JP4500489B2 - 溶接方法及び溶接装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶接ワイヤを電極にするアーク溶接で使用する給電ケーブルの長さ変更に関わり、特に、変更した給電ケーブルの往復長さに適した所望の平均溶接電流,適正な平均溶接電圧を出力させて良好に溶接するに好適な溶接方法及び溶接装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
発電プラントや化学プラントなど大型構造物は、厚板長尺の継手部材が多く用いられており、工場内で溶接が可能なものや現地で組立溶接が必要なものもある。これらの継手部材は大きさ,設置場所,作業場所が一様ではなく、溶接電源及び溶接装置の設置場所から近い場所で溶接する時もあれば、50m以上遠く離れた場所で溶接する時もあれば、高さ10m以上の高い場所で溶接する時もある。
【0003】
これらの溶接作業を実施するためには、少なくとも溶接電源と、継手部材,溶接トーチとの間に給電ケーブルを各々接続して給電できる状態にすると共に、所望の溶接電流及びその溶接電流に適したアーク電圧を出力できるようにする必要がある。しかし、給電ケーブルの長さ変更をすると、ケーブル抵抗,リアクタが変化するために、初期設定の溶接条件のままでは、所望の溶接電流及びアーク電圧が出力できず、アーク溶接に悪影響を及ぼす結果になる。また、ワイヤ溶融式のパルス溶接電源を用いてパルスアーク溶接を実施する場合には、給電ケーブルの長さ変更によって、所望の溶接電流及びアーク電圧が出力できないばかりでなく、所望の高いパルス電流及びそのパルス電流に適したパルスアーク電圧が出力できない状態に至る。このため、給電ケーブルの長さ変更をして溶接する場合には、その都度、変更した給電ケーブル長さに合った溶接条件出しの実験が必要となり、溶接電流の大きさに適したアーク溶接電圧,適正なパルス溶接条件などを再度確立しなければならない。さらに、給電ケーブルが過剰に長過ぎる場合には、ケーブル抵抗の増大によって溶接電源の出力能力を超えてしまい、所望のアーク溶接ができない状態に至り、無茶をすると溶接電源を破損させることも有り得る。
【0004】
給電ケーブルの長さ変更をなくす1つの方法として、例えば、溶接すべき継手部材の近くに溶接電源及び溶接装置を運搬移設することが考えられる。しかし、クレーン作業による装置移設を必要とするばかりでなく、装置の移設場所や溶接作業範囲に限界がある。また、給電ケーブルを最長にした状態にしておくと、溶接電源及び溶接装置の近くで溶接作業が必要な時に、最長の給電ケーブルが厄介物となって整理整頓の障害になるばかりでなく、その給電ケーブルの置き方,巻き方の状態変化によってリアクタが変化し、アーク溶接の結果に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0005】
さらに、溶接を自動化するためには、例えば、開先形状寸法や溶接線の位置を検出する視覚センサによる検出情報に基づいて、溶接条件パラメータの適応制御,溶接トーチ位置の修正制御を行う必要がある。
【0006】
従来技術として、例えば、特許文献1には、負荷回路のインダクタンスL2の電気的特性値を演算する演算器を設け、その演算器の出力に基づいて制御回路の動作状態を切り換える制御手段を設けることが開示されている。しかし、この溶接用電源装置では、長さ変更した給電ケーブルを流れる電流で消費するケーブル電圧が考慮されていないために、ケーブル長さが数倍変化するような長い給電ケーブルの交換には、対応することが困難と考えられる。また、パルス電流の出力波形信号などは詳細に記載されているが、給電ケーブルの長さ変更に伴う溶接作業で必要な所望の平均溶接電流及びその平均溶接電流の大きさに適した平均アーク電圧,溶接電源に設定すべき平均溶接電圧については記載されていない。
【0007】
また、特許文献2には、100V以上の直流電圧を出力する電源ユニットと溶接制御ユニットとを分割し、その電源ユニットの出力端子と溶接制御ユニットの入力端子との間に任意長さの給電ケーブルを接続することが開示されている。本アーク溶接用電源では、給電ケーブルの小径化や長さ変更を容易にすることや、電源ユニットから離れた場所にある継手部材の近くに溶接制御ユニットを簡単に移動するのに有効と考えられる。しかし、溶接回路内に接続されている給電ケーブルを流れる電流で消費するケーブル電圧,リアクタで消費するリアクタ電圧は、電源ユニット側が負担しており、これらの消費電圧を加算した溶接電圧を電源ユニット側に設定及び出力させる必要がある。給電ケーブルの長さ変更をすると、ケーブル抵抗,リアクタが変化するために、初期設定の溶接条件のままでは、所望の溶接電流及びアーク電圧が出力できず、アーク溶接に悪影響を及ぼす結果になる。パルスアーク溶接をする場合も、同様であり、長さや径を変更給電ケーブルに適したパルス溶接条件の設定が不可欠である。
【0008】
一方、特許文献3は、非消耗性のタングステンを電極にするアーク溶接を用いており、溶接ワイヤを電極にするパルスアーク溶接やアーク溶接ではなかった。また、給電ケーブルの長さ変更を想定していなかった。このため、特許文献3の多層盛溶接の制御方法及び多層盛溶接装置では、溶接ワイヤを電極にするパルスアーク溶接やアーク溶接で必要な視覚センサによる検出情報に基づく溶接条件パラメータの適応制御が困難であり、また、給電ケーブルの長さ変更に適したパルス溶接の条件設定に対応することが困難であった。
【0009】
【特許文献1】
特開平8−103868号公報(要約,特許請求の範囲)
【特許文献2】
特開平9−271940号公報(要約,特許請求の範囲)
【特許文献3】
特開平10−216940号公報(要約,特許請求の範囲)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、溶接ワイヤを電極にするアーク溶接で使用する給電ケーブルの長さ変更に適した所望の平均溶接電流,適正な平均溶接電圧,パルス電圧,パルス電流を出力させて良好に溶接するに好適な溶接方法及び溶接装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、溶接すべき継手部材の大きさ,設置場所,作業場所及び溶接箇所の相違によって前記継手部材と溶接装置との距離が変化する溶接作業を対象に、溶接ワイヤを電極にするアーク溶接で用いる定電圧制御方式のパルス溶接電源と、継手部材,溶接台車に搭載された溶接トーチとの間に各々接続する給電ケーブルの往復長さを変更して前記継手部材を溶接する溶接方法において、所望の平均溶接電流の大きさに適した平均アーク電圧と、変更した給電ケーブルの往復長さを流れる前記平均溶接電流で消費する第1のケーブル電圧の予測値と、溶接回路内のリアクタで消費する第1のリアクタ電圧とを予め加算した平均溶接電圧を前記定電圧制御方式のパルス溶接電源に設定して溶接する溶接方法を提案する。
