本発明の一実施形態について図1ないし図13に基づいて説明すると以下の通りである。すなわち、本実施形態に係る画像表示装置(表示装置)1は、前回から今回への階調遷移を強調することによって、画素の応答速度を向上させているにも拘わらず、ノイズに起因する表示品質の低下が防止可能な画像表示装置1である。
当該画像表示装置1のパネル11は、図2に示すように、マトリクス状に配された画素PIX(1,1) 〜PIX(n,m) を有する画素アレイ2と、画素アレイ2のデータ信号線SL1〜SLnを駆動するデータ信号線駆動回路3と、画素アレイ2の走査信号線GL1〜GLmを駆動する走査信号線駆動回路4とを備えている。また、画像表示装置1には、両駆動回路3・4へ制御信号を供給する制御回路12と、入力される映像信号に基づいて、上記階調遷移を強調するように、上記制御回路12へ与える映像信号を変調する変調駆動処理部21とが設けられている。なお、これらの回路は、電源回路13からの電力供給によって動作している。
以下では、変調駆動処理部21の詳細構成について説明する前に、画像表示装置1全体の概略構成および動作を説明する。また、説明の便宜上、例えば、i番目のデータ信号線SLiのように、位置を特定する必要がある場合にのみ、位置を示す数字または英字を付して参照し、位置を特定する必要がない場合や総称する場合には、位置を示す文字を省略して参照する。
上記画素アレイ2は、複数(この場合は、n本)のデータ信号線SL1〜SLnと、各データ信号線SL1〜SLnに、それぞれ交差する複数(この場合は、m本)の走査信号線GL1〜GLmとを備えており、1からnまでの任意の整数および1からmまでの任意の整数をjとすると、データ信号線SLiおよび走査信号線GLjの組み合わせ毎に、画素PIX(i,j) が設けられている。
本実施形態の場合、各画素PIX(i,j) は、隣接する2本のデータ信号線SL(i-1) ・SLiと、隣接する2本の走査信号線GL(j-1) ・GLjとで囲まれた部分に配されている。
一例として、画像表示装置1が液晶表示装置の場合について説明すると、上記画素PIX(i,j) は、例えば、図3に示すように、スイッチング素子として、ゲートが走査信号線GLjへ、ドレインがデータ信号線SLiに接続された電界効果トランジスタSW(i,j) と、当該電界効果トランジスタSW(i,j) のソースに、一方電極が接続された画素容量Cp(i,j) とを備えている。また、画素容量Cp(i,j) の他端は、全画素PIX…に共通の共通電極線に接続されている。上記画素容量Cp(i,j) は、液晶容量CL(i,j) と、必要に応じて付加される補助容量Cs(i,j) とから構成されている。
上記画素PIX(i,j) において、走査信号線GLjが選択されると、電界効果トランジスタSW(i,j) が導通し、データ信号線SLiに印加された電圧が画素容量Cp(i,j) へ印加される。一方、当該走査信号線GLjの選択期間が終了して、電界効果トランジスタSW(i,j) が遮断されている間、画素容量Cp(i,j) は、遮断時の電圧を保持し続ける。ここで、液晶の透過率あるいは反射率は、液晶容量CL(i,j) に印加される電圧によって変化する。したがって、走査信号線GLjを選択し、当該画素PIX(i,j) への映像データDに応じた電圧をデータ信号線SLiへ印加すれば、当該画素PIX(i,j) の表示状態を、映像データDに合わせて変化させることができる。
本実施形態に係る上記液晶表示装置は、液晶セルとして、垂直配向モードの液晶セル、すなわち、電圧無印加時には、液晶分子が基板に対して略垂直に配向し、画素PIX(i,x) の液晶容量CL(i,j) への印加電圧に応じて、液晶分子が垂直配向状態から傾斜する液晶セルを採用しており、当該液晶セルをノーマリブラックモード(電圧無印加時には、黒表示となるモード)で使用している。
上記構成において、図2に示す走査信号線駆動回路4は、各走査信号線GL1〜GLmへ、例えば、電圧信号など、選択期間か否かを示す信号を出力している。また、走査信号線駆動回路4は、選択期間を示す信号を出力する走査信号線GLjを、例えば、制御回路12から与えられるクロック信号GCKやスタートパルス信号GSPなどのタイミング信号に基づいて変更している。これにより、各走査信号線GL1〜GLmは、予め定められたタイミングで、順次選択される。
さらに、データ信号線駆動回路3は、映像信号DATとして、時分割で入力される各画素PIX…への映像データD…を、所定のタイミングでサンプリングすることで、それぞれ抽出する。さらに、データ信号線駆動回路3は、走査信号線駆動回路4が選択中の走査信号線GLjに対応する各画素PIX(1,j) 〜PIX(n,j) へ、各データ信号線SL1〜SLnを介して、それぞれへの映像データD…に応じた出力信号を出力する。
なお、データ信号線駆動回路3は、制御回路12から入力される、クロック信号SCKおよびスタートパルス信号SSPなどのタイミング信号に基づいて、上記サンプリングタイミングや出力信号の出力タイミングを決定している。
一方、各画素PIX(1,j) 〜PIX(n,j) は、自らに対応する走査信号線GLjが選択されている間に、自らに対応するデータ信号線SL1〜SLnに与えられた出力信号に応じて、発光する際の輝度や透過率などを調整して、自らの明るさを決定する。
