JP4553562B2 - 接着性ポリオルガノシロキサン組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、付加反応によって硬化するポリオルガノシロキサン組成物に関し、さらに詳細には、優れた加工性、特に高い流動性と低いチキソトロピー性を示して、充填性に優れ、かつ優れた接着性を示し、硬化して得られるシリコーンゴムが、低い比重を示すポリオルガノシロキサン組成物、およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
未硬化状態で流動性を示し、硬化によってゴム状弾性体を形成する硬化性ポリオルガノシロキサン組成物としては、硬化機構により、縮合反応硬化型の組成物と、付加反応硬化型の組成物とがある。前者は室温で硬化し、良好な接着性を示すが、硬化に長時間を要するうえ、空気中の水分の供給が充分でない部位における硬化性が悪いこと、および硬化の際に副生物を発生させるので収縮を生じ、寸法安定性に欠けるばかりでなく、副生物によって処理対象や周辺の部品を汚染させるなどの問題がある。それに対して後者は、加熱により短時間に硬化することが可能で、空気中の水分の供給が充分でない部位においても硬化性が優れ、副生物の発生がないので、収縮や汚染を生じないなどの特徴を有する。
【0003】
付加反応硬化型のポリオルガノシロキサン組成物の基本組成である、アルケニル基含有ポリオルガノシロキサン、ポリオルガノハイドロジェンシロキサンおよび白金系金属化合物には、接着性を発現させる要素がないので、接着性を付与するために、架橋の際に共重合により網状構造に結合する各種の添加成分を配合することが行われている。
【0004】
特許文献1には、ケイ素原子に結合した水素原子の数の、ケイ素原子に結合したアルケニル基、代表的にはビニル基の数に対する比(以下、H/Vi比という)が0.5〜4.0である上記の基本組成に、ケイ素原子に結合した水素原子と、ケイ素原子に結合した下記式:
【0005】
【化2】
【0006】
(式中、Q1およびQ2は、たがいに独立して、直鎖状または分岐状のアルキレン基を表し、R3は、炭素数1〜4のアルキル基を表す)
で示される側鎖とを有する有機ケイ素化合物を配合して、組成物が、70℃、8時間の硬化条件で、優れた接着性を発現することが開示されている。
【0007】
特許文献2には、H/Vi比が0.3〜5.0の基本組成に、(メタ)アクリロキシアルキル基含有アルコキシシラン、エポキシ基含有アルコキシシラン、イソシアヌレート化合物のうち少なくとも2種を配合することにより、120℃に加熱して、プラスチックに対して優れた接着性を発揮することが開示されている。
【0008】
一方、付加反応硬化型のポリオルガノシロキサン組成物に、未硬化状態での作業性を向上させるために、その流動性を上げることや、保存中に充填剤の沈降や分離がなく、高い硬さを示しながら、低い比重、低い圧縮永久ひずみなどを有するゴム状弾性体が求められている。そのような要請に応えて、特許文献3には、上記組成物の充填剤として、ポリメチルシルセスキオキサン粉末を配合することが開示されている。
【0009】
しかしながら、接着性と、優れた流動性などを満足させるために、付加反応硬化型ポリオルガノシロキサン組成物に、接着性付与剤として、エステル結合、エポキシ基、または(メタ)アクリロキシアルキル基を含有する有機ケイ素化合物を配合し、かつポリメチルシルセスキオキサン粉末を配合すると、系中に凝集物を生じて、毛細管や細い間隙などへの充填性を低下させ、かつ硬化して得られるゴム状弾性体の機械的強度を低下させる。
【0010】
【特許文献1】
特開昭54−48853号公報
【特許文献2】
特開平03−37265号公報
【特許文献3】
特開昭61−159450号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記のような、未硬化の系に凝集物を生じるという問題点を解決して、未硬化状態では低い粘度を示し、保存中に充填剤の沈降や分離がなく、細部への充填性に優れ、短時間の加熱で硬化し、硬化の際に優れた接着性を示し、かつ、硬化して低い比重を有するシリコーンゴムを与える、付加反応型ポリオルガノシロキサン組成物を提供することである。本発明のもう一つの課題は、そのようなポリオルガノシロキサン組成物の製造方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の課題を解決するために研究を重ねた結果、前述の凝集物の形成が、ポリオルガノシルセスキオキサンの表面に存在するシラノール基の、有機ケイ素化合物のアルコキシ基のようなケイ素官能基との反応によることを突き止め、付加反応型ポリオルガノシロキサン組成物の基本組成に、トリオルガノシリル基含有有機ケイ素化合物および/またはオルガノアルコキシシラン化合物で表面処理されたポリオルガノシルセスキオキサンと、特定の炭素官能基およびケイ素官能基を有する有機ケイ素化合物とを組み合わせることによって、課題を解決しうることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明は、
(A)分子中に2個以上のアルケニル基を含有し、23℃における粘度が、0.1〜500Pa・sであるアルケニル基含有ポリオルガノシロキサン 100重量部;
(B)ケイ素原子に結合した水素原子を、分子中に3個以上有するポリオルガノハイドロジェンシロキサン (A)に存在するアルケニル基1個に対するケイ素原子に結合した水素原子の数が、0.5〜5.0になる量;
(C)白金族金属化合物 白金系金属原子を、(A)の量に対して0.1〜1,000重量ppm含有する量;
(D)下記(i)および(ii):
(i):一般式(I):(R1 3Si)aZ (I)
(式中、
R1は、非置換の1価炭化水素基を表し;
aは、1または2であり;