【0012】
また、本発明は、上記目的を達成するために、溶接すべき継手部材の大きさ,設置場所,作業場所及び溶接箇所の相違によって前記継手部材と溶接装置との距離が変化する溶接作業を対象に、溶接ワイヤを電極にするアーク溶接で用いる定電圧制御方式のパルス溶接電源と、継手部材,溶接台車に搭載された溶接トーチとの間に各々接続する給電ケーブルの往復長さを変更して前記継手部材を溶接する溶接方法において、所望のパルス電流の出力に必要なパルスアーク電圧と、変更した給電ケーブルの往復長さを流れるパルス電流で消費する第2のケーブル電圧と、溶接回路内のリアクタで消費する第2のリアクタ電圧とを予め加算したパルス電圧またはそのパルス電圧及びパルス時間を前記定電圧制御方式のパルス溶接電源に設定し、所望の平均溶接電流の大きさに適した平均アーク電圧と、変更した給電ケーブルの往復長さを流れる平均溶接電流で消費する第1のケーブル電圧の予測値と、溶接回路内のリアクタで消費する第1のリアクタ電圧とを予め加算した平均溶接電圧を設定して溶接する溶接方法を提案する。
【0013】
特に、前記定電圧制御方式のパルス溶接電源は、給電ケーブルを最長にした溶接時に必要となる高い負荷電圧、所望のパルス電流が出力可能なパルス電圧及びパルス時間の調整と、所望の平均溶接電圧,平均溶接電流またはワイヤ送り速度に連動した平均溶接電流の調整とが可能なパルス溶接電源とし、溶接を実行する時には、所望のパルス電流の出力に必要なパルスアーク電圧と、変更した給電ケーブルの往復長さを流れるパルス電流で消費する第2のケーブル電圧と、溶接回路内のリアクタで消費する第2のリアクタ電圧とを予め加算したパルス電圧またはそのパルス電圧及びパルス時間を設定し、所望のパルス電流,パルスアーク電圧を出力させ、所望の平均溶接電流の大きさに適した平均アーク電圧と、変更した給電ケーブルの往復長さを流れる前記平均溶接電流で消費する第1のケーブル電圧の予測値と、溶接回路内のリアクタで消費する第1のリアクタ電圧とを予め加算した平均溶接電圧を設定し、前記平均アーク電圧をアーク溶接部分で出力させるとよい。
【0014】
また、少なくとも給電ケーブルの往復長さ別に予め定めた複数のパルス電圧またはそのパルス電圧及びパルス時間と、平均溶接電圧を算出する電圧算出式とを条件テーブルに設け、溶接を実行する時には、給電ケーブル長さの選択で予め決定したパルス電圧またはそのパルス電圧及びパルス時間を前記定電圧制御方式のパルス溶接電源に設定し、所望のパルス電流,パルスアーク電圧を出力させ、増減制御する平均溶接電流の大きさに適した平均アーク電圧と、変更した給電ケーブルの往復長さを流れる前記平均溶接電流で消費する第1のケーブル電圧の予測値と、溶接回路内のリアクタで消費する第1のリアクタ電圧とを予め加算した平均溶接電圧を設定し、前記平均アーク電圧をアーク溶接部分で出力させるとよい。
【0015】
また、変更した給電ケーブルの往復長さを流れる所望のパルス電流で消費する第2のケーブル電圧と、リアクタで消費する第2のリアクタ電圧とを補充可能なパルス電圧またはそのパルス電圧及びパルス時間を設定し、また、溶接中に増減制御する前記平均溶接電流で消費する第1のケーブル電圧と、リアクタで消費する第1のリアクタ電圧とを補充可能な平均溶接電圧を設定し、少なくとも高電流の1パルスで1溶滴が低電流のベース時間中に移行可能なパルス電流,パルスアーク電圧を出力させ、ワイヤ溶滴の移行時に短絡移行が生じない程度のアーク長を保持し得る平均アーク電圧を出力させて溶接するとよい。
【0016】
パルス電流と異なる直流電流を出力する直流溶接電源を用いる場合には、給電ケーブルを最長にした溶接時に必要となる高い負荷電圧及び定格電流が出力可能であると共に、所望の平均溶接電圧,平均溶接電流またはワイヤ送り速度に連動した平均溶接電流の調整が可能な直流溶接電源とし、溶接を実行する時には、所望の平均溶接電流の大きさに適した平均アーク電圧と、変更した給電ケーブルの往復長さを流れる前記平均溶接電流で消費する第1のケーブル電圧の予測値と、溶接回路内のリアクタで消費する第1のリアクタ電圧とを予め加算した平均溶接電圧を設定し、前記平均アーク電圧をアーク溶接部分で出力させるとすることもできる。
【0017】
前記ケーブル電圧の予測値は、少なくとも使用する給電ケーブルの単位長さ当りの抵抗または給電ケーブルの断面積に関係する単位長さ当りの抵抗と、その往復長さと、所望の電流との関係式で算出するとよい。
【0018】
また、開先部のギャップ,開先面積,開先肩幅,左右上下方向の開先中心ずれをリアルタイムで検出する視覚センサ及び画像処理装置を設け、溶接を実行する時には、ギャップ幅または開先肩幅または開先面積と開先肩幅の大きさ対応した平均溶接電流、その平均溶接電流に適した平均溶接電圧とワイヤ送り速度,溶接速度,ウィービング幅などの溶接条件パラメータを各々算出して増減制御し、溶接線左右及び上下の位置ずれをなくす方向にトーチ位置を修正制御するとよい。
【0019】
また、本発明は、上記目的を達成するために、溶接すべき継手部材の大きさ,設置場所,作業場所及び溶接箇所の相違によって前記継手部材と溶接装置との距離が変化する溶接作業を対象に、溶接ワイヤを電極にするアーク溶接で用いる定電圧制御方式のパルス溶接電源と、継手部材,溶接台車に搭載された溶接トーチとの間に各々接続する給電ケーブルの往復長さを変更して前記継手部材を溶接する溶接装置において、変更した給電ケーブルの往復長さに対応したパルス電圧またはそのパルス電圧及びパルス時間を前記定電圧制御方式のパルス溶接電源に設定するパルス電圧設定手段と、平均溶接電流の大きさに適した平均アーク電圧,変更した給電ケーブルの往復長さを流れる前記平均溶接電流で消費する第1のケーブル電圧,リアクタで消費する第1のリアクタ電圧を予め加算した平均溶接電圧を算出する平均溶接電圧算出手段とを備えた溶接装置を提案する。
【0020】
特に、溶接トーチを左右上下方向に移動及び溶接線方向に移動可能な駆動機構、ワイヤ送り機構を搭載した溶接台車を制御する台車制御手段と、定電圧制御方式のパルス溶接電源を制御する電源制御手段と、パルス溶接電源及び溶接装置から溶接対象の継手部材までの距離に応じて延長する複数の給電ケーブルと、同様に延長する制御ケーブルやガスホース類などを収納した予備の配線ケーブルと、給電ケーブルの往復長さに対応したパルス電圧またはそのパルス電圧及びパルス時間を設定するパルス電圧設定手段と、平均溶接電流の大きさに適した平均アーク電圧,変更した給電ケーブルの往復長さで消費する第1のケーブル電圧,リアクタで消費する第1のリアクタ電圧を予め加算した平均溶接電圧を算出する平均溶接電圧算出手段とを備えるとよい。
