JP4565212B2 - 感光性転写フィルム、誘電体および電子部品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は寸法精度の高いパターンを形成するために好適に使用することができる感光性転写フィルム、ならびにこの感光性転写フィルムから形成される誘電体および電子部品に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
近年、多層プリント配線基板等に高誘電率の層を設け、この層をコンデンサ等に利用する技術が知られている。この高誘電率の層は、たとえば、熱硬化性樹脂からなる有機溶剤に高誘電率の無機粉末を添加したものを、熱硬化性樹脂の脆さを補うためにガラス繊維等の繊維強化材に含浸させ、溶剤を焼成などにより飛散させて硬化させる等の方法により調製されている。しかしながら、従来の方法では、通常、たとえば30以上あるいは50以上などの高い誘電率を有する層を得ることは困難であった。
【0003】
また、各種の無機粉末を用いて高誘電率の誘電体層を得る試みもなされ、たとえば、ポリスチレンに無機粉末としてFe3O4、あるいはZnO+カーボンなどを添加すると、高い誘電率の誘電体層を得ることができることが知られている。しかしこのような系では、誘電率を高くすることができても、得られる誘電体層の誘電正接が大きくなるため、交流電場における誘電体層での発熱が大きくなり、誘電体のフィルムを設けた多層プリント配線基板等の劣化、熱応力による接合部の破断等の不良原因となり、半導体基板の信頼性、耐久性が低下し易いという問題点があった。
【0004】
一方、高い誘電率を得るためには、通常、高誘電率の無機粉末を高温で加熱焼成して誘電体層を形成する方法が知られている。しかしながらこの方法は、たとえば1000℃程度の高温で焼成する必要があるため、配線基板上に電子部品が装着されている状態で誘電体層を設ける場合には適用できず、種々の半導体基板の製造プロセスに汎用的に適用できないという問題点があった。
【0005】
さらに、誘電体層の形成方法としてスクリーン印刷法等が知られているが、基板の大型化および高精細化に伴い、パターンの位置精度の要求が非常に厳しくなり、通常の印刷では対応できないという問題があった。また、ペースト性状や印刷条件により膜厚変動や膜欠陥が発生しやすく、寸法精度の高いパターンを得るための工程管理が困難であるという問題があった。
【0006】
このため、低温焼成により、高い誘電率で、熱損失の小さい誘電体層を提供するとともに、寸法精度の高いパターンを形成しうる感光性転写フィルムの出現が望まれていた。
そこで、本発明者らは、前記問題を解決すべく鋭意研究し、特定の無機粒子の表面の一部に、導電性の金属あるいは有機化合物が付着された粒子を含有した感光性転写フィルムを用いることにより、500℃以下という低温での焼成が可能で、しかも高誘電率かつ低誘電正接で、かつ寸法精度の高いパターンの誘電体を形成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
【発明の目的】
本発明は、前記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、熱損失が小さく、低温焼成可能な高誘電率の誘電体層を寸法精度良く形成できるような感光性転写フィルム、ならびにこの組成物から形成された誘電体および電子部品を提供することを目的としている。
【0008】
【発明の概要】
本発明に係わる感光性転写フィルムは、
(A)誘電率が30以上である無機粒子の表面の一部に、導電性の金属もしくはその化合物または導電性の有機化合物もしくは導電性の無機物が付着された誘電体用複合粒子、
(B)アルカリ可溶性樹脂、
(C)エチレン性不飽和基含有化合物、および
(D)光重合開始剤を含有し、かつ膜厚が5〜100μmである感光性転写層が、支持フィルム上に設けられていることを特徴としている。
【0009】
本発明の感光性転写フィルムによれば、500℃以下の加熱で、誘電率が30以上、誘電正接が0.1以下の誘電体を形成することが可能である。
前記誘電体用複合粒子(A)を構成する無機粒子は、チタン系金属酸化物であることが好ましい。また、導電性の金属もしくはその化合物または導電性の有機化合物もしくは導電性の無機物は、無電解メッキ法により付着させることができる。
【0010】
前記アルカリ可溶性樹脂(B)は、(メタ)アクリル系樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂、ノボラック樹脂またはポリエステル樹脂のいずれかであることが好ましい。
前記エチレン性不飽和基含有化合物(C)は、(メタ)アクリレート化合物であることが好ましく、また、エチレン性不飽和基含有化合物(C)は、(アルカリ可溶性樹脂(B)100質量部に対して、20〜500質量部の範囲で含まれていることが好ましい。
【0011】
本発明の誘電体は、上記感光性転写フィルムを500℃以下で加熱して硬化させることにより形成することができ、誘電率が30以上、誘電正接が0.1以下であることが好ましい。
本発明に係る電子部品は、前記感光性転写フィルムを用いて形成することを特徴としている。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の感光性転写フィルムの詳細について説明する。
[感光性転写フィルム]
本発明の感光性転写フィルムは、
(A)誘電率が30以上である無機粒子の表面の一部に、導電性の金属もしくはその化合物または導電性の有機化合物もしくは導電性の無機物が付着された誘電体用複合粒子、
(B)アルカリ可溶性樹脂、
(C)エチレン性不飽和基含有化合物、および
(D)光重合開始剤
を含有し、かつ膜厚が5〜100μmである感光性転写層を有することを必須とする。
【0013】
また、本発明の感光性転写フィルムは、支持フィルムと、この支持フィルム上に形成された感光性転写層とを有してなり、当該感光性転写層の表面に保護フィルムが設けられていてもよい。
<支持フィルムおよび保護フィルム>
本発明の感光性転写フィルムを構成する支持フィルムは、耐熱性および耐溶剤性を有すると共に可撓性を有する樹脂フィルムであることが好ましい。支持フィルムが可撓性を有することにより、ロールコータによってペースト状組成物を塗布することによって感光性転写層を形成することができ、感光性転写層をロール状に巻回した状態で保存し、供給することができる。支持フィルムを形成する樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、含フッ素樹脂(例:ポリフルオロエチレンなど)、ナイロン、セルロースなどを挙げることができる。支持フィルムの厚さは、例えば20〜100μmであることが好ましい。
【0014】
支持フィルムの表面には離型処理が施されていることが好ましい。離型処理がされていると、後述のパターンの形成工程において、支持フィルムの剥離操作を容易に行うことができるからである。
離型処理としては、たとえば、シリコン系離型剤、フッ素系離型剤、シリコン−フッ素系離型剤を塗布する処理等が好適に用いられる。
【0015】
なお、保護フィルムについても、支持フィルムと同様のものを用いることができる。また、保護フィルムの表面には通常離型処理が施され、保護フィルム/感光性転写層間の剥離強度が、支持フィルム/感光性転写層間の剥離強度よりも小さいことが必要である。
<感光性転写層>
本発明の感光性転写フィルムを構成する感光性転写層は、通常、
(A)誘電率が30以上である無機粒子の表面の一部に、導電性の金属もしくはその化合物または導電性の有機化合物もしくは導電性の無機物が付着された誘電体用複合粒子、
