JP4521168B2 - 血糖値上昇抑制用のビタミンb1含有栄養組成物 - Google Patents

血糖値上昇抑制用のビタミンb1含有栄養組成物 Download PDF

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Description

本発明は、経口あるいは経腸的な栄養補給を必要とする外科手術患者や高齢者、あるいは低栄養状態の患者に投与する血糖値上昇抑制用の栄養組成物に関する。さらに詳しくは、本発明は、蛋白質、脂質、糖質を主成分とし、ビタミンならびにミネラルを含有する、エネルギー1.0〜1.6kcal/mLの血糖値上昇抑制用の栄養組成物である。
経腸栄養法は、投与経路により、経口栄養法と経鼻胃管または経鼻腸管、胃ろうや腸ろう等の強制的経腸栄養法がある。経腸栄養剤としては、窒素源の形態の違いや管腔内消化の必要性の有無により、成分栄養剤、消化態あるいは半消化態栄養剤、天然濃厚流動食等に分類される。経腸栄養は、静脈栄養と比べて生理的な栄養法であり、癌患者や重症熱傷患者、上部消化管通過障害や腸管不全の栄養管理に施行されているほか、消化器外科領域における術前・術後患者の栄養管理に用いられている。また、高齢者あるいは病後の人等喫食量の少ない人や嚥下能力が低下している人、嚥下機能訓練患者、水分制限患者において、経口摂取が不十分な低栄養患者等には、経腸栄養では主に液状の栄養剤が用いられているが、液状のものに限らずゲル状の栄養剤も同様にして用いられている。すなわち、咀嚼力が弱っている場合は、食材を細かく刻んだり、つぶした形態、嚥下機能が弱っている場合は、ゼリ−状やペ−スト状の形態と咀嚼力、嚥下機能の程度によって食べられる食事形態が異なってくるので、液状もしくはゲル状など、栄養を必要としている人に対して様々な形態の栄養組成物が広く用いられている。
消化器外科手術患者や高齢者において、蛋白質、エネルギー、ビタミンあるいはミネラル等の摂取不足状態が長く続くと、免疫機能の低下や新たな疾患の発症を誘引することがある。特に、ビタミンは健康的な生活を営むために、欠くことのできない栄養素の一つであり、その補酵素作用、代謝調節作用などが知られていたが、このほかに抗酸化作用、細胞間情報伝達作用等の栄養素以外の作用があることが判明してきた。そのため、ビタミンを適量に摂取することは重要である。
従来の栄養剤あるいは栄養組成物は、青壮年者におけるエネルギー所要量を投与した場合に、ビタミンの1日の所要量が充足できるように配合量が設定されている。そのため、エネルギー投与量の少ない場合にはビタミンは摂取不足状態となる。
近年、ビタミン、ミネラルを強化した流動食が販売されている(商品名NT-3、NT-5、OKUNOS:商品名ハーモニック-M、エスエス・味の素ファルマ)。また、特許文献1には、蛋白質、ビタミン、ミネラルを含有した液状栄養組成物に粉砕した穀類を配合した栄養粥が提案されている。これらの流動食あるいは栄養粥は、栄養学的にはエネルギー1000kcalの摂取により栄養所要量のビタミン、ミネラルが充足できるとされている。しかしながら、これらの流動食に含まれるビタミンB1はエネルギー100kcalあたり0.18〜0.88mg、また栄養粥に含まれるビタミンB1は0.03〜0.4mg程度であり、さらに、これらの流動食あるいは栄養粥を摂取した場合の血中ビタミン濃度の検討等は全くなされていない。
ビタミンB1は、チアミン2-リン酸(TPP)の形で補酵素としてα-ケト酸の脱炭酸反応と、ヘキソースおよびペントースリン酸間でのトランスケトラーゼ反応系で働き、糖質や分枝鎖アミノ酸の代謝にあずかる。
ビタミンB2は、吸収後、補酵素型フラビンアデニンジヌクレオチドあるいはフラビンモノヌクレオチドに変換され、エネルギー代謝系や多くの酸化還元系において作用する。
ビタミンB6は、アミノ酸の代謝に関するトランスアミナーゼ、デカルボキシラーゼ等、補酵素として機能する。
特開2000−300194号公報
消化器外科手術等により、生体に手術侵襲が加わると、手術後の侵襲下で代謝回転の促進による組織のビタミン需要量の増加が大きくなる。また、エピネフリン、ステロイドホルモン、グルカゴンなどの分泌が亢進する。また、膵からのインシュリン分泌は著明に抑制されることはないが、エピネフリンが末梢組織におけるインシュリン作用を阻害する。すなわち、術後は糖の利用が障害され、一種の糖尿病様状態となる。糖の利用障害がインシュリン分泌障害によるものでなく、末梢組織におけるインシュリンの作用障害であるため、外因性のインシュリンを投与しても奏効しない(術後代謝の基礎と臨床、真興交易医書出版部)。つまり術後早期は、高血糖を起こしやすく、投与エネルギー量は制限されることになる。