ここで、走査信号線駆動回路4は、走査信号線GL1〜GLmを順次選択している。したがって、画素アレイ2の全画素PIX(1,1) 〜PIX(n,m) を、それぞれへの映像データDが示す明るさに設定でき、画素アレイ2へ表示される画像を更新できる。
なお、上記画像表示装置1において、映像信号源S0から変調駆動処理部21へ与えられる映像信号DATは、フレーム単位(画面全体単位)で伝送されていてもよいし、1フレームを複数のフィールドに分割すると共に、当該フィールド単位で伝送されていてもよいが、以下では、一例として、フィールド単位で伝送される場合について説明する。
すなわち、本実施形態において、映像信号源S0から変調駆動処理部21へ与えられる映像信号DATは、1フレームを複数のフィールド(例えば、2フィールド)に分割すると共に、当該フィールド単位で伝送されている。
より詳細には、映像信号源S0は、映像信号線VLを介して、画像表示装置1の変調駆動処理部21に映像信号DATを伝送する際、あるフィールド用の映像データを全て伝送した後に、次のフィールド用の映像データを伝送するなどして、各フィールド用の映像データを時分割伝送している。
また、上記フィールドは、複数の水平ラインから構成されており、上記映像信号線VLでは、例えば、あるフィールドにおいて、ある水平ライン用の映像データ全てが伝送された後に、次に伝送する水平ライン用の映像データを伝送するなどして、各水平ライン用の映像データが時分割伝送されている。
なお、本実施形態では、2フィールドから1フレームを構成しており、偶数フィールドでは、1フレームを構成する各水平ラインのうち、偶数行目の水平ラインの映像データが伝送される。また、奇数フィールドでは、奇数行目の水平ラインの映像データが伝送される。さらに、上記映像信号源S0は、1水平ライン分の映像データを伝送する際も上記映像信号線VLを時分割駆動しており、予め定められた順番で、各映像データが順次伝送される。
ここで、図1に示すように、本実施形態に係る変調駆動処理部21は、入力端子T1から入力される映像データD(i,j,k) を1フレーム分蓄積するフレームメモリ31と、上記入力端子T1から入力される現フレームFR(k) の映像データD(i,j,k) 、および、当該映像データD(i,j,k) と同じ画素PIX(i,j) へ供給すべき映像データであって、しかも、上記フレームメモリ31から読み出した前フレームFR(k-1) の映像データD(i,j,k-1) に基づいて、両者間の階調遷移を強調するように、現フレームFR(k) の映像データD(i,j,k) を変調した補正映像データD2(i,j,k) を出力する変調処理部(第1補正手段)32と、変調処理部32が出力する補正映像信号DAT2に対して、空間フィルタリング処理を行って、空間領域における高周波成分を抑制する空間フィルタリング処理部(判定手段;第2補正手段)33とを備えている。また、空間フィルタリング処理部33が出力する映像信号DAT3は、図2に示す制御回路12へ与えられ、データ信号線駆動回路3は、補正映像信号DAT3に基づいて、各画素PIX(i,j) を駆動する。
上記構成では、ある画素PIX(i,j) への映像データD3(i,j,k) を生成する際、最初に、変調処理部32は、前フレームFR(k-1) の映像データD(i,j,k-1) から、現フレームFR(k) の映像データD(i,j,k) への階調遷移を強調して、補正映像データD2(i,j,k) を生成している。次に、空間フィルタリング処理部33は、各画素PIXへの補正映像データD2からなる補正映像信号DAT2のうち、空間領域における高周波成分を抑制して、映像信号DAT3を生成する。
したがって、補正映像信号DAT2のうち、空間周波数が十分低い部分では、補正映像データD2(i,j,k) が、そのまま映像データD3(i,j,k) として出力されるので、映像データD3(i,j,k) では、前回から今回への階調遷移が強調されている。この結果、当該映像データD3(i,j,k) によって駆動される画素PIX(i,j) は、十分な速度で応答できる。
ところで、映像データD(i,j,k) は、時間的にも空間的にも連続していることが多いのに対して、ノイズは、時間的にも空間的にも孤立していることが多く、より高い空間周波数成分を有している。したがって、変調駆動処理部21へ入力される映像データD(i,j,k) にノイズが混入すると、前フレームFR(k-1) の映像データD(i,j,k-1) から映像データD(i,j,k) の階調遷移は、多くの場合、通常よりも大きくなる。
さらに、変調処理部32は、前回から今回への階調遷移を強調している。したがって、変調処理部32が出力する補正映像データD2(i,j,k) には、より大きな階調遷移が顕れてしまう。一方、通常の映像信号(ノイズが含まれていない映像信号)は、時間的にも空間的にも連続していることが多いため、ノイズが混入していない映像データDを補正して生成した補正映像データD2では、ノイズが混入した補正映像データD2(i,j,k) と比較して階調遷移が余り強調されていない。したがって、補正映像信号DAT2では、ノイズが混入した補正映像データD2(i,j,k) の階調レベルが突出してしまう。