(B)アルカリ可溶性樹脂、
(C)エチレン性不飽和基含有化合物、および
(D)光重合開始剤
を必須成分として含み、必要に応じてさらに、
(E)溶剤、および
(F)各種添加剤を含有するペースト状の感光性組成物を、支持フィルム上に塗布し、塗膜を乾燥して溶剤の一部又は全部を除去することにより形成することができる。
【0016】
感光性組成物を支持フィルム上に塗布し、感光性転写層を得る方法としては、膜厚の均一性に優れた膜厚の大きい(例えば1μm以上)塗膜を効率よく形成することができるものであることが好ましく、具体的には、ロールコーターによる塗布方法、ブレードコーターによる塗布方法、スリットコーターによる塗布方法、カーテンコーターによる塗布方法、ワイヤーコーターによる塗布方法などを好ましいものとして挙げることができる。
【0017】
塗膜の乾燥条件は、50〜150℃で、0.5〜30分間程度であり、乾燥後における溶剤の残存割合(感光性転写層中の含有率)は、通常、2質量%以下、好ましくは1質量%以下であることが望ましい。
上記のようにして支持フィルムの少なくとも片面に形成される感光性転写層の膜厚は、5〜100μm、好ましくは8〜70μm、さらに好ましくは10〜50μmであることが望ましい。
【0018】
また、感光性転写層中の誘電体形成用複合粒子(A)の含有量としては、転写フィルムにおける感光性転写層全体に対して、30〜90質量%、好ましくは40〜80質量%であることが望ましい。このような感光性転写層を有することにより、基板への密着性に優れ、かつ寸法精度の高いパターンを形成することができる感光性転写フィルムを得ることができる。
<感光性組成物>
本発明の感光性転写フィルムを構成する感光性転写層を形成するために用いられる感光性組成物は、(A)誘電率が30以上である無機粒子の表面の一部に、導電性の金属もしくはその化合物または導電性の有機化合物もしくは導電性の無機物が付着された誘電体用複合粒子、(B)アルカリ可溶性樹脂、(C)エチレン性不飽和基含有化合物、(D)光重合開始剤、および必要に応じて(E)溶剤、(F)各種添加剤を、ロール混練機、ミキサー、ホモミキサー、ボールミル、ビーズミルなどの混練機を用いて混練することにより調製することができる。
【0019】
上記のようにして調製される感光性組成物は、塗布に適した流動性を有するペースト状の組成物であり、その粘度は、通常100〜100,000mPa・sであり、好ましくは500〜10,000mPa・sである。
以下、感光性組成物を構成する各成分について説明する。
(A)誘電体用複合粒子
<無機粒子>
本発明において使用する無機粒子は、誘電率が30以上であり、好ましくは50以上、さらに好ましくは70以上である。誘電率は高い分には問題なく、上限値は限定されないが、たとえば、30000程度であってもよい。
【0020】
このような無機粒子としては、金属酸化物からなるものが好ましく用いられ、特にチタン系金属酸化物が好ましい。ここで、「チタン系金属酸化物」とはチタン元素と酸素元素とを必須元素として含む化合物をいう。このようなチタン系金属酸化物としては、結晶構造を構成する金属元素としてチタンを単一で含むチタン系単一金属酸化物と、金属元素としてチタンおよび他の金属元素を含むチタン系複酸化物とを好ましく用いることができる。
【0021】
前記チタン系単一金属酸化物としては、たとえば、二酸化チタン系金属酸化物が挙げられる。このような二酸化チタン系金属酸化物としては、アナターゼ構造またはルチル構造の二酸化チタン系金属酸化物が挙げられる。
前記チタン系複酸化物としては、たとえば、チタン酸バリウム系、チタン酸鉛系、チタン酸ストロンチウム系、チタン酸ビスマス系、チタン酸マグネシウム系、チタン酸ネオジウム系、チタン酸カルシウム系等の金属酸化物が挙げられる。
【0022】
なお、前記「二酸化チタン系金属酸化物」とは、二酸化チタンのみを含む系、または二酸化チタンに他の少量の添加物を含む系を意味し、主成分である二酸化チタンの結晶構造が保持されているものであり、他の系の金属酸化物についても同様である。
また、前記「チタン系複酸化物」とは、チタン系単一金属酸化物と、少なくとも1種の他の金属元素からなる金属酸化物とが複合して生ずる酸化物であり、構造の単位としてオキソ酸のイオンが存在しないものをいう。
【0023】
本発明においては、このような無機粒子を構成するチタン系金属酸化物としては、チタン系単一金属酸化物のうちでは、ルチル構造の二酸化チタン系金属酸化物が好ましく、チタン系複酸化物のうちでは、チタン酸バリウム系金属酸化物を好ましく用いることができる。
これらのうちでは、チタン酸バリウム系金属酸化物を特に好ましく用いることができる。
【0024】
また、水性媒体への分散性を向上させるため、前記無機粒子の表面をシリカ、アルミナ等で変性した粒子も好適に用いることができる。
このような無機粒子の平均粒子径は、好ましくは0.1〜5.0μm、さらに好ましくは0.1〜3.0μm、より好ましくは0.1〜2.0μm、特に好ましくは0.2〜1.0μmであることが望ましい。平均粒子径が5μmを超えると、膜厚を薄くした場合に誘電体層の組成が不均一になりやすくなることがある。平均粒子径が0.1μm未満であると粉末同士の凝集力が強くなり粗大粒子が発生してしまうことがある。
【0025】
本発明の無機粒子の形状は、特に制限されるものではないが、球状、粒状、板状、麟片状、ウィスカー状、棒状、フィラメント状などの形状が挙げられる。これらの形状のうち、球状、粒状、片状、鱗片状であることが好ましい。これらの形状の無機粒子は、一種単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。
<誘電体用複合粒子>
本発明に用いる誘電体用複合粒子は、前記無機粒子の表面の一部が、導電性物質で被覆されている。このような導電性物質としては、導電性の金属もしくはそれらの化合物、または導電性の有機化合物もしくは導電性の無機物が挙げられる。これらの導電性物質は、前記無機粒子の表面の一部に、1種単独でまたは複数種を併用して付着されていてもよい。
【0026】
前記導電性の金属としては、たとえば、金、銀、銅、錫、白金、パラジウム、ルテニウム、Fe、Ni、Co、Ge、Si、Zn、Ti、Mg、Alなどから選ばれる少なくとも1種の金属を用いることができる。金属としては、これらの合金を用いることもできる。
前記導電性の金属の化合物としては、前記導電性の金属の窒化物を用いることができる。
【0027】
前記導電性の有機化合物としては、TCNQ(7,7,8,8-テトラシアノキノジメタン)、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェンなどから選ばれる少なくとも1種の化合物を用いることができる。
前記導電性の無機物としては、上記金属または金属化合物以外のものであって、カーボン、黒鉛などから選ばれる少なくとも1種のものを用いることができる。
【0028】
本発明に用いる誘電体用複合粒子に含有される前記無機粒子の割合は、誘電体用複合粒子の全重量に対して、好ましくは60〜99重量%、さらに好ましくは65〜95重量%、特に好ましくは70〜90重量%の量で含まれていることが望ましい。また、導電性の金属もしくはそれらの化合物または導電性の有機化合物もしくは導電性の無機物の割合、すなわち、導電性物質の付着量は、誘電体用複合粒子の全重量に対して、好ましくは1〜40重量%、さらに好ましくは5〜35重量%、特に好ましくは10〜30重量%の量で含まれていることが望ましい。
【0029】
