JP4527484B2 - 状態検出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、流体の特性や状態あるいは流体が流れる測定管内の状態を検出する状態検出装置に関するものである。
一般に、流量計を用いて流量計測を行う場合には、被測定流体の流量と共にその流体の特性や状態あるいは流体が流れる配管内の状態を検出したいという要求がある。例えば、薬液等を混合する製造ラインにおいては、流体の流量と共に、導電率や誘電率などの流体の特性を計測している。また、付着物の多い配管では、そのメンテナンス周期を知るために配管内の付着物の堆積状態を計測している。また、下水道などでは、流量計測と共に、水位などの流体の状態や配管内の付着物の堆積状態を計測することが望まれており、実際に流量計と別の計測機器を使用して、流体の状態や配管内の状態を計測している。
このように、流体の流量と共に、その流体の特性や状態あるいは流体が流れる配管内の状態を計測したいという要求があり、加えてこれらの計測を流量計と基本的に同一のハードウェア構成で実現したいという要求がある。つまり、流体の流量を計測したり、流体の導電率を計測したり、また流量と導電率を同時に計測したりといったように様々な使い方を1台の計測機器で任意に選択できることが望まれている。また、流量と状態の同時計測が可能なことが望ましいことから分かるように、流体の流量によらずに、流体の特性あるいは状態を計測できることが重要になる。
ここで、流量計として電磁流量計を対象としてみると、上記の要求に加えて電磁流量計の自己診断という側面から流体の特性や状態あるいは配管内の状態の計測が望まれている。例えば、流体と接触している電極から電位を取り出す電極式と呼ばれている方式では、電極に絶縁物等が付着すると、電位が精度よく取り出せず、正確な流量を計測することができなくなる。そこで、同じ電極を使って付着物も含めて流体の抵抗が測定できれば、電極への付着物の堆積状態がわかり、流量計測値がおかしいといったトラブルを未然に防ぐことができる。また、一般に電磁流量計は、流体の導電率が規定外の場合、流量計測値に異常が生じる。このとき、流体の抵抗が測定できれば、規定外の導電率を有する流体が流れたときに生じた出力異常が、流量の変化に起因するのか、流体の導電率が異常なことに起因するのかを判断することができ、流量計として自己診断機能を持つことができる。
以上述べたように、流量計と基本的に同じハードウェア構成で流量以外の様々な計測を行いたいという要求に対する解決策が望まれている。
以上のような要求に対する解決策は現在示されていないが、比較的近い技術として電磁流量計において流速以外のパラメータを検出する装置が、例えば特許文献1や非特許文献1に開示されている。非特許文献1や特許文献1には、電磁流量計の応用として、水位、導電率などを計測する場合の例が出ている。この電磁流量計では、配管の上下に設けた励磁コイルを同時に駆動したときに電極から得られる信号起電力と配管の上側の励磁コイルを単独で駆動したときの信号起電力との比から水位を求め、また電極に接続されているプリアンプの入力インピーダンスを変化させたときの信号起電力の比から流体の導電率を求めている。
なお、出願人は、本明細書に記載した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に関連する先行技術文献を出願時までに発見するには至らなかった。
特許第3164684号公報 社団法人日本計量機器工業連合会編,「計装エンジニアのための流量計測 AtoZ」,工業技術社,1995年,p.147−148
しかしながら、特許文献1や非特許文献1に開示された電磁流量計では、流量信号の比を基に流体の特性あるいは状態を検出しているので、流体の流量が0に近づくにつれて大きな誤差が発生して精度が悪くなり、流量0では流体の特性あるいは状態を検出することができないという問題点があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、基本的に電磁誘導方式の流量計と同じハードウェア構成を用いて、流体の流速に関わらず、流体の特性や状態あるいは配管内の状態を精度良く検出することができる状態検出装置を提供することを目的とする。
本発明は、流体の特性や状態あるいは流体が流れる測定管内の状態を検出対象のパラメータとする状態検出装置であって、流体が流れる測定管と、この測定管に配設され、前記流体に印加される磁場と前記流体の流れとによって生じた起電力を検出する電極と、この電極を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第1の平面に対して非対称かつ時間変化する磁場を前記流体に印加する励磁部と、前記電極で検出される、前記流体の流速とは無関係な∂A/∂t成分の起電力と前記流体の流速に起因するv×B成分の起電力との合成起電力から、前記∂A/∂t成分を抽出し、この∂A/∂t成分の中から前記パラメータに依存する変動要因を抽出して、この変動要因に基づいて前記パラメータを定量化する状態定量化部とを備えるものである。
また、本発明の状態検出装置の1構成例において、前記状態定量化部は、前記電極で検出される、前記流体の流速とは無関係な∂A/∂t成分の起電力と前記流体の流速に起因するv×B成分の起電力との合成起電力から、前記∂A/∂t成分を抽出し、この∂A/∂t成分の中から前記パラメータに依存する変動要因を抽出する信号変換部と、前記パラメータに依存する変動要因と前記パラメータとの関係を予め記憶する状態記憶部と、この状態記憶部に記憶された関係に基づいて、前記抽出された変動要因に対応する前記パラメータを求める状態出力部とからなるものである。
また、本発明の状態検出装置の1構成例において、前記励磁部は、複数の励磁周波数を同時又は交互に与える磁場を前記流体に印加し、前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち、同時または交互に得られる複数の周波数成分の振幅と位相を求めることにより前記∂A/∂t成分を抽出するものである。
また、本発明の状態検出装置の1構成例(第1の実施の形態)において、前記励磁部は、前記電極を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第1の平面からオフセットを設けて離れた位置に配設された励磁コイルと、第1の周波数と第2の周波数の異なる2つの励磁周波数を同時又は交互に与える励磁電流を前記励磁コイルに供給する電源部とからなり、前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち前記第1の周波数と第2の周波数の2つの周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記2つの周波数成分の起電力差を前記∂A/∂t成分として抽出し、この∂A/∂t成分の中から前記パラメータに依存し、周波数に依存しない変動要因の大きさまたは位相を抽出し、前記状態記憶部は、前記パラメータに依存する変動要因の大きさまたは位相と前記パラメータとの関係を予め記憶するものである。
また、本発明の状態検出装置の1構成例(第2の実施の形態)において、前記励磁部は、前記電極を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第1の平面から第1のオフセットを設けて離れた位置に配設された第1の励磁コイルと、前記第1の平面から第2のオフセットを設けて離れた位置に、前記第1の平面を挟んで前記第1の励磁コイルと対向するように配設された第2の励磁コイルと、第1の周波数と第2の周波数の異なる2つの励磁周波数を同時又は交互に与える励磁電流を前記第1の励磁コイルと第2の励磁コイルに供給する電源部とからなり、前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち前記第1の周波数と第2の周波数の2つの周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記2つの周波数成分の起電力差を前記∂A/∂t成分として抽出し、この∂A/∂t成分の中から前記パラメータに依存し、周波数に依存しない変動要因の大きさまたは位相を抽出し、前記状態記憶部は、前記パラメータに依存する変動要因の大きさまたは位相と前記パラメータとの関係を予め記憶するものである。
また、本発明の状態検出装置の1構成例(第6の実施の形態)において、前記励磁部は、前記流体に磁場を印加する励磁コイルと、第1の周波数と第2の周波数の異なる2つの励磁周波数を同時又は交互に与える励磁電流を前記励磁コイルに供給する電源部とからなり、前記電極は、前記励磁コイルの軸を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第2の平面から第1のオフセットを設けて離れた位置に配設された第1の電極と、前記第2の平面から第2のオフセットを設けて離れた位置に、前記第2の平面を挟んで前記第1の電極と対向するように配設された第2の電極とからなり、前記信号変換部は、前記第1の電極で検出される第1の合成起電力と前記第2の電極で検出される第2の合成起電力の各々について振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記第1の合成起電力と第2の合成起電力の同一周波数成分の起電力差を前記第1の周波数と第2の周波数の各々について求め、前記第1の周波数における起電力差と前記第2の周波数における起電力差との差分を前記∂A/∂t成分として抽出し、この∂A/∂t成分の中から前記パラメータに依存し、周波数に依存しない変動要因の大きさまたは位相を抽出し、前記状態記憶部は、前記パラメータに依存する変動要因の大きさまたは位相と前記パラメータとの関係を予め記憶するものである。
また、本発明の状態検出装置の1構成例(第6の実施の形態)において、前記励磁部は、前記流体に磁場を印加する励磁コイルと、第1の周波数と第2の周波数の異なる2つの励磁周波数を同時又は交互に与える励磁電流を前記励磁コイルに供給する電源部とからなり、前記電極は、前記励磁コイルの軸を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第2の平面から第1のオフセットを設けて離れた位置に配設された第1の電極と、前記第2の平面から第2のオフセットを設けて離れた位置に、前記第2の平面を挟んで前記第1の電極と対向するように配設された第2の電極とからなり、前記信号変換部は、前記第1の電極で検出される第1の合成起電力と前記第2の電極で検出される第2の合成起電力の各々について振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記第1の合成起電力と第2の合成起電力の同一周波数成分の起電力和を前記第1の周波数と第2の周波数の各々について求め、前記第1の周波数における起電力和と前記第2の周波数における起電力和との差分を前記∂A/∂t成分として抽出し、この∂A/∂t成分の中から前記パラメータに依存し、周波数に依存しない変動要因の大きさまたは位相を抽出し、前記状態記憶部は、前記パラメータに依存する変動要因の大きさまたは位相と前記パラメータとの関係を予め記憶するものである。
また、本発明の状態検出装置の1構成例において、前記励磁部は、前記電極を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第1の平面から第1のオフセットを設けて離れた位置に配設された第1の励磁コイルと、前記第1の平面から第2のオフセットを設けて離れた位置に、前記第1の平面を挟んで前記第1の励磁コイルと対向するように配設された第2の励磁コイルと、前記第1の励磁コイルと第2の励磁コイルに位相が異なる励磁電流を供給する電源部とからなり、前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力の振幅と位相を求めることにより、前記∂A/∂t成分を抽出するものである。
また、本発明の状態検出装置の1構成例(第3の実施の形態)において、前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力の振幅と位相を求めることにより、前記∂A/∂t成分を抽出し、この∂A/∂t成分の中から前記パラメータに依存し、周波数に依存しない変動要因の大きさまたは位相を抽出し、前記状態記憶部は、前記パラメータに依存する変動要因の大きさまたは位相と前記パラメータとの関係を予め記憶するものである。
また、本発明の状態検出装置の1構成例(第4の実施の形態)において、前記電源部は、前記第1の励磁コイルと第2の励磁コイルに位相が異なり、かつ少なくとも2つの励磁周波数を同時又は交互に与える励磁電流を供給し、前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち第1の周波数と第2の周波数の2つの周波数成分の振幅と位相を求めることにより、前記第1の周波数成分における∂A/∂t成分と前記第2の周波数成分における∂A/∂t成分を抽出し、この第1の周波数成分の∂A/∂t成分と第2の周波数成分の∂A/∂t成分との比から前記パラメータと周波数とに依存する変動要因の比の大きさまたは位相を抽出し、前記状態記憶部は、前記変動要因の比の大きさまたは位相と前記パラメータとの関係を予め記憶するものである。
また、本発明の状態検出装置の1構成例(第5の実施の形態)において、前記電源部は、前記第1の励磁コイルと第2の励磁コイルに位相が異なり、かつ複数の励磁周波数を同時又は交互に与える励磁電流を供給し、前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち複数の周波数成分の振幅と位相を求めることにより、前記複数の周波数成分の各々について前記∂A/∂t成分を抽出し、複数の前記パラメータと周波数とに依存する変動要因の大きさまたは位相を前記抽出した∂A/∂t成分の各々から抽出し、前記状態記憶部は、前記複数の周波数成分の各々における前記変動要因の大きさまたは位相と複数の前記パラメータとの関係を予め記憶し、前記状態出力部は、前記状態記憶部に記憶された関係に基づいて、前記抽出された変動要因の大きさまたは位相に対応する複数の前記パラメータを算出するものである。
また、本発明の状態検出装置の1構成例において、前記励磁部は、前記流体に磁場を印加する励磁コイルと、この励磁コイルに励磁電流を供給する電源部とからなり、前記電極は、前記励磁コイルの軸を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第2の平面から第1のオフセットを設けて離れた位置に配設された第1の電極と、前記第2の平面から第2のオフセットを設けて離れた位置に、前記第2の平面を挟んで前記第1の電極と対向するように配設された第2の電極とからなり、前記信号変換部は、前記第1の電極で検出される第1の合成起電力と前記第2の電極で検出される第2の合成起電力の各々について振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記第1の合成起電力と第2の合成起電力との起電力差から前記∂A/∂t成分を抽出するものである。
また、本発明の状態検出装置の1構成例(第7の実施の形態)において、前記信号変換部は、前記第1の電極で検出される第1の合成起電力と前記第2の電極で検出される第2の合成起電力の各々について振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記第1の合成起電力と第2の合成起電力との起電力差から前記∂A/∂t成分を抽出し、この∂A/∂t成分の中から前記パラメータに依存し、周波数に依存しない変動要因の大きさまたは位相を抽出し、前記状態記憶部は、前記パラメータに依存する変動要因の大きさまたは位相と前記パラメータとの関係を予め記憶するものである。
また、本発明の状態検出装置の1構成例(第8の実施の形態)において、前記電源部は、第1の周波数と第2の周波数の異なる2つの励磁周波数を同時又は交互に与える励磁電流を前記励磁コイルに供給し、前記信号変換部は、前記第1の電極で検出される第1の合成起電力と前記第2の電極で検出される第2の合成起電力の各々について振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記第1の合成起電力と第2の合成起電力の同一周波数成分の起電力差を前記第1の周波数と第2の周波数の各々について求め、これらの起電力差から前記第1の周波数成分における∂A/∂t成分と前記第2の周波数成分における∂A/∂t成分を抽出し、この第1の周波数成分の∂A/∂t成分と第2の周波数成分の∂A/∂t成分との比から前記パラメータと周波数とに依存する変動要因の比の大きさまたは位相を抽出し、前記状態記憶部は、前記変動要因の比の大きさまたは位相と前記パラメータとの関係を予め記憶するものである。
また、本発明の状態検出装置の1構成例(第9の実施の形態)において、前記電源部は、複数の励磁周波数を同時又は交互に与える励磁電流を前記励磁コイルに供給し、前記信号変換部は、前記第1の電極で検出される第1の合成起電力と前記第2の電極で検出される第2の合成起電力の各々について振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記第1の合成起電力と第2の合成起電力の同一周波数成分の起電力差を複数の周波数成分の各々について求め、これらの起電力差から複数の周波数成分における前記∂A/∂t成分を抽出し、複数の前記パラメータと周波数とに依存する変動要因の大きさまたは位相を前記抽出した∂A/∂t成分の各々から抽出し、前記状態記憶部は、前記複数の周波数成分の各々における前記変動要因の大きさまたは位相と複数の前記パラメータとの関係を予め記憶し、前記状態出力部は、前記状態記憶部に記憶された関係に基づいて、前記抽出された変動要因の大きさまたは位相に対応する複数の前記パラメータを算出するものである。
本発明によれば、流体の流速に依存するv×B成分と流体の流速に依存しない∂A/∂t成分の合成ベクトルから∂A/∂t成分を抽出する。この抽出した∂A/∂t成分を用いれば、流体の特性や状態あるいは測定管内の状態を計測することが可能になり、流体の流量と共にその流体の特性や状態あるいは流体が流れる測定管内の状態を検出したいという要求に対する解決策となる。つまり、基本的に電磁誘導方式の流量計と同じハードウェア構成を用いて、かつ流体の流速に関わらず、流体の特性や状態あるいは測定管内の状態を精度良く検出する装置を提供することができる。さらに、本発明の技術を用いることにより、水位、導電率、誘電率などに限ることなく様々な流体の特性あるいは状態を計測するという要求に対応できる。
本発明を理解するために必要な理論的前提部分について説明する。まず、一般に知られている数学的基礎知識について説明する。
同一周波数で異なる振幅の余弦波P・cos(ω・t)、正弦波Q・sin(ω・t)は、以下のような余弦波に合成される。P,Qは振幅、ωは角周波数である。
P・cos(ω・t)+Q・sin(ω・t)=(P2+Q21/2 ・cos(ω・t−ε)
ただし、ε=tan-1(Q/P) ・・・(1)
式(1)の合成を分析するには、余弦波P・cos(ω・t)の振幅Pを実軸、正弦波Q・sin(ω・t)の振幅Qを虚軸にとるように複素座標平面に写像すると都合がよい。すなわち、複素座標平面上において、原点からの距離(P2+Q21/2 が合成波の振幅を与え、実軸との角度ε=tan-1(Q/P)が合成波とω・tとの位相差を与えることになる。
また、複素座標平面上においては、以下の関係式が成り立つ。
L・exp(j・ε)=L・cos(ε)+j・L・sin(ε) ・・・(2)
式(2)は複素ベクトルに関する表記であり、jは虚数単位である。Lは複素ベクトルの長さを与え、εは複素ベクトルの方向を与える。したがって、複素座標平面上の幾何学的関係を分析するには、複素ベクトルへの変換を活用すると都合がよい。
以下の説明では、電極間起電力がどのような挙動を示し、本発明はこの挙動をどのように利用しているかを説明するために、上記のような複素座標平面への写像と、複素ベクトルによる幾何学的分析を採用する。
次に、本発明の状態検出装置の説明に必要な物理現象について説明しておく。変化する磁場中を物体が移動する場合、電磁誘導によって2種類の電界、(a) 磁場の時間変化によって発生する電界E(i)=∂A/∂t 、(b) 磁場中を物体が動くことにより発生する電界E(v)=v×B が発生する。v×BはvとBの外積を示し、∂A/∂tはAの時間による偏微分を示す。v、B、Aはそれぞれ下記に対応しており、3次元(x、y、z)に方向をもつベクトルである(v:流速、B:磁束密度、A:ベクトルポテンシャル(磁束密度とはB=rotAの関係がある))。ただし、ここでの3次元ベクトルは複素平面上のベクトルとは意味が異なる。この2種類の電界によって、電位分布が流体中に発生し、この電位は電極によって検出することができる。ここで、流体の流速に無関係な∂A/∂t成分によって流体内に発生する渦電流についてみると、流体を含む測定管内の特性や状態、および電位を取り出す際の入力インピーダンスによって、渦電流の流れる経路や電流密度が変化し、この変化を電位として取り出せば、流体以外の特性や状態を計測することができる。
[第1の原理]
図1は、本発明の状態検出装置の第1の原理を説明するためのブロック図である。この状態検出装置は、被測定流体が流れる測定管1と、被測定流体に印加される磁場および測定管1の軸PAXの双方と直交し、かつ被測定流体と接触するように測定管1に対向配置され、前記磁場と被測定流体の流れとによって生じた起電力を検出する一対の電極2a,2bと、測定管軸PAXの方向と直交する、電極2a,2bを含む平面PLNを測定管1の境としたとき、この平面PLNを境とする測定管1の前後で非対称な、時間変化する磁場を被測定流体に印加する励磁コイル3とを有する。
図1のように、測定管軸PAXの方向と直交する、電極2a,2bを含む平面PLNを測定管1の境としたとき、この平面PLNを境とする測定管1の前後で非対称な磁場を流体に印加すると、流体の流速に依存するv×B成分と流速に依存しない∂A/∂t成分との合成ベクトルが電極2a,2bで検出される。この検出された合成ベクトルの中から、流体の流速に依存しない∂A/∂t成分を抽出する。抽出した∂A/∂t成分の中には、流体及び測定管1の状態や特性によって変化する成分が含まれており、この成分の値から、流体の導電率や誘電率、水位等の流体の特性や状態あるいは測定管内の状態を流量に関係なく計測することが可能になる。また、合成ベクトルの中に含まれるv×B成分から一般の電磁流量計と同様にして流速を算出することが可能となる。
ここで、励磁コイル3から発生する磁場Baのうち、電極2a,2b間を結ぶ電極軸EAX上において電極軸EAXおよび測定管軸PAXの双方と直交する磁場成分(磁束密度)B1は、以下のように与えられるものとする。
B1=b1・cos(ω0・t−θ1) ・・・(3)
式(3)において、b1は磁束密度B1の振幅、ω0は角周波数、θ1は磁束密度B1とω0・tとの位相差(位相遅れ)である。以下、磁束密度B1を磁場B1とする。
まず、磁場の変化に起因し、流体の流速とは無関係な電極間起電力について説明する。磁場の変化に起因する起電力は、磁場の時間微分dB1/dtによるので、励磁コイル3から発生する磁場B1を次式のように微分する。
dB1/dt=−ω0・b1・sin(ω0・t−θ1) ・・・(4)
被測定流体の流速が0の場合、発生する渦電流は、磁場の変化に起因する成分のみとなり、磁場Baの変化による渦電流Iは、図2に示すような向きとなる。したがって、電極軸EAXと測定管軸PAXとを含む平面内において、磁場Baの変化によって発生する、流速と無関係な電極間起電力Eは、図2に示すような向きとなる。この向きをマイナス方向とする。
このとき、電極間起電力Eは、次式に示すように向きを考えた磁場の時間微分−dB1/dtに比例係数rkをかけ、位相θ1をθ1+θ00で置き換えたものとなる(rk、θ00は、被測定流体の導電率及び誘電率と電極2a,2bの配置を含む測定管1の構造に関係する)。
E=rk・ω0・b1・sin(ω0・t−θ1−θ00) ・・・(5)
そして、式(5)を変形すると次式となる。
E=rk・ω0・b1・{sin(−θ1−θ00)}・cos(ω0・t)
+rk・ω0・b1・{cos(−θ1−θ00)}・sin(ω0・t)
=rk・ω0・b1・{−sin(θ1+θ00)}・cos(ω0・t)
+rk・ω0・b1・{cos(θ1+θ00)}・sin(ω0・t)
・・・(6)
ここで、式(6)をω0・tを基準として複素座標平面に写像すると、実軸成分Ex、虚軸成分Eyは次式となる。
Ex=rk・ω0・b1・{−sin(θ1+θ00)}
=rk・ω0・b1・{cos(π/2+θ1+θ00)} ・・・(7)
Ey=rk・ω0・b1・{cos(θ1+θ00)}
=rk・ω0・b1・{sin(π/2+θ1+θ00)} ・・・(8)
さらに、式(7)、式(8)に示したEx,Eyを次式に示す複素ベクトルEcに変換する。
Ec=Ex+j・Ey
=rk・ω0・b1・{cos(π/2+θ1+θ00)}
+j・rk・ω0・b1・{sin(π/2+θ1+θ00)}
=rk・ω0・b1
・{cos(π/2+θ1+θ00)+j・sin(π/2+θ1+θ00)}
=rk・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θ00)} ・・・(9)
複素座標に変換された式(9)の電極間起電力Ecは、磁場の時間変化のみに起因し、流速とは無関係な電極間起電力となる。式(9)のrk・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θ00)}は、長さがrk・ω0・b1、実軸からの角度がπ/2+θ1+θ00の複素ベクトルである。
また、前述の比例係数rk及びθ00は次の複素ベクトルkcで表すことができる。
kc=rk・cos(θ00)+j・rk・sin(θ00)
=rk・exp(j・θ00) ・・・(10)
式(10)において、rkはベクトルkcの大きさ、θ00は実軸に対するベクトルkの角度である。
次に、被測定流体の流速に起因する電極間起電力について説明する。被測定流体の流速の大きさがV(V≠0)の場合、発生する渦電流には、流速0のときの渦電流Iに加えて、被測定流体の流速ベクトルvに起因する成分v×Baが発生するため、流速ベクトルvと磁場Baによる渦電流Ivは、図3に示すような向きとなる。したがって、流速ベクトルvと磁場Baによって発生する電極間起電力Evは時間変化によって発生する電極間起電力Eと逆向きとなり、Evの方向をプラス方向とする。
このとき、流速に起因する電極間起電力Evは、次式に示すように、磁場B1に比例係数rkvをかけ、位相θ1をθ1+θ01で置き換えたものとなる(rkv、θ01は、流速の大きさVと被測定流体の導電率及び誘電率と電極2a,2bの配置を含む測定管1の構造に関係する)。
Ev=rkv・{b1・cos(ω0・t−θ1−θ01)} ・・・(11)
式(11)を変形すると次式となる。
Ev=rkv・b1・cos(ω0・t)・cos(−θ1−θ01)
−rkv・b1・sin(ω0・t)・sin(−θ1−θ01)
=rkv・b1・{cos(θ1+θ01)}・cos(ω0・t)
+rkv・b1・{sin(θ1+θ01)}・sin(ω0・t)
・・・(12)
ここで、式(12)をω0・tを基準として複素座標平面に写像すると、実軸成分Evx、虚軸成分Evyは次式となる。
Evx=rkv・b1・{cos(θ1+θ01)} ・・・(13)
Evy=rkv・b1・{sin(θ1+θ01)} ・・・(14)
さらに、式(13)、式(14)に示したEvx,Evyを次式に示す複素ベクトルEvcに変換する。
Evc=Evx+j・Evy
=rkv・b1・{cos(θ1+θ01)}
+j・rkv・b1・{sin(θ1+θ01)}
=rkv・b1・{cos(θ1+θ01)+j・sin(θ1+θ01)}
=rkv・b1・exp{j・(θ1+θ01)} ・・・(15)
