JP4558185B2 - 冷凍機油組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は冷凍機油組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、オゾン層破壊の問題から、従来冷凍機器の冷媒として使用されてきたCFC(クロロフルオロカーボン)及びHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)が規制の対象となり、これらに代わってHFC(ハイドロフルオロカーボン)が代替冷媒として使用されている。さらに、HFC冷媒においても、地球温暖化能が高いなどの問題があり、これらのフロン系冷媒に代わる代替冷媒として自然系冷媒の使用も検討されている。
【0003】
上記の代替冷媒は、CFCやHCFCなどの塩素含有冷媒と比較してそれ自体の極圧効果が低いものであり、また、高圧条件下で使用される場合もある。したがって、このような代替冷媒と共に用いられる冷凍機油には、塩素含有冷媒と共に用いられていたものに比べてより高水準の性能が要求される。特に、近年、冷凍機器の材料としてアルミニウム系部材が多用されており、従来の摩耗防止剤が配合された冷凍機油では、アルミニウム系部材を用いた冷凍機器において必ずしも十分な摩耗防止性を達成することはできない。
【0004】
そこで、アルミニウム系部材の摩耗防止性を向上させるための方法が検討されており、様々な冷凍機油が提案されている。例えば、特開2000−282076号公報には、N−オレオイルサルコシン等の有機酸類が配合された冷凍機油組成物が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開2000−282076号公報に開示されている冷凍機油組成物であっても、冷凍機油組成物中に含まれる有機酸類が基油や他の添加剤の酸化劣化や金属材料の腐食を促進するので、アルミニウム系部材の摩耗防止性と熱・化学的安定性とを十分に高水準で両立するためには未だ十分なものではなかった。特に、冷凍機器の使用に伴い冷媒循環システム内に発生する様々な劣化酸類を捕捉するために、冷凍機油に酸捕捉剤を添加する場合には、有機酸類と酸捕捉剤とが互いに反応してしまい、冷凍機油の熱・化学的安定性が著しく損なわれてしまう。
【0006】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、十分に高い潤滑性と十分に高い熱・化学安定性とを有し、アルミニウム系部材を備える冷凍機器に用いた場合に、基油や酸捕捉剤等の劣化を生じることなくアルミニウム系部材の摩耗を十分に抑制することを可能とする冷凍機油組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、鉱油及び/又は合成油を基油とし、特定の構造を有する化合物が配合された冷凍機油組成物を用いた場合に、アルミニウム系部材の摩耗が十分に抑制されると共に、十分に高い熱・化学的安定性が達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の冷凍機油組成物は、鉱油及び/又は合成油を基油とし、且つ下記一般式(1)〜(3):
R1−CO−NR2−(CH2)l−COOX (1)
[式(1)中、R1は炭素数6〜30のアルキル基又は炭素数6〜30のアルケニル基を表し、R2は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、Xは炭素数1〜30のアルキル基又は炭素数1〜30のアルケニル基を表し、lは1〜4の整数を表す]
[R3−CO−NR4−(CH2)m−COO]m'Y (2)
[式(2)中、R3は炭素数6〜30のアルキル基又は炭素数6〜30のアルケニル基を表し、R4は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、Yはアルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子を表し、mは1〜4の整数を表し、m’は1又は2の整数を表す]
[R5−CO−NR6−(CH2)n−COO]n'−Z−(OH)n" (3)
[式(3)中、R5は炭素数6〜30のアルキル基又は炭素数6〜30のアルケニル基を表し、R6は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、Zは2価以上の多価アルコールから水酸基を除いた残基を表し、nは1〜4の整数を表し、n’は1以上の整数を表し、n”は0以上の整数を表し、n’+n”はZで表される基の価数である]
で表される化合物のうちの少なくとも1種を組成物全量基準で0.001〜5質量%含有することを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0010】
本発明の冷凍機油組成物は、鉱油及び/又は合成油を基油とし、且つ下記一般式(1)〜(3):
R1−CO−NR2−(CH2)l−COOX (1)
[式(1)中、R1は炭素数6〜30のアルキル基又は炭素数6〜30のアルケニル基を表し、R2は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、Xは炭素数1〜30のアルキル基又は炭素数1〜30のアルケニル基を表し、lは1〜4の整数を表す]
[R3−CO−NR4−(CH2)m−COO]m'Y (2)
[式(2)中、R3は炭素数6〜30のアルキル基又は炭素数6〜30のアルケニル基を表し、R4は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、Yはアルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子を表し、mは1〜4の整数を表し、m’は1又は2の整数を表す]
[R5−CO−NR6−(CH2)n−COO]n'−Z−(OH)n" (3)
[式(3)中、R5は炭素数6〜30のアルキル基又は炭素数6〜30のアルケニル基を表し、R6は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、Zは2価以上の多価アルコールから水酸基を除いた残基を表し、nは1〜4の整数を表し、n’は1以上の整数を表し、n”は0以上の整数を表し、n’+n”はZで表される基の価数である]
で表される化合物のうちの少なくとも1種を組成物全量基準で0.001〜5質量%含有することを特徴とするものである。
【0011】
上記一般式(1)〜(3)中、R1、R3及びR5はそれぞれ炭素数6〜30のアルキル基又は炭素数6〜30のアルケニル基を表す。潤滑性等の点から、炭素数6以上のアルキル基又はアルケニル基であることが必要である。また、冷媒溶解性等の点から、炭素数30以下のアルキル基又はアルケニル基であることが必要である。なお、ここでいう冷媒溶解性とは、冷媒と冷凍機油とを混合したとき、冷凍機油中に含まれる成分(上記一般式(1)〜(3)で表される化合物等)が析出しない特性をいう。
【0012】
このようなアルキル基及びアルケニル基としては、具体的には、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等のアルキル基(これらアルキル基は直鎖状でも分枝状でも良い);ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基等のアルケニル基(これらアルケニル基は直鎖状でも分枝状でも良く、また二重結合の位置も任意である)等が挙げられる。
【0013】
上記のアルキル基及びアルケニル基の中でも、潤滑性等の点から炭素数7以上(より好ましくは炭素数8以上)のアルキル基又はアルケニル基が好ましく、また、冷媒溶解性の点から炭素数24以下(より好ましくは炭素数20以下)のアルキル基又はアルケニル基が好ましい。
【0014】
上記一般式(1)〜(3)中、R2、R4及びR6はそれぞれ水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。R2、R4及びR6がアルキル基である場合、冷媒溶解性等の点から、炭素数4以下のアルキル基であることが必要であり、炭素数3以下であることが好ましく、炭素数2以下であることがより好ましい。このようなアルキル基としては、具体的には、上記R1、R3及びR5の説明において例示されたアルキル基のうち炭素数が上記の条件を満たすものが挙げられる。
【0015】
一般式(1)〜(3)中、l、m及びnはそれぞれ1〜4の整数を表す。冷媒溶解性等の点から、l、m及びnはそれぞれ4以下の整数であることが必要であり、3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましい。
【0016】
一般式(1)中、Xは炭素数1〜30のアルキル基又は炭素数1〜30のアルケニル基を表す。Xで表されるアルキル基及びアルケニル基の炭素数は、冷媒熔解性等の点から30以下であることが必要であり、20以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましい。
【0017】
このようなアルキル基又はアルケニル基としては、具体的には例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基(これらアルキル基は直鎖状でも分枝状でも良い);エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基等のアルケニル基(これらアルケニル基は直鎖状でも分枝状でも良く、また二重結合の位置も任意である)等が挙げられる。また、熱安定性に優れるなどの点から、アルキル基であることが好ましい。
【0018】
上記一般式(2)中、Yはアルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子を表す。かかるアルカリ金属原子及びアルカリ土類金属原子としては、具体的には、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等が挙げられる。これらの中でも、潤滑性の向上の点から、アルカリ金属が好ましい。
【0019】
なお、一般式(2)中、m’は1又は2の整数を表すが、Yがアルカリ金属の場合はm’は1であり、Yがアルカリ土類金属の場合はm’は2である。
【0020】
上記一般式(3)中、Zは2価以上の多価アルコールの水酸基を除いた残基を表す。かかる多価アルコールとしては、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,8−オクタンジオール、イソプレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ソルバイト、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、ダイマージオール等の2価のアルコール;グリセリン、2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、1,2,3−ブタントリオール、1,2,3−ペンタントリオール、2−メチル−1,2,3−プロパントリオール、2−メチル−2,3,4−ブタントリオール、2−エチル−1,2,3−ブタントリオール、2,3,4−ペンタントリオール、2,3,4−ヘキサントリオール、4−プロピル−3,4,5−ヘプタントリオール、2,4−ジメチル−2,3,4−ペンタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の3価アルコール;ペンタエリスリトール、エリスリトール、1,2,3,4−ペンタンテトロール、2,3,4,5−ヘキサンテトロール、1,2,4,5−ペンタンテトロール、1,3,4,5−ヘキサンテトロール、ジグリセリン、ソルビタン等の4価アルコール;アドニトール、アラビトール、キシリトール、トリグリセリン等の5価アルコール;ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、イジトール、イノシトール、ダルシトール、タロース、アロース等の6価アルコール;ショ糖等の8価アルコール;ポリグリセリン又はこれらの脱水縮合物等が挙げられ、Zで表される基としては、上記の多価アルコールから水酸基を除いた残基が挙げられる。
