上記目的を達成するために、この発明の一の局面による半導体レーザ素子は、第1半導体層上に形成された活性層と、活性層上に形成され、凸部と、凸部以外の平坦部とを有する第2半導体層とを備えている。そして、第2半導体層の平坦部は、少なくとも光出射側の共振器端面近傍の第1領域に位置する第1平坦部と、第1領域以外の素子の中心領域を含む第2領域に位置する第2平坦部とを含み、第2半導体層の第1平坦部の厚みは、第2半導体層の第2平坦部の厚みよりも小さい。
この一の局面による半導体レーザ素子では、上記のように、活性層上に形成される第2半導体層の凸部以外の平坦部を、少なくとも光出射側の共振器端面近傍の第1領域に位置する第1平坦部と、第1領域以外の素子の中心領域を含む第2領域に位置する第2平坦部とを含むように構成するとともに、第1平坦部の厚みを、第2平坦部の厚みよりも小さくすることによって、光出射側の共振器端面近傍の第1領域に位置する第2半導体層の凸部の下端部を、素子の中心領域を含む第2領域に位置する第2半導体層の凸部の下端部よりも活性層に近づけることができるので、その活性層に近くなるように形成された第1領域の凸部の下端部により、第1領域における水平方向の光閉じ込めを強くすることができる。これにより、レーザ光の発光スポットの水平方向の広がりを小さくすることができるので、レーザ光の水平方向の広がり角を大きくすることができる。その結果、レーザ光の形状を真円(垂直方向の広がり角/水平方向の広がり角=1)に近づけることができる。この場合、第2半導体層の凸部(リッジ部)をエッチングにより形成する際に、第2半導体層の第2領域に位置する第2平坦部の厚みが第1領域に位置する第1平坦部の厚みよりも大きくなるようにエッチングするので、第2領域の第2平坦部に加わるエッチングダメージを、第1領域の第1平坦部に加わるエッチングダメージよりも小さくすることができる。これにより、第2領域において、エッチングダメージに起因して発生する第2平坦部下の活性層の結晶欠陥の量を減少させることができる。また、第1領域の第1平坦部下に位置する活性層においても、活性層まではエッチングされないので、活性層を含む部分をエッチングすることによりリッジ部を形成する場合に比べて、エッチングダメージに起因して活性層に発生する結晶欠陥の量を減少させることができる。その結果、活性層の結晶欠陥部分に流れる発光に寄与しないリーク電流が増大するのを抑制することができる。また、活性層の結晶欠陥が少ないほど電流が流れることに起因する結晶欠陥の増殖を抑制することができる。その結果、長寿命で、かつ、高い発光効率を有する半導体レーザ素子を得ることができる。このように、一の局面による半導体レーザ素子では、長寿命で、かつ、高い発光効率を有するとともに、真円形状に近いレーザ光の形状を得ることが可能な半導体レーザ素子を得ることができる。
上記一の局面による半導体レーザ素子において、好ましくは、第1領域を流れる電流の電流密度が、第2領域を流れる電流の電流密度よりも小さくなるように構成されている。このように構成すれば、光出射側の共振器端面近傍の第1領域に位置する活性層に注入される電流を、素子の中心領域を含む第2領域に位置する活性層に流れる電流よりも減少させることができるので、第1領域の第2半導体層の第1平坦部の厚みを第2領域の第2半導体層の第2平坦部の厚みよりも小さくすることに起因して、第1領域に位置する活性層の結晶欠陥が、第2領域に位置する活性層の結晶欠陥よりも多くなったとしても、第1領域に位置する活性層の結晶欠陥部分に流れる電流を減少させることができる。これにより、活性層の結晶欠陥部分に多くの電流が流れることに起因して結晶欠陥が増大するのを抑制することができるので、素子の長寿命化を図ることができる。
この場合、好ましくは、第2半導体層上に形成され、1Ω/□以上のシート抵抗値を有する第1電極層と、第1電極層上に形成され、光出射側の端部が、光出射側の共振器端面から所定の間隔を隔てて配置された第2電極層とをさらに備える。このように構成すれば、第1電極層の光出射側の共振器端面から所定の間隔を隔てた領域にのみ、第2電極層から電流を注入することができる。また、第1電極層の光出射側の端部が共振器端面にまで達している場合、第1電極層のシート抵抗値を1Ω/□以上の大きいシート抵抗値に設定することによって、第2電極層から電流を注入する場合に、第1電極層において共振器方向(水平方向)に電流が流れにくくなるので、容易に、光出射側の共振器端面近傍の第1領域を流れる電流の電流密度を、第1領域以外の素子の中心領域を含む第2領域を流れる電流の電流密度よりも小さくすることができる。
この場合、好ましくは、第2電極層の光出射側の端部は、第1領域と第2領域との境界よりも第2領域側に配置されている。このように構成すれば、上記のように、第1電極層において共振器方向に電流を流れにくくした構成において、第2電極層の光出射側の端部と第1領域との間に所定の間隔が設けられるので、第2電極層から第1電極層を介して第1領域に電流がより注入されにくくなる。これにより、より容易に、光出射側の共振器端面近傍の第1領域を流れる電流の電流密度を、第1領域以外の素子の中心領域を含む第2領域を流れる電流の電流密度よりも小さくすることができる。
上記一の局面による半導体レーザ素子において、好ましくは、第2半導体層の第1平坦部と第2平坦部との間には、第1平坦部の上面と第2平坦部の上面とを接続するように、傾斜部が設けられている。このように構成すれば、第1平坦部と第2平坦部との間の境界面が傾斜するので、厚みの異なる第1平坦部と第2平坦部とが垂直の境界面により接続されている場合に比べて、境界面において光出射側とは反対側の共振器端面方向に光が反射されにくくなる。これにより、第1平坦部と第2平坦部との間の境界面と、光出射側とは反対側の共振器端面との間の不要なレーザ発振モードの発生を抑制することができる。これにより、高出力領域まで、高い発光効率を有するレーザ発振モード(光出射側の共振器端面と、光出射側とは反対側の共振器端面との間のレーザ発振モード)を維持することができるので、発光効率をより向上させることができる。また、第2半導体層の第1平坦部と第2平坦部との間に、第1平坦部の上面と第2平坦部の上面とを接続するように、傾斜部を設けることによって、厚みの異なる第1平坦部と第2平坦部とが垂直の境界面により接続されている場合に比べて、第1平坦部と第2平坦部との間の境界面の下端部(エッジ部)が滑らかになるので、そのエッジ部による光閉じ込めを弱くすることができる。これにより、第1平坦部と第2平坦部との間の境界面のエッジ部における光損失を抑制することができるので、これによっても、発光効率をより向上させることができる。
上記一の局面による半導体レーザ素子において、好ましくは、第2半導体層の平坦部は、光出射側とは反対側の共振器端面近傍の第3領域に位置するとともに、第2平坦部の厚みよりも小さい厚みを有する第3平坦部をさらに含む。このように構成すれば、光出射側とは反対側の共振器端面を光出射面として用いたとしても、レーザ光の形状を真円(垂直方向の広がり角/水平方向の広がり角=1)に近づけることができる。これにより、2つの共振器端面のうち、どちらの共振器端面を光出射面として用いたとしても、レーザ光の形状を真円に近づけることができる。これにより、素子を組み立てる際に、どちらの共振器端面を光出射面に設定したとしても、真円形状に近いレーザ光の形状を得ることが可能な半導体レーザ素子を作製することができる。
