JP4496722B2 - 新規ベンズイミダゾール誘導体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は医薬の分野において有用である。更に詳しくは、本発明の新規ベンズイミダゾール誘導体は、神経ペプチドY受容体拮抗物質として、各種の循環器系疾患、中枢神経系疾患、代謝系疾患等の処置剤として有用である。
【0002】
【従来の技術】
神経ペプチドY(以下NPYと称す)は36アミノ酸からなるペプチドであり、1982年、立元らにより豚脳より初めて単離された[ネイチャー(Nature)、296巻、659頁(1982年)]。NPYは中枢神経系及び末梢神経系に広く分布し、神経系における最も多量に存在するペプチドの一つとして、生体において多様な機能を司っている。すなわち、NPYは中枢において食欲促進物質として働くとともに、各種ホルモンの分泌又は神経系の作用を介して脂肪蓄積を顕著に促進する。NPYの脳室内連続投与はこれらの作用に基づき、肥満及びインスリン抵抗性を誘発することが知られている[インターナショナル・ジャーナル・オブ・オベシティー(International Jounal of Obesity)、19巻、517頁(1995年);エンドクリノロジー(Endocrinology)、133巻、1753頁(1993年)]。また、その他、うつ病、不安、精神***、痛み、痴呆及び概日リズムの調節などの中枢作用を持つことが知られている[ドラッグス(Drugs)、52巻、371頁(1996);ザ・ジャーナル・オブ・ニュウロサイエンス(The Journal of Neuroscience)、18巻、3014頁(1998年)]。更に、末梢では、NPYは交感神経終末にノルエピネフリンと共存し、交感神経系の緊張性と関係している。NPYの末梢投与は血管収縮を引き起こし、またノルエピネフリンを初めとする他の血管収縮物質の作用を増強することが知られている[ブリティシュ・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(British Journal of Pharmacology)、95巻、419頁(1988年)]。更に交感神経系の亢進にともなう心肥大を助長することも報告されている[プロシーディング・ナショナル・アカデミック・サイエンス・ユーエスエー(Proceeding National Academic Science USA)、97巻、1595頁(2000)]。
【0003】
その他、性ホルモン及び成長ホルモンの分泌能、性及び生殖機能、消化管運動、気管支収縮、炎症及びアルコールに対する嗜好性への関与も報告されている[ライフ・サイエンス(Life Science)、55巻、551頁(1994年);ザ・ジャーナル・オブ・アレルギー・アンド・クリニカル・イムノロジー(The Journal of Allergy and Immunology)、101巻、S345頁(1998年);ネイチャー(Nature)、396巻、366頁(1998年)]。
【0004】
NPYは、その類縁体であるペプタイドYY及びパンクレアティック・ポリペプタイドと一部共通の受容体を介して、多種多様な薬理作用を有する。これらNPYによる薬理作用は少なくとも5種類の受容体の単独あるいは相互作用を介して惹起されることが知られている[トレンヅ・イン・ニューロサイエンス(Trends in Neuroscience)、20巻、294頁(1997年)]。
【0005】
NPY Y1受容体を介する中枢作用としては、顕著な食欲促進作用が報告されている[エンドクリノロジー(Endocrinology)、137巻、3177頁(1996年):エンドクリノロジー(Endocrinology)、141巻、1011頁(2000年)]。更に不安感や痛みへの関与も報告されている[ネイチャー(Nature)、259巻、528頁(1993年);ブレイン・リサーチ(Brain Research)、859巻、361頁(2000年)]。また、末梢においては強力な血管収縮作用を介した血圧上昇作用が報告されている[フェブス・レター(FEBS Letters)、362巻、192頁、(1995年):ネイチャー・メディスン(Nature Medicine)、4巻、722頁(1998年)]。
【0006】
NPY Y2受容体を介する作用としては、神経終末において各種神経伝達物質の放出を阻害することが知られている[ブリティシュ・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(British Journal of Pharmacology)、102巻、41頁(1991年):シナプス(Synapse)2巻、299頁(1988年)]。また、末梢においては、これら神経伝達物質の制御あるいは直接の作用として、血管又は輸精管の収縮に関与する[ザ・ジャーナル・オブ・ファルマコロジー・アンド・エクスペリメンタル・セラピューティクス(The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics)、261巻、863頁(1992年);ブリティシュ・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(British Journal of Pharmacology)、100巻、190頁(1990年)]。また、脂肪組織においては、脂肪分解作用の抑制が知られている[エンドクリノロジー(Endocrinology)、131巻、1970頁(1992年)]。更に消化管においては、イオン分泌を阻害することが報告されている[ブリティシュ・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(British Journal of Pharmacology)、101巻、247頁(1990年)]。一方、記憶及び不安感等の中枢作用も知られている[ブレイン・リサーチ(Brain Research)、503巻、73頁(1989年):ペプタイド(Peptides)、19巻、359頁(1998年)]。
【0007】
NPY Y3受容体は、主に脳幹及び心臓に発現しており、血圧、心拍数の制御に関与していることが報告されている[ザ・ジャーナル・オブ・ファルマコロジー・アンド・エクスペリメンタル・セラピューティクス(The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics)、258巻、633頁(1991年);ペプタイド(Peptides)、11巻、545頁(1990年)]。更に、副腎においてはカテコールアミンの分泌に関与することが知られている[ザ・ジャーナル・オブ・ファルマコロジー・アンド・エクスペリメンタル・セラピューティクス(The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics)、244巻、468頁(1988年);ライフ・サイエンス(Life Science)、50巻、PL7頁(1992年)]。
【0008】
NPY Y4受容体は特にパンクレアティック・ポリペプタイドとの親和性が高く、薬理作用としては、膵外分泌及び消化管運動の抑制が報告されている[ガストロエンテロロジー(Gastroenterology)、85巻、1411頁(1983年)]。更に中枢においては、性ホルモンの分泌を促進することが知られている[エンドクリノロジー(Endocrinology)、140巻、5171頁(1999年)]。
【0009】
NPY Y5受容体を介する作用としては、食欲促進効果を含む脂肪蓄積作用が顕著である[ネイチャー(Nature)、382巻、168頁(1996年);アメリカン・ジャーナル・オブ・フィジオロジー(American Journal of Physiology)、277巻、R1428頁(1999年)]。また、痙攣及びてんかんへの関与又は痛み及びモルヒネ投与の中止に伴う禁断症状への関与更に概日リズムの調節等の中枢作用が報告されている[ネイチャー・メディスン(Nature Medicine)、3巻、761頁(1997年);プロシーディング・ナショナル・アカデミック・サイエンス・ユーエスエー(Proceeding National Academic Science USA)、96巻、13518頁(1999年);ザ・ジャーナル・オブ・ファルマコロジー・アンド・エクスペリメンタル・セラピューティクス(The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics)、284巻、633頁(1998年);ザ・ジャーナル・オブ・ニュウロサイエンス(The Journal of Neuroscience)、21巻、5367頁(2001年)]。更に末梢においては、利尿作用及び血糖降下作用が報告されている[ブリティシュ・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(British Journal of Pharmacology)、120巻、1335頁(1998年);エンドクリノロジー(Endocrinology)、139巻、3018頁(1998年)]。更に交感神経系の亢進にともなう心肥大を助長することも報告されている[プロシーディング・ナショナル・アカデミック・サイエンス・ユーエスエー(Proceeding National Academic Science USA)、97巻、1595頁(2000)]。
【0010】
NPYの機能は中枢又は末梢神経系に存在するNPY受容体を結合することにより発現される。したがって、NPYのNPY受容体との結合を阻害すれば、NPYの作用発現を阻止することができる。その結果、NPYのNPY受容体結合に拮抗する物質はNPYが関与する各種疾患、例えば狭心症、急性・うっ血性心不全、心筋梗塞、高血圧、腎臓病、電解質異常、血管れん縮等の循環器系疾患、例えば過食症、うつ病、不安、痙攣、てんかん、痴呆、痛み、アルコール依存症、薬物の断薬に伴う禁断症状、概日リズムの変調、統合失調症、記憶障害、睡眠障害、認知障害等の中枢神経系疾患、例えば肥満症、糖尿病、ホルモン分泌異常、痛風、脂肪肝等の代謝性疾患、例えば不妊、早産、性機能障害等の生殖系疾患、消化管系疾患、呼吸器系疾患、炎症性疾患又は緑内障等の予防又は治療における有用性が期待できる[トレンヅ・イン・ファーマコロジカル・サイエンス(Trends in Pharmacological Science)、15巻、153頁(1994年);ライフ・サイエンス(Life Science)、55巻、551頁(1994年);ドラッグス(Drugs)、52巻、371頁(1996年);ザ・ジャーナル・オブ・アレルギー・アンド・クリニカル・イムノロジー(The Journal of Allergy and Immunology)、101巻、S345頁(1998年);ネイチャー(Nature)、396巻、366頁(1998年);ザ・ジャーナル・オブ・ファルマコロジー・アンド・エクスペリメンタル・セラピューティクス(TheJournal of Pharmacology and Experimental Therapeutics)、284巻、633頁(1998年);トレンヅ・イン・ファーマコロジカル・サイエンス(Trends in Pharmacological Science)、20巻、104頁(1999年);プロシーディング・ナショナル・アカデミック・サイエンス・ユーエスエー(Proceeding National Academic Science USA)、97巻、1595頁(2000);ザ・ジャーナル・オブ・ニュウロサイエンス(The Journal of Neuroscience)、21巻、5367頁(2001年);ファルマコロジー・アンド・セラピューティクス(Pharmacology & Therapeutics)、65巻、397頁(1995年)]。
【0011】
また、最近、本発明者らの研究により、ある種のNPY受容体拮抗物質が、高コレステロール血症、高脂血症、動脈硬化症の予防又は治療において有用であることが見出された(国際公開第99/27965号パンフレット)。
国際公開第00/27845号パンフレット(特許文献1)及び国際公開第01/14376号パンフレット(特許文献2)には、種々のカルボキサミド誘導体が開示され、当該誘導体が優れたNPY受容体拮抗作用を有することが記載されている。また、国際公開第02/48152号パンフレット(特許文献3)には、種々のスピロ[イソベンゾフラン−1,4’−ピペリジン]−3−オン誘導体が開示され、当該誘導体がNPYのNPY5受容体との結合を調節する作用を有することが記載されている。しかしながら、これら公報には本発明化合物についての記載は全くない。
【0012】
【特許文献1】
国際公開第00/27845号パンフレット
【特許文献2】
国際公開第01/14376号パンフレット
【特許文献3】
国際公開第02/48152号パンフレット
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、NPY拮抗作用を有する新規な薬剤を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、一般式(I)
【化24】
[式中、A、B、C及びDは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、水酸基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルキルスルホニル基、低級アルキルスルホニルオキシ基、−N(R1)R2で表される基及び−Q1−Ar1で表される基からなる群より選択される置換基を有していてもよいメチン基又は窒素原子であって、それらのうち少なくとも1つが該メチン基を意味し;Ar1はハロゲン原子、ニトロ基、水酸基、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、ヒドロキシ低級アルキル基、シクロ低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルホニル基、カルボキシル基、低級アルカノイル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルカノイルアミノ基及び−Q2−Ar2で表される基からなる群より選択される置換基を有していてもよい、アリール基又はヘテロアリール基を意味し;Ar2はハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、ヒドロキシ低級アルキル基、水酸基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基、低級アルキルアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基、低級アルカノイル基及びアリール基からなる群より選択される置換基を有していてもよい、アリール基又はヘテロアリール基を意味し;Eは窒素原子、メチン基又は水酸基に置換されたメチン基を意味し;nは0又は1を意味し;Q1及びQ2は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子、カルボニル基又は−N(R3)−で表される基を意味し;R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子若しくは低級アルキル基を意味するか、又は一緒になって、酸素原子、硫黄原子若しくはイミノ基を介していてもよい低級アルキレン基を意味し;R3は水素原子又は低級アルキル基を意味し;R4は低級アルキル基、アラルキル基又はアリール基を意味し;R5及びR8は、それぞれ独立して、水素原子、低級アルキル基、アラルキル基又はアリール基を意味し;R6及びR7は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、低級アルキル基、アラルキル基又はアリール基を意味し;T、U、V及びWは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、水酸基、低級アルコキシ基及びハロ低級アルコキシ基からなる群より選択される置換基を有していてもよいメチン基又は窒素原子であって、それらのうち少なくとも2つが該メチン基を意味し;Xは−N(SO2R4)−、−N(COR5)−又は−CO−で表される基を意味し;Yは−C(R6)(R7)−、−O−又は−N(R8)−で表される基を意味する(ただし、同時に、Eが窒素原子であり、nが0であり、Xが−CO−で表される基であり、かつYが−O−で表される基である場合を除く)]で表される化合物がNPY拮抗作用、特にNPY Y5受容体における拮抗作用を有し、また、例えば脳内移行性又は脳脊髄液移行性等の体内動態に優れることを見出し、本発明を完成した。
【0015】
本発明化合物(I)は、NPY拮抗作用、特にNPY Y5受容体における拮抗作用を有し、例えば脳内移行性又は脳脊髄液移行性等の体内動態に優れ、NPYが関与する各種の疾患、例えば狭心症、急性・うっ血性心不全、心筋梗塞、高血圧、腎臓病、電解質異常、血管れん縮、動脈硬化症等の循環器系疾患、例えば過食症、うつ病、不安、痙攣、てんかん、痴呆、痛み、アルコール依存症、薬物の断薬に伴う禁断症状、概日リズムの変調、統合失調症、記憶障害、睡眠障害、認知障害等の中枢神経系疾患、例えば肥満症、糖尿病、ホルモン分泌異常、高コレステロール血症、高脂血症、痛風、脂肪肝等の代謝性疾患、例えば不妊、早産、性機能障害等の生殖系疾患、消化管系疾患、呼吸器系疾患、炎症性疾患又は緑内障等、また、例えばアテローム性動脈硬化症、性腺機能低下症、高アンドロゲン症、多嚢胞性卵巣症候群、多毛症、消化管運動障害、肥満に関連した胃食道逆流、肥満低換気症候群(ピックウィック症候群)、睡眠時無呼吸症候群、炎症、全身性脈管炎、変形性関節症、インシュリン抵抗性、気管支収縮、アルコール嗜好性、代謝異常症候群(metabolic syndrome;syndrome X)、アルツハイマー病、心肥大、左心室肥大、高トリグリセリド血症、低HDLコレステロール血症、例えば冠動脈性心疾患(CHD)、脳血管性疾患、脳卒中、末梢脈管疾患、突然死等の循環器系疾患、胆嚢疾患、癌(胸部、子宮内膜、結腸)、息切れ、高尿酸血症、生殖能障害、腰痛又は麻酔薬過敏症等の処置剤として有用である。
特に、本発明化合物(I)は、例えば過食症、肥満症、糖尿病等の処置剤として有用である。
本発明は、一般式(I)で表される化合物又はその塩並びにそれらの製造法及び用途に関する。
【0016】
以下に、本明細書において用いられる用語の意味を記載し、本発明について更に詳細に説明する。
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を意味する。
「低級アルキル基」とは、炭素数1ないし6の直鎖状又は分岐状のアルキル基を意味し、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基等が挙げられる。
【0017】
「ハロ低級アルキル基」とは、置換可能な任意の位置が1又は2以上、好ましくは1ないし3の同一又は異なる前記ハロゲン原子で置換された前記低級アルキル基を意味し、例えばフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2−フルオロエチル基、1,2−ジフルオロエチル基、クロロメチル基、2−クロロエチル基、1,2−ジクロロエチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基等が挙げられる。
「低級アルコキシ基」とは、炭素数1ないし6の直鎖状又は分岐状のアルコキシ基を意味し、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、sec−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基等が挙げられる。
【0018】
「ハロ低級アルコキシ基」とは、置換可能な任意の位置が1又は2以上、好ましくは1ないし3の同一又は異なる前記ハロゲン原子で置換された前記低級アルコキシ基を意味し、例えばフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2−フルオロエトキシ基、1,2−ジフルオロエトキシ基、クロロメトキシ基、2−クロロエトキシ基、1,2−ジクロロエトキシ基、ブロモメトキシ基、ヨードメトキシ基等が挙げられる。
「低級アルコキシカルボニル基」とは、前記低級アルコキシ基を有するアルコキシカルボニル基、すなわち、炭素数2ないし7のアルコキシカルボニル基を意味し、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0019】
「低級アルキルスルホニル基」とは、炭素数1ないし6の直鎖状又は分岐状のアルキルスルホニル基を意味し、例えばメチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、sec−ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、tert−ブチルスルホニル基、ペンチルスルホニル基、イソペンチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基、イソヘキシルスルホニル基等が挙げられる。
【0020】
「低級アルキルスルホニルオキシ基」とは、炭素数1ないし6の直鎖状又は分岐状のアルキルスルホニルオキシ基を意味し、例えばメチルスルホニルオキシ基、エチルスルホニルオキシ基、プロピルスルホニルオキシ基、イソプロピルスルホニルオキシ基、ブチルスルホニルオキシ基、sec−ブチルスルホニルオキシ基、イソブチルスルホニルオキシ基、tert−ブチルスルホニルオキシ基、ペンチルスルホニルオキシ基、イソペンチルスルホニルオキシ基、ヘキシルスルホニルオキシ基、イソヘキシルスルホニルオキシ基等が挙げられる。
【0021】
「ヒドロキシ低級アルキル基」とは、置換可能な任意の位置が1又は2以上、好ましくは1又は2の水酸基で置換された前記低級アルキル基を意味し、例えばヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル基、1,2−ジヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。
「シクロ低級アルキル基」とは、炭素数3ないし6のシクロアルキル基を意味し、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。
【0022】
「低級アルケニル基」とは、炭素数2ないし6の直鎖又は分岐状のアルケニル基を意味し、例えばビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基、3−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ブテニル基、1−メチル−2−プロペニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−エチル−1−エテニル基、2−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、3−メチル−2−ブテニル基、4−ペンテニル基等が挙げられる。
「低級アルキルチオ基」とは、炭素数1ないし6の直鎖状又は分岐状のアルキルチオ基を意味し、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、イソブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、イソペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、イソヘキシルチオ基等が挙げられる。
【0023】
「低級アルカノイル基」とは、前記低級アルキル基を有するアルカノイル基、すなわち、炭素数2ないし7のアルカノイル基を意味し、例えばアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基等が挙げられる。
「低級アルカノイルアミノ基」とは、前記低級アルカノイル基でモノ置換されたアミノ基を意味し、例えばアセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ブチリルアミノ基、イソブチリルアミノ基、バレリルアミノ基、イソバレリルアミノ基、ピバロイルアミノ基等が挙げられる。
【0024】
「アリール基」としては、例えばフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
「ヘテロアリール基」とは、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群より、同一若しくは異なって選ばれる1若しくは2以上、好ましくは1ないし3の複素原子を含有する5員若しくは6員の単環式芳香族複素環基又は該単環式芳香族複素環基と前記アリール基が縮合した、若しくは同一若しくは異なる該単環式芳香族複素環基が互いに縮合した縮合環式芳香族複素環基を意味し、例えばピロリル基、フリル基、チエニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、オキサジアゾリル基、1,2,3−チアジアゾリル基、1,2,4−チアジアゾリル基、1,3,4−チアジアゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、1,2,4−トリアジニル基、1,3,5−トリアジニル基、インドリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、インダゾリル基、プリニル基、キノリル基、イソキノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、プテリジニル基、ピリド[3,2−b]ピリジル基等が挙げられる。
【0025】
「低級アルキルアミノ基」とは、前記低級アルキル基でモノ置換されたアミノ基を意味し、例えばメチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基等が挙げられる。
「ジ低級アルキルアミノ基」とは、同一又は異なる前記低級アルキル基でジ置換されたアミノ基を意味し、例えばジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、メチルプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基等が挙げられる。
【0026】
「酸素原子、硫黄原子若しくはイミノ基を介していてもよい低級アルキレン基」とは、炭素数2ないし5のアルキレン基であって、当該アルキレン鎖の介在可能な任意の位置に、1又は2以上、好ましくは1の酸素原子、硫黄原子又はイミノ基が介在するか、又は介在しない基を意味し、例えばエチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、2−オキサテトラメチレン基、2−オキサペンタメチレン基、3−オキサペンタメチレン基、2−チアテトラメチレン基、2−チアペンタメチレン基、3−チアペンタメチレン基、2−アザテトラメチレン基、2−アザペンタメチレン基、3−アザペンタメチレン基等が挙げられる。
「アラルキル基」とは、置換可能な任意の位置が1又は2以上、好ましくは1の前記アリール基で置換された前記低級アルキル基を意味し、例えばベンジル基、1−フェニルエチル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基等が挙げられる。
【0027】
一般式(I)で表される化合物の「エステル」としては、例えばカルボキシル基を有する場合の当該カルボキシル基における医薬として許容されうる慣用的なものを意味し、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等の低級アルキル基とのエステル、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基とのエステル、アリル基、2−ブテニル基等の低級アルケニル基とのエステル、メトキシメチル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基等の低級アルコキシ低級アルキル基とのエステル、アセトキシメチル基、ピバロイルオキシメチル基、1−ピバロイルオキシエチル基等の低級アルカノイルオキシ低級アルキル基とのエステル、メトキシカルボニルメチル基、イソプロポキシカルボニルメチル基等の低級アルコキシカルボニル低級アルキル基とのエステル、カルボキシメチル基等のカルボキシ低級アルキル基とのエステル、1−(エトキシカルボニルオキシ)エチル基、1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチル基等の低級アルコキシカルボニルオキシ低級アルキル基とのエステル、カルバモイルオキシメチル基等のカルバモイルオキシ低級アルキル基とのエステル、フタリジル基とのエステル、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソール−4−イル)メチル基等の(5−置換−2−オキソ−1,3−ジオキソール−4−イル)メチル基とのエステル等が挙げられる。
【0028】
一般式(I)で表される化合物の「塩」とは、医薬として許容されうる慣用的なものを意味し、例えばカルボキシル基を有する場合の当該カルボキシル基における塩基付加塩又はアミノ基若しくは塩基性の複素環基を有する場合の当該アミノ基若しくは塩基性複素環基における酸付加塩の塩類を挙げることができる。
該塩基付加塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;例えばカルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;例えばアンモニウム塩;例えばトリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、プロカイン塩、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩等の有機アミン塩等が挙げられる。
【0029】
