JP4558031B2 - 熱処理装置および熱処理方法 - Google Patents
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例えば、半導体集積回路装置(以下、ICという。)が作り込まれる半導体ウエハ(以下、ウエハという。)に酸化処理や拡散処理および拡散だけでなくイオン打ち込み後のキャリア活性化や平坦化のためのリフローやアニール等の熱処理に使用される熱処理装置に利用して有効な技術に関する。
ホットウォール形熱処理装置は、ウエハが搬入される処理室を形成するインナチューブおよびこのインナチューブを取り囲むアウタチューブから構成され縦形に設置されたプロセスチューブと、プロセスチューブの外部に敷設されてプロセスチューブ内を加熱するヒータとを備えており、複数枚のウエハがボートによって長く整列されて保持された状態でインナチューブ内に下端の炉口から搬入され、ヒータによって処理室内が加熱されることにより、ウエハに熱処理が施されるように構成されている。
この制御方法の根拠は、プロセスチューブの外部に敷設されたヒータによってプロセスチューブの処理室内のウエハを加熱するホットウォール形熱処理装置においては処理室内の雰囲気全体が均一な温度となるため、インナチューブとアウタチューブとの間に配置された熱電対であってもウエハの実際の温度を計測することができ、その熱電対の計測結果によってヒータをフィードバック制御することにより、ウエハに対する熱処理を適正に制御することができるというものである。
そのため、インナチューブとアウタチューブとの間に配置された熱電対による温度計測結果に基づいてヒータをフィードバック制御するホットウォール形熱処理装置においては、ウエハの中心部と周辺部との温度差を吸収するためにマージン(余裕)を設定する必要があるので、温度の上昇および降下時間の短縮に限界がある。
ボートで保持された基板に対して熱処理を行う処理室と、前記基板の温度を計測する温度計と、を備えており、
前記温度計は、前記処理室内の前記ボートよりも外側で前記基板の厚さ方向に挿入されて回動自在に支承される支軸部と、この支軸部に保持されて前記基板と平行方向に延在する検出部と、を備えており、前記支軸部の回動によって前記検出部が前記ボートに保持された基板よりも外側の位置と前記基板の中心部の位置との間で回動する、
ことを特徴とする熱処理装置。
インナチューブ12は上下両端が開口した円筒形状に形成されており、インナチューブ12の筒中空部はボートによって長く整列した状態に保持された複数枚のウエハが搬入される処理室14を実質的に形成している。インナチューブ12の下端開口はウエハを出し入れするための炉口15を実質的に構成している。したがって、インナチューブ12の内径は取り扱うウエハの最大外径(例えば、三百mm)よりも大きくなるように設定されている。
インナチューブ12とアウタチューブ13との間の下端部は多段の円筒形状に構築されたマニホールド16によって気密封止されており、マニホールド16はインナチューブ12およびアウタチューブ13の交換等のためにインナチューブ12およびアウタチューブ13にそれぞれ着脱自在に取り付けられている。
マニホールド16がホットウォール形熱処理装置の機枠30に支持されることにより、プロセスチューブ11は垂直に据え付けられた状態になっている。
排気管17はインナチューブ12とアウタチューブ13との間に形成された隙間に連通した状態になっており、インナチューブ12とアウタチューブ13との隙間によって排気路18が、横断面形状が一定幅の円形リング形状に構成されている。排気管17がマニホールド16に接続されているため、排気管17は円筒形状の中空体を形成されて垂直に延在した排気路18の最下端部に配置された状態になっている。
ガス導入管19によって炉口15に導入されたガスはインナチューブ12の処理室14内を流通して排気路18を通って排気管17によって排気される。
ボート21は三本の保持部材24の保持溝25間にウエハ1を挿入されることにより、複数枚のウエハ1を水平にかつ互いに中心を揃えた状態に整列させて保持するようになっている。
ボート21とキャップ20との間には、内部に断熱材27が封入された断熱キャップ部26が配置されており、断熱キャップ部26はボート21をキャップ20の上面から持ち上げた状態に支持することにより、ボート21の下端を炉口15の位置から適当な距離だけ離間させるように構成されている。
ヒータ32は上側から順に、第一ヒータ部32a、第二ヒータ部32b、第三ヒータ部32c、第四ヒータ部32dおよび第五ヒータ部32eに五分割されており、これらヒータ部32a〜32eは温度コントローラ33によって互いに連携および独立してシーケンス制御されるように構成されている。
そして、温度コントローラ33は各ヒータ熱電対34a〜34eからの計測温度によって各ヒータ部32a〜32eをフィードバック制御するようになっている。すなわち、温度コントローラ33は各ヒータ部32a〜32eの目標温度と各ヒータ熱電対34a〜34eの計測温度との誤差を求めて、誤差がある場合には誤差を解消させるフィードバック制御を実行するようになっている。
