JP4543140B2 - 回路基板保護用粘着シートおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
記載されているように、アルキル(メタ)アクリレート、これと共重合可能な他のビニル系モノマー、光重合開始剤、多官能ビニル系化合物およびラジカル連鎖移動剤を含有する光重合性組成物を基材フィルムに塗布して部分架橋ポリマーのゲル分率を5〜60重量%にし、ゾル分の重量平均分子量が5万〜70万であり、ガラス転移温度を−10℃〜+30
℃にした自着性シートなどが知られている。上記のような光重合性組成物を光重合させることにより、アルキル(メタ)アクリレートと他のビニル系モノマーとからなるアクリル系ポリマー主鎖が形成され、このアクリル系ポリマー主鎖を多官能ビニル化合物で架橋した構造を有するアクリル系接着剤が形成される。こうした架橋構造を有するアクリル系接着剤を製造する際には、モノマー成分であるアルキル(メタ)アクリレート、他のビニル系モノマーと、架橋剤である多官能ビニル系化合物とが渾然一体となった光重合性組成物を用いて光重合を行うために、架橋構造はアクリル系ポリマー主鎖に均一に形成される。こうした架橋構造が多くなるほど、接着剤は硬質になり、しかも接着力は低下することから、接着剤における架橋構造の形成密度を、ゲル分率で表して、その上限値(ゲル分率)が80重量%よりも高くなるように高密度で形成したのでは接着剤としての基本的な特性が発現しないとされていた。
ことにより、粘着性を接着性に変換する光硬化型感圧接着剤が用いられており、この光硬化型感圧接着剤は、予め製造された粘着剤に光重合性成分を配合した粘着剤層を形成し、この粘着剤層の有する粘着力を利用して電子部品等を貼着した後、電子部品等が貼着されていない部分の粘着剤層に光を照射して粘着剤層に架橋構造を形成して、粘着剤層の有するタックを低減させた光硬化型感圧接着剤である。
ノンおよびビスジエチルアミノベンゾフェノンを添加して急速攪拌して分散させた光硬化型感圧接着剤が開示されており、このように予めアクリル系ポリマーを調製した後、新た
にアクリル系モノマーおよび多官能モノマー、さらに光重合開始剤を加えており、このように予めアクリル系ポリマーを製造した後に光重合に関与する成分を加えたのでは、アクリル系ポリマーと光重合に関与する成分とが均一に混合されない虞がある。また、乳化重合に用いられる乳化剤が貼着時にブリードし、電子部品を汚染することがあった。さらに、特許文献2に記載の光硬化型感圧接着剤は、電子部品に模して貼着されたステンレス板を貼着して紫外線を照射しており、ステンレス板の貼着されていない部分のタックは低下しているけれども、このときステンレス板の貼着部分の剥離接着力は、2000g/20mm前後に上昇しており、紫外線の照射によって硬化体を形成することによって、被着体に対しては上昇しているのである。従って、粘着剤に光重合成分を配合した接着剤においては、既に被着体が接着している部分では光重合成分の硬化反応によって、被着体との接着強度が倍以上に高くなっており、光重合体の形成によって、被着体と光重合体との間に新たに強力な接着力が発現すると共に、水素引き抜き性の開始剤を使用していることからシロップ中のポリマーも架橋に関与するため、こうして形成された光重合体は硬質である。
着剤組成物には、前記モノマーシロップに光開始剤を加える他に、その紫外線硬化物が架橋構造となるように多官能モノマー等が添加されている。このような光重合性接着剤組成物の紫外線硬化反応において、架橋構造は多官能モノマーとモノマーシロップ中のモノマー成分(単官能モノマー)の反応により形成されるため、モノマーシロップ中の増粘用ポリマー等の高分子量体は架橋には関与せず、得られる硬化物中に存在させることにより、当該硬化物は初期タック、接着力、凝集力の接着特性のバランスのよい接着層を形成することができる。」と記載されている。さらに段落[0005]には、「一般に、接着特性のバランスの取れた接着層は、前記硬化物のゲル分率が20〜60重量%のもの、言い換えれば前記増粘用ポリマー等の高分子量の未架橋性分を80〜40重量%程度の割合で含むものが望まれている。」と記載されている。
さらに本発明は、回路板基板上に凸状に形成された回路および基板を保護するように良好な形態追随性を有すると共に、この保護用粘着シートを剥離した際に形成された回路に損傷を与えることがなく、しかも基板を粘着剤で汚染することがない回路基板の保護用の
粘着シートおよびこの粘着シートを製造する方法を提供することを目的としている。
よる凹凸に対応してこの粘着剤層が変形する。
