JP4540321B2 - グリコール酸共重合体及びその製造方法 - Google Patents

グリコール酸共重合体及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、高分子量グリコール酸共重合体及びその製造方法、並びに、その成形体に関する。更に詳しくは、高い熱安定性を有し、溶融成形加工時においても着色が少なく、ガスバリアー性材料として有用な、生分解性の高分子量グリコール酸共重合体及びその製造方法、並びに、その成形体に関する。
近年、自然環境保護の観点からプラスチック廃棄物問題が取りあげられるようになり、自然環境中で分解するポリマー及びその成形体が求められるようになっている。ポリグリコール酸及びその共重合体は、耐熱性、機械強度及び生分解性の点においてバランスに優れる上に、ガスバリアー性が極めて高いという特性を有する。このため、近年、容器、フィルム等の包装材料用途向けの生分解性高分子材料として注目を受け、成形体として十分な機械強度を有する高分子量ポリグリコール酸及びその共重合体の開発が進められている。
しかしながら、グリコール酸単位を多く含有するポリグリコール酸及びその共重合体は、融点が高いため、2つの問題、具体的には、高い温度で成形加工する必要があること、更に、融点と分解温度との差が小さくなること、等の問題により、溶融成形加工時の着色が著しい場合や耐熱エージング性が悪い、或いは、熱分解生成物が生じる等、熱安定性が問題となっていた。
上記の熱安定性を改善する試みとして、熱安定化剤としてリン系化合物を用いる方法が検討されているが、これらの方法では、十分な熱安定性を有するポリグリコール酸及びその共重合体は未だ得られていない。
末端官能基を特定の化合物で反応させて熱安定性を向上させる方法(例えば、特許文献1参照)等が検討されている。この方法は、グリコール酸重合体の溶融成形加工時の解重合を抑制するには効果的ではあるが、溶融成形加工時の着色抑制に対する効果は未だ十分とはいえなかった。
一般に、共重合を行うことで融点を低め、これによって上記の問題を解決する手段は通常用いられる手段であり、グリコール酸重合体においても、種々の共重合体に関する検討がなされている。
例えば、高分子量グリコール酸共重合体を得る方法として、グリコール酸及び/又はその誘導体を、一度、脱水縮合した後に、加熱分解してグリコール酸環状2量体エステル(グリコリド)を製造し、次いで、高純度に精製した後、触媒の存在下で、例えば、乳酸環状2量体エステル(ラクチド)と共に開環重合する、多数の工程を経てグリコール酸共重合体を製造する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、上記の開環重合法により得られる、例えば、グリコリド−ラクチド共重合体等のグリコール酸共重合体は、共重合単位である乳酸単位が樹脂の1次構造中にブロック的に導入される傾向がある。そのため、共重合化合物単位の含有率が少ない場合には、十分に融点を低下させる効果が得られず、該共重合体を溶融成形加工時する際の着色を改善する効果が未だ不十分であった。
一方、更に融点を低下させるために共重合単位である乳酸単位の含有率を増加させた場合には、グリコール酸共重合体の特性であるガスバリアー性が低下する傾向があった。
その他、開環重合重合法によるグリコール酸共重合体の製造法として、グリコリドとε−カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、p−ジオキサノン、グリコール酸とリンゴ酸エステル類との環状2量体エステル等の共重合化合物とを共重合する方法が提案されている(特許文献3、4、5、6参照)。
一方、別の重合法として、主としてグリコール酸及び/又はその誘導体を重縮合させる方法がある。重縮合法は、開環重合法に比べて、製造工程数が少なく工業的に有利である。更に、得られるグリコール酸共重合体としては、共重合化合物単位を樹脂1次構造中にランダムに導入することが可能で、少量の共重合化合物単位の導入により大きく融点を低下させる等、樹脂特性を改善する効果が大きい。このため、これまでに種々の検討がなされ、この重合方法によって製造されるグリコール酸共重合体が開示されている。
例えば、特許文献7には、グリコール酸及びカルボキシル基を1分子中に2個以上含有するポリカルボン酸から得られる共重合体が開示されている。しかし、重量平均分子量5万以上の高分子量体に関する記載は一切無い。
例えば、特許文献8には、ヒドロキシカルボン酸単位と脂肪族ジカルボン酸単位、更に、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロック共重合体単位とからなる重量平均分子量が5万から100万の共重合体が提案されている。また、特許文献9には脂肪族ヒドロキシカルボン酸単位と脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位とからなる数平均分子量が1万から10万の脂肪族ポリエステル共重合体が提案されている。前記の特許文献8及び9には、いずれもヒドロキシカルボン酸単位として乳酸単位を用いた場合の共重合体が例示され、繊維やシート等へ成形加工した例が示されているが、グリコール酸を多く含む共重合体の場合には、共重合体の熱安定性はいずれも十分ではなく、溶融成形加工する際に著しく着色する傾向があった。
また、グリコール単位とグリコール酸単位及び/又は乳酸単位よりなり、溶液粘度が0.35以上である脂肪族ポリエステル(例えば、特許文献10参照)、等が提案されているが、溶融成形加工時の樹脂の熱安定性は低く、溶融成形加工時の着色が著しいものであった。
更に、ポリグリコール酸、又はグリコリドとラクチドとの共重合体[a]と、ジグリコール酸単位とジオール化合物単位とからなるポリエステル[b]とをエステル交換反応([b]の含有量は、全質量に対して2〜50質量%)して得られる共重合体(例えば、特許文献11参照)が提案されているが、グリコール酸単位を多く含む共重合体の場合には、得られる樹脂の熱安定性は低く、特に、溶融成型加工時に著しく着色する傾向があった。
一方、グリコール酸及び/又はその誘導体を原料として、グリコール酸共重合体を製造する方法についても、いくつか提案されている。
例えば、特許文献12には、ヒドロキシカルボン酸又はそのオリゴマーを、無機固体酸触媒とアルカリ金属土類系化合物触媒の存在下で重縮合させることにより、重量平均分子量が5万以上のポリヒドロキシカルボン酸の製造方法が開示されている。しかし、得られるポリヒドロキシカルボン酸も淡褐色に着色しており、品質上の問題がある。該ポリヒドロキシカルボン酸の熱安定性は低く、溶融成形加工時の着色が著しいものであった。
特許文献13には、グリコール酸メチルの加水分解物を重縮合してプレポリマーを生成させ、次いで、得られたプレポリマーを固相重合する高分子量ポリグリコール酸の製造方法が開示されているが、得られる樹脂の熱安定性は低く、溶融成型加工時の着色も著しいものであった。
このように、グリコール酸単位を多く含むグリコール酸共重合体において、溶融成形加工時の着色抑制に優れ、更に、得られる成形体が高い機械強度と高いガスバリアー性を有する、高分子量グリコール酸共重合体は全く知られていなかった。
特開昭56−157422号公報 特開昭48−62899号公報 特開平3−269013号公報 特公昭63−47731号公報 特開平9−12689号公報 特開平2−209918号公報 特表平7−501102号公報 特開平11−255873号公報 特開平8−3296号公報 特開平1−156319号公報 特開昭52−147691号公報 特再平09−808220号公報 特開平11−130847号公報
本発明の目的は、高い熱安定性を有し、高い温度における溶融成形加工時において、着色が少なく、優れた品質を有し、溶融成形加工によって得られる成形体が高いガスバリアー性と十分な機械強度を有する高分子量グリコール酸共重合体、及び工業的に簡便な方法により、前記共重合体を効率よく製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、グリコール酸及び/又はその誘導体を原料として、溶融条件下で重縮合してグリコール酸共重合体を製造する際に、その重縮合初期に化学式(1)で示される副反応によってジグリコール酸単位が形成されること、及び製造条件によってグリコール酸共重合体中の前記ジグリコール酸単位の含有率が大きく変動することを見出した。
Figure 0004540321
更に、得られるグリコール酸共重合体の1次構造と、熱安定性及び共重合体のガスバリアー性との関係について鋭意検討した結果、グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位を特定量含むと共に、ジグリコール酸単位の含有率を特定量以下に低減させた共重合体であって、その重量平均分子量が50,000以上である共重合体が上記課題を解決することを見出した。
そして、グリコール酸及び/又はその誘導体を原料として、溶融条件下で重縮合してグリコール酸共重合体を製造する際に、特定の分子量までの反応条件を特定の条件範囲内として重縮合を行うことにより、共重合体中に形成されるジグリコール酸単位の含有率が大幅、かつ、安定的に低減された高分子量グリコール酸共重合体が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
(1) 重量平均分子量50,000以上、かつ、グリコール酸単位含有率80モル%以上95モル%未満のグリコール酸共重合体であって、下記[1]及び[2]を満たすことを特徴とするグリコール酸共重合体。
[1]グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位を5.0モル%以上20.0モル%以下含有し、グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位の平均連鎖長が1.00以上1.50以下
[2]ジグリコール酸単位含有率が0又は0.10モル%以下
(2) グリコール酸共重合体の重量平均分子量が80,000以上であることを特徴とする(1)に記載のグリコール酸共重合体。
(3) ジグリコール酸単位含有率が0を越え、0.09モル%以下であることを特徴とする(1)又は(2)に記載のグリコール酸共重合体。
(4) グリコール酸共重合体の重量平均分子量が100,000以上であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1つに記載のグリコール酸共重合体。
(5) グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位の平均連鎖長が1.00以上1.20以下であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1つに記載のグリコール酸共重合体。
(6) グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位が、モノヒドロキシモノカルボン酸であることを特徴する(1)〜(5)のいずれか1つに記載のグリコール酸共重合体。
(7) 少なくともポリオール単位を含むことを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1つに記載のグリコール酸共重合体。
(8) ポリオール単位が、炭素数3以上のジオール単位、及び1分子中に水酸基を3個以上有する炭素数4以上の化合物単位から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする(7)に記載のグリコール酸共重合体。
(9) ポリオール単位が、炭素数が5以上の化合物単位から選ばれることを特徴とする(8)に記載のグリコール酸共重合体。
(10)ポリオール単位がネオペンチルグリコール単位であることを特徴とする(9)に記載のグリコール酸共重合体。
(11)グリコール酸共重合体中のポリオール単位の含有率の総和が、2.0モル%未満であることを特徴とする(7)〜(10)のいずれか1項に記載のグリコール酸共重合体。
(12)更に、グリコール酸共重合体がポリカルボン酸単位を含み、ポリオール単位及びポリカルボン酸単位の含有率の総和が2.0モル%未満であることを特徴とする(11)に記載のグリコール酸共重合体。
(13)
ポリオール単位及びポリカルボン酸単位の含有率の総和が0.02モル%を超え2.0モル%未満、かつ、ポリオール単位の含有率が0.02モル%以上2.0モル%未満であることを特徴とする(12)に記載のグリコール酸共重合体。
14)グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位が、乳酸及び/又は6−ヒドロキシヘキサノイックアシッド単位であることを特徴とする(1)に記載のグリコール酸共重合体。
15)グリコール酸及び/又はその誘導体と、グリコール酸及び/又はその誘導体と共重合可能な化合物とを出発原料として、重縮合して得られることを特徴とする(1)〜(14)のいずれか1つに記載のグリコール酸共重合体。
16) グリコール酸及び/又はその誘導体と、グリコール酸以外のヒドロキシカルボン酸及び/又はその誘導体を含む、前記グリコール酸及び/又はその誘導体と共重合可能な化合物、とからなる原料を用いて、重縮合によりグリコール酸共重合体を製造する方法であって、下記の[工程(A)、(B)及び(C)]を含むことを特徴とするグリコール
酸共重合体の製造方法。
(A)原料を20℃以上160℃以下の範囲の反応温度で重縮合反応を行わせることによって、重量平均分子量700以上5,000以下のグリコール酸共重合体を製造する工程
[工程(A)]。
(B)[工程(A)]に引き続き、反応温度を100分以内に190℃まで昇温する工程
[工程(B)]。
(C)[工程(B)]に引き続き、190℃以上300℃以下の範囲の反応温度で重縮合反応を行わせて、重量平均分子量10,000以上のグリコール酸共重合体を製造する際に、グリコール酸共重合体の重量平均分子量が10,000に達するまでの重量平均分子量の増加量が、1時間あたり1,000以上となる条件下で重縮合反応を行わせる工程[工程(C)]。
17)(16)に記載の方法によって得られたグリコール酸共重合体を、更に190℃以上300℃以下の範囲の反応温度で重縮合することを特徴とする(1)〜(15)のいずれか1つに記載のグリコール酸共重合体の製造方法。
18)グリコール酸及び/又はその誘導体と、グリコール酸以外のヒドロキシカルボン酸及び/又はその誘導体と、必要に応じて、ポリオール、ポリカルボン酸及び/又はその誘導体を含む原料を用いて、重縮合によりグリコール酸共重合体を製造するに際して、下記数式(1)、(2)及び(3)を満足する原料を用いることを特徴とする(16)に記載のグリコール酸共重合体の製造方法。
Figure 0004540321
Figure 0004540321
Figure 0004540321
(ただし、式中の[X−1]はグリコール酸及び/又はその誘導体の換算モル比、[X−2]はグリコール酸以外のヒドロキシカルボン酸及び/又はその誘導体の換算モル比、[X−3]、[X−4]は必要に応じて用いるポリオール、ポリカルボン酸及び/又はその誘導体の換算モル比を表し、[X−3]と[X−4]は独立して0であってもよい。)
19)少なくともポリオール単位を含み、下記数式(4)、(5)を満足する原料を用いることを特徴とする(18)に記載のグリコール酸共重合体の製造方法。
Figure 0004540321
Figure 0004540321
(ただし、[X−1]、[X−2]、[X−3]及び[X−4]は、上記と同じ。[X−4]は0であってもよい。)
20)ポリオール単位及びポリカルボン酸単位を含むグリコール酸共重合体を製造する方法において、下記数式(6)、(7)を満足する(18)に記載のグリコール酸共重合体の製造方法。
Figure 0004540321
Figure 0004540321
(ただし、[X−1]、[X−2]、[X−3]及び[X−4]は、上記と同じ。[X−4]は0であってもよい。)
21)少なくともポリオール単位を含み、下記数式(8)を満足する原料を用いることを特徴とする(18)に記載のグリコール酸共重合体の製造方法。
Figure 0004540321
(ただし、[X−1]、[X−2]、[X−3]及び[X−4]は、上記と同じ。[X−4]は0であってもよい。)
22)(16)に記載の方法により製造されたグリコール酸共重合体を結晶化させ、固体状態を維持する温度で固相重合させることを特徴とする(1)〜(15)のいずれか1つに記載のグリコール酸共重合体の製造方法。
23)(1)〜(15)のいずれか1つに記載のグリコール酸共重合体から得られる成形体。
本発明のグリコール酸共重合体は、溶融成形加工時において高い熱安定性を有し、高い温度における溶融成形加工においても着色が少なく、高い品質を維持することが可能である。また、本発明のグリコール酸共重合体を溶融成形加工して得られる成形体は、高いガスバリアー性と高い機械強度を有すると共に、生分解性を有する。そのため、例えば、シート、フィルム、多層フィルム、射出成形物、発泡体、中空容器、多層中空容器、繊維等の各種成形体等の材料として好適である。
本発明のグリコール酸共重合体の分子量は、重量平均分子量が50,000以上である。重量平均分子量が50,000未満の場合には、延伸されたフィルムにおいても実用的な強度が不十分である。未延伸のフィルムやシート等の成形品の強度が十分に得られることから、重量平均分子量としては80,000以上が好ましく、100,000以上がより好ましい。重量平均分子量の上限には制限はないが、成形加工時の流動性を考慮すると、好ましくは1,000,000以下、より好ましくは、700,000以下、最も好ましくは500,000以下である。
本発明において、グリコール酸共重合体の重量平均分子量(Mw)は、80mMのトリフルオロ酢酸ナトリウムを溶解したヘキサフルオロイソプロパノールを溶離液とする、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析法により算出される値のことをいう。具体的には、分子量既知の単分散ポリメタクリル酸メチル及びメタクリル酸メチルモノマーを標準物質とし、RI検出による溶出時間から求めた検量線を予め作成し、グリコール酸共重合体の溶出時間から重量平均分子量(Mw)を算出することによって得られる値である。
一般的に、GPC測定法により重量平均分子量や数平均分子量等の分子量が測定される。しかし、グリコール酸単位を、概ね80モル%以上含有する重合体又は共重合体の分子量を、この重合体又は共重合体が可溶なヘキサフルオロイソプロパノールを溶離液とし、更に、単分散ポリメタクリル酸メチルと、必要に応じて、メタクリル酸メチルモノマーを標準物質として測定する際には、溶離液中のトリフルオロ酢酸ナトリウムの有無、又は溶離液中のトリフルオロ酢酸ナトリウムの濃度によって、得られる分子量測定値が大きく変動する。具体的には、トリフルオロ酢酸ナトリウムを含有しない溶離液、又はこの化合物の添加量が少ない溶離液を用いてGPC測定する場合には、分子量測定値が著しく大きいか、再現性のない値となる。
本発明のグリコール酸共重合体中に含まれるグリコール酸単位の含有率は80モル%以上95モル%未満、好ましくは82モル%以上95モル%未満、より好ましくは83モル%以上94モル%以下、最も好ましくは85モル%以上93モル%以下の範囲である。グリコール酸単位の含有率が80モル%未満の場合には、共重合体のガスバリアー性が不十分であると共に、共重合体を溶融成形して得られる成形体の強度や弾性率等の機械的物性が不十分であり、グリコール酸単位の含有率が95モル%以上の場合には、熱安定性が著しく低下し、溶融成形加工時における着色が顕著となる。
本発明のグリコール酸共重合体は、グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位を5.0モル%以上20.0モル%以下含有し、グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位の平均連鎖長が1.00以上1.50以下、好ましくは1.00以上1.20以下、より好ましくは1.00以上1.10以下、更に好ましくは1.00以上1.07、最も好ましくは1.00以上1.05以下である。
グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位の含有率が5.0モル%未満の場合には、共重合体の熱安定性が低下し、溶融成形加工時における着色が顕著となる。
平均連鎖長γが1.50を越える場合は、共重合化合物がブロック的に導入されていることを示しており、共重合によるグリコール酸共重合体の融点低下効果が不十分なために、成形加工性を悪化させ、更には、グリコール酸共重合体のガスバリアー性の低下をきたす。平均連鎖長の最小値は、通常、1.00である。
グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位の平均連鎖長とは、ヘキサフルオロイソプロパノールを溶媒とし、核オーバハウザー効果を消去したプロトン完全デカップルの条件における13C−NMR測定法により得られるカルボニル基のスペクトルパターンから算出される積分値を元に、計算により求めたグリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位の平均連鎖長(以下、γ、と標記する)の値のことをいう。
具体的には、前記方法により測定して得られた、グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位が隣り合った2連鎖由来のカルボニル基のピークの積分値をαとし、グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位とグリコール酸単位とが隣り合った2連鎖由来のカルボニル基のピークの積分値、及びグリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位とヒドロキシカルボン酸単位を除くその他の単位構造とが隣り合った2連鎖由来のカルボニル基のピークの積分値の総和をβとして、数式(9)によって算出される値γのことを言う。
Figure 0004540321
2種以上の、グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位を有する場合には、グリコール酸単位以外の2種以上のヒドロキシカルボン酸単位が隣り合った2連鎖を、グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位の2連鎖として計算する。
グリコール酸共重合体に共重合されるグリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位としては、グリコール酸単位以外の脂肪族モノヒドロキシカルボン酸単位、脂肪族多価ヒドロキシモノカルボン酸単位、脂肪族モノヒドロキシ多価カルボン酸単位、脂肪族多価ヒドロキシ多価カルボン酸単位、芳香族モノヒドロキシモノカルボン酸単位、芳香族多価ヒドロキシモノカルボン酸単位、芳香族モノヒドロキシ多価カルボン酸単位、芳香族多価ヒドロキシ多価カルボン酸単位、及びヘテロ原子を含むヒドロキシカルボン酸単位からなる郡より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
このような単位として、例えば、乳酸単位、2−ヒドロキシブタノイックアシッド単位、2 −ヒドロキシペンタノイックアシッド単位、2−ヒドロキシヘキサノイックアシッド単位、2−ヒドロキシヘプタノイッ クアシッド単位、2−ヒドロキシオクタノイックアシッド単位、 2−ヒドロキシ−2−メチルプロパノイックアシッド単位、 2−ヒドロキシ−2−メチルブタノイックアシッド単位、2 −ヒドロキシ−2−エチルブタノイックアシッド単位、2− ヒドロキシ−2−メチルペンタノイックアシッド単位、2− ヒドロキシ−2−エチルペンタノイックアシッド単位、2− ヒドロキシ−2−プロピルペンタノイックアシッド単位、2 −ヒドロキシ−2−ブチルペンタノイックアシッド単位、2 −ヒドロキシ−2−メチルヘキサノイックアシッド単位、2 −ヒドロキシ−2−エチルヘキサノイックアシッド単位、2 −ヒドロキシ−2−プロピルヘキサノイックアシッド単位、 2−ヒドロキシ−2−ブチルヘキサノイックアシッド単位、 2−ヒドロキシ−2−ペンチルヘキサノイックアシッド単位、2−ヒドロキシ−2−メチルヘプタノイックアシッド単位、2−ヒドロキシ−2−メチルヘプタノイックアシッド単位、2−ヒドロキシ−2−エチルヘプタノイックアシッド単位、2−ヒドロキシ−2−プロピルヘプタニックアシッド単位、2−ヒドロキシ−2−ブチルヘプタノイックアシッド単位、2−ヒドロキシ−2−ペンチルヘプタノイックアシッド単位、2−ヒドロキシ−2−ヘキシルヘプタノイックアシッド単位、2−ヒドロキシ−2−メチルオクタノイックアシッド単位、2−ヒドロキシ−2−エチルオクタノイックアシッド単位、2−ヒドロキシ−2−プロピルオクタノイックアシッド単位、2−ヒドロキシ−2−ブチルオクタノイックアシッド単位、2−ヒドロキシ−2−ペンチルオクタノイックアシッド単位、2−ヒドロキシ−2−ヘキシルオクタノイックアシッド単位、2−ヒドロキシ−2−ヘプチルオクタノイックアシッド単位、3−ヒドロキシプロパノイックアシッド単位、3−ヒドロキシブタノイックアシッド単位、3−ヒドロキシペンタノイックアシッド単位、3−ヒドロキシヘキサノイックアシッド単位、3−ヒドロキシヘプタノイックアシッド単位、3−ヒドロキシオクタノイックアシッド単位、3−ヒドロキシ−3−メチルブタノイックアシッド単位、3−ヒドロキシ−3−メチルペンタノイックアシッド単位、3−ヒドロキシ−3−エチルペンタノイックアシッド単位、3−ヒドロキシ−3−メチルヘキサノイックアシッド単位、3−ヒドロキシ−3−エチルヘキサノイックアシッド単位、3−ヒドロキシ−3−プロピルヘキサノイックアシッド単位、3−ヒドロキシ−3−メチルヘプタノイックアシッド単位、3−ヒドロキシ−3−エチルヘプタノイックアシッド単位、3−ヒドロキシ−3−プロピルヘプタノイックアシッド単位、3−ヒドロキシ−3−ブチルヘプタノイックアシッド単位、3−ヒドロキシ−3−メチルオクタノイックアシッド単位、3−ヒドロキシ−3−エチルオクタノイックアシッド単位、3−ヒドロキシ−3−プロピルオクタノイックアシッド単位、3− ヒドロキシ−3−ブチルオクタノイックアシッド単位、3− ヒドロキシ−3−ペンチルオクタノイックアシッド単位、4 −ヒドロキシブタノイックアシッド単位、4−ヒドロキシペンタノイックアシッド単位、4−ヒドロキシヘキサノイックアシッド単位、4−ヒドロキシヘプタノイックアシッド単位、4 −ヒドロキシオクタノイックアシッド単位、4−ヒドロキシ−4−メチルペンタノイックアシッド単位、4−ヒドロキシ−4−メチルヘキサノイックアシッド単位、4−ヒドロキシ −4−エチルヘキサノイックアシッド単位、4−ヒドロキシ−4−メチルヘプタノイックアシッド単位、4−ヒドロキシ−4−エチルヘプタノイックアシッド単位、4−ヒドロキシ−4−プロピルヘプタノイックアシッド単位、4−ヒドロキシ−4−メチルオクタノイックアシッド単位、4−ヒドロキシ−4−エチルオクタノイックアシッド単位、4−ヒドロキシ−4−プロピルオクタノイックアシッド単位、4−ヒドロキシ−4−ブチルオクタノイックアシッド単位、5−ヒドロキシペンタノイックアシッド単位、5−ヒドロキシヘキサノイックアシッド単位、5−ヒドロキシヘプタノイックアシッド単位、5−ヒドロキシオクタノイックアシッド単位、5−ヒドロキシ−5−メチルヘキサノイックアシッド単位、5−ヒドロキシ−5−メチルヘプタノイックアシッド単位、5−ヒドロキシ−5−エチルヘプタノイックアシッド単位、5−ヒドロキシ−5−メチルオクタノイックアシッド単位、5−ヒドロキシ−5−エチルオクタノイックアシッド単位、5−ヒドロキシ−5−プロピルオクタノイックアシッド単位、6−ヒ ドロキシヘキサノイックアシッド単位、6−ヒドロキシヘプタノイックアシッド単位、6−ヒドロキシオクタノイックアシッド単位、6−ヒドロキシ−6−メチルヘプタノイックアシッド単位、6−ヒドロキシ−6−メチルオクタノイックアシッド単位、6−ヒドロキシ−6−エチルオクタノイックアシッド単位、7−ヒドロキシヘプタノイックアシッド単位、7−ヒドロキシオクタノイックアシッド単位、7−ヒドロキシ− 7−メチルオクタノイックアシッド単位、8−ヒドロキシオクタノイックアシッド単位、12−ヒドロキシステアリックアシッド単位、16−ヒドロキシヘキサデカノイックアシッド単位等の脂肪族モノヒドロキシモノカルボン酸単位、グリセリン酸単位、アラボン酸単位、マンノン酸単位、ガラクトン酸単位等の脂肪族多価ヒドロキシモノカルボン酸単位、リンゴ酸単位、クエン酸単位等の脂肪族モノヒドロキシ多価カルボン酸単位、ジグリセリン酸単位、マンノ糖酸単位等の脂肪族多価ヒドロキシ多価カルボン酸単位、ヒドロキシ安息香酸単位等の芳香族モノヒドロキシモノカルボン酸単位、2,3−ジヒドロキシ安息香酸単位、2,4−ジヒドロキシ安息香酸単位、2,5−ジヒドロキシ安息香酸単位、2,6−ジヒドロキシ安息香酸単位、3,4−ジヒドロキシ安息香酸単位、3,5−ジヒドロキシ安息香酸単位等の芳香族多価ヒドロキシモノカルボン酸単位、4−ヒドロキシイソフタル酸単位、5−ヒドロキシイソフタル酸単位等の芳香族モノヒドロキシ多価カルボン酸単位、2,5−ジヒドロキシテレフタル酸単位等の芳香族多価ヒドロキシ多価カルボン酸単位等が挙げられる。
