JP4494618B2 - 触媒コンバータ及びその製造方法、触媒コンバータ用金属製シェル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、触媒コンバータ及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両用、特に自動車の動力源として、ガソリンや軽油を燃料とする内燃機関が百年以上にわたり用いられてきた。しかしながら、排気ガスが健康や環境に害を与えることが問題となり、それ以降は排気ガス中に含まれているCO、NOx、PM等を除去する装置である排気ガス浄化用触媒コンバータが各種提案されるに至っている。通常の排気ガス浄化用触媒コンバータは、触媒担持体と、前記触媒担持体の外周を覆う金属製シェルと、両者間のギャップに配置される保持シール材とを備えている。触媒担持体としてはハニカム状に成形したコージェライト担体が用いられており、それには白金等の触媒が担持されている。
【0003】
また最近では、石油を動力源としない次期のクリーンな動力源の研究が進められており、そのうち特に有望なものとして例えば燃料電池がある。燃料電池とは、水素と酸素とが反応して水ができる際に得られる電気を、動力源として用いるものである。酸素は空気中からじかに取り出される反面、水素についてはメタノール、ガソリン等を改質して用いている。この場合、メタノール等の改質は触媒反応によって行われる。そして、このような燃料電池にも、触媒担持体と、触媒担持体の外周を覆う金属製シェルと、両者間のギャップに配置される保持シール材とを備える燃料電池用触媒コンバータが用いられている。触媒担持体としてはハニカム状に成形したコージェライト担体が用いられており、それには銅系の触媒が担持されている。
【0004】
上記の触媒コンバータを製造する方法をここで簡単に説明しておく。
まず、セラミックファイバからなるマット材料21を打ち抜くことによって、図5に示すような形状の保持シール材22を作製する。この保持シール材22は、長手方向における一端縁に凸状合わせ部23を有し、他端縁に凹状合わせ部24を有している。
【0005】
次に、図6に示されるように、この保持シール材22を触媒担持体25の外周面25aに巻き付ける。その際、一般的には、ビニル等の有機テープ26を用いて保持シール材22の両方の巻き合わせ端同士を複数箇所にて固定する。このとき、凸状合わせ部23と凹状合わせ部24とが係合した状態となる。
【0006】
そして、パイプ状の金属製シェル27の中に、保持シール材22が巻き付けられた触媒担持体25を圧入する。その結果、触媒コンバータが完成するようになっている。
【0007】
なお、このような圧入方式のほか、例えばクラムシェル型の金属製シェルを用いたキャニング方式等もある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、保持シール材22を触媒担持体25に巻き付け固定したうえで圧入またはキャニング等を行うという製造手順では非常に作業性が悪く、このことが触媒コンバータの生産性の向上を妨げる一つの要因になっていた。
【0009】
また、巻き合わせ端に凹凸部分を有する図5の保持シール材22を作製するためには、打ち抜き金型を用いてマット材料21を打ち抜く、という面倒な作業を行う必要があった。
【0010】
さらに、触媒担持体25のサイズや断面形状が変わった場合、それに合わせて保持シール材22の打ち抜き形状を変更する必要があった。また、この場合には専用の打ち抜き金型が必要になるため、必然的に製造コストが高くなるという問題があった。
【0011】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その第1の目的は、生産性及びコスト性に優れた触媒コンバータの製造方法を提供することにある。
本発明の第2の目的は、安価であって効率よく製造することができる触媒コンバータを提供することにある。
【0012】