Zは、aが1のとき、水素原子、ヒドロキシル基、置換もしくは非置換アルコキシ基、または非置換もしくは置換アミノ基を表し、aが2のとき、−NH−を表す)
で示されるトリオルガノシリル基含有有機ケイ素化合物;
(ii):一般式(II):R1 bSi(OR2)4-b (II)
(式中、
R1は、前述のとおりであり;
R2は、炭素数1〜4のアルキル基または2−メトキシエチル基を表し;
bは、1または2である)
で示されるオルガノアルコキシシラン化合物
からなる群より選ばれるシリル化剤で表面処理された、平均粒径0.1〜100μmのポリオルガノシルセスキオキサン粉末 0.5〜300重量部;ならびに(E)下記(E1)、(E2)および(E3):
(E1)ケイ素原子に結合した水素原子と、ケイ素原子に結合した下記一般式(II):
【0014】
【化3】
【0015】
で示される側鎖とを有するエステル結合含有有機ケイ素化合物;
(E2)Si(OR3)n基とエポキシ基含有基を有するエポキシ基含有有機ケイ素化合物;
(E3)Si(OR3)n基と脂肪族不飽和炭化水素基を有する不飽和シラン化合物
(上記各式中、Q1は、ケイ素原子とエステル結合の間に2個以上の炭素原子を有する炭素鎖を形成する、直鎖状または分岐状のアルキレン基を表し;Q2は、酸素原子と側鎖のケイ素原子の間に3個以上の炭素原子を有する炭素鎖を形成する、直鎖状または分岐状のアルキレン基を表し;R3は、炭素数1〜3のアルキル基または2−メトキシエチル基を表し;nは、1〜3の整数である)
からなる群より選ばれる、少なくとも1種の有機ケイ素化合物 1〜20重量部を含む接着性ポリオルガノシロキサン組成物に関する。
【0016】
また、本発明は、ポリオルガノシルセスキオキサン粉末を、(A)、および下記(i)および(ii):
(i):一般式(I):(R1 3Si)aZ (I)
で示されるトリオルガノシリル基含有有機ケイ素化合物;
(ii):一般式(II):R1 bSi(OR2)4-b (II)
で示されるオルガノアルコキシシラン化合物
(各式中、R1、a、Z、R2およびbは、前述のとおりである)
からなる群より選ばれるシリル化剤とともに室温で、または加熱しつつ混練する工程;ならびに、その後、前述の(E)を配合してさらに混練する工程を含むことを特徴とする製造方法に関する。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる(A)成分のアルケニル基含有ポリオルガノシロキサンは、本発明の接着性ポリオルガノシロキサン組成物において、ベースポリマーとなる成分である。この(A)成分は、ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に2個以上有し、(B)成分のSi−H結合との付加反応により、網状構造を形成することができるものであれば、どのようなものであってもよい。代表的には、一般式(IV):
(R4)c(R5)dSiO(4-c-d)/2 (IV)
(式中、
R4は、アルケニル基を表し;
R5は、脂肪族不飽和炭素−炭素結合を含まない、非置換または置換の1価の炭化水素基を表し;
cは、1または2であり;
dは0〜2の整数であり、ただし、c+dは2または3である)
で示されるアルケニル基含有シロキサン単位を、分子中に少なくとも2個有するアルケニル基含有ポリオルガノシロキサンである。
【0018】
(A)成分のシロキサン骨格は、直鎖状でも分岐状でもよく、両者を併用しても差支えない。合成および平均重合度の制御が容易なことから、(A)成分は、直鎖状のものが好ましく、硬化後の組成物に優れた機械的性質を与える必要がある場合は、(A)成分全体の40重量%までの範囲で、分岐状のものを併用することがより好ましい。
【0019】
R4としては、ビニル、アリル、3−ブテニル、5−ヘキセニルなどが例示され、合成が容易で、また硬化前の組成物の流動性や、硬化後の組成物の耐熱性を損ねないという点から、ビニル基が最も好ましい。cは、合成が容易なことから、1が好ましい。
【0020】
R5および(A)成分中の他のシロキサン単位のケイ素原子に結合した有機基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシルのようなアルキル基;シクロヘキシルのようなシクロアルキル基;フェニルのようなアリール基;2−フェニルエチル、2−フェニルプロピルのようなアラルキル基;クロロメチル、クロロフェニル、2−シアノエチル、3,3,3−トリフルオロプロピルのような置換炭化水素基が例示される。これらのうち、合成が容易であって、機械的強度および硬化前の流動性などの特性のバランスが優れているという点から、メチル基が最も好ましい。
【0021】
R4は、ポリオルガノシロキサン(A)の分子鎖の末端または途中のいずれに存在してもよく、その両方に存在してもよいが、硬化後の組成物に優れた機械的性質を与えるためには、少なくともその両末端に存在していることが好ましい。
なお、(A)成分のシロキサン骨格は、実質的に直鎖状であるが、若干の分岐が存在してもよい。
【0022】
(A)成分の粘度は、未硬化状態の組成物が、良好な流動性を示して、注型やポッティングの際に優れた作業性を示し、硬化後の組成物が、優れた機械的強度、および適度の弾性と硬さを示すために、23℃における粘度は、0.1〜500Pa・sの範囲である。この粘度範囲は、代表的な(A)成分である、両末端がジメチルビニルシロキサン単位で閉塞され、中間単位がジメチルシロキシ単位からなるポリメチルビニルシロキサンの場合、数平均重合度として80〜2,000に該当する。23℃における粘度の下限は、0.2Pa・sが好ましく、0.3Pa・sがさらに好ましい。上限は、300Pa・sが好ましく、200Pa・sがさらに好ましい。(A)成分は、1種を用いても、2種以上のものを混合して用いても差支えなく、後者の場合、粘度とは、混合されたアルケニル基含有ポリオルガノシロキサンの粘度を意味する。