上記一の局面による半導体レーザ素子において、好ましくは、第1領域に位置する第2半導体層の第1平坦部の共振器方向の長さは、3μm以上50μm以下である。このように構成すれば、第1領域に位置する第2半導体層の第1平坦部の共振器方向の長さを3μm以上にすることによって、光出射側の共振器端面近傍の第1領域に位置する第1平坦部の共振器方向の長さが小さくなり過ぎることに起因して、第1領域における水平方向の光閉じ込めが不十分になるのを抑制することができる。さらに、第1領域に位置する第2半導体層の第1平坦部の共振器方向の長さを3μm以上にすることによって、劈開法を用いて素子を各チップに分離する際に、第1領域に位置する第1平坦部の共振器方向の長さが小さくなり過ぎることに起因して、素子が素子の中心領域を含む第2領域において分離されるのを抑制することができる。また、第1領域に位置する第2半導体層の第1平坦部の共振器方向の長さを50μm以下にすることによって、第2領域よりもエッチングダメージが大きい第1領域に位置する第1平坦部の共振器方向の長さが大きくなり過ぎることに起因して、活性層に導入される結晶欠陥が多くなるのを抑制することができる。
上記一の局面による半導体レーザ素子において、好ましくは、第2領域に位置する第2半導体層の第2平坦部の厚みは、100nm以上250nm以下である。このように構成すれば、第2領域に位置する第2半導体層の第2平坦部の厚みを100nm以上にすることによって、素子の中心領域を含む第2領域に位置する第2平坦部の厚みを小さくし過ぎることに起因して、第2平坦部に加わるエッチングダメージが大きくなるのを抑制することができるので、第2平坦部下に位置する活性層に発生する結晶欠陥の量を減少させることができる。これにより、活性層の結晶欠陥部分による光吸収の増大をより抑制することができるので、発光効率をより向上させることができる。また、結晶欠陥の増殖を抑制することができるので、素子寿命をより向上させることができる。また、第2領域に位置する第2半導体層の第2平坦部の厚みを250nm以下にすることによって、第2領域に位置する第2平坦部の厚みを大きくし過ぎることに起因して、しきい値電流が増大するのを抑制することができるので、消費電力が増大するのを抑制することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の構造を示した斜視図である。図2および図3は、それぞれ、図1の100−100線および200−200線に沿った断面図である。まず、図1〜図3を参照して、第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の構造について説明する。なお、第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の幅Wは、約300μmであり、共振器の長さLは、約600μmである。
第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子では、図1に示すように、n型GaN基板1上に、約1.5μmの厚みを有するn型AlGaN(Al組成比:7%)からなるn側クラッド層2が形成されている。なお、n側クラッド層2は、本発明の「第1半導体層」の一例である。n側クラッド層2上には、活性層(発光層)3が形成されている。この活性層3は、約3nmの厚みを有するアンドープのInGaN(In組成比:15%)からなる3つの井戸層と、約20nmの厚みを有するアンドープのInGaN(In組成比:2%)からなる3つの障壁層とが交互に積層された多重量子井戸(MQW)構造を有する。また、活性層3上には、p側クラッド層4が形成されている。このp側クラッド層4は、活性層3側から順に、光ガイド層(図示せず)、キャップ層(図示せず)およびp型AlGaN層(図示せず)によって構成されている。p側クラッド層4を構成する光ガイド層は、約75nmの厚みを有するアンドープのInGaN(In組成比:1%)からなるとともに、キャップ層は、約20nmの厚みを有するアンドープのAlGaN(Al組成比:20%)からなる。また、p型AlGaN層は、Mgがドープされるとともに、7%のAl組成比を有する。このp側クラッド層4は、約1.5μmの幅を有するとともに、共振器方向に延びるストライプ状(細長状)の凸部を有する。なお、p側クラッド層4は、本発明の「第2半導体層」の一例である。
ここで、第1実施形態では、p側クラッド層4の凸部以外の平坦部4aおよび4bは、光出射側の共振器端面10a近傍の領域A1と、領域A1以外の素子の中心領域を含む領域B1とで異なる厚みを有する。具体的には、領域A1では、図2に示すように、活性層3の上面からp側クラッド層4までの平坦部4aの厚みtA1は、約100nmであり、凸部の平坦部4aの上面からの高さは、約400nmである。また、領域B1では、図3に示すように、p側クラッド層4の平坦部4bの厚みtB1は、約150nmであり、凸部の平坦部4bの上面からの高さは、約350nmである。すなわち、領域A1の平坦部4aの厚みtA1は、領域B1の平坦部4bの厚みtB1よりも小さい。なお、領域A1およびB1は、それぞれ、本発明の「第1領域」および「第2領域」の一例であり、平坦部4aおよび4bは、それぞれ、本発明の「第1平坦部」および「第2平坦部」の一例である。また、領域A1の共振器方向の長さは、約10μmであり、領域B1の共振器方向の長さは、約590μmである。
また、図1に示すように、p側クラッド層4の凸部上には、約3nmの厚みを有するアンドープのInGaN(In組成比:7%)からなるコンタクト層5が形成されている。なお、コンタクト層5は、本発明の「第2半導体層」の一例である。このコンタクト層5とp側クラッド層4の凸部とによって、約1.5μmの幅を有するとともに、共振器方向に延びるストライプ状(細長状)のリッジ部6が構成されている。また、p側クラッド層4の平坦部4aおよび4bの上面と、リッジ部6の側面上とには、約200nmの厚みを有するSiO2膜からなる電流ブロック層7が形成されている。また、リッジ部6を構成するコンタクト層5上には、p側オーミック電極8が形成されている。このp側オーミック電極8は、コンタクト層5側から順に、約1nmの厚みを有するPt層(図示せず)、約100nmの厚みを有するPd層(図示せず)および約100nmの厚みを有するAu層(図示せず)によって構成されている。
また、n型GaN基板1の裏面上の所定領域には、n側オーミック電極9が形成されている。このn側オーミック電極9は、n型GaN基板1側から順に、約6nmの厚みを有するAl層(図示せず)、約10nmの厚みを有するPd層(図示せず)および約300nmの厚みを有するAu層(図示せず)によって構成されている。
そして、第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子では、活性層3で生成された光が共振器端面10aおよび10bで反射することによりレーザ発振する。
図4は、光出射側の共振器端面近傍の領域の共振器方向の長さを5段階(0μm、約3μm、約10μm、約50μmおよび約200μm)に変化させた場合のレーザ光の水平方向の広がり角を示したグラフである。次に、図4を参照して、第1実施形態の窒化物系半導体レーザ素子の構成において、領域A1(光出射側の共振器端面近傍の領域)の共振器方向の長さを変化させてレーザ光の水平方向の広がり角θ2を測定した結果について説明する。
