JP4532273B2 - 癌に関係するタンパク質 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリペプチドPTK7と相互作用するかまたはその発現または活性を調節するポリペプチドPTK7の薬剤を標的とすることを含む癌の治療および/または予防のための方法、そのような薬剤の同定のための方法、および癌の診断におけるPTK7の使用に関する。
腫瘍特異タンパク質は、cDNAのディファレンシャルスクリーニング(Hubert、R.S.ら、1999、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96:14523−14528)および腫瘍特異抗体によって認識される細胞表面タンパク質の精製(Catimel、B.ら、1996、J.Biol.Chem.271:25664−25670)のような技術を用いて多くの癌の型について同定されてきた。より最近には、10,000の発現配列素子(expressed sequence elements)までを含有するDNAチップが腫瘍細胞遺伝子発現を特徴づけるのに使用された(Dhanasekaran、S.M.ら、2001、Nature、412:822−826)。しかしながら、なぜ以前に行われた多くの広範な癌のトランスクリプトーム解析が全ての、またはほとんどの腫瘍関連タンパク質を明らかにしなかったのかにはいくつかの理由がある。それらには以下のものがあげられる:(i)転写と疾病関連タンパク質レベル、特に、しばしば長い半減期を有し、それゆえに高いmRNA回転を有さない膜タンパク質間の相関関係の欠如。それゆえ、正常細胞と癌性細胞の間のタンパク質レベルにおける相異が矛盾しなくなるまで、癌状態での膜タンパク質のmRNAにおける変化に関連づけるのはしばしば困難である。(ii)転写された遺伝情報の単なる差のレベルというよりむしろ病態におけるタンパク質の転位、例えばerbB2/HER2−neuが、正常な乳腺細胞よりも癌細胞においてより大きな原形質膜局在を示し、そして、転写因子エストロゲン受容体およびSTAT3は腫瘍形成効果を示すために核に転位している。(iii)新規で、まだ特性化されていない遺伝子は、チップ当たりの発現配列素子の数およびDNAクローンの知識および有効性について制限があるようなcDNAアレーの「閉鎖系」内においては高度に表示されない。タンパク質発現は、いくつかのレベルで厳密な翻訳調節を受けるので、タンパク質発現とmRNAレベルの間にはあてにならない関係があることは、よく確立されていることである(例えば、Gygi SPら、Mol.Cell Biol.1999、19:1720−30)。細胞の翻訳装置の全活性の制御は、本質的に全てのmRNAの翻訳に影響することが期待される(Matthews、M.ら、「翻訳調節」Hershey、J.ら編、pp11−12、Cold Spring Harbour Laboratory Press、1996)。実際、特異的mRNAの断片は完全に抑制されている。さらに、個々のmRNAは、翻訳の効率が大きく異なっており、「弱く」あるいは「強く」なり得、それで遺伝子発現の調節に寄与している。それゆえ、cDNAの概念的翻訳が存在するということは、特定の細胞型に特定のタンパク質が存在するという決定的な証拠が提供できないことになる。
乳癌は婦人において最も頻繁に診断される癌である。乳癌の初期検出のスクリーニングプログラムの実行、および外科的切除を補う化学療法、放射線療法および抗エストロゲン療法のような、抗癌治療の出現は、乳癌患者の生存を改善した。しかしながら、癌細胞は化学療法薬に抵抗性を取得し、あるいはホルモン感受性を失うので、ある種の乳腺腫瘍はそのような治療に治療抵抗性となり、再発し、あるいは、しばしば不治である転移性の疾患となる。最近、腫瘍細胞に対する宿主免疫反応を開始する、あるいは、標的とする手段として、癌ワクチンおよびモノクローナル抗体(mABs)のような免疫療法に注意が向けられている(Green、MC.ら、2000、Cancer Treat Rev.26:269−286;Davis、ID.、2000、Immunol.Cell Biol.78:179−195;Knuth、A.ら、2000、Cancer Chemother.Pharmacol.46:S46−51;Shiku、H.ら、2000、Cancer Chemother.Pharmacol.46:S77−82;Saffin、DC.ら、1999、Cancer Metastasis Rev.18:437−449)。erbB2/HER−neu受容体タンパク質を認識するmAbであるハーセプチンは、転位乳癌の治療に使用されている。化学療法との組合せで、ハーセプチンは、化学療法のみを受けた患者と比較して、疾病の進行時間を引延ばすことが示された(Baselga、J.ら、1998、Cancer Res.58:2825−2831)。しかし、ハーセプチンは、erbB2タンパク質を過剰発現した腫瘍を有する患者の10−20%の治療においてのみ効果がある。
膵癌の治療には、治療的モノクローナル抗体が含まれる。例えば、併用治療が、上皮増殖因子(EGF)受容体(EGF受容体が膵癌患者において過剰発現される)に対するモノクローナル抗体、IMC−C225と5−フルオロウラシル(5−FU)の組合せで、臨床治験中である。HER−2/neu癌遺伝子が膵腺癌の患者154名の21%において過剰発現していることが報告されている(Safran、H.ら、2001、Amer.J.Clin.Oncology 24:496−499)。これによりそのような患者に組換えヒト化抗HER2抗体(ハーセプチン)の治療評価が正当化されることが示唆された。膵癌の診断は、初期症状が慢性膵炎、肝炎、胆石および糖尿病を含む他の疾患のそれに類似しているので、目下のところ困難である。時によっては、しばしば正しい診断が行われたときには、癌がリンパ節および肝臓に広がってしまっている。
膀胱癌は、女性よりも男性においてよりしばしば生じる疾病であり、しばしば進行した段階で診断されている。治療は、一般的に現在のところ得られる僅かな生物学的/免疫学的治療と、手術、放射線療法および化学療法に限定されている。特に、BCG(カルメット−ゲラン菌)が、膀胱癌の患者の免疫系を促進するのに使われている。
ときに腎細胞癌とも呼ばれる腎臓癌は、腎臓に起こる最も普通の腫瘍である。現在のところ、主要な手術を受けるには余りにも悪化している患者に対する手術の代わりに、ときに使われる放射線療法とともに、手術が腎臓癌の主な治療であるが、しかしながら、腎細胞癌は、放射線療法に特に感受性があるともいえない。腎臓癌の二つの最も普通の生物学的治療は、患者の免疫系を促進する試みとして使用されるサイトカイン、インターロイキン2およびインターフェロンα、の使用である。
肺癌は、二つの主要な型、非小細胞肺癌および小細胞肺癌と共に、男性および女性における死亡の主要な癌である。治療は、手術に限定され、可能ならば、化学療法および放射線療法がある。
卵巣癌は、最初に末期の疾病を示す、より普通の上皮卵巣癌にかかっている約70%が致命的な婦人科の癌である。その生存率は、癌が既に上腹部に広がっているので、初期の疾病を示すものと比較して、著しく少ない。卵巣癌は、一般的にシスプラチンを基本とした化学療法で治療され、しばしば獲得性シスプラチン抵抗性のゆえに再発する(Yahata、H.ら、2002、J.Cancer Res.Clin.Oncol.128:621−6)、それゆえに新薬と新しい治療標的に対する需要がある。また、現時点でのマーカーは、大きな集団に応用し得る適切な感受性および特異性に欠けているので、卵巣癌の新しいマーカーに対する需要がある(Rai、A.ら、2002、Arch Pathol.Lab.Med.126:1518−26)。
骨肉腫は、骨病変によって特徴づけられる主として小児期の疾病である。患者の20%以上が、生検によって最もしばしば確定診断される末期骨肉腫として診断される。治療は、一般的に手術と組合せた化学療法である。
それゆえに、癌の治療用の新規な治療薬について重要な需要が存在している。さらに、生物体における癌の診断用の高感度で特異的なバイオマーカーとして使用するための新しい癌関連タンパク質を同定する明確な需要がある。
cDNAをコードするPTK−7(CCK−4としても知られている)は、最初Leeら(1993、Oncogene8:3403−3410)によって、その後Mossieら(WO 96/37610およびOncogene 1995、11:2179−2184)によって単離された。我々の発見と対照的に、後者の著者らは、PTK7 mRNA発現は正常な大腸組織には存在しないことを見出した。PTK7は、受容体チロシンキナーゼファミリーの新しいメンバーである。
本発明は、PTK7が、癌の治療および/または予防のための新規な治療標的を示していることを見出したことに基づいている。
従って、本発明は、PTK7ポリペプチドと相互関係を有し、その発現または活性を調節する薬剤の治療有効量を投与することを含む癌の治療および/または予防の方法を提供するものである。
PTK7ポリペプチドは、
(a)配列番号1のアミノ酸配列を含む、または、よりなる、あるいは
(b)PTK7ポリペプチドの活性を保持する配列番号1のアミノ酸配列に関して、1つまたはそれ以上のアミノ酸置換、修飾、欠失または挿入を有する誘導体であるようなポリペプチドを包含する。
用語「ポリペプチド」は、ペプチドおよびタンパク質を包含する。それらは、とくに特定しない限り互換的に使用される。
本発明における用語「癌」は、上皮に由来する皮膚または、より一般的には身体の器官、例えば、***、肺、腎、膵、卵巣、前立腺、膀胱、胃または腸管の内張りに見出される悪性新生物を包含する。骨肉腫もまた包含される。癌は、隣接する組織に浸潤し、および、別の器官、例えば骨、肝、肺または脳に拡散(転移)する傾向がある。本発明の方法において、癌は、好ましくは卵巣癌または骨肉腫であり、より好ましくは、肺癌、腎癌、膵癌または膀胱癌であり、最も好ましくは、乳癌および、特に転移乳癌である。
本発明の方法において使用される薬剤は、限定されることなく、PTK7ポリペプチドまたはPTK7ポリペプチドをコードする核酸分子と相互作用する(例えば、結合する、または、認識する)ことができる、あるいは、PTK7ポリペプチドの相互作用、発現または活性、もしくはPTK7ポリペプチドをコードする核酸分子の発現を、調節できる薬剤を包含する。当業者は、それゆえに、本発明の方法が、PTK7ポリペプチドを直接標的とする、および相当する核酸を標的とすることによってポリペプチドの発現に間接的に影響することを包含することを理解するであろう。好ましくは、PTK7ポリペプチドは直接標的とされる。そのような薬剤は、限定されることなく、抗体、核酸(例えばDNAおよびRNA)、炭水化物、脂質、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、ペプチド様物質、小分子その他の薬品を包含する。
それゆえに、本発明は、癌の治療および/または予防用の医薬品の製造におけるPTK7ポリペプチドと相互作用するあるいはその発現または活性を調節する薬剤の使用を提供する。
最も好ましくは、癌の予防および/または治療における使用のための薬剤は、PTK7ポリペプチドに相互作用する(すなわち、結合する、または認識する)あるいはその活性を調節する抗体である。さらに好ましいものは、PTK7ポリペプチドを特異的に認識する抗体である。特に、「特異的に認識する」または「特異的に結合する」とは、抗体が、他のポリペプチドに対するよりもPTK7ポリペプチドに対してより大きな親和性を有していることを意味する。
従って、癌の治療および/または予防において使用するための医薬品の製造において使用されるPTK7ポリペプチドを特異的に認識する抗体の使用が提供される。また、提供されるのは、PTK7を特異的に認識する抗体の治療有効量を被験者に投与することを含む、被験者における癌の治療および/または予防の方法である。特に、PTK7ポリペプチドと特異的に相互作用する抗体が、抗体依存性細胞傷害(ADCC)および補体依存性細胞傷害(CDC)を仲介するために使用される。そのような場合、抗体は、好ましくは全長そのままの抗体(naked antibody)である。本発明の別の態様によると、PTK7ポリペプチドに特異的に結合する抗体は、該ポリペプチドの活性を阻害するために使用され得る。
所望により治療部分(therapeutic moiety)に結合する抗体は、単独または細胞傷害因子および/またはサイトカインと組合せて、治療的に使用できる。特に、PTK7抗体は、与えられた生物反応を調節する細胞傷害性薬剤、放射性核種または薬品部分(drug moiety)のような、治療薬と結合できる。治療薬は、古典的な化学治療薬に限定するように解釈されるべきでない。例えば、治療薬は、所望の生物活性を有するタンパク質またはポリペプチドである薬品部分であり得る。そのような部分は、例えばそして限定なしに、アブリン、リシンA、シュードモナス外毒素、またはジフテリアトキシンのような毒素、腫瘍壊死因子、αインターフェロン、βインターフェロン、神経成長因子、血小板由来増殖因子または組織プラスミノーゲンアクチベーター、血栓症薬または抗血管形成剤、例えばアンジオスタチンまたはエンドスタチンのようなタンパク質、もしくは、リンホカインインターロイキン1(IL−1)、インターロイキン2(IL−2)、インターロイキン6(IL−6)、顆粒球マクロファージ・コロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、神経成長因子(NGF)またはその他の成長因子のような生物応答調節剤を包含する。
治療薬は、また、細胞に対し有害(例えば殺細胞)であるいかなる薬剤をも包含する細胞毒素あるいは細胞傷害剤も包含している。例としては、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラセンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロールおよびピューロマイシン、およびこれらの類似体または同族体を包含する。治療薬は、また、代謝拮抗物質(例えば、メトトレキセート、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、5−フルオロウラシルデカルバジン)、アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、チオエパクロラムブチル、メルファラン、カルムスチン(BCNU)およびロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、およびシスジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン)、アンスラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(以前はダウノマイシン)およびドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(以前はアクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、アンスラマイシン(AMC)、カリケアマイシンまたはデュオカルマイシン)、および細胞***阻止剤(例えば、ビンクリスチンおよびビンブラスチン)を包含するが、これらに限定されるものではない。