該酸付加塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、過塩素酸塩等の無機酸塩;例えばマレイン酸塩、フマール酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、トリフルオロ酢酸塩等の有機酸塩;例えばメタンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等のスルホン酸塩等が挙げられる。
一般式(I)で表される化合物の「N−オキシド誘導体」とは、当該化合物上に存在するN−オキシド形成可能な、1又は2以上、好ましくは1の任意の窒素原子が酸化されN−オキシドを形成した化合物を意味し、例えば、式中、T、U、V又はWが窒素原子である場合、当該窒素原子が酸化されたN−オキシド誘導体を挙げることができる。
「処置剤」とは、各種疾患に対して治療及び/又は予防の目的で供せられる薬剤を意味する。
【0030】
前記一般式(I)で表される本発明の化合物を更に具体的に開示するため、式(I)において用いられる各種記号につき、その好適な具体例を挙げて更に詳細に説明する。
A、B、C及びDは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、水酸基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルキルスルホニル基、低級アルキルスルホニルオキシ基、−N(R1)R2で表される基及び−Q1−Ar1で表される基からなる群より選択される置換基を有していてもよいメチン基又は窒素原子であって、それらのうち少なくとも1つが該メチン基を意味する。
【0031】
「ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、水酸基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルキルスルホニル基、低級アルキルスルホニルオキシ基、−N(R1)R2で表される基及び−Q1−Ar1で表される基からなる群より選択される置換基を有していてもよいメチン基」とは、無置換のメチン基又は置換基を有するメチン基を意味し、該置換基はハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、水酸基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルキルスルホニル基、低級アルキルスルホニルオキシ基、−N(R1)R2で表される基及び−Q1−Ar1で表される基からなる群より選択することができる。
【0032】
該置換基のハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子等が好適である。
該置換基の低級アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基等が好適である。
該置換基のハロ低級アルキル基としては、例えばジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基等が好適である。
該置換基の低級アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基等が好適である。
該置換基のハロ低級アルコキシ基としては、例えばジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基等が好適である。
該置換基の低級アルコキシカルボニル基としては、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等が好適である。
該置換基の低級アルキルスルホニル基としては、例えばメチルスルホニル基、エチルスルホニル基等が好適である。
該置換基の低級アルキルスルホニルオキシ基としては、例えばメチルスルホニルオキシ基、エチルスルホニルオキシ基等が好適である。
該置換基の−N(R1)R2で表される基において、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子若しくは低級アルキル基を意味するか、又は一緒になって、酸素原子、硫黄原子若しくはイミノ基を介していてもよい低級アルキレン基を意味する。
【0033】
R1又はR2の低級アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基等が好適である。
R1及びR2が一緒になって形成する「酸素原子、硫黄原子若しくはイミノ基を介していてもよい低級アルキレン基」としては、例えばペンタメチレン基、3−オキサペンタメチレン基等が好適であり、これらは隣接する窒素原子とともにピぺリジノ基、モルホリノ基等を形成する。
R1及びR2の好ましい態様としては、R1又はR2の少なくとも一方が低級アルキル基であるときか、R1及びR2が一緒になって酸素原子、硫黄原子若しくはイミノ基を介していてもよい低級アルキレン基を形成するときが挙げられる。
したがって、−N(R1)R2で表される基としては、例えばアミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、1−アゼチジニル基、1−ピロリジニル基、ピぺリジノ基、モルホリノ基、チオモルホリノ基、1−ピペラジニル基等が挙げられ、中でもメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ピぺリジノ基、モルホリノ基等が好適である。
【0034】
該置換基の−Q1−Ar1で表される基において、Ar1はハロゲン原子、ニトロ基、水酸基、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、ヒドロキシ低級アルキル基、シクロ低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルホニル基、カルボキシル基、低級アルカノイル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルカノイルアミノ基及び−Q2−Ar2で表される基からなる群より選択される置換基を有していてもよい、アリール基又はヘテロアリール基を意味し;Q1は単結合、酸素原子、カルボニル基又は−N(R3)−で表される基を意味する。
【0035】
「ハロゲン原子、ニトロ基、水酸基、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、ヒドロキシ低級アルキル基、シクロ低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルホニル基、カルボキシル基、低級アルカノイル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルカノイルアミノ基及び−Q2−Ar2で表される基からなる群より選択される置換基を有していてもよい、アリール基又はヘテロアリール基」とは、無置換の前記アリ−ル基若しくは前記ヘテロアリール基、又は置換可能な任意の位置に置換基を有する前記アリ−ル基若しくは前記ヘテロアリール基を意味し、該置換基はハロゲン原子、ニトロ基、水酸基、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、ヒドロキシ低級アルキル基、シクロ低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルホニル基、カルボキシル基、低級アルカノイル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルカノイルアミノ基及び−Q2−Ar2で表される基からなる群より、同一又は異なって1又は2以上、好ましくは1又は2選択することができる。
【0036】
該置換基のハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等が好適である。
該置換基の低級アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が好適である。
該置換基のハロ低級アルキル基としては、例えばジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基等が好適である。
該置換基のヒドロキシ低級アルキル基としては、例えばヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル基等が好適である。
該置換基のシクロ低級アルキル基としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基等が好適である。
該置換基の低級アルケニル基としては、例えばビニル基、1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基等が好適である。
該置換基の低級アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基等が好適である。
該置換基のハロ低級アルコキシ基としては、例えばフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基等が好適である。
該置換基の低級アルキルチオ基としては、例えばメチルチオ基、エチルチオ基等が好適である。
該置換基の低級アルキルスルホニル基としては、例えばメチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基等が好適である。
該置換基の低級アルカノイル基としては、例えばアセチル基、プロピオニル基等が好適である。
該置換基の低級アルコキシカルボニル基としては、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等が好適である。
該置換基の低級アルカノイルアミノ基としては、例えばアセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基等が好適である。
【0037】
該置換基の−Q2−Ar2で表される基において、Ar2はハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、ヒドロキシ低級アルキル基、水酸基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基、低級アルキルアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基、低級アルカノイル基及びアリール基からなる群より選択される置換基を有していてもよい、アリール基又はヘテロアリール基を意味し;Q2は単結合、酸素原子、カルボニル基又は−N(R3)−で表される基を意味する。
【0038】
「ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、ヒドロキシ低級アルキル基、水酸基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基、低級アルキルアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基、低級アルカノイル基及びアリール基からなる群より選択される置換基を有していてもよい、アリール基又はヘテロアリール基」とは、無置換の前記アリ−ル基若しくは前記ヘテロアリール基、又は置換可能な任意の位置に置換基を有する前記アリ−ル基若しくは前記ヘテロアリール基を意味し、該置換基はハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、ヒドロキシ低級アルキル基、水酸基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基、低級アルキルアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基、低級アルカノイル基及びアリール基からなる群より、同一又は異なって1又は2以上、好ましくは1又は2選択することができる。
【0039】
該置換基のハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子等が好適である。
該置換基の低級アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が好適である。
該置換基のハロ低級アルキル基としては、例えばジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基等が好適である。
該置換基のヒドロキシ低級アルキル基としては、例えばヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル基等が好適である。
該置換基の低級アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基等が好適である。
該置換基のハロ低級アルコキシ基としては、例えばフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基等が好適である。
該置換基の低級アルキルアミノ基としては、例えばメチルアミノ基、エチルアミノ基等が好適である。
該置換基のジ低級アルキルアミノ基としては、例えばジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等が好適である。
該置換基の低級アルカノイル基としては、例えばアセチル基、プロピオニル基等が好適である。
該置換基のアリール基としては、例えばフェニル基等が好適である。
Ar2の置換基としては、例えばハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、ヒドロキシ低級アルキル基、水酸基、ハロ低級アルコキシ基等が好適である。
Ar2のアリール基としては、例えばフェニル基等が、ヘテロアリール基としては、例えばピリジル基、キノリル基等が好適である。
【0040】
Q1及びQ2の−N(R3)−で表される基において、R3は水素原子又は低級アルキル基を意味する。
R3としては、例えば水素原子、メチル基、エチル基等が好適である。
Q2としては、例えば単結合等が好適である。
Ar1の置換基としては、例えばハロゲン原子、水酸基、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルコキシ基、低級アルカノイル基、−Q2−Ar2で表される基等、より好ましくはハロゲン原子、水酸基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基等が好適である。
【0041】
Ar1のアリール基としては、例えばフェニル基等が、ヘテロアリール基としては、例えばイミダゾリル基、フリル基、チエニル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、1,2,4−オキサジアゾール基、1,3,4−オキサジアゾール基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ベンゾフラニル基、キノリル基等、より好ましくはピリジル基、キノリル基等、更に好ましくはピリジル基等が好適である。
【0042】
したがって、Ar1で表される基としては、例えばフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2,3−ジフルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2−ブロモフェニル基、3−ブロモフェニル基、4−ブロモフェニル基、2−クロロ−4−フルオロフェニル基、2−クロロ−5−フルオロフェニル基、2−クロロ−6−フルオロフェニル基、2−ブロモ−4−フルオロフェニル基、2−ブロモ−5−フルオロフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、5−フルオロ−2−メチルフェニル基、3−フルオロメチルフェニル基、2−トリフルオロメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、5−フルオロ−2−メトキシフェニル基、3−フルオロメトキシフェニル基、2−ジフルオロメトキシフェニル基、3−ジフルオロメトキシフェニル基、2−ヒドロキシ−4−フルオロフェニル基、2−ヒドロキシメチルフェニル基、3−ヒドロキシメチルフェニル基、3−ヒドロキシフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、2−イミダゾリル基、2−フリル基、2−チエニル基、1,2,4−オキサジアゾール−5−イル基、1,3,4−オキサジアゾール−2−イル基、1,2,4−チアジアゾール−5−イル基、1,3,4−チアジアゾール−2−イル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−フルオロ−5−ピリジル基、3−フルオロ−6−ピリジル基、2−ピリミジニル基、4−ベンゾ[b]フラニル基、5−ベンゾ[b]フラニル基、7−ベンゾ[b]フラニル基、2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、8−キノリル基等が挙げられ、中でもフェニル基、2−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,5−ジフルオロフェニル基、2−クロロ−4−フルオロフェニル基、2−クロロ−5−フルオロフェニル基、2−トリフルオロメチルフェニル基、2−ジフルオロメトキシフェニル基、3−ジフルオロメトキシフェニル基、3−ヒドロキシフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、2−ピリジル基、2−フルオロ−5−ピリジル基、3−フルオロ−6−ピリジル基、7−ベンゾ[b]フラニル基、2−キノリル基、3−キノリル基等が好適である。
【0043】
Q1としては、例えば単結合、酸素原子、−N(R3)−で表される基等、より好ましくは単結合等が好適である。
A、B、C又はDのメチン基の置換基としては、例えばハロゲン原子、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシカルボニル基、−N(R1)R2で表される基、−Q1−Ar1で表される基等、より好ましくは−Q1−Ar1で表される基等が好適である。
A、B、C及びDの好ましい態様としては、例えばA及びDが同一又は異なって、無置換のメチン基又は窒素原子であり、かつB及びCのいずれか一方が−Q1−Ar1で表される基を有するメチン基であり、他方が無置換のメチン基又は窒素原子であるとき等、より好ましくはAが無置換のメチン基であり、B及び/又はDが窒素原子であり、かつCが−Q1−Ar1で表される基を有するメチン基であるとき等が挙げられる。
【0044】
Eはメチン基、水酸基に置換されたメチン基又は窒素原子を意味するが、メチン基が好適である。
nは0又は1を意味するが、0が好適である。
T、U、V及びWは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、水酸基、低級アルコキシ基及びハロ低級アルコキシ基からなる群より選択される置換基を有していてもよいメチン基又は窒素原子であって、それらのうち少なくとも2つが該メチン基を意味する。
【0045】
「ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、水酸基、低級アルコキシ基及びハロ低級アルコキシ基からなる群より選択される置換基を有していてもよいメチン基」とは、無置換のメチン基又は置換基を有するメチン基を意味し、該置換基はハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、水酸基、低級アルコキシ基及びハロ低級アルコキシ基からなる群より選択することができる。
【0046】
該置換基のハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子等が好適である。
該置換基の低級アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基等が好適である。
該置換基のハロ低級アルキル基としては、例えばジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基等が好適である。
該置換基の低級アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基等が好適である。
該置換基のハロ低級アルコキシ基としては、例えばフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基等が好適である。
該置換基としては、例えばハロゲン原子、低級アルキル基、水酸基、低級アルコキシ基等、より好ましくはハロゲン原子等が好適である。
【0047】
T、U、V及びWの好ましい態様としては、例えば、T、U、V及びWが、それぞれ独立して、前記置換基、より好ましくはハロゲン原子、低級アルキル基、水酸基、低級アルコキシ基、更に好ましくはハロゲン原子を有していてもよいメチン基であるときか;又はT、U、V及びWのいずれか1つが窒素原子であるとき;中でもT、U、V及びWのいずれか1つが窒素原子であり、かつ他の1つが前記置換基、より好ましくはハロゲン原子、低級アルキル基、水酸基、低級アルコキシ基、更に好ましくはハロゲン原子を有するメチン基であるときか;T、U、V及びWのいずれか1つが窒素原子であり、他が無置換のメチン基であるとき等が挙げられる。
【0048】
Xは−N(SO2R4)−、−N(COR5)−又は−CO−で表される基を意味し;Yは−C(R6)(R7)−、−O−又は−N(R8)−で表される基を意味し;R4は低級アルキル基、アラルキル基又はアリール基を意味し;R5及びR8は、それぞれ独立して、水素原子、低級アルキル基、アラルキル基又はアリール基を意味し;R6及びR7は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、低級アルキル基、アラルキル基又はアリール基を意味する。
R4、R5、R6、R7又はR8の低級アルキル基としては、それぞれ独立して、例えばメチル基、エチル基、プロピル基等が好適である。
R4、R5、R6、R7又はR8のアラルキル基としては、それぞれ独立して、例えばベンジル基等が好適である。
R4、R5、R6、R7又はR8のアリール基としては、それぞれ独立して、例えばフェニル基等が好適である。
R4及びR5としては、例えば低級アルキル基等が好適である。
R6及びR7の好ましい態様としては、例えば、R6及びR7がともに水素原子であるとき等が挙げられる。
R8としては、例えば水素原子、低級アルキル基等、より好ましくは水素原子等が好適である。
【0049】
n、X及びYの好ましい態様としては、例えばnが0であり、Xが−N(SO2R4)−若しくは−N(COR5)−で表される基、より好ましくは−N(SO2R4)−で表される基であり、かつYが−C(R6)(R7)−で表される基であるときか;又はnが0又は1、より好ましくは0であり、Xが−CO−で表される基であり、かつYが−O−若しくは−N(R8)−で表される基、より好ましくは−O−で表される基であるとき等、中でもXが−CO−で表される基であり、かつYが−O−若しくは−NH−で表される基であるとき、更に好ましくはXが−CO−で表される基であり、かつYが−O−で表される基であるとき等が挙げられる。
なお、同時に、Eが窒素原子であり、nが0であり、Xが−CO−で表される基であり、かつYが−O−で表される基である化合物については、本発明から除外される。
【0050】
より具体的には、一般式(I)の式中、式(a)
【化25】
で表される基としては、例えば、次の式(a1)
【化26】
で表される基であって、基上のメチン基が、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、水酸基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルキルスルホニル基、低級アルキルスルホニルオキシ基、−N(R1)R2で表される基及び−Q1−Ar1で表される基からなる群より選択される置換基で置換されていてもよい基等が挙げられる。
【0051】
中でも、次の式(a2)
【化27】
[式中、Ar1及びQ1は前記の意味を有する]で表される基が好適である。
【0052】
また、一般式(I)の式中、式(b)
【化28】
で表される基としては、例えば、次の式(b1)
【化29】
[式中、R0は水素原子又は水酸基を意味し;R4は前記の意味を有する]で表される基等が挙げられる。
【0053】
一般式(I)で表される化合物のうち、例えば、一般式(I−a)
【化30】
[式中、A、B、C、D、E及びR4は前記の意味を有する]で表される化合物、一般式(I−b)
【化31】
[式中、A、B、C、D、R0、T、U、V及びWは前記の意味を有する]で表される化合物、又は一般式(I−c)
【化32】
[式中、A、B、C、D及びEは前記の意味を有する]で表される化合物等が好適である。
【0054】
一般式(I)、(I−a)、(I−b)又は(I−c)で表される化合物のうち、例えば、A、B、C及びDが前記の好ましい態様であり、Ar1がハロゲン原子、ニトロ基、水酸基、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、ヒドロキシ低級アルキル基、シクロ低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルホニル基、カルボキシル基、低級アルカノイル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルカノイルアミノ基及び−Q2−Ar2で表される基からなる群より選択される置換基を有していてもよい、フェニル基又はヘテロアリール基、より好ましくはフェニル基であり、R0が水素原子である化合物等が好適である。
【0055】
更に、一般式(I−b)で表される化合物のうち、例えば、T、U、V及びWがいずれも無置換のメチン基である化合物か;又はT、U、V及びWのいずれか1つが窒素原子である化合物、中でもT、U、V及びWのいずれか1つが窒素原子であり、かつ他が無置換のメチン基である化合物か、若しくは他の1つがフッ素原子又は塩素原子を有するメチン基である化合物等が好適である。
本発明の化合物は、その置換基の態様によって、光学異性体、ジアステレオ異性体、幾何異性体等の立体異性体又は互変異性体が存在する場合があるが、本発明の化合物はこれら全ての立体異性体、互変異性体及びそれらの混合物をも包含する。
【0056】
例えば、一般式(I−a)で表される化合物には、一般式(I−1a)又は(I−1a’)
【化33】
【化34】
で表されるトランス体及び一般式(I−2a)又は(I−2a’)
【化35】
【化36】
で表されるシス体の立体異性体が存在するが、一般式(I−1a)で表される化合物及び一般式(I−2a’)で表される化合物がより好適である。
【0057】
一般式(I−b)で表される化合物には、一般式(I−1b)又は(I−1b’)
【化37】
【化38】
で表されるトランス体及び一般式(I−2b)又は(I−2b’)
【化39】
【化40】
で表されるシス体の立体異性体が存在するが、一般式(I−1b)で表される化合物及び一般式(I−2b’)で表される化合物がより好適である。
【0058】
一般式(I−c)で表される化合物のうち、Eがメチン基である化合物には、一般式(I−1c)又は(I−1c’)
【化41】
【化42】
で表されるトランス体及び一般式(I−2c)又は(I−2c’)
【化43】
【化44】
で表されるシス体の立体異性体が存在するが、一般式(I−1c)で表される化合物及び一般式(I−2c’)で表される化合物がより好適である。
【0059】
本発明化合物の種々の結晶、水和物及び溶媒和物も本発明の範囲に属する。
更に本発明化合物のプロドラッグもまた本発明の範囲に属する。一般的に、そのようなプロドラッグは、生体内で容易に必要とされる化合物に変換されうる本発明化合物の機能的誘導体である。したがって、本発明に係る各種疾患の処置方法に置いては、“投与”という言葉は、特定した化合物の投与のみならず、患者に投与した後、生体内で当該特定した化合物に変換される化合物の投与を含む。適当なプロドラッグ誘導体の選択及び製造のための常套手段は、例えば“Design of Prodrugs”ed. H. Bundgaard, Elsevier, 1985に記載され、ここに引用してその記載全体を本願明細書の一部となす。これらの化合物の代謝物は、本発明化合物を生物学的環境に置くことによって産生される活性化合物を含み、本発明の範囲に属する。
【0060】
一般式(I)で表される化合物の具体例としては、例えば、
2−[1−メチルスルホニルスピロ[インドリン−3,4’−ピペリジン]−1’−イル]−5−クロロベンズイミダゾ−ル、
5,6−ジクロロ−2−[1−メチルスルホニルスピロ[インドリン−3,4’−ピペリジン]−1’−イル]ベンズイミダゾ−ル、
5−クロロ−2−[1−エチルスルホニルスピロ[インドリン−3,4’−ピペリジン]−1’−イル]ベンズイミダゾ−ル、
トランス−5−クロロ−2−[3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−イル]−6−(トリフルオロメチル)ベンズイミダゾ−ル、
トランス−5−(4−フルオロフェニル)−2−[3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−イル]ベンズイミダゾ−ル、
トランス−2−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]−5−フェニルベンズイミダゾ−ル、
トランス−5−(3−フルオロフェニル)−2−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]ベンズイミダゾ−ル、
トランス−5−(4−フルオロフェニル)−2−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]ベンズイミダゾ−ル、
トランス−2−[3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−イル]−5−(2−ピリジル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン、