本発明の第3の目的は、触媒コンバータを安価にかつ効率よく製造するうえで好適な触媒コンバータ用金属製シェルを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、触媒担持体と、その触媒担持体の外周を覆う筒状の金属製シェルと、それらのギャップ間に配置されるとともに無機繊維を主成分とする保持シール材とを備える触媒コンバータを製造する方法において、前記触媒担持体の外周面に対し、前記無機繊維を含む流動状のシール材形成用材料を吹き付ける工程と、吹き付けられた前記材料を乾燥して非流動化することにより前記保持シール材を形成する工程と、前記保持シール材が形成された前記触媒担持体を前記金属製シェル内に収容する工程とを含むことを特徴とする触媒コンバータの製造方法をその要旨とする。
【0017】
請求項2に記載の発明では、触媒担持体と、その触媒担持体の外周を覆う筒状の金属製シェルと、それらのギャップ間に配置されるとともに無機繊維を主成分とする保持シール材とを備える触媒コンバータを製造する方法において、前記金属製シェルの内周面に対し、前記無機繊維を含む流動状のシール材形成用材料を吹き付ける工程と、吹き付けられた前記材料を乾燥して非流動化することにより前記保持シール材を形成する工程と、前記保持シール材が形成された前記金属製シェル内に前記触媒担持体を収容する工程とを含むことを特徴とする触媒コンバータの製造方法をその要旨とする。
【0018】
請求項3に記載の発明では、触媒担持体と、その触媒担持体の外周を覆う筒状の金属製シェルと、それらのギャップ間に配置されるとともに無機繊維を主成分とする保持シール材とを備える触媒コンバータにおいて、前記保持シール材は、前記触媒担持体の外周面に対し、前記無機繊維を含む流動状のシール材形成用材料を吹き付け、この状態で前記材料を乾燥して非流動化することにより形成されたものであるとを特徴とする触媒コンバータをその要旨とする。
【0019】
請求項4に記載の発明では、触媒担持体の外周を覆う筒状の触媒コンバータ用金属製シェルにおいて、前記金属製シェルの内周面に対し、無機繊維を含む流動状のシール材形成用材料を吹き付け、この状態で前記材料を乾燥して非流動化することにより形成された前記保持シール材を備えることを特徴とする触媒コンバータ用金属製シェルをその要旨とする。
【0021】
請求項1,2に記載の発明によると、保持シール材の形成にあたってマット材料の打ち抜き作業も巻き付け作業も不要になるため、従来に比べて生産性及びコスト性が向上する。また、無機繊維を含む流動状のシール材形成用材料を用いて形成される保持シール材の場合、触媒担持体のサイズ等の変更に容易に対応することができる。
【0024】
請求項1に記載の発明によると、流動状のシール材形成用材料を吹き付けることによって、継ぎ目のない好適な保持シール材を得ることができる。よって、ギャップ部分に高いシール性が確保することが容易となる。また、この製造方法であれば、保持シール材の形成にあたってシール材成形型も不要となるため、低コスト化に有利となる。
【0025】
請求項2に記載の発明によると、保持シール材の形成にあたってシール材成形型が不要となるため、低コスト化に有利となる。また、この製造方法によれば、シール材形成用材料が触媒担持体における外周面以外の部分に付着してしまうことが未然に回避される。
【0026】
請求項3に記載の発明によると、保持シール材の形成にあたってマット材料の打ち抜き作業も巻き付け作業も不要になることから、安価であって効率よく製造することが可能な触媒コンバータとすることができる。
【0027】
請求項4に記載の発明によると、保持シール材を巻き付けていない触媒担持体をそのまま金属製シェル内に収容すれば足りるため、この金属製シェルを用いれば触媒コンバータを極めて簡単に製造することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
[第1の実施形態]
以下、本発明を具体化した一実施形態の自動車排気ガス浄化装置用触媒コンバータを図1,図2に基づき詳細に説明する。
【0030】
図1に示される本実施形態の触媒コンバータ1は、自動車の車体において、エンジンの排気管の途中に設けられる。エンジンから触媒コンバータ1までの距離は比較的短いため、触媒コンバータ1には約700℃〜900℃の高温の排気ガスが供給されるようになっている。エンジンがリーンバーンエンジンである場合には、触媒コンバータ1には約900℃〜1000℃という、さらに高温の排気ガスが供給されるようになっている。
【0031】