【0023】
本発明で用いられる(B)成分のポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、分子中に含まれるヒドロシリル基が、(A)成分中のR4との間で付加反応することにより、(A)成分の架橋剤として機能するものである。硬化物を網状化するために、該付加反応に関与するケイ素原子に結合した水素原子を、少なくとも3個有している。このようなポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、代表的には、一般式(V):
(R6)eHfSiO(4-e-f)/2 (V)
(式中、
R6は、脂肪族不飽和炭素−炭素結合を含まない、非置換または置換の1価の炭化水素基を表し;
eは、0〜2の整数であり;
fは、1または2であり、ただし、e+fは1〜3の整数である)
で示される単位を分子中に少なくとも3個有する。
【0024】
R6および(B)成分中の他のシロキサン単位のケイ素原子に結合した有機基としては、前述の(A)成分におけるR5と同様のものが例示され、それらの中でも、合成が容易な点から、メチル基が最も好ましい。また、合成が容易なことから、fは1が好ましい。
【0025】
(B)成分におけるシロキサン骨格は、直鎖状、分岐状または環状のいずれであってもよい。また、これらの混合物を用いてもよい。
【0026】
(B)成分の重合度は特に限定されないが、同一のケイ素原子に2個以上の水素原子が結合したポリオルガノハイドロジェンシロキサンは合成が困難なので、3個以上のシロキサン単位からなることが好ましく、硬化温度に加熱しても発揮せず、かつ流動性に優れて(A)成分と混合しやすいことから、シロキサン単位の数は、6〜200個がさらに好ましく、10〜150個が特に好ましい。
【0027】
(B)成分の配合量は、充分な接着力が得られ、また硬化して得られるシリコーンゴムが優れた機械的性質を有することから、(A)成分中のアルケニル基に対する(B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子の比(H/Vi)が、0.5〜5.0、好ましくは1.0〜3.0となるような量である。H/Viが0.5未満では、優れた機械的強度を有するゴム状弾性体が得られず、5.0を越えると、硬化の際に発泡する。
【0028】
本発明で用いられる(C)成分の白金系触媒は、(A)成分中のアルケニル基と(B)成分中のヒドロシリル基との間の付加反応を促進させ、また同様の付加反応によって、架橋重合体のシロキサン網状骨格に、(E1)および/または(E3)成分を導入するための触媒である。
【0029】
白金族金属化合物としては、白金、ロジウム、パラジウムのような白金族金属原子の化合物が用いられ、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコールの反応生成物、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体、白金−ケトン錯体、白金−ホスフィン錯体のような白金化合物;ロジウム−ホスフィン錯体、ロジウム−スルフィド錯体のようなロジウム化合物;パラジウム−ホスフィン錯体のようなパラジウム化合物などが例示される。
【0030】
これらのうち、触媒活性が良好な点から、塩化白金酸とアルコールの反応生成物、および白金−ビニルシロキサン錯体が好ましく、短時間に硬化して接着性を発現する必要がある場合には、白金−1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサン錯体が特に好ましい。しかし、必要な硬化速度は、接着性シリコーンゴムを設ける部位の形状や、それに伴って必要な作業時間によっても異なるので、(C)成分と硬化遅延剤との組合せで、任意に選択することができる。
【0031】
(C)成分の配合量は、優れた硬化速度が得られることから、(A)成分の量に対して、白金族金属原子換算で通常0.1〜1,000重量ppmであり、好ましくは0.5〜200重量ppmである。
【0032】
本発明に用いられる(D)成分は、ポリオルガノシルセスキオキサン粉末を、トリオルガノシリル基含有有機ケイ素化合物およびオルガノアルコキシシランからなる群から選ばれるシリル化剤で表面処理したものである。ポリオルガノシルセスキオキサン粉末は、未硬化状態の組成物の見掛け粘度を下げるとともに、比重が低いゴム状弾性体を与える充填剤である。該ポリオルガノシルセスキオキサン粉末は、ケイ素原子に結合した1個の有機基を有するシルセスキオキサン単位からなる樹脂であり、その表面には、上記有機基のほか、シラノール基およびアルコキシ基が存在する。有機基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルなどの直鎖状または分岐状のアルキル基;フェニル基のような1価の炭化水素基が例示され、合成が容易で、任意の平均粒径のもの、特に真球状のものを制御よく得られることから、メチル基が好ましい。平均粒径は、0.1〜100μmの範囲であり、0.5〜50μmが好ましい。平均粒径が0.1μm未満のものは、必要量の(D)成分を充填するのが困難であり、100μmを越えると、硬化して得られるゴム状弾性体の表面が粗くなるうえ、充分な補強効果が得られない。粉末の形状は、真球状でも、その他の形状でもよいが、ポリメチルシルセスキオキサンは、単分散で真球状の粉末として得ることができ、そのような真球状粉末は、毛細管や細い間隙への組成物の充填性が著しく優れる点で、特に好ましい。興味深いことに、このようにシリル化剤で表面処置されたポリオルガノシルセスキオキサン粉末、特に真球状のものは、他のシリカ系充填剤と比較して上記の充填性がきわめて優れているうえに、充填剤を配合しない系に比べても、上記の充填性が優れていることが見出された。
