JP4493814B2 - 硬化性樹脂から成る着色造形物の製造方法および製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬化性樹脂から成る着色造形物の製造方法および当該着色造形物を製造するための造形装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光造形法により作成する造形物、即ち、光硬化性樹脂へのレーザ光照射による積層造形により作成する造形物への着色は、上記樹脂自身が本来持っている色(通常、半透明色)によって大きな制約を受ける。そのため、従来にあっては一連の積層造形が終了した後、完成した造形物に着色剤を添加する方法が採用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来の着色方法においては、着色剤を上記造形物に添加するためにかなり大掛かりな設備を必要とする。そのうえ、着色対象が複雑な形状を有する造形物である場合や、上記と同様に複雑な形状を有する造形物が着色対象であって、しかも、多数の着色剤を用いる多色添加を行う場合等には、上記従来の設備では、添加作業自体が困難であったり、形状的に着色不能な部位が生じたりする問題がある。
【0004】
そこで上記に鑑みて、上述した光造形法、即ち、レーザ光照射による光硬化性樹脂の硬化法により各層が形成される毎に、それら各層の上面に着色剤を添加する方法が試みられている。この方法で添加した造形物は、図1に示すように、上記光硬化性樹脂により形成した各層11〜1nの厚みhに比較して着色剤により形成した塗布膜31〜3nの厚みh´が極端に薄いが、上面から見たときには着色剤の色を上記造形物の色として視認できる。しかし、側面から上記造形物を見たときには、上記のように塗布膜31〜3nの厚みh´が極端に薄いため、着色剤の色ではなく上記樹脂自身が本来持っている色(通常、半透明色)が、上記造形物の色として視認される。よって、確実な着色効果が得られないという問題が生じるので、上記着色剤添加方法は有効とは言えない。
【0005】
従って本発明の目的は、硬化性樹脂から成る造形物への着色において、単一の着色剤による単色添加は勿論、多数の着色剤による多色添加を行う場合でも、添加作業が確実に行え、しかも確実な着色効果を得られるようにすることにある。
【0006】
また、本発明の他の目的は、硬化性樹脂から成る造形物への着色において、それほど大掛かりな設備を用いなくても、添加作業が確実に行え、しかも確実な着色効果を得られるようにすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の製造方法および造形装置により得られる着色造形物は、硬化性樹脂を積層造形して成形した複数の層を備えるもので、複数の層のうちの少なくとも1層が、着色剤を添加していない無着色領域と着色剤を添加して形成した着色領域とを有し、その着色領域が、着色剤の色を、完成した着色造形物の全ての方向から識別可能な態様で形成されている。
【0008】
上記構成によれば、着色領域が、上記の着色剤の色を、完成した着色造形物の全ての方向から識別可能な態様で形成されているので、確実な着色効果を得られるようにすることができる。
【0009】
本発明の好適な実施形態では、硬化性樹脂として、光硬化性樹脂を用いる。上述した着色剤には、例えば、陶器用顔料を用いた揮発性インク、紫外線を受けて発色する無色の微細な粉末状の染料、顔料又は染料を原料としたインクを液相状の硬化性樹脂に混ぜたもの、顔料又は染料を硬化性樹脂以外の液相状の溶剤に混ぜた、硬化性樹脂と親和性を有するもの、着色繊維又はカラービーズを液相状の硬化性樹脂に混ぜたもの、着色繊維又はカラービーズを硬化性樹脂以外の液相状の溶剤に混ぜた、硬化性樹脂と親和性を有するもののいずれかが用いられる。
【0010】
本発明は、硬化性樹脂を積層造形して成形した複数の層を備え、複数の層のうちの少なくとも1層が、着色剤を添加していない無着色領域と着色剤を添加して形成した着色領域とを有する着色造形物の製造方法に係るものである。
【0011】
すなわち、本発明は、硬化性樹脂を積層造形して成形した複数の硬化樹脂層を備え、前記複数の硬化樹脂層のうちの少なくとも1層が着色剤を添加して形成した着色領域を有する硬化樹脂層である着色造形物の製造方法であって、着色剤を添加して形成した着色領域を有する前記した硬化樹脂層の形成を、着色領域となる領域の輪郭線に沿って所定幅の領域を硬化することにより硬化した外周壁を形成する工程と、前記硬化した外周壁内の液相状の未硬化の領域に着色剤を添加する工程と、前記着色剤を添加した領域を硬化する工程を含む方法により行なうことを特徴とする着色造形物の製造方法である。
【0012】
