JP4523458B2 - 石油系重質油の水素化分解方法 - Google Patents

石油系重質油の水素化分解方法 Download PDF

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Description

本発明は、石油系重質油の水素化分解方法に関する技術分野に属するものであり、詳細には、重金属成分を含有する石油系重質油の水素化分解方法に関し、特には、常圧蒸留残渣油、減圧蒸留残渣油のような重金属成分を含有する石油系重質油を触媒の存在下で水添し、高度に軽質化された製品を得る方法に関する技術分野に属するものである。
原油の重質化と需要の軽質化が同時に進行するという需要構造の急激な変化を背景に、不足する軽質製品を余剰の重質油から製造する重質油分解技術が注目されており、有限な石油埋蔵量の減少が不可避の情勢にあってその重要度がますます増大してきている。
これまでに、重質油の熱分解、水素化分解について多くの方法が提案されているが、これらの方法は、減圧残渣油等のような重質油の軽質化に対しては、なんらかの問題点を有している。
即ち、このようなタイプの重質油中には、かなり大量の窒素化合物及び硫黄化合物を含む傾向にあり、さらに、重質油分解を触媒存在下で行わせる場合、極めて有害となりがちな多量の有機金属性不純物を含有する。このような有機金属性不純物(金属不純物)としては、ニッケル(Ni)やバナジウム(V)を含むものが最も多いが、他の金属を含むものも多い。これらの金属不純物は、重質油中のアスファルテン等の比較的高分子量の有機化合物と化学的に結合しており、これらが存在すると、窒素、硫黄及び酸素含有化合物の分解除去に対する触媒活性がかなり阻害される。
触媒を用いずに,減圧残渣油等を処理する方法としては、熱分解方法である、いわゆるコーカー法が知られているが、この方法は、多量に副生するコークスの処理の問題に加えて、過分解によるガス生成量の増加のため、得られる留出油の収率低下が免れない上、芳香族分、オレフィン成分が多く、品質の悪いものになるという欠点を有する。
粒状の触媒を反応器内に充填して行う固定床方式の水素化分解方法では、高度に軽質化を行うと、上述のごとく原料中のアスファルテンやV、Niなどの重金属の影響を受け、副生するコークや重金属が次第に触媒層に沈積し、その結果、触媒の活性低下や触媒層の閉塞をもたらし、長期連続運転に限界がある。
Co-Mo 系等の押出成形粒子触媒を使用して沸騰床方式の反応器で水素化分解を行わせる方法においては、沸騰床反応器内の激しい混合状態により、コーク等の蓄積による圧力損失の増加の問題はなく、また、運転中に触媒の抜き出しと、補給が可能なことから触媒の活性を一定に保ったまま、長期に連続運転ができ、固定床方式に比べ利点を有している。しかしながら、触媒を循環させて運転するため、ポンプ等のメカニカルな問題があり、固定床方式に比べ運転の難しさがある。また、触媒が高価であり、反応圧力は一般的に15〜20MPaGと高く、反応生成物の脱硫、脱窒素は不十分である。さらには、重質油の種類によっては、転化率を向上させると触媒の失活がおこり、頻繁に反応器内触媒を抜き出すと共に、新触媒を反応器に供給するという運転が必要となるため、50〜60%程度に転化率を抑制して運転される。
上記のような従来法の欠点を克服する技術として、石油系重質油を、低廉な使い捨ての鉄系触媒と循環された反応生成重質物と共に、懸濁床(スラリー床)反応器に供給し、水素化分解反応させることにより、90%以上の高転化率を得る方法がある。この方法では、選択した鉄系の触媒活性が極端に悪くない限り、反応圧力を15MPa 以上の高圧にすれば、重質油の種類によらず、温度:450 ℃程度、反応時間:60〜90分、循環重質残渣(+525℃)の流量:0〜50質量%(原料の石油系重質油供給量に対する割合)の条件下で90%以上の高転化率が可能である。このような方法(以下、鉄系触媒を使用する懸濁床方式の水素化分解方法ともいう)は、例えば、特開2001−89772 号公報に記載されている。
特開2001−89772 号公報
