JP4525385B2 - 内燃機関の可変動弁機構制御装置 - Google Patents
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Description
始動性の向上を図る提案は種々なされているが、可変動弁機構を利用して上記要求を実現する提案は未だなされていない。
(1)請求項1に記載の発明は、吸気弁の開閉特性を変更する可変動弁機構を備えた内燃機関に適用されて、前記内燃機関の運転状態に応じて目標の開閉特性を設定するとともに実際の開閉特性が前記目標の開閉特性となるように前記可変動弁機構を制御する内燃機関の可変動弁機構制御装置において、前記吸気弁の開閉特性について、前記吸気弁の閉弁時期が下死点またはその近傍となる開閉特性を始動開閉特性とし、最初の燃料噴射が行われる前から前記内燃機関の始動動作が完了するまでの間、前記始動開閉特性を目標の開閉特性として設定し、実際の開閉特性が前記始動開閉特性へ変更されてから最初に吸気行程の下死点へ到達する気筒を推定し、該気筒以外の気筒から燃料噴射が開始されることを禁止することを要旨としている。
吸気弁の閉弁時期が下死点またはその近傍に設定されていない気筒から燃料噴射が開始された場合、混合気の実圧縮比が小さい状態で燃焼が行われるため、エミッションの悪化をまねくようになる。上記発明では、こうしたこと考慮して、実際の開閉特性が始動開閉特性に変更されてから最初に吸気行程の下死点へ到達する気筒、即ちエミッションの悪化を回避しつつ最も早く燃料噴射を行うことのできる気筒から燃料噴射を開始するようにしているため、より好適に始動性の向上を図ることができるようになる。
内燃機関の始動に際しては、バッテリ電圧の低下等に起因してクランキングが正常に行われないこともある。上記発明によれば、バッテリの電圧が基準の電圧よりも小さいときには電動アクチュエータへの通電が行われないため、内燃機関の始動不良が生じる頻度を低減することができるようになる。
本発明の第1実施形態について、図1〜図11を参照して説明する。
本実施形態では、燃焼室へ燃料を直接供給する燃料噴射方式を採用するとともに、可変動弁機構として吸気弁のバルブ作用角(吸気弁の開閉特性)を変更するバルブ作用角可変機構を備えた筒内噴射式内燃機関を想定している。
図1に、エンジン(筒内噴射式内燃機関)の構造を示す。
エンジン1は、シリンダブロック2とシリンダヘッド3とを備えて構成されている。
シリンダ21には、ウォータージャケット22が形成されている。
各シリンダ21内には、ピストン23が配置されている。また、シリンダ21の内周面とピストン23の頂面とシリンダヘッド3とに囲まれて燃焼室24が区画形成されている。
シリンダヘッド3には、インテークポート31及びエキゾーストポート34が設けられている。
エキゾーストバルブ38は、エキゾーストポート34の開閉状態を切り替える。
インテークカムシャフト3Aは、カムを通じてインテークバルブ37をリフトさせる。
インジェクタ3Cは、燃焼室24へ燃料を直接噴射する。
バルブ作用角可変機構51は、インテークバルブ37のバルブ作用角(インテークバルブ37の開弁から閉弁までのクランク角度)を変更する。また、駆動源として電動アクチュエータ52を備えている。即ち、エンジン1においては、電動アクチュエータ52を通じてバルブ作用角可変機構51を駆動することにより、インテークバルブ37のバルブ作用角を変更することができる。
バッテリ7は、スタータモータ6、電動アクチュエータ52、イグニッションプラグ3D、及び電子制御装置9等へ電力を供給する。なお、図1においては、バッテリ7からこれら各装置への電力の供給経路が一点鎖線にて示されている。
電子制御装置9は、中央演算処理装置91、リードオンリーメモリ92、ランダムアクセスメモリ93、バックアップメモリ94、インプットポート95及びアウトプットポート96を備えて構成される。
・中央演算処理装置91は、エンジン制御にかかる演算処理を実行する。
・リードオンリーメモリ92は、エンジン制御に必要なプログラムやマップ等を予め記憶している。
・ランダムアクセスメモリ93は、中央演算処理装置の演算結果を一時的に記憶する。
・バックアップメモリ94は、演算結果や記憶されたデータをエンジン停止後も保存する。