本発明の主たる目的は、潜在的なビタミン欠乏状態にある外科手術前後の患者や糖尿病患者、あるいは高齢者において、必要エネルギー投与量の1/5〜1/10量と少ない場合でも、ビタミンが十分量補給可能な栄養組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、経口あるいは経腸的な栄養補給を必要とする患者、中でも耐糖能異常に陥りやすい消化器外科手術患者や高齢者に対し、体内ビタミン充足率を上げ、血糖値上昇の抑制、体重増加、血清アルブミン濃度の改善を目的に、食事だけでは摂取不可能な栄養素補給を可能とする栄養組成物を提供することにある。
本発明の課題は、以下の手段により解決される。
(1) 蛋白質、糖質、脂質を主成分とし、ビタミンならびにミネラルを含有する血糖値上昇抑制用の栄養組成物であって、栄養組成物1mLあたり1.0〜1.6kcalのエネルギーを有し、且つ栄養組成物100kcalあたり4mg以上のビタミンB1を含有する血糖値上昇抑制用の栄養組成物。
(2) ビタミンB1含有量が該栄養組成物100kcalあたり11mg以下である上記(1)に記載の血糖値上昇抑制用の栄養組成物。
(3) 前記栄養組成物100kcalあたり0.1〜12mgのビタミンB2と0.12〜16mgのビタミンB6を含有する上記(1)または(2)に記載の血糖値上昇抑制用の栄養組成物。
(4) 前記栄養組成物100kcalあたり0.13〜24μgのビタミンB12と6〜1000mgのビタミンCと10〜1000μgの葉酸を含有する上記(1)〜(3)のいずれかに記載の血糖値上昇抑制用の栄養組成物。
(5) 前記栄養組成物100kcalあたりビタミンを次の割合で含有する上記(1)〜(4)のいずれかに記載の血糖値上昇抑制用の栄養組成物。
ビタミンK 120〜2000μg
ニコチン酸アミド 1〜30mg
パントテン酸 0.3〜50mg
ビタミンA 120〜5000IU
ビタミンD 10〜2000IU
ビタミンE 0.6〜600IU
) 前記栄養組成物の粘度が5〜40mPa・s(25℃)の範囲であることを特徴とする上記(1)〜()のいずれかに記載の血糖値上昇抑制用の栄養組成物。
) 前記栄養組成物のゲル強度が1ラ102〜1ラ105N/m2の範囲であることを特徴とする上記(1)〜()のいずれかに記載の血糖値上昇抑制用の栄養組成物。
本発明は、蛋白質、糖質、脂質を主成分とし、ビタミンならびにミネラルを含有する血糖値上昇抑制用の栄養組成物であって、栄養組成物1mLあたり1.0〜1.6kcalのエネルギーを有し、且つ栄養組成物100kcalあたり4mg以上のビタミンB1を含有する栄養組成物であるので、血中ビタミンB1濃度を高値に維持することが可能であり、さらに血糖値の上昇を緩やかにできるものであるので、経口あるいは経腸的な栄養補給を必要とする患者、中でも耐糖能異常に陥りやすい消化器外科手術患者や高齢者に対し、体内ビタミン充足率を上げ、血糖値の上昇を緩やかにすることにより、投与エネルギーを制限することなく栄養補給が可能な栄養組成物を提供することができ、また、潜在的なビタミン欠乏状態にある外科手術前後の患者や糖尿病患者、あるいは高齢者において、必要エネルギー投与量の1/5〜1/10量と少ない場合でも、ビタミンが十分量補給可能な栄養組成物を提供することができる。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、従来の栄養組成物等に含まれるビタミンB1はエネルギー100kcalあたり0.88mgが最大であったが、1mg/100kcal配合しても本発明が想定する用途には適していないことを知見した。さらに検討を進めた結果、栄養組成物中のビタミンB1配合量を4mg/100kcal以上とすると、血中ビタミンB1濃度を高値に維持することが可能であり、さらに血糖値上昇の抑制、体重増加、血清アルブミン濃度上昇ができるという新たな知見を得て、本発明を完成するに至った。