【0021】
上記一般式(3)中、n’は1以上の整数、n”は0以上の整数であり、且つn’+n”はZの価数(2価以上の多価アルコールが有する水酸基の数)である。すなわち、Zで表される基は、当該多価アルコールが有する全ての水酸基がR5−CO−NR6−(CH2)n−COO−で表される基に置換されたものであってもよく、水酸基の一部のみが置換されたものであってもよい。
【0022】
本発明においては、上記一般式(1)〜(3)で表される化合物のうちの1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよいが、上記一般式(1)〜(3)で表される化合物の中でも、一般式(1)又は(2)で表される化合物のうちの少なくとも1種の化合物を含有することが好ましい。
【0023】
本発明の冷凍機油組成物における上記一般式(1)〜(3)で表される化合物の含有量は、組成物全量基準で5質量%以下であることが必要であり、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下である。上記一般式(1)〜(3)で表される化合物の含有量が5質量%を越えても、含有量に見合うだけの潤滑性のさらなる向上は見られず、また、冷媒溶解性が不十分となる。
【0024】
また、上記一般式(1)〜(3)で表される化合物の含有量は、組成物全量基準で0.001質量%以上であることが必要であり、好ましくは0.003質量%以上、より好ましくは0.005質量%以上である。上記一般式(1)〜(3)で表される化合物の含有量が0.001質量%未満であると、潤滑性が不十分となる。
【0025】
本発明においては、上記一般式(1)〜(3)で表される化合物が、後述する鉱油及び/又は合成油からなる基油に配合される。
【0026】
ここで、鉱油としては、例えば、パラフィン基系原油、中間基系原油又はナフテン基系原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られた潤滑油留分に対して、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理の1種もしくは2種以上の精製手段を適宜組み合わせて適用して得られるパラフィン系鉱油又はナフテン系鉱油が挙げられる。
【0027】
これらの鉱油の中でも、熱安定性により優れる点から、高度に精製された鉱油(以下、「高度精製鉱油」という)を用いることが好ましい。高度精製鉱油の具体例としては、パラフィン基系原油、中間基系原油又はナフテン基系原油を常圧蒸留するかあるいは常圧蒸留の残渣油を減圧蒸留して得られる留出油を常法に従って精製することによって得られる精製油;精製後さらに深脱ロウ処理することによって得られる深脱ろう油;水素化処理によって得られる水添処理油、等が挙げられる。
【0028】
なお、上記の精製工程における精製法は特に制限されず、従来より公知の方法を使用することができるが、例えば、(a)水素化処理、(b)脱ロウ処理(溶剤脱ロウ又は水添脱ロウ)、(c)溶剤抽出処理、(d)アルカリ洗浄又は硫酸洗浄処理、(e)白土処理のうちのいずれかの処理を単独で、あるいは2つ以上を適宜の順序で組み合わせて行う方法が挙げられる。また、上記処理(a)〜(e)のうちのいずれかの処理を複数段に分けて繰り返し行うことも有効である。
より具体的には、(i)留出油を水素化処理する方法、又は水素化処理した後、アルカリ洗浄又は硫酸洗浄処理を行う方法;(ii)留出油を水素化処理した後、脱ロウ処理する方法;(iii)留出油を溶剤抽出処理した後、水素化処理する方法;(iv)留出油に二段あるいは三段の水素化処理を行う、又はその後にアルカリ洗浄又は硫酸洗浄処理する方法;(v)上述した処理(i)〜(iv)の後、再度脱ロウ処理して深脱ロウ油とする方法、等が挙げられる。
【0029】
上記の精製方法により得られる高度精製鉱油の中でも、ナフテン系鉱油及び深脱ロウ処理することにより得られる鉱油が、低温流動性、低温時でのワックス析出がない等の点から好適である。この深脱ロウ処理は、通常、苛酷な条件下での溶剤脱ロウ処理法やゼオライト触媒を用いた接触脱ロウ処理法などによって行われる。
【0030】
また、かかる高度精製鉱油の非芳香族不飽和分(不飽和度)は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下、特に好ましくは0.1質量%以下である。非芳香族不飽和分が10質量%を超えると、スラッジが発生しやすくなり、その結果、冷媒循環システムを構成するキャピラリー等の膨張機構が閉塞しやすくなる傾向にある。
【0031】
他方、本発明において用いられる合成油としては、オレフィン重合体、ナフタレン化合物、アルキルベンゼン等の炭化水素系油;エステル、ポリオキシアルキレングリコール、ポリビニルエーテル、ケトン、ポリフェニルエーテル、シリコーン、ポリシロキサン、パーフルオロエーテル等の含酸素合成油、などが挙げられる。
【0032】
本発明にかかるオレフィン重合体としては、炭素数2〜12のオレフィンを重合させて得られるもの、並びにその重合により得られる化合物を水素化処理したもの等が挙げられ、ポリブテン、ポリイソブテン、炭素数5〜12のα−オレフィンのオリゴマー(ポリαオレフィン)、エチレン−プロピレン共重合体及びこれらの水素化処理したものなどが好ましく用いられる。
【0033】
オレフィン重合体の製造方法は特に制限されず、種々の公知の方法で製造できる。例えば、ポリαオレフィンは、エチレンから製造されたαオレフィンを原料とし、これをチーグラー触媒法、ラジカル重合法、塩化アルミニウム法、フッ化ホウ素法等の公知の重合方法によって処理することにより製造される。
【0034】
本発明にかかるナフタレン化合物としては、ナフタレン骨格を有するものであれば特に限定はないが、冷媒に対する相溶性に優れる点から、炭素数1〜10のアルキル基を1〜4個有し、かつアルキル基の合計炭素数が1〜10であるものが好ましく、炭素数1〜8のアルキル基を1〜3個有し、かつアルキル基の合計炭素数が3〜8であるものがより好ましい。
【0035】
ナフタレン化合物が有する炭素数1〜10のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、直鎖状又は分枝状のブチル基、直鎖状又は分枝状のペンチル基、直鎖状又は分枝状のヘキシル基、直鎖状又は分枝状のヘプチル基、直鎖状又は分枝状のオクチル基、直鎖状又は分枝状のノニル基、直鎖状又は分枝状のデシル基等が挙げられる。
【0036】
なお、ナフタレン化合物を用いる場合は、単一の構造の化合物を単独で用いてもよく、構造の異なる化合物の2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0037】
また、上記ナフタレン化合物の製造方法は特に制限されず、種々の公知の方法で製造できる。この例としては例えば、炭素数1〜10の炭化水素のハロゲン化物、炭素数2〜10のオレフィン類又は炭素数8〜10のスチレン類を硫酸、リン酸、ケイタングステン酸、フッ化水素酸等の鉱酸、酸性白土、活性白土等の固体酸性物質又は塩化アルミニウム、塩化亜鉛等のハロゲン化金属であるフリーデルクラフツ触媒等の酸触媒の存在下、ナフタレンへ付加する方法等が挙げられる。
【0038】
本発明にかかるアルキルベンゼンとしては、特に限定されないが、冷媒に対する相溶性に優れる点から、炭素数1〜40のアルキル基を1〜4個有し、かつアルキル基の合計炭素数が1〜40であるものが好ましく、炭素数1〜30のアルキル基を1〜4個有し、かつアルキル基の合計炭素数が3〜30であるものがより好ましい。
【0039】
アルキルベンゼンが有する炭素数1〜40のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、直鎖状又は分枝状のブチル基、直鎖状又は分枝状のペンチル基、直鎖状又は分枝状のヘキシル基、直鎖状又は分枝状のヘプチル基、直鎖状又は分枝状のオクチル基、直鎖状又は分枝状のノニル基、直鎖状又は分枝状のデシル基、直鎖状又は分枝状のウンデシル基、直鎖状又は分枝状のドデシル基、直鎖状又は分枝状のトリデシル基、直鎖状又は分枝状のテトラデシル基、直鎖状又は分枝状のペンタデシル基、直鎖状又は分枝状のヘキサデシル基、直鎖状又は分枝状のヘプタデシル基、直鎖状又は分枝状のオクタデシル基、直鎖状又は分枝状のノナデシル基、直鎖状又は分枝状のイコシル基、直鎖状又は分枝状のヘンイコシル基、直鎖状又は分枝状のドコシル基、直鎖状又は分枝状のトリコシル基、直鎖状又は分枝状のテトラコシル基、直鎖状又は分枝状のペンタコシル基、直鎖状又は分枝状のヘキサコシル基、直鎖状又は分枝状のヘプタコシル基、直鎖状又は分枝状のオクタコシル基、直鎖状又は分枝状のノナコシル基、直鎖状又は分枝状のトリアコンチル基、直鎖状又は分枝状のヘントリアコンチル基、直鎖状又は分枝状のドトリアコンチル基、直鎖状又は分枝状のトリトリアコンチル基、直鎖状又は分枝状のテトラトリアコンチル基、直鎖状又は分枝状のペンタトリアコンチル基、直鎖状又は分枝状のヘキサトリアコンチル基、直鎖状又は分枝状のヘプタトリアコンチル基、直鎖状又は分枝状のオクタトリアコンチル基、直鎖状又は分枝状のノナトリアコンチル基、直鎖状又は分枝状のテトラコンチル基(すべての異性体を含む)等が挙げられる。
【0040】
上記のアルキル基は直鎖状、分枝状のいずれであってもよいが、冷媒循環システムに使用される有機材料との適合性の点では直鎖状アルキルベンゼンが好ましい。一方、冷媒相溶性、熱安定性、潤滑性等の点から分枝状アルキル基が好ましく、特に入手可能性の点から、プロピレン、ブテン、イソブチレンなどのオレフィンのオリゴマーから誘導される分枝状アルキル基がより好ましい。
【0041】
なお、アルキルベンゼンを用いる場合は、単一の構造の化合物を単独で用いてもよく、構造の異なる化合物の2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0042】
上記アルキルベンゼンの製造方法は任意であり、何ら限定されるものでないが、例えば以下に示す合成法によって製造できる。
【0043】
原料となる芳香族化合物としては、具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、ジエチルベンゼン及びこれらの混合物等が用いられる。またアルキル化剤として、エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン等の低級モノオレフィン(好ましくはプロピレン)の重合によって得られる炭素数6〜40の直鎖状又は分枝状のオレフィン;ワックス、重質油、石油留分、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱分解によって得られる炭素数6〜40の直鎖状又は分枝状のオレフィン;灯油、軽油等の石油留分からn−パラフィンを分離し、これを触媒によりオレフィン化することによって得られる炭素数9〜40の直鎖状オレフィン、並びにこれらの混合物等を使用することができる。
【0044】
また、上記の芳香族化合物とアルキル化剤とを反応させる際には、塩化アルミニウム、塩化亜鉛等のフリーデルクラフツ型触媒、硫酸、リン酸、ケイタングステン酸、フッ化水素酸、活性白土等の酸性触媒等の従来より公知のアルキル化触媒を用いることができる。
【0045】
本発明にかかるエステルとしては、例えば、芳香族エステル、二塩基酸エステル、ポリオールエステル、コンプレックスエステル、炭酸エステル及びこれらの混合物等が例示される。
【0046】
かかる芳香族エステルとしては、1〜6価、好ましくは1〜4価、より好ましくは1〜3価の芳香族カルボン酸と、炭素数1〜18、好ましくは1〜12の脂肪族アルコールとのエステル等が挙げられる。1〜6価の芳香族カルボン酸としては、具体的には、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸及びこれらの混合物等が挙げられる。また、炭素数1〜18の脂肪族アルコールとしては、直鎖状のものでも分枝状のものであってもよく、具体的には、メタノール、エタノール、直鎖状又は分枝状のプロパノール、直鎖状又は分枝状のブタノール、直鎖状又は分枝状のペンタノール、直鎖状又は分枝状のヘキサノール、直鎖状又は分枝状のヘプタノール、直鎖状又は分枝状のオクタノール、直鎖状又は分枝状のノナノール、直鎖状又は分枝状のデカノール、直鎖状又は分枝状のウンデカノール、直鎖状又は分枝状のドデカノール、直鎖状又は分枝状のトリデカノール、直鎖状又は分枝状のテトラデカノール、直鎖状又は分枝状のペンタデカノール、直鎖状又は分枝状のヘキサデカノール、直鎖状又は分枝状のヘプタデカノール、直鎖状又は分枝状のオクタデカノール及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0047】