・インプットポート95は、外部からの信号を中央演算処理装置91へ入力する。
・アウトプットポート96は、中央演算処理装置91からの信号を外部へ出力する。
クランクポジションセンサ81は、クランクシャフト26の回転角度を検出する。クランクポジションセンサ81を通じて検出されたデータは、クランク信号CAとして電子制御装置9に入力される。電子制御装置9は、クランク信号CAに基づいて、クランクシャフト26の回転速度(エンジン回転速度NE)を算出する。
イグニッションスイッチ85は、「OFF」「ACC」「ON」「START」の切替位置を有する。イグニッションスイッチ85が「ON」位置にあるとき、イグニッション信号IGが電子制御装置9へ入力される。イグニッションスイッチ85が「START」位置にあるとき、スタータ信号STAが電子制御装置9へ入力される。
電子制御装置9は、イグニッションスイッチ85からの信号に基づいて、エンジン1を始動するための「エンジン始動処理」(図3及び図4)等を行う。また、上記各センサの検出データ等に基づいて、インジェクタ3Cの燃料噴射量を調整する燃料噴射制御、イグニッションプラグ3Dの点火時期を調整する点火時期制御、及び混合気の空燃比を調整する空燃比制御等の各種制御を行う。
バルブ作用角可変機構51によるインテークバルブ37のバルブ作用角INCAMの変更態様について説明する。
図3及び図4を参照して、「エンジン始動処理」について説明する。
本処理は、イグニッション信号IGがオフからオンへ切り替わったことを条件に開始される。
・スタータ信号STAがオフからオンに切り替わったとき、ステップS112の処理を行う。
・スタータ信号STAがオフのとき、所定の時間が経過した後に再度ステップS110の処理を行う。即ち、スタータ信号STAがオンとなるまでスタータモータ6の駆動の開始を保留する。
[ステップS120]スタータモータ6の駆動期間(駆動を開始してからの経過時間(モータ駆動期間TM))がマスク期間XM(待機期間)以上か否かを判定する。
電子制御装置9は、ステップS120の判定処理を通じて、バッテリ電圧BVについて次のように判断する。
[ステップS130]気筒判別が完了したか否かを判定する。
・気筒判別が完了したとき、ステップS132の処理を行う。
・気筒判別が完了していないとき、所定の時間が経過した後に再度ステップS130の処理を行う。即ち、気筒判別が完了するまで燃料噴射制御及び点火制御の開始を保留する。
・完爆状態へ移行しているとき、ステップS142の処理を行う。
・完爆状態へ移行していないとき、所定の時間が経過した後に再度ステップS140の処理を行う。即ち、完爆状態へ移行するまで、スタータモータ6の駆動を継続する。
このように、「エンジン始動処理」ではスタータ信号STAのオンにともなってスタータモータ6の駆動を開始する。即ち、エンジン1の始動動作を開始する。そして、エンジン1が完爆状態へ移行したときにスタータモータ6の駆動を停止する。即ち、エンジン1の始動動作を完了する。
図5を参照して、「バルブ作用角可変機構駆動処理」について説明する。
本処理は、イグニッション信号IGがオフからオンへ切り替わったことを条件に開始される。
・スタータ信号STAがオフからオンへ切り替わったとき、ステップS300の処理を行う。
・スタータ信号STAがオフのときは、所定の時間が経過した後に再度ステップS200の処理を行う。即ち、スタータ信号STAがオフからオンに切り替わるまで以降の処理の実行を保留する。
図6及び図7を参照して、「始動時バルブ作用角変更処理」について説明する。
本処理では、エンジン1の始動動作が完了するまでの間、始動バルブ作用角INCAMstaを目標のバルブ作用角(目標バルブ作用角INCAMtrg)として設定することにより、始動性の向上を図るようにしている。一方で、ノッキングをまねくおそれがある場合には、始動バルブ作用角INCAMstaを目標バルブ作用角INCAMtrgとして設定することを禁止することで、ノッキングの発生を抑制するようにしている。なお、始動バルブ作用角INCAMstaは、インテークバルブ37の閉弁時期が吸気行程の下死点となるバルブ作用角INCAMを示す。
