JP4559655B2 - 制振装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体製造装置等の定常運転時の振動を低減するための制振装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に半導体製造装置では、内部に機械的可動部を持っている。しかし、取扱う対象物が微小であることから、その定常運転時の振動を最小限に抑えたいという要求がある。この振動対策の一つとして受動型の制振装置が使用されている。
【0003】
図7を参照して従来の受動型の制振装置の概要を説明する。図7は、従来の受動型の制振装置の設置方法を模式的に示したものであり、(a)は側面図、(b)は平面図である。この例では、制振対象物1の振動方向に対して、付加質量2aを弾性要素2bと減衰要素2cにより支持した動吸振器2を複数個設置している。このような方法でも、大型建築構造物などのように動吸振器2の設置スペースが十分に確保できる場合には、問題なく2次元方向の振動を低減することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような従来の受動型の制振装置においては、制振対象物1が比較的小型の半導体製造装置の可動部であり、かつ、振動が比較的大きい場合、弾性要素2bおよび減衰要素2cが大型化することにより、制振対象物1に必要な設置スペースを確保することが難しいという問題がある。また、制振対象物1の通常運転時の微振動に適用する場合、付加質量2aの移動に伴う摩擦や弾性要素2bの疲労現象による特性変化により、微小振動領域における安定な制振性能の確保が難しいという問題がある。
【0005】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、制振装置の小型化・軽量化を図り、かつ、ごく微小な振動加速度に対しても有効な制振効果が得られる制振装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明の制振装置は、制振対象物に固定される固定部と、この固定部にたいして平面2自由度方向の相対運動を許容する複数のベアリングおよび減衰要素を介して設けられた可動部とを備えた制振装置において、前記固定部は、枠形または箱形をなす固定部材と、前記固定部材に取り付けられた中段部材と、前記固定部材の上下面に取り付けられた固定部バックヨークと、前記固定部バックヨークに保持された固定部磁石とを備え、前記可動部は、前記固定部磁石に対向して設けられた可動部磁石と、前記可動部磁石を保持する可動部バックヨークと、上下の可動部バックヨークを連結する可動部連結部材と、前記上下の可動部バックヨークのそれぞれの内側に取り付けられた複数の受座とを備え、前記複数のベアリングのそれぞれは前記中段部材に取り付けられるとともに前記受座の間に配置され、前記減衰要素は前記中段部材と前記可動部磁石の間に取り付けられたことを特徴とする。
【0007】
この発明の制振装置においては、制振対象物が振動すると、制振対象物に固定された制振装置の固定部が共に振動し、固定部磁石と可動部磁石間の磁気作用(吸引力、反発力)を介して可動部を振動させる。この磁気作用による磁気ばね定数と、固定部内に設けられた減衰要素の減衰係数と、可動部の質量を、制振対象物の振動条件に合わせて調整しておくことにより、その振動を低減することができる。このとき、固定部内に減衰要素を設けていることから、磁気ばね定数と減衰係数を独立に調整することができる。
【0008】
また、可動部は、ベアリングによって平面2自由度方向に自由に振動可能に支持されており、制振対象物が平面2自由度方向の振動をする場合でも一つの可動部で対応することができる。これにより、制振装置を小型化できる。
【0009】