複素座標に変換された式(15)の電極間起電力Evcは、被測定流体の流速に起因する電極間起電力となる。式(15)のrkv・b1・exp{j・(θ1+θ01)}は、長さがrkv・b1、実軸からの角度がθ1+θ01の複素ベクトルである。
また、前述の比例係数rkv及びθ01は次の複素ベクトルkvcであらすことができる。
kvc=rkv・cos(θ01)+j・rkv・sin(θ01)
=rkv・exp(j・θ01) ・・・(16)
式(16)において、rkvはベクトルkvcの大きさ、θ01は実軸に対するベクトルkvcの角度である。。ここで、rkvは、前記比例係数rk(式(10)参照)に流速の大きさVと比例係数γをかけたものに相当する。すなわち、次式が成立する。
rkv=γ・rk・V ・・・(17)
磁場の時間変化に起因する電極間起電力Ecと流体の流速に起因する電極間起電力Evcとを合わせた全体の電極間起電力Ea1cは、式(15)に式(17)を代入した式と、式(9)とを足すことにより、次式で表される。
Ea1c=rk・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θ00)}
+γ・rk・V・b1・exp{j・(θ1+θ01)} ・・・(18)
式(18)から分かるように、電極間起電力Ea1cは、∂A/∂t成分であるrk・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θ00)}とv×B成分であるγ・rk・V・b1・exp{j・(θ1+θ01)}の2個の複素ベクトルにより記述される。そして、この2個の複素ベクトルを合成した合成ベクトルの長さが出力(電極間起電力Ea1c)の大きさを表し、この合成ベクトルの角度φが入力(励磁電流)の位相ω0・tに対する電極間起電力Ea1cの位相差(位相遅れ)を表す。
角度θ00は実軸に対するベクトルkcの角度、角度θ01は実軸に対するベクトルkvcの角度である。この定義を言い換えると、θ00は虚軸に対する∂A/∂t成分の角度、θ01は実軸に対するv×B成分の角度である。ここで、角度θ00とθ01との関係がθ01=θ00+Δθ01である状態における電極間起電力Ea1cをE10とすると、電極間起電力E10は次式のようになる。
E10=rk・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θ00)}
+γ・rk・V・b1・exp{j・(θ1+θ00+Δθ01)}
・・・(19)
式(19)に示した合成ベクトル中の∂A/∂t成分を∂A/∂t成分における定数項Ka=exp(j・π/2)と、磁場に関連する項B1c=b1・exp(j・θ1)と、流体の特性や状態に関係する項C=rk・exp(j・θ00)と、角周波数ω0との積Va10で表すと、式(19)の右辺第1項は式(20)で表される。
Va10=Ka・B1c・C・ω0 ・・・(20)
また、合成ベクトル中のv×B成分をv×B成分における定数項Kb=γ・exp(j・Δθ01)と、磁場に関連する項B1c=b1・exp(j・θ1)と、流体の特性や状態に関係する項C=rk・exp(j・θ00)と、流速の大きさVとの積Vb10で表すと、式(19)の右辺第2項は式(21)で表される。
Vb10=Kb・B1c・C・V ・・・(21)
図4にベクトルVa10とベクトルVb10と合成ベクトルVa10+Vb10とを示す。この合成ベクトルVa10+Vb10の中からVa10のみを抽出し、流体の特性や状態による変動要因Cを取り出せば、流速に依存せずに、流体の特性や状態あるいは測定管内の状態の変化を知ることができる。合成ベクトルの中から∂A/∂t成分を抽出する方法については、後で一般化して説明する。
[第2の原理]
図5は、本発明の状態検出装置の第2の原理を説明するためのブロック図である。この状態検出装置は、測定管1と、電極2a,2bと、測定管軸PAXの方向と直交する、電極2a,2bを含む平面PLNを測定管1の境としたとき、この平面PLNを境とする測定管1の前後で非対称な、時間変化する磁場を被測定流体に印加する第1の励磁コイル3a、第2の励磁コイル3bとを有する。第1の励磁コイル3aは、平面PLNから例えば下流側にオフセット距離d1だけ離れた位置に配設される。第2の励磁コイル3bは、平面PLNから例えば上流側にオフセット距離d2だけ離れた位置に配設される。
図5の状態検出装置は、図1の状態検出装置に対して励磁コイルを1個追加したものである。新たに追加する第2の励磁コイル3bを既存の第1の励磁コイル3aと同じ側に追加した場合には、図1の冗長な構成となる。したがって、第2の励磁コイル3bは、電極2a,2bを含む平面PLNを挟んで第1の励磁コイル3aと異なる側に配置する必要がある。このような配置にすると、電極2a,2bで検出される、第1の励磁コイル3aから発生する磁場Bb及び流速に起因するv×B成分と、第2の励磁コイル3bから発生する磁場Bc及び流速に起因するv×B成分とが同じ方向を向く場合、第1の励磁コイル3aの磁場Bbの変化に起因する∂A/∂t成分と第2の励磁コイル3bの磁場Bcの変化に起因する∂A/∂t成分とは逆向きになる。この原理を利用すれば、∂A/∂t成分を効率的に取り出すことができる。
ここで、第1の励磁コイル3aから発生する磁場Bbのうち、電極2a,2b間を結ぶ電極軸EAX上において電極軸EAXおよび測定管軸PAXの双方と直交する磁場成分(磁束密度)B1と、第2の励磁コイル3bから発生する磁場Bcのうち、電極軸EAX上において電極軸EAXおよび測定管軸PAXの双方と直交する磁場成分(磁束密度)B2は、以下のように与えられるものとする。
B1=b1・cos(ω0・t−θ1) ・・・(22)
B2=b2・cos(ω0・t−θ2) ・・・(23)
式(22)、式(23)において、b1,b2は磁束密度B1,B2の振幅、ω0は角周波数、θ1,θ2は磁束密度B1,B2とω0・tとの位相差(位相遅れ)である。以下、磁束密度B1を磁場B1とし、磁束密度B2を磁場B2とする。
磁場の変化に起因する起電力は、磁場の時間微分dB/dtによるので、第1の励磁コイル3aから発生する磁場B1と第2の励磁コイル3bから発生する磁場B2を次式のように微分する。
dB1/dt=ω0・cos(ω0・t)・b1・{sin(θ1)}
+ω0・sin(ω0・t)・b1・{−cos(θ1)}
・・・(24)
dB2/dt=ω0・cos(ω0・t)・b2・{sin(θ2)}
+ω0・sin(ω0・t)・b2・{−cos(θ2)}
・・・(25)
被測定流体の流速が0の場合、発生する渦電流は、磁場の変化に起因する成分のみとなり、磁場Bbによる渦電流I1、磁場Bcによる渦電流I2は、図6に示すような向きとなる。したがって、電極軸EAXと測定管軸PAXとを含む平面内において、磁場Bbの変化によって発生する、流速と無関係な電極間起電力E1と、磁場Bcの変化によって発生する、流速と無関係な電極間起電力E2は、図6に示すように互いに逆向きとなる。
このとき、電極間起電力E1とE2とを足した全体の電極間起電力Eは、次式に示すように、磁場の時間微分dB1/dtとdB2/dtとの差(−dB1/dt+dB2/dt)に比例係数rkをかけ、位相差θ1,θ2をそれぞれθ1+θ00,θ2+θ00で置き換えたものとなる(rk、θ00は、被測定流体の導電率及び誘電率と電極2a,2bの配置を含む測定管1の構造に関係する)。
E=rk・ω0・cos(ω0・t)
・{−b1・sin(θ1+θ00)+b2・sin(θ2+θ00)}
+rk・ω0・sin(ω0・t)
・{b1・cos(θ1+θ00)−b2・cos(θ2+θ00)}
・・・(26)
被測定流体の流速の大きさがV(V≠0)の場合、発生する渦電流には、流速0のときの渦電流I1,I2に加えて、被測定流体の流速ベクトルvに起因する成分v×Bb,v×Bcが発生するため、流速ベクトルvと磁場Bbによる渦電流Iv1、流速ベクトルvと磁場Bcによる渦電流Iv2は、図7に示すような向きとなる。したがって、流速ベクトルvと磁場Bbによって発生する電極間起電力Ev1、流速ベクトルvと磁場Bcによって発生する電極間起電力Ev2は、同じ向きとなる。
このとき、電極間起電力Ev1とEv2とを足した全体の電極間起電力Evは、次式に示すように、磁場B1と磁場B2との和に比例係数rkvをかけ、位相差θ1,θ2をそれぞれθ1+θ01,θ2+θ01で置き換えたものとなる(rkv、θ01は、流速の大きさVと被測定流体の導電率及び誘電率と電極2a,2bの配置を含む測定管1の構造に関係する)。
Ev=rkv・cos(ω0・t)
・{b1・cos(θ1+θ01)+b2・cos(θ2+θ01)}
+rkv・sin(ω0・t)
・{b1・sin(θ1+θ01)+b2・sin(θ2+θ01)}
・・・(27)
図6、図7で説明した電極間起電力の向きを考慮すると、磁場の時間変化に起因する電極間起電力を複素ベクトルに変換した起電力と流体の流速に起因する電極間起電力を複素ベクトルに変換した起電力とを合わせた全体の電極間起電力のうち、角周波数ω0の成分Ea2cは、式(26)、式(27)に式(17)を適用することにより次式で表される。
Ea2c=rk・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θ00)}
+γ・rk・V・b1・exp{j・(θ1+θ01)}
+rk・ω0・b2・exp{j・(−π/2+θ2+θ00)}
+γ・rk・V・b2・exp{j・(θ2+θ01)} ・・・(28)
ここで、ω0・tに対する磁場B1の位相遅れθ1とω0・tに対する磁場B2の位相遅れθ2との関係がθ2=θ1+Δθ2で、かつ虚軸に対する∂A/∂t成分の角度θ00と実軸に対するv×B成分の角度θ01との関係がθ01=θ00+Δθ01である状態を励磁状態ST1とし、この励磁状態ST1における電極間起電力Ea2cをE20とすると、電極間起電力E20は次式のようになる。
E20=rk・exp{j・(θ1+θ00)}
・exp(j・π/2)・{b1−b2・exp(j・Δθ2)}・ω0
+rk・exp{j・(θ1+θ00)}
・γ・exp(j・Δθ01)・{b1+b2・exp(j・Δθ2)}・V
・・・(29)
また、磁場B1と磁場B2との位相差が励磁状態ST1から一定値πだけ変化し(θ2=π+θ1+Δθ2)、かつθ01=θ00+Δθ01である状態を励磁状態ST2とし、この励磁状態ST2における電極間起電力Ea2cをE20Rとすると、電極間起電力E20Rは式(29)より次式のようになる。
E20R=rk・exp{j・(θ1+θ00)}
・exp(j・π/2)・{b1+b2・exp(j・Δθ2)}・ω0
+rk・exp{j・(θ1+θ00)}
・γ・exp(j・Δθ01)・{b1−b2・exp(j・Δθ2)}・V
・・・(30)
式(29)の右辺第1項と式(30)の右辺第1項とを合わせたものが、第1の励磁コイル3aから発生する磁場の変化に起因する∂A/∂t成分と第2の励磁コイル3bから発生する磁場の変化に起因する∂A/∂t成分とを合わせた全ての∂A/∂t成分となり、式(29)の右辺第2項と式(30)の右辺第2項とを合わせたものが、第1の励磁コイル3aから発生する磁場および流体の流速に起因するv×B成分と第2の励磁コイル3bから発生する磁場および流体の流速に起因するv×B成分とを合わせた全てのv×B成分となる。
ここで、測定管軸PAXと直交する、電極2a,2bを含む平面PLNから第1の励磁コイル3aまでの距離d1と平面PLNから第2の励磁コイル3bまでの距離d2とが略等しいとすると(d1≒d2)、b1≒b2、Δθ2≒0になる。この場合、式(29)、式(30)は以下のようになる。
E20≒rk・exp{j・(θ1+θ00)}
・{2・b1・γ・V・exp(j・Δθ01)} ・・・(31)
E20R≒rk・exp{j・(θ1+θ00)}
・{2・b1・ω0・exp(j・π/2)} ・・・(32)
すなわち、電極間起電力E20はほぼv×B成分の起電力のみとなり、電極間起電力E20Rはほぼ∂A/∂t成分の起電力のみとなるので、第1の励磁コイル3aから発生する磁場と第2の励磁コイル3bから発生する磁場の位相差をおよそπに保てば、∂A/∂t成分を効率良く抽出できることが分かる。
式(29)の合成ベクトル中の∂A/∂t成分において、第1の励磁コイル3aから発生する磁場による部分を、∂A/∂t成分における定数項Ka=exp(j・π/2)と、第1の励磁コイル3aから発生する磁場に関連する項B1c=b1・exp(j・θ1)と、流体の特性や状態に関係する項C=rk・exp(j・θ00)と、角周波数ω0との積Va10で表すと、Va10は式(33)で表され、式(30)における∂A/∂t成分もVa10で表される。
Va10=Ka・B1c・C・ω0 ・・・(33)
式(29)の合成ベクトル中のv×B成分において、第1の励磁コイル3aから発生する磁場による部分を、v×B成分における定数項Kb=γ・exp(j・Δθ01)と、第1の励磁コイル3aから発生する磁場に関連する項B1c=b1・exp(j・θ1)と、流体の特性や状態に関係する項C=rk・exp(j・θ00)と、流速の大きさVとの積Vb10で表すと、Vb10は式(34)で表され、式(30)におけるv×B成分もVb10で表される。
Vb10=Kb・B1c・C・V ・・・(34)
図8に、ベクトルVa10とベクトルVb10と合成ベクトルVa10+Vb10とを示す。図8において、Reは実軸、Imは虚軸である。
式(29)の合成ベクトル中の∂A/∂t成分において、第2の励磁コイル3bから発生する磁場による部分を、∂A/∂t成分における定数項−Ka=−exp(j・π/2)と、第2の励磁コイル3bから発生する磁場に関連する項B2c=b2・exp{j・(θ1+Δθ2)}と、流体の特性や状態に関係する項C=rk・exp(j・θ00)と、角周波数ω0との積Va20で表すと、Va20は式(35)で表される。
Va20=−Ka・B2c・C・ω0 ・・・(35)
式(30)の励磁状態ST2は式(29)の励磁状態ST1と比べて磁場の位相がπだけずれるので磁場の向きが反転し、第2の励磁コイル3bから発生する磁場に関連する項が−B2c=−b2・exp{j・(θ1+Δθ2)}になる。したがって、式(30)の合成ベクトル中の∂A/∂t成分において、第2の励磁コイル3bから発生する磁場による部分を、∂A/∂t成分における定数項−Kaと、第2の励磁コイル3bから発生する磁場に関連する項−B2cと、流体の特性や状態に関係する項Cと、角周波数ω0との積Va20Rで表すと、Va20Rは式(36)で表される。
Va20R=−Ka・(−B2c)・C・ω0 ・・・(36)
式(29)の合成ベクトル中のv×B成分において、第2の励磁コイル3bから発生する磁場による部分を、v×B成分における定数項Kb=γ・exp(j・Δθ01)と、第2の励磁コイル3bから発生する磁場に関連する項B2c=b2・exp{j・(θ1+Δθ2)}と、流体の特性や状態に関係する項C=rk・exp(j・θ00)と、流速の大きさVとの積Vb20で表すと、Vb20は式(37)で表される。
Vb20=Kb・B2c・C・V ・・・(37)
図9に、ベクトルVa20とベクトルVb20と合成ベクトルVa20+Vb20とを示す。また、図10に、第1の励磁コイル3aと第2の励磁コイル3bで励磁した場合の∂A/∂t成分のベクトルVa10+Va20とv×B成分のベクトルVb10+Vb20と合成ベクトルVa10+Va20+Vb10+Vb20とを示す。
前述のとおり、励磁状態ST2は励磁状態ST1と比べて磁場の位相がπだけずれるので、第2の励磁コイル3bから発生する磁場に関連する項が−B2cになる。したがって、式(30)の合成ベクトル中のv×B成分において、第2の励磁コイル3bから発生する磁場による部分を、v×B成分における定数項Kbと、第2の励磁コイル3bから発生する磁場に関連する項−B2cと、流体の特性や状態に関係する項Cと、流速の大きさVとの積Vb20Rで表すと、Vb20Rは式(38)で表される。
Vb20R=Kb・(−B2c)・C・V ・・・(38)
図11に、ベクトルVa20RとベクトルVb20Rと合成ベクトルVa20R+Vb20Rとを示す。また、図12に、第1の励磁コイル3aと第2の励磁コイル3bで励磁した場合の∂A/∂t成分のベクトルVa10+Va20Rとv×B成分のベクトルVb10+Vb20Rと合成ベクトルVa10+Va20R+Vb10+Vb20Rとを示す。
式(33)、式(34)、式(36)、式(38)より、励磁状態ST2において電極2a,2bで検出される∂A/∂t成分Va10+Va20R(式(30)の右辺第1項)と、v×B成分Vb10+Vb20R(式(30)の右辺第2項)は次式で表される。
Va10+Va20R=Ka・(B1c+B2c)・C・ω0 ・・・(39)
Vb10+Vb20R=Kb・(B1c−B2c)・C・V ・・・(40)
この∂A/∂t成分とv×B成分の合成ベクトルE20R(=Va10+Va20R+Vb10+Vb20R)の中から∂A/∂t成分Va10+Va20Rのみを抽出し、流体の特性や状態による変動要因Cを取り出せば、流速に依存せずに、流体の特性や状態あるいは測定管内の状態の変化を知ることができる。合成ベクトルの中から∂A/∂t成分を抽出する方法については、後で一般化して説明する。
[第3の原理]
図13は、本発明の状態検出装置の第3の原理を説明するためのブロック図である。この状態検出装置は、測定管1と、被測定流体に印加される磁場および測定管軸PAXの双方と直交し、かつ被測定流体と接触するように測定管1に対向配置され、前記磁場と被測定流体の流れとによって生じた起電力を検出する第1の電極2a,2bおよび第2の電極2c,2dと、測定管軸PAXと直交する、第1の電極2a,2bを含む平面をPLN1、測定管軸PAXと直交する、第2の電極2c,2dを含む平面をPLN2としたとき、平面PLN1を境とする測定管1の前後で非対称な、時間変化する磁場を被測定流体に印加すると同時に、平面PLN2を境とする測定管1の前後で非対称な、時間変化する磁場を被測定流体に印加する励磁コイル3とを有する。第1の電極2a,2bは、励磁コイル3の軸を含む、測定管軸PAXの方向と垂直な平面PLN3から例えば上流側にオフセット距離d3だけ離れた位置に配設される。第2の電極2c,2dは、平面PLN3から例えば下流側にオフセット距離d4だけ離れた位置に配設される。
図13の状態検出装置は、図1の状態検出装置に対して電極を1対追加したものである。新たに追加する第2の電極2c,2dを既存の第1の電極2a,2bと同じ側に追加した場合には、図1の冗長な構成となる。したがって、第2の電極2c,2dは、励磁コイル3を挟んで第1の電極2a,2bと異なる側に配置する必要がある。このような配置にすると、第1の電極2a,2bで検出される、励磁コイル3から発生する磁場及び流速に起因するv×B成分と、第2の電極2c,2dで検出される、励磁コイル3から発生する磁場及び流速に起因するv×B成分とは同じ方向になるが、第1の電極2a,2bで検出される、励磁コイル3から発生する磁場の変化に起因する∂A/∂t成分と、第2の電極2c,2dで検出される、励磁コイル3から発生する磁場の変化に起因する∂A/∂t成分とは逆向きになる。この原理を利用すれば、∂A/∂t成分を効率的に取り出すことができる。
ここで、励磁コイル3から発生する磁場Bdのうち、電極2a,2b間を結ぶ電極軸EAX1上において電極軸EAX1および測定管軸PAXの双方と直交する磁場成分(磁束密度)B3と、励磁コイル3から発生する磁場Bdのうち、電極2c,2d間を結ぶ電極軸EAX2上において電極軸EAX2および測定管軸PAXの双方と直交する磁場成分(磁束密度)B4は、以下のように与えられるものとする。
B3=b3・cos(ω0・t−θ3) ・・・(41)
B4=b4・cos(ω0・t−θ4) ・・・(42)
但し、B3、B4は1つの励磁コイル3から発生しているので、b3とb4、θ3とθ4は互いに関係があり、独立変数ではない。式(41)、式(42)において、b3,b4は磁束密度B3,B4の振幅、ω0は角周波数、θ3,θ4は磁束密度B3,B4とω0・tとの位相差(位相遅れ)である。以下、磁束密度B3を磁場B3とし、磁束密度B4を磁場B4とする。
磁場の変化に起因する起電力は、磁場の時間微分dB/dtによるので、励磁コイル3から発生する磁場Bdのうち、B3,B4を次式のように微分する。
dB3/dt=ω0・cos(ω0・t)・b3・{sin(θ3)}
+ω0・sin(ω0・t)・b3・{−cos(θ3)}
・・・(43)
dB4/dt=ω0・cos(ω0・t)・b4・{sin(θ4)}
+ω0・sin(ω0・t)・b4・{−cos(θ4)}
・・・(44)
被測定流体の流量が0の場合、発生する渦電流は、磁場の変化に起因する成分のみとなり、磁場Bdの変化による渦電流Iは、図14に示すような向きとなる。したがって、電極軸EAX1と測定管軸PAXとを含む平面内において磁場Bdの変化によって発生する電極2a,2b間の、流速と無関係な第1の電極間起電力E1と、電極軸EAX2と測定管軸PAXとを含む平面内において磁場Bdの変化によって発生する電極2c,2d間の、流速と無関係な第2の電極間起電力E2は、図14に示すように互いに逆向きとなる。
このとき、第1の電極間起電力E1と第2の電極間起電力E2は、次式に示すように、起電力の向きを加えた磁場の時間微分(−dB3/dt、dB4/dt)に比例係数rkをかけ、位相差θ3,θ4をそれぞれθ3+θ00,θ4+θ00で置き換えたものとなる(rk、θ00は、被測定流体の導電率及び誘電率と電極2a,2b,2c,2dの配置を含む測定管1の構造に関係する)。
E1=rk・ω0・cos(ω0・t)・b3・{−sin(θ3+θ00)}
+rk・ω0・sin(ω0・t)・b3・{cos(θ3+θ00)}
・・・(45)
E2=rk・ω0・cos(ω0・t)・b4・{sin(θ4+θ00)}
+rk・ω0・sin(ω0・t)・b4・{−cos(θ4+θ00)}
・・・(46)
被測定流体の流速の大きさがV(V≠0)の場合、発生する渦電流には、流速0のときの渦電流Iに加えて、被測定流体の流速ベクトルvに起因する成分v×Bdが発生するため、流速ベクトルvと磁場Bdによる渦電流Ivは、図15に示すような向きとなる。したがって、流速ベクトルvと磁場Bdによって発生する第1の電極間起電力Ev1、流速ベクトルvと磁場Bdによって発生する第2の電極間起電力Ev2は、同じ向きとなる。
このとき、第1の電極間起電力Ev1と第2の電極間起電力Ev2は、次式に示すように、起電力の向きを加えた磁場(B3、B4)に比例係数rkvをかけ、位相差θ3、θ4をそれぞれθ3+θ01,θ4+θ01で置き換えたものとなる(rkv、θ01は、流速の大きさVと被測定流体の導電率及び誘電率と電極2a,2b,2c,2dの配置を含む測定管1の構造に関係する)。
Ev1=rkv・cos(ω0・t)・b3・cos(θ3+θ01)
+rkv・sin(ω0・t)・b3・sin(θ3+θ01) ・・(47)
Ev2=rkv・cos(ω0・t)・b4・cos(θ4+θ01)
+rkv・sin(ω0・t)・b4・sin(θ4+θ01) ・・(48)
図14、図15で説明した電極間起電力の向きを考慮すると、磁場の時間変化に起因する電極間起電力を複素ベクトルに変換した起電力と被測定流体の流速に起因する電極間起電力を複素ベクトルに変換した起電力とを合わせた、電極2a,2b間の第1の電極間起電力Ea3cは、式(17)を用いれば、式(18)に対応して次式で表される。
Ea3c=rk・ω0・b3・exp{j・(π/2+θ3+θ00)}
+γ・rk・V・b3・exp{j・(θ3+θ01)} ・・・(49)
また、磁場の時間変化に起因する電極間起電力を複素ベクトルに変換した起電力と被測定流体の流速に起因する電極間起電力を複素ベクトルに変換した起電力とを合わせた、電極2c,2d間の第2の電極間起電力Ea4cは、式(17)を用いれば、式(18)に対応して次式で表される。
Ea4c=rk・ω0・b4・exp{j・(−π/2+θ4+θ00)}
+γ・rk・V・b4・exp{j・(θ4+θ01)} ・・・(50)
ここで、ω0・tに対する磁場B3の位相遅れθ3とω0・tに対する磁場B4の位相遅れθ4との関係をθ4=θ3+Δθ4とし、かつ虚軸に対する∂A/∂t成分の角度θ00と実軸に対するv×B成分の角度θ01との関係をθ01=θ00+Δθ01とする。式(49)の第1の電極間起電力Ea3cにθ01=θ00+Δθ01を代入したものをE301、式(50)の第2の電極間起電力Ea4cにθ4=θ3+Δθ4、θ01=θ00+Δθ01を代入したものをE302とすると、第1の電極間起電力E301、第2の電極間起電力E302は次式で表される。
E301=rk・ω0・b3・exp{j・(π/2+θ3+θ00)}
+γ・rk・V・b3・exp{j・(θ3+θ01)} ・・・(51)
E302=rk・ω0・b4・exp{j・(−π/2+θ3+Δθ4+θ00)}
+γ・rk・V・b4・exp{j・(θ3+Δθ4+θ01)}
・・・(52)
第1の電極間起電力E301と第2の電極間起電力E302との和E30sおよび差E30dは次式で示される。
E30s=E301+E302
=rk・exp{j・(θ3+θ00)}
・exp(j・π/2)・{b3−b4・exp(j・Δθ4)}・ω0
+rk・exp{j・(θ3+θ00)}
・γ・exp(j・Δθ01)・{b3+b4・exp(j・Δθ4)}・V
・・・(53)
E30d=E301−E302
=rk・exp{j・(θ3+θ00)}
・exp(j・π/2)・{b3+b4・exp(j・Δθ4)}・ω0
+rk・exp{j・(θ3+θ00)}
・γ・exp(j・Δθ01)・{b3−b4・exp(j・Δθ4)}・V
・・・(54)
式(53)の右辺第1項が第1の電極2a,2bで検出される起電力と第2の電極2c,2dで検出される起電力との和の中の∂A/∂t成分、式(53)の右辺第2項が第1の電極2a,2bで検出される起電力と第2の電極2c,2dで検出される起電力との和の中のv×B成分となる。また、式(54)の右辺第1項が第1の電極2a,2bで検出される起電力と第2の電極2c,2dで検出される起電力との差の中の∂A/∂t成分、式(54)の右辺第2項が第1の電極2a,2bで検出される起電力と第2の電極2c,2dで検出される起電力との差の中のv×B成分となる。
ここで、励磁コイル3の軸を含む平面PLN3から電極2a,2b間を結ぶ電極軸EAX1までの距離d3と平面PLN3から電極2c,2d間を結ぶ電極軸EAX2までの距離d4とが略等しいとすると(d3≒d4)、b3≒b4、Δθ4≒0になる。この場合、式(53)、式(54)は以下のようになる。
E30s≒rk・exp{j・(θ3+θ00)}
・{2・b3・γ・V・exp(j・Δθ01)} ・・・(55)
E30d≒rk・exp{j・(θ3+θ00)}
・{2・b3・ω0・exp(j・π/2)} ・・・(56)
すなわち、第1の電極間起電力と第2の電極間起電力との和E30sはほぼv×B成分の起電力のみとなり、第1の電極間起電力と第2の電極間起電力との差E30dはほぼ∂A/∂t成分の起電力のみとなるので、第1の電極間起電力と第2の電極間起電力との差をとれば、∂A/∂t成分を効率良く抽出できることが分かる。。
式(51)の第1の電極間起電力E301の合成ベクトル中の∂A/∂t成分を、∂A/∂t成分における定数項Ka=exp(j・π/2)と、励磁コイル3から発生する磁場に関連する項Bc3=b3・exp(j・θ3)と、流体の特性や状態に関係する項C=rk・exp(j・θ00)と、角周波数ω0との積Va30で表すと、Va30は式(57)で表される。
Va30=Ka・Bc3・C・ω0 ・・・(57)
式(51)の第1の電極間起電力E301の合成ベクトル中のv×B成分を、v×B成分における定数項Kb=γ・exp(j・Δθ01)と、励磁コイル3から発生する磁場に関連する項Bc3=b3・exp(j・θ3)と、流体の特性や状態に関係する項C=rk・exp(j・θ00)と、流速の大きさVとの積Vb30で表すと、Vb30は式(58)で表される。
Vb30=Kb・Bc3・C・V ・・・(58)
式(52)の第2の電極間起電力E302の合成ベクトル中の∂A/∂t成分を、∂A/∂t成分における定数項−Ka=−exp(j・π/2)と、励磁コイル3から発生する磁場に関連する項Bc4=b4・exp{j・(θ3+Δθ4)}と、流体の特性や状態に関係する項C=rk・exp(j・θ00)と、角周波数ω0との積Va40で表すと、Va40は式(59)で表される。
