JP4493498B2 - アクリル系ブロック共重合体および熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、従来存在しなかった柔軟性に富み、機械強度、成形加工性、耐油性、耐熱性、耐熱分解性、耐候性、圧縮永久歪みに優れ、さらには反応性に富むアクリル系ブロック共重合体および組成物に関する。
また、本発明は、前記アクリル系ブロック共重合体、ならびにアクリル系ブロック共重合体からなる組成物を用いた自動車用、家庭用電気製品用または事務用電気製品用のシール製品および自動車・電気・電子部品に関する。
さらに、本発明は、前記アクリル系ブロック共重合体の製造方法に関する。
加硫ゴムは、優れた柔軟性とゴム弾性を備えているが、成形時、ゴムに添加剤を配合し、加硫する必要があるため、成形サイクル時間が長く、かつ工程が煩雑であり、成形性に問題がある。また、加硫ゴムはいったん成形加硫したのちは再加熱しても溶融しないため、接合するなどの後加工ができない、使用後にリサイクルする事が困難という問題もある。
このような点から近年、熱可塑性エラストマーが加硫ゴムに代わって使用されるようになってきている。たとえば、自動車の車両においては、ガラスランチャンネル、ウェザーストリップ、各種ブーツ、水切りモールなど様々なシール部品が使用されている。そのうちの大部分は加硫型のゴムが用いられているが、燃費向上、環境問題の観点から、近年そのシール部品の一部に軽量でリサイクル可能なオレフィン系熱可塑性エラストマーが用いられ始めている。
一般に熱可塑性エラストマーはエントロピー弾性を発揮するゴム成分(ソフトセグメント)と、高温では流動するが、常温では塑性変形を防止してゴム成分に補強効果を与える拘束成分(ハードセグメント)からなるアロイ構造を取っている。たとえば、スチレン系エラストマーではスチレンブロックが凝集してハードセグメントとして働き、ブタジエン系ブロックまたはイソプレン系ブロックがマトリクスとなりソフトセグメントとして働く。また、オレフィン系エラストマーでは、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)などのゴムがポリプロピレン(PP)などの樹脂中に分散する構造を取るアロイ構造を取っている。いずれもハードセグメントが高温では流動することにより、射出成形など熱可塑性の加工が可能である。しかしながら、従来のスチレン系あるいはオレフィン系熱可塑性エラストマーは、加硫ゴムに比べてゴム弾性や耐熱性(この場合の耐熱性は高温における圧縮永久歪み特性などを意味する)が充分でない上に、耐油性が悪いといった欠点を有している。一方、耐油性に優れる熱可塑性エラストマーとして、近年、特許第2553134号公報に開示されるようにメタアクリルブロックとアクリルブロックを有するアクリル系ブロック体が開示されているが、これらもスチレン系エラストマー同様、成形加工性は非常に良好であるが、耐熱性に劣るといった欠点を有する。また、熱可塑性エラストマーは、高温ではハードセグメントが流動するために、射出成形などの熱可塑性の加工が可能であるが、熱可塑性エラストマーの熱分解温度が射出成形温度よりも低い場合には、熱可塑性エラストマーの熱劣化を生じる場合があり、特に、メタアクリル系重合体は、170〜250℃で解重合により単量体へと分解するものが多く(Polymer Handbook Third Edition:Wiley−Interscience 1989)、高温熱安定性が必要とされる場合には、用いることができないという欠点も有する。