図4に示すように、領域A1の共振器方向の長さが約3μm以上の場合には、レーザ光の水平方向の広がり角θ2が約8°以上と大きくなることが判明した。具体的には、領域A1の共振器方向の長さが約3μm、約10μm、約50μmおよび約200μmの場合のレーザ光の水平方向の広がり角θ2は、それぞれ、約8°、約10°、約11.3°および約11.5°であった。その一方、領域A1の共振器方向の長さが0μmの場合には、レーザ光の水平方向の広がり角θ2が約6°と小さくなることが判明した。領域A1の共振器方向の長さが0μmの場合にレーザ光の水平方向の広がり角θ2が小さくなったのは、領域A1に位置する平坦部4aの共振器方向の長さが0になることに起因して、領域A1における水平方向の光閉じ込めが不十分になったためであると考えられる。このため、レーザ光の水平方向の広がり角θ2を約8°以上に大きくするためには、領域A1の共振器方向の長さを約3μm以上に設定するのが好ましいと考えられる。なお、領域A1に位置する平坦部4aの共振器方向の長さが小さい場合には、劈開法を用いて素子を各チップに分離する際に、素子が素子の中心領域を含む領域B1から分離される場合があるので、この点でも、領域A1の共振器方向の長さを約3μm以上に設定するのが好ましいと考えられる。
また、領域A1の共振器方向の長さが約50μmの場合と約200μmの場合とでは、レーザ光の水平方向の広がり角θ2がほとんど変化しないことが判明した。ここで、領域A1の共振器方向の長さを大きくし過ぎれば、領域B1の平坦部4bよりも小さい厚みを有する領域A1の平坦部4aの共振器方向の長さが大きくなることになる。この場合、p側クラッド層4の凸部をエッチングにより形成する際に、p側クラッド層4におけるエッチング量が大きくなる。これにより、p側クラッド層4に加わるエッチングダメージが大きくなるので、p側クラッド層4下に位置する活性層3に発生する結晶欠陥の量が増大する。したがって、領域A1の共振器方向の長さは、約50μm以下に設定するのが好ましいと考えられる。これらの結果から、領域A1の共振器方向の長さは、約3μm以上約50μm以下に設定するのが好ましい。
ここで、第1実施形態では、領域A1の共振器方向の長さが約10μmに設定されているので、p側クラッド層4に加わるエッチングダメージが大きくなるのを抑制しながら、レーザ光の水平方向の広がり角θ2を大きくすることができると考えられる。
次に、第1実施形態の窒化物系半導体レーザ素子の構成において、p側クラッド層4の領域B1に位置する平坦部4bの厚みtB1を5段階(約70nm、約100nm、約150nm、約250nmおよび約300nm)に変化させて発光効率およびしきい値電流を測定した結果を、以下の表1に示す。
上記表1を参照して、p側クラッド層4の領域B1に位置する平坦部4bの厚みtB1が約100nm以上約250nm以下の場合には、発光効率が約1.3W/A以上と高く、かつ、しきい値電流が約53mA以下と低くなることが判明した。具体的には、p側クラッド層4の領域B1に位置する平坦部4bの厚みtB1が約100nm、約150nmおよび約250nmの場合の発光効率は、それぞれ、約1.3W/A、約1.5W/Aおよび約1.4W/Aであり、しきい値電流は、それぞれ、約32mA、約30mAおよび約53mAであった。
その一方、p側クラッド層4の領域B1に位置する平坦部4bの厚みtB1が約70nmの場合では、しきい値電流が約35mAと低くなる一方、発光効率が約0.6W/Aと低くなることが判明した。これは、領域B1に位置するp側クラッド層4の平坦部4bの厚みtB1を小さくしすぎることに起因して、p側クラッド層4に加わるエッチングダメージが大きくなったためであると考えられる。これにより、p側クラッド層4下に位置する活性層3に発生する結晶欠陥の量が増大することにより、活性層3の結晶欠陥部分による光吸収が増大するので、発光効率が低下したと考えられる。また、p側クラッド層4の領域B1に位置する平坦部4bの厚みtB1が約300nmの場合では、発光効率が約1.3W/Aと高くなる一方、しきい値電流が約105mAと高くなることが判明した。
これらの結果から、p側クラッド層4の領域B1に位置する平坦部4bの厚みtB1を約100nm以上約250nm以下に設定すれば、発光効率を高くすることができ、かつ、しきい値電流を低くすることができると考えられる。
ここで、第1実施形態では、p側クラッド層4の領域B1に位置する平坦部4bの厚みtB1が約150nmに設定されているので、発光効率を高くすることができ、かつ、しきい値電流を低くすることができると考えられる。
第1実施形態では、上記のように、光出射側の共振器端面10a近傍の領域A1に位置する平坦部4aの厚みtA1(約100nm)を、領域A1以外の素子の中心領域を含む領域B1に位置する平坦部4bの厚みtB1(約150nm)よりも小さくすることによって、光出射側の共振器端面10a近傍の領域A1に位置するp側クラッド層4の凸部の下端部を、素子の中心領域を含む領域B1に位置するp側クラッド層4の凸部の下端部よりも活性層3に近づけることができるので、その活性層3に近くなるように形成された領域A1の凸部の下端部により、領域A1における水平方向の光閉じ込めを強くすることができる。これにより、レーザ光の発光スポットの水平方向の広がりを小さくすることができるので、レーザ光の水平方向の広がり角θ2を大きくすることができる。その結果、レーザ光の形状を真円(垂直方向の広がり角θ1/水平方向の広がり角θ2=1)に近づけることができる。この場合、p側クラッド層4の凸部(リッジ部6)をエッチングにより形成する際に、p側クラッド層4の領域B1に位置する平坦部4bの厚みtB1(約150nm)が領域A1に位置する平坦部4aの厚みtA1(約100nm)よりも大きくなるようにエッチングするので、領域B1の平坦部4bに加わるエッチングダメージを、領域A1の平坦部4aに加わるエッチングダメージよりも小さくすることができる。これにより、領域B1において、エッチングダメージに起因して発生する平坦部4b下の活性層3の結晶欠陥の量を減少させることができる。また、領域A1の平坦部4a下に位置する活性層3においても、活性層3まではエッチングしないので、活性層3を含む部分をエッチングすることによりリッジ部6を形成する場合に比べて、エッチングダメージに起因して活性層3に発生する結晶欠陥の量を減少させることができる。その結果、活性層3の結晶欠陥部分による光吸収の増大を抑制することができるので、高い発光効率を有する窒化物系半導体レーザ素子を得ることができる。また、結晶欠陥の増殖を抑制することができるので、高い信頼性を有する高寿命の素子を得ることができる。このように、第1実施形態では、高い発光効率を有し、かつ、真円形状に近いレーザ光の形状を得ることが可能な窒化物系半導体レーザ素子を得ることができる。
また、第1実施形態では、光出射側の共振器端面10a近傍の領域A1に位置する平坦部4aの共振器方向の長さを、約10μmに設定することによって、領域A1に位置する平坦部4aの共振器方向の長さが小さくなり過ぎることに起因して、領域A1における水平方向の光閉じ込めが不十分になるのを抑制することができる。さらに、劈開法を用いて素子を各チップに分離する際に、領域A1に位置する平坦部4aの共振器方向の長さが小さくなり過ぎることに起因して、素子が素子の中心領域を含む領域B1において分離される素子作製不良を抑制することができる。また、領域B1よりもエッチングダメージが大きい領域A1に位置する平坦部4aの共振器方向の長さが大きくなり過ぎることに起因して、活性層3に導入される結晶欠陥が多くなるのを抑制することができる。