電子制御装置9は、ステップS310の判定処理を通じて、バッテリ電圧BVについて次のように判断する。
基準吸気温度XTHGは、バルブ作用角INCAMを始動バルブ作用角INCAMstaに設定した際にノッキングが生じるか否かを判定するための値として予め設定されている。なお、本実施形態では、実圧縮比に影響を及ぼすパラメータとして吸気温度THGを採用している。また、基準吸気温度XTHGが基準値に相当する。
(a)吸気温度THGが基準吸気温度XTHG以上のとき、バルブ作用角INCAMとして始動バルブ作用角INCAMstaを設定したことに起因してノッキングをまねくおそれがあると判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS340の処理を行う。即ち、エンジン1の始動完了まで始動バルブ作用角INCAMstaを実際のバルブ作用角INCAMとして設定することを禁止する。
[ステップS324]電動アクチュエータ52への通電を開始してバルブ作用角可変機構51を駆動する。ここでは、実際のバルブ作用角INCAMが始動バルブ作用角INCAMstaとなるように電動アクチュエータ52を制御する。なお、実際のバルブ作用角INCAMは、電動アクチュエータ52の制御位置に基づいて把握することができる。
・実際のバルブ作用角INCAMが目標バルブ作用角INCAMtrgと一致しているとき、ステップS332の処理を行う。
・実際のバルブ作用角INCAMが目標バルブ作用角INCAMtrgと一致していないとき、所定の時間が経過した後に再度ステップS330の処理を行う。即ち、実際のバルブ作用角INCAMが目標バルブ作用角INCAMtrgと一致するまでバルブ作用角可変機構51の駆動を継続する。
・エンジン1の始動が完了しているとき、「始動時バルブ作用角変更処理」を終了して「始動後バルブ作用角変更処理」(図8及び図9)を開始する。
・エンジン1の始動が完了していないとき、所定の時間が経過した後に再度ステップS340の処理を行う。即ち、エンジン1の始動が完了するまで「始動後バルブ作用角変更処理」の実行を保留する。
図8及び図9を参照して、「始動後バルブ作用角変更処理」について説明する。
本処理では、エンジン1の始動動作が完了したことに基づいてバルブオーバーラップを設定することにより、暖機の促進を図るようにしている。また、エンジン1の暖機完了後は、運転状態に適合した目標バルブ作用角INCAMtrgを設定することにより、燃費の向上等を図るようにしている。
[ステップS430]実際のバルブ作用角INCAMが目標バルブ作用角INCAMtrgと一致しているか否かを判定する。
・実際のバルブ作用角INCAMが目標バルブ作用角INCAMtrgと一致しているとき、ステップS432の処理を行う。
・実際のバルブ作用角INCAMが目標バルブ作用角INCAMtrgと一致していないとき、所定の時間が経過した後に再度ステップS430の処理を行う。即ち、実際のバルブ作用角INCAMが目標バルブ作用角INCAMtrgと一致するまでバルブ作用角可変機構51の駆動を継続する。
・エンジン1の暖機が完了しているとき、ステップS442の処理を行う。
・エンジン1の暖機が完了していないとき、所定の時間が経過した後に再度ステップS440の処理を行う。即ち、エンジン1の暖機が完了するまで実際のバルブ作用角INCAMとして最大バルブ作用角INCAMmaxが設定された状態を継続する。
・実際のバルブ作用角INCAMが目標バルブ作用角INCAMtrgと一致しているとき、ステップS452の処理を行う。
・実際のバルブ作用角INCAMが目標バルブ作用角INCAMtrgと一致していないとき、ステップS454の処理を行う。
[ステップS454]バルブ作用角可変機構51を駆動してバルブ作用角INCAMを現在のバルブ作用角INCAMから目標バルブ作用角INCAMtrgへ変更する。
・イグニッション信号IGがオンからオフへ切り替わったとき、「始動後バルブ作用角変更処理」を終了して「停止時バルブ作用角変更処理」(図10)を開始する。
・イグニッション信号IGがオンのとき、所定の時間が経過した後に再度ステップS442の処理を行う。即ち、イグニッション信号IGがオフとなるまで、エンジン1の運転状態に適合したバルブ作用角INCAMの算出を継続する。