本発明の製造方法の好適な実施態様では、着色剤を添加する工程の前に、着色される領域内を仕切る部位を所定幅だけ硬化することにより隔離壁を形成する工程を有する。また、上述した着色領域は、フィードバック補正されるパルス信号により変位する添加機構を用いて、所定の距離間隔で所定量の着色剤を添加することにより形成される。着色剤の添加工程は、上記着色される領域における液相状の硬化性樹脂の除去工程と、硬化性樹脂を除去した後の上記領域に、着色剤を添加する工程とを含んでいる。また、複数色の着色剤による上述した着色される領域への添加は、予め決められた優先順位に基づいて、優先順位の高い色の着色剤から順に添加されることによって行われる。これは、多色添加による着色領域の減少を防止するためと、各色の識別をし易くするために行われるものである。
【0013】
さらに、本発明は、硬化性樹脂を積層・硬化する工程を繰り返して着色造形物を製造する造形装置であって;
少なくとも1つの硬化樹脂層の形成時に、着色領域となる領域の輪郭線に沿って所定幅の領域を硬化させて硬化樹脂からなる外周壁を形成する機構;
前記外周壁内の未硬化の領域に着色剤を添加する機構;および、
着色剤を添加した前記領域を硬化させる機構;
を備えることを特徴とする、硬化性樹脂を積層造形して成形した複数の硬化樹脂層を備え、前記複数の硬化樹脂層のうちの少なくとも1層が着色剤を添加して形成した着色領域を有する硬化樹脂層である着色造形物を製造するための造形装置を包含する。
本発明の前記した造形装置は、液相状の硬化性樹脂を積層造形して所望の造形物を成形するもので、液相又は粉末状の着色剤を、液相状の硬化性樹脂に添加するための少なくとも水平方向に変位自在な添加機構を備える。
【0014】
本発明の造形装置に係る好適な実施形態では、上記添加機構として、例えばその軸方向に沿って伸びる第1の着色剤供給孔と、軸方向に直交する第2の着色剤供給孔とを有する針状機構が採用される。この針状機構は、液相状の硬化性樹脂中への挿入と硬化性樹脂中での3次元方向の変位とが自在な強度及び形状を有する。
【0015】
ここで、着色造形を実現するための装置について説明する。上記装置としては、例えばディスペンサをXYプロッタのような2次元方向への変位が自在な位置決め/移動機構に担持した構成のものや、ロボットアームのような3次元方向への変位が自在な位置決め/移動機構に担持した構成のものが使用される。また、上記装置として、汎用タイプのインクジェットプリンタのヘッドのような、マルチノズル(針状部材を有していないもの)をXYプロッタ、或いはロボットアーム等で担持した構成のものも使用される。位置決め/移動機構にXYプロッタを用いた場合には、例えば標準的なXYテーブルに基づいて上記装置各部の制御が行われ、XYプロッタに代えてロボットアームを用いたときには、例えば標準的なXYZテーブルに基づいて上記装置各部が制御される。いずれにしても、上記装置は、ここで説明した構成のものに限定されるものではない。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面により詳細に説明する。
【0017】
図2は、本発明の一実施形態に係る光硬化性樹脂から成る着色造形物の一実施例を示す断面図である。
【0018】
上記着色造形物は、光硬化性樹脂を積層造形して構成するもので、その全体形状は特定の形状に限定されず、また、上方或いは下方から見た形状についても、矩形(方形)や、円形や、楕円形等種々のものが想定され得る。上記着色造形物は、図2に示すように、最上層51及び最下層5nが、未着色の光硬化性樹脂から成る層(通常層)であり、最上層51と最下層5nとの間に積層した複数の層が、夫々着色した光硬化性樹脂から成る層(着色層)52〜5n−1である。
【0019】
通常層51、5nは、共に着色剤(即ち、各種のカラーインク、例えば陶器用顔料を用いた揮発性インクのようなもの)から成る塗布膜の保護や、硬化物である上記着色造形物の強度低下を防止するために設けられる。通常層51、5nは、硬化工程(未硬化の光硬化性樹脂、即ち、液相状の光硬化性樹脂にレーザ光を照射して硬化させる工程)だけで形成されるもので、夫々所定(N層分)の厚みを有する。
【0020】
図3は、図2に示した着色層52〜5n−1のうちの、最上部に位置する着色層52、及び最下部に位置する着色層5n−1として用いられる着色層を示す斜視図である。
【0021】
これらの着色層52、5n−1は、上記着色造形物の上面及び下面から被着した色を視認できるようにするもので、夫々外枠(外周壁)と称する非着色領域Aと、外周壁により囲まれた所謂池と称する領域に形成する着色領域Bとを有する。上記非着色領域Aは、通常層(51、5n)と同様に、上述したような硬化工程だけで形成される。
【0022】
一方、上記着色領域Bは、上記非着色領域Aの硬化時にはレーザ光が照射されずに未硬化状態(つまり、液相状態)を保持し、その未硬化状態の領域に、着色剤を添加する工程(着色工程)を実施した後、その領域に上記と同様の硬化工程を実施することにより形成される。未硬化状態の領域を着色した後に硬化させる処理は、当該層の上面への次層形成に悪影響を及ぼさないための処理として実行される。なお、上記着色領域Bとなる未硬化状態の領域へのカラーインク等による着色は、例えば2軸(XY)ロボットアーム(図示しない)の先端に取付けた添加機構であるディスペンサ(図示しない)の針先部7から上記未硬化状態の領域にカラーインクを垂らすことにより行われる。