しかしながら、この方法(鉄系触媒を使用する懸濁床方式の水素化分解方法)は、反応圧力が高圧であることから、設備投資額が前述の熱分解法の場合よりも高くなり、鉄系触媒を使用する懸濁床方式の水素化分解方法においては低圧化を図ることが重要となる。確かに、天然のリモナイト鉄鉱石触媒等、安価で高活性の鉄系触媒を使用することにより、低圧の圧力として、例えば10MPa の反応圧力とし、かつ、上記に示すような反応温度、反応時間、循環重質残渣流量とした条件下で、90%以上の転化率を得ることは可能である。しかし、重質油の種類(例えば、重質油中のアスファルテンの縮合環数が13以上もある重質油)によっては、水素化分解工程でのコーク〔Toluene Insoluble (以下、TIともいう)〕の収率が大きく、反応生成重質物の循環(以下、ボトムリサイクルともいう)を行うと、リサイクルする重質残渣(+525℃)中のTI濃度が増大する。このような場合には、TIの分解反応性はほとんどないことから、リサイクル重質残渣の分解性が低下し、ボトムリサイクルの効果が発揮できなくなり、従って、転化率およびオイル収率が低くなる。
TI収率を抑制するためには、反応圧力を高圧にすることが有効であるが、これでは経済性が悪くなる。従って、低圧の反応圧力を指向した場合、低圧の条件下でTI収率が増大しても、リサイクルする重質残渣中のTI濃度を低く保つためには、選択的にTIを系外に抜き出すこと(以下、TI選択的除去ともいう)が必要となる。
選択的にTIを系外に抜き出す方法(以下、TI選択的除去法ともいう)としては、重質残渣(固体を含む)を含む重質反応生成物に軽質の溶剤を添加し、沈降槽(沈降式の固液分離器)にて、軽質溶剤に溶解するものを沈降槽のオーバーフローから抜き出し、一方、軽質溶剤に不溶なもの(TI:触媒の固体成分が主体)を沈降槽のアンダーフローから抜き出すという、いわゆる溶剤添加沈降式固液分離法(以下、溶剤添加方式の沈降式固液分離法ともいう)がある。しかし、本方式の沈降式固液分離法においては、一般的に、溶剤として軽質なナフサ相当品を使用し、沈降槽は200 ℃以上の温度で操作されることから、沈降槽内を液状に保つために1〜2MPa 以上の圧力を必要とし、かつ、オーバーフロー側、アンダーフロー側の両方から使用溶剤を回収する必要があるため、コストが比較的高くなるという問題点がある。
TI収率の高い重質油を取り扱う場合に、より経済的なプロセスとするためには、低コストのTI選択的除去法(固液分離法)が望まれる。
上記のような軽質な溶剤の添加をしなくても(即ち、溶剤添加方式ではなく、非溶剤添加方式の沈降式固液分離法によって)TI選択的除去が可能になれば、上記のような問題点は解消することができ、ひいては低コスト化がはかれる。
本発明はこのような事情に着目してなされたものであって、その目的は、鉄系触媒を使用する懸濁床方式の水素化分解方法における沈降式固液分離法によるTI選択的除去の際に軽質な溶剤を添加しなくてもよいようにすることにある。即ち、重金属成分を含有する石油系重質油を懸濁床反応器に供給し、鉄系触媒の存在下で水素化分解すると共に、この水素化分解の反応生成物を気液分離して得られる液相流体(重質反応生成物およびTIを含む)から沈降式固液分離法によりTI(コーク)選択的除去をした後、この液相流体を前記懸濁床反応器に循環するに際し、前記沈降式固液分離法によるTI選択的除去の際に軽質な溶剤を添加しなくても(即ち、溶剤添加方式ではなく、非溶剤添加方式の沈降式固液分離法によって)TI選択的除去をすることができる石油系重質油の水素化分解方法を提供しようとするものである。
本発明者らは、上記目的を達成するため、鋭意研究を行なった結果、本発明を完成するに至った。本発明によれば上記目的を達成することができる。
このようにして完成され上記目的を達成することができた本発明は、石油系重質油の水素化分解方法に係わり、特許請求の範囲の請求項1〜6記載の石油系重質油の水素化分解方法(第1〜6発明に係る石油系重質油の水素化分解方法)であり、それは次のような構成としたものである。
即ち、請求項1記載の石油系重質油の水素化分解方法は、重金属成分を含有する石油系重質油を水素化分解するに際し、水素化分解のための反応器として懸濁床反応器を用いると共に触媒として鉄系触媒を用いる石油系重質油の水素化分解方法であって、下記(1) 〜(4) の工程を有することを特徴とする石油系重質油の水素化分解方法である〔第1発明〕。
(1) 前記懸濁床反応器からの反応生成物を高圧気液分離器において、圧力:前記懸濁床反応器と実質的に同圧の圧力、温度:200 〜350 ℃の条件で、気相流体と液相流体(固体を含む)とに分離する高圧気液分離工程。
(2) 前記高圧気液分離工程にて分離された液相流体を低圧気液分離器に供給し、圧力:常圧〜1MPaG、温度:190 〜340 ℃の条件で、気相流体と液相流体(固体を含む)とに分離する低圧気液分離工程。
(3) 前記低圧気液分離工程にて分離された液相流体を沈降式の固液分離器に供給し、圧力:常圧〜1MPaG、温度:190 〜340 ℃の条件で固体を沈降させ、該固液分離器の上部より該固液分離器内上層部の流体を抜き出す一方、該固液分離器の下部から固体成分と油成分とからなる流体を抜き出す固液分離工程。