図2に示されるように、本実施形態の触媒コンバータ1は、基本的に、触媒担持体2と、触媒担持体2の外周を覆う金属製シェル3と、両者2,3間のギャップに配置される保持シール材4とによって構成されている。
【0032】
前記触媒担持体2は、コージェライト等に代表されるセラミック材料を用いて作製されている。この触媒担持体2は断面円形状をした柱状部材となっている。また、触媒担持体2は、軸線方向に沿って延びる多数のセル5を有するハニカム構造体であることが好ましい。セル壁には排気ガス成分を浄化しうる白金やロジウム等の貴金属系触媒が担持されている。なお、触媒担持体2として、上記のコージェライト担体のほかにも、例えば炭化珪素、窒化珪素等のハニカム多孔質焼結体等を用いてもよい。
【0033】
前記金属製シェル3としては断面O字状の金属製円筒部材が用いられるとともに、これを用いて圧入が行われる(図1,図2参照)。なお、円筒部材を形成する金属材料としては、耐熱性や耐衝撃性に優れた金属(例えばステンレス等のような鋼材等)が選択されることがよい。
【0034】
本実施形態の保持シール材4は、耐熱性の無機繊維を主材料として形成されたものである。好適な耐熱性無機繊維としては、例えばアルミナ−シリカ系セラミックファイバ等がある。この他、例えば結晶質アルミナファイバ、シリカファイバ、ロックウール、ガラスファイバ、カーボンファイバ等を用いてもよい。なお、この保持シール材4中に有機バインダは特に含まれていない。
【0035】
次に、触媒コンバータ1を製造する手順を説明する。
まず、無機繊維を含む流動状のシール材形成用材料M1をあらかじめ作製しておく。具体的には、無機繊維及び少量のバインダを水等の溶媒に分散させ、これを噴射を行うのに適した粘度のスラリーに調製しておく。
【0036】
次いで、金属製シェル3内に触媒担持体2を収容する。このとき、金属製シェル3の内周面3aと触媒担持体2の外周面2aとの間にできるギャップが一定の大きさになるよう、両者の中心軸線を位置合わせしておくことがよい。なお、金属製シェル3及び触媒担持体2は、ともに垂直に立てるようにして配置しておくことがよい。その理由は、次工程においてシール材形成用材料M1の充填を行うときに水切れがよくなり、好都合だからである。また、充填時に金属製シェル3内の触媒担持体2がズレにくくなるからである。
【0037】
続いて、充填装置のノズル11から流動状のシール材形成用材料M1を噴射させ、ギャップ内の全域に流動状のシール材形成用材料M1を充填する。その結果、触媒担持体2の外周面2a及び金属製シェル3の内周面3aに対し、シール材形成用材料M1が付着した状態となる。この場合、前記材料M1はこの時点では流動性を有しているため、ギャップ内の各所に隈なく行き渡ることができる。
【0038】
上記工程において前記材料M1を均一にかつ確実に充填するために、ノズル11を触媒担持体2の外周に沿って移動させることが好ましい。もっとも、ノズル11の移動に代えて金属製シェル3側を回転させながら充填を行ってもよいほか、ノズル11等を何ら移動させずに充填を行っても勿論構わない。
【0039】
また、図2に示されるように、触媒担持体2の下端面側に、上面に金属製のメッシュ13を備える下治具12を配置しておくことが好ましい。従って、下治具12を配置すると、メッシュ13がギャップにおいてシール材形成材料供給側と反対側の開口に位置した状態となる。このメッシュ13は、前記材料M1中の溶剤の通過を許可する濾過部材としての役割を果たす。別の言い方をすると、このメッシュ13は、前記材料M1中の繊維分の漏れ出しを阻止する繊維通過阻止部材としての役割を果たす。なお、触媒担持体2の上端面側に、シール材形成用材料M1の上端面への付着を回避するためのマスクとして、上治具14を配置しておくことがよい。
【0040】
また、上記工程においては、保持シール材4の嵩密度を高くするために、充填された前記材料M1に押圧力を付加して圧搾するようにしてもよい。
次いで、充填された前記材料M1を乾燥して溶剤を完全に飛ばすことにより、前記材料M1を非流動化させる。その結果、ギャップを埋める所望の保持シール材4が形成される。乾燥は自然乾燥であってもよいほか、熱風等を用いた強制乾燥であってもよい。強制乾燥を行えば、自然乾燥の場合に比べて乾燥に要する時間が短縮されるため、よりいっそう生産性の向上を図ることができる。
【0041】