トランス−2−[3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−イル]−6−(2−ピリジル)イミダゾ[4,5−b]ピリジン、
トランス−5−(2−フルオロフェニル)−2−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]イミダゾ[4,5−b]ピリジン、
トランス−2−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]−6−フェニルイミダゾ[4,5−c]ピリジン、
トランス−6−(2−フルオロフェニル)−2−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]イミダゾ[4,5−c]ピリジン、
トランス−2−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]−5−フェニルイミダゾ[4,5−b]ピラジン、
トランス−5−(4−フルオロフェニル)−2−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]イミダゾ[4,5−b]ピラジン、
トランス−6−(4−フルオロフェニル)−2−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]イミダゾ[4,5−c]ピリダジン、
トランス−2−(2−フルオロフェニル)−8−[3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−イル]プリン、
トランス−2−(3−フルオロフェニル)−8−[3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−イル]プリン、
トランス−2−(4−フルオロフェニル)−8−[3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−イル]プリン、
トランス−2−(2−メトキシフェニル)−8−[3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−イル]プリン、
トランス−2−(4−メトキシフェニル)−8−[3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−イル]プリン、
トランス−2−(2−メチルフェニル)−8−[3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−イル]プリン、
トランス−8−[3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−イル]−2−(2−トリフルオロメチルフェニル)プリン、
トランス−2−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−8−[3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−イル]プリン、
トランス−2−(2−ヒドロキシメチルフェニル)−8−[3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−イル]プリン、
トランス−2−(2−フリル)−8−[3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−イル]プリン、
トランス−8−[3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−イル]−2−(2−チエニル)プリン、
トランス−8−[3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−イル]−2−(2−ピロリル)プリン、
トランス−2−(3−フルオロピリジン−6−イル)−8−[3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−イル]プリン、
トランス−2−(2−クロロピリジン−6−イル)−8−[3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−イル]プリン、
トランス−2−(2−フルオロフェノキシ)−8−[3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−イル]プリン、
トランス−2−(2,6−ジフルオロフェノキシ)−8−[3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−イル]プリン、
トランス−8−[3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−イル]−2−(1−ピペリジル)プリン、
トランス−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]−2−フェニルプリン、
トランス−2−(2−フルオロフェニル)−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]プリン、
トランス−2−(3−フルオロフェニル)−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]プリン、
トランス−2−(4−フルオロフェニル)−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]プリン、
トランス−2−(2−クロロフェニル)−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]プリン、
トランス−2−(3−クロロフェニル)−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]プリン、
トランス−2−(4−クロロフェニル)−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]プリン、
トランス−2−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]プリン、
トランス−2−(4−メトキシフェニル)−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]プリン、
トランス−2−(2−メチルフェニル)−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]プリン、
トランス−2−(2−ジフルオロメトキシフェニル)−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]プリン、
トランス−2−(3−ジフルオロメトキシフェニル)−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]プリン、
トランス−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]−2−(2−トリフルオロメチルフェニル)プリン、
トランス−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]プリン、
トランス−2−(2,5−ジフルオロフェニル)−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]プリン、
トランス−2−(2−ブロモ−4−フルオロフェニル)−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]プリン、
トランス−2−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]プリン、
トランス−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]−2−(3−キノリル)プリン、
トランス−8−[5−フルオロ−3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]−2−フェニルプリン、
トランス−8−[5−フルオロ−3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]−2−(2−フルオロフェニル)プリン、
トランス−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−8−[5−フルオロ−3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]プリン、
トランス−2−(2,5−ジフルオロフェニル)−8−[5−フルオロ−3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]プリン、
トランス−2−(4−フルオロフェニル)−8−[7−ヒドロキシ−3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]プリン、
5,6−ジクロロ−2−[3,4−ジヒドロ−3−オキソスピロ[イソキノリン−1(2H),4’−ピペリジン]−1’−イル]ベンズイミダゾ−ル、
2−[3,4−ジヒドロ−3−オキソスピロ[イソキノリン−1(2H),4’−ピペリジン]−1’−イル]−5−フェニルベンズイミダゾ−ル、
8−[3,4−ジヒドロ−3−オキソスピロ[イソキノリン−1(2H),4’−ピペリジン]−1’−イル]−2−フェニルプリン、
8−[3,4−ジヒドロ−3−オキソスピロ[イソキノリン−1(2H),4’−ピペリジン]−1’−イル]−2−(2−フルオロフェニル)プリン、
8−[3,4−ジヒドロ−3−オキソスピロ[イソキノリン−1(2H),4’−ピペリジン]−1’−イル]−2−(4−フルオロフェニル)プリン、
トランス−8−[3’,4’−ジヒドロ−3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(2’H)−イソキノリン]−4−イル]−2−フェニルプリン、
トランス−2−[3’,4’−ジヒドロ−3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(2’H)−イソキノリン]−4−イル]−5−フェニルベンズイミダゾ−ル、
トランス−8−[3’,4’−ジヒドロ−3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(2’H)−イソキノリン]−4−イル]−2−(2−フルオロフェニル)プリン、
トランス−8−[3’,4’−ジヒドロ−3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(2’H)−イソキノリン]−4−イル]−2−(4−フルオロフェニル)プリン、
トランス−2−(4−フルオロフェニル)−8−[7−ヒドロキシ−3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]プリン、
トランス−2−(4−フルオロフェニル)−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]プリン
6−オキシド、
トランス−2−(4−フルオロ−2−ヒドロキシフェニル)−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]プリン、
トランス−2−(4−フルオロフェニル)−6−ヒドロキシ−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]プリン、
トランス−2−(4−ヒドロキシフェニル)−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]プリン、
トランス−2−(4−フルオロ−3−ヒドロキシフェニル)−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]プリン又は
シス−2−(4−フルオロフェニル)−8−[4’−ヒドロキシ−3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]プリン等が挙げられ、中でも、
トランス−8−[3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−イル]−2−フェニルプリン、
トランス−2−(2−フルオロフェニル)−8−[3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−イル]プリン、
トランス−2−(4−フルオロフェニル)−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]プリン、
トランス−2−(2,5−ジフルオロフェニル)−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]プリン、
トランス−8−[5−フルオロ−3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]−2−(2−フルオロフェニル)プリン又は
トランス−5−(2−フルオロフェニル)−2−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]イミダゾ[4,5−b]ピリジン等が好適である。
【0061】
次に、本発明に係る化合物の製造法について説明する。
本発明化合物(I)は、例えば下記の製造法又は実施例に示す方法等により製造することができる。ただし、本発明化合物(I)の製造法はこれら反応例に限定されるものではない。
【0062】
製造法1
一般式(II)
【化45】
[式中、a、b、c及びdは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルキルスルホニル基、低級アルキルスルホニルオキシ基、−N(R1p)R2pで表される基及び−Q1p−Ar1pで表される基並びに保護されていてもよい水酸基からなる群より選択される置換基を有していてもよいメチン基又は窒素原子であって、それらのうち少なくとも1つが該メチン基を意味し;Ar1pはハロゲン原子、ニトロ基、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、シクロ低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルホニル基、低級アルカノイル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルカノイルアミノ基及び−Q2p−Ar2pで表される基並びに保護されていてもよい、水酸基、ヒドロキシ低級アルキル基及びカルボキシル基からなる群より選択される置換基を有していてもよい、アリール基又はヘテロアリール基を意味し;Ar2pはハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基、低級アルキルアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基、低級アルカノイル基及びアリール基並びに保護されていてもよい、ヒドロキシ低級アルキル基及び水酸基からなる群より選択される置換基を有していてもよい、アリール基又はヘテロアリール基を意味し;L1は脱離基を意味し;Pはイミノ基の保護基を意味し;Q1p及びQ2pは、それぞれ独立して、単結合、酸素原子、保護されていてもよいカルボニル基又は−N(R3)−で表される基を意味し;R1p及びR2pは、それぞれ独立して、アミノ基若しくはイミノ基の保護基、水素原子若しくは低級アルキル基を意味するか、又は一緒になって、酸素原子、硫黄原子若しくは保護されていてもよいイミノ基を介していてもよい低級アルキレン基を意味し;R3は前記の意味を有する]で表される化合物と一般式(III)
【化46】
[式中、n、X及びYは前記の意味を有する(ただし、同時に、nが0であり、Xが−CO−で表される基であり、かつYが−O−で表される基である場合を除く)]で表される化合物又はその塩とを反応させ一般式(IV−1)
【化47】
[式中、a、b、c、d、n、P、t、u、v、w、X及びYは前記の意味を有する]で表される化合物とし、所望により、保護基を除去すること及び/又は窒素原子を酸化することにより、一般式(I−1)
【化48】
[式中、A、B、C、D、n、T、U、V、W、X及びYは前記の意味を有する]で表される化合物又はそのN−オキシド誘導体を製造することができる。
【0063】
L1で示される脱離基としては、例えば塩素原子、臭素原子若しくはヨウ素原子等のハロゲン原子、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基等の有機スルホニル基又はメタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基等の有機スルホニルオキシ基等が挙げられる。
【0064】
本製造法は、一般式(I)で表される化合物のうち、式中のEが窒素原子である化合物、すなわち、一般式(I−1)で表される化合物の製造法である。
上記反応において、反応物質中に反応に関与しないアミノ基、イミノ基、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基等が存在する場合、当該アミノ基、イミノ基、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基は、適宜、アミノ基若しくはイミノ基の保護基、水酸基の保護基、カルボキシル基の保護基又はカルボニル基の保護基で保護した後に反応を行い、反応後に当該保護基を除去することができる。
【0065】
「アミノ基若しくはイミノ基の保護基」としては、その機能を有するものであれば特に限定されないが、例えばベンジル基、p−メトキシベンジル基、3,4−ジメトキシベンジル基、o−ニトロベンジル基、p−ニトロベンジル基、ベンズヒドリル基、トリチル基等のアラルキル基;例えばホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ピバロイル基等の低級アルカノイル基;例えばベンゾイル基;例えばフェニルアセチル基、フェノキシアセチル基等のアリールアルカノイル基;例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロピルオキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等の低級アルコキシカルボニル基;例えばベンジルオキシカルボニル基、p−ニトロベンジルオキシカルボニル基、フェネチルオキシカルボニル基等のアラルキルオキシカルボニル基;例えばトリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基等の低級アルキルシリル基;例えばテトラヒドロピラニル基;例えばトリメチルシリルエトキシメチル基;例えばメチルスルホニル基、エチルスルホニル基等の低級アルキルスルホニル基等;例えばベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基等のアリールスルホニル基等が挙げられ、特にアセチル基、ベンゾイル基、tert−ブトキシカルボニル基、トリメチルシリルエトキシメチル基、メチルスルホニル基等が好ましい。
【0066】
「水酸基の保護基」としては、その機能を有するものであれば特に限定されないが、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基等の低級アルキル基;例えばトリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基等の低級アルキルシリル基;例えばメトキシメチル基、2−メトキシエトキシメチル基等の低級アルコキシメチル基;例えばテトラヒドロピラニル基;例えばトリメチルシリルエトキシメチル基;例えばベンジル基、p−メトキシベンジル基、2,3−ジメトキシベンジル基、o−ニトロベンジル基、p−ニトロベンジル基、トリチル基等のアラルキル基;例えばホルミル基、アセチル基等のアシル基等が挙げられ、特にメチル基、メトキシメチル基、テトラヒドロピラニル基、トリチル基、トリメチルシリルエトキシメチル基、tert−ブチルジメチルシリル基、アセチル基等が好ましい。
【0067】
「カルボキシル基の保護基」としては、その機能を有するものであれば特に限定されないが、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基等の低級アルキル基;例えば2,2,2−トリクロロエチル基等のハロ低級アルキル基;例えば2−プロペニル基等の低級アルケニル基;例えばベンジル基、p−メトキシベンジル基、p−ニトロベンジル基、ベンズヒドリル基、トリチル基等のアラルキル基等が挙げられ、特にメチル基、エチル基、tert−ブチル基、2−プロペニル基、ベンジル基、p−メトキシベンジル基、ベンズヒドリル基等が好ましい。
【0068】
「カルボニル基の保護基」としては、その機能を有するものであれば特に限定されないが、例えばエチレンケタール、トリメチレンケタール、ジメチルケタール等のアセタール、ケタール等が挙げられる。
一般式(II)で表される化合物と一般式(III)で表される化合物との反応は、通常、化合物(II)の1モルに対して、化合物(III)を等モルないし過剰モル、好ましくは等モルないし1.5モル用いて行われる。
反応は、通常、不活性溶媒中で行われ、当該不活性溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等又はその混合溶媒等が好適である。
【0069】
また、上記反応は塩基の存在下に行うことが好ましく、当該塩基としては、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の有機塩基又は炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基を使用することができる。
当該塩基の使用量は、通常、一般式(II)で表される化合物1モルに対して、等モルないし過剰モル、好ましくは1ないし5モルである。
【0070】
反応温度は、通常、0℃ないし200℃、好ましくは20℃ないし150℃である。
反応時間は、通常、5分間ないし7日間、好ましくは30分間ないし24時間である。
反応終了後、通常の処理を行い、一般式(IV−1)で表される化合物の粗生成物を得ることができる。このようにして得られた一般式(IV−1)で表される化合物を、常法に従って精製し、又は精製することなく、所望により、アミノ基、水酸基、カルボキシル基及びカルボニル基の保護基の除去反応を適宜組み合わせて行うことにより、一般式(I−1)の化合物を製造することができる。
【0071】
保護基の除去法は、当該保護基の種類及び目的化合物(I−1)の安定性等により異なるが、例えば文献記載の方法[プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)、T.W.グリーン(T.W.Greene)著、John Wiley & Sons社(1981年)参照]又はそれに準じる方法に従って、例えば酸又は塩基を用いる加溶媒分解、すなわち、例えば0.01モルないし大過剰の酸、好ましくはトリフルオロ酢酸、ギ酸、塩酸等、又は等モルないし大過剰の塩基、好ましくは水酸化カリウム、水酸化カルシウム等を作用させる方法;水素化金属錯体等を用いる化学的還元又はパラジウム−炭素触媒、ラネーニッケル触媒等を用いる接触還元等により行われる。
窒素原子を酸化してN−オキシド誘導体を製造する工程は、例えばm−クロロ過安息香酸、ジオキシラン、過ヨウ素酸ナトリウム、過酸化水素等の酸化剤を用いて行われる。
【0072】
当該酸化剤の使用量は、通常、一般式(IV−1)で表される化合物1モルに対して、0.5モルないし過剰モル、好ましくは1ないし5モルである。
反応は、通常、反応に用いられる酸化剤に応じて適宜選択された溶媒中で行われる。例えば、酸化剤としてm−クロロ過安息香酸を用いる場合には、塩化メチレン、クロロホルム等の溶媒が好ましく、酸化剤としてジオキシランを用いる場合にはアセトン、水等の溶媒が好ましい。
反応温度は、通常、−50℃ないし100℃、好ましくは−20℃ないし50℃である。
反応時間は、通常、15分間ないし7日間、好ましくは30分間ないし24時間である。
【0073】
製造法2
一般式(V)
【化49】
[式中、a、b、c及びdは前記の意味を有する]で表される化合物又はその塩と一般式(VI)
【化50】
[式中、R0pは水素原子又は保護されていてもよい水酸基を意味し;n、t、u、v、w、X及びYは前記の意味を有する]で表される化合物又はその塩とを反応させ一般式(VII)
【化51】
[式中、a、b、c、d、n、R0p、t、u、v、w、X及びYは前記の意味を有する]で表される化合物とし、次いで該化合物(VII)を分子内脱水閉環反応に付すことにより一般式(VIII)
【化52】
[式中、a、b、c、d、n、R0p、t、u、v、w、X及びYは前記の意味を有する]で表される化合物とし、所望により、保護基を除去すること及び/又は窒素原子を酸化することにより、一般式(I−2)
【化53】
[式中、A、B、C、D、n、R0p、T、U、V、W、X及びYは前記の意味を有する]で表される化合物又はそのN−オキシド誘導体を製造することができる。
【0074】
本製造法は、一般式(I)で表される化合物のうち、式中のEがメチン基又は水酸基で置換されたメチン基である化合物、すなわち、一般式(I−2)で表される化合物の製造法である。
一般式(V)で表される化合物と一般式(VI)で表されるカルボン酸との反応は、通常、一般式(V)で表される化合物1モルに対して、一般式(VI)で表されるカルボン酸を0.5モルないし過剰モル、好ましくは1モルないし1.5モル用いて行われる。
反応は、通常、不活性溶媒中で行われ、当該不活性溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ピリジン等又はその混合溶媒等が好適である。
【0075】
また、上記反応は縮合剤の存在下に行うことが好ましく、当該縮合剤としては、例えばN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリス−(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリス−ピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、ブロモトリス−(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルりん酸アジド、1,1’−カルボニルジイミダゾール等を使用することができる。
【0076】
当該縮合剤は、通常、一般式(VI)で表される化合物1モルに対して、1モルないし過剰モル、好ましくは1モルないし1.5モルを用いることができる。反応温度は、通常、−50℃ないし100℃、好ましくは−20℃ないし50℃である。
反応時間は、通常、30分間ないし7日間、好ましくは1時間ないし24時間である。
一般式(VI)で表されるカルボン酸に代えて、該カルボン酸の反応性誘導体と一般式(V)で表される化合物とを反応させることにより、一般式(I−2)で表される化合物を製造することもできる。
【0077】
一般式(VI)で表されるカルボン酸の反応性誘導体としては、例えば酸ハロゲン化物、混合酸無水物、活性エステル、活性アミド等が用いられる。
一般式(VI)のカルボン酸の酸ハロゲン化物は、一般式(VI)のカルボン酸を常法に従ってハロゲン化剤と反応させることにより得ることができる。ハロゲン化剤としては、例えば塩化チオニル、三塩化りん、五塩化りん、オキシ塩化りん、三臭化りん、オキサリルクロリド、ホスゲン等が用いられる。
一般式(VI)のカルボン酸の混合酸無水物は、一般式(VI)のカルボン酸を常法に従って、例えばクロロ炭酸エチル等のクロロ炭酸アルキル;ピバロイルクロリド等の脂肪族カルボン酸クロリド等と反応させることにより得ることができる。
【0078】
一般式(VI)のカルボン酸の活性エステルは、一般式(VI)のカルボン酸を常法に従って、例えばN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド等の縮合剤の存在下、例えばN−ヒドロキシスクシンイミド、N−ヒドロキシフタルイミド、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール等のN−ヒドロキシ化合物;4−ニトロフェノール、2,4−ジニトロフェノール、2,4,5−トリクロロフェノール、ペンタクロロフェノール等のフェノール化合物等と反応させることにより得ることができる。
一般式(VI)のカルボン酸の活性アミドは、一般式(VI)のカルボン酸を常法に従って、例えば1,1’−カルボニルジイミダゾール、1,1’−カルボニルビス(2−メチルイミダゾール)等と反応させることにより得ることができる。
【0079】
一般式(V)で表される化合物と一般式(VI)で表されるカルボン酸の反応性誘導体との反応は、通常、一般式(V)で表される化合物1モルに対して、一般式(VI)で表されるカルボン酸の反応性誘導体を0.5モルないし過剰モル、好ましくは1モルないし1.5モル用いて行われる。
反応は、通常、不活性溶媒中で行われ、当該不活性溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ピリジン等又はその混合溶媒等が好適である。
また、上記反応は塩基の非存在下でも進行するが、より円滑に反応を進行させるため塩基の存在下に行うことが好ましい。
【0080】
当該塩基としては、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の有機塩基又は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基を使用することができる。
当該塩基は、通常、一般式(V)で表される化合物1モルに対して、1モルないし過剰モル用いるのが好適である。また当該塩基が液体である場合には、当該塩基を溶媒兼塩基として用いることができる。
反応温度は、通常、−50℃ないし100℃、好ましくは−20℃ないし50℃である。
反応時間は、通常、5分間ないし7日間、好ましくは30分間ないし24時間である。
