JP4557111B2 - 量子ドット半導体レーザ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信、光インターコネクションなどの光源となる半導体レーザに関し、特に量子ドットを活性層とする半導体レーザに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子を3次元的に閉じ込めた量子ドット構造は、その状態密度がデルタ関数的な離散準位をもつようになる。したがって、量子ドットに電子(あるいは正孔)を注入すると、電子(あるいは正孔)は、離散準位のエネルギーに集中する。その結果、量子ドットからの発光スペクトルは、エネルギー広がりが非常に狭く、強度が大きいものとなる。この量子ドット構造を半導体レーザの活性層に適用すると、半導体レーザの閾値が低減する、温度特性が向上する、変調帯域が拡大することなどが期待される。
【0003】
これら優れた特性で量子ドットレーザを動作させるためには、量子ドット構造を、結晶性の劣化が無く、しかも高密度で高均一に作り込む必要がある。
【0004】
従来、量子ドット構造を作るのにはリソグラフィーとドライエッチングなどの加工によっていたが、この場合、加工損傷が結晶中に導入されるため、発光の効率が著しく低下していた。
【0005】
これに対して結晶成長のみで量子ドット構造を形成する、自己形成法(あるいは自己組織法とよぶ)が提案された。例えば、GaAs基板上に格子不整合なInGaAsを成長することによって、InGaAsは臨界膜厚を超えると島状に成長し、この島状結晶は量子ドット構造に適した数十nmのサイズであることが示された(D. Leonard et al., Applied Physics Letters, 63, 3202(1993))。この後、この自己形成法が量子ドットの作製法として確立し、半導体レーザへの応用が盛んに研究されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
量子ドットレーザの特性のうち、変調帯域を調べることが行われた(D. Klotzkin et al., IEEE Photonics Technology Letters, 9, 1301(1997))が、その帯域は室温で4.5GHzであった。これは、量子井戸レーザと同等またはそれ以下であり、量子ドットレーザの高速変調が著しく制限されていることを示している。
【0007】
このような高速変調の制限要因としては、量子ドットを取り囲む障壁層から、量子ドットへのキャリアの捕獲時間が30ps程度と遅いことが挙げられる。これは、量子ドットのエネルギー準位が離散的であるために、従来の量子井戸へのキャリア捕獲に使われるフォノン緩和が起きづらいためである。さらに、量子ドット内の量子準位間の緩和も5〜10ps程度かかるものと考えられることから、レーザの変調帯域を10GHzまで伸ばすことができないでいた。
【0008】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、量子ドットへのキャリアの緩和を促進し、量子ドットレーザの高速変調を可能にすることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、活性層を構成する量子ドット構造とキャリア注入用の量子井戸構造とを具備し、前記量子井戸構造のいずれか二つの量子準位である第1準位と第2準位間のエネルギー差が、第2準位より低エネルギーの第1準位と、第1準位より低エネルギーの前記量子ドット構造のいずれかの量子準位とのエネルギー差に等しいことを特徴とする半導体レーザに関する。
【0011】
また本発明は、活性層を構成する量子ドット構造とキャリア注入用の量子井戸構造とを具備し、前記量子井戸構造のいずれか二つの量子準位である第1準位と第2準位間のエネルギー差が、第2準位より低エネルギーの第1準位と、第1準位より低エネルギーの前記量子ドット構造の連続準位とのエネルギー差に等しいことを特徴とする半導体レーザに関する。
【0012】
さらに本発明は、活性層を構成する量子ドット構造とキャリア注入用の量子井戸構造と、これらの間にはさまれたトンネル障壁層とを具備し、前記量子井戸構造のいずれかの量子準位のエネルギーと前記量子ドット構造の連続準位のエネルギーが等しいことを特徴とする半導体レーザに関する。
【0013】
なお、連続準位はエネルギー幅をもつため、量子準位と連続準位との間のエネルギー差(ΔECON)は、量子準位のエネルギーと連続準位の最大エネルギーとの差(ΔEMAX)から量子準位のエネルギーと連続準位の最小エネルギーとの差(ΔEMIN)までのエネルギー範囲(ΔEMAX〜ΔEMIN)を有するものとする。
