次に添付図面を参照して本発明による固体撮像装置の実施例を詳細に説明する。図1は、本発明の固体撮像装置の実施例の構成を表すブロック図である。図1において、固体撮像装置1は、操作部3、制御部5、時間測定部7、タイミング発生部9、撮像駆動部11、固体撮像素子13、光学系駆動部15、光学系17、前処理部19、信号処理部21、表示部23、および記録メディア部25を含んでおり、被写界からの入射光を基にしてディジタル画像信号を形成する装置である。より具体的に説明すると、固体撮像素子13は図2に示すように複数の受光素子27を含んでおり、受光素子27が被写界からの入射光を、光学系17を介して取り込むことで信号電荷を生成する。固体撮像装置1は、操作部3で操作されることにより、制御部3、タイミング発生部9および撮像駆動部11を制御して、受光素子27が生成した信号電荷を読み出してアナログ電気信号として取り出す。その後、このアナログ電気信号を前処理部19および信号処理部21で処理してディジタル画像信号を形成する。形成されたディジタル画像信号は表示部23に表示、または記録メディア部25に記録される。なお、本発明の理解に直接関係のない部分は、図示を省略し冗長な説明を避ける。また以下の説明において各信号はその現れる接続線の参照番号で特定する。
操作部3は、操作者の指示が入力される手操作装置であり、操作者の手操作状態、例えば図示しないシャッタボタンのストローク操作に応じて、操作信号31を制御部5に供給する部分である。制御部5は、操作部3から供給される操作信号31に応動して、個体撮像装置1全体の動作を制御、統括する部分であり、本実施例では、時間測定部7、光学系駆動部15、タイミング発生部9、信号処理部21、および記録メディア部25と接続し、これらに必要な処理を行わせる制御信号33、35、37、39、41を供給する。例えば制御部5は、操作部3からの操作信号31に応じて、固体撮像素子13が含む受光素子27のうち、信号電荷を読み出す受光素子27を指定し、この指定した受光素子27を固体撮像素子13において特定するためのタイミング信号43を形成するようタイミング発生部9に制御信号37を送信する。
時間測定部7は、例えばタイマー等の時間を測定する部分であり、制御部5により制御される。なお本実施例では、時間測定部7は制御部5と別に設けられているが、本発明はこれに限定するわけではなく、例えば時間測定部7を制御部5内に設けることも可能である。
光学系駆動部15は、制御部5により制御されて後段の光学系17を駆動する駆動信号47を形成する部分である。本実施例では、制御部5は、操作部3からの操作信号31により光学系駆動部15を制御する制御信号35を形成し、これにより光学系駆動部15が光学系17を駆動する駆動信号47を形成する。光学系17は、具体的な構成を図示しないが、レンズ、絞り調整機構、シャッタ機構、ズーム機構、自動焦点 (Automatic Focus : AF) 調整機構、および自動露出 (Automatic Exposure : AE) 調整機構を含んでいる。なお、赤外線 (Infrared Rays : IR) カットフィルタや光学ローパスフィルタ (Low Pass Filter : LPF) を含むことも可能である。また光学系17は、光学系駆動部15からの駆動信号47により制御される。例えば本実施例では、光学系17は、光学駆動部15からの駆動信号47により、レンズ、自動焦点調整機構、自動露出調整機構が駆動して、所望の被写界像を取り込んで固体撮像素子13に入射する。
タイミング発生部9は、制御部5により制御され、制御部5からの制御信号37に応動してタイミング信号43、49、51を形成する部分である。形成されたタイミング信号43、49、51は、撮像駆動部11、前処理部19、信号処理部21へそれぞれ供給される。なお、どのようなタイミング信号を形成し、どこへ供給するかは制御部5の制御信号37により決定される。例えば、撮像駆動部11へは、制御部5が指定した受光素子27を固体撮像素子13において特定するためのタイミング信号43、すなわち制御部5が指定した受光素子27の、固体撮像素子13における位置を示すタイミング信号43を供給する。