ところが、本実施形態では、変調処理部32の後段に空間フィルタリング処理部33が設けられている。したがって、補正映像信号DAT2において、ノイズの混入した補正映像データD2(i,j,k) の階調レベルが突出し、補正映像データD2(i,j,k) における空間周波数が高くなっていたとしても、当該高周波成分は、空間フィルタリング処理部33によって抑制される。この結果、空間フィルタリング処理部33が出力する映像信号DAT3において、映像データD3(i,j,k) の階調レベルが突出する程度を弱めることができる。
この結果、ノイズが混入していない通常の映像信号DATに対しては、画素PIX(i,j) が十分高速に応答できるにも拘わらず、ノイズが混入した箇所では、階調遷移の不所望な強調を防止でき、表示画像からノイズの影響を除去できる。この結果、全体的には、高速に応答できるにも拘わらず、瞬間的な輝点や補色点の発生を防止でき、落ち着いた映像を表示できる画像表示装置を実現できる。
また、上記構成では、空間フィルタリング処理部33が変調処理部32の後段に設けられているので、変調処理部32によってノイズに起因する階調遷移が強調された後の補正映像信号DAT2に基づいて、ノイズを除去できる。
より詳細には、変調処理部32は、階調遷移を強調しているので、補正映像信号DAT2において、ノイズが混入した箇所の空間周波数と、ノイズが混入していない箇所の空間周波数との差は、映像信号DATにおける両空間周波数の差に比べて拡大されている。したがって、変調処理部32の前段に設けられている構成と比較して、本実施形態に係る空間フィルタリング処理部33は、映像信号DATにおける上記両空間周波数の差がより小さい場合でも確実に、表示画像からノイズの影響を除去できる。
以下では、空間フィルタリング処理部33として、左右の補正映像データD2を見て、ピークをカットするフィルタを採用した場合を例にして、空間フィルタリング処理部33を取り除いた構成や変調処理部32の前段に設けた構成と比較しながら、ノイズが混入したときの変調駆動処理部21の動作を説明する。
まず最初に、ある水平ラインL(j) へ、フレームFR(k) 、FR(k+1) およびFR(k+2) において、それぞれ、図4に示す映像データD(*,j,k) 、D(*,j,k+1) およびD(*,j,k+2) が順次与えられた場合を例にして説明する。なお、図4〜図11では、横軸が、各映像データに対応する画素PIX(i,j) の水平ラインL(j) 上の位置iを示しており、縦軸が各映像データの階調レベルを示している。
図4の例では、フレームFR(k) において、略同じ階調レベルの映像データD(*,j,k) が与えられた後、次のフレームFR(k+1) では、基本的には、当該映像データD(*,j,k) よりも低い階調レベルに保たれた映像データD(i,j,k+1) が与えられ、さらに次のフレームFR(k+2) では、上記映像データD(*,j,k) よりも高い階調レベルに保たれた映像データD(*,j,k+2) が与えられている。ただし、フレームFR(k+1) では、特定位置(i=p)の映像データD(p,j,k+1) にノイズが混入しており、本来、他の位置と略同じであるべき映像データD(p,j,k+1) の階調レベルが一段と低くなっている。
上記映像データが入力された場合、変調処理部32は、前フレームから現フレームへの階調遷移を強調するので、各フレームFR(k) 、FR(k+1) およびFR(k+2) において、それぞれ、図5に示す補正映像データD2(*,j,k) 、D2(*,j,k+1) およびD2(*,j,k+2) を出力する。
ここで、補正映像信号DAT2は、変調処理部32によって階調遷移が強調されている。したがって、フレームFR(k+1) において、補正映像データD2(*,j,k+1) の階調レベルは、補正前の映像データD(*,j,k-1+1) のレベルよりも低くなる。また、階調遷移によって、ノイズに起因する階調レベルの変化量、すなわち、特定位置の補正映像データD(p,j,k+1) と他の位置の補正映像データD2(i,j,k+1) とのレベル差は、補正前のレベル差よりも大きくなっている。
さらに、フレームFR(k+2) には、ノイズが混入されていないにも拘わらず、前フレームFR(k+1) の映像データD(p,j,k+1) にノイズが混入しているので、当該フレームFR(k+2) の映像データD(p,j,k+2) の階調レベルは、他の位置の補正映像データD2(i,j,k+2) よりも一段と高くなっている。また、階調遷移によって、ノイズに起因する階調レベルのレベル差は、補正前のレベル差よりも大きくなっている。
このように、補正映像信号DAT2では、ノイズが混入したフレームFR(k+1) だけではなく、その次のフレームFR(k+2) にもノイズに起因する階調レベルの変化が顕れ、その変化量(レベル差)は、映像信号DATに混入したノイズのレベル差よりも大きくなっている。したがって、比較例として、空間フィルタリング処理部33を設けず、変調処理部32の出力する補正映像信号DAT2を制御回路12に与える構成では、映像信号DATに混入したノイズによって、画像表示装置が表示する画像に、より長い期間、かつ、より大きな影響が現れ、画像表示装置の表示品質を大きく低下させてしまう。