その他の治療部分は、111Inおよび90Y、Lu177、ビスマス213、カリホルニウム252、イリジウム192およびタングステン188/レニウム188のような放射性核種、あるいはアルキルホスホコリン、トロイソメラーゼI阻害剤、タキソイドおよびスラミンのような、しかしこれらには限定されない、薬品を包含し得る。
そのような治療薬を抗体に結合させる技術は、よく知られている(例えば、Arnonら、「癌治療法における薬物の免疫標的用モノクローナル抗体」モノクローナル抗体および癌治療、Reisfelfら編、1985,pp.243−56、ed.Alan R.Liss社;Hellstromら、「薬物送達用抗体」、制御された薬物送達、第二版、Robinsonら編、1987、pp.623−53、Marcel Dekker社;Thorpe「総説:癌治療における細胞傷害性薬剤の抗体キャリヤー」モノクローナル抗体’84、生物学的および臨床的応用;Pincheraら、1985、pp.475−506;「癌治療法における放射能標識抗体の治療的使用の分析、結果および将来への展望」癌検出および治療用モノクローナル抗体、Baldwinら編、1985、pp.303−13、Academic Press;Thorpeら、1982、「抗体・トキシン共役体の調製および細胞傷害性」、Immunol.Rev.、62:119−58およびDubowchikら、1999、Pharmacology and Therapeutics、83、67−123を参照のこと)。本発明において使用するための抗体は、限定されないが例えば、あらゆる種類の分子の共有結合によって修飾されている。好ましくは、該結合は、免疫特異的結合を妨害しない。一態様において、抗体は、抗体異種結合を形成するために第二抗体に結合できる(米国特許4,676,980)。
別の実施態様において、本発明は、抗体(またはそれらの機能的活性断片)の融合タンパク質、例えば限定することなしに、抗体またはそれらの断片が、所望ならばN末端またはC末端において、別のタンパク質のアミノ酸配列(またはその部分、好ましくは、少なくともタンパク質の10、20または50アミノ酸部分)に共有結合(例えば、ペプチド結合)を経由して融合しているものの治療的使用を提供する。好ましくは抗体またはその断片は、抗体の一定のドメインのN末端で、別のタンパク質につながっている。別の態様において、抗体融合タンパク質は、ここに記載されたように、ポリペプチドの消耗または精製を容易にし、イン・ビボで半減期を増加し、および上皮の関門を横断して抗体の免疫系への運搬を増強している。
融合タンパク質がエフェクターまたはレポーター分子につながっている抗体断片であるところでは、このものは標準的な化学的または組換えDNA操作によって調製され得るが、そこでは抗体断片が直接またはカップリング剤を経由してエフェクターまたはレポーター分子に、活性ポリマーとの反応前または後のいずれかに適当に連結される。特定の化学操作は、例えば、WO 93/62331、WO 92/22583、WO 90,195およびWO 89/1476に記載されているものを包含する。換言すれば、エフェクターまたはレポーター分子がタンパク質またはポリペプチドの場合、連結は、例えばWO 86/01533およびEP0392745に記載のような組換えDNA操作を用いて達成できる。
最も好ましくは、抗体は、ポリエチレングリコール(PEG)部分に連結されている。好ましくは、修飾Fab断片は、PEG化されている、すなわちEP−A−0948544に開示された方法に従って、共役的に結合したPEG(ポリエチレングリコール)を有している「ポリエチレングリコール、化学、生物工学的および生物医学的応用」、1992、J.Milton Harris(ed)、Plenum Press、New York、「ポリエチレングリコール、化学および生物学的応用」、1997、J.Milton HarrisおよびS.Zalipsky(eds)、American Chemical Society、Washington DCおよび「生物医用科学のための生物共役タンパク質カップリング技術」、1998、M.AslamおよびA.Dent、Grove Publishers、New York;Chapman、A.2002、Advanced Drug Delivery Reviews 2002、54:531−545]。一実施態様において、PEG修飾Fab断片は、修飾されたヒンジ領域において単一チオール基に共役結合したマレイミド基を有している。リジン残基は、マレイミド基に共役結合していることがある。リジン残基のアミン基のそれぞれには、約20,000Daの分子量を有するメトキシポリエチレングリコールポリマーが結合していることがある。完全なエフェクター分子の総分子量は、それゆえに、約40,000Daであろう。
PTK7ポリペプチドまたは該ポリペプチドを発現する細胞は、例えば該PTK7ポリペプチドを特異的に認識する抗体を産生するために使用できる。PTK7ポリペプチドに対して精製した抗体は、よく知られた所定のプロトコールを用いて、動物、好ましくは非ヒト動物にポリペプチドを投与することによって得ることができる。
抗PTK7抗体は、機能的に活性な断片、誘導体または類縁体を包含し、限定的ではないが、ポリクロナール、モノクロナール、二特異的、ヒト化またはキメラ抗体、単鎖抗体、Fab断片およびF(ab’)断片、Fab発現ライブラリーによってつくられた断片、抗イディオタイプ(抗id)抗体、および上記のいずれかのエピトープ結合断片であり得る。ヒト化抗体は、非ヒト種由来の一つまたはそれ以上の相補性決定領域(CDRs)およびヒト免疫グロブリン分子由来の枠組み構造領域を有する非ヒト種由来の抗体分子である(米国特許5,585,089参照)。抗体は、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫的に活性な部分、すなわち抗原に特異的に結合する抗原結合部位を含有する分子を包含する。本発明の免疫グロブリン分子は、免疫グロブリン分子のいかなるクラス(例えば、IgG、IgE、IgM、IgDおよびIgA)またはサブクラスでもあり得る。
モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ技術(Kohler & Milstein、1975、Nature、256:495−497)、トリオーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozborら、1983、Immunology Today、4:72)およびEBVハイブリドーマ技術(Coleら、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、pp77−96、Alan R Liss社、1985)のような当業者に知られたいかなる方法によっても調製することができよう。
キメラ抗体は、軽鎖および重鎖遺伝子が異なった種に属する免疫グロブリン分子セグメントから構成されるように遺伝子工学処理されている免疫グロブリン遺伝子によってコードされた抗体である。これらキメラ抗体は、より少ない抗原性であるようである。二特異性抗体は、公知の方法によってつくることができる(Milsteinら、1983、Nature 305:537−539;WO 93/08829、Trauneckerら、1991、EMBO J.10:3655−3659)。
本発明において使用するための抗体は、Babcook、J.ら、1996、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93(15):7843−7848によって、およびWO 92/02551において記載されているような特異的抗体の産生のために選択された単一リンパ球から生成した免疫グロブリン可変領域cDNAsの分子クローニングおよび発現に基づいた単一リンパ球抗体方法を用いて生成させ得る。
本発明において使用するための抗体は、公知技術である種々のディスプレー方法、およびBrinkmanら、(J.Immunol.Methods、1995、182:41−50)、Amesら、(J.Immunol.Methods、1995、184:177−186)、Kettleboroughら、(Eur.J.Immunol.1994、24:952−958)、Persicら、(Gene、1997、187:9−18)、Burtonら、Advances in mmunology、1994、57:191−280)およびWO 90/02809;WO 91/10737;WO 92/01047;WO 92/18619;WO 93/11236;WO 95/15982;WO 95/20401;および米国特許5,698,426;5,223,409;5,403,484;5,580,717;5,427,908;5,750,753;5,821,047;5,571,698;5,427,908;5,516,637;5,780,225;5,658,727;5,733,743;および5,969,108によって開示されている方法を用いて生成させることもできる。米国特許4,946,778に記載されているような単一鎖抗体の製造技術が、PTK7ポリペプチドに対する単一鎖抗体を製造するために適応できる。また、トランスジェニックマウス、または他の哺乳類を含むその他の生物が、ヒト化抗体を発現するために使用され得る。
PTK7ポリペプチドを、本発明による治療および/または予防において使用するための薬剤の同定に使用できる。
本発明のさらなる態様は、
(a)PTK7ポリペプチドを候補薬剤と接触させ、そして
(b)候補薬剤が該ポリペプチドと相互作用するか否かを決定することを含むPTK7ポリペプチドと相互作用する抗癌剤をスクリーニングする方法を提供する。
好ましくは、候補薬剤とPTK7ポリペプチドの間の相互作用の決定は、候補薬剤と該ポリペプチドの結合を定量的に検出することを含む。
さらに提供されるのは、
(i)候補薬剤の存在下でのPTK7ポリペプチドの発現または活性と候補薬剤の不存在下または対照薬剤の存在下でのPTK7ポリペプチドの発現または活性を比較し、そして
(ii)候補薬剤が該ポリペプチドの発現または活性を変化させる原因となるかどうかを決定する、
ことを含むPTK7ポリペプチドの発現または活性候補を調節する抗癌剤をスクリーニングする方法である。
好ましくは、PTK7ポリペプチドの発現および/または活性は、あらかじめ決められた参照範囲または対照と比較される。
より好ましくは、本方法は、PTK7ポリペプチドと相互作用する、あるいはPTK7ポリペプチドの相互作用、発現または活性を調節できる、薬剤を、癌の治療および/または予防における使用をさらに試験するために選択することをさらに含む。上記のスクリーニング方法はまた、PTK7核酸分子と相互作用するかまたはPTK7核酸分子の発現または活性を調節する抗癌剤をスクリーニングするのに適当であることは、当業者に明らかであろう。
本発明は、また、癌の治療および/または予防用の薬剤の効能を同定または実証するための医薬の発見において使用するためのアッセイを提供する。これらの方法を使用して同定された薬剤は、医薬発見のためのリード薬剤として使用され、または治療的に使用されることができる。PTK7ポリペプチドの発現は、例えば、イムノアッセイ、ゲル電気泳動、これに続く可視化、mRNAまたはPTK7ポリペプチドの活性の検出、またはここに教示された、あるいは当業者に知られたその他の方法によってアッセイできる。そのようなアッセイは、候補薬剤のスクリーニング、クリニカルモニタリングにおいて、または医薬品開発において使用できる。
薬剤は広範な種々の候補薬剤から選択できる。候補薬剤の例としては、限定されないが、核酸(例えば、DNAおよびRNA)、炭水化物、脂質、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、ペプチド様物質、小分子その他の薬品を包含する。薬剤は、公知のコンビナトリアルライブラリー法における多数の方法のいずれを使用しても得ることができ、それらには、生物学的ライブラリー、空間的にアドレスで呼び出せるパラレル固相または液相ライブラリー、デコンヴォリューション(deconvolution)が必要な合成ライブラリー法、「1ビーズ1化合物」ライブラリー法、およびアフィニティクロマトグラフィ選択を用いる合成ライブラリー法を包含する。生物学的ライブラリー方法は、ペプチドライブラリーに適しているが、他の4つの方法は、ペプチド、非ペプチドオリゴマーまたは化合物の小分子ライブラリーに応用可能である(Lam、1997、Anticancer Drug Des.12:145;U.S.5,738,996;およびU.S.5,807,683)。
分子ライブラリーの合成のための本発明の記載に基づく適当な方法の例は、公知方法において見出すことができる、例えば、DeWittら、1993、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6909;Erbら、1994、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:11422;Zuckermannら、1994,J.Med.Chem.37:2678;Choら、1993、Science 261:1303;Carrellら、1994、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.33:2059;Carellら、1994、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.33:2061;およびGallopら、1994、J.Med.Chem.37:1233。
化合物のライブラリーは、例えば、溶液(例えば、Houghten、1992、Bio/Techniques 13:412−421)、ビーズ(Lam、1991、Nature 354:82−84)、チップ(Fodor、1993、Nature 364:555−556)、細菌(米国特許5,223,409)、胞子(米国特許5,571,698;5,403,484および5,223,409)、プラスミド(Cullら、1992、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:1865−1869)またはファージ(ScottおよびSmith、Science 249:386−390;Devlin、1990、Science 249:404−406;Cwirlaら、1990、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:6378−6382;およびFelici、1991、J.Mol.Biol.222:301−310)で提示され得る。