【0014】
よって、ある二つの量子準位間のエネルギー差(ΔE1)が、量子準位と連続準位とのエネルギー差(ΔECON)に等しいとは、ΔE1がこのエネルギー範囲(ΔEMAX〜ΔEMIN)内にあることをいう。
【0015】
また、ある量子準位のエネルギーと連続準位のエネルギーが等しいとは、ある量子準位のエネルギーが、連続準位のエネルギーの最小値から最大値の範囲内にあることをいう。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0017】
まず、本発明の一実施形態を挙げてその作用原理について説明する。
【0018】
図1(a)に本発明の一実施形態のレーザ構造断面図を示す。同図において、n型GaAs基板1上にn型AlGaAsクラッド層2、アンドープGaAs光閉じ込め層3およびアンドープGaAs障壁層4が形成され、その上にキャリア注入用のInGaAs量子井戸構造5が設けられている。その上に直接にInAs量子ドット6が形成され、さらにアンドープGaAs障壁層7とアンドープGaAs光閉じ込め層8、p型AlGaAsクラッド層9が形成されている。この上にはp型AlGaAsキャップ層10が形成されている。
【0019】
この構造において、図1(b)のエネルギーバンド図に示すように、キャリア注入用のInGaAs量子井戸5の1番目の量子準位11(基底準位)(「E1QW」とする)と2番目の量子準位12(励起準位)(「E2QW」とする)とのエネルギー差(E2QW−E1QW)が、量子井戸の1番目の量子準位11(E1QW)とInAs量子ドット6の1番目の量子準位13(「E1QD」とする)とのエネルギー差(E1QW−E1QD)に等しくなるように、量子井戸5の層厚および組成を調整する。この場合、量子井戸の1番目の量子準位11(E1QW)にある電子が量子ドットの1番目の量子準位13(E1QD)に緩和遷移するのに、この準位間のエネルギー(E1QW−E1QD)を量子井戸の1番目の準位11(E1QW)にあるもう一つの電子に与え、この電子を量子井戸の2番目の量子準位12(E2QW)に励起遷移させる。つまりE1QW−E1QD=E2QW−E1QWの条件によって、オージェ遷移過程を起こさせる。量子井戸の2番目の量子準位12は1番目の量子準位11よりも縮退度が大きいために、状態数が多い。したがって2番目の量子準位の状態に空きが多く存在するために1番目にある電子がより励起遷移しやすくなる。このことによって、量子ドットへの電子の緩和が促進され、psオーダーの電子緩和速度が得られる。
【0020】
量子ドットでの発光を起こさせるためには、正孔も量子ドットへ注入させることが必要であるが、正孔は電子に比べて質量が大きいため、ポテンシャルの低い量子ドットに多数とどまる。したがって、キャリアを高速で変調する時には、実際は電子がドット内に高速に注入され、その結果レーザの光出力が高速に変調されることになり、正孔の注入速度によってはレーザの変調速度は律速されない。
【0021】
もう一つ実施形態のレーザ構造断面図を図2(a)に示す。同図に示すように、n型GaAs基板1上にn型AlGaAsクラッド層2、アンドープGaAs光閉じ込め層3およびアンドープGaAs障壁層4が形成され、その上にキャリア注入用のInGaAs量子井戸構造5とAlAsトンネル障壁層14とが設けられている。その上にInAs量子ドット6が形成され、さらにアンドープGaAs障壁層7とアンドープGaAs光閉じ込め層8、p型AlGaAsクラッド層9が形成されている。この上にはp型AlGaAsキャップ層10が形成されている。
【0022】
この構造において、図2(b)のエネルギーバンド図に示すように、InGaAs量子井戸5の量子準位15(「EQW」とする。ここでは基底準位)とInAs量子ドット6の量子準位16(「EQD」とする)のエネルギーが等しくなるように、量子井戸の層厚および組成を調整する。これによって、量子井戸の量子準位15(EQW)にある電子が、量子ドットの量子準位16(EQD)へ、トンネル障壁層14を介してトンネル注入される。このトンネル注入はpsオーダーの速度で起きる。
【0023】
以上のように、オージェ遷移あるいはトンネル注入を利用して、電子を量子ドットへ高速に注入することにより、量子ドットレーザの10GHzを超える高速変調が可能になる。
【0024】
また、GaAs上のInAs量子ドットの量子準位は、離散的な量子準位の他に、高エネルギー側に続く連続準位が存在することが知られている(Y. Toda et al., Physical Review Letters, 82, 4114(1999))。これは量子ドット内の歪みの大きさが基板側に向かって連続的に変化していることに起因するものと考えられている。量子ドットへのキャリアの捕獲を行う場合、量子ドットの連続準位にキャリアを注入させることを行ってもよい。この連続準位では、エネルギーが広がりを持つので、量子井戸の量子準位のエネルギーを決めるために量子井戸構造の厳密な層厚や組成の調整を必要としないという利点がある。