さらに、上記のように、映像信号DATのあるフレームFR(k+1) にノイズが混入すると、補正映像信号DAT2では、当該ノイズによって、フレームFR(k+1) と、その次のフレームFR(k+2) とに、互いに異なる方向のレベル変化が顕れる。したがって、応答速度が遅く、階調遷移を強調しても、画素PIXが所望の階調レベルに到達できなかった場合、次のフレームFR(k+2) において、前々フレームFR(k) から前フレームFR(k+1) へ十分に階調遷移できたと見なして階調遷移を強調すると、適切に階調遷移を強調できず、さらに、画像表示装置の表示品質を低下させる虞れがある。
具体的には、図12に示すように、前々回から今回までの階調遷移がディケイ→ライズの場合、図中、破線で示すように、前々回から前回への階調遷移が十分ではなく、前フレームFR(k+1) の開始時点における輝度レベルが十分に低下していないにも拘わらず、現フレームFR(k+2) において、十分に階調遷移した場合(図中、一点鎖線)と同様に画素を駆動すると、階調遷移を強調し過ぎて、白光りが発生してしまう。
また、図13中、実線で示すように、前々回から今回への階調遷移がライズ→ディケイの場合、図中、破線で示すように、前々回から前回への階調遷移が十分ではなく、前フレームFR(k+1) の開始時点における輝度レベルが十分に上昇していないにも拘わらず、現フレームFR(k+2) において、十分に階調遷移した場合(図中、一点鎖線)と同様に画素を駆動すると、階調遷移を強調し過ぎて、黒沈みが発生してしまう。
したがって、図5に示す補正映像信号DAT2が制御回路12に与えられると、フレームFR(k) からフレームFR(k+2) までにおける画素PIX(p,j) の階調遷移がディケイ→ライズであるため、画素PIX(p,j) の応答速度が十分ではないと、フレームFR(k+2) において、画素PIX(p,j) の階調遷移を強調し過ぎて白光りが発生してしまう。なお、図5では、画素PIX(p,j) への映像データD(i,j,k+1) に、下方向(階調レベルを下げる方向)のノイズが混入している場合を例にして説明したが、上方向(階調レベルを上げる方向)のノイズが混入している場合には、黒沈みが発生する虞れがある。
これに対して、本実施形態に係る変調駆動処理部21では、変調処理部32の後段に空間フィルタリング処理部33が配されており、空間フィルタリング処理部33は、各補正映像データD2について、左右の補正映像データD2を見て、ピークをカットすることによって、図6に示すように、補正映像データD2(p,j,k+1) における変化がカットされた映像データD3(*,j,k+1) を生成する。
これにより、本実施形態に係る映像信号DAT3では、フレームFR(k+1) における映像データD3(*,j,k+1) が略一定の階調レベルに保たれる。なお、フレームFR(k+1) において映像信号DAT3からノイズの影響が除去されているので、図5の場合と異なり、フレームFR(k+2) でもノイズの影響が顕れない。
これらの結果、映像信号DATでは、フレームFR(k+1) にノイズが混入しているにも拘わらず、画像表示装置1が表示する画像には、ノイズに起因する階調レベル変化が発生せず、画像表示装置1の表示品質を高いレベルに維持できる。
ところで、図4に示す例では、映像信号DATと補正映像信号DAT2との双方において、ノイズが混入している箇所(1画素)の空間周波数は、ノイズが混入していない箇所の空間周波数よりも大幅に高くなっている。したがって、空間フィルタリング処理部33を変調処理部32よりも前に配置して、映像信号DATから、ノイズに起因する空間領域の高周波成分を除去した後の映像信号DAT5を変調駆動処理部21へ入力する構成であっても、図7に示すように、変調処理部32が出力する補正映像データD2(*,j,k) 、D2(*,j,k+1) およびD2(*,j,k+2) から、ノイズに起因する階調遷移を除去できる。
ところが、例えば、図8に示すように、ノイズによって、図4と比較して比較的穏やかなグラデーションを含む階調遷移が引き起こされた場合は、図9および図10に示すように、空間フィルタリング処理部33を除去した構成や、変調駆動処理部21よりも前に配置した構成では、当該ノイズを除去することが難しい。
具体的には、図8の例では、フレームFR(k) では、映像データD(*,j,k) が略一定レベルに保たれているが、フレームFR(k+1) では、ノイズの混入によって、映像データD(*,j,k+1) は、特定位置(i=p) の映像データD(p,j,k+1) を下方向のピークとして、左側の領域(i <p の領域)では、iの増加に伴なって、映像データD(i,j,k+1) が略一定の勾配で減少し、右側の領域(i>p の領域)では、略一定の勾配で増加している。また、フレームFR(k+2) では、ノイズの混入によって、映像データD(*,j,k+1) は、特定位置(i=p) の映像データD(p,j,k+2) を上方向のピークとして、左側の領域では、iの増加に伴なって、映像データD(i,j,k+1) が略一定の勾配で増加し、右側の領域では、略一定の勾配で減少している。