反応終了後、通常の処理を行い、一般式(VII)で表される化合物の粗生成物を得ることができる。このようにして得られた一般式(VII)で表される化合物を、常法に従って精製し、又は精製することなく、次の分子内環化縮合反応に付すことができる。
【0081】
化合物(VII)から化合物(VIII)を製造する分子内環化縮合反応は、通常、不活性溶媒中又は無溶媒で行われる。
当該不活性溶媒としては、例えばエタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ベンゼン、トルエン、キシレン、ピリジン等又はその混合溶媒等が好適である。
反応温度は、通常、室温ないし反応に用いる溶媒の沸点、好ましくは、80℃ないし190℃である。
反応時間は、通常、5時間ないし7日間、好ましくは12時間ないし3日間である。
【0082】
また、上記環化反応は、脱水剤又は触媒量のルイス酸の存在下行うこともできる。当該脱水剤としては、例えばフッ化セシウム、オキシ塩化りん、五塩化りん、ポリりん酸、塩化チオニル等が挙げられ、当該ルイス酸としては、例えばトリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム、トリフルオロメタンスルホン酸イットリウム、トリフルオロメタンスルホン酸ランタン、トリフルオロメタンスルホン酸ランタニド等が挙げられる。このとき、無溶媒で反応を行うか、又は例えば塩化メチレン、クロロホルム、ベンゼン、トルエン、キシレン等又はその混合溶媒中反応を行うことが好ましい。
【0083】
当該脱水剤の使用量は、通常、一般式(VII)で表される化合物1モルに対して、1モルないし過剰モル、好ましくは2ないし10モルである。当該ルイス酸の使用量は、10モル%ないし200モル%、好ましくは10モル%ないし100モル%である。
反応温度は、通常、室温ないし反応に用いる溶媒の沸点が好適である。
反応時間は、通常、1時間ないし7日間、好ましくは5時間ないし3日間である。
反応終了後、生成物に保護基が存在する場合、当該保護基を除去した後に、又は生成物に保護基が存在しない場合はそのまま通常の処理を行い、式(I−2)の化合物を製造することができる。
保護基の除去、窒素原子の酸化及び後処理等は、前記製造法1に記載した方法に準じて行うことができる。
【0084】
製造法3
一般式(V)
【化54】
[式中、a、b、c及びdは前記の意味を有する]で表される化合物又はその塩と一般式(IX)
【化55】
[式中、n、R0p、t、u、v、w、X及びYは前記の意味を有する]で表される化合物又はその塩とを反応させ一般式(VIII)
【化56】
[式中、a、b、c、d、n、R0p、t、u、v、w、X及びYは前記の意味を有する]で表される化合物とし、所望により、保護基を除去すること及び/又は窒素原子を酸化することにより、一般式(I−2)
【化57】
[式中、A、B、C、D、n、R0、T、U、V、W、X及びYは前記の意味を有する]で表される化合物又はそのN−オキシド誘導体を製造することができる。
【0085】
本製造法は、一般式(I)で表される化合物のうち、式中のEがメチン基又は水酸基で置換されたメチン基である化合物、すなわち、一般式(I−2)で表される化合物の製造法である。
式(V)で表される化合物と一般式(IX)で表される化合物との反応は、通常、化合物(V)の1モルに対して、化合物(IX)を0.5モルないし5モル、好ましくは0.7モルないし3モル用いて行われる。
【0086】
反応は、通常、無溶媒で行うか、不活性溶媒中で行われ、当該不活性溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、塩化メチレン、クロロホルム、ヘキサン等又はその混合溶媒等が好適である。
反応温度は、通常、−20℃ないし反応に用いる溶媒の沸点、好ましくは20℃ないし200℃である。
反応時間は、通常、30分間ないし7日間、好ましくは3時間ないし3日間である。
【0087】
また上記反応は、ルイス酸の存在下行うことが好ましく、当該ルイス酸としては、例えば二塩化亜鉛、四塩化チタン、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム、トリフルオロメタンスルホン酸イッテリビウム、トリフルオロメタンスルホン酸ランタン等が挙げられる。
当該ルイス酸の使用量としては、通常、一般式(V)で表される化合物1モルに対して、10モル%ないし200モル%、好ましくは20モル%ないし100モル%である。
【0088】
ルイス酸の存在下反応を行う場合、無溶媒で行うか、又は、例えば塩化メチレン、クロロホルム、ベンゼン、トルエン、キシレン等又はその混合溶媒で行うことが好ましい。
反応温度は、通常、0℃ないし反応に用いる溶媒の沸点、好ましくは室温ないし150℃である。
反応時間は、通常、1時間ないし7日間、好ましくは12時間ないし3日間である。
反応終了後、生成物に保護基が存在する場合、当該保護基を除去した後に、又は生成物に保護基が存在しない場合はそのまま通常の処理を行い、一般式(I−2)の化合物を製造することができる。
保護基の除去、窒素原子の酸化及び後処理等は、前記製造法1に記載した方法に準じて行うことができる。
【0089】
製造法4
一般式(X)
【化58】
[式中、a0、b0、c0及びd0は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルキルスルホニル基、低級アルキルスルホニルオキシ基及び−N(R1p)R2pで表される基並びに保護されていてもよい水酸基からなる群より選択される置換基を有していてもよいメチン基又は窒素原子であって、それらのうち少なくとも1つがハロゲン原子又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を有するメチン基を意味し;Epは窒素原子、メチン基又は保護されていてもよい水酸基で置換されたメチン基を意味し;n、P、R1p、R2p、t、u、v、w、X及びYは前記の意味を有する]で表される化合物と一般式(XI)
【化59】
[式中、Metは一般的な有機金属原子を意味し;Ar1pは前記の意味を有する]で表される化合物とを触媒存在下、反応させ、一般式(XII)
【化60】
[式中、a1、b1、c1及びd1は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルキルスルホニル基、低級アルキルスルホニルオキシ基、−N(R1p)R2pで表される基及び−Ar1pで表される基並びに保護されていてもよい水酸基からなる群より選択される置換基を有していてもよいメチン基又は窒素原子であって、それらのうち少なくとも1つが−Ar1pで表される基を有するメチン基を意味し;Ar1p、Ep、n、P、R1p、R2p、t、u、v、w、X及びYは前記の意味を有する]で表される化合物とし、所望により、保護基を除去すること及び/又は窒素原子を酸化することにより、一般式(I−3)
【化61】
[式中、A1、B 1、C 1及びD1は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、水酸基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルキルスルホニル基、低級アルキルスルホニルオキシ基、−N(R1)R2で表される基及び−Ar1で表される基からなる群より選択される置換基を有していてもよいメチン基又は窒素原子であって、それらのうち少なくとも1つが−Ar1で表される基を有するメチン基を意味し;Ar1、E、n、R1、R2、T、U、V、W、X及びYは前記の意味を有する]で表される化合物又はそのN−オキシド誘導体を製造することができる。
【0090】
本製造法は、一般式(I)で表される化合物のうち、A、B、C又はDのうち少なくとも1つが−Ar1で表される基を有するメチン基である化合物、すなわち、一般式(I−3)で表される化合物の製造法である。
Metの一般的な有機金属原子とは、クロスカップリング反応に一般的に用いられる有機金属原子を意味し、例えばリチウム、ホウ素、珪素、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、錫等、より好ましくはホウ素、亜鉛、錫等が挙げられ、具体的な使用形態としては、例えばホウ素はホウ酸又はホウ酸エステル等が、亜鉛は塩化亜鉛、臭化亜鉛又はヨウ化亜鉛等が、錫はトリ低級アルキル錫等が挙げられる。
【0091】
式(X)で表される化合物と一般式(XI)で表される化合物との反応は、通常、化合物(X)の1モルに対して、化合物(XI)を0.5モルないし5モル、好ましくは0.7モルないし3モル用いて行われる。
反応で用いられる触媒としては、例えば銅、ニッケル、パラジウム等のクロスカップリング反応で一般的に用いられる遷移金属が挙げられ、より具体的には、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、パラジウム(II)アセテート、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド等が好ましい。
【0092】
反応は、通常、不活性溶媒中で行われ、当該不活性溶媒としては、例えば水、ベンゼン、トルエン、キシレン、塩化メチレン、クロロホルム、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド等又はその混合溶媒等が好適である。
反応温度は、通常、室温ないし反応に用いる溶媒の沸点、好ましくは20℃ないし200℃である。
反応時間は、通常、30分間ないし7日間、好ましくは3時間ないし2日間である。
【0093】
また上記反応は、塩基の存在下行うことが好ましく、当該塩基としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の無機塩基、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン等の有機塩基が挙げられる。
当該塩基の使用量としては、通常、一般式(X)で表される化合物1モルに対して、当該塩基を0.5モルないし5モル、好ましくは0.7モルないし3モル用いて行われる。
反応終了後、生成物に保護基が存在する場合、当該保護基を除去した後に、又は生成物に保護基が存在しない場合はそのまま通常の処理を行い、一般式(I−3)の化合物を製造することができる。
保護基の除去、窒素原子の酸化及び後処理等は、前記製造法1に記載した方法に準じて行うことができる。
【0094】
一般式(I−1)、(I−2)又は(I−3)の化合物は、通常の分離手段により容易に単離精製できる。係る手段としては、例えば溶媒抽出、再結晶、カラムクロマトグラフィー、分取薄層クロマトグラフィー等を例示できる。
これらの化合物は、常法により医薬として許容されうる塩又はエステルとすることができ、また逆に塩又はエステルから遊離化合物への変換も常法に従って行うことができる。
【0095】
一般式(II)、(III)、(V)、(VI)、(IX)又は(XI)で表される化合物は、例えば市販品を用いるか、公知の方法若しくはそれに準じる方法、又は実施例・参考例に記載する方法等を必要に応じ適宜組み合わせることにより製造することができる。
【0096】
一般式(III)、(V)、(VI)又は(IX)で表される化合物の「塩」とは、有機化学の分野で用いられる慣用的なものを意味し、例えばカルボキシル基を有する場合の当該カルボキシル基における塩基付加塩又はアミノ基若しくは塩基性の複素環基を有する場合の当該アミノ基若しくは塩基性複素環基における酸付加塩の塩類を挙げることができる。
【0097】
該塩基付加塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;例えばカルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;例えばアンモニウム塩;例えばトリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、プロカイン塩、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩等の有機アミン塩等が挙げられる。
該酸付加塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、過塩素酸塩等の無機酸塩;例えばマレイン酸塩、フマール酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、トリフルオロ酢酸塩等の有機酸塩;例えばメタンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等のスルホン酸塩等が挙げられる。
【0098】
本発明の化合物の医薬としての有用性は、例えば下記の薬理試験例において証明される。
薬理試験例1(NPY結合阻害試験)
ヒトNPY Y5受容体をコードするcDNA配列[国際特許出願WO96/16542号明細書参照]を、発現ベクターpcDNA3、pRc/RSV(インビトロジェン社製)及びpCI−neo(プロメガ社製)にクローニングした。得られた発現ベクターをカチオン性脂質法[プロシーディング・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ザ・ユナイテッド・ステーツ・オブ・アメリカ(Proceedings of the nationalacademy of sciences of the united states of America)、84巻、7413頁(1987年)参照]を用いて宿主細胞COS−7、CHO及びLM(tk−)(アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション)にトランスフェクトし、NPY Y5受容体発現細胞を得た。
【0099】
NPY Y5受容体を発現させた細胞から調製した膜標品を被検化合物及び20,000cpmの[125I]ペプタイドYY(NEN社製)とともに、アッセイ緩衝液(10mM 塩化マグネシウム、1mM フェニルメチルスルホニルフルオリド、0.1%バシトラシン及び0.5%ウシ血清アルブミンを含む25mM Tris緩衝液、pH7.4)中で25℃、2時間インキュベーションした後、グラスフィルターGF/Cにて濾過した。0.3%BSAを含む5mM Tris緩衝液、pH7.4にて洗浄後、グラスフィルター上の放射活性を求めた。非特異的結合は1μM ペプタイドYY存在下で測定し、特異的ペプタイドYY結合に対する被験化合物の50%阻害濃度(IC50値)を求めた[エンドクリノロジー(Endocrinology)、131巻、2090頁(1992年)参照]。その結果を表1に示す。
【0100】
【表1】
上記のとおり、本発明の化合物はNPY Y5受容体に対するペプタイドYY(NPYと同族物質)の結合を強力に阻害した。
【0101】
薬理試験例2(D−Trp 34 NPYにより誘発される摂食行動に対する拮抗試験)
ケタミン・キシラジン麻酔下(74及び11mg/kg腹腔内単回投与)、雄性SDラット(7−8週齢、200−300g)の第3脳室に脳定位固定的に慢性ガイドカニューレ(26ゲージ、長さ11mm)を挿入、歯科用レジンで固定した。ガイドカニューレの先端の位置はbregmaより後方2.2mm、正中線上、頭蓋骨表面より深さ8mmとした。約1週間の回復期間の後、D−Trp34NPY(1μg/0.4μL/head、0.05%ウシ血清アルブミンを含む人工脳脊髄液)を第3脳室内に投与した。被験化合物はD−Trp34NPY投与の2時間前に0.5%メチルセルロース水溶液に懸濁して経口投与し、D−Trp34NPY投与後2時間の摂餌量を測定した。
その結果、本発明の化合物は第3脳室内に投与したD−Trp34NPY(NPYと同族物質)による摂食量の増加を10mg/kgで有意に抑制した。
【0102】
薬理試験例3(体内動態試験)
一晩絶食したSD系雄性ラット(7−10週齢、200−400g)に被験化合物を経口又は静脈内投与し、所定の時間にヘパリナイズドキャピラリーを用い、尾静脈から約100μLを採血した。血液を遠心分離(4℃、6000回転、10分間)して血漿を得た。血漿に3倍量のエタノール(内部標準物質を含む)を添加、攪拌し、−20℃にて20分間放置した後、遠心分離(4℃、10,000回転、10分間)した。上清をLC/MS/MSにて分析し、相対検量線法により血漿中濃度を定量した。
その結果、実施例6の化合物は生物学的利用率78%、血中半減期3.0時間であった。
【0103】
薬理試験例4(脳/脳脊髄液移行性試験)
SD系雄性ラット(7−10週齢、200−400g)に被験化合物を経口又は静脈内投与し、所定の時間にエーテル麻酔下、腹部大動脈よりヘパリン処理注射筒を用いて全採血した。その後頭部皮膚を切開し、歯科用30G針を頸椎間に刺し入れ、更にくも膜下腔まで挿入した。歯科用30G針に接続されたチューブを通し1mL注射筒に50−100μLの脳脊髄液を採取した後、脳を摘出した。血液試料を遠心分離(4℃、6000回転、10分間)して得た血漿に3倍量のエタノール(内部標準物質を含む)を加えて攪拌した。脳試料は2mLの水を加えホモジナイズし、その一部をとり3倍量のエタノール(内部標準物質を含む)を加え攪拌した。脳脊髄液は3倍量のエタノール(内部標準物質を含む)を加え攪拌した。以上のサンプルを−20℃にて20分間放置した後、遠心分離(4℃、12,000g、10分間)し、上清をLC/MS/MSにて分析し、相対検量線法により血漿中、脳内、及び脳脊髄液内濃度を定量した。
その結果、実施例6の化合物は、経口投与(10mg/kg)後2時間に脳内濃度1.10nmol/g、脳脊髄液内濃度0.033μM、血漿中濃度2.77μMを示した。
【0104】
一般式(I)で表される化合物は、経口又は非経口的に投与することができ、そしてそのような投与に適する形態に製剤化することにより、例えば狭心症、急性・うっ血性心不全、心筋梗塞、高血圧、腎臓病、電解質異常、血管れん縮、動脈硬化症等の循環器系疾患、例えば過食症、うつ病、不安、痙攣、てんかん、痴呆、痛み、アルコール依存症、薬物の断薬に伴う禁断症状、概日リズムの変調、統合失調症、記憶障害、睡眠障害、認知障害等の中枢神経系疾患、例えば肥満症、糖尿病、ホルモン分泌異常、高コレステロール血症、高脂血症、痛風、脂肪肝等の代謝性疾患、例えば不妊、早産、性機能障害等の生殖系疾患、消化管系疾患、呼吸器系疾患、炎症性疾患又は緑内障等、また、例えばアテローム性動脈硬化症、性腺機能低下症、高アンドロゲン症、多嚢胞性卵巣症候群、多毛症、消化管運動障害、肥満に関連した胃食道逆流、肥満低換気症候群(ピックウィック症候群)、睡眠時無呼吸症候群、炎症、全身性脈管炎、変形性関節症、インシュリン抵抗性、気管支収縮、アルコール嗜好性、代謝異常症候群(metabolicsyndrome;syndrome X)、アルツハイマー病、心肥大、左心室肥大、高トリグリセリド血症、低HDLコレステロール血症、例えば冠動脈性心疾患(CHD)、脳血管性疾患、脳卒中、末梢脈管疾患、突然死等の循環器系疾患、胆嚢疾患、癌(胸部、子宮内膜、結腸)、息切れ、高尿酸血症、生殖能障害、腰痛又は麻酔薬過敏症等の処置剤として供することができる。本発明の化合物を臨床的に用いるにあたり、その投与形態に合わせ、薬剤学的に許容される添加剤を加えて各種製剤化の後投与することも可能である。その際の添加剤としては、製剤分野において通常用いられる各種の添加剤が使用可能であり、例えばゼラチン、乳糖、白糖、酸化チタン、デンプン、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、トウモロコシデンプン、マイクロクリスタリンワックス、白色ワセリン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、無水りん酸カルシウム、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ソルビトール、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリソルベート、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン、硬化ヒマシ油、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、タルク、植物油、ベンジルアルコール、アラビアゴム、プロピレングリコール、ポリアルキレングリコール、シクロデキストリン又はヒドロキシプロピルシクロデキストリン等が挙げられる。
【0105】
これらの添加剤との混合物として製剤化される剤形としては、例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤若しくは坐剤等の固形製剤;又は例えばシロップ剤、エリキシル剤若しくは注射剤等の液体製剤等が挙げられ、これらは、製剤分野における通常の方法に従って調製することができる。なお、液体製剤にあっては、用時に水又は他の適当な媒体に溶解又は懸濁させる形であってもよい。また、特に注射剤の場合、必要に応じて生理食塩水又はブドウ糖液に溶解又は懸濁させてもよく、更に緩衝剤や保存剤を添加してもよい。
【0106】
本発明の化合物を例えば臨床の場で使用する場合、その投与量及び投与回数は、患者の性別、年齢、体重、症状の程度及び目的とする処置効果の種類と範囲等により異なるが、一般に経口投与の場合、成人1日あたり、0.01〜100mg/kg、好ましくは0.03〜1mg/kgを1〜数回に分けて、また非経口投与の場合は、0.001〜10mg/kg、好ましくは0.001〜0.1mg/kg、より好ましくは0.01〜0.1mg/kgを1〜数回に分けて投与するのが好ましい。
【0107】
通常の内科医、獣医又は臨床医は病状進行を阻止し、抑制し又は停止させるに必要な効果的薬物量を容易に決定し処理することができる。
これらの製剤は、本発明の化合物を全薬剤1.0〜100重量%、好ましくは1.0〜60重量%の割合で含有することができる。これらの製剤は、また、治療上有効な他の化合物を含んでいてもよい。
【0108】
本発明化合物は代謝障害及び/又は摂食障害の処置に有用な他剤と組み合わせて使用することができる。そのような組み合わせの個々の成分は、処置期間中、別々の異なる時に又は同時に、分割された又は単一の製剤で投与することができる。したがって、本発明は同時の又は時間が異なる投与の全てを含むと解釈すべきであり、本発明における投与はそのように解釈すべきである。本発明化合物と代謝障害及び/又は摂食障害の処置に有用な他剤との組み合わせの範囲には、原則として代謝障害及び/又は摂食障害の処置に有用ないかなる医薬製剤との組み合わせも包含される。
【0109】
糖尿病は複合因子によって引き起こされ、絶食状態における血漿中のグルコース濃度の上昇(高血糖症)によって特徴付けられる。糖尿病には一般に認知された二つの型がある。1型は、グルコースの活用を制御するホルモンであるインスリンの分泌不全によるインスリン依存性糖尿病(IDDM)で、2型は、高血糖症を呈するインスリン非依存性糖尿病(NIDDM)であり、高インスリン血症(血漿中のインスリン濃度が糖尿病でない患者と比較して同等若しくはむしろ高い)を呈する。1型の糖尿病は、通常注射による外来性インスリンの投与により治療される。しかしながら、2型の糖尿病は、主たるインスリン感受性組織、すなわち筋肉、肝臓及び脂肪組織におけるグルコース及び脂肪の代謝を促進するインスリンの作用が低減するインスリン抵抗性が亢進する現象をしばしば示す。すなわち、インスリン非依存性糖尿病(NIDDM)患者において、血漿中のインスリン濃度は、その濃度が上昇時でさえ、顕著なインスリン抵抗性を克服するには不十分で、結果として患者が高血糖症に陥る。そのため、外来性インスリン単独投与による治療は困難を呈する。
【0110】
インスリン抵抗性は、未だ完全には理解されていないが、筋肉中におけるグルコース取り込み阻害、グルコースの酸化減退、グリコーゲンの蓄積、脂肪組織中における脂肪分解阻害並びに肝臓におけるグルコースの産生及び分泌の異常を来たす。糖尿病における高血糖の放置は高い疾病への羅患率及び死亡率と関係がある。2型の糖尿病では、循環器系の合併症、例えばアテローム性動脈硬化症、冠動脈性心疾患、脳卒中、末梢脈管疾患、高血圧、腎臓病、神経障害及び網膜症の亢進の危険性が増加する。
【0111】
インスリン非依存性糖尿病は、また心肥大、特に左心室肥大と関係がある(Devereux,R.B.,Circulation,101:2271−2276(2000))。左心室肥大の如き心肥大は慢性的な血圧上昇あるいは循環血液量の増加に起因するものである。左心室肥大(LVH)は左心室質量の増加を含む左心室壁の肥厚化を特徴としており、体表面積あたりの左心室質量で表される指数、すなわち男性の場合131g/m2を超える数値、女性の場合100g/m2を超える数値によって左心室肥大が定義づけられている(サヴェイジら、The Framingham Study,Circulation,75(1Pt2):26−33(1987))。
【0112】
左心室肥大はうっ血性心不全、虚血性心不全、循環器及びその他に起因する死、突然死及び脳卒中の如き循環器系疾患の発生率の増加に関与している。そのため、左心室肥大の退縮は循環器系疾患の低減と関係している。左心室肥大が進行した患者は、左心室肥大が退縮した患者よりも重篤な事態におちいる危険性が高いことが報告されている。
【0113】
減量、ナトリウム摂取制限及び有酸素運動の如き非薬理的手法を含む現行の心肥大症に対する治療は、左心室の質量を減少させることができる(ガリ、J.Kら、American Journal of Geriatric Cardiology,6:38−49(1997))。
【0114】
インスリン抵抗性を示すが2型糖尿病にまでは進行していない多くの患者でも症候群X(syndrome X)、又は多代謝異常症候群とも呼称される代謝異常症候群(metabolic syndrome)に進行する危険性にも曝されている。耐糖能異常に到るまでの5〜10年の期間も多くのホルモン失調症を伴い、内臓脂肪の蓄積、高血圧、インスリン抵抗性及び高脂血症を助長する(Bjornstop,P.,Current Topics in Diabetes Research,eds.Belfore,F.,Bergman.R.N.,and Molinath.G.M.,Front Diabetes,Basel,Karger,12:182−192(1993))。また、代謝異常症候群は内臓脂肪の蓄積、高インスリン血症、高血糖、症候群X、低HDL血症及び高VLDL血症を伴うインスリン抵抗性で特徴付けられる。そのため、代謝異常症候群の種々の構成因子間の因果関係については不明な点もあるが、インスリン抵抗性が重要な役割を演じていると考えられる(Requen,G.M.,et al.,N.Eng.J.Med.334.374:381(1996);Despres,J−P.,et al.,N.Engl.J.Med.334:952−957(1996);Wajchenberg,B.L.,et al.,Diabetes/Metabolism Rev.10:19−29(1994))。代謝異常症候群患者は、糖尿病に進行するしないに拘わらず上記した循環器系の合併症に進行する危険性に曝されている。左心室肥大と代謝異常症候群との間の関連性についても近年報告されている(Marcus,R.et al.Circulation,90:928−936(1994));Lind,L.et al.,J Hypertens.13:433−38(1995);Paolisso,G et al.,Am J Hypertens.,10:1250−1256(1997))。
【0115】
2型糖尿病は例えばグリタゾン等のPPAR作動薬、ビグアナイド剤、タンパク質チロシンリン酸化酵素1B阻害剤、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤、インスリン、インスリン模倣剤、スルホニル尿素、メグリティナイド、α−グルコシド加水分解酵素阻害剤、及びα−アミラーゼ阻害剤等の多種多様の治療薬を用いて治療される。
【0116】
膵臓β−細胞を刺激してより多くのインスリンを分泌させるスルホニル尿素(例えば、トルブタミド及びグリピジド)又はメグリティナイドの投与及びこれら薬剤の効果がなくなる場合にはインスリンの注射により、血漿中のインスリン濃度レベルをインスリン抵抗性組織をも刺激するに充分な高い濃度に達する。しかしながら、血糖値が危険なほど低濃度に達する低血糖症を引き起こす可能性があるとともに、更にインスリン抵抗性を助長する。ビグアナイド剤はインスリンの感度を上昇させ、高血糖症を幾分改善する方向に働く。α−アミラーゼ阻害剤は澱粉又はグリコーゲンのマルトースへの酵素的分解を阻害し、腸内での糖吸収を遅らせる働きをするとともに利用可能な糖類の量を低下させる。メトフォルミンによる単独療法は肥満体及び/又は脂肪異常症のタイプ2型糖尿病患者の治療にしばしば用いられる。メトフォルミンがしかるべき効能を示さない場合はスルホニル尿素、チアゾリジンジオン、インスリン又はα−グルコシド阻害剤を用いて引き続き治療が続けられる。しかしながら、二つのビグアナイド剤、フェンフォルミン及びメトフォルミンは乳酸アシドーシス及び吐き気/下痢をもそれぞれ誘発する。アカルボース等のα−グルコシダーゼ阻害剤は、腸管の機能障害をひきおこす。
【0117】
チアゾリジンジオン(例えば、5−ベンジルチゾリジン−2,4−ジオン)としても知られるグリタゾンは、2型の糖尿病の多くの症状を改善するための新しい作用様式の薬剤としてごく最近報告された化合物類の一つである。これらの薬剤はペルオキシソーム増殖活性化レセプター(PPAR)γ−サブタイプの作動薬であり、2型糖尿病のいくつかの動物モデル中の筋肉、肝臓及び脂肪組織におけるインスリン感度を本質的に上昇させ、低血糖を誘発することなく血漿中の上昇した糖濃度を部分的又は完全に改善する。2型糖尿病及び/又は脂質異常症の治療のために開発されつつあるより新しいPPAR作動薬はPPARα、γ及びδサブタイプのうちの1又はそれ以上の作動薬である。
【0118】
しかしながら、PPARγ作動薬による糖尿病の治療は心肥大又は心重量増大をきたすことがある。PPARγ作動薬であるアバンディア(Avandia)(ロシグリタゾン(rosiglitazone)のマレイン酸塩)の最近のラベル改定は患者が浮腫及びうっ血性心不全の如き体液貯留及び質量増加に関連した症状を呈する可能性を示唆している。PPARγ作動薬による治療に関連した心肥大は薬剤投与を中止することが典型的な治療方法であると言える。