【0023】
図4は、図2に示した着色層52〜5n−1のうちの、着色層52、5n−1の間に挟まれる残り全ての層(つまり、着色層53〜5n−2)として用いられる着色層を示す斜視図である。
【0024】
これらの着色層53〜5n−2は、上記着色造形物の側面から被着した色を視認できるようにするためのもので、夫々外周壁と称する外郭側の非着色領域Cと、外周壁の内周側に沿って全周に亘り形成した所定幅の所謂溝と称する領域に形成する着色領域Dと、溝の内側に位置する内郭側の非着色領域Eとを有する。上記外郭側及び内郭側の非着色領域(C、E)は、共に上述した通常層(51、5n)と同様の硬化工程だけで形成される。
【0025】
一方、上記着色領域Dは、図3の着色層(52、5n−1)と同様、上記外郭側及び内郭側の非着色領域(C、E)の硬化時にはレーザ光が照射されずに未硬化状態を保持し、その未硬化状態の領域に着色工程を実施した後、その領域に上記と同様の硬化工程(次層形成に支障を来さない処理)を実施することにより形成される。なお、上記着色領域Dとなる未硬化状態の領域へのカラーインク等による着色は、上記と同様のディスペンサ(図示しない)の針先部7から上記未硬化状態の領域にカラーインクを垂らすことにより行われる。
【0026】
上記構成の着色造形物は、以下のような過程を経て作成される。
【0027】
まず、レーザ光を、未硬化状態(液相状態)にある非着色の光硬化性樹脂に照射することにより、その光硬化性樹脂を硬化させ、最下層5nとしてのN層分の厚みを持った通常層を形成する。次に、最下層5nの上面に、液相状の光硬化性樹脂を所定の厚みで塗布すると共に、図2で示した着色層5n−1を形成すべく、外壁に対応する領域のみにレーザ光
を照射して硬化し、非着色領域Aとする。これにより、上記最下層5nの上面に塗布された液相状の光硬化性樹脂が、硬化した非着色領域Aと、未硬化状態(液相状態)にある池、即ち、カラーインクの塗布により着色された後に硬化される領域(上述した着色領域B)とに区分される。この池は、上記着色造形物の積層造形に影響を与えることがないような大きさ(寸法)、形状に設定されるものとする。
【0028】
このようにして、液相状の上記光硬化性樹脂を、硬化した非着色領域Aと、未硬化状態の池とに区分した後、未硬化状態にある上記池に、上記ディスペンサ(図示しない)の針先部7から着色剤としてのカラーインクを垂らす。このカラーインクには、液相状の光硬化性樹脂に対し極めて親和性の良好なものを使用するのが望ましい。本実施例では、上記カラーインクとして、赤(R)、青(B)、黄(Y)、及び黒(B)の4色を用いるものとする。
【0029】
上記カラーインクを池に垂らすことにより、上述した親和性によって上記カラーインクが未硬化状態にある光硬化性樹脂に拡散し、その結果として池全体にカラーインクが添加されることになる。このようにして、未硬化状態にある光硬化性樹脂(つまり、池)にカラーインクを添加した後、その池にレーザ光を照射することにより、上記着色領域Bになる領域を上記非着色領域Aにおけると同程度の硬度まで硬化させる。これにより、上記池を覆っているカラーインクによる面状の塗布膜から一定の厚みを持つブロック状の塗布膜が生成される。
【0030】
なお、光硬化性樹脂がカラーインクを混入した液相状態になっている上記領域(池)を、非着色領域Aの硬度と同程度の硬度にまで硬化して着色領域Bに形成するには、非着色領域Aを硬化したときのエネルギーと同一大きさのエネルギーのレーザ光を照射しただけでは不充分な場合がある。このような場合には、上記液相状態の領域(即ち、着色領域Bになる領域)に投入する光エネルギーを増加させる手段として、例えばレーザ光照射における露光時間を長く設定する方法や、レーザ光照射において多重に露光する方法等の特別な硬化方法を採用する必要がある。
【0031】
このようにして、カラーインクを添加した液相状態の領域を硬化させて着色領域Bを形成することにより、上記着色層5n−1の上面への次層(つまり、着色層5n−2)形成を支障なく行うことが可能になる。
【0032】
次に、上記着色層5n−1の上面に光硬化性樹脂を所定の厚みで添加すると共に、図2で示した着色層5n−2を形成すべく、外壁、及び内郭に対応する領域にレーザ光を照射して硬化し、外郭側の非着色領域C、及び内郭側の非着色領域Eとする。これにより、上記着色層5n−1の上面に塗布された光硬化性樹脂が、硬化した非着色領域C、Eと、未硬化状態にある溝、即ち、上述した着色領域Dになる領域とに区分される。この溝も上記池と同様に、上記着色造形物の積層造形に影響を与えることがないような大きさ(寸法)、形状に設定されるものとする。
【0033】