撮像駆動部11は、タイミング発生部9からのタイミング信号43に応動して、タイミング信号43が示す位置の受光素子27から信号電荷を読み出すための読み出し信号53を形成する部分である。形成された読み出し信号53は固体撮像素子13へと供給される。固体撮像素子13は、光学系17を介して入射された入射光により受光素子27に生成された信号電荷を、撮像駆動部11からの読み出し信号53に応じてアナログ電気信号55に光電変換する、すなわち撮像する部分である。本実施例では固体撮像素子13に、光電結合素子(Charge Coupled Device : CCD) を採用している。アナログ電気信号55は前処理部19へと供給される。
前処理部19は、タイミング発生部9のタイミング信号49に応動してアナログ電気信号55におけるノイズを低減したり、アナログ電気信号55のゲインを調整したり、アナログ・デジタル変換を行う部分であり、アナログ電気信号55を処理してディジタル画像信号57を形成する部分である。前処理部19で処理されたディジタル画像信号57は信号処理部21へ供給される。信号処理部21は、制御部5の制御信号39、およびタイミング発生部9のタイミング信号51に応動して、ディジタル画像信号57を後段の表示部23に表示するための信号59や、また後段の記録メディア部25で記録するための信号61に処理する部分である。表示部23は、例えばディスプレイ等の表示装置を含んでおり、信号処理部21から供給される信号59を表示する。また記録メディア部25は、例えばメモリ等を含んでおり、信号処理部21から供給された信号61をメモリに記憶する。
以上のような構成の固体撮像装置1には、固体撮像素子13を含み被写界像を撮像することが可能な装置が該当し、例えば、電子スチルカメラ、画像入力装置、ムービーカメラ、カメラが設けられた携帯電話、または、被写体を撮像してシールに印刷する装置等が挙げられるが、本発明はこれらに限定するわけではない。また本発明では、各部の構成を本実施例に限定するわけではなく、固体撮像装置1に応じて任意の構成を採用する事が可能である。
固体撮像装置1には、少なくとも記録モードと、予備的モードが存在する。記録モードとは、ディジタル画像信号57を操作部3からの操作信号31により記録メディア部25に記録するモードである。また、予備的モードとは、ディジタル画像信号57を記録メディア部25に記録せず、例えば表示部23に表示するためや、光学系17を制御するために用いるモードである。例えば、被写界像を動画として表示部23に表示する動画表示モードや、自動的に焦点を合わせる自動焦点調整モードや、自動的に露出する自動露出調整モード等が挙げられる。
このような予備的モードで駆動する場合は、固体撮像装置1の電源をオンにした際や、記録モードで駆動する前等であることが多く、本実施例では操作部3に設けられた固体撮像装置1をオンにするボタン(図示せず)を押すことにより動画表示モードでの駆動となり、また、操作部3に設けられたシャッタボタンを半分押すことにより自動焦点調節モードや自動露出調節モードでの駆動となる。なお本実施例に限定するわけではなく、任意のやり方を採用して各モードでの駆動を開始することが可能である。固体撮像装置1では、撮像モード、および予備的撮像モードのどちらで駆動する場合も、図2に示すように受光素子27から信号電荷を読み出す処理が行われる。
図2は、図1における固体撮像素子13の正面、すなわち撮像面を示した概念図である。なお図2において、図1と同じ参照番号は同様の構成を示す。固体撮像素子13は、図2に示すように2次元マトリックス状に配置された受光素子27と、この受光素子27で発生した信号電荷の読み出しを制御する、図示しないトランスファーゲートと、この受光素子27のそれぞれの垂直方向、すなわち列とそれぞれ接続し、受光素子27に発生した電荷を垂直方向に転送する垂直転送CCD 67と、受光素子27の水平方向と、すなわち、行と平行するように設けられ、垂直転送CCD 67からの電荷を水平方向に転送する水平転送CCD 69と、水平転送CCD 69の左端に設けられた出力回路71とを含んでいる。受光素子27、垂直転送CCD 67、および水平転送CCD 69により、撮像画面の1画面を形成する撮像面が構成されている。
被写界からの入射光は、図1に示す光学系17を介して受光素子27へ入射され、この入射光によって受光素子27で信号電荷が生成される。生成された信号電荷は、撮像駆動部11からの読み出し信号53に応じてトランスファーゲートがオンとなることで垂直転送CCD 67に転送される。転送された電荷は、垂直転送CCD 67で垂直方向に転送されて水平転送CCD 69へと転送され、水平転送CCD 69で水平方向に転送されて出力回路71へと送られ、出力回路71からアナログ電気信号55として出力される。なお本発明は、固体撮像素子13を本実施例に限定するわけではなく、固体撮像装置1に合わせて任意の固体撮像素子13を採用することが可能である。