図10を参照して、「停止時バルブ作用角変更処理」について説明する。
[ステップS510]目標バルブ作用角INCAMtrgとして最大バルブ作用角INCAMmaxを設定する。
・実際のバルブ作用角INCAMが目標バルブ作用角INCAMtrgと一致しているとき、ステップS522の処理を行う。
・実際のバルブ作用角INCAMが目標バルブ作用角INCAMtrgと一致していないとき、ステップS524の処理を行う。
<制御態様の一例>
図11に、エンジン1の始動態様の一例を示す。
(a)時刻t11:イグニッション信号IGのオフからオンへの変化が検出される。
(c)時刻t13:時刻t12からマスク期間XMが経過したことを受けて、気筒判別及びバルブ作用角可変機構51の駆動が開始される。ここでは、吸気温度THGが基準吸気温度XTHG未満であることにより、最大バルブ作用角INCAMmaxから始動バルブ作用角INCAMstaへの変更が行われる。
(f)時刻t16:バルブ作用角INCAMが始動バルブ作用角INCAMstaへ変更されたことにより、バルブ作用角可変機構51が現在の状態に保持される。
(h)時刻t18:エンジン1の始動動作の完了にともない、スタータモータ6が停止される。また、バルブ作用角INCAMが始動バルブ作用角INCAMstaから最大バルブ作用角INCAMmaxへ変更される。
<実施形態の効果>
以上詳述したように、この第1実施形態にかかる内燃機関の可変動弁機構制御装置によれば、以下に示すような効果が得られるようになる。
本実施形態では、こうしたことを考慮して、モータ駆動期間TMがマスク期間XM以上となるまでの間、バルブ作用角可変機構51の駆動(電動アクチュエータ52への通電)を禁止するようにしている。これにより、クランキング時のエンジン1の挙動を安定させることができるようになる。
なお、上記第1実施形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
本発明の第2実施形態について、図12〜図15を参照して説明する。
先の第1実施形態では、エンジン1の停止時にバルブ作用角INCAMを最大バルブ作用角INCAMmaxへ変更するようにしている。
図12を参照して、「バルブ作用角可変機構駆動処理[2]」について説明する。
本処理は、イグニッション信号IGがオフからオンへ切り替わったことを条件に開始される。
・スタータ信号STAがオフからオンへ切り替わったとき、ステップT300の処理を行う。
・スタータ信号STAがオフのときは、所定の時間が経過した後に再度ステップT200の処理を行う。即ち、スタータ信号STAがオフからオンに切り替わるまで「始動時バルブ作用角変更処理[2]」の実行を保留する。
図13及び図14を参照して、「始動時バルブ作用角変更処理[2]」について説明する。
・モータ駆動期間TMがマスク期間XM未満のとき、所定の時間が経過した後に再度ステップT310の判定処理を行う。
・モータ駆動期間TMがマスク期間XM以上のとき、ステップT320の処理を行う。
・吸気温度THGが基準吸気温度XTHG以上のとき、ステップT322の処理を行う。
・吸気温度THGが基準吸気温度XTHG未満のとき、ステップT340の処理を行う。即ち、エンジン1の始動完了までバルブ作用角INCAMの変更を行わない。
・実際のバルブ作用角INCAMが目標バルブ作用角INCAMtrgと一致しているとき、ステップT332の処理を行う。
・実際のバルブ作用角INCAMが目標バルブ作用角INCAMtrgと一致していないとき、所定の時間が経過した後に再度ステップT330の処理を行う。即ち、実際のバルブ作用角INCAMが目標バルブ作用角INCAMtrgと一致するまでバルブ作用角可変機構51の駆動を継続する。
・エンジン1の始動が完了しているとき、「始動時バルブ作用角変更処理[2]」を終了して「始動後バルブ作用角変更処理」(図8及び図9)を開始する。
・エンジン1の始動が完了していないとき、所定の時間が経過した後に再度ステップT340の処理を行う。即ち、エンジン1の始動が完了するまで「始動後バルブ作用角変更処理」の実行を保留する。
図15を参照して、「停止時バルブ作用角変更処理[2]」について説明する。
