JP4554275B2 - 生理用ナプキン - Google Patents

Description

本発明は、膣、または身体の肛門から後方に延びる臀裂の少なくとも一方に当接する立体構造部を有する生理用ナプキンに係り、特に前記立体構造部が身体に当接した状態で、ナプキン本体が身体の外形に沿った湾曲形状を維持しやすい生理用ナプキンに関する。

従来の生理用ナプキンには、液吸収層を有するナプキン本体の肌側表面に、身体に密着させるための凸構造部を設けたものが存在している。

以下の特許文献１に記載のものは、液吸収層とその表面を覆う表面シートとの間に縦方向に延びる弾性部材が設けられている。前記弾性部材が生理用ナプキンの前縁部と後縁部とを接近させる弾性収縮力を発揮し、その結果、生理用ナプキンは肌側表面が窪むように湾曲変形するとともに、前記弾性部材によって表面シートの中心部が吸収体から離れるように持ち上げられる。前記吸収体から持ち上がった前記表面シートを身体へ密着させることにより、経血が前記表面シートを伝わって液吸収層に吸収できるようにしている。

特許文献２に記載のものは、ナプキン本体の肌側表面に、液透過性シートで形成された断面がＴ字形状の立体壁が設けられている。前記立体壁には、縦方向への収縮力を発揮する弾性部材が設けられており、この弾性部材によってナプキン本体の前縁部と後縁部とを接近させる力が作用し、ナプキン本体が湾曲することで、前記立体壁がナプキン本体の肌側表面から立ち上がるようになっている。前記立体壁を女性器に密着させることで、生理用ナプキンと女性器とが一体感を与えるような着用感触を得ようというものである。

特許文献３に記載の生理用ナプキンは、断面が三角形状の第１の吸収部材を有している。この第１の吸収部材は、液を吸収保持する吸収核とこの吸収核を覆う外側覆いとを有している。特許文献３に記載の生理用ナプキンは、前記第１の吸収部材が膣口に密着し、経血が主に前記第１の吸収部材で吸収されて保持される。また、前記生理用ナプキンには、衣類に接触する平坦状の第２の吸収部材が設けられており、前記第１の吸収部材は、前記第２の吸収部材の表面に設置されている。

特許文献４に記載の生理用ナプキンは、液を吸収する機能を有する吸収性材料管が設けられている。この吸収性材料管は、筒状に形成された吸収性材料とこの吸収性材料を覆うカバーとから成るものであり、この吸収性材料管は着用者の膣口に心地よくフィットできるものとなっている。そして、前記吸収性材料管は、ベースパッドの表面に設置されている。

特許文献５に記載のものは、生理用ナプキンの肌側表面に断面が三角形状のこぶが***している。前記こぶは、液透過性の表面シートと液吸収層との間に設けられた吸収体と補強部材とで構成されており、前記補強部材は、プラスチックシートなどの硬質材料で形成されている。補強部材で補強されたこぶが膣口に当たり、体圧による圧縮力を受けたときにも、前記こぶが潰されることがなく、生理用ナプキンと膣口との密接状態を維持できるというものである。

次に、以下の特許文献６に記載の生理用ナプキンは、肌側表面の後方領域に山形形状の突起が設けられている。前記特許文献６の記載では、この突起がどのような手段で構成されているのか不明であるが、この突起がヒップの溝に当接することで経血の後ろ洩れを防ぐものとされている。
特開２０００−８３９９４号公報 特開２００２−３２０６３８号公報 特表平１１−５００９４０号公報 特表２００２−５１２８５１号公報 特表２００１−５０４７２７号公報 特開平１１−４２２５０号公報

前記特許文献１と特許文献２に記載のものは、いずれもナプキン本体の肌側表面から***して膣口に当接する立体構造部を有しているが、この立体構造部を構成するシートはそれ自体が前記立体構造部の形状を維持する剛性を有しておらず、縦方向に弾性収縮力を発揮する糸状の弾性部材によって前記立体構造部の***状態が維持されている。

そのため、前記立体構造部が膣口に接触したときに、着用者が前記弾性部材の張力による局部的な加圧力を感じて違和感を生じるおそれがある。そのため、必然的に前記弾性部材の張力を弱めに設定することが必要となる。弾性部材の張力を弱めに設定した立体構造部は、身体に対して比較的柔らかい感触で接触するため、膣口に密着させるのには適しているが、身体の溝のうちの肛門を起点としてそれよりも後方に延びる臀裂に入り込めるだけの剛性を発揮できない。よって、前記立体構造部を臀裂内に密着させて、就寝時に臀裂を伝わって後方へ流れようとする経血を留める効果は低い。

次に、特許文献３ないし特許文献５に記載のものは、ナプキン本体の肌側表面に、吸収体を有する立体構造部が設けられている。しかし、ナプキン本体の肌側表面に吸収体が設けられたものでは、ナプキン本体が女性の股間部から臀部の表面に密着するように湾曲する際に、前記立体構造物が縦方向に収縮して圧縮反発力を発揮する。そのため、身体に装着したときに生理用ナプキンが平坦な形状に復元しようとし、ナプキン本体の肌側表面と身体との間に隙間が形成されやすくなる。

また、特許文献５に記載のものは、立体構造部の内部にプラスチックシートなどの硬質部材が入っているために、この硬質部材がナプキン本体の湾曲を妨げることになる。また前記硬質部材が身体に当たったときに着用者に違和感を与えやすい。

次に、前記特許文献６に記載のものは、突起がどのような構造であるか不明であるが、前記特許文献３ないし特許文献５に記載されたものと同様に、前記突起がナプキン本体が湾曲しようとするのを妨げるように機能しやすい。

本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、肌側表面の立体構造部が身体に密着した状態で、ナプキン本体が股間部から臀部の表面形状に沿って湾曲しやすくなり、身体とナプキン本体との間に隙間が形成されにくい生理用ナプキンを提供することを目的としている。