固体撮像装置1を記録モードで駆動する場合と予備的モードで駆動する場合とで異なる点は、通常、記録モードで駆動する場合には、固体撮像素子13におけるすべての受光素子27から信号電荷が読み出されるのに対し、予備的モードで駆動する場合は、固体撮像素子13における一部の受光素子27から信号電荷が読み出されるという点である。具体的には、記録モードで駆動する場合は、制御部5がすべての受光素子27から信号電荷を読み出すようタイミング発生部9を制御し、タイミング発生部9にすべての受光素子27を特定するタイミング信号を形成させる。これに対し、予備的モードで駆動する場合は、マトリックスの水平方向、すなわち行毎に、マトリックスの垂直方向を間引き、間引いた行に位置する受光素子27から信号電荷を読み出すようタイミング発生部9を制御し、タイミング発生部に間引いた行を特定するタイミング信号を形成させる。
例えば図2に示す例において予備的モードで駆動する場合では、制御部5は、受光素子27を、受光素子27と垂直転送CCDとで構成されるマトリックスの水平方向、すなわち行毎に、このマトリックスの垂直方向、すなわち列を等間隔に間引き、間引いた行に位置する受光素子27から信号電荷を読み出すようタイミング発生部9を制御する。具体的には、制御部9は、マトリックスの垂直方向を第1行から順に4つずつ間引いて、すなわち垂直方向に1/4間引いて、第1行、第5行、図示しない第9行、・・・、を指定し、これらの行に位置する受光素子27をマトリックスにおいて特定するタイミング信号を形成するようタイミング発生部9に制御信号37を供給する。図2においてnは正の整数である。なお間引く間隔は、本実施例に限定するわけではなく、任意の間隔で間引くことが可能である。また間引く際は一定の間隔で間引いた方が、予備的撮像モードの駆動時に表示部に表示される画像が見やすくなるため好ましい。
タイミング発生部9は、制御部5からの制御信号37に応じて第1行、第5行、図示しない第9行、・・・、すなわち、読み出し行を特定するタイミング信号43を形成し、撮像駆動部53はこのタイミング信号43に応動してこれらの行に位置する受光素子27から信号電荷を読み出すための読み出し信号53を形成する。予備的モードでの駆動時において、このように受光素子27を間引くのは、予備的モードで駆動する場合は、被写界像の画像を大まかに得ることができれば十分であること、また、受光素子27から読み出した信号の処理を早く行わなければならないことに起因する。
なお、本実施例では行ごとに受光素子27を間引いているが、本発明はこれに限定するわけではなく、例えば受光素子27毎に間引くことも可能であるし、また列毎に間引くことも可能である。また図2では、間引く単位を1行にしているが、本発明はこれに限定するわけではなく、固体撮像素子13に応じて任意に間引く単位を決定することが可能である。例えば、固体撮像素子13が色フィルタを含む場合では、色フィルタR、G、Bを、すべてを含む行を1行とする必要がある。例えば、受光素子27をマトリックスの列毎に垂直方向に受光素子27をずらした固体撮像素子13の場合では、色フィルタR、G、Bをすべて含む行が2行毎となるため、間引く単位が2行毎になる。なおこれに限定するわけではない。
固体撮像装置1をこのような予備的モードで駆動する場合、常に同じ読み出し行に位置する受光素子27から信号電荷を読み出すようにすると、その行に位置する受光素子27が早く劣化してしまい、空乏化電圧を高く設定しておいても、読み出す回数が増えるにつれて、すなわち、使用する時間が経過するにつれて、早い時期に読み出し不良が生じやすくなって画像が劣化するようになってしまう。そこで本発明では、予備的モードで駆動する場合において、制御部5で指定する行を切り替えるようにする。このようにすることによって、読み出す処理が行われた回数、すなわち読み出す処理が行われた時間が各行で実質的に均一になり、各受光素子27の劣化の状況を実質的に均一にすることが可能になるため、画像に傷等が形成されるまでの期間を長くすることが可能になる。その結果、読み出す処理を何回も行った場合であっても読み出し不良の発生を抑えることが可能になる。以下、図3〜図6を用いて、信号電荷を読み出す行を切り替えることについて詳細に説明する。