無機粒子成分の割合が99重量%を超えると、誘電体にしたときに高い誘電率が得られなくなることがある。また、無機粒子成分の割合が60重量%未満の場合には誘電体の絶縁性が悪くなることがある。
本発明に用いられる誘電体用複合粒子の平均粒子径は、好ましくは0.1〜5.0μm、さらに好ましくは0.1〜3.0μm、より好ましくは0.1〜2.0μm、特に好ましくは0.2〜1.0μmであることが望ましい。平均粒子径が5μmを超えると、膜厚を薄くした場合に誘電体層の組成が不均一になりやすくなることがある。なお、誘電体用複合粒子の平均粒径は、膜厚を薄くしても誘電体層の組成が均一になるようにするため、特に2μm以下であることが好ましい。
【0030】
本発明に用いられる誘電体用複合粒子の比表面積は、好ましくは1〜20m2/g、さらに好ましくは1.2〜15m2/g、より好ましくは1.5〜10m2/g、特に好ましくは1.5〜8m2/gであることが望ましい。比表面積が上記範囲にあると、高誘電率かつ低誘電正接である誘電体を得ることができる。
このような本発明に用いる誘電体用複合粒子は公知の方法を用いて調製することができ、製法は限定されない。
【0031】
たとえば、メッキ等により無機粒子の表面に導電性の金属を被膜する場合には、無電解メッキ(化学メッキ)などにより行うことができる。
また、上記のような平均粒子径の誘電体用複合粒子を得る方法としては、具体的には、無電解メッキ等により1〜40重量%の金属成分(たとえば銅)が付着した無機粒子からなる誘電体用複合粒子の中から、分級機によって平均粒度0.1〜10μmの粉末を採取し、その粉末を純水中で超音波分散して十分に分散させた後、1〜10容積%の硫酸浴中において、表面のCu分のみを溶出させることによりかかる平均粒子径の誘電体用複合粒子を得ることができる。
(B)アルカリ可溶性樹脂
感光性組成物に使用されるアルカリ可溶性樹脂としては、種々の樹脂を用いることができる。ここに、「アルカリ可溶性」とは、アルカリ性の現像液によって溶解する性質をいい、具体的には、目的とする現像処理が遂行される程度に溶解性を有していればよい。
【0032】
かかるアルカリ可溶性樹脂の具体例としては、例えば(メタ)アクリル系樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂、ノボラック樹脂、ポリエステル樹脂などを挙げることができる。
このようなアルカリ可溶性樹脂のうち、(メタ)アクリル系樹脂が好ましく、特に好ましいものとしては、たとえば
このようなアルカリ可溶性樹脂のうち、(メタ)アクリル系樹脂が好ましく、特に好ましいものとしては、たとえば
カルボキシル基含有モノマー類(イ)(以下「モノマー(イ)」ともいう)とその他の共重合可能なモノマー類(ハ)(以下「モノマー(ハ)」ともいう)との共重合体、または
モノマー(イ)とOH基含有モノマー類(ロ)(以下「モノマー(ロ)」ともいう)とモノマー(ハ)との共重合体などの(メタ)アクリル樹脂を挙げることができる。
【0033】
上記モノマー(イ)(カルボキシル基含有モノマー類)としては、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、ケイ皮酸、コハク酸モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0034】
上記モノマー(ロ)(OH基含有モノマー類)としては、たとえば、
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピルなどの水酸基含有モノマー類;
o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレンなどのフェノール性水酸基含有モノマー類;
などが挙げられる。
【0035】
その他の共重合可能なモノマー類である上記モノマー(ハ)としては、たとえば、
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ラウリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、グリシジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートなどのモノマー(イ)(モノマー(ロ)を含む場合は、モノマー(イ)および(ロ))以外の(メタ)アクリル酸エステル類;
スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル系モノマー類;
ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン類;
ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ベンジル等のポリマー鎖の一方の末端に(メタ)アクリロイル基などの重合性不飽和基を有するマクロモノマー類;
などが挙げられる。
【0036】
上記モノマー(イ)とモノマー(ハ)との共重合体や、モノマー(イ)とモノマー(ロ)とモノマー(ハ)との共重合体は、モノマー(イ)および/またはモノマー(ロ)のカルボキシル基またはフェノール性水酸基含有モノマーに由来する共重合成分の存在により、アルカリ可溶性を有するものとなる。中でもモノマー(イ)とモノマー(ロ)とモノマー(ハ)との共重合体は、誘電体用複合粒子(A)の分散安定性や後述するアルカリ現像液への溶解性の観点から特に好ましい。この共重合体におけるモノマー(イ)に由来する共重合成分単位の含有率は、好ましくは1〜50質量%、特に好ましくは5〜30質量%であり、モノマー(ロ)に由来する共重合成分単位の含有率は、好ましくは1〜50質量%、特に好ましくは5〜30質量%であり、モノマー(ハ)に由来する共重合成分単位の含有率は、好ましくは1〜98質量%、特に好ましくは40〜90質量%である。また、モノマー(ロ)成分としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピルなどの水酸基含有モノマー類が好ましい。
【0037】
感光性組成物を構成するアルカリ可溶性樹脂(B)の分子量は、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量(以下、単に「重量平均分子量(Mw)」ともいう)で、5,000〜5,000,000、好ましくは10,000〜300,000であることが望ましい。
感光性組成物におけるアルカリ可溶性樹脂(B)の含有割合は、誘電体用複合粒子(A)100質量部に対して、通常5〜500質量部、好ましくは10〜500質量部、特に好ましくは10〜200質量部であることが望ましい。なお、感光性転写フィルム中に、たとえばポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、エポキシ樹脂などのアルカリ可溶性樹脂以外の樹脂を含有してもよい。
(C)エチレン性不飽和基含有化合物
感光性組成物を構成するエチレン性不飽和基含有化合物(C)は、エチレン性不飽和基を含有し、後述する光重合開始剤により、ラジカル重合反応し得る化合物である限り特に限定はされないが、通常、(メタ)アクリレート化合物が用いられる。
【0038】
かかる(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、
エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート類;両末端ヒドロキシポリブタジエン、両末端ヒドロキシポリイソプレン、両末端ヒドロキシポリカプロラクトンなどの両末端ヒドロキシル化重合体のジ(メタ)アクリレート類;グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールアルカン、テトラメチロールアルカン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類;3価以上の多価アルコールのポリアルキレングリコール付加物のポリ(メタ)アクリレート類;1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ベンゼンジオール類などの環式ポリオールのポリ(メタ)アクリレート類;
ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、アルキド樹脂(メタ)アクリレート、シリコーン樹脂(メタ)アクリレート、スピラン樹脂(メタ)アクリレート等のオリゴ(メタ)アクリレート類などを挙げることができる。なお、(メタ)アクリレート化合物としては、上記した化合物以外に、前述したアルカリ可溶性樹脂(B)を構成するモノマー(イ)、(ロ)および(ハ)に示された化合物を使用してもよい。
【0039】
これらの(メタ)アクリレート化合物を含むエチレン性不飽和基含有化合物(C)は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができ、通常、前述のアルカリ可溶性樹脂(B)100質量部に対して20〜500質量部、好ましくは40〜250質量部、より好ましくは40〜200質量部の量で用いられる。
(D)光重合開始剤
感光性組成物を構成する光重合開始剤(D)としては、後述する露光工程においてラジカルを発生し、前述したエチレン性不飽和基含有化合物(C)の重合反応を開始せしめる化合物である限り特に限定はされない。
【0040】
かかる光重合開始剤(D)の具体例としては、
ベンジル、ベンゾイン、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、カンファーキノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−メチル−〔4’−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントンなどのカルボニル化合物;
ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイドなどのホスフィンオキサイド化合物;
アゾイソブチロニトリル、4−アジドベンズアルデヒドなどのアゾ化合物あるいはアジド化合物;
メルカプタンジスルフィドなどの有機硫黄化合物;
ベンゾイルパーオキシド、ジ−tert−ブチルパーオキシド、tert−ブチルハイドロパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、パラメタンハイドロパーオキシドなどの有機パーオキシド;
2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(2’−クロロフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔2−(2−フラニル)エチレニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、などのトリハロメタン類;
2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル1,2’−ビイミダゾールなどのイミダゾール二量体;
などを挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。また、このような光重合開始剤(D)とともに、増感剤、増感助剤、水素供与体、連鎖移動剤等を併用してもよい。
【0041】
光重合開始剤(D)の含有割合としては、前記アルカリ可溶性樹脂(B)とエチレン性不飽和基含有化合物(C)の合計量100質量部に対して、通常、0.1〜100質量部であり、好ましくは1〜50質量部であることが望ましい。
(E)溶剤
感光性組成物には、必要に応じて、溶剤(E)が含有される。上記溶剤(E)としては、誘電体用複合粒子(A)との親和性、ならびにアルカリ可溶性樹脂(B)、エチレン性不飽和基含有化合物(C)、光重合開始剤(D)および必要に応じて含有される後述の各種添加剤(F)との溶解性が良好で、感光性組成物に適度な粘性を付与することができ、乾燥させることによって容易に蒸発除去できるものであることが好ましい。
【0042】
かかる溶剤の具体例としては、ジエチルケトン、メチルブチルケトン、ジプロピルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;
n−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、シクロヘキサノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール類;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル系アルコール類;
酢酸−n−ブチル、酢酸アミルなどの飽和脂肪族モノカルボン酸アルキルエステル類;
乳酸エチル、乳酸−n−ブチルなどの乳酸エステル類;
メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネートなどのエーテル系エステル類;
などを例示することができ、これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0043】
感光性組成物における溶剤(E)の含有割合としては、良好な感光性転写層形成性能(流動性または可塑性)が得られる範囲内において適宜選択することができるが、通常、誘電体用複合粒子(A)100質量部に対して、1〜10,000質量部であり、好ましくは10〜1,000質量部であることが望ましい。
(F)各種添加剤
感光性転写フィルムを構成する感光性組成物には、上記(A)〜(E)成分のほかに、可塑剤、接着助剤、分散剤、充填剤、保存安定剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、レベリング剤、現像促進剤などの各種添加剤が任意成分として含有されていてもよい。
▲1▼可塑剤
可塑剤は、形成される感光性転写層に良好な可撓性を発現させるために添加される。具体的には、下記式(1)または(2)で表される化合物が、熱により容易に分解除去され、得られるパターンの性能に悪影響を及ぼさないため、好ましく用いられる。
【0044】
【化1】
【0045】
(式中、R1 およびR4 は、それぞれ、同一または異なる炭素数1〜30のアルキル基を示し、R2 およびR3 は、それぞれ、同一または異なるメチレン基または炭素数2〜30のアルキレン基を示し、sは0〜5の整数であり、tは1〜10の整数である。)
【0046】
【化2】
【0047】
(式中、R5 は炭素数1〜30の炭化水素基を示す。)
上記式(1)において、R1 またはR4 で示されるアルキル基、並びにR2 またはR3 で示されるアルキレン基は、直鎖状であっても分岐状であってもよく、また、飽和基であっても不飽和基であってもよい。R1 またはR4 で示されるアルキル基の炭素数は、1〜30であり、好ましくは2〜20、さらに好ましくは4〜10であることが望ましい。R2 またはR3 で示されるアルキレン基の炭素数は、2〜30であり、好ましくは2〜20、さらに好ましくは4〜10とされることが望ましい。当該アルキル基およびアルキレン基の炭素数が30を超える場合には、溶剤に対する可塑剤の溶解性が低下し、転写フィルムの良好な可撓性が得られない場合がある。