さらに、固定部内面の向き合う2面に取り付けた固定部磁石と可動部に取り付けた可動部磁石が吸引し合うことにより、ベアリングに大きな磁気吸引力が加わらず、逆に可能な限り負荷を小さく抑えるように調整することが可能となる。これにより、制振装置の可動部の移動に伴う抵抗力が小さくなり、かつ、ベアリングの寿命も長くなるため、制振対象物の微振動や長期間に亘る運転にも対応することができる。
【0010】
請求項2の発明は、前記減衰要素は、粘性材料からなることを特徴とする。
この発明の制振装置においては、例えば防振ゴムを固定部と可動部間に取り付けておくことにより、可動部の振動時に減衰力(減衰係数)を得ることができる。従って、制振装置を比較的簡素な構造とすることが可能となり、その軽量化、小型化が可能となる。
【0014】
請求項3の発明は、前記可動部の移動方向によるばね定数を調整する磁気ばね用磁石装置を備えた構成としたものである。
この発明の制振装置においては、磁気ばね用磁石装置によって、あらかじめ制振対象物の平面2自由度振動の条件に合わせて、制振装置のばね定数を振動方向により異なる値に調整できる。これにより、固定部磁石あるいは可動部磁石全体を交換する場合と比較して、調整作業性が向上すると共に、1台の制振装置を広い振動数範囲の制振対象物に適用することが可能となる。
【0015】
請求項4の発明は、前記固定部磁石あるいは前記可動部磁石あるいはその双方はそれぞれ所定個数の磁石片からなり、前記磁気ばね用磁石装置は、前記磁石片と、前記磁石片を着脱可能に取り付ける磁石片固定部とを備えた構成としたものである。
【0016】
この発明の制振装置においては、磁石片固定部に対して磁石片を取り付け取り外しすることおよび、固定部磁石と可動部磁石の距離を変えることにより、制振装置のばね定数の異方性を調整することができる。これにより、比較的簡易にばね定数の異方性を調整することができる。
【0017】
請求項5の発明は、前記磁石片は、複数のものが板状のヨークに並置固着され、前記ヨークが前記磁石片固定部に着脱可能に取り付けられている構成としたものである。
この発明の制振装置においては、磁石片の個数が多い場合でも磁石片固定部に対して容易に取り付け取り外しすることができる。
【0018】
請求項6の発明は、前記磁石片は、主として所定の1方向のばね定数に寄与するX方向用磁石片と、主として前記所定の1方向に直交する方向のばね定数に寄与するY方向用磁石片とからなる構成とする。
【0019】
この発明の制振装置においては、ばね定数の異方性の調整時に、X方向用磁石片あるいはY方向用磁石片の取り付け取り外しにより、1方向に比較的大きな調整量を得ることが可能となる。これにより、ばね定数の異方性の調整を容易におこなうことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の第1の実施の形態の制振装置を図1に示す縦断面図を参照して説明する。
すなわち、本実施の形態の制振装置は、枠形または箱形をなし制振対象物1に固定される固定部材5と、固定部材5に取り付けられた中段部材6と、固定部材5の内側の上下面にそれぞれ取り付けられた強磁性材である固定部バックヨーク7と、固定部バックヨーク7上に接着等により縦横に所定個数取り付けられた固定部磁石8と、固定部材5の内側に設けられ、各固定部磁石8と対向して磁気作用し合う可動部磁石9と、可動部磁石9を接着等により所定個数縦横に配置保持する可動部バックヨーク10と、前記中段部材6に設けられた穴部11を貫通し上下の可動部バックヨーク10間を連結する可動部連結部材12と、可動部バックヨーク10に所定個数取り付けられた受座13と、中段部材6に所定個数取り付けられたベアリング14と、中段部材6と可動部バックヨーク10間に取り付けられた防振ゴム15から構成されている。
【0021】
このように構成された本実施の形態の制振装置において、可動部磁石9、可動部バックヨーク10、可動部連結部材12および受座13は、一体に振動する可動部4を構成しており、受座13とベアリング14により、図1の左右方向および前後方向(紙面垂直方向)すなわち平面2自由度方向に自由に振動可能となっている。
【0022】