このような映像信号DATが入力された場合、変調処理部32は、各フレームFR(k) 、FR(k+1) およびFR(k+2) において、それぞれ、図9に示す補正映像データD2(*,j,k) 、D2(*,j,k+1) およびD2(*,j,k+2) を出力する。
ここで、補正映像信号DAT2は、変調処理部32によって階調遷移が強調されている。したがって、フレームFR(k+1) において、補正映像データD2(*,j,k+1) の階調レベルは、補正前の映像データD(*,j,k-1+1) のレベルよりも低くなる。
また、変調処理部32は、階調遷移の強調によって、映像信号DATの空間領域のピークを先鋭化させようとする。ところが、一般に、補正映像データD2の階調レベルは、例えば、階調遷移を強調する程度は、駆動回路の回路構成や画素の駆動方法、あるいは、映像信号として表現可能な階調レベルの範囲などによって、予め定める範囲に制限されており、図9では、一例として、補正映像データD2の階調レベルの下限値がTAに制限されている場合を図示している。
したがって、変調処理部32は、映像信号DATを十分には、先鋭化させることができず、補正映像データD2(*,j,k+1) は、特定位置の近傍の領域(p1<p<p2 の領域)において概ね下限値TAとなり、それよりも左側の領域では、iの増加に伴なって、映像信号DATと略程度の勾配で減少し、右側の領域では、映像信号DATと略同程度の勾配で増加する。
同様に、フレームFR(k+2) においても、変調処理部32は、階調遷移を強調して、補正映像信号DAT2を生成している。ただし、図9の例では、補正映像信号DATの示す階調レベルが下限値付近の場合を示しており、変調処理部32は、映像信号DATの空間領域のピークを十分に先鋭化させることができる。したがって、補正映像データD2(*,j,k+2) の階調レベルは、補正前の映像データD(*,j,k-1+2) のレベルよりも高く、かつ、より急峻に変化する。特に、図9の例では、上述したように、フレームFR(k+1) の映像データD(*,j,k) は、空間領域において、上記特定位置(i=p)の近傍の領域が底となるように変化しているので、フレームFR(k+2) における映像データD(*,j,k+2) は、より急峻に変化している。この結果、比較例として、補正映像信号DAT2を制御回路12へ与える構成では、図中、Eに示す領域において、ノイズによる階調遷移が視認されてしまう。
ここで、図8の例では、映像信号DATに混入するノイズの空間周波数が、図4の場合よりも低く、ノイズに起因する階調レベルの変化がグラデーション状になっている。このように、ノイズの空間周波数が映像信号DATに近い場合は、他の比較例として、変調処理部32の前に、空間フィルタリング処理部33を配した構成では、空間フィルタリング処理部33が映像信号DATからノイズを除去できない虞れがある。図10では、ノイズを除去できなかった場合を図示しており、図9の場合と同様に、ノイズによる階調遷移が視認されてしまう。
特に、図9および図10の例では、特定位置の近傍の領域(p1<p<p2 の領域)において、補正映像データD2(*,j,k+2) の階調レベルが下限値に飽和している。したがって、図9および図10に示す信号が入力され、図12に示すように、応答速度の不足によって白光りが発生すると、図14に示すように、上記特定位置の近傍の領域全域に渡って、各画素PIXの階調レベルが、映像データDの示す階調レベルを超過し、当該領域全域に渡って白光りが目立つことになる。
ここで、ノイズを除去できる程度に強いフィルタリング処理を変調処理部32の前に配した空間フィルタリング処理部33が行うと、ノイズを除去できたとしても、通常の映像信号DATにおいて、空間領域の高周波成分を除去することになり、画像の先鋭感を損なう虞れがある。
これに対して、本実施形態に係る空間フィルタリング処理部33は、変調処理部32の後に配置されているので、ノイズの空間周波数が通常の映像信号DATの空間周波数に近い場合であっても、両者の差が変調処理部32によって拡大された後に、フィルタリング処理する。したがって、空間フィルタリング処理部33が図10の場合と同程度の強さのフィルタリング処理をしている場合であっても、図11に示すように、映像データD3(*,j,k+2) の空間領域における変化は、図10に示す映像データD2(*,j,k+2) よりも緩やかになっている。したがって、前に設ける比較例よりも弱いフィルタリング処理によって、ノイズを除去でき、図14に示すような広範囲に渡る白光りの発生を防止できる。この結果、当該比較例と比較して、画像の先鋭感を損なうことなく、ノイズに起因する階調遷移を除去できる。
以下では、空間フィルタリング処理部33の構成例について説明する。第1の構成例は、エリアの平均値に対し、飛び抜けて異常な値を示すものをピックアップし、平均値に戻す構成である。