このようにして、上記光硬化性樹脂を、硬化された非着色領域C、Eと、未硬化状態の溝とに区分した後、未硬化状態にある上記溝に、上記ディスペンサ(図示しない)の針先部7から着色剤として、上記と同様に光硬化性樹脂に対し極めて親和性の良好なカラーインクを垂らす。これにより、上記親和性によって上記カラーインクが未硬化状態にある光硬化性樹脂に拡散し、その結果として溝全体にカラーインクが添加されることになる。このようにして、未硬化状態にある光硬化性樹脂(つまり、溝)にカラーインクを添加した後、その溝にレーザ光を照射することにより、上記着色領域Dになる領域を上記非着色領域C、Eにおけると同程度の硬度まで硬化させる。これにより、上記溝を覆っているカラーインクによる面状の塗布膜から、一定の厚みを持つブロック状の塗布膜が生成される。着色領域Dになる領域を硬化させる場合にも、上記と同様に、非着色領域C、Eを硬化したときのエネルギーと同一大きさのエネルギーのレーザ光を照射したのでは、着色領域Dの硬度を非着色領域C、Eの硬度と同程度の硬さにすることができない場合がある。
【0034】
このような場合には、着色領域Dになる領域へのレーザ光照射に際しても、上記着色領域Bになる領域へのレーザ光照射におけると同様な、露光時間を長く設定する方法や、多重に露光する方法等の特別な硬化方法を採用することによって、未硬化状態の領域(つまり、着色領域D)に投入する光エネルギーを増加させる工夫が必要とされる。
【0035】
このようにして、カラーインクを添加した液相状態の領域を硬化させて着色領域Dを形成することにより、上記着色層5n−2の上面への次層形成を支障なく行うことが可能になる。
【0036】
上記各着色層52〜5n−1における着色領域になる液相状態の領域のパターンとしては、池状、溝状の2つのパターンだけで足りる。上記液相状態の領域を池状に設定すれば、完成後の着色造形物を上/下方向から見た時でも色の識別が確実に行える。一方、上記液相状態の領域を溝状に設定した場合には、完成後の着色造形物を横方向から見た時しか色の識別が行えないが、着色工程に要する時間の短縮が図れる上に、着色工程に使用されるインク量の節約が図れるという利点がある。
【0037】
上述したプロセスを繰り返すことにより、着色層5n−2〜着色層53を夫々形成した後、着色層53の上面に、上述した着色層5n−1と同一構成の着色層52を形成し、更にその着色層52の上面に、上記非着色層5nと同一構成の非着色層51を形成することによって、上記着色造形物が形成される。
【0038】
なお、上述した光硬化性樹脂(液状樹脂)の添加工程は、上記着色造形物の積層造形に用いられる造形装置(図示しない)が備えるリコータ(図示しない)により行われる。また、上記ディスペンサ(図示しない)の針先部7とシリンジ(タンク)(図示しない)との間は、チューブ(図示しない)により接続されている。
【0039】
更に、造形装置の各部を制御するコントローラ(図示しない)には、通常層(51、5n)を形成するとき使用する造形データや、着色層(52、5n−1)を形成するとき使用する造形データや、着色層(53〜5n−2)を形成するとき使用する造形データ等が内蔵されている。上記コントローラ(図示しない)は、上記各造形データを適宜使用して上述した着色造形物の積層造形を行う。
【0040】
上述した実施例によれば、上記着色造形物の積層造形を行う過程で、着色層になる層(52〜5n−1)へ着色剤を塗装することとしたので、一連の造形作業が完了した後の着色剤の添加工程は不要になった。
【0041】
また、積層造形を行う過程で着色剤を添加することとしたので、造形装置による造形作業の自動化と共に、着色剤の添加作業の自動化を行うことができる。そのため、造形作業を行いながら添加作業を行うことが可能であり、しかも、単色添加のみならず、多色添加をも行うことができる。
【0042】
更に、着色層の塗布面が上記着色造形物の内部に閉じ込められた状態になるので、外部からの衝撃や、薬品等の付着に起因する化学変化によって塗布膜が着色層から剥離する不具合も原理上生じない。
【0043】
図5は、図3に記載の着色された光硬化性樹脂から成る層(着色層)の成形方法の一例を示す説明図である。
【0044】
図5において、上述した着色層(52、5n−1)の外周壁表面9は、STLデータをスライスすることにより求まる上記外周壁表面9を示すデータ(表面データ)に基づいて形成される。また、上記着色層(52、5n−1)の外周壁内面11は、上記表面データを一定距離だけ内側にオフセットすることにより求まるデータ(内面データ)に基づいて形成される。この外周壁内面11は、上述した池、即ち、着色領域Bになる領域の外周に相当する。更に、この着色領域Bになる領域への着色剤、即ち、カラーインクの滴下位置の軌跡を表す矩形状の線13は、上記内面データを一定距離だけ内側にオフセットすることにより求まるデータ(インク滴下用データ)に基づいて決定される。
【0045】
なお、図4に記載の着色層(53〜5n−2)を形成する場合には、上記外周壁表面9を表面データ)に基づいて形成し、溝、即ち、着色領域Dになる領域の外周を、上記外周壁内面11に決定し、更に、着色領域Dになる領域の内周を、上記内面データを、インク滴下用の矩形状の線13を越える所定距離だけ内側にオフセットすることにより求まるデータに基づいて決定することになる。
【0046】