上記の結果、所望の触媒コンバータ1が完成するようになっている。
ここで、乾燥後における保持シール材4の嵩密度(GBD)は、0.1g/cm3〜0.6g/cm3、さらには0.2g/cm3〜0.4g/cm3であることが好ましい。充填密度が小さすぎると、発生面圧が低下することにより触媒担持体2を確実に保持できなくなるおそれがあるからである。一方、充填密度を大きくしようとすると、充填時または充填後に前記材料M1の極度の圧搾を行う必要があり、場合によっては生産性が低下するおそれがあるからである。
【0042】
従って、本実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態の触媒コンバータ1の製造方法は、金属製シェル3内に触媒担持体2を収容する工程と、ギャップへの材料充填工程と、材料乾燥工程とからなる。従って、保持シール材4の形成にあたってマット材料の打ち抜き作業も巻き付け作業も不要になる。このため、従来に比べて生産性及びコスト性が向上する。
【0043】
より具体的にいうと、マット材料の打ち抜きという面倒な作業が不要になる結果、作業性が向上し、ひいては触媒コンバータ1の生産性が向上する。しかも、マット材料の打ち抜きによる材料ロスの発生がなくなる結果、保持シール材4の製造コストの高騰が回避され、ひいては触媒コンバータ1の生産性が向上する。また、保持シール材の巻き付けという面倒な作業が不要になる結果、作業性が向上し、ひいては触媒コンバータ1の生産性が向上する。そして、マット材料を所定形状に打ち抜くための専用の打ち抜き金型が不要になる結果、高価な金型代を削減することができ、ひいては触媒コンバータ1のコスト性が向上する。
【0044】
また、無機繊維を含む流動状のシール材形成用材料M1を用いて形成される保持シール材4の場合、あらかじめ所定形状に保持シール材を打ち抜いておく必要がないため、触媒担持体2のサイズ等の変更に容易に対応することができる。
【0045】
(2)本実施形態の製造方法によると、金属製シェル3内に触媒担持体2を収容した状態でギャップに流動状のシール材形成用材料M1を充填することを特徴とする。ゆえに、充填された流動状のシール材形成用材料M1がギャップ内に隈なく行き渡ることができ、継ぎ目のない好適な保持シール材4を得ることができる。よって、従来の打ち抜き構造の保持シール材を用いた場合に比べて、ギャップ部分に高いシール性を確保することが容易となる。
【0046】
(3)しかも、上記の製造方法によれば、触媒担持体2を圧入等により収容する作業を完全に省略することができるため、生産性を確実に向上させることができる。また、無理な圧入を行う必要がなくなるため、繊維が折損して外部に飛散するといった事態も未然に回避することができる。
【0047】
(4)また、上記の製造方法であると、実質的に金属製シェル3自体がシール材成形型の役目を果たすので、専用の型が別個に要らないという利点がある。よって、全体の工数の低減及びさらなる低コスト化を達成することができる。
【0048】
(5)本実施形態の製造方法により得られた触媒コンバータ1は、安価であって効率よく製造可能であることに加え、担持体保持性やシール性等の基本的性能にも優れている。従って、触媒担持体2のガタ付きや破損が起こりにくく、しかもギャップ部分からの排気ガスのリークも起こりにくいものとなっている。
【0049】
(6)本実施形態の製造方法では、ギャップにおいてシール材形成材料供給側と反対側の開口に、濾過部材及び繊維通過阻止部材としてのメッシュ13を配置した状態で充填を行っている。従って、前記材料M1中の繊維分のみを確実にかつ効率よく充填することができ、保持シール材4の高密度化を達成することができる。
【0050】
(7)本実施形態の製造方法では、触媒担持体2の上端面にマスクとして上治具14を配置し、この状態で充填を行っている。従って、触媒担持体2の上端面に前記材料M1が付着しなくなり、付着した材料M1を除去する修正作業が不要になる。このため、確実に生産性の向上が達成される。しかも、触媒担持体2の上端面に前記材料M1が付着することにより、セル5が目詰まりするようなことも未然に防止される。
[第2の実施形態]
次に、本発明を具体化した実施形態2を図3に基づいて説明する。ここでは実施形態1と相違する点を主に述べ、共通する点については同一部材番号を付すのみとしてその説明を省略する。
