JP4560742B2 - 磁性構造体の芯部材 - Google Patents

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Description

本発明は、磁性構造体の芯部材に関する。
磁性構造体の芯部材は、例えば、モータや変圧器等のコア材として用いられるものであり、使用に際して、渦電流による損失が発生することが知られている。渦電流は、導電性の強磁性材料に交流磁界を印加させることにより発生するものであり、この渦電流によるジュール熱を渦電流損失といい、モータにおいては出力の損失分となる。また、芯部材に導線を巻き付けて使用する場合には、渦電流損失による発熱量が多くなると、導線の絶縁被覆材が熱劣化する。
一般に、薄板における単位時間、単位体積当たりの渦電流損失Wは、交流磁界の周波数をf、板厚をD、最大磁束密度をB、電気抵抗をρ、定数(=π/6)をkとした場合に、W=k /ρとして表される。すなわち、材質が同一の場合には、厚みを薄くすると渦電流損失は小さくなる。このため、従来の芯部材では、鋼材として、厚みが薄い鋼板を積層し、それぞれの鋼板間を絶縁した積層鋼板が使用される。
このような積層鋼板は、積層鋼板の上下面やそれぞれの鋼板の側面は絶縁されていないため、磁性構造体の芯部材として使用し、導線を巻き付ける場合には、導線によって鋼板間が導通され、渦電流損失が大きくなっていた。このため、これまで鋼板及び積層鋼板に対し、様々な絶縁処理の技術について検討されてきた。
絶縁処理の技術としては、ポリアミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合物、または合成ゴムの1種または2種以上を混合したもの、更にこれらに熱硬化性樹脂の1種または2種以上を添加したものを溶剤で溶解した処理液を、鋼板にロールまたはスプレーにて連続的に塗布し、乾燥炉で乾燥後、コイルに巻き取る技術(例えば、特許文献1参照)が開示されている。
また、アクリル系樹脂エマルジョンと水溶性スチレン−マレイン酸共重合物との混合液を、鋼板にロールコートあるいはスプレーにて連続的に均一に塗布し、塗膜を不完全状態に焼き付ける技術(例えば、特許文献2参照)や、表面を加熱すると接着能を発揮する皮膜が表面に施されている鋼板を積層してコアを製造するに際し、鋼板を加工し、積層する直後或いは直前に、局部加熱手段により主に前記皮膜を加熱し、皮膜の接着能を発揮させ、鋼板積層間を全体あるいは部分的に接着させ、コアを一体化させる技術(例えば、特許文献3参照)も提案されている。
さらには、薄肉の電磁鋼板を多数積層してなる円筒状コアにその複数のスロットを通して多数の巻線を巻き付けてなるステータを具備する電動モータにおいて、上記円筒状コアを溶融状態の絶縁剤に浸漬することによってその表面に上記絶縁剤からなる被膜を形成した技術(例えば、特許文献4参照)についても検討されている。
特公昭49−33491号公報 特公昭55−9815号公報 特開平10−261535号公報 特開平11−206076号公報
特許文献1〜4に記載されたような鋼板または積層鋼板に樹脂の絶縁性被膜を形成させる技術では、鋼板と樹脂の絶縁性被膜とは、鋼板の表面の凹凸への樹脂のアンカー効果による物理的な結合力で結合している。このため、鋼板に機械的応力が加わった場合には絶縁性被膜が剥がれ易いという問題があった。特に、磁性構造体の芯部材をモータのコア材等に適用し、導線を巻き付けてコイルを設ける場合では、巻き付けの際に絶縁性被膜に導線が接触して応力が加わり、絶縁性被膜が剥離する虞があった。
また、絶縁性被膜の機械的強度を向上させるために、例えば、シリカの粒子とエポキシ樹脂とからなる複合材料の粒子を、0.5mm程度の厚みで焼付け塗装して絶縁層を形成する方法や、積層鋼板の上下方向から、0.8mm程度の厚みを有するガラス繊維で強化された66ナイロン樹脂部品を圧入する方法が試みられている。