本発明者等が、図3に示した着色層(52、5n−1)、及び図4に示した着色層(53〜5n−2)を試作したところでは、池(又は溝)を設定するために作成する上記外周壁の厚みは、0.5〜5.0mm位が適切である。壁厚がこれ(0.5〜5.0mm)より薄い場合には、池(又は溝)に滴下したカラーインクが池(又は溝)からはみ出してしまい、壁厚がこれより厚い場合には、完成した着色造形物への色の付き方が不明瞭になる。
【0047】
また、カラーインクの滴下位置の軌跡を表す矩形状の線13は、成形される着色造形物の形状や、滴下するカラーインク及び液相状態の光硬化性樹脂の表面張力等との関係によっても拡散面積が異なってくるが、外周壁内面11から概ね1.0mm〜5.0mm程度離間した位置に設定するのが望ましい。
【0048】
試作に際して使用した着色用の染料(カラーインク)には、径が非常に細かい無色のもので、紫外線が照射されることにより発色するという特別なもの、即ち、粉末を光硬化性樹脂中に溶かしたものを使用した。無色の粉末であるために、液相状態の光硬化性樹脂中に滴下した後も、該光硬化性樹脂における紫外線の透過率に悪影響を及ぼすことがなく、従って硬化阻害を惹き起こさなかった。
【0049】
図6は、図5に記載の成形方法の変形例を示す説明図である。
【0050】
本変形例では、図3に示した着色層(52、5n−1)において、上述した池の領域の一部、即ち、着色領域Bになる領域の一部に塗布したカラーインクが、その領域から他の領域に流出したり、拡散したりすることがないよう上記領域の外周部に壁15を設けることとした。更に、上記領域の一部を多色添加する場合に、添加された異なる色のカラーインク同士が混在するのを防止するために、隔離壁17をも設けたものである。
【0051】
上述した壁15、17の厚みは、上記領域の形状等にもよるが、0.5〜5.0mm位が適切である。完成した着色造形物の外部から、液相状態のときの光硬化性樹脂に付着した色を視認し易くするためには、壁厚は薄い方が良いが、壁厚が0.5〜5.0mmより薄い場合には、上記領域に滴下したカラーインクが上記領域からはみ出してしまう虞がある。
【0052】
なお、図6に示したような成形方法を実行するために、造形装置のコントローラ(図示しない)には、STLデータフォーマットが採用される。STLフォーマット自身は、色情報を持っていないため、上記コントローラにおいて色別のファイルを作成し、各色の識別を実行する。
【0053】
図7は、着色剤(カラーインク)の盛上りを抑制しつつ硬化性樹脂から成る層に着色する方法の一例を示す説明図である。
【0054】
上述したように、液相状態の光硬化性樹脂に滴下したカラーインクは、樹脂液面上に拡散するので、カラーインクを上記光硬化性樹脂に付着させるために使用するデータ(着色データ)は、液相状態の光硬化性樹脂を積層造形するときに使用するデータ(造形データ)ほど細かいデータである必要がない。着色データが細か過ぎると、それに応じてカラーインクの添加量が多くなり、図3に示した着色層(52、5n−1)における池の領域や、図4に示した着色層(53〜5n−2)における溝の領域において、添加されたカラーインクによる盛上りが生じるため、上述した積層造形に支障を来すことになる。そこで、そのような不具合の発生を防止するために、着色データの所謂間引きを行うこととした。図7では、図示と説明の簡単のため、上面/下面から見た形状が円形状を呈する着色造形物の積層造形を対象とする。
【0055】
図7(a)において、着色された領域Fは、円板状を呈する着色層を造形するときの造形データを示し、それより内周側に位置する同心の円弧Gは、造形データを所定距離だけオフセットして作成したオリジナルの着色データ、即ち、上述したディスペンサ(図示しない)の針先部7の軌跡である。着色データの所謂間引きは、この円弧Gを用いて以下に示すような手順で行われる。
【0056】
即ち、まず図7(b)に示すように、上記着色データ(円弧G)上において、等間隔に複数個の頂点G1〜Gnを決定する。具体的には、各頂点G1〜Gnを示す座標を求めることにより、各頂点G1〜Gnを決定する。次に、図7(c)に示すように、上記各頂点G1〜Gn中から例えば頂点G1を着色データの始点P1に決定し、この始点P1から所定距離t以上離れた頂点G3を上記始点P1に続く着色データの2番目の点P2とする。以下、上記と同様の手法により、図7(d)に示すように、着色データの3番目の点P3、・・・、着色データのn番目の点、即ち、終点Pnを求める。なお、終点Pnは、始点P1からの距離が上記t以上離れているように選択する必要がある。このようにして選択された各点P1、P2、P3、・・・、Pnにおいて、夫々所定量の着色剤が添加される。
【0057】
図8は、図7に記載の着色方法の別の一例を示す説明図である。
【0058】
上述したように、液相状態の光硬化性樹脂を塗布した場合、カラーインクが着色領域に均一に拡散せず、色ムラが生じる虞がある。そこで、そのような不具合の発生を防止するために、以下に説明するような工夫を施した。
【0059】