制振対象物1が図1における左右方向に振動すると、制振対象物1に固定されている固定部材5、固定部バックヨーク7、固定部磁石8が共に振動する。この振動は、固定部磁石8と可動部磁石9との磁気作用(磁気吸引力、反発力)と、中段部材6と可動部磁石9間に取り付けられた粘性材料の一種である防振ゴム15を介して、可動部4を振動させる。
【0023】
固定部磁石8と可動部磁石9は、磁場解析等を用いて可動部4の変位に比例した復元力を生じるように構成することにより、その磁気作用(磁気吸引力、反発力)を磁気ばね定数として利用することができる。また、防振ゴム15は、その粘性を減衰係数として利用することができる。
【0024】
すなわち、本実施の形態は、制振対象物1に対して、ばね要素および減衰要素を介して可動部4を取り付ける動吸振器の構成と等価であるので、各定数を制振対象物1の振動条件に合わせてあらかじめ設計、調整しておくことにより、その振動を低減することができる。
【0025】
具体的には、可動部4の大きさは、図示しないが、付加おもりの取り付け取外しにより調整することができる。また、ばね定数は、固定部磁石8と可動部磁石9の形状、寸法、間隔、配置個数および、固定部磁石8と可動部磁石9間の距離を変えることにより調整することができる。減衰係数は、防振ゴム15の材質、寸法、形状を変えることにより調整することができる。
【0026】
また、制振対象物1が図1の左右方向だけでなく、前後方向(紙面垂直方向)に異なる振動数で振動する場合、前述のように、可動部4は、平面2自由度方向に自由に振動可能に支持されているので、あらかじめ前記磁気ばね定数を左右方向および前後方向の各振動条件に合わせて設計、調整しておくことにより、両方向同時に制振効果を得ることができる。すなわち、一つの可動部4で、平面2自由度振動に対して有効に振動を低減することができる。
【0027】
具体的には、固定部材5の上部に配置した固定部磁石8と可動部磁石9の吸引力と、固定部材5内の下部の固定部磁石8と可動部磁石9の吸引力に可動部4を加えた値とが釣り合うように調整する。この時、磁気ばね定数は、固定部材5の上下の固定部磁石8と可動部磁石9による各ばね定数の和として算出することができるため、上記吸引力の釣り合いを保ちながら、必要なばね定数に調整することができる。
【0028】
また、例えば半導体製造装置のような制振対象物1の定常運転時の微振動に本実施の形態の制振装置を適用する場合、受座13およびベアリング14の負荷が最小限になるように固定部材5の上下に配置した固定部磁石8と可動部磁石9間の鉛直上下方向(紙面上下方向)の吸引力をそれぞれ調整し、可動部4の振動に伴う抵抗力を最小限に抑えることにより、良好な制振性能を得ることができる。
また、受座13およびベアリング14の疲労寿命を大幅に向上し、長期間に亘る連続運転に対しても安定な制振効果が得られる。
【0029】
したがって本実施の形態によれば、磁石を利用したばね要素により、制振対象物の平面2自由度振動に対応することが可能であるため、制振装置全体の小型化、軽量化を図ることができる。また、減衰要素として防振ゴムを使用していることにより、制振装置の構造を簡素化でき、小型化、軽量化が可能となる。さらに、受座13およびベアリング14の負荷を最小限に抑えることが可能な構成となっていることから、可動部4の振動に伴う抵抗力も非常に小さくなり、微振動に対する制振性能を向上することができると共に、寿命を大幅に向上することができ、制振対象物1が長時間の連続運転をする場合でも、良好な制振効果を得ることができる。
【0030】