しかし、一般に、磁性構造体の芯部材に導線を巻き付け、電流を流して磁界を発生させる場合には、導線を高密度で巻き付けた方が磁界は大きくなる。すなわち、絶縁性被膜の厚みを薄くした方が、導線を巻き付けたコイルとしての実装体積が大きくなり、磁界が大きくなる。また、導線から発生した磁界は、絶縁性被膜の厚みが薄い方が効率よく磁性構造体の芯部材に伝達される。このため、磁性構造体の芯部材を、例えばモータのコア材に使用する場合には、絶縁性被膜の厚みが薄い方がモータの出力は向上する。したがって、上記方法のように、芯部材と導線との間に0.5mm〜0.8mm程度の厚みの非磁性層を形成した場合には、芯部材に導線を高密度で巻き付けることができなくなり、発生する磁界が低減すると共に、発生した磁界は磁性構造体の芯部材に伝達され難くなるため、例えば、モータ等に適用した場合にはその出力が低下するという問題があった。
また、このような絶縁層は、機械的強度を向上させるためにシリカ粒子やガラス繊維のような硬い物質を混合しているため、導線を巻き付ける際に硬い物質によって導線の絶縁被覆材に影響を与える虞もあった。
一方、積層鋼板は、磁性構造体の芯部材として、直接大気に晒されて使用されるため、大気中の水蒸気等によって腐食されるという問題もあった。このような問題については、樹脂の絶縁性被膜やシリカの粒子とエポキシ樹脂とからなる複合材料の粒子の焼付け塗装した絶縁層では、ピンホール等の構造的な欠陥を有する。また、ガラス繊維で強化された66ナイロン樹脂部品を圧入する方法では、66ナイロン樹脂自体が水蒸気の透過性を有すると共に、積層鋼板と圧入した樹脂部品との間隙から水蒸気等が浸透する。このため、従来の被膜では耐食性は不十分であった。
本発明は上記問題に鑑みて案出されたものであり、剥離し難い絶縁性被膜を有すると共に、耐食性を有する磁性構造体の芯部材を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するための本発明に係る磁性構造体の芯部材の第1特徴構成は、鋼材の表面に、極性基を有する電気絶縁性油の被膜を備え、前記極性基が前記鋼材とカップリング剤を介して結合され、前記カップリング剤が、イミダゾール基とアルコキシシリル基とを有する化合物であるシラン系カップリング剤である点にある。
つまり、この構成によれば、鋼材を電気絶縁性油の膜で被覆することができるため、電気絶縁性を確保することができる。
電気絶縁性油の被膜は、鋼材とカップリング剤を介して結合しているため、電気絶縁性油の被膜と鋼材との結合強度を高めることができ、鋼材から電気絶縁性油の被膜が剥がれ難くすることができる。このため、磁性構造体の芯部材をモータのコア材等に適用し、導線を巻き付けてコイルを設ける場合には、巻き付けの際に電気絶縁性油の被膜に応力が加わったとしても、電気絶縁性油の被膜は剥がれることを防止できる。また、巻き付けの際の導線に対する応力においても、電気絶縁性油の被膜が変形することによって吸収されるため、導線の絶縁被覆材が巻き付けによって損傷するのを防止することができる。このように、磁性構造体の芯部材及び導線の絶縁性を確保することができる。
また、電気絶縁性油の被膜は、鋼材の表面に対し、ミクロンオーダの膜として形成するため、導線を磁性構造体の芯部材に巻き付ける場合には、高密度で巻き付けることができ、コイルとしての高い実装体積を確保することができる。
さらに、電気絶縁性油の被膜は、ピンホール等の構造的な欠陥を有しない連続した膜であり、水分を透過し難くいため、磁性構造体の芯部材として長期に亘って使用しても、空気中の水蒸気等によって腐食され難くすることができる。また、本構成によれば、鋼材と極性基との結合強度を高めることができるため、鋼材から電気絶縁性油の被膜が剥がれ難い磁性構造体の芯部材の好適な実施形態が提供される。
本発明に係る磁性構造体の芯部材の第2特徴構成は、前記鋼材は、鋼板であって、表面に前記被膜を形成させた前記鋼板を積層した点にある。
つまり、この構成によれば、それぞれが絶縁された鋼板を積層することにより、絶縁性の高い磁性構造体の芯部材の好適な実施形態が提供される。
本発明に係る磁性構造体の芯部材の第3特徴構成は、前記鋼材は、鋼板を積層した積層鋼板である点にある。
つまり、この構成によれば、鋼材として、複数の鋼板を積層した積層鋼板を使用することにより、絶縁性の高い磁性構造体の芯部材の好適な実施形態が提供される。
本発明に係る磁性構造体の芯部材の第4特徴構成は、前記極性基を有する電気絶縁性油が、ポリオレフィン、ポリオールエステル、ジエステル、ポリエーテルから選ばれる少なくとも1種の化合物である点にある。
つまり、この構成によれば、上記化合物は、高い絶縁抵抗を有するため、良好な電気絶縁性を有する磁性構造体の芯部材とすることができる。