更には、ヘテロ原子を含むヒドロキシカルボン酸単位、例えば、2−ヒドロキシエトキシ酢酸単位、2−ヒドロキシプロポキシ酢酸単位等が挙げられる。これらの内、単位構造内に不斉炭素を有するものに関しては、D体、L体又はこれらの混合物を用いることができる。また、これらを単独、又は2種以上を混合して用いることも可能である。
これらの内、吸水率の増加を抑制し、加水分解速度が低減される、又は延伸性等の加工性に優れ、柔軟性を有する成形体が得られることから、好ましくはモノヒドロキシモノカルボン酸単位が用いられ、より好ましくは、脂肪族モノヒドロキシモノカルボン酸単位、より好ましくは、乳酸単位、3−ヒドロキシブチリックアシッド単位、4−ヒドロキシブチリックアシッド単位、3−ヒドロキシバレリックアシッド単位、6−ヒドロキシヘキサノイックアシッド単位、12−ヒドロキシステアリックアシッド単位、16−ヒドロキシヘキサデカノイックアシッド単位、又はこれらの混合単位が用いられ、原料入手の容易性から、更に好ましくは、乳酸単位、6−ヒドロキシヘキサノイックアシッド単位又はこれらの混合単位が用いられ、最も好ましくは、乳酸単位が用いられる。
本発明のグリコール酸共重合体のジグリコール酸単位含有率は0又は0.10モル%以下、好ましくは0を越え0.10モル%以下、より好ましくは0を越え0.09モル%以下、最も好ましくは0.01以上0.08モル%以下の範囲である。
共重合体中のジグリコール酸単位の含有率が0.10モル%を越える場合には、成形加工時における樹脂の熱安定性又は耐熱エージング性が低下する。グリコール酸及び/又はその誘導体と、グリコール酸及び/又はその誘導体と共重合可能な化合物とを出発原料として、重縮合してグリコール酸共重合体を得た場合、通常、重縮合反応過程でジグリコール酸単位が生成する。したがって、グリコール酸共重合体中のジグリコール酸単位の含有率は、通常、0を越える値である。
本発明において、グリコール酸共重合体中のジグリコール酸単位の含有率は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析装置を用い、以下の条件により求める。
すなわち、粉砕後に、真空条件下、80℃で6時間乾燥したグリコール酸共重合体5gを秤量し、室温で20mlの8N-NaOH水溶液10mlにて48時間加水分解し、濃塩酸水溶液12.5mlで酸性条件とした水溶液をサンプル溶液とする。サンプル水溶液を、0.75質量%の燐酸水溶液を溶離液として、カラム温度40℃、溶離液流量1ml/分の条件下でカラム(カラム構成は、昭和電工(株)製RSpak(登録商標)KC-811を2本直列で接続したものからなる)を通し、UVディテクター(波長210nm)により検出された、対応するジグリコール酸に相当するピークの吸光度を測定し、別途作成した該当するジグリコール酸の検量線を用いて、乾燥して秤量した該樹脂に対して存在するジグリコール酸単位の含有率をモル%として算出することによって得られた値である。
本発明のグリコール酸共重合体には、グリコール酸単位、グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位及びジグリコール酸単位以外に、その他の共重合単位として、本発明を逸脱しない範囲の量のポリオール単位及び/又はジグリコール酸単位以外のポリカルボン酸単位を共重合することが可能である。
本発明において、特に断らない限り、ポリカルボン酸単位にはジグリコール酸単位が、含まれていてもよい。
本発明の共重合単位として用いられるポリオール単位は、水酸基を2個以上含むものであり、炭素数2〜20のものが好ましい。グリコール酸共重合体が、(a)グリコール酸単位、(b)グリコール酸以外のヒドロキシカルボン酸単位、(c)ジグリコール酸単位、(d)ポリオール単位からなる場合、ポリオール単位の量としては、前記(a)、(b)、(c)、(d)の合計量に対して0を越え0.25モル%以下であることが好ましく、0.02モル%以上0.20モル%以下であることが更に好ましい。このようなポリオール単位として、例えば、エチレングリコール単位、1,3−プロパンジオール単位、1,2−プロパンジオール単位、1,4−ブタンジオール単位、2,3−ブタンジオール単位、1,5−ペンタンジオール単位、1,6−ヘキサンジオール単位、1,7−ヘプタンジオール単位、1,8−オクタンジオール単位、1,9−ノナンジオール単位、1,10−デカンジオール単位、1,12−ドデカンジオール単位、1,4−シクロヘキサンジオール単位、1,2−シクロヘキサンジオール単位、1,3−シクロヘキサンジオール単位、ネオペンチルグリコール単位等の脂肪族ジオール単位、ビスフェノールA単位、カテコール単位、レソルシノール単位、1,2−ベンゼンジメタノール単位、1,3−ベンゼンジメタノール単位、1,4−ベンゼンジメタノール単位等の芳香族ジオール単位、更に、ヘテロ原子を含むジオール単位、例えば、ジエチレングリコール単位、トリエチレングリコール単位、テトラエチレングリコール単位等が、更に、グリセリン単位、1,2,4−ブタントリオール単位、トリメチロールエタン単位、トリメチロールプロパン単位、ブタン−1,2,3−トリオール単位等の脂肪族トリオール単位、1,2,4−ベンゼントリオール単位、1,3,5−ベンゼントリオール単位等の芳香族トリオール単位、澱粉単位、グルコース単位、セルロース単位、ヘミセルロース単位、キシロース単位、アラビノース単位、マンノース単位、ガラクトース単位、キシリトール単位、アラビニトール単位、マンニトール単位、ガラクチトール単位、ペンタエリスリトール単位、キチン単位、キトサン単位、デキストリン単位、デキストラン単位、カルボキシメチルセルロース単位、アミロペクチン単位、グリコーゲン単位等の糖類単位が挙げられる。これらは単独で、又は二種以上混合して用いることができる。不斉炭素原子を有し、光学異性体が存在する化合物の場合には、そのいずれをも用いることができる。
これらの内、溶融成形時の熱安定性、又は耐熱エージング性等を考慮すると、ジオール単位としては、炭素数3以上の化合物単位、例えば、1,3−プロパンジオール単位、1,2−プロパンジオール単位、1,4−ブタンジオール単位、2,3−ブタンジオール単位、1,5−ペンタンジオール単位、1,6−ヘキサンジオール単位、1,7−ヘプタンジオール単位、1,8−オクタンジオール単位、1,9−ノナンジオール単位、1,10−デカンジオール単位、1,12−ドデカンジオール単位、1,4−シクロヘキサンジオール単位、1,2−シクロヘキサンジオール単位、1,3−シクロヘキサンジオール単位、ネオペンチルグリコール単位等の脂肪族ジオール単位、ビスフェノールA単位、カテコール単位、レソルシノール単位、1,2−ベンゼンジメタノール単位、1,3−ベンゼンジメタノール単位、1,4−ベンゼンジメタノール単位等の芳香族ジオール単位が、より好ましく用いられる。
溶融成形時の熱安定性、又は耐熱エージング性に加えて、柔軟性を有する成形体が得られることから、より好ましくは、1,3−プロパンジオール単位、1,2−プロパンジオール単位、1,4−ブタンジオール単位、2,3−ブタンジオール単位、1,5−ペンタンジオール単位、1,6−ヘキサンジオール単位、1,7−ヘプタンジオール単位、1,8−オクタンジオール単位、1,9−ノナンジオール単位、1,10−デカンジオール単位、1,12−ドデカンジオール単位、1,4−シクロヘキサンジオール単位、1,2−シクロヘキサンジオール単位、1,3−シクロヘキサンジオール単位、ネオペンチルグリコール単位等の脂肪族ジオール単位が用いられる。
1分子中に水酸基を3個以上有する単位は、共重合体の溶融張力を高めるために含有され、その効果を安定して発現させるためには、炭素数4以上の化合物単位、例えば、1,2,4−ブタントリオール単位、トリメチロールエタン単位、トリメチロールプロパン単位、ブタン−1,2,3−トリオール単位等の脂肪族トリオール単位、1,2,4−ベンゼントリオール単位、1,3,5−ベンゼントリオール単位等の芳香族トリオール単位、キシリトール単位、アラビニトール単位、マンニトール単位、ガラクチトール単位、ペンタエリスリトール単位等の糖類単位が、より好ましく用いられる。
これらのポリオール単位の内、より好ましくは、炭素数が5以上であって、1分子中に水酸基を2又は3個有するポリオール単位、例えば、1,5−ペンタンジオール単位、1,6−ヘキサンジオール単位、1,7−ヘプタンジオール単位、1,8−オクタンジオール単位、1,9−ノナンジオール単位、1,10−デカンジオール単位、1,12−ドデカンジオール単位、1,4−シクロヘキサンジオール単位、1,2−シクロヘキサンジオール単位、1,3−シクロヘキサンジオール単位、ネオペンチルグリコール単位等の脂肪族ジオール単位、更に、トリメチロールエタン単位、トリメチロールプロパン単位等の脂肪族トリオール単位が用いられる。これらのポリオール単位の内、最も好ましくは、ネオペンチルグリコール単位が用いられる。
本発明のグリコール酸共重合体には、グリコール酸単位、グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位及びジグリコール酸単位以外に、その他の共重合単位として、本発明の範囲を逸脱しない範囲の量のジグリコール酸単位以外のポリカルボン酸単位を共重合することも可能である。
その他の共重合単位として用いられるジグリコール酸単位以外のポリカルボン酸単位は、カルボキシル基を2個以上含むものであり、炭素数が2〜20のジグリコール酸単位以外のポリカルボン酸単位が好ましい。グリコール酸共重合体が、(a)グリコール酸単位、(b)グリコール酸以外のヒドロキシカルボン酸単位、(c)ジグリコール酸単位、(e)ジグリコール酸単位以外のポリカルボン酸単位からなる場合、ジグリコール酸単位以外のポリカルボン酸単位の量としては、前記(a)、(b)、(c)、(e)の合計量に対して0を越え0.15モル%以下であることが好ましく、0を越え0.10モル%以下であることが更に好ましい。
このようなジグリコール酸単位以外のポリカルボン酸単位として、例えば、シュウ酸単位、マロン酸単位、グルタル酸単位、コハク酸単位、アジピン酸単位、ピメリン酸単位、スベリン酸単位、アゼライン酸単位、セバシン酸単位、ウンデカン二酸単位、ドデカン二酸単位、フマル酸単位、マレイン酸単位、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸単位等の脂肪族ジカルボン酸単位、フタル酸単位、イソフタル酸単位、テレフタル酸単位等の芳香族ジカルボン酸単位、プロパントリカルボン酸単位、トリメリット酸単位、ピロメリット酸単位、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸単位等の脂肪族トリカルボン酸単位、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸単位、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸単位、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸単位等の芳香族トリカルボン酸単位、エチレンジアミン四酢酸単位等の1分子中のカルボキシル基が4以上含有されるカルボン酸単位等が挙げられる。これらは単独、又は2種以上混合して用いることができる。
これらのポリカルボン酸単位の内、より好ましくは、シュウ酸単位、マロン酸単位、グルタル酸単位、コハク酸単位、アジピン酸単位、ピメリン酸単位、スベリン酸単位、アゼライン酸単位、セバシン酸単位、ウンデカン二酸単位、ドデカン二酸単位、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸単位等の脂肪族ジカルボン酸単位、フタル酸単位、イソフタル酸単位、テレフタル酸単位等の芳香族ジカルボン酸単位、プロパントリカルボン酸単位、トリメリット酸単位、ピロメリット酸単位、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸単位等の脂肪族トリカルボン酸単位、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸単位、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸単位、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸単位等の芳香族トリカルボン酸単位が用いられる。
最も好ましくは、柔軟性を有する成形体が得られることから、シュウ酸単位、マロン酸単位、グルタル酸単位、コハク酸単位、アジピン酸単位、ピメリン酸単位、スベリン酸単位、アゼライン酸単位、セバシン酸単位、ウンデカン二酸単位、ドデカン二酸単位、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸単位等の脂肪族ジカルボン酸単位、プロパントリカルボン酸単位、トリメリット酸単位、ピロメリット酸単位、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸単位等の脂肪族トリカルボン酸単位が用いられる。
更に、本発明の効果を損なわない範囲で、これまでに例示した共重合単位以外の単位を導入することも可能である。このような共重合単位としては、例えば、グリシン単位、(+)−アラニン単位、β−アラニン単位、(−)−アスパラギン単位、(+)−アスパラギン酸単位、(−)−システイン単位、(+)−グルタミンサン単位、(+)−グルタミン単位、(-)−ヒドロキシリシン単位、(−)−ロイシン単位、(+)−イソロイシン単位、(+)−リシン単位、(−)−メチオニン単位、(−)−セリン単位、(−)−トレオニン単位、(+)−バリン単位、アミノ酪酸単位、アザセリン単位、アルギニン単位、エチオニン単位等のアミノ酸単位、例えば、ヒドラジン単位、メチルヒドラジン単位、モノメチレンジアミン単位、ジメチレンジアミン単位、トリメチレンジアミン単位、テトラメチレンジアミン単位、ペンタメチレンジアミン単位、ヘキサメチレンジアミン単位、ヘプタメチレンジアミン単位、オクタメチレンジアミン単位、ノナメチレンジアミン単位、デカメチレンジアミン単位、ウンデカメチレンジアミン単位、ドデカメチレンジアミン単位等の多価アミン単位、例えば、プロパンラクタム単位、α−ピロリドン単位、α−ピペリドン単位、ε−カプロラクタム単位、α−メチル−カプロラクタム単位、β−メチル−カプロラクタム単位、γ−メチル−カプロラクタム単位、δ−メチル−カプロラクタム単位、ε−メチル−カプロラクタム単位、N−メチル−カプロラクタム単位、β,γ−ジメチル−カプロラクタム単位、γ−エチル−カプロラクタム単位、γ−イソプロピル−カプロラクタム単位、ε−イソプロピル−カプロラクタム単位、γ−ブチル-カプロラクタム単位、γ−ヘキサシクロベンジル−カプロラクタム単位、ω−エナントラクタム単位、ω−カプリルラクタム単位、カプリロラクタム単位、ラウロラクタム単位等のラクタム単位、等が挙げられる。これらは単独、又は2種以上混合して用いるができる。不斉炭素原子を有し、光学異性体が存在する化合物の場合には、そのいずれをも用いることができる。
更に、本発明の効果を損なわない範囲で、公知の1単位構造中に2個以上のイソシアネート基及び/又はエポキシ基を有する化合物単位を含有していてもよい。
本発明のグリコール酸共重合体としては、上記に挙げた単位構造の内、(I)グリコール酸単位、グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位、、及びポリオール単位から構成されるグリコール酸共重合体、(II)グリコール酸単位、グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位、ポリオール単位、及びジグリコール酸単位以外のポリカルボン酸単位から構成されるグリコール酸共重合体が好ましい。上記(I)又は(II)のグリコール酸共重合体には、更にジグリコール酸単位が含まれていてもよいが、0又は可及的に少ないことが更に好ましい。前記(I)、(II)の場合には、耐加水分解性が向上する、又は得られる成形体に柔軟性が付与される傾向がある。
ポリオール単位をグリコール酸共重合体の単位構造として有する場合には、前記のポリオール単位の量は、グリコール酸共重合体中に導入されるジグリコール酸単位の量と、必要に応じて単位構造として導入するジグリコール酸単位以外のポリカルボン酸単位の量とを考慮して、各々のヒドロキシル基の合計量とカルボキシル基の合計量との差が、0.10モル%以下でとすることが好ましく、0.04モル%以下とすることがより好ましく、各々のヒドロキシル基の合計量とカルボキシル基の合計量とが実質的に等量とすることが最も好ましい。
本発明のグリコール酸共重合体において、前記(I)、(II)の場合におけるポリオール単位及び/又はポリカルボン酸単位の含有率は、ポリオール単位及びポリカルボン酸単位の含有率の総和が2モル%未満であることが好ましい。ポリオール単位とポリカルボン酸単位の含有率の総和が2.0モル%を越えると、グリコール酸共重合体のガスバリアー性が低下する場合がある。
前記(I)、(II)の場合におけるポリオール単位及び/又はポリカルボン酸単位の含有率は、ポリオール単位及びポリカルボン酸単位の含有率の総和が0.02モル%を越え2.0モル%未満、かつ、ポリオール単位の含有率が0.02モル%以上2.0モル%未満であると、耐加水分解性が向上するため、より好ましい。
また、前記(I)、(II)の場合、多価ヒドロキシモノカルボン酸単位、モノヒドロキシ多価カルボン酸単位、多価ヒドロキシ多価カルボン酸単位、ポリオール単位、ポリカルボン酸単位等の1単位構造中の水酸基及び/又はカルボキシル基の合計量が3以上の化合物単位を含むことが可能であるが、当該1単位構造中の水酸基及び/又はカルボキシル基の合計量が3以上の化合物単位の含有率の総和は、延伸性等の加工性を考慮すると、0.07モル%以下が好ましく、0.05モル%以下がより好ましく、0.03モル%以下が更に好ましく、0.02モル%以下が最も好ましい。
本発明のグリコール酸共重合体の末端分子構造は限定されないが、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アシル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基等が挙げられる。
次に、本発明のグリコール酸共重合体の製造方法の例を説明するが、本発明の共重合体の製造法はこれに限定されるものではない。
本発明のグリコール酸共重合体は、グリコール酸及び/又はその誘導体と、グリコール酸以外のヒドロキシカルボン酸及び/又はその誘導体を含む、前記グリコール酸及び/又はその誘導体と共重合可能な化合物、とからなる原料を用いて、下記の[工程(A)、(B)及び(C)]の工程を含む重縮合によりグリコール酸共重合体を製造することができる。
(A)原料を20℃以上160℃以下の範囲の反応温度で重縮合反応を行わせることによって、重量平均分子量700以上5,000以下のグリコール酸共重合体を製造する工程[工程(A)]。
(B)[工程(A)]に引き続き、反応温度を100分以内に190℃まで昇温する工程[工程(B)]。
(C)[工程(B)]に引き続き、190℃以上300℃以下の範囲の反応温度で重縮合反応を行わせて、重量平均分子量10,000以上のグリコール酸共重合体を製造する際に、グリコール酸共重合体の重量平均分子量が10,000に達するまでの重量平均分子量の増加量が、1時間あたり1,000以上となる条件下で重縮合反応を行わせる工程[工程(C)]。
以下に、本発明において用いる原料について説明する。
本発明において、原料として用いられるグリコール酸とは、グリコール酸の単量体又はそのオリゴマーである。オリゴマーの重量平均分子量は、本発明におけるグリコール酸共重合体の重量平均分子量の測定法と同様の方法で求めた場合、700未満である。したがって、本発明においては、原料として、グリコール酸、グリコール酸オリゴマー、グリコール酸誘導体及びグリコール酸オリゴマーの誘導体から選ばれた少なくとも1種を用いることができる。
原料として用いられるグリコール酸の誘導体としては、前記のグリコール酸と、炭素数1以上10以下のアルコール、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、オクタノール等とのエステルや、グリコール酸の環状2量体エステルであるグリコリド等が挙げられる。
グリコール酸及び/又はその誘導体を、単独又は二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において原料として用いられるグリコール酸以外のヒドロキシカルボン酸は、グリコール酸以外のヒドロキシカルボン酸の単量体又はそのオリゴマーである。オリゴマーの重量平均分子量は、本発明におけるグリコール酸共重合体の重量平均分子量の測定法と同様の方法で求めた場合、700未満である。したがって、本発明においては、原料として、グリコール酸以外のヒドロキシカルボン酸、グリコール酸以外のヒドロキシカルボン酸オリゴマー、グリコール酸以外のヒドロキシカルボン酸誘導体及びグリコール酸以外のヒドロキシカルボン酸オリゴマー誘導体から選ばれた少なくとも1種を用いることができる。
グリコール酸共重合体に共重合されるグリコール酸以外のヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸以外の脂肪族モノヒドロキシカルボン酸、脂肪族多価ヒドロキシモノカルボン酸、脂肪族モノヒドロキシ多価カルボン酸、脂肪族多価ヒドロキシ多価カルボン酸、芳香族モノヒドロキシモノカルボン酸、芳香族多価ヒドロキシモノカルボン酸、芳香族モノヒドロキシ多価カルボン酸、芳香族多価ヒドロキシ多価カルボン酸、及びヘテロ原子を含むヒドロキシカルボン酸からなる郡より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
このような化合物としては、例えば、乳酸、2−ヒドロキシブタノイックアシッド、2 −ヒドロキシペンタノイックアシッド、2−ヒドロキシヘキサノイックアシッド、2−ヒドロキシヘプタノイッ クアシッド、2−ヒドロキシオクタノイックアシッド、 2−ヒドロキシ−2−メチルプロパノイックアシッド、 2−ヒドロキシ−2−メチルブタノイックアシッド、2 −ヒドロキシ−2−エチルブタノイックアシッド、2− ヒドロキシ−2−メチルペンタノイックアシッド、2− ヒドロキシ−2−エチルペンタノイックアシッド、2− ヒドロキシ−2−プロピルペンタノイックアシッド、2 −ヒドロキシ−2−ブチルペンタノイックアシッド、2 −ヒドロキシ−2−メチルヘキサノイックアシッド、2 −ヒドロキシ−2−エチルヘキサノイックアシッド、2 −ヒドロキシ−2−プロピルヘキサノイックアシッド、 2−ヒドロキシ−2−ブチルヘキサノイックアシッド、 2−ヒドロキシ−2−ペンチルヘキサノイックアシッド、2−ヒドロキシ−2−メチルヘプタノイックアシッド、2−ヒドロキシ−2−メチルヘプタノイックアシッド、2−ヒドロキシ−2−エチルヘプタノイックアシッド、2−ヒドロキシ−2−プロピルヘプタニックアシッド、2−ヒドロキシ−2−ブチルヘプタノイックアシッド、2−ヒドロキシ−2−ペンチルヘプタノイックアシッド、2−ヒドロキシ−2−ヘキシルヘプタノイックアシッド、2−ヒドロキシ−2−メチルオクタノイックアシッド、2−ヒドロキシ−2−エチルオクタノイックアシッド、2−ヒドロキシ−2−プロピルオクタノイックアシッド、2−ヒドロキシ−2−ブチルオクタノイックアシッド、2−ヒドロキシ−2−ペンチルオクタノイックアシッド、2−ヒドロキシ−2−ヘキシルオクタノイックアシッド、2−ヒドロキシ−2−ヘプチルオクタノイックアシッド、3−ヒドロキシプロパノイックアシッド、3−ヒドロキシブタノイックアシッド、3−ヒドロキシペンタノイックアシッド、3−ヒドロキシヘキサノイックアシッド、3−ヒドロキシヘプタノイックアシッド、3−ヒドロキシオクタノイックアシッド、3−ヒドロキシ−3−メチルブタノイックアシッド、3−ヒドロキシ−3−メチルペンタノイックアシッド、3−ヒドロキシ−3−エチルペンタノイックアシッド、3−ヒドロキシ−3−メチルヘキサノイックアシッド、3−ヒドロキシ−3−エチルヘキサノイックアシッド、3−ヒドロキシ−3−プロピルヘキサノイックアシッド、3−ヒドロキシ−3−メチルヘプタノイックアシッド、3−ヒドロキシ−3−エチルヘプタノイックアシッド、3−ヒドロキシ−3−プロピルヘプタノイックアシッド、3−ヒドロキシ−3−ブチルヘプタノイックアシッド、3−ヒドロキシ−3−メチルオクタノイックアシッド、3−ヒドロキシ−3−エチルオクタノイックアシッド、3−ヒドロキシ−3−プロピルオクタノイックアシッド、3− ヒドロキシ−3−ブチルオクタノイックアシッド、3− ヒドロキシ−3−ペンチルオクタノイックアシッド、4 −ヒドロキシブタノイックアシッド、4−ヒドロキシペンタノイックアシッド、4−ヒドロキシヘキサノイックアシッド、4−ヒドロキシヘプタノイックアシッド、4 −ヒドロキシオクタノイックアシッド、4−ヒドロキシ−4−メチルペンタノイックアシッド、4−ヒドロキシ−4−メチルヘキサノイックアシッド、4−ヒドロキシ −4−エチルヘキサノイックアシッド、4−ヒドロキシ−4−メチルヘプタノイックアシッド、4−ヒドロキシ−4−エチルヘプタノイックアシッド、4−ヒドロキシ−4−プロピルヘプタノイックアシッド、4−ヒドロキシ−4−メチルオクタノイックアシッド、4−ヒドロキシ−4−エチルオクタノイックアシッド、4−ヒドロキシ−4−プロピルオクタノイックアシッド、4−ヒドロキシ−4−ブチルオクタノイックアシッド、5−ヒドロキシペンタノイックアシッド、5−ヒドロキシヘキサノイックアシッド、5−ヒドロキシヘプタノイックアシッド、5−ヒドロキシオクタノイックアシッド、5−ヒドロキシ−5−メチルヘキサノイックアシッド、5−ヒドロキシ−5−メチルヘプタノイックアシッド、5−ヒドロキシ−5−エチルヘプタノイックアシッド、5−ヒドロキシ−5−メチルオクタノイックアシッド、5−ヒドロキシ−5−エチルオクタノイックアシッド、5−ヒドロキシ−5−プロピルオクタノイックアシッド、6−ヒ ドロキシヘキサノイックアシッド、6−ヒドロキシヘプタノイックアシッド、6−ヒドロキシオクタノイックアシッド、6−ヒドロキシ−6−メチルヘプタノイックアシッド、6−ヒドロキシ−6−メチルオクタノイックアシッド、6−ヒドロキシ−6−エチルオクタノイックアシッド、7−ヒドロキシヘプタノイックアシッド、7−ヒドロキシオクタノイックアシッド、7−ヒドロキシ− 7−メチルオクタノイックアシッド、8−ヒドロキシオクタノイックアシッド、12−ヒドロキシステアリックアシッド、16−ヒドロキシヘキサデカノイックアシッド等の脂肪族モノヒドロキシモノカルボン酸、ヒドロキシ安息香酸等の芳香族モノヒドロキシモノカルボン酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸等の芳香族多価ヒドロキシモノカルボン酸、4−ヒドロキシイソフタル酸、5−ヒドロキシイソフタル酸等の芳香族モノヒドロキシ多価カルボン酸、2,5−ジヒドロキシテレフタル酸等の芳香族多価ヒドロキシ多価カルボン酸、グリセリン酸、アラボン酸、マンノン酸、ガラクトン酸等の脂肪族多価ヒドロキシモノカルボン酸、リンゴ酸、クエン酸等の脂肪族モノヒドロキシ多価カルボン酸、ジグリセリン酸、マンノ糖酸等の多価ヒドロキシ多価カルボン酸等が挙げられる。
更には、ヘテロ原子を含むヒドロキシカルボン酸、例えば、2−ヒドロキシエトキシ酢酸、2−ヒドロキシプロポキシ酢酸等が挙げられる。
また、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等のラクトン類を挙げることができる。
これらは単独、又は2種以上混合して用いられる。また、単位構造内に不斉炭素原子を有し、光学異性体が存在する化合物は、そのいずれをも用いることができる。
グリコール酸以外のヒドロキシカルボン酸誘導体としては、上記のヒドロキシカルボン酸と炭素数1以上10以下の単官能性アルコール、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール等とのエステル等や、例えばラクチド等のグリコール酸以外のヒドロキシカルボン酸類の環状2量体エステル類や、グリコール酸とグリコール酸以外のヒドロキシカルボン酸類とからなる環状2量体エステル類、等が挙げられる。これらは単独、又は2種以上を混合して用いられる。