本発明の粘着シートは、通常は基材フィルムとこの基材フィルムの表面に形成された粘着剤層を有する。この粘着剤層には、特定の(メタ)アクリル系ポリマーが(メタ)アクリル系モノマーに溶解されたモノマーシロップに、特定の多官能モノマーと、光重合開始剤とを配合した光重合性組成物に光を照射して、モノマーシロップ中に含有される(メタ)アクリル系モノマーと多官能モノマーとをゲル分率が90重量%以上になるように光重合させた光重合体と、モノマーシロップ中に含有されていた特定の(メタ)アクリル系ポリマーとが共存している。
このモノマーシロップ中に含有される(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、5万〜80万の範囲内にあり、さらに10万〜40万の範囲内にあることが好ましい。この(メタ)アクリル系ポリマーは、本発明の粘着シートに粘着性を付与するものであり、通常は粘着性を有している。従って、このアクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、通常は−100℃〜0℃、好ましくは、−70〜−30℃の範囲内にある。本発明において重合体のガラス転移温度は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によ
り測定した値である。
本発明で使用する(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、エステルを形成するアルキル基の炭素数が通常は1〜18、好ましくは3〜12の化合物であり、このアルキル基は直鎖であっても分岐を有していてもよい。このような(メタ)アクリル酸アルキルエステルの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレートおよびノニル(メタ)アクリレートなどのアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル;2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレートおよびt-ブチル(メタ
)アクリレートなどの分岐状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレートなどの環状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを挙げることができる。これらの(メタ)アクリル酸アルキルエステルは単独であるいは組み合わせて使用することができる。
水酸基含有(メタ)アクリル化合物としては、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチ
ル、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸とポリプロピレン
グリコールまたはポリエチレングリコールとのモノエステルおよびラクトン類と(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチルとの付加物のようなヒドロキシル基含有ビニル化合物を
挙げることができる。
通常は85〜100重量部、好ましくは90〜99重量部の範囲内の量で共重合されており、(メタ)アクリル酸は、通常は0〜15重量部、好ましくは1〜10重量部の範囲内の量で共重合されており、水酸基含有(メタ)アクリル化合物は、通常は0〜10重量部、好ましくは0〜10重量部の範囲内の量で共重合されており、カルボキシル基含有化合物は、通常は0〜15重量部、好ましくは0〜10重量部の範囲内の量で共重合されており、その他のモノマーは、通常は0〜10重量部、好ましくは0〜5重量部の範囲内の量で共重合されている。ただし、モノマーシロップ中に含有される(メタ)アクリル系ポリマーが必要とする粘着力を発現するためには、(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外に、この(メタ)アクリル酸アルキルエステル100重量部に対して極性基を含有するモノマーが通常は1〜10重量部、好ましくは1〜5重量部程度共重合していることが望ましい。
ップを使用することができる。