【0021】
また、溶接トーチを左右上下方向に移動及び溶接線方向に移動可能な駆動機構、ワイヤ送り機構を搭載した溶接台車を制御する台車制御手段と、定電圧制御方式のパルス溶接電源を制御する電源制御手段と、パルス溶接電源及び溶接装置から溶接対象の継手部材までの距離に応じて延長する複数の給電ケーブルと、同様に延長する制御ケーブルやガスホース類などを収納した予備の配線ケーブルと、給電ケーブルの往復長さに対応したパルス電圧またはそのパルス電圧及びパルス時間を設定するパルス電圧設定手段と、平均溶接電流の大きさに適した平均アーク電圧,変更した給電ケーブルの往復長さで消費する第1のケーブル電圧,リアクタで消費する第1のリアクタ電圧を予め加算した平均溶接電圧を算出する平均溶接電圧算出手段と、平均溶接電流、その平均溶接電流に適した平均溶接電圧とワイヤ送り速度,溶接速度,ウィービング幅などの溶接条件パラメータの増減制御,溶接トーチ位置の修正制御に使用する開先部のギャップ,開先面積,開先肩幅,左右上下方向の開先中心ずれを検出する視覚センサ及び画像処理装置とを備えるとすることもできる。
【0022】
すなわち、本発明の溶接方法では、所望の平均溶接電流の大きさに適した平均アーク電圧と、変更した給電ケーブルの往復長さを流れる前記平均溶接電流で消費する第1のケーブル電圧の予測値と、溶接回路内のリアクタで消費する第1のリアクタ電圧とを予め加算した平均溶接電圧を定電圧制御方式のパルス溶接電源に設定して溶接すると、溶接すべき継手部材の大きさ,設置場所,作業場所及び溶接箇所の相違によって給電ケーブルの長さ変更が必要な場合でも、給電ケーブルの長さ変更で変化するケーブル電圧,リアクタで消費するリアクタ電圧を補充でき、平均溶接電流の大きさに適した所望の平均アーク電圧をアーク溶接部分で確実に出力でき、過剰なアーク電圧や電流の低下または上昇によって発生するアーク切れ,スパッタの多発,溶滴移行の乱れ,アーク溶接の乱れ,溶接ビードの悪化を防止することができる。
【0023】
また、所望のパルス電流の出力に必要なパルスアーク電圧と、変更した給電ケーブルの往復長さを流れるパルス電流で消費する第2のケーブル電圧と、溶接回路内のリアクタで消費する第2のリアクタ電圧とを予め加算したパルス電圧またはそのパルス電圧及びパルス時間を定電圧制御方式のパルス溶接電源に設定して溶接すると、給電ケーブルの長さ変更で変化するケーブル電圧,リアクタで消費するリアクタ電圧を補充でき、所望のパルス電流,パルスアーク電圧をアーク溶接部分で出力させることができる。
【0024】
前記定電圧制御方式のパルス溶接電源は、給電ケーブルを最長にした溶接時に必要となる高い負荷電圧,所望のパルス電流が出力可能なパルス電圧及びパルス時間の調整と、所望の平均溶接電圧,平均溶接電流またはワイヤ送り速度に連動した平均溶接電流の調整とが可能なパルス溶接電源にすると、給電ケーブルの長さを短くまたは長くした場合でも、変更した給電ケーブルの往復長さに対応した所望のパルス電圧,パルス時間,平均溶接電圧,平均溶接電流をそれぞれ正確に設定することができる。また、同時に高電流の1パルスで1溶滴が低電流のベース時間中に移行でき、小電流(平均)領域から大電流領域まで、スパッタの発生がなく、融合不良やアンダーカットなど欠陥のない良好な溶接結果を得ることができる。また、溶接中にアーク長の変化を抑制する方向に自己制御作用(電流増減によるアーク長回復作用)が働くため、溶接トーチ高さやワイヤ送り速度の微小変動によって変化したアーク長を定常状態に回復することができる。
【0025】
また、給電ケーブルの往復長さ別に予め定めた複数のパルス電圧またはそのパルス電圧及びパルス時間と、平均溶接電圧を算出する電圧算出式とを条件テーブルに設けると、操作画面から給電ケーブル長さを選択するだけで、所定のパルス電圧,パルス時間,平均溶接電圧を定電圧制御方式のパルス溶接電源へ自動設定でき、給電ケーブルの長さ変更で必要な適正条件出しの溶接実験や面倒な計算が省略でき、使い勝手を高めることができる。
【0026】
一方、パルス溶接電源と異なる直流溶接電源を用いる場合には、給電ケーブルを最長にした溶接時に必要となる高い負荷電圧及び定格電流が出力可能であると共に、所望の平均溶接電圧,平均溶接電流またはワイヤ送り速度に連動した平均溶接電流の調整が可能な直流溶接電源にするとよい。パルス溶接電源と比べると、スパッタの発生が多いが、直流溶接電源に使用する変圧器の定格容量を抑制することができ、制御回路も簡素で低コストである。また、所望の平均溶接電流の大きさに適した平均アーク電圧と、変更した給電ケーブルの往復長さを流れる前記平均溶接電流で消費する第1のケーブル電圧の予測値と、溶接回路内のリアクタで消費する第1のリアクタ電圧とを予め加算した平均溶接電圧を前記直流溶接電源に設定して溶接すると、パルス溶接の時とほぼ同様に、給電ケーブルの長さ変更をした場合でも、給電ケーブルの往復長さを流れる平均溶接電流で変化するケーブル電圧,リアクタで消費するリアクタ電圧が補充可能になり、平均溶接電流の大きさに対応した所望の平均アーク電圧をアーク溶接部分で確実に出力でき、アーク溶接の乱れや溶接ビードの悪化を防止することができる。
【0027】
ケーブル電圧の予測値は、少なくとも使用する給電ケーブルの単位長さ当りの抵抗または給電ケーブルの断面積に関係する単位長さ当りの抵抗と、その往復長さと、所望の電流との関係式で算出すると、変更した給電ケーブルの往復長さで消費するケーブル電圧を正確に求めることができる。
【0028】
さらに、開先部のギャップ,開先面積,開先肩幅,左右上下方向の開先中心ずれをリアルタイムで検出する視覚センサ及び画像処理装置を設けると、溶接制御で必要な検出情報をリアルタイムで得ることができる。また、その検出情報に基づいて、ギャップ幅または開先肩幅または開先面積と開先肩幅の大きさ対応した平均溶接電流,その平均溶接電流に適した平均溶接電圧とワイヤ送り速度,溶接速度,ウィービング幅などの溶接条件パラメータを各々算出して増減制御し、溶接線左右及び上下の位置ずれをなくす方向にトーチ位置を修正制御すると、ギャップや開先面積が変化,溶接線の曲がりやずれがある開先継手であっても、溶接条件パラメータの増減制御,トーチ位置の修正制御によって対応でき、良好な溶け込み形状の溶接結果を得ることができ、溶接を自動化することができる。