【0048】
上記式(1)で示される化合物の具体例としては、ジブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート、ジブチルセバケート、ジブチルジグリコールアジペートなどが挙げられる。好ましくは、tが2〜6で表される化合物である。
上記式(2)において、R5 で示される炭化水素基は、直鎖状であっても分岐状であってもよく、また、飽和基であっても不飽和基であってもよい。R5 で示される炭化水素基は、炭素数が、1〜30、好ましくは2〜20、さらに好ましくは10〜18であることが好ましく、また、特にアルキル基またはアルケニル基であることが好ましい。
【0049】
上記式(2)で示される化合物の具体例としては、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールモノオレートなどが挙げられる。
感光性組成物における可塑剤の含有割合としては、誘電体用複合粒子(A)100重量部に対して、0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量部であることが望ましい。
▲2▼接着助剤
接着助剤としては、下記式(3)で示される化合物などのシランカップリング剤〔飽和アルキル基含有(アルキル)アルコキシシラン〕が好適に用いられる。
【0050】
【化3】
【0051】
(式中、pは3〜20の整数、mは1〜3の整数、nは1〜3の整数、aは1〜3の整数である。)
上記式(3)において、飽和アルキル基の炭素数を示すpは3〜20の整数とされ、好ましくは4〜16の整数とされる。
上記式(3)で示されるシランカップリング剤の具体例としては、n−プロピルジメチルメトキシシラン、n−ブチルジメチルメトキシシラン、n−デシルジメチルメトキシシラン、n−ヘキサデシルジメチルメトキシシラン、n−イコサンジメチルメトキシシランなどの飽和アルキルジメチルメトキシシラン類(a=1,m=1,n=1);
n−プロピルジエチルメトキシシラン、n−ブチルジエチルメトキシシラン、n−デシルジエチルメトキシシラン、n−ヘキサデシルジエチルメトキシシラン、n−イコサンジエチルメトキシシランなどの飽和アルキルジエチルメトキシシラン類(a=1,m=1,n=2);
n−ブチルジプロピルメトキシシラン、n−デシルジプロピルメトキシシラン、n−ヘキサデシルジプロピルメトキシシラン、n−イコサンジプロピルメトキシシランなどの飽和アルキルジプロピルメトキシシラン類(a=1,m=1,n=3);
n−プロピルジメチルエトキシシラン、n−ブチルジメチルエトキシシラン、n−デシルジメチルエトキシシラン、n−ヘキサデシルジメチルエトキシシラン、n−イコサンジメチルエトキシシランなどの飽和アルキルジメチルエトキシシラン類(a=1,m=2,n=1);
n−プロピルジエチルエトキシシラン、n−ブチルジエチルエトキシシラン、n−デシルジエチルエトキシシラン、n−ヘキサデシルジエチルエトキシシラン、n−イコサンジエチルエトキシシランなどの飽和アルキルジエチルエトキシシラン類(a=1,m=2,n=2);
n−ブチルジプロピルエトキシシラン、n−デシルジプロピルエトキシシラン、n−ヘキサデシルジプロピルエトキシシラン、n−イコサンジプロピルエトキシシランなどの飽和アルキルジプロピルエトキシシラン類(a=1,m=2,n=3);
n−プロピルジメチルプロポキシシラン、n−ブチルジメチルプロポキシシラン、n−デシルジメチルプロポキシシラン、n−ヘキサデシルジメチルプロポキシシラン、n−イコサンジメチルプロポキシシランなどの飽和アルキルジメチルプロポキシシラン類(a=1,m=3,n=1);
n−プロピルジエチルプロポキシシラン、n−ブチルジエチルプロポキシシラン、n−デシルジエチルプロポキシシラン、n−ヘキサデシルジエチルプロポキシシラン、n−イコサンジエチルプロポキシシランなどの飽和アルキルジエチルプロポキシシラン類(a=1,m=3,n=2);
n−ブチルジプロピルプロポキシシラン、n−デシルジプロピルプロポキシシラン、n−ヘキサデシルジプロピルプロポキシシラン、n−イコサンジプロピルプロポキシシランなどの飽和アルキルジプロピルプロポキシシラン類(a=1,m=3,n=3);
n−プロピルメチルジメトキシシラン、n−ブチルメチルジメトキシシラン、n−デシルメチルジメトキシシラン、n−ヘキサデシルメチルジメトキシシラン、n−イコサンメチルジメトキシシランなどの飽和アルキルメチルジメトキシシラン類(a=2,m=1,n=1);
n−プロピルエチルジメトキシシラン、n−ブチルエチルジメトキシシラン、n−デシルエチルジメトキシシラン、n−ヘキサデシルエチルジメトキシシラン、n−イコサンエチルジメトキシシランなどの飽和アルキルエチルジメトキシシラン類(a=2,m=1,n=2);
n−ブチルプロピルジメトキシシラン、n−デシルプロピルジメトキシシラン、n−ヘキサデシルプロピルジメトキシシラン、n−イコサンプロピルジメトキシシランなどの飽和アルキルプロピルジメトキシシラン類(a=2,m=1,n=3)
n−プロピルメチルジエトキシシラン、n−ブチルメチルジエトキシシラン、n−デシルメチルジエトキシシラン、n−ヘキサデシルメチルジエトキシシラン、n−イコサンメチルジエトキシシランなどの飽和アルキルメチルジエトキシシラン類(a=2,m=2,n=1);
n−プロピルエチルジエトキシシラン、n−ブチルエチルジエトキシシラン、n−デシルエチルジエトキシシラン、n−ヘキサデシルエチルジエトキシシラン、n−イコサンエチルジエトキシシランなどの飽和アルキルエチルジエトキシシラン類(a=2,m=2,n=2);
n−ブチルプロピルジエトキシシラン、n−デシルプロピルジエトキシシラン、n−ヘキサデシルプロピルジエトキシシラン、n−イコサンプロピルジエトキシシランなどの飽和アルキルプロピルジエトキシシラン類(a=2,m=2,n=3);
n−プロピルメチルジプロポキシシラン、n−ブチルメチルジプロポキシシラン、n−デシルメチルジプロポキシシラン、n−ヘキサデシルメチルジプロポキシシラン、n−イコサンメチルジプロポキシシランなどの飽和アルキルメチルジプロポキシシラン類 (a=2,m=3,n=1);
n−プロピルエチルジプロポキシシラン、n−ブチルエチルジプロポキシシラン、n−デシルエチルジプロポキシシラン、n−ヘキサデシルエチルジプロポキシシラン、n−イコサンエチルジプロポキシシランなどの飽和アルキルエチルジプロポキシシラン類 (a=2,m=3,n=2);
n−ブチルプロピルジプロポキシシラン、n−デシルプロピルジプロポキシシラン、n−ヘキサデシルプロピルジプロポキシシラン、n−イコサンプロピルジプロポキシシランなどの飽和アルキルプロピルジプロポキシシラン類(a=2,m=3,n=3);
n−プロピルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−イコサントリメトキシシランなどの飽和アルキルトリメトキシシラン類(a=3,m=1);
n−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、n−ヘキサデシルトリエトキシシラン、n−イコサントリエトキシシランなどの飽和アルキルトリエトキシシラン類(a=3,m=2);
n−プロピルトリプロポキシシラン、n−ブチルトリプロポキシシラン、n−デシルトリプロポキシシラン、n−ヘキサデシルトリプロポキシシラン、n−イコサントリプロポキシシランなどの飽和アルキルトリプロポキシシラン類(a=3,m=3)などを挙げることができ、これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0052】