とが好ましい。モノマーシロップ中に含有される(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、エステルを形成するアルキル基の炭素数が通常は1〜18、好ましくは3〜12の化合物であり、このアルキル基は直鎖であっても分岐を有していてもよい。このような(メタ)アクリル酸アルキルエステルの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレートおよびノニル(メタ)アクリレートなどのアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル;2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレートおよびt-ブチル(メタ)アクリレートなどの分岐状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを挙げることができる。これらの(メタ)アクリル酸アルキルエステルは単独であるいは組み合わせて使用することができる。
水酸基含有(メタ)アクリル化合物としては、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチ
ル、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸とポリプロピレン
グリコールまたはポリエチレングリコールとのモノエステルおよびラクトン類と(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチルとの付加物のようなヒドロキシル基含有ビニル化合物を
挙げることができる。
タ)アクリル系モノマーと共重合可能な他の単官能モノマーが共重合していてもよい。
本発明において、モノマーシロップに含有される(メタ)アクリル系モノマー100重量部中には、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルが、通常は85〜100重量部、好ましくは90〜99重量部の範囲内の量で含有されており、(メタ)アクリル酸が、通常は0〜15重量部、好ましくは1〜10重量部の範囲内の量で含有されており、水酸基含有(メタ)アクリル化合物が、通常は0〜15重量部、好ましくは0〜10重量部の範囲内の量で含有されており、カルボキシル基含有化合物が、通常は0〜15重量部、好ましくは0〜10重量部の範囲内の量で含有されており、その他のモノマーが、通常は0〜10重量部、好ましくは0〜5重量部の範囲内の量で含有されている。
メタ)アクリル系モノマーの含有量は、25〜80重量%、好ましくは35〜75重量%
の範囲内にある。
シロップ中に含有されるアクリル系モノマーと共重合可能な化合物である。このような分子内にエチレン性二重結合を2個以上有する多官能性モノマーの例としては、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリル酸エステル、トリメチロールプロパントリアクリル酸エステル、テトラメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブチレングリコールジアクリレートおよびネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートのような多価アクリル酸エステル;
エチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、ジエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、トリエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、ポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、プロピレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エスエル、ジプロピレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステルおよびトリプロピレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステルのような(ポリ)アルキレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステルを挙げることができる。これらは単独であるいは組み合わせて使用することができる。
重量%にすることができる。
の置換アルファーケトール;2-ナフタレンスルフォニルクロライド等の芳香族スルフォニルクロライド;1-フェニル-1,1-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)-オキシム
などの光活性オキシム;ならびに、アシルフォスフィンオキサイドなどを挙げることができる。これらの光重合開始剤は単独であるいは組み合わせて使用することができる。なお、本発明においてベンゾフェノン系等の水素引き抜き性のある開始剤の使用は、モノマーシロップ中のポリマーから水素を引き抜き架橋反応に関与させるため、形成される粘着剤層の柔軟性が失われ、凹凸に対する追随性が悪くなるため好ましくない。