図3は、図1に示す固体撮像装置1の制御部5において、信号電荷を読み出す行を切り替える処理手順の一例を示した流れ図である。また図4は、図2に示す固体撮像素子1の撮像面を簡略に示した概念図である。図1、図3において、操作部3に設けられた固体撮像装置1を立ち上げるボタンをオンにすると、予備的撮像モードの一つである被写界像を動画として表示部23に表示する動画表示モードが選択され、この動画表示モードで駆動する旨の操作信号31が制御部5に入力される(ステップS1)。
操作部3に予備的モードで駆動する旨の操作信号31が入力されると、制御部5は、信号電荷を読み出す受光素子27を、行毎にマトリックスにおける垂直方向を間引いて指定する。このとき、指定する行において読み出す処理を行った時間がどれくらいであるかを、時間測定部7が測定した時間により確認する(ステップS2)。本実施例では、制御部5は、今回予備的モードで駆動する一つ前、すなわち直前に予備的モードまたは記録モードで駆動した場合において受光素子を間引くために指定した行が、どれくらいの時間読み出す処理を行ったかを確認する。なお時間測定部7は、この行の読み出す処理を行った時間を測定している。時間測定部7の測定する時間は積算時間であり、固体撮像装置1の電源がオフになってもリセットされない。
例えば今回の予備的モードで駆動する一つ前に予備的モードまたは記録モードで駆動した場合において、受光素子27を間引くために指定した行が、図4に示すように第1行から4つずつ間引いた、第1行、第5行、第9行、・・・、すなわち、第1読み出し行73であった場合は、この第1読み出し行73で読み出す処理を行った時間を時間測定部7で確認する。その結果、事前に定められた時間より少ない場合は、読み出す行を切り替えないと判断し、今回の予備的モードでの駆動においても、そのまま第1読み出し行73に位置する受光素子27から信号電荷を読み出すよう、タイミング発生部を制御し(ステップS3)、切り替える処理を終了する。
一方、第1読み出し行73で事前に定められた時間以上、または事前に定められた時間と実質的に同じ時間、読み出す処理を行っていた場合では、制御部5は、図4に示すように、第2行から4つずつ間引いた、第2行、第6行、第10行、・・・、すなわち、第2読み出し行75を指定し、この第2読み出し行75に位置する受光素子27から信号電荷を読み出すよう、タイミング発生部9を制御する(ステップS4)。つまり、第1読み出し行73から第2読み出し行75へ、電荷を読み出す行を切り替え、今回の予備的モードでの駆動においては、第2読み出し行75に位置する受光素子27から信号電荷を読み出すようにする。
なお、切り替える際は、本実施例のように間引いた間隔において同じ位置に位置する行にする、すなわち、間引くために最初に指定する行をずらし、そこから前回間引いた間隔と同じ間隔で間引いてゆくようにした方が、予備的撮像モードで駆動した際、表示部23に表示される画像を見やすくすることが可能であり、また行を切り替える際に、次に指定する行を容易に特定することが可能になるため好ましいがこれに限定するわけではない。
制御部5は、第1読み出し行73から、第2読み出し行75へ電荷を読み出す行を切り替えると、時間測定部7に測定した測定時間をリセットさせ(ステップS5)、時間測定部7に第2読み出し行75で読み出す処理を行った時間の測定を開始させる。なお本実施例に限定するわけではなく、例えば、時間測定部7にタイマーを複数設け、各読み出し行における時間を各タイマーで測定するようにしてもよい。この場合、制御部5は、時間測定部7に測定時間をリセットさせるのではなく、第1読み出し行73の測定用のタイマーを一時的に停止させ、第2読み出し行75の測定用のタイマーを駆動させる。なおこれに限定するわけではない。リセットが終了すると、制御部5は行を切り替える処理を終了する。