(4) 前記固液分離工程にて固液分離器の上部より抜き出された流体の一部または全部を前記懸濁床反応器に循環する循環工程。
請求項2記載の石油系重質油の水素化分解方法は、前記懸濁床反応器での反応条件が、反応圧力:6〜14MPaG、反応温度:430 〜450 ℃、反応時間:30〜120 分である請求項1記載の石油系重質油の水素化分解方法である〔第2発明〕。
請求項3記載の石油系重質油の水素化分解方法は、前記鉄系触媒が石油系溶剤中で機械的に粉砕された平均粒子径2μm 以下のリモナイト鉄鉱石触媒であり、その添加量が石油系重質油の量に対して鉄成分として0.3 〜2質量%である請求項1または2記載の石油系重質油の水素化分解方法である〔第3発明〕。
請求項4記載の石油系重質油の水素化分解方法は、前記高圧気液分離工程での温度条件が温度:250 〜320 ℃である請求項1〜3のいずれかに記載の石油系重質油の水素化分解方法である〔第4発明〕。
請求項5記載の石油系重質油の水素化分解方法は、前記低圧気液分離工程での圧力および温度条件が圧力:0.3 〜0.5MPaG 、温度:245 〜315 ℃であると共に、前記固液分離工程での圧力および温度条件が圧力:0.3 〜0.5MPaG 、温度:245 〜315 ℃である請求項1〜4のいずれかに記載の石油系重質油の水素化分解方法である〔第5発明〕。
請求項6記載の石油系重質油の水素化分解方法は、前記循環工程において懸濁床反応器に循環する流体の量を、この流体中の沸点:525 ℃以上の重質油成分の量が懸濁床反応器への石油系重質油供給量に対して10〜100 質量%となる量とする請求項1〜5のいずれかに記載の石油系重質油の水素化分解方法である〔第6発明〕。
本発明に係る石油系重質油の水素化分解方法によれば、鉄系触媒を使用する懸濁床方式の水素化分解方法における沈降式固液分離法によるTI選択的除去の際に軽質な溶剤を添加しなくてもよいようになる。即ち、重金属成分を含有する石油系重質油を懸濁床反応器に供給し、鉄系触媒の存在下で水素化分解すると共に、この水素化分解の反応生成物を気液分離して得られる液相流体(重質反応生成物およびTIを含む)から沈降式固液分離法によりTI(コーク)選択的除去をした後、この液相流体を前記懸濁床反応器に循環するに際し、前記沈降式固液分離法によるTI選択的除去の際に軽質な溶剤を添加しなくても(即ち、溶剤添加方式ではなく、非溶剤添加方式の沈降式固液分離法によって)TI選択的除去をすることができるようになる。
本発明に係る石油系重質油の水素化分解方法は、前述のように、重金属成分を含有する石油系重質油を水素化分解するに際し、水素化分解のための反応器として懸濁床反応器を用いると共に触媒として鉄系触媒を用いる石油系重質油の水素化分解方法であって、下記(1) 〜(4) の工程を有することを特徴とする石油系重質油の水素化分解方法である。
(1) 前記懸濁床反応器からの反応生成物を高圧気液分離器において、圧力:前記懸濁床反応器と実質的に同圧の圧力、温度:200 〜350 ℃の条件で、気相流体と液相流体(固体を含む)とに分離する高圧気液分離工程。
(2) 前記高圧気液分離工程にて分離された液相流体を低圧気液分離器に供給し、圧力:常圧〜1MPaG、温度:190 〜340 ℃の条件で、気相流体と液相流体(固体を含む)とに分離する低圧気液分離工程。
(3) 前記低圧気液分離工程にて分離された液相流体を沈降式の固液分離器に供給し、圧力:常圧〜1MPaG、温度:190 〜340 ℃の条件で固体を沈降させ、該固液分離器の上部より該固液分離器内上層部の流体を抜き出す一方、該固液分離器の下部から固体成分と油成分とからなる流体を抜き出す固液分離工程。
(4) 前記固液分離工程にて固液分離器の上部より抜き出された流体の一部または全部を前記懸濁床反応器に循環する循環工程。
上記(1) の高圧気液分離工程では、懸濁床反応器での水素化分解の反応生成物を高圧気液分離器に供給し、この反応生成物を圧力:前記懸濁床反応器と実質的に同圧の圧力、温度:200 〜350 ℃の条件で、気相流体と液相流体(固体を含む)とに分離する。このようにして分離された液相流体には、重質油成分(重質反応生成物)、固体(コーク、触媒)が含まれているが、これらの他に軽質油成分も含まれている。なお、上記重質油成分は、沸点:+525℃(525 ℃以上)の油成分であり、上記軽質油成分は、上記重質油成分以外の油成分であって上記重質油成分よりも沸点が低いものである。