他方、熱可塑性エラストマーは、熱可塑性樹脂の耐衝撃性を高めるなど、樹脂改質を目的として添加したり、あるいは熱可塑性樹脂とコンパウンドして軟質材料として用いることは既に公知である(たとえば、特許文献1)。しかしながら、スチレン系エラストマーやオレフィン系エラストマーは、非極性樹脂であるため、他の非極性樹脂の改質は可能であるが、極性樹脂との相溶性が悪いために、極性樹脂の改質を目的とする場合には、相溶化剤を別に添加したり、熱可塑性エラストマーに無水マレイン酸のごとき化合物をグラフト、付加させることによって改質を行なう必要がある(たとえば、特許文献2、特許文献3)。この場合、改質は行なえるものの、やはりスチレン系あるいはオレフィン系熱可塑性エラストマー自身の特性に起因して耐油性が低下してしまう。また、前記のアクリル系ブロック体の場合も、スチレン系あるいはオレフィン系熱可塑性エラストマーに比べて耐油性や相溶性は良好であるものの不充分なレベルであった。そこで、耐油性や耐熱性、耐熱分解性全てに優れ、さらには熱可塑性樹脂の改質やコンパウンド特性に優れる熱可塑性エラストマーの開発が望まれていた。
たとえば、従来耐油性や耐熱性、ゴム弾性を有する材料として、ニトリルゴム(NBR)、アクリルゴム(ACM)、シリコーンゴム(VMQ)およびクロロプレンゴム(CR)などがあり、これらは自動車用シール製品、家庭用電気製品用シール製品および事務用電気製品用シール製品および、自動車、電気、電子部品等に使用されているが、前記のとおり、添加剤を配合、混練して得られた混練物を金型内に供給したのち、加硫する必要があるため、特殊な成形機を必要とし、成形サイクル時間が長く、かつ工程が煩雑であることから、有望な熱可塑性エラストマーが望まれていた。
特開平10−279738号公報 特開平7−173390号公報 特開2000−265033号公報
本発明は、柔軟性に富み、機械強度、成形加工性、耐油性、耐熱性、耐熱分解性、耐候性および圧縮永久歪みに優れ、さらには反応性に富む新規なアクリル系ブロック共重合体および該アクリル系ブロック共重合体の製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、前記アクリル系ブロック共重合体、ならびにアクリル系ブロック共重合体を用いた組成物、自動車用シール製品、家庭用電気製品用シール製品または事務用電気製品用シール製品などのシール製品、および、自動車、電気・電子部品を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために検討した結果、メタアクリル系重合体ブロック(a)、およびアクリル系重合体ブロック(b)からなり、少なくとも一方の重合体ブロックの主鎖中に特定の酸無水物基を有することを特徴とするアクリル系ブロック共重合体が、柔軟性に富み、機械強度、成形加工性、耐油性、耐熱性、耐熱分解性および圧縮永久歪みに優れ、さらには反応性に富むことを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明は、(a)メタアクリル系重合体ブロック、および(b)アクリル系重合体ブロックからなり、少なくとも一方の重合体ブロックの主鎖中に、一般式(1):
Figure 0004493498
(式中、R1は水素またはメチル基で、互いに同一でも異なっていてもよい。nは0〜3の整数、mは0または1の整数)で表わされる(c)酸無水物基を少なくとも1つ有することを特徴とするアクリル系ブロック共重合体に関する。
前記アクリル系ブロック共重合体に(d)カルボキシル基を0.1〜50重量%有することが好ましい。
(a−b)n型、b−(a−b)n型および(a−b)n−a型からなる群より選択される少なくとも1種のアクリル系ブロック共重合体からなることが好ましい。
前記アクリル系ブロック共重合体の数平均分子量が30000〜500000であることが好ましい。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した前記アクリル系ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1〜1.8であることが好ましい。
前記アクリル系ブロック共重合体が、アクリル系ブロック共重合体全体中、メタアクリル系重合体ブロック(a)5〜80重量%およびアクリル系重合体ブロック(b)95〜20重量%からなることが好ましい。
酸無水物基(c)をメタアクリル系重合体ブロック(a)に有することが好ましい。
酸無水物基(c)をアクリル系重合体ブロック(b)に有することが好ましい。