Va40=−Ka・Bc4・C・ω0 ・・・(59)
第1の電極間起電力E301と第2の電極起電力E302との差をとる場合は(E301−E302)となることを考慮し、式(59)のVa40の符号を反転させたものをVa40Rとして(Va40R=−Va40)、式(60)のように定義しておく。
Va40R=Ka・Bc4・C・ω0 ・・・(60)
式(52)の第2の電極間起電力E302の合成ベクトル中のv×B成分を、v×B成分における定数項Kb=γ・exp(j・Δθ01)と、励磁コイル3から発生する磁場に関連する項Bc4=b4・exp{j・(θ3+Δθ4)}と、流体の特性や状態に関係する項C=rk・exp(j・θ00)と、流速の大きさVとの積Vb40で表すと、Vb40は式(61)で表される。
Vb40=Kb・Bc4・C・V ・・・(61)
第1の電極間起電力E301と第2の電極起電力E302との差をとる場合は(E301−E302)となることを考慮し、式(61)のVb40の符号を反転させたものをVb40Rとして(Vb40R=−Vb40)、式(62)のように定義しておく。
Vb40R=−Kb・Bc4・C・V ・・・(62)
式(57)、式(58)、式(60)、式(62)より、起電力差E30dの中で、励磁コイル3から発生する磁場の変化に起因する∂A/∂t成分Va30+Va40R(式(54)の右辺第1項)と、励磁コイル3から発生する磁場及び流速に起因するv×B成分Vb30+Vb40R(式(54)の右辺第2項)は次式で表される。
Va30+Va40R=Ka・(Bc3+Bc4)・C・ω0 ・・・(63)
Vb30+Vb40R=Kb・(Bc3−Bc4)・C・V ・・・(64)
この∂A/∂t成分とv×B成分の合成ベクトルE30d(=Va30+Va40R+Vb30+Vb40R)の中から∂A/∂t成分(Va30+Va40R)のみを抽出し、流体の特性や状態による変動要因Cを取り出せば、流速に依存せずに、流体の特性や状態あるいは測定管内の状態の変化を知ることができる。
次に、合成ベクトルの中から∂A/∂t成分を抽出する方法について説明する。以後、対象となる流体の特性や状態あるいは測定管内の状態のことをパラメータと呼ぶ。
[第1の抽出方法]
図1、図5、図13の3つの構成のいずれにも適用できる抽出方法として、第1の抽出方法を説明する。この第1の抽出方法は、∂A/∂t成分は周波数により変動するが、v×B成分は変動しないことを利用する方法である。ただし、第1の抽出方法の場合、パラメータの値で変動する成分Cがパラメータの値のみに関係し、周波数特性を持たないことが必要になる。
まず、図1の構成の場合、励磁コイル3に角周波数ω0の励磁電流を供給した場合に電極2a,2bで検出される起電力は、以下の∂A/∂t成分のベクトルVa10とv×B成分のベクトルVb10の合成ベクトルVa10+Vb10に相当する。
Va10=Ka・B1c・C・ω0 ・・・(65)
Vb10=Kb・B1c・C・V ・・・(66)
∂A/∂t成分は流速の大きさVに無関係なベクトルであり、v×B成分は流速の大きさVに比例して大きさが変化するベクトルであることに着目すれば、励磁角周波数をω0と異なるω2としたときの合成ベクトルと励磁角周波数をω0としたときの合成ベクトルとの差をとれば、v×B成分がキャンセルされ、∂A/∂t成分が残ることになる。
励磁角周波数をω2としたときのv×B成分は式(66)と同じになり、励磁角周波数をω2としたときの∂A/∂t成分のベクトルVa12は式(65)においてω0をω2で置き換えたものとなり、次式のようになる。
Va12=Ka・B1c・C・ω2 ・・・(67)
励磁角周波数をω0としたときの合成ベクトルから励磁角周波数をω2としたときの合成ベクトルを引けば、v×B成分がキャンセルされ、Va10−Va12と同じになる。よって、流速に関係しない∂A/∂t成分Va10−Va12を異なる周波数成分の出力差を利用することにより抽出することができる。図16は、∂A/∂t成分Va10−Va12を抽出する処理を複素ベクトル表現した図である。
次に、図5の構成の場合、上述のように第1の励磁コイル3aから発生する磁場と第2の励磁コイル3bから発生する磁場の位相差を略πに保てば、∂A/∂t成分を効率よく抽出することができる。角周波数ω0の第1の励磁電流を第1の励磁コイル3aに供給し、第1の励磁電流との位相差がΔθ2+πで角周波数がω0の第2の励磁電流を第2の励磁コイル3bに供給した場合に電極2a,2bで検出される起電力は、式(39)の∂A/∂t成分のベクトルVa10+Va20RをVas0Rとし、式(40)のv×B成分のベクトルVb10+Vb20RをVbs0Rとすれば、下記の合成ベクトルVas0R+Vbs0Rに相当する。
Vas0R=Ka・(B1c+B2c)・C・ω0 ・・・(68)
Vbs0R=Kb・(B1c−B2c)・C・V ・・・(69)
図1の場合と同様に、励磁角周波数をω2としたときのv×B成分は式(69)と同じになり、励磁角周波数をω2としたときの∂A/∂t成分のベクトルVas2Rは式(68)においてω0をω2で置き換えたものとなり、次式のようになる。
Vas2R=Ka・(B1c+B2c)・C・ω2 ・・・(70)
励磁角周波数をω0としたときの合成ベクトルから励磁角周波数をω2としたときの合成ベクトルを引けば、v×B成分がキャンセルされ、Vas0R−Vas2Rと同じになる。よって、流速に関係しない∂A/∂t成分Vas0R−Vas2Rを異なる周波数成分の出力差を利用することにより抽出することができる。図17は、∂A/∂t成分Vas0R−Vas2Rを抽出する処理を複素ベクトル表現した図である。
次に、図13の構成の場合、合成ベクトルの中から∂A/∂t成分を抽出する方法は、図5の構成の場合と同様になる。図5の状態検出装置の場合で説明した抽出方法を図13の状態検出装置に対応させるには、第1の励磁コイル3aから発生する磁場の影響に起因する起電力を第1の電極2a,2bで検出される起電力に置き換え、第2の励磁コイル3bから発生する磁場の影響に起因する起電力を第2の電極2c,2dで検出される起電力に置き換え、励磁状態ST1で検出される起電力を起電力和に置き換え、励磁状態ST2で検出される起電力を起電力差に置き換えればよい。
[第2の抽出方法]
図1、図5、図13の3つの構成のうち、図5、図13の構成に適用できる抽出方法として、第2の抽出方法を説明する。この第2の抽出方法は、励磁コイルを含む、管軸方向に垂直な平面に対して管軸方向の前後でv×B成分は同じ方向を向いているが、∂A/∂t成分は逆方向を向いていることを利用してv×B成分をキャンセルする方法である。
図5の構成の場合、上述のように第1の励磁コイル3aから発生する磁場と第2の励磁コイル3bから発生する磁場の位相差を略πに保てば、∂A/∂t成分を効率よく抽出することができる。第1の抽出方法と同様に、合成ベクトルVas0R+Vbs0Rの中から∂A/∂t成分のベクトルVas0Rを抽出する。Vas0R≫Vbs0Rと近似できる場合は、Vbs0R≒0となり、近似的に∂A/∂t成分のベクトルVas0Rを抽出することができる。
初期状態(校正時の状態)において、第1の励磁コイル3aから発生する磁場B1と第2の励磁コイル3bから発生する磁場B2とを等しく設定しておくと、その後の磁場B1とB2の初期状態からの差は小さくなり、次式の条件が成り立つ。
|b1+b2・exp(j・Δθ2)|≫|b1−b2・exp(j・Δθ2)|
・・・(71)
また、通常ω0>γ・Vが成り立つことから、式(71)の条件を考慮すると、式(30)の電極間起電力E20Rにおいて次式の条件が成り立つ。
|ω0・exp(j・π/2)・{b1+b2・exp(j・Δθ2)}|
≫|γ・V・exp(j・Δθ01)・{b1−b2・exp(j・Δθ2)}|
・・・(72)
式(72)の条件を用いて、式(30)の電極間起電力E20Rを近似した起電力をVas0R’とすると、電極間起電力Vas0R’は次式で表される。
Vas0R’≒Vas0R+Vbs0R ・・・(73)
Vas0R’=rk・exp{j・(θ1+θ00)}
・ω0・exp(j・π/2)・{b1+b2・exp(j・Δθ2)}
=Vas0R ・・・(74)
よって、第1の励磁コイル3aから発生する磁場と第2の励磁コイル3bから発生する磁場の位相差を利用して、合成ベクトルVas0R+Vbs0Rの中から∂A/∂t成分のベクトルVas0Rを抽出できることが分かる。
次に、図13の構成の場合、合成ベクトルの中から∂A/∂t成分を抽出する方法は、第1の抽出方法でも説明したとおり、図5の構成の場合と同様になる。図13の構成の場合は、第1の電極2a,2bと第2の電極2c,2d間の出力差を利用することにより、合成ベクトルVas0R+Vbs0Rの中から∂A/∂t成分のベクトルVas0Rを抽出することができる。
次に、抽出した∂A/∂t成分から前述のパラメータを抽出する方法について説明する。∂A/∂t成分に含まれるパラメータには、パラメータによる変動要因が周波数に関係しない(すなわち、周波数の影響を無視できる)第1のパラメータと、周波数に関係する第2のパラメータとがある。
[第1のパラメータを抽出する方法]
第1の抽出方法により図1の構成で抽出される∂A/∂t成分はベクトルVa10−Va12であり、図5の構成で抽出される∂A/∂t成分はベクトルVas0R−Vas2Rである。抽出された∂A/∂t成分は流速Vに関係しないので、これを用いて流速以外の流体の特性や状態あるいは測定管内の状態を計測することが可能になる。ベクトルVa10−Va12とVas0R−Vas2Rのいずれにおいても同様の方法で第1のパラメータを抽出することが可能なので、ここではベクトルVas0R−Vas2Rから第1のパラメータを抽出する場合を例にして説明する。
ベクトルVas0R−Vas2Rにおいて、対象となる第1のパラメータにより変化する変動要因はC=rk・exp(j・θ00)で表される。比例係数rk、虚軸に対する∂A/∂t成分の角度θ00を第1のパラメータpの関数としてそれぞれrk[p]、θ00[p]と関数形式で表わし、第1のパラメータがpのときの変動要因CをCpとすると、変動要因Cpは次式で表される。
Cp=rk[p]・exp(j・θ00[p]) ・・・(75)
また、式(68)、式(70)より、ベクトルVas0R−Vas2Rは次式で表される。
Vas0R−Vas2R=Ka・(B1c+B2c)・Cp・(ω0−ω2)
・・・(76)
式(76)より、対象となる第1のパラメータによって変化する変動要因Cpは、次式で表される。
Cp={Vas0R−Vas2R}/{Ka・(B1c+B2c)・(ω0−ω2)}
・・・(77)
ここで、適当な励磁コイルを用いて、振幅や位相が変動しない磁場を発生させる場合、∂A/∂t成分における磁場に関連する項B1c,B2cは校正時に確認できる値となり、{Vas0R−Vas2R}/{Ka・(B1c+B2c)・(ω0−ω2)}の大きさがrk[p]、{Vas0R−Vas2R}/{Ka・(B1c+B2c)・(ω0−ω2)}の実軸からの角度がθ00[p]となるので、第1のパラメータpと比例係数rk[p]との関係、または第1のパラメータpと角度θ00[p]との関係を校正時に記憶させておけば、{Vas0R−Vas2R}/{Ka・(B1c+B2c)・(ω0−ω2)}の大きさまたは位相を計算することにより、第1のパラメータpを求めることができる。第1のパラメータpは周波数によって変化しないので、任意の周波数を用いて第1のパラメータpを求めることができる。
[第2のパラメータを抽出する方法]
第2の抽出方法により図5の構成で抽出される∂A/∂t成分は式(68)のベクトルVas0Rで表される。抽出された∂A/∂t成分は流速Vに関係しないので、これを用いて流速以外の流体の特性や状態あるいは測定管内の状態を計測することが可能になる。式(68)のベクトルVas0Rにおいて、対象となる第2のパラメータにより変化する変動要因はC=rk・exp(j・θ00)で表される。比例係数rk、虚軸に対する∂A/∂t成分の角度θ00を第2のパラメータp及び角周波数ωの関数としてそれぞれrk[p,ω]、θ00[p,ω]と関数形式で表し、第2のパラメータがpで、角周波数がω0のときの変動要因CをCp0とすると、変動要因Cp0は次式で表される。
Cp0=rk[p,ω0]・exp(j・θ00[p,ω0]) ・・・(78)
また、式(68)より、ベクトルVas0Rは次式で表される。
Vas0R=Ka・(B1c+B2c)・Cp0・ω0 ・・・(79)
式(79)より、対象となる第2のパラメータによって変化する変動要因Cp0は、次式で表される。
Cp0=Vas0R/{Ka・(B1c+B2c)・ω0} ・・・(80)
ここで、適当な励磁コイルを用いて、振幅や位相が変動しない磁場を発生させる場合、∂A/∂t成分における磁場に関連する項B1c,B2cは校正時に確認できる値となり、Vas0R/{Ka・(B1c+B2c)・ω0}の大きさがrk[p,ω0]、Vas0R/{Ka・(B1c+B2c)・ω0}の実軸からの角度がθ00[p,ω0]となるので、励磁角周波数ω0における第2のパラメータpと比例係数rk[p,ω0]との関係、または励磁角周波数ω0における第2のパラメータpと角度θ00[p,ω0]との関係を校正時に記憶させておけば、Vas0R/{Ka・(B1c+B2c)・ω0}の大きさまたは位相を計算することにより、第2のパラメータpを求めることができる。
ただし、励磁周波数を1つに固定する場合は第1のパラメータを求める場合と同等になるので、励磁周波数を1つに固定しない場合の例として磁場の変動を考慮して第2のパラメータの値を出力する場合を示しておく。この場合は複数の角周波数下での∂A/∂t成分を求めることにより、磁場の変動要因を除去し、誤差の少ない第2のパラメータの値を出力することが可能になる。
式(70)のベクトルVas2Rにおいて、励磁角周波数ω2における変動要因Cの値をCp2とすると、変動要因Cp2とベクトルVas2Rは、式(78)、式(79)に対応して次式で表される。
Cp2=rk[p,ω2]・exp(j・θ00[p,ω2]) ・・・(81)
Vas2R=Ka・(B1c+B2c)・Cp0・ω2 ・・・(82)
式(82)より、対象となる第2のパラメータによって変化する変動要因Cp2は、次式で表される。
Cp2=Vas2R/{Ka・(B1c+B2c)・ω2} ・・・(83)
変動要因Cp0とCp2の間にCp0≠Cp2の関係が成立しているとき、変動要因Cp0とCp2の比をCnとすると、式(78)、式(80)、式(81)、式(83)より比Cnは次式で表される。
Cn=Cp2/Cp0
={rk[p,ω2]/rk[p,ω0]}
・exp{j・(θ00[p,ω2]−θ00[p,ω0])}
=(Vas2R/Vas0R)・(ω0/ω2) ・・・(84)
式(84)によれば、比Cnに磁場の変動要因が含まれておらず、誤差要因を少なくして第2のパラメータpを得ることができる。校正時において、励磁角周波数ω0,ω2と第2のパラメータpと{rk[p,ω2]/rk[p,ω0]}との関係を記憶させておくか、あるいは励磁角周波数ω0,ω2と第2のパラメータpと(θ00[p,ω2]−θ00[p,ω0])との関係を記憶させておけば、(Vas2R/Vas0R)・(ω0/ω2)の大きさまたは位相を計算することにより、磁場による変動要因(例えば磁場のシフト等)を除去した形で第2のパラメータpを求めることができる。
次に、複数の第2のパラメータの値を求める場合について説明する。各パラメータによる変動要因の周波数特性が異なる場合には複数の励磁角周波数下での∂A/∂t成分を求めることにより、複数の第2のパラメータの値を求めることが可能になる。ここでは、2つの第2のパラメータの値を求める例を示す。2つの第2のパラメータのうち、一方を第3のパラメータ、他方を第4のパラメータとする。
式(68)のベクトルVas0Rにおいて、対象となる第2のパラメータにより変化する変動要因はC=rk・exp(j・θ00)で表される。比例係数rk、虚軸に対する∂A/∂t成分の角度θ00を第3のパラメータp、第4のパラメータq及び角周波数ωの関数としてそれぞれrk[p,q,ω]、θ00[p,q,ω]と関数形式で表し、第3のパラメータがpで、第4のパラメータがq、かつ角周波数がω0のときの変動要因Cの値をCpq0とすると、変動要因Cpq0は次式で表される。
Cpq0=rk[p,q,ω0]・exp(j・θ00[p,q,ω0])
・・・(85)
また、式(68)より、ベクトルVas0Rは次式で表される。
Vas0R=Ka・(B1c+B2c)・Cpq0・ω0 ・・・(86)
式(86)より、対象となる第3、第4のパラメータによって変化する変動要因Cpq0は、次式で表される。
Cpq0=Vas0R/{Ka・(B1c+B2c)・ω0} ・・・(87)
また、第3のパラメータがpで、第4のパラメータがq、かつ角周波数がω2のときの変動要因Cの値をCpq2とすると、変動要因Cpq2とベクトルVas2Rは、式(85)、式(86)に対応して次式で表される。
Cpq2=rk[p,q,ω2]・exp(j・θ00[p,q,ω2])
・・・(88)
Vas2R=Ka・(B1c+B2c)・Cpq2・ω2 ・・・(89)
式(89)より、対象となる第3、第4のパラメータによって変化する変動要因Cpq2は、次式で表される。
Cpq2=Vas2R/{Ka・(B1c+B2c)・ω2} ・・・(90)
Cpq1≠Cpq2であるならば、変動要因Cpq0とCpq2の2種類の値が求まることになる。
ここで、適当な励磁コイルを用いて、振幅や位相が変動しない磁場を発生させる場合、∂A/∂t成分における磁場に関連する項B1c,B2cは校正時に確認できる値となる。Vas0R/{Ka・(B1c+B2c)・ω0}の大きさがrk[p,q,ω0]、Vas0R/{Ka・(B1c+B2c)・ω0}の実軸からの角度がθ00[p,q,ω0]となり、Vas2R/{Ka・(B1c+B2c)・ω2}の大きさがrk[p,q,ω2]、Vas2R/{Ka・(B1c+B2c)・ω2}の実軸からの角度がθ00[p,q,ω2]となる。
したがって、励磁角周波数ω0における第3のパラメータp及び第4のパラメータqと比例係数rk[p,q,ω0]との関係、並びに励磁角周波数ω2における第3のパラメータp及び第4のパラメータqと比例係数rk[p,q,ω2]との関係を校正時に記憶させておけば、Vas0R/{Ka・(B1c+B2c)・ω0}の大きさ及びVas2R/{Ka・(B1c+B2c)・ω2}の大きさを計算することにより、第3のパラメータpと第4のパラメータqを求めることができる。
また、励磁角周波数ω0における第3のパラメータp及び第4のパラメータqと角度θ00[p,q,ω0]との関係、並びに励磁角周波数ω2における第3のパラメータp及び第4のパラメータqと角度θ00[p,q,ω2]との関係を校正時に記憶させておけば、Vas0R/{Ka・(B1c+B2c)・ω0}の位相及びVas2R/{Ka・(B1c+B2c)・ω2}の位相を計算することにより、第3のパラメータpと第4のパラメータqを求めることができる。
次に、実装時の留意点について説明する。計測値から得られる比例係数rk[p]やrk[p,ω]などからパラメータの値pを求めるためには、逆変換のためのテーブルを予め作成しておく必要がある。比例係数rk[p]や角度θ00[p]を代表して関数f[p]で表し、また比例係数rk[p,ω]やθ00[p,ω]を代表して関数f[p,ω](複数のパラメータを持つ場合はf[p,q,ω])で表し、逆変換とテーブルについて説明する。逆変換のためのテーブルを作成する方法としては、校正時の計測結果から補間してテーブルを作成する方法(以下、第1の作成方法と呼ぶ)と、理論式からテーブルを直接作成する方法(以下、第2の作成方法と呼ぶ)の2つがある。
まず、第1のパラメータを抽出するためのテーブル(以下、第1のテーブルと呼ぶ)の第1の作成方法について説明する。図18に示すように、校正時に第1のパラメータがp1のときf[p1]=y1という計測結果が得られ、また第1のパラメータがp2のときf[p2]=y2という計測結果が得られたとすれば、2点間の直線近似により、第1のパラメータpは次式で表される。
p=(p2−p1)/(y2−y1)・(f[p]−y1)+p1 ・・・(91)
式(91)により第1のテーブルを作成することができ、この第1のテーブルを用いることで、校正後の実際の計測時に得られる関数f[p](比例係数rk[p]または角度θ00[p])から第1のパラメータpを求めることができる。なお、ここでは直線近似の例を示したが、多項式でも同様に逆変換できる。
次に、第1のテーブルの第2の作成方法について説明する。第1のパラメータpとy=f[p]との関係が設計時に理論式として求まり、逆関数f-1(y)が存在する場合には、第1のパラメータpは次式で表される。
p=f-1(f[p]) ・・・(92)
式(92)の関係を図19に示す。式(92)を第1のテーブルとして記憶しておけば、校正後の実際の計測時に得られる関数f[p]から第1のパラメータpを求めることができる。
次に、1つの第2のパラメータを抽出するためのテーブル(以下、第2のテーブルと呼ぶ)の第1の作成方法について説明する。図20に示すように、校正時に第2のパラメータがp1のとき、励磁角周波数ω0におけるf[p1,ω0]の値と励磁角周波数ω2におけるf[p1,ω2]の値との比がry1になるという計測結果が得られ、また第2のパラメータがp2のとき、励磁角周波数ω0におけるf[p2,ω0]の値と励磁角周波数ω2におけるf[p2,ω2]の値との比がry2になるという計測結果が得られたとすれば、2点間の直線近似により、第2のパラメータpは次式で表される。
p=(p2−p1)/(ry2−ry1)
・(f[p,ω2]/f[p,ω0]−ry1)+p1 ・・・(93)
式(93)により第2のテーブルを作成することができ、この第2のテーブルを用いることで、校正後の実際の計測時に得られる関数の比f[p,ω2]/f[p,ω0]から第2のパラメータpを求めることができる。関数f[p,ω2]は比例係数rk[p,ω2]または角度θ00[p,ω2]であり、関数f[p,ω0]は比例係数rk[p,ω0]または角度θ00[p,ω0]である。なお、ここでは直線近似の例を示したが、多項式でも同様に逆変換できる。
次に、第2のテーブルの第2の作成方法について説明する。第2のパラメータpと励磁角周波数ωにおけるy=f[p,ω]との関係が設計時に理論式として求まり、関数の比f[p,ω0]/f[p,ω2]をry=g[p]として表したときに、逆関数g-1[p]が存在する場合には、第2のパラメータpは次式で表される。
p=g-1(g[p]) ・・・(94)
式(94)の関係を図21に示す。式(94)を第2のテーブルとして記憶しておけば、校正後の実際の計測時に得られる関数の比f[p,ω2]/f[p,ω0]から第2のパラメータpを求めることができる。
次に、複数の第2のパラメータを抽出するためのテーブル(以下、第3のテーブルと呼ぶ)の第1の作成方法について説明する。ここでは、2つの第2のパラメータの値を求める例を示す。2つの第2のパラメータのうち、一方を第3のパラメータ、他方を第4のパラメータとする。図22に示すように、校正時に励磁角周波数ω0において第3のパラメータがp1で、第4のパラメータがq1のときにf[p1,q1,ω0]=z11という計測結果が得られ、第3のパラメータがp1で、第4のパラメータがq2のときにf[p1,q2,ω0]=z12という計測結果が得られ、第3のパラメータがp2で、第4のパラメータがq1のときにf[p2,q1,ω0]=z21という計測結果が得られ、第3のパラメータがp2で、第4のパラメータがq2のときにf[p2,q2,ω0]=z22という計測結果が得られたとする。このとき、計測結果z11〜z22のうち任意の3点を含む平面は次式で表される。
p/a0+q/b0+f[p,q,ω0]/c0=1 ・・・(95)
式(95)において、a0,b0,c0はそれぞれp,q,f[p,q,ω0]の軸上の切片である。
また、図23に示すように、校正時に励磁角周波数ω2において第3のパラメータがp1で、第4のパラメータがq1のときにf[p1,q1,ω2]=z11’という計測結果が得られ、第3のパラメータがp1で、第4のパラメータがq2のときにf[p1,q2,ω2]=z12’という結果が得られ、第3のパラメータがp2で、第4のパラメータがq1のときにf[p2,q1,ω2]=z21’という計測結果が得られ、第3のパラメータがp2で、第4のパラメータがq2のときにf[p2,q2,ω2]=z22’という計測結果が得られたとする。このとき、計測結果z11’〜z22’のうち、パラメータの条件が前記任意の3点と同一の3点を含む平面は次式で表される。
p/a2+q/b2+f[p,q,ω2]/c2=1 ・・・(96)
式(96)において、a2,b2,c2はそれぞれp,q,f[p,q,ω2]の軸上の切片である。
式(95)、式(96)の平面の式を第3のテーブルとして記憶しておけば、校正後の実際の計測時に得られる関数f[p,q,ω0]=z0とf[p,q,ω2]=z2から第3のパラメータpと第4のパラメータqは、以下の2つの直線の交点として与えられる。
p/a0+q/b0+z0/c0=1 ・・・(97)
p/a2+q/b2+z2/c2=1 ・・・(98)
式(97)と式(98)の直線の1例を図24に示す。式(97)と式(98)の連立方程式から例えば、ガウスの消去法を用いれば、第3のパラメータpと第4のパラメータqの解を求めることが可能になる。なお、ここでは平面で近似する例を示したが、曲面でも同様に逆変換できる。
次に、第3のテーブルの第2の作成方法について説明する。第3のパラメータpと第4のパラメータqと励磁角周波数ω0におけるz0=f[p,q,ω0]及び励磁角周波数ω2におけるz2=f[p,q,ω2]との関係が、設計時に理論式として求まれば、曲面の式を第3のテーブルとして持つことができる。この第3のテーブルを記憶しておけば、校正後の実際の計測時に得られる関数f[p,q,ω0]、f[p,q,ω2]から2つの曲線の式を得ることができる。第3のパラメータpと第4のパラメータqは、この2つの曲線の交点として求めることができる。2つの曲線の1例を図25に示す。
[第1の実施の形態]
次に、本発明の第1の実施の形態について説明する。本実施の形態は、前述の第1の原理を用いるものである。本実施の形態の状態検出装置は1個の励磁コイルと1対の電極とを有するものであり、信号処理系を除く構成は図1に示した状態検出装置と同様であるので、図1の符号を用いて本実施の形態の原理を説明する。本実施の形態は、合成ベクトルから∂A/∂t成分を抽出する方法として前記第1の抽出方法を用い、励磁周波数に関係しない第1のパラメータを求めるものである。第1のパラメータの例としては、例えば水位や測定管内の付着物の堆積状態がある。
角周波数ω0の励磁電流を励磁コイル3に供給し、第1のパラメータがp1であるときの電極間起電力E110は、式(19)、式(65)、式(75)から次式で表される。
E110=rk[p1]・ω0・b1
・exp{j・(π/2+θ1+θ00[p1])}
+γ・rk[p1]・V・b1
・exp{j・(θ1+θ00[p1]+Δθ01)} ・・・(99)
また、角周波数ω2の励磁電流を励磁コイル3に供給し、第1のパラメータがp1であるときの電極間起電力E112は、同じく式(19)、式(67)、式(75)から次式で表される。
E112=rk[p1]・ω2・b1
・exp{j・(π/2+θ1+θ00[p1])}
+γ・rk[p1]・V・b1
・exp{j・(θ1+θ00[p1]+Δθ01)} ・・・(100)
電極間起電力E110とE112との差をEdA1とすれば、起電力差EdA1は次式で表される。
EdA1=E110−E112
=rk[p1]・exp(j・θ00[p1])・b1
・exp{j・(π/2+θ1)}・(ω0−ω2) ・・・(101)
よって、式(101)より、合成ベクトル中の∂A/∂t成分を異なる周波数成分の出力差を利用して抽出できることが分かる。式(101)は、流速の大きさVに関係しないので、∂A/∂tにより発生する成分のみとなる。この起電力差EdA1を用いて、流速以外の流体の状態や測定管内の状態を計測することが可能になる。