本発明に係る磁性構造体の芯部材の第特徴構成は、前記イミダゾール基が、前記鋼材と配位結合している点にある。
つまり、この構成によれば、イミダゾール基の窒素原子が、共有結合と同様の配位結合により鋼材と錯体を形成するため、鋼材から電気絶縁性油の被膜が剥がれ難い磁性構造体の芯部材の好適な実施形態が提供される。
本発明に係る磁性構造体の芯部材の第特徴構成は、前記アルコキシシリル基は、加水
分解反応によってシラノール基となり、当該シラノール基が、前記鋼材及び前記極性基の
うち少なくとも一方と結合している点にある。
つまり、この構成によれば、シラノール基は、鋼材の表面とも極性基とも強固に結合できるため、鋼材から電気絶縁性油の被膜が剥がれ難い磁性構造体の芯部材の好適な実施形態が提供される。
本発明に係る磁性構造体の芯部材の第特徴構成は、前記化合物は、前記アルコキシシリル基の加水分解反応によって生成したシラノール基の縮重合反応より、分子膜を形成している点にある。
つまり、この構成によれば、イミダゾール基とアルコキシシリル基とを有する化合物自体が、シラノール基の縮重合反応によって、鋼材の表面にシロキサンのネットワーク構造を有する緻密な分子膜を形成させることができる。このため、磁性構造体の芯部材の耐食性を向上させることができる。
本発明に係る磁性構造体の芯部材は、鋼材の表面に、極性基を有する電気絶縁性油の被膜を備え、前記極性基が前記鋼材とカップリング剤を介して結合しているものである。これにより、鋼材を電気絶縁性油の膜で被覆することができるため、電気絶縁性を確保することができる。
電気絶縁性油の被膜は、鋼材とカップリング剤を介して結合しているため、電気絶縁性油の被膜と鋼材との結合強度を高めることができ、鋼材から電気絶縁性油の被膜が剥がれ難くすることができる。このため、磁性構造体の芯部材をモータのコア材等に適用し、導線を巻き付けてコイルを設ける場合には、巻き付けの際に電気絶縁性油の被膜に応力が加わったとしても、電気絶縁性油の被膜は剥がれることはない。また、巻き付けの際の導線に対する応力においても、電気絶縁性油の被膜が変形することによって吸収されるため、導線の絶縁被覆材が損傷するのを防止することができる。このように、磁性構造体の芯部材及び導線の絶縁性を確保することができる。
また、電気絶縁性油の被膜は、鋼材の表面に対し、ミクロンオーダの膜として形成するため、数十μmという導線の絶縁被覆材の厚みより薄く、従来の絶縁層の厚みに比べて1/50〜1/100と薄くなる。このため、導線を磁性構造体の芯部材に高密度で巻き付けることができ、コイルとしての高い実装体積を確保することができる。
さらに、電気絶縁性油の被膜は、ピンホール等の構造的な欠陥を有しない連続した膜であり、水分を透過し難くいため、磁性構造体の芯部材として長期に亘って使用しても、空気中の水蒸気等によって腐食され難くすることができる。
本発明に係る磁性構造体の芯部材に使用する鋼材は、特に制限はなく、従来公知の鋼材が好ましく適用することができる。例えば、磁性構造体の芯部材をモータのコア材に適用する場合には、鋼材として、図1に示すような形状で厚みが1mm程度の鋼板1を使用することができる。このような鋼板1を使用する場合には、鋼板1の表面に電気絶縁性油の被膜を形成させた後、複数の鋼板1を積層して磁性構造体の芯部材に適用する。また、磁性構造体の芯部材の鋼材には、図2に示すように、鋼板1を複数積層した積層鋼板2を使用することもできる。この場合の積層鋼板2では、鋼板1と鋼板1との間は、製造過程において付着させた油によって満たされているため、絶縁性は保たれている。鋼板1としては、従来公知の鋼板が使用でき、冷間圧延鋼板、熱間圧延鋼板等の圧延鋼板や、電磁鋼板が例示される。鋼板1の形状は、図1及び2に示した形状に関わらず、用途に応じた形状を選択することができる。
極性基を有する電気絶縁性油は、特に限定されず、極性基を有し、電気絶縁性の油であれば、任意に選択可能である。電気絶縁性油としては、ポリオレフィン、ポリオールエステル、ジエステル、ポリエーテル等の化合物が例示される。また、極性基を有しない化合物であっても、極性基を導入することにより、本発明の電気絶縁性油とすることができる。極性基としては、水酸基、エステル基、アミド基、カルボニル基、シアノ基、ウレタン基等が例示され、特に限定されない。