次に、本発明の第2の実施の形態の制振装置を図2を参照して説明する。本実施の形態の制振装置は、枠または箱の形をなし制振対象物1に固定される固定部材5と、固定部材5に所定個数取り付けられた中段部材6と、固定部材5の内側の上下面にそれぞれ取り付けられた強磁性材である固定部バックヨーク7と、固定部バックヨーク7上に接着等により縦横に所定個数取り付けられた固定部磁石8と、固定部材5の内側に設けられ、各固定部磁石8と対向して磁気作用し合う可動部磁石9と、可動部磁石9を接着等により所定個数縦横に配置保持する可動部バックヨーク10と、上下の可動部バックヨーク10の中間に設けられた銅板17と、上下の可動部バックヨーク10および銅板17間を連結する可動部連結部材12と、可動部バックヨーク10に所定個数取り付けられた受座13と、中段部材6に取り付けられたベアリング14と、銅板17の上下に位置し、固定部材5に固定された磁気減衰用バックヨーク18と、各磁気減衰用バックヨーク18に接着等により縦横に所定個数取り付けられ、銅板17を挟んで吸引し合う磁気減衰用磁石19から構成されている。
【0031】
このように構成された本実施の形態の制振装置において、可動部磁石9、可動部バックヨーク10、可動部連結部材12、受座13、銅板17は一体に振動する可動部4を構成しており、受座13とベアリング14により、図2の左右方向および前後方向(紙面垂直方向)すなわち平面2自由度方向に自由に振動する。
【0032】
制振対象物1が平面2自由度方向に振動する場合、ばね要素については、前記第1の実施の形態と同様の構成であり、同様に動作する。また、受座13およびベアリング14の負荷を最小限に抑えることが可能な構成も同様であり、微振動に対する制振性能および寿命が改善される。
【0033】
減衰要素については、銅板17と磁気減衰用磁石19との相対運動による磁気作用によって銅板17内に渦電流損が生じ、相対運動速度に比例した減衰力を得ることができる。
【0034】
この磁気減衰係数は、銅板17の厚さ、磁気減衰用磁石19の形状、寸法、間隔、配置個数および、銅板17を挟む磁気減衰用磁石19間の距離を変えることにより調整することができる。このような調整は、各振動方向で制振対象物1の振動数が異なる場合でも、各方向の磁気減衰用磁石19の配置個数や辺の長さを調整することにより対応することが可能である。
【0035】
従って、本第2の実施の形態の制振装置も前記第1の実施の形態の制振装置と同様に動作し、有効に制振対象物1の平面2自由度方向の振動を低減することができる。
【0036】
本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態と同様の効果が得られると共に、減衰要素として磁気減衰用磁石19および銅板17を使用していることにより、制振対象物1の振動方向によって振動数が異なる場合でも、各方向に異なる減衰係数となるように設計、調整することが可能であるため、制振性能を向上することができる。また、非接触で減衰力を得ることができるため、ばね定数に影響を与えることなく、独立の設計、調整が可能となる。
【0037】
次に、本発明の第3の実施の形態の制振装置を図3を参照して説明する。本実施の形態の制振装置は、気密構造の箱形をなし制振対象物1に固定された固定部材5と、固定部材5に所定個数取り付けられた中段部材6と、固定部材5の内側の上下面にそれぞれ取り付けられた強磁性材である固定部バックヨーク7と、固定部バックヨーク7上に接着等により縦横に所定個数取り付けられた固定部磁石8と、固定部材5の内側に設けられ、各固定部磁石8と対向して磁気作用し合う可動部磁石9と、可動部磁石9を接着等により所定個数縦横に配置支持する可動部バックヨーク10と、上下の可動部バックヨーク10間を連結固定する可動部連結部材12と、可動部バックヨーク10に所定個数取り付けられた受座13と、中段部材6に取り付けられたベアリング14と、気密構造の固定部材5の内部に注入された粘性流体20から構成されている。
【0038】
このように構成された本実施の形態において、可動部磁石9、可動部バックヨーク10、可動部連結部材12、受座13は一体に振動する可動部4を構成しており、受座13とベアリング14により、図3の左右方向および前後方向(紙面垂直方向)すなわち平面2自由度方向に自由に振動可能となっている。
【0039】
制振対象物1が平面2自由度方向に振動する場合、ばね要素については、前記第1の実施の形態と同様の構成であり、同様に動作する。また、受座13およびベアリング14の負荷を最小限に抑えることが可能な構成も同様であり、制振装置の微振動に対する制振性能向上および寿命向上が可能となっている。