【0033】
ポリオルガノシルセスキオキサン粉末の表面を処理するのに用いられるシリル化剤は、上記粉末の表面に存在するシラノール基をシリル化することにより、該シラノール基と後述の(E)成分のアルコキシ基との反応による凝集物の形成を未然に防止する。
【0034】
シリル化剤として用いられるトリオルガノシリル基含有有機ケイ素化合物は、一般式(I):(R1 3Si)aZ (I)
(式中、
R1は、非置換の1価炭化水素基を表し;
aは、1または2であり;
Zは、aが1のとき、水素原子、ヒドロキシル基、置換もしくは非置換アルコキシ基、または非置換もしくは置換アミノ基を表し、aが2のとき、−NH−を表す)
で示される。
【0035】
R1としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、オクタデシルのような直鎖状または分岐状のアルキル基;シクロヘキシルのようなシクロアルキル基;フェニルのようなアリール基;2−フェニルエチル、2−フェニルプロピルのようなアラルキル基などが例示され、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。有機ケイ素化合物の合成および取扱いが容易なことから、メチル基が好ましい。
【0036】
Zとしては、水素原子;ヒドロキシ基;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、2−メトキシエトキシのような非置換もしくは置換アルコキシ基;アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、ブチルアミノ、ジメチルアミノのような非置換もしくは置換アミノ基などの1価の基;ならびに−NH−が例示され、反応性が高いことから、ヒドロキシ基;メトキシ、エトキシのような低級アルコキシ基;および−NH−が好ましく、高い反応性とともに取扱いが容易なことから、メトキシ基および−NH−が特に好ましい。特に好ましいトリオルガノシリル基含有有機ケイ素化合物としては、トリメチルメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザンなどを挙げることができる。ヘキサメチルジシランは、室温ないし比較的低い加熱温度で、高い処理効果が得られることから、特に好ましい。
【0037】
本発明においては、ポリオルガノシルセスキオキサン粉末の表面を処理するためのシリル化剤として、上記トリオルガノシリル基含有有機ケイ素化合物のほかに、2個または3個のアルコキシ基を有するオルガノアルコキシシラン化合物を用いることができる。この場合、ポリオルガノシルセスキオキサン粉末表面のシラノール基は、表面処理によりアルコーリシスされて、シリル化剤のケイ素原子に結合した剰余のアルコキシ基が残る。そのようなオルガノアルコキシシラン化合物は、一般式(II):R1 bSi(OR2)4-b (II)
(式中、
R1は、前述のとおりであり;
R2は、炭素数1〜4のアルキル基または2−メトキシエチル基を表し;
bは、1または2である)
で示される。
【0038】
アルコキシシラン化合物のR1としては、メチル、エチル、プロピル、ブチルのような直鎖状または分岐状のアルキル基;フェニルのようなアリール基などが例示され、合成が容易で、反応性が優れることから、メチル基が好ましい。R2としては、メチル、エチル、プロピル、2−メトキシエチルなどが例示され、反応性が優れることから、メチル基が特に好ましい。好ましいアルコキシシラン化合物としては、ジメチルジメトキシシランおよびメチルトリメトキシシランを挙げることができる。
【0039】
表面処理は、後述のような組成物の調製工程におけるインプロセス処理を例外として、たとえばポリオルガノシルセスキオキサン粉末を流動状態に保持した系に、シリル化剤を導入して、室温〜150℃の温度で処理することにより、行うことができる。
【0040】
(D)成分の配合量は、硬化して得られるゴム状弾性体に必要な機械的性質を与えるために、(A)成分100重量部に対して0.5〜300重量部、好ましくは5〜100重量部である。0.5重量部未満では、毛細管や細い間隙への充填性を上げる効果が少なく、そのうえ、充分な補強効果が得られない。一方、300重量部を越えると、系に配合しにくいうえ、組成物の見掛け粘度が上昇して、作業性、特に充填性が悪くなる。さらに、硬化して得られるゴム状弾性体の弾性および機械的性質が低下する。
【0041】
本発明に用いられる(E)成分は、本発明の組成物に接着性を付与する成分である。なお、(E)成分としては、下記の(E1)〜(E3)のうち少なくとも1種を用いる。各種の被着体に対する接着性を付与するために、2種以上を併用することが好ましい。優れた接着性を付与するには、(E1)を用いるか、(E1)と(E2)を併用することが特に好ましい。
【0042】
(E1)は、組成物の硬化のための付加反応の際に、(A)成分との付加反応によって、架橋したシロキサン構造に導入され、式(I)の側鎖が接着性を発揮する部分として、組成物の接着性に寄与する成分である。また、(E1)の側鎖に存在するアルコキシ基は、(E2)および/または(E3)のアルコキシ基との共加水分解・縮合反応により、(E2)および/または(E3)をシロキサン骨格に導入するにも寄与する。
【0043】
該(E1)は、ケイ素原子に結合した水素原子と、ケイ素原子に結合した下記式(III):
【0044】
【化4】
【0045】
(式中、Q1、Q2およびR3は、それぞれ前述のとおりである)