これらの内、吸水率の増加を抑制し、加水分解速度が低減される、又は延伸性等の加工性に優れ、柔軟性を有する成形体が得られることから、好ましくはモノヒドロキシモノカルボン酸及び/又はその誘導体、又はこれらの混合物が用いられ、より好ましくは、脂肪族モノヒドロキシモノカルボン酸及び/又はその誘導体、又はこれらの混合物が用いられ、より好ましくは乳酸、ラクチド、グリコール酸と乳酸とからなる環状2量体エステル、3−ヒドロキシブチリックアシッド及び/又はβ−プロピオラクトン、4−ヒドロキシブチリックアシッド及び/又はγ−ブチロラクトン、3−ヒドロキシバレリックアシッド、6−ヒドロキシヘキサノイックアシッド及び/又はε−カプロラクトン、12−ヒドロキシステアリックアシッド、16−ヒドロキシヘキサデカノイックアシッド又は前記脂肪族ヒドロキシカルボン酸の誘導体、又は前記化合物の混合物が用いられ、原料入手の容易性から、特に好ましくは乳酸、ラクチド、グリコール酸と乳酸とからなる環状2量体エステル、6−ヒドロキシヘキサノイックアシッド及び/又はε−カプロラクトン又は前記脂肪族ヒドロキシカルボン酸の誘導体、又は前記化合物の混合物が用いられ、最も好ましくは、乳酸、ラクチド、グリコール酸と乳酸とからなる環状2量体エステル又は乳酸の誘導体、又は、前記化合物の混合物が用いられる。
本発明において、グリコール酸及び/又はその誘導体、並びにグリコール酸以外のヒドロキシカルボン酸及び/又はその誘導体と共重合可能な化合物として、本発明の範囲を逸脱しない範囲の量のポリオールや、ポリカルボン酸及び/又はその誘導体等の化合物を原料として用いることが可能である。
このようなポリオールとしては、水酸基を2個以上含む化合物が挙げられ、炭素数2〜20のポリオールが好ましい。このようなポリオールとして、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール、ビスフェノールA、カテコール、レソルシノール、1,2−ベンゼンジメタノール、1,3−ベンゼンジメタノール、1,4−ベンゼンジメタノール等の芳香族ジオール、更に、ヘテロ原子を含むジオール、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等が、更に、グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ブタン−1,2,3−トリオール等の脂肪族トリオール、1,2,4−ベンゼントリオール、1,3,5−ベンゼントリオール等の芳香族トリオール、澱粉、グルコース、セルロース、ヘミセルロース、キシロース、アラビノース、マンノース、ガラクトース、キシリトール、アラビニトール、マンニトール、ガラクチトール、ペンタエリスリトール、キチン、キトサン、デキストリン、デキストラン、カルボキシメチルセルロース、アミロペクチン、グリコーゲン等の糖類が挙げられる。
これらは単独で、又は二種以上混合して用いることができる。これらの内、分子内に不斉炭素原子を有し、光学異性体が存在する化合物は、そのいずれをも用いることができる。
これらの内、重縮合中の副反応を抑制する、又は得られる共重合体の溶融成形時の熱分解性、又は耐熱エージング性を考慮すると、ポリオールとしては、炭素数3以上のジオール、例えば、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール、ビスフェノールA、カテコール、レソルシノール、1,2−ベンゼンジメタノール、1,3−ベンゼンジメタノール、1,4−ベンゼンジメタノール等の芳香族ジオールが、より好ましく用いられる。
溶融成形時の熱安定性、又は耐熱エージング性に加えて、柔軟性を有する成形体が得られることから、より好ましくは、例えば、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオールが用いられる。
一方、1分子中に水酸基を3個以上有するポリオールは、共重合体の溶融張力を高めるために用いられるが、その効果を安定して発現させるためには、炭素数4以上の化合物、例えば、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ブタン−1,2,3−トリオール等の脂肪族トリオール、1,2,4−ベンゼントリオール、1,3,5−ベンゼントリオール等の芳香族トリオール、グルコース、キシロース、アラビノース、マンノース、ガラクトース、キシリトール、アラビニトール、マンニトール、ガラクチトール、ペンタエリスリトール等の糖類が、より好ましく用いられる。
これらのポリオールの内、より好ましくは、炭素数が5以上であって、1分子中に水酸基を3個以下有するポリオール、例えば、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール、更に、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の脂肪族トリオールが用いられる。
これらの内、特に好ましくは、ネオペンチルグリコールが用いられる。
共重合可能なポリカルボン酸として用いられる化合物は、カルボキシル基を2個以上含む化合物が挙げられ、炭素数が2〜20のポリカルボン酸が好ましい。このようなポリカルボン酸として、例えば、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、フマル酸、マレイン酸、ジグリコール酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、プロパントリカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸等の脂肪族トリカルボン酸、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸等の芳香族トリカルボン酸、エチレンジアミン四酢酸等のテトラカルボン酸等が挙げられる。これらは単独、又は2種以上混合して用いることができる。
ポリカルボン酸誘導体としては、対応するポリカルボン酸と、炭素数1以上10以下の単官能性アルコール、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール等とのエステル、グリコール酸とのエステル、対応するポリカルボン酸無水物等の誘導体等が挙げられる。
これらのポリカルボン酸の内、より好ましくは、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ジグリコール酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸及び/又はその誘導体、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸及び/又はその誘導体、プロパントリカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸等の脂肪族トリカルボン酸及び/又はその誘導体、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸等の芳香族トリカルボン酸及び/又はその誘導体が用いられる。
特に好ましくは、柔軟性を有する成形体が得られることから、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸及び/又はその誘導体、プロパントリカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸等の脂肪族トリカルボン酸及び/又はその誘導体が用いられる。
その他、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば、アミノ酸、多価アミン、ラクタム等を共重合成分として用いることができる。
アミノ酸としては、炭素数2〜20のアミノ酸が好ましい。アミノ酸として、例えば、グリシン、(+)−アラニン、β−アラニン、(−)−アスパラギン、(+)−アスパラギン酸、(−)−システイン、(+)−グルタミンサン、(+)−グルタミン、(-)−ヒドロキシリシン、(−)−ロイシン、(+)−イソロイシン、(+)−リシン、(−)−メチオニン、(−)−セリン、(−)−トレオニン、(+)−バリン、アミノ酪酸、アザセリン、アルギニン、エチオニン等が挙げられる。
多価アミンとしては、炭素数0〜20の多価アミンが好ましい。アミンとして、例えば、モノメチレンジアミン、ジメチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン等が挙げられる。
ラクタムとしては、炭素数2〜20のラクタムが好ましい。ラクタムとして、例えば、グリシン無水物、プロパンラクタム、α−ピロリドン、α−ピペリドン、ε−カプロラクタム、α−メチル−カプロラクタム、β−メチル−カプロラクタム、γ−メチル−カプロラクタム、δ−メチル−カプロラクタム、ε−メチル−カプロラクタム、N−メチル−カプロラクタム、β,γ−ジメチル−カプロラクタム、γ−エチル−カプロラクタム、γ−イソプロピル−カプロラクタム、ε−イソプロピル−カプロラクタム、γ−ブチル-カプロラクタム、γ−ヘキサシクロベンジル−カプロラクタム、ω−エナントラクタム、ω−カプリルラクタム、カプリロラクタム、ラウロラクタム、カプロラクトンの2量体等が挙げられる。
前記の化合物の内、不斉炭素原子を有し、D体、L体、及びD/L混合体が存在し得るものは、そのいずれをも用いることができる。
グリコール酸及び/又はその誘導体、並びにグリコール酸及び/又はその誘導体と共重合可能な化合物の形態については限定はなく、水溶液等の溶液状、結晶状、液状の性状のもの等を用いることができる。これらの化合物の溶液を用いる場合、化合物の濃度は限定されないが、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、最も好ましくは60質量%以上である。
ここで、本発明のグリコール酸共重合体の製造方法の[工程(A)]において用いる原料の「化合物単位」及び「換算モル比」について説明する。
本発明における、「化合物単位」とは、原料を構成する化合物を加水分解することによって得られる最小構成単位を表す。具体的に、以下に、グリコール酸単位、グリコール酸以外の他のヒドロキシカルボン酸単位、ポリカルボン酸単位、ポリオール単位について説明する。
グリコール酸及び/又はその誘導体の場合、グリコール酸及び/又はその誘導体中に含まれるグリコール酸単位とは、グリコール酸及び/又はその誘導体中における化学式(2)で示される単位構造のことを表す。
Figure 0004540321
グリコール酸以外のヒドロキシカルボン酸又はその誘導体、例えば、乳酸及び/又はその誘導体を例示すると、乳酸及び/又はその誘導体中に含まれる乳酸単位とは、乳酸及び/又はその誘導体中における化学式(3)で示される単位構造のことを表す。
Figure 0004540321
ポリカルボン酸又はその誘導体、例えば、アジピン酸及び/又はその誘導体を例示すると、アジピン酸及び/又はその誘導体中に含まれるアジピン酸単位とは、アジピン酸及び/又はその誘導体中における化学式(4)で示される単位構造のことを表す。
Figure 0004540321
ポリオール、例えば、ネオペンチルグリコールを例示すると、ネオペンチルグリコール単位とは、化学式(5)で示される単位構造のことを表す。
Figure 0004540321
本発明における「換算モル比」とは、各原料化合物に関して、単位構造のモル数を個別に算出し、その総和に対する各原料化合物の単位構造のモル数の比として表した値である。なお、モル比の算出においては、原料化合物の内、その単位構造のモル比が0.00005未満の化合物に関しては、当該化合物の単位構造のモル数をゼロとする。
換算モル比の算出の際に使用する、個別に算出して得られた原料化合物の単位構造のモル数の総和には、これらの単官能性アルコール類、単官能性カルボン酸類等の単官能性化合物の含有率は含めない。すなわち、原料として、例えば、炭素数1〜10の単官能性アルコール類や、単官能性カルボン酸類とのエステルを用いた場合に、アルコール類やカルボン酸類等が、加水分解等により遊離し、原料中に存在することがあるが、そのような単官能性アルコール類及び単官能性カルボン酸類は、換算モル比の算出の際には考慮しない。
本発明において、グリコール酸及び/又はその誘導体と、グリコール酸以外のヒドロキシカルボン酸及び/又はその誘導体を含む、前記グリコール酸及び/又はその誘導体と共重合可能な化合物、とからなる原料中の、ジグリコール酸単位の換算モル比は、0.001未満であることが必要である。ジグリコール酸単位の換算モル比が0.001を越える場合には、本発明のグリコール酸共重合体が得られない。好ましくは0.0005未満、より好ましくは、0.0003未満である。
グリコール酸及び/又はその誘導体と、グリコール酸以外のヒドロキシカルボン酸及び/又はその誘導体を含む、前記グリコール酸及び/又はその誘導体と共重合可能な化合物、とからなる原料を、溶融条件下で重縮合してグリコール酸共重合体を製造する場合、その重縮合初期に化学式(1)で示される副反応によってジグリコール酸単位が形成されるため、原料中のジグリコール酸単位の換算モル比は小さい程好ましい。
Figure 0004540321
ジグリコール酸は、ジグリコール酸単体以外に、例えば、グリコール酸、グリコール酸以外のヒドロキシカルボン酸等の、他の水酸基を含有する化合物と縮合体を形成する等、種々の形態で存在している場合があるために、ここでは、これらを含める意味で、ジグリコール単位、と総称している。
原料の組成は、重縮合後に本発明の範囲のグリコール酸共重合体組成となるように適宜決定されるが、好ましい組成範囲としては、グリコール酸及び/又はその誘導体のグリコール酸単位の換算モル比、グリコール酸以外のヒドロキシカルボン酸及び/又はその誘導体のグリコール酸以外のヒドロキシカルボン酸単位の換算モル比、必要に応じてグリコール酸及び/又はその誘導体とグリコール酸以外のヒドロキシカルボン酸及び/又はその誘導体と共に、共重合化合物として用いるポリオール単位の換算モル比及びポリカルボン酸単位の換算モル比が、下記数式(1)、(2)及び(3)を満足する範囲が例示できる。
Figure 0004540321
Figure 0004540321
Figure 0004540321
(ただし、式中の[X−1]はグリコール酸及び/又はその誘導体の換算モル比、[X−2]はグリコール酸以外のヒドロキシカルボン酸及び/又はその誘導体の換算モル比、[X−3]、[X−4]は必要に応じて用いるポリオール、ポリカルボン酸及び/又はその誘導体の換算モル比を表し、[X−3]と[X−4]は独立して0であってもよい。)
高分子量で、耐加水分解性を有する共重合体、又は柔軟性を有する共重合体が大きな重合速度で製造できることから、グリコール酸及び/又はその誘導体のグリコール酸単位の換算モル比、グリコール酸以外のヒドロキシカルボン酸及び/又はその誘導体のグリコール酸以外のヒドロキシカルボン酸単位の換算モル比が前記数式(1)及び(2)を満足し、更にポリカルボン酸単位の換算モル比が数式(4)を満足する場合には、ポリオール単位の換算モル比を数式(5)を満足する範囲とすることが好ましく、更に数式(11)を満足する範囲であることがより好ましく、更に数式(12)を満足することが最も好ましい。
Figure 0004540321
Figure 0004540321
Figure 0004540321
Figure 0004540321
(ただし、[X−1]、[X−2]、[X−3]及び[X−4]は、上記と同じ。[X−4]は0であってもよい。)
一方、グリコール酸及び/又はその誘導体のグリコール酸単位の換算モル比、グリコール酸以外のヒドロキシカルボン酸及び/又はその誘導体のグリコール酸以外のヒドロキシカルボン酸単位の換算モル比が前記数式(1)及び(2)を満足し、更に、ポリカルボン酸単位の換算モル比が数式(6)を満足する場合には、ポリオール単位の換算モル比を数式(7)を満足する範囲とすることが好ましく、更に数式(13)を満足することがより好ましく、更に数式(14)を満足することが最も好ましい。
Figure 0004540321
Figure 0004540321
Figure 0004540321
Figure 0004540321
(ただし、[X−1]、[X−2]、[X−3]及び[X−4]は、上記と同じ。)
高いガスバリアー性を有するグリコール酸共重合体を製造するためには、グリコール酸及び/又はその誘導体のグリコール酸単位の換算モル比、グリコール酸以外のヒドロキシカルボン酸及び/又はその誘導体のグリコール酸以外のヒドロキシカルボン酸単位の換算モル比、ポリオール単位の換算モル比、ポリカルボン酸単位の換算モル比が、数式(8)を満足する範囲とすることが好ましい。
Figure 0004540321
(ただし、[X−1]、[X−2]、[X−3]及び[X−4]は、上記と同じ。[X−4]は0であってもよい。)
本発明において、原料として多価ヒドロキシモノカルボン酸単位、モノヒドロキシ多価カルボン酸単位、多価ヒドロキシ多価カルボン酸単位、ポリオール単位、ポリカルボン酸単位等の1単位構造中の水酸基及び/又はカルボキシル基の合計量が3以上の化合物単位を含む場合には、当該単位の換算モル比の総和は、0.0007以下が好ましく、0.0005以下がより好ましく、0.0003以下が最も好ましい。前記範囲を越える場合には、得られる共重合体において、延伸性等の加工性が低下する場合がある。
重縮合に際して、触媒を加えずに実施することができるが、重縮合速度を高める為に、必要に応じて触媒を用いることができる。
触媒としては、元素周期律表IA、IIA、IIIA、IV、VA、VIII、IVB、VB族の金属、金属塩、金属酸化物、金属水酸化物、金属アルコキサイド、金属スルホン酸塩等が挙げられる。例えば、チタン、ジルコニウム、ニオブ、タングステン、亜鉛、ゲルマニウム、錫、アンチモン等の金属、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ゲルマニウム、シリカ、アルミナ、酸化錫、酸化アンチモン等の金属酸化物、弗化錫、弗化アンチモン、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、塩化第一錫、塩化第二錫、臭化第一錫、臭化第二錫、硫酸アルミニウム、硫酸亜鉛、硫酸錫、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛等の金属塩、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化ジルコニウム、水酸化鉄、水酸化コバルト、水酸化ニッケル、水酸化銅、水酸化亜鉛等の金属水酸化物等、酢酸マグネシウム、酢酸アルミニウム、酢酸亜鉛、酢酸錫、オクタン酸錫、ステアリン酸錫、乳酸鉄、乳酸錫等の金属カルボン酸塩、マグネシウム、ランタノイド、チタン、ハフニウム、鉄、ゲルマニウム、錫、アンチモン等の金属のアルコキサイド、ジブチルスズオキサイド等の有機金属、メタンスルホン酸錫、トリフルオロメタンスルホン酸錫、p-トルエンスルホン酸錫等の有機スルホン酸塩、アンバーライト、ダウエックス等のイオン交換樹脂が挙げられる。
更に、塩酸、過塩素酸、硝酸、亜硝酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、亜リン酸、ポリリン酸等の無機酸触媒、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、メタンスルホン酸、等の有機酸が挙げられる。触媒は、これらに限定されるものではなく、一種、又は二種以上を組み合わせて用いることも可能である。
これらの触媒種は、例えば、原料モノマー又は水溶液を含むモノマー溶液に添加したり、重縮合物を得た後に添加して使用されるが、この他にも、必要に応じて、水及び/又はヒドロキシカルボン酸存在下で加水分解した後に、原料モノマーや、重縮合物に対して添加して使用してもよい。
ここでいう重縮合物は、さらなる溶融重合が可能で有れば、分子量等には制限はない。
触媒の使用量は、好ましくは、原料として用いたモノマー1g当たり、金属原子として1×10−10モル以上1×10−2モル以下の範囲である。原料として用いたモノマー1g当たりに使用する触媒量が、金属原子として1×10−10モル未満の場合には、重縮合速度を高める効果が充分に発揮されず、1×10−2モルを越える場合には、樹脂の着色等の副反応が著しく増大する傾向がある。
重縮合中の熱劣化による着色を抑えるために、着色防止剤を添加して重縮合反応を行ってもよい。着色防止剤は、そのままで、又は適当な液体に溶解又は混合して反応系に添加することができる。着色防止剤の添加時期の制限はなく、原料モノマーの濃縮又は縮合過程から、実質的に重縮合反応が完結するまでの間であれば、いずれの時期に反応系に添加してもよい。添加は一括でも分割でもよい。
重縮合に使用される着色防止剤としては、リン酸、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリフェニル、ポリリン酸モノエチルエステル、ポリリン酸ジエチルエステル、ピロリン酸、ピロリン酸トリエチル、ピロリン酸ヘキサメチルアミド、亜リン酸、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、トリス(2−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジtert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,5−ジtert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(2−tert−ブチル−5−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェニル)ホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(モノ及びジノニルフェニル)ホスファイト等のリン酸系化合物等が好ましく用いられる。
これらの熱安定化剤は、単独、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。熱安定化剤の添加率は、原料のモノマーに対して、好ましくは0.0005質量%以上10質量%以下、より好ましくは0.005質量%以上6質量%以下の範囲である。熱安定化剤の添加率が10質量%を越えて添加しても着色を防止する効果が増加せず、添加率が0.0005質量%未満では着色を防止する効果が充分に現れない。これらの熱安定化剤の添加時期の制限はなく、原料に直接添加するか、重縮合反応の実施途中で添加するか、更には、重合反応終了後に添加することが可能である。
次に、本発明のグリコール酸共重合体を製造する際の、[工程(A)、(B)及び(C)]について、説明する。
[工程(A)]
[工程(A)]では、グリコール酸及び/又はその誘導体と、グリコール酸以外のヒドロキシカルボン酸及び/又はその誘導体を含む、前記グリコール酸及び/又はその誘導体と共重合可能な化合物、とからなる原料を用い、20℃以上160℃以下、好ましくは50℃以上160℃以下、より好ましくは80℃以上160℃以下の範囲の温度で重縮合反応して重量平均分子量700以上5,000以下、好ましくは1,000以上4,000以下、より好ましくは1,200以上3,000以下のグリコール酸共重合体を製造する。
重縮合反応温度が20℃未満の場合には、反応速度が極めて遅くなる。反応温度が160℃を越える場合には、重縮合反応速度は速くなるが、得られるグリコール酸共重合体中に副反応で生成するジグリコール酸単位の形成量が増大し、引き続いて実施される重縮合工程において、高分子量化が困難となるばかりでなく、得られるグリコール酸共重合体の熱安定性が低下する。
[工程(A)]で得られるグリコール酸共重合体の重量平均分子量が700未満の場合には、引き続いて行われる高い反応温度における重縮合条件下において、ジグリコール酸単位の形成量を抑制するには不十分である。本工程で得られるグリコール酸共重合体の重量平均分子量が5,000を越える場合には、グリコール酸共重合体の組成、共重合化合物の種類及び分子量によっても異なるが、グリコール酸共重合体が析出しやすくなるため、溶融状態での重縮合の継続が困難となる。
[工程(A)]の反応温度が20℃以上160℃以下の範囲であれば、反応中、一定である必要はなく、徐々に昇温、徐々に降温、又はこれらの組み合わせであってもよい。
[工程(A)]の反応は、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、炭酸ガス、炭素数1以上4以下の低級飽和炭化水素等から選ばれる1種又は2種以上の不活性ガス雰囲気下及び/又は減圧下で行うことが好ましい。減圧条件下で反応を実施する場合、グリコール酸共重合体の組成、共重合化合物の種類、反応温度によっても異なるが、圧力は、通常、1.3Pa以上1.014×10Pa以下の範囲である。この際、常圧下、常圧下において不活性ガスを流通させる方法、減圧下、減圧下において不活性ガスを流通させる方法やこれらの組み合わせ、更には、反応温度及び/又は操作圧力を多段階に調節しながら重縮合させる方法が好ましい。反応は、反応器を一器又は複数器を組み合わせて行うこともできる。
ただし、[工程(A)]の終点(すなわち、[工程(B)]の開始点)は、重量平均分子量700以上5,000以下のグリコール酸共重合体が得られた時点で、温度の昇温を開始する時点えだる。重量平均分子量700以上のグリコール酸共重合体が得られた後、昇温を複数回繰り返す、或いは昇降温を1回又は2回以上行う場合には、最後の昇温の開始点である。
[工程(B)]
[工程(B)]においては、[工程(A)]で得られた重量平均分子量700以上5,000以下のグリコール酸共重合体を、[工程(A)]の反応温度から、引き続いて、100分以内、好ましくは80分以内、より好ましくは60分以内に、190℃まで昇温する。昇温時間のは限定されないが、好ましくは0.1秒以上、より好ましくは1分以上である。
昇温後の反応温度が190℃未満の場合、又は190℃までの昇温時間が100分を越える場合には、重縮合反応速度に対するジグリコール酸単位の形成反応速度が十分に小さくないため、引き続いて実施する[工程(C)]の重縮合反応によって、溶融熱安定性に優れた、高分子量のグリコール酸共重合体を得ることができない。
[工程(B)]において、[工程(A)]終了後、すなわち、[工程(B)]開始後から反応温度が190℃となるまで昇温する際の、グリコール酸共重合体の重量平均分子量の増加速度が、1時間当たりの平均値に換算して300以上であることが好ましい。前記重量平均分子量の増加速度は、ジグリコール酸単位の形成を抑制する上で高ければ高いほど好ましい。
本工程における昇温の方式は限定されない。例えば、[工程(A)]の少なくとも一部の反応と、[工程(B)]に引き続いて実施する[工程(C)]の反応とを同一の反応器で実施する場合には、反応器内部において減圧下で重縮合反応を行いながら昇温する方法、反応器から反応液を一度抜き出し、熱交換器等を経由させた後に、再度反応器に戻す機構を備えた装置を用いて反応器本体及び/又は熱交換器で昇温させる方法等を用いることができる。[工程(A)]と[工程(C)]を異なる反応器で実施する場合には、移送配管中で[工程(B)]を実施する等の方法を用いることができる。前記の方法を適当に組み合わせで行ってもよい。
[工程(C)]
[工程(C)]は、[工程(B)]を経たグリコール酸共重合体を190℃以上300℃以下の温度に加熱して、グリコール酸共重合体の分子量を上げる工程である。反応温度が190℃以上となった後から、グリコール酸共重合体の重量平均分子量が10,000以上となるまでの重量平均分子量の増加量は、1時間あたり1,000以上であり、好ましくは2,000以上、より好ましくは3,000以上である。反応温度は、250℃以下が好ましく、230℃以下がより好ましい。
反応温度が190℃となった後、グリコール酸共重合体の重量平均分子量が10,000となるまでの1時間当たりの重量平均分子量の増加量(以下、M、と略記する場合がある)とは、反応温度が190℃となった時点を時間の基準とし、反応温度が190℃となった時点での重量平均分子量をMw1、重量平均分子量が10,000までに要した時間をT1(時間)とすると、数式(10)で示される値のことをいう。
Figure 0004540321
重量平均分子量が10,000以上のグリコール酸共重合体を製造する場合の反応温度が190℃未満の場合、又は反応温度が190℃以上となった後に、重量平均分子量が10,000になるまでの重量平均分子量の増加量が1時間あたり1,000未満の場合には、重縮合反応速度に対するジグリコール酸単位の形成反応速度が十分に小さくないために、溶融熱安定性に優れた、高分子量のグリコール酸共重合体を得ることができない。一方、300℃を越える反応温度で、重縮合を行った場合には、グリコール酸共重合体の熱分解による着色が著しく増加する。
[工程(C)]において、重量平均分子量が10,000となるまでの重量平均分子量の増加量が1時間あたり1,000以上であれば、反応温度が190℃以上300℃以下の範囲において、一定である必要はなく、徐々に昇温しても、徐々に降温しても、これらの組み合わせてもよい。
重縮合反応速度を本発明の範囲内で重縮合を行うための方法は限定されないが、例えば、反応速度を支配する因子として、反応温度、反応圧力、反応時の溶融状態にあるグリコール酸共重合体が気相部と接触している表面積、反応時の溶融状態にあるグリコール酸共重合体の撹拌状態等を制御する方法が挙げられる。