【0051】
この実施形態では、まず、金属製シェル3内に収容する前の触媒担持体2の外周面2aに対し、流動状のシール材形成用材料M1を吹き付けることにより、外周面2aに前記材料M1を付着させる。なお、前記材料M1は、あらかじめ吹き付けに適した濃度、粘度に調製される必要がある。
【0052】
この場合、図3に示されるように、ノズル11を用いて前記材料M1の吹き付け工程を行うことがよい。上記工程において前記材料M1を均一に吹き付けるために、ノズル11を触媒担持体2の外周に沿って移動させることが好ましい。もっとも、ノズル11の移動に代えて触媒担持体2側を回転させながら吹き付けを行ってもよい。なお、吹き付けの完了後に前記材料M1の表面を掻き取る均平化処理を行い、前記材料M1の厚さを一定にすることがよい。なお、上記工程においては、シール材形成用材料M1の付着を回避するためのマスクとして、触媒担持体2の端面に実施形態1にて用いたような上治具14を配置しておくことがよい。
【0053】
次いで、吹き付けられた前記材料M1を乾燥して非流動化することにより、外周面2aの全域に所定厚さの保持シール材4を形成する。この時点での保持シール材4の厚さは、触媒担持体2と金属製シェル3とがなすギャップの1.1倍〜4.0倍程度、さらには1.5倍〜3.0倍程度に設定されることが望ましい。前記厚さが1.1倍未満であると、高い担持体保持性を得ることができず、触媒担持体2が金属製シェル3に対してズレたりガタついたりするおそれがある。勿論、この場合には高いシール性も得られなくなるため、ギャップ部分からの排気ガスのリークが起こりやすくなる。また、前記厚さが4.0倍を超えると、特に圧入方式を採用した場合には、触媒担持体2の金属製シェル3への配置が困難になってしまう。よって、組み付け性の向上を達成できなくなるおそれがある。
【0054】
また、この時点における保持シール材4の嵩密度(GBD)は、0.05g/cm3〜0.4g/cm3、さらには0.1g/cm3〜0.2g/cm3であることが好ましい。嵩密度が小さすぎると、発生面圧が低下することにより触媒担持体2を確実に保持できなくなるおそれがあるからである。一方、嵩密度が大きすぎると、組み付け作業が困難になるおそれがあるほか、繊維が折損して外部に飛散するおそれもあるからである。
【0055】
続いて、保持シール材4が形成された触媒担持体2を、圧入やキャニング等の方法によって金属製シェル3内に収容する。その結果、所望の触媒コンバータ1が完成する。
【0056】
以上述べたように、本実施形態の触媒コンバータ1の製造方法は、触媒担持体2の外周面2aに対し流動状のシール材形成用材料M1を吹き付ける工程を行った後、材料乾燥工程及び担持体収容工程とを行うことを特徴とする。従って、保持シール材4の形成にあたってマット材料の打ち抜き作業も巻き付け作業も不要になる。このため、従来に比べて生産性及びコスト性が向上する。
【0057】
しかも、流動状のシール材形成用材料M1を吹き付けるこの製造方法によれば、継ぎ目のない好適な保持シール材4を得ることができる。よって、ギャップ部分に高いシール性が確保することが容易となる。また、保持シール材4の形成にあたってシール材成形型が不要であるため、低コスト化に有利である。
[第3の実施形態]
次に、本発明を具体化した実施形態3を図4に基づいて説明する。ここでは実施形態1と相違する点を主に述べ、共通する点については同一部材番号を付すのみとしてその説明を省略する。
【0058】
ここでは、実施形態1にて例示した圧入方式に代えて、いわゆるキャニング方式を採用している。従って、金属製シェル3として、断面O字状の金属製円筒部材を軸線方向に沿って複数片に分割したもの、即ちクラムシェルタイプの金属製シェルが用いられている。
【0059】
本実施形態では、まず、金属製シェル3を開いた状態にして内周面3aを露出させておくとともに、その内周面3aに対して流動状のシール材形成用材料M1をノズル11を用いて吹き付ける。これにより、内周面3aの全域に前記材料M1を付着させる。なお、金属製シェル3の開口端に位置するフランジ部については、前記材料を付着させなくてもよい。
【0060】