粘着剤層の厚さとはほぼ同一である。従って、光重合性組成物の塗布厚は、設定した粘着剤層の厚さと同一にすればよい。
テルフィルム、ポリアミドフィルムおよびポリオレフィンフィルムなどの合成樹脂フィルム、ならびに、紙、不織布および織布などの繊維シートなどを挙げることができる。これらの中でもPETフィルムのような透明性を有する合成樹脂フィルムを使用することが好ま
しい。このような基材シートは、回路基板の凹凸が基材表面に現れないような硬さを持つことが好ましく、通常は50μm以上、好ましくは100μm以上である。
オレフィンフィルムなどを挙げることができる。
ムが好適に使用できる。
/20mm以上あれば、この保護用粘着シートを貼着した基板を取り扱う際に保護用粘着シートが自然剥離することがなく、被保護体である基板および回路を充分に保護することができる。
{[(粘着剤層のゲル分率(2)から求めた粘着剤層中のゲル成分の量−モノマーシロッ
プのゲル分率(1)から求めたモノマーシロップ中のゲル成分の量)/光重合により生成した重合体の総量]×100}。
タ)アクリル系モノマーを重合させた(メタ)アクリル系ポリマーと、(メタ)アクリル系モ
ノマーと多官能モノマーとを重合させた架橋重合体とを別々に製造して混合した混合物からなる粘着剤層の構成とも異なるものである。すなわち、例えばモノマーに少量の多官能性モノマーを配合して部分的に架橋構造を形成した粘着剤からなる粘着剤層では、架橋構造が粘着剤全体に均一に形成されており、同一のゲル分率を有していたとしても凹凸追随
性および再剥離性は発現しない。また、例えば(メタ)アクリル系モノマーを重合させた(
メタ)アクリル系ポリマーと、(メタ)アクリル系モノマーと多官能モノマーとを重合させ
た架橋重合体とを別々に製造して混合した混合物からなる粘着剤層では、(メタ)アクリル系ポリマーと架橋重合体とを、分子レベルで均一に混合することはできないので、同様に、同一のゲル分率を有していたとしても凹凸追随性および再剥離性は発現しない。
以下、本発明の回路基板保護用粘着シートおよびその製造方法について実施例を示して説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
攪拌機、窒素ガス導入管および冷却管を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに、2-エチルへキシルアクリレート(以下「2EHA」と記載する)980g、アクリル酸(以下「AA」と記載する)20g、n-ドデシルメルカプタン0.1gおよび光重合開始剤として2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン0.05gを投入し、窒素ガス雰囲気で紫外
線を照射してモノマー濃度50重量%、ポリマー濃度50重量%のモノマーシロップを調製した。このモノマーシロップ中に含有されるポリマーの重量平均分子量は、30万であった。また、このモノマーシロップ(1)中のアクリル系ポリマーのゲル分率は、0重量%であった。また、このモノマーシロップ〔1〕の25℃における粘度は20Pa・sであ
った。このモノマーシロップの組成、ポリマー分子量、ポリマーのゲル分率および粘度を表1に示す。
光重合性組成物[1]の調製
上記のようにして調製したポリマー濃度50重量%、モノマー濃度50重量%のモノマーシロップ〔1〕100重量部に、分子内にエチレン性二重結合を3個有するトリメチロールプロパントリアクリレート(TMP-A)10重量部(モノマー100重量部に対する配
合量20重量部)と、光重合開始剤である2-ヒドロキシ-2-エチル-1-フェニルプロパン-1
-オン(商品名:ダイキュア1173、チバガイギー社製)0.4重量部を添加して光重合性
組成物[1]を調製した。
保護用粘着シート《1》の調製
上記のようにして得られた光重合性組成物[1]を、平均厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)上に、粘着剤層の平均厚さが300μmになる
ように塗布し、この塗布面を剥離性PETフィルムで被覆した後、波長200〜400nmの
高圧水銀灯を75秒間照射して光重合性組成物からなる塗布層中の(メタ)アクリル系モノマーとTMP-Aとを光重合させて架橋重合体を生成させて、(メタ)アクリル系ポリマーと
架橋重合体とが分子レベルで混合された状態の粘着剤層を有する保護用粘着シート《1》を調製した。
得られた粘着シート《1》を回路基板に貼着して回路の保護状態について評価した。結果を表2−1および表2−2に示す。