また、高齢者ではビタミンB1保持能力が低下している可能性があり、良好なB1栄養状態を維持するためには継続的な補給が必要であることから、栄養組成物にB1を配合することは目的に適合する。
このビタミンB1は、水溶性ビタミンであり、過剰摂取しても尿中にすみやかに排出されるため、上記観点からはビタミンB1配合量に上限は設定されるものではないが、ビタミンB1には特有の臭いがあり、組成設定上マスキングが十分に行えない場合など、栄養組成物としての製剤上の理由で過剰配合が好ましくないことがある。また、栄養組成物を摂取した患者の体臭としてビタミンB1臭がすることがあり、これを不快に感じる場合もあり、QOLの観点から過剰配合が好ましくないことがある。さらに、患者に利用されることなく排出されてしまう分のビタミンB1を配合することは経済上好ましくなく、これらの点から上限は11mg/100kcalとすることが好ましい。
本発明の血糖値上昇抑制用の栄養組成物(以下単に「栄養組成物」ということがある)は、流動食など液状形態では、蛋白質、糖質、脂質、ビタミンならびにミネラルを含有しており、エネルギーが1.0〜1.6kcal/mLである。投与経路に関しては、チューブによる経鼻胃管、経鼻腸管、胃ろう、腸ろうが考えられる。粘度は5〜40mPa・S・25℃、好適範囲は10〜30mPa・S・25℃であり、チューブにおける良好な流動性を有しているものが好ましい。また、ゲル状の栄養組成物では、蛋白質、糖質、脂質、ビタミン、ミネラルならびにゲル化剤を含有しており、エネルギーが1.0〜1.6kcal/mLである。ゲル強度は1ラ102〜1ラ105N/m2、好適範囲は5ラ102〜5ラ104N/m2であり、経口摂取した場合に良好な喉越しを有しているものが好ましい。
蛋白質としては、動物性あるいは植物性蛋白質、これらの蛋白質加水分解物またはアミノ酸等が挙げられる。蛋白質の配合量は、栄養組成物100kcalあたり3〜5gが適当であり、これにより充分な蛋白質を摂取できる。
糖質としては、澱粉、デキストリン、乳糖、ショ糖、グルコース、フルクトース、マルトース、粉飴等が挙げられる。糖質の配合量としては、栄養組成物100kcalあたり10〜18gが適当であり、糖質のエネルギー比としては、40〜70%が好ましい。
脂質としては、大豆油、なたね油、コーン油、サフラワー油、キャノーラ油、ココヤシ油、ヒマワリ油、オリーブ油、シソ油、エゴマ油等の植物性油脂、牛脂、ラード等の動物性油脂、魚油、MCT油等が挙げられる。脂肪の配合量としては、栄養組成物100kcalあたり1〜4.5gが適当であり、脂肪のエネルギー比としては10〜40%が好ましい。
ミネラルとしては、ナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、鉄、リン等が挙げられ、これら複数をできる限り組み合わせて配合するのが好ましい。ミネラルの配合量としては、栄養組成物100kcalあたり、下記の範囲が適当である。
ナトリウム 0〜400mg、好ましくは25〜200mg
カルシウム 0〜2500mg、好ましくは25〜80mg
鉄 0〜40mg、好ましくは0.5〜1.5mg
リン 0〜4000mg、好ましくは25〜65mg
マグネシウム 0〜650mg、好ましくは7〜45mg
カリウム 0〜2000mg、好ましくは25〜75mg
銅 0〜18mg、好ましくは0.1〜1mg
マンガン 0〜8mg、好ましくは0.1〜0.5mg
亜鉛 0〜30mg、好ましくは0.1〜1.5mg
ゲル化剤としては、ゼラチン、寒天、ペクチン、カラギーナン、グァーガム、ジェランガム、キサンタンガム、タマリンドガム、ローカストビーンガム、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。特性の異なる物を数種混合して使用することが好ましい。ゲル化剤の配合量は、組成物の総重量を基準として、0.2〜1.0重量%が適当である。栄養組成物100kcalあたり、下記の範囲が適当である。
ゼラチン 0.1〜3%、好ましくは0.5〜2%
寒天 0.1〜2.5%、好ましくは0.5〜2%
ペクチン 0.1〜4%、好ましくは2価陽イオンの存在によりゲル化能が増大するため、適時調整が必要。
カラギーナン 0.1〜2.5%、好ましくはミネラルの存在によりゲル化能が増大するため、適時調整が必要。