次いで、吹き付けられた前記材料M1を乾燥して非流動化することにより、所定厚さの保持シール材4を内周面3aに形成するとともに、前記金属製シェル3内に触媒担持体2を収容する。その後、開口端を合わせた状態でフランジ部同士を溶接、接着、ボルト締め等によって接合する。その結果、所望の触媒コンバータ1が完成する。
【0061】
以上述べたように、本実施形態の触媒コンバータ1の製造方法は、金属製シェル3の内周面3aに対して流動状のシール材形成用材料M1を吹き付ける工程を行った後、材料乾燥工程及び担持体収容工程とを行うことを特徴とする。従って、保持シール材4を巻き付けていない触媒担持体2をそのまま金属製シェル3内に収容すれば足りる。そのため、この金属製シェル3を用いれば触媒コンバータ1を極めて簡単に製造することができる。
【0062】
また、本実施形態ではクラムシェルタイプの金属製シェル3を用いているため、その内周面3aにシール材形成用材料M1を簡単にかつ確実に付着させることができる。よって、圧入用のパイプ状金属製シェル3を選択した場合に比べて、保持シール材4を比較的容易に形成することができ、ひいては触媒コンバータ1の生産性の向上を確実に達成することができる。
【0063】
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
・ 材料吐出手段は、前記各実施形態において例示したノズル11に代表される噴射手段に限定されることはなく、例えば単なるディスペンサやシリンジ等のようなものであってもよい。そして、このような非噴射型の材料吐出手段を用いた場合、例えば実施形態1においては、ギャップ内にシール材形成用材料M1を垂らすようにして充填してもよい。また、実施形態3においては、金属製シェル3の内周面3aにシール材形成用材料を垂らして付着させてもよい。
【0064】
・ 無機繊維を含むスラリーの吹き付けや充填を行うことに代えて、無機繊維を含むペーストの充填を行ってもよい。即ち、シール材形成用材料M1は流動性を有するものであれば何でもよく、特に限定されるものではない。
【0065】
・ クラムシェルタイプに代えてパイプ状の金属製シェル3を用い、実施形態3のようなシール材形成用材料M1の吹き付けを行ってもよい。
・ 実施形態1において触媒担持体2の端面をマスクする上治具14や下治具12は特に必須ではなく、不要であれば省略しても勿論構わない。
【0066】
・ 実施形態1において用いたメッシュ13は特に必須ではなく、同様の機能を有する別のものに変更してもよく、さらに不要であれば省略してもよい。
・ 触媒担持体2の断面形状は図1等のような真円状に限定されることはなく、例えば楕円状や長円状等であってもよい。この場合、金属製シェル3の断面形状も、それに合わせて楕円状や長円状等に変更することがよい。
【0067】
・ 以下のような手順で触媒コンバータ1を製造することも可能である。まず、触媒保持体2よりも一回り大きいシール材成形型を用意するとともに、その内に触媒担持体2を収容する。次いで、シール材成形型と触媒担持体2との間にできるギャップに、無機繊維を含む流動状のシール材形成用材料M1を充填する。その後、充填された前記材料M1を乾燥して非流動化し、触媒担持体2の外周面2aに保持シール材4を形成する。この後、型抜きを行って触媒担持体2を取り出すとともに、これを金属製シェル3内に収容する。
【0068】
・ 実施形態では本発明を自動車排気ガス浄化装置用触媒コンバータ1に具体化したが、それに限定されることはなく、例えばディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)や燃料電池改質器用触媒コンバータ等として具体化することも勿論許容される。
【0069】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想をその効果とともに以下に列挙する。
(1) 請求項1または2において、前記流動状のシール材形成用材料を吹き付ける工程は材料吐出手段を用いて行われること。
従って、この技術的思想1に記載の発明によれば、所望の箇所に対して前記材料を確実に吹き付けることができる。
【0070】
(2) 請求項1,2、技術的思想1のいずれか1つにおいて、前記流動状のシール材形成用材料を吹き付ける工程の際、前記ギャップにおいて前記シール材形成材料供給側と反対側の開口に、前記材料中の溶剤の通過を許可する濾過部材を配置しておくこと。従って、この技術的思想2に記載の発明によれば、より少ない材料を用いて効率よく保持シール材形成作業を行うことができる。