これらのうち、n−ブチルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−デシルジメチルメトキシシラン、n−ヘキサデシルジメチルメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、n−ヘキサデシルトリエトキシシラン、n−デシルエチルジエトキシシラン、n−ヘキサデシルエチルジエトキシシラン、n−ブチルトリプロポキシシラン、n−デシルトリプロポキシシラン、n−ヘキサデシルトリプロポキシシランなどが特に好ましい。
【0053】
感光性組成物における接着助剤の含有割合としては、誘電体用複合粒子(A)100重量部に対して、0.001〜10重量部、好ましくは0.001〜5重量部であることが望ましい。
▲3▼分散剤
誘電体用複合粒子(A)の分散剤としては、脂肪酸が好ましく用いられ、特に、炭素数3〜30、好ましくは炭素数4〜30、さらに好ましくは4〜20の脂肪酸が好ましい。上記脂肪酸の好ましい具体例としては、
マロン酸、オクタン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ペンタデカン酸、ステアリン酸、アラキン酸等の飽和脂肪酸;
フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、エライジン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸;
フタル酸等の芳香族脂肪酸;
などを挙げることができ、これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0054】
感光性組成物における分散剤の含有割合としては、誘電体用複合粒子(A)100重量部に対して、0.001〜10重量部、好ましくは0.01〜5重量部であることが望ましい。
▲4▼充填剤
本発明の感光性転写フィルムを構成する感光性組成物は、(A)〜(E)成分の他に、さらに、充填剤を含有することができる。このような充填剤として、誘電率を向上させる添加剤としては、たとえばカーボン微粉(例:アセチレンブラック、ケッチェンブラックなど)、黒鉛微粉などの導電性微粒子、たとえば炭化ケイ素微粉などの半導体性の微粒子などが挙げられる。これらの誘電率向上用の充填剤を添加する場合には、誘電体用複合粒子(A)に対し、好ましくは0〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜10重量%、特に好ましくは1〜5重量%の量で使用することが望ましい。
【0055】
[誘電体]
上記感光性転写フィルムを用いることにより、500℃以下の加熱で、誘電率が30以上、誘電正接が0.1以下の誘電体を形成することができる。以下、本発明の誘電体の形成方法および誘電体の物性について詳述する。
<誘電体層パターンの形成方法>
本発明の感光性転写フィルムを用いたパターンの形成方法は、〔1〕感光性転写層の転写工程、〔2〕感光性転写層の露光工程、〔3〕感光性転写層の現像工程、〔4〕感光性転写層パターンの焼成工程の各工程を有する。
〔1〕感光性転写層の転写工程
転写工程では、本発明の感光性転写フィルムを使用し、当該感光性転写フィルムを構成する感光性転写層を基板上に転写する。
【0056】
基板材料としては、例えばプリント基板、ガラス、シリコーン、アルミナなどからなる板状部材が用いられる。この板状部材の表面に予め所望のパターンを形成したものを用いても差し支えない。基板表面に対しては、必要に応じて、シランカップリング剤などによる薬品処理;プラズマ処理;イオンプレーティング法、スパッタリング法、気相反応法、真空蒸着法などによる薄膜形成処理のような前処理を適宜施していてもよい。
【0057】
転写工程の一例を示せば以下のとおりである。必要に応じて使用される感光性転写フィルムの保護フィルムを剥離した後、基板上に、感光性転写層の表面が当接されるように感光性転写フィルムを重ね合わせ、この感光性転写フィルムを加熱ローラなどにより熱圧着する。これにより、基板上に感光性転写層が転写されて密着した状態となる。ここで、転写条件としては、例えば、加熱ローラの表面温度が20〜140℃、加熱ローラによるロール圧が1〜5kg/cm2 、加熱ローラの移動速度が0.1〜10.0m/分であるような条件を示すことができる。また、基板は予熱されていてもよく、予熱温度としては例えば40〜100℃とすることができる。
〔2〕感光性転写層の露光工程
露光工程においては、感光性転写層の表面に、露光用マスクを介して、放射線を選択的照射(露光)して、感光性転写層のパターンの潜像を形成する。なお、感光性転写層上の支持フィルムは露光工程の前に剥離除去してもよく、また、露光工程の後、後述する現像工程の前に剥離除去してもよい。感度上昇の観点から、感光性転写層上の支持フィルムは露光工程の後、後述する現像工程の前に剥離除去することが好ましい。
【0058】
露光工程において選択的照射(露光)される放射線としては、たとえば可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線あるいはX線等が挙げられ、好ましくは可視光線、紫外線および遠紫外線が、さらに好ましくは紫外線が用いられる。
露光用マスクの露光パターンは目的によって異なるが、例えば、10〜1000μm幅のドットパターンが用いられる。
【0059】
放射線照射装置としては、たとえばフォトリソグラフィー法で使用されている紫外線照射装置、半導体および液晶表示装置を製造する際に使用されている露光装置などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
〔3〕感光性転写層の現像工程
現像工程においては、露光された感光性転写層を現像処理することにより、感光性転写層のパターン(潜像)を顕在化させる。
【0060】
感光性転写層の現像工程で使用される現像液としては、アルカリ現像液を使用することができる。これにより、感光性転写層に含有されるアルカリ可溶性樹脂を容易に溶解除去することができる。
なお、感光性転写層に含有される誘電体用複合粒子は、アルカリ可溶性樹脂により均一に分散されているため、バインダーであるアルカリ可溶性樹脂を溶解させ、洗浄することにより、誘電体用複合粒子も同時に除去される。
【0061】
アルカリ現像液の有効成分としては、例えば
水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、アンモニアなどの無機アルカリ性化合物;
テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エタノールアミンなどの有機アルカリ性化合物;
などを挙げることができる。
【0062】
感光性転写層の現像工程で使用されるアルカリ現像液は、前記アルカリ性化合物の1種または2種以上を水などの溶媒に溶解させることにより調製することができる。ここに、アルカリ性現像液におけるアルカリ性化合物の濃度は、通常0.001〜10質量%であり、好ましくは0.01〜5質量%である。アルカリ現像液には、ノニオン系界面活性剤または有機溶剤などの添加剤が含有されていてもよい。
【0063】
なお、アルカリ現像液による現像処理がなされた後は、通常、水洗処理が施される。また、必要に応じて現像処理後に感光性転写層パターン側面および基板露出部に残存する不要分を擦り取る工程を含んでもよい。
現像処理条件としては、現像液の種類・組成・濃度、現像時間、現像温度、現像方法(例えば浸漬法、揺動法、シャワー法、スプレー法、パドル法)、現像装置などを目的に応じて適宜選択することができる。