で示される側鎖とを有する有機ケイ素化合物である。Q1としては、エチレン、トリメチレン、2−メチルエチレン、テトラメチレンなどのアルキレン基が例示され、合成および取扱いが容易なことから、エチレン基および2−メチルエチレン基が好ましい。Q2としては、トリメチレン、2−メチルトリメチレン、テトラメチレンなどのアルキレン基が例示され、合成および取扱いが容易なことから、トリメチレン基が好ましい。R3としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルなどのアルキル基;および2−メトキシエトキシ基が例示され、良好な接着性を与え、かつ加水分解によって生じるアルコールが揮発しやすいことから、メチル基およびエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0046】
(E1)の特徴である上記の水素原子と上記の側鎖とは、合成が容易なことから、別個のケイ素原子に結合していることが好ましい。したがって、(E1)の基本部分は、鎖状、分岐状または環状シロキサン骨格を形成していることが好ましく、特定の化合物を制御よく合成し、精製しうることから、環状シロキサン骨格がさらに好ましい。(E1)に含まれるSi−H結合の数は、1個以上の任意の数であり、環状シロキサン化合物の場合、2個または3個が好ましい。
【0047】
このような(E1)としては、下記の化合物ならびにその異性体および同族体が例示され、1種を単独で用いても、2種以上を併用しても差支えない。
【0048】
【化5】
【0049】
(E2)は、ケイ素原子に結合したアルコキシ基(以下、OR3に関しては、2−メトキシエトキシ基を包含する)の加水分解によって生じたシラノール基と、(B)成分のヒドロシリル基との反応か、あるいは該アルコキシ基と、併用する(E1)および/または(E3)のケイ素原子に結合したアルコキシ基との共加水分解・縮合反応によって、架橋したシロキサン構造に導入され、エポキシ基が接着性を発揮する部分として、組成物の接着性、特にプラスチックに対する接着性の向上に寄与する成分である。
【0050】
該(E2)は、Si(OR3)n基とエポキシ基含有基を有する有機ケイ素化合物(式中、R3およびnは、前述のとおり)である。R3としては、(E1)の場合と同様な基が例示され、良好な接着性を与えることから、メチル基およびエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。エポキシ基含有基としては、合成が容易で、加水分解性がなく、優れた接着性を示すことから、3−グリシドキシプロピル基のような、エーテル酸素原子を含む脂肪族エポキシ基含有基;2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基のような脂環式エポキシ基含有基などが好ましい。ケイ素原子に結合したアルコキシ基の数は、分子中2個以上であることが好ましい。OR3基とエポキシ基含有基とは、同一のケイ素原子に結合していてもよく、別のケイ素原子に結合していてもよい。
【0051】
このような(E2)としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピル(メチル)ジメトキシシランのような3−グリシドキシプロピル基含有アルコキシシラン類;2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(メチル)ジメトキシシランのような2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基含有アルコキシシラン類;nが2以上のこれらシラン類の部分加水分解縮合物;ならびに鎖状または環状メチルシロキサンのメチル基の一部が、トリメトキシシロキシ基または2−(トリメトキシシリル)エチル基と、上記のエポキシ基含有基とで置き換えられた炭素/ケイ素両官能性シロキサンなどが例示され、1種を単独で用いても、2種以上を併用しても差支えない。
【0052】
(E3)は、ケイ素原子に結合したアルコキシ基と、(E1)および/または(E2)分子のケイ素原子に結合したアルコキシ基との加水分解・縮合反応によって、架橋したシロキサン構造に導入され、または該(E3)の有する脂肪族不飽和炭化水素基が、組成物の硬化のための付加反応の際に、(B)成分との付加反応によって、架橋したシロキサン構造に導入されて、アルコキシ基が他の(E3)のアルコキシ基、および(E2)と併用する場合は、(E2)のアルコキシ基との共加水分解・縮合反応によって、他の(E3)および/または(E2)をシロキサン構造に導入する。そして、残存するアルコキシ基が、接着性を発揮する部分として、組成物の接着性、特に金属に対する接着性の向上に寄与する成分である。
【0053】
該(E3)は、Si(OR3)n基と脂肪族不飽和炭化水素基を有するシラン化合物(式中、R3およびnは、前述のとおり)である。R3としては、(E1)の場合と同様な基が例示され、良好な接着性を与えることから、メチル基およびエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。nは、2または3が好ましい。脂肪族不飽和炭化水素基は、ビニル、アリル、3−ブテニルのようなアルケニル基の場合、ケイ素原子に直接結合していてもよく、3−アクリロキシプロピル、3−メタクリロキシプロピルのように、不飽和アシロキシ基が3個以上の炭素原子を介してケイ素原子に結合していてもよい。不飽和炭化水素基含有基としては、合成および取扱いが容易なことから、ビニル基、メタクリロキシプロピル基などが好ましい。
【0054】
このような(E3)としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、メチルビニルジメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、メチルアリルジメトキシシランのようなアルケニルアルコキシシラン類;3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピル(メチル)ジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピル(メチル)ジメトキシシランのような(メタ)アクリロキシプロピルアルコキシシラン類などが例示され、1種を単独で用いても、2種以上を併用しても差支えない。