上記の芳香族化合物と脂肪族アルコールとを用いて得られる芳香族エステルとしては、具体的には、フタル酸ジブチル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジノニル、フタル酸ジデシル、フタル酸ジドデシル、フタル酸ジトリデシル、トリメリット酸トリブチル、トリメリット酸トリ(2−エチルヘキシル)、トリメリット酸トリノニル、トリメリット酸トリデシル、トリメリット酸トリドデシル、トリメリット酸トリトリデシル等が挙げられる。なお、当然のことながら、2価以上の芳香族カルボン酸を用いた場合、1種の脂肪族アルコールからなる単純エステルであってもよいし、2種以上の脂肪族アルコールからなる複合エステルであってもよい。
【0048】
本発明にかかる二塩基酸エステルとしては、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸等の炭素数5〜10の鎖状若しくは環状の脂肪族二塩基酸と、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール等の直鎖又は分枝の炭素数1〜15の一価アルコールとのエステル及びこれらの混合物が好ましく用いられ、より具体的には、ジトリデシルグルタレート、ジ2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジ2−エチルヘキシルセバケート、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸と炭素数4〜9の1価アルコールとのジエステル、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸と炭素数4〜9の1価アルコールとのジエステル及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0049】
また、本発明にかかるポリオールエステルとしては、ジオールあるいは水酸基を3〜20個有するポリオールと、炭素数6〜20の脂肪酸とのエステルが好ましく用いられる。ここで、ジオールとしては、具体的には、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2ーメチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,7−ヘプタンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール等が挙げられる。ポリオールとしては、具体的には、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ジ−(トリメチロールプロパン)、トリ−(トリメチロールプロパン)、ペンタエリスリトール、ジ−(ペンタエリスリトール)、トリ−(ペンタエリスリトール)、グリセリン、ポリグリセリン(グリセリンの2〜20量体)、1,3,5ーペンタントリオール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトール等の多価アルコール、キシロース、アラビノース、リボース、ラムノース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、セロビオース、マルトース、イソマルトース、トレハロース、シュクロース、ラフィノース、ゲンチアノース、メレジトース等の糖類及びこれらの部分エーテル化物、並びにメチルグルコシド(配糖体)並びにが挙げられる。これらの中でもポリオールとしては、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ジ−(トリメチロールプロパン)、トリ−(トリメチロールプロパン)、ペンタエリスリトール、ジ−(ペンタエリスリトール)、トリ−(ペンタエリスリトール)等のヒンダードアルコールが好ましい。
【0050】
本発明にかかるポリオールエステルに用いられる脂肪酸において、その炭素数は特に制限されないが、通常、炭素数1〜24のものが用いられる。炭素数1〜24の脂肪酸の中でも、潤滑性の点から炭素数3以上のものが好ましく、炭素数4以上のものがより好ましく、炭素数5以上のものがさらに好ましく、炭素数10以上のものが特に好ましい。また、冷媒との相溶性の点から、炭素数18以下のものが好ましく、炭素数12以下のものがより好ましく、炭素数9以下のものがさらに好ましい。
【0051】
また、かかる脂肪酸は直鎖状脂肪酸、分枝状脂肪酸のいずれであってもよいが、潤滑性の点からは直鎖状脂肪酸が好ましく、加水分解安定性の点からは分枝状脂肪酸が好ましい。さらに、かかる脂肪酸は飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸のいずれであってもよい。
【0052】
本発明において用いられる脂肪酸としては、具体的には、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸、イコサン酸、オレイン酸等が挙げられ、これらの脂肪酸は直鎖状脂肪酸、分枝状脂肪酸のいずれであってもよく、さらにはα炭素原子が4級炭素原子である脂肪酸(ネオ酸)であってもよい。これらの中でも、吉草酸(n−ペンタン酸)、カプロン酸(n−ヘキサン酸)、エナント酸(n−ヘプタン酸)、カプリル酸(n−オクタン酸)、ペラルゴン酸(n−ノナン酸)、カプリン酸(n−デカン酸)、オレイン酸(cis−9−オクタデセン酸)、イソペンタン酸(3−メチルブタン酸)、2−メチルヘキサン酸、2−エチルペンタン酸、2−エチルヘキサン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸が好ましく用いられる。
【0053】
なお、本発明にかかるポリオールエステルは、2個以上のエステル基を有する限りにおいて、ポリオールが有する水酸基のうちの一部がエステル化されずに残っている部分エステルであってもよく、全ての水酸基がエステル化された完全エステルであってもよく、さらには部分エステルと完全エステルの混合物であってもよいが、完全エステルであることが好ましい。
【0054】
本発明にかかるコンプレックスエステルとは、脂肪酸及び二塩基酸と、一価アルコール及びポリオールとのエステルのことであり、脂肪酸、二塩基酸、一価アルコール、ポリオールとしては、上記二塩基酸エステル及びポリオールエステルの説明において例示された脂肪酸、二塩基酸、一価アルコール及びポリオールが使用できる。
【0055】
また、本発明にかかる炭酸エステルとは、分子内に下記式(4):
−O−CO−O− (4)
で表される炭酸エステル結合を有する化合物である。なお、上記式(4)で表される炭酸エステル結合の個数は一分子当たり1個でもよく2個以上でもよい。
【0056】
炭酸エステルを構成するアルコールとしては、上記二塩基酸エステル及びポリオールエステルの説明において例示された1価アルコール、ポリオール等、並びにポリグリコールやポリオールにポリグリコールを付加させたものを使用することができる。また、炭酸と脂肪酸及び/又は二塩基酸とから得られる化合物を使用してもよい。
【0057】
また、当然のことながら、エステルを用いる場合は、単一の構造の化合物を単独で用いてもよく、構造の異なる化合物の2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0058】
上記のエステルの中でも、冷媒との相溶性に優れることから、二塩基酸エステル、ポリオールエステル及び炭酸エステルが好ましい。
【0059】
さらには、二塩基酸エステルの中でも、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸エステルは、冷媒との相溶性及び熱・加水分解安定性の点からより好ましい。
【0060】
本発明において好ましく用いられる二塩基酸エステルの具体例としては、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール及びノナノールからなる群より選ばれる少なくとも1種の1価アルコールと、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の二塩基酸とから得られる二塩基酸エステル、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0061】
本発明にかかる二塩基酸エステルにおいては、冷凍機油組成物の低温特性や冷媒との相溶性が向上する傾向にあることから、当該二塩基酸エステルを構成する1価アルコールが2種以上であることが好ましい。なお、2種以上の1価アルコールから構成される二塩基酸エステルとは、二塩基酸と1種のアルコールとのエステルの2種以上の混合物、並びに二塩基酸と2種以上の混合アルコールとのエステルを包含するものである。
【0062】
また、ポリオールエステルの中でも、より加水分解安定性に優れることから、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ジ−(トリメチロールプロパン)、トリ−(トリメチロールプロパン)、ペンタエリスリトール、ジ−(ペンタエリスリトール)、トリ−(ペンタエリスリトール)等のヒンダードアルコールのエステルがより好ましく、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン及びペンタエリスリトールのエステルがさらに好ましく、冷媒との相溶性及び加水分解安定性に特に優れることからペンタエリスリトールのエステルが最も好ましい。
【0063】
本発明において好ましく用いられるポリオールエステルの具体例としては、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、オレイン酸、イソペンタン酸、2−メチルヘキサン酸、2−エチルペンタン酸、2−エチルヘキサン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の脂肪酸と、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン及びペンタエリスリトールからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルコールとから得られるジエステル、トリエステル、テトラエステル及びこれらの混合物が挙げられる。
【0064】
本発明にかかるポリオールエステルにおいては、冷凍機油組成物の低温特性や冷媒との相溶性が向上する傾向にあることから、ポリオールエステルを構成する脂肪酸が2種以上であることが好ましい。なお、2種以上の脂肪酸で構成されるポリオールエステルとは、ポリオールと1種の脂肪酸とのエステルの2種以上の混合物、並びにポリオールと2種以上の混合脂肪酸とのエステルを包含するものである。
【0065】
また、炭酸エステルの中でも、下記一般式(5):
(X1O)b−B−[O−(A1O)c−CO−O−(A2O)d−Y1]a (5)
[式(5)中、X1は水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又は下記一般式(6):
Y2−(OA3)e− (6)
(式(6)中、Y2は水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表し、A3は炭素数2〜4のアルキレン基を示し、eは1〜50の整数を示す)
で表される基を表し、A1及びA2は同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数2〜4のアルキレン基を表し、Y1は水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表し、Bは水酸基3〜20個を有する化合物の残基を表し、aは1〜20、bは0〜19で且つa+bが3〜20となる整数を表し、cは0〜50の整数を表し、dは1〜50の整数を表す]