第1のパラメータによる変動要因をCp1とすると、Cp1=rk[p1]・exp(j・θ00[p1])であり、残りの部分は校正等により与えられる定数となる。変動要因Cp1は、式(101)から次式で表される。
Cp1=EdA1/[b1・exp{j・(π/2+θ1)}・(ω0−ω2)]
・・・(102)
式(102)から変動要因Cp1の大きさrk[p1]と実軸からの角度θ00[p1]は次式で表される。
rk[p1]=|EdA1|/{b1・(ω0−ω2)} ・・・(103)
θ00[p1]=∠EdA1−(π/2+θ1) ・・・(104)
校正時の計測等により予め確認されている第1のパラメータp1とrk[p1]との関係または第1のパラメータp1と角度θ00[p1]との関係から、第1のパラメータp1を求めることができる。
次に、本実施の形態の状態検出装置の具体的な構成とその動作について説明する。図26は本実施の形態の状態検出装置の構成を示すブロック図であり、図1と同一の構成には同一の符号を付してある。本実施の形態の状態検出装置は、測定管1と、電極2a,2bと、電極2a,2bを含む、測定管軸PAXの方向と垂直な平面PLNから軸方向にオフセット距離dだけ離れた位置に配設された励磁コイル3と、励磁コイル3に励磁電流を供給する電源部4と、状態定量化部8とを有する。
励磁コイル3と電源部4とは、平面PLNに対して非対称、かつ時間変化する磁場を被測定流体に印加する励磁部となる。
状態定量化部8は、電極2a,2bで検出される合成起電力のうち第1の角周波数ω0と第2の角周波数ω2の2つの周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて2つの角周波数成分の起電力差を∂A/∂t成分として抽出し、この∂A/∂t成分の中から第1のパラメータに依存し、周波数に依存しない変動要因の大きさまたは位相を抽出する信号変換部5と、第1のパラメータに依存する変動要因の大きさまたは位相と第1のパラメータとの関係を予め記憶する状態記憶部6(前述の第1のテーブルに相当)と、状態記憶部6に記憶された関係に基づいて、前記抽出された変動要因の大きさまたは位相に対応する第1のパラメータを求める状態出力部7とから構成される。
電源部4は、第1の角周波数ω0の励磁電流を励磁コイル3に供給する第1の励磁状態をT1秒継続し、続いて第2の角周波数ω2の励磁電流を励磁コイル3に供給する第2の励磁状態をT2秒継続することをT秒周期で繰り返す。すなわち、T=T1+T2である。
図27は状態定量化部8の動作を示すフローチャートである。まず、信号変換部5は、第1の励磁状態において、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数ω0の成分の起電力E110の振幅r110を求めると共に、実軸と電極間起電力E110との位相差φ110を図示しない位相検波器により求める(図27ステップ101)。
続いて、信号変換部5は、第2の励磁状態において、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数ω2の成分の起電力E112の振幅r112を求めると共に、実軸と電極間起電力E112との位相差φ112を位相検波器により求める(ステップ102)。
次に、信号変換部5は、電極間起電力E110の実軸成分E110xと虚軸成分E110y、および電極間起電力E112の実軸成分E112xと虚軸成分E112yを次式のように算出する(ステップ103)。
E110x=r110・cos(φ110) ・・・(105)
E110y=r110・sin(φ110) ・・・(106)
E112x=r112・cos(φ112) ・・・(107)
E112y=r112・sin(φ112) ・・・(108)
式(105)〜式(108)の算出後、信号変換部5は、電極間起電力E110とE112との起電力差EdA1の大きさと角度を求める(ステップ104)。このステップ104の処理は、∂A/∂t成分を求めることに対応する処理であり、式(101)の算出に相当する処理である。信号変換部5は、起電力差EdA1の大きさ|EdA1|を次式のように算出する。
|EdA1|={(E110x−E112x)2+(E110y−E112y)21/2
・・・(109)
そして、信号変換部5は、実軸に対する起電力差EdA1の角度∠EdA1を次式のように算出する。
∠EdA1=tan-1{(E110y−E112y)/(E110x−E112x)}
・・・(110)
以上で、ステップ104の処理が終了する。
信号変換部5は、起電力差EdA1の中から、第1のパラメータp1に依存する変動要因Cp1の大きさrk[p1]と実軸に対する角度θ00[p1]を次式のように算出する(ステップ105)。
rk[p1]=|EdA1|/{b1・(ω0−ω2)} ・・・(111)
θ00[p1]=∠EdA1−(π/2+θ1) ・・・(112)
なお、励磁コイル3から発生する磁場B1の振幅b1と、磁場B1とω0・tとの位相差θ1は、校正等により予め求めることができる定数である。
状態記憶部6には、第1のパラメータp1と変動要因Cp1の大きさrk[p1]との関係、または第1のパラメータp1と変動要因Cp1の角度θ00[p1]との関係が数式やテーブルの形式で予め登録されている。ステップ106において、状態出力部7は、信号変換部5で計算された変動要因Cp1の大きさrk[p1]または角度θ00[p1]に基づき、状態記憶部6を参照して、rk[p1]またはθ00[p1]に対応する第1のパラメータp1の値を算出する(あるいは状態記憶部6から取得する)。
状態定量化部8は、以上のようなステップ101〜106の処理を例えばオペレータによって計測終了が指示されるまで(ステップ107においてYES)、周期T毎に行う。なお、ステップ102〜106の処理は継続時間T2秒の第2の励磁状態において行われる。
以上のように、本実施の形態では、励磁周波数が異なる2つの励磁状態の電極間起電力E110とE112とから起電力差EdA1(∂A/∂t成分)を抽出し、この起電力差EdA1から流体の特性や状態あるいは測定管内の状態(第1のパラメータp1)に依存する変動要因Cp1の大きさまたは位相を抽出して、この変動要因Cp1の大きさまたは位相に基づいて第1のパラメータp1を求めるようにしたので、流体の流速に関わらず、流体の特性や状態あるいは測定管内の状態を精度良く検出することができる。
また、本実施の形態の状態定量化部8のうち、電極間起電力E110,E112の検出部を除く構成は、CPU、記憶装置およびインタフェースを備えたコンピュータとこれらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。そして、本実施の形態では、例えば、E110−EdA1・{(ω0−ω2)/ω0}によりv×B成分を抽出することができる。v×B成分から流体の流量を算出することは、一般の電磁流量計で周知の技術であり、状態定量化部8を構成するコンピュータで容易に実現できる。したがって、本実施の形態によれば、基本的に電磁誘導方式の流量計と同じハードウェア構成を用いて、流体の特性や状態あるいは測定管内の状態を検出することができる。
なお、本実施の形態では、起電力差EdA1から変動要因Cp1の大きさrk[p1]または角度θ00[p1]のいずれかを抽出すればよいとしているが、大きさと角度の両方を抽出して、第1のパラメータp1を求めることも可能である。この場合は、大きさrk[p1]と角度θ00[p1]のうち例えば感度の良い方を選択して、選択した大きさまたは角度に基づいて第1のパラメータp1を求めるようにすればよい。これにより、検出感度を向上させることができる。
また、本実施の形態では、励磁周波数をω0とω2に切り替える例を示したが、角周波数ω0の成分とω2の成分とを含む励磁電流で励磁すれば、励磁周波数を切り替える必要がなくなり、より高速に第1のパラメータp1を求めることができる。例えば式(3)の代わりに次式で表される磁場を用いれば良い。
B1=b1・cos(ω0・t−θ1)+b1・cos(ω2・t−θ1)
・・・(113)
本実施の形態の状態検出装置の具体例として、測定管内の付着物の堆積状態(測定管の内径変化)を検出する例を説明する。この場合、測定管1内に付着物が堆積することを考慮して、図28に示すように、被測定流体と接触しない容量結合式の電極を採用する。容量結合式の場合、電極2a,2bは、測定管1の内壁に形成されるセラミックやテフロン(登録商標)等からなるライニング10によって被覆される。
図28に示したように、測定管1の内壁に付着物が堆積すると、測定管1の内径が変化し、変動要因Cp1の大きさrk[p1]の値も変動する。付着物の厚さ(第1のパラメータp1)と変動要因Cp1の大きさrk[p1]との関係の1例を図29に示す。この関係を設計時の理論式または校正時の計測により求め、状態記憶部6に記憶させておくことにより、図27のステップ105で得られた変動要因Cp1の大きさrk[p1]に基づき、ステップ106で付着物の厚さを求めることができる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、第1の実施の形態の状態検出装置に対して励磁コイルを1個追加したものであり、前述の第2の原理を用いるものである。本実施の形態の状態検出装置は2個の励磁コイルと1対の電極とを有するものであり、信号処理系を除く構成は図5に示した状態検出装置と同様であるので、図5の符号を用いて本実施の形態の原理を説明する。新たに追加する第2の励磁コイルを既存の第1の励磁コイルと同じ側に追加した場合には、第1の実施の形態の冗長な構成となる。したがって、第2の励磁コイルは、電極を含む平面を挟んで第1の励磁コイルと異なる側に配設する必要がある。本実施の形態は、合成ベクトルから∂A/∂t成分を抽出する方法として前記第1の抽出方法を用い、励磁周波数に関係しない第1のパラメータを求めるものである。
角周波数ω0の第1の励磁電流を第1の励磁コイル3aに供給し、第1の励磁電流との位相差がΔθ2+πで角周波数がω0の第2の励磁電流を第2の励磁コイル3bに供給し、第1のパラメータがp2であるときの電極間起電力E220Rは、式(30)、式(68)、式(75)から次式で表される。
E220R=rk[p2]・exp{j・(θ1+θ00[p2])}
・[exp(j・π/2)・{b1+b2・exp(j・Δθ2)}・ω0
+γ・exp(j・Δθ01)・{b1−b2・exp(j・Δθ2)}
・V] ・・・(114)
また、角周波数ω2の第1の励磁電流を第1の励磁コイル3aに供給し、第1の励磁電流との位相差がΔθ2+πで角周波数がω2の第2の励磁電流を第2の励磁コイル3bに供給し、第1のパラメータがp2であるときの電極間起電力E222Rは、式(30)、式(70)、式(75)から次式で表される。
E222R=rk[p2]・exp{j・(θ1+θ00[p2])}
・[exp(j・π/2)・{b1+b2・exp(j・Δθ2)}・ω2
+γ・exp(j・Δθ01)・{b1−b2・exp(j・Δθ2)}
・V] ・・・(115)
ここで、測定管軸PAXと直交する、電極2a,2bを含む平面PLNから第1の励磁コイル3aまでの距離d1と平面PLNから第2の励磁コイル3bまでの距離d2とが略等しいとすると(d1≒d2)、b1≒b2、Δθ2≒0になる。この場合、式(114)、式(115)は以下のようになる。
E220R=rk[p2]・exp{j・(θ1+θ00[p2])}
・exp(j・π/2)・{2・b1・ω0} ・・・(116)
E222R=rk[p2]・exp{j・(θ1+θ00[p2])}
・exp(j・π/2)・{2・b1・ω2} ・・・(117)
すなわち、電極間起電力E220R,E222Rはほぼ∂A/∂t成分のみの起電力となり、∂A/∂t成分の抽出の際の演算誤差を小さくすることができる。この点が、本実施の形態と第1の実施の形態の技術的な意義における相違点である。ただし、以後の理論展開もb1≠b2,Δθ2≠0として進める。
電極間起電力E220RとE222Rとの差をEdA2とすれば、起電力差EdA2は次式で表される。
EdA2=(E220R−E222R)
=rk[p2]・exp(j・θ00[p2])・exp{j・(π/2+θ1)}
・{b1+b2・exp(j・Δθ2)}・(ω0−ω2) ・・・(118)
よって、式(118)より、合成ベクトル中の∂A/∂t成分を異なる周波数成分の出力差を利用して抽出できることが分かる。式(118)は、流速の大きさVに関係しないので、∂A/∂tにより発生する成分のみとなる。この起電力差EdA2を用いて、流速以外の流体の状態や測定管内の状態を計測することが可能になる。
第1のパラメータによる変動要因をCp2とすると、Cp2=rk[p2]・exp(j・θ00[p2])であり、残りの部分は校正等により与えられる定数となる。変動要因Cp2は、式(118)から次式で表される。
Cp2=EdA2/[exp{j・(π/2+θ1)}
・{b1+b2・exp(j・Δθ2)}・(ω0−ω2)]
・・・(119)
式(119)における[exp{j・(π/2+θ1)}・{b1+b2・exp(j・Δθ2)}]の大きさをm2b、角度をθ2bとすると、m2b、θ2bは次式で表される。
m2b={b12+b22+b1・b2・cos(Δθ2)}1/2 ・・・(120)
θ2b=tan-1[{b2・sin(Δθ2)}
/{b1+b2・cos(Δθ2)}]−(π/2+θ1) ・・(121)
式(119)〜式(121)から変動要因Cp2の大きさrk[p2]と実軸からの角度θ00[p2]は次式で表される。
rk[p2]=|EdA1|/{m2b・(ω0−ω2)} ・・・(122)
θ00[p2]=∠EdA1−θ2b ・・・(123)
校正時の計測等により予め確認されている第1のパラメータp2とrk[p2]との関係または第1のパラメータp2と角度θ00[p2]との関係から、第1のパラメータp2を求めることができる。
次に、本実施の形態の状態検出装置の具体的な構成とその動作について説明する。図30は本実施の形態の状態検出装置の構成を示すブロック図であり、図5と同一の構成には同一の符号を付してある。本実施の形態の状態検出装置は、測定管1と、電極2a,2bと、第1、第2の励磁コイル3a,3bと、第1、第2の励磁コイル3a,3bに励磁電流を供給する電源部4aと、状態定量化部8aとを有する。
第1、第2の励磁コイル3a,3bと電源部4aとは、平面PLNに対して非対称、かつ時間変化する磁場を被測定流体に印加する励磁部となる。
状態定量化部8aは、電極2a,2bで検出される合成起電力のうち第1の角周波数ω0と第2の角周波数ω2の2つの周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて2つの周波数成分の起電力差を∂A/∂t成分として抽出し、この∂A/∂t成分の中から第1のパラメータに依存し、周波数に依存しない変動要因の大きさまたは位相を抽出する信号変換部5aと、第1のパラメータに依存する変動要因の大きさまたは位相と第1のパラメータとの関係を予め記憶する状態記憶部6a(前述の第1のテーブルに相当)と、状態記憶部6aに記憶された関係に基づいて、前記抽出された変動要因の大きさまたは位相に対応する第1のパラメータを求める状態出力部7aとから構成される。
本実施の形態では、前述のとおり、平面PLNから第1の励磁コイル3aまでの距離d1と平面PLNから第2の励磁コイル3bまでの距離d2とが略等しいとする。
電源部4aは、第1の角周波数ω0の第1の励磁電流を第1の励磁コイル3aに供給すると同時に、第1の励磁電流との位相差がΔθ2+πで、角周波数がω0の第2の励磁電流を第2の励磁コイル3bに供給する第1の励磁状態をT1秒継続し、この第1の励磁状態に対して第1の励磁電流と第2の励磁電流の周波数を第2の角周波数ω2に変更した第2の励磁状態をT2秒継続することをT秒周期で繰り返す。すなわち、T=T1+T2である。
励磁部の動作は第1の実施の形態と異なるが、状態定量化部8aの処理の流れは第1の実施の形態と同様であるので、図27の符号を用いて状態定量化部8aの動作を説明する。まず、信号変換部5aは、第1の励磁状態において、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数ω0の成分の起電力E220Rの振幅r220Rを求めると共に、実軸と電極間起電力E220Rとの位相差φ220Rを図示しない位相検波器により求める(図27ステップ101)。
続いて、信号変換部5aは、第2の励磁状態において、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数ω2の成分の起電力E222Rの振幅r222Rを求めると共に、実軸と電極間起電力E222Rとの位相差φ222Rを位相検波器により求める(ステップ102)。
次に、信号変換部5aは、電極間起電力E220Rの実軸成分E220Rxと虚軸成分E220Ry、および電極間起電力E222Rの実軸成分E222Rxと虚軸成分E222Ryを次式のように算出する(ステップ103)。
E220Rx=r220R・cos(φ220R) ・・・(124)
E220Ry=r220R・sin(φ220R) ・・・(125)
E222Rx=r222R・cos(φ222R) ・・・(126)
E222Ry=r222R・sin(φ222R) ・・・(127)
式(124)〜式(127)の算出後、信号変換部5aは、電極間起電力E220RとE222Rとの起電力差EdA2の大きさと角度を求める(ステップ104)。このステップ104の処理は、∂A/∂t成分を求めることに対応する処理であり、式(118)の算出に相当する処理である。信号変換部5aは、起電力差EdA2の大きさ|EdA2|を次式のように算出する。
|EdA2|={(E220Rx−E222Rx)2
+(E220Ry−E222Ry)21/2 ・・・(128)
そして、信号変換部5aは、実軸に対する起電力差EdA2の角度∠EdA2を次式のように算出する。
∠EdA2=tan-1{(E220Ry−E222Ry)
/(E220Rx−E222Rx)} ・・・(129)
以上で、ステップ104の処理が終了する。
信号変換部5aは、起電力差EdA2の中から、第1のパラメータp2に依存する変動要因Cp2の大きさrk[p2]と実軸に対する角度θ00[p2]を次式のように算出する(ステップ105)。
rk[p2]=|EdA2|/{m2b・(ω0−ω2)} ・・・(130)
θ00[p2]=∠EdA2−θ2b ・・・(131)
なお、m2b,θ2b(第1の励磁コイル3aから発生する磁場B1の振幅b1と、第2の励磁コイル3bから発生する磁場B2の振幅b2と、磁場B1とω0・tとの位相差θ1と、Δθ2)は、校正等により予め求めることができる定数である。
状態記憶部6aには、第1のパラメータp2と変動要因Cp2の大きさrk[p2]との関係、または第1のパラメータp2と変動要因Cp2の角度θ00[p2]との関係が数式やテーブルの形式で予め登録されている。ステップ106において、状態出力部7aは、信号変換部5aで計算された変動要因Cp2の大きさrk[p2]または角度θ00[p2]に基づき、状態記憶部6aを参照して、rk[p2]またはθ00[p2]に対応する第1のパラメータp2の値を算出する(あるいは状態記憶部6aから取得する)。状態定量化部8aは、以上のようなステップ101〜106の処理を例えばオペレータによって計測終了が指示されるまで(ステップ107においてYES)、周期T毎に行う。
以上のように、本実施の形態では、角周波数ω0の磁場B1を第1の励磁コイル3aから被測定流体に印加すると同時に、磁場B1との位相差がΔθ2+πで、周波数がω0の磁場B2を第2の励磁コイル3bから被測定流体に印加する第1の励磁状態において、電極間起電力E220Rを求め、また第1の励磁状態に対して励磁周波数をω2に変更した第2の励磁状態において、電極間起電力E222Rを求め、電極間起電力E220RとE222Rとから起電力差EdA2(∂A/∂t成分)を抽出し、この起電力差EdA2から流体の特性や状態あるいは測定管内の状態(第1のパラメータp2)に依存する変動要因Cp2の大きさまたは位相を抽出して、この変動要因Cp2の大きさまたは位相に基づいて第1のパラメータp2を求めるようにしたので、流体の流速に関わらず、流体の特性や状態あるいは測定管内の状態を精度良く検出することができる。
また、本実施の形態の状態定量化部8aのうち、電極間起電力E220R,E222Rの検出部を除く構成は、CPU、記憶装置およびインタフェースを備えたコンピュータとこれらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。そして、本実施の形態では、例えば、E220R−EdA2・{(ω0−ω2)/ω0}によりv×B成分を抽出することができる。v×B成分から流体の流量を算出することは、一般の電磁流量計で周知の技術であり、状態定量化部8aを構成するコンピュータで容易に実現できる。したがって、本実施の形態によれば、基本的に電磁誘導方式の流量計と同じハードウェア構成を用いて、流体の特性や状態あるいは測定管内の状態を検出することができる。
また、本実施の形態では、電極2a,2bを含む平面PLNから第1の励磁コイル3aまでの距離d1と平面PLNから第2の励磁コイル3bまでの距離d2とを調整することにより、電極間起電力E220R,E222Rがほぼ∂A/∂t成分の起電力のみとなるようにすることができる。これにより、本実施の形態では、∂A/∂t成分をより効果的に抽出することが可能であり、第1の実施の形態に比べて演算誤差を小さくすることが可能である。
なお、本実施の形態では、起電力差EdA2から変動要因Cp2の大きさrk[p2]または角度θ00[p2]のいずれかを抽出すればよいとしているが、大きさと角度の両方を抽出して、第1のパラメータp2を求めることも可能である。この場合は、大きさrk[p2]と角度θ00[p2]のうち例えば感度の良い方を選択して、選択した大きさまたは角度に基づいて第1のパラメータp2を求めるようにすればよい。これにより、検出感度を向上させることができる。
また、本実施の形態では、励磁周波数をω0とω2に切り替える例を示したが、角周波数ω0の成分とω2の成分とを含む励磁電流で励磁すれば、励磁周波数を切り替える必要がなくなり、より高速に第1のパラメータp2を求めることができる。例えば式(22)、式(23)の代わりに次式で表される磁場を用いれば良い。
B1=b1・cos(ω0・t−θ1)+b1・cos(ω2・t−θ1)
・・・(132)
B2=b2・cos(ω0・t−θ2)+b2・cos(ω2・t−θ2)
・・・(133)
本実施の形態の状態検出装置の具体例として、流体の水位または断面積を検出する例を説明する。この場合、水位が変動することを考慮して、図31、図32に示すように、第1の励磁コイル3aと第2の励磁コイル3bを測定管1の水平方向に配置し、また電極2aを測定管1の下部に配置する。このように電極が1個だけの場合には、流体の電位を接地電位にするためのアースリング(不図示)が測定管1に設けられており、電極2aに生じた起電力(接地電位との電位差)を信号変換部5aで検出すればよい。
流体の水位(断面積)が変動すると、変動要因Cp2の大きさrk[p2]の値も変動する。流体の水位または断面積(第1のパラメータp2)と変動要因Cp2の大きさrk[p2]との関係の1例を図33に示す。図33の関係は測定管1の形状等によって変化するので、この関係を設計時の理論式または校正時の計測により求め、状態記憶部6aに記憶させておくことにより、ステップ105で得られた変動要因Cp2の大きさrk[p2]に基づき、ステップ106で流体の水位または断面積を求めることができる。
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態の状態検出装置は2個の励磁コイルと1対の電極とを有するものであり、信号処理系を除く構成は図5に示した状態検出装置と同様であるので、図5の符号を用いて本実施の形態の原理を説明する。本実施の形態は、合成ベクトルから∂A/∂t成分を抽出する方法として前記第2の抽出方法を用い、励磁周波数に関係しない第1のパラメータを求めるものである。
角周波数ω0の第1の励磁電流を第1の励磁コイル3aに供給し、第1の励磁電流との位相差がΔθ2+πで角周波数がω0の第2の励磁電流を第2の励磁コイル3bに供給し、第1のパラメータがp3であるときの電極間起電力E320Rは、式(30)、式(68)、式(75)から次式で表される。
E320R=rk[p3]・exp{j・(θ1+θ00[p3])}
・[exp(j・π/2)・{b1+b2・exp(j・Δθ2)}・ω0
+γ・exp(j・Δθ01)・{b1−b2・exp(j・Δθ2)}
・V] ・・・(134)
式(71)、式(72)から、式(134)において次の近似式が成り立つ。
|b1+b2・exp(j・Δθ2)|≫|b1−b2・exp(j・Δθ2)|
・・・(135)
|ω0・exp(j・π/2)・{b1+b2・exp(j・Δθ2)}|
≫ |γ・V・exp(j・Δθ01)・{b1−b2・exp(j・Δθ2)}|
・・・(136)
式(136)の条件を用いて、式(134)の電極間起電力E320Rを近似した起電力をEdA3とすると、電極間起電力EdA3は次式のように表される。
EdA3≒E320R ・・・(137)
EdA3=rk[p3]・exp(j・θ00[p3])
・exp{j・(π/2+θ1)}・{b1+b2・exp(j・Δθ2)}
・ω0 ・・・(138)
よって、式(138)より、合成ベクトル中の∂A/∂t成分を第1の励磁コイル3aから発生する磁場と第2の励磁コイル3bから発生する磁場の位相差を利用して抽出できることが分かる。式(138)は、流速の大きさVに関係しないので、∂A/∂tにより発生する成分のみとなる。この電極間起電力EdA3を用いて、流速以外の流体の状態や測定管内の状態を計測することが可能になる。
第1のパラメータによる変動要因をCp3とすると、Cp3=rk[p3]・exp(j・θ00[p3])であり、残りの部分は校正等により与えられる定数となる。変動要因Cp3は、式(138)から次式で表される。
Cp3=EdA3/[exp{j・(π/2+θ1)}
・{b1+b2・exp(j・Δθ2)}・ω0] ・・・(139)
式(139)における[exp{j・(π/2+θ1)}・{b1+b2・exp(j・Δθ2)}]の大きさをm2b、角度をθ2bとすると、m2b、θ2bはそれぞれ式(120)、式(121)で表される。
式(120)、式(121)を式(139)に適用すれば、変動要因Cp3の大きさrk[p3]と実軸からの角度θ00[p3]は次式で表される。
rk[p3]=|EdA3|/(m2b・ω0) ・・・(140)
θ00[p3]=∠EdA3−θ2b ・・・(141)
校正時の計測等により予め確認されている第1のパラメータp3とrk[p3]との関係または第1のパラメータp3と角度θ00[p3]との関係から、第1のパラメータp3を求めることができる。
次に、本実施の形態の状態検出装置の具体的な構成とその動作について説明する。本実施の形態の状態検出装置の構成は第2の実施の形態と同様であるので、図30の符号を用いて説明する。本実施の形態の状態検出装置は、測定管1と、電極2a,2bと、第1、第2の励磁コイル3a,3bと、電源部4aと、状態定量化部8aとを有する。
状態定量化部8aは、電極2a,2bで検出される合成起電力の振幅と位相を求めることにより∂A/∂t成分を抽出し、この∂A/∂t成分の中から第1のパラメータに依存し、周波数に依存しない変動要因の大きさまたは位相を抽出する信号変換部5aと、第1のパラメータに依存する変動要因の大きさまたは位相と第1のパラメータとの関係を予め記憶する状態記憶部6a(前述の第1のテーブルに相当)と、状態記憶部6aに記憶された関係に基づいて、前記抽出された変動要因の大きさまたは位相に対応する第1のパラメータを求める状態出力部7aとから構成される。
電源部4aは、角周波数ω0の第1の励磁電流を第1の励磁コイル3aに供給すると同時に、第1の励磁電流との位相差がΔθ2+πで、角周波数がω0の第2の励磁電流を第2の励磁コイル3bに供給する。第1の励磁コイル3aから発生する磁場と第2の励磁コイル3bから発生する磁場の位相差は、略πとする(Δθ2≒0)。