また、本発明は、立体構造部を臀裂内に密着させて、身体の後方への経血の洩れを防止する効果を発揮することも可能な生理用ナプキンを提供することを目的としている。

本発明は、液を吸収保持する液吸収層を有するナプキン本体と、前記ナプキン本体の肌側表面に設けられて前記肌側表面から***する立体構造部とが設けられた生理用ナプキンにおいて、
前記立体構造部は、前記肌側表面から***した状態を維持し且つ肌側からの荷重を受けたときに変形可能な補強部材を有しており、
前記補強部材は、縦方向に延びる頂部の両側において幅方向に対向する両壁面を有し、前記両壁面の間に空洞が形成され、前記両壁面には、前記肌側表面から前記頂部に向かって延びる複数の高密度部と、それよりも密度の低い低密度部とが前記縦方向に向けて交互に形成されており、
前記補強部材の頂部を縦方向へ短縮させる弾性部材が設けられ、前記立体構造部の前記縦方向の前端と後端とが接近してナプキン本体がその肌側表面が窪むように湾曲変形したときに、前記補強部材は、前記頂部で前記低密度部が変形し且つ前記高密度部どうしが接近して、頂部の縦方向の長さ寸法が、前記肌側表面における前記補強部材の長さ寸法よりも短縮されることを特徴とするものである。
また本発明は、液を吸収保持する液吸収層を有するナプキン本体と、前記ナプキン本体の肌側表面に設けられて前記肌側表面から***する立体構造部とが設けられた生理用ナプキンにおいて、
前記立体構造部は、前記肌側表面から***した状態を維持し且つ肌側からの荷重を受けたときに変形可能な補強部材を有しており、
前記補強部材は、縦方向に延びる頂部の両側において幅方向に対向する両壁面を有し、前記両壁面の間に空洞が形成され、前記両壁面には、前記頂部から前記肌側表面に向けて切り込まれた複数の削除部が前記縦方向に間隔を開けて設けられ、前記削除部の縦方向の開き寸法は前記肌側表面側に比べて前記頂部側で広げられており、
前記補強部材の頂部を縦方向へ短縮させる弾性部材が設けられ、前記立体構造部の前記縦方向の前端と後端とが接近してナプキン本体がその肌側表面が窪むように湾曲変形したときに、前記補強部材は、前記頂部で前記削除部の前後に位置する補強部材どうしが密着して頂部の縦方向の長さ寸法が、前記肌側表面における前記補強部材の長さ寸法よりも短縮されることを特徴とするものである。

前記生理用ナプキンは、立体構造部が、比較的高い剛性を有しているため、膣口に密着し、あるいは臀裂内に密着しやすくなる。しかも立体構造部は肌側からの圧力によって変形できるため、立体構造部が膣口や臀裂に違和感を与えにくくなる。また立体構造部は、肌側に向く頂部が縦方向へ短縮される構造であるため、前記立体構造部が身体に密着した状態でナプキン本体が股間部から臀部にかけての表面に沿うように湾曲しやすくなる。そのため、ナプキン本体と身体との密着状態を維持しやすい。

前記補強部材の頂部を縦方向へ短縮させる弾性収縮部材が設けられているので、立体構造部の頂部が縦方向に収縮することで、ナプキン本体を湾曲させやすくなる。

補強部材は両壁面の間が空洞であるので、立体構造部が臀裂内に入り込んで臀部の肌からの圧力が両壁面に作用したときに、立体構造部が自由に変形できるようになる。

また本発明は、前記補強部材はエアーレイド不織布で形成されており、前記補強部材の表面が液透過性シートで覆われているものとすることが可能である。

前記補強部材がエアーレイド不織布で形成されていると、立体構造部に付着した経血を補強部材で保持し、さらにはナプキン本体の液吸収層へ移行させやすくなる。

また、本発明は、前記ナプキン本体は、膣対向部とそれよりも後方に延びる臀裂対向部を有する縦長形状であり、前記立体構造部は、少なくとも前記臀裂対向部に設けられているものである。

本発明の立体構造部は、ナプキン本体の肌側表面から***した状態を維持しやすく、またその頂部が湾曲形状となりやすいため、この立体構造部が臀裂内に入り込んで、臀裂内に密着しやすくなる。よって、臀裂に沿ってナプキンの後方へ移行しようとする経血を留めやすくなる。

本発明は、ナプキン本体の肌側表面に設けられた立体構造部がそれ自体***状態を維持できる構造であるため、身体に違和感なく密着でき、臀裂の内部に入り込んで密着することも可能である。また立体構造部はその頂部が縦方向に短縮できる構造であるため、立体構造部が身体に密着した状態で、ナプキン本体が股間部から臀部の表面に沿うように変形しやすくなる。

図１は本発明の第１の実施の形態の生理用ナプキンを示す斜視図、図２は、前記生理用ナプキンが平坦な状態の縦断面図、図３は図１に示す生理用ナプキンをＩＩＩ−ＩＩＩ線で切断した横断面図である。図４は生理用ナプキンが湾曲した状態を示す縦断面図である。図５は前記生理用ナプキンに設けられた立体構造部の頂部を示す部分縦断面図であり、（Ａ）は生理用ナプキンが平坦な状態を示し、（Ｂ）は生理用ナプキンが湾曲した状態を示す。

以下においては、生理用ナプキン１を構成する各要素の２つの表面のうち、身体に向く表面を「肌側表面」と呼び、反対側の表面を「着衣側表面」と呼ぶ。また、生理用ナプキンの長手方向を「縦方向」と呼び、前記縦方向と直交する方向を「幅方向」と呼ぶ。各要素の寸法は、特に明記しない限り、縦方向に測定した寸法を「長さ寸法」とし、前記幅方向に測定した寸法を「幅寸法」と呼ぶ。

第１の実施の形態の生理用ナプキン１は、ナプキン本体２と、ナプキン本体２の肌側表面に位置する立体構造部３とを有している。

図２ないし図４に示すように、前記ナプキン本体２は、着衣側表面に位置する液遮断性の裏面シート２１と、その上に設置された液吸収層２２と、前記液吸収層２２を覆う液透過性の表面シート２３とを有している。

図１に示すように、ナプキン本体２は、曲線形状の前縁部４と同じく曲線形状の後縁部５を有している。ナプキン本体２は、その長さ寸法の最大値が２８０〜４５０ｍｍの縦長形状である。前記液吸収層２２も縦長形状であり、この液吸収層２２は、前記前縁部４よりもやや内側に位置する曲線形状の前端部２２ａおよび、前記後縁部５よりもやや内側に位置する曲線形状の後端部２２ｂを有している。また液吸収層２２の左右両側端部２２ｃ，２２ｃは、縦方向中心線Ｏｙと平行な直線形状である。