酸無水物基(c)を、アクリル系ブロック共重合体(A)全体中、0.1〜99.9重量%有することが好ましい。
酸無水物基(c)を有するブロックと同じブロックに、カルボキシル基(d)を有することが好ましい。
アクリル系重合体ブロック(b)が、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸エチルおよびアクリル酸2−メトキシエチルからなる群より選ばれた少なくとも1種以上のアクリル酸エステル50〜100重量%、ならびに、これらと共重合可能な他のアクリル酸エステルおよび/または他のビニル系単量体0〜50重量%からなることが好ましい。
アクリル系重合体ブロック(b)が、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−メトキシエチルからなることが好ましい。
アクリル系重合体ブロック(b)が、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−メトキシエチルからなることが好ましい。
アクリル系重合体ブロック(b)が、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルからなることが好ましい。
前記アクリル系ブロック共重合体を加水分解して酸無水物基が開環し、側鎖に(e)カルボキシル基を有することが好ましい。
前記アクリル系ブロック共重合体が、原子移動ラジカル重合により製造されたブロック共重合体であることが好ましい。
前記(A)アクリル系ブロック共重合体と、(B)架橋ゴム、(C)熱可塑性樹脂、(D)熱可塑性エラストマー、(E)滑剤、(F)無機充填剤ならびに(G)安定剤からなる群から選ばれる1種以上からなる組成物に関する。
前記組成物が、組成物全体中、アクリル系ブロック共重合体(A)0.5〜99.5重量%と、熱可塑性樹脂(C)および/または熱可塑性エラストマー(D)99.5〜0.5重量%とからなることが好ましい。
熱可塑性樹脂(C)が、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、メチルメタクリレート−スチレン共重合樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂およびポリアミド樹脂からなる群より選ばれた熱可塑性樹脂であって、熱可塑性エラストマー(D)がスチレンエラストマー、オレフィンエラストマー、ウレタンエラストマー、塩化ビニルエラストマー、アミドエラストマー、エステルエラストマーおよびアクリルエラストマーからなる群より選ばれた熱可塑性エラストマーであることが好ましい。
前記組成物が、アクリル系ブロック共重合体(A)100重量部に対して、滑剤(E)0.01〜50重量部および/または無機充填剤(F)0.01〜300重量部を含有することが好ましい。
アクリル系ブロック共重合体(A)が、アクリル酸n−ブチル単位、アクリル酸エチル単位およびアクリル酸2−メトキシエチル単位からなる群より選ばれた1種以上のアクリル酸エステル単位を含有することが好ましい。
メタアクリル系重合体ブロック(a)、アクリル系重合体ブロック(b)の少なくとも一方の重合体ブロック主鎖中に、一般式(2):
Figure 0004493498
(式中、R2は水素またはメチル基を表す。R3は水素、メチル基、またはフェニル基を表し、少なくともひとつのメチル基を含むこと以外は互いに同一でも異なっていてもよい)で表わされる単位を少なくとも1つ有する(A’)アクリル系ブロック共重合体を、180〜300℃の温度で溶融混練することを特徴とする前記アクリル系ブロック共重合体の製造方法に関する。
アクリル系ブロック共重合体(A’)が制御ラジカル重合により製造されることが好ましい。
アクリル系ブロック共重合体(A)を水と共に溶融混練することが好ましい。
前記アクリル系ブロック共重合体(A)を成形してなるシール製品に関する。
前記組成物からなるシール製品に関する。