一実施態様において、PTK7ポリペプチドとの相互作用(例えば結合)する薬剤は、PTK7ポリペプチドを発現する細胞の集団が候補薬剤と接触し、ポリペプチドと相互作用する候補薬剤の能力が決定されるという、細胞に基づくアッセイによって同定される。好ましくは、PTK7ポリペプチドと相互作用する候補薬剤の能力は、参照範囲または対照と比較される。別の実施態様において、PTK7ポリペプチドを発現する第一および第二細胞集団が、候補薬剤または対照薬剤と接触され、そしてポリペプチドと相互作用する候補薬剤の能力が、候補薬剤と対照薬剤の間の相互作用の差異を比較することによって決定される。もし所望ならば、この型のアッセイが、PTK7ポリペプチドを発現する複数の細胞集団を用いて複数(例えば、ライブラリー)の候補薬剤をスクリーニングするために使用できるであろう。所望ならば、このアッセイは、複数(例えば、ライブラリー)の候補薬剤をスクリーニングするために使用できるであろう。細胞は、例えば、原核細胞由来(例えば、E.coli)または真核細胞由来(例えば、酵母または哺乳類)のものであり得る。さらに、細胞を、内在性にPTK7ポリペプチドを発現でき、あるいはポリペプチドを発現するよう遺伝子工学処理できる。ある種の実施態様において、PTK7ポリペプチドまたは候補薬剤は、例えば放射能標識(例えば、32P、35Sまたは125I)または蛍光標識(例えば、イソチアン酸フルオレセイン、ローダミン、フィコエリスリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o−フタルアルデヒドまたはフルオレスカミン)によって、ポリペプチドと候補薬剤の間の相互作用の検出を可能にするよう標識化される。
別の実施態様において、PTK7ポリペプチドと相互作用する(例えば結合する)薬剤は、PTK7ポリペプチドを発現する試料が候補薬剤と接触し、ポリペプチドと相互作用する候補薬剤の能力が決定されるという、無細胞アッセイ系において同定される。好ましくは、PTK7ポリペプチドと相互作用する候補薬剤の能力は、参照範囲または対照と比較される。好ましい実施態様において、天然のまたは組換えPTK7ポリペプチドを含む第一および第二の試料が、候補薬剤または対照薬剤と接触し、そしてポリペプチドと相互作用する候補薬剤の能力が、候補薬剤と対照薬剤の間の相互作用の差異を比較することによって決定される。もし所望ならば、このアッセイは、複数のPTK7ポリペプチド試料を用いて複数(例えば、ライブラリー)の候補薬剤をスクリーニングするために使用されるであろう。好ましくは、ポリペプチドは、例えば、ポリペプチドとそれを特異的に認識し結合する固定化抗体を接触させることによって、あるいは、ポリペプチドの精製した調製物とタンパク質に結合するように設計された表面を接触させることによって、最初固定化される。ポリペプチドは、部分的または完全に精製され(例えば、他のペプチドと部分的または完全に遊離している)または細胞溶解物の一部であってもよい。さらに、ポリペプチドは、PTK7ポリペプチドまたはその生物学的に活性な部分、およびグルタチオン−S−トランスフェラーゼのようなドメインを含む融合タンパク質であり得る。換言すれば、ポリペプチドは、当業者に周知の技術を用いてビオチン化できる(例えば、ビオチン化キット、Pierce Chemicals;Rockford、IL)。ポリペプチドと相互関係する候補薬剤の能力は、当業者に知られた方法によって複製できる。
一実施態様において、PTK7ポリペプチドは、PTK7ポリペプチドと結合する、または、相互関係する別の部分を同定する二ハイブリッドアッセイまたは三ハイブリッドアッセイにおける「おとりタンパク質」として使用される(例えば、米国特許5,283,317;Zervosら、1993、Cell 72:223−232;Maduraら、1993、J.Biol.Chem.268:12046−12054;Bartelら、1993、Bio/Techniques 14:920−924;Iwabuchiら、1993、Oncogene 8:1693−1696;WO 94/10300)。当業者が理解できるであろうように、そのような結合タンパク質は、また、PTK7ポリペプチドによるシグナルの増殖にも関係しているようである。例えば、そのような結合タンパク質は、PTK7ポリペプチドに関係するシグナル伝達経路の上流または下流要素であり得る。代わりに、PTK7ポリペプチドと相互関係するポリペプチドは、PTK7ポリペプチド(該ポリペプチドは一つないしそれ以上の他のポリペプチドと直接的または間接的に相互作用し得る)を含むタンパク質複合体を単離し、質量分析またはウエスタンブロッティングのような公知の方法を用いて関連タンパク質を同定することによって同定できる(例えば、Blackstock、W.& Weir、M.1999、Trends in Biotechnology、17:121−127;Rigaut、G.、1999、Nature Biotechnology、17:1030−1032;Husi、H.2000、Nature Neurosci.3:661−669;Ho、Y.ら、2002、Nature、415:180−183;Gavin、A.ら、2002、Nature、415:141−147)。
全ての場合において、PTK7ポリペプチドと直接的または間接的に相互作用する候補薬剤の能力は、当業者に知られた方法によって決定できる。例えば、しかし限定なしに、候補薬剤とPTK7ポリペプチドの間の相互関係を、フローサイトメトリー、シンチレーションアッセイ、活性アッセイ、質量分析、顕微鏡、免疫沈降法、またはウエスタンブロット分析によって決定できる。
別のさらなる実施態様においては、PTK7ポリペプチドと競合的に相互作用する(すなわち、競合的に結合する)薬剤は、競合結合アッセイにおいて同定され、そしてPTK7ポリペプチドと相互作用する候補薬剤の能力が決定される。好ましくは、PTK7ポリペプチドと相互作用する候補薬剤の能力は、参照範囲または対照と比べられる。好ましい実施態様においては、PTK7ポリペプチドおよびPTK7ポリペプチドと相互作用することが知られているタンパク質の両方を発現する細胞の第一および第二集団を、候補薬剤または対照薬剤と接触させる。次いで、PTK7ポリペプチドと競合的に相互作用する候補薬剤の能力が、細胞の第一および第二集団における相互作用を比較することによって決定される。別の実施態様においては、細胞の代わりの第二集団またはさらなる集団を、PTK7ポリペプチドと相互作用することが知られている薬剤と接触させる。代わりに、PTK7ポリペプチドと競合的に相互作用する薬剤は、PTK7ポリペプチドおよびPTK7ポリペプチドと競合的に相互作用することが知られているタンパク質を含む第一および第二の試料を候補薬剤または対照薬剤と接触させることによる無細胞アッセイ系において同定される。PTK7ポリペプチドと競合的に相互作用する候補薬剤の能力は、第一および第二の試料における相互作用を比較することによって決定される。別の実施態様においては、代わりの第二試料またはPTK7ポリペプチドを含むさらなる試料を、PTK7ポリペプチドと競合的に相互作用することが知られている薬剤と接触させる。何れの場合においても、PTK7ポリペプチドおよび公知の相互作用するタンパク質は、自然に発現され、あるいは組換え的に発現されるであろうしそして、候補薬剤は外部から加えられ、または自然または組換え的に発現されるであろう。
別の実施態様においては、PTK7ポリペプチドとその他の薬剤の間の相互関係を修飾する薬剤、例えば、しかし限定なしに、タンパク質は、公知の相互作用薬剤の存在下でPTK7ポリペプチドを発現する細胞と候補修飾薬剤を接触させ、そして相互関係を修飾する候補薬剤を選択することによる細胞に基づいたアッセイにおいて同定され得る。代わりに、PTK7ポリペプチドと別の薬剤、例えば、しかし限定なしに、タンパク質の間の相互作用を修飾する薬剤は、ポリペプチドと、候補薬剤の存在下でポリペプチドと相互作用することが知られている薬剤を接触させることによる無細胞系で同定され得る。修飾薬剤は、抗体、コファクター、阻害剤、活性化剤として作用し、あるいは、PTK7ポリペプチドと公知の薬剤の間の相互作用に拮抗的または作動的効果を有できる。上述したように、PTK7ポリペプチドと相互作用する公知の薬剤の能力は、公知の方法によって決定できる。これらのアッセイは、細胞に基づいていようが無細胞であろうが、複数の(例えば、ライブラリー)候補薬剤をスクリーニングするために使用できる。
別の実施態様においては、細胞に基づくアッセイ系が、PTK7ポリペプチドの活性を修飾する(すなわち、促進または阻害)ことができる薬剤を同定するために使用される。従って、PTK7ポリペプチドの活性は、候補薬剤の存在下で、PTK7ポリペプチドを自然的または組換え的に発現する細胞の集団において測定される。好ましくは、PTK7ポリペプチドの活性は、参照範囲または対照と比較される。好ましい実施態様において、PTK7ポリペプチドの活性が、薬剤の存在下または候補薬剤の不存在下(例えば、対照薬剤の存在下)において、PTK7ポリペプチドを自然的または組換え的に発現する細胞の第一および第二集団において測定され、そしてPTK7ポリペプチドの活性が比較される。候補薬剤は、この比較に基づいてPTK7ポリペプチドの活性の調節剤として同定できる。代わりに、PTK7ポリペプチドの活性を、PTK7ポリペプチドが天然または組換え体のいずれかである無細胞アッセイ系において測定できる。好ましくは、PTK7ポリペプチドの活性は、参照範囲または対照と比較される。好ましい実施態様においては、PTK7ポリペプチドの活性が、候補薬剤の存在または不存在下で第一および第二の試料において測定され、そしてPTK7ポリペプチドの活性が比較される。次いで、候補薬剤を、この比較に基づいてPTK7ポリペプチドの活性の調節剤として同定できる。
PTK7ポリペプチドの活性は、当業者によって知られているように適当な下流のエフェクター、例えば、しかし限定なしに、第二メッセンジャー(例えば、cAMP、細胞内Ca2+、ジアシルグリセロール、IP、等)のレベルまたは活性に対する効果を検出し、触媒的または酵素的活性を検出し、レポーター遺伝子(例えばルシフェラーゼ)の誘導を検出し、または、細胞反応、例えば、増殖、分化または形質転換を検出することによって評価できる(活性測定技術については、例えばUS5,401,639を参照)。候補薬剤は、対照薬剤に対する候補薬剤の効果を比較することによってPTK7ポリペプチドの活性の調節剤として同定できる。適当な対照薬剤は、PBSまたは標準生理食塩水を包含する。
別の実施態様においては、PTK7ポリペプチドの産生または分解に関与する、あるいはPTK7ポリペプチドの翻訳後修飾に関与する酵素またはその生物学的活性部分のような薬剤を同定できる。一次スクリーニングにおいては、本質的に純粋な、天然のまたは組換え的に発現されたPTK7ポリペプチド、核酸または細胞抽出物、または、天然または組換え的に発現されたPTK7ポリペプチドまたは核酸を含む別の試料を、そのような薬剤を同定するために、PTK7ポリペプチドまたは核酸のプロセッシングに関与するであろう複数の候補薬剤(例えば、しかし限定なしに、ライブラリーとして提示される複数の薬剤)と接触させる。PTK7ポリペプチドまたは核酸の産生、分解または翻訳後修飾を調節する候補薬剤の能力は、限定されることなく、フローサイトメトリー、放射性標識、キナーゼアッセイ、ホスファターゼアッセイ、免疫沈降およびウエスタンブロット法、またはノーザンブロット法を包含する当業者に公知の方法によって決定できる。
さらに別の実施態様においては、PTK7ポリペプチドを発現する細胞を、複数の候補薬剤と接触させる。PTK7ポリペプチドの産生、分解または翻訳後修飾を調節するそのような薬剤の能力を、上に記載したように、当業者に公知の方法によって決定できる。
一実施態様においては、PTK7ポリペプチドの発現を調節する(例えば、ダウンレギュレーション)薬剤が、細胞を基本としたアッセイ系において同定される。従って、PTK7ポリペプチドまたは核酸を発現する細胞の集団を、候補薬剤と接触させ、PTK7ポリペプチドまたは核酸の発現を変える候補薬剤の能力が、参照範囲または対照との比較によって決定される。別の実施態様において、PTK7ポリペプチドを発現する細胞の第一または第二の集団が、候補薬剤または対照薬剤と接触させ、PTK7ポリペプチドまたは核酸の発現を変える候補薬剤の能力が、細胞の第一または第二の集団の間のPTK7ポリペプチドまたは核酸の発現のレベルの相異を比較することによって決定される。更なる実施態様においては、第一の集団におけるPTK7ポリペプチドまたは核酸の発現が、参照範囲または対照と更に比較される。必要により、このアッセイは、複数の候補薬剤(例えば、ライブラリー)をスクリーニングするために使用できるであろう。細胞は、例えば、原核細胞由来(例えば、E.coli)または真核細胞由来(例えば、酵母または哺乳類)のものであり得る。さらに、細胞を、内在性にPTK7ポリペプチドまたは核酸を発現することができ、あるいはポリペプチドまたは核酸を発現するよう遺伝子工学処理できる。PTK7ポリペプチドまたは核酸の発現を変える候補薬剤の能力を、当業者に公知の方法、例えば、限定されることなく、フローサイトメトリー、放射性標識、シンチレーションアッセイ、免疫沈降およびウエスタンブロット法、またはノーザンブロット法によって決定できる。
別の実施態様においては、PTK7ポリペプチドまたは核酸の発現を調節する薬剤が、動物モデルにおいて同定される。適当な動物の例としては、限定なしに、マウス、ラット、ウサギ、サル、モルモット、イヌおよびネコが挙げられる。好ましくは、使用される動物は癌のモデルを表す。従って、哺乳類の第一または第二の群に、候補薬剤または対照薬剤が投与され、PTK7ポリペプチドまたは核酸の発現を調節する候補薬剤の能力が、哺乳類の第一または第二の群の間の発現のレベルの相異を比較することによって決定される。所望ならば、哺乳類の第一または第二の群におけるPTK7ポリペプチドまたは核酸の発現レベルが、哺乳類の対照群におけるPTK7ポリペプチドまたは核酸のレベルと比較できる。候補薬剤または対照薬剤を、公知の手段によって投与できる(例えば、経口、経直腸、または腹腔内または静脈内のような非経口的)。ポリペプチドまたは核酸の発現の変化を、上記に概説したことによって評価できる。特別な実施態様においては、薬剤の治療有効量を、疾病症状の改良または改善、疾病の発症の遅延または遅くなった進行、例えば、しかし限定なしに、腫瘍サイズの減少をモニターすることによって決定できる。癌を熟知している医師に公知の技術を、候補薬剤が疾病に関連した一つないしそれ以上の症状を変えたかどうかを決定するために使用できる。