キサンタン−ガラクトマンナン系(グァーガム、ジェランガム、キサンタンガム、タマリンドガム、ローカストビーンガム、アルギン酸ナトリウム) 0.1〜3%、添加食材、種類、pH、加熱温度により変動があるために好ましくは2%以下が良い。
以下、実施例を挙げて本発明の栄養組成物を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
表1に記載した組成に従って蒸留水に溶解後、この溶液を400mLずつ500mL容量のエチレン−酢酸ビニル共重合体製軟質容器(商品名「テルパック」テルモ(株)製)に充填し、密封後、121℃、10分間加熱滅菌した。その後、使用時までは、脱酸素剤とともにガスバリアー包材に入れ密閉包装した。この実施例1の栄養組成物の粘度は、粘度計(東機産業製:TV−30型)で測定したところ16mPa・s(25℃)であった。
比較例1
表2に記載した組成に従って蒸留水に溶解後、この溶液を400mLずつ500mL容量のエチレン−酢酸ビニル共重合体製軟質容器(商品名「テルパック」テルモ(株)製)に充填し、密封後、121℃、10分間加熱滅菌した。その後、使用時までは、脱酸素剤とともにガスバリアー包材に入れ密閉包装した。この比較例1の栄養組成物の粘度は、粘度計(東機産業製:TV−30型)で測定したところ15mPa・s(25℃)であった。
比較例2
表3に記載した組成に従って蒸留水に溶解後、この溶液を400mLずつ500mL容量のエチレン−酢酸ビニル共重合体製軟質容器(商品名「テルパック」テルモ(株)製)に充填し、密封後、121℃、10分間加熱滅菌した。その後、使用時までは、脱酸素剤とともにガスバリアー包材に入れ密閉包装した。この比較例2の栄養組成物の粘度は、粘度計(東機産業製:TV−30型)で測定したところ13mPa・s(25℃)であった。
Figure 0004521168
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試験例1
実施例1、比較例1、2で調製した栄養組成物を用いて、血中ビタミンB1濃度と血糖値に関する動物実験を行った。6週齢、体重180〜200gのSD系雄性ラットを用いて一夜絶食後に採血を行い、血中ビタミンB1濃度ならびに血糖値を測定した(pre値)。例数は実施例1、比較例1、2ともに5例とした。これらのラットのトライツ靱帯より肛門側5cmと回盲部より口側10cmを残し小腸の70%切除して消化器外科手術モデルとした後、胃内にカテーテルを留置した。カテーテルより各栄養組成物を無拘束下に270kcal/kg/dayで7日間持続投与した。投与終了後、下大動脈より採血して血中ビタミンB1濃度ならびに血糖値を測定した(post値)。
血中ビタミンB1濃度ならびに血糖値の結果を図1、2に示した。実施例1の栄養組成物を投与した群の血中ビタミンB1濃度はpre値の328ng/mLに比べてpost値は387ng/mLと上昇したが、比較例1の栄養組成物を投与した群はpre値の337ng/mLに比べて、post値は238ng/mLと低下した。また、比較例2の栄養組成物を投与した群はpre値の341ng/mLに比べて、post値は267ng/mLと低下した。
血糖値のpost値は、実施例1では85.9mg/dLと比較例1の98.3mg/dLあるいは比較例2の96.3mg/dLよりも低値を示した。
従って、ビタミンB1配合量を高くした実施例1の栄養組成物は、栄養素の消化吸収率の低下した消化器外科手術後にも血中ビタミンB1濃度を高値に維持し、さらに、血糖値を上昇させることなく栄養補給が可能であった。一方、ビタミンB1配合量の低い比較例1あるいは2の栄養組成物は、血中ビタミンB1濃度の低下が認められ、血糖値も高くなる傾向にあった。
表4に記載した組成に従って蒸留水に溶解後、この溶液を400mLずつ500mL容量のエチレン−酢酸ビニル共重合体製軟質容器(商品名「テルパック」テルモ(株)製)に充填し、密封後、121℃、10分間加熱滅菌した。その後、使用時までは、脱酸素剤とともにガスバリアー包材に入れ密閉包装した。
比較例3
表5に記載した組成に従って蒸留水に溶解後、この溶液を400mLずつ500mL容量のエチレン−酢酸ビニル共重合体製軟質容器(商品名「テルパック」テルモ(株)製)に充填し、密封後、121℃、10分間加熱滅菌した。その後、使用時までは、脱酸素剤とともにガスバリアー包材に入れ密閉包装した。