【0025】
次に、実施例を挙げて、図面を参照しながら本発明をより詳細に説明する。
【0026】
(実施例1)
図3(a)は本発明の第1実施例の半導体レーザの構造断面図である。
【0027】
分子線エピタキシャル成長(Molecular Beam Epitaxy; MBE)装置を使ってn型GaAs基板上17に、n型AlGaAsクラッド層18(Al組成0.3、厚さ3μm、キャリア濃度1×1018cm-3)、アンドープGaAs光閉じ込め層19(厚さ0.15μm)、アンドープGaAs障壁層20(厚さ20nm)を成長する。続いてキャリア注入用アンドープInGaAs量子井戸21(In組成0.19)を9.0nmの厚さで成長する。この厚さではこの組成のInGaAsの臨界膜厚を超えないので、InGaAsは層状に成長する。この上にInAsを4原子層厚さ分だけ供給すると、InAsは歪みの臨界膜厚を超え、島状の成長が起き、量子ドット22が形成される。ドットの大きさは直径30nmで厚さは8nmである。この上に、アンドープGaAs障壁層23(厚さ20nm)、アンドープGaAs光閉じ込め層24(厚さ0.15μm)、p型AlGaAsクラッド層25(Al組成0.3、厚さ2μm、キャリア濃度5×1017cm-3)、p型AlGaAsキャップ層26(Al組成0.15、厚さ0.5μm、キャリア濃度5×1018cm-3)をMBE装置で順次成長する。
【0028】
キャリア注入層21は、GaAs障壁層20と23で挟まれた量子井戸構造であり、その1番目の量子準位27(基底準位)と2番目の量子準位28のエネルギー差は、79meVである(図3(b)のエネルギーバンド図参照)。一方、InAs量子ドット22の4番目の量子準位29と、キャリア注入層の1番目の量子準位27とのエネルギー差は79meVであり、これは、先ほどのキャリア注入層の量子準位間エネルギーに等しい。したがって、キャリア注入層21の1番目の量子準位27にいる電子が同じ準位にいる別の電子を2番目の量子準位28に励起して、量子ドットの4番目の量子準位29に緩和する。このオージェ遷移過程は1psオーダーと高速に起きるために、ドットへのキャリア注入が数psで行うことが可能となる。この結果、レーザを10GHz以上の高速で変調することができる。
【0029】
本実施例では、基板をGaAsとしたが、これをInPとし、クラッド層、光閉じ込め層、障壁層をInAlGAsまたはInGaAsPとしてもよい。この場合、InAs量子ドットからの発光波長は1.3ミクロンを超えるため、長波長の光通信用の光源レーザとなる。
【0030】
(実施例2)
図4(a)は本発明の第2実施例の半導体レーザの構造断面図である。
【0031】
MBE装置を使ってn型GaAs基板上30に、n型AlGaAsクラッド層31(Al組成0.75、厚さ3μm、キャリア濃度1×1018cm-3)、アンドープAlGaAs光閉じ込め層32(Al組成0.5、厚さ0.15μm)、アンドープAlGaAs障壁層33を成長する。続いてキャリア注入用アンドープInGaAs量子井戸34(In組成0.2)を4.9nmの厚さで成長する。この厚さではInGaAsの臨界膜厚を超えないので、InGaAsは層状に成長する。この上にInAsを4原子層厚さ分だけ供給すると、InAsは歪みの臨界膜厚を超え、島状の成長が起き、量子ドット35が形成される。ドットの大きさは直径30nmで厚さは8nmである。この上に、アンドープAlGaAs障壁層36、アンドープAlGaAs光閉じ込め層37(Al組成0.5、厚さ0.15μm)、p型AlGaAsクラッド層38(Al組成0.75、厚さ2μm、キャリア濃度5×1017cm-3)、p型AlGaAsキャップ層39(Al組成0.15、厚さ0.5μm、キャリア濃度5×1018cm-3)をMBE装置で順次成長する。
【0032】
本実施例のキャリア注入層34は、AlGaAs障壁層33と36で挟まれた量子井戸構造であり、その1番目の量子準位40(基底準位)と2番目の量子準位41のエネルギー差は、234meVである(図4(b)のエネルギーバンド図参照)。このエネルギー差は、量子ドットの複数ある量子準位のうち、1番目の量子準位42(基底準位)とのエネルギー差に等しいので、キャリア注入層34から電子は、量子ドットの高次準位を通らず、基底準位42に直接注入される。これにより、量子ドット内の各準位間を緩和するときの緩和時間(5〜10ps程度)を必要としない。したがって、高次準位に注入する場合に比べて、より高速なレーザの変調が可能となる。