【0040】
減衰要素については、固定部材5の内側に注入されている粘性流体20が可動部4の移動に伴って生じる粘性抵抗力(粘性減衰係数)を利用する構成となっている。
【0041】
この粘性減衰係数は、粘性流体20の粘度、可動部4の形状、寸法あるいは図示しないが別途取り付ける抵抗板の形状、寸法等により調整することができる。
このような調整は、各振動方向で制振対象物1の振動数が異なる場合でも、各方向の前記抵抗板の形状、寸法等を変えることにより対応することが可能である。
【0042】
従って、本第3の実施の形態の制振装置も、前記第1の実施の形態および第2の実施の形態の制振装置と同様に動作し、有効に制振対象物1の平面2自由度方向の振動を低減することができる。
【0043】
本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態および第2の実施の形態と同様の効果が得られると共に、減衰要素として固定部材5の内側に注入した粘性流体20を使用していることにより、制振対象物1の振動方向によって振動数が異なる場合でも、各方向に異なる減衰係数となるように調整することが可能であるため、制振性能を向上することができる。また、非接触で減衰力を得ることができるため、ばね定数に影響を与えることなく、独立の設計、調整が可能となる。さらに、制振対象物1が真空中にある場合でも、固定部材5を気密構造とし、内部に粘性流体20を注入していることから、受座13およびベアリング14の摩耗を生じることなく、長時間良好な制振性能を維持することができる。
【0044】
次に、前記第1ないし第3の実施の形態の制振装置におけるばね定数の異方性を調整する磁気ばね用磁石装置について説明する。
図4は第1の実施例の磁気ばね用磁石装置の平面図であり、図1ないし図3に示した第1ないし第3の実施の形態の制振装置の固定部材5あるいは可動部連結部材12に取り付けられる磁石片固定部21と、磁石片固定部21上に磁石片取り付けねじ22により所定個数取り付けられた磁石片バックヨーク23と、磁石片バックヨーク23に接着等により所定個数取り付けられた磁石片24から構成されている。固定部磁石8あるいは可動部磁石9の一方あるいは双方がそれぞれ所定個数の磁石片24によって構成されている。
【0045】
このように構成された本実施例の磁気ばね用磁石装置において、図4における左右方向と上下方向に異なるばね定数を得るための調整を実施する場合、磁石片取り付けねじ22により、磁石片バックヨーク23を、磁石片固定部21に対して適宜取り付け、あるいは取り外しする。これにより、左右方向と上下方向の磁気ばね定数の比が変化する。その後、図1〜図3に示した固定部磁石8と可動部磁石9の間隔を調整することにより、所要のばね定数に調整することが可能となっている。
【0046】
磁石片バックヨーク23は、図1〜図3に示した固定部材5の内面に直接磁石片取り付けねじ22で取り付ける構成としてもよい。また、磁石片24は、磁石片バックヨーク23に複数のものを接着固定する代りに、一つの磁石材料に着磁治具を用いて多極着磁してもよい。本実施例の磁気ばね用磁石装置の適用は、図1〜図3に示した固定部磁石8のみまたは可動部磁石9のみでもよく、その両方でもよい。
【0047】
本実施例によれば、磁石片固定部21に対して、磁石片24を取り付けた磁石片バックヨーク23を取り付け取り外し可能に取り付けた構成としていることから、制振装置の2方向で異なる振動数に対する磁気ばね定数の調整を比較的容易に行なうことができる。また、固定部磁石8あるいは可動部磁石9の全体を交換することなく、大きな磁気ばね定数の調整範囲を得ることができる。
【0048】