カスケード熱電対35には五個の熱電対部35a、35b、35c、35dおよび35eが設定されており、各熱電対部35a〜35eはインナチューブ12の内部において各ヒータ部32a〜32eにそれぞれ対向するように配置されている。
各熱電対部35a〜35eは計測結果を温度コントローラ33にそれぞれ送信するようになっており、温度コントローラ33は各熱電対部35a〜35eからの計測温度によって各ヒータ部32a〜32eをフィードバック制御するようになっている。すなわち、温度コントローラ33は各ヒータ部32a〜32eの目標温度と各熱電対部35a〜35eの計測温度との誤差を求めて、誤差がある場合には誤差を解消させるフィードバック制御を実行するようになっている。
そして、放射温度計50は計測結果を温度コントローラ33に送信するようになっており、温度コントローラ33は放射温度計50からの計測温度によってヒータ32をフィードバック制御するようになっている。すなわち、ヒータ32の目標温度と放射温度計50の計測温度との誤差を求めて、誤差がある場合には誤差を解消させるフィードバック制御を実行するようになっている。
ホルダ51の中心線上には石英ガラスが使用されて円筒形のパイプ形状に形成された保持パイプ52が上下方向に配置されて下端部において回転自在に支承されており、保持パイプ52はキャップ20の外部に設置されたロータリーアクチュエータ58によって回転駆動されるようになっている。
保持パイプ52の上端部にはエルボ形状部53が直角に屈曲されて形成されており、保持パイプ52の中空部内には複数本の光ファイバが束ねられた光ファイバ束54が挿通されている。
光ファイバ束54のエルボ形状部53と反対側端は熱電対や抵抗素子等の測温素子(図示せず)に光学的に対向されており、測温素子の熱起電力に基づく出力が放射温度計50の計測温度として温度コントローラ33に送信されるようになっている。
すなわち、保持パイプ52は導波棒56の支軸部を構成しており、図4に示されているように、導波棒56は支軸部としての保持パイプ52のロータリーアクチュエータ58による回転に伴って保持パイプ52の中心線を中心として回動するようになっている。エルボ形状部53の内部において導波棒56の後端面は光ファイバ束54の先端面と突合されており、導波棒56と光ファイバ束54との突合部は継手部55によって機械的かつ光学的に結合されている。
すなわち、図3に示されているように、全反射面57は導波棒56が先方へ行くに従って細くなるように切削されることにより形成されており、本実施の形態において、全反射面57は導波棒56の中心線に対して30度の傾斜角Θを設定されている。また、全反射面57は上向きに配置されており、上側のウエハ1の下面の中心点に光学的に対向されているとともに、その入射側光軸が垂直であるボート21の中心線と、その反射側光軸が水平である導波棒56の中心線と可及的に一致するように配置されている。
つまり、図3(b)に示されているように、導波棒56の全反射面57はウエハ1の中心点における放射線61を検出する検出部を構成している。
この際、放射温度計50の導波棒56の先端部はボート21の二段目のウエハ1と三段目のウエハ1との間に挿入されて、導波棒56の全反射面57が三段目のウエハ1の下面の中心部に対向した状態になっている。
この際、ヒータ32の各ヒータ部32a〜32eの実際の加熱温度(出力)とシーケンス制御の目標温度との誤差は各ヒータ熱電対34a〜34dの計測結果に基づくフィードバック制御によって補正される。
導波棒56の全反射面57に垂直方向から入射した放射線61は全反射面57で水平方向に反射されて向きを変換される。水平方向に向きを変換された放射線61は導波棒56の界面で全反射を繰り返すことにより伝播して継手部55を介して光ファイバ束54に入射する。
図示しないが、光ファイバ束54に入射した放射線61は同様にして伝播して測温素子に照射する。
放射温度計50は測温素子に照射した放射線61に対応した測温値を温度コントローラ33に送信する。
なお、図3(b)に示されているように、下側のウエハ1からの放射線62等の迷光は全反射面57において外側に全反射するため、導波棒56には入射しない。
なお、放射温度計50の計測温度に基づくフィードバック制御を実行すべきカスケード熱電対35の計測温度と放射温度計50の計測温度との差値の大きさには範囲を持たせることができる。
例えば、カスケード熱電対35の計測温度と放射温度計50の計測温度との差値が1℃以下である場合には、放射温度計50の計測温度に基づくフィードバック制御を実行しないように設定することができる。
また、放射温度計50によってウエハ1の周辺部における現在の実際の温度を計測したい場合には、図4(a)に想像線に示されているように、回動部としての導波棒56を回動させて検出部としての全反射面57をウエハ1の周辺部に配置すればよい。