ナプキン本体２の両側部の形状は、前方において、前記液吸収層２２の両側端部２２ｃ，２２ｃよりも左右両側に突出した前方フラップ部６，６と、前記前方フラップ部６，６よりも後方において左右両側に突出した折り返しフラップ部７，７と、前記折り返しフラップ部７，７よりもさらに後方において、左右両側に突出した後方フラップ部８，８とを有している。前記前方フラップ部６，６と折り返しフラップ部７，７および後方フラップ部８，８では、裏面シート２１と表面シート２３とが重ねられてホットメルト型接着剤により互いに接着されている。なお、ナプキン本体の肌側表面の両側部に液遮断性の側部シートが設けられ、前記前方フラップ部６，６、折り返しフラップ部７，７および後方フラップ部８，８が、前記裏面シート２１と前記側部シートとで構成されていてもよい。

前記ナプキン本体２を構成している前記裏面シート２１は、坪量が３０ｇ／ｍ^２程度のポリエチレン樹脂などのフィルムであり、好ましくは透湿性のものが使用される。前記液吸収層２２は、粉砕パルプと高吸収性ポリマー（ＳＡＰ）とが混合され、さらに親水性のティッシュペーパで包まれているものであり、粉砕パルプの目付けは４００ｇ／ｍ^２程度である。

前記表面シート２３は、目付けが２０ｇ／ｍ^２程度のスルーエア不織布である。このスルーエア不織布を構成する繊維は、芯部がポリプロピレン樹脂で鞘部がポリエチレン樹脂の芯鞘型の複合合成繊維であり、前記芯部に酸化チタンなどの無機フィラーが混入されたものが使用される。

前記表面シート２３を構成する前記液透過性シートは、スルーエア不織布に限られず、ポイントボンド不織布、スパンレース不織布あるいはスパンボンド不織布などであってもよいが、液の透過性を良好にするために繊維密度は０．１２ｇ／ｃｍ^３以下であることが好ましい。また、前記表面シート２３が、多数の液透過孔を有する樹脂フィルムで形成されてもよい。

図１に示すＸ１は、膣対向基準線であり、この膣対向基準線Ｘ１は、ナプキン本体２の前縁部４から後方へ１００〜２００ｍｍの範囲に位置しており、例えば前記前縁部４から後方へ約１５０ｍｍ離れて位置している。

ここで言う膣対向基準線Ｘ１とは、この生理用ナプキン１を下着に固着させて股間部に装着するときに、ほぼ膣の中心に一致させる目安となる位置を意味している。この目安は、生理用ナプキンを肌側表面から見たときの全体形状や、肌側表面に形成されている圧縮線の形状などの全体のデザインによって誘導するものであるが、この実施の形態のように左右両側に突出する折り返しフラップ部７，７が存在しているときには、通常はこの折り返しフラップ７，７の縦方向寸法の中心位置が膣口の中心部に対向させる目安となる。

よって、この実施の形態では、折り返しフラップ７，７の中心を通る線を前記膣対向基準線Ｘ１とする。

図１に示すＸ２は、肛門対向基準線であり、前記膣対向基準線Ｘ１を膣口の中心位置に一致させたときに、前記肛門対向基準線Ｘ２が肛門に対向する。この肛門対向基準線Ｘ２は、着用者の身体によって相違するが、通常は前記膣対向基準線Ｘ１から後方へ距離３０〜７０ｍｍだけ離れた位置にある。

図１に示すＸ３は、尾てい骨対向基準線である。前記膣対向基準線Ｘ１を膣口の中心位置に一致させたときに、前記尾てい骨対向基準線Ｘ３が、尾てい骨に対向する。この尾てい骨対向基準線Ｘ３は、着用者の身体によって相違するが、通常は前記膣対向基準線Ｘ１から後方へ距離１２０〜１８０ｍｍ離れた位置にある。前記ナプキン本体２の後縁部５および前記液吸収層２２の後端部２２ｂは、前記尾てい骨対向基準線Ｘ３よりもさらに後方に位置している。

女性の股間部では膣の前端（***前端）から尾てい骨にかけて「身体の溝」が形成されているが、本明細書では、前記「身体の溝」のうちの、肛門付近を起点としてそこから尾てい骨にかけて位置する溝を「臀裂」と表現する。図１に示す生理用ナプキン１では、前記膣対向基準線Ｘ１の前方５０ｍｍから後方へ５０ｍｍの範囲が膣対向部であり、前記肛門対向基準線Ｘ２から前記尾てい骨対向基準線Ｘ３までの範囲が臀裂対向部である。

生理用ナプキン１は、ナプキン本体２の主に後方部分に立体構造部３が設けられている。この立体構造部３は、前記身体の溝のうちの、少なくとも臀裂に入り込ませて密着させることを目的としている。そのため、前記立体構造部３は、少なくともその一部が、肛門対向基準線Ｘ２から前記尾てい骨対向基準線Ｘ３との間の臀裂対向部に設けられている。

図１に示す生理用ナプキン１は、立体構造部３の前方起端３１が、前記肛門対向基準線Ｘ２よりも前方で前記膣対向基準線Ｘ１よりもやや後方に位置している。また後方起端３２は、前記尾てい骨対向基準線Ｘ３よりもやや前方に位置している。

図２に示すように、生理用ナプキン１を平坦な状態としたときに、前記ナプキン本体２の肌側表面から立体構造部３の頂部３ａまでの高さ寸法Ｈは、前記前方起端３１および前記後方起端３２から中間に向って徐々に大きくなり、前記頂部３ａはナプキン本体２の縦方向中心線Ｏｙに沿って肌側に向けて凸となる曲線形状となっている。前記高さ寸法の最大値Ｈｍａｘは、身体の臀裂の深さが最大となる位置、すなわち前記肛門対向基準線Ｘ２を起点としてそれよりも後方へ５０ｍｍの範囲内に存在していることが好ましい。