次に、磁気ばね用磁石装置の第2の実施例を図5を参照して説明する。すなわち、本実施例の磁気ばね用磁石装置は、図1〜図3に示した固定部材5あるいは可動部連結部材12に取り付けられる磁石片固定部21と、、磁石片固定部21の平行な2辺に設けられた溝部25と、溝部25に取り付けるためのはめ込み部26を有する所定個数の磁石片バックヨーク23と、磁石片バックヨーク23に接着等により所定個数取り付けられた磁石片24と、磁石片バックヨーク23の側面を押さえるように磁石側面固定用ねじ27により磁石片固定部21に固定された磁石側面固定部28から構成されている。
【0049】
このように構成された本実施例の磁気ばね用磁石装置において、図5(a)における左右方向と上下方向に異なるばね定数を得るための調整を実施する場合、磁石片固定部21の溝部25から磁石片バックヨーク23をそのはめ込み部26により取り付け取り外しする。溝部25内における磁石片バックヨーク23の固定は、図示しないがあらかじめ磁石片固定部21の適当な位置に用意しためねじ部に対して磁石側面固定部28を磁石側面固定用ねじ27で固定することにより行なう。これにより、左右方向と上下方向の磁気ばね定数の比が変化する。その後、図1〜図3に示した固定部磁石8と可動部磁石9の間隔を調整することにより、所定のばね定数に調整する。
【0050】
なお、磁石片バックヨーク23と磁石側面固定部28の間に板ばね等を介在させてガタを吸収する構成としてもよい。また、磁石片24は、磁石片バックヨーク23に複数のものを接着固定する代りに、一つの磁石材料に着磁治具を用いて多極着磁してもよい。さらに、本実施例の磁気ばね用磁石装置の適用は、図1〜図3に示した固定部磁石8のみまたは可動部磁石9のみでもよく、その両方でもよい。
【0051】
本実施例によれば、磁石片固定部21の溝部25に対して、磁石片24を取り付けた磁石片バックヨーク23を取り付け取り外し可能に取り付けた構成としていることから、制振装置の2方向で異なる振動数に対する磁気ばね定数の調整を比較的容易に行なうことができる。また、固定部磁石8あるいは可動部磁石9の全体を交換することなく、大きな磁気ばね定数の調整範囲を得ることができる。
【0052】
次に、磁気ばね用磁石装置の第3の実施例を図6を参照して説明する。すなわち、本実施例の磁気ばね用磁石装置は、図1〜図3に示した固定部材5あるいは可動部連結部材12に取り付けられる磁石片固定部21と、磁石片固定部21に磁石片取り付けねじ22により取り付けられたX方向用バックヨーク29およびY方向用バックヨーク30と、X方向用バックヨーク29に所定個数接着固定されたX方向用磁石片31と、Y方向用バックヨーク30に所定個数接着固定されたY方向用磁石片32から構成されている。
【0053】
このように構成された本実施例の磁気ばね用磁石装置において、図6における左右方向(以下X方向という)と上下方向(以下Y方向という)に異なるばね定数を得るための調整を実施する場合、X方向とY方向のどちらを大きく調整したいかにより、X方向用バックヨーク29あるいはY方向用バックヨーク30を、磁石片固定部21に対して、磁石片取り付けねじ22により取り付け、あるいは取り外しする。このとき、X方向用磁石片31は、X方向の磁気ばね定数が大きく、Y方向の磁気ばね定数が小さくなるように製作しておき、Y方向用磁石片32はその逆となるように製作しておくものとする。これにより、比較的少ない取り付け取り外し作業により、X方向とY方向の磁気ばね定数の比が変化する。その後、図1〜図3に示した固定部磁石8と可動部磁石9の間隔を調整することにより、所定のばね定数に調整する。
【0054】
本実施例を、前記第2の実施例に適用してもよい。また、X方向用磁石片31およびY方向用磁石片32は、複数のものをX方向用バックヨーク29、Y方向用バックヨーク30に接着固定する代りに、一つの磁石材料に着磁治具を用いて多極着磁してもよい。また、本実施例の磁気ばね用磁石装置の適用は、図1〜図3に示した固定部磁石8のみまたは可動部磁石9のみでもよく、その両方でもよい。
【0055】
