JP4510310B2 - 定着部材、定着装置、及び画像形成装置 - Google Patents

定着部材、定着装置、及び画像形成装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば電子写真方式、静電記録方式等の作像プロセスを採用した画像形成装置に用いられる定着装置の定着部材に関し、特に作像プロセス部で記録材(転写材、印字用紙、感光紙、静電記録紙等)に転写方式あるいは直接方式で形成担持させた、目的の画像情報の未定着トナー像を熱定着処理して定着画像を形成するための加熱定着装置に用いられる定着部材、該定着部材を有する定着装置及び該定着装置を有する画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真方式、静電記録方式等を採用するする画像形成装置に具備される定着装置には、互いに圧接して回転する定着ローラと加圧ローラとで形成されるニップ部に、未定着トナー像を担持した記録材(以下、「転写材」とも言う)を通過させる、いわゆる加熱定着装置が広く用いられている。図5に従来における加熱定着装置の一例を示す。
【0003】
図5において、10は加熱体を具備した定着部材である定着ローラであり、アルミの中空芯金の内部に加熱体であるハロゲンランプが配設されており、不図示の電源からの通電により、中空芯金内部から記録材上のトナーを融解させるのに十分な加熱を行う。
【0004】
中空芯金の外部には離型性及び耐熱性に優れた性能を示すポリテトラフルオロエチレン共重合体(PTFE)、パーフルオロアルコキシテトラフルオロエチレン共重合体(PFA)の如き離型性層が形成されている。離型性層はチューブ状に形成された材料の被覆、あるいは静電スプレー、ディッピング塗工の如き塗工により形成されている。
【0005】
しかしながら、従来の定着ローラにおいては、転写材上のトナーが定着ローラに静電的に転移する静電オフセット現象が発生することがあり、画像品位を低下させるという問題があった。
【0006】
すなわち、転写材と定着ローラの摩擦帯電によって、若しくは転写材の転写電荷によって、転写材上のトナーが定着ローラに引き寄せられる電界が生じ、トナーの一部が定着ローラ上に転移してしまう。転移したトナーは定着ローラが一周した後転写材上に戻り、画像上ゴーストとなってしまう。これを「静電オフセット」と称する。
【0007】
静電オフセットには大きく分けて全面オフセットと剥離オフセットの二種類に分類される。全面オフセットは、転写材と定着ローラの如き定着部材とが互いに摩擦帯電等で電荷のやり取りをし、オフセット電界が定常的に発生するものであり、オフセットは画像全体に連続的に出る。一方、剥離オフセットは転写材後端が定着装置を抜けるときに転写材後端がはねて定着ローラと強く接触し、定着ローラ上長手に一直線に電位履歴を残し、この電位がオフセットを発生させるものであり、オフセットは画像上では主走査方向に一直線上に発生する。このため両者を判別することができる。
【0008】
これらの静電オフセットを防止するために、従来では定着ローラの電位を一定値に制御している。具体的には、ネガ帯電性のトナーを用いた場合には、定着ローラがプラスに帯電しないように帯電防止処理や、さらには導電化してアースに接続し、電位が0Vになるような処理を行う。
【0009】
定着ローラ表層の表面電位を通紙中に表面電位計で測定したところ、通紙中でもほとんど数十Vにしか帯電しておらず、帯電防止効果が確認された。
【0010】
一方、近年、電子写真装置の高画質化、高速化に伴い、横線画像を定着した際に横線画像の一部が後端側に飛散して欠けてしまう「尾引き」と呼ばれる現象が顕著となってきた。尾引きの原因については、紙内部より発生する蒸気による圧力が主原因であると推定されている。尾引きの現象について、図6を用いて詳述する。
【0011】
図6に示すように、定着ローラ10と記録材の間に噴出した蒸気は矢印の方向に流れ、定着ローラ10と記録材とトナー像の間で圧縮されてトナー像を乱すこととなる。
【0012】
尾引き対策の一つとして、定着ローラ10にバイアス電圧を印加する手段を設けることが提案されている。図7に、尾引き対策の例として、バイアス印加手段を設けた構成の一例を示す。
【0013】
同図に示すように、定着ローラ10は、中空のロール形状に形成された定着ローラ芯金10aと、定着ローラ芯金10aの外周面を覆う離型性層10bとを有している。定着ローラ芯金10aには図示しないバイアス電源によって、500〜1000V程度の直流バイアスが印加される。その際、バイアス電源と定着ローラ芯金10aとの間には安全抵抗として、数MΩ〜数十MΩの図示しない抵抗が設けられる。
【0014】
記録材が定着ニップに突入した際には、このバイアスによって生じる電界によって、記録材上のトナー像が記録材上に静電的に強固に保持され、この状態で定着ローラ10、加圧ローラ11により挟持搬送される。したがって、上述のような蒸気の流れが生じても、記録材上の尾引きを防止することができる。
【0015】
尾引き対策として、バイアス印加手段を設けた構成においては、記録材を通して、トナー像と記録材裏面との間に、トナーを記録材側に引き付ける電界を生じさせることが肝要であり、このため、上記構成においては、定着ニップ直後において、記録材に当接する当接部材としての搬送ローラ(図示せず)を設け、これを導電化してアースに接続し、定着ローラ11に印加された電圧が、記録材を通して電流を生じることにより、トナー像と記録材裏面の間に電界を生じさせている。
【0016】
このとき、定着ローラ10の抵抗が低すぎると、安全抵抗の分担電圧が増えてしまい、定着ローラ10と転写材裏面との間の電界形成に寄与する電圧が低下するため、尾引き防止効果は低下する。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のカーボンや帯電制御剤を分散することによる定着ローラ10の抵抗値制御においては、定着ローラ10製造時の塗工溶液の粘度、pH値、カーボンや帯電制御剤の分散状態、経時変化等で、抵抗値は大きく変化し、定着ローラ10の抵抗値を一定の値に制御することには困難が生じていた。
【0018】
さらに、カーボンを少量分散しても、定着ローラ10の表面抵抗は容易に下がらず、オフセット防止効果を得られる程度に表面抵抗を低下させるためには、大量のカーボンを分散する必要があるが、カーボンを大量に分散させた場合、定着ローラ10の体積抵抗値を著しく低くしてしまう。このため、尾引き防止効果が得られず、十分な画質を確保することが困難であった。
【0019】
また特開2000−19879号公報においては、離型性層を複数層化し、各々に充填剤を分散する系が提案されているが、この構成においては、体積抵抗を適正化することはできても表面抵抗は容易には下がらないため、耐静電オフセット性についてはさらに改良すべき点を有しており、また充填剤の粉体抵抗値が低いと体積抵抗値の値も大きく変化しやすく、体積抵抗値の調整が難しい。
【0020】
このため、定着ローラ10表面の離型性層の体積抵抗を小さくせずに、表面抵抗のみを下げる方法が望まれていた。
【0021】
本発明は、上記従来の問題を解決するために、安定して表面抵抗のみを低下させ、オフセット防止性及び尾引き防止性に優れた定着部材、定着装置、及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本明細書における請求項1記載の定着部材は、定着部材及び該定着部材に圧接して定着ニップを形成するための加圧部材を有し、未定着トナー像が形成された記録材を該定着ニップ間に通過させることにより、上記未定着トナー像を記録材上に定着画像として定着させる定着装置に用いられる定着部材において、該定着部材は、導電性層及び該導電性層上に設けられる離型性層を有し、該離型性層中には、中抵抗粒子及び中抵抗ウィスカのいずれか一方又は両方が分散されており、該離型性層は、表面抵抗が1.0×108Ω以下、かつ、体積抵抗が1.0×108Ωcm以上になるように形成されていることを特徴とする定着部材に関する。