より詳細には、空間フィルタリング処理部33は、ある画素PIX(i,j) の映像データD3(i,j,k) を生成するとき、当該画素PIX(i,j) を中心に、縦2a+1ドット、横2a+1ドットの正方形の領域{(i−a,j−a)−(i+a,j+a)}を、判定エリアとする。また、各映像データD2およびD3が示す階調レベルを同じ参照符号で示し、異常判定の閾値をCとするとき、空間フィルタリング処理部33は、以下に示すように、
abs(average(D2(x,y,k):(x=i-a..i+a,y=j-a..j+a))-D2(i,j,k)) < C の場合、
D3(i,j,k) =D2(i,j,k)
に設定し、
abs(average(D2(x,y,k):(x=i-a..i+a,y=j-a..j+a))-D2(i,j,k)) >=C の場合、
D3(i,j,k) = average(D2(x,y,k):(x=i-a..i+a,y=j-a..j+a))
に設定する。
なお、上記式において、absおよびaverageは、平均および絶対値をそれぞれ算出する関数である。また、a..bは、aからbまでの数値範囲を示しており、x:=a..bは、xをaからbまで変化させながら繰り返すことを示している。したがって、average(D2(x,y,k):(x=i-a..i+a,y=j-a..j+a) は、上記判定エリアに含まれる全ての画素PIXへの補正映像データD2の階調レベルを平均した値を示している。
上記構成では、空間フィルタリング処理部33は、画素PIXの周囲の判定エリアの平均値に対し、飛び抜けて異常な階調を示す画素PIXをピックアップし、当該画素PIXの階調レベルを平均値に戻して、当該画素PIXへの映像データD3を生成する。
したがって、例えば、VGA(Video Graphics Array)の解像度で作成された映像信号を、UXGAの解像度のディスプレイで表示させる場合のように、本来のドット数が少なく、特定のエリアでは、変化が少ないとわかっている映像に対して特に好適に用いられる。
上記の例では、本来の映像信号が3倍程度に拡大されているので、3×3ドットのエリア内では、互いに同じ階調レベルになり、ドットレベルで階調レベルが突出することは稀である。したがって、上記フィルタリング処理のように、単純なフィルタが特に好適に用いられる。
なお、上記閾値Cは、例えば、エラーとして視認できる階調として、16〜32階調程度の値を、定数として設定してもよいし、判定エリアの明るさに応じた値(例えば、平均値の1/4)に設定してもよい。
一方、第2の構成例は、第1の構成例と同様に、判定エリアの平均値に対し、飛び抜けて異常な値を示すものをピックアップしているが、第1の構成例とは異なり、ピックアップされた画素PIXの階調を、画素PIXの近傍の上記判定エリアよりも狭い近傍エリアの平均値に設定している。
具体的には、空間フィルタリング処理部33は、以下に示すように、
abs(average(D2(x,y,k):(x=i-a..i+a,y=j-a..j+a))-D2(i,j,k)) < C の場合、
D3(i,j,k) =D2(i,j,k)
に設定し、
abs(average(D2(x,y,k):(x=i-a..i+a,y=j-a..j+a))-D2(i,j,k)) >=C の場合、
D3(i,j,k) = average(D2(x,y,k):(x=i-b..i+b,y=j-b..j+b))
に設定する。なお、bは、aよりも小さい整数であって、画素PIX(i,j) を中心に、縦2b+1ドット、横2b+1ドットの正方形の領域{(i−b,j−b)−(i+b,j+b)}が近傍エリアになる。ここで、bを大きく設定し過ぎると、映像信号がボケる虞れがあるので、bは、1ドット程度に設定することが望ましい。なお、後述するように、映像信号をスケール変換して表示する場合(例えば、元信号を拡大して表示する場合など)には、この値も、それに併せてスケール変換された値(例えば、元信号の拡大率と同一の割合で拡大された値)に設定する方が望ましい。
上記構成例では、ピックアップされた画素PIXの階調を、画素PIXの近傍の上記判定エリアよりも狭い近傍エリアの平均値に設定している。したがって、例えば、明るい物体と暗い背景とのエッジを判定エリアとする場合のように、判定エリアにおいて、判定エリアの平均値付近の画素PIXが余りなく、判定エリアの階調分布が、互いに離れた複数(例えば、2など)の階調に集まっている場合であっても、空間フィルタリング処理部33は、周囲と全く相関のない階調(判定エリアに殆ど存在しない階調)を出力することがない。この結果、画像表示装置1の表示品質を向上できる。
また、第3の構成例は、第1および第2の構成例におけるピックアップ方法を単純化したものであって、画素PIX(i,j) を中心にした縦方向の直線と横方向の直線とのうちの少なくとも一方の平均値に対し、飛び抜けて異常な値を示す画素PIXをピックアップする構成である。
具体的には、空間フィルタリング処理部33は、以下に示すように、
条件1 abs(average(D2(i,y,k):(y=j-a..j+a))-D2(i,j)) < C
条件2 abs(average(D2(x,j,k):(x=i-a..i+a,k))-D2(i,j)) < C
との双方を満たす場合、
D3=D2(i,j,k)
に設定し、そうではない場合、