で表される構造を有するものが好ましい。
【0066】
上記式(5)において、X1は水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又は上記式(6)で表される基を表す。ここでいうアルキル基の炭素数は特に制限されないが、通常1〜24、好ましくは1〜18、より好ましくは1〜12である。また、当該アルキル基は直鎖状、分枝状のいずれであってもよい。
【0067】
炭素数1〜24のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、直鎖又は分枝ペンチル基、直鎖又は分枝ヘキシル基、直鎖又は分枝ヘプチル基、直鎖又は分枝オクチル基、直鎖又は分枝ノニル基、直鎖又は分枝デシル基、直鎖又は分枝ウンデシル基、直鎖又は分枝ドデシル基、直鎖又は分枝トリデシル基、直鎖又は分枝テトラデシル基、直鎖又は分枝ペンタデシル基、直鎖又は分枝ヘキサデシル基、直鎖又は分枝ヘプタデシル基、直鎖又は分枝オクタデシル基、直鎖又は分枝ノナデシル基、直鎖又は分枝イコシル基、直鎖又は分枝ヘンイコシル基、直鎖又は分枝ドコシル基、直鎖又は分枝トリコシル基、直鎖又は分枝テトラコシル基等が挙げられる。
【0068】
また、シクロアルキル基としては、具体的には、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基などが挙げられる。
【0069】
上記式(5)においてA3で表される炭素数2〜4のアルキレン基としては、具体的には、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、ブチレン基、テトラメチレン基、1-メチルトリメチレン基、2-メチルトリメチレン基、1,1-ジメチルエチレン基、1,2-ジメチルエチレン基等が挙げられる。
【0070】
上記式(2)におけるY2は、水素原子、アルキル基又はシクロアルキルキル基を表す。ここでいうアルキル基の炭素数は特に制限されないが、通常1〜24、好ましくは1〜18、より好ましくは1〜12である。また、当該アルキル基は直鎖状、分枝状のいずれであってもよい。炭素数1〜24のアルキル基としては、上記X1の説明において例示されたアルキル基が挙げられる。
【0071】
また、シクロアルキル基としては、具体的には例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基などが挙げられる。
【0072】
上記Y2で表される基の中でも、水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、neo−ペンチル基、n−ヘキシル基、iso−ヘキシル基、n−ヘプチル基、iso−ヘプチル基、 n−オクチル基、iso−オクチル基、n−ノニル基、iso−ノニル基、 n−デシル基、iso−デシル基、n−ウンデシル基、iso−ウンデシル基、n−ドデシル基又はiso−ドデシル基のうちのいずれかであることがより好ましい。また、eは1〜50の整数を表す。
【0073】
また、X1で表される基としては、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基又は上記一般式(6)で表される基であることが好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、neo−ペンチル基、n−ヘキシル基、iso−ヘキシル基、n−ヘプチル基、iso−ヘプチル基、n−オクチル基、iso−オクチル基、n−ノニル基、iso−ノニル基、n−デシル基、iso−デシル基、n−ウンデシル基、iso−ウンデシル基、n−ドデシル基、iso−ドデシル基又は一般式(6)で表される基のうちのいずれかであることがより好ましい。
【0074】
Bを残基とする3〜20個の水酸基を有する化合物としては、具体的には、前述のポリオールが挙げられる。
【0075】
また、A1及びA2は同一でも異なっていても良く、それぞれ炭素数2〜4のアルキレン基を表す。当該アルキレン基としては、具体的には、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、ブチレン基、テトラメチレン基、1−メチルトリメチレン基、2−メチルトリメチレン基、1,1−ジメチルエチレン基、1,2−ジメチルエチレン基等が挙げられる。
【0076】
また、Y1は、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。ここでいうアルキル基の炭素数は特に制限されないが、通常1〜24、好ましくは1〜18、より好ましくは1〜12である。また、当該アルキル基は直鎖状、分枝状のいずれであってもよい。炭素数1〜24のアルキル基としては、具体的には、X1の説明において例示されたアルキル基が挙げられる。
【0077】
また、シクロアルキル基としては、具体的には、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等が挙げられる。
【0078】
これらの中でもY1で表される基としては、水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基であることが好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、neo−ペンチル基、n−ヘキシル基、iso−ヘキシル基、n−ヘプチル基、iso−ヘプチル基、n−オクチル基、iso−オクチル基、n−ノニル基、iso−ノニル基、 n−デシル基、iso−デシル基、n−ウンデシル基、iso−ウンデシル基、n−ドデシル基又はiso−ドデシル基のうちのいずれかであることがより好ましい。
【0079】
上記式(5)及び(6)において、c、d及びeはポリオキシアルキレン鎖の重合度を表すが、分子中のポリオキシアルキレン鎖は同一でも異なっていてもよい。また、上記式(5)で表される炭酸エステルが複数の異なるポリオキシアルキレン鎖を有する場合、オキシアルキレン基の重合形式に特に制限はなく、ランダム共重合していてもブロック共重合していてもよい。
【0080】
本発明に用いられる炭酸エステルの製造法は任意であるが、例えば、ポリオール化合物にアルキレンオキサイドを付加せしめてポリアルキレングリコールポリオールエーテルを製造し、これとクロロフォーメートとを、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等のアルカリ金属アルコキシド、あるいは金属ナトリウム等のアルカリの存在下、0〜30℃で反応せしめることにより得られる。あるいはポリアルキレングリコールポリオールエーテルに、炭酸ジエステル、ホスゲン等の炭酸の供給源を、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等のアルカリ金属アルコキシド又は金属ナトリウム等のアルカリの存在下、80〜150℃で反応せしめることにより得られる。この後、必要に応じて遊離の水酸基をエーテル化せしめる。
【0081】
上記の原料より得られた生成物を精製して副生成物や未反応物を除去してもよいが、少量の副生成物や未反応物は、本発明の潤滑油の優れた性能を損なわない限り、存在していても支障はない。
【0082】
本発明において炭酸エステルを用いる場合は、単一の構造の化合物を単独で用いてもよく、構造の異なる化合物の2種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明にかかる炭酸エステルの分子量は特に限定されるものではないが、圧縮機の密閉性をより向上させる点から、数平均分子量が200〜4000であることが好ましく、300〜3000であることがより好ましい。さらに、本発明にかかる炭酸エステルの動粘度は、100℃において好ましくは2〜150mm2/s、より好ましくは4〜100mm2/sである。
【0083】
本発明の潤滑油に使用されるポリオキシアルキレングリコールとしては、例えば下記一般式(7):
R7−〔(OR8)f−OR9〕g (7)
[式(7)中、R7は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアシル基又は水酸基を2〜8個有する化合物の残基を表し、R8は炭素数2〜4のアルキレン基を表し、R9は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数2〜10のアシル基を表し、fは1〜80の整数を表し、gは1〜8の整数を表す]
で表される化合物が挙げられる。
【0084】
上記一般式(7)において、R7、R9で表されるアルキル基は直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、直鎖状又は分枝状のブチル基、直鎖状又は分枝状のペンチル基、直鎖状又は分枝状のヘキシル基、直鎖状又は分枝状のヘプチル基、直鎖状又は分枝状のオクチル基、直鎖状又は分枝状のノニル基、直鎖状又は分枝状のデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。このアルキル基の炭素数が10を超えると冷媒との相溶性が低下し、相分離が起こりやすくなる傾向にある。好ましいアルキル基の炭素数は1〜6である。
【0085】
また、R7、R9で表されるアシル基のアルキル基部分は直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよい。アシル基のアルキル基部分の具体例としては、上記アルキル基の具体例として例示されたアルキル基のうち炭素数1〜9のものが挙げられる。このアシル基の炭素数が10を超えると冷媒との相溶性が低下し、相分離を生じる場合がある。好ましいアシル基の炭素数は2〜6である。
【0086】
R7、R9で表される基が、ともにアルキル基である場合、あるいはともにアシル基である場合、R7、R9で表される基は同一でも異なっていてもよい。さらにgが2以上の場合は、同一分子中の複数のR7、R9で表される基は同一でも異なっていてもよい。
【0087】
R7で表される基が水酸基を2〜8個有する化合物の残基である場合、この化合物は鎖状のものであってもよいし、環状のものであってもよい。水酸基を2個有する化合物としては、具体的には、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2ーメチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,7−ヘプタンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール等が挙げられる。
【0088】
また、水酸基を3〜8個有する化合物としては、具体的には、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ジ−(トリメチロールプロパン)、トリ−(トリメチロールプロパン)、ペンタエリスリトール、ジ−(ペンタエリスリトール)、トリ−(ペンタエリスリトール)、グリセリン、ポリグリセリン(グリセリンの2〜6量体)、1,3,5ーペンタントリオール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトール等の多価アルコール、キシロース、アラビノース、リボース、ラムノース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、セロビオース、マルトース、イソマルトース、トレハロース、シュクロース、ラフィノース、ゲンチアノース、メレジトース等の糖類、並びにこれらの部分エーテル化物、及びメチルグルコシド(配糖体)等が挙げられる。
【0089】
上記一般式(7)で表されるポリオキシアルキレングリコールの中でも、R7、R9のうちの少なくとも1つがアルキル基(より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基)であることが好ましく、特にメチル基であることが冷媒相溶性の点から好ましい。さらには、熱・化学安定性の点から、R7とR9との双方がアルキル基(より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基)であることが好ましく、とりわけ双方がメチル基であることが好ましい。また、製造容易性及びコストの点から、R7又はR9のいずれか一方がアルキル基(より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基)であり、他方が水素原子であることが好ましく、とりわけ一方がメチル基であり、他方が水素原子であることが好ましい。