2型糖尿病の治療方法の中には通常、運動及び食餌療法による体重調整が含まれる。運動、及び食事摂取カロリーの低減により糖尿病としての病態は劇的に改善されるが、身に付いたほとんど運動しない生活習慣及び過食、特に飽和脂質を含む食物の過食ゆえに、この治療方法に対する順守性は非常に悪い。更に、運動強化による体重減少は関連の病状のため、多くの糖尿病患者にとって行うことが困難である。
【0119】
異常なグルコース恒常性(ホメオスタシス)はまた肥満、高血圧及び脂質代謝異常と直接あるいは間接的に関連している。また、肥満はインスリン抵抗性を助長し、及び結果として発症するインスリン抵抗性が体重増加を助長する。それゆえに、グルコース恒常性、脂質代謝異常、肥満及び高血圧の治療管理は糖尿病の臨床管理及び治療にとって極めて重要である。
【0120】
理想体重の20%以上高い体重を以って定義される肥満は西洋社会における主要な健康に関する関心事である。米国民の3人に一人の成人が過体重又は肥満であると推定されている。肥満はエネルギー消費量よりも摂取カロリー量が上回ることによりエネルギーバランスがプラス側になった結果起こる。(B.Staels et al.,J.Biol.Chem.270(27),15958(1995);F.Lonnquist et al.,Nature Medicine1(9),950(1995))。食物摂取及び体重バランスを規制する分子レベルの要因に関しては未だ完全に理解されていない部分もあるが、いくつかの遺伝子的因子が特定されている。
【0121】
疫学的研究により過体重及び肥満の進行度が寿命短縮の重要な因子であることが明らかにされた。肥満は他の疾患とは独立して又は関連して多くの健康問題を惹起又は悪化させる。深刻かつ生命を脅かす肥満と関係する医学上の問題は2型糖尿病、高血圧、高インスリン、インスリン抵抗性、脂質代謝異常、高脂血症、子宮内膜癌、乳癌、前立腺癌、腎臓癌及び大腸癌、変形性関節症、呼吸器系合併症、具体的には不閉塞型睡眠時無呼吸症候群、胆石、動脈硬化症、心疾患、心拍リズムの異常及び不整脈を含む(Kopelman,P.G.,Nature 404,635−643(2000))。肥満はまた代謝異常症及び循環器障害、例えば、心肥大、特に左心室肥大、若年死亡及び脳卒中による死亡率、羅患率の深刻な増加、心筋梗塞、うっ血性心不全、冠動脈性心疾患及び突然死と関連性がある。
【0122】
内蔵型肥満は高い危険率で冠動脈疾患との関連性があり、また、主たる三つの危険因子として高血圧、成人期に発症する糖尿病、高脂血症との関連もある。体重減少は、劇的にこれらのリスクを軽減する。更に、内蔵型肥満は、耐糖能異常、高インスリン血症、高トリグリセリド血症及び高比重リポタンパク質(HDL)の低下及び極低比重リポタンパク質(VLDL)の上昇の如き代謝異常症候群(症候群X)と関連性のある他の疾患(VLDL)と密接な関連性を有している(Montague et al.,Diabetes,2000,49:883−888)。
【0123】
肥満及び肥満に関連する糖尿病の如き疾患に対して、食事摂取量を減らすか又はエネルギー消費量を増加するために運動量を増すことによって減量するよう患者に勧める治療方法が取られる。体重の5〜10%の減量の維持を行うことにより糖尿病、左心室肥大、変形性関節症及び心肺機能障害の如き肥満関連疾患をも改善することができる。
【0124】
肥満症の治療に用いられる減量用薬としてオルリスタット(Davidson,M.H.et al.(1999)JAMA 281:235−42)、デクスフェンフルラミン(Guy Grand,B.et al.(1989)Lancet 2:1142−5)、シブトラミン(Bray,G.A.et al.(1999)Obes.Res.&:189−98)及びフェンテルミン(Douglas,A.et al.(1983)Int.J.Obes.7:591−5)が挙げられる。しかしながら、これらの抗肥満症薬には副作用があり、その使用が制限を受ける。デクスフェンフルラミンは心臓弁膜症という副作用を惹起する疑いのために市場から撤退された。オルリスタットは胃腸への副作用のためにその投与が制限される。シブトラミンは心臓への副作用による死亡報告のためイタリア市場から撤退されており、その投与が制限されている。
【0125】
ここで用いられる“糖尿病”の用語はインスリン依存性糖尿病(すなわち、IDDM、1型糖尿病としても知られている)及びインスリン非依存性糖尿病(すなわち、NIDDM、2型糖尿病としても知られている)両者を含む。1型糖尿病、すなわちインスリン依存性糖尿病はグルコースの利用を制御するホルモン、すなわちインスリンの絶対的な不足の結果起こる疾患である。2型糖尿病、すなわちインスリン非依存性糖尿病は、組織がインスリンに適切に反応する能力に欠ける場合に発症する。2型糖尿病の多くが肥満であることが知られている。本発明の組成物はタイプ1及びタイプ2の糖尿病の両者の治療にとって有用である。本組成物は特に2型糖尿病の治療に対して有用である。本発明の組成物はまた妊娠糖尿病の治療及び/又は予防に対して特に有用である。
【0126】
本発明の化合物又は組み合わせ組成物は糖尿病治療に有効である。治療の一成果は上昇したグルコース濃度を低減させることにある。治療の別の成果は上昇したインスリン濃度を低減させることにある。治療の別の成果は上昇した血中トリグリセリド濃度を低減させることにある。治療の別の成果は上昇したLDLコレステロール濃度を低減させることにある。治療の別の成果は低濃度のHDLコレステロールを上昇させうることにある。治療の別の成果はインスリン感度を上げることにある。治療の別の成果は耐糖能異常を改善することにある。治療の別の成果はインスリン抵抗性を低減させうることにある。
本発明の化合物又は組み合わせ組成物は糖尿病予防に有効である。
【0127】
ここで用いられている用語“高血圧”はその原因が知られていないか、又は心臓及び血管の両方に変化を来たすような、その原因が一つ以上から起こる本態性高血圧及びその原因が知られている二次性高血圧を含む。二次性高血圧の原因は肥満症を含むがそれに限られておらず、腎疾患、ホルモン失調及び経口避妊薬、副腎皮質ステロイド、サイクロスポリン等のある種の薬の服用による原因を包含する。用語“高血圧”は収縮期血圧及び拡張期血圧共に上昇した高血圧の場合、及び拡張期血圧は90mmHg未満であるのに、収縮期血圧が140mmHg以上である場合を包含する。治療の一成果は上昇した血圧を低減させることにある。
【0128】
脂質代謝異常又は脂質代謝疾患は一つあるいはそれ以上の脂質(例えばコレステロール及びトリグリセリド)及び/又はアポリポタンパク質(例えばアポリポタンパク質A、B、C及びE)及び/又はリポタンパク質(例えば脂質を血中に循環させる脂質及びアポリポタンパク質から形成される、例えばLDL、VLDL及びIDLの如き高分子複合体)の異常濃度で特徴付けられる種々の状態を包含する。高脂血症は脂質、LDL及びVLDLコレステロール及び/又はトリグリセライド異常な上昇を伴う。
【0129】
症候群Xとしても知られている用語“代謝異常症候群”はThird Report of the National Cholesterol Education Program Expert Panel on Detection, Evaluation and Treatment of High Blood Cholesterol in Adultsの中で定義されている(ATP−III)(E.S.Ford et al.,JAMA,vol.287(3),Jan.16,2002,pp356−359)。例えば、内蔵型肥満、高トリグリセリド血症、低HDLコレステロール、高血圧及び空腹時高血糖のうち、三つ又はそれ以上の症状を有する場合に、その人は代謝異常症候群を有すると定義されている。これらの基準はATP−IIIに定義されている。
【0130】
ここで用いられている“左心室肥大”(LVH)は左心室質量指数(LVMI=左心室質量(g)を体表面領域(m2)で除した値)及び相対的壁厚さ(RWT=2×後壁厚さ/心臓拡張終点時の左心室直径)に基づいて定義された左心室肥大症の三つの型を包含する。三つの型は左心室質量指数が144及び相対壁厚みが0.52の場合を典型例として挙げられる求心性LVH、左心室質量指数が136及び相対壁厚みが0.38の場合を典型例として挙げられる遠心性LVH及びLVMIが93、相対的壁厚みが0.38の場合を典型的な例として挙げられる変形求心性左心室を意味する。正常なLVMIの典型的な数値は85及び正常なRWTの典型的な数値は約0.36である。変形求心性左心室(LV)を持つ患者の心血管系疾患への進行危険率は正常な左心室構造を有する患者と左心室肥大症患者の中間に位置する。
【0131】
心肥大又は左心室肥大を最小限に抑えながら行う糖尿病治療の一成果は心室質量を低減させうることである。心肥大又は左心室肥大を最小限に抑えながら行う糖尿病治療の他の一成果は心室質量の増加率を低下させうることである。心肥大又は左心室肥大を最小限に抑えながら行う糖尿病治療の他の一成果は左心室壁の厚さを低減させうることである。心肥大又は左心室肥大を最小限に抑えながら行う糖尿病治療の他の一成果は左心室壁の厚さの増加率を低下させうることである。
【0132】
ここで用いられる用語“肥満”は体脂肪が過剰にある状態を言う。肥満の定義は体重を身長の二乗で除して計算される身体質量指数(BMI)(kg/m2)に基づいている。欧米においては、肥満症とはBMIが30kg/m2以上の健常者又はBMIが27kg/m2以上の少なくとも一つの合併症を有する者の健康状態のことを言う。肥満症になる危険性のある者とはBMIが25kg/m2以上30kg/m2未満の健常者、又はBMIが25kg/m2以上27kg/m2未満の少なくとも一つの合併症を有する者のことを言う。
【0133】
アジア人においては、肥満に関連するリスクは、欧米人に比してより低いBMIから発生する。日本を含むアジア諸国においては、肥満症とは、減量を必要とする又は減量によって改善するであろう少なくとも一つの肥満に誘発されたか又は肥満に関連した合併疾患に罹患し、25kg/m2以上のBMIを有する者の健康状態のことを言う。アジア諸国において、肥満症になる危険性のある者とは23kg/m2以上、25kg/m2未満のBMIを有する者のことを言う。
ここで用いられているように、用語“肥満”は上記に定義したすべての肥満を包含する。
【0134】
肥満によって誘発するか又は肥満に関連した合併疾患は、これらに制限されることはないが、糖尿病、耐糖能異常、インスリン抵抗性症候群、脂質異常、高血圧、高尿酸血症、通風、冠動脈疾患、心筋梗塞、狭心症、睡眠時無呼吸症候群、ピックウィック症候群、脂肪肝、脳梗塞、脳血栓症、一過性脳虚血発作、整形外科疾患、変形性関節症、腰痛症、月経異常及び不妊症を包含する。特に合併疾患として、高血圧、高脂血症、脂質異常、耐糖能異常、循環器系疾患、睡眠時無呼吸症候群、糖尿病及び他の肥満関連病状を包含する。
【0135】
肥満及び肥満関連疾患の治療は肥満患者の体重を低減又は維持するために本発明の化合物又は混合剤組成物を投与することを意味する。治療の一成果は肥満患者の体重が、本発明に係る化合物又は混合組成物の投与前の患者の体重に比較して減少し始めうることにある。他の治療の成果は食餌療法、運動又は薬物療法の結果減量した体重を維持しうることにある。他の治療の成果は肥満関連疾患の発症及び/又は重症度を低減させうることにある。治療の成果は食物摂取量及び/又はカロリー摂取量の低減にある。すなわち、食物摂取の総量の減少又は炭水化物若しくは脂肪の如き特別な食物成分の摂取量の減少及び/又は栄養素の吸収阻害及び/又は代謝率の低下阻害にある。また治療の成果は代謝率の変化にある。すなわち、代謝率減少の阻止又は代謝率の増大の如き代謝率の変化及び/又は通常、減量から来る代謝抵抗の最小化にある。
【0136】
肥満及び肥満関連疾患の予防は肥満に進行する危険性のある者の体重を低減又は維持するために本発明の化合物又は混合組成物を投与することを意味する。予防の一成果は肥満に進行する危険性のある者の体重が、本発明に係る化合物又は混合組成物の投与前の患者の体重に比較して減少し始めうることにある。他の予防の成果は食餌療法、運動又は薬物療法の結果減量した体重を維持しうることにある。他の予防の成果は、肥満になる危険性のある者が肥満を呈する前に治療が開始されれば肥満の発症が予防されうることにある。他の予防の成果は、肥満になる危険性のある者が肥満を呈する前に治療が開始されれば肥満症関連疾患の発症及び/又は重症度を低減させうることにある。更に、肥満者に治療が行われれば、それによって肥満関連疾患の発症、進行が予防され又は重症度が低減さることにある。そのような肥満関連疾患として、動脈硬化症、2型糖尿病、多嚢胞性卵巣症候群、循環器系疾患、変形性関節症、皮膚疾患、高血圧、インスリン抵抗性、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症及び胆石症が挙げられるが、これらに制限されない。
【0137】
ここで用いられる”アテローム動脈硬化症”は医師が当該分野の薬剤の投薬を通じて得た経験によって確認され、理解される血管疾患及び病態を包含する。アテローム性動脈硬化症、冠動脈性心疾患(冠動脈疾患又は虚血性心不全としても知られている)、脳血管疾患及び末梢血管拡張性疾患はすべてアテローム性動脈硬化症の臨床症状であり、それ故に用語“アテローム性動脈硬化症”及び“アテローム性動脈硬化性疾患”に包含される。治療的に効果のある量の抗糖尿病薬剤と治療的に効果のある量の抗肥満症薬剤との組合せ組成物を潜在的に存在する冠動脈性心疾患、脳血管疾患又は間欠性跛行の発症又は再発の危険性を防止、低減するために投与することができる。冠動脈性心疾患事象はCHD死、心筋梗塞(例えば心臓発作)及び血管再開通術処置を包含する。脳血管疾患事象は虚血性又は出血性脳卒中(脳血管偶発事故としても知られている)及び一過性虚血性発作を包含することを意味する。間欠性跛行は末梢血管疾患の臨床症状である。ここで用いられる用語“アテローム動脈硬化性疾患事象”は冠動脈性心疾患事象、脳血管疾患事象及び間欠性跛行を包含することを意味する。以前に1度又はそれ以上の非致命的アテローム動脈硬化症事象に罹患した者はその事象の再発の潜在性を有している者であることを意味する。
【0138】
概日リズムが生理学的パラメーターに影響を与える。生理学的パラメーターとして休息と活動、睡眠と覚醒のサイクル、体温、ホルモン濃度のリズム、一般生理機能の変動等を挙げることができる。これらのパラメーターが日常の時間推移との共時性にずれを生じると、生理機能、多種の仕事の遂行能力及び情緒面の健康に影響を及ぼす概日リズムが変調をきたす。本発明は、概日リズムに関連した症状のみならず例えば時間帯を横切る旅行及び交代勤務制に関連した精神的、肉体的障害の予防又は治療に有益である。
【0139】
他の実施態様において、本発明は、哺乳動物候群、交替勤務制による障害、睡眠相後退症候群、睡眠相進行症候群及び非24時間睡眠−覚醒障害を含む哺乳動物の概日リズム障害の予防又は治療方法を提供する。
他の実施態様において、本発明は、睡眠−覚醒サイクルに異常をきたした患者の再同調(正常な概日リズムへの回復であり、環境的明−暗サイクルへの同調を意味する)時間を短縮する方法を提供する。
他の実施態様において、本発明は、旅行者のジェット−ラグを緩和する方法を提供する。この態様の目的は時間帯を何度も横切る場合の睡眠及び摂食のパターンの変化に対して生理機能的に身体を順応させるよう支援することである。
好ましい実施の態様は、患者の体内時計を患者の現時点の活動/睡眠サイクルにリセットする方法を提供することである。例えば、交代勤務者が夜から昼又は昼から夜へ勤務時間交代するときに有効である。
【0140】
本発明は、睡眠効率を上げ、睡眠持続性を増大することによる睡眠の質を高め又は改善するための方法を提供する。更に、本発明は睡眠障害及び睡眠妨害の予防及び治療のための方法を提供する。本発明は、更に睡眠の質を高め又は改善するための、及び睡眠効率や睡眠持続性を増大するための医薬組成物を提供する。本発明は、精神病理学的障害(特に不安に関連した)の結果として心理生理的原因から生じたり、薬物使用及びアルコール過剰摂取(特に断薬及び禁酒の段階における)、幼児期開始DIMS、夜間ミオクロヌス、老齢者に見られる脚不穏症及び非特異性REM(眼球運動)障害から発生する睡眠開始障害及び持続性睡眠障害(“DIMS”)を含む睡眠障害の治療に有益である。
【0141】
本発明によってもたらされる患者の身の上に起こる次のような成果は睡眠の質向上に関係しうる。患者の睡眠時間を睡眠を試みようとする時間で除することにより得られる値の増加、睡眠潜時(眠りに落ちるまでの時間)、睡眠中における目覚める回数の減少、最初の睡眠開始後に完全に目覚めるまでにかかる時間の減少、全睡眠時間の増大、REM睡眠の量と割合の増大、REM睡眠の継続時間及び発生増大、REM睡眠寸断化の減少、徐波睡眠(例えばステージ3又は4)の量及び割合の増大、ステージ2睡眠の量及び割合の増大、特に早朝時の覚醒回数の減少、白昼時の意識・覚醒の向上及び睡眠持続性の増大を挙げることができる。本発明によってもたらされる二次的成果として認知機能の強化及び記憶保持力増大が含まれる。“睡眠の質を強化する方法”は、上記したように睡眠の質強化に関係する成果を含む、しかしこれに限定されないが、睡眠の質強化に関係する患者の身の上に起こる成果をもたらす方法を意味する。
【0142】
本発明は、更に不眠症、睡眠過剰、睡眠時無呼吸症候群、ナルコレプシー、夜間ミオクロヌス、REM睡眠妨害、ジェット−ラグ、交替勤務者の睡眠妨害、ダイソムニア(dysomnias)、夜間恐怖症、夜間飲食症候群、睡眠(睡眠時異常行動)と関連性のあるうつ病、情緒的/気分的障害、機能障害に関連した不眠症夢遊、遺尿症、老齢化に伴って起こる睡眠障害に関連性のある睡眠問題を含む睡眠障害及び睡眠妨害の予防及び治療に有益である。睡眠障害及び睡眠妨害は一般に睡眠の開始又は持続に困難があり、又は安らかな又は充分な睡眠を得るのが困難である。
【0143】
更に、ある薬物は副作用としてもREM睡眠の減少が発症し、そして本発明がこれらのタイプの睡眠障害を是正するのにも使用されうる。本発明は、非回復性睡眠及び筋肉痛を示す線維筋痛症又は睡眠中の呼吸障害と関連性のある無呼吸睡眠の治療にも有効であろう。本発明は睡眠障害及び睡眠妨害に限定されることなく、睡眠の質が減退することにより生来する広範な病態に適用可能であることが明らかである。
【0144】
本発明の化合物及びその組成物又はこれらを用いた他剤との併用は、これらの病態の治療及び予防に有益である。
本発明において、対象の哺乳動物が人間であることが好ましい。本発明は老若男女に適用可能であるが、年配の男女に対してより大きな適用性がありうる。更に、本発明は健康な人々の睡眠の質を向上するのに適用されるが、睡眠障害又は睡眠妨害に罹っている人々の睡眠の質を向上する方に特に効果がありうる。
【0145】
本発明に係る組成物は、高血圧、肥満と関連性のある高血圧、高血圧関連障害、心肥大、左心室肥大、及び代謝異常症候群、肥満及び肥満関連障害の如き障害の治療、予防又は管理にも有益な他の薬物と組み合わせて使用されることが出来る。そのような他の薬物は常法に従い、通常一般に用いられる量とルートで、本発明に係る組成物と同時に又は順次投与出来る。本発明の組成物が1又はそれ以上の他の薬物と同時に投与される場合、そのような他の薬物及び本発明の組成物を含む服用単位形態の薬剤組成物であることが好ましい。しかしながら、併用療法は本発明に係る薬物と1又はそれ以上の他の薬物との組み合わせ薬物が種々の重複服用計画に基づいて投与される療法をも包含する。また、1又はそれ以上の他の活性成分と組み合わされる場合、本発明に係る組成物と他の活性成分はそれらが各単独で服用される場合に比較してより少ない服用量でよいことが予期される。したがって、本発明の薬物組成物は本発明の組成物に加えて、1又はそれ以上の他の活性成分を含む組成物を包含する。
【0146】
本発明に係る組成物と組み合わせて、及び別々又は同一の薬物組成物として服用される他の活性成分の例として、以下のものが挙げられるが、これらに制約されない。
【0147】
(a)(i)グリタゾン類(例えばシグリタゾン、ダルグリタゾン、エングリタゾン、イサグリタゾン(MCC−555)、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、トログリタゾン、BRL49653、CLX−0921、5−BTZD等)、及びGW−0207、LG−100641、及びLY−300512等の如きPPARγ作動薬、(ii)ブフォルミン、メトフォルミン、フェンフォルミン等の如きビグアナイド類、(iii)タンパク質チロシンリン酸化酵素−1B(PTP−1B)阻害剤、(iv)アセトヘキサミド、クロルプロパミド、ジアビネーゼ、グリベンクラミド、グリピジド、グリブリド、グリメピリド、グリクラジド、グリペンチド、グリキドン、グリソラミド、トラザミド、及びトルブタミド等の如きスルホニル尿素類、(v)レパグリニド及びナテグリニド等の如きメグリチニド類、(vi)アカルボース、アジポシン、カミグリボース、エミグリテート、ミギリトール、ボグリボース、プラジミシン−Q、サルボスタチン、CKD−711、MDL−25,637、MDL−73,945、及びMOR14等の如きα−グルコシド加水分解酵素阻害剤、(vii)テンダミスタット、トレスタチン及びAl−3688等の如きα−アミラーゼ阻害剤、(viii)リノグリリド、及びA−4166等の如きインスリン分泌促進物質、(ix)クロモキシル及びエトモキシルの如き脂肪酸酸化阻害剤、(x)ミダグリゾール、イサグリドール、デリグリドール、イダゾキサン、エアロキサン及びフルパロキサン等の如きA2拮抗薬、(xi)バイオタ、LP−100、ノバラピド、インスリン デテミール、インスリン リスプロ、インスリン グラルジン、インスリン亜鉛懸濁液(レンテ及びウルトラレンテ)、Lys−Proインスリン、GLP−1(73−7)(インスリントロピン)、及びGLP−1(7−36)−NH2)等の如きインスリン又はインスリン類似薬、(xii)JT−501、及びファルグリタザール(GW−2570/GI−262579)等の如き非チアゾリジンジオン類、(xiii)MK−0767、CLX−0940、GW−1536、GW−1929、GW−2433、KRP−297、L−796449、LR−90及びSB219994等の如きPPARα/γ二重作動薬、(xiv)他のインスリン感作薬物及び、(xv)VPAC2レセプター作動薬、のような抗糖尿病薬
【0148】
(b)(i)コレスチラミン、コレセベレム、コレスチポール、交差結合デキストランのジアルキルアミノアルキル誘導体、Colestid(登録商標)、LoCholest(登録商標)、及びQuestran(登録商標)等の如き胆汁酸吸収抑制薬、(ii)アトルバスタチン、イタバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、リバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン及びZD−4522等の如きHMG−CoA還元酵素阻害剤、(iii)HMG−CoAシンターゼ阻害剤、(iv)スタノールエステル類、β−シトステロール、チクエシドの如きステロールグリコシド類及びエゼチミベ等の如きアゼチジノン類等の如きコレステロール吸収阻害剤、(v)アバシミベ、エフルシミベ、KY505、SMP797等の如きアシル補酵素A−コレステロールアシル転移酵素(ACAT)阻害剤、(vi)JTT705、トルセトラピブ、CP532,632、BAY63−2149、SC591、SC795等の如きCETP阻害剤、(vii)スクアレン合成酵素阻害剤、(viii)プロブコール等の如き抗酸化剤、(ix)ベクロフィブレート、ベンザフィブレート、シプロフィブレート、クロフィブレート、エトフィブレート、フェノフィブレート、ジェムカベン、及びジェムフィブロジル、GW7647、BM170744、LY518674、及びAtromid(登録商標)、Lopid(登録商標)、及びTricor(登録商標)等の他のフィブル酸誘導体、の如きPPARα作動薬、(x)GW4064、SR103912等の如きFXRレセプターモデュレータ、(xi)GW3965、T9013137、及びXTCO179628等の如きLXRレセプター、(xii)ナイアシンの如きリポタンパク質合成阻害剤、(xiii)レニン・アンジオテンシン系阻害剤、(xiv)PPARδ部分作動薬、(xv)BARI1453、SC435、PHA384640、S8921、AZD7706等の如き胆汁酸再吸収阻害剤、(xvi)GW501516、及びGW590735等の如きPPARδ作動薬、(xvii)トリグルセリド合成阻害剤、(xviii)インプリタピド、LAB687、及びCP346086等の如きミクロソームトリグリセリド輸送(MTTP)阻害剤、(xix)転写モデュレータ、(xx)スクアレンエポキシダーゼ阻害剤、(xxi)低比重リポタンパク質(LDL)レセプター誘発剤、(xxii)血小板凝集阻害剤、(xxiii)5−LO又はFLAP阻害剤、及び(xxiv)ナイアシンレセプター作動薬、のような脂質低減薬、及び
【0149】
(c)(i)クロルタリドン、クロルチアジド、ジクロロフェナミド、ハイドロフルメチアジド、インダパミド、及びハイドロクロロチアジドを含むチアジド類の如き利尿薬、ブメタニド、エタクリン酸、フロセミド、及びトルセミドの如きループ利尿薬、アミロリド、及びトリアムテレンの如きカリウム保持性薬、及びスピロノラクトン、エピレノン等の如きアルドステロン拮抗薬、(ii)アセブトロール、アテノロール、ベタクソロール、ベバントロール、ビソプロロール、ボピンドロール、カルテオロール、カルベディロール、セリプロロール、エスモロール、インデノロール、メタプロロール、ナドロール、ネビボロール、ペンブトロール、ピンドロール、プロパノロール、ソタロール、テルタトロール、チリソロール、及びチモロール等の如きβ−アドレナリン遮断薬、(iii)アムロジピン、アラニジピン、アゼルニジピン、バルニジピン、ベニジピン、ベプリジル、シナルジピン、クレビジピン、ジルチアゼム、エフォニジピン、フェロジピン、ガロパミル、イスラジピン、ラシジピン、レミルジピン、レルカニジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニルバジピン、ニモジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン、マニジピン、プラニジピン、及びベラパミル等の如きカルシウムチャネル遮断薬、(iv)ベナゼプリル、カプトプリル、シラザプリル、デラプリル、エナラプリル、フォシノプリル、イミダプリル、ロシノプリル、モエキシプリル、キナプリル、キナプリラット、ラミプリル、ペリンドプリル、ペリンドロプリル、クアニプリル、スピラプリル、テノカプリル、トランドラプリル、及びゾフェノプリル等の如きアンジオテンシン転換酵素(ACE)阻害剤、(v)オマパトリラット、カドクサトリル及びエカドトリル、フォシドトリル、サムパトリラット、AVE7688、ER4030等の如き中性エンドペプチダーゼ阻害剤、(vi)テゾセンタン、A308165、及びYM62899等の如きエンドセリン拮抗薬、(vii)ヒドララジン、クロニジン、ミノキシジル、及びニコチニルアルコール等の如き血管拡張薬(viii)カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、プラトサルタン、タソサルタン、テルミサルタン、バルサルタン、及びEXP−3137、FI6828K、及びRNH6270等の如きアンジオテンシンIIレセプター拮抗薬、(ix)ニプラジロール、アロチノロール及びアモスラロール等の如き、α/βアドレナリン遮断薬、(x)テラゾシン、ウラピジル、プラゾシン、ブナゾシン、トリマゾシン、ドクサゾシン、ナフトピジル、インドラミン、WHIP164、及びXEN010等の如きα1遮断薬、(xi)ロフェキシジン、チアメニジン、モクソニジン、リルメニジン、及びグアノベンツ等の如きα2作動薬、(xii)アルドステロン阻害剤等、のような抗高血圧薬、及び
【0150】