【0033】
(実施例3)
図5(a)は本発明の第3実施例の半導体レーザの構造断面図である。
【0034】
MBE装置を使ってn型GaAs基板上43に、n型AlGaAsクラッド層44(Al組成0.3、厚さ3μm、キャリア濃度1×1018cm-3)、アンドープGaAs光閉じ込め層45(厚さ0.15μm)、アンドープGaAs障壁層46(厚さ20nm)を成長する。続いてキャリア注入用アンドープInGaAs47(In組成0.4)を3.6nmの厚さで成長する。この厚さではInGaAsの臨界膜厚を超えないので、InGaAsは層状に成長する。この上にAlAsトンネル障壁層48を2nm成長する。引き続いて、InAsを4原子層厚さ分だけ供給すると、InAsは歪みの臨界膜厚を超え、島状の成長が起き、量子ドット49が形成される。ドットの大きさは直径30nmで厚さは8nmである。この上に、アンドープGaAs障壁層50(厚さ20nm)、アンドープGaAs光閉じ込め層51(厚さ0.15μm)、p型AlGaAsクラッド層52(Al組成0.3、厚さ2μm、キャリア濃度5×1017cm-3)、p型AlGaAsキャップ層53(Al組成0.15、厚さ0.5μm、キャリア濃度5×1018cm-3)をMBE成長装置で順次成長する。
【0035】
本実施例のキャリア注入層47は量子井戸構造を有し、その量子準位54(基底準位)と量子ドットの量子準位55のエネルギーとが一致する(図5(b)のエネルギーバンド図参照)。したがって、キャリア注入層47にある電子は、AlAsトンネル障壁層をトンネルして量子ドットの量子準位に入る。このトンネル過程にかかる時間は1ps程度となることから、量子ドットへの高速のキャリア注入が行われる。したがって、レーザのキャリア変調を行った場合、10GHz以上の高速変調が可能となる。
【0036】
(実施例4)
図6(a)は本発明の第4実施例の半導体レーザの構造断面図である。
【0037】
MBE装置を使ってn型GaAs基板上56に、n型AlGaAsクラッド層57(Al組成0.3、厚さ3μm、キャリア濃度1×1018cm-3)、アンドープGaAs光閉じ込め層58(厚さ0.15μm)、アンドープGaAs障壁層59(厚さ20nm)を成長する。続いてキャリア注入用アンドープInGaAs60(In組成0.2)を5nmの厚さで成長する。この厚さではInGaAsの臨界膜厚を超えないので、InGaAsは層状に成長する。この上にAlAsトンネル障壁層61を2nm成長する。引き続いて、InAsを4原子層厚さ分だけ供給すると、InAsは歪みの臨界膜厚を超え、島状の成長が起き、量子ドット62が形成される。ドットの大きさは直径30nmで厚さは8nmである。この上に、アンドープGaAs障壁層63(厚さ20nm)、アンドープGaAs光閉じ込め層64(厚さ0.15μm)、p型AlGaAsクラッド層65(Al組成0.3、厚さ2μm、キャリア濃度5×1017cm-3)、p型AlGaAsキャップ層66(Al組成0.15、厚さ0.5μm、キャリア濃度5×1018cm-3)をMBE成長装置で順次成長する。
【0038】
本実施例のキャリア注入層60は量子井戸構造を有し、その量子準位67(基底準位)は、量子ドット内の量子準位の高エネルギー側にある連続準位68と等しくなるように設定する。したがって、キャリア注入層60にある電子は、AlAsトンネル障壁層をトンネルして、量子ドットの連続準位に入る。このトンネル過程にかかる時間は1ps程度となることから、量子ドットへの高速のキャリア注入が行われる。したがって、レーザのキャリア変調を行った場合、10GHz以上の高速変調が可能となる。また、本実施例のように、量子ドットの連続準位68へ注入する場合は、この連続準位が約100meVのエネルギー幅を持つので、キャリア注入層を構成する量子井戸構造の量子準位67を精密に制御して量子ドットの量子準位に合わせ込む必要が無くなるという利点がある。
【0039】
【発明の効果】
GaAs基板を使った半導体レーザの構造において、活性領域を構成するInAs量子ドット構造の隣に、キャリア注入層を構成する量子井戸構造を設けた本発明構成によれば、このキャリア注入層からの量子ドットへのキャリアの注入を、キャリア注入層にある別のキャリアとのオージェ遷移過程によって効率的に行うことができる。また、キャリア注入層と量子ドットとの間にトンネル障壁層を設けた本発明の構成によれば、キャリア注入層から量子ドットへのキャリアの注入をトンネル過程によって効率的に行うことができる。これらの注入方法によって、レーザの直接変調を10GHzを超えるような高速にすることが可能であり、このレーザを高速の光通信の光源として使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の量子ドット半導体レーザにおけるオージェ遷移過程の原理を説明するための図である。