この液相流体中の軽質油成分の量をA1 、上記反応生成物中の軽質油成分の量をA0 、上記気相流体中の軽質油成分の量をA2 とすると、A1 =A0 −A2 である。即ち、上記反応生成物中の軽質油成分の中、一部(より沸点の低い軽質油成分)は気相流体中に含まれることになるが、残部(より沸点の高い軽質油成分)は液相流体中に含まれることになる。この液相流体中の軽質油成分の量(A1)は、従来の鉄系触媒を使用する懸濁床方式の水素化分解方法(以下、従来法ともいう)の場合に比較して多い。即ち、この液相流体中には比較的多量の軽質油成分が含まれている。これは、上記高圧気液分離の際の温度が200 〜350 ℃であり、前記従来法の場合に比較して低いことによるものである。
上記(2) の低圧気液分離工程では、前記高圧気液分離工程にて分離された液相流体を低圧気液分離器に供給し、圧力:常圧〜1MPaG、温度:190 〜340 ℃の条件で、気相流体と液相流体(固体を含む)とに分離する。このようにして分離された液相流体には、重質油成分(重質反応生成物)、固体(コーク、触媒)が含まれているが、これらの他に軽質油成分も含まれている。なお、この液相流体は、軽質油成分に重質油成分(重質反応生成物)の一部が溶解し、この油成分に固体(コーク、触媒)が混ざった状態のものである。
この液相流体(低圧気液分離器で分離された液相流体)中の軽質油成分の量をB1 、前記高圧気液分離工程にて分離された液相流体中の軽質油成分の量をB0 、上記気相流体(低圧気液分離器で分離された気相流体)中の軽質油成分の量をB2 とすると、B1 =B0 −B2 =A1 −B2 である。即ち、前記高圧気液分離工程にて分離された液相流体中の軽質油成分の中、一部(より沸点の低い軽質油成分)は気相流体中に含まれることになるが、残部(より沸点の高い軽質油成分)は液相流体中に含まれることになる。この液相流体中の軽質油成分の量(B1)は従来法の場合に比較して多く、この液相流体中には比較的多量の軽質油成分が含まれている。これは、前記高圧気液分離工程にて分離された液相流体中の軽質油成分の量(A1)が従来法の場合に比較して多いことによるものである。この液相流体中の軽質油成分の量(B1)は後工程の固液分離工程において軽質な溶剤を添加しなくてもTI(コーク)選択的除去を可能にするに充分な量である。
上記(3) の固液分離工程では、前記低圧気液分離工程にて分離された液相流体を沈降式の固液分離器に供給し、圧力:常圧〜1MPaG、温度:190 〜340 ℃の条件で固体を沈降させ、該固液分離器の上部より該固液分離器内上層部の流体を抜き出す一方、該固液分離器の下部から固体成分と油成分とからなる流体を抜き出す。なお、上記固液分離器に供給される液相流体は、既に(固液分離器への供給前の時点において)軽質油成分に重質油成分(重質反応生成物)の一部が溶解し、この油成分に固体(コーク、触媒)が混ざった状態のものであるので、この液相流体に軽質な溶剤を添加しなくてもTI選択的除去をすることができる。即ち、この液相流体を上記固液分離器に供給すると、軽質な溶剤を添加しなくても、上記固液分離器において、この液相流体中の固体(コーク、触媒)が沈降し、その結果、TI選択的除去される。
このようにして固液分離器の上部より抜き出された流体には、重質油成分(重質反応生成物)の残部と軽質油成分が含まれている。これは軽質油成分に重質油成分(重質反応生成物)の残部が溶解した状態のものである。一方、固液分離器の下部から抜き出された流体には、固体成分(コーク、触媒)と油成分が含まれている。これは油成分に固体成分が混ざった状態のスラリー状のものである。
従って、TI(コーク)選択的除去をすることができる。即ち、沈降式固液分離法によるTI選択的除去の際に軽質な溶剤を添加しなくても(即ち、溶剤添加方式ではなく、非溶剤添加方式の沈降式固液分離法によって)TI選択的除去をすることができる。
このように軽質な溶剤を添加しなくてもTI選択的除去をすることができるのは、前記低圧気液分離工程にて分離された液相流体には比較的多量の軽質油成分が含まれており、この軽質油成分に重質油成分(重質反応生成物)の一部が溶解し、この油成分に重質油成分の残部(即ちコークと触媒)が混ざった状態のものとなっているからである。即ち、沈降式の固液分離器に供給される液相流体が既に(供給される前の時点において)上記のような状態のものとなっているので、さらに重質油成分(重質反応生成物)を溶解する必要がなく、このため、かかる溶解のための軽質な溶剤の添加が必要でなくなるからである。