【0029】
また、本発明の溶接装置では、変更した給電ケーブルの往復長さに対応したパルス電圧またはそのパルス電圧及びパルス時間を前記定電圧制御方式のパルス溶接電源に設定するパルス電圧設定手段と、所望の平均溶接電流の大きさに対応した平均アーク電圧と変更した給電ケーブルの往復長さを流れる前記平均溶接電流で消費する第1のケーブル電圧の予測値と溶接回路内のリアクタで消費する第1のリアクタ電圧とを予め加算した平均溶接電圧を算出する平均溶接電圧算出手段とを備えているので、溶接すべき継手部材の大きさ,設置場所,作業場所及び溶接箇所の相違によって給電ケーブルの長さ変更をした場合でも、溶接時に変化するケーブル電圧,リアクタで消費するリアクタ電圧を補充可能になり、所望のパルス電流,パルスアーク電圧,平均アーク電圧をアーク溶接部分で確実に出力することができ、小電流(平均)領域から大電流領域まで、スパッタの発生がなく、融合不良やアンダーカットなど欠陥のない良好な溶接結果を得ることができる。
【0030】
また、溶接装置及びパルス溶接電源から溶接対象の継手部材までの距離に応じて延長する複数の給電ケーブル,配線ケーブルを備えているので、広い工場内のあちらこちらに配置された幾つかの継手部材を順次に溶接する場合、または工場外の現地で複数の継手部材を順次に組立溶接する場合でも、溶接装置及びパルス溶接電源を所定の場所に設置したままの状態で、給電ケーブル,配線ケーブルを継手部材及び溶接台車まで簡単に延長または短縮することができ、クレーン作業による装置移設を省略し、溶接台車の取り付けや装置立上げの時間を短縮することができる。
【0031】
さらに、溶接条件パラメータの増減制御,溶接トーチ位置の修正制御に使用する開先部のギャップ,開先面積,開先肩幅,左右上下方向の開先中心ずれを検出する視覚センサ12及び画像処理装置とを備えることにより、ギャップや開先面積が変化,溶接線の曲がりやずれがある開先継手であっても、溶接パス毎にリアルタイムで検出する適正な検出情報に基づいて、溶接条件パラメータの増減制御及びトーチ位置の修正制御を実行することができ、溶接の自動化による合理化,工数低減を図ることができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の溶接方法及び溶接装置について好ましい実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明による溶接方法を採用した自動溶接装置の一実施形態の構成を示す斜視図である。溶接すべき一対の継手部材を突合わせた溶接ワーク1a,1bは、一組の溶接制御装置11及びパルス溶接電源10の近くに配置されており、その溶接ワーク1bの長手方向に設置されたガイドレール9a上を溶接台車3が走行する。また、前記溶接ワーク1a,1bと開先形状が同様または異なる別の継手部材の溶接ワーク1c,1dは、前記溶接制御装置11及びパルス溶接電源10から遠く離れた別の場所に配置されている。溶接台車3には、溶接ワイヤ18を電極にするアーク溶接で用いる溶接トーチ4と、その溶接トーチ4を左右・上下方向に移動可能な駆動機構と、ワイヤ送り機構と、開先継手部のギャップ,開先面積,開先肩幅,深さ,左右上下方向の開先中心ずれを検出する視覚センサ12及び画像処理装置とを搭載している。
【0033】
給電ケーブル5a,6aは、アーク溶接部分に給電するため、パルス溶接電源10と、継手部材の溶接ワーク2a,溶接台車3に搭載された溶接トーチ4とにそれぞれ接続しており、最小長さ(例えば15m×2本=30m)の給電ケーブルを使用している。また、溶接台車3と溶接制御装置11の間を結ぶ配線ケーブル7aは、溶接台車3を駆動する制御ケーブル,溶接トーチ4にシールドガスや冷却水を供給するガスホースや水ホース,視覚センサ12を駆動する制御ケーブルなどを収納したケーブルである。操作ペンダント8は、溶接台車3や溶接トーチ4の移動操作、溶接条件パラメータの設定や修正の操作に用い、溶接前に溶接トーチ4を開始点へ移動させてトーチ(ワイヤ)位置決めし、溶接開始,溶接中に不具合が生じた時にトーチ位置や溶接条件の割込み修正,溶接停止などができるようにしている。溶接制御装置11は、自動溶接を実行する時に溶接台車3の駆動を制御し、パルス溶接電源10の出力を制御し、視覚センサ12と一対の画像処理装置に指令して検出データを情報処理し、溶接トーチ4位置や溶接条件パラメータを制御し、溶接の開始から終了に至る一連の動作及び構成機器を統括管理するものである。また、この溶接制御装置11には、アーク溶接部分で所望のパルス電流,パルスアーク電圧,平均溶接電流,平均アーク電圧を出力させるために、給電ケーブルの往復長さの違いによって消費するケーブル電圧の変化,溶接回路内のリアクタで消費するリアクタ電圧の変化を補充可能なパルス電圧,パルス時間,平均溶接電圧を設定する機能を具備している。
【0034】
一方、溶接制御装置11及びパルス溶接電源10から遠く離れた別の場所に配置された溶接ワーク1c,1dを溶接する場合には、パルス溶接電源10と溶接ワーク1c及び溶接台車3(溶接トーチ4)の間を点線で示したように複数の給電ケーブル5a,5b,6a,6bをそれぞれジョイント13で結んで延長接続(例えば往復長さ:15m×8本=120m)している。同時に、溶接台車3と溶接制御装置11の間を結ぶ配線ケーブル7a,7bも配線コネクタ14を介して延長接続している。なお、溶接台車3が2台ある場合は、次に溶接すべき継手部材の溶接ワーク1d上に設置されたガイドレール9bに2台目の溶接台車3を予め取り付けでき、溶接前の段取り作業を高めることができる。溶接台車3が1台の場合には、溶接ワーク1a,1bの溶接作業が終了した後に、ガイドレール9aから取り外して、別の溶接ワーク1c,1d及びガイドレール9bまで搬送して取り付け、給電ケーブル5a,5b,6a,6b、配線ケーブル7a,7bをそれぞれ延長して接続すればよい。図中の給電ケーブル5a,5b,6a,6bは、単線ケーブルを接続して用いているが、極性の異なるケーブル2本を一体形成してリアクタを減少させた同軸ケーブルを用いてもよい。
【0035】
