JP4496035B2 - 遠心分離機 - Google Patents

Description

本発明は、遠心分離機の作業室内を殺菌あるいは滅菌処理することにより試料を感染から防止するための遠心分離機に関する。

近年、患者自身の幹細胞を用いて筋肉や神経等に分化させたり、皮膚や軟骨等の細胞を継代して増加させたり等と様々に細胞を培養することが行われており、これら細胞と培養液等とを分離する際、ある患者の細胞に他患者の細胞が混入したり、細菌やウイルス等の各種菌が感染したりすることを防止する必要がある。

従来殺菌可能な遠心分離機として、例えばロータ室内に殺菌灯を設置し紫外線を照射することにより他者の細胞や各種菌に汚染されたロータ室内部を殺菌することが行われてきた。（例えば、特許文献１参照）
特開２００１−７９４５５号

殺菌灯で殺菌処理する場合、殺菌灯の設置場所によって紫外線がロータ室内に十分に行き渡らないことがあるため殺菌処理が不十分に行えていない場所があるという問題があった。また、殺菌灯から照射される紫外線ができるだけロータ室内に十分に行き渡るようにロータ室内を鏡面加工し、ロータ室内全体を極力殺菌できるように工夫もなされているが、滅菌レベルの処理が必要な試料に対してはやはり不十分であるという問題があった。更に、従来の遠心分離機では回転駆動部分のシール機構等の観点からロータ室内全体をオートクレーブ滅菌やオゾン、ＥＯＧ等のガス殺菌や滅菌処理等を行うことが不可能であった。

本発明は、上記問題を解決しようとするものであり、ロータ室内全体のみを各種殺菌・滅菌処理し、感染を確実に防止できる遠心分離機を提供することを目的とする。

本発明は前述の課題解決のために、遠心分離する試料を保持する遠心チューブをチューブホルダーに装着し回転するロータと、該ロータを収納するロータ室と、前記ロータを回転させる回転駆動機構と、該回転駆動機構を昇降させる昇降エアシリンダと、前記回転駆動機構と昇降エアシリンダを収容するカバーとからなり、前記回転駆動機構は、前記ロータの底部に結合した回転主軸と、前記回転主軸を回転させることによりロータを回転させる回転駆動モータとを備え、前記ロータ室内には、ガスを導入するためのガス導入口と、ロータ室内からガスを排出するためのガス排出口とを備え、前記カバーの上部には、前記昇降エアシリンダによって前記回転主軸を降下させることにより前記ロータ底部と密着しロータ室内とカバー内とを隔離するためのシール部を備え、前記ロータ室内のみをガスによる殺菌・滅菌処理を行うことを可能とした遠心分離機を構成した。

ここで、遠心分離作業時に前記カバー内の汚染物をロータ室内に侵入させないようにするために、前記カバー内に吸引ポンプを装着することが好ましい。

また、前記ロータの原点位置を決めるため前記回転主軸底部に位置決め検出板と該位置決め検出板の原点位置を検知する位置決めセンサを設けることが好ましい。

上述したように本発明の遠心分離機は、前記昇降エアシリンダを操作して回転主軸を降下させることによりカバーのシール部とロータ底部が密着し、遠心分離の作業領域であるロータ室内と回転駆動等の装置部品を収納しているカバー内とを隔離することができるので、ガス導入口からオートクレーブの高温高圧スチームやオゾン等の各種ガスをロータ室内に導入することで、前記ロータ室内のみをオートクレーブやオゾン殺菌等の各種殺菌・滅菌処理を行うことができるとともに、ロータ室内からカバー内へガス流入を防止することにより高温高圧スチームやオゾン等の各種ガスからカバー内に収納された回転駆動機構や昇降エアシリンダを保護し、回転駆動機構等の部品が劣化することを防止することができる。そして、殺菌及び滅菌処理終了後は、ガス排気口からロータ室内の殺菌又は滅菌ガスを排気し、ガス排気終了後にガス導入口からエアをロータ室内に導入して、昇降エアシリンダを上昇させることで、再度遠心分離作業を行うことができる。

また、ロータの原点位置決めが行えるため、ロボットハンドでも常に同じ場所で試料容器を取り出すことができ、細胞培養等の自動化も容易となる。

図１は本発明に係る遠心分離機の主要部分の全体図であり、図２は同遠心分離機の殺菌・滅菌処理時の回転駆動機構等をシールした状態の断面図である。

１はロータで、遠心分離を行う試料の入った遠心チューブ２を保持することのできるチューブホルダー１ａを複数備えている。ロータ１はロータ室１０内に収納されており、遠心作業の一連の操作時に薬液がこぼれてもロータ室内のみの汚染に留めることができる。