制御部5から指示を受けたタイミング発生部9は、切り替えない場合は第1読み出し行73を特定するためのタイミング信号43を形成し、また切り替える場合は第2読み出し行75を特定するためのタイミング信号43を形成する。形成されたタイミング信号43は撮像駆動部11へと供給され、撮像駆動部11では、供給されたタイミング信号43に応動して、切り替えない場合は第1読み出し行73に位置する受光素子27から信号電荷を読み出すための駆動信号53を形成し、また切り替える場合は第2読み出し行75に位置する受光素子27から信号電荷を読み出すための駆動信号53を形成して、固体撮像素子13へ駆動信号53を供給する。固体撮像素子13では、供給された駆動信号53に応動し、切り替えない場合は第1読み出し行73に位置する受光素子27から信号電荷が読み出されてアナログ電気信号55として出力される。また切り替える場合は第2読み出し行75に位置する受光素子27から信号電荷が読み出されてアナログ電気信号55として出力される。出力されたアナログ電気信号55は、前処理部19でディジタル画像信号57に変換され、信号処理部21を経て表示部23に表示される。なお予備的モードでの駆動であるため、ディジタル画像信号57は、記録メディア部25には記録されない。
以上のようにして固体撮像装置1では、予備的撮像モードで駆動する場合において、信号電荷を読み出す行を切り替える。よって、すべての行が実質的に同じ時間読み出す処理を行うようになり、例えば予備的モードでの駆動において、受光素子27を行毎に垂直方向に1/4間引いて読み出すようにした際、行を固定した場合と比較すると、本実施例では読み出し不良が発生するまでの時間を実質的に4倍長くすることが可能になり、その結果、使用時間が経過しても画像が劣化することを防ぐことが可能になる。また、固体撮像素子13における各受光素子27の劣化の状況を実質的に均一にすることが可能になるため、場合読み出し信号の電圧を高くしなくても長い時間読み出し不良の発生を防ぐことがなくなり、消費電力を抑えることが可能になる。
なお図示しないが、再び固体撮像装置1が立ち上がった際に、第2読み出し行75で所定の時間読み出し処理を行っていた場合では、制御部5は、第3行、第7行、第11行、・・・、すなわち、第3読み出し行を指定し、信号電荷を読み出す行を第3読み出し行へ切り替える。さらに、再び固体撮像装置1が立ち上がった際に、第3読み出し行で所定の時間読み出し処理を行っていた場合では、制御部5は、第4行、第8行、第12行、・・・、すなわち、第4読み出し行を指定し、信号電荷を読み出す行を第4読み出し行へ切り替える。結局、第1読み出し行73、第2読み出し行75、第3読み出し行、第4読み出し行の順に切り替え、第4読み出し行の次は、再び第1読み出し行へと切り替える。切り替える順は本実施例に限定するわけではなく、任意に設定することが可能である。
図5は、図1に示す固体撮像装置1の制御部5において、電荷を読み出す行を切り替える別の処理手順の一例を示した流れ図である。なお図5において、ステップS2〜S5は図3におけるステップS2〜S5と同様の処理であるため説明を省略する。図5に示す例では、記録モードが終了する毎に行を切り替える。このようにすることにより、固体撮像装置1が立ち上がる毎に切り替える場合と比較して、時間的に短い間隔で切り替えるか否かを判断するようになるため、各行において読み出し処理を行った時間を、精度良く均一にする事が可能になる。
図5を用いて詳細に説明すると、固体撮像装置1は、記録モードでの駆動が終了する、すなわち、1こまの静止画像の撮影が終了すると、操作部3から固体撮像装置1の電源をオフにする旨の操作信号31が入力されない限り、次の撮影を行うために予備的撮像モードの一つである動画モードで駆動するようになる。よって、制御部5は、記録モードでの駆動の終了後に固体撮像装置1の電源をオフにする旨の操作信号31が入力されない場合では、予備的モードでの駆動を開始し(ステップS1)、この予備的モードで駆動する場合において指定する行がどれくらいの時間読み出す処理を行っていたかを確認する(ステップS2)。その結果、事前に定められた時間より少ない場合は、読み出す行を切り替えないと判断して行を切り替えず(ステップS3)、切り替える処理を終了する。逆に、指定する行で事前に定められた時間以上、または事前に定められた時間と実質的に同じ時間読み出す処理が行われていた場合は、指定する行を切り替え、切り替えた行に位置する受光素子27から信号電荷を読み出す旨の制御信号37をタイミング発生部9に送信する(ステップS4)。その後、時間測定部7が測定した時間をリセットし(ステップS5)、切り替える処理を終了する。
なお本実施例では、記録モードでの駆動が1回終了する毎に読み出す行を切り替えているが、本発明はこれに限定するわけではなく、何回終了する毎に切り替えるかは任意に設定することが可能である。以上のように記録モードでの駆動が終了する毎に行を切り替えるか否かを判断することによって、固体撮像装置1が立ち上がる毎に判断する場合と比較して判断するまでの間隔が短いため、各行における読み出す処理を行った時間を精度良く均一にする事が可能になる。