【0023】
これにより、上記離型性層に含まれる中抵抗粒子及び中抵抗ウィスカの部分がリークサイトとなって、上記定着部材の離型性層中に導電剤や帯電防止剤を分散することなく、定着部材の表面抵抗を特定の範囲に下げることができ、かつ、体積抵抗値が不必要に小さくならずに特定の範囲となるため、耐オフセット性と耐尾引き性に優れた定着部材を提供することが可能となる。
【0024】
本明細書における請求項2記載の発明は、上記中抵抗粒子及び中抵抗ウィスカは1.0×101〜1.0×1012Ωcmの粉体抵抗値を有することを特徴とする請求項1記載の定着部材である。これにより、耐オフセット性と耐尾引き性に優れた定着部材を提供するに当たり、離型性層の抵抗値を調整する上で好ましい。
【0025】
本明細書における請求項3記載の発明は、上記中抵抗粒子及び中抵抗ウィスカは1.0×103〜1.0×109Ωcmの粉体抵抗値を有することを特徴とする請求項1記載の定着部材である。これにより、耐オフセット性と耐尾引き性に優れた定着部材を提供するに当たり、離型性層の抵抗値を調整する上でより好ましい。
【0026】
本明細書における請求項記載の発明は、上記中抵抗粒子及び中抵抗ウィスカは表面に親水化処理が施されていることを特徴とする定着部材である。これにより、粒子表面近辺にイオンがトラップされ、表面抵抗をより効果的に下げることができ、耐オフセット性と耐尾引き性を両立した定着部材を提供する上でより好ましい。
【0027】
本明細書における請求項記載の発明は、上記中抵抗ウィスカは金属酸化物のウィスカであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の定着部材である。これによって、定着部材離型性層の強度を上げることができ、耐磨耗性も同時に向上することが可能となるので、耐オフセット性と耐尾引き性に優れた定着部材を提供する上でより好ましい。
【0029】
本明細書における請求項記載の発明は、上記中抵抗粒子は酸化チタン粒子であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の定着部材である。この発明によれば、請求項4に記載の発明と同様、耐オフセット性と耐尾引き性に優れた定着部材を提供する上でより好ましい
【0030】
本明細書における請求項記載の発明は、上記中抵抗粒子及び中抵抗ウィスカの上記離型性層中における含有量の総量は、上記離型性層の質量基準で5〜50質量%であることを特徴とする請求項1ないしのいずれか一項に記載の定着部材である。この発明によれば、耐オフセット性と耐尾引き性に優れた定着部材を提供するにあたり適切な表面抵抗及び体積抵抗を有する離型性層を形成する上で好ましい。
【0031】
本明細書における請求項記載の発明は、上記離型性層は該中抵抗粒子及び該中抵抗ウィスカいずれか一方又は両方とフッ素樹脂とを含有していることを特徴とする請求項1ないしのいずれか一項に記載の定着部材である。この発明によれば、耐オフセット性と耐尾引き性を両立した定着部材を提供するに当たり、離型性及び耐熱性に優れた離型性層を形成する上でより好ましい。
【0032】
本明細書における請求項記載の発明は、上記離型性層は表面抵抗が1.0×10〜1×10Ω、かつ、体積抵抗が1×10〜1.0×1015Ωcmになるように形成されていることを特徴とする請求項1ないしのいずれか一項に記載の定着部材である。この発明によれば、耐オフセット性と耐尾引き性を両立した定着部材を提供する上でより一層好ましい。
【0033】
本明細書における請求項記載の発明は、上記離型性層の層厚は1〜45μmであることを特徴とする請求項1ないしのいずれか一項に記載の定着部材である。この発明によれば、耐オフセット性と耐尾引き性を両立した定着部材を提供するに当たり、機械的強度及び伝熱性のバランスがとれた離型性層を形成する上で好ましい。
【0034】
本明細書における請求項10記載の発明は、上記離型性層の層厚は3〜30μmであることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の定着部材である。この発明によれば、耐オフセット性と耐尾引き性を両立した定着部材を提供するに当たり、機械的強度及び伝熱性のバランスがとれた離型性層を形成する上でより好ましい。
【0035】
本明細書における請求項11記載の発明は、上記定着部材がロール形状に形成されることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか一項に記載の定着部材である。この発明によれば、耐オフセット性と耐尾引き性を両立した定着部材を提供するに当たり、装置の高速化を達成する上で好ましい。
【0036】
本明細書における請求項12記載の発明は、上記定着部材がベルト又はフィルム形状に形成されることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか一項に記載の定着部材である。この発明によれば、耐オフセット性と耐尾引き性を両立した定着部材を提供するに当たり、伝熱効率のより高い定着部材を提供する上で好ましい。
【0037】
本明細書における請求項13記載の発明は、定着部材及び該定着部材に圧接して定着ニップを形成するための加圧部材とを有し、未定着トナー像が形成された記録材を該定着ニップ間に通過させることにより、上記未定着トナー像を記録材上に定着画像として定着させる定着装置において、上記定着部材が上記請求項1ないし12のいずれか一項に記載の定着部材であることを特徴とする定着装置である。この発明によれば、耐オフセット性と耐尾引き性を両立する定着装置の提供が可能となる。
【0038】
本明細書における請求項14記載の発明は、上記定着装置において、上記離型性層と上記導電性層との間に電位差を設けることを特徴とする請求項13記載の定着装置である。この発明によれば、耐オフセット性と耐尾引き性を両立する定着装置を提供する上でより一層好ましい。
【0039】
本明細書における請求項15記載の発明は、静電潜像を担持するための像担持体、該像担持体表面を帯電させるための帯電手段、帯電した像担持体表面に静電潜像を形成するための静電潜像形成手段、現像剤を有し前記形成された静電潜像を現像剤で現像してトナー像を形成するための現像手段、該トナー像を記録材上に転写するための転写手段、及び該記録材上に転写された未定着トナー像を定着して定着画像を形成するための定着装置を有する画像形成装置において、上記定着装置が上記請求項13又は14に記載の定着装置であることを特徴とする画像形成装置である。この発明によれば、耐オフセット性と耐尾引き性を両立する画像形成装置の提供が可能となる。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態についてさらに詳細に説明する。まず、本発明の定着部材について説明する。
【0041】
本発明の定着部材は、中抵抗粒子及び中抵抗ウィスカのいずれか一方又は両方を離型性層中に分散することにより、定着時において記録材に当接する離型性層の表面で絶縁破壊を起こして離型性層中にリークサイトを形成することにより離型性層の表面電位を下げ、オフセット防止効果を十分得ると共に、離型性層の体積抵抗値を所定値以上に保ち、耐尾引き性も確保することが可能な定着部材である。