パルス溶接電源10は、給電ケーブルを最長(例えば往復長さが150m)にした溶接時に必要となる高い負荷電圧(例えば64〜74V程度)、所望のパルス電流(例えば500〜600A程度)が出力可能なパルス電圧及びパルス時間の調整と、所望の平均溶接電圧,平均溶接電流(100〜400A)またはワイヤ送り速度に連動した平均溶接電流の調整とが可能な定電圧制御方式のパルス溶接電源である。ガスボンベ15から供給するシールドガスは、配線ケーブル7a内に収納しているガスホースを経て溶接トーチ4先端に流出してアーク溶接部分を大気から保護する。ガスボンベ15は、鋼材溶接の場合、Arガスを主成分とする10〜30%程度のCO2 ガス入りの混合ガスボンベである。Ar+CO2 混合ガスの代わりに、例えば数%のO2 を加えたAr+CO2+O2の混合ガスやAr+O2 の混合ガスを使用することも可能である。冷却水循環ポンプ16から供給する冷却水は、配線ケーブル7a内に収納している水ホースを経て溶接トーチ内を循環冷却する。
【0036】
図2は、本発明の溶接装置に採用した定電圧制御方式のパルス溶接電源に関する電源回路の一実施形態を示す構成図である。インバータ回路41は、一次側端子から供給される商用交流電源を整流器40で変換した直流を高周波交流に再変換し、その高周波交流の電圧レベルを可変決定する変圧器42を制御する。整流器43は、変圧器42の出力を再度直流に変換し、スイッチング素子44,リアクタ45を経由して、直流パルス溶接で必要な所望の電圧及び電流を二次側端子に出力する。この定電圧制御方式のパルス溶接電源10は、給電ケーブルを最長(例えば150m)にした溶接時に必要となる高い負荷電圧(例えば64〜74V程度)を有し、所望のパルス電流(例えば500〜600A程度)が出力可能なパルス電圧Vp,パルス時間Tpなどの設定、所望の平均溶接電圧E,ワイヤ送り速度Wfに連動した平均溶接電流(例えば100〜400A)の設定を可能にしている。パルス電圧波形設定器48は、所望のパルス電圧Vp,ベース電圧Vb,平均溶接電圧Eを設定するものであり、演算器47に接続され、制御器46を経由して、インバータ回路42やスイッチング素子44に伝達し、パルス溶接電源10の二次側端子に出力される。また、パルス時間設定器49は、パルス時間Tp,ベース時間Tb,パルス波形の周波数fを設定するものであり、演算器47に接続されている。電流検出器50bは、検出素子50aと一対で、出力中のパルス電流や平均溶接電流を検出し、パルス時間設定器49に接続されており、必要に応じてベース時間Tbの増減による電流調整を可能にしている。溶接電圧設定器52は、パルス溶接電源10から出力すべき平均溶接電圧Eを設定するものであり、パルス電圧波形設定器48とパルス時間設定器49とに接続されている。溶接電流設定器53は、所望の平均溶接電流Ia,ワイヤ送り速度Wfを設定するものであり、パルス電圧波形設定器48とパルス時間設定器49,ワイヤ送りモータMを駆動するワイヤ送り設定器54にそれぞれ接続されている。
【0037】
また、電源制御部62は、定電圧制御方式のパルス溶接電源10を外部から遠隔制御するものであり、給電ケーブル5a,5b,6a,6bの往復長さ(最短で30m,最長で150m)に対応したパルス電圧Vp,パルス時間Tpなどを設定するパルス電圧波形設定器57と、アーク溶接部分で出力すべき平均アーク電圧Vaに必要な平均溶接電圧Eを設定する溶接電圧設定器55と、所望の平均溶接電流Iaを設定する溶接電流設定器56とに連結され、溶接制御装置11の内部に装備し、パルス溶接電源側10の配線に各々接続されている。省略しているが、溶接制御装置11の内部には、溶接台車3を駆動する各軸駆動装置,視覚センサ12に接続しているセンサ制御器及び画像処理装置,溶接条件パラメータの適応制御や溶接トーチ位置の修正制御を演算する演算制御部,溶接データファイル,給電ケーブルの長さ別に定めたパルス条件選択テーブル,構成機器を統括制御及び管理する溶接運転プログラムなどを備えている。
【0038】
平均溶接電圧Eは、所望の平均溶接電流Iaの大きさに適した平均アーク電圧Vaと、変更した給電ケーブルの往復長さXL(最短で30m,最長で150m)を流れる平均溶接電流Iaで消費するケーブル電圧の予測値Vk1と、リアクタで消費するリアクタ電圧VL1とを予め加算した値を設定するようにしている。アーク電圧検出器63は、アーク20溶接部分における平均アーク電圧Vaを検出するものであり、溶接電圧設定器55に接続され、この検出電圧と指示電圧との偏差をなくすように平均溶接電圧Eの指令値を補正可能にしている。また、定電圧制御方式のパルス溶接電源10に設定するパルス電圧Vpは、所望のパルス電流Ipの出力に必要なパルスアーク電圧Vpaと、給電ケーブルの往復長さを流れるパルス電流Ipで消費する第2のケーブル電圧Vk2と、リアクタで消費する第2のリアクタ電圧VL2とを予め加算したパルス電圧Vpまたはそのパルス電圧Vp及びパルス時間Tpである。
【0039】
このように構成して溶接すると、溶接すべき継手部材の大きさ,設置場所,作業場所及び溶接箇所の相違によって給電ケーブルの長さ変更をした場合でも、溶接時に変化するケーブル電圧,リアクタで消費するリアクタ電圧が補充可能になり、所望のパルス電流,パルスアーク電圧,平均アーク電圧をアーク溶接部分で確実に出力することができる。また、高電流の1パルスで1溶滴が低電流のベース時間中に移行でき、小電流(平均)領域から大電流領域の溶接まで、スパッタの発生がなく、融合不良やアンダーカットなど欠陥のない良好な溶接結果を得ることができる。また、定電圧制御方式のパルス溶接電源では、溶接中にアーク長の変化を抑制する方向に自己制御作用(電流増減によるアーク長回復作用)が働くため、溶接トーチ高さやワイヤ送り速度の微小変動によって変化したアーク長を定常状態に回復することが可能である。
【0040】
図3は、図2に示した電源主要回路より給電される溶接回路の等価回路を示す一実施形態であり、R30〜R150は5種類に区分けした給電ケーブル長さ(最短で30m,最長で150m)に該当する各ケーブル抵抗、L30〜L150はケーブルのリアクタ、Lは電源内のリアクタ、Sはスイッチング素子、E,Vp,Vbは、パルス溶接電源より出力する平均電圧,パルス電圧、ベース電圧であり、Ia,Ip,Ibは回路を流れる平均電流,パルス電流,ベース電流である。また、Veは電源出力部の検出電圧、Vaは溶接トーチと継手部材間の検出電圧であり、アーク20溶接部分で生じるアーク電圧とワイヤ突出し部で消費するワイヤ電圧とを含んだ電圧である。上記の等価回路でケーブル抵抗R30(給電ケーブルの往復長さ:30m)を実線のように接続した時の回路方程式は、概略下記の(1)(2)式で示される。Tpはパルス時間、Tbはベース時間である。また、高いパルス電流Ipを供給するのに必要な合計のパルス電圧Vpは、(3)式で示される。Vpaは、ワイヤ突出しを含むアーク20溶接部分で生じるパルスアーク電圧である。
【0041】
Figure 0004500489