(d)(i)パロキセチン、フルオキセチン、フェンフルラミン、フルボキサミン、セルトラリン、及びイミプラミンの如き5HT(セロトニン)輸送体阻害剤、(ii)GW320659、デスピラミン、タルスプラム、及びノミフェンシンの如きNE(ノルエピネフリン)輸送体阻害剤、(iii)リモナバント(サノフィシンセラボ社)、SR−147778(サノフィシンセラボ社)、BAY65−2520(バイエル社)、及びSLV319(ソルベー社)、及び米国特許No.5,532,237、4,973,587、5,013,837、5,081,122、5,112,820、5,292,736、5,624,941及び6,028,084、及びWO96/33159、WO98/33765、WO98/43636、WO98/43635、WO01/09120、WO01/96330、WO98/31227、WO98/41519、WO98/37061、WO00/10967、WO00/10968、WO97/29079、WO99/02499、WO01/58869、WO02/076949、WO01/64632、WO01/64633、WO03/006007、及びWO03/007887、及びEPO出願No.EP−658546に開示された化合物の如きCB−1(カンナビノインド−1レセプター)拮抗薬/反作動薬、(iv)WO01/87335、及びWO02/08250において開示された薬物の如きグレリン拮抗薬、(v)チオペラミド、3−(1H−イミダゾール−4−イル)プロピル N−(4−ペンテニル)カルバメート、クローベンプロピット、イオドフェンプロピット、イモプロキシファン、GT2394(グリアテック)、及びA331440、及びWO02/15905において開示された薬物、及びO−〔3−(1H−イミダゾール−4−イル)プロパノール〕カルバメート類(Kiec−Kononowicz,K.et al.,Pharmazie,55:349−55(2000))、ピペリジン含有ヒスタミンH3−レセプター拮抗剤(Lazewska,D.et al.,Pharmazie,56:927−32(2001))、ベンゾフェノン誘導体及び関連化合物(Sasse,A.et al.,Arch.Pharm.(Weinheim)334:45−52(2001))、置換N−フェニルカルバメート類(Reidemeister,S.et al.,Pharmazie,55:83−6(2000))、及びプロキシファン誘導体(Sasse,A.et al.,J.Med.Chem.,43:3335−43(2000))の如きH3(ヒスタミンH3)拮抗薬/反作動薬、(vi)T−226296(武田)、SNP−7941(シナプチック社)、及びWO01/82924、WO01/87834、WO02/051809、WO02/06245、WO02/076929、WO02/076947、WO02/04433、WO02/51809、WO02/083134、WO02/094799、WO03/004027、及び日本特許出願番号JP13226269に開示された薬物の如きメラニン−濃縮ホルモン1レセプター(MCH1R)拮抗薬、(vii)MCH2R(メラニン濃縮ホルモン2R)作動薬/拮抗薬、(viii)BIBP3226、2−〔1−(5−クロロ−3−イソプロピルオキシカルボニルアミノフェニル)エチルアミノ〕−6−〔2−(5−エチル−4−メチル−1,3−チアゾール−2−イル)エチル〕−4−モルホリノピリジン、BIBO3304、LY−357897、CP−671906、及びGI−264879A、及び米国特許No.6,001,836、及びWO96/14307、WO01/23387、WO99/51600、WO01/85690、WO01/85098、WO01/85173、及びWO01/89528で開示された薬物の如きNPY1(神経ペプチドYY1)拮抗薬、(ix)L−152,804、GW−569180A、GW−594884A、GW−587081X、GW−548118X、FR235,208、FR−226928、FR240662、FR252384、1229U91、GI−264879A、CGP71683A、LY−377897、LY366377、PD−160170、SR−120562A、SR−120819A、JCF−104、及びH409/22、及び米国特許No.6,140,354、6,191,160、6,258,837、6,313,298、6,337,332、6,329,395、及び6,340,683、米国特許No.6,326,375、6,329,395、6,337,332、6,335,345、欧州特許No.EP−01010691、及びEP−01044970、及びPCT国際特許出願公開No.WO97/19682、WO97/20820、WO97/20821、WO97/20822、WO97/20823、WO98/27063、WO00/107409、WO00/185714、WO00/185730、WO00/64880、WO00/68197、WO00/69849、WO01/09120、WO01/14376、WO01/85714、WO01/85730、WO01/07409、WO01/02379、WO01/23388、WO01/23389、WO01/44201、WO01/62737、WO01/62738、WO01/09120、WO02/20488、WO02/22592、WO02/48152、WO02/49648及びWO02/094789、及びNorman et al.,J.Med.Chem.43:4288−4312(2000)に記載された化合物の如きNPY5(神経ペプチドYY5)拮抗薬、(x)組み換えヒトレプチン(PEG−OB、Hoffman La Roche)及び組み換えメチオニルヒトレプチン(アムジェン社)の如きレプチン類、(xi)米国特許No.5,552,524、5,552,523、5,552,522、5,521,283、及びPCT国際特許No.WO96/23513、WO96/23514、WO96/23515、WO96/23516、WO96/23517、WO96/23518、WO96/23519、及びWO96/23520の如きレプチン誘導体、(xii)ナルメフェン(Revex(登録商標))、3−メトキシナルトレキソン、ナロキソン、及びナルトレキソン、及びWO00/21509に開示された化合物の如きオピオイド拮抗薬、(xiii)SB−334867−A、及びWO01/96302、WO01/68609、WO02/51232、WO02/51838、及びWO03/023561に開示された化合物の如きオレキシン拮抗薬、(xiv)BRS3(ボムベシンレセプターサブタイプ3)作動薬、(xv)AR−R15849、GI181771、JMV−180、A−71378、A−71623、及びSR146131、及び米国特許5,739,106に開示された化合物の如きCCK−A(コレシストキニン−A)拮抗薬、(xvi)GI−181771(グラクソ−スミスクライン社)、SR146131(サノフィシンセラボ社)、ブタビンジド、及びPD170292、PD149164(ファイザー社)の如きCNTF(毛様体神経栄養因子)、(xvii)アクソカイン(レジェネロン)、及びWO94/09134、WO98/22128、及びWO99/43813で開示された化合物の如きCNTF誘導体、(xviii)NN703、ヘキサレリン、MK−0677、SM−130686、CP−424,391、L−692,429及びL−163,255、及び米国特許No.6,358,951、米国特許出願No.2002/049196及び2002/022637、及びWO01/56592、及びWO02/32888に開示されたそれらの化合物の如きGHS(成長ホルモン分泌促進レセプター)作動薬、(xix)BVT933、DPCA37215、IK264、PNU22394、WAY161503、R−1065、及びYM348、及び米国特許No.3,914,250、及びWO02/36596、WO02/48124、WO02/10169、WO01/66548、WO02/44152、WO02/51844、WO02/40456、及びWO02/40457で開示された化合物の如き5HT2c(セロトニンレセプター2c)作動薬、(xx)Mc3r(メラノコルチン3レセプター)作動薬、(xxi)CHIR86036(Chiron社)、ME−10142、及びME−10145(メラキュア)、及びWO99/64002、WO00/74679、WO01/991752、WO01/74844、WO01/70708、WO01/70337、WO01/91752、WO02/059095、WO02/059107、WO02/059108、WO02/059117、WO02/12166、WO02/11715、WO02/12178、WO02/15909、WO02/068387、WO02/068388、WO02/067869、WO03/007949、及びWO03/009847に開示された化合物の如きMc4r(メラノコルチン4レセプター)作動薬、(xxii)シブトラトミン(Meridia(登録商標)/Reductil(登録商標))及びその塩、及び米国特許No.4,746,680、4,806,570、及び5,436,272、及び米国特許公開No.2002/0006964、及びWO01/27068、及びWO01/62341に開示された化合物の如きモノアミン再摂取阻害剤、(xxiii)デキスフェンフルラミン、フルオキセチン、及び米国特許No.6,365,633、及びWO01/27060、及びWO01/162341に開示された化合物の如きセロトニン再摂取阻害剤、(xxiv)GLP−1(グルカゴン様ペプチド1)作動薬、(xxv)トピラメート(Topimax(登録商標))、(xxvi)フィトファーム化合物57(CP644,673)、(xxvii)ACC2(アセチル−CoAカルボキシラーゼ−2)阻害剤、(xxviii)AD9677/TAK677(大日本/武田)、CL−316,243、SB418790、BRL−37344、L−796568、BMS−196085、BRL−35135A、CGP12177A、BTA−243、GW427353、トレカドリン、ゼネカD7114、及びSR59119A、及び米国特許出願No.5,705,515、米国特許5,451,677、及びWO01/74782、WO02/32897に開示された化合物の如きβ3(βアドレナリン受容体3)作動薬、(xxix)DGAT1(ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ1)阻害剤、(xxx)DGAT2(ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ2)阻害剤、(xxxi)セルレニン及びC75の如きFAS(脂肪酸シンターゼ)阻害剤、(xxxii)テオフィリン、ペントキシフィリン、ザプリナスト、シリデナフィル、アムリノン、ミルリノオン、シロスタミド、ロリプラム、及びシロミラストの如きPDE(ホスホジエステラーゼ)阻害剤、(xxxiii)KB−2611(KaroBioBMS社)、及びWO02/15845及び日本特許出願番号JP2000256190に開示された化合物の如き甲状腺ホルモンβ作動薬、(xxxiv)フィタン酸、4−[(E)−2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)−1−プロペニル]安息香酸(TTNPB)、及びレチノイン酸、及びWO99/00123に開示された化合物の如きUCP−1(脱共役タンパク質1)、2又は3活性物質、(xxxv)del Mar−Grasa,M.et al.,Obesity Research,9:202−9(2001)に開示されたオレオイル−エストロンの如きアシル−エストロゲン、(xxxvi)グルココルチコイド拮抗薬、(xxxvii)BVT3498、BVT2733、及びWO01/90091、WO01/90090、WO01/90092に開示された化合物の如き11βHSD−1(11−βヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼタイプ1)阻害剤、(xxxviii)SCD−1(ステアロイル−CoA不飽和化酵素−1)阻害剤、(xxxix)イソロイシン チアゾリジド、バリン ピロリジド、NVP−DPP728、LAF237、P93/01、TSL225、TMC−2A/2B/2C、FE999011、P9310/K364、VIP0177、SDZ274−444、及びWO03/004498、WO03/004496、EP1258476、WO02/083128、WO02/062764、WO03/000250、WO03/002530、WO03/002531、WO03/002553、WO03/002593、WO03/000180、及びWO03/000181に開示された化合物の如きジペプチジルペプチダーゼIV(DP−IV)阻害剤、(xxxx)テトラヒドロリプスタチン(Orlistat/Xenical(登録商標))、トリトンWR1339、RHC80267、リプスタチン、テアサポニン、及びジエチルウムベリフェリルリン酸塩、FL−386、WAY−121898、Bay−N−3176、バリラクトン、エステラシン、エベラクトンA、エベラクトンB、及びRHC80267、及びWO01/77094、及び米国特許No.4,598,089、4,452,813、5,512,565、5,391,571、5,602,151、4,405,644、4,189,438、及び4,242,453に開示された化合物の如きリパーゼ阻害剤、(xxxxi)脂肪酸輸送阻害剤、(xxxxii)ジカルボキシレート輸送阻害剤、(xxxxiii)グルコース輸送阻害剤、(xxxxiv)リン酸塩輸送阻害剤、(xxxxv)メラノタンII又はWO99/64002及びWO00/746799に記載されたそれらの化合物の如きメラノコルチン作動薬、(xxxxvi)メラニン濃縮ホルモン拮抗薬、(xxxxvii)ガラニン拮抗薬、(xxxxviii)CCK作動薬、(xxxxix)コルチコトロピン−放出ホルモン作動薬、及び(xxxxx)ホスホジエステラーゼ−3B(PDE3B)阻害剤等、のような抗肥満薬。
【0151】
上記組み合わせは、本発明の組成物に一つの他の活性物質のみならず、2又はそれ以上の他の活性物質を組み合わせたものを包含する。本発明の組成物と、脂質低減薬剤及び抗高血圧薬剤から選ばれた1、2又はそれ以上の活性化物質との組み合わせには多くの例が存在する。本発明の組成物と脂質低減薬剤及び抗糖尿病薬剤から選ばれた1、2又はそれ以上の活性化物質との組み合わせは代謝異常症候群の治療、管理又は予防に有益である。特に、抗糖尿病薬剤及び/又は脂質低減剤に加えて、抗肥満薬剤、抗高血圧薬剤を包含する組成物は代謝異常症候群の治療、管理又は予防に相乗的な効果を発揮する。
【0152】
【発明の実施の形態】
実施例・参考例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
マススペクトルはQuattroII(マイクロマス社製)を用いてエレクトロスプレイイオン化法(ESI)で測定した。
また、融点は特に断りのない限り補正を加えず記した。
【0153】
【実施例】
実施例1
5,6−ジクロロ−2−[1−メチルスルホニルスピロ[インドリン−3,4’−ピペリジン]−1’−イル]ベンズイミダゾ−ルの製造
(1)2,5,6,−トリクロロ−N−テトラヒドロピラニルベンズイミダゾールの製造
2,5,6,−トリクロロベンズイミダゾール(2.07g,9.33mmol)のテトラヒドロフラン溶液(20mL)に、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン(2.55mL,28.0mmol)及びカンファースルホン酸(216mg,0.93mmol)を加え、室温で3時間攪拌した。反応溶液に0.1M水酸化ナトリウム水溶液を加え中和後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(C−300,ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で分離精製することにより、標記化合物(487mg,9%)を得た。
【0154】
(2)5,6−ジクロロ−2−[1−メチルスルホニルスピロ[インドリン−3,4’−ピペリジン]−1’−イル]ベンズイミダゾ−ルの製造
2,5,6,−トリクロロ−N−テトラヒドロピラニルベンズイミダゾール(213mg,0.70mmol)及び1−メチルスルホニルスピロ[インドリン−3,4’−ピペリジン]塩酸塩(168mg,0.56mmol)のジオキサン溶液(10mL)に炭酸セシウム(562mg,0.47mmol)を加え、封菅中150℃で14時間加熱攪拌した。反応混合物を冷却後、水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下濃縮した。得られた残渣をメタノール(10mL)に溶解し、カンファースルホン酸(100mg,0.70mmol)を加え室温で12時間攪拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、残渣を0.1M水酸化ナトリウム水溶液で中和後クロロホルムで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣に酢酸エチルを加え、析出物を濾取乾燥することにより、表題化合物(86mg,34%)を得た。
1HNMR(300MHz,DMSO−d6,δppm):1.73−1.79(2H,m),1.85−1.96(2H,m),3.05(3H,s),3.18−3.30(2H,m),3.96(2H,s),4.08−4.18(2H,m),7.00−7.05(1H,m),7.20−7.32(5H,m);マススペクトル(ESI):452(M+H)
【0155】
以下の化合物は実施例1と同様の手法により合成した。
実施例2
2−[1−メチルスルホニルスピロ[インドリン−3,4’−ピペリジン]−1’−イル]−5−クロロベンズイミダゾ−ル
1HNMR(300MHz,DMSO−d6,δppm):1.72−1.80(2H,m),1.87−1.98(2H,m),3.06(3H,s),3.12−3.28(2H,m),3.96(2H,s),4.08−4.17(2H,m),6.85−7.30(7H,m),11.51(1H,s);マススペクトル(ESI):418(M+H)
【0156】
実施例3
8−[3,4−ジヒドロ−3−オキソスピロ[イソキノリン−1(2H),4’−ピペリジン]−1’−イル]−2−フェニルプリン
1HNMR(300MHz,DMSO−d6,δppm):1.87(2H,d,J=13.8Hz),2.15(2H,m),3.62(4H,m),4.20(2H,brd,J=12.6Hz),7.24(3H,m),7.43(4H,m),8.31(1H,t,J=3.9Hz),8.36(2H,dd,J=6.9Hz),8.50(1H,brs);マススペクトル(ESI):411(M+H)
【0157】
実施例4
トランス−5−メトキシカルボニル−2−[3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−イル]ベンズイミダゾ−ルの製造
(1)トランス−N−[2−アミノ−5−メトキシカルボニルフェニル]−3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−カルボキサミドの製造
トランス−3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−カルボン酸(20mg,0.081mmol)及びメチル3,4−ジアミノベンゾアート(20mg,0.12mmol)のピリジン溶液(1mL)に、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド・塩酸塩(25mg,0.13mmol)を加え、窒素雰囲気下室温で1時間攪拌した。反応溶液を濃縮し、残渣に飽和重曹水を加えた後酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮し、残渣を酢酸エチル−ヘキサンで洗浄後乾燥することにより標記化合物(30.4mg,95%)を得た。
【0158】
(2)トランス−5−メトキシカルボニル−2−[3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−イル]ベンズイミダゾ−ルの製造
トランス−N−[2−アミノ−5−メトキシカルボニルフェニル]−3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−カルボキサミド(27.7mg,0.070mmol)のキシレン溶液(2mL)に触媒量のp−トルエンスルホン酸・1水和物を加え、3時間加熱環流した。反応液を室温に冷却後、減圧下濃縮し、残渣を分取用薄層クロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=20:1)で精製することにより表題化合物(20mg,75%)を得た。
1HNMR(300MHz,CD3OD,δppm):1.78−2.55(8H,m),3.25−3.44(1H,m),3.93(3H,s),7.51−7.58(4H,m),7.85(1H,dd,J=1.0Hz,7.6Hz),7.93(1H,dd,J=1.6Hz,8.6Hz),8.27(1H,s);マススペクトル(ESI):377(M+H)
【0159】
以下の化合物は実施例4と同様の手法により合成した。
実施例5
トランス−2−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]−5−フェニルベンズイミダゾ−ル
1HNMR(400MHz,CDCl3,δppm):1.80−2.02(2H,m),2.16−2.68(6H,m),3.30−3.44(1H,m),7.20−7.90(9H,m),8.85(1H,d,J=4.8Hz),8.97(1H,s);マススペクトル(ESI):396(M+H)
【0160】
実施例6
トランス−8−[3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−イル]−2−フェニルプリンの製造
(1)トランス−N−[4−アミノ−2−フェニル−5−ピリミジル]−3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−カルボキサミドの製造
トランス−3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−カルボン酸(190mg,0.77mmol)及び2−フェニル−4,5−ジアミノピリミジン(130mg,0.70mmol)のピリジン溶液(3.5mL)に0℃で1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド・塩酸塩(25mg,0.13mmol)を加え、窒素雰囲気下室温で10時間攪拌した。反応溶液を濃縮し、残渣に飽和重曹水を加えた後酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(クロロホルム:メタノール=10:1)で精製することにより表題化合物(212mg,73%)を得た。
【0161】
(2)トランス−8−[3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−イル]−2−フェニルプリンの製造
トランス−N−[4−アミノ−2−フェニル−5−ピリミジル]−3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−カルボキサミド(100mg,0.24mmol)のピリジン溶液(3.5mL)にオキシ塩化リン(0.027mL,0.28mmol)を加え、窒素雰囲気下、50℃で12時間加熱攪拌した。反応溶液を室温に冷却後、減圧下濃縮し、残渣を酢酸エチルで希釈後、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄、次いで無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。得られた残渣を分取用薄層クロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=10:1)で精製することにより表題化合物(87mg,91%)を得た。
1HNMR(300MHz,CDCl3,δppm):1.70−1.90(2H,m),2.20−2.50(6H,m),3.25−3.40(1H,m),7.40−7.70(6H,m),7.89(1H,d,J=7.8Hz),8.40−8.50(2H,m),9.21(1H,s);マススペクトル(ESI):397(M+H)
【0162】
以下の化合物は実施例6と同様の手法により合成した。
実施例7
シス−8−[3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イ ソベンゾフラン]−4−イル]−2−フェニルプリン
1HNMR(300MHz,CDCl3,δppm):1.80−2.00(2H,m),2.05−2.45(6H,m),2.95−3.15(1H,m),7.36(1H,d,J=7.8Hz),7.45−7.65(4H,m),7.65−7.80(1H,m),7.99(1H,d,J=7.5Hz),8.42−8.55(2H,m),9.16(1H,s);マススペクトル(ESI):397(M+H)
【0163】
実施例8
トランス−2−(2−フルオロフェニル)−8−[3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−イル]プリン
1HNMR(300MHz,CDCl3,δppm):1.60−1.90(2H,m),2.05−2.35(6H,m),3.00−3.10(1H,m),7.20−7.75(6H,m),7.88(1H,d,J=7.5Hz),8.09(1H,t,J=6.0Hz),9.28(1H,s);マススペクトル(ESI):415(M+H)
【0164】
実施例9
トランス−2−[2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−8−[3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−イル]プリン
1HNMR(300MHz,CDCl3,δppm):1.40−1.90(2H,m),2.00−2.55(6H,m),2.85−3.00(1H,m),6.70(1H,t,J=7.5Hz),7.20−7.75(5H,m),7.88(1H,d,J=7.5Hz),7.97(1H,d,J=7.5Hz),8.55−8.70(1H,m),9.25(1H,s);マススペクトル(ESI):463(M+H)
【0165】
実施例10
トランス−2−(2,6−ジフルオロフェニル)−8−[3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−イル]プリン
1HNMR(300MHz,DMSO−d6,δppm):1.75−1.88(2H,m),2.21−3.03(6H,m),3.41−3.52(1H,br),7.25(2H,t,J=7.8Hz),7.50−7.80(5H,m),7.82(1H,d,J=7.8Hz),9.18(1H,s);マススペクトル(ESI):433(M+H)
【0166】
実施例11
トランス−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]−2−フェニルプリン
1HNMR(300MHz,CDCl3,δppm):1.50−1.90(2H,m),2.15−2.40(4H,m),3.10−3.24(1H,m),7.47−7.65(3H,m),7.77(1H,d,J=4.8Hz),8.35−8.50(2H,m),8.85(1H,d,J=5.1Hz),8.95(1H,s),9.23(1H,s);マススペクトル(ESI):398(M+H)
【0167】
実施例12
トランス−2−(3−フルオロフェニル)−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]プリン
1HNMR(300MHz,DMSO−d6,δppm):1.88−2.56(8H,m),3.38−3.50(1H,m),7.28−7.40(1H,m),7.50−7.65(1H,m),7.87(1H,d,J=4.9Hz),8.16(1H,dd,J=1.1Hz,10.8Hz),8.29(1H,d,J=7.8Hz),8.87(1H,d,J=4.9Hz),9.15(1H,s),9.19(1H,s);マススペクトル(ESI):416(M+H)
【0168】
実施例13
トランス−2−(4−フルオロフェニル)−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]プリンの製造
(1)トランス−N−[4−アミノ−2−(4−フルオロフェニル)−5−ピリミジニル]−3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−カルボキサミドの製造
トランス−3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−カルボン酸(4.96g,20.0mmol)及び2−(4−フルオロフェニル)−4,5−ジアミノピリミジン(3.7g,18.1mmol)のピリジン溶液(60mL)に0℃で1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド・塩酸塩(4.5g,23.5mmol)を加え、窒素雰囲気下室温で4時間攪拌した。反応液に水(500mL)及び酢酸エチル(120mL)を加え、析出物を濾取後乾燥することで表題化合物(3.97g,51%)を無色個体として得た。ろ液を酢酸エチルで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮した。残渣を酢酸エチルに懸濁し、しばらく撹拌し、濾取後乾燥することで、更に表題化合物(3.13g,39%)を得た。
1HNMR(400MHz,DMSO−d6,δppm):1.85−1.95(2H,m),2.00−2.30(6H,m),2.75−2.85(1H,m),6.82(2H,brs),7.25(2H,t,J=7.2Hz),7.84(1H,d,J=5.2Hz),8.25−8.35(2H,m),8.40(1H,s),8.86(1H,d,J=5.2Hz),9.11(1H,s),9.23(1H,s);マススペクトル(ESI):434(M+H)
【0169】
(2)トランス−2−(4−フルオロフェニル)−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]プリンの製造
トランス−N−[4−アミノ−2−(4−フルオロフェニル)−5−ピリミジニル]−3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−カルボキサミド(6.89g,15.9mmol)のピリジン溶液(100mL)にオキシ塩化リン(2.3mL,24.6mmol)を0℃で加え、窒素雰囲気下、50℃で16時間加熱攪拌した。反応液を室温に冷却後、減圧下濃縮した。残渣に氷水を加えしばらく撹拌後、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(C−300,クロロホルム:テトラヒドロフラン=4:1)で精製することにより表題化合物(以下、化合物13という)(3.0g,45%)を無色個体として得た。
1HNMR(400MHz,CDCl3,δppm):1.44−2.58(8H,m),3.30−3.50(1H,m),7.19(2H,t,J=8.8Hz),7.80(1H,d,J=4.8Hz),8.46(2H,dd,J=5.6Hz,8.8Hz),8.88(1H,d,J=4.8Hz),8.96(1H,s),9.18(1H,s);マススペクトル(ESI):416(M+H)
【0170】
(3)化合物13の結晶(Form−A)の製造法
実施例13上記工程(2)で得られた化合物(5.0g)に、テトラヒドロフラン(1.5L)を加え、加熱還流させて溶解後、溶媒が約30mLになるまで濃縮した。この溶液を室温まで冷却し、攪拌することによって析出した結晶を濾取することにより、化合物13の無色結晶(Form−A,4.1g)を得た。
融点285℃−288℃(柳本製作所製MP−S3にて測定)
【0171】
【表2】
【0172】
上記粉末X線回折分析データは自動X線装置RINT−Ultima+システム(2kW)(Rigaku International Corporation製造)によって測定した。分析方法は次のとおりである。
X線放射源:Cu
チューブ電圧/チューブ電流:40kV/30mA
モノクロメーター:自動モノクロメーター
ゴニオメーター:広角ゴニオメーター
スキャンステップ:0.02deg.