反応は、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、炭酸ガス、炭素数1以上4以下の低級飽和炭化水素等から選ばれる1種又は2種以上の不活性ガス流通下及び/又は減圧条件下にて実施することができる。重縮合反応速度を大きくするために、減圧状態で反応を実施することが好ましい。減圧条件下で反応を実施する場合、グリコール酸共重合体の組成、共重合化合物の種類、反応温度、触媒の有無、触媒の種類によっても異なるが、通常、1.3Pa以上1.3×10Pa以下、好ましくは1.3×10Pa以上9.3×10Pa以下、より好ましくは、6.5×10Pa以上6.7×10Pa以下の範囲の圧力で反応を行わせる。この際、減圧下、減圧において不活性ガスを流通させる方法、本工程における反応温度、反応圧力等の操作条件を、前記の温度及び1時間当たりの重量平均分子量の増加量が本発明の範囲を満たす範囲内で変化させてもよい。
反応時の溶融状態にあるグリコール酸共重合体が気相部と接触している表面積は限定されない。共重合体が気相部と接触している表面積は、大きければ大きいほど、反応系内からの縮合水の留出が容易となり、重縮合反応を速やかに進行させることが可能となるため好ましい。
一方、反応時の溶融状態にあるグリコール酸共重合体の撹拌状態は、撹拌状態が向上すればする程、反応系内からの縮合水の留出が容易となり、重縮合反応を速やかに進行させることが可能となるため好ましい。
[工程(C)]において、重縮合反応に要する時間は、少なくともグリコール酸共重合体の重量平均分子量の増加量が、1時間あたり1,000以上となる条件で、グリコール酸共重合体の重量平均分子量が10,000となる時間であれば限定されない。例えば、反応時間は、好ましくは10分以上9時間以内、より好ましくは30分以上4.5時間以内、最も好ましくは45分以上3.5時間以内である。
[工程(C)]において、反応温度、反応時間、反応装置等を適宜選択することによって、重量平均分子量が50,000以上である本発明のグリコール酸共重合体を得ることができる。また、[工程(C)]において、分子量50,000未満のグリコール酸共重合体を得た後、例えば、反応温度を低める等、[工程(C)]の要件を満たさない条件下で重縮合を継続して、重量平均分子量50,000以上である本発明のグリコール酸共重合体を得ることも可能である。勿論、[工程(C)]において、重量平均分子量50,000以上のグリコール酸共重合体を得た後、例えば、反応温度を低める等の、[工程(C)]の要件を満たさない条件下で重縮合反応を継続して更に分子量を高めてもよい。
[工程(C)]の終了後、得られたグリコール酸共重合体を、引き続いて190℃以上300℃以下の範囲の反応温度において重縮合反応を継続することができる。
重縮合反応を継続する際の反応時間は任意であり、所望のグリコール酸共重合体の組成、共重合化合物の種類、目的とするグリコール酸共重合体の分子量、使用する重縮合器の形式、反応条件によっても異なる。反応時間は、好ましくは1分以上200時間以下、より好ましくは10分以上150時間以下、更に好ましくは1時間以上120時間以下、最も好ましくは1.5時間以上100時間以下である。
反応は、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、炭酸ガス、低級飽和炭化水素等の不活性ガス流通下及び/又は減圧条件下にて実施することができる。重縮合反応速度を大きくするために、減圧状態で反応を実施することが好ましい。減圧条件下で反応を実施する場合、グリコール酸共重合体の組成、共重合化合物の種類、反応温度、触媒の有無、触媒の種類によっても異なるが、通常、1.3Pa以上1.3×10Pa以下、好ましくは1.3×10Pa以上9.3×10Pa以下、より好ましくは、6.5×10Pa以上6.7×10Pa以下の範囲の圧力で反応を行わせる。
[工程(C)]に引き続く重縮合反応において、触媒の種類、量、反応器、反応条件等を適宜選択することにより、重量平均分子量が10,000を越え1,000,000以下のグリコール酸共重合体を製造することができる。
更に、本発明において、[工程(C)]終了後、本発明の効果を損なわない範囲で、公知の2官能性以上のイソシアネート基やエポキシ基を有する化合物を、溶融状態にあるグリコール酸共重合体に添加することも可能である。これらの化合物をグリコール酸共重合体へ添加する場合は、通常、0.05〜5質量%である。
これらの[工程(A)、(B)、(C)]の反応、及び[工程(C)]に引き続いて実施される重縮合反応は、同一の反応器で実施してもよく、異なった反応器で実施してもよい。また、回分式及び/又は連続式の反応様式で行うことができる。
本発明の重縮合反応、更には、本発明の[工程(C)]の後に引き続いて実施する重縮合反応に用いる反応器には制限はなく、例えば、邪魔板付き又は邪魔板を設けていない撹拌槽型反応器、表面更新型撹拌槽反応器、薄膜型反応器、遠心式薄膜蒸発反応器、表面更新型二軸混練反応器、濡れ壁式反応器、自由落下させながら重縮合させる多孔板型反応器、支持体に沿わせて溶融ポリマーを落下させて重縮合を進行させる重縮合器、例えば、ワイヤー式多孔板型反応器等を用いることができる。これらの反応器は、一種又は二種以上を組み合わせて使用することが可能である。更に、これらと、本発明における昇温速度を達成するための手段として、公知の熱交換器とを組み合わせて使用することも可能である。
反応器として撹拌槽型反応器を用いる場合には、必要に応じて、邪魔板を設置した反応槽を用い、撹拌翼として公知のものを用いることが可能である。
邪魔板の形状、設置方法等には限定はないが、例えば、化学装置9月号、p13(1981年)に記載の邪魔板の形状及び設置方法などを用いることができる。
撹拌翼の具体例としては、化学工学便覧第5版第5刷、p887〜919(平成7年11月15日発行、丸善株式会社発行)に記載のプロペラ翼、角度付き平羽根、平羽根、ピッチ付き平羽根、平羽根ディスクタービン翼、湾曲羽根、ファウドラー型翼、ブルマージン型翼、マックスブレンド翼、ヘリカルスクリュウ翼、ヘリカルリボン翼、アンカー翼、スクリュウアンカー翼、パドル翼、らせん翼等の他、化学装置9月号、p11〜17(1981年)に記載のダブルリボン翼、神鋼パンテック(株)社製商品名ログボーンが挙げられる。
表面更新型撹拌槽反応器の具体例としては、三菱重工(株)製アドバンス リボン リアクタ(AR)(商標)、同社製バーチカル コーン リアクタ(VCR)(商標)、神鋼パンテック(株)社製ログボーン(LOGBORN)(商標)、(株)日立製作所製ねじり格子翼重合機(商標)、住友重機械(株)社製スーパーブレンド(同芯二軸型撹拌槽)(商標)、ニッセン(株)製ビスター(高粘度撹拌機)(商標)等が挙げられる。
表面更新型二軸混練反応器の具体例としては、三菱重工(株)社製横型二軸高粘度反応機(HVR)(商標)、同社製セルフクリーニング式リアクタ(SCR)(商標)、同社製新型セルフクリーニング式リアクタ(N−SCR)(商標)、(株)日立製作所製日立めがね翼式高粘度液処理機(商標)、同社製 格子翼重合機(商標)、住友重機械(株)製BIVOLAK(横型二軸反応装置)(商標)、栗本鉄工所(株)製KRCニーダ(商標)等が挙げられる。
これらの組み合わせの内、本発明の重縮合反応においては、竪型撹拌槽及び/又は表面更新型撹拌槽反応器を組み合わせて重縮合する方法が好ましい。本発明の[工程(C)]の後に、引き続いて溶融重縮合反応を実施する場合には、槽型撹拌槽、表面更新型撹拌槽反応器、表面更新型二軸混練反応器、濡れ壁式反応器、自由落下させながら重縮合させる多孔板型反応器、支持体に沿わせて溶融ポリマーを落下させて重縮合を進行させる重縮合器を一種又は二種以上を組み合わせて用いる方法が好ましい。
本発明の[工程(C)]の後に、引き続いて溶融重縮合反応を実施する場合、溶融状態のグリコール酸共重合体に不活性ガスを吸収させた後、減圧下で重縮合させることは、更に好ましい方法である。この場合は、不活性ガスを吸収させずに重縮合した場合に比べて、溶融状態のグリコール酸共重合体に激しい発泡現象が生じ、この現象によって溶融状態のグリコール酸共重合体の内部及び表面における撹拌状態が向上するため、高い重縮合速度でグリコール酸共重合体を得ることができる。
溶融状態のグリコール酸共重合体に吸収させる不活性ガスの具体例としては、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、二酸化炭素、炭素数1以上4以下の低級炭化水素等が挙げられ、好ましくは窒素である。これらのガスは、一種又は二種以上の混合ガスとして用いることができる。
[工程(A)〜(C)]、又は[工程(C)]に引き続いて溶融重縮合反応を実施して得られたグリコール酸共重合体を造粒することができる。
グリコール酸共重合体を造粒する方法には制限はないが、例えば、溶融状態のグリコール酸共重合体を、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、炭酸ガス又は炭素数1以上4以下の低級飽和炭化水素等の不活性ガスや、空気等のガスから選ばれる1種又は2種以上のガス中で不活性ガス中で固化させることにより塊状物又はストランドとし、これを、粉砕又は裁断して粒子状、ペレット状等にする方法、水等の液体と接触させることにより、粒子状、ペレット状等にする方法、水等の液体と接触させることにより塊状物とし、この塊状物を粉砕して粒子状にする方法、溶融状態のグリコール酸共重合体を押出機に移してペレット化する方法等が挙げられる。溶融状態のグリコール酸共重合体を水等の液体と接触させる方法は、何ら限定されるものではなく、例えば、溶融状態のグリコール酸共重合体を水に滴下して固化させることにより、球状のペレットが得られる。
造粒されたグリコール酸共重合体の粒子形状やペレット形状には制限はないが、一般的な形状は、粉末状、粉砕状、チップ状、球状、円柱状、タブレット状、マーブル状等である。
グリコール酸共重合体の粒子径は制限されない。一般的には、固体状のポリマーの粒子径は小さいほど表面積が増大するため、重合反応面では有利であるが、取り扱い性が低下するため、通常、10μm以上20mm以下、好ましくは、0.1mm以上10mm以下である。
造粒を、水等の液体と接触させることにより行う場合には、引き続いて、公知の方法により乾燥を行ってもよい。
本発明において、[工程(A)〜(C)]、又は[工程(C)]に引き続いて溶融重縮合反応を実施して得られたグリコール酸共重合体が結晶性である場合には、グリコール酸共重合体を造粒後に結晶化処理、結晶化処理した後に造粒、結晶化処理と造粒を同時に行った後に固相重合を行って本発明のグリコール酸共重合体を製造することは、好ましい様式である。
良好な結晶性を与えるためには、固相重合を行う際に、グリコール酸単位の含有率は82モル%以上であることが好ましく、83モル%以上がより好ましく、85モル%以上が最も好ましい。
造粒されたグリコール酸共重合体を結晶化処理する方法には制限はなく、公知の方法が利用できる。例えば、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、炭酸ガス、炭素数1以上4以下の低級飽和炭化水素等の不活性ガスや、空気等のガスから選ばれる1種又は2種以上からなるガスの雰囲気下、流通下、減圧下若しくは加圧下、又はこれらの組み合わせにおいて、機械的撹拌及び/又は流動を行いながら加熱することにより結晶化させる方法、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、炭酸ガス、炭素数1以上4以下の低級飽和炭化水素等の不活性ガス雰囲気下、流通下、加圧下若しくは減圧下、又はこれらの組み合わせにおいて、気体による撹拌、流動を行いながら加熱することにより行う方法、結晶化させる温度において固体状のグリコール酸共重合体が溶解しない液体、例えば、水、アルコール類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ケトン類、エーテル類、エステル類等と接触させる方法等が用いられる。
更に様式として、静置状態で行う方法、機械的撹拌を加えつつ行う方法(例えば、撹拌翼を用いる方法)、竪型、横型、又は斜め型の槽又は塔自体を回転、又は振動させることにより固体混合をさせつつ行う方法、竪型、又は斜め型の槽又は塔の上部より下部へ、又は下部より上部へ移相しながら行う方法、気体により流動させつつ行う方法等が挙げられる。
結晶化処理する際の温度は、グリコール酸共重合体の共重合化合物の種類、組成比等により異なるが、グリコール酸共重合体のガラス転移温度以上、かつ、220℃以下の範囲である。この結晶化処理は、多段階に分けて実施することもできる。グリコール酸共重合体の結晶化処理に要する時間は任意である。一般的には、0.5分以上10時間以下、好ましくは、1分以上8時間以下、より好ましくは、5分以上6時間以下である。結晶化処理は、回分式及び/又は連続式の反応様式で行うことができる。また、多段階に分けて実施することもできる。
結晶化処理後のグリコール酸共重合体を、以下本明細書では、結晶化グリコール酸共重合体、という。
固相重合に供する際の結晶化グリコール酸共重合体の重量平均分子量は、本発明の特徴を発現させる上から、10,000以上、500,000以下であり、十分な機械強度を有する高分子量グリコール酸共重合体を、安定的に、大きな重合速度で生産するためには、結晶化グリコール酸共重合体の重量平均分子量は、25,000以上300,000以下が好ましく、30,000以上200,000以下がより好ましく、40,000以上150,000以下が最も好ましい。重量平均分子量が500,000を越える場合には、グリコール酸共重合体を製造するための溶融状態における重縮合時間が増加し、グリコール酸共重合体の着色を招く場合がある。
固相重合反応は、不活性ガス流通下、減圧下、加圧下又はこれらの組み合わせで行うことができる。この際、重合により生成する水を除去することが必要であるため、不活性ガス流通下及び/又は減圧下で行うことが好ましい。固相重合を不活性ガス流通下で行う場合、不活性ガスとしては、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、炭酸ガス、炭素数1以上4以下の低級飽和炭化水素等から選ばれる1種又は2種以上からなるガスが挙げられる。流通させる不活性ガスは、含水量ができるだけ低く、実質的に無水状態の乾燥ガスが好ましい。この場合、ガスをモレキュラーシーブ等やイオン交換樹脂等を充填した層に流通させる、又はガスを低温に冷却することにより脱水して使用することができる。流通ガスの含水量を露点で示すと、好ましくは−10℃以下、より好ましくは−40℃以下である。
流通ガスの流量は、結晶化グリコール酸共重合体の形状、粒径、結晶性、反応温度、減圧度等を考慮し、充分に重量平均分子量が高いグリコール酸共重合体を得ることができる程度に生成した水を留去することができればよい。一般的に、流通するガスの流量が多いほど、生成した水を除去する効率が高いが、通常、結晶化プレポリマー1g当たり、常圧換算で0.0005ml/分以上3000ml/分以下、好ましくは、0.001ml/分以上2500ml/分以下、より好ましくは、0.0015ml/分以上2000ml/分以下、最も好ましくは、0.002ml/分以上500ml/分以下である。
固相重合反応を減圧下で行う場合、反応系内の減圧度は、実質的に固相重合反応の進行を維持して、充分に高い重量平均分子量を有するグリコール酸共重合体が得られればよい。重合速度及び到達重量平均分子量の観点から、好ましい減圧度は13.3Pa以上1.33×10Paの範囲である。加圧下で固相重合反応を行う場合、反応系内の圧力は、実質的に固相重合反応の進行を維持して、充分に高い重量平均分子量を有するグリコール酸共重合体が得られる範囲内であればよい。例えば、加圧下で反応を行う際の圧力は、常圧を越え1MPa以下の範囲であることが好ましく、常圧を越え0.5MPa以下の範囲であることがより好ましい。
固相重合を行う際の反応温度は、反応系に存在する結晶化グリコール酸共重合体が実質的に固体状態を維持していれば制限されないが、重合速度を考慮して、100℃以上、かつ、結晶化グリコール酸共重合体の融点以下であることが好ましく、より好ましくは120℃以上、かつ、結晶化グリコール酸共重合体の(融点−5℃)以下、より好ましくは140℃以上、かつ、結晶化グリコール酸共重合体の(融点−10)℃以下の温度範囲である。この際、固相重合を行う際の反応温度は、前記した温度の範囲内であれば、反応中一定である必要はない。
固相重合反応中、分子量の増加やアニール効果により結晶化グリコール酸共重合体の融点が上昇する場合、その時点における結晶化グリコール酸共重合体の融点の範囲まで反応温度を上げて固相重合反応を実施することも可能である。
固相重合反応は、回分式及び/又は連続式の1種又は2種以上の反応装置を組み合わせて行うことができる。
固相重合を行う反応装置の限定はなく、公知の乾燥器、例えば、化学工学便覧第5版第5刷、p673〜691(平成7年11月15日発行、丸善株式会社発行)に記載の並行流バンド、トンネル乾燥器、通気バンド乾燥器、噴出流乾燥器、通気竪型(移動層)乾燥器、円筒及び溝型撹拌乾燥器、ねっか乾燥器、円盤乾燥器、回転乾燥器、通気回転乾燥器、流動層乾燥器、円錐回転型乾燥器、噴霧乾燥器、気流乾燥器、多円筒乾燥器、又は他にホッパー型の乾燥器等挙げられる。
本発明により得られる固相重合後のグリコール酸共重合体の重量平均分子量は、通常、1,000,000以下である。
本発明の[工程(A)、(B)、(C)]からなる一連の重縮合工程と、その後に引き続いて実施することが可能な溶融重縮合、及び固相重合は、連続的に行ってもよいし、分割して行ってもよい。
本発明で得られるグリコール酸共重合体は、必要に応じ、重縮合反応後に無水酢酸等の酸無水物、エポキシ化合物等と反応させて、末端変成を行うことも可能である。
本発明に用いられる重縮合器の材質には制限はなく、通常、ガラス、ステンレススチール、カーボンスチール、ニッケル、ハステロイ、チタン、クロム、ジルコニウム、その他合金や耐熱性の高いポリマー材料等から耐食性等を考慮して選択される。重縮合器の表面は、メッキ、ライニング、不動態処理、酸洗浄、アルカリ洗浄等、必要に応じて種々の処理がされていてもよい。
本発明のグリコール酸共重合体には、必要に応じて、公知の、熱安定剤、フェノール系、チオエーテル系等の酸化防止剤等、紫外線防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤、防湿剤、防水剤、撥水剤、滑剤、離型剤、顔料、染料、核剤、可塑剤、無機フィラー、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩、他の熱可塑性樹脂等を、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて添加、又は配合することができる。これらの添加剤の量は、通常0.0005質量%以上40質量%以下の範囲であり、好ましくは0.001質量%以上30質量%以下の範囲である。
本発明によって得られるグリコール酸共重合体は、ガスバリアー性が高く、実用的な機械的強度を有する上に、グリコール酸共重合体の欠点であった樹脂の熱安定性、又は耐熱エージング性が改良されているため、溶融させて成形体に加工した後、又は必要に応じて成形後に熱処理を施した際にも、透明性や白度に優れた成形体を得ることができる。
加工方法としては、公知の方法、例えば、押出成形、圧縮成形(プレス成形)、射出成形、中空成形や溶液流延法等が適用可能であり、必要に応じて熱固定等の処理を施すことができる。
前記の方法により、ペレット、フィルム又はシート、多層フィルム又はシート、射出成形物、発泡体、中空容器、多層中空容器、繊維等の各種成形体を製造することが可能である。これらの内、種々の成形体に加工できるペレットの他、フィルム又はシート、多層フィルム又はシート、中空容器又は多層中空容器がガスバリアー性や生分解性、透明性等の特徴を最大限に活用できるため好ましい。また、発泡体も、前記の特徴の他に耐熱エージング性の特徴を合わせて発現可能であることから好ましい。更に、特殊な例としては、肥料に配合して、遅効性の肥料等、各種配合剤や、農業や園芸向け肥料用のカプセル等としても使用することができる。
上記の成形体に加工する場合、後処理工程又は仕上げ工程において、ウェルディング、ヒートシール、ミシン目付与、プライマー塗布、粘着剤塗布、薬剤塗布、パーカライジング、蒸着、スパッタリング、CVD、コーティング、エッチング、噴き付け、染色、塗装、静電塗装、エアブラッシング、ラミネート、サンドイッチ、エンボス賦与、立体模様賦与、型押し、波付け、印刷、転写、サンディング、サンドプラスト、シャーリング、パンチング、打ち抜き、ハニカム構造化、段ボール構造化、紙や他の熱可塑性樹脂とラミネートや貼り合わせ等により積層体形成等の後処理や仕上げの加工を行うこともできる。後処理工程又は仕上げ工程には、目的に応じ、カレンダー法、押出法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、凸版法、凹版法、ドクターブレード法、浸漬法、スプレー法、エアブラシ法、静電塗装法等の公知の方法を採用することができる。
上記の用途に加工する際には、本発明のグリコール酸共重合体を単独に、又は該グリコール酸共重合体と他の熱可塑性樹脂、無機フィラー、可塑剤等を、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて混合、又は配合した組成物として用いることができる。他の熱可塑性樹脂、無機フィラー、可塑剤等の配合量は、ガスバリアー性や生分解性、成形性などによって適宜選択されるが、組成物中の本発明のグリコール酸共重合体の含有率は、通常50質量%以上である。
本発明のグリコール酸共重合体と混合、又は配合される他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン及びその共重合体、エチレングリコールとコハク酸及び/又はアジピン酸との重合体、ブタンジオールとコハク酸及び/又はアジピン酸との共重合体、シュウ酸エチレンの重合体又は共重合体、ポリ2−ヒドロキシブタン酸、ポリ3−ヒドロキシブタン酸、ポリ4−ヒドロキシブタン酸、ヒドロキシブタン酸−ヒドロキシ吉草酸共重合体、酢酸セルロース、ポリビニルアルコール、でん粉、ポリグルタミン酸エステル、天然ゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、ABS樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体等の熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明のグリコール酸共重合体と混合、又は配合される無機フィラーとしては、アルミナ、シリカ、シリカアルミナ、ジルコニア、酸化チタン、酸化鉄、酸化ホウ素、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、カオリン、タルク、マイカ、フェライト、炭素、ケイ素、窒化ケイ素、二硫化モリブデン、ガラス、チタン酸カリウム等の無機物の粉末、ウイスカー、繊維等が挙げられる。これらの無機フィラーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明のグリコール酸共重合体と混合、又は配合される可塑剤としては、例えば、ジ(メトキシエチル)フタレート、ジオクチルフタレート、ジエチルフタレート、ベンジルブチルフタレート等のフタル酸エステル、ジエチレングリコールジベンゾエート、エチレングリコ ールジベンゾエート等の安息香酸エステル、アジピン酸オクチル、セバチン酸オクチル等の脂肪族二塩基酸エステル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリエチル等の脂肪族三塩基酸エステル、リン酸ジオクチル、リン酸トリクレジル等のリン酸エステル、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等のエポキシ系可塑剤、ポリエチレングリコールセバケート、ポリプロピレングリコールラウレート等のポリアルキレングリコールエステル等が挙げられる。これらの可塑剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
多層フィルム及びシート、又は多層中空容器の場合には、超低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体等のポリスチレン系樹脂、硬質又は軟質ポリ塩化ビニル等のポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリウレタン、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン系樹脂等や、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、エチレングリコールとコハク酸及び/又はアジピン酸との重合体、ブタンジオールとコハク酸及び/又はアジピン酸との共重合体等の生分解性を有する熱可塑性樹脂等から形成された層を有することができる。上記の熱可塑性樹脂は、単独に、又は該グリコール酸共重合体と他の熱可塑性樹脂、無機フィラー、可塑剤等を、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて混合、又は配合した組成物として用いることができる。
グリコール酸共重合体を含んでなるフィルムは、例えば、医用器材包材、ラップフィルム、用品包材、人形包材、生鮮包材、野菜包材、卵パック、レトルト食品包材、インスタント食品包材、食品用ラップフィルム等の食品包材、封筒窓用フィルム、クッション材、エアクッション材、マルチフィルム、ショッピングバッグ、キャリヤバッグ、ゴミ袋、肥料袋、生理用品包材、紙おむつ、粘着テープや磁気テープ等の種々のテープ類、フロッピー(登録商標)ディスク用カバー等として好ましく用いることができる。また、未熱固定の配向フィルムは、熱収縮性フィルムとして使用することができる。スプリットヤーンは、農業用の紐材等として使用することができる。
グリコール酸共重合体を含んでなるシートは、通常、二次加工されて例えば、トレイやカップ等の電子レンジ用容器、レトルト食品包材、高温滅菌や、エチレンオキサイドガス滅菌、又はガンマ線滅菌可能な医用器具包材、熱湯注入型のインスタント食品容器(カップ等)、使い捨て食器、弁当箱、卵パック、クッション材、文房具、人形ケース等として好ましく用いることができる。
グリコール酸共重合体を含んでなる射出成形物は、食器類、箱・ケース類、びん類、台所用品、植木用ポット等の日用雑貨や、ボールペン・シャープペン・鉛筆等文房具、電化製品用各種キャビネット、電子レンジ用容器、ゴルフ用ティー等の部材等に好ましく用いることができる。
グリコール酸共重合体を含んでなる多層フィルムは、例えば、肉類、魚介類、乳製品、漬物、みそ、菓子類、お茶やコーヒー類、麺類、米飯類等の食品用包材や、トイレタリー用包材、薬品包材等に好ましく用いることができる。更に、レトルト滅菌等の高温、高湿下での処理を要する物品や、特別に長期保存を要する物品や、環境負荷の低減が要求される物品等の包材として好ましく用いることができる。
グリコール酸共重合体を含んでなる発泡体は、例えば、弁当箱、食器、コンビニエンスストアで販売されるような弁当や惣菜の容器、カップラーメンや飲料用のカップ、鮮魚・精肉・青果・豆腐・納豆・惣菜等の食料品用の容器やトレイ、又は使い捨て食品容器、緩衝材、遮光材、断熱材、防音材等として好ましく用いることができる。
グリコール酸共重合体を含んでなる中空容器、又は多層中空容器は、炭酸飲料水、清涼飲料水、飲料水、果汁、ビールや酒類、食用油、洗剤、化粧品の容器、トイレタリー用容器、ガソリン用容器、高温滅菌を要する調味料容器、哺乳びん等や、レトルト滅菌等の高温・高湿下での処理を要する物品、長期保存を要する物品、ガスバリアー性を要求する物品、環境負荷の低減が要求される物品等の包装容器として好ましく用いることができる。
繊維としては、例えば、釣り糸、漁網、不織布、縫合糸等として用いることができる。
本発明のグリコール酸共重合体の特性は、以下の方法により測定される。
(1)グリコール酸共重合体を構成するモノマー単位の含有率
(1−1)高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析装置を用い、以下の条件により、ジグリコール酸単位の含有率を求める。
具体的には、微粉砕した後に、80℃、1×10Paで6時間乾燥したグリコール酸共重合体5gを秤量し、室温で20mlの8N-NaOH水溶液10mlにて48時間加水分解し、濃塩酸水溶液12.5mlで酸性条件とした水溶液をサンプル溶液とする。