【0090】
上記一般式(7)中のR8は炭素数2〜4のアルキレン基を表し、このようなアルキレン基としては、具体的には、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が挙げられる。また、OR8で表される繰り返し単位のオキシアルキレン基としては、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基が挙げられる。同一分子中のオキシアルキレン基は同一であってもよく、また、2種以上のオキシアルキレン基が含まれていてもよい。
【0091】
上記一般式(7)で表されるポリオキシアルキレングリコールの中でも、冷媒相溶性及び粘度−温度特性の観点からは、オキシエチレン基(EO)とオキシプロピレン基(PO)とを含む共重合体が好ましく、このような場合、焼付荷重、粘度−温度特性の点から、オキシエチレン基とオキシプロピレン基との総和に占めるオキシエチレン基の割合(EO/(PO+EO))が0.1〜0.8の範囲にあることが好ましく、0.3〜0.6の範囲にあることがより好ましい。
【0092】
また、吸湿性や熱酸化安定性の点ではEO/(PO+EO)の値が0〜0.5の範囲にあることが好ましく、0〜0.2の範囲にあることがより好ましく、0(すなわちプロピレンオキサイド単独重合体)であることが最も好ましい。
【0093】
上記一般式(7)中のfは1〜80の整数、gは1〜8の整数である。例えばR7がアルキル基又はアシル基である場合、gは1である。また、R7が水酸基を2〜8個有する化合物の残基である場合、gは当該化合物が有する水酸基の数となる。
【0094】
また、fとgとの積(f×g)については特に制限されないが、前記した冷凍機用潤滑油としての要求性能をバランスよく満たすためには、f×gの平均値が6〜80となるようにすることが好ましい。
【0095】
上記の構成を有するポリオキシアルキレングリコールの中でも、下記一般式(8):
CH3O−(C3H6O)h−CH3 (8)
(式中、hは6〜80の数を表す)
で表されるポリオキシプロピレングリコールジメチルエーテル、並びに下記一般式(9):
CH3O−(C2H4O)i−(C3H6O)j−CH3 (9)
(式中、i及びjはそれぞれ1以上であり且つiとjとの合計が6〜80となる数を表す)
で表されるポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールジメチルエーテルが経済性及び前述の効果の点で好適であり、また、下記一般式(10):
C4H9O−(C3H6O)k−H (10)
(式中、kは6〜80の数を示す)
で表されるポリオキシプロピレングリコールモノブチルエーテル、さらには下記一般式(11):
CH3O−(C3H6O)h'−H (11)
(式中、h’は6〜80の数を表す)
で表されるポリオキシプロピレングリコールモノメチルエーテル、下記一般式(12):
CH3O−(C2H4O)i'−(C3H6O)j'−H (12)
(式中、i’及びj’はそれぞれ1以上であり且つiとjとの合計が6〜80となる数を表す)
で表されるポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールモノメチルエーテル、下記一般式(13):
C4H9O−(C2H4O)i"−(C3H6O)j"−H (13)
(式中、i”及びj”はそれぞれ1以上であり且つiとjとの合計が6〜80となる数を表す)
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールモノブチルエーテル、下記一般式(14):
CH3COO−(C3H6O)k'−COCH3 (14)
(式中、k’は6〜80の数を表す)
で表されるポリオキシプロピレングリコールジアセテートが、経済性等の点で好適である。
【0096】
また、本発明においては、上記ポリオキシアルキレングリコールとして、一般式(15):
【化1】
[式(15)中、R10〜R13は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子、炭素数1〜10の1価の炭化水素基又は下記一般式(16):
【化2】
(式(16)中、R14及びR15は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子、炭素数1〜10の1価の炭化水素基又は炭素数2〜20のアルコキシアルキル基を表し、R16は炭素数2〜5のアルキレン基、アルキル基を置換基として有する総炭素数2〜5の置換アルキレン基又はアルコキシアルキル基を置換基として有する総炭素数4〜10の置換アルキレン基を表し、pは0〜20の整数を表し、R17は炭素数1〜10の1価の炭化水素基を表す)
で表される基を表し、R10〜R13の少なくとも1つが一般式(16)で表される基である]
で表される構成単位を少なくとも1個有するポリオキシアルキレングリコール誘導体を使用することができる。
【0097】
上記式(15)中、R10〜R13はそれぞれ水素原子、炭素数1〜10の1価の炭化水素基又は上記一般式(16)で表わされる基を表すが、炭素数1〜10の1価の炭化水素基としては、具体的には、炭素数1〜10の直鎖状又は分枝状のアルキル基、炭素数2〜10の直鎖状又は分枝状のアルケニル基、炭素数5〜10のシクロアルキル基又はアルキルシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又はアルキルアリール基、炭素数7〜10のアリールアルキル基等があげられる。これらの1価の炭化水素基の中でも、炭素数6以下の1価の炭化水素基、特に炭素数3以下のアルキル基、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が好ましい。
【0098】
また、上記一般式(16)において、R14及びR15はそれぞれ水素原子、炭素数1〜10の1価の炭化水素基又は炭素数2〜20のアルコキシアルキル基を表すが、これらの中でも炭素数3以下のアルキル基又は炭素数6以下のアルコキシアルキル基が好ましい。炭素数3以下のアルキル基としては、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。また、炭素数2〜6のアルコキシアルキル基としては、具体的には、メトキシメチル基、エトキシメチル基、n−プロポキシメチル基、イソプロポキシメチル基、n−ブトキシメチル基、イソブトキシメチル基、sec−ブトキシメチル基、tert−ブトキシメチル基、ペントキシメチル基(すべての異性体を含む)、メトキシエチル基(すべての異性体を含む)、エトキシエチル基(すべての異性体を含む)、プロポキシエチル基(すべての異性体を含む)、ブトキシエチル基(すべての異性体を含む)、メトキシプロピル基(すべての異性体を含む)、エトキシプロピル基(すべての異性体を含む)、プロポキシプロピル基(すべての異性体を含む)、メトキシブチル基(すべての異性体を含む)、エトキシブチル基(すべての異性体を含む)、メトキシペンチル基(すべての異性体を含む)等が挙げられる。
【0099】
上記一般式(12)中、R16は炭素数2〜5のアルキレン基、アルキル基を置換基として有する総炭素数2〜5の置換アルキレン基又はアルコキシアルキル基を置換基として有する総炭素数4〜10の置換アルキレン基、好ましくは炭素数2〜4のアルキレン基及び総炭素数6以下の置換エチレン基を表す。炭素数2〜4のアルキレン基としては、具体的には、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が挙げられる。また、総炭素数6以下の置換エチレン基としては、具体的には1−(メトキシメチル)エチレン基、2−(メトキシメチル)エチレン基、1−(メトキシエチル)エチレン基、2−(メトキシエチル)エチレン基、1−(エトキシメチル)エチレン基、2−(エトキシメチル)エチレン基、1−メトキシメチル−2−メチルエチレン基、1,1−ビス(メトキシメチル)エチレン基、2,2−ビス(メトキシメチル)エチレン基、1,2−ビス(メトキシメチル)エチレン基、1−メチル−2−メトキシメチルエチレン基、1−メトキシメチル−2−メチルエチレン基、1−エチル−2−メトキシメチルエチレン基、1−メトキシメチル−2−エチルエチレン基、1−メチル−2−エトキシメチルエチレン基、1−エトキシメチル−2−メチルエチレン基、1−メチル−2−メトキシエチルエチレン基、1−メトキシエチル−2−メチルエチレン基等が挙げられる。
【0100】
上記一般式(16)中、R17は炭素数の1〜10の1価の炭化水素基を表すが、当該炭化水素基としては、具体的には、炭素数1〜10の直鎖状又は分枝状のアルキル基、炭素数2〜10の直鎖状又は分枝状のアルケニル基、炭素数5〜10のシクロアルキル基又はアルキルシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又はアルキルアリール基、炭素数7〜10のアリールアルキル基等が挙げられる。これらの中でも、炭素数6以下の1価の炭化水素基が好ましく、特に炭素数3以下のアルキル基、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が好ましい。
【0101】
上記一般式(15)中、R10〜R13のうち少なくとも1つは上記一般式(16)で表される基である。特に、R10又はR12はのいずれか一つが上記一般式(16)で表される基であり、且つR10又はR12の残りの一つ及びR11、R13がそれぞれ水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基であることが好ましい。
【0102】
本発明において好ましく用いられる、上記一般式(15)で表される構成単位を有するポリオキシアルキレングリコールは、一般式(15)で表される構成単位のみからなる単独重合体;一般式(15)で表され且つ構造の異なる2種以上の構成単位からなる共重合体、並びに一般式(15)で表される構成単位と他の構成単位、例えば下記一般式(17):
【化3】
[式(17)中、R18〜R21は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示す]
で表される構成単位からなる共重合体の三種類に大別することができる。上記単独重合体の好適例は、一般式(15)で表される構成単位Aを1〜200個有するとともに、末端基がそれぞれ水酸基、炭素数1〜10のアシルオキシ基、炭素数1〜10のアルコキシ基あるいはアリーロキシ基からなるものを挙げることができる。一方、共重合体の好適例は、一般式(15)で表される二種類の構成単位A、Bをそれぞれ1〜200個有するか、あるいは一般式(15)で表される構成単位Aを1〜200個と一般式(15)で表される構成単位Cを1〜200個有するとともに、末端基がそれぞれ水酸基、炭素数1〜10のアシルオキシ基、炭素数1〜10のアルコキシ基あるいはアリーロキシ基からなるものを挙げることができる。これらの共重合体は、構成単位Aと構成単位B(あるいは構成単位C)との交互共重合、ランダム共重合、ブロック共重合体あるいは構成単位Aの主鎖に構成単位Bがグラフト結合したグラフト共重合体のいずれの重合形式であってもよい。
【0103】
また、本発明において用いられるポリビニルエーテルとしては、例えば下記一般式(18):
【化4】
[式(18)中、R22〜R24は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を表し、R25は炭素数1〜10の2価の炭化水素基又は炭素数2〜20の2価のエーテル結合酸素含有炭化水素基を表し、R26は炭素数1〜20の炭化水素基を表し、qはその平均値が0〜10の数を表し、R22〜R26は構成単位毎に同一であってもそれぞれ異なっていてもよく、また一般式(18)で表される構成単位が複数のR25Oを有するとき、複数のR25Oは同一でも異なっていてもよい]
で表される構成単位を有するポリビニルエーテル系化合物が挙げられる。