上記(4) の循環工程では、前記固液分離工程にて固液分離器の上部より抜き出された流体の一部または全部を前記懸濁床反応器に循環する。この循環された流体は懸濁床反応器において水素化分解され、この流体中の重質油成分(重質反応生成物)は軽質油成分を含むものになる。
このように、本発明に係る石油系重質油の水素化分解方法によれば、沈降式固液分離法によるTI選択的除去の際に軽質な溶剤を添加しなくても(即ち、溶剤添加方式ではなく、非溶剤添加方式の沈降式固液分離法によって)TI選択的除去をすることができるようになる。このため、ひいては、沈降式固液分離の際の圧力を高くする必要がなく、常圧〜1MPaGに下げることができ、また、軽質な溶剤の回収の必要性がなくなる。即ち、軽質な溶剤を添加する場合には、沈降槽内を液状に保つために1〜2MPa 以上の圧力を必要とし、かつ、オーバーフロー側、アンダーフロー側の両方から使用溶剤を回収する必要があり、コスト高となるが、本発明に係る石油系重質油の水素化分解方法の場合には、軽質な溶剤を添加しなくてもよいので、圧力を常圧〜1MPaGに下げることができ、上記のような溶剤の回収も必要でなくなり、コスト低減が可能となる。
上記(1) の高圧気液分離工程において、温度:200 〜350 ℃としているのは、下記理由による。350 ℃超の場合には、分離されて得られる液相流体中の軽質油成分の量(A1)が少なくなり、ひいては、低圧気液分離工程において分離されて得られる液相流体中の軽質油成分の量(B1)が少なくなって、後工程の固液分離工程において軽質な溶剤を添加しなくてもTI(コーク)選択的除去を可能にするに必要な量を確保し難くなり、軽質な溶剤を添加することなくTI選択的除去をすることが難しくなる。200 ℃未満の場合には、低圧気液分離器の温度が高圧気液分離器の温度よりも数℃低くなり、従って、固液分離器の温度は最大約200 ℃で操作することになるが、この温度域(200 ℃未満)で固液分離すると、液体粘度がより高くなるため、固液分離性能が悪化する。このため、高圧気液分離工程での温度:200 〜350 ℃としている。
前記(1) の高圧気液分離工程において、圧力:前記懸濁床反応器と実質的に同圧の圧力としている。この圧力は、前記懸濁床反応器からの反応生成物をそのまま高圧気液分離器に供給した場合の圧力であり、前記懸濁床反応器と等しい場合もあり得るが、それよりも低い場合もあり得る。このような場合を全て含む意味で前記懸濁床反応器と実質的に同圧の圧力と表現した。即ち、前記懸濁床反応器と実質的に同圧の圧力は、前記懸濁床反応器と同じ圧力に限定されず、それよりも自然に低くなった場合の圧力を含むものである。
前記(2) の低圧気液分離工程において、圧力:常圧〜1MPaG、温度:190 〜340 ℃の条件としている。この圧力はゲージ圧での圧力である。例えば、1MPaGは絶対圧では1.1MPaであり、常圧はゲージ圧では0MPaG、絶対圧では0.101MPaである。1MPaG=1×106Pa であり、9.80665 ×104 Pa=1kgf/cm2 (即ち、0.980665×105Pa =1kgf/cm2 )であるので、0.980665MPa =10kgf/cm2 である。従って、上記の1MPaGは、10/0.980665kgf/cm2 であり、約10kgf/cm2 である。上記の常圧は、0.101MPa(常圧=1atm =1.033kgf/cm2=1.033 ×0.0980665MPa=0.101MPa)である。
前記(3) の固液分離工程において、圧力:常圧〜1MPaG、温度:190 〜340 ℃の条件としている。このように圧力:常圧〜1MPaGとしているのは、下記理由による。即ち、前述のように、本発明に係る石油系重質油の水素化分解方法によれば、沈降式固液分離法によるTI選択的除去の際に軽質な溶剤を添加しなくてもTI選択的除去をすることができ、ひいては、沈降式固液分離の際の圧力を高くする必要がなく、常圧〜1MPaGに下げることができるので、前記(3) の固液分離工程での圧力:常圧〜1MPaGとしているのである。これはコスト低減につながる。
本発明に係る石油系重質油の水素化分解方法において、懸濁床反応器での反応条件に関しては、特には限定されず、例えば、反応圧力:6〜14MPaG、反応温度:430 〜450 ℃、反応時間:30〜120 分とする〔第2発明〕。