なお切り替える処理をどのように行うかについては図3、および図5に示す例に限定するわけではなく、例えば、読み出し処理を行った時間を測定せず、単に固体撮像装置が立ち上がる毎に、または記録モードでの駆動が終了した毎に、行を切り替えるようにすることも可能である。また例えば、図3および図5に示す例を組み合わせて、固体撮像装置が立ち上がる毎に、および、記録モードでの駆動が終了した毎に切り替えるようにすることも可能であり、このようにすることによって、さらに短い間隔で切り替えるか否かを判断するようになるため、各行において読み出し処理を行った時間をより精度良く均一にすることが可能である。また固体撮像装置1に、1つの切り替え方を設定しておくことに限定するわけではなく、例えば、固体撮像装置1が立ち上がる毎、記録モードでの駆動が終了した毎、および立ち上がる毎と記録モードでの駆動が終了した毎の、3つの切り替え方を設定しておき、操作部3の操作により切り替え方を選択するようにすることも可能であり、任意のやり方を採用する事が可能である。なお本発明はこれに限定するわけではない。
図6は、本発明の個体撮像装置の別の実施例の構成を表すブロック図である。図6において、図1と同じ参照番号は同様の構成を示すため説明を省略する。図6において固体撮像装置101は電圧調整部103を含んでいる。電圧調整部103は、撮像駆動部11が形成する読み出し信号53の電圧を調整する部分であり、制御部5の制御信号105により制御されて撮像駆動部11に電圧107を供給する部分である。より具体的に説明すると、図6に示す固体撮像装置101では、受光素子27から信号電荷を読み出す読み出し信号の電圧が、最初から高めに設定されているわけではなく、低めの電圧に設定されている。この電圧は、固体撮像装置101の初期の使用において信号電化を1回の読み出し信号で読み出すことが可能な電圧であり、固体撮像装置101の製造時に設定される。
しかし、読み出し信号53の電圧を低いままにしておく場合では、使用時間が経過して受光素子27が劣化した結果、空乏化電圧が変動すると、完全に読み出すことができなくなる。そこで固体撮像装置101では、時間測定部7が、各行の読み出す処理を行った時間を計測すると共に、固体撮像時間101を使用した時間も計測する。計測する固体撮像装置101を使用した時間、すなわち使用時間は累積時間であり、時間測定部7は固体撮像装置101の電源がオフになっても測定した使用時間をリセットしない。また、制御部5が、この時間測定部7が計測した固体撮像素子101を使用した時間に応じて読み出し信号の電圧を高くするよう、制御信号105を電圧調整部101へ供給する。電圧調整部103はこの制御信号に応じて、電圧107を形成し、撮像駆動部11へと供給する。撮像駆動部11では、供給された電圧107により高い電圧の読み出し信号53を形成し、固体撮像装置13へと供給する。なお、図6に示す例では、時間測定部7が、受光素子27から電荷を読み出す処理を行った時間と、固体撮像装置101を使用した時間の両方を測定しているが、本発明はこれに限定するわけではなく、例えば、受光素子から電荷を読み出す処理を行った時間を測定する時間測定部と、固体撮像装置101を使用した時間を測定する時間測定部の2つの測定部を設け、各時間測定部でそれぞれの時間を測定するようにすることも可能である。
図7は、図6に示す固体撮像装置101において電圧を調整する処理手順の一例を示した流れ図である。図6、図7において時間測定部7は、固体撮像装置101がオンになっている間は、その時間、すなわち固体撮像装置101を使用している時間を測定しており、測定した時間が予め定められたある一定の時間になると、ある一定の時間になったことを制御部5に知らせる(ステップS1)。本実施例では、実質的に1000 時間で2V 電圧が上がるように設定されているため、時間測定部7は固体撮像装置101を使用していた時間が実質的に250時間経過する毎に、制御部5にその旨を知らせる。なお本実施例に限定するわけではなく、どれくらいの使用時間に応じてどれくらい上げるかは任意に設定することが可能である。例えば、本実施例のように1000 時間で2V 電圧が上がるようにする場合では、1000 時間が経過する毎に1V 電圧が上がるように各部を設定することも可能である。なお本発明はこれに限定するわけではない。