サンプル水溶液を、0.75質量%の燐酸水溶液を溶離液として、カラム温度40℃、溶離液流量1ml/分の条件下でカラム(カラム構成は、昭和電工(株)製RSpak(登録商標)KC-811を2本直列で接続したものからなる)を通し、UVディテクター(波長210nm)にて検出された、対応するジグリコール酸に相当するピークの吸光度を測定する。
ポリマー中に存在するジグリコール酸単位の含有率は、別途作成したジグリコール酸の検量線を用いて、前述の乾燥して秤量した樹脂質量に対して、存在するジグリコール酸単位の含有率を乾燥樹脂1g中のジグリコール酸の含有モル量で算出する。
(1−2)グリコール酸共重合体を構成するジグリコール酸単位以外のモノマー単位の含有量比
80℃、1×10Paで6時間乾燥したグリコール酸共重合体30mgに対して、1mlの割合で重水素化ヘキサフルオロイソプロパノール溶媒に溶解したグリコール酸共重合体の重水素化ヘキサフルオロイソプロパノール溶液に、基準物質としてテトラメチルシランを極く少量添加したものを測定試料とする。この測定試料を用いて、400MHz(日本分光社製α―400)のH−NMRの測定を積算回数500回にて行い、得られた結果を解析してジグリコール酸単位以外のモノマー単位の構成量をモル比で算出する。
次いで、上記(1−1)及び(1−2)で得られた、グリコール酸共重合体1g中に含有されるジグリコール酸の含有モル量、及びグリコール酸共重合体を構成するジグリコール酸以外の化合物単位の構成モル比の結果、更に、各化合物単位の式量を用いて、計算により、上記乾燥した樹脂1gを構成する各化合物単位の含有率をモル%で算出する。ここで、本発明の共重合体は分子量が十分に高いため、末端構造は無視し得る。したがって、共重合体が共重合化合物単位のみからなるものとして計算する。
上記の方法は、通常行われる計算方法であるが、以下にその計算方法を例示する。
グリコール酸共重合体(Y)が、グリコール酸単位、グリコール酸以外の単一のヒドロキシカルボン酸単位、ジグリコール酸単位、及び単一のポリオール単位から構成されるものとし、グリコール酸単位の式量をα1、グリコール酸以外の単一のヒドロキシカルボン酸単位の式量をβ1、ジグリコール酸単位の式量をγ1、単一のポリオール単位の式量をδ1とする。
上記(1−1)で求められたジグリコール酸単位の含有モル数がM01モルであり、上記(1−2)で求められたグリコール酸単位、グリコール酸以外の単一のヒドロキシカルボン酸単位、及び単一のポリオール単位のモル比がそれぞれ、M1、M2、M3であるものとする。
グリコール酸共重合体(Y)1g中のジグリコール酸単位を除いた重量[Z](g)は、下記式で示される。
Z=1−(γ1×M01)
また、グリコール酸共重合体(Y)の[Z]中のジグリコール酸単位を除いた化合物単位の平均式量(MA)は、下記式で示される。
MA=(α1×M1+β1×M2+δ1×M3)/(M1+M2+M3)
これより、グリコール酸重合体(Y)の[Z]中のグリコール酸単位の含有モル数[M11]、グリコール酸単位以外の単一のヒドロキシカルボン酸単位の含有モル数[M21]、単一のポリオール単位の含有モル数[M31]は、それぞれ下記数式で表される。
M11=(Z/MA)×M1/(M1+M2+M3)
M21=(Z/MA)×M2/(M1+M2+M3)
M31=(Z/MA)×M3/(M1+M2+M3)
得られたM11、M21、M01、M31は、共重合体1g中に含有されるグリコール酸単位、グリコール酸以外の単一のヒドロキシカルボン酸単位、ジグリコール酸単位、並びに、単一のポリオール単位のモル数を用いて、各化合物単位の含有率を算出する。
(2)グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位の平均連鎖長
80℃、1×10Paで6時間乾燥したグリグリコール酸共重合体30mgに対して、1mlの割合で重水素化ヘキサフルオロイソプロパノール溶媒に溶解したグリコール酸共重合体の重水素化ヘキサフルオロイソプロパノール溶液に、基準物質としてテトラメチルシランを極く少量添加したものを測定試料とする。この試料を、日本分光社製α―400を測定装置に用い、核オーバハウザー効果を消去したプロトン完全デカップル条件における13C−NMRの測定を積算回数10,000回の条件で行う。
得られた、グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位が隣り合った2連鎖由来のカルボニル基のピークの積分値をαとし、グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位とグリコール酸単位とが隣り合った2連鎖由来のカルボニル基のピークの積分値、及びグリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位とヒドロキシカルボン酸単位を除くその他の単位構造とが隣り合った2連鎖由来のカルボニル基のピークの積分値の総和をβとして、数式(9)によって、平均連鎖長γを求める。
Figure 0004540321
(3)グリコール酸共重合体の重量平均分子量
東ソー社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析装置8020GPCシステムを用い、以下の条件により求める。
使用する溶媒として、予め、80mMのトリフルオロ酢酸ナトリウム(和光純薬社製試薬)を溶解したヘキサフルオロイソプロパノールを調整しておく。すなわち、ヘキサフルオロイソプロパノール1000gに対して、トリフルオロ酢酸ナトリウム6.48gを溶解した溶液(以下、溶離液、と略記する)を調整する。
評価用グリコール酸共重合体の試料溶液として、80℃、1×10Paで6時間乾燥したグリコール酸共重合体20mgを精秤した後、前記溶離液3gに溶解し、その後、0.2μmのフィルターにて濾過したものを用いる。
カラム温度40℃にて、溶離液を流量1ml/分の条件下でカラム[カラム構成は、ガードカラムとして東ソー(株)社製TskguardcolumnHHR−H(登録商標)を用い、東ソー(株)製Tskgel(登録商標)G5000HHR、及び東ソー(株)製Tskgel(登録商標)G3000HHRの各1本ずつを直列に配置]を通し、分子量1,577,000、685,000、333,000、100,250、62,600、24,300、12,700、4,700、1,680、1140の、分子量既知のPolymer Laboratories社製単分散ポリメタクリル酸メチル標準物質、及びメタクリル酸メチルモノマー(分子量100)のRI検出による溶出時間から求めた検量線を予め作成し、その溶出時間から重量平均分子量を算出する。
(4)グリコール酸共重合体の融点
JIS K7121に準じて求める。
パーキンエルマー(株)製DSC−7を用い、80℃、1×10Paで6時間乾燥したグリコール酸共重合体を−20℃から10℃/分の昇温速度で250℃まで昇温させて得られるDSC曲線より求める。この際、融解ピークが複数存在する場合には、融解ピークの内、最も高温側にあるピークのピークトップ温度を融点とする。
(5)共重合体の溶融熱安定性
撹拌翼を取り付けたフラスコにグリコール酸共重合体試料7.5gを仕込み、室温条件下で系内を乾燥窒素で置換し、次いで、緩やかに撹拌を行いながら、真空条件下、80℃、1×10Paで6時間乾燥する。乾燥終了後、系内を乾燥窒素で常圧とし、撹拌を継続しながら240℃に昇温し、グリコール酸共重合体を溶融する。235℃に達した後、5分後にサンプリングする。サンプリングにより得られたグリコール酸共重合体の着色度の評価を下記の手順にて実施する。
上記(3)記載の方法において、検出器として波長350nm設定したUV検出器(東ソー社製UV8020)を接続し、その際、検出される全カウント数により評価する。
全カウント数は低いほど、グリコール酸共重合体の色調がよいことを示す。全カウント数と目視でのグリコール酸共重合体の色調は、以下のように対応する。
カウント数が50未満の場合には、グリコール酸共重合体は白色〜淡黄色、カウント数が50以上100以下の場合には、共重合体は黄色、カウント数が100を越える場合には、共重合体は褐色〜黒褐色に相当する。
(6)溶融成形シートのガスバリアー性の評価
[溶融成形シートの作製]
グリコール酸共重合体を、130℃に設定した窒素循環恒温乾燥機中で含有水分量が200ppm以下になるまで、約2時間、乾燥を行う。次いで、240℃に設定した加熱プレス機で5分間、加熱、加圧し、25℃に設定した冷却プレスで冷却し、厚み200μmのシートを得る。
[ガスバリアー性評価]
ガスバリアー性は、前記の溶融成形シートを試料として、酸素ガス透過度を測定する。
酸素ガス透過度の測定は、測定装置としてmocon社製酸素透過率測定装置OX−TRAN200H型を使用し、JIS K7126B法に準拠して測定する。すなわち、厚み200μmのシートを、一辺120mmの正方形状に切り出し、温度23℃、相対湿度65%の条件で試験を行う。酸素ガス透過度の値は、サンプルについて、酸素ガス透過度が平衡値となった値を用い、厚み10μmに換算した値(cc/m・day・atm)で示す。
ガスバリアー性は、酸素ガス透過度が低ければ低いほど、高いことを表す。
酸素ガス透過度が10以下の場合には、ガスバリアー性が極めて高い、前記透過度が10を越え、20以下の場合には、ガスバリアー性が高い、酸素ガス透過度が20以上の場合には、ガスバリアー性が低い、ことを表す。
(7)溶融成形シートの機械物性の評価
[溶融成形シートの作製]
グリコール酸共重合体を、130℃に設定した窒素循環恒温乾燥機中で含有水分量が200ppm以下になるまで、約2時間、乾燥する。次いで、240℃に設定した加熱プレス機で5分間加熱加圧し、25℃に設定した冷却プレスで冷却し、厚み200μmのシートを得る。
[溶融成形シートの強度]
前記の厚み約200μmのシートを、一辺100mmの正方形状に切り出し、温度23℃、関係湿度65%の条件で下記の試験を行う。
向かい合った辺を、幅100mm、挟み込むシートの奥行きが10mmとなるように金属製治具で挟み込み、治具を取り付けた向かい合う辺のシートの線対称中心線を基準として、治具どうしが90度の角度をなすまでシートを曲げる。この操作を前記シートの中心線を基準として同一方向に5回まで行う。シートの強度は、シートが破損した時の曲げ回数を数値として示す。5回までの試験によりシートが破損しなかった場合は5以上とする。
シートの強度が3以下の場合には、容器やフィルム等の成形品に必要な機械的強度が不十分であり、4以上の場合は、容器やフィルム等の成形品に必要な機械的強度を有することを表す。
(8)溶融成形シートの土中崩壊性の評価
生分解性は、土壌中での崩壊性試験によって評価することができるため、以下の手順にしたがって評価を実施する。
前記(7)[溶融成形シートの製作]に記載の方法により作成したシートを、縦30mm、横100mmの短冊状に切り出し、畑地の土壌中、深さ約10cmのところに埋設し、3ヶ月毎に掘り出してその形状を確認する。形状が崩れ始める時期を観察し、12ヶ月以内に崩壊を始めた場合を、土中崩壊性有りと評価する。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
[実施例1]
(a)低分子量グリコール酸共重合体の製造
留出管及び平羽根型撹拌翼を備えた内容積350mlの邪魔板付きパイレックス(登録商標)ガラス製セパラブルフラスコに、ジグリコール酸含有量がグリコール酸に対して0.005モル%以下である70質量%グリコール酸水溶液を332g、90質量%L−乳酸水溶液を58g、及び原料水溶液に対して0.05質量%のテトライソプロポキシゲルマニウム(モノマー1g当たりゲルマニウム金属原子として2.2×10−6モル)を仕込んだ後に、窒素置換を行った。
仕込み原料中におけるジグリコール酸単位のモル比は0.00005以下であるため、換算モル比が0となり、グリコール酸単位の換算モル比は0.84、乳酸単位の換算モル比は0.16である。
その後、セパラブルフラスコを温度150℃のオイルバスに浸積し、撹拌回転数を毎分200回転として窒素気流下にて、1.5時間保持して脱水を行った。次いで、オイルバス温度を150℃のままで、5.0×10Paで1時間、2.5×10Paで0.5時間、1.0×10Paで50分、5.0×10Paで50分、2.0×10Paで50分重縮合反応を実施した。この間、反応液の温度は徐々に上昇し、減圧度を1.0×10Paとした時点から反応液の温度は146℃とほぼ一定値を示した[工程(A)]。本工程終了後の、グリコール酸共重合体の分子量を少量サンプリングして測定した結果、重量平均分子量は、1,900であった。
撹拌回転数及び減圧状態を保持したまま、反応温度190℃まで25分かけて徐々に昇温した[工程(B)]。反応温度が190℃におけるグリコール酸共重合体の分子量を少量サンプリングして測定した結果、重量平均分子量は、2,100であった。
引き続き、反応温度を200℃まで10分で昇温し、撹拌回転数を毎分600回転に変更し、減圧度4.0×10Paにて、190℃を越えた後の合計反応時間として2.5時間反応を継続し、重量平均分子量13,800のグリコール酸共重合体を得た[工程(C)]。この際、反応液の温度が190℃を越えた時点を基準として、グリコール酸共重合体の重量平均分子量が10,000に到達するまでに要した時間は100分であり、この時間範囲における1時間当たりの重量平均分子量の増加量は4,740であった。
得られた溶融状態のグリコール酸共重合体を冷却、固化した後に取り出し、引き続き、以下に示す操作により、得られたグリコール酸共重合体の重合を行った。
(b)グリコール酸共重合体の溶融重縮合
内径70mm、有効長さ250mmのパイレックス(登録商標)ガラス製円筒状チューブに、上記で得られたグリコール酸共重合体25gを仕込み、加熱用面ヒーターを有するガラスチューブオーブン(柴田科学(株)製GTO−350RG)にセットした。室温条件下、内部を窒素置換した後に、内部の円筒形チューブの回転を開始し、反応温度200℃に昇温し、圧力2.6×10Paで12時間溶融重縮合を行った後、乾燥窒素で常圧とし、冷却、固化して内容物を取り出した。
(c)グリコール酸共重合体の分析値
得られたグリコール酸共重合体の重量平均分子量は123,000、その共重合組成は、グリコール酸単位83.97モル%、ジグリコール酸単位0.03モル%、グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位として乳酸単位を16.00モル%含有し、乳酸単位の平均連鎖長は1.08、着色度は28であった。
(d)グリコール酸共重合体及び溶融成形シートの評価
得られたグリコール酸共重合体の溶融熱安定性を評価した結果、着色度は36であり、ほぼ良好であった。また、溶融成形シートの酸素ガス透過度は、9.1(cc/m・day・atm)であり、極めて高いガスバリアー性を有していた。更に、溶融成形シートの強度は4であり、容器やフィルム等の成形品に必要な機械的強度を有するものであると共に、溶融成形シートは土中崩壊性を有していた。
分析値及び評価結果を表1に示す。
[実施例2]
(a)低分子量グリコール酸共重合体の製造
実施例1と同様の装置に、ジグリコール酸含有量がグリコール酸に対して0.005モル%以下である70質量%グリコール酸水溶液を360g、90質量%L−乳酸水溶液を40.83g、及び原料水溶液に対して、0.05質量%のテトライソプロポキシゲルマニウム(モノマー1g当たりゲルマニウム金属原子として2.2×10−6モル)を仕込んだ(仕込み原料中におけるジグリコール酸単位のモル比は0.00005以下であるため、換算モル比で0となり、グリコール酸単位の換算モル比は0.89、乳酸単位の換算モル比は0.11である。)以外は、実施例1(a)と同様に、[工程(A)、(B)及び(C)]の重縮合操作を行い、重量平均分子量13,800のグリコール酸共重合体を製造した。[工程(A)]において、反応液の温度は徐々に上昇し、減圧度を1.0×10Paとした時点から反応液の温度は146℃とほぼ一定値を示した。この際、[工程(A)]終了後のグリコール酸共重合体の重量平均分子量は1,900、反応温度が190℃におけるグリコール酸共重合体の重量平均分子量は2,100であり、反応温度が190℃を越えた時点を基準として、グリコール酸共重合体の重量平均分子量が10,000に到達するまでに要した時間は100分であった。これより、この時間範囲における1時間当たりの重量平均分子量の増加量は4,740であった。
得られた溶融状態のグリコール酸共重合体を冷却、固化した後に取り出し、引き続き、以下に示す操作により、得られたグリコール酸共重合体の重合を行った。
(b)グリコール酸共重合体の溶融重縮合、結晶化処理、粉砕処理、及び固相重合
(b−1)溶融重縮合、結晶化処理、粉砕処理
内径70mm、有効長さ250mmのパイレックス(登録商標)ガラス製円筒状チューブに、上記で得られたグリコール酸共重合体35gを仕込み、加熱用面ヒーターを有するガラスチューブオーブン(柴田科学(株)製GTO−350RG)にセットした。室温条件下、内部を窒素置換した後に、内部の円筒形チューブの回転を開始し、反応温度200℃、圧力2.6×10Paで3.5時間、溶融重縮合を行った後、乾燥窒素で常圧として室温まで冷却した。
引き続き、パイレックス(登録商標)ガラス製円筒状チューブの回転を継続させながら、乾燥窒素条件下にて、130℃で5時間結晶化させた後、冷却、固化して、結晶化した重量平均分子量43,200のグリコール酸共重合体を取り出した。
得られたグリコール酸共重合体を粉砕し、篩にかけて、粒径100〜300μmの結晶化グリコール酸共重合体粉砕物(以下、結晶化グリコール酸共重合体P−1、と略記する)を得た。この結晶化グリコール酸共重合体P−1の融点は185℃であった。
引き続き、以下の手順で固相重合反応を行った。
(b−2)結晶化グリコール酸共重合体の固相重合
内径40mm、有効長さ50mmのSUS316製円筒状竪型反応器に、粉砕した結晶化グリコール酸共重合体A25gを充填し、反応圧力1.013×10Pa(常圧)にて、流量が30NL/分(25℃での測定値)、露点温度が−95℃の窒素ガスを、170℃に加熱して流通させながら、30時間反応させた。
(c)グリコール酸共重合体の分析値
得られたグリコール酸共重合体の重量平均分子量は186,000、その共重合組成は、グリコール酸単位88.97モル%、ジグリコール酸単位0.03モル%、グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位として乳酸単位を11.00モル%含有し、乳酸単位の平均連鎖長は1.02、着色度は29であった。
(d)グリコール酸共重合体及び溶融成形シートの評価
得られたグリコール酸共重合体の溶融熱安定性を評価した結果、着色度は38であり、ほぼ良好であった。また、溶融成形シートの酸素ガス透過度は8.0(cc/m・day・atm)であり、極めて高いガスバリアー性を有していた。更に、溶融成形シートの強度は5以上であり、容器やフィルム等の成形品に必要な機械的強度を有すると共に、溶融成形シートは土中崩壊性を有していた。
分析値及び評価結果を表1に示す。
[実施例3]
(a)低分子量グリコール酸共重合体の製造
実施例1と同様の装置に、ジグリコール酸含有量がグリコール酸に対して0.005モル%以下である70質量%グリコール酸水溶液を360g、90質量%L−乳酸水溶液を21g、及び原料水溶液に対して0.05質量%のテトライソプロポキシゲルマニウム(モノマー1g当たりゲルマニウム金属原子として2.3×10−6モル)を仕込んだ(仕込み原料中におけるジグリコール酸単位のモル比は0.00005以下であるため、換算モル比で0となり、グリコール酸単位の換算モル比は0.94、乳酸単位の換算モル比は0.06である。)以外は、実施例1と同様に[工程(A)]の重縮合操作を行った。[工程(A)]において、反応液の温度は徐々に上昇し、減圧度を1.0×10Paとした時点から反応液の温度は146℃とほぼ一定値を示した。本工程終了後の、グリコール酸共重合体の分子量を少量サンプリングして測定した結果、重量平均分子量は、1,900であった。
その後、撹拌回転数及び減圧状態を保持したまま、反応温度190℃まで25分かけて徐々に昇温した[工程(B)]。反応温度が190℃におけるグリコール酸共重合体の分子量を少量サンプリングして測定した結果、重量平均分子量は、2,100であった。
引き続き反応温度を225℃まで20分で昇温し、撹拌回転数を毎分600回転に変更し、減圧度4.0×10Paにて、190℃を越えた後の合計反応時間として2.5時間反応を継続して、重量平均分子量16,300のグリコール酸共重合体を得た[工程(C)]。この際、反応液の温度が190℃を越えた時点を基準として、グリコール酸共重合体の重量平均分子量が10,000に到達するまでに要した時間は80分であり、この時間範囲における1時間当たりの重量平均分子量の増加量は、5,925であった。
得られた溶融状態のグリコール酸共重合体を冷却、固化した後に取り出し、引き続き、以下に示す操作により、得られたグリコール酸共重合体の重合を行った。
(b)グリコール酸共重合体の溶融重縮合、結晶化処理、粉砕処理、及び固相重合
(b−1)溶融重縮合、結晶化処理、粉砕処理
得られたグリコール酸共重合体を、反応温度を225℃とした以外は、実施例2(b−1)と同様の方法で、溶融重縮合、結晶化処理、及び粉砕処理を行って結晶化させ、重量平均分子量46,300、融点209℃のグリコール酸共重合体(以下、結晶化グリコール酸共重合体P−2、と略記する)を製造した。
引き続き、以下の手順で固相重合反応を行った。
(b−2)結晶化グリコール酸共重合体の固相重合
得られた結晶化グリコール酸共重合体P−2を用いて、実施例2(b−2)と同様の方法で固相重合を実施した。
(c)グリコール酸共重合体の分析値
得られたグリコール酸共重合体の重量平均分子量は、182,000、その共重合組成は、グリコール酸単位93.97モル%、ジグリコール酸単位0.03モル%、グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位として乳酸単位を6.00モル%含有し、乳酸単位の平均連鎖長は1.02、着色度は29であった。
(d)グリコール酸共重合体及び溶融成形シートの評価
得られたグリコール酸共重合体の溶融熱安定性を評価した結果、着色度は43であり、ほぼ良好であった。また、溶融成形シートの酸素ガス透過度は、7.2(cc/m・day・atm)であり、極めて高いガスバリアー性を有していた。更に、溶融成形シートの強度は5以上であり、容器やフィルム等の成形品に必要な機械的強度を有すると共に、溶融成形シートは土中崩壊性を有していた。
分析値及び評価結果を表1に示す。
[実施例4]
(a)低分子量グリコール酸共重合体の製造
実施例1と同様の装置に、ジグリコール酸含有量がグリコール酸に対して0.005モル%以下である70質量%グリコール酸水溶液を338g、6−ヒドロキシヘキサノイックアシッドを51g、及び原料水溶液に対して、0.03質量%の塩化第1錫(モノマー1g当たり錫金属原子として2.1×10−6モル)を仕込んだ(仕込み原料中におけるジグリコール酸単位のモル比は0.00005以下であるため、換算モル比で0となり、グリコール酸単位の換算モル比は0.89、6−ヒドロキシヘキサノイックアシッド単位の換算モル比は0.11である。)以外は、実施例2と同様に[工程(A)、(B)及び(C)]の重縮合操作を行い重量平均分子量13,000のグリコール酸共重合体を製造した。
[工程(A)]において、反応液の温度は徐々に上昇し、減圧度を1.0×10Paとした時点から反応液の温度は146℃とほぼ一定値を示していた。この際、[工程(A)]終了後のグリコール酸共重合体の重量平均分子量は1,900、反応温度が190℃におけるグリコール酸共重合体の重量平均分子量は2,100であり、反応温度が190℃を越えた時点を基準として、グリコール酸共重合体の重量平均分子量が10,000に到達するまでに要した時間は105分であった。これより、この時間範囲における1時間当たりの重量平均分子量の増加量は4,514であった。
(b)グリコール酸共重合体の溶融重縮合、結晶化処理、粉砕処理、及び固相重合
(b−1)溶融重縮合、結晶化処理及び粉砕処理
得られたグリコール酸共重合体を実施例2(b−1)と同様の方法で、溶融重縮合、結晶化処理、及び粉砕処理を行って、結晶化した、重量平均分子量42,900、融点183℃のグリコール酸共重合体(以下、結晶化グリコール酸共重合体P−3、と略記する)を作成した。
(b−2)結晶化グリコール酸共重合体の固相重合
引き続き、得られた結晶化グリコール酸共重合体P−3を用いて、実施例2(b−2)と同様の方法で固相重合を実施した。
(c)グリコール酸共重合体の分析値
得られたグリコール酸共重合体の重量平均分子量は167,000、その共重合組成は、グリコール酸単位88.97モル%、ジグリコール酸単位0.03モル%、グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位である6−ヒドロキシヘキサノイックアシッド単位11.00モル%を含有し、6−ヒドロキシヘキサノイックアシッド単位の平均連鎖長は1.03、着色度は29であった。
(d)グリコール酸共重合体及び溶融成形シートの評価
得られたグリコール酸共重合体の溶融熱安定性を評価した結果、着色度は38であり、ほぼ良好であった。また、溶融成形シートの酸素ガス透過度は8.1(cc/m・day・atm)であり、高いガスバリアー性を有していた。更に、溶融成形シートの強度は5以上であり、容器やフィルム等の成形品に必要な機械的強度を有すると共に、溶融成形シートは土中崩壊性を有していた。
分析値及び評価結果を表1に示す。
[実施例5]
(a)低分子量グリコール酸共重合体の製造
実施例1と同様の装置に、ジグリコール酸含有量がグリコール酸に対して0.005モル%以下である70質量%グリコール酸水溶液を338g、3−ヒドロキシブチリックアシッドを30g、及び原料水溶液に対して0.05質量%のテトライソプロポキシゲルマニウム(モノマー1g当たりゲルマニウム金属原子として2.2×10−6モル)を仕込んだ(仕込み原料中におけるジグリコール酸単位のモル比は0.00005以下であるため、換算モル比で0となり、グリコール酸単位の換算モル比は0.89、3−ヒドロキシブチリックアシッド単位の換算モル比は0.11である。)以外は、実施例2と同様に[工程(A)、(B)及び(C)]の重縮合操作を行い重量平均分子量13,700のグリコール酸共重合体を製造した。
[工程(A)]において、反応液の温度は徐々に上昇し、減圧度を1.0×10Paとした時点から反応液の温度は146℃とほぼ一定値を示していた。この際、[工程(A)]終了後のグリコール酸共重合体の重量平均分子量は1,900、反応温度が190℃におけるグリコール酸共重合体の重量平均分子量は2,100であり、反応温度が190℃を越えた時点を基準として、グリコール酸共重合体の重量平均分子量が10,000に到達するまでに要した時間は100分であった。これより、この時間範囲における1時間当たりの重量平均分子量の増加量は4,740であった。
(b)グリコール酸共重合体の溶融重縮合、結晶化処理、粉砕処理、及び固相重合
(b−1)溶融重縮合、結晶化処理及び粉砕処理
得られたグリコール酸共重合体を実施例2(b−1)と同様の方法で、溶融重縮合、結晶化処理及び粉砕処理を行って、結晶化した重量平均分子量43,000、融点184℃のグリコール酸共重合体(以下、結晶化グリコール酸共重合体P−4、と略記する)を作成した。
(b−2)結晶化グリコール酸共重合体の固相重合
引き続き、得られた結晶化グリコール酸共重合体P−4を用いて、実施例2(b−2)と同様の方法で固相重合を実施した。
(c)グリコール酸共重合体の分析値
得られたグリコール酸共重合体の重量平均分子量は179,000、その共重合組成は、グリコール酸単位88.97モル%、ジグリコール酸単位0.03モル%、グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位である3−ヒドロキシブチリックアシッド単位11.00モル%を含有し、3−ヒドロキシブチリックアシッド単位の平均連鎖長は1.02、着色度は28であった。
(d)グリコール酸共重合体及び溶融成形シートの評価
得られたグリコール酸共重合体の溶融熱安定性を評価した結果、着色度は39であり、ほぼ良好であった。また、溶融成形シートの酸素ガス透過度は、8.0(cc/m・day・atm)であり、高いガスバリアー性を有していた。更に、溶融成形シートの強度は5以上であり、容器やフィルム等の成形品に必要な機械的強度を有すると共に、溶融成形シートは土中崩壊性を有していた。
分析値及び評価結果を表1に示す。
[比較例1]
(a)低分子量グリコール酸共重合体の製造
実施例1と同様の装置に、ジグリコール酸含有量がグリコール酸に対して0.005モル%以下である70質量%グリコール酸水溶液を360g、90質量%L−乳酸水溶液を40.83g、及び原料水溶液に対して、0.05質量%のテトライソプロポキシゲルマニウム(モノマー1g当たりゲルマニウム金属原子として2.2×10−6モル)を仕込んだ後に、窒素置換を行った。
仕込み原料中におけるジグリコール酸単位のモル比は0.00005以下であるため、換算モル比で0となり、グリコール酸単位の換算モル比は0.89、乳酸単位の換算モル比は0.11である。