D3=average(D2(x,y,k):(x=i-b..i+b,y=j-b..j+b))
に設定する。
ここで、ノイズは、突発的なので、通常は、面内で比較しなくても、縦方向および横方向の少なくとも一方を確認すれば、ノイズが混入しているか否かを判定できる。したがって、第1および第2の構成例のように、面内で比較する場合よりも少ない演算量で、ノイズの混入している画素PIXをピックアップできる。
なお、上記では、条件1および条件2のANDの真偽で判定していたが、両者のORで判定してもよいし、両条件の一方のみによって判定してもよい。
ただし、比較的高精細な映像のように、縦横のうちの一方の方向では、ノイズが混入していなくても、上記条件(1または2)を満たすことが多い映像の場合には、上記両条件のANDの真偽で判定する方が好ましい。これに対して、比較的低精細な映像のように、上記両条件の一方を満たしていれば、他方の条件を満たしている可能性が高い場合は、両者のORで判定してもよいし、両条件の一方のみによって判定する方が演算量を削減できる。なお、複数種類の映像を入力可能であり、映像の種類によって適切な判定方法が異なる場合には、映像に応じて、判定方法を切り換えても良い。
また、上記では、第2の構成例と同様に、ピックアップされた画素PIXの階調を、画素PIXの近傍の上記判定エリアよりも狭い近傍エリアの平均値に設定する場合を例にして説明したが、第1の構成例と同様に、判定エリアの平均値に設定してもよい。ただし、第2の実施形態と同様に、近傍エリアの平均値に設定する方が、より画像表示装置1の表示品質を向上できる。
さらに、判定エリアあるいは近傍エリアの平均値に代えて、画素PIX(i,j) を中心とする、長さ2a+1または2b+1の直線に含まれる画素PIXの階調の平均値に設定してもよい。なお、直線は、縦方向でも横方向であってもよいが、上記条件1および2の一方のみによって判定する場合は、その方向と同じ方向に設定することが望ましい。
一方、第4の構成例は、第1ないし第3の構成例と異なり、画素PIXの階調レベルがピーク値であるか否かによって、当該画素PIXへの映像データD3の階調を変更すべきか否かを判定する構成である。
一例として、横方向のみでピーク値か否かを判定する場合を例にして説明すると、空間フィルタリング処理部33は、以下に示すように、
average(D2(x,j,k):(x=i-a..i-1)-D2(i,j,k))
*((average(D2(x,j,k):(x=i+1..i+a)-D2(i,j,k) ) <0の場合、
D3=D2(i,j,k)
に設定し、そうではない場合、
D3=average(D2(x,y,k):(x=i-c..i+c))
に設定する。なお、上記式において、cは、映像の種類、すなわち、期待できる空間周波数によって設定されて定数であって、例えば、空間周波数が非常に高いと期待される映像(前出のドット単位で極値を取ることが期待される映像)では、cは非常に小さく1、または2程度が好ましく使用される。一方、空間周波数が低いと期待される映像(スケール拡大を伴ったような映像)では、3から5程度の採用が好ましい。
上記構成では、判定対象となる画素PIX(i,j) の右側平均値と左側平均値とを比較し、判定対象となる画素PIX(i,j) の階調が極値になっているかを判定する。さらに、極値になっている場合、判定対象の左右bドットずつの平均値を映像データD3(i,j,k) として設定する。
これにより、突出した階調を排除できる。さらに、通常の映像の中で、たまたま極値になった場合でも、通常の映像の場合は、一般に、極値であっても、ある程度の連続性があるため、左右の平均値を取ることによって、不自然な落ち込みにはならない。この結果、表示品質の良い画像表示装置1を実現できる。
なお、上記では、横方向のみについて、ピーク値か否かを判定しているが、縦方向など、他の方向について、ピーク値か否かを判定してもよい。この場合であっても、ノイズは、一般に突発的なので、上記と同様に、ノイズを除去できる。また、複数の方向でのピーク値判定や、第1ないし第3の構成例のように、平均値と比較しての判定と組み合わせ、これらの判定のANDあるいはORの真偽によって、補正映像データD2(i,j,k) を変更すべきか否かを決定してもよい。この場合は、複数の条件に基づいて判定されるので、より確実に、補正映像データD2(i,j,k) を変更すべきか否かを決定できる。また、上記では、横方向の平均値に映像データD3(i,j,k) を変更しているが、縦方向の平均値であってもよいし、エリアの平均値に変更しても略同様の効果が得られる。
ところで、上記では、判定エリアを(2a+1)×(2a+1)の正方形の場合を例にして説明したが、これに限るものではない。上述したように、ノイズは、走査方向に依存せずに発生し、ある方向でノイズと判断された場合、他の方向でもノイズと判断されることが多い。したがって、縦×横を(2・a1+1)×(2・a2+1)とするとき、a1<a2となる矩形領域あるいはa1>a2となる矩形領域を判定エリアとしてもよい。ただし、上記各構成例のように、正方形とした場合は、判定精度が方向に依存しなくなるので、より正確に判定できる。