【0055】
(E)成分の配合量は、(A)成分100重量部に対して1〜20重量部の範囲であり、2〜15重量部が好ましい。(E)成分が1重量部未満では、接着性が充分でなく、20重量部を越えると、(A)成分と(B)成分の間の付加反応による架橋の密度が減少して、硬化によって得られた接着層の機械的強度が減少するばかりではなく、200℃以上の高温にさらされると、接着層に残存するアルコキシ基の縮合反応による架橋が進行して、硬さが上昇し、伸びが低下して、接着層が破壊される。
【0056】
本発明の組成物に、(C)成分の触媒能を阻害しない範囲で、さらに他の接着性付与剤を併用しても差支えない。そのような接着性付与剤としては、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリプロポキシド、アルミニウムトリブトキシドのようなアルミニウムアルコキシド;チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、チタンテトライソブトキシド、チタンテトライソプロペニルオキシドのようなチタンアルコキシド;ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラブトキシドのようなジルコニウムアルコキシドなどが例示される。このような金属アルコキシド類の併用により、さらに接着強さを高めることができる。金属アルコキシドの配合量は、(A)成分100重量部に対して0.2〜5重量部が好ましい。
【0057】
本発明の組成物に、場合によっては配合してもよい接着性付与剤として、マレイン酸ジアリルのような分子中に極性基を含む有機化合物を挙げることができる。この種の接着性付与剤は、組成物の硬化反応速度を抑制して、取扱いの作業性、および接着性の発現と硬化速度とのバランスの向上にも寄与する。硬化抑制剤としては、上記のほか、アセチレンアルコール類やその誘導体のような、不飽和を含む既知の化合物を用いることができる。
【0058】
本発明の組成物に、本発明の特徴を損なわない範囲で、(D)成分のほかに無機質充填剤を配合することができる。このような無機質充填剤としては、煙霧質シリカ、焼成シリカ、シリカエアロゲル、沈殿シリカ、煙霧質酸化チタン、およびこれらの表面をポリオルガノシロキサン類、ヘキサメチルジシラザンなどで疎水化したもののような補強性充填剤;ならびにけいそう土、粉砕石英、溶融石英、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、アルミノケイ酸、炭酸カルシウム、有機酸表面処理炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、ケイ酸カルシウム、タルク、酸化第二鉄のような非補強性充填剤が例示され、硬化して得られるゴム状弾性体に必要な物性に応じて選択される。また、目的に応じてカーボンブラックのような導電性充填剤を配合してもよい。これらの充填剤は、平均粒径が50μm以下であることが好ましい。
【0059】
さらに、本発明の組成物には、目的に応じて、顔料、押出し作業性を改良するための粘度調整剤、防かび剤、耐熱性向上剤、難燃化剤など、各種の添加剤を加えてもよい。また、用途によっては、本発明の組成物を、トルエン、キシレンのような有機溶媒に溶解ないし分散させて用いてもよい。
【0060】
本発明の組成物は、(A)〜(E)成分、およびさらに必要に応じて配合される他の成分を、万能混練機、ニーダーなどの混合手段によって均一に混練して調製することができる。また、安定に長期間貯蔵するために、(B)成分と(E)成分に対して(C)成分が別の容器になるように、適宜、2個の容器に配分して保存しておき、使用直前に混合し、減圧で脱泡して使用に供してもよい。
【0061】
(D)成分に関しては、ポリオルガノシルセスキオキサン粉末を、シリル化剤であらかじめ表面処理したものを、上記の配合に供してもよい。さらに、本発明の組成物を調製するためには、下記の方法によることが望ましい。すなわち、(A)成分およびポリオルガノシルセスキオキサン粉末を含む系に、前述のシリル化剤を添加し室温で、または加熱しつつ混練することにより、該ポリオルガノシルセスキオキサンの表面をシリル化して、より完全で均質な表面処理を行うことができ、そのようなシリル化の後、(E)成分、(B)成分などを配合する。この方法によれば、ポリオルガノシルセスキオキサン粉末をシリル化剤であらかじめ表面処理したものを用いる方法に比べて、見掛け粘度がより低くて流動性に富み、チキソトロピー性がより少ない組成物を調製することができる。シリル化剤を添加しての混練は、シリル化剤の種類に応じて、室温〜150℃、好ましくは50〜100℃で30分〜2時間行えばよく、効果的に処理を行うために、アミン塩のような触媒を添加して反応を行うことが好ましい。触媒としては、ジイソプロピルアミン、ジイソブチルアミンなどの第二級アミンのギ酸塩などが例示される。このような触媒は、反応終了後、温度100〜150℃に加熱して分解させ、系外に留出させることが好ましい。
【0062】
本発明のポリオルガノシロキサン組成物を、接着、含浸、ポッティング、封止などの処理を行う部位に、注入、滴下、流延、注型、押出し成形などの方法により、またはトランスファー成形や射出成形による一体成形によって、処理対象物に付着させ、加熱して硬化させることにより、被着体に優れた接着性を示すシリコーンゴムを得ることができる。硬化条件は、通常100〜150℃で10分〜2時間である。