図34は本実施の形態の状態定量化部8aの動作を示すフローチャートである。まず、信号変換部5aは、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数ω0の成分の起電力E320Rの振幅r320Rを求めると共に、実軸と電極間起電力E320Rとの位相差φ320Rを図示しない位相検波器により求める(図34ステップ201)。
続いて、信号変換部5aは、電極間起電力E320Rを近似した起電力EdA3の大きさと角度を求める(ステップ202)。このステップ202の処理は、∂A/∂t成分を求めることに対応する処理であり、式(138)の算出に相当する処理である。信号変換部5aは、電極間起電力E320Rを近似した起電力EdA3の大きさ|EdA3|を次式のように算出する。
|EdA3|=r320R ・・・(142)
そして、信号変換部5aは、実軸に対する電極間起電力EdA3の角度∠EdA3を次式のように算出する。
∠EdA3=φ320R ・・・(143)
以上で、ステップ202の処理が終了する。
次に、信号変換部5aは、電極間起電力EdA3の中から、第1のパラメータp3に依存する変動要因Cp3の大きさrk[p3]と実軸に対する角度θ00[p3]を次式のように算出する(ステップ203)。
rk[p3]=|EdA3|/(m2b・ω0) ・・・(144)
θ00[p3]=∠EdA3−θ2b ・・・(145)
なお、m2b,θ2b(第1の励磁コイル3aから発生する磁場B1の振幅b1と、第2の励磁コイル3bから発生する磁場B2の振幅b2と、磁場B1とω0・tとの位相差θ1と、Δθ2)は、校正等により予め求めることができる定数である。
状態記憶部6aには、第1のパラメータp3と変動要因Cp3の大きさrk[p3]との関係、または第1のパラメータp3と変動要因Cp3の角度θ00[p3]との関係が数式やテーブルの形式で予め登録されている。ステップ204において、状態出力部7aは、信号変換部5aで計算された変動要因Cp3の大きさrk[p3]または角度θ00[p3]に基づき、状態記憶部6aを参照して、rk[p3]またはθ00[p3]に対応する第1のパラメータp3の値を算出する(あるいは状態記憶部6aから取得する)。状態定量化部8aは、以上のようなステップ201〜204の処理を例えばオペレータによって計測終了が指示されるまで(ステップ205においてYES)、一定周期毎に行う。
以上のように、本実施の形態では、第1の励磁コイル3aから発生する磁場B1と第2の励磁コイル3bから発生する磁場B2の位相差を略πとし、磁場B1とB2の大きさが等しくなるように設定しておくと、電極間起電力E320Rが近似的に∂A/∂t成分として抽出できることに着眼し、近似的に抽出した∂A/∂t成分から流体の特性や状態あるいは測定管内の状態(第1のパラメータp3)に依存する変動要因Cp3の大きさまたは位相を抽出して、この変動要因Cp3の大きさまたは位相に基づいて第1のパラメータp3を求めるようにしたので、流体の流速に関わらず、流体の特性や状態あるいは測定管内の状態を精度良く検出することができる。
また、第2の実施の形態と同様に、本実施の形態の状態定量化部8aのうち、電極間起電力E320Rの検出部を除く構成は、コンピュータとプログラムによって実現することができる。そして、本実施の形態では、例えば、角周波数ω0の第1の励磁電流を第1の励磁コイル3aに供給し、第1の励磁電流との位相差がΔθ2で角周波数がω0の第2の励磁電流を第2の励磁コイル3bに供給し、第1のパラメータがp3であるときの電極間起電力E320をとれば、電極間起電力E320は、式(134)においてb2に係る±の係数を反転させたものとなり、電極間起電力E320は、ほぼv×B成分として扱うことができる。したがって、本実施の形態によれば、基本的に電磁誘導方式の流量計と同じハードウェア構成を用いて、流体の特性や状態あるいは測定管内の状態を検出することができる。
なお、本実施の形態では、電極間起電力EdA3から変動要因Cp3の大きさrk[p3]または角度θ00[p3]のいずれかを抽出すればよいとしているが、大きさと角度の両方を抽出して、第1のパラメータp3を求めることも可能である。この場合は、大きさrk[p3]と角度θ00[p3]のうち例えば感度の良い方を選択して、選択した大きさまたは角度に基づいて第1のパラメータp3を求めるようにすればよい。これにより、検出感度を向上させることができる。
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。本実施の形態の状態検出装置は2個の励磁コイルと1対の電極とを有するものであり、信号処理系を除く構成は図5に示した状態検出装置と同様であるので、図5の符号を用いて本実施の形態の原理を説明する。本実施の形態は、合成ベクトルから∂A/∂t成分を抽出する方法として前記第2の抽出方法を用い、変動要因が周波数特性を持つ第2のパラメータを求めるものである。第2のパラメータの例としては、例えば流体インピーダンスや流体の導電率、誘電率がある。
角周波数ω0の第1の励磁電流を第1の励磁コイル3aに供給し、第1の励磁電流との位相差がΔθ2+πで角周波数がω0の第2の励磁電流を第2の励磁コイル3bに供給し、第2のパラメータがp4であるときの電極間起電力E420Rは、式(30)、式(78)、式(79)から次式で表される。
E420R=rk[p4,ω0]・exp{j・(θ1+θ00[p4,ω0])}
・[exp(j・π/2)・{b1+b2・exp(j・Δθ2)}・ω0
+γ・exp(j・Δθ01)・{b1−b2・exp(j・Δθ2)}
・V] ・・・(146)
式(71)、式(72)から、式(146)において次の近似式が成り立つ。
|b1+b2・exp(j・Δθ2)|≫|b1−b2・exp(j・Δθ2)|
・・・(147)
|ω0・exp(j・π/2)・{b1+b2・exp(j・Δθ2)}|
≫|γ・V・exp(j・Δθ01)・{b1−b2・exp(j・Δθ2)}|
・・・(148)
式(148)の条件を用いて、式(146)の電極間起電力E420Rを近似した起電力をEdA40とすると、電極間起電力EdA40は次式で表される。
EdA40≒E420R ・・・(149)
EdA40=rk[p4,ω0]・exp(j・θ00[p4,ω0])
・exp{j・(π/2+θ1)}
・{b1+b2・exp(j・Δθ2)}・ω0 ・・・(150)
次に、角周波数ω2の第1の励磁電流を第1の励磁コイル3aに供給し、第1の励磁電流との位相差がΔθ2+πで角周波数がω2の第2の励磁電流を第2の励磁コイル3bに供給し、第2のパラメータがp4であるときの電極間起電力E422Rは、式(30)、式(81)、式(82)から次式で表される。
E422R=rk[p4,ω2]・exp{j・(θ1+θ00[p4,ω2])}
・[exp(j・π/2)・{b1+b2・exp(j・Δθ2)}・ω2
+γ・exp(j・Δθ01)・{b1−b2・exp(j・Δθ2)}
・V] ・・・(151)
通常、ω2>γ・Vが成り立つことから、式(147)の条件を考慮すると、式(151)の電極間起電力E422Rにおいて次式の条件が成り立つ。
|ω2・exp(j・π/2)・{b1+b2・exp(j・Δθ2)}|
≫|γ・V・exp(j・Δθ01)・{b1−b2・exp(j・Δθ2)}|
・・・(152)
式(152)の条件を用いて、式(151)の電極間起電力E422Rを近似した起電力をEdA42とすると、電極間起電力EdA42は次式で表される。
EdA42≒E422R ・・・(153)
EdA42=rk[p4,ω2]・exp(j・θ00[p4,ω2])
・exp{j・(π/2+θ1)}
・{b1+b2・exp(j・Δθ2)}・ω2 ・・・(154)
よって、式(150)、式(154)より、合成ベクトル中の∂A/∂t成分を第1の励磁コイル3aから発生する磁場と第2の励磁コイル3bから発生する磁場の位相差を利用して抽出できることが分かる。式(150)、式(154)は、流速の大きさVに関係しないので、∂A/∂tにより発生する成分のみとなる。これを用いれば、流速以外の流体の状態や測定管内の状態を計測することが可能になる。
式(150)において第2のパラメータによる変動要因をCp40とすると、Cp40=rk[p4,ω0]・exp(j・θ00[p4,ω0])であり、残りの部分は校正等により与えられる定数となる。変動要因Cp40は式(150)から次式で表される。
Cp40=EdA40/[exp{j・(π/2+θ1)}
・{b1+b2・exp(j・Δθ2)}・ω0] ・・・(155)
また、式(154)において第2のパラメータによる変動要因をCp42とすると、Cp42=rk[p4,ω2]・exp(j・θ00[p4,ω2])であり、残りの部分は校正等により与えられる定数となる。変動要因Cp42は式(154)から次式で表される。
Cp42=EdA42/[exp{j・(π/2+θ1)}
・{b1+b2・exp(j・Δθ2)}・ω2] ・・・(156)
式(155)、式(156)における[exp{j・(π/2+θ1)}・{b1+b2・exp(j・Δθ2)}]の大きさをm2b、角度をθ2bとすると、m2b、θ2bはそれぞれ式(120)、式(121)で表される。
式(120)、式(121)を式(155)に適用すれば、変動要因Cp40の大きさrk[p4,ω0]と実軸からの角度θ00[p4,ω0]は次式で表される。
rk[p4,ω0]=|EdA40|/(m2b・ω0) ・・・(157)
θ00[p4,ω0]=∠EdA40−θ2b ・・・(158)
また、式(120)、式(121)を式(156)に適用すれば、変動要因Cp42の大きさrk[p4,ω2]と実軸からの角度θ00[p4,ω2]は次式で表される。
rk[p4,ω2]=|EdA42|/(m2b・ω2) ・・・(159)
θ00[p4,ω2]=∠EdA42−θ2b ・・・(160)
変動要因Cp42とCp40との比をCn4とすると、比Cn4は次式で表される。
Cn4=Cp42/Cp40
=(rk[p4,ω2]/rk[p4,ω0])
・exp{j・(θ00[p4,ω2]−θ00[p4,ω0])}
・・・(161)
このとき、比Cn4の大きさ(rk[p4,ω2]/rk[p4,ω0])と実軸に対する角度(θ00[p4,ω2]−θ00[p4,ω0])は次式で表される。
rk[p4,ω2]/rk[p4,ω0]=(|EdA42|/|EdA40|)
・(ω0/ω2) ・・・(162)
θ00[p4,ω2]−θ00[p4,ω0]=∠EdA42−∠EdA40
・・・(163)
式(161)〜式(163)より、比Cn4に磁場の変動要因が含まれておらず、誤差要因を少なくして第2のパラメータの値p4を得ることができることが分かる。
校正時の計測等により予め確認されている第2のパラメータp4と(rk[p4,ω2]/rk[p4,ω0])との関係、または第2のパラメータp4と(θ00[p4,ω2]−θ00[p4,ω0])との関係から、第2のパラメータp4を求めることができる。
次に、本実施の形態の状態検出装置の具体的な構成とその動作について説明する。本実施の形態の状態検出装置の構成は第2の実施の形態と同様であるので、図30の符号を用いて説明する。本実施の形態の状態検出装置は、測定管1と、電極2a,2bと、第1、第2の励磁コイル3a,3bと、電源部4aと、状態定量化部8aとを有する。
状態定量化部8aは、電極2a,2bで検出される合成起電力のうち第1の角周波数ω0と第2の角周波数ω2の2つの周波数成分の振幅と位相を求めることにより、角周波数ω0における∂A/∂t成分と角周波数ω2における∂A/∂t成分を抽出し、角周波数ω0の∂A/∂t成分と角周波数ω2の∂A/∂t成分との比から第2のパラメータと周波数とに依存する変動要因の比の大きさまたは位相を抽出する信号変換部5aと、変動要因の比の大きさまたは位相と第2のパラメータとの関係を予め記憶する状態記憶部6a(前述の第2のテーブルに相当)と、状態記憶部6aに記憶された関係に基づいて、前記抽出された変動要因の比の大きさまたは位相に対応する第2のパラメータを求める状態出力部7aとから構成される。
電源部4aは、第1の角周波数ω0の第1の励磁電流を第1の励磁コイル3aに供給すると同時に、第1の励磁電流との位相差がΔθ2+πで、角周波数がω0の第2の励磁電流を第2の励磁コイル3bに供給する第1の励磁状態をT1秒継続し、この第1の励磁状態に対して第1の励磁電流と第2の励磁電流の周波数を第2の角周波数ω2に変更した第2の励磁状態をT2秒継続することをT秒周期で繰り返す。すなわち、T=T1+T2である。第1の励磁コイル3aから発生する磁場と第2の励磁コイル3bから発生する磁場の位相差は、第1の励磁状態、第2の励磁状態共に略πとする(Δθ2≒0)。
図35は本実施の形態の状態定量化部8aの動作を示すフローチャートである。まず、信号変換部5aは、第1の励磁状態において、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数ω0の成分の起電力E420Rの振幅r420Rを求めると共に、実軸と電極間起電力E420Rとの位相差φ420Rを図示しない位相検波器により求める(図35ステップ301)。
続いて、信号変換部5aは、第2の励磁状態において、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数ω2の成分の起電力E422Rの振幅r422Rを求めると共に、実軸と電極間起電力E422Rとの位相差φ422Rを位相検波器により求める(ステップ302)。
続いて、信号変換部5aは、電極間起電力E420Rを近似した起電力EdA40の大きさ|EdA40|と実軸に対する角度∠EdA40を次式のように算出する(ステップ303)。
|EdA40|=r420R ・・・(164)
∠EdA40=φ420R ・・・(165)
また、信号変換部5aは、電極間起電力E422Rを近似した起電力EdA42の大きさ|EdA42|と実軸に対する角度∠EdA42を次式のように算出する(ステップ304)。
|EdA42|=r422R ・・・(166)
∠EdA42=φ422R ・・・(167)
ステップ303,304の処理は、∂A/∂t成分を求めることに対応する処理であり、式(150)、式(154)の算出に相当する処理である。
次に、信号変換部5aは、電極間起電力EdA40の中から第2のパラメータp4に依存する変動要因Cp40を抽出すると共に、電極間起電力EdA42の中から第2のパラメータp4に依存する変動要因Cp42を抽出して、変動要因Cp42とCp40との比Cn4の大きさと角度を求める(ステップ305)。信号変換部5aは、比Cn4の大きさ(rk[p4,ω2]/rk[p4,ω0])を次式のように算出する。
rk[p4,ω2]/rk[p4,ω0]
=(|EdA42|/|EdA40|)・(ω0/ω2) ・・・(168)
そして、信号変換部5aは、比Cn4の実軸に対する角度(θ00[p4,ω2]−θ00[p4,ω0])を次式のように算出する。
θ00[p4,ω2]−θ00[p4,ω0]=∠EdA42−∠EdA40
・・・(169)
以上で、ステップ305の処理が終了する。
状態記憶部6aには、第2のパラメータp4と比Cn4の大きさ(rk[p4,ω2]/rk[p4,ω0])との関係、または第2のパラメータp4と比Cn4の角度(θ00[p4,ω2]−θ00[p4,ω0])との関係が数式やテーブルの形式で予め登録されている。ステップ306において、状態出力部7aは、信号変換部5aで計算された比Cn4の大きさ(rk[p4,ω2]/rk[p4,ω0])または角度(θ00[p4,ω2]−θ00[p4,ω0])に基づき、状態記憶部6aを参照して、rk[p4,ω2]/rk[p4,ω0])または(θ00[p4,ω2]−θ00[p4,ω0])に対応する第2のパラメータp4の値を算出する(あるいは状態記憶部6aから取得する)。
状態定量化部8aは、以上のようなステップ301〜306の処理を例えばオペレータによって計測終了が指示されるまで(ステップ307においてYES)、周期T毎に行う。なお、ステップ302〜306の処理は継続時間T2秒の第2の励磁状態において行われる。
以上のように、本実施の形態では、第1の励磁コイル3aから発生する磁場B1と第2の励磁コイル3bから発生する磁場B2の位相差を略πとし、磁場B1とB2の大きさが等しくなるように設定しておくと、電極間起電力E420R,E422Rがそれぞれ励磁角周波数ω0,ω2のときの∂A/∂t成分として近似的に抽出できることに着眼し、近似的に抽出した2つの∂A/∂t成分からそれぞれ流体の特性や状態あるいは測定管内の状態(第2のパラメータp4)に依存する変動要因Cp40,Cp42を抽出して、変動要因Cp42とCp40との比の大きさまたは位相に基づいて第2のパラメータp4を求めるようにしたので、流体の流速に関わらず、流体の特性や状態あるいは測定管内の状態を精度良く検出することができる。
また、第2の実施の形態と同様に、本実施の形態の状態定量化部8aのうち、電極間起電力E420R,E422Rの検出部を除く構成は、コンピュータとプログラムによって実現することができる。そして、本実施の形態では、例えば、角周波数ω0の第1の励磁電流を第1の励磁コイル3aに供給し、第1の励磁電流との位相差がΔθ2で角周波数がω0の第2の励磁電流を第2の励磁コイル3bに供給し、第2のパラメータがp4であるときの電極間起電力E420をとれば、電極間起電力E420は、式(146)においてb2に係る±の係数を反転させたものとなり、電極間起電力E420は、ほぼv×B成分として扱うことができる。したがって、本実施の形態によれば、基本的に電磁誘導方式の流量計と同じハードウェア構成を用いて、流体の特性や状態あるいは測定管内の状態を検出することができる。
なお、本実施の形態では、変動要因の比Cn4の大きさ(rk[p4,ω2]/rk[p4,ω0])または角度(θ00[p4,ω2]−θ00[p4,ω0])のいずれかを抽出すればよいとしているが、大きさと角度の両方を抽出して、第2のパラメータp4を求めることも可能である。この場合は、大きさ(rk[p4,ω2]/rk[p4,ω0])と角度(θ00[p4,ω2]−θ00[p4,ω0])のうち例えば感度の良い方を選択して、選択した大きさまたは角度に基づいて第2のパラメータp4を求めるようにすればよい。これにより、検出感度を向上させることができる。
また、本実施の形態では、励磁周波数をω0とω2に切り替える例を示したが、角周波数ω0の成分とω2の成分とを含む励磁電流で励磁すれば、励磁周波数を切り替える必要がなくなり、より高速に第2のパラメータp4を求めることができる。例えば式(22)、式(23)の代わりに式(132)、式(133)で表される磁場を用いれば良い。
本実施の形態の状態検出装置の具体例として、流体インピーダンスの抵抗成分を検出する例を説明する。角周波数ωで励磁したとき、状態検出装置の入力側インピーダンスがZin(=Rin/(1+j・ω・Rin・Cin))、流体インピーダンスがZf(=Rf)であるときに、電極2a,2bから取り出せる起電力をEe2[ω]とし、入力側インピーダンスが無限大であるときに取り出せる起電力をEe1[ω]とする。このとき、起電力Ee2[ω]とEe1[ω]には次の関係が成り立つ。
Ee2[ω]=Ee1[ω]・Rin/{(Rin+Rf)
+j・ω・Cin・Rin・Rf} ・・・(170)
入力側インピーダンスZinと流体インピーダンスZfと起電力Ee1[ω]とEe2[ω]との関係を等価回路で表すと図36のようになる。入力側インピーダンスの抵抗成分Rinを100、容量成分を0.5とすれば、Ee2[ω]/Ee1[ω]の大きさと周波数の関係は図37で示される。流体インピーダンスの検出を第4の実施の形態にあてはめると、以下の式(171)〜式(174)が成立する。
Ee2[ω0]=E420R
=rk[p4,ω0]・exp(j・θ00[p4,ω0])
・exp{j・(π/2+θ1)}・{b1+b2・exp(j・Δθ2)}
・ω0 ・・・(171)
Ee2[ω2]=E422R
=rk[p4,ω2]・exp(j・θ00[p4,ω2])
・exp{j・(π/2+θ1)}・{b1+b2・exp(j・Δθ2)}
・ω2 ・・・(172)
Ee1[ω0]=exp{j・(π/2+θ1)}
・{b1+b2・exp(j・Δθ2)}・ω0 ・・・(173)
Ee1[ω2]=exp{j・(π/2+θ1)}
・{b1+b2・exp(j・Δθ2)}・ω2 ・・・(174)
起電力Ee2[ω2]とEe2[ω0]との比Ee2[ω2]/Ee2[ω0]は、次式で表される。
Ee2[ω2]/Ee2[ω0]
={rk[p4,ω2]・exp(j・θ00[p4,ω2])}
/{rk[p4,ω0]・exp(j・θ00[p4,ω0])}・ω2/ω1
・・・(175)
また、起電力Ee1[ω2]とEe1[ω0]との比Ee1[ω2]/Ee1[ω0]は、次式で表される。
Ee1[ω2]/Ee1[ω0]=ω2/ω1 ・・・(176)
Ee2[ω]=Ee1[ω]・Rin/{(Rin+Rf)+j・ω・Cin・Rin・Rf}の関係式から、次式が得られる。
Ee2[ω2]/Ee2[ω0]
={rk[Rf,ω2]・exp(j・θ00[Rf,ω2])}
/{rk[Rf,ω1]・exp(j・θ00[Rf,ω1])}
=[Rin/{(Rin+Rf)+j・ω2・Cin・Rin・Rf}]
/[Rin/{(Rin+Rf)+j・ω0・Cin・Rin・Rf}]
・・・(177)
ここで、大きさの比により流体インピーダンスの抵抗成分Rf(第2のパラメータp4)の値を求めることとすれば、ω0=0.1、ω2=10とおいたとき、変動要因の比の大きさ|rk[Rf,ω2]/rk[Rf,ω0]|と抵抗成分Rfとの関係は図38のようになる。この関係を設計時の理論式または校正時の計測により求め、状態記憶部6aに記憶させておくことにより、ステップ305で得られた変動要因の比の大きさ|rk[Rf,ω2]/rk[Rf,ω0]|に基づき、ステップ306で流体インピーダンスの抵抗成分Rfを求めることができる。例えば変動要因の比の値が0.009996136860であったとすると、図38から抵抗成分Rfの値は1である。
[第5の実施の形態]
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。本実施の形態の状態検出装置は2個の励磁コイルと1対の電極とを有するものであり、信号処理系を除く構成は図5に示した状態検出装置と同様であるので、図5の符号を用いて本実施の形態の原理を説明する。本実施の形態は、合成ベクトルから∂A/∂t成分を抽出する方法として前記第2の抽出方法を用い、変動要因が周波数特性を持つ複数の第2のパラメータを求めるものである。ここでは、2つの第2のパラメータの値を求める例を示す。2つの第2のパラメータのうち、一方を第3のパラメータ、他方を第4のパラメータとする。
角周波数ω0の第1の励磁電流を第1の励磁コイル3aに供給し、第1の励磁電流との位相差がΔθ2+πで角周波数がω0の第2の励磁電流を第2の励磁コイル3bに供給し、第3のパラメータがp5、第4のパラメータがq5であるときの電極間起電力E520Rは、式(30)、式(85)、式(86)から次式で表される。
E520R=rk[p5,q5,ω0]
・exp{j・(θ1+θ00[p5,q5、ω0])}
・[exp(j・π/2)・{b1+b2・exp(j・Δθ2)}・ω0
+γ・exp(j・Δθ01)・{b1−b2・exp(j・Δθ2)}
・V] ・・・(178)
式(71)、式(72)から、式(178)において式(147)、式(148)が成り立つ。式(148)の条件を用いて、式(178)の電極間起電力E520Rを近似した起電力をEdA50とすると、電極間起電力EdA50は次式で表される。
EdA50≒E520R ・・・(179)
EdA50=rk[p5,q5、ω0]・exp(j・θ00[p5,q5,ω0])
・exp{j・(π/2+θ1)}
・{b1+b2・exp(j・Δθ2)}・ω0 ・・・(180)
次に、角周波数ω2の第1の励磁電流を第1の励磁コイル3aに供給し、第1の励磁電流との位相差がΔθ2+πで角周波数がω2の第2の励磁電流を第2の励磁コイル3bに供給し、第3のパラメータがp5、第4のパラメータがq5であるときの電極間起電力E522Rは、式(30)、式(88)、式(89)から次式で表される。
E522R=rk[p5,q5,ω2]
・exp{j・(θ1+θ00[p5,q5,ω2])}
・[exp(j・π/2)・{b1+b2・exp(j・Δθ2)}・ω2
+γ・exp(j・Δθ01)・{b1−b2・exp(j・Δθ2)}
・V] ・・・(181)
通常、ω2>γ・Vが成り立つことから、式(147)の条件を考慮すると、式(181)の電極間起電力E522Rにおいて式(152)が成り立つ。式(152)の条件を用いて、式(181)の電極間起電力E522Rを近似した起電力をEdA52とすると、電極間起電力EdA52は次式で表される。
EdA52≒E522R ・・・(182)
EdA52=rk[p5,q5,ω2]・exp(j・θ00[p5,q5,ω2])
・exp{j・(π/2+θ1)}
・{b1+b2・exp(j・Δθ2)}・ω2 ・・・(183)
よって、式(180)、式(183)より、合成ベクトル中の∂A/∂t成分を第1の励磁コイル3aから発生する磁場と第2の励磁コイル3bから発生する磁場の位相差を利用して抽出できることが分かる。式(180)、式(183)は流速の大きさVに関係しないので、∂A/∂tによって発生する成分のみとなり、これを用いれば、流速以外の流体の状態や測定管内の状態を計測することが可能になる。
式(180)において第3、第4のパラメータによる変動要因をCpq50とすると、Cpq50=rk[p5,q5,ω0]・exp(j・θ00[p5,q5,ω0])であり、残りの部分は校正等により与えられる定数となる。変動要因Cpq50は、式(180)から次式で表される。
Cpq50=EdA50/[exp{j・(π/2+θ1)}
・{b1+b2・exp(j・Δθ2)}・ω0] ・・・(184)
また、式(183)において第3、第4のパラメータによる変動要因をCpq52とすると、Cpq52=rk[p5,q5,ω2]・exp(j・θ00[p5,q5,ω2])であり、残りの部分は校正等により与えられる定数となる。変動要因Cpq52は、式(183)から次式で表される。
Cpq52=EdA52/[exp{j・(π/2+θ1)}
・{b1+b2・exp(j・Δθ2)}・ω2] ・・・(185)
式(184)、式(185)における[exp{j・(π/2+θ1)}・{b1+b2・exp(j・Δθ2)}]の大きさをm2b、角度をθ2bとすると、m2b、θ2bはそれぞれ式(120)、式(121)で表される。
式(120)、式(121)を式(184)に適用すれば、変動要因Cpq50の大きさrk[p5,q5,ω0]と実軸からの角度θ00[p5,q5,ω0]は次式で表される。
rk[p5,q5,ω0]=|EdA50|/(m2b・ω0) ・・・(186)
θ00[p5,q5,ω0]=∠EdA50−θ2b ・・・(187)
また、式(120)、式(121)を式(185)に適用すれば、変動要因Cpq52の大きさrk[p5,q5,ω2]と実軸からの角度θ00[p5,q5,ω2]は次式で表される。
rk[p5,q5,ω2]=|EdA52|/(m2b・ω2) ・・・(188)
θ00[p5,q5,ω2]=∠EdA52−θ2b ・・・(189)
校正時の計測等により予め確認されているパラメータp5,q5とrk[p5,q5,ω0],rk[p5,q5,ω2]との関係、またはパラメータp5,q5とθ00[p5,q5,ω0],θ00[p5,q5,ω2]との関係から、パラメータp5,q5を求めることができる。
次に、本実施の形態の状態検出装置の具体的な構成とその動作について説明する。本実施の形態の状態検出装置の構成は第2の実施の形態と同様であるので、図30の符号を用いて説明する。本実施の形態の状態検出装置は、測定管1と、電極2a,2bと、第1、第2の励磁コイル3a,3bと、電源部4aと、状態定量化部8aとを有する。