前記アクリル系ブロック共重合体(A)からなる自動車・電気・電子用部品に関する。
本発明のアクリル系ブロック共重合体は、柔軟性に富み、機械強度、成形加工性、耐油性、耐熱性、耐熱分解性、耐候性に優れ、さらには反応性に富むことから、新規な熱可塑性エラストマー、相溶化剤などとして、好適に用いることができる。本発明の新規なアクリル系ブロック共重合体、およびこれを用いた組成物は、その特徴を活かして、自動車、電気・電子部品(たとえば、自動車用シール製品、家庭用電気製品用シール製品または事務用電気製品用シール製品などのシール製品)に好適に広く使用できる。
本発明は、(A)アクリル系ブロック共重合体であって、メタアクリル系重合体ブロック(a)、およびアクリル系重合体ブロック(b)からなり、少なくとも一方の重合体ブロックの主鎖中に、一般式(1):
Figure 0004493498
(式中、R1は水素またはメチル基で、互いに同一でも異なっていてもよい。nは0〜3の整数、mは0または1の整数)で表わされる酸無水物基(c)を少なくとも1つ有することを特徴とするアクリル系ブロック共重合体に関する。
以下に、本発明を詳細に説明する。
<アクリル系ブロック共重合体(A)>
本発明のアクリル系ブロック共重合体(A)の構造は、線状ブロック共重合体または分岐状(星状)ブロック共重合体であり、これらの混合物であってもよい。このようなブロック共重合体の構造は、必要とされるアクリル系ブロック共重合体(A)の物性、架橋ゴム(B)、熱可塑性樹脂(C)などとの組成物に必要とされる加工特性や機械特性などの必要に応じて使い分けられるが、コスト面や重合容易性の点で、線状ブロック共重合体が好ましい。
前記線状ブロック共重合体は、いずれの構造のものであってもかまわない。線状ブロック共重合体の物性、または組成物の物性の点から、メタアクリル系重合体ブロック(a)をa、アクリル系重合体ブロック(b)をbと表現したとき、(a−b)n型、b−(a−b)n型および(a−b)n−a型(nは1以上の整数、たとえば1〜3の整数)からなる群より選択される少なくとも1種のアクリル系ブロック共重合体からなることが好ましい。特に限定されないが、これらの中でも、加工時の取り扱い容易性や、組成物の物性の点からa−b型のジブロック共重合体、a−b−a型のトリブロック共重合体、またはこれらの混合物が好ましい。
酸無水物基(c)は、メタアクリル系重合体ブロック(a)、アクリル系重合体ブロック(b)の少なくとも一方の重合体ブロック当たりに、少なくとも1つ導入されていることが特徴であり、その数が2つ以上である場合には、その単量体が重合されている様式はランダム共重合またはブロック共重合であることができる。a−b−a型のトリブロック共重合体を例にとって表わすと、(a/z)−b−a型、(a/z)−b−(a/z)型、z−a−b−a型、z−a−b−a−z型、a−(b/z)−a型、a−b−z−a型、a−z−b−z−a型、(a/z)−(b/z)−(a/z)型、z−a−z−b−z−a−z型などのいずれであってもよい。ここでzとは、酸無水物基(c)を含む単量体または重合体ブロックを表し、(a/z)とは、メタアクリル系重合体ブロック(a)に酸無水物基(c)を含む単量体が共重合されていることを表し、(b/z)とは、アクリル系重合体ブロック(b)に酸無水物基(c)を含む単量体が共重合されていることを表す。
また、メタアクリル系重合体ブロック(a)あるいはアクリル系重合体ブロック(b)中でzの含有される部位と含有される様式は自由に設定してよく、目的に応じて使い分けることができる。
アクリル系ブロック共重合体(A)の数平均分子量は、とくに限定されず、メタアクリル系重合体ブロック(a)とアクリル系重合体系ブロック(b)にそれぞれ必要とされる分子量から決めればよい。分子量が小さい場合には、エラストマーとして充分な機械特性を発現出来ない場合があり、逆に分子量が必要以上に大きいと、加工特性が低下する場合がある。上記観点から、好ましいアクリル系ブロック共重合体(A)の数平均分子量は、30000〜500000が好ましく、より好ましくは40000〜400000、さらに好ましくは50000〜300000である。