また、当業者は、PTK7ポリペプチドが、該ポリペプチドの活性を調節する(例えば、促進するまたは阻害する)ように作用する薬剤、特に小分子の構造に基づいた設計の方法において、
1)該ポリペプチドの三次元構造を決定し、
2)薬剤の反応部位または結合部位のようなポリペプチド内の三次元構造を推論し、
3)推論された反応部位または結合部位と反応または結合すると予測される候補薬剤を合成し、そして
4)候補薬剤が該ポリペプチドの活性を調節できるかどうかを試験することを含む、
方法において使用できることも理解するであろう。
上記の方法は反復プロセスのようであることが理解されよう。
ここにおいて考察されたように、PTK7ポリペプチドと相互作用する薬剤は、癌の治療および/または予防において使用され得る。そのような使用のために、薬剤が一般的に医薬品組成物の形で投与される。医薬品組成物は、また、ワクチンとしての使用も見られ、ワクチン使用として許容される付加成分を含むことができ、当業者に知られた、一つないしそれ以上の適当な添加剤をさらに含むこともできる。
それゆえ、本発明によると、PTK7ポリペプチドと相互作用する薬剤および医薬として許容される賦形剤、添加剤および/または担体を含む医薬組成物が提供される。
以下において、本発明において使用される薬剤、治療および/または予防において使用されるPTK7ポリペプチドおよびPTK7核酸は、「活性薬剤」と呼ばれる。用語「治療」は、治療的または予防的療法のいずれかを包含する。特に活性な薬剤または薬剤の組合せを用いて疾病または状態を治療するまたは予防する方法についてここで言及するとき、そのような言及は、疾病または状態を治療および/または予防のための医薬品製剤中のその活性薬剤または薬剤の組合せの使用を包含することを意図していると理解すべきである。
組成物は通常、医薬として許容される担体を普通包含しているであろう滅菌した医薬組成物の一部として供給される。この組成物は、どのような適当な形(患者にそれを投与する所望の方法に基づく)であってもよい。
本発明の活性薬剤は、薬の投与に通常使われるいかなる経路によっても、被験者に投与できる、例えば、それらは非経口、経口、局所(口腔剤、舌下または経皮を含む)または吸入によって投与され得る。いずれの与えられた場合においても、最も適した投与径路は、特定の活性薬剤、関与する癌、被験者、および疾病の性質および重症度および被験者の身体状態に依存する。
活性薬剤は、一つないしそれ以上の他の治療的に活性な、例えば抗腫瘍性の化合物との組合せで、例えば同時に、逐次、または分離して投与され得る。
医薬組成物は通常、一回投与当たりの本発明活性薬剤のあらかじめ決められた量を含有する単位投与形態で提供される。そのような単位は、例えば限定なしに、治療される条件、投与径路および被験者の年齢、体重および状態に依存して750mg/kgから0.1mg/kgを含有する。
本発明において使用する医薬として許容される担体は、例えば、投与径路に基づいて広範な種々の形態をとり得る。
経口投与用の組成は、液体または固体である。経口液剤は、例えば、水性または油性懸濁液、溶液、エマルジョン、シロップまたはエリキシル剤であり得、または、使用前に水または他の適当なベヒクルで再構成するドライプロダクトとして提供される。経口液剤は、公知の懸濁剤を含有してもよい。
粉末、カプセルおよび錠剤のような固形製剤の場合には、デンプン、砂糖、微結晶セルロース、賦形剤、顆粒化剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、その他のような担体を包含し得る。投与が容易であるので、錠剤およびカプセルが最も都合のよい経口投与単位形態を表しており、その場合固形医薬担体が一般的に採用される。上記に示した通常の投与形態に加えて、本発明の活性薬剤は、また、制御放出手段および/または送達装置によって投与もできる。錠剤およびカプセルは、結合剤、例えばシロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビトール、トラガカントまたはポリビニルピロリドン、賦形剤、例えば乳糖、砂糖、トウモロコシデンプン、リン酸カルシウム、ソルビトールまたはグリシン、錠剤滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコールまたはシリカ、崩壊剤、例えばバレイショデンプン、またはラウリル硫酸ナトリウムのような許容されるぬれ剤を含み得る。錠剤は、通常の医薬品実務において公知の方法に従って、標準の水性または非水性の技術により被覆される。
経口投与に適した本発明の医薬組成物は、粉末または顆粒として、あるいは水性液体、非水性液体、水中油型乳剤または油中水型乳剤の溶液または懸濁液として、それぞれ活性薬剤のあらかじめ決められた量を含有するカプセル、カシェ剤または錠剤のような別々の単位として提示できる。そのような組成物は、薬剤学のいずれの方法によっても調製できるが、全ての方法は、活性薬剤を、一つないしそれ以上の必要な成分を構成する担体と会合させるステップを包含している。組成物は一般的に、活性薬剤を液体の担体または細かく分けた固体の担体もしくは両方と均一かつ密接に混合し、そして必要ならば、製品を所望の体裁に成形することによって調製される。例えば、錠剤は、所望ならば一つないしそれ以上の付随の成分とともに圧縮または成形によって調製し得る。
非経口投与に適した医薬組成物は、ヒドロキシプロピルセルロースのような界面活性剤と適当に混合した本発明の活性薬剤の水溶液または水懸濁液として調製できる。分散製剤は、油中グリセリン、液状ポリエチレングリコールおよびそれらの混合物で調製できる。貯蔵と使用の通常の条件下で、それらの製剤は、微生物の増殖を防止するために保存料を含有する。
注射使用に適した医薬品の形態は、抗酸化剤、バッファ、靜菌剤および所定の受容者の血液と組成物を等張にする溶質を含有する水性または非水性の滅菌注射液、および懸濁剤および粘稠化剤を包含する水性および非水性の滅菌懸濁液を包含する。即席注射溶液、分散液および懸濁液は、滅菌粉末、顆粒および錠剤から調製される。
医薬組成物は、公知の医療装置で投与できる。例えば、好ましい実施態様において、本発明の医薬組成物は、米国特許5,399,163;5,383,851;5,312,335;5,064,413;4,941,880;4,790,824または4,596,556に開示された装置のような無針皮下注射装置で投与できる。本発明において有用な公知のインプラントおよびモジュールの例としては、制御された速度で薬物を投与するための埋込み型の微小注入ポンプを開示している米国特許4,487,603、皮膚を通して医薬を投与するための治療装置を開示する米国特許4,486,194、精密な注入速度で医薬を送達するための医薬注入ポンプを開示する米国特許4,447,233、連続医薬送達用の可変流量埋込み型注入装置を開示する米国特許4,447,224、マルチチェンバーコンパートメントを有する浸透性医薬送達システムを開示する米国特許4,439,196、および浸透性医薬送達システムを開示する米国特許4,475,196を包含する。多くのそのような埋込み型、送達システム、およびモジュールは、当業者に知られている。
ある種の実施態様において、本発明の医薬組成物は、イン・ビボでの適切な分布を確実にするために処方できる。例えば、血液脳関門は多くの親水性化合物を排除し、リポソーム中の医薬組成物を送達するために適している。それゆえ、本発明の医薬組成物の一実施態様において、本発明の活性薬剤はリポソーム中に処方され、より好ましい実施態様において、リポソームは標的部分を包含している。最も好ましい実施態様において、リポソーム中の治療化合物は、腫瘍に近接した部位にボーラス注射によって送達される。リポソームを製造する方法については、例えば、米国特許4,522,811、5,374,548および5,399,331を参照すること。リポソームは、特定の細胞または器官に選択的に送達される一つないしそれ以上の部分を含み得、それゆえ標的医薬送達を増強する(例えば、Ranade、VV.1989、J.Clin.Pharmacol.29:685)。例示の標的部分は、葉酸またはビオチン(例えばUS 5,416,016)、マンノシド(Umezawaら、1988、Biochem.Biophys.Res.Commun.153:1038)、抗体(Bloeman、PGら、1995、FEBS Lett.357:140;M.Owaisら、1995、Antimicrob.Agents Chemother.39:180)、サーファクタントタンパク質A受容体(Briscoeら、Am.J.Physiol.1233:134)を包含し、その別の種は、本発明の処方および本発明の分子の成分を含む(Schreierら、1994、J.Biol.Chem.269:9090)やKeinanen、K.& Laukkanen、ML.1994、FEBS Lett.346:123;Killion、JJ.& Fidler、IJ.1994、Immunomethods 4:273も参照のこと。組成物は、単位投与または多回投与容器、例えば密封アンプルおよびバイアルそして安定性を増すために提供され、使用直前に滅菌液体担体、例えば注射用水の添加のみを必要とする凍結乾燥条件において貯蔵し得る。滅菌液体担体は、分離されたバイアルまたはアンプルで供給され、例えば水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセリン、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール)、適当なそれらの混合物、および食用油を含有する溶媒または分散媒体であり得る。有利な点として、局所麻酔剤、保存料および緩衝剤のような薬剤が滅菌液体担体に包含され得る。
局所投与に適応した医薬組成物は、軟膏、クリーム、懸濁液、ローション、粉末、溶液、ペースト、ゲル、含浸した包帯、スプレー、アエロゾルまたはオイル、経皮装置、散布剤、その他として処方され得る。これらの組成物は、活性薬剤を含有する通常の方法を経て調製できる。それゆえ、それらは、保存料、医薬の浸透性を補助する溶媒、クリームおよび軟膏中の皮膚軟化薬およびローション用のエタノールまたはオレイルアルコールのような、互換性のある通常の担体および添加剤も含み得る。そのような担体は、組成物の約1%から約98%までとして存在している。より通常には、それらは、組成物の約80%まで形成し得る。例示としてのみであるが、クリームまたは軟膏が、所望の硬度を有するクリームまたは軟膏を製造するために充分な量で、化合物約5−10重量%を含有して、充分な量の親水性材料および水と混合することによって調製される。
経皮投与に適合した医薬組成物は、より長い時間に受容者の表皮に密接に接触して残ることを意図した別々のパッチとして提示される。例えば、活性薬剤は、イオン導入法によってパッチから送達され得る。
外部組織、例えば口および皮膚に適用するために、組成物は、好ましくは局所軟膏またはクリームとして適用される。軟膏に処方されるとき、活性薬剤は、パラフィン性または水混和性の軟膏基剤のいずれかが採用される。代わりに、活性薬剤は、水中油型クリーム基剤または油中水型基剤と共にクリームに処方される。
口中での局所投与に適した医薬組成物は、トローチ剤、パステル剤および口内洗浄剤を包含して口中に局所投与するように適応される。
眼に対して局所投与するのに適した医薬組成物は、活性薬剤が適当な担体、特に水性溶媒に溶解または懸濁する点眼剤を包含する。それらは、また、上記の局所軟膏またはクリームを包含する。
担体が個体である直腸投与に適した医薬組成物は、最も好ましくは、単位投与坐剤として供される。適当な担体は、カカオバターまたはその他のグリセリドまたは技術的に普通に使用される材料を包含し、坐剤は、軟化した、または、溶融した担体の組合せの混合物により、次いで型を冷却し形作ることによって、都合よく形成できる。それらは、また、浣腸剤として投与される。
膣投与に適した医薬組成物は、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、発泡剤またはスプレー組成物として供される。それらは、技術的に普通に使用される皮膚軟化薬または基剤として投与される。
活性薬剤の投与されるべき投薬量は、特定の活性薬剤、関与する癌、被験者、および疾病の性質および重症度および被験者の身体状態、および選択された投与径路に従って変化し、適当な投薬量は、当業者によって容易に決定できる。ヒトおよび動物における癌の治療および/または予防のために、抗体を含む医薬組成物を、抗体に基づいた臨床製品についての注射および技術的に公知の他の投与径路のような、いずれかの適切な投与径路を用いて治療的または予防的有効投薬量(例えば、腫瘍増殖阻害および/または腫瘍細胞遊走阻止をもたらす投薬量)で、患者(例えば、ヒト被験者)に投与できる。
組成物は、投与方法に依存して、0.1重量%から、好ましくは10−60重量%またはそれ以上からの本発明の活性薬剤を含有する。
本発明活性薬剤の個々の投薬至適量および間隔は、治療される状態の性質および程度、投与形態、径路および部位、および治療される特定の被験者の年齢および状態によって決定されるであろうし、医師は、使用されるべき適当な投薬量を究極的には決定するであろうことは、当業者によって認識されるであろう。この投薬は、適当なかぎり繰り返される。もし副作用が発生したら、投薬量および/または頻度を、通常の診療業務に従って変更または減らすことができる。
PTK7ポリペプチドは、癌の治療および/または予防、例えばワクチンとして投与されたとき、有益であろう。それらが本発明の方法で使用するために提供されると、それらは、好ましくは、単離された形で提供される。より好ましくは、PTK7ポリペプチドは、少なくとも、ある程度まで精製されている。PTK7ポリペプチドは、また、組換え方法を用いて製造され、合成的に製造され、あるいはこれら方法の組合せによって製造できる。PTK7ポリペプチドは、本質的に純粋な形において、すなわち他のタンパク質から実質的な程度まで遊離した形で提供される。
組換えPTK7ポリペプチドは、公知技術のプロセスによって、発現系を含む遺伝子工学的に処理された宿主細胞から調製できる。従って、本発明はまた、PTK7ポリペプチドまたはPTK7核酸を含む発現系、そのような発現系で遺伝子工学的に処理された宿主細胞、および組換え技術によるPTK7ポリペプチドの製造に関する。無細胞翻訳系も、また、組換えポリペプチドを製造するために採用できる(例えば、ウサギ網状赤血球溶解物、コムギ麦芽溶解物、SP6/T7イン・ビトロT&TおよびRTS100 E.coli HY転写および翻訳キット、Roche Diagnostics社、Lewes、英国およびTNT Quick coupled Transcription/Translation System、Promega UK社、Southampton、英国)。