ゲル分率の測定
本発明において、モノマーシロップのゲル分率(1)は、モノマーシロップから(メタ)アクリル系モノマーを除去した(メタ)アクリル系ポリマーについて、溶媒としてトルエンを使用し、この溶媒に不溶な成分の重量を求めて、モノマーシロップ中における不溶成分の重量比を算定して求めた。粘着剤層のゲル分率(2)は、粘着剤層を形成している樹脂成分を集めて、溶媒としてトルエンを使用し、この溶媒に不溶な成分の重量を求めて、粘着剤層中における不溶成分の重量比を算定して求めた。光重合により生成した重合体のゲル分率(3)は、上記のようにして求めた粘着剤層のゲル分率(2)から求めた粘着剤層中におけるゲル成分の量から、モノマーシロップのゲル分率(1)から求めたモノマーシロップ中におけるゲル成分の量との差を求め、得られたゲル成分量の、光照射によって形成された架橋重棒体の総量に対する割合{[(粘着剤層のゲル分率(2)から求めた粘着
剤層中のゲル成分の量−モノマーシロップのゲル分率(1)から求めたモノマーシロップ中のゲル成分の量)/光重合により生成した重合体の総量]×100}である。
凹凸追随性試験
上記のようにして製造した粘着性シートを150×150mmの大きさで切り出して試験片とした。この試験片から剥離性PETフィルムを剥がして、表面に高さ50μmのいぼ状
突起物が多数存在している金属板上に置き、2kgのローラーを用いて圧着して、この試験片のいぼ状突起物が形成されている金属面への密着性を目視観察した。
再剥離試験
上記凹凸追随性試験で使用した金属板に、粘着シートを圧着し、24時間放置した。その後、金属板から粘着シートを剥がして金属板表面に粘着剤層が転写しているかどうかを確認した。
重量平均分子量の測定
本発明において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)
により測定した値である。
なお、比較のためにこの実施例1で使用したモノマーシロップに含有される(メタ)アクリル系ポリマーと同等のポリマーを以下のようにして溶液重合法で製造した。
型の開始剤として、ジメチル-2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオネート)0.3gを投入
して重量平均分子量が30万になるように反応温度を75℃、反応時間を6時間に設定してポリマーを製造した。このポリマーのゲル分率は0重量%であり架橋構造は形成されていない。このポリマーを用いて厚さ300μmの粘着剤層を形成した粘着シートについてその粘着力を測定したところ、640g/20mmであり、この粘着シートを回路が形成された基板に貼着して剥離したところ、回路の一部が基材から粘着シート側に転写されて回路に損傷を与えた。
ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)上に、粘着剤層の平均厚さが30
0μmになるように塗布し、この塗布面を剥離性PETフィルムで被覆した後、波長200
〜400nmの高圧水銀灯を75秒間照射して2EHA、AAおよびTMP−Aを光重合させてゲル分率100%の粘着剤層を形成して粘着シートを製造した。この粘着シートの粘着力は50g/mmであったが、上記と同様にして凹凸追随試験を行ったところ、金属板に形成
された凸部の頂部には粘着剤層が接触しているが、凹部には殆ど粘着剤層が接触していなかった。
を製造した。このモノマーシロップの性状を表1に示す。
結果を表2−1および表2−2に示す。この粘着シートは、回路基板に汚染あるいは損傷を与えることなく、またその形態追随性も良好であり、回路基板を良好に保護することができたが、実施例1との対比において、粘着力が多少低く、回路基板との密着性に多少劣る傾向が見られた。
〔比較例1〕
光重合性組成物[2]の調製
実施例1において、モノマーシロップ〔1〕[モノマー濃度50重量%、ポリマー濃度
50重量%、ポリマーの重量平均分子量30万、ゲル分率(1)0重量%]を100重量
部に対して、TMP-Aを0.1重量部(モノマーシロップ中のモノマー100重量部に対し
て0.2重量部)と、光重合開始剤である2-ヒドロキシ-2-エチル-1-フェニルプロパン-1-オン0.4重量部を添加して光重合性組成物[2]を調製した。このモノマーシロップの
組成、ポリマー分子量、ポリマーのゲル分率および粘度を表1に示す。
保護用粘着シート《2》の調製
実施例1において、光重合性組成物[1]の代わりに、上記のようにして得られた光重合性組成物[2]を用いた以外は同様にして粘着剤層を有する保護用粘着シート《2》を調製した。
32重量%であった。
上記のようにして製造した粘着シート《2》を用いて凹凸追随性試験および再剥離試験を行った。