当初は、図8(a)に示すように、ディスペンサ(図示しない)の針先部7を、液相状態にある光硬化性樹脂の表面より5乃至10mmの高さからカラーインクを滴下していた。しかし、針先部7の構造を、充分な強度を持ち、且つ、液相状態の光硬化性樹脂内部への挿/脱が自在な形状のものに変更することにより、図8(b)に示すように、針先部7を液相状態の光硬化性樹脂内部に注入して着色を行うことが可能である。このように、針先部7を液相状態の光硬化性樹脂内部に注入することにより、カラーインクを大きく拡散させた状態での着色が可能になる。また、インクの飛び散りも発生しないし、針先部7の上下方向の精密な制御も不要になる。なお、針先部7として、図8(c)に示すような、側面に複数個の横穴7a〜7nを備えるものを用いれば、カラーインクを更に大きく拡散させた状態での着色が可能になる。
【0060】
なお、上記以外にも、液相状態の光硬化性樹脂に添加したカラーインクを着色領域に均一に拡散させる方法として、ディスペンサ内部(図示しない)や、針先部7においてカラーインクを加熱してから滴下する方法がある。カラーインクが低温であれば、粘性が高いからその拡散に時間が掛かり、それにより上述した池や溝等の光硬化性樹脂の未硬化部分において添加したカラーインクが均一に拡散せず、色ムラが生じてしまう。しかし、カラーインクを加熱して滴下すれば、粘性が低いから比較的短時間で拡散するため、色ムラが生じ難い。また、針先部7の内部構造についても、カラーインクの更なる均一な拡散と、更なる色ムラの解消とを図るために、図8(c)に示した横穴7a〜7nに加えて、針先部7の底部に開口する縦穴を設ける構造にしても良い。
【0061】
図9は、図7に記載の着色方法の更に別の一例と、図7及び図8に夫々記載の着色方法との比較結果を示す説明図である。
【0062】
図7及び図8に夫々記載の着色方法では、図9(a)に示すように、まず外周壁のみを硬化させ、池(又は溝)に相当する領域は液相状態のままとし、次に、図9(b)に示すように、未硬化状態にある池(又は溝)の領域に、ディスペンサ(図示しない)の針先部7からカラーインクを滴下していた。そのため、図9(c)に示すように、池(又は溝)の領域において、カラーインクの滴下量分だけ盛上りが生じることとなり、この盛上り以下の厚みでの積層ピッチでは、図示の層の上面に次層を造形できなかった。換言すれば、積層ピッチを細かく設定することができなかった。
【0063】
そこで、本例では、図9(a)で外周壁のみを硬化させ、池(又は溝)に相当する領域は液相状態のままとし、次に、図9(d)に示すように、上記池(又は溝)に相当する領域の液相状態にある光硬化性樹脂を吸い取った後に、上記針先部7からカラーインクを滴下することとした。この方法によれば、池(又は溝)に相当する領域の光硬化性樹脂(液相状態にある)が除去されているから、図9(e)に示すようにカラーインクの滴下による盛上りは生じない。
【0064】
上記以外にも、未硬化の光硬化性樹脂に滴下したカラーインクの盛上りを防止する手段としては、カラーインクの滴下箇所に風圧を与える方法がある。また、カラーインクの盛上りの防止と共に、拡散をも促進させるための手段としては、カラーインクの滴下箇所に振動を与える方法がある。
【0065】
なお、上述したカラーインクとしては、例えば顔料、染料、またはそれらを原料としたインクを液相状態の光硬化性樹脂に混ぜたもの、顔料、染料を液相状態の光硬化性樹脂以外の溶剤に溶け合わせたものなどが用いられる。但し、顔料、染料を液相状態の光硬化性樹脂以外の溶剤に溶け合わせたものに関しては、光硬化性樹脂と親和性があること、換言すれば、光硬化性樹脂に硬化阻害が起こらないことが必要である。更に、上述したカラーインクとして、顔料、染料の代りに繊維やカラービーズを用いたものを使用することもできる。
【0066】
これまで説明した内容は、上記池(又は溝)の領域を囲む外周壁の存在を前提としたものであった。しかし、未硬化の光硬化性樹脂にカラーインクを複数回添加することにより上記外周壁を不要にする造形方法もある。この造形方法は、以下のような過程を含む。
【0067】
まず、液相の光硬化性樹脂にレーザ光を照射することにより、該光硬化性樹脂層を1層分だけ硬化させて薄膜を形成した後、その薄膜上に、着色造形物の造形データ(着色造形物の輪郭形状を示すデータ)のオフセットデータ(輪郭形状データを内側に0.5〜5.0mm程度オフセットしたデータ)に沿ってカラーインクを添加する。着色面が、該層の上面又は下面である場合には、その上面又は下面の輪郭データを内側にオフセットしたデータにより決まる輪郭線の内部にカラーインクを添加する。このようにして添加したカラーインクの盛上りが少ない場合には、上記カラーインクの添加を複数回繰り返し、所定の積層ピッチに達しない範囲で、添加したカラーインクの盛上りを形成する。そして、添加したカラーインクが次の工程への影響が少ない程度に充分に乾燥(硬化)した状態で、その表面上に次層を形成するのに必要な液相の光硬化性樹脂を添加する。更に、次層の形状データに従って該液相の光硬化性樹脂にレーザ光を照射することにより、該光硬化性樹脂を所定の形状で硬化させる。