[ステップT510]目標バルブ作用角INCAMtrgとして始動バルブ作用角INCAMstaを設定する。
・実際のバルブ作用角INCAMが目標バルブ作用角INCAMtrgと一致しているとき、ステップT522の処理を行う。
・実際のバルブ作用角INCAMが目標バルブ作用角INCAMtrgと一致していないとき、ステッT524の処理を行う。
<実施形態の効果>
以上詳述したように、この第2実施形態にかかる内燃機関の可変動弁機構制御装置によれば、先の第1実施形態による前記(1)(2)(4)及び(5)の効果に加えて、さらに以下に示すような効果が得られるようになる。
本発明の第3実施形態について、図1及び図16〜図22を参照して説明する。
本実施形態では、燃焼室へ燃料を直接供給する燃料噴射方式を採用するとともに、可変動弁機構として吸気弁のバルブタイミング(吸気弁の開閉特性)を変更するバルブタイミング可変機構を備えた筒内噴射式内燃機関を想定している。
図1に示すように、エンジン1は、バルブタイミング可変機構53を備えて構成される。
バルブタイミング可変機構53によるインテークバルブ37のバルブタイミングINVTの変更態様について説明する。
図17を参照して、「バルブタイミング可変機構駆動処理」について説明する。
本処理は、イグニッション信号IGがオフからオンへ切り替わったことを条件に開始される。
・スタータ信号STAがオフからオンへ切り替わったとき、ステップU300の処理を行う。
・スタータ信号STAがオフのときは、所定の時間が経過した後に再度ステップU200の処理を行う。即ち、スタータ信号STAがオフからオンに切り替わるまで「始動時バルブタイミング変更処理」の実行を保留する。
図18及び図19を参照して、「始動時バルブタイミング変更処理」について説明する。
・モータ駆動期間TMがマスク期間XM未満のとき、所定の時間が経過した後に再度ステップU310の判定処理を行う。
・モータ駆動期間TMがマスク期間XM以上のとき、ステップU320の処理を行う。
電子制御装置9は、ステップU320の判定処理を通じてバルブタイミングINVTの変更について次のように判断する。
・実際のバルブタイミングINVTが目標バルブタイミングINVTtrgと一致しているとき、ステップU332の処理を行う。
・実際のバルブタイミングINVTが目標バルブタイミングINVTtrgと一致していないとき、所定の時間が経過した後に再度ステップU330の処理を行う。即ち、実際のバルブタイミングINVTが目標バルブタイミングINVTtrgと一致するまでバルブタイミング可変機構53の駆動を継続する。
・エンジン1の始動動作が完了しているとき、「始動時バルブタイミング変更処理」を終了して「始動後バルブタイミング変更処理」(図20及び図21)を開始する。
・エンジン1の始動動作が完了していないとき、所定の時間が経過した後に再度ステップU340の処理を行う。即ち、エンジン1の始動が完了するまで「始動後バルブタイミング変更処理」の実行を保留する。
図20及び図21を参照して、「始動後バルブタイミング変更処理」について説明する。
・実際のバルブタイミングINVTが目標バルブタイミングINVTtrgと一致しているとき、ステップU432の処理を行う。
・実際のバルブタイミングINVTが目標バルブタイミングINVTtrgと一致していないとき、所定の時間が経過した後に再度ステップU430の処理を行う。即ち、実際のバルブタイミングINVTが目標バルブタイミングINVTtrgと一致するまでバルブタイミング可変機構53の駆動を継続する。
・エンジン1の暖機が完了しているとき、ステップU442の処理を行う。
・エンジン1の暖機が完了していないとき、所定の時間が経過した後に再度ステップU440の処理を行う。即ち、エンジン1の暖機が完了するまで実際のバルブタイミングINVTとして最進角バルブタイミングINVTmaxが設定された状態を継続する。
・実際のバルブタイミングINVTが目標バルブタイミングINVTtrgと一致しているとき、ステップU452の処理を行う。
・実際のバルブタイミングINVTが目標バルブタイミングINVTtrgと一致していないとき、ステップU454の処理を行う。