図３に示すように、立体構造部３は、左右両側に縦方向に延びる一対の壁面３３，３３を有している。前記壁面３３と壁面３３との表面間の幅寸法は、ナプキン本体２の肌側表面に近い位置にある裾部から頂部３ａに向けて徐々に狭くなる形状である。立体構造部３の裾部の幅寸法Ｗ１は、ナプキン本体２の肌側表面からｈ１＝１０ｍｍ離れた位置で測定された寸法であり、前記裾部の幅寸法Ｗ１は１５〜４５ｍｍの範囲が好ましい。前記幅寸法Ｗ１が１５〜４５ｍｍの範囲であれば、立体構造部３が臀裂内に違和感無く入り込めるようになる。

図３に示すように、立体構造部３の頂部３ａからｈ２＝３ｍｍ下がった位置での幅寸法を頂部の幅寸法Ｗ２とすると、前記幅寸法Ｗ２は１〜５ｍｍの範囲が好ましく、さらに好ましくは１〜３ｍｍである。前記範囲であると、頂部３ａが身体の溝内の奥部まで入り込むことができ、また幅寸法が１ｍｍ以上であれば、身体の溝の奥に頂部３ａが当たったとしても、身体の溝に過剰な刺激を与えるのを防止できる。

前記立体構造部３の前記高さ寸法の最大値Ｈｍａｘは、２５〜６０ｍｍの範囲が好ましい。前記範囲であると、立体構造部３の頂部３ａが臀裂の奥部まで入り込めるようになる。

前記立体構造部３の前記壁面３３と壁面３３の開き角度θは、１２０度以下で好ましくは９０度以下である。さらに好ましくは６０度以下や４５度以下である。なお、前記開き角度θとは、図３に示すように立体構造部３の断面形状が三角形である場合には、壁面３３と壁面３３の外面どうしが成す角度である。また、図３に示す断面において、壁面３３と壁面３３の外面が左右に膨らむ突曲線形状などであるときには、ナプキン本体２の肌側表面から前記頂部３ａまでの高さ寸法の１／２の位置において、壁面３３の外面に接し且つ高さ方向に延びる接線どうしの成す角度である。

なお、前記角度θの測定は、半径が１１０ｍｍの円筒内周面を有する測定治具を使用し、生理用ナプキン１の長手方向を円筒内周面の曲率方向へ向けた状態で、生理用ナプキン１の着衣側表面を前記円筒内周面に接着させた状態で行う。このとき、ナプキン本体２の肌側表面から前記立体構造部３の立ち上がり高さが最も高くなった位置で前記θを測定する。

また、立体構造部３の断面形状は図３に示す三角形に限られるものではなく、例えば頂部３ａがフラットな形状であったり、または両壁面３３，３３が左右両側に曲面的に膨らみを有する形状であってもよい。

図１と図３に示すように、前記立体構造部３の前記両壁面３３，３３の下端には、接合片３４が一体に設けられており、この接合片３４が、ナプキン本体２の肌側表面にホットメルト型接着剤により接着されて固定されている。この実施の形態では、立体構造部３が、その全長において前記肌側表面から離れないように固定されている。ただし、立体構造部３の前方起端３１付近と後方起端３２付近のみが前記肌側表面に固定されて、その中間部分が肌側表面に対して幅方向へ自由に動けるものであってもよい。このように構成すると、立体構造部３が臀裂内に密着した状態で、下着と共にナプキン本体２が左右に動いたときにも、立体構造部３が臀裂に密着した状態を維持しやすくなる。

図３に示すように、前記立体構造部３は、補強部材３５と、前記補強部材３５の肌に接する表面を覆う液透過性シート３６とで構成されている。前記補強部材３５は、剛性を高める機能だけでなく液を吸収保持する機能を有するものである。また前記立体構造部３の内部は空洞である。

前記補強部材３５はエアーレイド不織布であり、パルプが３０質量％と、芯部がポリプロピレン樹脂で鞘部がポリエチレン樹脂の芯鞘型複合合成繊維が７０質量％とを混綿した混合繊維をエアーレイド法で積層し、加熱ローラ間で加圧し加圧して、前記ポリエチレン樹脂の熱接着力によって繊維間を接合したものである。前記補強部材３５はその全体の目付けが６０〜３００ｇ／ｍ^２程度である。あるいは、前記補強部材３５は、パルプが７０質量％以上と、合成樹脂繊維０〜３０％とをエアーレイド法で積層し、繊維間をバインダーで接合したエアーレイド不織布（エアーレイドパルプ）であってもよい。

図４および図５に示すように、前記補強部材３５は、エンボス加工によって加熱され加圧されて圧縮された高密度部３７が形成されている。前記高密度部３７は縦方向に間隔を開けて、ナプキン本体２の肌側表面から頂部３ａに向けてほぼ垂直に立ち上がるように互いに並行に形成されている。よって、前記補強部材３５には、前記エンボス加工で圧縮された前記高密度部３７と、エンボス加工されていない低密度部３８とが、縦方向に向けて交互に形成されている。

前記エアーレイド不織布で形成された補強部材３５によって、それぞれの壁面３３，３３が別体に形成されており、両補強部材３５が頂部３ａにおいてホットメルト型接着剤で互いに接着されることにより、前記立体構造部３が構成されている。前記補強部材３５，３５は同じ液透過性シート３６で覆われている。この液透過性シート３６は熱融着可能な合成樹脂繊維で形成されたスルーエア不織布であり、この液透過性シート３６と前記補強部材３５は、液の透過を妨げない範囲で塗布されたホットメルト型接着剤で互いに接着されている。

前記液透過性シート３６は、スルーエア不織布に限られず、ポイントボンド不織布、スパンレース不織布あるいはスパンボンド不織布などであってもよいが、液の透過性を良好にするために繊維密度は０．１２ｇ／ｃｍ^３以下であることが好ましい。

なお、前記補強部材３５は、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、あるいはポリエチレンーポリプロピレンの複合合成繊維やポリエチレンーポリエステルの複合合成繊維のいずれか１種以上で形成されたスルーエア不織布やポイントボンド不織布またはスパンボンド不織布で形成することもできる。例えば、前記不織布を複数枚積層して、目付けを６０〜３００ｇ／ｍ^２程度に調整し、不織布間を熱エンボス加工や、ホットメルト接着剤による接着工程により接合したものが使用される。