交換する給電ケーブルの往復長さXLが長く(最長で150m)なると、点線のようにケーブル抵抗(R150)の増加,リアクタ(L+L150)の増加によって、パルス電流Ip,平均電流Ia,平均アーク電圧Vaが減少するために、アーク溶接状態を悪化させることになる。したがって、アーク溶接状態を良好に保持するためには、所望のパルス電流Ip,平均電流Ia,平均アーク電圧Vaを確保する必要があり、給電ケーブルの長さ変更(最短で30m,最長で150m)で消費するケーブル電圧Vkの予測値と、リアクタで消費するリアクタ電圧VLの予測値とを予め加算したパルス電圧Vp,平均溶接電圧Eをパルス溶接電源より出力させる必要がある。
【0042】
図4は、本発明の溶接方法において、溶滴の安定移行及びスパッタの発生防止を図るためのパルスアーク溶接の電圧・電流波形及びワイヤ先端の溶滴移行の概要を示す説明図である。横軸の時間t(ms)に対する縦軸には、ワイヤ送り速度Wf,電源出力の電圧波形,アーク溶接部分のアーク電圧の波形,パルス電流とベース電流の波形、ワイヤ溶滴の形成と移行の概要を示している。パルス溶接電源10より高いパルス電圧Vp・電流Ipと低いベース電圧Vb・電流Ibを交互に出力させる。または直流の低いベース電圧Vb・電流Ibに高電流のパルス電圧Vp・電流Ipのパルス波形を重畳して出力させてもよい。
【0043】
このパルス電圧Vp・電流Ipの時間Tp中に、溶融させたワイヤ18先端に溶滴19を形成させ、パルス時間Tp終了後のベース時間Tb前半に、ワイヤ溶滴19を母材1a,1b側の溶融プール21へ離脱移行させる1パルスで1溶滴移行が可能な適正パルス溶接波形を出力させている。例えば、鋼材用の1.2mm 径のソリッドワイヤを使用する場合、パルス電流Ipを高めの600A程度、そのパルス時間Tpを1.5〜2.0msの範囲に設定してパルス溶接すると、高電流の1パルスで1溶滴を低電流のベース時間前半に移行させることができ、同時に、高いパルス電流によるアーク力によって溶け込み深さを増加することもできる。平均溶接電流Iaは、ベース時間Tbの増減制御によって増減でき、また、ワイヤ送り速度Wfも同期させて増減するようにしている。
【0044】
ここでは、所望のパルス電流Ip、平均溶接電流Iaを確保するために、特に、給電ケーブルの往復長さを流れるパルス電流Ipで消費する第2のケーブル電圧Vk2と、リアクタで消費する第2のリアクタ電圧VL2との予測値を予め加算したパルス電圧Vpをパルス溶接電源10より出力させている。リアクタ電圧VL2は、主にパルス電流波形の立上り立下りを緩やかにする方向に働く。また、アーク溶接部分で必要な平均アーク電圧Vaを確保するために、平均溶接電流Iaで消費する第1のケーブル電圧Vk1の予測値と、リアクタで消費する第1のリアクタ電圧VL1の予測値とを加算した平均溶接電圧Eを出力させている。平均アーク電圧Vaは、ワイヤ溶滴19の移行時に短絡移行が生じない程度のアーク長が保持可能な適正アーク電圧である。
【0045】
このように、給電ケーブルの長さ変更をした場合でも、適正なパルス電流Ipとパルス時間Tp、平均溶接電流Iaの大きさに適した平均アーク電圧Vaを出力させて溶接すると、高電流の1パルスで1溶滴が低電流のベース時間中に移行でき、小電流(平均)領域から大電流領域の溶接まで、スパッタの発生がなく、融合不良やアンダーカットなど欠陥のない良好な溶接結果を得ることができる。
【0046】
図5は、給電ケーブルの断面Bと単位長さ当りのケーブル抵抗R1(Ω/m)の関係を示す特性図であり、断面Bが小さくなるに従ってケーブル抵抗R1が大きくなる様子を示している。単位長さ当りのケーブル抵抗R1は、下記の(4)式で示される。C1,C2はケーブル定数である。
【0047】
ケーブル抵抗:R1=C1/BC2(Ω/m) …(4)
図6は、断面が60mm2 の給電ケーブル長さ(XL=10〜150m)を変化させた時にアーク溶接部分で出力すべきパルスアーク電圧Vpaと、給電ケーブルXLを流れる所望のパルス電流(例えばIp=600A)で消費するケーブル電圧Vk2と、リアクタで消費するリアクタ電圧VL2と、パルス溶接電源から給電が必要な合計のパルス電圧Vpとの関係を示す特性図である。パルス電流600A(●印の線)の通電で消費すると予想されるケーブル電圧Vk2(△印の線)は、ケーブル長さXLとパルス電流Ipの大きさに比例増加(Vk2=R1・XL・Ip)する。例えば、ケーブル長さXL=30mの場合で約Vk2=5.6V,XL=150mの場合で5倍の約Vk2=28Vにもなる。また、溶接回路内のリアクタで消費すると予想される平均的なリアクタ電圧VL2{□印の線}もある。この平均的なリアクタ電圧{VL2=(L+LR)・dIp/dt}の値は、ケーブル電圧Vk2の値に比べると小さいが、ケーブル長さによってLRのリアクタ成分(インダクタンス成分)が変化し、無視することができない。単線ケーブルの代わりに同軸ケーブルを用いた場合、LRのリアクタ成分を小さくすることが可能である。
【0048】
パルス溶接電源より給電すべき合計のパルス電圧Vp(○印の線)は、下記の(5)式で示される。断面が80mm2 で少し太い給電ケーブルまたは40mm2 で細い給電ケーブルを使用する場合でも、(4)(5)式よりパルス電圧Vpを算出することできる。また、ベース電流Ibの出力に必要なベース電圧Vbも同様な方法で算出可能である。なお、ベース電流Ibは、パルス電流Ipと比べて約1/8〜1/10程度の低い値であり、ケーブル電圧,リアクタ電圧の変化によるベース電圧Vb及びベース電流Ibの変化量(ΔIb,ΔVb)は小さい。
【0049】
パルス電圧:Vp=Vpa+Vk2+VL2 …(5)
このように、所望のパルスアーク電圧Vpaと、給電ケーブルの往復長さXLを流れるパルス電流Ipで生じるケーブル電圧Vk2と、リアクタ電圧VLとを加算したパルス電圧Vpを出力させて溶接すると、給電ケーブルの長さ変更をした場合でも、所望のパルス電流Ip及びパルスアーク電圧Vpaをアーク溶接部分で出力でき、小電流(平均)領域から大電流領域の溶接まで、スパッタの発生がなく、融合不良やアンダーカットなど欠陥のない良好な溶接結果を得ることができる。
【0050】