その後、セパラブルフラスコを温度150℃のオイルバスに浸積し、撹拌回転数を毎分200回転として窒素気流下にて、1.5時間保持して脱水を行った。オイルバス温度を150℃のままで、5.0×10Paで1時間、2.5×10Paで0.5時間、1.0×10Paで20分重縮合反応を実施した。この間、反応液の温度は徐々に上昇し、減圧度を1.0×10Paとした時点から反応液の温度は146℃とほぼ一定値を示した。
本工程終了後の、グリコール酸共重合体の分子量を少量サンプリングして測定した結果、重量平均分子量は400であった。その後、撹拌回転数及び減圧状態を保持したまま、反応温度190℃まで25分かけて徐々に昇温した。反応温度が190℃におけるグリコール酸共重合体の分子量を少量サンプリングして測定した結果、重量平均分子量は600であった。
引き続き、反応温度を200℃まで10分で昇温し、撹拌回転数を毎分600回転に変更し、減圧度4.0×10Paにて、190℃を越えた後の合計反応時間として2.5時間反応を継続し、重量平均分子量12,200のグリコール酸共重合体を得た。
この際、反応液の温度が190℃を越えた時点を基準として、グリコール酸共重合体の重量平均分子量が10,000に到達するまでに要した時間は120分であり、この時間範囲における1時間当たりの重量平均分子量の増加量は4,700であった。
(b)グリコール酸共重合体の溶融重縮合、結晶化処理、粉砕処理、及び固相重合
(b−1)溶融重縮合、結晶化処理及び粉砕処理
得られたグリコール酸共重合体を実施例2(b−1)と同様の方法で、溶融重縮合、結晶化処理及び粉砕処理を行って、結晶化した重量平均分子量43,800、融点183℃のグリコール酸共重合体(以下、結晶化グリコール酸共重合体P−5、と略記する)を作成した。
(b−2)結晶化グリコール酸共重合体の固相重合
引き続き、得られた結晶化グリコール酸共重合体P−5を用いて、実施例2(b−2)と同様の方法で固相重合を実施した。
(c)グリコール酸共重合体の分析値
固相重合後に得られたグリコール酸共重合体の重量平均分子量は109,000であり、その組成は、グリコール酸単位88.86モル%、ジグリコール酸単位0.13モル%、グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位として乳酸単位を11.01モル%含有し、乳酸単位の平均連鎖長は1.02、着色度は34であった。
(d)グリコール酸共重合体及び溶融成形シートの評価
溶融成形シートの酸素ガス透過度は8.2(cc/m・day・atm)であり、良好なガスバリアー性を有していた。溶融成形シートの強度は4であり、容器やフィルム等の成形品に必要な機械的強度を有すると共に、溶融成形シートは土中崩壊性を有していた。グリコール酸共重合体の溶融熱安定性を評価した結果、着色度は175であり、褐色に変色した。
分析値及び評価結果を表2に示す。
[比較例2]
(a)低分子量グリコール酸共重合体の製造
実施例1と同様の装置に、ジグリコール酸含有量がグリコール酸に対して0.005モル%以下である70質量%グリコール酸水溶液を360g、90質量%L−乳酸水溶液を10.2g、及び原料水溶液に対して、0.05質量%のテトライソプロポキシゲルマニウム(モノマー1g当たりゲルマニウム金属原子として2.3×10−6モル)を仕込んだ(仕込み原料中におけるジグリコール酸単位のモル比は0.00005以下であるため、換算モル比で0となり、グリコール酸単位の換算モル比は0.97、乳酸単位の換算モル比は0.03である。)以外は、実施例3と同様に[工程(A)、(B)及び(C)]の重縮合操作を行い、重量平均分子量16,300のグリコール酸共重合体を製造した。
[工程(A)]において、反応液の温度は徐々に上昇し、減圧度を1.0×10Paとした時点から反応液の温度は146℃とほぼ一定値を示した。この際、[工程(A)]終了後のグリコール酸共重合体の重量平均分子量は1,900、反応温度が190℃におけるグリコール酸共重合体の重量平均分子量は、2,100であり、反応温度が190℃を越えた時点を基準として、グリコール酸共重合体の重量平均分子量が10,000に到達するまでに要した時間は80分であった。これより、この時間範囲における1時間当たりの重量平均分子量の増加量は、5,925であった。
(b)グリコール酸共重合体の溶融重縮合、結晶化処理、粉砕処理、及び固相重合
(b−1)溶融重縮合、結晶化処理、粉砕処理
得られたグリコール酸共重合体を、反応温度を230℃とした以外は、実施例2(b−1)と同様の方法で、溶融重縮合、結晶化処理、及び粉砕処理を行って、結晶化した重量平均分子量46,300、融点225℃のグリコール酸共重合体(以下、結晶化グリコール酸共重合体P−6、と略記する)を作成した。
引き続き、以下の手順で固相重合反応を行った。
(b−2)結晶化グリコール酸共重合体の固相重合
得られた結晶化グリコール酸共重合体P−6を用いて、実施例2(b−2)と同様の方法で固相重合を実施した。
(c)グリコール酸共重合体の分析値
得られたグリコール酸共重合体の重量平均分子量は164,000、その共重合組成は、グリコール酸単位96.97モル%、ジグリコール酸単位0.03モル%、グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位として乳酸単位を3.00モル%含有し、乳酸単位の平均連鎖長は1.01、着色度は33であった。
(d)グリコール酸共重合体及び溶融成形シートの評価
溶融成形シートの酸素ガス透過度は、7.0(cc/m・day・atm)と、極めて高いガスバリアー性を有していた。また、溶融成形シートは土中崩壊性を有し、溶融成形シートの強度は5以上で容器やフィルム等の成形品に必要な機械的強度を有するものであったが、溶融熱安定性を評価した結果、着色度は115で褐色に変色した。
分析値及び評価結果を表2に示す。
[比較例3]
(a)低分子量グリコール酸共重合体の製造
実施例1と同様の装置に、ジグリコール酸含有量がグリコール酸に対して0.005モル%以下である70質量%グリコール酸水溶液を290g、90質量%L−乳酸水溶液を98.5g、及び原料水溶液に対して、0.05質量%のテトライソプロポキシゲルマニウム(モノマー1g当たりゲルマニウム金属原子として2.2×10−6モル)を仕込んだ(仕込み原料中におけるジグリコール酸単位のモル比は0.00005以下であるため、換算モル比で0となり、グリコール酸単位の換算モル比は0.73、乳酸単位の換算モル比は0.27である。)以外は、実施例1と同様に[工程(A)、(B)、及び(C)]の重縮合操作を行い、重量平均分子量13,800のグリコール酸共重合体を製造した。
[工程(A)]において、反応液の温度は徐々に上昇し、減圧度を1.0×10Paとした時点から反応液の温度は146℃とほぼ一定値を示した。この際、[工程(A)]終了後のグリコール酸共重合体の重量平均分子量は1,900、反応温度が190℃におけるグリコール酸共重合体の重量平均分子量は2,100であり、反応温度が190℃を越えた時点を基準として、グリコール酸共重合体の重量平均分子量が10,000に到達するまでに要した時間は100分であった。これより、この時間範囲における1時間当たりの重量平均分子量の増加量は4,740であった。
(b)グリコール酸共重合体の溶融重縮合
実施例1(b)記載と同様の方法で溶融重縮合を行った。
(c)グリコール酸共重合体の分析値
得られたグリコール酸共重合体の重量平均分子量は122,000、その共重合組成は、グリコール酸単位72.96モル%、ジグリコール酸単位0.03モル%、グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位として乳酸単位を27.01モル%含有し、乳酸単位の平均連鎖長は1.14、着色度は33であった。
(d)グリコール酸共重合体及び溶融成形シートの評価
得られたグリコール酸共重合体の溶融熱安定性を評価した結果、着色度は39、溶融成形シートの強度は4で、容器やフィルム等の成形品に必要な機械的強度を有していた。また、溶融成形シートは土中崩壊性を有していたが、溶融成形シートの酸素ガス透過度は、35(cc/m・day・atm)でガスバリアー性は低かった。
分析値及び評価結果を表2に示す。
[比較例4]
(a)低分子量グリコール酸共重合体の製造
グリコール酸及び乳酸をそれぞれ個別の装置で重縮合反応させ、途中で2つの低分子量重合物を混合して反応を実施した。
(a−1) 留出管及びアンカー翼を備えた内容積100mlの邪魔板付きパイレックス(登録商標)ガラス製セパラブルフラスコに、90質量%L−乳酸水溶液60gを仕込んだ後に、窒素置換を行った。その後、セパラブルフラスコを温度130℃のオイルバスに浸積し、撹拌回転数を毎分200回転として窒素気流下で1.5時間保持して脱水を行った。この後、反応温度を130℃のままで、5.0×10Paで1時間、2.5×10Paで1時間、1.0×10Paで1時間、5.0×10Paで1時間、2.0×10Paで1時間、重縮合反応を行わせた。次いで、冷却、固化して重縮合物を取り出した。非晶状態のポリL−乳酸の重量平均分子量は1,000であった。
(a−2) 実施例1(a)と同様の装置に、ジグリコール酸含有量がグリコール酸に対して0.005モル%以下である70質量%グリコール酸水溶液を360g、及び原料水溶液に対して、0.05質量%のテトライソプロポキシゲルマニウム(モノマー1g当たりゲルマニウム金属原子として2.3×10−6モル)を仕込んで窒素置換を行った。その後、セパラブルフラスコを温度150℃のオイルバスに浸積し、撹拌回転数を毎分200回転として窒素気流下にて、1.5時間保持して脱水を行った。
この後、反応温度を150℃のままで、5.0×10Paで1時間、2.5×10Paで0.5時間、1.0×10Paで50分、5.0×10Paで50分、2.0×10Paで50分重縮合反応を実施した。本工程終了後の、グリコール酸共重合体の分子量を少量サンプリングして測定した結果、重量平均分子量は、1,900であった。本工程において、反応液の温度は徐々に上昇し、減圧度を1.0×10Paとした時点から反応液の温度は146℃とほぼ一定値を示した。
撹拌回転数及び減圧状態を保持したまま、反応温度190℃まで20分で徐々に昇温した。反応温度が190℃における重合物の分子量を少量サンプリングして測定した結果、重量平均分子量は、2,100であった。
引き続き、反応温度を200℃まで10分で昇温し、撹拌回転数を毎分450回転に変更した。ここで、一度、窒素で減圧を解除し、窒素下にて、前記(a−1)にて作成したポリL−乳酸29.4gを加え、再度、減圧して、減圧度4.0×10Paにて、190℃を越えた後の合計反応時間として3時間反応を継続し、重量平均分子量11,000のグリコール酸共重合体を得た。得られた溶融状態のグリコール酸共重合体は、冷却、固化した後に取り出し、引き続き、以下に示す操作により、得られたグリコール酸共重合体の重合を行った。
(b)グリコール酸共重合体の溶融重縮合、結晶化処理、粉砕処理、及び固相重合
(b−1)溶融重縮合、結晶化処理及び粉砕処理
得られたグリコール酸共重合体を実施例2(b−1)と同様の方法で、溶融重縮合、結晶化処理及び粉砕処理を行って、結晶化した重量平均分子量42,600、融点189℃のグリコール酸共重合体(以下、結晶化グリコール酸共重合体P−7、と略記する)を作成した。
(b−2)結晶化グリコール酸共重合体の固相重合
引き続き、得られた結晶化グリコール酸共重合体P−7を用いて、実施例2(c)と同様の方法で固相重合を実施した。
(c)グリコール酸共重合体の分析値
固相重合後に得られたグリコール酸共重合体の重量平均分子量は187,000であり、その組成は、グリコール酸単位88.97モル%、ジグリコール酸単位0.03モル%、グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位として乳酸単位を11.00モル%含有し、乳酸単位の平均連鎖長は1.62、着色度は29であった。
(d)グリコール酸共重合体及び溶融成形シートの評価
溶融成形シートの酸素ガス透過度は8.4(cc/m・day・atm)と、良好なガスバリアー性を有していた。また、溶融成形シートの強度は5以上であり、容器やフィルム等の成形品に必要な機械的強度を有すると共に、溶融成形シートは土中崩壊性を有していたが、グリコール酸共重合体の溶融熱安定性を評価した結果、着色度は105で褐色に変色した。
分析値及び評価結果を表2に示す。
[実施例6]
(a)低分子量グリコール酸共重合体の製造
実施例1と同様の装置に、ジグリコール酸含有量がグリコール酸に対して0.005モル%以下である70質量%グリコール酸水溶液を360g、90質量%L−乳酸水溶液を40.83g、ネオペンチルグリコールを0.12g、及び原料水溶液に対して、0.05質量%のテトライソプロポキシゲルマニウム(モノマー1g当たりゲルマニウム金属原子として2.2×10−6モル)を仕込んだ(仕込み原料中におけるジグリコール酸単位のモル比は0.00005以下であるため、換算モル比で0となり、グリコール酸単位の換算モル比は0.89、乳酸単位の換算モル比は0.1097、ネオペンチルグリコール単位の換算モル比は0.0003である。)こと、[工程(A)]における重合条件を、窒素気流下にて、1.5時間保持して脱水を行った後、オイルバス温度を150℃のままで、5.0×10Paで1時間、2.5×10Paで0.5時間、1.0×10Paで50分、5.0×10Paで50分、2.0×10Paで90分重縮合反応を実施したこと以外は、実施例1と同様に[工程(A)、(B)及び(C)]の重縮合操作を行い重量平均分子量14,400のグリコール酸共重合体を製造した。
[工程(A)]において、反応液の温度は徐々に上昇し、減圧度を1.0×10Paとした時点から反応液の温度は146℃とほぼ一定値を示していた。この際、[工程(A)]終了後のグリコール酸共重合体の重量平均分子量は2,500、反応温度が190℃におけるグリコール酸共重合体の重量平均分子量は2,700であり、反応温度が190℃を越えた時点を基準として、グリコール酸共重合体の重量平均分子量が10,000に到達するまでに要した時間は90分であった。これより、この時間範囲における1時間当たりの重量平均分子量の増加量は4,867であった。
(b)グリコール酸共重合体の溶融重縮合、結晶化処理、粉砕処理、及び固相重合
(b−1)溶融重縮合、結晶化処理及び粉砕処理
得られたグリコール酸共重合体を実施例2(b−1)と同様の方法で、溶融重縮合、結晶化処理、及び粉砕処理を行って、結晶化した重量平均分子量44,200、融点183℃のグリコール酸共重合体(以下、結晶化グリコール酸共重合体P−8、と略記する)を作成した。
(b−2)結晶化グリコール酸共重合体の固相重合
引き続き、得られた結晶化グリコール酸共重合体P−8を用いて、実施例2(b−2)と同様の方法で固相重合を実施した。
(c)グリコール酸共重合体の分析値
得られたグリコール酸共重合体の重量平均分子量は187,000、その共重合組成は、グリコール酸単位88.94モル%、ジグリコール酸単位0.03モル%、グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位である乳酸単位10.99モル%、ネオペンチルグリコール単位0.04モル%であり、乳酸単位の平均連鎖長は1.01、着色度は29であった。
(d)グリコール酸共重合体及び溶融成形シートの評価
得られたグリコール酸共重合体の溶融熱安定性を評価した結果、着色度は39であり、ほぼ良好であった。また、溶融成形シートの酸素ガス透過度は、8.3(cc/m・day・atm)であり、極めて高いガスバリアー性を有していた。更に、溶融成形シートの強度は5以上であり、容器やフィルム等の成形品に必要な機械的強度を有すると共に、溶融成形シートは土中崩壊性を有していた。
分析値及び評価結果を表3に示す。
[実施例7]
(a)低分子量グリコール酸共重合体の製造
実施例1と同様の装置に、ジグリコール酸含有量がグリコール酸に対して0.005モル%以下である70質量%グリコール酸水溶液を360g、90質量%L−乳酸水溶液を40.83g、1,6−ヘキサンジオールを0.136g、及び原料水溶液に対して、0.05質量%のテトライソプロポキシゲルマニウム(モノマー1g当たりゲルマニウム金属原子として2.2×10−6モル)を仕込んだ(仕込み原料中におけるジグリコール酸単位のモル比は0.00005以下であるため、換算モル比で0となり、グリコール酸単位の換算モル比は0.89、乳酸単位の換算モル比は0.1097、ネオペンチルグリコール単位の換算モル比は0.0003である。)こと以外は、実施例6と同様に[工程(A)、(B)及び(C)]の重縮合操作を行い重量平均分子量14,400のグリコール酸共重合体を製造した。
[工程(A)]において、反応液の温度は徐々に上昇し、減圧度を1.0×10Paとした時点から反応液の温度は146℃とほぼ一定値を示していた。この際、[工程(A)]終了後のグリコール酸共重合体の重量平均分子量は2,500、反応温度が190℃におけるグリコール酸共重合体の重量平均分子量は2,700であり、反応温度が190℃を越えた時点を基準として、グリコール酸共重合体の重量平均分子量が10,000に到達するまでに要した時間は90分であった。これより、この時間範囲における1時間当たりの重量平均分子量の増加量は4,867であった。
(b)グリコール酸共重合体の溶融重縮合、結晶化処理、粉砕処理、及び固相重合
(b−1)溶融重縮合、結晶化処理及び粉砕処理
得られたグリコール酸共重合体を実施例2(b−1)と同様の方法で、溶融重縮合、結晶化処理、及び粉砕処理を行って、結晶化した重量平均分子量43,800、融点183℃のグリコール酸共重合体(以下、結晶化グリコール酸共重合体P−9、と略記する)を作成した。
(b−2)結晶化グリコール酸共重合体の固相重合
引き続き、得られた結晶化グリコール酸共重合体P−9を用いて、実施例2(b−2)と同様の方法で固相重合を実施した。
(c)グリコール酸共重合体の分析値
得られたグリコール酸共重合体の重量平均分子量は187,000、その共重合組成は、グリコール酸単位88.94モル%、ジグリコール酸単位0.03モル%、グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位である乳酸単位10.99モル%、1,6−ヘキサンジオール単位0.04モル%であり、乳酸単位の平均連鎖長は1.01、着色度は33であった。
(d)グリコール酸共重合体及び溶融成形シートの評価
得られたグリコール酸共重合体の溶融熱安定性を評価した結果、着色度は43であり、ほぼ良好であった。また、溶融成形シートの酸素ガス透過度は、8.2(cc/m・day・atm)であり、極めて高いガスバリアー性を有していた。更に、溶融成形シートの強度は5以上であり、容器やフィルム等の成形品に必要な機械的強度を有すると共に、溶融成形シートは土中崩壊性を有していた。
分析値及び評価結果を表3に示す。
[実施例8]
(a)低分子量グリコール酸共重合体の製造
実施例1と同様の装置に、ジグリコール酸含有量がグリコール酸に対して0.005モル%以下である70質量%グリコール酸水溶液を360g、90質量%L−乳酸水溶液を40.83g、トリメチロールプロパンを0.04g及び原料水溶液に対して、0.05質量%のテトライソプロポキシゲルマニウム(モノマー1g当たりゲルマニウム金属原子として2.2×10−6モル)を仕込んだ(仕込み原料中におけるジグリコール酸単位のモル比は0.00005以下であるため、換算モル比で0となり、グリコール酸単位の換算モル比は0.8903、乳酸単位の換算モル比は0.10962、トリメチロールプロパン単位の換算モル比は0.00008である。)こと以外は、実施例6と同様に[工程(A)、(B)及び(C)]の重縮合操作を行い重量平均分子量15,600のグリコール酸共重合体を製造した。
[工程(A)]において、反応液の温度は徐々に上昇し、減圧度を1.0×10Paとした時点から反応液の温度は146℃とほぼ一定値を示していた。この際、[工程(A)]終了後のグリコール酸共重合体の重量平均分子量は2,700、反応温度が190℃におけるグリコール酸共重合体の重量平均分子量は2、900であり、反応温度が190℃を越えた時点を基準として、グリコール酸共重合体の重量平均分子量が10,000に到達するまでに要した時間は85分であった。これより、この時間範囲における1時間当たりの重量平均分子量の増加量は5,012であった。
(b)グリコール酸共重合体の溶融重縮合、結晶化処理、粉砕処理、及び固相重合
(b−1)溶融重縮合、結晶化処理及び粉砕処理
得られたグリコール酸共重合体を実施例2(b−1)と同様の方法で、溶融重縮合、結晶化処理、及び粉砕処理を行って、結晶化した重量平均分子量46,500、融点184℃のグリコール酸共重合体(以下、結晶化グリコール酸共重合体P−10、と略記する)を作成した。
(b−2)結晶化グリコール酸共重合体の固相重合
引き続き、得られた結晶化グリコール酸共重合体P−10を用いて、実施例2(b−2)と同様の方法で固相重合を実施した。
(c)グリコール酸共重合体の分析値
得られたグリコール酸共重合体の重量平均分子量は325,000、その共重合組成は、グリコール酸単位88.98モル%、ジグリコール酸単位0.03モル%、グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位である乳酸単位10.98モル%、トリメチロールプロパン単位0.01モル%であり、乳酸単位の平均連鎖長は1.01、着色度は34であった。
(d)グリコール酸共重合体及び溶融成形シートの評価
得られたグリコール酸共重合体の溶融熱安定性を評価した結果、着色度は44であり、ほぼ良好であった。また、溶融成形シートの酸素ガス透過度は、8.3(cc/m・day・atm)であり、極めて高いガスバリアー性を有していた。更に、溶融成形シートの強度は5以上であり、容器やフィルム等の成形品に必要な機械的強度を有すると共に、溶融成形シートは土中崩壊性を有していた。
分析値及び評価結果を表3に示す。
[実施例9]
(a)低分子量グリコール酸共重合体の製造
実施例1と同様の装置に、ジグリコール酸含有量がグリコール酸に対して0.005モル%以下である70質量%グリコール酸水溶液を360g、90質量%L−乳酸水溶液を40.83g、ネオペンチルグリコールを0.12g、トリメチロールプロパンを0.04g及び原料水溶液に対して、0.05質量%のテトライソプロポキシゲルマニウム(モノマー1g当たりゲルマニウム金属原子として2.2×10−6モル)を仕込んだ(仕込み原料中におけるジグリコール酸単位のモル比は0.00005以下であるため、換算モル比で0となり、グリコール酸単位の換算モル比は0.89、乳酸単位の換算モル比は0.1096、ネオペンチルグリコール単位の換算モル比は0.00032、トリメチロールプロパン単位の換算モル比は0.00008である。)こと以外は、実施例6と同様に[工程(A)、(B)及び(C)]の重縮合操作を行い重量平均分子量16,000のグリコール酸共重合体を製造した。
[工程(A)]において、反応液の温度は徐々に上昇し、減圧度を1.0×10Paとした時点から反応液の温度は146℃とほぼ一定値を示していた。この際、[工程(A)]終了後のグリコール酸共重合体の重量平均分子量は2,900、反応温度が190℃におけるグリコール酸共重合体の重量平均分子量は3,100であり、反応温度が190℃を越えた時点を基準として、グリコール酸共重合体の重量平均分子量が10,000に到達するまでに要した時間は80分であった。これより、この時間範囲における1時間当たりの重量平均分子量の増加量は5,175であった。
(b)グリコール酸共重合体の溶融重縮合、結晶化処理、粉砕処理、及び固相重合
(b−1)溶融重縮合、結晶化処理及び粉砕処理
得られたグリコール酸共重合体を実施例2(b−1)と同様の方法で、溶融重縮合、結晶化処理、及び粉砕処理を行って、結晶化した重量平均分子量47,300、融点184℃のグリコール酸共重合体(以下、結晶化グリコール酸共重合体P−11、と略記する)を作成した。
(b−2)結晶化グリコール酸共重合体の固相重合
引き続き、得られた結晶化グリコール酸共重合体P−11を用いて、実施例2(b−2)と同様の方法で固相重合を実施した。
(c)グリコール酸共重合体の分析値
得られたグリコール酸共重合体の重量平均分子量は330,000、その共重合組成は、グリコール酸単位88.94モル%、ジグリコール酸単位0.03モル%、グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位である乳酸単位10.98モル%、ネオペンチルグリコール単位0.04モル%、トリメチロールプロパン単位0.01モル%であり、乳酸単位の平均連鎖長は1.01、着色度は33であった。
(d)グリコール酸共重合体及び溶融成形シートの評価
得られたグリコール酸共重合体の溶融熱安定性を評価した結果、着色度は44であり、ほぼ良好であった。また、溶融成形シートの酸素ガス透過度は、8.6(cc/m・day・atm)であり、極めて高いガスバリアー性を有していた。更に、溶融成形シートの強度は5以上であり、容器やフィルム等の成形品に必要な機械的強度を有すると共に、溶融成形シートは土中崩壊性を有していた。
分析値及び評価結果を表3に示す。
[実施例10]
(a)グリコール酸共重合体の製造
実施例9の(a)にて得られた重量平均分子量16,000のグリコール酸共重合体を用い、実施例1(b)と同様の操作で溶融重縮合を実施して、グリコール酸共重合体を製造した。
(b)グリコール酸共重合体の分析値
得られたグリコール酸共重合体の重量平均分子量は163,000、その共重合組成は、グリコール酸単位88.97モル%、ジグリコール酸単位0.04モル%、グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位である乳酸単位10.94モル%、ネオペンチルグリコール単位0.04モル%、トリメチロールプロパン単位0.01モル%であり、乳酸単位の平均連鎖長は1.01、着色度は39であった。
(d)グリコール酸共重合体及び溶融成形シートの評価
得られたグリコール酸共重合体の溶融熱安定性を評価した結果、着色度は48であり、ほぼ良好であった。また、溶融成形シートの酸素ガス透過度は、8.7(cc/m・day・atm)であり、極めて高いガスバリアー性を有していた。更に、溶融成形シートの強度は5以上であり、容器やフィルム等の成形品に必要な機械的強度を有すると共に、溶融成形シートは土中崩壊性を有していた。
分析値及び評価結果を表3に示す。
[実施例11]
(a)低分子量グリコール酸共重合体の製造
実施例1と同様の装置に、ジグリコール酸含有量がグリコール酸に対して0.01モル%含有されている70質量%グリコール酸水溶液を360g、90質量%L−乳酸水溶液を40.83g、ネオペンチルグリコールを0.12g及び原料水溶液に対して、0.05質量%のテトライソプロポキシゲルマニウム(モノマー1g当たりゲルマニウム金属原子として2.2×10−6モル)を仕込んだ(仕込み原料中におけるグリコール酸単位の換算モル比は0.89、乳酸単位の換算モル比は0.10957、ネオペンチルグリコール単位の換算モル比は0.00034、ジグリコール酸単位の換算モル比は0.00009である。)こと以外は、実施例6と同様に[工程(A)、(B)及び(C)]の重縮合操作を行い重量平均分子量14,300のグリコール酸共重合体を製造した。
[工程(A)]において、反応液の温度は徐々に上昇し、減圧度を1.0×10Paとした時点から反応液の温度は146℃とほぼ一定値を示していた。この際、[工程(A)]終了後のグリコール酸共重合体の重量平均分子量は2,500、反応温度が190℃におけるグリコール酸共重合体の重量平均分子量は2,700であり、反応温度が190℃を越えた時点を基準として、グリコール酸共重合体の重量平均分子量が10,000に到達するまでに要した時間は90分であった。これより、この時間範囲における1時間当たりの重量平均分子量の増加量は4,867であった。
(b)グリコール酸共重合体の溶融重縮合、結晶化処理、粉砕処理、及び固相重合
(b−1)溶融重縮合、結晶化処理及び粉砕処理
得られたグリコール酸共重合体を実施例2(b−1)と同様の方法で、溶融重縮合、結晶化処理、及び粉砕処理を行って、結晶化した重量平均分子量44,100、融点184℃のグリコール酸共重合体(以下、結晶化グリコール酸共重合体P−12、と略記する)を作成した。
(b−2)結晶化グリコール酸共重合体の固相重合
引き続き、得られた結晶化グリコール酸共重合体P−12を用いて、実施例2(b−2)と同様の方法で固相重合を実施した。
(c)グリコール酸共重合体の分析値
得られたグリコール酸共重合体の重量平均分子量は186,000、その共重合組成は、グリコール酸単位88.96モル%、ジグリコール酸単位0.04モル%、グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位である乳酸単位10.96モル%、ネオペンチルグリコール単位0.04モル%乳酸単位の平均連鎖長は1.01、着色度は29であった。