組換えPTK7ポリペプチド製造のために、宿主細胞はPTK7核酸用の発現系またはその部分を取り込むために遺伝子工学的に処理できる。そのような取込みは、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAD−デキストラン媒介トランスフェクション、トランスベクション(transvection)、マイクロインジェクション、カチオン性脂質媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション法、形質導入、スクレープローディング(scrape loading)、弾丸導入(ballistic introduction)または感染のような公知の方法を用いて実施できる(例えば、Davisら、Basic Methods in Molecular Biology、1986およびSambrookら、Molecular Cloning:a Laboratory Manual、第二版、Cold Spring Harbour Laboratory Press、Cold Spring Harbour、NY、1989)。
宿主細胞の代表例としては、細菌細胞、例えばE.coli、Streptococci、Staphylococci、StreptomycesおよびBacillus subtilis細胞、真菌細胞、例えば酵母細胞およびAspergillus細胞、昆虫細胞、例えばDrosophila S2およびSpodoptera Sf9細胞、動物細胞、例えばCHO、COS、HeLa、C127、3T3、HEK293、BHKおよびBowesメラノーマ細胞、および植物細胞が挙げられる。
広範な発現系を使用できる、例えば、限定なしに、染色体系、エピソーム系およびウイルス誘導系、例えば細菌プラスミド由来、バクテリオファージ由来、トランスポゾン由来、酵母エピソーム由来、挿入配列由来、酵母染色体エレメント由来、バキュロウイルスのようなウイルス由来、SV40、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、家禽ポックスウイルス、仮性狂犬病ウイルスおよびレトロウイルスのようなパポーバウイルス由来、およびプラスミドおよびバクテリオファージ遺伝子エレメント(例えば、コスミドおよびファージミド)由来のようなベクターの組合せ由来のベクターが使用できる。発現系は、発現を制御および発生させる調節領域を含有し得る。一般的に、宿主中でポリペプチドを産生する核酸を保持し、増殖し、または発現できる系またはベクターを使用できる。適当な核酸配列は、上記のSambrookらの著書に挙げられたような種々の公知で通常の技術によって発現系に挿入できる。適当な分泌シグナルが、翻訳タンパク質の小胞体の内腔、周辺腔または細胞外環境への分泌を可能とするためPTK7ポリペプチドに取込まれる。
もし、PTK7ポリペプチドが、細胞に基づくスクリーニングアッセイにおいて使用するために発現するのなら、ポリペプチドは細胞表面に産生することが好ましい。この場合、細胞は、スクリーニングアッセイにおける使用の前に収穫するのがよい。もしPTK7ポリペプチドが培地中に分泌されるなら、培地は、該ポリペプチドを単離するために回収できる。もし細胞内に生産されるなら、細胞は、PTK7ポリペプチドを回収する前に先ず溶解すべきである。
PTK7ポリペプチドは、硫酸アンモニウムまたはエタノール沈殿、酸抽出、陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィ、ホスホセルロースクロマトグラフィ、アフィニティクロマトグラフィ、疎水性相互作用クロマトグラフィ、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィ、分子ふるいクロマトグラフィ、遠心分離法、電気泳動法およびレクチンクロマトグラフィを包含する周知方法によって、組換え細胞培養から、または他の生物起源から回収および精製できる。一実施態様において、これらの方法の組合せが使用される。別の実施態様において、高速液体クロマトグラフィが使用される。さらなる実施態様において、PTK7ポリペプチドに特異的に結合する抗体を、該ポリペプチドからPTK7ポリペプチドを含む試料を消耗するために、あるいは該ポリペプチドを精製するために使用できる。公知技術が、ポリペプチドが単離および/または精製中に失活してしまったときPTK7ポリペプチドの天然のまたは活性立体配座を再生するため復元するために使用できる。本発明の関連において、PTK7ポリペプチドは、いかなる起源からでも、例えば制限なしに、乳腺、腎臓、膵臓、膀胱、卵巣または肺組織からの生物試料から得ることができる。
PTK7ポリペプチドは、「成熟」タンパク質の形であり得、または融合タンパク質のような大きなタンパク質の部分でもあり得る。分泌またはリーダー配列、プレ、プロまたはプレプロタンパク質配列を含有する付加的アミノ酸配列、またはアフィニティタグ、例えばしかし限定なしに、多ヒスチジン残基、FLAGタグ、HAタグまたはmycタグのような精製において補助となる配列を包含することがしばしば有利である。組換え生産中に安定性を提供するであろう付加的配列も、また、使用される。そのような配列は、付加的配列またはその部分として開裂し得る配列を取り込むことによって必要なときに任意に除去できる。それゆえ、PTK7ポリペプチドは、他のポリペプチドを包含する他の部分に融合できる。そのような付加配列およびアフィニティタグは、技術的に公知である。
アミノ酸置換は、知られているように保存的または半保存的であり、好ましくは、ポリペプチドの所望の活性に著しく影響しない。置換は自然に起こり得るか、あるいは、例えば突然変異誘発を使って(例えば、Hutchinsonら、1978、J.Biol.Chem.253:6551)導入できる。それゆえ、アミノ酸、グリシン、アラニン、バリン、ロイシンおよびイソロイシンが、しばしば互に置換できる(脂肪族鎖を有するアミノ酸)。これらの可能性のある置換で、グリシンとアラニンが互に置換するために使用され(それらは比較的短い側鎖を有しているから)、そしてバリン、ロイシンおよびイソロイシンは、互に置換するために使用する(それらは疎水性のより大きな脂肪族側鎖を有しているから)のが好ましい。互にしばしば置換できる他のアミノ酸には、限定的でなく、以下が包含される:
・フェニルアラニン、チロシンおよびトリプトファン(芳香族側鎖を有するアミノ酸)
・リジン、アルギニンおよびヒスチジン(塩基性側鎖を有するアミノ酸)
・アスパラギン酸およびグルタミン酸(酸性側鎖を有するアミノ酸)
・アスパラギンおよびグルタミン(アミド側鎖を有するアミノ酸)
・システインおよびメチオニン(含硫側鎖を有するアミノ酸)および
・アスパラギン酸およびグルタミン酸は、それぞれ、ホスホセリンおよびホスホスレオニンの代わりに置換できる(酸性側鎖のアミノ酸)。
さらなる一実施態様において、置換されたアミノ酸は、PTK7ポリペプチドの活性に著しく影響し、そしてペプチドにおいてドミナントネガティブ活性にするよう特異的に選択できる。別の実施態様において、置換アミノ酸は、ポリペプチドを本質的に活性にするよう特異的に選択され得る。
修飾は、翻訳後修飾のような、しかしこれには限定されない、天然に存在する修飾、および突然変異誘発によって導入されるような天然には存在しない修飾を包含する。
好ましくは、PTK7ポリペプチドの誘導体は、図1(配列番号1)に示されたアミノ酸配列に少なくとも70%同一性を有し、より好ましくは、それは少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%の同一性を有する。パーセントの同一性は、公知の概念であり、例えば、しかし限定なしに、NCBIから入手可能なBLAST(商標)ソフトウエアを用いて計算できる(Altschul、S.F.ら、1990、J.Mol.Biol.215:403−410;Gish、W.& States、D.J.1993、Nature Genet.3:266−272;Madden、T.L.ら、1996、Meth.Enzymol.266:131−141;Altschul、S.F.ら、1997、Nucleic Acid Res.25:3389−3402);Zhang、J.& Madden、T.L.1997、Genome Res.7:649−656)。
PTK7ポリペプチドの断片は、本発明の方法における使用に有益であり、断片の長さにわたって少なくとも70%の相同性領域が存在する、配列番号1のアミノ酸配列を有するポリペプチドの断片を包含する。該断片は好ましくは、長さで少なくとも10のアミノ酸であり、好ましくは少なくとも20、少なくとも30、少なくとも50あるいは少なくとも100のアミノ酸である。断片は、図1(配列番号1)に示されたアミノ酸配列に対する長さにわたって少なくとも70%の同一性を有し、更に好ましくは、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%の同一性を有する。
PTK7ポリペプチドは、癌の治療および/または予防において使用するための医薬組成物の活性薬剤であり、好ましくは組換えPTK7ポリペプチドが使用される。特別な実施態様においては、PTK7ポリペプチドが、融合タンパク質が細胞内に入るのを促進するHIV/Tatタンパク質のタンパク質導入ドメインのような、別のポリペプチドと融合し(Asoh、S.ら、2002、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 99:17107−17112)、癌の治療および/または予防のための医薬の製造において使用するために提供される。
別の態様においては、担癌生物体においてPTK7ポリペプチドの検出が、本発明の医薬組成物の方法に従って、治療のための適当な患者集団を特に同定するために使用される。
従って、本発明は、被験者から得られた生物試料を検出および/または定量するステップを含む、被験者における癌のスクリーニングおよび/または診断または予後を予測する方法、および/または癌療法の有効性をモニタリングする方法を提供する。スクリーニングおよび/または診断の方法において使用するためのPTK7ポリペプチドは、好ましくは:
(a)配列番号1のアミノ酸配列を含み、または、同配列から構成され;
(b)PTK7の活性を保持している配列番号1のアミノ酸配列に関して一つないしそれ以上のアミノ酸置換、修飾、欠失または挿入を有する誘導体であり;または
(c)少なくとも10のアミノ酸の長さであり、断片の長さにわたって少なくとも70%の相同性を有する、配列番号1のアミノ酸配列を有するポリペプチドの断片である。
一態様において、発現は、あらかじめ決定された参照範囲と比較される。
好ましくは、検出のステップは、
(a)試料を上記(a)から(c)において規定されたポリペプチドに特異的である捕捉試薬と接触させ;そして
(b)結合が、捕捉試薬と試料中の該ポリペプチドの間で生じているかどうかを検出することを含む。
別の態様においては、捕捉されたポリペプチドが、固相に固定化された、直接または間接に標識化された検出試薬を用いて検出される。
本発明の関連において、生物試料は、いかなる起源、例えば限定なしに、組織生検からも得ることができる。
PTK7ポリペプチドを検出/定量する便利な手段としては、抗体の使用を含む。PTK7ポリペプチドを、上に記載したように、公知の方法を用いて該ポリペプチドと相互作用する(結合または認識する)抗体を高める免疫原として使用できる。それゆえ、さらなる態様において、本発明は、被験者における癌のスクリーニングおよび/または診断のための、あるいは抗癌療法の有効性をモニタリングするための少なくとも一つのPTK7ポリペプチドに特異的に結合する抗体の使用を提供する。特別な実施態様においては、抗PTK7ポリペプチド抗体を用いた診断の方法を、本発明の方法に従って治療するための適当な患者の集団を同定するために使用できる。
PTK7ポリペプチドを、ヒト組織の生物試料におけるおよび/またはそのサブフラクション、例えば、しかし限定なしに、膜、サイトゾルまたは核サブフラクションにおけるPTK7ポリペプチドの発現を検出することによる癌の診断のためにも、なかんずく使用できる。
さらなる態様において、生物試料中のPTK7ポリペプチドを検出する方法は、直接的または間接的に標識化された検出試薬を用いて該試料中のPTK7ポリペプチドの量を検出および/または定量することを含む。PTK7ポリペプチドを、免疫沈降法とそれに続くドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動、二次元電気泳動、ウエスタンブロット、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素結合免疫吸着検定法)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、沈降反応、ゲル核酸沈降反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体結合アッセイ、イムノラジオメトリックアッセイ、蛍光イムノアッセイおよびタンパク質Aイムノアッセイを包含するが、しかしこれらに限定されない、公知のいかなるイムノアッセイの手段によっても検出できる。
抗体と抗原の相互作用の検出は、抗体と、それを検出し得る物質、例えば、しかしこれらには限定されない、酵素(例えば、西洋わさびペルオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、アセチルコリンエステラーゼ)、補欠分子族(例えば、ストレプトアビジン、アビジン、ビオチン)、蛍光物質(例えば、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリド、フィコエリスリン)、発光材料(例えば、ルミノール)、生物発光材料(例えば、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、エクオリン)、放射性核種(例えば、125I、131I、111In、99Tc)、陽電子照射金属または非放射性常磁性金属イオン(US4,741,900)をカップリングさせることによって容易にできる。
本発明は、また、上に記載したようなPTK7ポリペプチドに対する捕捉試薬(例えば、抗体)を含む診断キットを提供する。さらに、そのようなキットは、以下の一つまたはそれ以上を所望ならば含む:
(1)スクリーニング、診断、予後の予測、治療モニタリングまたはこれらを応用した任意組合せのための捕捉試薬を使用するための指示書;
(2)捕捉試薬に対する標識結合パートナー;
(3)捕捉試薬が固定化されている固相(例えば、試薬片);および
(4)スクリーニング、診断、予後予測または治療的使用またはこれらの組合せについての規制当局の認可を示すラベルまたは能書。
もし、捕捉試薬に対する標識結合パートナーがないのなら、抗PTK7ポリペプチド捕捉試薬自体を、検出し得るマーカー、例えば、ケミルミネセンス、酵素、蛍光、または放射性部分(上記参照)で標識化できる。
PTK7核酸の検出および/または定量が、被験者における癌のスクリーニングおよび/または診断または予後を予測する方法、および/または癌療法の有効性をモニタリングする方法において使用できることは当業者に明らかであろう。