アクリル系ブロック共重合体(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)も、とくに限定はないが、1〜1.8であることが好ましく、1〜1.5であることがさらに好ましい。Mw/Mnが1.8をこえるとアクリル系ブロック共重合体の均一性が低下する場合がある。
アクリル系ブロック共重合体(A)を構成するメタアクリル系重合体ブロック(a)とアクリル系重合体ブロック(b)の組成比はとくに限定されず、使用する用途において要求される物性、組成物の加工時に要求される成形性、およびメタアクリル系重合体ブロック(a)とアクリル系重合体ブロック(b)にそれぞれ必要とされる分子量から決めればよい。好ましいメタアクリル系重合体ブロック(a)とアクリル系重合体ブロック(b)の組成比の範囲を例示すると、メタアクリル系重合体ブロック(a)が5〜80重量%、アクリル系重合体ブロック(b)が95〜20重量%であることが好ましい。より好ましくは、メタアクリル系重合体ブロック(a)が10〜70重量%、アクリル系重合体ブロック(b)が90〜30重量%である。さらに好ましくは、メタアクリル系重合体ブロック(a)が10〜60重量%、アクリル系重合体ブロック(b)が90〜40重量%である。とくに好ましくはメタアクリル系重合体ブロック(a)が20〜50重量%、アクリル系重合体ブロック(b)が80〜50重量%である。メタアクリル系重合体ブロック(a)の割合が5重量%より少ないと、高温でのゴム弾性が低下する場合があり、80重量%より多いと、エラストマーとしての機械特性、特に破断伸びが低下したり、熱可塑性樹脂との組成物の柔軟性が低下する場合がある。
アクリル系ブロック共重合体(A)を構成するメタアクリル系重合体ブロック(a)とアクリル系重合体ブロック(b)のガラス転移温度の関係は、メタアクリル系重合体ブロック(a)のガラス転移温度をTga、アクリル系重合体ブロック(b)のガラス転移温度をTgbとして、下式の関係を満たすことが好ましい。
Tga>Tgb
前記重合体(メタアクリル系重合体ブロック(a)およびアクリル系重合体ブロック(b))のガラス転移温度(Tg)の設定は、下記のFox式に従い、各重合体部分の単量体の重量比率を設定することにより行なうことができる。
1/Tg=(W1/Tg1)+(W2/Tg2)+…+(Wm/Tgm
1+W2+…+Wm=1
式中、Tgは重合体部分のガラス転移温度を表わし、Tg1,Tg2,…,Tgmは各重合単量体のガラス転移温度を表わす。また、W1,W2,…,Wmは各重合単量体の重量比率を表わす。
前記Fox式における各重合単量体のガラス転移温度は、たとえば、Polymer Handbook Third Edition(Wiley−Interscience 1989)記載の値を用いればよい。
なお、前記ガラス転移温度は、DSC(示差走査熱量測定)または動的粘弾性のtanδピークにより測定することができるが、メタアクリル系重合体ブロック(a)とアクリル系重合体ブロック(b)の極性が近すぎたり、ブロックの単量体の連鎖数が少なすぎると、それら測定値と、前記Fox式による計算式とがずれる場合がある。
前記、一般式(1):
Figure 0004493498
(式中、R1は水素またはメチル基で、互いに同一でも異なっていてもよい。nは0〜3の整数、mは0または1の整数)で表わされる酸無水物基(c)のブロック共重合体への導入方法は、特に限定されないが、導入容易性や導入後の精製の簡便性などの点で、酸無水物基(c)の前駆体となる官能基の形、例えば一般式(2)の形でアクリル系ブロック共重合体(A)に導入し、そののちに環化させることによって導入することが好ましい。
一般式(1)中のnは0〜3の整数であって、好ましくは0または1であり、より好ましくは1である。nが4以上の場合は、重合が煩雑になったり、酸無水物基の環化が困難になる場合がある。
一般式(1)中のmは0または1の整数であって、nが0の場合はmも0であり、nが1〜3の場合は、mは1であることが好ましい。