(d)グリコール酸共重合体及び溶融成形シートの評価
得られたグリコール酸共重合体の溶融熱安定性を評価した結果、着色度は40であり、ほぼ良好であった。また、溶融成形シートの酸素ガス透過度は、8.5(cc/m・day・atm)であり、極めて高いガスバリアー性を有していた。更に、溶融成形シートの強度は5以上であり、容器やフィルム等の成形品に必要な機械的強度を有すると共に、溶融成形シートは土中崩壊性を有していた。
分析値及び評価結果を表4に示す。
[実施例12]
(a)低分子量グリコール酸共重合体の製造
実施例1と同様の装置に、ジグリコール酸含有量がグリコール酸に対して0.005モル%以下である70質量%グリコール酸水溶液を360g、90質量%L−乳酸水溶液を40.83g、ネオペンチルグリコールを0.12g、シュウ酸を0.02g及び原料水溶液に対して、0.05質量%のテトライソプロポキシゲルマニウム(モノマー1g当たりゲルマニウム金属原子として2.2×10−6モル)を仕込んだ(仕込み原料中におけるジグリコール酸単位のモル比は0.00005以下であるため、換算モル比で0となり、グリコール酸単位の換算モル比は0.89、乳酸単位の換算モル比は0.1096、ネオペンチルグリコール単位の換算モル比は0.00034、シュウ酸単位の換算モル比は0.00006である。)こと以外は、実施例6と同様に[工程(A)、(B)及び(C)]の重縮合操作を行い重量平均分子量14,300のグリコール酸共重合体を製造した。
[工程(A)]において、反応液の温度は徐々に上昇し、減圧度を1.0×10Paとした時点から反応液の温度は146℃とほぼ一定値を示していた。この際、[工程(A)]終了後のグリコール酸共重合体の重量平均分子量は2,500、反応温度が190℃におけるグリコール酸共重合体の重量平均分子量は2,700であり、反応温度が190℃を越えた時点を基準として、グリコール酸共重合体の重量平均分子量が10,000に到達するまでに要した時間は90分であった。これより、この時間範囲における1時間当たりの重量平均分子量の増加量は4,867であった。
(b)グリコール酸共重合体の溶融重縮合、結晶化処理、粉砕処理、及び固相重合
(b−1)溶融重縮合、結晶化処理及び粉砕処理
得られたグリコール酸共重合体を実施例2(b−1)と同様の方法で、溶融重縮合、結晶化処理、及び粉砕処理を行って、結晶化した重量平均分子量44,200、融点184℃のグリコール酸共重合体(以下、結晶化グリコール酸共重合体P−13、と略記する)を作成した。
(b−2)結晶化グリコール酸共重合体の固相重合
引き続き、得られた結晶化グリコール酸共重合体P−13を用いて、実施例2(b−2)と同様の方法で固相重合を実施した。
(c)グリコール酸共重合体の分析値
得られたグリコール酸共重合体の重量平均分子量は185,000、その共重合組成は、グリコール酸単位88.96モル%、ジグリコール酸単位0.03モル%、グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位である乳酸単位10.96モル%、ネオペンチルグリコール単位0.04モル%、シュウ酸単位0.01モル%であり、乳酸単位の平均連鎖長は1.01、着色度は28であった。
(d)グリコール酸共重合体及び溶融成形シートの評価
得られたグリコール酸共重合体の溶融熱安定性を評価した結果、着色度は39であり、ほぼ良好であった。また、溶融成形シートの酸素ガス透過度は、8.5(cc/m・day・atm)であり、極めて高いガスバリアー性を有していた。更に、溶融成形シートの強度は5以上であり、容器やフィルム等の成形品に必要な機械的強度を有すると共に、溶融成形シートは土中崩壊性を有していた。
分析値及び評価結果を表4に示す。
[実施例13]
(a)低分子量グリコール酸共重合体の製造
実施例1と同様の装置に、ジグリコール酸含有量がグリコール酸に対して0.005モル%以下である70質量%グリコール酸水溶液を365g、90質量%L−乳酸水溶液を36g、ネオペンチルグリコールを2.90g、アジピン酸3.85g、及び原料水溶液に対して、0.05質量%のテトライソプロポキシゲルマニウム(モノマー1g当たりゲルマニウム金属原子として2.2×10−6モル)を仕込んだ(仕込み原料中におけるジグリコール酸単位のモル比は0.00005以下であるため、換算モル比で0となり、グリコール酸単位の換算モル比は0.89、乳酸単位の換算モル比は0.0957、ネオペンチルグリコール単位の換算モル比は0.0073、アジピン酸単位の換算モル比は0.007である。)以外は、実施例6と同様に[工程(A)、(B)及び(C)]の重縮合操作を行い、重量平均分子量14,400のグリコール酸共重合体を製造した。
[工程(A)]において、反応液の温度は徐々に上昇し、減圧度を1.0×10Paとした時点から反応液の温度は146℃とほぼ一定値を示していた。この際、[工程(A)]終了後のグリコール酸共重合体の重量平均分子量は2,500、反応温度が190℃におけるグリコール酸共重合体の重量平均分子量は2,700であり、反応温度が190℃を越えた時点を基準として、グリコール酸共重合体の重量平均分子量が10,000に到達するまでに要した時間は90分であった。これより、この時間範囲における1時間当たりの重量平均分子量の増加量は、4,867であった。
(b)グリコール酸共重合体の溶融重縮合、結晶化処理、粉砕処理、及び固相重合
(b−1)溶融重縮合、結晶化処理及び粉砕処理
得られたグリコール酸共重合体を実施例2(b−1)と同様の方法で、溶融重縮合、結晶化処理、及び粉砕処理を行って、結晶化した重量平均分子量44,500、融点183℃のグリコール酸共重合体(以下、結晶化グリコール酸共重合体P−14、と略記する)を作成した。
(b−2)結晶化グリコール酸共重合体の固相重合
引き続き、得られた結晶化グリコール酸共重合体P−14を用いて、実施例2(b−2)と同様の方法で固相重合を実施した。
(c)グリコール酸共重合体の分析値
得られたグリコール酸共重合体の重量平均分子量は189,000、その共重合組成は、グリコール酸単位88.63モル%、ジグリコール酸単位0.03モル%、グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位である乳酸単位9.57モル%、ネオペンチルグリコール単位0.90モル%、アジピン酸単位0.87モル%であり、乳酸単位の平均連鎖長は1.05、着色度は30であった。
(d)グリコール酸共重合体及び溶融成形シートの評価
得られたグリコール酸共重合体の溶融熱安定性を評価した結果、着色度は39であり、ほぼ良好であった。また、溶融成形シートの酸素ガス透過度は8.8(cc/m・day・atm)であり、極めて高いガスバリアー性を有していた。更に、溶融成形シートの強度は5以上であり、容器やフィルム等の成形品に必要な機械的強度を有すると共に、溶融成形シートは土中崩壊性を有していた。
分析値及び評価結果を表4に示す。
[実施例14]
(a)低分子量グリコール酸共重合体の製造
実施例1と同様の装置に、ジグリコール酸含有量がグリコール酸に対して0.005モル%以下である70質量%グリコール酸水溶液を365g、90質量%L−乳酸水溶液を36g、ネオペンチルグリコールを2.80g、トリメチロールプロパンを0.03g、アジピン酸3.85g、及び原料水溶液に対して、0.05質量%のテトライソプロポキシゲルマニウム(モノマー1g当たりゲルマニウム金属原子として2.2×10−6モル)を仕込んだ(仕込み原料中におけるジグリコール酸単位のモル比は0.00005以下であるため、換算モル比で0となり、グリコール酸単位の換算モル比は0.8905、乳酸単位の換算モル比は0.09535、ネオペンチルグリコール単位の換算モル比は0.00711、トリメチロールプロパン単位の換算モル比は、0.00006、アジピン酸単位の換算モル比は0.00698である。)こと以外は、実施例6と同様に[工程(A)、(B)及び(C)]の重縮合操作を行い重量平均分子量15,900のグリコール酸共重合体を製造した。
[工程(A)]において、反応液の温度は徐々に上昇し、減圧度を1.0×10Paとした時点から反応液の温度は146℃とほぼ一定値を示していた。この際、[工程(A)]終了後のグリコール酸共重合体の重量平均分子量は2,800、反応温度が190℃におけるグリコール酸共重合体の重量平均分子量は3,000であり、反応温度が190℃を越えた時点を基準として、グリコール酸共重合体の重量平均分子量が10,000に到達するまでに要した時間は85分であった。これより、この時間範囲における1時間当たりの重量平均分子量の増加量は4,941であった。
(b)グリコール酸共重合体の溶融重縮合、結晶化処理、粉砕処理、及び固相重合
(b−1)溶融重縮合、結晶化処理及び粉砕処理
得られたグリコール酸共重合体を実施例2(b−1)と同様の方法で、溶融重縮合、結晶化処理、及び粉砕処理を行って、結晶化した重量平均分子量46,800、融点180℃のグリコール酸共重合体(以下、結晶化グリコール酸共重合体P−15、と略記する)を作成した。
(b−2)結晶化グリコール酸共重合体の固相重合
引き続き、得られた結晶化グリコール酸共重合体P−15を用いて、実施例2(b−2)と同様の方法で固相重合を実施した。
(c)グリコール酸共重合体の分析値
得られたグリコール酸共重合体の重量平均分子量は280,000、その共重合組成は、グリコール酸単位88.62モル%、ジグリコール酸単位0.03モル%、グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位である乳酸単位9.56モル%、ネオペンチルグリコール単位0.90モル%、トリメチロールプロパン単位0.01モル%、アジピン酸単位0.88モル%であり、乳酸単位の平均連鎖長は1.01、着色度は33であった。
(d)グリコール酸共重合体及び溶融成形シートの評価
得られたグリコール酸共重合体の溶融熱安定性を評価した結果、着色度は42であり、ほぼ良好であった。また、溶融成形シートの酸素ガス透過度は、9.2(cc/m・day・atm)であり、極めて高いガスバリアー性を有していた。更に、溶融成形シートの強度は5以上であり、容器やフィルム等の成形品に必要な機械的強度を有すると共に、溶融成形シートは土中崩壊性を有していた。
分析値及び評価結果を表4に示す。
[実施例15]
(a)低分子量グリコール酸共重合体の製造
実施例1と同様の装置に、ジグリコール酸含有量が、グリコール酸に対して0.005モル%以下である70質量%グリコール酸水溶液を365g、90質量%L−乳酸水溶液を30g、ネオペンチルグリコールを6.02g、アジピン酸8.30g、及び原料水溶液に対して、0.05質量%のテトライソプロポキシゲルマニウム(モノマー1g当たりゲルマニウム金属原子として2.2×10−6モル)を仕込んだ(仕込み原料中におけるジグリコール酸単位のモル比は0.00005以下であるため、換算モル比で0となり、グリコール酸単位の換算モル比は0.89、乳酸単位の換算モル比は0.0797、ネオペンチルグリコール単位の換算モル比は0.0153、アジピン酸単位の換算モル比は0.015である。)以外は、実施例6と同様に[工程(A)、(B)及び(C)]の重縮合操作を行い重量平均分子量14,400のグリコール酸共重合体を製造した。
[工程(A)]において、反応液の温度は徐々に上昇し、減圧度を1.0×10Paとした時点から反応液の温度は146℃とほぼ一定値を示していた。この際、[工程(A)]終了後のグリコール酸共重合体の重量平均分子量は2,500、反応温度が190℃におけるグリコール酸共重合体の重量平均分子量は、2,700であり、反応温度が190℃を越えた時点を基準として、グリコール酸共重合体の重量平均分子量が10,000に到達するまでに要した時間は90分であった。これより、この時間範囲における1時間当たりの重量平均分子量の増加量は、4,867であった。
(b)グリコール酸共重合体の溶融重縮合、結晶化処理、粉砕処理、及び固相重合
(b−1)溶融重縮合、結晶化処理、粉砕処理
得られたグリコール酸共重合体を実施例2(b−1)と同様の方法で、溶融重縮合、結晶化処理、及び粉砕処理を行って、結晶化した重量平均分子量44,700、融点182℃のグリコール酸共重合体(以下、結晶化グリコール酸共重合体P−16、と略記する)を作成した。
(b−2)結晶化グリコール酸共重合体の固相重合
引き続き、得られた結晶化グリコール酸共重合体P−16を用いて、実施例2(b−2)と同様の方法で固相重合を実施した。
(c)グリコール酸共重合体の分析値
得られたグリコール酸共重合体の重量平均分子量は189,000、その共重合組成は、グリコール酸単位88.25モル%、ジグリコール酸単位0.03モル%、グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位である乳酸単位7.93モル%、ネオペンチルグリコール単位1.91モル%、アジピン酸単位1.88モル%であり、乳酸単位の平均連鎖長は1.05、着色度は30であった。
(d)グリコール酸共重合体及び溶融成形シートの評価
得られたグリコール酸共重合体の溶融熱安定性を評価した結果、着色度は38であり、ほぼ良好であった。また、溶融成形シートの酸素ガス透過度は、12.0(cc/m2・day・atm)であり、高いガスバリアー性を有していた。更に、溶融成形シートの強度は5以上であり、容器やフィルム等の成形品に必要な機械的強度を有すると共に、溶融成形シートは土中崩壊性を有していた。
分析値及び評価結果を表4に示す。
[比較例5]
(a)低分子量グリコール酸共重合体の製造
実施例1と同様の装置に、ジグリコール酸含有量がグリコール酸に対して0.005モル%以下である70質量%グリコール酸水溶液を360g、90質量%L−乳酸水溶液を15g、ネオペンチルグリコールを2.7g、アジピン酸3.64g、及び原料水溶液に対して、0.05質量%のテトライソプロポキシゲルマニウム(モノマー1g当たりゲルマニウム金属原子として2.2×10−6モル)を仕込んだ(仕込み原料中におけるジグリコール酸単位のモル比は0.00005以下であるため、換算モル比で0となり、グリコール酸単位の換算モル比は0.9428、乳酸単位の換算モル比は0.0427、ネオペンチルグリコール単位の換算モル比は0.0074、アジピン酸単位の換算モル比は0.0071である。)以外は、実施例3と同様に[工程(A)、(B)及び(C)]の重縮合操作を行い重量平均分子量16,200のグリコール酸共重合体を製造した。
[工程(A)]において、反応液の温度は徐々に上昇し、減圧度を1.0×10Paとした時点から反応液の温度は146℃とほぼ一定値を示していた。この際、[工程(A)]終了後のグリコール酸共重合体の重量平均分子量は1,900、反応温度が190℃におけるグリコール酸共重合体の重量平均分子量は2,100であり、反応温度が190℃を越えた時点を基準として、グリコール酸共重合体の重量平均分子量が10,000に到達するまでに要した時間は80分であった。これより、この時間範囲における1時間当たりの重量平均分子量の増加量は、5,925であった。
(b)グリコール酸共重合体の溶融重縮合、結晶化処理、粉砕処理、及び固相重合
(b−1)溶融重縮合、結晶化処理、粉砕処理
得られたグリコール酸共重合体を実施例3(b−1)と同様の方法で、溶融重縮合、結晶化処理、及び粉砕処理を行って、結晶化した重量平均分子量44,500、融点208℃のグリコール酸共重合体(以下、結晶化グリコール酸共重合体P−17、と略記する)を作成した。
(b−2)結晶化グリコール酸共重合体の固相重合
引き続き、得られた結晶化グリコール酸共重合体P−17を用いて、実施例2(b−2)と同様の方法で固相重合を実施した。
(c)グリコール酸共重合体の分析値
得られたグリコール酸共重合体の重量平均分子量は165,000、その共重合組成は、グリコール酸単位93.95モル%、ジグリコール酸単位0.03モル%、グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位である乳酸単位4.21モル%、ネオペンチルグリコール単位0.92モル%、アジピン酸単位0.89モル%であり、該乳酸単位の平均連鎖長は1.02、着色度は34であった。
(d)グリコール酸共重合体及び溶融成形シートの評価
溶融成形シートの酸素ガス透過度は8.3(cc/m・day・atm)であり、極めて高いガスバリアー性を有していた。また、溶融成形シートの強度は5以上であり、容器やフィルム等の成形品に必要な機械的強度を有すると共に、溶融成形シートは土中崩壊性を有していたが、グリコール酸共重合体の溶融熱安定性を評価した結果、着色度は110で褐色に変色した。
分析値及び評価結果を表4に示す。
[実施例16]
(a)低分子量グリコール酸共重合体の製造
実施例1と同様の装置に、ジグリコール酸含有量がグリコール酸に対して0.005モル%以下である70質量%グリコール酸水溶液を360g、90質量%L−乳酸水溶液を40.83g、及び原料水溶液に対して、0.05質量%のテトライソプロポキシゲルマニウム(モノマー1g当たりゲルマニウム金属原子として2.2×10−6モル)を仕込んだ後に、窒素置換を行った。仕込み原料中におけるジグリコール酸単位のモル比は0.00005以下であるため、換算モル比で0となり、グリコール酸単位の換算モル比は0.89、乳酸単位の換算モル比は0.11である。
その後、セパラブルフラスコを温度120℃のオイルバスに浸積し、撹拌回転数を毎分200回転として窒素気流下にて、1時間保持して脱水を行った。この後、反応温度を120℃のままで、8.0×10Paで1時間、6.0×10Paで1時間、5.0×10Paで1時間、4.0×10Paで1時間、2.5×10Paで1時間、1.0×10Paで1時間、5.0×10Paで1時間、2.0×10Paで3時間、重縮合反応を実施した[(工程(A)]。[工程(A)]において、反応液の温度は徐々に上昇し、減圧度を4.0×10Paとした時点から反応液の温度は116℃とほぼ一定値を示した。本工程終了後の、グリコール酸共重合体の分子量を少量サンプリングして測定した結果、重量平均分子量は1,500であった。
その後、撹拌回転数及び減圧状態を保持したまま、反応温度190℃まで40分かけて徐々に昇温した[工程(B)]。反応温度が190℃におけるグリコール酸共重合体の分子量を少量サンプリングして測定した結果、重量平均分子量は1,700であった。
引き続き反応温度を200℃まで10分で昇温し、撹拌回転数を毎分600回転に変更して、減圧度4.0×10Paにて、190℃を越えた後の合計反応時間として2.5時間反応を継続し、重量平均分子量13,000のグリコール酸共重合体を得た[(工程(C)]。この際、反応液の温度が190℃を越えた時点を基準として、グリコール酸共重合体の重量平均分子量が10,000に到達するまでに要した時間は110分であり、この時間範囲における1時間当たりの重量平均分子量の増加量は、4,527であった。
得られた溶融状態のグリコール酸共重合体を冷却、固化した後に取り出し、引き続き、以下に示す操作により、得られたグリコール酸共重合体の重合を行った。
(b)グリコール酸共重合体の溶融重縮合、結晶化処理、粉砕処理、及び固相重合
(b−1)溶融重縮合、結晶化処理及び粉砕処理
得られたグリコール酸共重合体を実施例2(b−1)と同様の方法で、溶融重縮合、結晶化処理及び粉砕処理を行って、結晶化した重量平均分子量42,500、融点184℃のグリコール酸共重合体(以下、結晶化グリコール酸共重合体P−18、と略記する)を作成した。
(b−2)結晶化グリコール酸共重合体の固相重合
引き続き、得られた結晶化グリコール酸共重合体P−18を用いて、実施例2(b−2)と同様の方法で固相重合を実施した。
(c)グリコール酸共重合体の分析値
固相重合後に得られたグリコール酸共重合体の重量平均分子量は178,000であり、その組成は、グリコール酸単位88.98モル%、ジグリコール酸単位0.02モル%、グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位として乳酸単位を11.00モル%含有し、乳酸単位の平均連鎖長は1.02、着色度は28であった。
(d)グリコール酸共重合体及び溶融成形シートの評価
得られたグリコール酸共重合体の溶融熱安定性を評価した結果、着色度は39であり、ほぼ良好であった。また、溶融成形シートの酸素ガス透過度は、8.1(cc/m・day・atm)であり、極めて高いガスバリアー性を有していた。更に、溶融成形シートの強度は5以上であり、容器やフィルム等の成形品に必要な機械的強度を有すると共に、溶融成形シートは土中崩壊性を有していた。
分析値及び評価結果を表5に示す。
[実施例17]
(a)低分子量グリコール酸共重合体の製造
[工程(A)]における反応操作条件を、窒素気流下にて、1.5時間保持して脱水を行った後、オイルバス温度を150℃のままで、5.0×10Paで1時間、2.5×10Paで0.5時間、1.0×10Paで50分、5.0×10Paで25分とした以外は、実施例2と同様に[工程(A)、(B)及び(C)]の重縮合操作を行い重量平均分子量12,800のグリコール酸共重合体を製造した。
[工程(A)]において、反応液の温度は徐々に上昇し、減圧度を1.0×10Paとした時点から反応液の温度は146℃とほぼ一定値を示した。この際、[工程(A)]終了後のグリコール酸共重合体の重量平均分子量は900、反応温度が190℃におけるグリコール酸共重合体の重量平均分子量は1,100であり、反応温度が190℃を越えた時点を基準として、グリコール酸共重合体の重量平均分子量が10,000に到達するまでに要した時間は110分であった。これより、この時間範囲における1時間当たりの重量平均分子量の増加量は4,855であった。
(b)グリコール酸共重合体の溶融重縮合、結晶化処理、粉砕処理、及び固相重合
(b−1)溶融重縮合、結晶化処理及び粉砕処理
得られた溶融状態のグリコール酸共重合体を実施例2(b−1)と同様の方法で、溶融重縮合、結晶化処理及び粉砕処理を行って、結晶化した重量平均分子量42,800、融点184℃のグリコール酸共重合体(以下、結晶化グリコール酸共重合体P−19、と略記する)を作成した。
(b−2)結晶化グリコール酸共重合体の固相重合
引き続き、得られた結晶化グリコール酸共重合体P−19を用いて、実施例2(b−2)と同様の方法で固相重合を実施した。
(c)グリコール酸共重合体の分析値
得られたグリコール酸共重合体の重量平均分子量は148,000、その共重合組成は、グリコール酸単位88.93モル%、ジグリコール酸単位0.06モル%、グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位として乳酸単位を11.01モル%含有し、乳酸単位の平均連鎖長は1.05、着色度は28であった。
(d)グリコール酸共重合体及び溶融成形シートの評価
得られたグリコール酸共重合体の溶融熱安定性を評価した結果、着色度は44であり、ほぼ良好であった。また、溶融成形シートの酸素ガス透過度は8.1(cc/m・day・atm)であり、極めて高いガスバリアー性を有していた。更に、溶融成形シートの強度は5以上であり、容器やフィルム等の成形品に必要な機械的強度を有すると共に、溶融成形シートは土中崩壊性を有していた。
分析値及び評価結果を表5に示す。
[実施例18]
(a)低分子量グリコール酸共重合体の製造
[工程(A)]終了後、撹拌回転数及び減圧状態を保持したまま、反応温度190℃まで80分かけて徐々に昇温した[工程(B)]以外は、実施例17と同様に[工程(A)及び(C)]の重縮合操作を行い、重量平均分子量13,800のグリコール酸共重合体を製造した。
[工程(A)]において、反応液の温度は徐々に上昇し、減圧度を1.0×10Paとした時点から反応液の温度は146℃とほぼ一定値を示した。この際、[工程(A)]終了後のグリコール酸共重合体の重量平均分子量は900、反応温度が190℃におけるグリコール酸共重合体の重量平均分子量は2,100であり、反応温度が190℃を越えた時点を基準として、グリコール酸共重合体の重量平均分子量が10,000に到達するまでに要した時間は100分であった。これより、この時間範囲における1時間当たりの重量平均分子量の増加量は4,740であった。
(b)グリコール酸共重合体の溶融重縮合、結晶化処理、粉砕処理、及び固相重合
(b−1)溶融重縮合、結晶化処理及び粉砕処理
得られたグリコール酸共重合体を実施例2(b−1)と同様の方法で、溶融重縮合、結晶化処理及び粉砕処理を行って、結晶化した重量平均分子量43,500、融点185℃のグリコール酸共重合体(以下、結晶化グリコール酸共重合体P−20と略記する)を作成した。
(b−2)結晶化グリコール酸共重合体の固相重合
引き続き、得られた結晶化グリコール酸共重合体P−20を用いて、実施例2(b−2)と同様の方法で固相重合を実施した。
(c)グリコール酸共重合体の分析値
得られたグリコール酸共重合体の重量平均分子量は132,000、その共重合組成は、グリコール酸単位88.91モル%、ジグリコール酸単位0.08モル%、グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位として乳酸単位を11.01モル%含有し、乳酸単位の平均連鎖長は1.02、着色度は28であった。
(d)グリコール酸共重合体及び溶融成形シートの評価
得られたグリコール酸共重合体の溶融熱安定性を評価した結果、着色度は48であり、ほぼ良好であった。また、溶融成形シートの酸素ガス透過度は8.0(cc/m・day・atm)であり、極めて高いガスバリアー性を有していた。更に、溶融成形シートの強度は5以上であり、容器やフィルム等の成形品に必要な機械的強度を有すると共に、溶融成形シートは土中崩壊性を有していた。
分析値及び評価結果を表5に示す。
[実施例19]
(a)低分子量グリコール酸共重合体の製造
[工程(B)]終了後、引き続き反応温度を200℃まで10分で昇温し、撹拌回転数を毎分200回転を保持したこと、190℃を越えた後の合計反応時間として6時間反応を継続したこと以外は、実施例2と同様に[工程(A)、(B)及び(C)]の重縮合操作を行い、重量平均分子量12,000のグリコール酸共重合体を製造した。
[工程(A)]において、反応液の温度は徐々に上昇し、減圧度を1.0×10Paとした時点から反応液の温度は146℃とほぼ一定値を示した。この際、[工程(A)]終了後のグリコール酸共重合体の重量平均分子量は1,900、反応温度が190℃におけるグリコール酸共重合体の重量平均分子量は2,100であった。反応温度が190℃を越えた時点を基準として、グリコール酸共重合体の重量平均分子量が10,000に到達するまでに要した時間は290分であった。これより、この時間範囲における1時間当たりの重量平均分子量の増加量は1,634であった。
(b)グリコール酸共重合体の溶融重縮合、結晶化処理、粉砕処理及び固相重合
(b−1)溶融重縮合、結晶化処理、粉砕処理
得られたグリコール酸共重合体を実施例2(b−1)と同様の方法で、溶融重縮合、結晶化処理及び粉砕処理を行って、結晶化した重量平均分子量42,800、融点184℃のグリコール酸共重合体(以下、結晶化グリコール酸共重合体P−21、と略記する)を作成した。
(b−2)結晶化グリコール酸共重合体の固相重合
引き続き、得られた結晶化グリコール酸共重合体P−21を用いて、実施例2(b−2)と同様の方法で固相重合を実施した。
(c)グリコール酸共重合体の分析値
得られたグリコール酸共重合体の重量平均分子量は152,000、その共重合組成は、グリコール酸単位88.92モル%、ジグリコール酸単位0.07モル%、グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位として乳酸単位を11.01モル%含有し、乳酸単位の平均連鎖長は1.02、着色度は28であった。
(d)グリコール酸共重合体及び溶融成形シートの評価
得られたグリコール酸共重合体の溶融熱安定性を評価した結果、着色度は46であり、ほぼ良好であった。また、溶融成形シートの酸素ガス透過度は、8.0(cc/m・day・atm)であり、極めて高いガスバリアー性を有していた。更に、溶融成形シートの強度は5以上であり、容器やフィルム等の成形品に必要な機械的強度を有すると共に、溶融成形シートは土中崩壊性を有していた。
分析値及び評価結果を表5に示す。
[実施例20]
実施例16の「(a)低分子量グリコール酸共重合体の製造」記載の方法により得られたグリコール酸共重合体を、反応時間を1.5時間とした以外は実施例2(b−1)と同様の方法で、溶融重縮合を行った後、結晶化処理及び粉砕処理を行って、結晶化した重量平均分子量20,000、融点185℃のグリコール酸共重合体(以下、結晶化グリコール酸共重合体P−22、と略記する)を作成した。
(b−2)結晶化グリコール酸共重合体の固相重合
引き続き、得られた結晶化グリコール酸共重合体P−22を用いて、実施例2(b−2)と同様の方法で固相重合を実施した。
(c)グリコール酸共重合体の分析値
得られたグリコール酸共重合体の重量平均分子量は93,000、その共重合組成は、グリコール酸単位88.98モル%、ジグリコール酸単位0.02モル%、グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位として乳酸単位を11.00モル%含有し、乳酸単位の平均連鎖長は1.02、着色度は27であった。