状態定量化部8aは、電極2a,2bで検出される合成起電力のうち複数の周波数成分の振幅と位相を求めることにより、複数の周波数成分の各々について∂A/∂t成分を抽出し、複数の第2のパラメータと周波数とに依存する変動要因の大きさまたは位相を前記抽出した∂A/∂t成分の各々から抽出する信号変換部5aと、複数の周波数成分の各々における変動要因の大きさまたは位相と複数の第2のパラメータとの関係を予め記憶する状態記憶部6a(前述の第3のテーブルに相当)と、状態記憶部6aに記憶された関係に基づいて、前記抽出された変動要因の大きさまたは位相に対応する複数の第2のパラメータを算出する状態出力部7aとから構成される。
電源部4aの動作は第4の実施の形態と同じである。図39は本実施の形態の状態定量化部8aの動作を示すフローチャートである。まず、信号変換部5aは、励磁角周波数がω0の第1の励磁状態において、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数ω0の成分の起電力E520Rの振幅r520Rを求めると共に、実軸と電極間起電力E520Rとの位相差φ520Rを図示しない位相検波器により求める(図39ステップ401)。
続いて、信号変換部5aは、励磁角周波数がω2の第2の励磁状態において、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数ω2の成分の起電力E522Rの振幅r522Rを求めると共に、実軸と電極間起電力E522Rとの位相差φ522Rを位相検波器により求める(ステップ402)。
続いて、信号変換部5aは、電極間起電力E520Rを近似した起電力EdA50の大きさ|EdA50|と実軸に対する角度∠EdA50を次式のように算出する(ステップ403)。
|EdA50|=r520R ・・・(190)
∠EdA50=φ520R ・・・(191)
また、信号変換部5aは、電極間起電力E522Rを近似した起電力EdA52の大きさ|EdA52|と実軸に対する角度∠EdA52を次式のように算出する(ステップ404)。
|EdA52|=r522R ・・・(192)
∠EdA52=φ522R ・・・(193)
ステップ403,404の処理は、∂A/∂t成分を求めることに対応する処理であり、式(180)、式(183)の算出に相当する処理である。
次に、信号変換部5aは、電極間起電力EdA50の中から、第3のパラメータp5および第4のパラメータq5に依存する変動要因Cpq50の大きさrk[p5,q5,ω0]と実軸に対する角度θ00[p5,q5,ω0]を次式のように算出する(ステップ405)。
rk[p5,q5,ω0]=|EdA50|/(m2b・ω0) ・・・(194)
θ00[p5,q5,ω0]=∠EdA50−θ2b ・・・(195)
また、信号変換部5aは、電極間起電力EdA52の中から、第3のパラメータp5および第4のパラメータq5に依存する変動要因Cpq52の大きさrk[p5,q5,ω2]と実軸に対する角度θ00[p5,q5,ω2]を次式のように算出する(ステップ406)。
rk[p5,q5,ω2]=|EdA52|/(m2b・ω2) ・・・(196)
θ00[p5,q5,ω2]=∠EdA52−θ2b ・・・(197)
なお、m2b,θ2b(第1の励磁コイル3aから発生する磁場B1の振幅b1と、第2の励磁コイル3bから発生する磁場B2の振幅b2と、磁場B1とω0・tとの位相差θ1と、Δθ2)は、校正等により予め求めることができる定数である。
状態記憶部6aには、第3のパラメータp5および第4のパラメータq5と変動要因Cpq50,Cpq52の大きさrk[p5,q5,ω0],rk[p5,q5,ω2]との関係、またはパラメータp5,q5と変動要因Cpq50,Cpq52の角度θ00[p5,q5,ω0],θ00[p5,q5,ω2]との関係が数式やテーブルの形式で予め登録されている。
状態出力部7aは、信号変換部5aで計算された変動要因Cpq50,Cpq52の大きさrk[p5,q5,ω0],rk[p5,q5,ω2]または角度θ00[p5,q5,ω0],θ00[p5,q5,ω2]に基づき、状態記憶部6aを参照して、大きさrk[p5,q5,ω0],rk[p5,q5,ω2]または角度θ00[p5,q5,ω0],θ00[p5,q5,ω2]に対応する第3のパラメータp5および第4のパラメータq5の値を算出する(ステップ407)。
状態定量化部8aは、以上のようなステップ401〜407の処理を例えばオペレータによって計測終了が指示されるまで(ステップ408においてYES)、周期T毎に行う。なお、ステップ402〜407の処理は継続時間T2秒の第2の励磁状態において行われる。
以上のように、本実施の形態では、第1の励磁コイル3aから発生する磁場B1と第2の励磁コイル3bから発生する磁場B2の位相差を略πとし、磁場B1とB2の大きさが等しくなるように設定しておくと、電極間起電力E520R,E522Rがそれぞれ励磁角周波数ω0,ω2のときの∂A/∂t成分として近似的に抽出できることに着眼し、近似的に抽出した2つの∂A/∂t成分からそれぞれ流体の特性や状態あるいは測定管内の状態(第3のパラメータp5および第4のパラメータq5)に依存する変動要因Cpq50,Cpq52を抽出して、変動要因Cpq50,Cpq52の大きさまたは位相に基づいて第3のパラメータp5および第4のパラメータq5を求めるようにしたので、流体の流速に関わらず、流体の特性や状態あるいは測定管内の状態を精度良く検出することができる。
また、第2の実施の形態と同様に、本実施の形態の状態定量化部8aのうち、電極間起電力E520R,E522Rの検出部を除く構成は、コンピュータとプログラムによって実現することができる。そして、本実施の形態では、例えば、角周波数ω0の第1の励磁電流を第1の励磁コイル3aに供給し、第1の励磁電流との位相差がΔθ2で角周波数がω0の第2の励磁電流を第2の励磁コイル3bに供給し、第3のパラメータがp5、第4のパラメータがq5であるときの電極間起電力E520をとれば、電極間起電力E520は、式(178)においてb2に係る±の係数を反転させたものとなり、電極間起電力E520は、ほぼv×B成分として扱うことができる。したがって、本実施の形態によれば、基本的に電磁誘導方式の流量計と同じハードウェア構成を用いて、流体の特性や状態あるいは測定管内の状態を検出することができる。
なお、本実施の形態では、変動要因Cpq50,Cpq52の大きさrk[p5,q5,ω0],rk[p5,q5,ω2]または角度θ00[p5,q5,ω0],θ00[p5,q5,ω2]のいずれかを抽出すればよいとしているが、大きさと角度の両方を抽出して、第3のパラメータp5および第4のパラメータq5を求めることも可能である。この場合は、大きさrk[p5,q5,ω0],rk[p5,q5,ω2]と角度θ00[p5,q5,ω0],θ00[p5,q5,ω2]のうち例えば感度の良い方を選択して、選択した大きさまたは角度に基づいて第3のパラメータp5および第4のパラメータq5を求めるようにすればよい。これにより、検出感度を向上させることができる。
また、本実施の形態では、励磁周波数をω0とω2に切り替える例を示したが、角周波数ω0の成分とω2の成分とを含む励磁電流で励磁すれば、励磁周波数を切り替える必要がなくなり、より高速にパラメータp5,q5を求めることができる。例えば式(22)、式(23)の代わりに式(132)、式(133)で表される磁場を用いれば良い。
本実施の形態の状態検出装置の具体例として、流体インピーダンスの抵抗成分と容量成分を検出する例を説明する。角周波数ωで励磁したとき、状態検出装置の入力側インピーダンスがZin[ω](=Rin/(1+j・ω・Rin・Cin))、流体インピーダンスがZf[ω](=Rf/(1+j・ω・Rf・Cf))であるときに、電極2a,2bから取り出せる起電力をEe2[ω]とし、入力側インピーダンスが無限大であるときに取り出せる電位をEe1[ω]とする。このとき、起電力Ee2[ω]とEe1[ω]には次の関係が成り立つ。
Ee2[ω]=Ee1[ω]・Zf[ω]/(Zin[ω]+Zf[ω])
・・・(198)
入力側インピーダンスZinと流体インピーダンスZfと起電力Ee1[ω]とEe2[ω]との関係を等価回路で表すと図40のようになる。入力側インピーダンスの抵抗成分Rinを10、容量成分Cinを0.5とし、ω0=0.1を選択すれば、Ee2[0.1]/Ee1[0.1]の大きさと流体インピーダンスの抵抗成分Rfおよび容量成分Cfとの関係は図41で示される。また、同じくRin=10、Cin=0.5とし、ω2=0.01を選択すれば、Ee2[0.01]/Ee1[0.01]の大きさと流体インピーダンスの抵抗成分Rfおよび容量成分Cfとの関係は図42で示される。流体インピーダンスの検出を第5の実施の形態にあてはめると、以下の式(199)〜式(202)が成立する。
Ee2[ω0]=E520R
=rk[p5,q5、ω0]・exp(j・θ00[p5,q5,ω0])
・exp{j・(π/2+θ1)}・{b1+b2・exp(j・Δθ2)}
・ω0 ・・・(199)
Ee2[ω2]=E522R
=rk[p5,q5、ω2]・exp(j・θ00[p5,q5,ω2])
・exp{j・(π/2+θ1)}・{b1+b2・exp(j・Δθ2)}
・ω2 ・・・(200)
Ee1[ω0]=exp{j・(π/2+θ1)}
・{b1+b2・exp(j・Δθ2)}・ω0 ・・・(201)
Ee1[ω2]=exp{j・(π/2+θ1)}
・{b1+b2・exp(j・Δθ2)}・ω2 ・・・(202)
したがって、式(194)〜式(197)から変動要因Cpq50,Cpq52の大きさrk[p5,q5,ω0],rk[p5,q5,ω2]と角度θ00[p5,q5,ω0],θ00[p5,q5,ω2]を求めることができる。Ee2[ω]/Ee1[ω]=Zf/(Zin+Zf)の関係式から次式が得られる。
rk[Rf,Cf,ω0]・exp(j・θ00[Rf,Cf,ω0])
={Rin/(1+j・ω0・Cin・Rin)}
/[{Rin/(1+j・ω0・Cin・Rin)}
+{Rf/(1+j・ω0・Cf・Rf)}] ・・・(203)
rk[Rf,Cf,ω2]・exp(j・θ00[Rf,Cf,ω2])
={Rin/(1+j・ω2・Cin・Rin)}
/[{Rin/(1+j・ω2・Cin・Rin)}
+{Rf/(1+j・ω2・Cf・Rf)}] ・・・(204)
ここで、大きさrkにより流体インピーダンスの抵抗成分Rf(第3のパラメータp5)と容量成分Cf(第4のパラメータq5)の値を求めることとすれば、Rin=10、Cin=0.5、ω0=0.1とおいたとき、rk[Rf,Cf,ω0]=Ee2[0.1]/Ee1[0.1]=0.8595658805であったとすると、Rf,Cfの解は、図41に示した曲面とEe2[0.1]/Ee1[0.1]=0.8595658805という平面との交点として求まる(図43)。
また、Rin=10、Cin=0.5、ω2=0.01とおいたとき、rk[Rf,Cf,ω2]=Ee2[0.01]/Ee1[0.01]=0.6759189546であったとすると、Rf,Cfの解は、図42に示した曲面とEe2[0.01]/Ee1[0.01]=0.6759189546という平面との交点として求まる(図44)。図43と図44の結果から、励磁周波数ω0,ω2のいずれにおいても満足する解として、Rf=5、Cf=5が得られる。
図41、図42に示した関係を設計時の理論式または校正時の計測により求め、状態記憶部6aに記憶させておくことにより、ステップ405で得られた変動要因Cpq50の大きさrk[p5,q5,ω0]とステップ406で得られた変動要因Cpq52の大きさrk[p5,q5,ω2]に基づき、ステップ407で流体インピーダンスの抵抗成分Rfと容量成分Cfを求めることができる。
なお、実際には励磁角周波数ω0における変動要因Cpq50の大きさrk[p5,q5,ω0]の値と状態記憶部6aに蓄積されている図41の曲面の式から、パラメータp5とq5の解の候補が曲線として求まり、さらに励磁角周波数ω2における変動要因Cpq52の大きさrk[p5,q5,ω2]の値と状態記憶部6aに蓄積されている図42の曲面の式から、パラメータp5とq5の解の候補が曲線として求まるので、図41の曲面の式から求めた解の候補と図42の曲面の式から求めた解の候補との交点がパラメータp5,q5の解となる。
具体的には、曲線を細分化して、式(95)と式(96)で表わされるように解の近傍で2つの直線の式が次式のように成り立つとする。
p5/a0+q5/b0+z0/c0=1 ・・・(205)
p5/a2+q5/b2+z2/c2=1 ・・・(206)
式(205)と式(206)の直線の1例を図45に示す。細分化された2つの直線が交点を持つ区間を選択し、この2つの連立方程式を例えばガウスの消去法のプログラムを用いて解けば、pパラメータ5とq5の解を求めることができる。これは第2のパラメータが2つ以上になっても同様の手法を用いて計算することができ、この計算は例えばコンピュータを用いれば、容易に実現できる。
[第6の実施の形態]
次に、本発明の第6の実施の形態について説明する。本実施の形態は、第1の実施の形態の状態検出装置に対して電極を1個追加したものであり、前述の第3の原理を用いるものである。本実施の形態の状態検出装置は1個の励磁コイルと2対の電極とを有するものであり、信号処理系を除く構成は図13に示した状態検出装置と同様であるので、図13の符号を用いて本実施の形態の原理を説明する。新たに追加する第2の電極を既存の第1の電極と同じ側に追加した場合には、第1の実施の形態の冗長な構成となる。したがって、第2の電極は、励磁コイルを挟んで第1の電極と異なる側に配設する必要がある。本実施の形態は、合成ベクトルから∂A/∂t成分を抽出する方法として前記第1の抽出方法を用い、励磁周波数に関係しない第1のパラメータを求めるものである。
角周波数ω0の励磁電流を励磁コイル3に供給し、第1のパラメータがp6であるときの電極2a,2b間の第1の電極間起電力と電極2c,2d間の第2の電極間起電力との差E630dは、式(54)、式(68)、式(75)から次式で表される。
E630d=rk[p6]・exp{j・(θ3+θ00[p6])}
・[exp(j・π/2)・{b3+b4・exp(j・Δθ4)}・ω0
+γ・exp(j・Δθ01)・{b3−b4・exp(j・Δθ4)}
・V] ・・・(207)
また、角周波数ω2の励磁電流を励磁コイル3に供給し、第1のパラメータがp6であるときの電極2a,2b間の第1の電極間起電力と電極2c,2d間の第2の電極間起電力との差E632dは、式(54)、式(70)、式(75)から次式で表される。
E632d=rk[p6]・exp{j・(θ3+θ00[p6])}
・[exp(j・π/2)・{b3+b4・exp(j・Δθ4)}・ω2
+γ・exp(j・Δθ01)・{b3−b4・exp(j・Δθ4)}
・V] ・・・(208)
ここで、励磁コイル3の軸を含む平面PLN3から電極2a,2b間を結ぶ電極軸EAX1までの距離d3と平面PLN3から電極2c,2d間を結ぶ電極軸EAX2までの距離d4とが略等しいとすると(d3≒d4)、b3≒b4、Δθ4≒0になる。この場合、式(207)、式(208)は以下のようになる。
E630d=rk[p6]・exp{j・(θ3+θ00[p6])}
・{exp(j・π/2)・2・b3・ω0} ・・・(209)
E632d=rk[p6]・exp{j・(θ3+θ00[p6])}
・{exp(j・π/2)・2・b3・ω2} ・・・(210)
すなわち、起電力差E630d,E632dは、ほぼ∂A/∂t成分のみの起電力になり、∂A/∂t成分の抽出の際の演算誤差を小さくすることができる。この点が、本実施の形態と第1の実施の形態の技術的な意義における相違点である。ただし、以後の理論展開もb3≠b4,Δθ4≠0として進める。
起電力差E630dとE632dとの差をEdA6とすれば、差分EdA6は次式で表される。
EdA6=(E630d−E632d)
=rk[p6]・exp(j・θ00[p6])・exp{j・(π/2+θ3)}
・{b3+b4・exp(j・Δθ4)}・(ω0−ω2) ・・・(211)
よって、式(211)より、合成ベクトル中の∂A/∂t成分を異なる周波数成分の出力差を利用して抽出できることが分かる。式(211)は流速の大きさVに関係しないので、∂A/∂tによって発生する成分のみとなる。この差分EdA6を用いて、流速以外の流体の状態や測定管内の状態を計測することが可能になる。
第1のパラメータによる変動要因をCp6とすると、Cp6=rk[p6]・exp(j・θ00[p6])であり、残りの部分は校正等により与えられる定数となる。変動要因Cp6は、式(211)から次式で表される。
Cp6=EdA6/[exp{j・(π/2+θ3)}
・{b3+b4・exp(j・Δθ4)}・(ω0−ω2)]
・・・(212)
式(212)における[exp{j・(π/2+θ3)}・{b3+b4・exp(j・Δθ4)}]の大きさをm3b、角度をθ3bとすると、m3b、θ3bは次式で表される。
m3b={b32+b42+b3・b4・cos(Δθ4)}1/2 ・・・(213)
θ3b=tan-1[{b4・sin(Δθ4)}
/{b3+b4・cos(Δθ4)}]−(π/2+θ3) ・・(214)
式(212)〜式(214)から変動要因Cp6の大きさrk[p6]と実軸からの角度θ00[p6]は次式で表される。
rk[p6]=|EdA1|/{m3b・(ω0−ω2)} ・・・(215)
θ00[p6]=∠EdA1−θ3b ・・・(216)
校正時の計測等により予め確認されている第1のパラメータp6とrk[p6]との関係または第1のパラメータp6と角度θ00[p6]との関係から、第1のパラメータp6を求めることができる。
次に、本実施の形態の状態検出装置の具体的な構成とその動作について説明する。図46は本実施の形態の状態検出装置の構成を示すブロック図であり、図13と同一の構成には同一の符号を付してある。本実施の形態の状態検出装置は、測定管1と、第1の電極2a,2bと、第2の電極2c,2dと、励磁コイル3と、電源部4bと、状態定量化部8bとを有する。
状態定量化部8bは、第1の電極2a,2bで検出される第1の合成起電力と第2の電極2c,2dで検出される第2の合成起電力の各々について振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて第1の合成起電力と第2の合成起電力の同一周波数成分の起電力差を第1の角周波数ω0と第2の角周波数ω2の各々について求め、第1の角周波数ω0における起電力差と第2の角周波数ω2における起電力差との差分を∂A/∂t成分として抽出し、この∂A/∂t成分の中から第1のパラメータに依存し、周波数に依存しない変動要因の大きさまたは位相を抽出する信号変換部5bと、第1のパラメータに依存する変動要因の大きさまたは位相と第1のパラメータとの関係を予め記憶する状態記憶部6b(前述の第1のテーブルに相当)と、状態記憶部6bに記憶された関係に基づいて、前記抽出された変動要因の大きさまたは位相に対応する第1のパラメータを求める状態出力部7bとから構成される。
電源部4bは、第1の角周波数ω0の励磁電流を励磁コイル3に供給する第1の励磁状態をT1秒継続し、続いて第2の角周波数ω2の励磁電流を励磁コイル3に供給する第2の励磁状態をT2秒継続することをT秒周期で繰り返す。すなわち、T=T1+T2である。
図47は状態定量化部8bの動作を示すフローチャートである。まず、信号変換部5bは、第1の励磁状態において、電極2aと2b間の第1の電極間起電力のうち角周波数ω0の成分の起電力と電極2cと2d間の第2の電極間起電力のうち角周波数ω0の成分の起電力との差E630dの振幅r630dを求めると共に、実軸と起電力差E630dとの位相差φ630dを図示しない位相検波器により求める(図47ステップ501)。
続いて、信号変換部5bは、第2の励磁状態において、第1の電極間起電力のうち角周波数ω2の成分の起電力と第2の電極間起電力のうち角周波数ω2の成分の起電力との差E632dの振幅r632dを求めると共に、実軸と起電力差E632dとの位相差φ632dを位相検波器により求める(ステップ502)。
次に、信号変換部5bは、起電力差E630dの実軸成分E630dxと虚軸成分E630dy、および起電力差E632dの実軸成分E632dxと虚軸成分E632dyを次式のように算出する(ステップ503)。
E630dx=r630d・cos(φ630d) ・・・(217)
E630dy=r630d・sin(φ630d) ・・・(218)
E632dx=r632d・cos(φ632d) ・・・(219)
E632dy=r632d・sin(φ632d) ・・・(220)
式(217)〜式(220)の算出後、信号変換部5bは、起電力差E630dとE632dとの差分EdA6の大きさと角度を求める(ステップ504)。このステップ504の処理は、∂A/∂t成分を求めることに対応する処理であり、式(211)の算出に相当する処理である。信号変換部5bは、差分EdA6の大きさ|EdA6|を次式のように算出する。
|EdA6|={(E630dx−E632dx)2
+(E630dy−E632dy)21/2 ・・・(221)
そして、信号変換部5は、実軸に対する差分EdA6の角度∠EdA6を次式のように算出する。
∠EdA6=tan-1{(E630dy−E632dy)
/(E630dx−E632dx)} ・・・(222)
以上で、ステップ504の処理が終了する。
信号変換部5bは、差分EdA6の中から、第1のパラメータp6に依存する変動要因Cp6の大きさrk[p6]と実軸に対する角度θ00[p6]を次式のように算出する(ステップ505)。
rk[p6]=|EdA6|/{m3b・(ω0−ω2)} ・・・(223)
θ00[p6]=∠EdA6−θ3b ・・・(224)
なお、m3b,θ3b(励磁コイル3から発生する磁場B3,B4の振幅b3,b4と、磁場B3とω0・tとの位相差θ3と、Δθ4)は、校正等により予め求めることができる定数である。
状態記憶部6bには、第1のパラメータp6と変動要因Cp6の大きさrk[p6]との関係、または第1のパラメータp6と変動要因Cp6の角度θ00[p6]との関係が数式やテーブルの形式で予め登録されている。ステップ506において、状態出力部7bは、信号変換部5bで計算された変動要因Cp6の大きさrk[p6]または角度θ00[p6]に基づき、状態記憶部6bを参照して、rk[p6]またはθ00[p6]に対応する第1のパラメータp6の値を算出する(あるいは状態記憶部6から取得する)。
状態定量化部8bは、以上のようなステップ501〜506の処理を例えばオペレータによって計測終了が指示されるまで(ステップ507においてYES)、周期T毎に行う。なお、ステップ502〜506の処理は継続時間T2秒の第2の励磁状態において行われる。
以上のように、本実施の形態では、第1の電極間起電力の角周波数ω0の成分と第2の電極間起電力の角周波数ω0の成分との差E630d、および第1の電極間起電力の角周波数ω2の成分と第2の電極間起電力の角周波数ω2の成分との差E632dを求め、起電力差E630dとE632dとから差分EdA6(∂A/∂t成分)を抽出し、この起電力差EdA6から流体の特性や状態あるいは測定管内の状態(第1のパラメータp6)に依存する変動要因Cp6の大きさまたは位相を抽出して、この変動要因Cp6の大きさまたは位相に基づいて第1のパラメータp6を求めるようにしたので、流体の流速に関わらず、流体の特性や状態あるいは測定管内の状態を精度良く検出することができる。
また、本実施の形態の状態定量化部8bのうち、起電力差E630d,E632dの検出部を除く構成は、CPU、記憶装置およびインタフェースを備えたコンピュータとこれらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。そして、本実施の形態では、例えば、E630d−EdA6・{(ω0−ω2)/ω0}によりv×B成分を抽出することができる。v×B成分から流体の流量を算出することは、一般の電磁流量計で周知の技術であり、状態定量化部8bを構成するコンピュータで容易に実現できる。したがって、本実施の形態によれば、基本的に電磁誘導方式の流量計と同じハードウェア構成を用いて、流体の特性や状態あるいは測定管内の状態を検出することができる。
また、本実施の形態では、励磁コイル3の軸を含む平面PLN3から第1の電極2a,2bまでの距離d3と平面PLN3から第2の電極2c,2dまでの距離d4とを調整することにより、起電力差E630d,E632dがほぼ∂A/∂t成分の起電力のみとなるようにすることができる。これにより、本実施の形態では、∂A/∂t成分をより効果的に抽出することが可能であり、第1の実施の形態に比べて演算誤差を小さくすることが可能である。
なお、本実施の形態では、差分EdA6から変動要因Cp6の大きさrk[p6]または角度θ00[p6]のいずれかを抽出すればよいとしているが、大きさと角度の両方を抽出して、第1のパラメータp6を求めることも可能である。この場合は、大きさrk[p6]と角度θ00[p6]のうち例えば感度の良い方を選択して、選択した大きさまたは角度に基づいて第1のパラメータp6を求めるようにすればよい。これにより、検出感度を向上させることができる。
また、本実施の形態では、励磁周波数をω0とω2に切り替える例を示したが、角周波数ω0の成分とω2の成分とを含む励磁電流で励磁すれば、励磁周波数を切り替える必要がなくなり、より高速に第1のパラメータp6を求めることができる。例えば式(41)、式(42)の代わりに次式で表される磁場を用いれば良い。
B3=b3・cos(ω0・t−θ3)+b3・cos(ω2・t−θ3)
・・・(225)
B4=b4・cos(ω0・t−θ4)+b4・cos(ω2・t−θ4)
・・・(226)
また、本実施の形態では、第1の電極間起電力と第2の電極間起電力とから起電力差E630d,E632dを取り出し、この起電力差E630dとE632dとの差分を∂A/∂t成分として抽出しているが、これに限るものではなく、第1の電極間起電力と第2の電極間起電力との起電力和を励磁角周波数ω0,ω2の各々について取り出し、この2つの起電力和の差分を∂A/∂t成分として抽出してもよい。
本実施の形態の状態検出装置の具体例として、流体の水位または断面積を検出する例を説明する。この場合、水位が変動することを考慮して、図48、図49に示すように、励磁コイル3を測定管1の水平方向に配置し、また電極2a,2cを測定管1の下部に配置する。このように第1の電極と第2の電極が1個ずつの場合には、流体の電位を接地電位にするためのアースリング(不図示)が測定管1に設けられており、電極2aと接地電位との電位差を第1の電極間起電力とし、電極2cと接地電位との電位差を第2の電極間起電力として信号変換部5bで検出すればよい。
流体の水位(断面積)が変動すると、変動要因Cp6の大きさrk[p6]の値も変動する。流体の水位または断面積(第1のパラメータp6)と変動要因Cp6の大きさrk[p6]との関係の1例を図50に示す。図50の関係は測定管1の形状等によって変化するので、この関係を設計時の理論式または校正時の計測により求め、状態記憶部6bに記憶させておくことにより、ステップ505で得られた変動要因Cp6の大きさrk[p6]に基づき、ステップ506で流体の水位または断面積を求めることができる。
[第7の実施の形態]
次に、本発明の第7の実施の形態について説明する。本実施の形態の状態検出装置は1個の励磁コイルと2対の電極とを有するものであり、信号処理系を除く構成は図13に示した状態検出装置と同様であるので、図13の符号を用いて本実施の形態の原理を説明する。本実施の形態は、合成ベクトルから∂A/∂t成分を抽出する方法として前記第2の抽出方法を用い、励磁周波数に関係しない第1のパラメータを求めるものである。
角周波数ω0の励磁電流を励磁コイル3に供給し、第1のパラメータがp7であるときの電極2a,2b間の第1の電極間起電力と電極2c,2d間の第2の電極間起電力との差E730dは、式(54)、式(68)、式(75)から次式で表される。
E730d=rk[p7]・exp{j・(θ3+θ00[p7])}