【0104】
また、上記一般式(18)で表される構成単位と、下記一般式(19):
【化5】
[式(19)中、R27〜R30は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を表し、R27〜R30は構成単位毎に同一でも異なっていてもよい]
で表される構成単位とを有するブロック共重合体又はランダム共重合体からなるポリビニルエーテル系化合物も使用することができる。
【0105】
上記一般式(18)中のR22〜R24はそれぞれ水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基(好ましくは1〜4の炭化水素基)を表し、それらは互いに同一でも異なっていてもよい。かかる炭化水素基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、各種メチルシクロヘキシル基、各種エチルシクロヘキシル基、各種ジメチルシクロヘキシル基などのシクロアルキル基、フェニル基、各種メチルフェニル基、各種エチルフェニル基、各種ジメチルフェニル基等のアリール基;ベンジル基、各種フェニルエチル基、各種メチルベンジル基等のアリールアルキル基、等が挙げられるが、R22〜R24としては素原子が好ましい。
【0106】
一方、上記一般式(18)中のR25は、炭素数1〜10(好ましくは2〜10)の2価の炭化水素基又は炭素数2〜20の2価のエーテル結合酸素含有炭化水素基を表す。炭素数1〜10の2価の炭化水素基としては、具体的には、メチレン基、エチレン基、フェニルエチレン基、1,2−プロピレン基、2−フェニル−1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、各種ブチレン基、各種ペンチレン基、各種ヘキシレン基、各種ヘプチレン基、各種オクチレン基、各種ノニレン基、各種デシレン基等の2価の脂肪族鎖式炭化水素基;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、プロピルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素に2個の結合部位を有する脂環式炭化水素基;各種フェニレン基、各種メチルフェニレン基、各種エチルフェニレン基、各種ジメチルフェニレン基、各種ナフチレン基等の2価の芳香族炭化水素基;トルエン、キシレン、エチルベンゼン等のアルキル芳香族炭化水素のアルキル基部分と芳香族部分にそれぞれ1価の結合部位を有するアルキル芳香族炭化水素基;キシレン、ジエチルベンゼン等のポリアルキル芳香族炭化水素のアルキル基部分に結合部位を有するアルキル芳香族炭化水素基、等が挙げられる。これらの中でも炭素数2〜4の脂肪族鎖式炭化水素基が特に好ましい。
【0107】
また、炭素数2〜20の2価のエーテル結合酸素含有炭化水素基の具体例としては、メトキシメチレン基、メトキシエチレン基、メトキシメチルエチレン基、1,1−ビスメトキシメチルエチレン基、1,2−ビスメトキシメチルエチレン基、エトキシメチルエチレン基、(2−メトキシエトキシ)メチルエチレン基、(1−メチル−2−メトキシ)メチルエチレン基等を好ましく挙げることができる。なお、上記一般式(18)中のqはR25Oの繰り返し数を表し、その平均値が0〜10、好ましくは0〜5の範囲の数である。同一の構成単位内にR25Oが複数ある場合には、複数のR25Oは同一でも異なっていてもよい。
【0108】
さらに、上記一般式(18)におけるR26は炭素数1〜20、好ましくは1〜10の炭化水素基を表すが、かかる炭化水素基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、各種メチルシクロヘキシル基、各種エチルシクロヘキシル基、各種プロピルシクロヘキシル基、各種ジメチルシクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、各種メチルフェニル基、各種エチルフェニル基、各種ジメチルフェニル基、各種プロピルフェニル基、各種トリメチルフェニル基、各種ブチルフェニル基、各種ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、各種フェニルエチル基、各種メチルベンジル基、各種フェニルプロピル基、各種フェニルブチル基等のアリールアルキル基、等が挙げられる。なお、R22〜R26は構成単位毎に同一であっても異なっていてもよい。
【0109】
本発明にかかるポリビニルエーテルが上記一般式(18)で表される構成単位のみからなる単独重合体である場合、その炭素/酸素モル比は4.2〜7.0の範囲にあるものが好ましい。当該モル比が4.2未満であると吸湿性が過剰に高くなり、また、7.0を超えると冷媒との相溶性が低下する傾向にある。
【0110】
上記一般式(19)において、R27〜R30は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を表す。ここで、炭素数1〜20の炭化水素基としては、上記一般式(18)中のR26の説明において例示された炭化水素基が挙げられる。なお、R27〜R30は構成単位毎に同一であってもそれぞれ異なっていてもよい。
【0111】
本発明にかかるポリビニルエーテルが一般式(18)で表される構成単位と一般式(19)で表される構成単位とを有するブロック共重合体又はランダム共重合体である場合、その炭素/酸素モル比は4.2〜7.0の範囲にあることが好ましい。当該モル比が4.2未満であると吸湿性が過剰に高くなり、また、7.0を超えると冷媒との相溶性が低下する傾向にある。
【0112】
さらに本発明においては、上記一般式(18)で表される構成単位のみからなる単独重合体と、上記一般式(18)で表される構成単位と上記一般式(19)で表される構成単位とからなるブロック共重合体又はランダム共重合体と、の混合物も使用することができる。これらの単独重合体及び共重合体は、それぞれ対応するビニルエーテル系モノマーの重合、及び対応するオレフィン性二重結合を有する炭化水素モノマーと対応するビニルエーテル系モノマーとの共重合により製造することができる。
【0113】
本発明に用いられるポリビニルエーテルとしては、その末端構造のうちの一方が、下記一般式(20)又は(21):
【化6】
[式(20)中、R31〜R33は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を表し、R34は炭素数1〜10の2価の炭化水素基又は炭素数2〜20の2価のエーテル結合酸素含有炭化水素基を表し、R35は炭素数1〜20の炭化水素基を表し、rはその平均値が0〜10の数を表し、上記一般式(20)で表される末端構造が複数のR34Oを有するとき、複数のR34Oはそれぞれ同一でも異なっていてもよい]
【0114】
【化7】
[式(21)中、R36〜R39は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を表す]
で表されるものであり、且つ他方が下記一般式(22)又は(23):
【化8】
[式(22)中、R40〜R42は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を表し、R43は炭素数1〜10の2価の炭化水素基又は炭素数2〜20の2価のエーテル結合酸素含有炭化水素基を表し、R44は炭素数1〜20の炭化水素基を表し、sはその平均値が0〜10の数を表し、上記一般式(22)で表される末端構造が複数のR43Oを有するとき、複数のR43Oはそれぞれ同一でも異なっていてもよい]
【0115】
【化9】
[式(23)中、R45〜R48は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を表す]
で表される構造を有するもの;及び
その末端の一方が、上記一般式(20)又は(21)で表され、且つ他方が下記一般式(24):
【化10】
[式(24)中、R49〜R51は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を表す]
で表される構造を有するものが好ましい。このようなポリビニルエーテルの中でも、次に挙げるものが特に好適である。
(1)末端の一方が一般式(20)又は(21)で表され、他方が一般式(22)又は(23)で表される構造を有しており、一般式(18)におけるR22〜R24がいずれも水素原子であり、qが0〜4の数であり、R25が炭素数2〜4の2価の炭化水素基であり、且つR26が炭素数1〜20の炭化水素基であるもの;
(2)一般式(18)で表される構成単位のみを有するものであって、その末端の一方が一般式(20)で表され、他方が一般式(21)で表される構造を有しており、一般式(18)におけるR22〜R24がいずれも水素原子であり、qが0〜4の数であり、R25が炭素数2〜4の2価の炭化水素基であり、且つR26が炭素数1〜20の炭化水素基であるもの;
(3)末端の一方が一般式(20)又は(21)で表され、他方が一般式(22)で表される構造を有しており、一般式(18)におけるR22〜R24がいずれも水素原子であり、qが0〜4の数であり、R25が炭素数2〜4の2価の炭化水素基であり、且つR26が炭素数1〜20の炭化水素基であるもの;
(4)一般式(18)で表される構成単位のみを有するものであって、その末端の一方が一般式(20)で表され、他方が一般式(23)で表される構造を有しており、一般式(18)におけるR22〜R24がいずれも水素原子であり、qが0〜4の数であり、R25が炭素数2〜4の2価の炭化水素基であり、且つR26が炭素数1〜20の炭化水素基であるもの。
【0116】
また、本発明においては、上記一般式(18)で表される構成単位を有し、その末端の一方が一般式(20)で表され、かつ他方が下記一般式(25):
【化11】
[式(25)中、R52〜R54は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を表し、R55及びR57は同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数2〜10の2価の炭化水素基を表し、R56及びR58は同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜10の炭化水素基を表し、t及びuは同一でも異なっていてもよく、それぞれその平均値が0〜10の数を表し、上記一般式(25)で表される末端構造が複数のR55O又はR57Oを有するとき、複数のR55O又はR57Oは同一であっても異なっていてもよい]
で表される構造を有するポリビニルエーテル系化合物も使用することができる。
【0117】
さらに、本発明においては、下記一般式(26)又は(27):
【化12】
[式(26)中、R59は炭素数1〜8の炭化水素基を示す]
【0118】
【化13】
[式(27)中、R60は炭素数1〜8の炭化水素基を示す]
で表される構成単位からなり、かつ重量平均分子量が300〜5,000であって、末端の一方が下記一般式(28)又は(29):
【化14】
[式(28)中、R61は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R62は炭素数1〜8の炭化水素基を示す]
【0119】
【化15】
[式(29)中、R63は炭素数1〜8の炭化水素基を示す]
で表される構造を有するアルキルビニルエーテルの単独重合物又は共重合物からなるポリビニルエーテル系化合物も使用することができる。
【0120】
本発明においては、上記した鉱油及び合成油からなる群より選ばれる1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、上記の鉱油及び合成油の中でも、HFC系冷媒を使用する場合、カーエアコン等の開放型圧縮機用としてポリオキシアルキレングリコール、エステル、ポリビニルエーテル、冷蔵庫や空調機器等の密閉型圧縮機用としてアルキルベンゼン、エステル、ポリビニルエーテルが好ましく用いられる。
【0121】