しかし、プロセスチューブ11の内部の温度は均一に保たれていることにより、ボート21の上段領域に保持されたウエハ1の温度と下段領域に保持されたウエハ1の温度との間には差が無いため、三段目に保持されたウエハ1の中心部の測温データだけであっても、ウエハ1の中心部と周辺部との温度差を解消させる温度制御は充分に適正に実行することができる。
そこで、直径が三百mmのウエハ1の場合の温度差や温度上昇速度差を吸収するために、従来例においてはヒータ32の加熱によるプロセスチューブ11の内部の温度上昇速度を低く抑制するシーケンス制御が実行されている。
このようにして導波棒56がウエハ1の外側に退避されると、プロセスチューブ11の処理室14に原料ガスが供給されてウエハ1、1間に原料ガスが流通する場合であっても、その原料ガスの流れが導波棒56の存在によって乱されるのを未然に防止することができる。
すなわち、冷却エア40は給気管42から供給されるとともに、排気口43から排気路44による排気力によって排気される。冷却エア40は冷却エア通路41を流通する間にプロセスチューブ11のアウタチューブ13に接触して熱を奪うことにより、プロセスチューブ11の内部を強制的に冷却する。この冷却エア40による強制冷却によってプロセスチューブ11の内部の温度は自然冷却の場合に比べて急速に降下して行く。
そこで、直径が三百mmのウエハ1の場合の温度差や温度降下速度差を吸収するために、従来例においては強制冷却による温度下降速度は低く設定されている。
すなわち、放射温度計50から送信されて来たウエハ1の中心部の計測温度とカスケード熱電対35から送信されて来たウエハ1の周辺部の計測温度との間に差が所定の範囲内にある場合には、温度コントローラ33は冷却エア40の冷却エア通路41での流通速度を増速させて行き、所定の範囲外の場合には流通速度の増速を中止する。所定の温度差の範囲とは、ウエハ1に反りまたはスリップが発生するのを防止可能な範囲である。
さらには、支軸部を中心に回動する回動部に温度を検出する検出部が設けられたL字形状の温度計としては、放射温度計を使用するに限らず、検出部に熱電対部を配置したもの等を使用することができる。
10…ホットウォール形熱処理装置(バッチ式縦形ホットウォール形熱処理装置)、11…プロセスチューブ、12…インナチューブ、13…アウタチューブ、14…処理室、15…炉口、16…マニホールド、17…排気管、18…排気路、19…ガス導入管、
20…キャップ、21…ボート、22、23…端板、24…保持部材、25…保持溝、26…断熱キャップ部、27…断熱材、
30…機枠、31…断熱カバー、32…ヒータ、32a〜32e…ヒータ部、33…温度コントローラ、34a〜34e…ヒータ熱電対、
35…カスケード熱電対、35a〜35e…熱電対部、
40…冷却エア、41…冷却エア通路、42…給気管、43…排気口、44…排気路、45…第一ダンパ、46…水冷ラジエータ、47…第二ダンパ、48…ブロア、
50…放射温度計、51…ホルダ、52…保持パイプ、53…エルボ形状部、54…光ファイバ束、55…継手部、56…導波棒、57…全反射面、58…ロータリーアクチュエータ、
61…放射線(熱線)、62…放射線(迷光)。
Claims (5)
- ボートで保持された基板に対して熱処理を行う処理室と、前記基板の温度を計測する温度計と、を備えており、
前記温度計は、前記処理室内の前記ボートよりも外側で前記基板の厚さ方向に挿入されて回動自在に支承される支軸部と、この支軸部に保持されて前記基板と平行方向に延在する検出部と、を備えており、前記支軸部の回動によって前記検出部が前記ボートに保持された前記基板よりも外側の位置と前記基板の中心部の位置との間で回動する、
ことを特徴とする熱処理装置。 - 前記温度計は、前記処理室内に原料ガスが供給される際に、前記検出部が前記基板の位置から前記ボートよりも外側の位置に回動することを特徴とする請求項1に記載の熱処理装置。
- 前記温度計は、前記基板の中心部を含む前記基板の径方向の複数点に対応した温度を計測するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の熱処理装置。
- 前記温度計は、放射温度計であることを特徴とする請求項1に記載の熱処理装置。
- ボートで保持された基板を処理室内に搬入するステップと、
前記処理室内の前記ボートよりも外側で前記基板の厚さ方向に挿入されて回動自在に支承される支軸部と、この支軸部に保持されて前記基板と平行方向に延在する検出部とを有する温度計が前記支軸部の回動によって、前記検出部が前記基板の中心部の位置に回動し、前記基板の中心部の温度を計測するステップと、
前記温度計の計測結果に基づいてヒータを制御して前記処理室を加熱しつつ、前記検出部が前記基板の外側の位置に退避して、前記処理室内に原料ガスを供給し前記基板を処理するステップと、
を有することを特徴とする熱処理方法。
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