このように合成樹脂繊維のみで構成された補強部材３５は、液吸収層２２に向けて経血を透過でき、しかも補強部材３５自体が経血を吸収して保持しにくいものであるため、立体構造部３に経血が残りにくくなり、肌へのべたつきが生じるのを防止でき、臀裂接触した状態で肌触りが良好になる。

図５に示すように、前記立体構造部３の頂部３ａでは、前記補強部材３５の内側に弾性収縮部材３９が固定されている。この弾性収縮部材３９は、例えば繊度が３７６０ｄｔｅｘのポリウレタン弾性糸であり、この弾性収縮部材３９が１本あるいは複数本用いられて、前記前方起端３１と後方起端３２との間で縦方向に向けて配置されている。前記弾性収縮部材３９は、前記頂部３ａにおいて、前記補強部材３５にホットメルト型接着剤４１で接着固定されている。この弾性収縮部材３９は、立体構造部３が図２に示す状態のときにその頂部３ａの延べ長さ寸法の１．２〜１．５倍程度引き伸ばした状態で補強部材３５に接着固定されている。

また、前記補強部材３５を、エアーレイド不織布や前記したような複数の不織布が接合されたシートを、２枚用いて互いに重ねて接合することにより形成し、両シートを一緒にエンボス加工して前記高密度部を形成し、前記頂部３ａにおいて、両シートの間に前記弾性収縮部材３９を配置して接着固定してもよい。

なお、立体構造部３は、エアーレイド不織布や複数の不織布が接合されたシートを山形に折って形成し、その折り線部分が前記頂部３ａに位置するようにしてもよい。

図３に示すように、ナプキン本体２の着衣側表面では、前記裏面シート２１の外面に感圧接着剤層２５，２５が設けられている。この感圧接着剤層２５，２５は帯状で縦方向に連続して延びている。この感圧接着剤層２５，２５は、前記立体構造部３の前記接合片３４の真下に設けられていることが好ましい。接合片３４の真下部分が下着にしっかり接着固定されることで、立体構造部３が臀裂に対向した状態を維持しやすくなる。

また、図示省略するが、前記折り返しフラップ部７，７が形成されている領域、および前記後方フラップ部８，８が形成されている領域においても、前記裏面シート２１の着衣側表面に感圧接着剤層が設けられている。

前記生理用ナプキン１を使用するときには、ナプキン本体２の着衣側表面に設けられた感圧接着剤層２５を下着の内面に接着する。また、折り返しフラップ部７，７を下着のクロッチ部の両側縁部から外面に向けて折り返し、折り返しフラップ部７，７の着衣側表面に設けられた感圧接着剤層をクロッチ部の外面に接着する。また後方フラップ部８，８の着衣側表面に設けられた感圧接着剤層を下着の後身頃の下部内面に接着する。

使用者が前記生理用ナプキン１を下着に固着するときには、折り返しフラップ部７，７の中心位置（前記膣対向基準線Ｘ１）を位置決めの目安とし、前記中心位置がほぼ膣口の前後方向での中心部に一致するようにして着用される。

前記生理用ナプキン１が下着に固定された状態では、図５（Ｂ）に示すように、立体構造部３の頂部３ａに設けられた弾性収縮部材３９が弾性収縮する。前記弾性収縮部材３９はホットメルト型接着剤４１によって前記補強部材３５に接着されているが、図５（Ｂ）に示すように弾性収縮部材３９が収縮すると、高密度部３７と弾性収縮部材３９との接着部が剥離して高密度部３７の間隔が縮められて低密度部３８が変形し、立体構造部３の頂部３ａにおいて補強部材３５にプリーツが形成される。その結果、立体構造部３の縦方向の寸法が短縮する。

一方、ナプキン本体２の肌側表面との接合部では、立体構造部３に縦方向の長さ寸法を収縮させる力が作用しないので、ナプキン本体２は湾曲形状となりやすくなる。また、前記生理用ナプキン１では、前記弾性収縮部材３９の弾性収縮力が、前方起端３１と後方起端３２とを接近させるように作用するため、この力によっても、ナプキン本体２はその肌側表面が窪むように湾曲変形する。

図４に示すように、生理用ナプキン１が湾曲状態となったときに、前記立体構造部３の頂部３ａの延べ長さ寸法は、前方起端３１と後方起端３２との間でナプキン本体２の肌側表面に沿う長さ寸法の６０〜９０％となることが好ましく、さらに好ましくは、７０〜８５％である。

図１３は、前記生理用ナプキン１が女性の股間部に装着された状態を示し、図１４は、図１３のＸＩＶ−ＸＩＶ線での断面図であり、前記立体構造部３が臀裂の内部に入り込んでいる状態を示している。

図３に示すように、立体構造部３は、両壁面３３と３３との間の幅寸法が頂部３ａに向うにしたがって徐々に小さくなる形状であり、先部の幅寸法Ｗ２が１〜５ｍｍの範囲であり、好ましくは１〜３ｍｍの範囲である。また壁面３３と３３との開き角度θが９０度以下であり、好ましくは６０度以下、さらに好ましくは４５度以下である。

よって、前記立体構造部３が、膣口の中心よりもやや後方から尾てい骨のやや前方にかけて、身体の溝の内部に入り込んで密着できるようになる。立体構造部３の補強部材３５は、エアーレイド不織布などで目付けが６０〜３００ｇ／ｍ^２の範囲で構成されてそれ自体が弾性と剛性を有しており、さらに高さ方向に延びる高密度部３７を有しているため、臀裂内に入り込んだ状態で容易に潰れることがない。また補強部材３５は頂部３ａに作用する加圧力によって弾性変形可能であるため、身体の溝の深さの変化に追従でき、身体の前後において身体の溝の内部に密着した状態を維持できる。さらに、立体構造部３は内部が空洞であるため、身体の溝の両側の肌が接近したときにも、幅寸法が自由に変化できる。

前記のように立体構造部３が臀裂に入り込める剛性を有している一方で、図４に示すように、ナプキン本体２が湾曲形状となるため、図１３に示すようにナプキン本体２の肌側表面が身体の股間部から臀部に向けて肌表面の湾曲形状に沿うようになる。よって身体とナプキン本体２の肌側表面との間が空きすぎるということがなく、経血の洩れを防止しやすくなる。