【図2】本発明の量子ドット半導体レーザにおけるトンネル注入過程の原理を説明するための図である。
【図3】本発明の第1の実施例を説明するための半導体レーザの構造断面図とエネルギーバンド図である。
【図4】本発明の第2の実施例を説明するための半導体レーザの構造断面図とエネルギーバンド図である。
【図5】本発明の第3の実施例を説明するための半導体レーザの構造断面図とエネルギーバンド図である。
【図6】本発明の第4の実施例を説明するための半導体レーザの構造断面図とエネルギーバンド図である。
【符号の説明】
1 n型GaAs基板
2 n型AlGaAsクラッド層
3 アンドープGaAs光閉じ込め層
4 アンドープGaAs障壁層
5 キャリア注入用InGaAs量子井戸
6 InAs量子ドット
7 アンドープGaAs障壁層
8 アンドープGaAs光閉じ込め層
9 p型AlGaAsクラッド層
10 p型AlGaAsキャップ層
11 InGaAs量子井戸の1番目の量子準位
12 InGaAs量子井戸の2番目の量子準位
13 InAs量子ドットの1番目の量子準位
14 AlAsトンネル障壁層
15 InGaAs量子井戸の量子準位
16 InAs量子ドットの量子準位
17 n型GaAs基板
18 n型AlGaAsクラッド層
19 アンドープGaAs光閉じ込め層
20 アンドープGaAs障壁層
21 キャリア注入用InGaAs量子井戸
22 InAs量子ドット
23 アンドープGaAs障壁層
24 アンドープGaAs光閉じ込め層
25 p型AlGaAsクラッド層
26 p型AlGaAsキャップ層
27 InGaAs量子井戸の1番目の量子準位
28 InGaAs量子井戸の2番目の量子準位
29 InAs量子ドットの4番目の量子準位
30 n型GaAs基板
31 n型AlGaAsクラッド層
32 アンドープAlGaAs光閉じ込め層
33 アンドープAlGaAs障壁層
34 キャリア注入用InGaAs量子井戸
35 InAs量子ドット
36 アンドープAlGaAs障壁層
37 アンドープAlGaAs光閉じ込め層
38 p型AlGaAsクラッド層
39 p型AlGaAsキャップ層
40 InGaAs量子井戸の1番目の量子準位
41 InGaAs量子井戸の2番目の量子準位
42 InAs量子ドットの1番目の量子準位
43 n型GaAs基板
44 n型AlGaAsクラッド層
45 アンドープGaAs光閉じ込め層
46 アンドープGaAs障壁層
47 キャリア注入用InGaAs量子井戸
48 AlAsトンネル障壁層
49 InAs量子ドット
50 アンドープGaAs障壁層
51 アンドープGaAs光閉じ込め層
52 p型AlGaAsクラッド層
53 p型AlGaAsキャップ層
54 InGaAs量子井戸の量子準位
55 InAs量子ドットの量子準位
56 n型GaAs基板
57 n型AlGaAsクラッド層
58 アンドープGaAs光閉じ込め層
59 アンドープGaAs障壁層
60 キャリア注入用InGaAs量子井戸
61 AlAsトンネル障壁層
62 InAs量子ドット
63 アンドープGaAs障壁層
64 アンドープGaAs光閉じ込め層
65 p型AlGaAsクラッド層
66 p型AlGaAsキャップ層
67 InGaAs量子井戸の量子準位
68 InAs量子ドットの連続準位

Claims (3)

  1. 活性層を構成する量子ドット構造とキャリア注入用の量子井戸構造とを具備し、前記量子井戸構造のいずれか二つの量子準位である第1準位と第2準位間のエネルギー差が、第2準位より低エネルギーの第1準位と、第1準位より低エネルギーの前記量子ドット構造のいずれかの量子準位とのエネルギー差に等しいことを特徴とする半導体レーザ。
  2. 活性層を構成する量子ドット構造とキャリア注入用の量子井戸構造とを具備し、前記量子井戸構造のいずれか二つの量子準位である第1準位と第2準位間のエネルギー差が、第2準位より低エネルギーの第1準位と、第1準位より低エネルギーの前記量子ドット構造の連続準位とのエネルギー差に等しいことを特徴とする半導体レーザ。
  3. 活性層を構成する量子ドット構造とキャリア注入用の量子井戸構造と、これらの間にはさまれたトンネル障壁層とを具備し、前記量子井戸構造のいずれかの量子準位のエネルギーと前記量子ドット構造の連続準位のエネルギーが等しいことを特徴とする半導体レーザ。
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