また、極性基を有する電気絶縁性油としては、電気絶縁性に加え、表1に示す特性を有するものが特に好ましく、例えば、ポリオールエステル等を挙げることができる。ポリオールエステルは、疎水性が高く、水溶性及び水蒸気の透過性がなく、金属イオンや塩素イオン、硫酸イオンとも反応しない。このため、本発明に係る磁性構造体の芯部材をモータのコア材に適用する場合に、このような特徴有する磁性構造体の芯部材であれば、例えば、自動車の冷却水を循環させるウォータポンプへ使用することができる。すなわち、本発明に係る磁性構造体の芯部材は自動車のラジエータの冷却水に接したとしても、冷却水により鋼材の表面が腐食されることはない。
Figure 0004560742
ポリオールエステルは、ネオペンチル構造をもつ多価アルコールと脂肪酸とが結合するエステル化反応によって生成される。ポリオールエステルの耐加水分解性は、脂肪酸の種類によって決まり、特に限定はされないが、例えば、脂肪酸として、吉草酸、イソ吉草酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、イソオクタン酸、2−エチルへキシル酸、ペラルゴン酸、イソノナン酸、デカン酸等が適用することができる。中でも、2−エチルヘキシル酸が耐加水分解性に優れているため、特に好ましい。一方、ポリオールエステルの粘度は、多価アルコールの種類によって決まり、特に限定はされないが、粘性が低くなる多価アルコールとして、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール等が例示できる。このような多価アルコールを用いれば、常温におけるポリオールエステルの粘度を、40〜50cStにすることができる。このため、ロール法あるいはスプレー法によって、鋼材をミクロンオーダの膜で被覆することができる。なお、このようなポリオールエステルは、体積固有抵抗が4.4×1010Ω・cmであり、高い絶縁性を有している。
鋼材と電気絶縁性油の極性基とを結合させるカップリング剤としては、特に限定はされず、沸点が高く、疎水性であるものが好ましい。このようなカップリング剤としては、例えば、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤等を適用することができる。
シラン系カップリング剤としては、イミダゾール基とアルコキシシリル基とを有する化合物が例示される。この化合物は、鋼材とは、アルコキシシリル基の加水分解で生成したシラノール基が鋼材の表面に水素結合し、イミダゾール基の窒素が、鋼材の表面に配位し、共有結合して錯体を形成することにより結合する。また、被膜を形成する電気絶縁性油とは、極性基とアルコキシシリル基の加水分解で生成したシラノール基との相互作用により結合する。さらには、イミダゾール基とアルコキシシリル基とを有する化合物自体が、生成したシラノール基の縮重合反応によって、鋼材の表面にシロキサンのネットワーク構造を有する緻密な分子膜を形成することができる。なお、イミダゾール基は、自らが鋼材と結合する他、アルコキシシリル基がシラノール基に加水分解する際の触媒として作用し、シラノール基と鋼材との水素結合及びシラノール基と電気絶縁性油の極性基との結合を促進させると共に、シラノール基の縮重合反応を促進させる。このため、アルコキシシリル基の加水分解によるシラノール基の生成とシラノール基の縮重合反応は、常温から始まり120℃付近という比較的低温で完了する。
イミダゾール基とアルコキシシリル基とを有する化合物としては、特に限定されないが、例えば、下記式(1)及び(2)に示すような化合物を適用することができる。下記式(1)及び(2)において、R,R,Rは、それぞれメチル、エチル、プロピル、ブチル等のアルキル基であり、R,R,Rは、同一であっても異なっていてもよい。また、イミダゾール基とアルコキシシリル基とは、例えば、炭素数が1または複数のアルキル鎖により連結している。なお、下記式(2)に示すように水酸基を有する場合には、イミダゾール基、シラノール基に加え、水酸基も電気絶縁性油の極性基と相互作用するため、電気絶縁性油と鋼材との結合力を大きくすることができる。また、下記式(2)の化合物の熱分解は、300℃を越える温度領域から始まり、カップリング剤として熱安定性に優れる。