得られた粘着シート《2》の組成および特性を表2−1および表2−2に示す。
〔比較例2〕
光重合性組成物[3]の調製
実施例1において、モノマーシロップ〔1〕[モノマー濃度50重量%、ポリマー濃度
50重量%、ポリマーの重量平均分子量30万、ゲル分率(1)0重量%]を100重量
部に対して、TMP-Aを使用せずに、1,3-ビス(ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサ
ンを10重量部と、光重合開始剤である2-ヒドロキシ-2-エチル-1-フェニルプロパン-1-
オン0.3重量部を添加して光重合性組成物[3]を調製した。このモノマーシロップの組成、ポリマー分子量、ポリマーのゲル分率および粘度を表1に示す。
保護用粘着シート《3》の調製
実施例1において、光重合性組成物[1]の代わりに、上記のようにして得られた光重合性組成物[3]を用いた以外は同様にして粘着剤層を有する保護用粘着シート《3》を調製した。この粘着シート《3》には1,3-ビス(ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサンによる架橋構造が形成されているので、光重合により生成したポリマーのゲル分率は測定できない。
であった。また、この粘着剤層を形成する樹脂について測定したゲル分率(2)は、85重量%であった。
得られた粘着シート《3》の組成および特性を表2−1および表2−2に示す。この粘
着シート《3》では粘着剤層全体が架橋されているので、凹凸追随性が発現しなかった。〔比較例3〕
モノマーシロップ〔2〕の調製
攪拌機、窒素ガス導入管および冷却管を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに、2EHA980g、AA20g、n-ドデシルメルカプタン0.1gおよび光重合開始剤として2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン0.05gを投入し、窒素ガス雰囲気で紫外線
を照射してモノマー濃度88重量%、ポリマー濃度12重量%のモノマーシロップを調製した。このモノマーシロップ中に含有されるポリマーの重量平均分子量は、30万であった。このモノマーシロップ〔2〕中のアクリル系ポリマーのゲル分率は、0重量%であった。このモノマーシロップ〔2〕の25℃における粘度は3Pa・sであった。このモノマ
ーシロップの組成、ポリマー分子量、ポリマーのゲル分率および粘度を表1に示す。
光重合性組成物[4]の調製
実施例1において、モノマーシロップ〔1〕[モノマー濃度50重量%、ポリマー濃度
50重量%]の代わりに、上記のようにして調製したモノマーシロップ〔2〕[モノマー濃度88重量%、ポリマー濃度15重量%、ポリマーの重量平均分子量150万、ゲル分率0重量%]を使用し、TMP-Aを10重量部(モノマーシロップ中のモノマー100重量部に対して11.4重量部)配合した以外は同様にして光重合性組成物[4]を調製した。
保護用粘着シート《4》の調製
実施例1において、光重合性組成物[1]の代わりに、上記のようにして得られた光重合性組成物[4]を用いた以外は同様にして粘着剤層を有する保護用粘着シート《4》を調製した。
であった。また、この粘着剤層を形成する樹脂について測定したゲル分率(2)は、88重量%であった。
上記のようにして製造した粘着シート《4》を用いて凹凸追随性試験および再剥離試験を行った。
〔比較例4〕
モノマーシロップ〔3〕の調製
攪拌機、窒素ガス導入管および冷却管を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに、2EHA980g、AA20g、n-ドデシルメルカプタン0.1gおよび光重合開始剤として2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン0.05gを投入し、窒素ガス雰囲気で紫外線
を照射してモノマー濃度15重量%、ポリマー濃度85重量%のモノマーシロップを調製した。このモノマーシロップ中に含有されるポリマーの重量平均分子量は、30万であった。またこのモノマーシロップ〔3〕のゲル分率は、0重量%であった。このモノマーシロップ〔3〕の25℃における粘度は50Pa・s であった。
光重合性組成物[5]の調製
実施例1において、モノマーシロップ〔1〕[モノマー濃度50重量%、ポリマー濃度
50重量%、ポリマーの重量平均分子量30万、ゲル分率0重量%]の代わりに、上記の
ようにして調製したモノマーシロップ〔3〕[モノマー濃度15重量%、ポリマー濃度8