制御部5では、時間測定部7からの知らせがあると、読み出し信号53の電圧を上げるために電圧調整部103に制御信号105を供給する(ステップS2)。具体的には、読み出し信号53の電圧を、現在の読み出し信号53の電圧よりも0.5V 高くする旨の制御信号105を供給する。電圧調整部103は制御部5からの制御信号105に応動して、0.5V高い電圧107を形成し、形成した電圧107を撮像駆動部13に供給する(ステップS3)。本実施例では、制御部5からの制御信号105に応じて、撮像駆動部11に0.5V 高くした電圧107を供給する。これに応じて撮像駆動部11では、それまでの電圧よりも0.5V 高い読み出し信号53を形成する。読み出し信号53は固体撮像素子13に供給され、固体撮像素子13では、電圧が0.5V 高い読み出し信号53により信号電荷が読み出されるため、読み出し不良の発生を防ぐことが可能になる。
制御部5は、電圧調整部103に電圧を上げる旨の制御信号105を供給すると、これまで電圧調整部103により上げられてきた電圧の累計が、予め設定された限界値に達するかどうかを判断する(ステップS4)。限界値とは、上げることができる電圧の最大値である。この値は、固体撮像装置101により異なるが、一般的に実質的に2V〜3Vである。ステップS4の判断の結果、これまでに上げてきた電圧の累計が限界値と実質的に同じ、または限界値以上の場合は、制御部5は、時間測定部に時間の測定を止めさせ(ステップS5)、電圧を調整する処理を終了する。一方、小さい場合は時間測定部7が測定している個体撮像装置103の使用時間をリセットし、再び使用時間が250時間になるとステップS1〜S4の処理を行い、上げてきた電圧の累計が限界値になると電圧を上げる処理を終了する。
以上のようにして固体撮像装置101では読み出し信号53の電圧を使用時間に応じて徐々に上げてゆく。よって最初から高い電圧を設定しておく場合と比較して、消費電圧を少なくすることが可能である。時間測定部7で固体撮像装置101の使用時間を測定することにより、電圧を上げるタイミングを特定しているため、最初から高い電圧を設定していなくても読み出し不良が起こることはない。なお本発明は本実施例に限定するわけではなく、例えば、使用時間を測定せずに、画像に傷等が形成された際に操作者が操作部を操作することにより、読み出し信号の電圧を上げるようにすることも可能である。なおこれに限定するわけではない。
図8は、図1および図6に示す固体撮像装置1、101を記録モードで駆動させた際の制御部5における処理手順の一例を示す流れ図である。また図9は、図2に示す固体撮像素子13の撮像面を簡略に示した概念図である。なお図9において図4と同じ参照番号は同様の構成を示すため説明を省略する。図8において、操作部3に記録モードで駆動する旨の操作信号31が入力されると、制御部5は、今回記録モードで駆動する直前の予備的モードで駆動した場合において、受光素子を間引くために指定した行を把握する(ステップS1)。例えば、図9に示すように、直前の予備的モードで駆動した場合に指定した行が、第2読み出し行75から信号電荷を読み出していたであった場合は、第2読み出し行75と把握する。
次に制御部5は、記録モードで駆動する場合は、第2読み出し行75以外の読み出し行を指定し、この指定した読み出し行に位置する受光素子27から信号電荷を読み出すようにタイミング発生部9を制御する(ステップS2)。本実施例では、制御部5は図9に示すように、第3行、第7行、第11行、・・・、すなわち第3読み出し行111を指定し、この第3読み出し行111に位置する受光素子から信号電荷を読み出すよう、タイミング発生部9に制御信号37を供給する。なお本実施例において制御部5が第3読み出し行111を指定したのは、本実施例における固体撮像装置1、101では、受光素子27を間引く際に、第1読み出し行73、第2読み出し行75、第3読み出し行111、第4読み出し行の順で切り替えて間引くため、第3読み出し行111の方が、第1読み出し行73よりも読み出し処理を行った時間が短く、読み出し不良が発生する可能性が低いからである。このように記録モードにおいて切り替える場合、および予備的モードにおいて切り替える場合の両方において、切り替える順序を同じにすれば、記録モードで駆動する際に読み出し不良が発生する可能性が低い受光素子27から信号電荷を読み出すことが可能になるため好ましいが、本発明はこれに限定するわけではなく任意の行を指定する事が可能である。