【0064】
この現像工程により、感光性転写層残留部と、感光性転写層除去部とから構成される感光性転写層パターン(露光用マスクに対応するパターン)が形成される。
〔4〕感光性転写層パターンの硬化工程
この工程においては、誘電体層パターンを熱硬化処理して、パターンを形成する。このような加熱温度は、500℃以下で行うことが可能であり、好ましくは100〜500℃、さらに好ましくは150〜300℃で行うことが望ましい。加熱時間は、好ましくは1分〜24時間、さらに好ましくは10分〜12時間の範囲で行うことが望ましい。
【0065】
感光性転写層を加熱して硬化する場合、加熱方法としては、たとえば、オーブン、赤外線ランプ、ホットプレート等により加熱することができる。
<誘電体の物性>
このような本発明の感光性転写フィルムから得られる誘電体は、誘電率が30以上、好ましくは100以上、さらに好ましくは150以上、特に好ましくは200以上であることが望ましい。誘電率の上限は特に限定されないが、たとえば30000程度であってもよい。また、誘電正接が0.1以下、好ましくは0.08以下、さらに好ましくは0.06以下であることが望ましい。誘電正接の下限は特に限定されないが、たとえば0.001程度であってもよい。
【0066】
なお、本明細書において、誘電率、誘電正接は、JIS K6481(周波数1MHz)に記載の方法により測定した値である。
また、このような誘電体の体積抵抗率は好ましくは1011Ω・cm以上、より好ましくは1012Ω・cm以上のものとすることができる。
なお、この誘電体の厚さは、好ましくは100μm以下、より好ましくは30μm以下であることが望ましい。フィルム厚さの下限は特に限定されないが、通常は1μm以上である。
【0067】
[電子部品]
本発明の誘電体は、500℃以下という低い温度で加熱焼成して得ることができ、誘電率が30以上かつ誘電正接が0.1以下であり、薄膜で静電容量の大きなコンデンサ等を形成することができる。また、この誘電体を備えたプリント回路基板、半導体パッケージ、コンデンサ、高周波用アンテナ等の電子部品は、小型でかつ高密度のものとすることができる。
【0068】
【発明の効果】
本発明に係る感光性転写フィルムを用いると、前記のように500℃以下という低い加熱温度で、しかも0.1以下という低い誘電正接かつ30以上という高い誘電率の誘電体を形成することができる。
本発明の誘電体は、薄膜で高誘電率であるので、プリント回路基板、半導体パッケージ、コンデンサ、高周波用アンテナ等の電子部品等において好適に利用される。
【0069】
本発明の電子部品は、前記誘電体を備えることから、小型化、薄膜化することができる。
【0070】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、以下において「部」は「質量部」を示す。
また、重量平均分子量(Mw)は、東ソー株式会社製ゲルパーミィエーションクロマトグラフィー(GPC)(商品名HLC−802A)により測定したポリスチレン換算の平均分子量である。
【0071】
【実施例1】
(1)誘電体用複合粒子の製造
チタン酸バリウム粒子(商品名「HPBT−1」、富士チタン株式会社製、平均粒子径0.6μm、誘電率2000)を無電解銀メッキ法により表面に銀をコートして、誘電体用複合粒子(a)を得た。
【0072】
得られた粉体のSEM(走査形電子顕微鏡)観察から、粒子表面に銀の微粒子が部分的に付着していることを確認した。また、SIMS(二次イオン形質量分析法)によりチタン酸バリウム表面に銀が重量比換算で10%付着していることを確認した。一方、粉末の比表面積は3.8m2/gであった。
(2)感光性組成物の調製
(A)誘電体用複合粒子として、前記誘電体用複合粒子(a)100部、(B)アルカリ可溶性樹脂として、メタクリル酸n−ブチル/メタクリル酸3−ヒドロキシプロピル/メタクリル酸=60/20/20(質量%)共重合体(Mw=50,000)20部、(C)エチレン性不飽和基含有化合物として、トリメチロールプロパントリアクリレート10部、(D)光重合開始剤として、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン2部、(E)溶剤として、プロピレングリコールモノメチルエーテル100部および(F)分散剤としてオレイン酸1部、充填剤としてアセチレンブラック0.5部をビーズミルで混練りした後、ステンレスメッシュ(500メッシュ)でフィルタリングすることにより、感光性組成物を調製した。
(3)感光性転写フィルムの作製
下記(イ)の操作により、感光性転写層が支持フィルム上に形成されてなる本発明の感光性転写フィルムを作製した。
(イ)上記のようにして得られた感光性組成物を予め離型処理したPETフィルムよりなる支持フィルム(幅200mm、長さ30m、厚さ38μm)上にブレードコーターを用いて塗布し、塗膜を100℃で5分間乾燥して溶剤を完全に除去し、厚さ20μmの感光性樹脂層を支持フィルム上に形成した。
(4)感光性転写層の転写工程
プリント配線基板の表面に、感光性転写層の表面が当接されるように感光性転写フィルムを重ね合わせ、この感光性転写フィルムを加熱ローラにより熱圧着した。ここで、圧着条件としては、加熱ローラの表面温度を120℃、ロール圧を4kg/cm2 、加熱ローラの移動速度を0.5m/分とした。これにより、ガラス基板の表面に感光性転写層が転写されて密着した状態となった。この感光性転写層について膜厚を測定したところ、20μm±1μmの範囲にあった。
(5)誘電体層の露光工程・現像工程
感光性転写層に対して、露光用マスク(500μm角のドットパターン)を介して、超高圧水銀灯により、i線(波長365nmの紫外線)を照射した。ここに、照射量は400mJ/cm2とした。
【0073】
露光工程の終了後、露光処理された感光性転写層に対して、0.5質量%の炭酸ナトリウム水溶液(30℃)を現像液とするシャワー法による現像処理を1分かけて行った。次いで超純水による水洗処理を行い、これにより、紫外線が照射されていない未硬化の感光性転写層を除去し、パターンを形成した。
(6)誘電体層パターンの硬化工程:
感光性転写層パターンが形成されたプリント配線基板をオーブン内で200℃の温度雰囲気下で30分間にわたり硬化処理を行った。これにより、プリント配線基板の表面に誘電体パターンが得られた。
【0074】
得られた誘電体パターンのパターニング特性および誘電体特性については、後述の方法により評価した。結果を表1に示す。
【0075】
【実施例2】
(B)アルカリ可溶性樹脂として、メタクリル酸n−ブチル/メタクリル酸3−ヒドロキシプロピル/メタクリル酸=60/20/20(質量%)共重合体(Mw=100,000)10部、(C)エチレン性不飽和基含有化合物として、トリメチロールプロパントリアクリレート5部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、感光性組成物を調製した。当該感光性組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、厚さ20μmの感光性転写層を有する感光性転写フィルムを形成後、転写・露光・現像・硬化工程を行い、誘電体パターンを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
【0076】
【実施例3】
チタン酸バリウム粒子(商品名「BT−02」、堺化学株式会社製、平均粒子径0.2μm、誘電率2000)を無電解銀メッキ法により表面に銀をコートして、誘電体用複合粒子(b)を得た。