また、第1実施形態では、p側クラッド層4の領域B1に位置する平坦部4bの厚みtB1を、約150nmに設定することによって、領域B1に位置する平坦部4bの厚みtB1を小さくし過ぎることに起因して、平坦部4bに加わるエッチングダメージが大きくなるのを抑制することができるので、平坦部4b下に位置する活性層3に発生する結晶欠陥の量を減少させることができる。これにより、活性層3の結晶欠陥部分による光吸収の増大をより減少させることができるので、発光効率をより向上させることができる。また、領域B1に位置する平坦部4bの厚みtB1を大きくし過ぎることに起因して、しきい値電流が増大するのを抑制することができるので、消費電力が増大するのを抑制することができる。
図5〜図11は、図1に示した第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための斜視図である。次に、図1および図5〜図11を参照して、第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスについて説明する。
まず、図5に示すように、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法を用いて、n型GaN基板1上に、約1.5μmの厚みを有するn型AlGaNからなるn側クラッド層2および活性層3を順次成長させる。なお、活性層3を成長させる際には、まず、約3nmの厚みを有するアンドープのInGaNからなる3つの井戸層(図示せず)と、約20nmの厚みを有するアンドープのInGaNからなる3つの障壁層(図示せず)とを交互に成長させることにより、MQW構造の多層膜を形成する。これにより、3つの井戸層および3つの障壁層からなるMQW構造を有する多層膜より構成される活性層3が形成される。次に、活性層3上に、約75nmの厚みを有するアンドープのInGaNからなる光ガイド層(図示せず)、約20nmの厚みを有するアンドープのAlGaNからなるキャップ層(図示せず)および約500nmの厚みを有するMgがドープされたp型AlGaN層(図示せず)を順次成長させる。これにより、光ガイド層、キャップ層およびp型AlGaN層より構成されるp側クラッド層4が形成される。この後、p側クラッド層4上に、約3nmの厚みを有するアンドープのInGaNからなるコンタクト層5を成長させる。
この後、真空蒸着法などを用いて、コンタクト層5上に、約1nmの厚みを有するPt層(図示せず)、約100nmの厚みを有するPd層(図示せず)および約100nmの厚みを有するAu層(図示せず)を順次形成する。これにより、Pt層、Pd層およびAu層によって構成されるp側オーミック電極8が形成される。
次に、図6に示すように、p側オーミック電極8上のリッジ部6(図1参照)の形成領域に、レジスト11を形成する。
次に、図7に示すように、CF4系ガスによるRIE(Reactive Ion Etching)法を用いて、レジスト11をマスクとして、p側オーミック電極8の所定領域を除去する。続いて、Cl2系ガスによるRIE法を用いて、レジスト11をマスクとして、コンタクト層5の上面からp側クラッド層4の途中の深さ(p側クラッド層4の上面から約350nmの深さ)までの所定領域を除去する。この後、レジスト11を除去する。
次に、図8に示すように、素子の中心領域を含む領域B1に位置するp側クラッド層4、コンタクト層5およびp側オーミック電極8のみを覆うように、レジスト12を形成する。
次に、図9に示すように、Cl2系ガスによるRIE法を用いて、レジスト12および領域A1に位置するp側オーミック電極8をマスクとして、p側クラッド層4の平坦部4bの上面から約50nmの深さまでの所定領域を除去する。これにより、p側クラッド層4の凸部以外の平坦部4aおよび4bは、光出射側の共振器端面10a(図1参照)近傍の領域A1と、領域A1以外の素子の中心領域を含む領域B1とで異なる厚みとなる。具体的には、領域A1では、p側クラッド層4の平坦部4aの厚みtA1が約100nmとなり、凸部の平坦部4aの上面からの高さが約400nmとなる。その一方、領域B1では、p側クラッド層4の平坦部4bの厚みtB1が約150nmとなり、凸部の平坦部4bの上面からの高さが約350nmとなる。これにより、p側クラッド層4の凸部とコンタクト層5とによって構成されるリッジ部6が形成される。この後、レジスト12を除去することによって、図10に示す状態にする。
次に、図11に示すように、プラズマCVD法を用いて、全面を覆うように、約200nmの厚みを有するSiO2膜(図示せず)を形成した後、p側オーミック電極8の上面および側面上に位置するSiO2膜を除去することによって、SiO2膜からなる電流ブロック層7を形成する。
最後に、図1に示したように、真空蒸着法などを用いて、n型GaN基板1の裏面上の所定領域に、約6nmの厚みを有するAl層(図示せず)、約10nmの厚みを有するPd層(図示せず)および約300nmの厚みを有するAu層(図示せず)を順次形成する。これにより、Al層、Pd層およびAu層によって構成されるn側オーミック電極9が形成される。このようにして、第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子が形成される。
次に、上記の製造プロセスに沿って実際に作製した第1実施形態による窒化物系半導体レーザ素子について、レーザ光の広がり角および発光効率を調べた結果について説明する。この第1実施形態では、レーザ光の垂直方向の広がり角θ1および水平方向の広がり角θ2が、それぞれ、約18°および約10°になることが判明した。すなわち、θ1/θ2=約1.8となり、レーザ光の形状が真円(θ1/θ2=1)に近づくことが確認できた。また、発光効率が約1.5W/Aとなり、高い発光効率を得られることが確認できた。
(第2実施形態)
図12は、本発明の第2実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の構造を示した斜視図である。図13および図14は、それぞれ、図12の300−300線および400−400線に沿った断面図である。図12〜図14を参照して、この第2実施形態では、上記第1実施形態と異なり、p側オーミック電極に接触するように、光出射側の共振器端面近傍の領域以外の素子の中心領域を含む領域にp側パッド電極を形成し、かつ、p側オーミック電極の厚みを第1実施形態よりも小さくすることにより、p側オーミック電極のシート抵抗値を約10Ω/□にする場合について説明する。なお、第2実施形態による窒化物系半導体レーザ素子は、上記第1実施形態と同様、約300μmの幅Wと、約600μmの共振器の長さLとを有する。
この第2実施形態による窒化物系半導体レーザ素子では、図12に示すように、n型GaN基板1上に、上記第1実施形態と同様の組成および厚みを有するn側クラッド層2および活性層3が順次形成されている。活性層3上には、上記第1実施形態のp側クラッド層4と同様の組成を有するp側クラッド層24が形成されている。このp側クラッド層24は、約1.5μmの幅を有するとともに、共振器方向に延びるストライプ状(細長状)の凸部を有する。なお、p側クラッド層24は、本発明の「第2半導体層」の一例である。