【0042】
したがって定着部材は、記録材に当接して記録材上の未定着のトナー像を定着するものであれば特にその形状等については限定されず、例えば、記録材に対して離型性層が同期して運動する定着部材であっても良いし、記録材に対して離型性層が固定され摺接する定着部材であっても良い。このような定着部材の形状としては、例えばロール形状、ベルト形状、及びフィルム形状が挙げられ、定着部材の形状として従来知られている形状を用いることができる。定着部材の形状がロール形状であると、熱容量が比較的大きく高速化に有利である。定着部材の形状がベルト形状やフィルム形状であると、伝熱効率の向上から装置のエネルギー効率向上に有利である。
【0043】
前記導電性層は、良好な導電性を示すものであれば特に限定されず、導電性物質によって所定の形状に形成されたものであっても良いし、又は真空蒸着、ディッピング、スプレーコート等既知の手段によってある基体(導電性又は非導電性)上に形成される層であっても良い。このような導電性層を形成する導電性物質としては、アルミニウム、ステンレス鋼、銅等の非磁性導電性物質や、鉄等の常磁性導電性物質、さらには導電性プラスチックなどを例示することができる。なお、ここで言う層とは、重なりをなすものの一つを意味し、形状等については特に限定されない。
【0044】
前記離型性層は、中抵抗粒子及び中抵抗ウィスカのいずれか一方又は両方が内部に分散されていて、定着時に記録材に当接する最表面層である。したがって離型性層は、記録材及び記録材上のトナー像に対して優れた離型性を有することが好ましい。このような離型性層を形成するには、従来知られている樹脂化合物等を使用することができ、樹脂化合物としては、例えばポリテトラフルオロエチレン共重合体やパーフルオロアルコキシテトラフルオロエチレン共重合体のごとき良好な離型性を示すフッ素樹脂化合物を例示することができる。これらの化合物は単独で使用しても良いし、二種類以上を併用しても良い。
【0045】
離型性層の層厚は、好ましくは1〜45μm、より好ましくは3〜30μmであることが、耐久性及び定着装置の熱効率の観点から良い。離型性層の層厚が1μm以下となると、通紙を繰り返すことによって離型層の削れ、剥がれが生じやすく、耐久性の点で好ましくない。また、離型性層の層厚が45μmを超える場合、離型性層が断熱層として機能してしまい、熱効率の点で好ましくない。なお離型性層の層厚は層の形成過程において制御することができ、形成された離型性層の層厚は例えばマイクロメータ等の層厚測定装置によって測定することができる。
【0046】
前記中抵抗粒子及び中抵抗ウィスカは、離型性層表面での帯電時に絶縁破壊を生じ、中抵抗粒子及び中抵抗ウィスカが核となるリークサイトを形成する粒子又はウィスカであれば特に限定されない。このような中抵抗粒子及び中抵抗ウィスカとしては、例えば、酸化チタンや酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物や、アルミナ、チタン酸バリウム、炭化ケイ素、シリカ、ガラスビーズ等のセラミック及び、フッ化カーボン等を例示することができる。この中抵抗粒子の形状は、球状、不定形等、任意の形状を取ることができ、また、中抵抗ウィスカの形状は、針状、テトラポット形状等、二次元、三次元形状を持つもの等、任意の形状を取ることができる。
【0047】
中抵抗粒子及び中抵抗ウィスカの粉体抵抗値は、好ましくは1.0×101〜1.0×1012Ωcm、より好ましくは1.0×103〜1.0×109Ωcmであることが、リークサイトを効率的に作り、体積抵抗値と表面抵抗値を独立してコントロールする観点から良い。中抵抗粒子及び中抵抗ウィスカの粉体抵抗値が101Ωcmよりも小さい場合は、カーボン等の導電粒子と同様、表面抵抗が十分下がる程度の量の粒子を分散した際に、離型性層の体積抵抗値が著しく低くなってしまう傾向にあり、耐尾引き性の点から好ましくない。中抵抗粒子及び中抵抗ウィスカの粉体抵抗値が1012Ωcmよりも大きくなってしまう場合は、離型性層樹脂との抵抗の差が小さくなりすぎてしまい、定着ローラ表面が帯電した際にも、離型性層内で絶縁破壊が起こらず、リークサイトが効果的に形成されないため、定着ローラの表面抵抗値が十分下がらず、耐オフセット性の点から好ましくない。
【0048】
なお、中抵抗粒子及び中抵抗ウィスカの粉体抵抗値は、試料粉末を100kg/cm2の圧力で成形して、円柱状圧粉体(直径18mm、厚さ3mm)とし、その直流抵抗を測定して下記の式から求めた。
【数1】
[粉体抵抗]=[測定値]×[2.54/厚さ]
(式中、2.54は電極定数、厚さの単位はcm)
【0049】
中抵抗粒子及び中抵抗ウィスカは、少なくとも一次又は二次粒子径が、離型性層の厚みよりも大きいものが離型性層の表面電位を下げる上で好ましい。中抵抗粒子及び中抵抗ウィスカは、球形粒子よりも偏りのある形状であることが好ましく、例えば粒子の長径と短径の比であるアスペクト比(長径/短径)がおおむね10〜40であることが、好ましい。アスペクト比が10より小さい場合は球状粒子に対する優位性が小さくなり、40より大きい場合はウィスカが分散時に折れてしまうため、いずれの場合も効率よく定着部材表面電位を下げることが難しくなってしまう。
【0050】
中抵抗粒子及び中抵抗ウィスカは、表面が親水化処理されていることにより、より効率的に離型性層の表面抵抗を下げる効果が得られる。この親水化処理においては、通常の顔料酸化チタンや超微粒子酸化チタンで通常行われているのと同様、粒子表面にAl、Si、Zr、Sn、Ti、Zn等から成る群より選ばれた少なくとも一種の含水酸化物及び/又は酸化物が被覆されていてもよく、さらには脂肪酸、シリコーン化合物、ポリオール化合物等から成る群より選ばれた少なくとも一種の有機物が被覆されていても良い。また、他の親水化処理方法として、プラズマ処理、イオンビーム処理、紫外線照射処理等の物理的処理や、酸やアルカリを用いた薬品処理や有機溶媒を用いた溶剤処理等の化学的処理方法が挙げられる。本発明ではこれらの親水化処理方法の二種類以上を組み合わせて行ってもなんら問題はない。
【0051】
中抵抗ウィスカには金属酸化物のウィスカを用いることが、抵抗ウィスカの強度や粉体抵抗、上記アスペクト比を満足する形状などの観点から好ましい。さらには金属酸化物のウィスカに親水処理を施したものを用いることが前記表面抵抗を効率よく下げる観点からより好ましい。
【0052】
離型性層の形成は、導電性層上に好適な層厚の離型性層を形成することができればその方法については特に限定されず、予め所定厚に形成されたシート状又はチューブ状の離型性層を導電性層に接着又は被覆することによって行っても良いし、静電スプレーやディッピング塗工等、従来知られている工法によって、又はそれに準じて行っても良い。
【0053】
離型性層の表面抵抗及び体積抵抗は、使用される樹脂化合物等及び中抵抗粒子の種類や、中抵抗粒子の分散量等によって異なることから、離型性層を形成するに当たっては、使用される樹脂化合物の種類、使用される中抵抗粒子及び中抵抗ウィスカの種類、使用される中抵抗粒子及び中抵抗ウィスカの大きさや粒子形状等によって、好適な組み合わせ及び配合量等を適宜決定し、好適な抵抗である、表面抵抗が1.0×108Ω以下、かつ、体積抵抗が1.0×108Ωcm以上になるように離型性層を形成することが好ましい。
【0054】