状況が変わらない限り、PTK7核酸は、以下の特徴の一つないしそれ以上を有するであろう核酸分子を包含し、そしてそれゆえに:
d)配列番号2のDNA配列またはそのRNA均等物を含み、または、それから構成され;
e)d)の配列に相補的である配列を有し;
f)PTK7ポリペプチドをコードする配列を有し;
g)d)、e)およびf)の何れとも実質的に同一性を示す配列を有し;または
h)長さにおいて少なくとも10のヌクレオチドであるd)、e)、f)またはg)の断片であり;
そして、以下の特徴の一つまたはそれ以上を有している:
1)それらはDNAまたはRNAであり得る;
2)それらは一本鎖または二本鎖であり得る;
3)それらは実質的に純粋な形であり得る。それゆえに、それらは不純タンパク質および/または他の核酸を実質的に含まない形で提供され得る;および
4)それらはイントロンを有し、または、イントロンを有さない(例えば、cDNA)。
PTK7核酸の断片は、好ましくは、長さにおいて、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも50、少なくとも100または少なくとも250のヌクレオチドである。
本発明は、また、上記(d)−(h)に記載したPTK核酸に相補性でありそして、該PTK核酸にハイブリダイズできる核酸の使用を提供する。そのような核酸分子は、「ハイブリダイズする核酸分子」と呼ばれる。例えば、しかし限定なしに、「ハイブリダイズする核酸分子」は、プローブまたはプライマーとして有用であり得る。「ハイブリダイズする核酸分子」は、上記(d)−(h)の範囲内で核酸分子と長さに沿って、高度に配列同等性を有する(例えば、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%の配列同等性)。上記で考察した核酸分子のいずれともハイブリダイズできる、「ハイブリダイズする核酸分子」の使用、例えば、ハイブリダイジングアッセイにおける使用も本発明に包含されている。
ハイブリッド形成アッセイは、被験者における癌のスクリーニング、予後予測、診断または療法のモニタリングに使用できる。従って、そのようなハイブリッド形成アッセイは、
i)被験者から得られた、核酸を含有する生物試料を、PTK核酸分子にハイブリダイズできる核酸プローブと、ハイブリッド形成が起こり得るような条件下で、接触させ、そして
ii)いずれかで得られたハイブリッド形成を検出または測定する、
ことを含む。
好ましくは、そのようなハイブリダイズする分子は、長さで少なくとも10ヌクレオチドであり、そして、好ましくは、長さにおいて少なくとも25または少なくとも50ヌクレオチドである。より好ましくは、ハイブリダイズする核酸分子は、上記(d)から(f)のいずれか一つの範囲内で核酸に特異的にハイブリダイズする。最も好ましくは、ハイブリッド形成は、ストリンジェントハイブリッド形成条件下で起こる。ストリンジェントハイブリッド形成条件の一例は、試みられたハイブリッド形成が、約0.9Mの塩溶液を使用して、約35℃から約65℃の温度で実行される。しかしながら、プローブの長さ、塩基組成、存在するイオンのタイプ等のような変更を考慮するために、そのような条件を当業者は適当に変化させ得るであろう。
本発明は、また、PTK7ポリペプチドをコードするRNAをハイブリダイズできる核酸プローブ、適当な試薬および使用指示書を含む診断キットを提供する。
さらなる実施態様においては、診断キットが、ポリメラーゼ連鎖反応(例えば、Innisら、1990、PCR Protocols、Academic Press社、San Diego、CA)、リガーゼ連鎖反応(EP 320,308)、Qβレプリカーゼの使用、サイクリックプローブ反応、またはその他の公知方法のような適当な反応条件下で、少なくともPTK7核酸分子の部分の増幅を開始できる一対のプライマーを、一つないしそれ以上の容器中に含んで提供される。典型的には、プライマーは、少なくとも8ヌクレオチドの長さであり、そして好ましくは、少なくとも10ないし25ヌクレオチドの長さであり、より好ましくは、15ないし25のヌクレオチドの長さである。ある場合には、長さで、少なくとも30または少なくとも35のヌクレオチドが使用され得る。
なお別の態様において、本発明は、癌の治療および/または予防における使用のための医薬品の製造における少なくとも一つのPTK核酸の使用を提供する。
特定の実施態様においては、ハイブリダイズするPTK核酸分子が、相補的PT7核酸に結合することによってPTK7ポリペプチドの発現を変えるアンチセンス分子として使用され、癌の治療および/または予防において使用され得る。アンチセンス核酸は、PTK7ポリペプチドをコードするRNA(好ましくはmRNA)の部分に相補性であるいくつかの配列によってハイブリダイズできるPTK7核酸を包含する。アンチセンス核酸は、そのようなポリペプチドをコードするmRNAのコードおよび/または非コード領域に相補的であり得る。最も好ましくは、PTK7ポリペプチドの発現は、アンチセンス核酸の使用によって阻害される。それゆえ、本発明は、PTK7ポリペプチドをコードする遺伝子またはcDNAにアンチセンスである少なくとも8つのヌクレオチドを含む核酸の治療的または予防的使用を提供する。
別の態様においては、癌の症状が、ポリペプチドの遺伝子発現を減少させる、周知の遺伝子「ノックアウト」、リボザイムまたはトリプルへリックス法に関連して、ここに定義されたようなポリペプチドをコードする遺伝子配列を使用して、PTK7ポリペプチドのレベルまたは活性を減少させることにより改善されるであろう。この方法においては、リボザイムまたはトリプルへリックス分子が、遺伝子の活性、発現または合成を調節するために使用され、その結果、癌の症状が改善される。そのような分子は、変異または非変異標的遺伝子の発現を減少または阻害するように設計できる。そのような分子の製造および使用についての技術は、当業者に周知である。
内因性PTK7ポリペプチドの発現は、標的相同的組換えを用いてポリペプチドをコードする遺伝子、またはそのような遺伝子のプロモーターを不活化する、または「ノックアウト」することによっても減少させ得る(例えば、Smithiesら、1985、Nature 317:230−234;Thomas & Capecchi、1987、Cell 51:503−512;Thompsonら、1989、Cell 5:313−321;およびZijlstraら、1989、Nature 342:435−438)。例えば、内因性PTK7遺伝子(ポリペプチドをコードする遺伝子のコード領域または調節領域のいずれか)に相同性のDNAによって隣接されている非機能的ポリペプチドをコードする変異遺伝子(または完全に無関係のDNA配列)を、選択マーカーおよび/またはネガティブ選択マーカーの存在または不存在で、イン・ビボで標的遺伝子を発現する細胞に遺伝子導入するために使用できる。標的相同的組換えを経たDNA構築の挿入によって、標的遺伝子の不活化がもたらされる。
別の態様においては、核酸が遺伝子治療を経て投与される(例えば、Hoshida、T.ら、2002、Pancreas、25:111−121;Ikuno、Y.2002、Invest.Ophthalmol.Vis.Sci.2002、43:2406−2411;Bollard、C.、2002、Blood 9:3179−3187;Lee E.、2001、Mol.Med.7:773−782)。遺伝子治療とは、被験者に、発現したまたは発現し得るPTK7核酸を投与することである。公知の遺伝子治療のいかなる方法も、本発明に従って使用できる。
治療的PTK核酸の患者への送達は、直接イン・ビボ遺伝子治療(すなわち、患者は核酸または核酸含有ベクターに直接的に曝露される)または間接的エクス・ビボ遺伝子治療(すなわち、細胞は、先ずイン・ビトロで核酸と形質転換され、次いで、患者に移植される)によって行われ得る。
例えば、イン・ビボ遺伝子治療のためには、PTK核酸を含有する発現ベクターを、欠損のある、または、弱毒化レトロウイルスまたは、例えば、米国特許4,980,286またはRobbinsら、1998、Pharmacol.Ther.80:35−47に記載されているような他のウイルスベクターを使用して感染させることによって、それを細胞内に取込むような方法で投与される。
公知の種々のレトロウイルスベクターは、ウイルスゲノムのパッケージングおよびそれに続く宿主細胞DNAへの組込みを必要としないレトロウイルス配列を欠失するよう修飾されている、Millerら、(1993、Meth.Enzymol.217:581−599)に記載されているようなものである。また、非***細胞に感染する能力のゆえに都合のよいアデノウイルスベクターを使用することができ、そのような高能力アデノウイルスベクターはKochanek(1999、Human Gene Therapy、10:2451−2459)に記載されている。使用できるキメラウイルスベクターは、Reynoldsら、(1999、Molecular Medicine Today、1:25−31)に記載されているものである。ハイブリッドベクターもまた使用でき、Jacobyら、(1997、Gene Therapy、4:1282−1283)によって記載されている。
裸のDNAの直接注入、または微粒子衝撃の使用(例えば、Gene Gun(登録商標);Biolistic、Dupont)、または脂質で被覆する方法も遺伝子治療に使用できる。化合物を細胞表面受容体に移入する、または、リポゾーム、微小粒子またはマイクロカプセル内にカプセル化する、あるいは核に入ることが知られているペプチドに連結して核酸を投与する、または受容体依存性エンドサイトーシスで前もって処置したリガンドに連結して投与することによる(Wu & Wu、1987、J.Biol.Chem.、262:4429−4432)移入が、関係のある受容体を特異的に発現する標的細胞タイプに使用できる。
別の実施態様においては、PTK核酸を含む核酸リガンド化合物が、製造され得る。ここで、このリガンドは、エンドソームを破壊するように設計された紡錘型(fusogenic)のウイルスペプチドを含み、そうすることでPTK7核酸が続いておこるリソソームの分解を避けることができる。PTK7核酸は、細胞特異的エンドサイトーシスおよびWO 92/06180、WO 93/14188およびWO 93/20221に記載されているように特異的受容体を標的とすることによる発現をイン・ビボで標的とされ得る。代わりに、核酸は、細胞内に導入でき、相同的組換えによる発現のために宿主細胞ゲノム内に取込まれる(Zijlstraら、1989、Nature、342:435−428)。
エクス・ビボ遺伝子治療においては、遺伝子が組織培養を使ってイン・ビトロで細胞に転移され、この細胞が、皮下注射、細胞を皮膚移植に応用する、および造血幹細胞または始原細胞のような組換え血液細胞の静脈内注射のような種々の方法によって患者に送達される。
遺伝子治療の目的のためにPTK7核酸を導入できた細胞には、例えば、上皮細胞、内皮細胞、角化細胞、繊維芽細胞、筋肉細胞、肝細胞および血液細胞を包含する。使用できる血液細胞は、例えば、Tリンパ球、Bリンパ球、単球、マクロファージ、好中球、好酸球、巨核球、顆粒球、造血細胞または始原細胞、その他が包含される。
一態様において、医薬組成物はPTK7核酸を含み、該核酸は、適当な宿主内でPTK7ポリペプチドまたはそのキメラタンパク質を発現する発現ベクターの部分である。特に、そのような核酸は、ポリペプチドをコードする領域に作用できるように連結したプロモーターを有しており、該プロモーターは誘導可能であり、あるいは構成的である(および、所望ならば、組織特異性である)。別の特定の実施態様においては、コード配列およびその他のいずれかの所望の配列が、ゲノムの所望の部位において相同的組換えを促進する領域によって隣接されている場所で核酸分子が使用され、そうして核酸の染色体内発現のために提供される(Koller & Smithies、1989、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:8932−8935;Zijlstraら、1989、Nature、342:435−438)。
PTK7核酸は、ヒト細胞のmRNAから誘導したcDNAライブラリーから、発現配列タグ(EST)解析法を使い、標準的なクローニング及びスクリーニング技法によって得ることが出来る(Adams、M.ら、1991、Science、252:1651−1656;Adams、M.ら、1992、Nature 355:632−634;Adams、M.ら、1995、Nature、377:Suppl:3−174)。また、PTK7核酸はゲノムDNAライブラリーなどの天然素材から得ることが出来るし、或いは公知の市販技術を使って合成することも出来る。上記PTK7ポリペプチドのコーディング配列から成るPTK7核酸は、該ペプチドの組換え体生産に使うことが出来る。PTK7核酸は、それ自体が成熟ポリペプチドのコーディング配列として含まれているか、或いは読取り枠内に他のコーディング配列、例えばリーダーまたは分泌をコードした配列、プレ−、プロ−またはプレプロ−タンパク配列、切断可能配列または他の融合ペプチド部分、例えばアフィニティー・タグまたはポリペプチド生産中の安定化配列と共にリーディングフレーム(読み枠)中に成熟ペプチドのコーディング配列として含まれる。好ましいアフィニティー・タグとしては、多重ヒスチジン残基(例えば、Gentzら、1989、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:821−824を参照)、FLAGタグ、HAタグまたはmycタグが挙げられる。また、PTK7核酸には非コーディング5’及び3’配列、例えば転写された、非翻訳配列、スプライシング及びポリアデニル化シグナル、リボソーム結合部位およびmRNA安定化配列が含まれる。
PTK7ポリペプチド誘導体は、PTK7核酸のヌクレオチド配列に1個以上のヌクレオチドの置換、付加または削除を導入し、コード化されたタンパクに1個以上のアミノ酸の置換、付加または削除を導入することによって創出することが出来る。変異の導入、例えば部位特異的突然変異及びPCR媒介突然変異を含む変異の導入には、当業者に公知の標準的な技術を使うことが出来る。好ましくは、保存性のアミノ酸置換は1個以上の予測した非必須アミノ酸残基において行われる。