ここで、第2実施形態では、p側クラッド層24の凸部以外の平坦部24aおよび24bは、光出射側の共振器端面20a近傍の領域A2と、領域A2以外の素子の中心領域を含む領域B2とで異なる厚みを有する。具体的には、領域A2では、図13に示すように、p側クラッド層24の平坦部24aの厚みtA2は、約60nmであり、凸部の平坦部24aの上面からの高さは、約440nmである。また、領域B2では、図14に示すように、p側クラッド層24の平坦部24bの厚みtB2は、約150nmであり、凸部の平坦部24bの上面からの高さは、約350nmである。すなわち、領域A2の平坦部24aの厚みtA2(約60nm)は、領域B2の平坦部24bの厚みtB2(約150nm)よりも小さい。なお、領域A2およびB2は、それぞれ、本発明の「第1領域」および「第2領域」の一例であり、平坦部24aおよび24bは、それぞれ、本発明の「第1平坦部」および「第2平坦部」の一例である。また、領域A2の共振器方向の長さは、約10μmであり、領域B2の共振器方向の長さは、約590μmである。
また、図12に示すように、p側クラッド層24の凸部上には、上記第1実施形態のコンタクト層5と同様の組成および厚みを有するコンタクト層25が形成されている。なお、コンタクト層25は、本発明の「第2半導体層」の一例である。このコンタクト層25とp側クラッド層24の凸部とによって、約1.5μmの幅を有するとともに、共振器方向に延びるストライプ状(細長状)のリッジ部26が構成されている。また、p側クラッド層24の平坦部24aおよび24bの上面と、リッジ部26の側面上とには、上記第1実施形態の電流ブロック層7と同様の組成および厚みを有する電流ブロック層27が形成されている。
ここで、第2実施形態では、リッジ部26を構成するコンタクト層25上に、約10Ω/□のシート抵抗値を有するように厚みが設定されたp側オーミック電極28が形成されている。このp側オーミック電極28は、コンタクト層25側から順に、約1nmの厚みを有するPt層(図示せず)および約10nmの厚みを有するPd層によって構成されている。なお、p側オーミック電極28は、本発明の「第1電極層」の一例である。また、第2実施形態では、p側オーミック電極28に接触するように、光出射側の共振器端面20a近傍の領域A2以外の素子の中心領域を含む領域B2にp側パッド電極30が形成されている。具体的には、p側パッド電極30の光出射側の端部30aは、光出射側の共振器端面20a近傍の領域A2から約10μmの間隔L2を隔てて配置されている。なお、p側パッド電極30は、p側オーミック電極28側から順に、約100nmの厚みを有するTi層(図示せず)、約200nmの厚みを有するPd層(図示せず)および約3μmの厚みを有するAu層(図示せず)によって構成されている。なお、p側パッド電極30は、本発明の「第2電極層」の一例である。
また、n型GaN基板1の裏面上の所定領域には、上記第1実施形態と同様の組成および厚みを有するn側オーミック電極9が形成されている。
そして、第2実施形態による窒化物系半導体レーザ素子では、活性層3で生成された光が共振器端面20aおよび20bで反射することによりレーザ発振する。
次に、第2実施形態の窒化物系半導体レーザ素子の構成において、p側オーミック電極28のシート抵抗値を3段階(約10Ω/□、約1Ω/□および約0.1Ω/□)に変化させてMTTF(Mean Time To Failure:平均故障時間)を測定した結果を、以下の表2に示す。
上記表2を参照して、p側オーミック電極28のシート抵抗値が約10Ω/□および約1Ω/□の場合では、それぞれ、MTTFが約5000時間および約4000時間と長くなることが判明した。これは、p側オーミック電極28において共振器方向(水平方向)に電流が流れにくくなったために、素子の中心領域を含む領域B2よりも結晶欠陥の量が多い領域A2に流れる電流を減少させることができたためであると考えられる。これにより、領域A2に位置する活性層3の結晶欠陥部分に電流が流れることに起因する結晶欠陥の増大が抑制されたので、MTTFが約4000時間以上と長くなったと考えられる。その一方、p側オーミック電極28のシート抵抗値が約0.1Ω/□の場合では、MTTFが約700時間と短くなることが判明した。この結果から、p側オーミック電極28のシート抵抗値を約1Ω/□以上に設定すれば、MTTFを約4000時間以上に長くすることができると考えられる。
第2実施形態では、上記のように、光出射側の共振器端面20a近傍の領域A2に位置する平坦部24aの厚みtA2(約60nm)を、領域A2以外の素子の中心領域を含む領域B2に位置する平坦部24bの厚みtB2(約150nm)よりも小さくすることによって、上記第1実施形態と同様、光出射側の共振器端面20a近傍の領域A2における水平方向の光閉じ込めを強くすることができる。これにより、レーザ光の発光スポットの水平方向の広がりを小さくすることができるので、レーザ光の水平方向の広がり角θ2を大きくすることができる。その結果、上記第1実施形態と同様、レーザ光の形状を真円に近づけることができる。この場合、p側クラッド層24の凸部(リッジ部26)をエッチングにより形成する際に、p側クラッド層24の領域B2に位置する平坦部24bの厚みtB2(約150nm)が領域A2に位置する平坦部24aの厚みtA2(約60nm)よりも大きくなるようにエッチングするとともに、活性層3を含む部分をエッチングしないので、上記第1実施形態と同様、活性層3の結晶欠陥の量を減少させることができる。その結果、上記第1実施形態と同様、活性層3の結晶欠陥部分による光吸収の増大を抑制することができるので、高い発光効率を有する窒化物系半導体レーザ素子を得ることができる。このように、第2実施形態では、上記第1実施形態と同様、高い発光効率を有し、かつ、真円形状に近いレーザ光の形状を得ることが可能な窒化物系半導体レーザ素子を得ることができる。
また、第2実施形態では、p側オーミック電極28に接触するように、光出射側の共振器端面20a近傍の領域A2以外の素子の中心領域を含む領域B2にp側パッド電極30を形成することによって、p側オーミック電極28の光出射側の共振器端面20a近傍の領域A2にのみ、p側パッド電極30から電流を注入することができる。また、p側オーミック電極28のシート抵抗値を約10Ω/□に設定することによって、p側パッド電極30から電流を注入する場合に、p側オーミック電極28において共振器方向(水平方向)に電流が流れにくくなるので、光出射側の共振器端面20a近傍の領域A2を流れる電流の電流密度を、領域A2以外の素子の中心領域を含む領域B2を流れる電流の電流密度よりも小さくすることができる。これにより、領域A2に位置する活性層3の結晶欠陥が、領域B2に位置する活性層3の結晶欠陥よりも多くなったとしても、領域A2に位置する活性層3の結晶欠陥部分に流れる電流を減少させることができる。その結果、活性層3の結晶欠陥部分に多くの電流が流れることに起因して結晶欠陥が増大するのを抑制することができるので、素子の長寿命化を図ることができる。また、p側パッド電極30の光出射側の端部30aを、光出射側の共振器端面20a近傍の領域A2から約10μmの間隔L2を隔てて配置することによって、容易に、光出射側の共振器端面20a近傍の領域A2を流れる電流の電流密度を、領域A2以外の素子の中心領域を含む領域B2を流れる電流の電流密度よりもより小さくすることができる。具体的には、約10μmの長さを有するp側オーミック電極28の抵抗値は、約70Ωであり、素子の直列抵抗値(約15Ω)よりも大きくなる。このため、p側パッド電極30の端部30aと領域A2との間に位置するp側オーミック電極28において、p側パッド電極30の端部30aから領域Aに向かって電流を流れにくくすることができる。