中抵抗粒子及び中抵抗ウィスカの離型性層中における分散量の総量は、離型性層の質量基準で好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜40質量%の範囲で分散されることが好ましい。中抵抗粒子及び中抵抗ウィスカの分散量が上記範囲を超えた場合、リークサイトの数が多くなりすぎるため、表面抵抗のみならず、体積抵抗値にも大きな影響を与え、体積抵抗値の低下を招き、耐尾引き性の観点から好ましくなく、さらに、離型性層の表面性低下を招き、トナー付着が生じやすくなり、耐オフセット性の観点からも好ましくない。逆に中抵抗粒子及び中抵抗ウィスカの分散量が上記範囲に満たない場合は、リークサイトが十分形成されず、離型性層の表面抵抗が下がらないため、対耐オフセット性の観点から好ましくない。
【0055】
本発明において、離型性層を形成するに当たっては、例えば体積抵抗値を極端に下げない範囲で、少量のカーボンや導電性粒子などの他の化合物等を配合しても良い。
【0056】
前述した離型性層によれば、離型性層において体積抵抗に比して表面抵抗が下がり、前述したオフセット現象を防止することができる。この場合、離型性層の表面抵抗は1.0×108Ω以下であることが良く、好ましくは1.0×103〜1.0×108Ωであることが良い。また、離型性層において表面抵抗に比して体積抵抗が大きいことから、前述した尾引きを防止することができる。この場合、離型性層の体積抵抗は1.0×108Ω以上であることが良く、好ましくは、1.0×108〜1.0×1015Ωcmであることが良い。離型性層の表面抵抗及び体積抵抗が上記の条件から逸脱すると、オフセット現象及び尾引きの少なくともいずれかを防止することが困難となり、良質な画像が得られなくなる。
【0057】
なお、本発明において表面抵抗とは、離型性層表面上に単位長さ(1cm)を一辺とする正方形を考えたとき、向かい合う二つの辺間の抵抗値を言う。前記表面抵抗の単位は、慣例として「Ω/□」が用いられているが、本発明においては、JISK6911に基づき「Ω」を用いる。
【0058】
また、前記体積抵抗とは、離型性層内部に単位長さを一辺とする立方体を考えたとき、向かい合う二つの面間の抵抗値をいい、単位として「Ωcm」を用いる。
【0059】
離型性層の表面抵抗及び体積抵抗は、例えば、円盤状の主電極と、約9.5mmの間隔を有して主電極を囲むリング電極とを有する円形電極を用い、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に離型性層を形成した試料を作製した上で、この資料を円形電極に圧着し、抵抗測定装置(ヒューレットパッカード社製4329A)にて23℃、60%の環境で10Vの電圧を主電極―リング電極間に印加して測定することができる。
【0060】
本発明の定着装置は、前述した定着部材と加圧部材とを有し、これらが互いに圧接してなる定着ニップ間に、未定着トナー像が形成された記録材を通過させることにより、上記未定着トナー像を記録材上に定着画像として定着させるものである。
【0061】
定着装置は、記録材上にトナー像を定着させることができればその形態等については特に限定されず、前述したように定着時においてバイアス電圧を印加する方式や、従来より知られているヒートロール定着、フィルムを用いた定着、圧力定着等の定着方式、又はこれらの定着方式の複数を組み合わせた定着方式等を採用することができる。
【0062】
定着装置は、定着部材及び加圧部材のほかに、採用する定着方式に適した各種装置等を有することができる。このような装置等としては、例えば、定着時にトナーを記録材上に融着させるための加熱体(ヒータ)や、バイアス電圧を印加するための電源、バイアス電圧の印加を調整するための抵抗、定着装置への記録材の導入や排出を案内するための案内手段等を例示することができる。
【0063】
さらに、定着装置は、前記電源や抵抗等を用いることにより、定着部材の離型性層と導電性層との間に電位差を設ける構成を含むと、定着時において離型性層に安定して表面電位と内部電位とを発生させることができ、前述したオフセット現象や尾引きを防止する上で好ましい。
【0064】
前記加圧部材は、定着部材との間に定着ニップ部を形成し、定着部材によるトナーの記録材への定着が十分に行われる程度に、定着ニップ部における記録材を定着部材に圧接するものであれば、その形態等については特に限定されない。このような加圧部材の加圧は、例えば、コイルバネ等のバネ部材の付勢による加圧であっても良いし、樹脂化合物等によって形成されるスポンジ状弾性体の弾性による加圧であっても良い。加圧部材の加圧は、例えば、付勢手段の付勢力の調整や、定着部材との相対的な位置関係等によって調整することができる。
【0065】
本発明の画像形成装置は、前述した定着装置を有する画像形成装置であって、静電潜像を担持するための像担持体、該像担持体表面を帯電させるための帯電手段、帯電した像担持体表面に静電潜像を形成するための静電潜像形成手段、現像剤を有し前記形成された静電潜像を現像剤で現像してトナー像を形成するための現像手段、該トナー像を記録材上に転写するための転写手段、及び該記録材上に転写された未定着トナー像を定着して定着画像を形成するための定着装置を有する画像形成装置であれば、その形態等については特に限定されない。
【0066】
本発明の画像形成装置に採用される画像形成方法としては、静電潜像を現像剤によって現像してトナー像を形成し、このトナー像を記録材上に定着する方式であればよく、このような画像形成方法としては、例えば、像担持体に静電潜像を担持させ、該静電潜像を現像剤により現像してトナー像を形成し、このトナー像を記録材に転写し、記録材に転写されたトナー像を定着装置を用いて定着させる電子写真方式や、記録材上に静電潜像を形成し、該静電潜像を現像剤により現像してトナー像を形成し、このトナー像を記録材に定着させる静電記録方式等、従来より知られている画像形成方式を利用することができる。
【0067】
本発明の画像形成装置の形態としては、前述した画像形成方式を達成するのに十分な、又は好適な構成を有するものであれば良く、このような構成としては、従来知られている様々な構成を利用することができる。
【0068】
【実施例】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施例にのみ限定されるものではない。
【0069】
(第一の実施例)
本発明の第一の実施例を図1ないし図2に基づいて説明する。図1は、本実施例の画像形成装置の概略側面図である。
【0070】
本実施例の画像形成装置は、電子写真方式の画像形成装置であり、静電潜像を表面に担持する像担持体である感光ドラム1と、感光ドラム1を一様に負に帯電する帯電手段である帯電器2と、帯電された感光ドラム1に光を照射して静電潜像を形成する静電潜像形成手段である露光手段3と、感光ドラム1上に現像剤のトナーを供給して静電潜像を顕像化する現像手段としての現像装置4と、顕像化された静電潜像であるトナー像を紙等の記録材に転写する転写手段である転写ローラ6と、一対のローラからなり転写ローラ6へ記録材を挟持搬送する記録材供給手段であるレジストローラ5と、転写後に感光ドラム1上に残る転写残トナーを除去するクリーニング手段であるブレード7と、トナー像を担持した記録材を次段へ搬送する搬送系8と、トナー像を記録材に定着する定着装置20とを有している。
【0071】
図2は、本実施例におけるローラ加熱定着装置の概略図である。
定着装置20は、互いに圧接して設けられ定着ニップ部を形成する定着ローラ10及び加圧ローラ11と、定着ローラ10に電圧を印加するバイアス電源12と、電源12及び定着ローラ10の間に介在して両者を接続する抵抗13とを有している。定着ニップ部よりも上流側には、ニップ部への記録材の進入位置を決定して紙シワ等を防止する入り口ガイド板9が設けられ、定着ニップ部よりも下流側には、ニップ部から不図示の排紙トレーへと記録材を案内するための搬送ローラ16が設けられている。なお、搬送ローラ16は導電性のプラスチックによって形成されており、アースに接続されている。