【0068】
上述したプロセスを必要回数だけ繰り返すことにより、所望の着色造形物が形成される。
【0069】
この方法では、カラーインクを複数回添加することにより、カラーインクによる所定の厚みを持った盛上りを形成するが、カラ−インクの添加に代えて、積層ピッチを超えない厚みを有するカラーシートを所望の形状にカットした後、液相の光硬化性樹脂に貼着しても良い。この場合、積層ピッチを超えない厚みを有するカラーシートを、液相の光硬化性樹脂に貼着した後に、所望の形状にカットするようにしても差支えない。なお、積層ピッチの厚みを超える厚みを有するカラーシートは、積層造形に支障を来すので好ましくない。
【0070】
また、カラ−インクを複数回添加する方法に代えて、例えばカラー樹脂等の粘度のあるカラ−インクを1回だけ添加する方法も採用可能である。即ち、上記カラー樹脂の添加により形成される塗布膜の厚みが、可能な限り積層ピッチの厚みに近づくよう、塗布膜の厚みを制御しながら上記カラー樹脂の添加を行う方法である。
【0071】
更に、上述した外周壁の形成を不要にする造形方法として、リコート後の液相の光硬化性樹脂上にカラーインクを滴下すると共に、滴下したカラーインクが上記光硬化性樹脂中を拡散するより早く上記液相の光硬化性樹脂を硬化させることにより、上述した外周壁の形成を不要にする方法である。換言すれば、この方法は、カラーインクの滴下と液相の光硬化性樹脂の硬化とを略同時に行うことによって、着色を行わない領域へのカラーインクの流出を防止するものである。
【0072】
なお、カラーインクの粒子が液相の光硬化性樹脂中に埋め込まれたような、カラーインクが上記樹脂中を拡散しない状態であれば、リコート後の上記樹脂(つまり、液相の光硬化性樹脂)上に、例えばインクジェットプリンターと同様な機構を用いてカラーインクを添加(プリント)し、その後で上記樹脂を硬化させるというプロセスを各層毎に繰り返すことによっても、所望の着色造形物の形成が可能である。
【0073】
図10は、図7に記載の方法を基に、硬化性樹脂から成る着色造形物の各層に、着色領域を全体的に平均化した状態で着色する方法の一例を示す説明図である。
【0074】
本例では、図7の方法により取得した円弧G上の頂点P1〜Pn(図10(a))において、頂点P1を始点とする間引き着色データを第1層に(図10(b))、頂点P3を始点とする間引き着色データを第2層に(図10(c))、更に、頂点P2を始点とする間引き着色データを第3層に(図10(d))、というように、各層別に、始点をランダムに異ならしめた間引き着色データを適用して着色を行うこととした。
【0075】
これにより、上記着色データに基づく着色剤(カラーインク)添加領域が、各層毎にずれたものになり、結果的に、着色造形物全体として見れば、着色剤添加領域が平均的に散らばることになる。
【0076】
図11は、着色領域を減少させずに硬化性樹脂から成る層に多色添加を行う方法の一例を示す説明図である。
【0077】
着色造形物に対し、多色添加を行う場合、予め色別に着色の優先度を決めておかないと、図11(a)に示すように、着色データに係る色以外の色で着色することになってしまう領域が広くなる。図11(a)の例では、着色データの色が色1、色2、及び色3であるにも拘らず、実際には色1の着色領域と色2の着色領域とが重複する部分、色1の着色領域と色3の着色領域とが重複する部分、色2の着色領域と色3の着色領域とが重複する部分、並びに色1、色2、及び色3の着色領域が重複する部分が相当広くなってしまう。上述した各々の重複領域には、実際上着色を行わずに、各着色領域間の隔壁とする場合もあるが、その場合には、上記隔壁領域が着色領域に比較して相当な大きさになるため、結果的に、着色領域が減少することになる。
【0078】
そこで、本例では、着色に際して色別に優先度を決めることとした。優先度の決定は、ユーザが着色造形物中でどの色を目立たせたいかによって、自由に行えるものとする。例えば、上述した色1、色2、及び色3において、最も目立たせたい色が色1であり、次が色2であるとすれば、図11(b)に示すようなパターンで、上記各色別に着色が行われることになる。これにより、多色添加における着色領域の減少を防止することができる。
【0079】
上述した内容は、あくまで本発明の一実施形態に係るものであって、本発明が上記内容のみに限定されないものであることは勿論である。本発明は他の種々の形態でも実施することが可能である。
【0080】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、硬化性樹脂から成る造形物への着色において、単一の着色剤による単色添加は勿論、多数の着色剤による多色添加を行う場合でも、添加作業が確実に行え、しかも確実な着色効果を得られるようにすることができる。
【0081】
また、本発明によれば、硬化性樹脂から成る造形物への着色において、それほど大掛かりな設備を用いなくても、添加作業が確実に行え、しかも確実な着色効果を得られるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の着色剤添加方法により着色された光硬化性樹脂から成る着色造形物の断面図。
