、 8:連続鋳造鋳型

Claims (5)

  1. 連続鋳造された鋳片を素材として熱間圧延により得られる鋼材であって、該鋼材は、質量%で、C:0.03〜0.08%、Si:0.1〜2.0%、Mn:0.5〜3.0%、P:0.02%以下、S:0.005%以下、Ti:0.003〜0.25%、N:0.01%以下、Al:0.002〜0.2%を含み、さらに、AgおよびMgをそれぞれ0.00005〜0.001%含有するか、またはAgおよびMgをそれぞれ0.00005〜0.001%ならびにBi:0.00005〜0.001%を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、熱延鋼板から採取した試料をSEMにより500〜2000倍の倍率で観察し、観察された析出物粒子200個あたりの平均値が1μm以下であるような析出物が分散していることを特徴とする鋼材。
  2. さらに、質量%で、Ca:0.005%以下、Nd:0.001%以下およびSn:0.01%以下のうちの1種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の鋼材。
  3. さらに、Mo:0.5%以下、Cu:1.5%以下、Nb:0.04%以下、V:0.04%以下、Ni:5.0%以下、Cr:2.5%以下およびB:0.003%以下のうちの1種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の鋼材。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の鋼材を製造するための熱間圧延用素材としての鋳片を鋳造する連続鋳造方法であって、タンディッシュ内の溶鋼に浸漬させた浸漬ランスまたは鋳型内の溶鋼に浸漬させた浸漬ランスを通して、前記AgおよびMg、またはAg、MgおよびBiの金属蒸気および/または金属粒子をキャリアガスとともに該溶鋼中に供給するか、または、さらにCa、NdおよびSnのうちの1種以上の金属蒸気および/または金属粒子をキャリアガスとともに該溶鋼中に供給することを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の鋼材を製造するための熱間圧延用素材としての鋳片を鋳造する連続鋳造方法であって、タンディッシュ内の溶鋼に浸漬させた浸漬ランスまたは鋳型内の溶鋼に浸漬させた浸漬ランスを通して、前記AgおよびMg、またはAg、MgおよびBiを含有するワイヤーまたはロッドをキャリアガスとともに該溶鋼中に供給するか、または、さらにCa、NdおよびSnのうちの1種以上を含有するワイヤーまたはロッドをキャリアガスとともに該溶鋼中に供給することを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
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