本発明の冷凍機油の耐摩耗性、耐荷重性をさらに改良するために、リン酸エステル、酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステルのアミン塩、塩素化リン酸エステル、亜リン酸エステル及びフォスフォロチオネートからなる群より選ばれる少なくとも1種のリン化合物を配合することが好ましい。これらのリン化合物は、リン酸、亜リン酸又はチオリン酸とアルカノール、ポリエーテル型アルコールとのエステルあるいはその誘導体である。
【0122】
かかるリン化合物のうち、リン酸エステルとしては、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トリヘキシルホスフェート、トリヘプチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリノニルホスフェート、トリデシルホスフェート、トリウンデシルホスフェート、トリドデシルホスフェート、トリトリデシルホスフェート、トリテトラデシルホスフェート、トリペンタデシルホスフェート、トリヘキサデシルホスフェート、トリヘプタデシルホスフェート、トリオクタデシルホスフェート、トリオレイルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート等;
酸性リン酸エステルとしては、モノブチルアシッドホスフェート、モノペンチルアシッドホスフェート、モノヘキシルアシッドホスフェート、モノヘプチルアシッドホスフェート、モノオクチルアシッドホスフェート、モノノニルアシッドホスフェート、モノデシルアシッドホスフェート、モノウンデシルアシッドホスフェート、モノドデシルアシッドホスフェート、モノトリデシルアシッドホスフェート、モノテトラデシルアシッドホスフェート、モノペンタデシルアシッドホスフェート、モノヘキサデシルアシッドホスフェート、モノヘプタデシルアシッドホスフェート、モノオクタデシルアシッドホスフェート、モノオレイルアシッドホスフェート、ジブチルアシッドホスフェート、ジペンチルアシッドホスフェート、ジヘキシルアシッドホスフェート、ジヘプチルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジノニルアシッドホスフェート、ジデシルアシッドホスフェート、ジウンデシルアシッドホスフェート、ジドデシルアシッドホスフェート、ジトリデシルアシッドホスフェート、ジテトラデシルアシッドホスフェート、ジペンタデシルアシッドホスフェート、ジヘキサデシルアシッドホスフェート、ジヘプタデシルアシッドホスフェート、ジオクタデシルアシッドホスフェート、ジオレイルアシッドホスフェート等;
酸性リン酸エステルのアミン塩としては、前記酸性リン酸エステルのメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン等のアミンとの塩等;
塩素化リン酸エステルとしては、トリス・ジクロロプロピルホスフェート、トリス・クロロエチルホスフェート、トリス・クロロフェニルホスフェート、ポリオキシアルキレン・ビス[ジ(クロロアルキル)]ホスフェート等;
亜リン酸エステルとしては、ジブチルホスファイト、ジペンチルホスファイト、ジヘキシルホスファイト、ジヘプチルホスファイト、ジオクチルホスファイト、ジノニルホスファイト、ジデシルホスファイト、ジウンデシルホスファイト、ジドデシルホスファイト、ジオレイルホスファイト、ジフェニルホスファイト、ジクレジルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリペンチルホスファイト、トリヘキシルホスファイト、トリヘプチルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリノニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリウンデシルホスファイト、トリドデシルホスファイト、トリオレイルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリクレジルホスファイト等;
フォスフォロチオネートとしては、トリブチルフォスフォロチオネート、トリペンチルフォスフォロチオネート、トリヘキシルフォスフォロチオネート、トリヘプチルフォスフォロチオネート、トリオクチルフォスフォロチオネート、トリノニルフォスフォロチオネート、トリデシルフォスフォロチオネート、トリウンデシルフォスフォロチオネート、トリドデシルフォスフォロチオネート、トリトリデシルフォスフォロチオネート、トリテトラデシルフォスフォロチオネート、トリペンタデシルフォスフォロチオネート、トリヘキサデシルフォスフォロチオネート、トリヘプタデシルフォスフォロチオネート、トリオクタデシルフォスフォロチオネート、トリオレイルフォスフォロチオネート、トリフェニルフォスフォロチオネート、トリクレジルフォスフォロチオネート、トリキシレニルフォスフォロチオネート、クレジルジフェニルフォスフォロチオネート、キシレニルジフェニルフォスフォロチオネート、トリス(n−プロピルフェニル)フォスフォロチオネート、トリス(イソプロピルフェニル)フォスフォロチオネート、トリス(n−ブチルフェニル)フォスフォロチオネート、トリス(イソブチルフェニル)フォスフォロチオネート、トリス(s−ブチルフェニル)フォスフォロチオネート、トリス(t−ブチルフェニル)フォスフォロチオネート等、が挙げられる。また、これらの混合物も使用できる。
【0123】
これらのリン化合物を本発明の冷凍機油組成物に配合する場合、その配合量は特に制限されないが、通常、冷凍機油組成物全量基準(基油と全配合添加剤の合計量基準)でその含有量が0.01〜5.0質量%、より好ましくは0.02〜3.0質量%となるような量のリン化合物を配合することが望ましい。
【0124】
また、本発明の冷凍機油において、その熱・加水分解安定性をさらに改良するために、
(1)フェニルグリシジルエーテル型エポキシ化合物
(2)アルキルグリシジルエーテル型エポキシ化合物
(3)グリシジルエステル型エポキシ化合物
(4)アリルオキシラン化合物
(5)アルキルオキシラン化合物
(6)脂環式エポキシ化合物
(7)エポキシ化脂肪酸モノエステル
(8)エポキシ化植物油
からなる群より選ばれる少なくとも1種のエポキシ化合物を配合することが好ましい。
【0125】
(1)フェニルグリシジルエーテル型エポキシ化合物としては、具体的には、フェニルグリシジルエーテル又はアルキルフェニルグリシジルエーテルが例示できる。ここでいうアルキルフェニルグリシジルエーテルとは、炭素数1〜13のアルキル基を1〜3個有するものが挙げられ、中でも炭素数4〜10のアルキル基を1個有するもの、例えばn−ブチルフェニルグリシジルエーテル、i−ブチルフェニルグリシジルエーテル、sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル、tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ペンチルフェニルグリシジルエーテル、ヘキシルフェニルグリシジルエーテル、ヘプチルフェニルグリシジルエーテル、オクチルフェニルグリシジルエーテル、ノニルフェニルグリシジルエーテル、デシルフェニルグリシジルエーテル等が好ましいものとして例示できる。
【0126】
(2)アルキルグリシジルエーテル型エポキシ化合物としては、具体的には、デシルグリシジルエーテル、ウンデシルグリシジルエーテル、ドデシルグリシジルエーテル、トリデシルグリシジルエーテル、テトラデシルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリアルキレングリコールモノグリシジルエーテル、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル等が例示できる。
【0127】
(3)グリシジルエステル型エポキシ化合物としては、具体的には下記一般式(30):
【化16】
(上記式(30)中、Rは炭素数1〜18の炭化水素基を表す)
で表される化合物が挙げられる。
【0128】
上記式(30)中、Rは炭素数1〜18の炭化水素基を表すが、このような炭化水素基としては、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、炭素数6〜18のアルキルシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜18のアルキルアリール基、炭素数7〜18のアリールアルキル基等が挙げられる。この中でも、炭素数5〜15のアルキル基、炭素数2〜15のアルケニル基、フェニル基及び炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルフェニル基が好ましい。
【0129】
グリシジルエステル型エポキシ化合物の中でも、好ましいものとしては、具体的には例えば、グリシジル−2,2−ジメチルオクタノエート、グリシジルベンゾエート、グリシジル−tert−ブチルベンゾエート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等が例示できる。
【0130】
(4)アリルオキシラン化合物としては、具体的には、1,2−エポキシスチレン、アルキル−1,2−エポキシスチレン等が例示できる。
【0131】
(5)アルキルオキシラン化合物としては、具体的には、1,2−エポキシブタン、1,2−エポキシペンタン、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシヘプタン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシノナン、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシウンデカン、1,2−エポキシドデカン、1,2−エポキシトリデカン、1,2−エポキシテトラデカン、1,2−エポキシペンタデカン、1,2−エポキシヘキサデカン、1,2−エポキシヘプタデカン、1,1,2−エポキシオクタデカン、2−エポキシノナデカン、1,2−エポキシイコサン等が例示できる。
【0132】
(6)脂環式エポキシ化合物としては、下記一般式(31):
【化17】
で表される化合物のように、エポキシ基を構成する炭素原子が直接脂環式環を構成している化合物が挙げられる。
【0133】
脂環式エポキシ化合物としては、具体的には、1,2−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシシクロペンタン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、エキソ−2,3−エポキシノルボルナン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)−スピロ(1,3−ジオキサン−5,3’−[7]オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン、4−(1’−メチルエポキシエチル)−1,2−エポキシ−2−メチルシクロヘキサン、4−エポキシエチル−1,2−エポキシシクロヘキサン等が例示できる。
【0134】
(7)エポキシ化脂肪酸モノエステルとしては、具体的には、エポキシ化された炭素数12〜20の脂肪酸と炭素数1〜8のアルコール又はフェノール、アルキルフェノールとのエステル等が例示できる。特にエポキシステアリン酸のブチル、ヘキシル、ベンジル、シクロヘキシル、メトキシエチル、オクチル、フェニル及びブチルフェニルエステルが好ましく用いられる。
【0135】
(8)エポキシ化植物油としては、具体的には、大豆油、アマニ油、綿実油等の植物油のエポキシ化合物等が例示できる。
【0136】
これらのエポキシ化合物の中でも、より熱・加水分解安定性を向上させることができることから、フェニルグリシジルエーテル型エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、エポキシ化脂肪酸モノエステルが好ましく、グリシジルエステル型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物がより好ましい。
【0137】
これらのエポキシ化合物を本発明の冷凍機油組成物に配合する場合、その配合量は特に制限されないが、通常、冷凍機油組成物全量基準(基油と全配合添加剤の合計量基準)でその含有量が0.1〜5.0質量%、より好ましくは0.2〜2.0質量%となるような量のエポキシ化合物を配合することが望ましい。