[ステップU454]バルブタイミング可変機構53を駆動してバルブタイミングINVTを現在のバルブタイミングINVTから目標バルブタイミングINVTtrgへ変更する。
・イグニッション信号IGがオンからオフへ切り替わったとき、「始動後バルブタイミング変更処理」を終了して「停止時バルブタイミング変更処理」(図22)を開始する。
・イグニッション信号IGがオンのとき、所定の時間が経過した後に再度ステップU442の処理を行う。即ち、イグニッション信号IGがオフとなるまで、エンジン1の運転状態に適合したバルブタイミングINVTの算出を継続する。
図22を参照して、「停止時バルブタイミング変更処理」について説明する。
[ステップU510]目標バルブタイミングINVTtrgとして始動バルブタイミングINVTstaを設定する。
・実際のバルブタイミングINVTが目標バルブタイミングINVTtrgと一致しているとき、ステップU522の処理を行う。
・実際のバルブタイミングINVTが目標バルブタイミングINVTtrgと一致していないとき、ステップU524の処理を行う。
以上詳述したように、この第3実施形態にかかる内燃機関の可変動弁機構制御装置によれば、以下に示すような効果が得られるようになる。
なお、上記第3実施形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
上記処理を追加した場合、クランクシャフト26の回転が検出されてから電動アクチュエータ54への通電が行われるようになるため、電動アクチュエータ54への通電によりクランキングの開始が妨げられることを回避することができるようになる。また、スタータモータ6の故障等によりクランキングが開始されない場合にあっては、不要にバルブタイミング可変機構53が駆動されることを回避することができるようになる。
その他、上記各実施形態に共通して変更することができる要素を以下に列挙する。
・上記各実施形態では、実圧縮比に影響を及ぼすパラメータとして吸気温度THGを採用したが、同パラメータとして、例えば冷却水温度THWを採用することもできる。
2…シリンダブロック、21…シリンダ、22…ウォータージャケット、23…ピストン、24…燃焼室、25…コネクティングロッド、26…クランクシャフト。
6…スタータモータ。
81…クランクポジションセンサ、82…カムポジションセンサ、83…水温センサ、84…吸気温センサ、85…イグニッションスイッチ。
XTHG…基準吸気温度、TM…モータ駆動期間、XM…マスク期間、BV…バッテリ電圧、CS…始動シリンダ。
IVO…バルブ開弁時期、IVC…バルブ閉弁時期、IVOmax…最進角開弁時期、IVCmax…最進角閉弁時期、IVOmin…最遅角開弁時期、IVCmin…最遅角閉弁時期。
Claims (13)
- 吸気弁の開閉特性を変更する可変動弁機構を備えた内燃機関に適用されて、前記内燃機関の運転状態に応じて目標の開閉特性を設定するとともに実際の開閉特性が前記目標の開閉特性となるように前記可変動弁機構を制御する内燃機関の可変動弁機構制御装置において、
前記吸気弁の開閉特性について、前記吸気弁の閉弁時期が下死点またはその近傍となる開閉特性を始動開閉特性とし、
最初の燃料噴射が行われる前から前記内燃機関の始動動作が完了するまでの間、前記始動開閉特性を目標の開閉特性として設定し、
実際の開閉特性が前記始動開閉特性へ変更されてから最初に吸気行程の下死点へ到達する気筒を推定し、該気筒以外の気筒から燃料噴射が開始されることを禁止する
ことを特徴とする内燃機関の可変動弁機構制御装置。 - 可変動弁機構の制御により吸気弁の開閉特性を変更する内燃機関の可変動弁機構制御装置において、
前記吸気弁の閉弁時期が下死点またはその近傍となる開閉特性を始動開閉特性として、
吸気弁の開閉特性が前記始動開閉特性に設定されている状態のもとで最初に吸気行程の下死点に到達する気筒から燃料噴射が開始される
ことを特徴とする内燃機関の可変動弁機構制御装置。 - 可変動弁機構の制御により吸気弁の開閉特性を変更する内燃機関の可変動弁機構制御装置において、
前記吸気弁の閉弁時期が下死点またはその近傍となる開閉特性を始動開閉特性として、
最初に燃料噴射した気筒が吸気行程の下死点に到達してから内燃機関の始動動作が完了するまでの期間内のとき、且つ実圧縮比に影響を及ぼすパラメータがノッキングの発生をまねく大きさよりも大きいとき、吸気弁の開閉特性が前記始動開閉特性とは異なる開閉特性に設定される