また、第2実施形態の光出射側の共振器端面20a近傍の領域A2において、p側クラッド層24は、p型AlGaN層が全てエッチングされているとともに、光ガイド層も途中の深さまでがエッチングされている。このようにエッチング深さが大きくなったとしても、エッチング深さが活性層3にまで達していなければ、上記した効果を得ることができる。
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
次に、図12を参照して、第2実施形態の製造プロセスとしては、まず、図5〜図11に示した第1実施形態と同様のプロセスを用いて、電流ブロック層27までを形成する。ただし、p側オーミック電極28を形成する際には、コンタクト層25側から順に、約1nmの厚みを有するPt層(図示せず)および約10nmの厚みを有するPd層を順次形成する。この後、真空蒸着法などを用いて、p側オーミック電極28に接触するように、素子の中心領域を含む領域B2にp側パッド電極30を形成する。具体的には、p側パッド電極30の光出射側の端部30aが、光出射側の共振器端面20a近傍の領域A2から約10μmの間隔L2を隔てて配置されるように、p側パッド電極30を形成する。なお、p側パッド電極30を形成する際には、p側オーミック電極28側から順に、約100nmの厚みを有するTi層(図示せず)、約200nmの厚みを有するPd層(図示せず)および約3μmの厚みを有するAu層(図示せず)を順次形成する。
最後に、真空蒸着法などを用いて、n型GaN基板1の裏面上の所定領域に、上記第1実施形態と同様の組成および厚みを有するn側オーミック電極9を形成する。このようにして、第2実施形態による窒化物系半導体レーザ素子が形成される。
次に、上記の製造プロセスに沿って実際に作製した第2実施形態による窒化物系半導体レーザ素子について、レーザ光の広がり角および発光効率を調べた結果について説明する。この第2実施形態では、レーザ光の垂直方向の広がり角θ1および水平方向の広がり角θ2が、それぞれ、約18°および約13°になることが判明した。すなわち、θ1/θ2=約1.4となり、上記第1実施形態よりもレーザ光の形状が真円(θ1/θ2=1)に近づくことが確認できた。また、発光効率が約1.5W/Aとなり、上記第1実施形態と同様、高い発光効率を得られることが確認できた。
(第3実施形態)
図15は、本発明の第3実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の構造を示した斜視図である。図16および図17は、それぞれ、図15の500−500線および600−600線に沿った断面図である。図15〜図17を参照して、この第3実施形態では、上記第1および第2実施形態と異なり、厚みの異なるp側クラッド層の平坦部のそれぞれの上面を接続するように、傾斜部を設ける場合について説明する。なお、第3実施形態による窒化物系半導体レーザ素子は、上記第1実施形態と同様、約300μmの幅Wと、約600μmの共振器の長さLとを有する。
この第3実施形態による窒化物系半導体レーザ素子では、図15に示すように、n型GaN基板1上に、上記第1実施形態と同様の組成および厚みを有するn側クラッド層2および活性層3が順次形成されている。活性層3上には、上記第1実施形態のp側クラッド層4と同様の組成を有するp側クラッド層44が形成されている。このp側クラッド層44は、約1.5μmの幅を有するとともに、共振器方向に延びるストライプ状(細長状)の凸部を有する。なお、p側クラッド層44は、本発明の「第2半導体層」の一例である。
ここで、第3実施形態では、p側クラッド層44の凸部以外の平坦部44aおよび44bは、光出射側の共振器端面40a近傍の領域A3と、領域A3以外の素子の中心領域を含む領域B3とで異なる厚みを有する。具体的には、領域A3では、図16に示すように、p側クラッド層44の平坦部44aの厚みtA3は、約100nmであり、凸部の平坦部44aの上面からの高さは、約400nmである。また、領域B3では、図17に示すように、p側クラッド層44の平坦部44bの厚みtB3は、約150nmであり、凸部の平坦部44bの上面からの高さは、約350nmである。なお、領域A3およびB3は、それぞれ、本発明の「第1領域」および「第2領域」の一例であり、平坦部44aおよび44bは、それぞれ、本発明の「第1平坦部」および「第2平坦部」の一例である。また、領域A3の共振器方向の長さは、約10μmであり、領域B3の共振器方向の長さは、約590μmである。また、第3実施形態では、図15に示すように、p側クラッド層44の平坦部44aと平坦部44bとの間に、平坦部44aの上面と平坦部44bの上面とを接続するように、約60°の傾斜角度を有する傾斜部44cが設けられている。
また、p側クラッド層44の凸部上には、上記第1実施形態のコンタクト層5と同様の組成および厚みを有するコンタクト層45が形成されている。なお、コンタクト層45は、本発明の「第2半導体層」の一例である。このコンタクト層45とp側クラッド層44の凸部とによって、約1.5μmの幅を有するとともに、共振器方向に延びるストライプ状(細長状)のリッジ部46が構成されている。また、p側クラッド層44の平坦部44aおよび44bの上面と、リッジ部46の側面上とには、上記第1実施形態の電流ブロック層7と同様の組成および厚みを有する電流ブロック層47が形成されている。また、リッジ部46を構成するコンタクト層45上には、上記第1実施形態と同様の組成および厚みを有するp側オーミック電極48が形成されている。
また、n型GaN基板1の裏面上の所定領域には、上記第1実施形態と同様の組成および厚みを有するn側オーミック電極9が形成されている。
そして、第3実施形態による窒化物系半導体レーザ素子では、活性層3で生成された光が共振器端面40aおよび40bで反射することによりレーザ発振する。
第3実施形態では、上記のように、光出射側の共振器端面40a近傍の領域A3に位置する平坦部44aの厚みtA3(約100nm)を、領域A3以外の素子の中心領域を含む領域B3に位置する平坦部44bの厚みtB3(約150nm)よりも小さくすることによって、上記第1実施形態と同様、光出射側の共振器端面40a近傍の領域A3における水平方向の光閉じ込めを強くすることができる。これにより、レーザ光の発光スポットの水平方向の広がりを小さくすることができるので、レーザ光の水平方向の広がり角θ2を大きくすることができる。その結果、上記第1実施形態と同様、レーザ光の形状を真円に近づけることができる。この場合、p側クラッド層44の凸部(リッジ部46)をエッチングにより形成する際に、p側クラッド層44の領域B3に位置する平坦部44bの厚みtB3(約150nm)が領域A3に位置する平坦部44aの厚みtA3(約100nm)よりも大きくなるようにエッチングするとともに、活性層3を含む部分をエッチングしないので、上記第1実施形態と同様、活性層3の結晶欠陥の量を減少させることができる。その結果、上記第1実施形態と同様、活性層3の結晶欠陥部分による光吸収の増大を抑制することができるので、高い発光効率を有する窒化物系半導体レーザ素子を得ることができる。このように、第3実施形態では、上記第1実施形態と同様、高い発光効率を有し、かつ、真円形状に近いレーザ光の形状を得ることが可能な窒化物系半導体レーザ素子を得ることができる。