例えば制御部5が、予備的モードにおいて切り替えていた順序とは関係なく、記録モードで駆動する直前に信号電荷を読み出していた読み出し行とは別の読み出し行であれば任意の読み出し行を指定するようにしてもよい。また例えば、時間測定部7で各読み出し行における読み出す処理を行った時間を測定しておき、記録モードで駆動する場合は、制御部5が各読み出し行の読み出す処理を行った時間を比較して、読み出す処理を行った時間が最も短い読み出し行を指定し、その読み出し行に位置する受光素子から信号電荷を読み出すようにタイミング発生部9を制御するようにしてもよい。なおこれらに限定するわけではない。
制御部5は、第2読み出し行75から第3読み出し行111に切り替えると、時間測定部7で測定していた第2読み出し行において読み出す処理を行った時間をリセットし、第3読み出し行において読み出す処理を行った時間の測定を開始する(ステップS3)。これは、本実施例では、記録モードが終了すると、時間測定部7で測定された時間に応じて読み出す行を切り替えるか否かを判断するからである。なお、例えば測定した時間に関係なく、記録モードが終了すると切り替えるというような場合等では時間測定部7で測定した時間をリセットする必要はない。制御部5は、リセットを行うと切り替える処理を終了する。
なお本実施例では、制御部5は、間引いた間隔において1行を指定しているが、本発明はこれに限定するわけではなく、制御部5は、記録モードで駆動する直前の予備的モードでの駆動時に信号電荷を読み出していた行以外であれば、任意の行を指定することが可能である。例えば本実施例で説明すれば、第2読み出し行75以外の読み出し行、すなわち、第1、第3、および、第4読み出し行を指定するようにすることも可能であるし、また例えば、直前の予備的モードでの駆動時において信号電荷を読み出していた行以外の行のうち、読み出す処理を行った時間の短い行、すなわち、本実施例では第3および第4読み出し行を指定するようにすることも可能である。
制御部5から制御信号37を受け取ったタイミング発生部9では、第3読み出し行111を特定するためのタイミング信号43を形成し、撮像駆動部13へタイミング信号43を供給する。撮像駆動部13では、供給されたタイミング信号43に応動して、第3読み出し行111に位置する受光素子27から信号電荷を読み出すための駆動信号53を形成し、固体撮像素子13へ供給する。固体撮像素子13では、供給された駆動信号53に応動して、第3読み出し行111に位置する受光素子37から信号電荷が読み出され、アナログ電気信号55として出力される。出力されたアナログ電気信号55は、前処理部19でディジタル画像信号57に変換され、信号処理部21を経て表示部23に表示されると共に、記録メディア部25で記録される。なお記録モードでの駆動が終了すると、制御部5は図5に示すように予備的モードで駆動する際に信号電荷を読み出す行を切り替えるか否かを判断し、切り替える場合は切り替え、逆に切り替えない場合は切り替えない。
以上のようにして、図8に示す例では記録モードで駆動する際に信号電荷を読み出す行を切り替える。このように切り替えることにより、画像のサイズは小さくなるものの、読み出し不良が発生する可能性が低い受光素子27から信号電荷を読み出すことが可能になるため、読み出し不良の発生を抑えることが可能になり、画像の劣化を防ぐことが可能である。
なお記録モードで駆動するすべての場合に図8に示す記録モードで駆動することに限定する必要はなく、例えば通常の記録モードでの駆動はすべての受光素子27から信号電荷を読み出し、高感度の記録モードで駆動する際に図8に示す記録モードを採用するということも可能である。高感度の記録モードとは、通常使われている撮像感度と比較して高い撮像感度で撮像を行う場合であり、例えば、受光素子に形成される信号電荷が少ない場合であっても、得られた画像信号のゲインを補正して、美しいディジタル画像信号を形成することを可能にする撮像モード等が相当する。高感度の場合に図8に示す記録モードで駆動することで、受光素子に形成される信号電荷が少なくても読み出し不良が発生することを抑えることが可能になるため、十分な信号電荷を得ることが可能になり、劣化の少ないディジタル画像を得ることが可能になる。なお本発明はこれに限定するわけではなく、図8に示す記録モードでの駆動は任意の環境で行うことが可能である。