ことを特徴とする内燃機関の可変動弁機構制御装置。 - 可変動弁機構の制御により吸気弁の開閉特性を変更する内燃機関の可変動弁機構制御装置において、
前記吸気弁の閉弁時期が下死点またはその近傍となる開閉特性を始動開閉特性として、
最初に燃料噴射した気筒が吸気行程の下死点に到達してから内燃機関の始動動作が完了するまでの期間内のとき、且つ吸気温度または冷却水温度が予め設定された基準値よりも大きいとき、吸気弁の開閉特性が前記始動開閉特性とは異なる開閉特性に設定される
ことを特徴とする内燃機関の可変動弁機構制御装置。 - 請求項4に記載の内燃機関の可変動弁機構制御装置において、
吸気弁の開閉特性として前記始動開閉特性が設定されたときにノッキングが生じるか否かを吸気温度または冷却水温度に基づいて判定するための値が前記基準値として設定される
ことを特徴とする内燃機関の可変動弁機構制御装置。 - 請求項3〜5のいずれか一項に記載の内燃機関の可変動弁機構制御装置において、
バルブオーバーラップが設定される吸気弁の開閉特性を重複開閉特性として、
前記始動開閉特性とは異なる開閉特性として同重複開閉特性が設定される
ことを特徴とする内燃機関の可変動弁機構制御装置。 - 駆動源としての電動アクチュエータを含む可変動弁機構の制御により吸気弁の開閉特性を変更する内燃機関の可変動弁機構制御装置において、
前記吸気弁の閉弁時期が下死点またはその近傍となる開閉特性を始動開閉特性として、
最初に燃料噴射した気筒が吸気行程の下死点に到達してから内燃機関の始動動作が完了するまでの期間内のとき、且つバッテリの電圧が基準の電圧よりも大きいとき、吸気弁の開閉特性が前記始動開閉特性に設定され、
最初に燃料噴射した気筒が吸気行程の下死点に到達してから内燃機関の始動動作が完了するまでの期間内のとき、且つバッテリの電圧が前記基準の電圧よりも小さいとき、前記電動アクチュエータへの通電が行われない
ことを特徴とする内燃機関の可変動弁機構制御装置。 - 請求項2〜7のいずれか一項に記載の内燃機関の可変動弁機構制御装置において、
吸気弁の開閉特性が前記始動開閉特性に設定されている状態のもとで最初に吸気行程の下死点に到達する気筒から燃料噴射が開始される
ことを特徴とする内燃機関の可変動弁機構制御装置。 - 請求項1〜8のいずれか一項に記載の内燃機関の可変動弁機構制御装置において、
バルブオーバーラップが設定される吸気弁の開閉特性を重複開閉特性として、
内燃機関の始動動作が完了した後に吸気弁の開閉特性が同重複開閉特性に設定される
ことを特徴とする内燃機関の可変動弁機構制御装置。 - 請求項9に記載の内燃機関の可変動弁機構制御装置において、
前記可変動弁機構として吸気弁のバルブ作用角を変更するものが設けられるとき、前記重複開閉特性としてのバルブ作用角が前記始動開閉特性としてのバルブ作用角よりも大きいものに設定され、
前記可変動弁機構として吸気弁のバルブタイミングを変更するものが設けられるとき、前記重複開閉特性としてのバルブタイミングが前記始動開閉特性としてのバルブタイミングよりも進角側に設定される
ことを特徴とする内燃機関の可変動弁機構制御装置。 - 請求項1〜10のいずれか一項に記載の内燃機関の可変動弁機構制御装置において、
内燃機関の停止時に吸気弁の開閉特性が前記始動開閉特性に設定される
ことを特徴とする内燃機関の可変動弁機構制御装置。 - 請求項1〜11のいずれか一項に記載の内燃機関の可変動弁機構制御装置において、
前記可変動弁機構の駆動源としての電動アクチュエータを含み、
スタータモータへの通電が開始されてから待機期間が経過するまでは同アクチュエータへの通電が行われない
ことを特徴とする内燃機関の可変動弁機構制御装置。 - 請求項1〜11のいずれか一項に記載の内燃機関の可変動弁機構制御装置において、
前記可変動弁機構の駆動源としての電動アクチュエータを含み、
クランクシャフトの回転が検出されるまでは同アクチュエータへの通電が行われない
ことを特徴とする内燃機関の可変動弁機構制御装置。
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