スキャン速度:2.00deg./min.
ディバージェンス・スリット(divergence slit):1deg.
スキャッターリング・スリット(scattering slit):1deg.
レシービング・スリット(receiving slit):0.15mm
測定温度:5℃〜40℃
【0173】
(4)化合物13の結晶(Form−B)の製造法
実施例13の上記工程(3)で得られた化合物13の結晶(Form−A,4.6g)を、テトラヒドロフラン(1.5L)に加え、加熱還流して溶解後、0℃に冷却し、マレイン酸(1.33g)のエタノール溶液(10ml)を加えた。溶媒を減圧下濃縮し、残渣を酢酸エチルで洗浄することにより、化合物13の実施例13のマレイン酸塩(6.0g)を得た。
この マレイン酸塩(6.0g)を、水300mlに懸濁させ、室温にて9時間激しく攪拌した。沈殿物を濾取することにより、実施例13化合物13の無色結晶(Form−B,4.4g)を得た。
融点246℃−252℃(柳本製作所製MP−S3にて測定)
【0174】
【表3】
上記粉末X線回折分析データは、チューブ電流を40mAに替え、他は実施例13(3)と同じ条件で測定された。
【0175】
(5)化合物13の結晶(Form−C)の製造法
上記工程(3)で得られた化合物13の結晶実施例13の結晶(Form−A,680mg)を、水35mlに懸濁させ、加熱還流下15時間攪拌した。沈殿物を濾取することにより、化合物13実施例13の無色結晶(Form−C,650mg)を得た。
融点267℃−270℃(メトラーホットステージFP82にて測定)
【0176】
【表4】
上記粉末X線回折分析データは実施例13(3)と同じ条件で測定された。
【0177】
(6)化合物13の結晶(Form−C)の製造法(工程(5)の別法)
(6−1)実施例13の化合物13(1.0g)に、2−プロパノール(20mL)、及び1N 水酸化カリウム水溶液(2.6mL)を0℃で順次加え、同温度で30分間攪拌した。反応溶液に0.15N 塩酸(20ml)をゆっくりと滴下し、析出物を濾取し、乾燥することにより、無色固体(740mg)を得た。
(6−2)2)上記で得られた固体(380mg)を1N 塩酸(10mL)に懸濁し、室温にて12時間攪拌した後、沈殿物を濾取することにより化合物実施例13の無色結晶(Form−C,290mg)を得た。
【0178】
実施例14
トランス−2−(2−フルオロフェニル)−8−[3−オキソスピロ[4−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]プリン
1HNMR(300MHz,CDCl3,δppm):1.60−1.90(2H,m),2.10−2.50(6H,m),2.97−3.10(1H,m),7.20−7.45(6H,m),7.45−7.63(2H,m),7.93(1H,d,J=7.8Hz),8.12(1H,t,J=7.8Hz),8.92(1H,d,J=4.5Hz),9.28(1H,s);マススペクトル(ESI):416(M+H)
【0179】
実施例15
トランス−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−8−[3−オキソスピロ[4−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]プリン
1HNMR(300MHz,CDCl3,δppm):1.58−2.60(8H,m),3.10−3.80(1H,m),6.84−7.14(2H,m),7.78(1H,d,J=4.8Hz),8.17(1H,dd,J=8.4Hz,J=14.8Hz),8.87(1H,d,J=4.8Hz),8.94(1H,s),9.20(1H,s);マススペクトル(ESI):434(M+H)
【0180】
実施例16
トランス−2−(4−フルオロフェニル)−8−[3−オキソスピロ[5−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]プリ ン
1HNMR(300MHz,DMSO−d6,δppm):1.80−2.60(8H,m),2.96−3.48(1H,m),7.22−7.42(2H,m),7.81(1H,d,J=4.2Hz),8.38−8.54(2H,m),8.84(1H,d,J=4.2Hz),9.07(2H,s),9.10(2H,s);マススペクトル(ESI):416(M+H)
【0181】
実施例17
トランス−2−(2,5−ジフルオロフェニル)−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]プリンの製造
(1)トランス−3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−カルボン酸(24.0g,97.1mmol)及び2−(2,5−ジフルオロフェニル)−4,5−ジアミノピリミジン(19.4g,87mmol)を用いて実施例13と同様に反応を行うことにより、表題化合物(以下、化合物17という)(11.3g,30%)を無色固体として得た。
1HNMR(300MHz,DMSO−d6,δppm):1.83−2.02(8H,m),3.38−3.49(1H,br),7.31−7.48(2H,m),7.78−7.92(2H,m),8.88(1H,d,J=4.9Hz),9.19(2H,s);マススペクトル(ESI):434(M+H)
【0182】
(2)化合物17の結晶(Form−A)の製造法
上記工程(1)で得られた化合物17実施例(17)の化合物(3.9g)に、エタノール(390mL)を加え、加熱還流して溶解後、溶媒が120mLになるまで濃縮した。この溶液を室温まで冷却し、12時間攪拌した。析出物を濾取することにより、化合物17実施例(17)の無色結晶(Form−A,3.6g)を得た。
融点265℃−270℃(メトラーホットステージFP82にて測定)
【表5】
上記粉末X線回折分析データは実施例13(3)と同じ条件で測定された。
【0183】
(3)化合物17の結晶(Form−B)の製造法
化合物17実施例(17)の化合物(500mg)に、2−プロパノール(10mL)、1N 水酸化カリウム水溶液(1.2mL)を0℃で順次加え、30分間攪拌した。0.15N 塩酸(10mL)をゆっくりと滴下し、さら更に30分間攪拌した。析出物を濾取することにより、化合物17実施例(17)の無色結晶(Form−B,390mg)を得た。
融点223℃−227℃(メトラーホットステージFP82にて測定)
【表6】
上記粉末X線回折分析データは実施例13(3)と同じ条件で測定された。
【0184】
実施例18
トランス−2−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]プリン
1HNMR(300MHz,CDCl3,δppm):1.70−1.95(2H,m),2.20−2.60(6H,m),3.20−3.40(1H,m),7.10−7.30(1H,m),7.40−7.55(1H,m),7.78(1H,d,J=5.1Hz),8.10−8.25(1H,m),8.87(1H,d,J=5.1Hz),8.93(1H,s),9.27(1H,s);マススペクトル(ESI):450(M+H)
【0185】
実施例19
トランス−8−[5−フルオロ−3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]−2−フェニルプリン
1HNMR(300MHz,DMSO−d6,δppm):1.90−2.06(2H,m),2.10−2.28(4H,m),2.29−2.45(2H,m),3.35−3.45(1H,m),7.42−7.56(3H,m),7.70(1H,d,J=3.3Hz),8.44(2H,dd,J=7.8Hz,J=1.8Hz),8.82(1H,s),9.12(1H,s);マススペクトル(ESI):416(M+H)
【0186】
実施例20
トランス−8−[5−フルオロ−3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]−2−(2−フルオロフェニル)プリン
1HNMR(400MHz,DMSO−d6,δppm):1.90−2.70(8H,m),3.08−3.60(1H,m),7.24−7.42(2H,m),7.42−7.60(1H,m),7.69(1H,s),8.00−8.14(1H,m),8.80(1H,s),9.13(1H,s);マススペクトル(ESI):434(M+H)
【0187】
実施例21
トランス−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−8−[5−フルオロ−3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]プリン
1HNMR(400MHz,DMSO−d6,δppm):1.90−2.06(2H,m),2.06−2.60(6H,m),3.16−3.50(1H,m),7.14−7.30(1H,m),7.30−7.42(1H,m),7.69(1H,s),8.02−8.18(1H,m),8.79(1H,s),9.12(1H,s);マススペクトル(ESI):459(M+H)
【0188】
実施例22
トランス−2−クロロ−8−[3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−イル]プリン
1HNMR(300MHz,DMSO−d6,δppm):1.73−1.82(2H,m),1.96−2.20(4H,m),2.23−2.35(2H,m),3.14−3.32(1H,m),7.56−7.65(1H,m),7.76−7.87(3H,m),8.82(1H,s);マススペクトル(ESI):355,357(M+H)
【0189】
実施例23
トランス−2−(6−フルオロピリジン−2−イル)−8−[3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−イル]プリンの製造
(1)トランス−2−クロロ−8−[3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−イル]−7−(2−トリメチルシリルエトキシメチル)プリンの製造
トランス−2−クロロ−8−[3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−イル]プリン(205mg,0.49mmol)のDMF溶液(5mL)に、2−(トリメチルシリル)エトキシメチルクロリド(0.12mL,0.59mmol)及び60%水素化ナトリウム(30mg,0.75mmol)を加え、50℃で3日加熱攪拌した。反応溶液を室温に冷却後、酢酸エチル、水で希釈し、有機層を更に水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(C−300,ヘキサン:酢酸エチル=3:2)で分離精製することにより、標記化合物(115mg,41%)を得た。
【0190】
(2)トランス−2−(6−フルオロピリジン−2−イル)−8−[3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−イル]プリンの製造
トランス−2−クロロ−8−[3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−イル]−7−(2−トリメチルシリルエトキシメチル)プリン(100mg,0.21mmol)のトルエン溶液(2mL)に6−フルオロ−2−トリメチルスタニルピリジン(80mg,0.21mmol)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド(17mg,0.02mmol)を加え、窒素雰囲気下120℃で15時間還流攪拌した。反応溶液を室温に冷却後、酢酸エチル、水で希釈し、有機層を更に水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(C−300,ヘキサン:酢酸エチル=2:3)で分離精製することにより、表題化合物(67mg,59%)を得た。
1HNMR(300MHz,CDCl3,δppm):1.67−1.95(2H,m),2.15−2.36(6H,m),3.40−3.52(1H,m),7.03−7.11(1H,m),7.42−7.63(3H,m),7.87(1H,d,J=7.5Hz),8.04(1H,q,J=7.7Hz),8.56(1H,d,J=7.7Hz),9.23(1H,s),12.4(1H,brs);マススペクトル(ESI):416(M+H)
【0191】
以下の化合物は実施例23と同様の手法により合成した。
実施例24
トランス−2−(2−フリル)−8−[3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−イル]プリン
1HNMR(300MHz,CDCl3,δppm):1.73−1.85(2H,m),2.25−2.47(6H,m),3.40−3.48(1H,m),6.64−6.66(1H,m),7.35(1H,d,J=3.5Hz),7.43−7.55(2H,m),7.60−7.68(2H,m),7.89(1H,d,J=7.6Hz),9.16(1H,s),11.17(1H,s);マススペクトル(ESI):387(M+H)
【0192】
実施例25
トランス−2−(インドール−5−イル)−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]プリン
1HNMR(300MHz,CDCl3,δppm):1.70−1.82(2H,m),2.05−2.35(6H,m),3.13−3.22(1H,m),6.66(1H,d,J=2.5Hz),7.26−7.32(1H,m),7.55(1H,d,J=8.5Hz),7.79(1H,d,J=5.0Hz),8.24(1H,d,J=8.5Hz),8.69(1H,s),8.85(1H,d,J=5.0Hz),9.00(1H,s),9.17(1H,s);マススペクトル(ESI):437(M+H)
【0193】
実施例26
トランス−6−(4−フルオロフェニル)−2−[3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−イル]イミダゾ[4,5−b]ピリジンの製造
(1)2−アミノ−5−(4−フルオロフェニル)−3−ニトロピリジンの製造2−アミノ−5−ブロモ−3−ニトロピリジン(2.2g,10.1mmol)のジメトキシエタン懸濁液(20mL)に4−フルオロフェニルボロン酸(4.83g,13.1mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(580mg,0.50mmol)及び2N炭酸ナトリウム水溶液(10mL)を加え、窒素雰囲気下、80℃で9時間加熱攪拌した。反応溶液を室温に冷却後、酢酸エチルで希釈し析出物を濾取後、酢酸エチルで洗浄、次いで乾燥することにより、標記化合物(1.76g,76%)を得た。
【0194】
(2)2,3−ジアミノ−5−(4−フルオロフェニル)ピリジンの製造
2−アミノ−5−(4−フルオロフェニル)−3−ニトロピリジン(200mg,0.86mmol)を、メタノール(5mL)、酢酸エチル(5mL)、テトラヒドロフラン(5mL)及びトリエチルアミン(2mL)の混合液に懸濁し、10%パラジウム炭素を(100mg)を加えた後、水素雰囲気下、室温で1.5時間攪拌した。反応液を濾過し、濾液を減圧下濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(C−300,クロロホルム:メタノ−ル=50:1)で精製することにより、標記化合物(76mg,44%)を白色固体として得た。
【0195】
(3)トランス−N−[2−アミノ−5−(4−フルオロフェニル)−3−ピリジル]−3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−カルボキサミドの製造
2,3−ジアミノ−5−(4−フルオロフェニル)ピリジン(76mg,0.37mmol)及びトランス−3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−カルボン酸(92mg,0.37mmol)のピリジン溶液(1mL)に1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド・塩酸塩(86mg,0.45mmol)を加え、窒素雰囲気下室温で28時間攪拌した。反応溶液を減圧下濃縮し、残渣に飽和重曹水を加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。更に残渣を酢酸エチルで洗浄後乾燥することにより標記化合物(132mg,82%)を得た。
【0196】
(4)トランス−6−(4−フルオロフェニル)−2−[3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−イル]イミダゾ[4,5−b]ピリジンの製造
トランス−N−[2−アミノ−5−(4−フルオロフェニル)−3−ピリジル]−3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−カルボキサミド(130mg,0.30mmol)のピリジン溶液(4mL)にオキシ塩化リン(0.15mL,1.5mmol)を加え、50℃で、16時間攪拌した。反応液を室温に冷却後、減圧下濃縮した。残渣にアンモニア水を加えた後、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣を分取用薄層クロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=10:1)で精製することにより表題化合物(32mg,32%)を得た。
1HNMR(300MHz,CDCl3,δppm):1.75−2.09(2H,m),2.23−2.75(6H,m),3.63(1H,brs),7.00−7.69(7H,m),7.88(1H,d,J=7.4Hz),8.29(1H,brs),8.53(1H,brs),13.2−13.6(1H,br);マススペクトル(ESI):414(M+H)
【0197】
実施例27
トランス−5−(2−フルオロフェニル)−2−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]イミダゾ[4,5−b]ピリジンの製造
(1)トランス−3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−カルボン酸(13.1g,53mmol)及び2,3−ジアミノ−6−(2−フルオロフェニル)ピリジン(10.8g,53mmol)を用いて実施例13と同様に反応を行うことにより、表題化合物(以下、化合物27という)(7.4g,34%)を無色固体として得た。
1HNMR(400MHz,DMSO−d6,δppm):1.70−2.80(8H,m),2.80−3.68(1H,m),7.20−7.50(2H,m),7.61(1H,d,J=7.2Hz),7.76−8.02(2H,m),7.85(1H,d,J=4.8Hz),8.08(1H,d,J=8.4Hz),8.86(1H,d,J=4.8Hz),9.21(1H,s);マススペクトル(ESI):415(M+H)
【0198】
(2)化合物27の結晶(Form−A)の製造法
上記工程(1)で得られた化合物27実施例(27)の化合物(6.1g)に、酢酸エチル(2.0L)を加え、加熱還流して溶解後、溶媒が30mLになるまで濃縮した。この溶液を室温まで冷却し、激しく攪拌した。析出物を濾取することにより、化合物27実施例(27)の無色結晶(Form−A,5.7g)を得た。
融点242℃−244℃(BUCHI Melting Point B−545にて測定)
【表7】
上記粉末X線回折分析データは実施例13(3)と同じ条件で測定された。
【0199】
(3)化合物27の結晶(Form−B)の製造法
上記工程で得られた化合物27実施例(27)の無色結晶(Form−A,20mg)を、水(2mL)に懸濁し、加熱還流下12時間攪拌した。析出物を濾取することにより、化合物27実施例(27)の無色結晶(Form−B,19mg)を得た。
融点255℃−256℃(BUCHI Melting Point B−545にて測定)
【表8】
上記粉末X線回折分析データは実施例13(3)と同じ条件で測定された。
【0200】
以下の化合物は実施例26と同様の手法により合成した。
実施例28
トランス−6−(2−フルオロフェニル)−2−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]イミダゾ[4,5−c]ピリジン
1HNMR(400MHz,DMSO−d6,δppm):1.70−2.70(8H,m),2.70−3.60(1H,m),7.20−7.48(3H,m),7.48−8.12(2H,m),7.85(2H,d,J=4.8Hz),8.86(1H,d,J=4.8Hz),9.00(1H,s),9.16(1H,s);マススペクトル(ESI):415(M+H)
【0201】
実施例29
トランス−2−[3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−イル]−5−フェニルイミダゾ[4,5−b]ピラジン
1HNMR(400MHz,CDCl3,δppm):1.70−2.70(8H,m),3.22−3.60(1H,m),7.20−8.20(9H,m),8.70−9.00(1H,m);マススペクトル(ESI):397(M+H)
【0202】
実施例30
トランス−2−[3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−イル]−6−フェニルイミダゾ[4,5−b]ピリダジン
1HNMR(400MHz,DMSO−d6,δppm):1.70−1.90(2H,m),2.00−2.80(6H,m),3.20−3.40(1H,m),7.40−8.00(7H,m),8.10−8.40(3H,m);マススペクトル(ESI):397(M+H)
【0203】
実施例31
トランス−2−(2−フルオロフェノキシ)−8−[3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−イル]プリン
1HNMR(300MHz,DMSO−d6,δppm):1.73−1.87(2H,m),2.04−2.25(4H,m),2.29−2.41(2H,m),3.25−3.50(1H,m),7.24−7.45(4H,m),7.59(1H,d,J=7.6Hz),7.64−7.80(2H,m),7.83(1H,d,J=7.6Hz),8.85(1H,s),13.28(1H,brs);マススペクトル(ESI):431(M+H)
【0204】
実施例32
トランス−2−(2,6−ジフルオロフェノキシ)−8−[3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−イル]プリン
1HNMR(300MHz,DMSO−d6,δppm):1.72−1.84(2H,m),2.03−2.25(4H,m),2.31−2.41(2H,m),3.23−3.49(1H,m),7.26−7.44(3H,m),7.59(1H,d,J=7.3Hz),7.65−7.80(2H,m),7.83(1H,d,J=7.3Hz),8.87(1H,s),13.38(1H,brs);マススペクトル(ESI):449(M+H)
【0205】
実施例33
トランス−2−モルホリノ−8−[3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−イル]プリン
1HNMR(300MHz,DMSO−d6,δppm):1.72−1.86(2H,m),2.05−2.23(4H,m),2.24−2.38(2H,m),3.21−3.42(1H,m),3.65−3.74(8H,m),7.57−7.68(2H,m),7.73(1H,d,J=7.7Hz),7.84(1H,d,J=7.7Hz),8.67(1H,s),12.72(1H,brs);マススペクトル(ESI):406(M+H)
【0206】
実施例34
トランス−2−(N−メチルアニリノ)−8−[3’−オキソスピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−イル]プリン
1HNMR(300MHz,DMSO−d6,δppm):1.71−1.87(2H,m),2.02−2.22(4H,m),2.23−2.38(2H,m),3.20−3.41(1H,m),3.51(3H,s),7.14−7.23(1H,m),7.33−7.44(4H,m),7.60(1H,t,J=7.4Hz),7.66(1H,d,J=7.4Hz),7.74(1H,t,J=7.4Hz),7.84(1H,d,J=7.4Hz),8.66(1H,s),12.81(1H,brs);マススペクトル(ESI):426(M+H)
【0207】
実施例35
トランス−2−(4−フルオロフェニル)−8−[7−ヒドロキシ−3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]プリン
1HNMR(400MHz,CD3OD,δppm):2.22−2.50(2H,m),2.50−2.80(6H,m),3.42−3.70(1H,m),6.62(1H,d,J=6.8Hz),7.12−7.30(2H,m),7.51(1H,d,J=6.8Hz),8.40−8.58(2H,m),8.98(1H,s);マススペクトル(ESI):432(M+H)
【0208】
実施例36
トランス−2−(4−フルオロフェニル)−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]プリン 6−オキシド
1HNMR(400MHz,DMSO−d6,δppm):1.80−2.02(2H,m),2.02−2.28(4H,m),2.28−2.62(2H,m),3.02−3.60(1H,m),7.32(2H,t,J=8.8Hz),7.82(1H,d,J=6.8Hz),8.32(2H,d,J=6.8Hz),8.42−8.54(2H,m),8.84(1H,s),9.08(1H,s),9.18(1H,s);マススペクトル(ESI):432(M+H)
【0209】
実施例37
トランス−2−(4−フルオロ−2−ヒドロキシフェニル)−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]プリン
1HNMR(400MHz,CD3OD,δppm):1.94−2.10(2H,m),2.22−2.58(6H,m),3.42−3.58(1H,m),6.62−6.78(2H,m),7.82−7.90(1H,m),8.50−8.62(1H,m),8.83(1H,d,J=4.8Hz),9.04(1H,s),9.09(1H,s);マススペクトル(ESI):432(M+H)
【0210】
実施例38
トランス−2−(4−フルオロフェニル)−6−ヒドロキシ−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]プリン
1HNMR(400MHz,CD3OD,δppm):1.94−2.10(2H,m),2.22−2.46(6H,m),3.22−3.40(1H,m),7.29(2H,t,J=8.4Hz),7.85(1H,d,J=4.4Hz),8.08−8.18(2H,m),8.83(1H,d,J=4.4Hz),9.18(1H,s);マススペクトル(ESI):432(M+H)