前記鉄系触媒としては、石油系溶剤中で機械的に粉砕された平均粒子径2μm 以下のリモナイト鉄鉱石触媒を用い、その添加量が石油系重質油の量に対して鉄成分として0.3 〜2質量%となるようにすることが望ましい〔第3発明〕。このようなリモナイト鉄鉱石触媒を用いるのは、Fe2O3 (ヘマタイト)、FeS2(パイライト)、FeSO4 (硫酸鉄)等の鉄系触媒に比べ高活性であり、しかも天然で採取される安価な触媒であるからである。その添加量が0.3 質量%未満の場合は、コーク生成量が急激に高くなる傾向があり、2質量%超の場合は、オイル収率がほとんど増加せず、かえってコスト高になる傾向がある。
前記高圧気液分離工程での温度条件を温度:250 〜320 ℃とすることが望ましい〔第4発明〕。このようにすると、分離されて得られる液相流体中の軽質油成分の量(A1)がより高水準で多くなり、ひいては、低圧気液分離工程において分離されて得られる液相流体中の軽質油成分の量(B1)がより高水準で多くなって、後工程の固液分離工程において軽質な溶剤を添加しなくてもTI(コーク)選択的除去を可能にするに必要な量をより確保しやすくなり、より確実に、軽質な溶剤を添加することなくTI選択的除去をすることができるようになる。
前記低圧気液分離工程での圧力および温度条件が圧力:0.3 〜0.5MPaG 、温度:245 〜315 ℃であると共に、前記固液分離工程での圧力および温度条件が圧力:0.3 〜0.5MPaG 、温度:245 〜315 ℃であることが望ましい〔第5発明〕。この理由等について以下記述する。前記第4発明において高圧気液分離工程の温度を250 〜320 ℃にすることが望ましいとした。その高圧気液分離工程の液相流体を0.3 〜0.5MPaG の低圧気液分離工程に供給する際、低圧力下で気相と液相の各流体にフラッシュ分離されるので、温度が高圧気液分離工程よりも低くなる。その際の温度が245 〜315 ℃である。0.5MPaG 〜1MPaGの低圧気液分離工程(LPS )の圧力域では、高圧気液分離工程液相流体中の軽質油成分が気相に行く量(B2)は少なく、B1 が高水準で維持されるが、圧力が高い分、機器コスト高となる。常圧〜0.3MPaG のLPS 圧力域では機器コストは安いものの、B2 は比較的多くなり(即ち、B1 が比較的少なくなり)、固液分離性能がやや劣る。0.3 〜0.5MPaG のLPS 圧力域では、B1 が比較的高水準で維持され、固液分離性能が良好であり、機器コストも安いことから、望ましい条件といえる。
前記循環工程において懸濁床反応器に循環する流体の量を、この流体中の沸点:525 ℃以上の重質油成分の量が懸濁床反応器への石油系重質油供給量に対して10〜100 質量%となる量とすることが望ましい〔第6発明〕。上記循環量が10質量%未満の場合は、オイル収率がほとんど増加せず、ボトムリサイクル効果が発揮されない。一方、上記循環量が100 質量%超の場合は、上記循環量10質量%未満の場合よりもオイル収率が格段に高くなるものの、オイル収率の増加率は上記循環量10〜100 質量%の場合よりも少なく循環効率が低下する。
本発明に係る石油系重質油の水素化分解方法に関するプロセスフローの例を図1〜2に示す。図1〜2において、(1) はスラリー調整槽、(2) は予熱器、(3) は懸濁床反応器、(4) は高圧気液分離器、(5) は高圧低温気液分離器、(6) は蒸留塔1、(7) はガス精製工程、(8) は低圧気液分離器、(9) は沈降槽、(10)は蒸留塔2を示すものである。この中、懸濁床反応器(3) は本発明に係る懸濁床反応器の例、高圧気液分離器(4) は本発明に係る高圧気液分離器の例、低圧気液分離器(8) は本発明に係る低圧気液分離器の例に相当し、沈降槽(9) は本発明に係る沈降式の固液分離器の例に相当する。図1に示すものは、沈降式の固液分離器(沈降槽)が回分式のものである。図2に示すものは、沈降式の固液分離器(沈降槽)が流通式のものである。
なお、本発明において、重質反応生成物中の油成分の中、重質油成分とは、沸点:+525℃(525 ℃以上)の油成分のことであり、軽質油成分とは、前記重質油成分以外の油成分であって前記重質油成分よりも沸点が低いもののことである。
本発明の実施例および比較例について、以下説明する。なお、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
〔実施例1〕
図1と同等の装置によって重金属を有する石油系重質油の水素化分解法を実施した。この詳細を以下説明する。
重金属成分を含有する石油系重質油を鉄系触媒と共に懸濁床反応器に供給し、水素化分解する水素化分解反応工程を遂行した。このとき、重金属を含有する石油系重質油としては、減圧蒸留残渣(以下、VRという)を用いた。鉄系触媒としては、リモナイト鉄鉱石触媒を用いた。このリモナイト鉄鉱石触媒の添加量は、石油系重質油の量に対して鉄成分として1質量%とした。助触媒の添加量は、前記鉄成分の量の1.2 倍とした。懸濁床反応器での水素化分解反応の条件は、反応圧力:10MPa 、反応温度:450 ℃、反応時間:90分、循環蒸留残渣量:VR量の50質量%とした。