【0072】
次に、定着ローラ10の構成について詳述する。
定着ローラ10は外径30mm、肉厚2mmのアルミニウム円筒10a上に、約10μm厚のフッ素樹脂の離型性層10bを有している。また、内部には加熱体として、不図示のハロゲンヒータが配設されており、所定の制御により定着ローラ10の温度が適温となるように加熱する。さらにアルミニウム円筒10aは、バイアス電源12に接続されており、バイアス電源12から−500Vの電圧を印加できる構成になっている。
【0073】
離型性層10bは、離型性に優れた性能を示すポリテトラフルオロエチレン共重合体(PTFE)、及びパーフルオロアルコキシテトラフルオロエチレン共重合体(PFA)が7:3の割合で混合して形成された層である。
【0074】
より詳しくは、離型性層10bは、PTFEおよびPFAを7:3の割合で混合し形成した水性ディスパージョン(水分散液)に、中抵抗粒子である酸化チタン粒子30質量%を混合撹拌し、上記アルミ芯金10aにディッピング塗工した後乾燥、焼き付けを行うことにより、およそ10μmの厚みに形成された層である。なお、酸化チタン粒子は、平均粒子径が0.4μmであり、表面をAl23で親水化処理した酸化チタン粒子を使用した。この酸化チタン粒子の粉体抵抗値は0.9×109Ωcmであった。
【0075】
離型性層10bは、上記酸化チタン粒子を上記共重合体中に分散することにより、定着ローラ10の表面抵抗をコントロールする。この定着ローラ10の表面抵抗値と体積抵抗値を測定したところ、表面抵抗値は、1.5×107Ω、体積抵抗値は8.2×1013Ωcmであった。
【0076】
加圧ローラ11は外径24mmで、外径12mmの芯金11a上に導電性シリコーンスポンジの弾性層11bを設け、定着に十分な熱量を与えるだけのニップを定着ローラ10に圧接することで形成するように設けられている。また、加圧ローラ11の最外層は30μm厚のPFAチューブ11cで形成され、離型性を向上させている。
【0077】
次に本実施例における画像形成装置の作動状態や作用等について説明する。
感光ドラム1は帯電器2によって一様に帯電され、露光手段3により感光ドラム1の表面には潜像が形成される。この潜像は、マイナスに帯電するトナーを用いる現像装置4により反転現像され、トナー像として可視化された後、レジストローラ5により挟持搬送された記録材上へ、転写ローラ6によって転写される。なお、この後、感光ドラム1は、ブレード7によってクリーニングされて次の画像形成工程に備える。
【0078】
一方、転写によってトナー像を担持した記録材は、搬送系8及び入り口ガイド板9を通って内部に不図示の加熱源を有する定着ローラ10と加圧ローラ11とに案内され、両ローラのニップ部にて挟持搬送されながら加熱及び加圧されてトナー像の定着が行われる。
【0079】
定着ローラ10では、前述した加熱体であるハロゲンランプが、不図示の電源からの通電により、アルミニウム円筒10a内部から記録材上のトナーを融解させるのに十分な加熱を行う。
【0080】
前述した定着ローラ10等を有する定着装置20を使用して、オフセット及び尾引きの評価を行った。尾引きの評価パターンとして、600dpiの4ドット幅の横線画像を、27ドットの間隔で繰り返し描画するテストパターンを用いた。また、オフセットの評価パターンとして、記録材の先端から150mmまでの範囲に、600dpiの4ドット幅の縦線画像を27ドットの間隔で繰り返し描画するテストパターンを用いた。さらに、実用的画像として、表と写真画像の組み合わさったパターンでの出力も行った。その結果、オフセット、尾引きともに良好な結果が得られた。このような良好な結果が得られた理由としては、離型性層10bにおける表面電位の低下と、離型性層10bにおける内部電位の維持とが考えられる。これらのメカニズムについて以下に説明する。
【0081】
本発明の定着部材において、表面電位の低下が起こる仕組みを図8を用いて詳述する。図8において、定着ローラ10の表面に電荷がたまると、離型性層10b中の中抵抗粒子と離型性層表面との間で絶縁破壊が発生し、中抵抗粒子を核としたリークサイトが形成される。これは、離型性層が1014Ωcm以上の体積抵抗を持ち、ほぼ完全な絶縁であるのに対して、中抵抗粒子は、抵抗は絶縁性よりも低く、離型性層との抵抗差を生じるのに十分低い抵抗を持っているため、電荷が中抵抗粒子部分に流れこみやすくなるためである。
【0082】
このことにより、中抵抗粒子を核とした部分で離型性層10bの表面電位が低下し、離型性層10b全体の表面電位を低下させる働きを持つ。このことが、離型性層10bの表面抵抗の低下となって現れるのである。
【0083】
この、リークサイトを作る働きをもたせるためには、中抵抗粒子の粒子径が大きい方が有利であるが、一次粒子径が小さくとも、二次粒子径が十分な大きさを持つことにより、同様の効果を得ることができる。
【0084】
中抵抗粒子に係る絶縁破壊は離型性層10bの表面において行われるため、離型性層10bの表面電位を低下させるにとどまり、離型性層10bの体積抵抗値にさほどの影響を及ぼさない。このため、離型性層10bの体積抵抗値は所定の値に保たれる。
【0085】
さらに、本実施例で使用された酸化チタン粒子は、表面を親水化処理している。この表面の親水化処理によって、粒子表面にイオンがトラップされ、電荷の移動が生じやすくなる。これがさらに表面抵抗を下げる役割を果たしている。
【0086】
(第二の実施例)
本実施例においては,中抵抗ウィスカとして、実施例1と同様に親水化処理を施した酸化亜鉛ウィスカを使用した。
【0087】
本実施において用いた酸化亜鉛ウィスカの長辺の長さは10μm、アスペクト比(長辺と短辺の長さの比)20のものを用いた。アスペクト比が大きな針状フィラーは、球形粒子よりリークサイトを形成しやすく、アスペクト比20のものであれば、球状粒子の約1/2の添加量で同等の効果が得られるため、より少量の添加で同じ効果を得ることが可能となる。
【0088】
本実施例における酸化亜鉛ウィスカの粉体抵抗値は1.8×108Ωcmであった。本実施例においては、酸化亜鉛ウィスカの分散量は15質量%とした。その他は実施例1と同様の条件で定着ローラ10を形成した。この定着ローラ10の表面抵抗値と体積抵抗値を測定したところ、表面抵抗値は9.9×107Ω、体積抵抗値は1.7×1013Ωcmであった。
【0089】
この定着ローラ10を定着装置に組み込みオフセット及び尾引きの評価を行ったところ、いずれも静電オフセットは、テストパターンにおける評価では、実施例1に比べて表面抵抗が大きくなったため若干悪化したが、実用的画像での評価では問題ないレベルであった。また、尾引きも問題ないレベルであった。
【0090】
(比較例1)
実施例1における中抵抗粒子の代わりに導電性粒子としてケッチェンブラックを離型性層中に分散した。
【0091】
本比較例においては、ケッチェンブラックの分散量は3質量%とし、その他は実施例1と同様の条件で定着ローラ10を形成した。この定着ローラ10の表面抵抗値と体積抵抗値を測定したところ、表面抵抗値は7.7×105Ω、体積抵抗値は、1.3×107Ωcmであった。なおケッチェンブラックの粉体抵抗値は1.0×100Ω未満であった。
【0092】