比較例4
表6に記載した組成に従って蒸留水に溶解後、この溶液を400mLずつ500mL容量のエチレン−酢酸ビニル共重合体製軟質容器(商品名「テルパック」テルモ(株)製)に充填し、密封後、121℃、10分間加熱滅菌した。その後、使用時までは、脱酸素剤とともにガスバリアー包材に入れ密閉包装した。この実施例2、比較例3及び4の栄養組成物の粘度は、粘度計(東機産業製:TV−30型)で測定したところ各々15、11、18mPa・s(25℃)であった。
Figure 0004521168
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試験例2
実施例2、比較例3、4で調製した栄養組成物を用いて、血中ビタミンB1濃度と血糖値に関する動物実験を行った。10週齢、体重390〜430gのSD系雄性ラットを用いて、一夜絶食後に採血を行い、血中ビタミンB1濃度ならびに血糖値を測定した(pre値)。これらのラットの背部を剃毛し、半田ゴテにより体表面積の20%にIII度の熱傷を作製し、熱傷モデルとした。その後、胃内にカテーテルを留置した。カテーテルよりシリンジポンプを用いて、実施例2あるいは比較例3、4の栄養組成物を無拘束下に270kcal/kg/dayで3日間持続投与した。例数は実施例2、比較例3、4ともに5例とした。投与開始1日後から投与終了まで、毎日、血糖値を測定した。また、投与開始3日後に血中ビタミンB1濃度を測定した。
血中ビタミンB1濃度ならびに血糖値の結果を図3、4に示した。ビタミンB1配合量の低い比較例3あるいは4の栄養組成物を投与した群の血中ビタミンB1濃度は投与開始3日後にはpre値よりも低下した。血糖値は、投与開始1日後にはpre値に比べて上昇し、3日後には比較例3で159mg/dL、比較例4で151mg/dLとなった。これに対し、ビタミンB1配合量の高い実施例2の栄養組成物を投与した群では、投与開始3日後の血中ビタミンB1濃度は比較例3あるいは4と比べて451ng/mLと高値を示し、また投与期間を通して血糖値は比較例3あるいは4よりも低値で推移した。
従って、ビタミンB1配合量の高い実施例2の栄養組成物は、インシュリン抵抗性により高血糖を起こすと考えられている熱傷後にも、血中ビタミンB1を高値に維持し、血糖値の上昇を抑制できると考えられた。
表7に記載した組成に従って蒸留水に溶解後、この溶液を400mLずつ500mL容量のエチレン−酢酸ビニル共重合体製軟質容器(商品名「テルパック」テルモ(株)製)に充填し、密封後、121℃、10分間加熱滅菌した。その後、使用時までは、脱酸素剤とともにガスバリアー包材に入れ密閉包装した。
比較例5
表8に記載した組成に従って蒸留水に溶解後、この溶液を400mLずつ500mL容量のエチレン−酢酸ビニル共重合体製軟質容器(商品名「テルパック」テルモ(株)製)に充填し、密封後、121℃、10分間加熱滅菌した。その後、使用時までは、脱酸素剤とともにガスバリアー包材に入れ密閉包装した。
比較例6
表9に記載した組成に従って蒸留水に溶解後、この溶液を400mLずつ500mL容量のエチレン−酢酸ビニル共重合体製軟質容器(商品名「テルパック」テルモ(株)製)に充填し、密封後、121℃、10分間加熱滅菌した。その後、使用時までは、脱酸素剤とともにガスバリアー包材に入れ密閉包装した。この実施例3、比較例5及び6の栄養組成物の粘度は、粘度計(東機産業製:TV−30型)で測定したところ各々14、15、12mPa・s(25℃)であった。
Figure 0004521168
Figure 0004521168
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試験例3
実施例3、比較例5、6で調整した栄養組成物を用いて、血中ビタミンB1濃度と耐糖能に関する動物実験を行った。7カ月齢、体重10kg前後のビーグル犬を用いて14日間、市販固形飼料5g/kg/dayの制限給餌を行い、低栄養状態とした。その後、市販固形飼料5g/kg/dayの制限給餌を継続しながら、実施例3あるいは比較例5、6の栄養組成物200kcal/head/dayを14日間経口摂取させた。制限給餌前後と栄養組成物投与後に血中ビタミンB1濃度の測定を行った。例数は実施例3、比較例5、6ともに5例とした。14日間の栄養組成物投与終了後、1昼夜絶食し、2g/kgのグルコース経口負荷により耐糖能試験を行った。