・[exp(j・π/2)・{b3+b4・exp(j・Δθ4)}・ω0
+γ・exp(j・Δθ01)・{b3−b4・exp(j・Δθ4)}
・V] ・・・(227)
初期状態(校正時の状態)において、励磁コイル3から発生する磁場B3と磁場B4を等しく設定しておくと、その後の磁場B3とB4との差は小さくなり、次式の条件が成り立つ。
|b3+b4・exp(j・Δθ4)|≫|b3−b4・exp(j・Δθ4)|
・・・(228)
また、通常ω0>γ・Vが成り立つことから、式(228)の条件を考慮すると、式(227)の起電力差E730dにおいて次式の条件が成り立つ。
|ω0・exp(j・π/2)・{b3+b4・exp(j・Δθ4)}|
≫|γ・V・exp(j・Δθ01)・{b3−b4・exp(j・Δθ4)}|
・・・(229)
式(229)の条件を用いて、式(227)の起電力差E730dを近似したものをEdA7とすると、起電力差EdA7は次式で表される。
EdA7≒E730d ・・・(230)
EdA7=rk[p7]・exp(j・θ00[p7])
・exp{j・(π/2+θ3)}
・{b3+b4・exp(j・Δθ4)}・ω0 ・・・(231)
よって、式(231)より、合成ベクトル中の∂A/∂t成分を電極間起電力の差を利用して抽出できることが分かる。式(231)は流速の大きさVに関係しないので、∂A/∂tによって発生する成分のみとなる。この起電力差EdA7を用いて、流速以外の流体の状態や測定管内の状態を計測することが可能になる。
第1のパラメータによる変動要因をCp7とすると、Cp7=rk[p7]・exp(j・θ00[p7])であり、残りの部分は校正等により与えられる定数となる。変動要因Cp7は、式(231)から次式で表される。
Cp7=EdA7
/[exp{j・(π/2+θ3)}
・{b3+b4・exp(j・Δθ4)}・ω0] ・・・(232)
式(232)における[exp{j・(π/2+θ3)}・{b3+b4・exp(j・Δθ4)}]の大きさm3b、角度θ3bは、式(213)、式(214)で表される。式(213)、式(214)を式(232)に適用すれば、変動要因Cp7の大きさrk[p7]と実軸からの角度θ00[p7]は次式で表される。
rk[p7]=|EdA7|/(m3b・ω0) ・・・(233)
θ00[p7]=∠EdA7−θ3b ・・・(234)
校正時の計測等により予め確認されている第1のパラメータp7とrk[p7]との関係または第1のパラメータp7と角度θ00[p7]との関係から、第1のパラメータp7を求めることができる。
次に、本実施の形態の状態検出装置の具体的な構成とその動作について説明する。本実施の形態の状態検出装置の構成は第6の実施の形態と同様であるので、図46の符号を用いて説明する。本実施の形態の状態検出装置は、測定管1と、第1の電極2a,2bと、第2の電極2c,2dと、励磁コイル3と、電源部4bと、状態定量化部8bとを有する。
状態定量化部8bは、第1の電極2a,2bで検出される第1の合成起電力と第2の電極2c,2dで検出される第2の合成起電力の各々について振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて第1の合成起電力と第2の合成起電力との起電力差から∂A/∂t成分を抽出し、この∂A/∂t成分の中から第1のパラメータに依存し、周波数に依存しない変動要因の大きさまたは位相を抽出する信号変換部5bと、第1のパラメータに依存する変動要因の大きさまたは位相と第1のパラメータとの関係を予め記憶する状態記憶部6b(前述の第1のテーブルに相当)と、状態記憶部6bに記憶された関係に基づいて、前記抽出された変動要因の大きさまたは位相に対応する第1のパラメータを求める状態出力部7bとから構成される。
電源部4bは、角周波数ω0の励磁電流を励磁コイル3に供給する。図51は本実施の形態の状態定量化部8bの動作を示すフローチャートである。まず、信号変換部5bは、電極2aと2b間の第1の電極間起電力のうち角周波数ω0の成分の起電力と電極2cと2d間の第2の電極間起電力のうち角周波数ω0の成分の起電力との差E730dの振幅r730dを求めると共に、実軸と起電力差E730dとの位相差φ730dを図示しない位相検波器により求める(図51ステップ601)。
続いて、信号変換部5bは、起電力差E730dを近似した起電力差EdA7の大きさと角度を求める(ステップ602)。このステップ602の処理は、∂A/∂t成分を求めることに対応する処理であり、式(231)の算出に相当する処理である。信号変換部5bは、起電力差EdA7の大きさ|EdA7|を次式のように算出する。
|EdA7|=r730d ・・・(235)
そして、信号変換部5bは、実軸に対する起電力差EdA7の角度∠EdA7を次式のように算出する。
∠EdA7=φ730d ・・・(236)
以上で、ステップ602の処理が終了する。
次に、信号変換部5bは、起電力差EdA7の中から、第1のパラメータp7に依存する変動要因Cp7の大きさrk[p7]と実軸に対する角度θ00[p7]を次式のように算出する(ステップ603)。
rk[p7]=|EdA7|/(m3b・ω0) ・・・(237)
θ00[p7]=∠EdA7−θ3b ・・・(238)
なお、m3b,θ3b(励磁コイル3から発生する磁場B3,B4の振幅b3,b4と、磁場B3とω0・tとの位相差θ3と、Δθ4)は、校正等により予め求めることができる定数である。
状態記憶部6bには、第1のパラメータp7と変動要因Cp7の大きさrk[p7]との関係、または第1のパラメータp7と変動要因Cp7の角度θ00[p7]との関係が数式やテーブルの形式で予め登録されている。ステップ604において、状態出力部7bは、信号変換部5bで計算された変動要因Cp7の大きさrk[p7]または角度θ00[p7]に基づき、状態記憶部6bを参照して、rk[p7]またはθ00[p7]に対応する第1のパラメータp7の値を算出する(あるいは状態記憶部6bから取得する)。状態定量化部8bは、以上のようなステップ601〜604の処理を例えばオペレータによって計測終了が指示されるまで(ステップ605においてYES)、一定周期毎に行う。
以上のように、本実施の形態では、励磁コイル3から発生する磁場B3とB4とが等しくなるように調整しておくと、起電力差E730dが近似的に∂A/∂t成分として抽出できることに着眼し、近似的に抽出した∂A/∂t成分から流体の特性や状態あるいは測定管内の状態(第1のパラメータp7)に依存する変動要因Cp7の大きさまたは位相を抽出して、この変動要因Cp7の大きさまたは位相に基づいて第1のパラメータp7を求めるようにしたので、流体の流速に関わらず、流体の特性や状態あるいは測定管内の状態を精度良く検出することができる。
また、第6の実施の形態と同様に、本実施の形態の状態定量化部8bのうち、起電力差E730dの検出部を除く構成は、コンピュータとプログラムによって実現することができる。そして、本実施の形態では、例えば、角周波数ω0の励磁電流を励磁コイル3に供給し、第1のパラメータがp7であるときの電極2a,2b間の第1の電極間起電力と電極2c,2d間の第2の電極間起電力との和E730sをとれば、電極間起電力E730sは、式(227)においてb4に係る±の係数を反転させたものとなり、電極間起電力E730sは、ほぼv×B成分として扱うことができる。したがって、本実施の形態によれば、基本的に電磁誘導方式の流量計と同じハードウェア構成を用いて、流体の特性や状態あるいは測定管内の状態を検出することができる。
なお、本実施の形態では、起電力差EdA7から変動要因Cp7の大きさrk[p7]または角度θ00[p7]のいずれかを抽出すればよいとしているが、大きさと角度の両方を抽出して、第1のパラメータp7を求めることも可能である。この場合は、大きさrk[p7]と角度θ00[p7]のうち例えば感度の良い方を選択して、選択した大きさまたは角度に基づいて第1のパラメータp7を求めるようにすればよい。これにより、検出感度を向上させることができる。
[第8の実施の形態]
次に、本発明の第8の実施の形態について説明する。本実施の形態の状態検出装置は1個の励磁コイルと2対の電極とを有するものであり、信号処理系を除く構成は図13に示した状態検出装置と同様であるので、図13の符号を用いて本実施の形態の原理を説明する。本実施の形態は、合成ベクトルから∂A/∂t成分を抽出する方法として前記第2の抽出方法を用い、変動要因が周波数特性を持つ第2のパラメータを求めるものである。
角周波数ω0の励磁電流を励磁コイル3に供給し、第1のパラメータがp8であるときの電極2a,2b間の第1の電極間起電力と電極2c,2d間の第2の電極間起電力との差E830dは、式(54)、式(78)、式(79)から次式で表される。
E830d=rk[p8,ω0]・exp{j・(θ3+θ00[p8,ω0])}
・[exp(j・π/2)・{b3+b4・exp(j・Δθ4)}・ω0
+γ・exp(j・Δθ01)・{b3−b4・exp(j・Δθ4)}
・V] ・・・(239)
式(228)、式(229)から、式(239)において次の近似式が成り立つ。
|b3+b4・exp(j・Δθ4)|≫|b3−b4・exp(j・Δθ4)|
・・・(240)
|ω0・exp(j・π/2)・{b3+b4・exp(j・Δθ4)}|
≫|γ・V・exp(j・Δθ01)・{b3−b4・exp(j・Δθ4)}|
・・・(241)
式(241)の条件を用いて、式(239)の起電力差E830dを近似したものをEdA80とすると、起電力差EdA80は次式で表される。
EdA80≒E830d ・・・(242)
EdA80=rk[p8,ω0]・exp(j・θ00[p8,ω0])
・exp{j・(π/2+θ3)}
・{b3+b4・exp(j・Δθ4)}・ω0 ・・・(243)
次に、角周波数ω2の励磁電流を励磁コイル3に供給し、第1のパラメータがp8であるときの電極2a,2b間の第1の電極間起電力と電極2c,2d間の第2の電極間起電力との差E832dは、式(54)、式(81)、式(82)から次式で表される。
E832d=rk[p8,ω2]・exp{j・(θ3+θ00[p8,ω2])}
・[exp(j・π/2)
・{b3+b4・exp(j・Δθ4)}・ω2
+γ・exp(j・Δθ01)・{b3−b4・exp(j・Δθ4)}
・V] ・・・(244)
通常ω2>γ・Vが成り立つことから、式(240)の条件を考慮すると、式(244)の起電力差E832dにおいて次式の条件が成り立つ。
|ω2・exp(j・π/2)・{b3+b4・exp(j・Δθ4)}|
≫|γ・V・exp(j・Δθ01)・{b3−b4・exp(j・Δθ4)}|
・・・(245)
式(245)の条件を用いて、式(244)の起電力差E832dを近似したものをEdA82とすると、起電力差EdA82は次式で表される。
EdA82≒E832d
・・・(246)
EdA82=rk[p8,ω2]・exp(j・θ00[p8,ω2])
・exp{j・(π/2+θ3)}
・{b3+b4・exp(j・Δθ4)}・ω2 ・・・(247)
よって、式(243)、式(247)より、合成ベクトル中の∂A/∂t成分を電極間起電力の差を利用して抽出できることが分かる。式(243)、式(247)は、流速の大きさVに関係しないので、∂A/∂tによって発生する成分のみとなる。これを用いれば、流速以外の流体の状態や測定管内の状態を計測することが可能になる。
式(243)において第2のパラメータによる変動要因をCp80とすると、Cp80=rk[p8,ω0]・exp(j・θ00[p8,ω0])であり、残りの部分は校正等により与えられる定数となる。変動要因Cp80は式(243)から次式で表される。
Cp80=EdA80/[exp{j・(π/2+θ3)}
・{b3+b4・exp(j・Δθ4)}・ω0] ・・・(248)
また、式(247)において第2のパラメータによる変動要因をCp82とすると、Cp82=rk[p8,ω2]・exp(j・θ00[p8,ω2])であり、残りの部分は校正等により与えられる定数となる。変動要因Cp82は式(247)から次式で表される。
Cp82=EdA82/[exp{j・(π/2+θ3)}
・{b3+b4・exp(j・Δθ4)}・ω2] ・・・(249)
式(248)、式(249)における[exp{j・(π/2+θ3)}・{b3+b4・exp(j・Δθ4)}]の大きさm3b、角度θ3bは式(213)、式(214)で表される。式(213)、式(214)を式(248)に適用すれば、変動要因Cp80の大きさrk[p8,ω0]と実軸からの角度θ00[p8,ω0]は次式で表される。
rk[p8,ω0]=|EdA80|/(m3b・ω0) ・・・(250)
θ00[p8,ω0]=∠EdA80−θ3b ・・・(251)
また、式(213)、式(214)を式(249)に適用すれば、変動要因Cp82の大きさrk[p8,ω2]と実軸からの角度θ00[p8,ω2]は次式で表される。
rk[p8,ω2]=|EdA82|/(m3b・ω2) ・・・(252)
θ00[p8,ω2]=∠EdA82−θ3b ・・・(253)
変動要因Cp82とCp80との比をCn8とすると、比Cn8は次式で表される。
Cn8=Cp82/Cp80
=(rk[p8,ω2]/rk[p8,ω0])
・exp{j・(θ00[p8,ω2]−θ00[p8,ω0])}
・・・(254)
このとき、比Cn8の大きさ(rk[p8,ω2]/rk[p8,ω0])と実軸に対する角度(θ00[p8,ω2]−θ00[p8,ω0])は次式で表される。
rk[p8,ω2]/rk[p8,ω0]=(|EdA82|/|EdA80|)
・(ω0/ω2) ・・・(255)
θ00[p8,ω2]−θ00[p8,ω0]=∠EdA82−∠EdA80
・・・(256)
式(254)〜式(256)より、比Cn8に磁場の変動要因が含まれておらず、誤差要因を少なくして第2のパラメータの値p8を得ることができることが分かる。
校正時の計測等により予め確認されている第2のパラメータp8と(rk[p8,ω2]/rk[p8,ω0])との関係、または第2のパラメータp8と(θ00[p8,ω2]−θ00[p8,ω0])との関係から、第2のパラメータp8を求めることができる。
次に、本実施の形態の状態検出装置の具体的な構成とその動作について説明する。本実施の形態の状態検出装置の構成は第6の実施の形態と同様であるので、図46の符号を用いて説明する。本実施の形態の状態検出装置は、測定管1と、第1の電極2a,2bと、第2の電極2c,2dと、励磁コイル3と、電源部4bと、状態定量化部8bとを有する。
状態定量化部8bは、第1の電極2a,2bで検出される第1の合成起電力と第2の電極2c,2dで検出される第2の合成起電力の各々について振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて第1の合成起電力と第2の合成起電力の同一周波数成分の起電力差を第1の角周波数ω0と第2の角周波数ω2の各々について求め、これらの起電力差から第1の角周波数ω0における∂A/∂t成分と第2の角周波数ω2における∂A/∂t成分を抽出し、この第1の角周波数ω0の∂A/∂t成分と第2の角周波数ω2の∂A/∂t成分との比から第2のパラメータと周波数とに依存する変動要因の比の大きさまたは位相を抽出する信号変換部5bと、変動要因の比の大きさまたは位相と第2のパラメータとの関係を予め記憶する状態記憶部6b(前述の第2のテーブルに相当)と、状態記憶部6bに記憶された関係に基づいて、前記抽出された変動要因の比の大きさまたは位相に対応する第2のパラメータを求める状態出力部7bとから構成される。
電源部4bは、第1の角周波数ω0の励磁電流を励磁コイル3に供給する第1の励磁状態をT1秒継続し、続いて第2の角周波数ω2の励磁電流を励磁コイル3に供給する第2の励磁状態をT2秒継続することをT秒周期で繰り返す。すなわち、T=T1+T2である。
図52は本実施の形態の状態定量化部8bの動作を示すフローチャートである。まず、信号変換部5bは、第1の励磁状態において、電極2aと2b間の第1の電極間起電力のうち角周波数ω0の成分の起電力と電極2cと2d間の第2の電極間起電力のうち角周波数ω0の成分の起電力との差E830dの振幅r830dを求めると共に、実軸と起電力差E830dとの位相差φ830dを図示しない位相検波器により求める(図52ステップ701)。
続いて、信号変換部5bは、第2の励磁状態において、第1の電極間起電力のうち角周波数ω2の成分の起電力と第2の電極間起電力のうち角周波数ω2の成分の起電力との差E832dの振幅r832dを求めると共に、実軸と起電力差E832dとの位相差φ832dを位相検波器により求める(ステップ702)。
次に、信号変換部5bは、起電力差E830dを近似した起電力差EdA80の大きさ|EdA80|と実軸に対する角度∠EdA80を次式のように算出する(ステップ703)。
|EdA80|=r830d ・・・(257)
∠EdA80=φ830d ・・・(258)
また、信号変換部5bは、起電力差E832dを近似した起電力差EdA82の大きさ|EdA82|と実軸に対する角度∠EdA82を次式のように算出する(ステップ704)。
|EdA82|=r832d ・・・(259)
∠EdA82=φ832d ・・・(260)
ステップ703,704の処理は、∂A/∂t成分を求めることに対応する処理であり、式(243)、式(247)の算出に相当する処理である。
次に、信号変換部5bは、起電力差EdA80の中から第2のパラメータp8に依存する変動要因Cp80を抽出すると共に、起電力差EdA82の中から第2のパラメータp8に依存する変動要因Cp82を抽出して、変動要因Cp82とCp80との比Cn8の大きさと角度を求める(ステップ705)。信号変換部5bは、比Cn8の大きさ(rk[p8,ω2]/rk[p8,ω0])を次式のように算出する。
rk[p8,ω2]/rk[p8,ω0]
=(|EdA82|/|EdA80|)・(ω0/ω2) ・・・(261)
そして、信号変換部5bは、比Cn8の実軸に対する角度(θ00[p8,ω2]−θ00[p8,ω0])を次式のように算出する。
θ00[p8,ω2]−θ00[p8,ω0]=∠EdA82−∠EdA80
・・・(262)
以上で、ステップ705の処理が終了する。
状態記憶部6bには、第2のパラメータp8と比Cn8の大きさ(rk[p8,ω2]/rk[p8,ω0])との関係、または第2のパラメータp8と比Cn8の角度(θ00[p8,ω2]−θ00[p8,ω0])との関係が数式やテーブルの形式で予め登録されている。ステップ706において、状態出力部7bは、信号変換部5bで計算された比Cn8の大きさ(rk[p8,ω2]/rk[p8,ω0])または角度(θ00[p8,ω2]−θ00[p8,ω0])に基づき、状態記憶部6bを参照して、(rk[p8,ω2]/rk[p8,ω0])または(θ00[p8,ω2]−θ00[p8,ω0])に対応する第2のパラメータp8の値を算出する(あるいは状態記憶部6bから取得する)。
状態定量化部8bは、以上のようなステップ701〜706の処理を例えばオペレータによって計測終了が指示されるまで(ステップ707においてYES)、周期T毎に行う。なお、ステップ702〜706の処理は継続時間T2秒の第2の励磁状態において行われる。
以上のように、本実施の形態では、励磁コイル3から発生する磁場B3とB4とが等しくなるように調整しておくと、起電力差E830d,E832dがそれぞれ励磁角周波数ω0,ω2のときの∂A/∂t成分として近似的に抽出できることに着眼し、近似的に抽出した2つの∂A/∂t成分からそれぞれ流体の特性や状態あるいは測定管内の状態(第2のパラメータp8)に依存する変動要因Cp80,Cp82を抽出して、変動要因Cp82とCp80との比の大きさまたは位相に基づいて第2のパラメータp8を求めるようにしたので、流体の流速に関わらず、流体の特性や状態あるいは測定管内の状態を精度良く検出することができる。
また、第6の実施の形態と同様に、本実施の形態の状態定量化部8bのうち、起電力差E830d,E832dの検出部を除く構成は、コンピュータとプログラムによって実現することができる。そして、本実施の形態では、例えば、角周波数ω0の励磁電流を励磁コイル3に供給し、第1のパラメータがp8であるときの電極2a,2b間の第1の電極間起電力と電極2c,2d間の第2の電極間起電力との和E830sをとれば、電極間起電力E830sは、式(239)においてb4に係る±の係数を反転させたものとなり、電極間起電力E830sは、ほぼv×B成分として扱うことができる。したがって、本実施の形態によれば、基本的に電磁誘導方式の流量計と同じハードウェア構成を用いて、流体の特性や状態あるいは測定管内の状態を検出することができる。
なお、本実施の形態では、変動要因の比Cn8の大きさ(rk[p8,ω2]/rk[p8,ω0])または角度(θ00[p8,ω2]−θ00[p8,ω0])のいずれかを抽出すればよいとしているが、大きさと角度の両方を抽出して、第2のパラメータp8を求めることも可能である。この場合は、大きさ(rk[p8,ω2]/rk[p8,ω0])と角度(θ00[p8,ω2]−θ00[p8,ω0])のうち例えば感度の良い方を選択して、選択した大きさまたは角度に基づいて第2のパラメータp8を求めるようにすればよい。これにより、検出感度を向上させることができる。
また、本実施の形態では、励磁周波数をω0とω2に切り替える例を示したが、角周波数ω0の成分とω2の成分とを含む励磁電流で励磁すれば、励磁周波数を切り替える必要がなくなり、より高速に第2のパラメータp8を求めることができる。例えば式(41)、式(42)の代わりに式(225)、式(226)で表される磁場を用いれば良い。
[第9の実施の形態]
次に、本発明の第9の実施の形態について説明する。本実施の形態の状態検出装置は1個の励磁コイルと2対の電極とを有するものであり、信号処理系を除く構成は図13に示した状態検出装置と同様であるので、図13の符号を用いて本実施の形態の原理を説明する。本実施の形態は、合成ベクトルから∂A/∂t成分を抽出する方法として前記第2の抽出方法を用い、変動要因が周波数特性を持つ複数の第2のパラメータを求めるものである。ここでは、2つの第2のパラメータの値を求める例を示す。2つの第2のパラメータのうち、一方を第3のパラメータ、他方を第4のパラメータとする。
角周波数ω0の励磁電流を励磁コイル3に供給し、第3のパラメータがp9、第4のパラメータがq9であるときの電極2a,2b間の第1の電極間起電力と電極2c,2d間の第2の電極間起電力との差E930dは、式(54)、式(85)、式(86)から次式で表される。
E930d=rk[p9,q9,ω0]
・exp{j・(θ3+θ00[p9,q9,ω0])}
・[exp(j・π/2)・{b3+b4・exp(j・Δθ4)}・ω0
+γ・exp(j・Δθ01)・{b3−b4・exp(j・Δθ4)}
・V] ・・・(263)
式(228)、式(229)から、式(263)において式(240)、式(241)が成り立つ。式(241)の条件を用いて、式(263)の起電力差E930dを近似したものをEdA90とすると、起電力差EdA90は次式で表される。
EdA90≒E930d ・・・(264)
EdA90=rk[p9,q9,ω0]・exp(j・θ00[p9,q9,ω0])
・exp{j・(π/2+θ3)}
・{b3+b4・exp(j・Δθ4)}・ω0 ・・・(265)
次に、角周波数ω2の励磁電流を励磁コイル3に供給し、第3のパラメータがp9、第4のパラメータがq9であるときの電極2a,2b間の第1の電極間起電力と電極2c,2d間の第2の電極間起電力との差E932dは、式(54)、式(88)、式(89)から次式で表される。
E932d=rk[p9,q9,ω2]
・exp{j・(θ3+θ00[p9,q9,ω2])}
・[exp(j・π/2)・{b3+b4・exp(j・Δθ4)}・ω2
+γ・exp(j・Δθ01)・{b3−b4・exp(j・Δθ4)}
・V] ・・・(266)
通常ω2>γ・Vが成り立つことから、式(240)の条件を考慮すると、式(266)の起電力差E932dにおいて式(245)が成り立つ。式(245)の条件を用いて、式(266)の起電力差E932dを近似したものをEdA92とすると、起電力差EdA92は次式で表される。
EdA92≒E932d ・・・(267)
EdA92=rk[p9,q9,ω2]・exp(j・θ00[p9,q9,ω2])
・exp{j・(π/2+θ3)}
・{b3+b4・exp(j・Δθ4)}・ω2 ・・・(268)
よって、式(265)、式(268)より、合成ベクトル中の∂A/∂t成分を電極間起電力の差を利用して抽出できることが分かる。式(265)、式(268)は、流速の大きさVに関係しないので、∂A/∂tによって発生する成分のみとなる。これを用いれば、流速以外の流体の状態や測定管内の状態を計測することが可能になる。
式(265)において第3、第4のパラメータによる変動要因をCpq90とすると、Cpq90=rk[p9,q9,ω0]・exp(j・θ00[p9,q9,ω0])であり、残りの部分は校正等により与えられる定数となる。変動要因Cpq90は式(265)から次式で表される。
Cpq90=EdA90/[exp{j・(π/2+θ3)}
・{b3+b4・exp(j・Δθ4)}・ω0] ・・・(269)
また、式(268)において第3、第4のパラメータによる変動要因をCpq92とすると、Cpq92=rk[p9,q9,ω2]・exp(j・θ00[p9,q9,ω2])であり、残りの部分は校正等により与えられる定数となる。変動要因Cpq92は式(268)から次式で表される。
Cpq92=EdA92/[exp{j・(π/2+θ3)}
・{b3+b4・exp(j・Δθ4)}・ω2] ・・・(270)
式(269)、式(270)における[exp{j・(π/2+θ3)}・{b3+b4・exp(j・Δθ4)}]の大きさm3b、角度θ3bは式(213)、式(214)で表される。式(213)、式(214)を式(269)に適用すれば、変動要因Cpq90の大きさrk[p9,q9,ω0]と実軸からの角度θ00[p9,q9,ω0]は次式で表される。
rk[p9,q9,ω0]=|EdA90|/(m3b・ω0) ・・・(271)
θ00[p9,q9,ω0]=∠EdA90−θ3b ・・・(272)
また、式(120)、式(121)を式(270)に適用すれば、変動要因Cpq92の大きさrk[p9,q9,ω2]と実軸からの角度θ00[p9,q9,ω2]は次式で表される。
rk[p9,q9,ω2]=|EdA92|/(m3b・ω2) ・・・(273)
θ00[p9,q9,ω2]=∠EdA92−θ3b ・・・(274)
校正時の計測等により予め確認されているパラメータp9,q9とrk[p9,q9,ω0],rk[p9,q9,ω2]との関係、またはパラメータp9,q9とθ00[p9,q9,ω0],θ00[p9,q9,ω2]との関係から、パラメータp9,q9を求めることができる。
次に、本実施の形態の状態検出装置の具体的な構成とその動作について説明する。本実施の形態の状態検出装置の構成は第6の実施の形態と同様であるので、図46の符号を用いて説明する。本実施の形態の状態検出装置は、測定管1と、第1の電極2a,2bと、第2の電極2c,2dと、励磁コイル3と、電源部4bと、状態定量化部8bとを有する。
状態定量化部8bは、第1の電極2a,2bで検出される第1の合成起電力と第2の電極2c,2dで検出される第2の合成起電力の各々について振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて第1の合成起電力と第2の合成起電力の同一周波数成分の起電力差を複数の周波数成分の各々について求め、これらの起電力差から複数の周波数成分における∂A/∂t成分を抽出し、複数の第2のパラメータと周波数とに依存する変動要因の大きさまたは位相を前記抽出した∂A/∂t成分の各々から抽出する信号変換部5bと、複数の周波数成分の各々における変動要因の大きさまたは位相と複数の第2のパラメータとの関係を予め記憶する状態記憶部6b(前述の第3のテーブルに相当)と、状態記憶部6bに記憶された関係に基づいて、前記抽出された変動要因の大きさまたは位相に対応する複数の第2のパラメータを算出する状態出力部7bとから構成される。