前記懸濁床反応器で得られた反応生成物を前記懸濁床反応器から反応生成物を高圧気液分離器に供給し、気相流体と液相流体(固体を含む)とに分離する高圧気液分離工程を遂行した。このとき、高圧気液分離器の圧力、温度条件は、圧力:前記懸濁床反応器と実質的に同圧の圧力である10MPa 、温度:310 ℃とした。
前記高圧気液分離工程にて分離された液相流体を低圧気液分離器に供給し、気相流体と液相流体(固体を含む)とに分離する低圧気液分離工程を遂行した。このとき、低圧気液分離器の圧力、温度条件は、圧力:0.5MPa、温度:300 ℃とした。
前記低圧気液分離工程にて分離された液相流体を沈降式の固液分離器(沈降槽)に供給し、圧力:0.5MPa、温度:300 ℃の条件下で30分間静置した。しかる後、沈降槽の最上部から挿入された挿入管(その最終端すなわち吸い込み口が沈降槽高さHの85%の高さのところに位置する)の吸い込み口から、沈降槽内上層部流体を抜き出すと共に、残りの下層部流体を沈降槽下部から取り出した。このようにして固液分離工程を遂行した。
前記固液分離工程にて抜き出された沈降槽内上層部流体および下層部流体の組成は表1に示す通りであった。表1から、下層部流体にTI及び触媒が濃縮しており、沈降槽内上層部流体中のTI及び触媒の量が少ないことがわかる。
前記固液分離工程にて抜き出された沈降槽内上層部流体の一部を前記懸濁床反応器に循環する循環工程を遂行した。
その結果、転化率:91%、蒸留残渣(+525℃)収率:VR量に対し7.3 質量%、オイル収率:VR量に対し85質量%であった。ここで、転化率は下記式(1) により求められるものである。
転化率(%)=100 ×〔(原料VR中+525℃のwt%)−(蒸留残渣収率)〕/(原料VR 中+525℃のwt%) ------------------ 式(1)
なお、原料VRの留分構成は表2に示す通りであった。
〔比較例1〕
実施例1の場合と同様の石油系重質油、鉄系触媒を用い、同様の懸濁床反応器にて、同様の条件で水素化分解反応工程を遂行した。この反応生成物を高圧気液分離器に供給し、高圧気液分離工程を遂行した。このとき、高圧気液分離器の圧力、温度条件は、圧力:前記懸濁床反応器と実質的に同圧の圧力である10MPa 、温度:370 ℃とした。この高圧気液分離工程にて分離された液相流体を低圧気液分離器に供給し、実施例1の場合と同様の圧力、温度条件で低圧気液分離工程を遂行した。
即ち、高圧気液分離器の温度条件を実施例1の場合(310 ℃)よりも高温度(370 ℃)とし、この点を除き実施例1の場合と同様の水素化分解反応工程、高圧気液分離工程、低圧気液分離工程を遂行した。
前記低圧気液分離工程にて分離された液相流体を沈降槽に供給し、圧力:0.5MPa、温度:300 ℃の条件下で60分間静置した後、実施例1の場合と同様の方法により沈降槽内上層部流体の抜き出し、残りの下層部流体の取り出しを行った。即ち、沈降槽での静置時間を実施例1の場合(30分間)よりも長時間(60分間)とし、この点を除き実施例1の場合と同様の方法により固液分離工程を遂行した。
前記固液分離工程にて抜き出された沈降槽内上層部流体および下層部流体の組成は表3に示す通りであった。表3から、下層部流体でのTI及び触媒の濃縮度が実施例1の場合に比較して極めて少なく、沈降槽内上層部流体中のTI及び触媒の量が実施例1の場合に比較して著しく多いことがわかる。
前記固液分離工程にて抜き出された沈降槽内上層部流体の一部を前記懸濁床反応器に循環する循環工程を遂行した。
その結果、転化率:81%、蒸留残渣(+525℃)収率:VR量に対し15.6質量%、オイル収率:VR量に対し75.1質量%であった。ここで、転化率は前記式(1) により求められるものである。
以上のように、比較例1の場合は、沈降槽での静置時間が長時間(60分間)であるにもかかわらず、固液分離工程での下層部流体でのTI及び触媒の濃縮度が少なく、沈降槽内上層部流体中のTI及び触媒の量が多く、このため、沈降槽内上層部流体を懸濁床反応器に循環し水素化分解反応させた際の転化率が低く、蒸留残渣(+525℃)収率が高く、ひいてはオイル収率が低い。