血中ビタミンB1濃度の結果を表10に示した。制限給餌により血中ビタミンB1の低下が認められたが、実施例3の栄養組成物を投与した群では制限給餌前値よりも高値を示した。これに対して、比較例5、6の栄養組成物を投与した群では、血中ビタミンB1濃度は低値であった。
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グルコース経口負荷による耐糖能試験の結果を図5に示した。実施例3の栄養組成物を投与した群では、比較例5、6の栄養組成物を投与した群に比べて血糖値は常に低値で推移した。
従って、補食として実施例3の栄養組成物を摂取した場合にも、血中ビタミンB1濃度を高値に維持し、血糖値の上昇を抑制できると考えられた。
表11に記載した組成に従って蒸留水に溶解後、151℃、2秒間直接蒸気滅菌した後、この溶液を125mLずつ125mL容量のポリエチレン−紙−アルミ箔ラミネ−ト紙質容器(商品名「テトラブリック(登録商標)アセプティック」テトラ(株)製)に無菌充填密封包装した。この実施例4の栄養組成物の粘度は、粘度計(東機産業製:TV−30型)で測定したところ11mPa・s(25℃)であった。
試験例4
実施例4で調整した栄養組成物を用いて、血中ビタミンB1濃度と栄養改善に関する臨床評価を行った。老人保健施設入所後期高齢者(平均87.8歳)10例に1本/日を8週間にわたり飲用したときの栄養改善を評価した。投与前後の血中ビタミンB1濃度、血清アルブミン濃度、体重の測定を行った。
血中ビタミンB1濃度の結果を図6に示した。老人保健施設入所後期高齢者は、6例/10例(60%)で血中ビタミンB1濃度が基準下限値以下(28ng/ml)であったが、実施例4の栄養組成物の投与4週後では全例が基準下限値以上となった。また、血清アルブミン値が3.5mg/dl以下の場合、低栄養状態であるといわれている。血清アルブミン値の結果を図7に示した。低栄養状態が認められた3例/10例(30%)については、実施例4の栄養組成物の投与により血清アルブミンの増加が認められた。体重の結果を図8に示した。実施例4の栄養組成物の投与により体重の増加が認められた。
表12に記載した組成に従って蒸留水に溶解後、80℃で完全に溶解する。作製した溶解液を68g容量の耐レトルト容器に充填した後レトルト殺菌を行う。この実施例5の栄養組成物のゲル強度は1×104N/m2(測定機器:クリ−プメ−タ−TPU−2S:(株)山電製)であり、経口摂取した場合に良好な喉越しを有していた。
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図1は、実施例1、比較例1および比較例2の栄養組成物を投与した場合における血中ビタミンB1濃度を示す図である(試験例1)。 図2は、実施例1、比較例1および比較例2の栄養組成物を投与した場合における血糖値を示す図である(試験例1)。 図3は、実施例2、比較例3および比較例4の栄養組成物を投与した場合における血中ビタミンB1濃度を示す図である(試験例2)。 図4は、実施例2、比較例3および比較例4の栄養組成物を投与した場合における血糖値を示す図である(試験例2)。 図5は、実施例3、比較例5および比較例6の栄養組成物を投与した場合における耐糖能試験の結果を示す図である(試験例3)。 図6は、実施例4の栄養組成物を投与した場合における血中ビタミンB1濃度の結果を示す図である(試験例4)。 図7は、実施例4の栄養組成物を投与した場合における体重変化の結果を示す図である(試験例4)。 図8は、実施例4の栄養組成物を投与した場合における血清アルブミン濃度の結果を示す図である(試験例4)。

Claims (2)

  1. 蛋白質、糖質、脂質を主成分とし、ビタミンならびにミネラルを含有する血糖値上昇抑制用の栄養組成物であって、栄養組成物1mLあたり1.0〜1.6kcalのエネルギーを有し、且つ栄養組成物100kcalあたり4mg以上のビタミンB1を含有することを特徴とする血糖値上昇抑制用の栄養組成物。
  2. ビタミンB1含有量が該栄養組成物100kcalあたり11mg以下である請求項1に記載の血糖値上昇抑制用の栄養組成物。
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