また、ロータ１は中心で回転主軸１１と結合しており、回転主軸１１は下部にプーリ９ｂが取り付けられ、プーリ９ａとベルトで連結されており、プーリ９ａは回転駆動モータ９に接続されている。これにより、回転駆動モータ９が回転すると、ロータ１も回転し遠心分離を行うのである。尚、遠心操作時の振動を吸収するために、防振ゴム３が設けられている。

カバー４は、回転主軸１１や回転駆動モータ９等の回転駆動機構と、昇降エアシリンダ５と複数の昇降ガイドシャフト６を収納している。

遠心分離作業時はカバー４内の汚染物がロータ室１０内に侵入させないようにするため、さらにはＨＥＰＡ等によるクリーンエアのダウンフローの流れを確実なものとするために、カバー４内に接続された吸引ポンプでカバー４内を吸引することも好ましい。

昇降エアシリンダ５は、カバー４内に収納されている回転駆動機構とロータ室１０内に収納されているロータ１とを複数の昇降ガイドシャフト６に沿って上下に移動させることができる。

カバー４の上部にはシール部７が設けられており、図２に示すように昇降エアシリンダ５を降下させることによりロータ１底部がシール部７と密着し、ロータ室１０内とカバー４内とを隔離することができるのである。シール部７は、例えばＯリングが用いられ、高温又は各種ガスに耐えられる材質を選択する。

殺菌及び滅菌処理は、遠心分離作業終了後、遠心チューブ２をロータ室１０から取り出し、図２のように昇降エアシリンダ５を降下させ、ロータ１底部とシール部７を完全に密着させてロータ室１０内とカバー４内とを隔離し、図に示していないロータ室１０の蓋を閉めてロータ室内を密閉した状態にし、図に示していないロータ室１０の壁に備えられたガス導入口から殺菌又は滅菌ガスをロータ室１０内に導入することで実施する。尚、ロータ１底部とシール部７との密着性を高めるためにカバー４内を吸引ポンプで吸引することも好ましい。

殺菌及び滅菌処理終了後は、図に示していないロータ室１０の壁に備えられたガス排気口からロータ室１０内の殺菌又は滅菌ガスを排気し、ガス排気終了後にガス導入口からエアをロータ室１０内に導入して、昇降エアシリンダ５を上昇させることで、再度遠心分離作業を行うことができる。尚、ガス排気終了後カバー４内もエアを導入する。

ここで、カバー４やロータ室１０内の各部品及びシール部７に用いるＯリングは、殺菌・滅菌処理を行う温度、圧力、導入ガス等により、各材料の厚みや材質等を変更して対応することが可能である。

また、回転主軸１１底部に取り付けられた位置決め検出板８ａ及び位置決めセンサ８とにより、遠心チューブを決められた位置に正確に停止させることが可能である。これにより、ロボットハンドを用いて遠心チューブを自動的の取り出すことが容易となる。尚、位置決め検出板８ａは位置決めセンサ８により検出されるように、例えば切り込み等が入れられている。

本発明に係る遠心分離機の主要部分の全体図 同遠心分離機の殺菌・滅菌処理時に回転主軸を降下させてカバー上部に設けたシール部とロータ底部を密着させてシールした状態の断面図

１、ロータ
１ａ、チューブホルダー
２、遠心チューブ
３、防振ゴム
４、カバー
５、昇降エアシリンダ
６、昇降ガイドシャフト
７、シール部
８ａ、位置決め検出板
８、位置決めセンサ
９、回転駆動モータ
９ａ、９ｂ、プーリ
１０、ロータ室
１１、回転主軸

Claims (3)

1. 遠心分離する試料を保持する遠心チューブをチューブホルダーに装着し回転するロータと、該ロータを収納するロータ室と、前記ロータを回転させる回転駆動機構と、該回転駆動機構を昇降させる昇降エアシリンダと、前記回転駆動機構と昇降エアシリンダを収容するカバーとからなり、前記回転駆動機構は、前記ロータの底部に結合した回転主軸と、前記回転主軸を回転させることによりロータを回転させる回転駆動モータとを備え、前記ロータ室内には、ガスを導入するためのガス導入口と、ロータ室内からガスを排出するためのガス排出口とを備え、前記カバーの上部には、前記昇降エアシリンダによって前記回転主軸を降下させることにより前記ロータ底部と密着しロータ室内とカバー内とを隔離するためのシール部を備え、前記ロータ室内のみをガスによる殺菌・滅菌処理を行うことを可能とした遠心分離機。
2. 遠心分離作業時に前記カバー内の汚染物をロータ室内に侵入させないようにするために前記カバー内に吸引ポンプを装着した請求項１に記載の遠心分離機。
3. 前記ロータの原点位置を決めるため前記回転主軸底部に位置決め検出板と該位置決め検出板の原点位置を検知する位置決めセンサを設けてなる請求項１及び請求項２に記載の遠心分離機。

Images