これに対し、実施例1の場合は、沈降槽での静置時間が短時間(30分間)であるにもかかわらず、固液分離工程での下層部流体でのTI及び触媒の濃縮度が極めて高く、沈降槽内上層部流体中のTI及び触媒の量が著しく少なく、このため、沈降槽内上層部流体を懸濁床反応器に循環し水素化分解反応させた際の転化率が極めて高く、蒸留残渣(+525℃)収率が著しく低く、ひいてはオイル収率が極めて高い。
これは、実施例1の場合は、比較例1の場合に比べ、高圧気液分離器での温度が低いことに起因するものであり、TI選択的除去性に極めて優れているからである。即ち、比較例1の場合には、TI選択的除去性が低く、上記の転化率、蒸留残渣(+525℃)収率、オイル収率を実施例1の場合の水準に改善するには、沈降式固液分離法によるTI選択的除去の際に軽質な溶剤を添加する必要があるが、実施例1の場合は、沈降式固液分離法によるTI選択的除去の際に軽質な溶剤を添加しなくても高水準のTI選択的除去をすることができるからである。
Figure 0004523458
Figure 0004523458
Figure 0004523458
本発明に係る石油系重質油の水素化分解方法は、重金属成分を含有する石油系重質油を懸濁床反応器にて鉄系触媒の存在下で水素化分解し、その反応生成物中の重質成分を前記懸濁床反応器に循環して水素化分解する際に、前述のような効果があるので、重金属成分を含有する石油系重質油の水素化分解方法として好適に用いることができ、経済性の向上がはかれて有用である。
本発明に係る石油系重質油の水素化分解方法を行うための装置の例を示す模式図である。 本発明に係る石油系重質油の水素化分解方法を行うための装置の例(上記図1に示す例とは別の例)を示す模式図である。
符号の説明
(1) --スラリー調整槽、(2) --予熱器、(3) --懸濁床反応器、(4) --高圧気液分離器、(5) --高圧低温気液分離器、(6) --蒸留塔1、(7) --ガス精製工程、(8) --低圧気液分離器、(9) --沈降槽、(10)--蒸留塔2。

Claims (6)

  1. 重金属成分を含有する石油系重質油を水素化分解するに際し、水素化分解のための反応器として懸濁床反応器を用いると共に触媒として鉄系触媒を用いる石油系重質油の水素化分解方法であって、下記(1) 〜(4) の工程を有することを特徴とする石油系重質油の水素化分解方法。
    (1) 前記懸濁床反応器からの反応生成物を高圧気液分離器において、圧力:前記懸濁床反応器と実質的に同圧の圧力、温度:200 〜350 ℃の条件で、気相流体と液相流体(固体を含む)とに分離する高圧気液分離工程。
    (2) 前記高圧気液分離工程にて分離された液相流体を低圧気液分離器に供給し、圧力:常圧〜1MPaG、温度:190 〜340 ℃の条件で、気相流体と液相流体(固体を含む)とに分離する低圧気液分離工程。
    (3) 前記低圧気液分離工程にて分離された液相流体を沈降式の固液分離器に供給し、圧力:常圧〜1MPaG、温度:190 〜340 ℃の条件で固体を沈降させ、該固液分離器の上部より該固液分離器内上層部の流体を抜き出す一方、該固液分離器の下部から固体成分と油成分とからなる流体を抜き出す固液分離工程。
    (4) 前記固液分離工程にて固液分離器の上部より抜き出された流体の一部または全部を前記懸濁床反応器に循環する循環工程。
  2. 前記懸濁床反応器での反応条件が、反応圧力:6〜14MPaG、反応温度:430 〜450 ℃、反応時間:30〜120 分である請求項1記載の石油系重質油の水素化分解方法。
  3. 前記鉄系触媒が石油系溶剤中で機械的に粉砕された平均粒子径2μm 以下のリモナイト鉄鉱石触媒であり、その添加量が石油系重質油の量に対して鉄成分として0.3 〜2質量%である請求項1または2記載の石油系重質油の水素化分解方法。
  4. 前記高圧気液分離工程での温度条件が温度:250 〜320 ℃である請求項1〜3のいずれかに記載の石油系重質油の水素化分解方法。
  5. 前記低圧気液分離工程での圧力および温度条件が圧力:0.3 〜0.5MPaG 、温度:245 〜315 ℃であると共に、前記固液分離工程での圧力および温度条件が圧力:0.3 〜0.5MPaG 、温度:245 〜315 ℃である請求項1〜4のいずれかに記載の石油系重質油の水素化分解方法。
  6. 前記循環工程において懸濁床反応器に循環する流体の量を、この流体中の沸点:525 ℃以上の重質油成分の量が懸濁床反応器への石油系重質油供給量に対して10〜100 質量%となる量とする請求項1〜5のいずれかに記載の石油系重質油の水素化分解方法。
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