一方、水平方向に走査する場合、縦方向の補正映像信号DAT2を比較するためには、ラインメモリが必要となるので、構成の簡略化が望まれる場合には、a1<a2に設定する方が望ましい。特に、a1=1の場合は、ラインメモリを設ける必要がないので、特に、回路構成を簡略化できる。
ここで、a2は、画像表示装置1の表示画面の横幅(n)の1/2までの任意の値に設定できるが、a2が小さ過ぎると、通常の映像信号DATをノイズと誤判定する可能性があり、大き過ぎると、ノイズを除去できなくなる場合がある。したがって、a2の大きさは、映像信号DATの種類に応じて選択された値に設定される。
例えば、一般的なMPEG映像は、映像を複数の小ブロックに分割し、各ブロック単位で符号化されている。このように、ブロック単位で符号化された映像の場合は、ブロックサイズと略同一の値にa2を設定する方が望ましい。例えば、上記MPEG映像の場合は、ブロックサイズが8×8〜16×16である。したがって、この場合には、上記a2を、4から8程度に設定することが望ましい。このように、判定エリアの長手方向の長さを、符号化の単位と略同一に設定することによって、判定エリアの長手方向の長さは、映像として一体として扱われるサイズ、あるいは、符号化の単位であるためノイズが目立ちやすいサイズに応じた値となり、ノイズを的確に除去できる。
また、例えば、NTSC(National Television System Committee)映像(640×480)を、ハイビジョン(1920×1080;登録商標)を表示できるディスプレイで表示した場合のように、映像信号をスケール変換して表示する場合には、スケール変換によって、ブロックサイズが拡縮される。例えば、上記の例では、3倍に拡大されているので、ブロックサイズが24×24〜48×48になる。したがって、判定エリアの長手方向の長さも、これに合わせてスケール変換して、24〜48、すなわち、a2=12〜24程度に設定する方が望ましい。
なお、表示に影響を与えるノイズの発生要因は、元信号(例えばMPEG)に限定されず、スケール変換以降の工程でシステム的な要因によってノイズが混入する虞れもある。ここで、スケール変換によって領域が拡大されれば、ノイズそのもののエリアが拡大されるため、上限値は、上記にて好適な範囲として記載したように、スケール変換に合わせて拡大することが望ましい。一方、映像信号の解像度の増大程には画素のサイズが減少しない場合、すなわち、映像の解像度の増大に比べて空間分解能が向上されない場合には、より小さなノイズが目につきやすくなる。したがって、このような場合で、しかも、システム的な要因によってスケール変換以降の工程にて混入するノイズが比較的大きいと見込まれる場合には、判定エリアの長手方向の長さの好適な範囲の下限値を上述の値よりも低く、例えば、1/2程度に設定し、判定エリアの長さを、その範囲内(例えば、a2=6〜24程度)の値に設定してもよい。
また、上記の例では、空間フィルタリング処理部33が、補正映像信号DAT2の空間領域において、ピークをカットすることによって、高周波成分を抑制する場合を例していたが、例えば、予め定める遮断周波数よりも大きな周波数を減衰させるなどして、高周波成分を抑制しても同様の効果が得られる。
さらに、上記実施形態では、垂直配向モードかつノーマリブラックモードの液晶セルを表示素子として用いた場合を例にして説明したが、これに限るものではない。応答速度が遅く、階調遷移を強調するように変調して駆動したとしても、前々回から前回への階調遷移において、実際の階調遷移と、所望の階調遷移とに差が発生する表示素子であれば、略同様の効果が得られる。
ただし、垂直配向モードかつノーマリブラックモードの液晶セルは、ディケイの階調遷移に対する応答速度がライズの場合に比べて遅く、階調遷移を強調するように変調して駆動したとしても、前々回から前回へのディケイの階調遷移において、実際の階調遷移と、所望の階調遷移とに差が発生しやすく、ノイズに起因するディケイ→ライズの階調遷移によって、白光りが発生しやすい。したがって、上記実施形態の構成によって、ノイズに起因する階調遷移を防止すると、特に効果が大きい。
また、上記実施形態では、変調駆動処理部を構成する各部材がハードウェアのみで実現されている場合を例にして説明したが、これに限るものではない。各部材の全部または一部を、上述した機能を実現するためのプログラムと、そのプログラムを実行するハードウェア(コンピュータ)との組み合わせで実現してもよい。一例として、画像表示装置(1)に接続されたコンピュータが、画像表示装置を駆動する際に使用されるデバイスドライバとして、変調駆動処理部(21)を、実現してもよい。また、画像表示装置に内蔵あるいは外付けされる変換基板として、変調駆動処理部が実現され、ファームウェアなどのプログラムの書き換えによって、当該変調駆動処理部を実現する回路の動作を変更できる場合には、当該ソフトウェアを配布して、当該回路の動作を変更することによって、当該回路を、上記実施形態の変調駆動処理部として動作させてもよい。
これらの場合は、上述した機能を実行可能なハードウェアが用意されていれば、当該ハードウェアに、上記プログラムを実行させるだけで、上記実施形態に係る変調駆動処理部を実現できる。