電源部4bの動作は第8の実施の形態と同じである。図53は本実施の形態の状態定量化部8bの動作を示すフローチャートである。まず、信号変換部5bは、励磁角周波数がω0の第1の励磁状態において、電極2aと2b間の第1の電極間起電力のうち角周波数ω0の成分の起電力と電極2cと2d間の第2の電極間起電力のうち角周波数ω0の成分の起電力との差E930dの振幅r930dを求めると共に、実軸と起電力差E930dとの位相差φ930dを図示しない位相検波器により求める(図53ステップ801)。
続いて、信号変換部5bは、励磁角周波数がω2の第2の励磁状態において、第1の電極間起電力のうち角周波数ω2の成分の起電力と第2の電極間起電力のうち角周波数ω2の成分の起電力との差E932dの振幅r932dを求めると共に、実軸と起電力差E932dとの位相差φ932dを位相検波器により求める(ステップ802)。
次に、信号変換部5bは、起電力差E930dを近似した起電力差EdA90の大きさ|EdA90|と実軸に対する角度∠EdA90を次式のように算出する(ステップ803)。
|EdA90|=r930d ・・・(275)
∠EdA90=φ930d ・・・(276)
また、信号変換部5bは、起電力差E932dを近似した起電力差EdA92の大きさ|EdA92|と実軸に対する角度∠EdA92を次式のように算出する(ステップ804)。
|EdA92|=r932d ・・・(277)
∠EdA92=φ932d ・・・(278)
ステップ803,804の処理は、∂A/∂t成分を求めることに対応する処理であり、式(265)、式(268)の算出に相当する処理である。
次に、信号変換部5bは、起電力差EdA90の中から、第3のパラメータp9および第4のパラメータq9に依存する変動要因Cpq90の大きさrk[p9,q9,ω0]と実軸に対する角度θ00[p9,q9,ω0]を次式のように算出する(ステップ805)。
rk[p9,q9,ω0]=|EdA90|/(m3b・ω0) ・・・(279)
θ00[p9,q9,ω0]=∠EdA90−θ3b ・・・(280)
また、信号変換部5bは、起電力差EdA92の中から、第3のパラメータp9および第4のパラメータq9に依存する変動要因Cpq92の大きさrk[p9,q9,ω2]と実軸に対する角度θ00[p9,q9,ω2]を次式のように算出する(ステップ806)。
rk[p9,q9,ω2]=|EdA92|/(m3b・ω2) ・・・(281)
θ00[p9,q9,ω2]=∠EdA92−θ3b ・・・(282)
なお、m3b,θ3bは、校正等により予め求めることができる定数である。
状態記憶部6bには、第3のパラメータp9および第4のパラメータq9と変動要因Cpq90,Cpq92の大きさrk[p9,q9,ω0],rk[p9,q9,ω2]との関係、またはパラメータp9,q9と変動要因Cpq90,Cpq92の角度θ00[p9,q9,ω0],θ00[p9,q9,ω2]との関係が数式やテーブルの形式で予め登録されている。
状態出力部7bは、信号変換部5bで計算された変動要因Cpq90,Cpq92の大きさrk[p9,q9,ω0],rk[p9,q9,ω2]または角度θ00[p9,q9,ω0],θ00[p9,q9,ω2]に基づき、状態記憶部6bを参照して、大きさrk[p9,q9,ω0],rk[p9,q9,ω2]または角度θ00[p9,q9,ω0],θ00[p9,q9,ω2]に対応する第3のパラメータp9および第4のパラメータq9の値を算出する(ステップ807)。
状態定量化部8bは、以上のようなステップ801〜807の処理を例えばオペレータによって計測終了が指示されるまで(ステップ808においてYES)、周期T毎に行う。なお、ステップ802〜807の処理は継続時間T2秒の第2の励磁状態において行われる。
以上のように、本実施の形態では、励磁コイル3から発生する磁場B3とB4とが等しくなるように調整しておくと、起電力差E930d,E932dがそれぞれ励磁角周波数ω0,ω2のときの∂A/∂t成分として近似的に抽出できることに着眼し、近似的に抽出した2つの∂A/∂t成分からそれぞれ流体の特性や状態あるいは測定管内の状態(第3のパラメータp9および第4のパラメータq9)に依存する変動要因Cpq90,Cpq92を抽出して、変動要因Cpq90,Cpq92の大きさまたは位相に基づいて第3のパラメータp9および第4のパラメータq9を求めるようにしたので、流体の流速に関わらず、流体の特性や状態あるいは測定管内の状態を精度良く検出することができる。
また、第6の実施の形態と同様に、本実施の形態の状態定量化部8bのうち、起電力差E930d,E932dの検出部を除く構成は、コンピュータとプログラムによって実現することができる。そして、本実施の形態では、例えば、角周波数ω0の励磁電流を励磁コイル3に供給し、第3のパラメータがp9、第4のパラメータがq9であるときの電極2a,2b間の第1の電極間起電力と電極2c,2d間の第2の電極間起電力との和E930sをとれば、電極間起電力E930sは、式(263)においてb4に係る±の係数を反転させたものとなり、電極間起電力E930sは、ほぼv×B成分として扱うことができる。したがって、本実施の形態によれば、基本的に電磁誘導方式の流量計と同じハードウェア構成を用いて、流体の特性や状態あるいは測定管内の状態を検出することができる。
なお、本実施の形態では、変動要因Cpq90,Cpq92の大きさrk[p9,q9,ω0],rk[p9,q9,ω2]または角度θ00[p9,q9,ω0],θ00[p9,q9,ω2]のいずれかを抽出すればよいとしているが、大きさと角度の両方を抽出して、第3のパラメータp9および第4のパラメータq9を求めることも可能である。この場合は、大きさrk[p9,q9,ω0],rk[p9,q9,ω2]と角度θ00[p9,q9,ω0],θ00[p9,q9,ω2]のうち例えば感度の良い方を選択して、選択した大きさまたは角度に基づいて第3のパラメータp9および第4のパラメータq9を求めるようにすればよい。これにより、検出感度を向上させることができる。
また、本実施の形態では、励磁周波数をω0とω2に切り替える例を示したが、角周波数ω0の成分とω2の成分とを含む励磁電流で励磁すれば、励磁周波数を切り替える必要がなくなり、より高速にパラメータp9,q9を求めることができる。例えば式(41)、式(42)の代わりに式(225)、式(226)で表される磁場を用いれば良い。
なお、第1の実施の形態〜第9の実施の形態では、第1の電極として1対の電極2a,2bを使用し、第2の電極として1対の電極2c,2dを使用しているが、これに限るものではなく、第1の電極と第2の電極をそれぞれ1個ずつにしてもよい。電極が1個だけの場合には、被測定流体の電位を接地電位にするための接地リングや接地電極が測定管1に設けられており、1個の電極に生じた起電力(接地電位との電位差)を信号変換部5,5a,5bで検出すればよい。電極軸は、1対の電極を使用する場合はこの1対の電極間を結ぶ直線である。一方、電極が1個だけの場合、この1個の実電極を含む平面PLN上において、測定管軸PAXを挟んで実電極と対向する位置に仮想の電極を配置したと仮定したとき、実電極と仮想の電極とを結ぶ直線が電極軸となる。
本発明は、流体の特性や状態あるいは流体が流れる測定管内の状態を検出する状態検出装置に適用することができる。
本発明の状態検出装置の第1の原理を説明するためのブロック図である。 図1の状態検出装置において被測定流体の流量が0の場合の渦電流及び電極間起電力を示す図である。 図1の状態検出装置において被測定流体の流量が0でない場合の渦電流及び電極間起電力を示す図である。 図1の状態検出装置における∂A/∂t成分のベクトルとv×B成分のベクトルと合成ベクトルとを示す図である。 本発明の状態検出装置の第2の原理を説明するためのブロック図である。 図5の状態検出装置において被測定流体の流量が0の場合の渦電流及び電極間起電力を示す図である。 図5の状態検出装置において被測定流体の流量が0でない場合の渦電流及び電極間起電力を示す図である。 図5の状態検出装置において第1の励磁状態の条件で第1の励磁コイルのみで励磁した場合の∂A/∂t成分のベクトルとv×B成分のベクトルと合成ベクトルとを示す図である。 図5の状態検出装置において第1の励磁状態の条件で第2の励磁コイルのみで励磁した場合の∂A/∂t成分のベクトルとv×B成分のベクトルと合成ベクトルとを示す図である。 図5の状態検出装置において第1の励磁状態の条件で2つの励磁コイルで励磁した場合の∂A/∂t成分のベクトルとv×B成分のベクトルと合成ベクトルとを示す図である。 図5の状態検出装置において第2の励磁状態の条件で第2の励磁コイルのみで励磁した場合の∂A/∂t成分のベクトルとv×B成分のベクトルと合成ベクトルとを示す図である。 図5の状態検出装置において第2の励磁状態の条件で2つの励磁コイルで励磁した場合の∂A/∂t成分のベクトルとv×B成分のベクトルと合成ベクトルとを示す図である。 本発明の状態検出装置の第3の原理を説明するためのブロック図である。 図13の状態検出装置において被測定流体の流量が0の場合の渦電流及び電極間起電力を示す図である。 図13の状態検出装置において被測定流体の流量が0でない場合の渦電流及び電極間起電力を示す図である。 図1の状態検出装置において∂A/∂t成分のベクトルを抽出する処理を複素ベクトル表現した図である。 図5の状態検出装置において∂A/∂t成分のベクトルを抽出する処理を複素ベクトル表現した図である。 本発明の状態検出装置における第1のテーブルの作成方法を説明するための図である。 本発明の状態検出装置における第1のテーブルの他の作成方法を説明するための図である。 本発明の状態検出装置における第2のテーブルの作成方法を説明するための図である。 本発明の状態検出装置における第2のテーブルの他の作成方法を説明するための図である。 本発明の状態検出装置における第3のテーブルの作成方法を説明するための図である。 本発明の状態検出装置における第3のテーブルの作成方法を説明するための図である。 本発明の状態検出装置における第3のテーブルの作成方法を説明するための図である。 本発明の状態検出装置における第3のテーブルの他の作成方法を説明するための図である。 本発明の第1の実施の形態の状態検出装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施の形態における状態定量化部の動作を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施の形態の状態検出装置で用いる電極の例を示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態において測定管内の付着物の厚さと変動要因の大きさとの関係の1例を示す図である。 本発明の第2の実施の形態の状態検出装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第2の実施の形態の状態検出装置で用いる励磁コイルと電極の配置例を示す斜視図である。 本発明の第2の実施の形態の状態検出装置で用いる励磁コイルと電極の配置例を示す断面図である。 本発明の第2の実施の形態において流体の水位または断面積と変動要因の大きさとの関係の1例を示す図である。 本発明の第3の実施の形態における状態定量化部の動作を示すフローチャートである。 本発明の第4の実施の形態における状態定量化部の動作を示すフローチャートである。 本発明の第4の実施の形態において流体インピーダンスを検出する際の等価回路を示す図である。 本発明の第4の実施の形態において起電力の比の大きさと周波数の関係の1例を示す図である。 本発明の第4の実施の形態において変動要因の比の大きさと流体インピーダンスの抵抗成分との関係の1例を示す図である。 本発明の第5の実施の形態における状態定量化部の動作を示すフローチャートである。 本発明の第5の実施の形態において流体インピーダンスを検出する際の等価回路を示す図である。 本発明の第5の実施の形態において変動要因の大きさと流体インピーダンスの抵抗成分および容量成分との関係の1例を示す図である。 本発明の第5の実施の形態において変動要因の大きさと流体インピーダンスの抵抗成分および容量成分との関係の他の例を示す図である。 第1の角周波数における流体インピーダンスの抵抗成分および容量成分の解の候補を示す図である。 第2の角周波数における流体インピーダンスの抵抗成分および容量成分の解の候補を示す図である。 流体インピーダンスの抵抗成分および容量成分の解の求め方を説明するための図である。 本発明の第6の実施の形態の状態検出装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第6の実施の形態における状態定量化部の動作を示すフローチャートである。 本発明の第6の実施の形態の状態検出装置で用いる励磁コイルと電極の配置例を示す斜視図である。 本発明の第6の実施の形態の状態検出装置で用いる励磁コイルと電極の配置例を示す断面図である。 本発明の第6の実施の形態において流体の水位または断面積と変動要因の大きさとの関係の1例を示す図である。 本発明の第7の実施の形態における状態定量化部の動作を示すフローチャートである。 本発明の第8の実施の形態における状態定量化部の動作を示すフローチャートである。 本発明の第9の実施の形態における状態定量化部の動作を示すフローチャートである。
符号の説明
1…測定管、2a、2b、2c、2d…電極、3、3a、3b…励磁コイル、4、4a、4b…電源部、5、5a、5b…信号変換部、6、6a、6b…状態記憶部、7、7a、7b…状態出力部、8、8a、8b…状態定量化部。

Claims (15)

  1. 流体の特性や状態あるいは流体が流れる測定管内の状態を検出対象のパラメータとする状態検出装置であって、
    流体が流れる測定管と、
    この測定管に配設され、前記流体に印加される磁場と前記流体の流れとによって生じた起電力を検出する電極と、
    この電極を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第1の平面に対して非対称かつ時間変化する磁場を前記流体に印加する励磁部と、
    前記電極で検出される、前記流体の流速とは無関係な∂A/∂t成分の起電力と前記流体の流速に起因するv×B成分の起電力との合成起電力から、前記∂A/∂t成分を抽出し、この∂A/∂t成分の中から前記パラメータに依存する変動要因を抽出して、この変動要因に基づいて前記パラメータを定量化する状態定量化部とを備えることを特徴とする状態検出装置。
  2. 請求項1記載の状態検出装置において、
    前記状態定量化部は、
    前記電極で検出される、前記流体の流速とは無関係な∂A/∂t成分の起電力と前記流体の流速に起因するv×B成分の起電力との合成起電力から、前記∂A/∂t成分を抽出し、この∂A/∂t成分の中から前記パラメータに依存する変動要因を抽出する信号変換部と、
    前記パラメータに依存する変動要因と前記パラメータとの関係を予め記憶する状態記憶部と、
    この状態記憶部に記憶された関係に基づいて、前記抽出された変動要因に対応する前記パラメータを求める状態出力部とからなることを特徴とする状態検出装置。
  3. 請求項2記載の状態検出装置において、
    前記励磁部は、複数の励磁周波数を同時又は交互に与える磁場を前記流体に印加し、
    前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち、同時または交互に得られる複数の周波数成分の振幅と位相を求めることにより前記∂A/∂t成分を抽出することを特徴とする状態検出装置。
  4. 請求項3記載の状態検出装置において、
    前記励磁部は、前記電極を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第1の平面からオフセットを設けて離れた位置に配設された励磁コイルと、第1の周波数と第2の周波数の異なる2つの励磁周波数を同時又は交互に与える励磁電流を前記励磁コイルに供給する電源部とからなり、
    前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち前記第1の周波数と第2の周波数の2つの周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記2つの周波数成分の起電力差を前記∂A/∂t成分として抽出し、この∂A/∂t成分の中から前記パラメータに依存し、周波数に依存しない変動要因の大きさまたは位相を抽出し、
    前記状態記憶部は、前記パラメータに依存する変動要因の大きさまたは位相と前記パラメータとの関係を予め記憶することを特徴とする状態検出装置。
  5. 請求項3記載の状態検出装置において、
    前記励磁部は、前記電極を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第1の平面から第1のオフセットを設けて離れた位置に配設された第1の励磁コイルと、前記第1の平面から第2のオフセットを設けて離れた位置に、前記第1の平面を挟んで前記第1の励磁コイルと対向するように配設された第2の励磁コイルと、第1の周波数と第2の周波数の異なる2つの励磁周波数を同時又は交互に与える励磁電流を前記第1の励磁コイルと第2の励磁コイルに供給する電源部とからなり、
    前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち前記第1の周波数と第2の周波数の2つの周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記2つの周波数成分の起電力差を前記∂A/∂t成分として抽出し、この∂A/∂t成分の中から前記パラメータに依存し、周波数に依存しない変動要因の大きさまたは位相を抽出し、
    前記状態記憶部は、前記パラメータに依存する変動要因の大きさまたは位相と前記パラメータとの関係を予め記憶することを特徴とする状態検出装置。
  6. 請求項3記載の状態検出装置において、
    前記励磁部は、前記流体に磁場を印加する励磁コイルと、第1の周波数と第2の周波数の異なる2つの励磁周波数を同時又は交互に与える励磁電流を前記励磁コイルに供給する電源部とからなり、
    前記電極は、前記励磁コイルの軸を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第2の平面から第1のオフセットを設けて離れた位置に配設された第1の電極と、前記第2の平面から第2のオフセットを設けて離れた位置に、前記第2の平面を挟んで前記第1の電極と対向するように配設された第2の電極とからなり、
    前記信号変換部は、前記第1の電極で検出される第1の合成起電力と前記第2の電極で検出される第2の合成起電力の各々について振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記第1の合成起電力と第2の合成起電力の同一周波数成分の起電力差を前記第1の周波数と第2の周波数の各々について求め、前記第1の周波数における起電力差と前記第2の周波数における起電力差との差分を前記∂A/∂t成分として抽出し、この∂A/∂t成分の中から前記パラメータに依存し、周波数に依存しない変動要因の大きさまたは位相を抽出し、
    前記状態記憶部は、前記パラメータに依存する変動要因の大きさまたは位相と前記パラメータとの関係を予め記憶することを特徴とする状態検出装置。
  7. 請求項3記載の状態検出装置において、
    前記励磁部は、前記流体に磁場を印加する励磁コイルと、第1の周波数と第2の周波数の異なる2つの励磁周波数を同時又は交互に与える励磁電流を前記励磁コイルに供給する電源部とからなり、
    前記電極は、前記励磁コイルの軸を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第2の平面から第1のオフセットを設けて離れた位置に配設された第1の電極と、前記第2の平面から第2のオフセットを設けて離れた位置に、前記第2の平面を挟んで前記第1の電極と対向するように配設された第2の電極とからなり、
    前記信号変換部は、前記第1の電極で検出される第1の合成起電力と前記第2の電極で検出される第2の合成起電力の各々について振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記第1の合成起電力と第2の合成起電力の同一周波数成分の起電力和を前記第1の周波数と第2の周波数の各々について求め、前記第1の周波数における起電力和と前記第2の周波数における起電力和との差分を前記∂A/∂t成分として抽出し、この∂A/∂t成分の中から前記パラメータに依存し、周波数に依存しない変動要因の大きさまたは位相を抽出し、
    前記状態記憶部は、前記パラメータに依存する変動要因の大きさまたは位相と前記パラメータとの関係を予め記憶することを特徴とする状態検出装置。
  8. 請求項2記載の状態検出装置において、
    前記励磁部は、前記電極を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第1の平面から第1のオフセットを設けて離れた位置に配設された第1の励磁コイルと、前記第1の平面から第2のオフセットを設けて離れた位置に、前記第1の平面を挟んで前記第1の励磁コイルと対向するように配設された第2の励磁コイルと、前記第1の励磁コイルと第2の励磁コイルに位相が異なる励磁電流を供給する電源部とからなり、
    前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力の振幅と位相を求めることにより、前記∂A/∂t成分を抽出することを特徴とする状態検出装置。
  9. 請求項8記載の状態検出装置において、
    前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力の振幅と位相を求めることにより、前記∂A/∂t成分を抽出し、この∂A/∂t成分の中から前記パラメータに依存し、周波数に依存しない変動要因の大きさまたは位相を抽出し、
    前記状態記憶部は、前記パラメータに依存する変動要因の大きさまたは位相と前記パラメータとの関係を予め記憶することを特徴とする状態検出装置。
  10. 請求項8記載の状態検出装置において、
    前記電源部は、前記第1の励磁コイルと第2の励磁コイルに位相が異なり、かつ少なくとも2つの励磁周波数を同時又は交互に与える励磁電流を供給し、
    前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち第1の周波数と第2の周波数の2つの周波数成分の振幅と位相を求めることにより、前記第1の周波数成分における∂A/∂t成分と前記第2の周波数成分における∂A/∂t成分を抽出し、この第1の周波数成分の∂A/∂t成分と第2の周波数成分の∂A/∂t成分との比から前記パラメータと周波数とに依存する変動要因の比の大きさまたは位相を抽出し、
    前記状態記憶部は、前記変動要因の比の大きさまたは位相と前記パラメータとの関係を予め記憶することを特徴とする状態検出装置。
  11. 請求項8記載の状態検出装置において、
    前記電源部は、前記第1の励磁コイルと第2の励磁コイルに位相が異なり、かつ複数の励磁周波数を同時又は交互に与える励磁電流を供給し、
    前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち複数の周波数成分の振幅と位相を求めることにより、前記複数の周波数成分の各々について前記∂A/∂t成分を抽出し、複数の前記パラメータと周波数とに依存する変動要因の大きさまたは位相を前記抽出した∂A/∂t成分の各々から抽出し、
    前記状態記憶部は、前記複数の周波数成分の各々における前記変動要因の大きさまたは位相と複数の前記パラメータとの関係を予め記憶し、
    前記状態出力部は、前記状態記憶部に記憶された関係に基づいて、前記抽出された変動要因の大きさまたは位相に対応する複数の前記パラメータを算出することを特徴とする状態検出装置。
  12. 請求項2記載の状態検出装置において
    前記励磁部は、前記流体に磁場を印加する励磁コイルと、この励磁コイルに励磁電流を供給する電源部とからなり、
    前記電極は、前記励磁コイルの軸を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第2の平面から第1のオフセットを設けて離れた位置に配設された第1の電極と、前記第2の平面から第2のオフセットを設けて離れた位置に、前記第2の平面を挟んで前記第1の電極と対向するように配設された第2の電極とからなり、
    前記信号変換部は、前記第1の電極で検出される第1の合成起電力と前記第2の電極で検出される第2の合成起電力の各々について振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記第1の合成起電力と第2の合成起電力との起電力差から前記∂A/∂t成分を抽出することを特徴とする状態検出装置。
  13. 請求項12記載の状態検出装置において、
    前記信号変換部は、前記第1の電極で検出される第1の合成起電力と前記第2の電極で検出される第2の合成起電力の各々について振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記第1の合成起電力と第2の合成起電力との起電力差から前記∂A/∂t成分を抽出し、この∂A/∂t成分の中から前記パラメータに依存し、周波数に依存しない変動要因の大きさまたは位相を抽出し、
    前記状態記憶部は、前記パラメータに依存する変動要因の大きさまたは位相と前記パラメータとの関係を予め記憶することを特徴とする状態検出装置。
  14. 請求項12記載の状態検出装置において、
    前記電源部は、第1の周波数と第2の周波数の異なる2つの励磁周波数を同時又は交互に与える励磁電流を前記励磁コイルに供給し、
    前記信号変換部は、前記第1の電極で検出される第1の合成起電力と前記第2の電極で検出される第2の合成起電力の各々について振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記第1の合成起電力と第2の合成起電力の同一周波数成分の起電力差を前記第1の周波数と第2の周波数の各々について求め、これらの起電力差から前記第1の周波数成分における∂A/∂t成分と前記第2の周波数成分における∂A/∂t成分を抽出し、この第1の周波数成分の∂A/∂t成分と第2の周波数成分の∂A/∂t成分との比から前記パラメータと周波数とに依存する変動要因の比の大きさまたは位相を抽出し、
    前記状態記憶部は、前記変動要因の比の大きさまたは位相と前記パラメータとの関係を予め記憶することを特徴とする状態検出装置。
  15. 請求項12記載の状態検出装置において、
    前記電源部は、複数の励磁周波数を同時又は交互に与える励磁電流を前記励磁コイルに供給し、
    前記信号変換部は、前記第1の電極で検出される第1の合成起電力と前記第2の電極で検出される第2の合成起電力の各々について振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記第1の合成起電力と第2の合成起電力の同一周波数成分の起電力差を複数の周波数成分の各々について求め、これらの起電力差から複数の周波数成分における前記∂A/∂t成分を抽出し、複数の前記パラメータと周波数とに依存する変動要因の大きさまたは位相を前記抽出した∂A/∂t成分の各々から抽出し、
    前記状態記憶部は、前記複数の周波数成分の各々における前記変動要因の大きさまたは位相と複数の前記パラメータとの関係を予め記憶し、
    前記状態出力部は、前記状態記憶部に記憶された関係に基づいて、前記抽出された変動要因の大きさまたは位相に対応する複数の前記パラメータを算出することを特徴とする状態検出装置。
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