(d)グリコール酸共重合体及び溶融成形シートの評価
得られたグリコール酸共重合体の溶融熱安定性を評価した結果、着色度は38であり、ほぼ良好であった。溶融成形シートの酸素ガス透過度は8.1(cc/m・day・atm)であり、極めて高いガスバリアー性を有していた。溶融成形シートの強度は4であり、容器やフィルム等の成形品に必要な機械的強度を有すると共に、溶融成形シートは土中崩壊性を有していた。
分析値及び評価結果を表5に示す。
[比較例6]
(a)低分子量グリコール酸共重合体の製造
実施例1と同様の装置に、ジグリコール酸含有量がグリコール酸に対して0.005モル%以下である70質量%グリコール酸水溶液を349g、90質量%L−乳酸水溶液を39.3g、ネオペンチルグリコールを0.60g、及び原料水溶液に対して、0.05質量%のテトライソプロポキシゲルマニウム(モノマー1g当たりゲルマニウム金属原子として2.2×10−6モル)を仕込んだ(仕込み原料中におけるジグリコール酸単位のモル比は0.00005以下であるため、換算モル比で0となり、グリコール酸単位の換算モル比は0.8896、乳酸単位の換算モル比は0.1088、ネオペンチルグリコール単位の換算モル比は0.0016である。)後に、窒素置換を行った。その後、セパラブルフラスコを温度150℃のオイルバスに浸積し、撹拌回転数を毎分100回転とし、窒素気流下にて1.5時間保持して脱水を行った。次いで、オイルバス温度を150℃のままで、5.0×10Paで1時間、2.5×10Paで0.5時間、1.0×10Paで20分重縮合反応を実施した。前記工程において、反応液の温度は徐々に上昇し、減圧度を1.0×10Paとした時点から反応液の温度は146℃であり、ほぼ一定値を示した。前記工程終了後の、グリコール酸共重合体の分子量を少量サンプリングして測定した結果、重量平均分子量は400であった。
その後、撹拌回転数及び減圧状態を保持したまま、反応温度190℃まで120分かけて徐々に昇温した。反応温度が190℃におけるグリコール酸共重合体の分子量を少量サンプリングして測定した結果、重量平均分子量は700であった。引き続き反応温度を200℃まで10分で昇温し、撹拌回転数を毎分600回転に変更し、減圧度4.0×10Paにて、190℃を越えた後の合計反応時間として3時間反応を継続し、重量平均分子量14,600のグリコール酸共重合体を得た。この際、反応液の温度が190℃を越えた時点を基準として、グリコール酸共重合体の重量平均分子量が10,000に到達するまでに要した時間は120分であり、この時間範囲における1時間当たりの重量平均分子量の増加量は、4,650であった。
得られた溶融状態のグリコール酸共重合体を冷却、固化した後に取り出し、引き続き、以下に示す操作により、得られたグリコール酸共重合体の重合を行った。
(b)グリコール酸共重合体の溶融重縮合、結晶化処理、粉砕処理及び固相重合
(b−1)溶融重縮合、結晶化処理及び粉砕処理
得られたグリコール酸共重合体を実施例2(b−1)と同様の方法で、溶融重縮合、結晶化処理及び粉砕処理を行って、結晶化した重量平均分子量42,000、融点183℃のグリコール酸共重合体(以下、結晶化グリコール酸共重合体P−23、と略記する)を作成した。
(b−2)結晶化グリコール酸共重合体の固相重合
引き続き、得られた結晶化グリコール酸共重合体P−23を用いて、実施例2(b−2)と同様の方法で固相重合を実施した。
(c)グリコール酸共重合体の分析値
得られたグリコール酸共重合体の重量平均分子量は186,000、その共重合組成は、グリコール酸単位88.59モル%、ジグリコール酸単位0.20モル%、グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位である乳酸単位11.00モル%、ネオペンチルグリコール単位0.21モル%であり、乳酸単位の平均連鎖長は1.02、着色度は40であった。
(d)グリコール酸共重合体及び溶融成形シートの評価
溶融成形シートの酸素ガス透過度は、8.7(cc/m・day・atm)であり、極めて高いガスバリアー性を有していた。また、溶融成形シートの強度は5以上であり、容器やフィルム等の成形品に必要な機械的強度を有すると共に、溶融成形シートは土中崩壊性を有していたが、グリコール酸共重合体の溶融熱安定性を評価した結果、着色度は224であり、褐色に変色した。
分析値及び評価結果を表6に示す。
[比較例7]
(a)低分子量グリコール酸共重合体の製造
実施例1と同様の装置に、ジグリコール酸含有量がグリコール酸に対して0.005モル%以下である70質量%グリコール酸水溶液を349g、90質量%L−乳酸水溶液を39.3g、ネオペンチルグリコールを0.60g、及び原料水溶液に対して、0.05質量%のテトライソプロポキシゲルマニウム(モノマー1g当たりゲルマニウム金属原子として2.2×10−6モル)を仕込んだ後に、窒素置換を行った。仕込み原料中におけるジグリコール酸単位のモル比は0.00005以下であるため、換算モル比で0となり、グリコール酸単位の換算モル比は0.8896、乳酸単位の換算モル比は0.1088、ネオペンチルグリコール単位の換算モル比は0.0016である。
その後、セパラブルフラスコを、温度150℃のオイルバスに浸積し、撹拌回転数を毎分100回転とし、窒素気流下にて1.5時間保持して脱水を行った。次いで、オイルバス温度を150℃のままで、5.0×10Paで1時間、2.5×10Paで0.5時間、1.0×10Paで20分重縮合反応を実施した。
前記工程において、反応液の温度は徐々に上昇し、減圧度を1.0×10Paとした時点から反応液の温度は146℃とほぼ一定値を示した。前記工程終了後の、グリコール酸共重合体の分子量を少量サンプリングして測定した結果、重量平均分子量は400であった。
その後、撹拌回転数及び減圧状態を保持したまま、反応温度190℃まで25分かけて徐々に昇温した。反応温度が190℃におけるグリコール酸共重合体の分子量を少量サンプリングして測定した結果、重量平均分子量は500であった。引き続き反応温度を200℃まで10分で昇温し、撹拌回転数を毎分100回転のまま保持し、減圧度6.0×10Paにて、190℃を越えた後の合計反応時間として20時間反応を継続し、重量平均分子量14,500のグリコール酸共重合体を得た。この際、反応液の温度が190℃を越えた時点を基準として、グリコール酸共重合体の重量平均分子量が10,000に到達するまでに要した時間は810分であり、この時間範囲における1時間当たりの重量平均分子量の増加量は、704であった。
得られた溶融状態のグリコール酸共重合体を冷却、固化した後に取り出し、引き続き、以下に示す操作により、得られたグリコール酸共重合体の重合を行った。
(b)グリコール酸共重合体の溶融重縮合、結晶化処理、粉砕処理及び固相重合
(b−1)溶融重縮合、結晶化処理、粉砕処理
得られたグリコール酸共重合体を実施例2(b−1)と同様の方法で、溶融重縮合、結晶化処理及び粉砕処理を行って、結晶化した重量平均分子量44,000、融点182℃のグリコール酸共重合体(以下、結晶化グリコール酸共重合体P−24、と略記する)を作成した。
(b−2)結晶化グリコール酸共重合体の固相重合
引き続き、得られた結晶化グリコール酸共重合体P−24を用いて、実施例2(b−2)と同様の方法で固相重合を実施した。
(c)グリコール酸共重合体の分析値
得られたグリコール酸共重合体の重量平均分子量は179,000、その共重合組成は、グリコール酸単位88.58モル%、ジグリコール酸単位0.21モル%、グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位である乳酸単位11.00モル%、ネオペンチルグリコール単位0.21モル%であり、乳酸単位の平均連鎖長は1.02、着色度は39であった。
(d)グリコール酸共重合体及び溶融成形シートの評価
溶融成形シートの酸素ガス透過度は8.8(cc/m・day・atm)であり、極めて高いガスバリアー性を有していた。また、溶融成形シートの強度は5以上であり、容器やフィルム等の成形品に必要な機械的強度を有すると共に、溶融成形シートは土中崩壊性を有していたが、グリコール酸共重合体の溶融熱安定性を評価した結果、着色度は242であり、褐色に変色した。
分析値及び評価結果を表6に示す。
[比較例8]
(a)低分子量グリコール酸共重合体の製造
実施例1と同様の装置に、ジグリコール酸含有量がグリコール酸に対して0.005モル%以下である70質量%グリコール酸水溶液を349g、90質量%L−乳酸水溶液を39.3g、ネオペンチルグリコールを0.60g、及び原料水溶液に対して、0.05質量%のテトライソプロポキシゲルマニウム(モノマー1g当たりゲルマニウム金属原子として2.2×10−6モル)を仕込んだ後に、窒素置換を行った。仕込み原料中におけるジグリコール酸単位のモル比は0.00005以下であるため、換算モル比で0となり、グリコール酸単位の換算モル比は0.8896、乳酸単位の換算モル比は0.1088、ネオペンチルグリコール単位の換算モル比は0.0016である。
その後、セパラブルフラスコを温度150℃のオイルバスに浸積し、撹拌回転数を毎分100回転として窒素気流下にて1.5時間保持して脱水を行った。次いで、オイルバス温度を150℃のままで、5.0×10Paで1時間、2.5×10Paで0.5時間、1.0×10Paで50分、5.0×10Paで20分間、重縮合反応を実施した。
前記工程において、反応液の温度は徐々に上昇し、減圧度を1.0×10Paとした時点から反応液の温度は146℃であり、ほぼ一定値を示した。前記工程終了後の、グリコール酸共重合体の分子量を少量サンプリングして測定した結果、重量平均分子量は900であった。
その後、撹拌回転数及び減圧状態を保持したまま、反応温度190℃まで120分かけて徐々に昇温した。反応温度が190℃におけるグリコール酸共重合体の分子量を少量サンプリングして測定した結果、重量平均分子量は1,500であった。引き続き反応温度を200℃まで10分で昇温し、撹拌回転数を毎分100回転のまま保持し、減圧度6.0×10Paにて、190℃を越えた後の合計反応時間として20時間反応を継続し、重量平均分子量15,600のグリコール酸共重合体を得た。この際、反応液の温度が190℃を越えた時点を基準として、グリコール酸共重合体の重量平均分子量が10,000に到達するまでに要した時間は720分であり、この時間範囲における1時間当たりの重量平均分子量の増加量は708であった。
得られた溶融状態のグリコール酸共重合体を冷却、固化した後に取り出し、引き続き、以下に示す操作により、得られたグリコール酸共重合体の重合を行った。
(b)グリコール酸共重合体の溶融重縮合、結晶化処理、粉砕処理及び固相重合
(b−1)溶融重縮合、結晶化処理及び粉砕処理
得られたグリコール酸共重合体を実施例2(b−1)と同様の方法で、溶融重縮合、結晶化処理及び粉砕処理を行って、結晶化した重量平均分子量44,800、融点182℃のグリコール酸共重合体(以下、結晶化グリコール酸共重合体P−25、と略記する)を作成した。
(b−2)結晶化グリコール酸共重合体の固相重合
引き続き、得られた結晶化グリコール酸共重合体P−25を用いて、実施例2(b−2)と同様の方法で固相重合を実施した。
(c)グリコール酸共重合体の分析値
得られたグリコール酸共重合体の重量平均分子量は184,000、その共重合組成は、グリコール酸単位88.62モル%、ジグリコール酸単位0.18モル%、グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位である乳酸単位11.00モル%、ネオペンチルグリコール単位0.20モル%であり、乳酸単位の平均連鎖長は1.02、着色度は37であった。
(d)グリコール酸共重合体及び溶融成形シートの評価
溶融成形シートの酸素ガス透過度は8.8(cc/m・day・atm)であり、極めて高いガスバリアー性を有していた。また、溶融成形シートの強度は5以上であり、容器やフィルム等の成形品に必要な機械的強度を有すると共に、溶融成形シートは土中崩壊性を有していたが、グリコール酸共重合体の溶融熱安定性を評価した結果、着色度は196であり、褐色に変色した。
分析値及び評価結果を表6に示す。
[比較例9]
(a)低分子量グリコール酸共重合体の製造
実施例1と同様の装置に、ジグリコール酸含有量がグリコール酸に対して0.005モル%以下である70質量%グリコール酸水溶液を360g、90質量%L−乳酸水溶液を40.83g、及び原料水溶液に対して、0.05質量%のテトライソプロポキシゲルマニウム(モノマー1g当たりゲルマニウム金属原子として2.2×10−6モル)を仕込んだ後、窒素置換を行った。仕込み原料中におけるジグリコール酸単位のモル比は0.00005以下であるため、換算モル比で0となり、グリコール酸単位の換算モル比は0.89、乳酸単位の換算モル比は0.11である。
その後、セパラブルフラスコを温度180℃のオイルバスに浸積し、撹拌回転数を毎分200回転として窒素気流下にて、3時間保持して脱水を行い、反応温度を180℃のままで、5.0×10Paで1時間、2.5×10Paで0.5時間、1.0×10Paで30分、5.0×10Paで30分、2.0×10Paで20分重縮合反応を実施した。
本工程において、窒素気流下にて温度180℃のオイルバスに浸積した後、反応温度が160℃を越えた時点でのグリコール酸共重合体の重量平均分子量は300であった。本工程終了後の、グリコール酸共重合体の分子量を少量サンプリングして測定した結果、重量平均分子量は2,200であった。
その後、撹拌回転数及び減圧状態を保持したまま、反応温度190℃まで15分かけて徐々に昇温した。反応温度が190℃におけるグリコール酸共重合体の分子量を少量サンプリングして測定した結果、重量平均分子量は2,300であった。
引き続き、反応温度を200℃まで10分で昇温し、撹拌回転数を毎分600回転に変更し、減圧度4.0×10Paにて、190℃を越えた後の合計反応時間として2.5時間反応を継続して、重量平均分子量14,100のグリコール酸共重合体を得た。
得られた溶融状態のグリコール酸共重合体を冷却、固化させた後に取り出し、引き続き、以下に示す操作により、得られたグリコール酸共重合体の重合を行った。
(b)グリコール酸共重合体の溶融重縮合、結晶化処理、粉砕処理及び固相重合
(b−1)溶融重縮合、結晶化処理及び粉砕処理
得られたグリコール酸共重合体を実施例2(b−1)と同様の方法で、溶融重縮合、結晶化処理及び粉砕処理を行って、結晶化した重量平均分子量43,600、融点183℃のグリコール酸共重合体(以下、結晶化グリコール酸共重合体P−26、と略記する)を作成した。
(b−2)結晶化グリコール酸共重合体の固相重合
引き続き、得られた結晶化グリコール酸共重合体P−26を用いて、実施例2(b−2)と同様の方法で固相重合を実施した。
(c)グリコール酸共重合体の分析値
得られたグリコール酸共重合体の重量平均分子量は109,000、その共重合組成は、グリコール酸単位88.84モル%、ジグリコール酸単位0.14モル%、グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位として乳酸単位を11.02モル%を含有し、乳酸単位の平均連鎖長は1.02、着色度は38であった。
(d)グリコール酸共重合体及び溶融成形シートの評価
溶融成形シートの酸素ガス透過度は8.3(cc/m・day・atm)であり、極めて高いガスバリアー性を有していた。また、溶融成形シートの強度は4であり、容器やフィルム等の成形品に必要な機械的強度を有すると共に、溶融成形シートは土中崩壊性を有していたが、グリコール酸共重合体の溶融熱安定性を評価した結果、着色度は158であり、褐色に変色した。
分析値及び評価結果を表6に示す。
[参考例1]
以下の手順で、開環重合法によるグリコール酸−乳酸共重合体を合成した。
(a)重合用原料の調整
(a−1)精製グリコリドの調整
グリコリド250gを、脱水酢酸エチル500gに75℃で溶解させた後、室温にて10時間放置し析出させた。濾取した析出物を、室温で約500gの脱水酢酸エチルを用いて洗浄を行った。再度この洗浄操作を繰返した。洗浄物をナス型フラスコ内に入れ、60℃に設定したオイルバスに浸漬し、24時間真空乾燥を行った。この乾燥物を用いて、単蒸留により精製グリコリド(沸点133〜134℃/減圧度9×10〜8×10Pa)95gを得た後、乾燥窒素下で保存し、次の重合操作に供した。
(a−2)精製ラクチドの調整
L−ラクチド250gを、脱水トルエン500gに80℃で溶解させた後、室温にて10時間放置して析出させた。濾取した析出物を、室温で約500gの脱水トルエンを用いて洗浄を行った。再度この洗浄操作を繰返した後、洗浄物をナス型フラスコ内に入れ60℃に設定したオイルバスに浸漬して24時間真空乾燥を行い、精製L−ラクチド120gを得た後に乾燥窒素下で保存し、次の重合操作に供した。
(b―1)グリコール酸共重合体[a]の合成
乾燥窒素下にて、上記単量体の精製で得られたグリコリド84gとラクチド19g、及び触媒として2−エチルヘキサン酸錫0.03gと脱水ラウリルアルコール0.01gを、十分に乾燥した内部をテフロン(登録商標)コーティングした耐圧管に仕込んだ。打栓した後、130℃に設定した振とう型オイルバスに浸漬し、20時間振とうして重合を行った。重合終了後、室温まで冷却し、耐圧管から取り出した塊状ポリマーを約1mm以下の細粒に粉砕した。この粉砕物を、脱水酢酸エチルを用いて10時間ソックスレー抽出した後、真空乾燥機内で24時間真空乾燥を行い、グリコール酸共重合体95gを得た。
(b−2)グリコール酸共重合体[b]の合成
乾燥窒素下にて、上記単量体の精製により得られたグリコリド84g、ラクチド39g及び触媒として2−エチルヘキサン酸錫0.037gと脱水ラウリルアルコール0.012gを十分に乾燥した内部をテフロン(登録商標)コーティングした耐圧管に仕込んだ。打栓した後、130℃に設定した振とう型オイルバスに浸漬し、20時間振とうして重合を行った。重合終了後、室温まで冷却し、耐圧管から取り出した塊状ポリマーを約1mm以下の細粒に粉砕した。この粉砕物を、脱水酢酸エチルを用いて10時間ソックスレー抽出した後、真空乾燥機内で24時間真空乾燥を行い、グリコール酸共重合体116gを得た。
[比較例10]
(a)グリコール酸共重合体の分析値
参考例1の(b−1)で得られた開環重合法により得られたグリコール酸共重合体[a]の重量平均分子量は175,000、その共重合組成は、グリコール酸単位94.00モル%、グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位である乳酸単位6.00モル%を含有し、ジグリコール酸単位は確認されなかった。乳酸単位の平均連鎖長は2.08であり、着色度は30であった。
(b)グリコール酸共重合体及び溶融成形シートの評価
参考例(b−1)で得られたグリコール酸共重合体[a]の溶融成形シートの酸素ガス透過度は8.8(cc/m・day・atm)であり、極めて高いガスバリアー性を有していた。また、溶融成形シートの強度は5以上であり、容器やフィルム等の成形品に必要な機械的強度を有すると共に、溶融成形シートは土中崩壊性を有していたが、グリコール酸共重合体[a]の溶融熱安定性を評価した結果、着色度は92であり、黄色に変色した。
分析値及び評価結果を表6に示す。
[比較例11]
(a)グリコール酸共重合体の分析値
参考例1の(b−2)で得られた開環重合法により得られたグリコール酸共重合体[b]の重量平均分子量は183,000、その共重合組成は、グリコール酸単位83.00モル%、グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位である乳酸単位17.00モル%を含有し、ジグリコール酸単位は確認されなかった。乳酸単位の平均連鎖長は2.36であり、着色度は29であった。
(b)グリコール酸共重合体及び溶融成形シートの評価
参考例(b−2)で得られたグリコール酸共重合体[b]の溶融成形シートの強度は5以上で容器やフィルム等の成形品に必要な機械的強度を有すると共に、溶融成形シートは土中崩壊性を有していたが、酸素ガス透過度は28(cc/m・day・atm)であり、ガスバリアー性は低いものであった。また、溶融熱安定性を評価した結果、着色度は58であり、黄色に変色した。
分析値及び評価結果を表6に示す。
[参考例2]
実施例18(b−2)で得られたグリコール酸共重合体の重量平均分子量を、トリフルオロ酢酸ナトリウムを溶解させなかったヘキサフルオロイソプロパノールを溶離液とした以外は、本発明実施の形態と同様の方法により測定したところ、グリコール酸共重合体の重量平均分子量は583,000であった。
Figure 0004540321
Figure 0004540321
Figure 0004540321
Figure 0004540321
Figure 0004540321
Figure 0004540321
本発明は、高い熱安定性と優れた品質を有し、加工後の成形体が高いバリアー性と十分な機械強度を有する樹脂として、好適に用いられると共に、当該樹脂を簡便な方法により、効率よく工業的に製造する方法として、好適である。

Claims (23)

  1. 重量平均分子量50,000以上、かつ、グリコール酸単位含有率80モル%以上95モル%未満のグリコール酸共重合体であって、下記[1]及び[2]を満たすことを特徴とするグリコール酸共重合体。
    [1]グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位を5.0モル%以上20.0モル%以下含有し、グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位の平均連鎖長が1.00以上1.50以下
    [2]ジグリコール酸単位含有率が0又は0.10モル%以下
  2. グリコール酸共重合体の重量平均分子量が80,000以上であることを特徴とする請求項1記載のグリコール酸共重合体。
  3. ジグリコール酸単位含有率が0を越え、0.09モル%以下であることを特徴とする請求項1又は2記載のグリコール酸共重合体。
  4. グリコール酸共重合体の重量平均分子量が100,000以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のグリコール酸共重合体。
  5. グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位の平均連鎖長が1.00以上1.20以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のグリコール酸共重合体。
  6. グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位が、モノヒドロキシモノカルボン酸であることを特徴する請求項1〜5のいずれか1項に記載のグリコール酸共重合体。
  7. 少なくともポリオール単位を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のグリコール酸共重合体。
  8. ポリオール単位が、炭素数3以上のジオール単位、及び1分子中に水酸基を3個以上有する炭素数4以上の化合物単位から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項7記載のグリコール酸共重合体。
  9. ポリオール単位が、炭素数が5以上の化合物単位から選ばれることを特徴とする請求項8記載のグリコール酸共重合体。
  10. ポリオール単位がネオペンチルグリコール単位であることを特徴とする請求項9記載のグリコール酸共重合体。
  11. グリコール酸共重合体中のポリオール単位の含有率の総和が、2.0モル%未満であることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載のグリコール酸共重合体。
  12. 更に、グリコール酸共重合体がポリカルボン酸単位を含み、ポリオール単位及びポリカルボン酸単位の含有率の総和が2.0モル%未満であることを特徴とする請求項11に記載のグリコール酸共重合体。
  13. ポリオール単位及びポリカルボン酸単位の含有率の総和が0.02モル%を超え2.0モル%未満、かつ、ポリオール単位の含有率が0.02モル%以上2.0モル%未満であることを特徴とする請求項12に記載のグリコール酸共重合体。
  14. グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位が、乳酸及び/又は6−ヒドロキシヘキサノイックアシッド単位であることを特徴とする請求項1記載のグリコール酸共重合体。
  15. グリコール酸及び/又はその誘導体と、グリコール酸及び/又はその誘導体と共重合可能な化合物とを出発原料として、重縮合して得られることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載のグリコール酸共重合体。
  16. グリコール酸及び/又はその誘導体と、グリコール酸以外のヒドロキシカルボン酸及び/又はその誘導体を含む、前記グリコール酸及び/又はその誘導体と共重合可能な化合物、とからなる原料を用いて、重縮合によりグリコール酸共重合体を製造する方法であって、下記の[工程(A)、(B)及び(C)]を含むことを特徴とするグリコール酸共重合体の製造方法。
    (A)原料を20℃以上160℃以下の範囲の反応温度で重縮合反応を行わせることによって、重量平均分子量700以上5,000以下のグリコール酸共重合体を製造する工程[工程(A)]。
    (B)[工程(A)]に引き続き、反応温度を100分以内に190℃まで昇温する工程[工程(B)]。
    (C)[工程(B)]に引き続き、190℃以上300℃以下の範囲の反応温度で重縮合反応を行わせて、重量平均分子量10,000以上のグリコール酸共重合体を製造する際に、グリコール酸共重合体の重量平均分子量が10,000に達するまでの重量平均分子量の増加量が、1時間あたり1,000以上となる条件下で重縮合反応を行わせる工程[工程(C)]。
  17. 請求項16記載の方法によって得られたグリコール酸共重合体を、更に190℃以上300℃以下の範囲の反応温度で重縮合することを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載のグリコール酸共重合体の製造方法。
  18. グリコール酸及び/又はその誘導体と、グリコール酸以外のヒドロキシカルボン酸及び/又はその誘導体と、必要に応じて、ポリオール、ポリカルボン酸及び/又はその誘導体を含む原料を用いて、重縮合によりグリコール酸共重合体を製造するに際して、下記数式(1)、(2)及び(3)を満足する原料を用いることを特徴とする請求項16記載のグリコール酸共重合体の製造方法。
    Figure 0004540321
    Figure 0004540321
    Figure 0004540321
    (ただし、式中の[X−1]はグリコール酸及び/又はその誘導体の換算モル比、[X−2]はグリコール酸以外のヒドロキシカルボン酸及び/又はその誘導体の換算モル比、[X−3]、[X−4]は必要に応じて用いるポリオール、ポリカルボン酸及び/又はその誘導体の換算モル比を表し、[X−3]と[X−4]は独立して0であってもよい。)
  19. 少なくともポリオール単位を含み、下記数式(4)、(5)を満足する原料を用いることを特徴とする請求項18記載のグリコール酸共重合体の製造方法。
    Figure 0004540321
    Figure 0004540321
    (ただし、[X−1]、[X−2]、[X−3]及び[X−4]は、上記と同じ。[X−4]は0であってもよい。)
  20. ポリオール単位及びポリカルボン酸単位を含むグリコール酸共重合体を製造する方法において、下記数式(6)、(7)を満足する請求項18記載のグリコール酸共重合体の製造方法。
    Figure 0004540321
    Figure 0004540321
    (ただし、[X−1]、[X−2]、[X−3]及び[X−4]は、上記と同じ。[X−4]は0であってもよい。)
  21. 少なくともポリオール単位を含み、下記数式(8)を満足する原料を用いることを特徴とする請求項18記載のグリコール酸共重合体の製造方法。
    Figure 0004540321
    (ただし、[X−1]、[X−2]、[X−3]及び[X−4]は、上記と同じ。[X−4]は0であってもよい。)
  22. 請求項16記載の方法により製造されたグリコール酸共重合体を結晶化させ、固体状態を維持する温度で固相重合させることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項記載のグリコール酸共重合体の製造方法。
  23. 請求項1〜15のいずれか1項に記載のグリコール酸共重合体から得られる成形体。
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