本実施例によれば、磁石片固定部21に対して、主にX方向の磁気ばね定数に寄与するX方向用バックヨーク29およびX方向用磁石片31と、主にY方向の磁気ばね定数に寄与するY方向用バックヨーク30およびY方向用磁石片32を、取り付け取り外し可能に構成していることから、制振装置の2方向で異なる振動数に対する磁気ばね定数の調整を比較的少ない作業量で容易に行なうことができる。また、固定部磁石8あるいは可動部磁石9の全体を交換することなく、大きな磁気ばね定数の調整範囲を得ることができる。
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、制振装置の小型化・軽量化を図り、かつ、ごく微小な振動加速度に対しても有効な制振効果が得られる制振装置が実現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の制振装置を示す縦断面図。
【図2】本発明の第2の実施の形態の制振装置を示す縦断面図。
【図3】本発明の第3の実施の形態の制振装置を示す縦断面図。
【図4】本発明の実施の形態の制振装置に備えられる磁気ばね用磁石装置の第1の実施例を示す平面図。
【図5】本発明の実施の形態の制振装置に備えられる磁気ばね用磁石装置の第2の実施例を示す平面図(a)、および(a)のb−b線に沿う断面図(b)。
【図6】本発明の実施の形態の制振装置に備えられる磁気ばね用磁石装置の第3の実施例を示す平面図。
【図7】従来の制振装置を模式的に示す側面図(a)および平面図(b)。
【符号の説明】
1…制振対象物、2…動吸振器、2a…付加質量、2b…弾性要素、2c…減衰要素、4…可動部、5…固定部材、6…中段部材、7…固定部バックヨーク、8…固定部磁石、9…可動部磁石、10…可動部バックヨーク、11…穴部、12…可動部連結部材、13…受座、14…ベアリング、15…防振ゴム、、17…銅板、18…磁気減衰用バックヨーク、19…磁気減衰用磁石、20…粘性流体、21…磁石片固定部、22…磁石片取り付けねじ、23…磁石片バックヨーク、24…磁石片、25…溝部、26…はめ込み部、27…磁石側面固定用ねじ、28…磁石側面固定部、29…X方向用バックヨーク、30…Y方向用バックヨーク、31…X方向用磁石片、32…Y方向用磁石片。
Claims (6)
- 制振対象物に固定される固定部と、この固定部にたいして平面2自由度方向の相対運動を許容する複数のベアリングおよび減衰要素を介して設けられた可動部とを備えた制振装置において、
前記固定部は、枠形または箱形をなす固定部材と、前記固定部材に取り付けられた中段部材と、前記固定部材の上下面に取り付けられた固定部バックヨークと、前記固定部バックヨークに保持された固定部磁石とを備え、
前記可動部は、前記固定部磁石に対向して設けられた可動部磁石と、前記可動部磁石を保持する可動部バックヨークと、上下の可動部バックヨークを連結する可動部連結部材と、前記上下の可動部バックヨークのそれぞれの内側に取り付けられた複数の受座とを備え、
前記複数のベアリングのそれぞれは前記中段部材に取り付けられるとともに前記受座の間に配置され、前記減衰要素は前記中段部材と前記可動部磁石の間に取り付けられたことを特徴とする減衰装置。 - 前記減衰要素は、粘性材料からなることを特徴とする請求項1記載の制振装置。
- 前記可動部の移動方向によるばね定数を調整する磁気ばね用磁石装置を備えたことを特徴とする請求項1記載の制振装置。
- 前記固定部磁石あるいは前記可動部磁石あるいはその双方はそれぞれ所定個数の磁石片からなり、前記磁気ばね用磁石装置は、前記磁石片と、前記磁石片を着脱可能に取り付ける磁石片固定部とを備えたことを特徴とする請求項3記載の制振装置。
- 前記磁石片は、複数が板状のヨークに並置固着され、前記ヨークが前記磁石片固定部に着脱可能に取り付けられていることを特徴とする請求項4記載の制振装置。
- 前記磁石片は、主として所定の1方向のばね定数に寄与するX方向用磁石片と、主として前記所定の1方向に直交する方向のばね定数に寄与するY方向用磁石片とからなることを特徴とする請求項4記載の制振装置。
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