得られた粉体のSEM観察から、粒子表面に銀の微粒子が部分的に付着していることを確認した。また、SIMSによりチタン酸バリウム表面に銀が重量比換算で20%付着していることを確認した。一方、粉末の比表面積は4.0m2/gであった。
【0077】
(A)誘電体用複合粒子として、前記誘電体用複合粒子(b)100部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、感光性組成物を調製した。当該感光性組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、厚さ20μmの感光性誘電体層を有する感光性フィルムを形成後、転写・露光・現像・硬化工程を行い、誘電体パターンを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
【0078】
【実施例4】
チタン酸カルシウム粒子(平均粒子径2μm、誘電率140)を無電解リン−ニッケルメッキ法により表面にニッケルをコートして、誘電体用複合粒子(c)を得た。
得られた粉体のSEM観察から、粒子表面にニッケルの微粒子が部分的に付着していることを確認した。また、SIMSによりチタン酸カルシウム表面にニッケルが重量比換算で10%付着していることを確認した。一方、粉末の比表面積は2.0m2/gであった。
【0079】
(A)誘電体用複合粒子として、前記誘電体用複合粒子(c)100部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、感光性組成物を調製した。当該感光性組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、厚さ20μmの感光性誘電体層を有する感光性転写フィルムを形成後、転写・露光・現像・硬化工程を行い、誘電体パターンを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
【0080】
【参考例1】
(C)エチレン性不飽和基含有化合物として、トリメチロールプロパントリアクリレート1部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、感光性組成物を調製した。当該感光性組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、厚さ20μmの感光性誘電体層を有する感光性転写フィルムを形成後、転写・露光・現像・硬化工程を行い、誘電体パターンを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
【0081】
【参考例2】
(C)エチレン性不飽和基含有化合物として、トリメチロールプロパントリアクリレート50部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、感光性組成物を調製した。当該感光性組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、厚さ20μmの感光性誘電体層を有する感光性フィルムを形成後、転写・露光・現像・硬化工程を行い、誘電体パターンを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
【0082】
【参考例3】
(B)アルカリ可溶性樹脂として、メタクリル酸n−ブチル/メタクリル酸3−ヒドロキシプロピル/メタクリル酸=60/20/20(質量%)共重合体(Mw=100,000)3部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、感光性組成物を調製した。当該感光性組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、厚さ20μmの感光性誘電体層を有する感光性フィルムを形成後、基板上に転写したが転写不良となった。結果を表1に示す。
〔転写性〕
感光性フィルムをプリント配線基板の表面に転写した際、転写が良好であった場合を○、転写不良が生じた場合を×として評価した。
〔パターニング特性〕
得られた誘電体パターンについて、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、当該誘電体パターンの幅および高さの測定を行い、幅の精度について、500μm±10μmの範囲にあるものを○、それ以外のものを×として評価した。また、パターンの欠落についての観察を行い、欠落のないものについて○、欠落のあるものについて×として評価した。
〔誘電率、誘電正接および体積抵抗率〕
JIS K6481に準拠して測定した。
【0083】
誘電率、誘電正接は周波数1MHzの測定値である。
〔耐湿熱性(HAST試験)〕
硬化フィルムについて、121℃、湿度100%、2気圧の条件下で、72時間耐湿熱性試験を行って、試験の前後で赤外線分光測定を実施し、その変化の程度により、耐湿熱性を下記基準で評価した。
【0084】
○・・・変化がなく耐性が認められる
×・・・変化が大きく耐性が認められない
【0085】
【表1】
Claims (9)
- (A)誘電率が30以上である無機粒子の表面の一部に、導電性の金属もしくはその化合物または導電性の有機化合物もしくは導電性の無機物が付着された誘電体用複合粒子、
(B)アルカリ可溶性樹脂、
(C)エチレン性不飽和基含有化合物、および
(D)光重合開始剤を含有し、かつ膜厚が5〜100μmである感光性転写層が、
支持フィルム上に設けられていることを特徴とする感光性転写フィルム。 - 500℃以下の加熱で、誘電率が30以上、誘電正接が0.1以下の誘電体を形成することが可能であることを特徴とする請求項1に記載の感光性転写フィルム。
- 前記誘電体用複合粒子(A)を構成する無機粒子が、チタン系金属酸化物であることを特徴とする請求項1または2に記載の感光性転写フィルム。
- 前記誘電体用複合粒子(A)において、導電性の金属もしくはその化合物または導電性の有機化合物もしくは導電性の無機物が、無電解メッキ法により付着されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の感光性転写フィルム。
- 前記アルカリ可溶性樹脂(B)が、(メタ)アクリル系樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂、ノボラック樹脂またはポリエステル樹脂のいずれかであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の感光性転写フィルム。
- 前記エチレン性不飽和基含有化合物(C)が、(メタ)アクリレート化合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の感光性転写フィルム。
- 前記エチレン性不飽和基含有化合物(C)が、アルカリ可溶性樹脂(B)100質量部に対して20〜500質量部の範囲で含まれていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の感光性転写フィルム。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の感光性転写フィルムを500℃以下で加熱して硬化させることにより形成される、誘電率が30以上、誘電正接が0.1以下であることを特徴とする誘電体。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の感光性転写フィルムを用いて形成されることを特徴とする電子部品。
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