5重量%、ポリマーの重量平均分子量10万、ゲル分率0重量%]を使用し、TMP-Aを10重量部(モノマーシロップ中のモノマー100重量部に対して66.7重量部)配合した以外は同様にして光重合性組成物[5]を調製した。
保護用粘着シート《5》の調製
実施例1において、光重合性組成物[1]の代わりに、上記のようにして得られた光重合
性組成物[5]を用いた以外は同様にして粘着剤層を有する保護用粘着シート《5》を調製した。
上記のようにして製造した粘着シート《5》を用いて凹凸追随性試験および再剥離試験を行った。
実施例1で使用したモノマーシロップにTMP-Aを10重量部(モノマーシロップ中のモ
ノマー100重量部に対して20重量部)配合した以外は同様にして光重合性組成物[6]を調製した。
フィルム表面に回路の凹凸に起因する凹凸が観察された。
〔比較例6〕
実施例1における2EHA;980gと、AA;20gとを含有するポリマーシロップを用い
て、TMP-Aを1重量部(モノマーシロップ中のモノマー100重量部に対して2重量部)
、光重合開始剤である2-ヒドロキシ-2-エチル-1-フェニルプロパン-1-オン;15gとを
混合して光重合性組成物[7]を調製した。
得られた粘着シート《7》の粘着力は、500g/20mmであり、形成した粘着剤層を剥離する際に曇りが発生した。
〔比較例7〕
実施例1において、TMP-Aを17.5重量部(モノマーシロップ中のモノマー100重
量部に対して35重量部)、光重合開始剤である2-ヒドロキシ-2-エチル-1-フェニルプロパン-1-オン;15gとを混合して光重合性組成物[8]を調製した。この光重合性組成物[8]を用いて300μmの粘着剤層を形成した粘着シート《8》についてその粘着力を測定したところ、20g/20mmであり、この粘着シート《8》を回路が形成された基板に貼
着して剥離したところ、高架橋になり粘着剤層の働きが抑えられてしまい、空隙が形成され、回路基板の保護が不完全であった。
〔比較例8〕
モノマーシロップ〔5〕の調製
攪拌機、窒素ガス導入管および冷却管を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに、2EHA980g、AA20g、n-ドデシルメルカプタン0.8gおよび光重合開始剤として2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン0.05gを投入し、窒素ガス雰囲気下で紫外線を照射してモノマー濃度50重量%、ポリマー濃度50重量%のモノマーシロップ〔5〕を調製した。このモノマーシロップ〔5〕中に含有されるポリマーの重量平均分子量は4万であり、このポリマーのゲル分率は0重量%であり架橋構造は形成されていない。
〔比較例9〕
モノマーシロップ〔6〕の調製
攪拌機、窒素ガス導入管および冷却管を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに、2EHA980g、AA20g、n-ドデシルメルカプタン0.003gおよび光重合開始剤とし
て2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン0.05gを投入し、窒素ガス雰囲気下で
紫外線を照射してモノマー濃度50重量%、ポリマー濃度50重量%のモノマーシロップ〔6〕を調製した。このモノマーシロップ〔6〕中に含有されるポリマーの重量平均分子量は100万であり、このポリマーのゲル分率は0重量%であり架橋構造は形成されていない。
Claims (18)
- 重量平均分子量が5万〜80万の(メタ)アクリル系ポリマー;20〜75重量%および(メタ)アクリル系モノマー;25〜80重量%を含有するモノマーシロップ(ただし(メタ)アクリル系ポリマーと(メタ)アクリル系モノマーとの合計は100重量%)と、該モノマーシロップ中に含有される(メタ)アクリル系モノマー100重量部に対して、分子内にエチレン性二重結合を2個以上有する多官能性モノマー;5〜30重量部と、光重合開始剤とを含有する光重合性組成物に、光を照射して該モノマーシロップ中に含有される(メタ)アクリル系モノマーと該多官能モノマーとを、ゲル分率90重量%以上になるように光重合させてなる光重合体および該モノマーシロップ中に含有されていた(メタ)アクリル系ポリマーが共存する粘着剤層を有し、該粘着剤層の平均厚さが250〜2000μmの範囲内にあり、該粘着剤層の粘着力が500g/20mm以下であることを特徴とする回路基板保護用粘着シート。
- 上記粘着剤層を形成する架橋重合体のゲル分率が98重量%以上であることを特徴とする請求項第1項記載の回路基板保護用粘着シート。
- 上記モノマーシロップ中に含有される(メタ)アクリル系ポリマーのゲル分率が0〜1重量%であることを特徴とする請求項第1項記載の回路基板保護用粘着シート。