また、第3実施形態では、p側クラッド層44の平坦部44aと平坦部44bとの間に、平坦部44aの上面と平坦部44bの上面とを接続するように、約60°の傾斜角度を有する傾斜部44cを設けることによって、平坦部44aと平坦部44bとの間の境界面が傾斜するので、厚みの異なる平坦部44aと平坦部44bとが垂直の境界面により接続されている場合に比べて、境界面において光出射側とは反対側の共振器端面40b方向に光が反射されにくくなる。これにより、平坦部44aと平坦部44bとの間の境界面と、光出射側とは反対側の共振器端面40aとの間の不要なレーザ発振モードの発生を抑制することができる。これにより、高出力領域まで、高い発光効率を有するレーザ発振モード(光出射側の共振器端面40aと、光出射側とは反対側の共振器端面40bとの間のレーザ発振モード)を維持することができるので、発光効率をより向上させることができる。また、厚みの異なる平坦部44aと平坦部44bとが垂直の境界面により接続されている場合に比べて、平坦部44aと平坦部44bとの間の境界面の下端部(エッジ部)が滑らかになる。これにより、平坦部44aと平坦部44bとの間の境界面のエッジ部における光損失を抑制することができるので、これによっても、発光効率をより向上させることができる。
なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
図18〜図20は、図15に示した第3実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための斜視図である。次に、図15および図18〜図20を参照して、第3実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスについて説明する。
まず、図18に示すように、図5〜図7に示した第1実施形態と同様のプロセスを用いて、p側オーミック電極48、コンタクト層45およびp側クラッド層44の所定領域をエッチングすることにより、p側クラッド層44の凸部までを形成する。この後、素子の中心領域を含む領域B3に位置するp側クラッド層44、コンタクト層45およびp側オーミック電極48のみを覆うように、レジスト51を形成する。この際、露光条件などを制御することによって、光出射側の共振器端面40a(図15参照)近傍の領域A3と、素子の中心領域を含む領域B3との境界に位置するレジスト51の面51aが、エッチング後の傾斜角度が約60°になるような傾斜角度を有するように、レジスト51を形成する。
次に、図19に示すように、Cl2系ガスによるRIE法を用いて、領域A3に位置するp側オーミック電極48をマスクとして、p側クラッド層44の領域A3に位置する平坦部44aの厚みtA3が約100nmになるまで、レジスト51とp側クラッド層44とを同時にエッチングする。これにより、p側クラッド層44の凸部以外の平坦部44aおよび44bは、光出射側の共振器端面40a(図15参照)近傍の領域A3と、領域A3以外の素子の中心領域を含む領域B3とで異なる厚みとなる。具体的には、領域A3では、p側クラッド層44の平坦部44aの厚みtA3が約100nmとなり、凸部の平坦部44aの上面からの高さが約400nmとなる。その一方、領域B3では、p側クラッド層44の平坦部44bの厚みtB3が約150nmとなり、凸部の平坦部44bの上面からの高さが約350nmとなる。また、p側クラッド層44の平坦部44aと平坦部44bとの間には、平坦部44aの上面と平坦部44bの上面とを接続するように、約60°の傾斜角度を有する傾斜部44cが設けられる。これにより、p側クラッド層44の凸部とコンタクト層45とによって構成されるリッジ部46が形成される。この後、レジスト51を除去することによって、図20に示す状態にする。
次に、図15に示したように、図11に示した第1実施形態と同様のプロセスを用いて、p側クラッド層44の平坦部44aおよび44bの上面と、リッジ部46の側面上とに、上記第1実施形態の電流ブロック層7と同様の組成および厚みを有する電流ブロック層47を形成する。
最後に、真空蒸着法などを用いて、n型GaN基板1の裏面上の所定領域に、上記第1実施形態と同様の組成および厚みを有するn側オーミック電極9を形成する。このようにして、第3実施形態による窒化物系半導体レーザ素子が形成される。
(第4実施形態)
図21は、本発明の第4実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の構造を示した斜視図である。図22は、図21の700−700線および900−900線に沿った断面図であり、図23は、図21の800−800線に沿った断面図である。図21〜図23を参照して、この第4実施形態では、上記第1〜第3実施形態と異なり、p側クラッド層において、光出射側とは反対側の共振器端面近傍の領域にも、素子の中心領域を含む領域に位置する平坦部の厚みよりも小さい厚みを有する平坦部を設ける場合について説明する。なお、第4実施形態による窒化物系半導体レーザ素子は、上記第1実施形態と同様、約300μmの幅Wと、約600μmの共振器の長さLとを有する。
この第4実施形態による窒化物系半導体レーザ素子では、図21に示すように、n型GaN基板1上に、上記第1実施形態と同様の組成および厚みを有するn側クラッド層2および活性層3が順次形成されている。活性層3上には、上記第1実施形態のp側クラッド層4と同様の組成を有するp側クラッド層64が形成されている。このp側クラッド層64は、約1.5μmの幅を有するとともに、共振器方向に延びるストライプ状(細長状)の凸部を有する。なお、p側クラッド層64は、本発明の「第2半導体層」の一例である。
ここで、第4実施形態では、p側クラッド層64の凸部以外の平坦部64a、64bおよび64cは、光出射側の共振器端面60a近傍の領域A4および光出射側とは反対側の共振器端面60b近傍の領域C4と、領域A4およびC4以外の素子の中心領域を含む領域B4とで異なる厚みを有する。具体的には、領域A4およびC4では、図22に示すように、p側クラッド層64の平坦部64aおよび64cの厚みtA4は、約100nmであり、凸部の平坦部64aおよび64cの上面からの高さは、約400nmである。また、領域B4では、図23に示すように、p側クラッド層64の平坦部64bの厚みtB4は、約150nmであり、凸部の平坦部64bの上面からの高さは、約350nmである。すなわち、領域A4およびC4の平坦部64aおよび64cの厚みtA4(約100nm)は、領域B4の平坦部64bの厚みtB4(約150nm)よりも小さい。なお、領域A4、B4およびC4は、それぞれ、本発明の「第1領域」、「第2領域」および「第3領域」の一例であり、平坦部64a、64bおよび64cは、それぞれ、本発明の「第1平坦部」、「第2平坦部」および「第3平坦部」の一例である。また、領域A4およびC4の共振器方向の長さは、約10μmであり、領域B4の共振器方向の長さは、約580μmである。
また、図21に示すように、p側クラッド層64の凸部上には、上記第1実施形態のコンタクト層5と同様の組成および厚みを有するコンタクト層65が形成されている。なお、コンタクト層65は、本発明の「第2半導体層」の一例である。このコンタクト層65とp側クラッド層64の凸部とによって、約1.5μmの幅を有するとともに、共振器方向に延びるストライプ状(細長状)のリッジ部66が構成されている。また、p側クラッド層64の平坦部64a、64bおよび64cの上面と、リッジ部66の側面上とには、上記第1実施形態の電流ブロック層7と同様の組成および厚みを有する電流ブロック層67が形成されている。また、リッジ部66を構成するコンタクト層65上には、上記第1実施形態と同様の組成および厚みを有するp側オーミック電極68が形成されている。