この定着ローラ10を定着装置に組み込みオフセット及び尾引きの評価を行ったところ、オフセットのレベルが好ましくなかった実用的画像でも認識できるレベルまで悪化した。これは、ケッチェンブラックは少量の分散で劇的に抵抗が変動するため、微小領域において、十分表面抵抗が下がらない部分があるため、全体としては、表面抵抗が低下しているように見えても、表面の一部が帯電し、トナーを引き付けてしまうためである。
【0093】
さらに、本比較例の定着ローラを使用した場合、尾引きのレベルが悪く、実用的画像においても許容できないレベルとなってしまった。これは、定着ローラ10の体積抵抗値が減少したために、安全抵抗の分担電圧が増加し、結果として、定着ローラ10と記録材裏面との間に形成される電界が弱まったためである。
【0094】
(比較例2)
比較例1と同様、導電剤としてケッチェンブラックを使用した。本比較例においては、ケッチェンブラックの分散量は1.5質量%とし、その他は実施例1と同様の条件で定着ローラ10を形成した。この定着ローラ10の表面抵抗値と体積抵抗値を測定したところ、表面抵抗値は1.2×108Ω、体積抵抗値は9.9×107Ωcmであった。
【0095】
この定着ローラを定着装置に組み込み、オフセット、尾引きのレベルを確認したところ、尾引きのレベルは許容範囲内テストパターンでは尾引きが認識できるものの、実用的画像においてはほとんど目立たないレベルであったが、オフセットのレベルが、実用的画像においても認識できるほど悪化していた。これは、ケッチェンブラックは少量でもある程度体積抵抗を下げる働きをするものの、リークサイトを形成することができないため、表面抵抗が低下せず、定着ローラ表面が帯電してしまうためである。
【0096】
(比較例3)
本比較例では、実施例1と同様の導電性基体としてのアルミニウム円筒上に、複数層構成の離型性層を形成した。図9は、本比較例の定着部材の概略断面図である。
【0097】
実施例1と同様に、中抵抗粒子である酸化チタン粒子30質量%を、PTFEおよびPFAを7:3の割合で混合し形成した水性ディスパージョン(水分散液)に混合攪拌し、上記アルミ芯金10aに40μmの厚みにディッピング塗工し乾燥、焼き付けを行って、第一離型性層10cを形成した上に、さらに酸化チタン粒子10質量%を分散した上記水性ディスパージョンに、10μmの厚みにディッピング塗工し、乾燥、焼き付けを行うことにより、第二離型性層を形成した。
【0098】
本比較例においては、第一離型性層、第二離型性層の合計で、50μmの厚みの離型性層が形成されている。本比較例の定着ローラの表面抵抗値と体積抵抗値を測定したところ、表面抵抗値は1.7×1013Ω、体積抵抗値は4.4×1014Ωcmであった。
【0099】
この定着ローラを定着装置に組み込み、オフセット、尾引きのレベルを確認したところ、尾引きのレベルは許容範囲内であり問題なかったが、オフセットのレベルが、実用的画像においても認識できるレベルまで悪化していた。これは、離型性層を二層構成としたことで、リークサイトが形成されづらくなったことに加えて、第二離型性層の酸化チタン分散量を減らしたため、表面抵抗が低下せず、定着ローラ表面が帯電してしまうためである。
【0100】
(比較例4)
離型性層の厚みを50μmに形成したことを除き、実施例1と同様の条件で定着ローラ1を形成した。この定着ローラ10の表面抵抗値と体積抵抗値を測定したところ、表面抵抗値は1.2×108Ω、体積抵抗値は、3.9×1014Ωcmであった。
【0101】
この定着ローラを定着装置に組み込み、オフセット、尾引きのレベルを確認したところ、尾引きのレベルは許容範囲内であり問題なかったが、オフセットのレベルが、実用的画像においても認識できるレベルまで悪化していた。これは、離型性層の厚みを厚くしたために、離型性層内にリークサイトができづらくなり、表面抵抗が低下せず、定着ローラ表面が帯電してしまうためである。
【0102】
以上、前述した実施例1、2及び比較例1〜4の結果をまとめると、以下の表1のようになる。
【0103】
【表1】
Figure 0004510310
【0104】
このことから、定着ローラ10に必要な特性としては、表面抵抗が108Ω以下、かつ体積抵抗が108Ωcm以上であると言える。さらに、比較例1及び2のような導電性粒子ではなく、表面抵抗値、体積抵抗値を望ましい範囲に制御することは困難であり、さらに、比較例3の二層構成の離型性層や、比較例4の厚みの大きい離型性層では、リークサイトを効果的に形成することができず、適切な表面抵抗値、体積抵抗値を得ることができない。これに対して本実施例のごとく、離型性層に中抵抗粒子又は中抵抗ウィスカを分散することにより、体積抵抗を落とさずに、表面抵抗の値を安定してコントロールすることが可能となり、耐オフセット性、耐尾引き性を両立した定着ローラの提供が可能となることがわかる。
【0105】
なお、上記の実施例及び比較例においては、定着装置として、定着ローラ中空芯金に定着バイアスを印加する構成としたが、定着バイアスを印加しない系においても、ケッチェンブラックのみ分散した離型性層を持つ定着ローラでは、通紙により微小領域の帯電がみられ、トナーが引き付けられることによるオフセットが発生するため、定着バイアスを印加しない系においても、中抵抗粒子を離型性層に分散する本発明の定着部材が、静電オフセット対策として有効であることは言うまでもない。
【0106】
(第三の実施例)
本実施例の定着装置は、特にスタンバイ時に加熱定着装置に電力を供給せず、消費電力を極力低く抑えるため、ヒータ部と加圧ローラの間にフィルムを介して記録材上のトナー像を定着するフィルム加熱定着方式による加熱定着方法を採用したことを特徴とする。
【0107】
図3にフィルム加熱方式による加熱定着装置の概略構成を示す。
本実施例の定着装置は、図3に示すように、ステイホルダー(支持体)62と、ステイホルダー62に固定支持させた加熱体(以下ヒータと記す)61と、不図示の加圧手段(定着部材に向けて付勢するスプリング等の弾性部材など)により圧接される加圧部材である加圧ローラ11と、耐熱性の定着部材である薄肉フィルム(以下定着フィルムと記す)63と、ヒータ61の温度を検知する温度検知手段64とを有し、ヒータ61と加圧ローラ11の間に定着フィルム63を挟んで所定の幅のニップ部(定着ニップ部)を形成している。
【0108】
加熱体としてのヒータ61には一般にセラミックヒータが使用される。このセラミックヒータは、例えばアルミナ等の電気絶縁性、良熱伝導性、低熱容量のセラミック基板の表面(定着フィルム63と対面する側の面)に基板長手方向(図面に垂直の方向)に沿って銀パラジューム(Ag/Pd)、窒化タンタル(Ta2N)等の通電発熱抵抗層をスクリーン印刷等で形成具備させ、さらに発熱抵抗層形成面を薄肉のガラス保護層で覆ってなるものである。
【0109】
ステイホルダ62は、例えば耐熱性プラスチック製部材より形成され、ニップと反対方向への放熱を防ぎ、ヒータ61を保持すると共に定着フィルム63の搬送ガイドも兼ねている。
【0110】
定着フィルム63は不図示の駆動手段あるいは加圧ローラ11の回転力により、定着ニップ部においてヒータ61面及び加圧ローラ11面に密着、摺動しつつ矢印の方向に搬送移動される、円筒状あるいはエンドレスベルト状、若しくはロール巻きの有端ウェブ状の部材である。定着フィルム63は、定着ニップ部においてヒータ61の熱を効率よく被加熱材としての記録材に与えるため、厚みは20〜70μmとかなり薄くしている。
【0111】
また、定着フィルム63はヒータ61に対して摺擦しながら回転するので、定着フィルムとヒータとの間の摩擦抵抗を小さく抑える必要があり、定着フィルム63及びヒータ61や、定着フィルム63に接触するおそれのあるステイホルダ62の表面の間には耐熱性の高いグリース等の潤滑剤を介在させてある。
【0112】
図4に定着フィルム63の構成を示す。