図7は、給電ケーブルの往復長さ(XL)を30m使用時と150m使用時との溶接で必要な所望の平均溶接電流Ia(パルス電流Ipも同列記載)を変化させた時の適正な平均アーク電圧Vaと、ケーブル電圧Vk1と、リアクタ電圧Vk1と、溶接電源より出力すべき平均溶接電圧Eとの関係を示す一実施形態の特性図である。平均溶接電流Iaの大きさに適した平均アーク電圧Vaをアーク溶接部分で正確に出力するためには、ケーブルを流れるIaで消費するケーブル電圧(Vk1=R1・XL・Ia)と、リアクタで消費するリアクタ電圧{VL1=(L+LR)・dIa/dt}とを加算した平均溶接電圧Eを溶接電源より出力する必要がある。溶接電源より出力すべき平均溶接電圧Eは、(1)式を変形した下記の(6)式で求められる。また、アーク溶接部分で確保すべき平均アーク電圧Vaは、アーク成分とワイヤ突出し成分との合計電圧であり、平均溶接電流Iaにほぼ比例増加し、(7)式で求められる。C3,C5はアーク電圧定数であり、WxとC4はワイヤ突出し長さと、使用するワイヤ径や材質などで決まるワイヤ定数である。
【0051】
平均溶接電圧:E=Va+Vk1+VL1 …(6)
平均アーク電圧:Va=(C3+C4・Wx)・Ia+C5 …(7)
このように、平均溶接電流Iaの大きさに適した平均アーク電圧Vaと、給電ケーブルの往復長さを流れる平均溶接電流Iaで変化するケーブル電圧Vk1と、リアクタ電圧VL1とを加算した平均溶接電圧Vaを設定して溶接すると、給電ケーブルの長さ変更をした場合でも、溶接時に変化するケーブル電圧,リアクタで消費するリアクタ電圧が補充可能になり、平均溶接電流の大きさに適した所望の平均アーク電圧をアーク溶接部分で確実に出力でき、過剰なアーク電圧や電流の低下または上昇によって発生するアーク切れ,スパッタの多発,溶滴移行の乱れ,アーク溶接の乱れ,溶接ビードの悪化を防止することができる。
【0052】
一方、パルス溶接電源と異なる直流溶接電源を用いる場合には、給電ケーブルを最長にした溶接時に必要となる高い負荷電圧及び定格電流が出力可能であると共に、所望の平均溶接電圧,平均溶接電流またはワイヤ送り速度に連動した平均溶接電流の調整が可能な直流溶接電源にすればよい。パルス溶接電源と比べると、スパッタの発生が多いが、直流溶接電源に使用する変圧器の定格容量を抑制することができ、制御回路も簡素で低コストである。また、上記の(6)式で算出する平均溶接電圧Va値を設定して溶接すると、パルス溶接時とほぼ同様に、給電ケーブルの長さ変更をした場合でも、溶接時に変化するケーブル電圧,リアクタ電圧が補充可能になり、平均溶接電流の大きさに対応した所望の平均アーク電圧をアーク溶接部分で確実に出力でき、アーク溶接の乱れや溶接ビードの悪化を防止することができる。
【0053】
表1は、定電圧制御方式のパルス溶接電源によるパルス溶接で使用する給電ケーブル長さ別に定めた条件テーブルを示す一実施形態である。本条件テーブルには、5種類のケーブル長さXLに別に定めたパルス電圧Vp,パルス時間Tp,ベース電圧Vb,パルス電流Ip,平均溶接電圧E,平均アーク電圧Vaを示している。パルス電圧Vpとパルス時間Tpは、パルス電流Ipを約600A出力させるのに必要なケーブル長さ別に定めた値であり、そのパルス電圧Vp値は、上記の(5)式と図6より算出できる。ベース電圧Vbについては、70A程度のベース電流Ibを出力させて保持する値である。平均溶接電流Iaの大きさに適した平均溶接電圧Eは、上記の(6)式と図7より算出でき、また、平均アーク電圧Vaは、(7)式と図7より算出することができる。
【0054】
【表1】
Figure 0004500489
【0055】
このように、給電ケーブルの往復長さXL別に定めた複数のパルス電圧Vpまたはそのパルス電圧Vp及びパルス時間Tpと、平均溶接電圧Vaを算出する電圧算出式とを条件テーブルに設けると、操作画面から給電ケーブル長さを選択するだけで、所定のパルス電圧,パルス時間,平均溶接電圧Vaを定電圧制御方式のパルス溶接電源へ自動設定でき、給電ケーブルの長さ変更で必要な適正条件出しの溶接実験や面倒な計算が省略でき、使い勝手を高めることができる。
【0056】
図8は、本発明の溶接方法において、視覚センサによる検出情報に基づいて初層溶接の条件パラメータを制御する一実施形態を示す説明図である。開先部のギャップ幅Gsの検出画像と、ギャップ幅の大きさ(Gs=0,Gs=5mm)に応じて出力させるパルス電流波形と、溶着量S1を増減させて形成した溶接ビード断面と、平均溶接電流Ia,平均溶接電圧E,溶接速度Vpなどの溶接条件パラメータを増減制御する様子とを示している。給電ケーブルの往復長さXLは30m(断面60mm2 )であり、そのケーブル長さに合った溶接条件を出力させている。
【0057】
深溶け込みが必要なギャップのない部分及びその近傍では、高めの平均溶接電流Iaとその平均溶接電流Iaに適した平均溶接電圧Eaを出力させる。平均溶接電流Iaが高いと、ワイヤ送り速度Wf(溶融速度)が速くなるために、溶接すべき溶着量S1(ワイヤ溶着面積)が減少するように溶接速度Vsを速くしている。開先部のギャップ幅Gsが大きくなるに従って、平均溶接電流Iaを階段状に減少させてアーク力を弱めると共に、それに適した平均アーク電圧Va及びワイヤ送り速度Wfをアーク溶接部分で出力させている。同時に、溶接すべき溶着量S1を増加させるために溶接速度Vsを減少させると共に、開先両壁を溶融させるためにウィービング幅Uwを増加させる制御を実行している。省略しているが、開先中心ずれΔYs,ΔZsの検出情報を用いて、溶接線左右及び上下の位置ずれをなくす方向に溶接トーチ位置Y,Zを修正制御している。ギャップ幅の広い部分には、開先部の裏側に予め裏当て材(例えばセラミック性の裏当て材)を設置すると、溶け落ちを防止できる。
【0058】
図9は、充填層溶接の条件パラメータを制御する一実施形態を示す説明図である。初層後の充填層溶接では、開先肩幅Wsまたはビード幅Bs,開先面積Asの検出情報を用い、平均溶接電流Ia、その平均溶接電流Iaに適した平均溶接電圧Eaとワイヤ送り速度Ws,溶接速度Vs,ウィービング幅Uwなどの溶接条件パラメータを各々算出して増減制御している。平均溶接電流Ia及び平均溶接電圧Eaは、初層の溶接時より低めであり、開先両壁を溶融させるために、開先肩幅Wsが大きさに応じてIa及びEaを階段状に増加させ、ウィービング幅Uwも増加させている。同時に、開先面積Asの大きさに対応した溶接すべき溶着量S1を増加させるために、溶接速度Vsを減少させる制御を実行している。また、初層溶接の時と同様に、溶接トーチ位置Y,Zを修正制御している。
【0059】
仕上層の溶接では、視覚センサによる開先形状検出が困難となるため、その検出動作を停止して、前層溶接で検出した記録データを再度用い、溶接すべき残存の溶着面積を算出し、その平均溶接電流Iaに適した平均溶接電圧Eaとワイヤ送り速度Wf,溶接速度Vs,ウィービング幅Uwなどの溶接条件パラメータを各々算出して増減制御するとよい。ここでは、V開先の溶接例を示したが、U開先,レ開先,X開先,すみ肉の溶接に対しても、本溶接制御が適用可能である。