酸無水物基(c)は、メタアクリル系重合体ブロック(a)およびアクリル系重合体ブロック(b)のどちらか一方のブロックのみに含有していてもよいし、両方のブロックに含有していてもよく、アクリル系ブロック共重合体(A)の反応点や、アクリル系ブロック共重合体(A)を構成するブロック(メタアクリル系重合体ブロック(a)およびアクリル系重合体ブロック(b))の凝集力やガラス転移温度、さらには必要とされるアクリル系ブロック共重合体(A)の物性など、目的に応じ酸無水物基(c)導入条件が好適になるよう使いわけることができる。たとえば、酸無水物基を反応点として、アミノ基、水酸基などを有する化合物を用いて、メタアクリル系重合体ブロック(a)やアクリル系重合体ブロック(b)を選択的に変性、あるいは反応させたい場合には、酸無水物基(c)を変性あるいは反応させたいブロックに導入すればよい。また、アクリル系ブロック共重合体(A)の耐熱性や耐熱分解性向上の点では、酸無水物基(c)をメタアクリル系重合体ブロック(a)に導入すればよく、アクリル系ブロック共重合体(A)に耐油性や、さらなるゴム弾性や圧縮永久歪み特性を付与する観点では酸無水物基(c)をアクリル系重合体ブロック(b)に架橋性の反応部位(架橋点)などとして導入すればよい。特に限定されないが、反応点の制御や、耐熱性、ゴム弾性などの点では、メタアクリル系重合体ブロック(a)あるいはアクリル系重合体ブロック(b)のどちらか一方のブロックに有することが好ましい。
また、特に限定されないが、メタアクリル系重合体ブロック(a)に含む場合は一般式(1)のR1はともにメチル基であることが好ましく、アクリル系重合体ブロック(b)に含む場合は、一般式(1)のR1はともに水素であることが好ましい。メタアクリル系重合体ブロック(a)に含む場合にR1が水素である場合や、アクリル系重合体ブロック(b)に含む場合にR1がメチル基である場合は、アクリル系ブロック共重合体(A)の重合操作が煩雑になったり、メタアクリル系重合体ブロック(a)とアクリル系重合体ブロック(b)のガラス転移温度の差が小さくなり、アクリル系ブロック共重合体(A)のゴム弾性が低下する傾向にある。
前記酸無水物基(c)の含有数の好ましい範囲は、酸無水物基(c)の凝集力、反応性、アクリル系ブロック共重合体(A)の構造および組成、アクリル系ブロック共重合体(A)を構成するブロックの数、ガラス転移温度、ならびに、酸無水物基(c)の含有される部位および様式によって変化する。酸無水物基(c)の含有量の好ましい範囲を例示すると、アクリル系ブロック共重合体(A)全体中の0.1重量%以上、かつ99.9重量%以下が好ましく、0.5重量%以上、かつ99.9重量%以下がより好ましい。0.1重量%より少ない場合、アクリル系ブロック共重合体(A)の反応性や熱可塑性樹脂との相溶性が不充分になる場合がある。また、アクリル系ブロック共重合体(A)の耐熱性向上や耐熱分解性向上を目的に、Tgの高い酸無水物基(c)をハードセグメントであるメタアクリル系重合体ブロック(a)に導入する場合、0.1重量%より少ないと、耐熱性や耐熱分解性の向上が不充分であり、高温におけるゴム弾性の発現が低下する場合がある。一方、99.9重量%をこえると、導入が困難になったり、凝集力が強くなりすぎるため加工性が低下する場合がある。アクリル系ブロック共重合体(A)に耐油性やゴム弾性を付与することを目的に、酸無水物基(c)をアクリル系重合体ブロック(b)に導入する場合、0.1重量%より少ないと、耐油性付与や、凝集力が不充分であることや、反応点として利用する場合も、反応が不充分となることから、ゴム弾性や圧縮永久歪み特性が低下する傾向にあり、99.9重量%をこえると、導入が困難になったり、柔軟性や機械特性が低下する傾向にある。
前記酸無水物基(c)の含有量とは、元から酸無水物基(c)を有する単量体または反応などにより酸無水物基を有する単量体としての重量%を表す。この含有量は、13C(1H)−NMR分析により算出することができる。