定着フィルム63はフィルム基層63a、導電性プライマ層63b、及び離型性層63cの三層で構成されており、フィルム基層63a側がヒータ側であり、離型性層63cが加圧ローラ側である。
【0113】
フィルム基層63aは絶縁性の高いポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK等であり、耐熱性、高弾性を有しており、厚み15〜60μm程度で形成され、定着フィルム63全体の引裂強度の機械的強度を保っている。
【0114】
導電性プライマ層63bは、ポリアミド樹脂とフッ素樹脂のディスパージョンを混合したものにカーボンブラックを分散し、ディッピングにて形成されており、厚みは2〜6μm程度の薄い層である。導電性プライマ層63bは、定着フィルム63と記録材裏面との間に電界を作る目的で、不図示のバイアス電源と接続され、−500Vの直流バイアスが印加される。
【0115】
離型性層63cは、実施例1と同様、PTFEおよびPFAを7:3の割合で混合した水性ディスパージョンに、実施例1と同様の親水化処理酸化チタン粒子を30質量%分散し、ディッピング塗工により形成されている。なお、この定着フィルムの表面抵抗と体積抵抗を測定したところ、表面抵抗は1.5×107Ω、体積抵抗値は8.2×1013Ωcmであった。
【0116】
ヒータ61は通電発熱抵抗層に通電されることにより通電発熱抵抗層が発熱してセラミック基板、ガラス保護層を含むヒータ全体が急速昇温する。このヒータ61の昇温がヒータ背面に設置された温度検知手段64で検知されるヒータ温度が所定のほぼ一定温度(定着温度)に維持されるように通電発熱抵抗層に対する給電を制御する。すなわちヒータ61は所定の定着温度に加熱、温調される。
【0117】
ヒータ61を所定の温度に加熱、温調させ、定着フィルム63を矢印の方向に搬送移動させた状態において、定着ニップ部の定着フィルム63と加圧ローラ11との間に被加熱材としての未定着トナー像を形成担持させた記録材を導入すると、記録材は定着フィルム63の面に密着して定着フィルム63と一緒に定着ニップ部を挟持搬送される。
【0118】
この定着ニップ部において、記録材、トナー像がヒータ61により定着フィルム63を介して加熱されて記録材上のトナー像が加熱定着され、定着ニップ部を通った記録材部分は定着フィルム63の面から剥離して搬送される。
【0119】
本定着装置を用いて、オフセットレベル及び尾引きレベルの確認を行ったところ、いずれも良好な結果が得られた。
【0120】
【発明の効果】
以上述べたように、本明細書における請求項1記載の定着部材は、導電性層と、この導電性層上に設けられる離型性層とを有し、この離型性層中には中抵抗粒子及び中抵抗ウィスカのいずれか一方又は両方が分散されて、離型性層の表面抵抗が1.0×108Ω以下、かつ体積抵抗が1.0×108Ωcm以上になるように形成されていることから、上記中抵抗粒子及び中抵抗ウィスカの部分がリークサイトとなって、上記定着部材離型性層中に導電剤や帯電防止剤を分散することなく、定着部材の表面抵抗を特定の範囲に下げることができ、かつ、体積抵抗値が不必要に小さくならずに特定の範囲となるため、耐オフセット性と耐尾引き性に優れた定着部材を提供することができる。
【0121】
本明細書における請求項2の発明は、上記中抵抗粒子及び中抵抗ウィスカは1.0×101〜1.0×1012Ωcmの粉体抵抗値を有することを特徴とする請求項1記載の定着部材であり、上記中抵抗粒子及び中抵抗ウィスカの部分がリークサイトとなって、上記定着部材離型性層中に導電剤や帯電防止剤を分散することなく、定着部材表面抵抗を下げることができ、かつ、体積抵抗値が不必要に小さくならないため、耐オフセット性と耐尾引き性に優れた定着部材を提供するに当たり、リークサイトを効率よく作り離型性層の表面抵抗及び体積抵抗を独立してコントロールする上でより効果的である。
【0122】
本明細書における請求項3の発明は、上記中抵抗粒子及び中抵抗ウィスカは1.0×103〜1.0×109Ωcmの粉体抵抗値を有することを特徴とする請求項1記載の定着部材であり、上記中抵抗粒子及び中抵抗ウィスカの部分がリークサイトとなって、上記定着部材離型性層中に導電剤や帯電防止剤を分散することなく、定着部材表面抵抗を下げることができ、かつ、体積抵抗値が不必要に小さくならないため、耐オフセット性と耐尾引き性に優れた定着部材を提供するに当たり、リークサイトを効率よく作り離型性層の表面抵抗及び体積抵抗を独立してコントロールする上でより一層効果的である。
【0123】
本明細書における請求項記載の発明は、上記中抵抗粒子及び中抵抗ウィスカは表面に親水化処理が施されていることを特徴とする定着部材であり、分散される粒子等の表面を親水化処理することにより、粒子表面近辺にイオンがトラップされ、表面抵抗をより効果的に下げることができ、耐オフセット性と耐尾引き性を両立した定着部材を提供する上でより効果的である。
【0124】
本明細書における請求項記載の発明は、上記中抵抗ウィスカは金属酸化物のウィスカであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の定着部材であり、金属酸化物のウィスカを用いることにより、定着部材離型性層の強度を上げることができ、耐磨耗性も同時に向上することから、耐オフセット性と耐尾引き性に優れた定着部材を提供する上でより効果的である。
【0126】
本明細書における請求項記載の発明は、上記中抵抗粒子は表面に親水化処理が施された酸化チタン粒子であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の定着部材であり、本明細書における請求項に記載の発明と同様、耐オフセット性と耐尾引き性に優れた定着部材を提供する上でより一層効果的である。
【0127】
本明細書における請求項記載の発明は、上記中抵抗粒子及び中抵抗ウィスカの上記離型性層中における含有量の総量は、上記離型性層の質量基準で5〜50質量%であることを特徴とする請求項1ないしのいずれか一項に記載の定着部材であり、耐オフセット性と耐尾引き性を両立した定着部材を提供する上でより一層効果的である。
【0128】
本明細書における請求項記載の発明は、上記離型性層は、該中抵抗粒子及び該中抵抗ウィスカのいずれか一方又は両方とフッ素樹脂とを含有していることを特徴とする請求項1ないしのいずれか一項に記載の定着部材であり、耐オフセット性と耐尾引き性を両立した定着部材を提供するにあたり離型性及び耐熱性を向上させる上でより一層効果的である。
【0129】
本明細書における請求項記載の発明は、上記離型性層は表面抵抗が1.0×10〜1.0×10Ω、かつ体積抵抗が1.0×10〜1.0×1015Ωcmになるように形成されていることを特徴とする請求項1ないしのいずれか一項に記載の定着部材であり、耐オフセット性と耐尾引き性を両立した定着部材を提供する上でより一層効果的である。
【0130】
本明細書における請求項記載の発明は、上記離型性層の層厚は1〜45μmであることを特徴とする請求項1ないしのいずれか一項に記載の定着部材であり、耐オフセット性と耐尾引き性を両立した定着部材を提供するにあたり耐久性及び定着装置の熱効率を両立させる上でより効果的である。
【0131】
本明細書における請求項10記載の発明は、上記離型性層の層厚は3〜30μmであることを特徴とする請求項1ないしのいずれか一項に記載の定着部材であり、耐オフセット性と耐尾引き性を両立した定着部材を提供するにあたり熱効率が良く装置の小型化により有利な定着装置を構成する上でより一層効果的である。
【0132】