PTK7ポリペプチドをコードするPTK7核酸は、ヒト以外の種の同族体及びオルソログを含めて、上記(d)−(h)記載のPTK7核酸配列を持つ標識プローブを使い、厳しいハイブリダイゼーション条件下における適切なライブラリーのスクリーニング、および完全長のcDNAおよび該核酸配列を含むゲノムクローンの分離のステップから成る工程によって得られる。このハイブリダイゼーション手法は公知の技術である。厳しいハイブリダイゼーション条件の一例は、ハイブリダイゼーションが0.9Mの塩溶液を使い約35℃から約65℃の温度で実施される場合である。しかし、当業者は、プローブの長さ、塩基の組成、存在するイオンのタイプなどの変化要素を勘案してその条件を適切に変えることが出来る。高い選択性を得るために、二重らせん形成には低塩濃度または高温条件のような比較的厳しい条件が用いられる。より厳しい条件として、65℃で0.5M NaHPO、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、1mMのEDTA存在下でのフィルター結合DNAへのハイブリダイゼーション、および68℃での0.1xSSC/0.1%SDS中での洗浄が挙げられる(Ausubel、H.M.ら,eds.、1989、Current Protocols in Molecular Biology、Vol.1、Green Publishing Associates社、およびJohn Wiley & Sons社、New York、p.2.10.3)。いくつかの応用のために、二重螺旋形成用の厳密性の低い条件が求められている。中程度に厳しい条件としては、42℃の0.2xSSC/0.1%のSDS内での洗浄が挙げられる(Ausubelら、1989、同上文献)。ハイブリダイゼーションの条件は、ホルムアミドの添加量を増加させさらに厳しくすることが出来て、ハイブリッド二重螺旋は不安定になる。このように、特定のハイブリダイゼーション条件は容易に操作でき、通常は適切な選択がなされる。一般に、50%ホルムアミド存在下での都合の良いハイブリダイゼーション温度は、ここに記載のポリペプチドをコードする遺伝子の断片と95−100%の相同性を有するプローブに対しては42℃、90−95%の相同性の場合は37℃および70−90%の相同性の場合は32℃である。
多くの場合分離されたcDNA配列が、ポリペプチドのコード領域がcDNAの5’末端のところで短く切断されて不完全な形になることを当業者は理解しているであろう。これは本質的に、プロセッシビティー(酵素が重合反応中の鋳型に付着した状態を保てる能力の尺度)が低い酵素である逆転写酵素による第1鎖cDNA合成段階で、mRNA鋳型のDNA複写が未完結であった結果である。
完全長cDNAの取得法または短いcDNAの伸長方法は公知の技術であり、例えばレース法がある(cDNA末端の迅速増幅法、Frohmanら、1988、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:8998−9002)。最近の技術改良は、Marathon(商標)(Clontech Laboratories社)の技術で例示されるように、長鎖cDNAの探索を著しく簡略化した。この技術には、選択した組織から抽出したmRNAからcDNAを調製し、次にアダプター配列を各々の末端に連結したcDNAが使われる。続いて、欠損したcDNAの5’末端を増幅するために、遺伝子特異的オリゴヌクレオチド・プライマーとアダプター特異的オリゴヌクレオチド・プライマーの組合せを使ってPCRを行う。次に、増幅産物に連結するように設計された入れ子プライマー類、特にアダプター配列の3’にさらに連結するアダプター特異的プライマーおよび既知の遺伝子配列の5’にさらに連結する遺伝子特異的プライマーを使ってPCR反応を繰り返す。この反応生産物をDNA配列決定により分析し、その生産物を直接既存のcDNAに接続して完全な配列にするか、或いは5’プライマー設計に対する新しい配列情報を使った全長のPCRを別途実施するかの何れかによって完全長のcDNAが構築される。
本発明のもう一つの態様は、癌の治療および/または予防に用いるワクチンに関する。上記のPTK7ポリペプチドまたは核酸は、癌の治療および/または予防に用いるワクチンの生産に使うことが出来る。そのような物質は抗原および/または免疫原となり得る。抗原としては、抗体を惹起するために使われる、或いは確かに対象者体内に抗体反応を誘導する能力のあるタンパク質または核酸が挙げられる。免疫原物質としては、対象者体内に免疫反応を誘導する能力のあるタンパク質または核酸が挙げられる。従って、後者の場合、タンパク質または核酸は、抗体反応を生み出すだけでなく、さらに抗体非関与の免疫反応つまり細胞性或いは体液性免疫反応を生み出す能力がある。抗原または免疫原のポリペプチドによって、抗原性または免疫原性を担う部位つまりエピトープまたはエピトープ類を同定することが可能であることは技術的に公知である。当業者に既知のアミノ酸および核酸の特性は、PTK7ポリペプチドの抗原性指標(部位が抗原性である可能性の尺度)を予測するために使うことが出来る。例えば、限定するものではないが、“ペプチド構造”プログラム(JamesonおよびWolf、1988、CABIOS、4(1):181)および“スレディング法”(Altuvia Y.ら、1995、J.Mol.Biol.、249:244)と呼ばれる手法が用いられる。従って、PTK7ポリペプチドは1個以上のこのようなエピトープを含むか、または抗原性/免疫原性を保持するのに十分なほどそのような部位に類似している。
ポリペプチドまたは核酸は胃で分解される可能性があるため、ワクチン組成物は好ましくは非経口的に(例えば、皮下、筋肉内、静脈内または皮内注射で)投与される。
従って、さらなる実施態様において、本発明は以下のことを提供する:
a)患者体内に免疫反応を誘導するワクチンとしての使用;および
b)患者の癌を治療および/または予防するための方法、または患者の癌に対する予防接種の方法で、好ましくはワクチンとして、有効量のPTK7ポリペプチドまたは核酸を段階的に患者に投与することから成る。
本発明の各実施態様の好ましい形は、他の実施態様のそれぞれに必要な変更を加えて成るものである。本明細書に引用した限定的ではないが特許および特許申請を含むすべての出版物は、あたかも個々の出版物が特異的に且つ個別に参考資料によって全文が取入れられて明記されているかのごとく、参考として本明細書に載せてある。
次に実施例に基づいて、本発明を説明するが、これらは単に例証であり、いずれの方法においても本発明の目的を限定するとは見なされない。
肺および肝細胞株からのPTK7タンパク質の単離
肺癌および肝癌細胞株の膜タンパク質をSDS−PAGEで分離し、解析した。
肺癌および肝癌細胞株の疎分画
1a−細胞培養
肺癌細胞株のDMS144およびSHP−77は、10%牛胎児血清、2mMグルタミン、1%ペニシリンおよび1%ストレプトマイシンを補充したEMEMプラス1%NEAA(非必須アミノ酸)培地で培養した。肝癌細胞株のHepG2は、10%牛胎児血清、2mMグルタミン、1%ペニシリンおよび1%ストレプトマイシンを補充したEMEMプラス1%NEAA培地で培養した。細胞は、95%空気および5%炭酸ガスの加湿環境下、37℃で生育させた。
1b−細胞断片化およびプラズマ・膜調製
精製した膜標品を細胞株より分離した。付着性細胞(2x10)はPBS(リン酸緩衝生理食塩水)で3回洗浄し、プラスチックの細胞剥離器具を使って擦り剥がした。細胞を4℃、1000xgで5分間遠心し、細胞ペレットを均質化用緩衝液(250mMの蔗糖、10mMのHEPES、1mMのEDTA、1mMのバナジウム酸塩および0.02%のアザイド、プロテアーゼ阻害剤)に再懸濁した。細胞の断片化は、ボールベアリング・ホモジナイザー(8.002mmボール、HGM Lab社製装置)を用い、約95%の細胞が破砕されるまで行った。膜は、Pasqualiら(Pasquali,C.ら、1999、J.Chromatography、722:pp89−102)によって報告された方法で行った。断片化した細胞を4℃、3000xgで10分間遠心した後、核を除いた上清を60%蔗糖クッション上に重層し100000xgで45分間遠心した。膜をパスツールピペットで採取し、予め作製した15−60%蔗糖勾配上に重層し100000xgで17時間遠心した。蔗糖勾配の各分画中のタンパク質は4−20%ゲル(Novex)上で泳動しウェスタンブロットに供した。
1c−1D−ゲル解析用のプラズマ・膜の調製
トランスフェリン免疫反応性があり、オキシドリダクターゼIIまたはカルネキシン免疫反応性を有しないプラズマ・膜画分を集め、プラズマ・膜の代表とした。これらの蔗糖画分を集め、10mMのHEPES、1mMのEDTA、1mMのバナジウム酸塩および0.02%のアザイドを含む溶液で少なくとも4倍に希釈した。希釈した蔗糖画分をSW40またはSW60チューブに入れ、緩い加速と減速で100000xgで、45分間遠心した。膜ペレットから上清を除き、膜ペレットをPBS−CMで3回洗浄した。膜ペレットは、2%SDSを含む63mM TrisHCl、pH7.4に溶解させた。メルカプトエタノール(最終で2%)、グリセリン(10%)およびブロモフェノールブルー(最終で0.0025%)を加えた後にタンパク質をアッセイした。1D−ゲルへの負荷には、最終タンパク質濃度1μg/μLを用いた。
1d−1D−ゲル技術
タンパク質または膜ペレットを1D−サンプル緩衝液に溶解(約1mg/mL)し、混合液を95℃で5分間加熱した。
サンプルを、Bio−Rad(Bio−Rad Laboratories、Hemel Hempstead、英国)から購入した既製の8−16%の傾斜ゲル上での1D−ゲル電気泳動を用いて分離した。界面活性剤抽出物から得たタンパク質混合物30−50μgを含むサンプルを、マイクロピペットを用いて濃縮ゲル溝内に注入した。分子量マーカー(10、15、25、37、50、75、100および250kDa)を含む検量用の一つの溝を含めておき、現像後の分離ゲル挿入の目盛りとした。タンパク質の分離は、ゲルに30mAの電流を約5時間通電するか、またはブロモフェノールブルーのマーカー色素がゲルの底部に到達するまで通電して行った。
電気泳動後、ゲル板をこじ開けてゲルを固定液(10%酢酸、40%エタノール、50%水)のトレーに入れ、1夜振揺した。次にゲルをプライミング溶液(Milli−Q水中7.5%酢酸、0.05%SDSを含む)に入れ、30分間振揺してプライミングし、続いて蛍光色素(7.5%酢酸に溶解した0.06%OGS色素)に入れて振揺しながら3時間培養した。好ましい蛍光色素は米国特許番号6,335,446に開示されている。Sypro Red(Molecular Probes社、Eugene、Oregon)はこの目的の適切な代替色素である。
染色ゲル数の映像は、Storm Scanner(Molecular Dynamics社、米国)上で青色蛍光モードでの走査によって得た。捕らえた映像は、ゲル内タンパク分解のために摘出するゲルの領域を決めるために用いた。
1e−選択したタンパク質の回収と分析
ゲル各々の縦の列を、ステンレススチール製の外科用メス刃、またはゲル列の長さに沿って連続して切るPEEK製ゲルカッター(OGS)のどちらかを用いて、特定のタンパク質バンドの採取を意図せずに切取った。
タンパク質をトリプシン(Modified trypsin、Promega、Wisconsin、米国)によるゲル内消化法で処理し、トリプシン消化ペプチドを作製した。回収したサンプルを2つに分割した。MALDI(レーザーイオン化法)分析の前に、サンプルから脱塩しC18 Zip Tips(商標)(Millipore、Bedford、MA)を用いて濃縮した。タンデム質量分析のサンプルを、ナノLCシステム(LC Packings、Amsterdam、オランダ)にC18 SPE材を装填して精製した。回収したペプチドプールを、MALDI−TOF−質量分析器(Voyager STR、Applied Biosystems社、Framingham、MA)で337nm波長のレーザー光を使った脱離および反射モードで分析した。またペプチドプールを、Micromass Quadrupole飛行時間(Q−TOF)質量分析装置(Micromass、Altrincham、英国)を使ったナノ−LCタンデム質量分析(LC/MS/MS)で分析した。部分的なアミノ酸配列決定および膜タンパク質の同定のために、解釈されていないトリプシン・ペプチドのタンデム質量スペクトルの検索を、National Centre for Biotechnology Information(NCBI)が保有する非重複データベースに登録されたタンパク質で構成されている公有のタンパク質データベースに対して実施した。NCBIのデータベースへは、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/で、SEQUEST検索プログラム(Engら、1994、J.Am.Soc.Mass Spectrom.5:976−989)、バージョンv.C.1を使ってアクセスできる。データベースでの同定の基準には、トリプシンの切断特異性;データベースからのペプチドにa、bおよびyイオンの一組が確認されること、および全てのCys残基のカルバミドメチル化を裏付ける質量増加が確認されることを挙げた。SEQUESTプログラムを使ったスペクトル−スペクトル対比によるタンパク質同定に続いて、MALDI−TOFマススペクトルで検出されたそれぞれの質量を、同定されたタンパク質内のトリプシン消化ペプチドに割り当てた。SEQUESTプログラムを用いたトリプシン消化ペプチドの解釈されていないMS/MSスペクトル検索でアミノ酸配列が同定されなかった場合、ペプチドのタンデムマススペクトルは公知の方法を用いて手作業で解析した。(ペプチドイオンの低エネルギー断片化マススペクトルを解釈する場合は、Gaskellら、1992、Rapid Commu.Mass Spectrom.6:658−662を参照)。国際特許出願番号WO 02/21139に記載の方法もマススペクトルの解釈に使うことが出来る。
4つのタンデムスペクトル(図1中、太字とアンダーラインで表示)と16の質量一致(図1中、太字で表示)がGenBankの受託番号AAC50484およびJC4593に一致することが判った。
定量的RT−PCR(Taqman)を用いたPTK7の正常組織内分布および疾病組織内アップレギュレーションの解析
リアルタイムRT−PCRを使用して様々な癌組織と対応コントロール内のPTK7発現量を定量的に測定した。正常および乳癌サンプルの倫理的な許諾は外科(英国,オックスフォード大学)で取得した。肺、膵臓および腎臓の癌サンプルはClinomics社から入手し、卵巣および骨肉腫の癌サンプルはArdais社(Lexington、MA、米国)から入手した。PCRに使用したプライマーは以下の通りである:
センス、5’−cagccagaacttcaccttgagc−3’(配列番号3)
アンチセンス、5’−catgggagtctcatcctcaaag−3’(配列番号4)。
cDNA5ng、SYBRグリーン配列検出試薬(PE Biosystems)およびセンスとアンチセンスプライマーを含む反応物を、ABI7700配列検出システム(PE Biosystems)でアッセイした。PCR条件は、50℃で2分間を1サイクル、95℃で10分間を1サイクル、95℃で15秒間、60℃で1分間を40サイクルとした。PCR産物の蓄積を、SYBRグリーン蛍光の増加としてリアルタイムに測定し、データをSequence Detector プログラム v1.6.3(PE Biosystems)を使って解析した。初期鋳型複製数を蛍光強度および増幅サイクルに関係付ける標準曲線は、鋳型として増幅PCR産物を使って作成し、各サンプル中のPTK7複製数を算定するために使用した。