Figure 0004560742
Figure 0004560742
また、チタン系カップリング剤としては、下記式(3)〜(5)に示すような化合物が例示される。このような化合物を介することにより、鋼材と電気絶縁性油の極性基とを良好に結合させることができる。
Figure 0004560742
Figure 0004560742
Figure 0004560742
鋼材の表面に電気絶縁性油の被膜を形成させた磁性構造体の芯部材は、電気絶縁性油としてポリオールエステルを用い、カップリング剤として上記式(1)のシラン系カップリング剤を用いた場合を例にとると、例えば、以下の方法により作製することができる。まず、シラン系カップリング剤を0.2wt%程度の濃度になるように溶媒に混合した溶液に、予め洗浄して脱脂した鋼材を30分間程度浸漬し、シラン系カップリング剤を鋼材の表面に吸着させる。続いて、この鋼材を80〜130℃に昇温したポリオールエステルに1時間程度浸漬した後、溶媒を蒸発させると共に、ポリオールエステルとシラン系カップリング剤とを化学反応させて、鋼材の表面にシラン系カップリング剤を介してポリオールエステルを結合させる。その後、鋼材を2〜3mmHgの雰囲気下で1時間程度放置し、溶媒を除去する。このようにして、鋼材の表面に厚みが10μm程度のポリオールエステルの被膜を形成させることができる。
本発明に係る磁性構造体の芯部材の製造方法においてシラン系カップリング剤を溶解させる溶媒は、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、エーテル、ジクロルメタン、アルコール等、任意に選択可能であるが、耐食性をより向上させる観点からは、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、エーテル、ジクロルメタン等、吸湿性がないものが好ましい。なお、例えば、溶媒としてトルエンを使用する場合には、130℃で30分間程度処理すれば、トルエンを蒸発させると共に、シラノール基の縮重合反応を進行させることができる。
また、同様に、シラン系カップリング剤は水酸基を有しない上記式(1)のシラン系カップリング剤の方が吸湿性を有しないため好ましく、溶媒は電気絶縁性油の膜内に残存しないように、可能な限り除去することが好ましい。
このような磁性構造体の芯部材は、モータや変圧器(静止器)等のコア材として適用することができる。モータのコア材として適用する場合には、例えば、鋼材として、図2に示すように、従来公知の方法によって製造した鋼板1を積層してかしめた積層鋼板2を用い、洗浄して製造過程において付着させた油を除去した後、表面に電気絶縁性油の被膜を形成させることによって作製することができる。作製した芯部材は導線を巻き付けて使用する。本発明に係る磁性構造体の芯部材をモータのコア材に適用すれば、導線の実装密度を高めることができると共に、磁界も効率よく伝達させることができるため、モータの出力が増大できる。鋼材として、鋼板1を使用する場合には、従来公知の方法により、図1に示すような所定形状に打ち抜き、付着している油を洗浄して除去し、表面に電気絶縁性油の被膜を形成させた後、積層することによってモータのコア材等に適用できる。
また、鋼材として、図3に示すような永久磁石3を埋め込んだ積層鋼板2を使用することもできる。このような積層鋼板2を使用し、その表面に電気絶縁性油の被膜を形成させた磁性構造体の芯部材は、耐食性にも優れるため、例えば、車両分野においては、ウォータポンプのモータのコア材として、自動車のラジエータ内に浸漬して長期に亘って使用することができる。このような磁性構造体の芯部材は、例えば、図3に示すような所定形状に打ち抜いた冷間圧延鋼板等の鋼板1を積層して積層鋼板2を作製し、脱脂して、永久磁石3を組み込んだ後、電気絶縁性油の被膜を形成させることにより得ることができる。なお、特に沸騰水中において使用する場合には、電気絶縁性油で被覆された磁性構造体の芯部材を、さらにブチルゴム等のゴムの層で被覆することにより、耐食性を向上させることができる。
以下、鋼材として、鋼板1である厚みが1mmの冷間圧延鋼板を、図2に示すように積層した積層鋼板2を用いた実施例について説明する。