前記実施の形態では、図４に示すように、立体構造部３の頂部３ａが短縮された状態で、この頂部の形状が肌側に向けて突曲線形状である。ナプキン本体２が湾曲した状態で前記頂部３ａが突曲線形状であると、前記頂部が、身体の肛門からその後方に位置する臀裂の最深部に入り込みやすくなる。

膣口から出た経血は、ナプキン本体２の表面シート２３を透過して液吸収層２２に吸収されて保持される。就寝時などにおいて肛門から臀裂に沿って後方へ移行しようとする経血は、身体の溝に密着している立体構造部３に与えられ、液透過性シート３６を透過して液吸収機能を有する補強部材３５に吸収される。前記補強部材３５は合成樹脂繊維を７０質量％を含むエアーレイド不織布であるため、この補強部材３５に与えられた経血は、補強部材３５と液透過性シート３６を伝わって液吸収層２２に与えられやすくなる。よって、前記補強部材３５は合成樹脂繊維を５０質量％以上含むことが好ましい。または、前記のように補強部材３５を合成樹脂繊維のみで形成すると、立体構造部３に経血が残りにくくなる。

図６は本発明の第２の実施の形態の生理用ナプキン１０１を示す斜視図であり、図７は図６の生理用ナプキン１０１をＶＩＩ−ＶＩＩ線で切断した横断面図、図８は図６に記載の生理用ナプキン１０１をＶＩＩＩ−ＶＩＩＩ線で切断した横断面図である。

図６に示すナプキン本体２は、図１ないし図３に示した第１の実施の形態のナプキン本体と同じものである。

第２の実施の形態では、前記ナプキン本体２の肌側表面に、縦方向中心線Ｏｙに沿って延びる表面構成要素１０２が取付けられている。図７と図８に示すように、前記表面構成要素１０２は、液の吸収機能を有する補強部材１３５とこの補強部材１３５の肌に接する表面を覆う液透過性シート１３６とから構成されている。補強部材１３５は、パルプと合成樹脂繊維とを含み、合成樹脂繊維が５０質量％以上で例えば７０質量％含まれたエアーレイド不織布である。前記エアーレイド不織布が１枚でまたは複数枚が重ねられて壁面１３３，１３３が形成されている。あるいは、前記のように合成樹脂繊維のみで形成された不織布を複数枚接合して構成されている。

前記液透過性シート１３６は、前記液透過性シート３６と同じスルーエア不織布で構成されている。そして、補強部材１３５と液透過性シート１３６は、液の透過を妨げない程度の坪量で塗布されたホットメルト型接着剤によって互いに接着されている。

図６に示すように、前方起端１３１と後方起端１３２との間で、前記表面構成要素１０２によって立体構造部１０３が形成されている。図８に示すように、立体構造部１０３は内部が空洞であり、壁面１３３，１３３の表面間の幅寸法が、頂部１０３ａからナプキン本体２に向けて徐々に広くなり、ナプキン本体２の肌側表面から上方へ１０ｍｍまたはそれ以上離れた位置に、幅寸法が最大となる突出頂部１０３ｂ，１０３ｂが形成されている。そして、この左右の突出頂部１０３ｂ，１０３ｂからナプキン本体２の肌側表面に向けて前記幅寸法が徐々に狭くなっている。さらに立体構造部１０３の基部には左右両側へ延びる接合片１３４，１３４が縦方向に連続して形成されており、この接合片１３４，１３４がナプキン本体２の肌側表面にホットメルト型接着剤によって接着固定されている。

前記立体構造部１０３では、前記補強部材１３５に、エンボス加工された高密度部１３７とエンボス加工されていない低密度部１３８とが縦方向に向けて後方に形成されている。前記高密度部１３７は、前記両壁面１３３，１３３において、ナプキン本体２の肌側表面から頂部１０３ａに向けてほぼ垂直に延びて形成され、縦方向に間隔を開けて互いに並行に延びている。

また、前方起端１３１と後方起端１３２との間では、弾性収縮部材１３９が伸ばされた状態で設置されて、頂部１０３ａにおいて、前記補強部材１３５の内面に接着固定されている。

立体構造部１０３の前方起端１３１は、膣対向基準線Ｘ１よりも前方へ１０〜２０ｍｍ離れた位置に存在し、後方起端１３２は、尾てい骨対向基準線Ｘ３よりもやや前方に位置している。よって、立体構造部１０３は、膣口の後方部分から肛門を経てその後方の臀裂内に密着することができる。

図７と図８に示すように、前記前方起端１３１よりも前方においては、前記表面構成要素１０２の接合片１３４，１３４がナプキン本体２の肌側表面に接着固定されて、さらに接合片１３４と接合片１３４との間に位置する前記補強部材１２５および液透過性シート１３６が平坦な状態に折り畳まれて前方扁平部１０４が形成されている。また図６に示すように、後方起端１３２よりも後方においても、同様にして後方扁平部１０５が形成されている。

第２の実施の形態の生理用ナプキン１０１では、前記弾性収縮部材１３９の弾性収縮力により、頂部１０３ａの長さ寸法が短縮され、前記頂部１０３ａにプリーツが形成される。その結果、前記第１の実施の形態と同様に、立体構造部１０３が剛性を有して***している一方、ナプキン本体２が湾曲形状となる。

また、前記立体構造部１０３の壁面１３３，１３３に突出頂部１０３ｂ，１０３ｂが形成され、その上方において立体構造部１０３の幅寸法が頂部１０３ａに向けて徐々に狭くなっている。そのため、生理用ナプキン１０１を股間部に装着したときに、前記突出頂部１０３ｂ，１０３ｂよりも上方部分が身体の溝に密着するようになる。また前記突出頂部１０３ｂ，１０３ｂが形成されていると、頂部１０３ａが押されたときに、立体構造部１０３がナプキン本体２の肌側表面に向けて押圧変形しやすくなる。そのため、就寝時に身体の溝の深さが変化したときに、立体構造部３が身体の溝に密着したまま自由に変形できるようになる。