正常組織では比較的低いPTK7発現レベルが観測された(cDNA 1ng当り2000複製未満、図3)。
対照的に、乳癌サンプルにおけるPTK7の発現レベルはコントロールと対比して大幅に増加しており、23例中8例がcDNA 1ng当り2500複製を越す発現レベルであった(図4)。さらに、リンパ節転移を伴う患者サンプル20例中9例では、正常組織およびリンパ節転移のない患者組織と比較して、PTK7発現量が大きく増加(cDNA 1ng当り>50,000複製)していることが認められた(図5)。
PTK7発現を7例の肺癌サンプルで調べ、コントロールの罹患していない肺サンプルと対比して、サンプル全部の7例に発現量の増加が認められた(図6)。PTK7mRNA発現は同様に、コントロールの腎臓組織または対応するコントロールサンプルと対比した腎癌サンプルの9例中8例で(図7)、正常組織と対比した膵臓癌サンプルの6例中6例で(図8)、卵巣癌サンプルの11例中6例で、骨肉腫の3例中3例、および3種の卵巣癌細胞株と骨肉腫細胞のMG63で(図9)上昇していた。
PTK7を過剰発現する安定な細胞HEK293およびCHO−K1の生成
HEK293細胞(初代ヒト胚腎細胞、ATCC No.:CRL−1537)およびCHO−K1細胞(ATCC No.:CCL 61)は、10%の牛胎児血清、2mMのグルタミン添加したDulbecco’s medium NUT mix F12培地で生育させた。PTK7(寄託番号:U40271)をpcDNA3.1ネオマイシンベクター(Invitrogen)にクローニングし、このベクターをpcDNA3.1細胞に移入した(GeneJuice、Novagen)。
完全長のPTK7を発現するHEK293細胞集団は、抗生物質含有培地(0.2mg/mL G418、Sigma)で増殖させて選択した。完全長のPTK7を発現するCHO−K1細胞は、希釈クローニングし抗生物質含有培地(0.2mg/mL G418)で増殖させて選択した。CHO−K1の2つのクローン細胞、A3およびA6を次の評価のために選択した。
癌細胞株中のPTK7の検出
PTK7に対するポリクローナル抗体を作製した(CovalAB、Lyon、フランス)。この抗体は、疎水性、抗原性、表面存在の可能性、および他の既知の同族タンパク質と相同性が低い領域を基に配列を選定し、合成した2つの特定のペプチドでウサギを免疫して生育した。ペプチドはFmoc法で末端に1個のシステイン残基を入れて合成し、感作する前に特定のチオール基がキーホールリンペットヘモシアニンとカップリング出来るようにした。使用したPTK7ペプチドは;KGKDRILDPTKLGP(配列番号5、ペプチド010−II、細胞外エピトープ)およびISKSKDEKLKSQPL(配列番号6、ペプチド011−II、細胞内エピトープ)である。
抗血清(ペプチド010−II)を使ったウェスタンブロットで、おおよそ160kDaにPTK7過剰発現のバンドがHEK293およびCHO−K1細胞溶解物に認められたが、親細胞のHEK293細胞には認められなかった。この組換え体タンパク質には、特異的なモノクローナル抗体(Invitrogen)によって認識されるV5タグも発現していた。抗V5タグ抗体によるウェスタンブロットでも、約160kDaの一本バンドがHEK293細胞溶解物に確認された。
この抗血清によって、同じ分子量のタンパク質が癌細胞株、BT747(乳癌細胞株、ATCC No.:HTB 20)、BT20(乳癌細胞株、ATCC No.:HTB 19)、PANC−1(膵臓癌細胞株、ATCC No.:CRL−1469)、T47D(乳癌細胞株、ATCC No.:HTB 133)およびSK MEL5(悪性黒色腫細胞株、ATCC No.:HTB−70)およびSaOS−2(骨原性肉腫細胞株、ATCC No.:HTB 85)細胞株内で発現していることが認められた。
癌細胞株におけるPTK7の細胞内局在性
蛍光免疫細胞化学を用い、組換え体または内在性PTK7の細胞株における細胞内局在性を評価した。
癌細胞株、核酸移入および非移入のHEK293細胞およびCHO−K1細胞を8−ウェル・チャンバースライド(Nalge、Nunc)に1ウェル当り6×10の細胞密度で接種した。37℃、5%CO下で24時間、培養した後、培地をスライドから除き、チャンバーのプラスチックハウジングも取除いた。スライドを一度コプリン・ジャー(Coplin jar)中にてPBSで5分間、洗浄した。スライド上の余分なPBSを除き、10%のホルマリン溶液に15分間、浸漬した。続いて、スライドの余分な液を除き、スライドを加湿槽内に平らに並べ、1%(w/v)BSA含有PBSで適切に希釈した500μLの1次抗体(1μg/mLの抗PTK7ウサギ抗血清010−IIまたは1μg/mLのウサギ・ガンマグロブリン(Sigma))と1時間、培養した。次に、スライドをPBSで5分間ずつ3回洗浄した。スライドを加湿チャンバー内、1%(w/v)BSA含有PBSで200倍に希釈した500μLのビオチン−SP−結合AffiniPure ロバの抗ウサギ抗体(Jackson ImmunoResearch)と1時間、培養した。培養に続いて、スライドをPBSで5分間ずつ3回洗浄した後、加湿槽内、1%(w/v)BSA含有PBSで700倍に希釈した500μLのCy3−結合Extravidin(Sigma)と1時間、培養した。培養の後、スライドをPBSで5分間ずつ4回洗浄した。次に、スライドを2μg/mLのビスベンザミド(Sigma)と30秒間、培養し、その後PBS内で2分間、洗浄した。スライドに蛍光造影剤(Dako Ltd.)中でカバースライドを載せ、DMIRE2蛍光顕微鏡(Leica Microsystems社、英国)に装着したデジタルカメラDC300Fで映像を撮った。
得られた映像は、PTK7がPTK7移入HEK293およびCHO細胞のプラズマ・膜上に高度に発現していることを示した。この染色法はPTK7移入細胞に対する特異性が高い。それは、非移入HEK293およびCHO−K1細胞を抗PTK7ポリクローナル抗体で染色すると非常に低いレベルの蛍光強度しか得られないことで示される。コントロールのウサギIgGを使ったPTK7移入細胞の染色では、非常に低いレベルのバックグラウンド蛍光発色しか認められない。
また、Panc1、SaOS−2、MDA−MB−453およびMDA−MB−361の細胞株は全て、明らかに膜局在の内生的なPTK7を示した。
PTK7の免疫組織化学
HDCS(ヒト二倍体細胞株)を含む250切片の各種正常および癌組織(Clinomics Laboratories社、165 Tor Court、Pittsfield、MA01201)に加え、55症例の乳癌組織、50症例の前立腺癌組織、50症例の肺癌組織のホルマリン固定パラフィン包埋組織の1mm切片マイクロアレイについて免疫組織化学的な解析を行った。
スライドをキシレンで5分間ずつ2回洗浄して脱パラフィンし、連続的な濃度傾斜のエタノール溶液で再水和した後、PBSで5分間、洗浄した。スライドを0.01Mのクエン酸緩衝液(pH6)に浸漬し、全出力(950W)で10分間、電磁波処理して抗原を回復させた。また、抗体を用いる検出は、組織をAutozyme(AbCam)による室温で10分間のプロテアーゼ処理を行うことにより改善された。組織は、1.5μg/mL(PBSで希釈した2.5%ロバ血清)の抗血清010−IIを添加する前に、PBSで希釈した10%のロバ血清でブロックした。PBSで3回洗浄した後、組織切片を200倍に希釈(2.5μg/mL、PBSで希釈した2.5%ロバ血清溶液)したビオチン−コンジュゲート第二抗体(Biotin−SP−結合AffiniPure ロバの抗モルモット抗体、Jackson ImmunoResearch)と1時間、培養した。スライドをPBSで3回洗浄し、組織を100倍に希釈(5μg/mL、PBSで希釈した2.5%ロバ血清溶液)したストレプトアビジン−HRP(Jackson ImmunoResearch)と培養した後、PBS中で5分間ずつ3回洗浄した。抗体シグナルの検出は、DAB基質溶液(Aako Ltd.)を用い、製造元の解説に従って行った。隣接組織アレイをヘマトキシリンとエオジン(Dako社)で対比染色し、画像を光学顕微鏡に装着したデジタルカメラで撮った。
乳癌のミクロアレイについてPTK7の免疫組織化学的解析を行った結果、試験した乳癌組織切片の35〜40%にPTK7の存在が認められた。癌細胞のみがPTK7染色陽性で、間質および隣接の正常組織は染色されなかった。切片中のすべての癌細胞はPTK7免疫反応が陽性であった。
原発乳癌組織とリンパ節転移の切片が一致する患者では、転移リンパ節の5例中5例で、対応する原発乳癌組織の4例中4例でPTK7免疫染色が陽性であった。PTK7の発現は一般に癌組織の腫瘍性上皮細胞に限定されており、膜への局在を検出することが出来た。
また、がん細胞特異的なPTK7のポジティブ染色は、大腸癌(55サンプル中38例)、膵臓癌(7サンプル中1例)、腎臓癌(7サンプル中1例、染色は主に細胞質)および膀胱癌(7サンプル中1例)でも見られた。
PTK7の免疫反応性染色は、前立腺癌(16例)、肝臓癌(7例)、胃癌(7例)、子宮内膜癌(7例)、甲状腺癌(10例)、悪性黒色腫(5例)リンパ腫(14例)では確認されなかった。
次の正常組織でPTK7免疫反応染色がほとんど認められないか全く認められなかった:前立腺、肝臓、腎臓、甲状腺、脾臓、肺、大腸、リンパ節、膵臓、心臓、脳、副腎、睾丸、卵巣。PTK7免疫反応性染色は、コントロール抗体のウサギIgGを使った染色と区別できなかった。
PTK7によるコロニー形成の誘導
細胞内に組換え体PTK7を発現するHEK293細胞、または空のpcDNA3.1ベクターを移入したHEK293細胞(ベクターコントロール細胞)についてコロニー形成能を評価した。
6−ウェルの組織培養プレートに0.6%寒天の基層を敷き、10分間、室温に静置して固化させた。細胞を最終濃度が5000細胞/mL(HEK293pcDNA3.1ベクターコントロール細胞、HEK293親細胞およびPTK7発現HEK293細胞)になるように上層の寒天溶液(0.4%)に接種し、その2mLを各ウェルに加え最終細胞数を10,000細胞/ウェルにした(3重試験で)。プレートは、37℃、5%CO下で10〜14日間、培養した。2個以上の細胞から成るコロニー数をそれぞれの条件について評価した。PTK7移入HEK293細胞は多数の大きなコロニーを形成したが、コントロール移入細胞および親細胞のHEK293細胞は軟寒天内で自立できずコロニー形成は無かった。
このデータは、PTK7が、乳癌、肺癌、腎臓癌および膵臓癌を含む選定された癌で、タンパク質およびmRNAレベルで増加することを示唆している。また、正常組織およびリンパ節転移のない乳癌患者からのサンプルに対比して、リンパ節転移を伴う乳癌患者からのサンプルの45%でPTK7発現の大幅な増加が認められ、このことはPTK7が癌の標的として、特に乳癌の標的として有用性があることを示している。PTK7は劇的なコロニー形成活性をHEK293細胞に誘導するように見うけられ、従って、PTK7は形質転換細胞に共通する形質の付着非依存性の強力な因子であることを示唆する。
PTK7(AAC50484/JC4593)、配列番号1のタンパク質配列を示す。タンデムマススペクトルのペプチドは太字にアンダーライン、MALDIマススペクトルのペプチドは太字で示した。 PTK7(U40271)、配列番号2の核酸配列を示す。 正常組織内のPTK7 mRNAの分布を示す。mRNA量はリアルタイムRT−PCRにより定量化し、cDNA 1ng当りの複製数として表示した。 患者***の隣接して対応する正常組織(中空線)と癌組織(黒線)におけるPTK7 mRNAの分布を示す。mRNA量はリアルタイムRT−PCRにより定量化し、cDNA 1ng当りの複製数として表示した。 乳癌組織内のPTK7 mRNAの分布を示す。リンパ節転移の無い患者(A)とある患者(B)から40例の乳癌組織サンプルを得た。mRNA量はリアルタイムRT−PCRにより定量化し、cDNA 1ng当りの複製数として表示した。 対応する正常肺組織と肺癌組織におけるPTK7 mRNAの分布を示す。mRNA量はリアルタイムRT−PCRにより定量化し、cDNA 1ng当りの複製数として表示した。 対応する正常腎臓組織(中空線)と腎臓癌組織(黒線)におけるPTK7 mRNAの分布を示す。mRNA量はリアルタイムRT−PCRにより定量化し、cDNA 1ng当りの複製数として表示した。 対応する正常膵臓組織(中空線)と膵臓癌組織(黒線)におけるPTK7 mRNAの分布を示す。mRNA量はリアルタイムRT−PCRにより定量化し、cDNA 1ng当りの複製数として表示した。 卵巣癌と骨肉腫組織サンプルにおけるPTK7 mRNAの分布を示す。mRNA量はリアルタイムRT−PCRにより定量化し、cDNA 1ng当りの複製数として表示した。

Claims (8)

  1. 被験者における癌のスクリーニングおよび/または診断または予後を予測する、および/または癌療法の有効性をモニタリングする方法であって、前記癌が乳癌、すい臓癌、肺癌、膀胱癌又は腎臓癌から選ばれ、
    該被験者から得られた生物試料において、PTK7ポリペプチドを検出する、および/または定量するステップを含む、
    上記方法。
  2. 該ポリペプチドのレベルがあらかじめ定められた参照範囲または対照と比較される請求項1の方法。
  3. 検出のステップが、
    (a)試料をPTK7ポリペプチドに特異的である捕捉試薬と接触させ、ここで該捕捉試薬は抗体又はその機能的に活性な断片であり、そして
    (b)結合が捕捉試薬と試料中の該ポリペプチドの間に生じたか否かを検出することを含む、
    請求項1または2に記載の方法。
  4. ステップ(b)が、直接または間接的に標識化した検出試薬を用いて、捕捉したポリペプチドを検出することを含む、請求項3記載の方法。
  5. 捕捉試薬が固相上に固定化されている、請求項3または4記載の方法。
  6. ポリペプチドが、PTK7ポリペプチドに特異的に結合する抗体を使用して検出される、および/または定量される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 抗体が、検出し得る標識、または第二抗体もしくはその断片に共役している請求項6の方法。
  8. PTK7ポリペプチドに特異的な抗体又はその機能的に活性な断片、試薬および使用指示書を含む、乳癌、すい臓癌、肺癌、膀胱癌又は腎臓癌の診断のための診断キット。
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