【0071】
(3) 請求項1,2、技術的思想1のいずれか1つにおいて、前記流動状のシール材形成用材料を吹き付ける工程の際、前記ギャップにおいて前記シール材形成材料供給側と反対側の開口に、前記材料中の繊維分の漏れ出しを阻止する繊維通過阻止部材を配置しておくこと。従って、この技術的思想3に記載の発明によれば、より少ない材料を用いて効率よく保持シール材形成作業を行うことができる。
【0072】
(4) 請求項1,2、技術的思想1,2のいずれか1つにおいて、前記流動状のシール材形成用材料を吹き付ける工程の際、前記触媒担持体の端面をマスクしておくこと。従って、この技術的思想4に記載の発明によれば、シール材形成用材料の端面への付着を回避することができる。
【0073】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1,2に記載の発明によれば、生産性及びコスト性に優れた触媒コンバータの製造方法を提供することができる。
【0074】
請求項3に記載の発明によれば、安価であって効率よく製造することができる触媒コンバータを提供することができる。
請求項4に記載の発明によれば、触媒コンバータを安価にかつ効率よく製造するうえで好適な触媒コンバータ用金属製シェルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した第1実施形態の触媒コンバータの製造方法を説明するための斜視図。
【図2】同じく第1実施形態の触媒コンバータの断面図。
【図3】第2実施形態の触媒コンバータの製造方法を説明するための斜視図。
【図4】第3実施形態の触媒コンバータの製造方法を説明するための斜視図。
【図5】従来例の触媒コンバータの製造方法に用いられる保持シール材の斜視図。
【図6】従来例の触媒コンバータの製造方法を説明するための斜視図。
【符号の説明】
1…触媒コンバータ、2…触媒担持体、2a…触媒担持体の外周面、3…金属製シェル、3a…金属製シェルの内周面、4…保持シール材、M1…シール材形成用材料。
Claims (4)
- 触媒担持体と、その触媒担持体の外周を覆う筒状の金属製シェルと、それらのギャップ間に配置されるとともに無機繊維を主成分とする保持シール材とを備える触媒コンバータを製造する方法において、
前記触媒担持体の外周面に対し、前記無機繊維を含む流動状のシール材形成用材料を吹き付ける工程と、吹き付けられた前記材料を乾燥して非流動化することにより前記保持シール材を形成する工程と、前記保持シール材が形成された前記触媒担持体を前記金属製シェル内に収容する工程とを含むことを特徴とする触媒コンバータの製造方法。 - 触媒担持体と、その触媒担持体の外周を覆う筒状の金属製シェルと、それらのギャップ間に配置されるとともに無機繊維を主成分とする保持シール材とを備える触媒コンバータを製造する方法において、
前記金属製シェルの内周面に対し、前記無機繊維を含む流動状のシール材形成用材料を吹き付ける工程と、吹き付けられた前記材料を乾燥して非流動化することにより前記保持シール材を形成する工程と、前記保持シール材が形成された前記金属製シェル内に前記触媒担持体を収容する工程とを含むことを特徴とする触媒コンバータの製造方法。 - 触媒担持体と、その触媒担持体の外周を覆う筒状の金属製シェルと、それらのギャップ間に配置されるとともに無機繊維を主成分とする保持シール材とを備える触媒コンバータにおいて、
前記保持シール材は、前記触媒担持体の外周面に対し、前記無機繊維を含む流動状のシール材形成用材料を吹き付け、この状態で前記材料を乾燥して非流動化することにより形成されたものであることを特徴とする触媒コンバータ。 - 触媒担持体の外周を覆う筒状の触媒コンバータ用金属製シェルにおいて、
前記金属製シェルの内周面に対し、無機繊維を含む流動状のシール材形成用材料を吹き付け、この状態で前記材料を乾燥して非流動化することにより形成された前記保持シール材を備えることを特徴とする触媒コンバータ用金属製シェル。
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