前記立体構造部１０３は、前方の高さ寸法の低い部分が***に密着するため、膣口から出た経血を直ちに立体構造部１０３で補足できるようになる。また膣口の前方部分には前方扁平部１０４が密着するため、この部分での膣口への密着度が高くなり、経血が補強部材１３５で補足され、経血の横漏れを防止しやすくなる。

図９は本発明の第３の実施の形態の生理用ナプキン２０１を示す斜視図であり、図１０（Ａ）（Ｂ）は、前記生理用ナプキン２０１に設けられた立体構造部を示す部分破断斜視図である。

この生理用ナプキン２０１のナプキン本体２は、前記第１の実施の形態の生理用ナプキン１および前記第２の実施の形態の生理用ナプキン１０１に設けられたナプキン本体と同じものである。

ナプキン本体２の肌側表面には、表面構成要素２０２が設けられている。この表面構成要素２０２は、図１０（Ａ）（Ｂ）に示すように、第１の実施の形態や第２の形態と同様にエアーレイド不織布で形成された液吸収機能を有する補強部材２３５と、この補強部材２３５の肌に当たる表面を覆う液透過性シート２３６とを有している。前記液透過性シート２３６も前記各実施の形態で使用されているものと同じである。

前記表面構成要素２０２は、その基部に設けられた接合片２３４，２３４が、ホットメルト型接着剤によってナプキン本体２の肌側表面に接着固定されている。前記補強部材２３５は、図７と図８に示した第２の実施の形態の表面構成要素１０２と同様に折り畳まれ、図９に示すように、前方起端２３１と後方起端２３２との間でナプキン本体２の肌側表面から立ち上がる立体構造部２０３が形成されている。また前記表面構成要素２０２によって、前記前方起端２３１よりも前方に位置する前方扁平部２０４と、前記後方起端２３２よりも後方に位置する後方扁平部２０５とが形成されている。

図１０（Ａ）（Ｂ）に示すように、補強部材２３５には、頂部２０３ａから接合片２３４に向けて切り込まれた削除部２３７が形成されており、前記削除部２３７は、縦方向に間隔を開けて複数箇所設けられている。それぞれの削除部２３７の縦方向の開き寸法Ｌａは、立体構造部２０３の頂部２０３ａにおいて最大であり、前記開き寸法Ｌａは、接合片２３４，２３４に向けて徐々に狭まる形状である。これは、図１０（Ａ）に示すように、前記補強部材２３５を、頂部２０３ａと側部頂部２０３ｂを有する形状に曲げた後に、または曲げる前に補強部材２３５を部分的にＶ字形状に切り取ることで形成できる。

そして、前記補強部材２３５は、その肌に当たる表面の全域が液透過性シート２３６で覆われている。

この生理用ナプキン２０１が着衣側表面が平面状となるように展開した状態では、図１０（Ａ）に示すように、立体構造部２０３を形成する補強部材２３５の削除部２３７が頂部２０３ａにおいて開いている。しかし、生理用ナプキン２０１の肌側表面を身体に向け、ナプキン本体２を股間部から臀部にかけての肌表面に沿うように湾曲変形させると、図１０（Ｂ）に示すように、前記削除部２３７の前後に位置する補強部材２３５どうしが密着し、立体構造部３の頂部３ａの縦方向の長さ寸法が短縮される。

したがって、ナプキン本体２が湾曲形状となったときに、立体構造部２０３がナプキン本体２を平坦な形状に戻そうとする圧縮復元力がほとんど作用せず、立体構造部２０３が臀裂に密着した状態で、ナプキン本体２が湾曲形状を維持できるようになる。

図１１（Ａ）（Ｂ）は、本発明の第３の実施の形態の変形例を示している。
図１１（Ａ）（Ｂ）に示す立体構造部２０３Ａでは、補強部材２３５に前記削除部２３７が形成されているが、さらに立体構造部２０３の頂部２０３ａにおいて、補強部材２３５と液透過性シート２３６との間に縦方向に弾性収縮力を発揮する弾性収縮部材２３９が設けられている。

前記変形例では、生理用ナプキン２０１に外力を与えていない状態で、前記弾性収縮部材２３９が、前方起端２３１と後方起端２３２とを接近させる弾性力を発揮し、その結果、ナプキン本体２が湾曲するとともに、図１１（Ｂ）に示すように、前記削除部２３７の空間が閉じて、頂部２０３ａの縦方向の長さ寸法が短縮する。

なお、図９と図１０に示した第２の実施の形態においては、前記削除部２３７が液透過性シート２３６で覆われており、前記削除部２３７が外部に向けて開口しているものではないが、前記削除部２３７に前記液透過性シート２３６が設けられておらず、立体構造部２０３において前記削除部２３７が開口しているものであってもよい。

また、前記削除部２３７を境として、その前後に位置する補強部材２３５が完全に分離されているものであってもよい。

なお、図４に示す実施の形態では、ナプキン本体２が湾曲したときに、立体構造部３の頂部３ａが肌側に向けて突曲線形状であったが、前記各実施の形態では前記頂部が前記のような凸曲線の他にナプキン本体に向けて凹状に湾曲したものであってもよい。

なお、本発明は前記実施の形態に限られるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、前記実施の形態では、立体構造部に、液吸収機能を有する補強部材３５，１３５，２３５が設けられているが、立体構造部が、補強部材と、この補強部材とは別体の液吸収層やクッション層とで形成されていてもよい。

図１２（Ａ）に示す立体構造部３０３は、液吸収機能を有するエアーレイド不織布、パルプのみで形成されたエアーレイド不織布（エアーレイドパルプ）、紙、レーヨン繊維で形成されたスパンレース不織布などで形成された液吸収層３３５の内側に、補強部材３３４が接着されている。この補強部材３３４は、紙、ウレタンフォームシート、ポリエチレンフォームシート、樹脂シートなどである。そして、前記液吸収層３３５の表面が液透過性シート３３６で覆われている。

図１２（Ｂ）に示す立体構造部４０３には、第１の実施の形態と同じエアーレイド不織布で形成された液吸収機能を有する補強部材３５が設けられている。そして補強部材３５の表面は、前記液吸収層２２の表面を覆う前記表面シート２３によって覆われている。