【0060】
このように制御して溶接すると、ギャップや開先面積が変化、溶接線の曲がりや位置ずれがある開先継手であっても、溶接パス毎に実行する溶接条件パラメータの増減制御,トーチ位置の修正制御によって対応でき、良好な溶け込み形状の溶接結果を得ることができ、溶接を自動化することができる。
【0061】
【発明の効果】
本発明の溶接方法及び溶接装置によれば、溶接すべき継手部材の大きさ,設置場所,作業場所及び溶接箇所の相違によって給電ケーブルの長さ変更をした場合でも、溶接時に変化するケーブル電圧,リアクタで消費するリアクタ電圧を補充可能になり、所望のパルス電流,パルスアーク電圧,平均アーク電圧をアーク溶接部分で確実に出力することができ、小電流(平均)領域から大電流領域まで、スパッタの発生がなく、融合不良やアンダーカットなど欠陥のない良好な溶接結果を得ることができる。また、溶接装置及び溶接電源を所定の場所に設置したままの状態で、給電ケーブル,配線ケーブルを継手部材及び溶接台車まで簡単に延長または短縮することができ、クレーン作業による装置移設を省略し、溶接台車の取り付けや装置立上げの時間を短縮でき、さらに自動の溶接化による合理化,工数低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による溶接方法を採用した自動溶接装置の一実施形態の構成を示す斜視図である。
【図2】定電圧制御方式と異なる定電流制御方式のパルス溶接電源に関する電源回路の一実施形態を示すブロックである。
【図3】図2で示した電源主要回路より給電される溶接回路の等価回路を示す一実施形態である。
【図4】溶滴の安定移行及びスパッタの発生防止を図るためのパルスアーク溶接の電圧・電流波形及びワイヤ先端の溶滴移行の概要を示す説明図である。
【図5】給電ケーブルの断面Bと単位長さ当りのケーブル抵抗R1(Ω/m)の関係を示す特性図である。
【図6】断面が60mm2 の給電ケーブル長さ(XL=10〜150m)を変化させた時にパルス溶接電源から給電が必要な合計のパルス電圧Vpの関係を示す特性図である。
【図7】給電ケーブルの往復長さ(XL)を30m使用時と150m使用時との溶接で必要な所望の平均溶接電流Iaと平均溶接電圧Eとの関係を示す一実施形態の特性図である。
【図8】視覚センサによる検出情報に基づいて初層溶接の条件パラメータを制御する一実施形態を示す説明図である。
【図9】充填層溶接の条件パラメータを制御する一実施形態を示す説明図である。
【符号の説明】
1a,1b,1c,1d…溶接ワーク、2…開先部の溶接線、4…溶接トーチ、5a,5b,6a,6b…給電ケーブル、7a,7b…配線ケーブル、10…パルス溶接電源、11…溶接制御装置、12…視覚センサ、18…ワイヤ、19…ワイヤ溶滴、20…アーク、21…溶融池、41…インバータ回路、45…リアクタ、46…制御器、47…演算器、48,57…パルス電圧波形設定器、49…パルス時間設定器、50a…電流検出素子、50b…電流検出器、51…電圧検出器、52,55…溶接電圧設定器、53,56…溶接電流設定器、54…ワイヤ送り設定器、60,62…電源制御部、63…アーク電圧検出器。

Claims (4)

  1. 溶接すべき継手部材の大きさ,設置場所,作業場所及び溶接箇所の相違によって前記継手部材と溶接装置との距離が変化する溶接作業を対象に、溶接ワイヤを電極にするアーク溶接で用いる定電圧制御方式のパルス溶接電源と、溶接台車に搭載された溶接トーチ,溶接すべき継手部材と前記パルス溶接電源との間に各々接続及び延長する給電ケーブルと、該給電ケーブルの長さ別に定めた複数のパルス電圧Vp又は該パルス電圧Vp及びパルス時間Tp,所望の平均溶接電流Ia及び平均アーク電圧Vaに適応した平均溶接電圧Eを算出する電圧算出式を記載した条件テーブルとを設け、前記給電ケーブルの長さを変更して前記継手部材を溶接する溶接方法において、
    前記パルス電圧Vpは、所望のパルス電流Ipの出力に必要なパルスアーク電圧Vpaと、変更した給電ケーブルの長さXLを流れる前記パルス電流Ipで消費する第2のケーブル電圧Vk2と、溶接回路内のリアクタで消費する第2のリアクタ電圧VL2とを加算した値とし、また、前記平均溶接電圧Eは、所望の平均溶接電流Iaの大きさに適応した平均アーク電圧Vaと、前記給電ケーブルの長さXLを流れる前記平均溶接電流Iaで消費する第1のケーブル電圧Vk1と、溶接回路内のリアクタで消費する第1のリアクタ電圧VL1とを加算する下記の算出式(6)より算出した値とし、
    パルスアーク溶接の実行時には、前記条件テーブルより、給電ケーブル長さに応じて決定したパルス電圧Vp又は該パルス電圧Vp及びパルス時間Tp、平均溶接電圧Eを前記パルス溶接電源に設定し、アーク溶接部分に所望のパルス電流Ip,平均溶接電流Ia及び平均アーク電圧Vaを出力させて溶接することを特徴とする溶接方法。
    平均溶接電圧:E=Va+Vk1+VL1 …(6)
  2. 請求項1に記載の溶接方法であって、
    前記給電ケーブルの長さXLは30≦XL≦150mの範囲、前記パルス電圧Vpは50≦Vp≦72Vの範囲であることを特徴とする溶接方法。
  3. 請求項1または2に記載の溶接方法であって、
    前記ケーブル電圧Vk1,Vk2は、少なくとも使用する給電ケーブルの単位長さあたりの抵抗と、前記給電ケーブルの長さXLと、所望のパルス電流Ip,平均溶接電流Iaの各値より算出されることを特徴とする溶接方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の溶接方法であって、
    初層溶接では、視覚センサで検出される開先底部のギャップ幅Gsの増加に応じて、前記平均溶接電流Iaを階段状に減少させ、同時に、溶接速度Vsを減少させると共にウィービング幅Uwを増加させ、
    初層後の充填層の溶接では、開先上部の開先肩幅Wsの増加に応じて、前記平均電流Iaを減少させると共に前記ウィービング幅Uwを増加させ、同時に、開先面積Asの増加に応じて、前記溶接速度Vsを減少させ、
    仕上層の溶接では、前記視覚センサの検出動作を停止し、前層溶接で検出した記録データを再度用い、残存の溶着面積を算出し、この算出された溶着面積の大きさに応じて、ワイヤ送り速度Wf,前記溶接速度Vs,ウィービング幅Uwを算出することを特徴とする溶接方法。
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