【0138】
また、上記リン化合物及びエポキシ化合物を2種以上併用してもよいことは勿論である。
【0139】
さらに本発明における冷凍機油組成物に対して、その性能をさらに高めるため、必要に応じて従来より公知の冷凍機油添加剤、例えばジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ビスフェノールA等のフェノール系の酸化防止剤、フェニル−α−ナフチルアミン、N,N−ジ(2−ナフチル)−p−フェニレンジアミン等のアミン系の酸化防止剤、ジチオリン酸亜鉛等の摩耗防止剤、塩素化パラフィン、硫黄化合物等の極圧剤、脂肪酸等の油性剤、シリコーン系等の消泡剤、ベンゾトリアゾール等の金属不活性化剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、清浄分散剤等の添加剤を単独で、又は数種類組み合わせて配合することも可能である。これらの添加剤の合計配合量は特に制限されないが、冷凍機油組成物全量基準(基油と全配合添加剤の合計量基準)で好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
【0140】
本発明の冷凍機油組成物の体積抵抗率は特に限定されないが、1.0×109Ω・cm以上であることが好ましい。特に、密閉型冷凍機に用いる場合には高い電気絶縁性が必要となる傾向にある。なお、ここでいう体積抵抗率とは、JISC 2101「電気絶縁油試験方法」に準拠して測定した25℃での値[Ω・cm]を意味する。
【0141】
さらに、本発明の冷凍機油組成物の水分含有量は特に限定されないが、冷凍機油組成物全量基準で好ましくは200ppm以下、より好ましくは100ppm以下、最も好ましくは50ppm以下とすることができる。特に密閉型の冷凍機用に用いる場合には、油の熱・加水分解安定性や電気絶縁性への影響の観点から、水分含有量が少ないことが求められる。
【0142】
さらにまた、本発明の冷凍機油組成物の全酸価は特に限定されないが、冷凍機又は配管に用いられている金属への腐食を防止するため、好ましくは0.1mgKOH/g以下、より好ましくは0.05mgKOH/g以下とすることができる。なお、ここでいう全酸価とは、JIS K 2501「石油製品及び潤滑油−中和価試験方法」に準拠して測定した値[mgKOH/g]を意味する。
【0143】
さらにまた、本発明の冷凍機油組成物の灰分は特に限定されないが、本発明の冷凍機油組成物の熱・加水分解安定性を高めスラッジ等の発生を抑制するため、好ましくは100ppm以下、より好ましくは50ppm以下とすることができる。なお、本発明において、灰分とは、JIS K 2272「原油及び石油製品の灰分並びに硫酸灰分試験方法」に準拠して測定した値[ppm]を意味する。
【0144】
本発明の冷凍機油組成物を用いる冷凍機に用いられる冷媒は、HFC冷媒、パーフルオロエーテル類等の含フッ素エーテル系冷媒、ジメチルエーテル等の非フッ素含有エーテル系冷媒及び二酸化炭素やアンモニア,炭化水素等の自然系冷媒であるが、これらは各々単独で用いてもよいし、2種以上の混合物として用いてもよい。
【0145】
HFC冷媒としては、炭素数1〜3、好ましくは1〜2のハイドロフルオロカーボンが挙げられる。具体的には例えば、ジフルオロメタン(HFC−32)、トリフルオロメタン(HFC−23)、ペンタフルオロエタン(HFC−125)、1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、1,1,1−トリフルオロエタン(HFC−143a)、1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)等のHFC、又はこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。これらの冷媒は用途や要求性能に応じて適宜選択されるが、例えばHFC−32単独;HFC−23単独;HFC−134a単独;HFC−125単独;HFC−134a/HFC−32=60〜80質量%/40〜20質量%の混合物;HFC−32/HFC−125=40〜70質量%/60〜30質量%の混合物;HFC−125/HFC−143a=40〜60質量%/60〜40質量%の混合物;HFC−134a/HFC−32/HFC−125=60質量%/30質量%/10質量%の混合物;HFC−134a/HFC−32/HFC−125=40〜70質量%/15〜35質量%/5〜40質量%の混合物;HFC−125/HFC−134a/HFC−143a=35〜55質量%/1〜15質量%/40〜60質量%の混合物等が好ましい例として挙げられる。さらに具体的には、HFC−134a/HFC−32=70/30質量%の混合物;HFC−32/HFC−125=60/40質量%の混合物;HFC−32/HFC−125=50/50質量%の混合物(R410A);HFC−32/HFC−125=45/55質量%の混合物(R410B);HFC−125/HFC−143a=50/50質量%の混合物(R507C);HFC−32/HFC−125/HFC−134a=30/10/60質量%の混合物;HFC−32/HFC−125/HFC−134a=23/25/52質量%の混合物(R407C);HFC−32/HFC−125/HFC−134a=25/15/60質量%の混合物(R407E);HFC−125/HFC−134a/HFC−143a=44/4/52質量%の混合物(R404A)等が挙げられる
また、自然系冷媒としては二酸化炭素やアンモニア、炭化水素等が挙げられる。ここで、炭化水素冷媒としては、25℃、1気圧で気体のものが好ましく用いられる。具体的には炭素数1〜5、好ましくは1〜4のアルカン、シクロアルカン、アルケン又はこれらの混合物である。具体的には例えば、メタン、エチレン、エタン、プロピレン、プロパン、シクロプロパン、ブタン、イソブタン、シクロブタン、メチルシクロプロパン又はこれらの2種以上の混合物等があげられる。これらの中でも、プロパン、ブタン、イソブタン又はこれらの混合物が好ましい。
【0146】
本発明の冷凍機油組成物は、通常、冷凍機中においては上述したような冷媒と混合された冷凍機用流体組成物の形で存在している。この流体組成物における冷凍機油と冷媒との配合割合は特に制限されないが、冷媒100重量部に対して冷凍機油が好ましくは1〜500重量部、より好ましくは2〜400重量部である。
【0147】
本発明の冷凍機油組成物は、潤滑性、冷媒相溶性、低温流動性、安定性などの要求性能全てをバランスよく十分に満足させるものであり、往復動式あるいは回転式の開放型や半密閉型又は密閉型圧縮機を有する冷凍機器あるいはヒートポンプなどに好適に使用することができる。特に、アルミニウム系部材を用いた冷凍機器に用いた場合には、アルミニウム系部材の摩耗防止性と熱・化学的安定性との双方を高水準で両立することが可能となる。かかる冷凍機器として、より具体的には、自動車用エアコン、除湿器、冷蔵庫、冷凍冷蔵倉庫、自動販売機、ショーケース、化学プラントなどの冷却装置、住宅用エアコン、給湯用ヒートポンプ等が挙げられる。
【0148】
【実施例】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0149】
実施例1〜12、比較例1〜8
実施例1〜12及び比較例1〜8においては、それぞれ以下に示す基油及び添加剤を用いて試料油を調製した。各試料油における基油の種類、サルコシン誘導体の種類及び含有量、酸捕捉剤の含有量、リン化合物の含有量、並びに得られた試料油の全酸価を表1に示す。
【0150】
(基油)
基油1:ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル(数平均分子量:1000、100℃における動粘度:10mm2/s)
基油2:ビニルエチルエーテルとビニルイソブチルエーテルとのランダム共重合体(ビニルエチルエーテルとビニルイソブチルエーテルとのモル比:7/1、数平均分子量:900、100℃における動粘度:8mm2/s)。
【0151】
(添加剤)
サルコシン誘導体1:N−オレオイルサルコシンメチルエステル
サルコシン誘導体2:N−オレオイルサルコシンカリウム塩
サルコシン誘導体3:N−オレオイルサルコシングリセリンモノエステル
サルコシン誘導体4:N−オレオイルサルコシン
エポキシ化合物:フェニルグリシジルエーテル
リン化合物:トリクレジルホスフェート。
【0152】
次に、実施例1〜12及び比較例1〜8の試料油を用いて以下に示す試験を行った。
【0153】
(冷媒雰囲気下での熱・化学的安定性試験)
オートクレーブ中に試料油70g、冷媒(HFC−134a)30g及び触媒(1.6mmφ×50mmの鉄線、銅線、アルミニウム線各3本)を封入して、175℃で2週間保持した。その後、試料油から冷媒を除去し、試料油の全酸価を測定した。また、エポキシ化合物を含有する実施例4〜12及び比較例3、4、7、8の試料油についてはエポキシ化合物の残存率を測定した。得られた結果を表1に示す。
【0154】
(潤滑性試験)
ASTM D2670に準拠して、FALEX摩耗試験機を用いて、試料油温度80℃、荷重150lbの条件下、冷媒(HFC−134a)を試料油に吹き込みながら1時間の摩耗試験を行った。本試験においては、試験片として、アルミニウム製ピン(A390)と鋼製ブロック(AISI 1137)とを用い、試験後のピンとブロックとの合計の摩耗量を測定した。得られた結果を表1に示す。
【0155】
【表1】
【0156】
表1に示した結果から明らかなように、本発明の冷凍機油組成物である実施例1〜12の試料油においては、熱・化学的安定性試験での全酸価の増加が十分に抑制されていた。また、エポキシ化合物を含有する実施例4〜12の試料油においては、熱・化学的安定性試験後の酸捕捉剤の残存率が十分に高い値を示した。
さらに、これらの試料油においては、潤滑性試験でのピンとブロックとの摩耗が十分に抑制されていた。これらの結果は、本発明の冷凍機油組成物によって、基油や酸捕捉剤等の劣化を生じることなく、アルミニウム系部材の摩耗を十分に抑制することが可能となることを示唆するものである。
【0157】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明の冷凍機油組成物は十分に高い潤滑性と十分に高い熱・化学安定性とを有するものである。したがって、本発明の冷凍機油組成物をアルミニウム系部材を備える冷凍機器に用いた場合に、基油や酸捕捉剤等の劣化を生じることなくアルミニウム系部材の摩耗を十分に抑制することが可能となる。
Claims (1)
- 鉱油及び/又は合成油を基油とし、且つ下記一般式(1)〜(3):
R1−CO−NR2−(CH2)l−COOX (1)
[式(1)中、R1は炭素数6〜30のアルキル基又は炭素数6〜30のアルケニル基を表し、R2は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、Xは炭素数1〜30のアルキル基又は炭素数1〜30のアルケニル基を表し、lは1〜4の整数を表す]
[R3−CO−NR4−(CH2)m−COO]m'Y (2)
[式(2)中、R3は炭素数6〜30のアルキル基又は炭素数6〜30のアルケニル基を表し、R4は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、Yはアルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子を表し、mは1〜4の整数を表し、m’は1又は2の整数を表す]
[R5−CO−NR6−(CH2)n−COO]n'−Z−(OH)n" (3)
[式(3)中、R5は炭素数6〜30のアルキル基又は炭素数6〜30のアルケニル基を表し、R6は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、Zは2価以上の多価アルコールから水酸基を除いた残基を表し、nは1〜4の整数を表し、n’は1以上の整数を表し、n”は0以上の整数を表し、n’+n”はZで表される基の価数である]
で表される化合物のうちの少なくとも1種を組成物全量基準で0.001〜5質量%含有することを特徴とする冷凍機油組成物。
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