【0211】
実施例39
トランス−2−(4−ヒドロキシフェニル)−8−[3−オキソスピロ[6− アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]プリン
1HNMR(400MHz,CD3OD,δppm):1.94−2.10(2H,m),2.26−2.58(6H,m),3.52−3.62(1H,m),7.14(2H,d,J=8.8Hz),7.88(1H,d,J=5.2Hz),8.35(2H,d,J=8.8Hz),8.85(1H,d,J=5.2Hz),9.05(1H,s),9.13(1H,s);マススペクトル(ESI):414(M+H)
【0212】
実施例40
トランス−2−(4−フルオロ−3−ヒドロキシフェニル)−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]プリン
1HNMR(400MHz,DMSO−d6,δppm):1.80−2.70(8H,m),3.00−3.54(1H,m),7.23(1H,d,J=7.6Hz),7.80−8.00(2H,m),8.07(1H,d,J=7.6Hz),8.86(1H,d,J=5.2Hz),9.06(1H,s),9.16(1H,s);マススペクトル(ESI):432(M+H)
【0213】
実施例41
シス−2−(4−フルオロフェニル)−8−[4’−ヒドロキシ−3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−イル]プリン
1HNMR(400MHz,CD3OD,δppm):1.94−3.42(8H,m),7.10−7.26(2H,m),7.80−7.98(1H,m),8.20−8.40(2H,m),8.80−8.96(1H,m),9.01(1H,s),9.09(1H,s);マススペクトル(ESI):432(M+H)
【0214】
参考例1
2−フェニル−4,5−ジアミノピリミジンの製造
ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイエティー(C),1408−1412(1969年)に記載されている方法にて合成した2−フェニル−4−クロロ−5−ニトロ−6−アミノピリミジン(367mg,1.46mmol)を、メタノール(3mL)、酢酸エチル(2mL)及びトリエチルアミン(0.21mL)の混合液に懸濁し、10%パラジウム炭素を(40mg)を加えた後、水素雰囲気下、室温で2時間攪拌した。反応液を濾過し、濾液を減圧下濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(C−300,クロロホルム:メタノ−ル=50:1)で精製することにより、標記化合物(175mg,64%)を茶色固体として得た。
1HNMR(300MHz,CDCl3,δppm):7.35−7.47(3H,m),7.97(1H,s),8.20−8.27(1H,m);マススペクトル(ESI):187(M+H)
【0215】
参考例2
2−フェニル−4,5−ジアミノピリミジンの製造
ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ,78,1434−1437(1956年)に記載されている方法にて合成した2−フェニル−5−ニトロピリミジン(50.1g,250mmol)のジメチルスルホキシド(1L)溶液に、ヨウ化トリメチルアンモニウムヒドラジン(106g)及びカリウム t−ブトキシド(61.5g)を加え、室温にて2.5時間撹拌した。反応液を1規定塩酸中に加え、析出した沈殿物を濾取して得た化合物を、メタノール(700mL)に溶解し、10%パラジウム炭素(8g)を加えた後、水素雰囲気下、室温で終夜攪拌した。反応液を濾過し、濾液を減圧下濃縮することにより、標記化合物(25.9g,86%)を茶色固体として得た。
【0216】
参考例3
2−フェニル−4,5−ジアミノピリミジンの製造
ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ,78,1434−1437(1956年)に記載されている方法にて合成した2−フェニル−5−ニトロピリミジン(201mg,1.00mmol)のジメチルスルホキシド(5mL)溶液に、塩化亜鉛(136mg)及びカリウム t−ブトキシド(505mg)及びO−メチルヒドロキシルアミン.一塩酸塩(125mg)を順次加え、室温にて40分間撹拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を5%重曹水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣をメタノール(8mL)に溶解し、10%パラジウム炭素(50mg)を加えた後、水素雰囲気下、室温で1時間攪拌した。反応液を濾過し、濾液を減圧下濃縮することにより、標記化合物(148mg,80%)を茶色固体として得た。
【0217】
参考例4
2,3−ジアミノ−6−(2−フルオロフェニル)ピリジンの製造
(1)6−アミノ−2−ブロモ−5−ニトロピリジンの製造
市販の2,6−ジクロロ−5−ニトロピリジン(20.0g,95.3mmol)のエタノール溶液(300mL)にアンモニア水(60mL)を加え、室温で10時間攪拌した。析出物を濾取しエタノールで洗浄後、減圧下乾燥することにより6−アミノ−2−クロロ−5−ニトロピリジン(13.8g、83%)を得た。この物を30%臭化水素の酢酸溶液(130mL)に懸濁し、100℃で26時間加熱攪拌した。反応液を室温に冷却後、減圧下濃縮し、残渣を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。得られた残渣を酢酸エチルから再結晶することにより、標記化合物(14.93g、86%)を得た。
【0218】
(2)2,3−ジアミノ−6−(2−フルオロフェニル)ピリジンの製造
6−アミノ−2−ブロモ−5−ニトロピリジン(2.0g,9.2mmol)及び2−フルオロフェニルボロン酸(2.57g,18mmol)のジメトキエタン溶液(60mL)に、2M炭酸ナトリウム水溶液(18mL)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(106mg,0.092mmol)を加え、窒素雰囲気下105℃で16時間加熱攪拌した。反応溶液を室温に冷却後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣を酢酸エチル(30mL)、メタノール(30mL)に溶解し、10%パラジウム炭素(200mg)を加え、水素雰囲気下室温で14時間攪拌した。パラジウム触媒を濾去し、濾液を減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=30:1)で精製することにより、表題化合物(1.87g,100%)を赤褐色油状物として得た。
1HNMR(300MHz,CD3OD,δppm):6.89−6.96(2H,m),7.06−7.12(1H,m),7.15−7.20(1H,m),7.25−7.30(1H,m),7.65−7.70(1H,m);マススペクトル(ESI):204(M+H)
【0219】
参考例5
3,54,5−ジアミノ−2−(4−フルオロフェニル)ピリミジンの製造
(1)2−(4−フルオロフェニル)−3,54,6−ジヒドロキシ−2−(4−フルオロフェニル)−45−ニトロピリミジンの製造
欧州特許公開EP136976号公報記載の3,54,6−ジヒドロキシ−2−(4−フルオロフェニル)ピリミジン(11g,53mmol)を、0℃で発煙硝酸(100mL)にゆっくり加え、室温まで昇温後、15時間攪拌した。反応混合物を氷水(150mL)に加え、さら更に0℃で炭酸ナトリウムを用いて中和した。生じた析出物を濾取、乾燥することで、目的物(9.2g,68%)を個体として得た。
【0220】
(2)3,54,6−ジクロロ−2−(4−フルオロフェニル)−45−ニトロピリミジンの製造
3,52−(4−フルオロフェニル)−4,6−ジヒドロキシ−5−ニトロピリミジン−ジヒドロキシ−2−(4−フルオロフェニル)−4−ニトロピリミジン(8.2g,32.6mmol)に、オキシ塩化リン(17mL)及び、N,N−ジメチルアニリン(4.21mL)を加え、3時間加熱還流した。反応液を室温に冷却後、減圧下濃縮し、残渣に氷水を加えた。析出物を濾取し水で洗浄後、乾燥することで目的物(9.0g,96%)を個体として得た。
【0221】
(3)54−アミノ−46−クロロ−2−(4−フルオロフェニル)−45−ニトロピリミジンの製造
3,54,6−ジクロロ−2−(4−フルオロフェニル)−45−ニトロピリミジン(5.0g,17.4mmol)のテトラヒドロフラン溶液(50mL)に、−50℃で28%アンモニア水(3.1mL)を原料が消失するまで加えた。同温度で反応溶液に3N塩酸(5mL)を加え、昇温後、減圧下濃縮した。残渣に水を加え、懸濁液を濾取後乾燥することで目的物(4.05g,87%)を個体として得た。
【0222】
(4)4,5−ジアミノ−2−(4−フルオロフェニル)ピリミジンの製造
4−アミノ−6−クロロ−2−(4−フルオロフェニル)−5−ニトロピリミジン5−アミノ−4−クロロ−2−(4−フルオロフェニル)−4−ニトロピリミジン(15.3g,57mmol)をメタノール(200mL)及び酢酸エチル(100mL)に溶解し、10%パラジウム炭素(2.88g)及びトリエチルアミン(12mL)を加え、水素雰囲気下18時間撹拌した。反応混合物を濾過後減圧下濃縮し、残渣に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(C−300,クロロフォルム:メタノール=20:1)で精製することにより表題化合物(7.16g,68%)を褐色固体として得た。
1HNMR(400MHz,DMSO−d6,δppm):4.83(2H,s),6.36(1H,s),7.10−7.23(2H,m),7.64(1H,s),8.11−8.22(2H,m);マススペクトル(ESI):205(M+H)
【0223】
参考例6
4,5−ジアミノ−2−(2,5−ジフルオロフェニル)ピリミジンの製造
参考例5と同様な反応を行うことにより、3,5−ジヒドロキシ−2−(2,5−ジフルオロフェニル)ピリミジン(125g)から表題化合物(59.7g)を黄色固体として得た。
マススペクトル(ESI):223(M+H)
【0224】
製剤例1
実施例6の化合物20.0g、乳糖417g、結晶セルロース80g及び部分アルファー化デンプン80gをV型混合機を用いて混合した後、ステアリン酸マグネシウム3.0gを加え混合した。混合末を常法に従い打錠し直径7.0mm、1錠の重量150mgの錠剤3000錠を得た。
一錠(150mg)あたりの含有量
実施例1の化合物5.0mg
乳糖104.25mg
結晶セルロース20.0mg
部分アルファー化デンプン20.0mg
ステアリン酸マグネシウム0.75mg
【0225】
製剤例2
ヒドロキシプロピルセルロース2910 10.8g及びポリエチレングリコール6000 2.1gを精製水172.5gに溶解した後、二酸化チタン2.1gを分散し、コーティング液を調製した。別に調製した製剤例1の錠剤2500錠にハイコーターミニを用いてコーティング液をスプレーコーティングし、重量155mgのフィルムコート錠を得た。
一錠(155mg)あたりの含有量
製剤例1の錠剤150mg
ヒドロキシプロピルセルロース2910 3.6mg
ポリエチレングリコール6000 0.7mg
二酸化チタン0.7mg
【0226】
【発明の効果】
本発明の化合物は、NPY拮抗作用を有し、例えば脳内移行性又は脳脊髄液移行性等の体内動態に優れ、また、安全性も高いため、NPYが関与する各種の疾患、例えば狭心症、急性・うっ血性心不全、心筋梗塞、高血圧、腎臓病、電解質異常、血管れん縮、動脈硬化症等の循環器系疾患、例えば過食症、うつ病、不安、痙攣、てんかん、痴呆、痛み、アルコール依存症、薬物の断薬に伴う禁断症状、概日リズムの変調、統合失調症、記憶障害、睡眠障害、認知障害等の中枢神経系疾患、例えば肥満症、糖尿病、ホルモン分泌異常、高コレステロール血症、高脂血症、痛風、脂肪肝等の代謝性疾患、例えば不妊、早産、性機能障害等の生殖系疾患、消化管系疾患、呼吸器系疾患、炎症性疾患又は緑内障等、また、例えばアテローム性動脈硬化症、性腺機能低下症、高アンドロゲン症、多嚢胞性卵巣症候群、多毛症、消化管運動障害、肥満に関連した胃食道逆流、肥満低換気症候群(ピックウィック症候群)、睡眠時無呼吸症候群、炎症、全身性脈管炎、変形性関節症、インシュリン抵抗性、気管支収縮、アルコール嗜好性、代謝異常症候群(metabolic syndrome;syndrome X)、アルツハイマー病、心肥大、左心室肥大、高トリグリセリド血症、低HDLコレステロール血症、例えば冠動脈性心疾患(CHD)、脳血管性疾患、脳卒中、末梢脈管疾患、突然死等の循環器系疾患、胆嚢疾患、癌(胸部、子宮内膜、結腸)、息切れ、高尿酸血症、生殖能障害、腰痛又は麻酔薬過敏症等の処置剤として有用である。
Claims (14)
- 一般式(I−b)
A及びCは、それぞれ窒素原子であり;
B及びDは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、水酸基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルキルスルホニル基、低級アルキルスルホニルオキシ基、−N(R1)R2で表される基及び−Q1−Ar1で表される基からなる群より選択される置換基を有していてもよいメチン基であり;
Ar1はハロゲン原子、ニトロ基、水酸基、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、ヒドロキシ低級アルキル基、シクロ低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルホニル基、カルボキシル基、低級アルカノイル基、低級アルコキシカルボニル基及び−Q2−Ar2で表される基からなる群より選択される置換基を有していてもよい、アリール基又はヘテロアリール基を意味し;
Ar2はハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、ヒドロキシ低級アルキル基、水酸基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基、低級アルキルアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基、低級アルカノイル基及びアリール基からなる群より選択される置換基を有していてもよい、アリール基又はヘテロアリール基を意味し;
Q1及びQ2は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子、カルボニル基又は−N(R3)−で表される基を意味し;
R0は水素原子又は水酸基を意味し;
R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子若しくは低級アルキル基を意味するか、
又は一緒になって、酸素原子、硫黄原子若しくはイミノ基を介していてもよい低級アルキレン基を意味し;
R3は水素原子又は低級アルキル基を意味し;
T、V及びWは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、水酸基、低級アルコキシ基及びハロ低級アルコキシ基からなる群より選択される置換基を有していてもよいメチン基を意味し;
Uは、窒素原子を意味する]で表される化合物、その塩、カルボキシル基におけるエステル又は置換部位UにおけるN−オキシド誘導体。 - T、V及びWがいずれも無置換のメチン基である請求項1記載の化合物。
- T、V及びWがハロゲン原子、低級アルキル基、水酸基及び低級アルコキシ基からなる群より選択される置換基を有するメチン基である請求項1記載の化合物。
- T、V及びWがフッ素又は水酸基を有するメチン基である請求項1記載の化合物。
- Ar1がハロゲン原子、ニトロ基、水酸基、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、ヒドロキシ低級アルキル基、シクロ低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルホニル基、カルボキシル基、低級アルカノイル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルカノイルアミノ基及び−Q2−Ar2で表される基からなる群より選択される置換基を有していてもよいフェニル基である請求項1、2又は3記載の化合物。
- Ar1がハロゲン原子、ニトロ基、水酸基、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、ヒドロキシ低級アルキル基、シクロ低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルホニル基、カルボキシル基、低級アルカノイル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルカノイルアミノ基及び−Q2−Ar2で表される基からなる群より選択される置換基を有していてもよいヘテロアリール基である請求項1、2又は3記載の化合物。
- ヘテロアリール基がピリジル基である請求項6記載の化合物。
- トランス−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1'−シクロヘキサン]−4'−イル]−2−フェニルプリン、
トランス−2−(2−フルオロフェニル)−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1'−シクロヘキサン]−4'−イル]プリン、
トランス−2−(3−フルオロフェニル)−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1'−シクロヘキサン]−4'−イル]プリン、
トランス−2−(4−フルオロフェニル)−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1'−シクロヘキサン]−4'−イル]プリン、
トランス−2−(2−クロロフェニル)−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1'−シクロヘキサン]−4'−イル]プリン、
トランス−2−(3−クロロフェニル)−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1'−シクロヘキサン]−4'−イル]プリン、
トランス−2−(4−クロロフェニル)−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1'−シクロヘキサン]−4'−イル]プリン、
トランス−2−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1'−シクロヘキサン]−4'−イル]プリン、
トランス−2−(4−メトキシフェニル)−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1'−シクロヘキサン]−4'−イル]プリン、
トランス−2−(2−メチルフェニル)−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1'−シクロヘキサン]−4'−イル]プリン、
トランス−2−(2−ジフルオロメトキシフェニル)−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1'−シクロヘキサン]−4'−イル]プリン、
トランス−2−(3−ジフルオロメトキシフェニル)−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1'−シクロヘキサン]−4'−イル]プリン、
トランス−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1'−シクロヘキサン]−4'−イル]−2−(2−トリフルオロメチルフェニル)プリン、
トランス−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1'−シクロヘキサン]−4'−イル]プリン、
トランス−2−(2,5−ジフルオロフェニル)−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1'−シクロヘキサン]−4'−イル]プリン、
トランス−2−(2−ブロモ−4−フルオロフェニル)−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1'−シクロヘキサン]−4'−イル]プリン、
トランス−2−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1'−シクロヘキサン]−4'−イル]プリン、
トランス−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1'−シクロヘキサン]−4'−イル]−2−(3−キノリル)プリン、
トランス−8−[5−フルオロ−3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1'−シクロヘキサン]−4'−イル]−2−フェニルプリン、
トランス−8−[5−フルオロ−3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1'−シクロヘキサン]−4'−イル]−2−(2−フルオロフェニル)プリン、
トランス−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−8−[5−フルオロ−3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1'−シクロヘキサン]−4'−イル]プリン、
トランス−2−(2,5−ジフルオロフェニル)−8−[5−フルオロ−3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1'−シクロヘキサン]−4'−イル]プリン、
トランス−2−(4−フルオロフェニル)−8−[7−ヒドロキシ−3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1'−シクロヘキサン]−4'−イル]プリン、
トランス−2−(4−フルオロ−2−ヒドロキシフェニル)−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1'−シクロヘキサン]−4'−イル]プリン、
トランス−2−(4−フルオロフェニル)−6−ヒドロキシ−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1'−シクロヘキサン]−4'−イル]プリン、
トランス−2−(4−ヒドロキシフェニル)−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1'−シクロヘキサン]−4'−イル]プリン、
トランス−2−(4−フルオロ−3−ヒドロキシフェニル)−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1'−シクロヘキサン]−4'−イル]プリン、
又は
シス−2−(4−フルオロフェニル)−8−[4'−ヒドロキシ−3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1'−シクロヘキサン]−4'−イル]プリンである請求項1記載の化合物。 - トランス−2−(4−フルオロフェニル)−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1'−シクロヘキサン]−4'−イル]プリンである請求項1記載の化合物。
- トランス−2−(2,5−ジフルオロフェニル)−8−[3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1'−シクロヘキサン]−4'−イル]プリンである請求項1記載の化合物。
- トランス−8−[5−フルオロ−3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1'−シクロヘキサン]−4'−イル]−2−(2−フルオロフェニル)プリンである請求項1記載の化合物。
- 一般式(V)
a及びcは、それぞれ窒素原子であり;
b及びdは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルキルスルホニル基、低級アルキルスルホニルオキシ基、−N(R1p)R2pで表される基及び−Q1p−Ar1pで表される基並びに保護されていてもよい水酸基からなる群より選択される置換基を有していてもよいメチン基であり;
Ar1pはハロゲン原子、ニトロ基、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、シクロ低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルホニル基、低級アルカノイル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルカノイルアミノ基及び−Q2p−Ar2pで表される基並びに保護されていてもよい、水酸基、ヒドロキシ低級アルキル基及びカルボキシル基からなる群より選択される置換基を有していてもよい、アリール基又はヘテロアリール基を意味し;
Ar2pはハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロ低級アルコキシ基、低級アルキルアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基、低級アルカノイル基及びアリール基並びに保護されていてもよい、ヒドロキシ低級アルキル基及び水酸基からなる群より選択される置換基を有していてもよい、アリール基又はヘテロアリール基を意味し;
Q1p及びQ2pは、それぞれ独立して、単結合、酸素原子、保護されていてもよいカルボニル基又は−N(R3)−で表される基を意味し;
R1p及びR2pは、それぞれ独立して、アミノ基若しくはイミノ基の保護基、水素原子若しくは低級アルキル基を意味するか、又は一緒になって、酸素原子、硫黄原子若しくは保護されていてもよいイミノ基を介していてもよい低級アルキレン基を意味し;
R3は水素原子又は低級アルキル基を意味する]で表される化合物と一般式(VI)
R0pは水素原子又は保護されていてもよい水酸基を意味し;
t、v及びwは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基及びハロ低級アルコキシ基並びに保護されていてもよい水酸基からなる群より選択される置換基を有していてもよいメチン基を意味し;
uは、窒素原子を意味する]で表される化合物又はその塩とを反応させ一般式(VII)
- 請求項1に記載の化合物を有効成分とする神経ペプチドY受容体拮抗剤。
- 請求項1に記載の化合物を有効成分とする過食症、肥満症又は糖尿病の処置剤。
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