【0063】
【実施例】
以下、実施例および比較例によって、本発明をさらに詳細に説明する。これらの例において、部は重量部を示し、粘度は23℃における粘度を示す。本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
【0064】
実施例および比較例に、(A)および(B)成分として、下記のポリシロキサンを用いた。以下、シロキサン単位を、次のような記号で示す。
M 単位: (CH3)3SiO1/2−
Mv単位: (CH3)2(CH2=CH)SiO1/2−
D 単位: −(CH3)2SiO−
DH単位: −(CH3)HSiO−
Dv単位: −(CH3)(CH2=CH)SiO1/2−
Q単位: SiO4/2(4官能性)
A−1:両末端がMv単位で封鎖され、中間単位がD単位からなり、23℃における粘度が0.5Pa・sである直鎖状ポリメチルビニルシロキサン;
A−2:M単位、Mv単位およびQ単位からなり、モル単位比がM5MvQ8で示される分岐状ポリメチルビニルシロキサン;
B−1:両末端がM単位で封鎖され、中間単位が50モル%のDH単位と残余のD単位からなり、23℃における粘度が20mPa・sである直鎖状ポリメチルハイドロジェンシロキサン。
【0065】
実施例および比較例に、(C)成分として、下記の白金−ビニルシロキサン錯体を用いた。
C−1:塩化白金酸をDv 4で示されるシロキサン環状四量体と加熱することによって得られ、白金含有量が2重量%である錯体;
【0066】
比較例に、下記のポリメチルシルセスキオキサン粉末を用いた。
T−1:真球状の単分散ポリメチルシルセスキオキサン粉末、粒径2μm;
T−2:真球状の単分散ポリメチルシルセスキオキサン粉末、粒径0.8μm。
実施例に、下記の表面処理ポリメチルシルセスキオキサン粉末を用いるか、
D−1:T−1をメチルトリメトキシシランにより、温度80℃で処理したもの;
D−2:T−1をヘキサメチルジシラザンにより、室温で処理した後、150℃に加熱して、残存するアンモニアを除去したもの;
または上記ポリメチルシルセスキオキサン粉末T−1もしくはT−2を、(A)およびシリル化剤とともに加熱混練に供した。
【0067】
実施例および比較例に、(E)成分として、下記の有機ケイ素化合物を用いた。
E−1:式:
【0068】
【化6】
【0069】
で示される環状シロキサンの異性体混合物;
E−2:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン;
E−3:ビニルトリエトキシシラン。
【0070】
実施例1、2、比較例1、2
加熱および減圧できる万能混練機に、表1に示す配合により、A−1をとり、(D)成分またはポリメチルシルセスキオキサン粉末を添加して、13.3kPa以下の減圧下に150℃で2時間混練し、40℃以下まで冷却して、C−1を混合した。次に、あらかじめ調製しておいたB−1とE−1の混合物を添加して、10分間すばやく減圧混練することにより、脱泡を行って、ポリオルガノシロキサン組成物を調製し、密封容器に保存した。
【0071】
実施例および比較例の組成物の、組成物の見掛け粘度、チキソトロピー比、接着性、ならびに硬化して得られたシリコーンゴムの機械的性質の評価には、次のような方法を用いた。
(1)見掛け粘度
VDA型回転粘度計(芝浦システム株式会社商品名)を用いて、No.3ローターにより、回転速度30rpmで、23℃における見掛け粘度を測定した。
(2)チキソトロピー比
上記回転粘度計を用いて、No.3ローターにより、回転速度30rpmで測定した23℃における見掛け粘度の、No.3ローターにより、回転速度60rpmで測定した23℃における見掛け粘度に対する比を、チキソトロピー比とした。
(3)凝集物の存在
つぶゲージ(日光理化工業株式会社商品名)を用いて、所定位置に組成物1gを塗布し、深さ100μmから0μmの方向に、速度20mm/minでスクイジングして、つぶが発生する位置の最大深さを測定した。
(4)接着性
実施例および比較例で調製した組成物1gを、スポイトを用いて、各種被着体の試片(80×25×2mm)に滴下し、オーブン中、150℃で1時間加熱して硬化させ、ゴム状の硬化物を得た。その後、硬化物と試片との界面の端にナイフで20mmの切込みを入れ、破断するまで、上90°の方向に硬化物を引張って、破断状況によって接着性を評価した。被着体としては、ガラス、アルミニウムおよびエポキシ樹脂を用いた。
○:硬化物が破断し、試片との接着面の100%に、硬化物が付着している。
△:試片との接着面に、部分的に硬化物が付着し、一部が剥離する。
×:試片から硬化物が剥離し、接着面への硬化物の付着がない。
(5)物理的・機械的性質
150℃で1時間加熱して硬化させることにより作製した、所定の厚さのシートを用いて、JIS K6249により、比重、硬さ(タイプAデュロメータ)、引張強さおよび切断時伸びの測定を行った。
【0072】
評価結果を、表1に示す。
【0073】
【表1】
【0074】
実施例3〜9、比較例3
加熱および減圧できる万能混練機に、表2に示す配合により、A−1(実施例5では、さらにA−2)をとり、ポリメチルシルセスキオキサン粉末およびシリル化剤をそれぞれ添加して、80℃(ただし、実施例4は室温)で2時間混練し、続けてさらに13.3kPa以下の減圧下に150℃で2時間混練した後、40℃以下まで冷却して、C−1を混合した。次に、あらかじめ調製しておいたB−1とE−1の混合物を添加して、10分間すばやく減圧混練することにより、脱泡を行って、ポリオルガノシロキサン組成物を調製し、密封容器に保存した。
【0075】
前述と同様の方法によって、組成物および硬化して得られたシリコーンゴムの評価を行った。その結果を、表2に示す。
【0076】
【表2】
【0077】