極性基を有する電気絶縁性油として表2に示す物性を有するポリオールエステルを用い、カップリング剤として上記式(1)に示した化合物を用いて、上記の方法により磁性構造体の芯部材を作製し、表3に示す試験を行った。なお、作製した磁性構造体の芯部材には、積層鋼板2の上下の面、及び図4に示すそれぞれの鋼板1の周囲に、電気絶縁性油の被膜4が形成していることが確認できた。
Figure 0004560742
緻密性の試験は、モータを使用する環境下での遮断性能を示す指標になるものである。温湿度サイクル試験は、結露状態でコア材を使用する場合を想定し、コア材を、湿度85%R.H.の条件下で、25℃から85℃へ0.25時間で昇温し、85℃で6時間保持した後、−30℃まで0.5時間で冷却して、−30℃で3時間保持し、さらに25℃まで0.25時間で昇温して、25℃で2時間保持するという温湿度サイクルの環境下に曝した時の遮断性能を評価するものである。煮沸試験では、コア材が自動車のラジエータの冷却水中に浸漬されているような場合を想定し、水蒸気の透過性を評価するものである。
反応性は、コア材が反応して腐食が進行するか否かを調べるものである。加圧酸素LLC溶液浸漬試験では、コア材が自動車のラジエータの冷却水中に浸漬されて使用され、冷却水中の不凍液(LLC溶液)が酸化されている場合を想定し、LLC溶液に2気圧の酸素ガスを強制的に送り込み、100℃以上で一定時間処理することにより、強制的に酸化させたLLC溶液に対する反応性を評価するものである。イオン性液体浸漬試験は、コア部品が自動車のラジエータの冷却水中に浸漬されて使用され、ラジエータ自体が腐食されてLLC溶液中に金属イオンや酸性イオンが混入している場合を想定し、金属イオンとしてCu2+イオンを用い、酸性イオンとしてClイオンとSO 2−イオンとを用いて、それぞれのイオンを所定濃度で溶解させた水溶液に対する反応性の評価をするものである。
Figure 0004560742
その結果、いずれの試験においても、コア材の表面に変化は見られなかった。
このように、本発明に係る磁性構造体の芯部材は、いずれの場合も従来のものに比べて、耐食性が向上していることが分かった。
また、積層鋼板の直径を50mm、有効面積の割合を0.2とし、ポリオールエステルの被膜の厚みを10μmとして、ポリオールエステルの被膜が形成する抵抗を求めると、11.2MΩとなり高い絶縁性を有していることが確認できた。
本発明に係る磁性構造体の芯部材は、優れた絶縁性と耐食性を有するため、モータや変圧器等のコア材のような従来から適用される用途だけでなく、これまで磁性構造体の芯部材に適用できなかった用途等、様々な用途に適用できる。
本発明に係る鋼材の一例を示す図 本発明に係る鋼材の別の一例を示す図 本発明に係る鋼材の別の一例を示す図 本発明に係る磁性構造体の芯部材の断面図
符号の説明
1 鋼板(鋼材)
2 積層鋼板(鋼材)
4 電気絶縁性油の被膜

Claims (7)

  1. 鋼材の表面に、極性基を有する電気絶縁性油の被膜を備え、前記極性基が前記鋼材とカップリング剤を介して結合され、前記カップリング剤が、イミダゾール基とアルコキシシリル基とを有する化合物であるシラン系カップリング剤である磁性構造体の芯部材。
  2. 前記鋼材は、鋼板であって、表面に前記被膜を形成させた前記鋼板を積層した請求項1に記載の磁性構造体の芯部材。
  3. 前記鋼材は、鋼板を積層した積層鋼板である請求項1に記載の磁性構造体の芯部材。
  4. 前記極性基を有する電気絶縁性油が、ポリオレフィン、ポリオールエステル、ジエステル、ポリエーテルから選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1に記載の磁性構造体の芯部材。
  5. 前記イミダゾール基が、前記鋼材と配位結合している請求項に記載の磁性構造体の芯部材。
  6. 前記アルコキシシリル基は、加水分解反応によってシラノール基となり、当該シラノール基が、前記鋼材及び前記極性基のうち少なくとも一方と結合している請求項に記載の磁性構造体の芯部材。
  7. 前記化合物は、前記アルコキシシリル基の加水分解反応によって生成したシラノール基の縮重合反応より、分子膜を形成している請求項に記載の磁性構造体の芯部材。
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