- 上記粘着剤層を形成する粘着剤全体のゲル分率が25〜85重量%の範囲内にあることを特徴とする請求項第1項記載の回路基板保護用粘着シート。
- 上記粘着剤層の粘着強度が、50〜500g/20mmになるように(メタ)アクリル系モノマーと多官能モノマーとを架橋重合させることを特徴とする請求項第1項記載の回路基板保護用粘着シート。
- 上記モノマーシロップを形成する(メタ)アクリル系モノマーの組成と、該(メタ)アクリル系モノマーと共にモノマーシロップを形成する(メタ)アクリル系ポリマーのモノマー組成とが実質的に同一であることを特徴とする請求項第1項乃至第5項のいずれかの項記載の回路基板保護用粘着シート。
- 重量平均分子量が5万〜80万の(メタ)アクリル系ポリマーを20〜75重量%および該(メタ)アクリル系ポリマーを溶解する(メタ)アクリル系モノマーを25〜80重量%の量で含有するモノマーシロップ(合計100重量%)に、該モノマーシロップ中の(
メタ)アクリル系モノマー100重量部に対して、5〜30重量部の分子内にエチレン性
二重結合を2個以上有する多官能性モノマー、および、光重合開始剤を配合してなる光重合性組成物を、基材フィルム上に、硬化後の厚さが250〜2000μmになるように塗布した後、該光重合性組成物層に光を照射して、該モノマーシロップ中の(メタ)アクリル系モノマーと該多官能モノマーとをゲル分率が90重量%以上になるように光重合させて、粘着強度が500g/20mm以下に調整された粘着剤層を形成することを特徴とする回路基板保護用粘着シートの製造方法。 - 上記粘着剤層を形成する架橋重合体のゲル分率が98重量%以上であることを特徴とする請求項第7項記載の回路基板保護用粘着シートの製造方法。
- 上記モノマーシロップ中に含有される(メタ)アクリル系ポリマーのゲル分率が0〜1重量%であることを特徴とする請求項第7項記載の回路基板保護用粘着シートの製造方法。
- 上記粘着剤層を形成する粘着剤全体のゲル分率が25〜80重量%の範囲内にあることを特徴とする請求項第7項記載の回路基板保護用粘着シートの製造方法。
- 上記モノマーシロップ中に含有される重量平均分子量が5万〜80万の(メタ)アクリル系ポリマーが、アルキル基の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、(メタ)アクリル酸、水酸基含有(メタ)アクリル化合物およびカルボキシル基含有化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種類の単量体との共重合体であることを特徴と
する請求項第7項記載の回路基板保護用粘着シートの製造方法。 - 上記モノマーシロップを形成する(メタ)アクリル系モノマーが、アルキル基の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、(メタ)アクリル酸、水酸基含有(メタ)アクリル化合物およびカルボキシル基含有化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種類の単量体とを含有することを特徴とする請求項第7項記載の回路基板保護用粘着シ
ートの製造方法。 - 上記光重合性組成物を基材フィルム表面に塗布し、該塗布された光重合性組成物の表面を剥離性フィルムで被覆した後、光を照射することを特徴とする請求項第7項記載の回路基板保護用粘着シートの製造方法。
- 上記モノマーシロップ中に含有される(メタ)アクリル系ポリマーのゲル分率が0〜1重量%であることを特徴とする請求項第7項記載の回路基板保護用粘着シートの製造方法。
- 上記粘着剤層の粘着強度が、50〜500g/20mmになるように(メタ)アクリル系モノマーと多官能モノマーとを架橋重合させることを特徴とする請求項第7項記載の回路基板保護用粘着シートの製造方法。
- 上記基材フィルムおよび剥離性被覆フィルムの少なくとも一方が、光透過性を有することを特徴とする請求項第7項または第13項記載の回路基板保護用粘着シートの製造方法。
- 上記モノマーシロップを形成する(メタ)アクリル系モノマーの組成と、該(メタ)アクリル系モノマーと共にモノマーシロップを形成する(メタ)アクリル系ポリマーのモノマー組成とが実質的に同一であることを特徴とする請求項第7項乃至第16項のいずれかの項記載の回路基板保護用粘着シートの製造方法。
- 上記モノマーシロップが、(メタ)アクリル系モノマーの混合物を部分重合することにより形成されてなることを特徴とする請求項第17項記載の回路基板保護用粘着シートの製造方法。
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