また、n型GaN基板1の裏面上の所定領域には、上記第1実施形態と同様の組成および厚みを有するn側オーミック電極9が形成されている。
そして、第4実施形態による窒化物系半導体レーザ素子では、活性層3で生成された光が共振器端面60aおよび60bで反射することによりレーザ発振する。
第4実施形態では、上記のように、光出射側の共振器端面60a近傍の領域A4に位置する平坦部64aの厚みtA4(約100nm)を、領域A4以外の素子の中心領域を含む領域B4に位置する平坦部64bの厚みtB4(約150nm)よりも小さくすることによって、上記第1実施形態と同様、光出射側の共振器端面60a近傍の領域A4における水平方向の光閉じ込めを強くすることができる。これにより、レーザ光の発光スポットの水平方向の広がりを小さくすることができるので、レーザ光の水平方向の広がり角θ2を大きくすることができる。その結果、上記第1実施形態と同様、レーザ光の形状を真円に近づけることができる。この場合、p側クラッド層64の凸部(リッジ部66)をエッチングにより形成する際に、p側クラッド層64の領域B4に位置する平坦部64bの厚みtB4(約150nm)が領域A4に位置する平坦部64aの厚みtA4(約100nm)よりも大きくなるようにエッチングするとともに、活性層3を含む部分をエッチングしないので、上記第1実施形態と同様、活性層3の結晶欠陥の量を減少させることができる。その結果、上記第1実施形態と同様、活性層3の結晶欠陥部分による光吸収の増大を抑制することができるので、高い発光効率を有する窒化物系半導体レーザ素子を得ることができる。このように、第4実施形態では、上記第1実施形態と同様、高い発光効率を有し、かつ、真円形状に近いレーザ光の形状を得ることが可能な窒化物系半導体レーザ素子を得ることができる。
また、第4実施形態では、光出射側とは反対側の共振器端面60b近傍の領域C4にも、平坦部64bの厚みtB4(約150nm)よりも小さい厚みtA4(約100nm)を有する平坦部64cを設けることによって、光出射側とは反対側の共振器端面60bを光出射面として用いたとしても、レーザ光の形状を真円に近づけることができる。これにより、2つの共振器端面60aおよび60bのうち、どちらの共振器端面60aおよび60bを光出射面として用いたとしても、レーザ光の形状を真円に近づけることができる。これにより、素子を組み立てる際に、どちらの共振器端面60aおよび60bを光出射面に設定したとしても、真円形状に近いレーザ光の形状を得ることが可能な半導体レーザ素子を作製することができる。
図24〜図26は、図21に示した第4実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための斜視図である。次に、図21および図24〜図26を参照して、第4実施形態による窒化物系半導体レーザ素子の製造プロセスについて説明する。
まず、図24に示すように、図5〜図7に示した第1実施形態と同様のプロセスを用いて、p側オーミック電極68、コンタクト層65およびp側クラッド層64の所定領域をエッチングすることにより、p側クラッド層64の凸部までを形成する。この後、素子の中心領域を含む領域B4に位置するp側クラッド層64、コンタクト層65およびp側オーミック電極68のみを覆うように、レジスト71を形成する。
次に、図25に示すように、Cl2系ガスによるRIE法を用いて、レジスト71と、領域A4およびC4に位置するp側オーミック電極68とをマスクとして、p側クラッド層64の平坦部64bの上面から約50nmの深さまでの所定領域を除去する。これにより、p側クラッド層64の凸部以外の平坦部64a、64bおよび64cは、光出射側の共振器端面60a(図21参照)近傍の領域A4および光出射側とは反対側の共振器端面60b(図21参照)近傍の領域C4と、領域A4およびC4以外の素子の中心領域を含む領域B4とで異なる厚みとなる。具体的には、領域A4およびC4では、p側クラッド層64の平坦部64aおよび64cの厚みtA4が約100nmとなり、凸部の平坦部64aおよび64cの上面からの高さが約400nmとなる。その一方、領域B4では、p側クラッド層64の凸部以外の平坦部64bの厚みtB4が約150nmとなり、凸部の平坦部64bの上面からの高さが約350nmとなる。これにより、p側クラッド層64の凸部とコンタクト層65とによって構成されるリッジ部66が形成される。この後、レジスト71を除去することによって、図26に示す状態にする。
次に、図21に示したように、図11に示した第1実施形態と同様のプロセスを用いて、p側クラッド層64の平坦部64a、64bおよび64cの上面と、リッジ部66の側面上とに、上記第1実施形態の電流ブロック層7と同様の組成および厚みを有する電流ブロック層67を形成する。
最後に、真空蒸着法などを用いて、n型GaN基板1の裏面上の所定領域に、上記第1実施形態と同様の組成および厚みを有するn側オーミック電極9を形成する。このようにして、第4実施形態による窒化物系半導体レーザ素子が形成される。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記第1〜第4実施形態では、窒化物系半導体からなる半導体レーザ素子に本発明を適用する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、窒化物系半導体以外の半導体からなる半導体レーザ素子にも適用可能である。
また、上記第1〜第4実施形態では、光出射側の共振器端面近傍の領域の共振器方向の長さを、約10μmに設定したが、本発明はこれに限らず、光出射側の共振器端面近傍の領域の共振器方向の長さが、約3μm以上50μm以下の範囲内であればよい。
また、上記第1、第3および第4実施形態では、p側クラッド層の素子の中心領域を含む領域に位置する平坦部の厚みを、約150nmに設定したが、本発明はこれに限らず、p側クラッド層の素子の中心領域を含む領域に位置する平坦部の厚みを、約100nm以上約250nm以下に設定すれば、発光効率を高くすることができ、かつ、しきい値電流を低くすることができる。
また、上記第2実施形態では、p側パッド電極30の光出射側の端部30aを、光出射側の共振器端面20a近傍の領域A2から約10μmの間隔L2を隔てて配置したが、本発明はこれに限らず、p側パッド電極の光出射側の端部が共振器端面にまで達していなければ、p側パッド電極の光出射側の端部を光出射側の共振器端面近傍の領域に配置してもよい。
また、上記第2実施形態では、p側オーミック電極のシート抵抗値を、約10Ω/□に設定したが、本発明はこれに限らず、p側オーミック電極のシート抵抗値を、約1Ω/□以上に設定すれば、MTTF(平均故障時間)を長くすることができる。これにより、素子の寿命を長くすることができる。
また、上記第3実施形態では、厚みの異なるp側クラッド層の平坦部のそれぞれの上面を接続するように、約60°の傾斜角度を有する傾斜部を設けたが、本発明はこれに限らず、約60°以外の傾斜角度を有する傾斜部によって、厚みの異なるp側クラッド層の平坦部のそれぞれの上面を接続してもよい。