【図2】本発明の一実施形態に係る光硬化性樹脂から成る着色造形物の一実施例を示す断面図。
【図3】図2に記載の着色造形物を構成する、着色された光硬化性樹脂から成る層の斜視図。
【図4】図2に記載の着色造形物を構成する、図3とは別タイプの着色された光硬化性樹脂から成る層の斜視図。
【図5】図3に記載の着色された光硬化性樹脂から成る層の成形方法の一例を示す説明図。
【図6】図5に記載の成形方法の変形例を示す説明図。
【図7】着色剤(カラーインク)の盛上りを抑制しつつ光硬化性樹脂から成る層に着色する方法の一例を示す説明図。
【図8】図7に記載の着色方法の別の一例を示す説明図。
【図9】図7に記載の着色方法の更に別の一例と、図7及び図8に夫々記載の着色方法との比較結果を示す説明図。
【図10】図7に記載の方法を基に、光硬化性樹脂から成る着色造形物の各層に、着色領域を全体的に平均化した状態で着色する方法の一例を示す説明図。
【図11】着色領域を減少させずに光硬化性樹脂から成る層に多色添加を行う方法の一例を示す説明図。
【符号の説明】
51 最上層、つまり、未着色の光硬化性樹脂から成る層(通常層)
5n 最下層、つまり、未着色の光硬化性樹脂から成る層(通常層)
52、53〜5n−2、5n−1 着色した光硬化性樹脂から成る層(着色層)
7 ディスペンサ(図示しない)の針先部
9 着色層(52〜5n−1)の外周壁表面
11 着色層(52〜5n−1)の外周壁内面
13 インク滴下用の矩形状の線
15 壁
17 隔離壁
Claims (10)
- 硬化性樹脂を積層造形して成形した複数の硬化樹脂層を備え、前記複数の硬化樹脂層のうちの少なくとも1層が着色剤を添加して形成した着色領域を有する硬化樹脂層である着色造形物の製造方法であって、着色剤を添加して形成した着色領域を有する前記した硬化樹脂層の形成を、着色領域となる領域の輪郭線に沿って所定幅の領域を硬化することにより硬化した外周壁を形成する工程と、前記硬化した外周壁内の液相状の未硬化の領域に着色剤を添加する工程と、前記着色剤を添加した領域を硬化する工程を含む方法により行なうことを特徴とする着色造形物の製造方法。
- 前記着色剤が、陶器用顔料を用いた揮発性インク、紫外線を受けて発色する無色の微細な粉末状の染料、顔料又は染料を原料としたインクを液相状の硬化性樹脂に混ぜたもの、顔料又は染料を硬化性樹脂以外の液相状の溶剤に混ぜた硬化性樹脂と親和性を有するもの、着色繊維又はカラービーズを液相状の硬化性樹脂に混ぜたもの、および着色繊維又はカラービーズを硬化性樹脂以外の液相状の溶剤に混ぜた硬化性樹脂と親和性を有するもののいずれかである請求項1に記載の着色造形物の製造方法。
- 硬化した外周壁内の液相状の未硬化の領域に着色剤を添加する工程の前に、着色される領域内を仕切る部位を所定幅だけ硬化することにより着色される領域内に隔離壁を形成する工程を有する、請求項1または2に記載の着色造形物の製造方法。
- 前記着色領域が、フィードバック補正されるパルス信号により変位する添加機構を用いて、所定の距離間隔で所定量の着色剤を添加することにより形成される請求項1〜3のいずれか1項に記載の着色造形物の製造方法。
- 前記着色剤の添加工程が、前記着色される領域における未硬化の液相状の硬化性樹脂の除去工程と、前記硬化性樹脂を除去した後の前記領域に着色剤を添加する工程とを含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の着色造形物の製造方法。
- 複数色の着色剤を用い、複数色の着色剤による前記着色される領域への添加が、予め決められた優先順位に基づいて、優先順位の高い色の着色剤から順に添加されることによって行われる請求項1〜5のいずれか1項に記載の着色造形物の製造方法。
- 硬化性樹脂を積層造形して成形した複数の硬化樹脂層を備え、前記複数の硬化樹脂層のうちの少なくとも1層が着色剤を添加して形成した着色領域を有する硬化樹脂層である着色造形物を製造するための造形装置であって;
少なくとも1つの硬化樹脂層の形成時に、着色領域となる領域の輪郭線に沿って所定幅の領域を硬化させて硬化樹脂からなる外周壁を形成する機構;
硬化樹脂からなる前記外周壁内の未硬化の領域に着色剤を添加する機構;および、
着色剤を添加した前記領域を硬化させる機構;
を備えることを特徴とする、着色造形物を製造するための造形装置。 - 着色剤を添加する機構が、少なくとも水平方向に変位自在である請求項7に記載の造形装置。
- 着色剤を添加する機構が、その軸方向に沿って伸びる第1の着色剤供給孔と、軸方向に直交する第2の着色剤供給孔とを有する針状機構である請求項7または8に記載の造形装置。
- 前記針状機構が、前記未硬化の硬化性樹脂中への挿入と前記硬化性樹脂中での3次元方向の変位とが自在な強度及び形状を有する請求項9に記載の造形装置。
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