表1および表2から明らかなように、実施例の組成物は、未硬化状態で低い見掛け粘度を示した。そしてこのことは、組成物を調製する際に、(A)成分とポリメチルシルセスキオキサン粉末を混練する工程においてシリル化剤を添加して加熱混練する工程の後に、(E)成分を配合する方法を用いた場合に、特に顕著であった。また、充填剤として用いられる表面処理ポリメチルシルセスキオキサン粉末の分散性が優れ、組成物中に凝集物を生じることなく、接着性および硬化によって得られるシリコーンゴムの物性も優れていた。それに対して、非処理ポリメチルシルセスキオキサンを用いた比較例1および2では凝集物を生じ、見掛け粘度およびチキソトロピー比が上昇し、引張強さと切断時伸びが劣っていた。また、(E)成分を用いない比較例3では、ガラス以外の被着体に対する優れた接着性が得られなかった。
【0078】
【発明の効果】
本発明によって、未硬化状態では低い粘度を示し、凝集物がなく、保存中に充填剤の沈降や分離がなく、毛細管や細い間隙への優れた充填性を示し、しかも短時間の加熱で硬化し、硬化の際に優れた接着性を示し、かつ、硬化して低い比重のシリコーンゴムを与えるポリオルガノシロキサン組成物;およびその製造方法が得られる。本発明によって得られるポリオルガノシロキサン組成物は、その接着性と高い流動性を生かして、各種電子機器などの絶縁のための含浸剤、ポッティング材、封止剤などにきわめて有用であり、特に細い間隙、毛細管、細孔などに充填して用いる際に有効である。
Claims (10)
- (A)分子中に2個以上のアルケニル基を含有し、23℃における粘度が、0.1〜500Pa・sであるアルケニル基含有ポリオルガノシロキサン 100重量部;
(B)ケイ素原子に結合した水素原子を、分子中に3個以上有するポリオルガノハイドロジェンシロキサン (A)に存在するアルケニル基1個に対するケイ素原子に結合した水素原子の数が、0.5〜5.0になる量;
(C)白金族金属化合物 白金系金属原子を、(A)の量に対して0.1〜1,000重量ppm含有する量;
(D)下記(i)および(ii):
(i):一般式(I):(R1 3Si)aZ (I)
(式中、
R1は、非置換の1価炭化水素基を表し;
aは、1または2であり;
Zは、aが1のとき、水素原子、ヒドロキシル基、置換もしくは非置換アルコキシ基、または非置換もしくは置換アミノ基を表し、aが2のとき、−NH−を表す)
で示されるトリオルガノシリル基含有有機ケイ素化合物;
(ii):一般式(II):R1 bSi(OR2)4-b (II)
(式中、
R1は、前述のとおりであり;
R2は、炭素数1〜4のアルキル基または2−メトキシエチル基を表し;
bは、1または2である)
で示されるオルガノアルコキシシラン化合物
からなる群より選ばれるシリル化剤で表面処理された、平均粒径0.1〜100μmのポリオルガノシルセスキオキサン粉末 5〜100重量部;ならびに
(E)下記(E1)、(E2)および(E3):
(E1)ケイ素原子に結合した水素原子と、ケイ素原子に結合した下記一般式(II):
(E2)Si(OR3)n基とエポキシ基含有基を有するエポキシ基含有有機ケイ素化合物;
(E3)Si(OR3)n基と脂肪族不飽和炭化水素基を有する不飽和シラン化合物
(上記各式中、Q1は、ケイ素原子とエステル結合の間に2個以上の炭素原子を有する炭素鎖を形成する、直鎖状または分岐状のアルキレン基を表し;Q2は、酸素原子と側鎖のケイ素原子の間に3個以上の炭素原子を有する炭素鎖を形成する、直鎖状または分岐状のアルキレン基を表し;R3は、炭素数1〜3のアルキル基または2−メトキシエチル基を表し;nは、1〜3の整数である)
からなる群より選ばれる、少なくとも1種の有機ケイ素化合物 1〜20重量部
を含む接着性ポリオルガノシロキサン組成物。 - (A)の23℃における粘度が、0.2〜300Pa・sである、請求項1記載のポリオルガノシロキサン組成物。
- (A)のアルケニル基が、ビニル基である、請求項1または2記載のポリオルガノシロキサン組成物。
- (D)のシリル化剤が、
(ii):一般式(II):R 1 b Si(OR 2 ) 4-b (II)
(式中、R 1 、R 2 およびbは、請求項1で定義されたとおりである)
で示されるオルガノアルコキシシラン化合物である、請求項1〜3のいずれか1項記載のポリオルガノシロキサン組成物。 - (D)が、表面処理された真球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末である、請求項1〜4のいずれか1項記載のポリオルガノシロキサン組成物。
- 請求項1〜5のいずれか1項記載のポリオルガノシロキサン組成物の製造方法であって、ポリオルガノシルセスキオキサン粉末を、(A)、および下記(i)および(ii):
(i):一般式(I):(R1 3Si)aZ (I)
で示されるトリオルガノシリル基含有有機ケイ素化合物;
(ii):一般式(II):R1 bSi(OR2)4-b (II)
で示されるオルガノアルコキシシラン化合物
(各式中、R1、a、Z、R2およびbは、請求項1で定義されたとおりである)
からなる群より選ばれるシリル化剤とともに室温で、または加熱しつつ混練する工程;ならびに、その後、(E)を配合してさらに混練する工程を含むことを特徴とする製造方法。 - シリル化剤が、ヘキサメチルジシラザンである、請求項6記載の製造方法。
- シリル化剤が、メチルトリメトキシシランである、請求項6記載の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項記載のポリオルガノシロキサン組成物を用いたポッティング材。
- 請求項1〜5のいずれか1項記載のポリオルガノシロキサン組成物を用いた封止剤。
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