本明細書における請求項11記載の発明は、上記定着部材がロール形状に形成されることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか一項に記載の定着部材であり、耐オフセット性と耐尾引き性を両立した定着部材を提供するにあたり装置の高速化を達成する上でより一層効果的である。
【0133】
本明細書における請求項12記載の発明は、上記定着部材がベルト又はフィルム形状に形成されることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか一項に記載の定着部材であり、耐オフセット性と耐尾引き性を両立した定着部材を提供するにあたり伝熱効率のより高い定着部材を提供する上でより一層効果的である。
【0134】
本明細書における請求項13記載の発明は、定着部材及び該定着部材に圧接して定着ニップを形成するための加圧部材を有し、未定着トナー像が形成された記録材を該定着ニップ間に通過させることにより、上記未定着トナー像を記録材上に定着画像として定着させる定着装置において、上記定着部材が上記請求項1ないし12のいずれか一項に記載の定着部材であることを特徴とする定着装置であり、上記定着部材を有することにより、耐オフセット性と耐尾引き性を両立する定着装置を提供することができる。
【0135】
本明細書における請求項14記載の発明は、上記定着装置において、上記離型性層と上記導電性層との間に電位差を設けることを特徴とする請求項13記載の定着装置であり、耐オフセット性と耐尾引き性を両立する定着装置を提供する上でより一層効果的である。
【0136】
本明細書における、請求項15記載の発明は、静電潜像を担持するための像担持体、該像担持体表面を帯電させるための帯電手段、帯電した像担持体表面に静電潜像を形成するための静電潜像形成手段、現像剤を有し前記形成された静電潜像を現像剤で現像してトナー像を形成するための現像手段、該トナー像を記録材上に転写するための転写手段、及び該記録材上に転写された未定着トナー像を定着して定着画像を形成するための定着装置を有する画像形成装置において、上記定着装置が上記請求項13又は14に記載の定着装置であることを特徴とする画像形成装置であり、上記定着装置を有することにより、耐オフセット性と耐尾引き性を両立する画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施例における画像形成装置の概略側面図である。
【図2】本発明の第一の実施例における定着装置の概略図である。
【図3】本発明の第三の実施例におけるフィルム定着装置を示す概略図である。
【図4】本発明の第三の実施例における定着フィルムの断面図である。
【図5】従来の画像形成装置の一例を示す概略図である。
【図6】尾引き発生メカニズムを説明する図である。
【図7】従来の画像形成装置における定着装置の他例を示す概略図である。
【図8】第一の実施例における定着ローラの表面電位の低下メカニズムを説明する図である。
【図9】第三の比較例における定着ローラの断面図である。
【符号の説明】
1 感光ドラム
2 帯電器
3 露光手段
4 現像装置
5 レジストローラ
6 転写ローラ
7 ブレード
8 搬送系
9 入り口ガイド板
10 定着ローラ
10a アルミニウム円筒(定着ローラ芯金)
10b 離型性層
11 加圧ローラ
11a 芯金
11b 弾性層
11c PFAチューブ
12 バイアス電源
13 抵抗
16 搬送ローラ
20 定着装置
61 加熱体
62 ステイホルダー
63 薄肉フィルム(定着フィルム)
63a フィルム基層
63b 導電性プライマ層
63c 離型性層
64 温度検知手段

Claims (15)

  1. 定着部材及び該定着部材に圧接して定着ニップを形成するための加圧部材を有し、未定着トナー像が形成された記録材を該定着ニップ間に通過させることにより、上記未定着トナー像を記録材上に定着画像として定着させる定着装置に用いられる定着部材において、
    該定着部材は、導電性層及び該導電性層上に設けられる離型性層を有し、
    該離型性層中には、中抵抗粒子及び中抵抗ウィスカのいずれか一方又は両方が分散されており、
    該中抵抗粒子及び中抵抗ウィスカは表面に親水化処理が施されており、
    該離型性層は、表面抵抗が1.0×10Ω以下、かつ体積抵抗が1.0×10Ωcm以上になるように形成されていることを特徴とする定着部材。
  2. 上記中抵抗粒子及び中抵抗ウィスカは1.0×10〜1.0×1012Ωcmの粉体抵抗値を有することを特徴とする請求項1記載の定着部材。
  3. 上記中抵抗粒子及び中抵抗ウィスカは1.0×10〜1.0×10Ωcmの粉体抵抗値を有することを特徴とする請求項1記載の定着部材。
  4. 上記中抵抗ウィスカは金属酸化物のウィスカであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の定着部材。
  5. 上記中抵抗粒子は酸化チタン粒子であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の定着部材。
  6. 上記中抵抗粒子及び中抵抗ウィスカの上記離型性層中における含有量の総量は、上記離型性層の質量基準で5〜50質量%であることを特徴とする請求項1ないしのいずれか一項に記載の定着部材。
  7. 上記離型性層は、該中抵抗粒子及び該中抵抗ウィスカのいずれか一方又は両方とフッ素樹脂とを含有していることを特徴とする請求項1ないしのいずれか一項に記載の定着部材。
  8. 上記離型性層は、表面抵抗が1.0×10〜1.0×10Ω、かつ体積抵抗が1.0×10〜1.0×1015Ωcmになるように形成されていることを特徴とする請求項1ないしのいずれか一項に記載の定着部材。
  9. 上記離型性層の層厚は1〜45μmであることを特徴とする請求項1ないしのいずれか一項に記載の定着部材。
  10. 上記離型性層の層厚は3〜30μmであることを特徴とする請求項1ないしのいずれか一項に記載の定着部材。
  11. 上記定着部材がロール形状に形成されることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか一項に記載の定着部材。
  12. 上記定着部材がベルト又はフィルム形状に形成されることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか一項に記載の定着部材。
  13. 定着部材及び該定着部材に圧接して定着ニップを形成するための加圧部材とを有し、未定着トナー像が形成された記録材を該定着ニップ間に通過させることにより、上記未定着トナー像を記録材上に定着画像として定着させる定着装置において、上記定着部材が上記請求項1ないし12のいずれか一項に記載の定着部材であることを特徴とする定着装置。
  14. 上記定着装置において、上記離型性層と上記導電性層との間に電位差を設けることを特徴とする請求項13記載の定着装置。
  15. 静電潜像を担持するための像担持体、該像担持体表面を帯電させるための帯電手段、帯電した像担持体表面に静電潜像を形成するための静電潜像形成手段、現像剤を有し前記形成された静電潜像を現像剤で現像してトナー像を形成するための現像手段、該トナー像を記録材上に転写するための転写手段、及び該記録材上に転写された未定着トナー像を定着して定着画像を形成するための定着装置を有する画像形成装置において、上記定着装置が上記請求項13又は14に記載の定着装置であることを特徴とする画像形成装置。
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