前記各実施の形態に設けられた立体構造部は、それ自体がナプキン本体２の肌側表面から***した形状を維持でき、しかも肌からの圧力によって弾性変形できるものである。

前記立体構造部の剛性は、前記弾性収縮部材が設けられていない状態で、立体構造部の高さ寸法が最大値Ｈｍａｘとなる頂部に対して、幅１ｍｍで長さ１０ｍｍ当たり０．２Ｎの圧力をナプキン本体２に向けて与えたときに、その高さの減少率が６６％以下であれば、立ち姿勢から仰向けに寝た姿勢になったときに、立体構造部３は、身体の溝のほとんどの部分で少なくとも非会合部に密着した状態を維持できる。

また、前記弾性収縮部材が設けられていない状態で、立体構造部３の高さ寸法が最大値Ｈｍａｘとなる頂部に、幅１ｍｍで長さ１０ｍｍ当たり０．３Ｎの力をナプキン本体２の肌側表面に向けて与えたときに、前記頂部の前記高さ寸法の減少率が２０％以上であれば、就寝時に身体の溝の深さが変化しても、立体構造部から身体に違和感を与えることがなく、立体構造部が身体の溝に密着し続けることができる。

本発明の第１の実施の形態の生理用ナプキンを示す斜視図、 前記生理用ナプキンの縦断面図、 図１に示す生理用ナプキンをＩＩＩ−ＩＩＩ線で切断した断面図、 第１の実施の形態の生理用ナプキンが湾曲した状態を示す縦断面図、 （Ａ）はナプキン本体が平坦なときの立体構造部の頂部を示す部分縦断面図、（Ｂ）はナプキン本体が湾曲したときの立体構造部の頂部を示す部分縦断面図、 本発明の第２の実施の形態の生理用ナプキンを示す斜視図、 図６のＶＩＩ−ＶＩＩ線の断面図、 図６のＶＩＩＩ−ＶＩＩＩ線の断面図、 本発明の第３の実施の形態の生理用ナプキンを示す斜視図、 第３の実施の形態の立体構造部を示す部分斜視図であり、（Ａ）は生理用ナプキンが平坦な状態、（Ｂ）は生理用ナプキンが湾曲した状態を示す、 第３の実施の形態の立体構造部の変形例を示す部分斜視図であり、（Ａ）は生理用ナプキンが平坦な状態、（Ｂ）は生理用ナプキンが湾曲した状態を示す、 （Ａ）（Ｂ）は立体構造部を実施の形態別に示す横断面図、 本発明の生理用ナプキンが女性の股間部に装着された状態を示す縦断面図、 図１３のＸＩＶ−ＸＩＶ線の断面図、

符号の説明

１ 生理用ナプキン
２ ナプキン本体
３ 立体構造部
３ａ 頂部
２１ 裏面シート
２２ 液吸収層
２３ 表面シート
３１ 前方起端
３２ 後方起端
３３ 壁部
３４ 接合片
３５ 補強部材
３６ 液透過性シート
３７ 高密度部
３８ 低密度部
３９ 弾性収縮部材
１０２，２０２ 表面構成要素
１０３，２０３ 立体構造部
２３５ 補強部材
２３６ 液透過性シート
２３７ 削除部
Ｘ１ 膣対向基準線
Ｘ２ 肛門対向基準線
Ｘ３ 尾てい骨対向基準線

Claims (6)

1. 液を吸収保持する液吸収層を有するナプキン本体と、前記ナプキン本体の肌側表面に設けられて前記肌側表面から***する立体構造部とが設けられた生理用ナプキンにおいて、
   前記立体構造部は、前記肌側表面から***した状態を維持し且つ肌側からの荷重を受けたときに変形可能な補強部材を有しており、
   前記補強部材は、縦方向に延びる頂部の両側において幅方向に対向する両壁面を有し、前記両壁面の間に空洞が形成され、前記両壁面には、前記肌側表面から前記頂部に向かって延びる複数の高密度部と、それよりも密度の低い低密度部とが前記縦方向に向けて交互に形成されており、
   前記補強部材の頂部を縦方向へ短縮させる弾性部材が設けられ、前記立体構造部の前記縦方向の前端と後端とが接近してナプキン本体がその肌側表面が窪むように湾曲変形したときに、前記補強部材は、前記頂部で前記低密度部が変形し且つ前記高密度部どうしが接近して、頂部の縦方向の長さ寸法が、前記肌側表面における前記補強部材の長さ寸法よりも短縮されることを特徴とする生理用ナプキン。
2. 前記補強部材はエアーレイド不織布であり、エンボス加工によって前記高密度部が形成されている請求項１に記載の生理用ナプキン。
3. 液を吸収保持する液吸収層を有するナプキン本体と、前記ナプキン本体の肌側表面に設けられて前記肌側表面から***する立体構造部とが設けられた生理用ナプキンにおいて、
   前記立体構造部は、前記肌側表面から***した状態を維持し且つ肌側からの荷重を受けたときに変形可能な補強部材を有しており、
   前記補強部材は、縦方向に延びる頂部の両側において幅方向に対向する両壁面を有し、前記両壁面の間に空洞が形成され、前記両壁面には、前記頂部から前記肌側表面に向けて切り込まれた複数の削除部が前記縦方向に間隔を開けて設けられ、前記削除部の縦方向の開き寸法は前記肌側表面側に比べて前記頂部側で広げられており、
   前記補強部材の頂部を縦方向へ短縮させる弾性部材が設けられ、前記立体構造部の前記縦方向の前端と後端とが接近してナプキン本体がその肌側表面が窪むように湾曲変形したときに、前記補強部材は、前記頂部で前記削除部の前後に位置する補強部材どうしが密着して頂部の縦方向の長さ寸法が、前記肌側表面における前記補強部材の長さ寸法よりも短縮されることを特徴とする生理用ナプキン。
4. 前記補強部材はエアーレイド不織布である請求項３に記載の生理用ナプキン。
5. 前記補強部材の表面が液透過性シートで覆われている請求項１ないし４のいずれか１項に記載の生理用ナプキン。
6. 前記ナプキン本体は、膣対向部とそれよりも後方に延びる臀裂対向部を有する縦長形状であり、前記立体構造部は、少なくとも前記臀裂対向部に設けられている請求項１ないし５のいずれか１項に記載の生理用ナプキン。

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