前記無水物基(c)の含有ブロックや含有量は、必要とされる凝集力、ガラス転移温度、架橋ゴム(B)、熱可塑性樹脂(C)および/または熱可塑性エラストマー(D)との相溶性、反応点などに応じて適宜決めればよい。
アクリル系ブロック共重合体(A)は耐熱性や凝集力のさらなる向上の観点から、カルボキシル基(d)を含んでいてもよい。カルボキシル基(d)は、アクリル系ブロック共重合体(A)への酸無水物基(c)の導入の過程で生成することができる。
カルボキシル基(d)はメタアクリル系重合体ブロック(a)およびアクリル系重合体ブロック(b)のどちらか一方のブロックのみに含有していてもよいし、両方のブロックに含有していてもよく、アクリル系ブロック共重合体(A)の反応点や、アクリル系ブロック共重合体(A)を構成するブロックの凝集力やガラス転移温度、さらには必要とされるアクリル系ブロック共重合体(A)の物性などの観点から、目的に応じて、カルボキシル基(d)導入条件が好適になるよう使いわけることができる。特に限定されないが、アクリル系ブロック共重合体(A)の反応点の制御や、アクリル系ブロック共重合体(A)へのカルボキシル基(d)の導入容易性の点では、酸無水物基(c)を有するブロックと同じブロックに有することが好ましく、耐熱性や凝集力の点では、メタアクリル系重合体ブロック(a)に含有することがより好ましい。Tgや凝集力の高いカルボキシル基(d)をハードセグメントに導入することで、高温においてもよりゴム弾性を発現することが可能となるためである。また、アクリル系重合体ブロック(b)にカルボキシル基(d)を有する場合は、耐油性付与や、さらなるゴム弾性や圧縮永久歪み特性を付与するための架橋性の反応部位(架橋点)として利用することが可能であったり、架橋ゴムや、熱可塑性樹脂および/または熱可塑性エラストマーとの相溶性向上の点で好ましい。
カルボキシル基(d)の含有数は、重合体ブロック当たり少なくとも1つであることができ、その数が2以上である場合には、その単量体が重合されている様式はランダム共重合またはブロック共重合であることができる。a−b−a型のトリブロック共重合体を例にとって表わすと、(a/y)−b−a型、(a/y)−b−(a/y)型、y−a−b−a型、y−a−b−a−y型、a−(b/y)−a型、a−b−y−a型、a−y−b−y−a型、(a/y)−(b/y)−(a/y)型、y−a−y−b−y−a−y型などのいずれであってもよい。ここでyとは、カルボキシル基(d)を含む単量体または重合体ブロックを表し、(a/y)とは、メタアクリル系重合体ブロック(a)にカルボキシル基(d)を含む単量体が共重合されていることを表し、(b/y)とは、アクリル系重合体ブロック(b)にカルボキシル基(d)を含む単量体が共重合されていることを表す。
また、メタアクリル系重合体ブロック(a)あるいはアクリル系重合体ブロック(b)中でyの含有される部位と含有される様式は自由に設定してよく、目的に応じて使い分けることができる。
カルボキシル基(d)の含有量の好ましい範囲は、カルボキシル基(d)の凝集力、アクリル系ブロック共重合体(A)の構造および組成、アクリル系ブロック共重合体を構成するブロックの数、ならびに、カルボキシル基(d)の含有される部位および様式によって変化する。
カルボキシル基(d)の含有量の好ましい範囲を例示すると、アクリル系ブロック共重合体(A)を構成する単量体のうち、0〜50重量%であることが好ましい。より好ましくは0.1〜50重量%、とくに好ましくは0.5〜40重量%である。アクリル系ブロック共重合体(A)に耐熱性や凝集力がさらに必要な場合には、カルボキシル基(d)を50重量%までの範囲で導入することが好ましい。50重量%を超えるとカルボキシル基(d)は高温下で隣接するエステルユニットと環化しやすい傾向があることから、カルボキシル基(d)の導入操作が煩雑になる傾向がある。なお、カルボキシル基(d)を酸無水物基(c)の導入過程で生成させる場合、通常、0.1重量%以上生成する。0.1重量%未満の場合、カルボキシル基(d)をハードセグメントに導入すると、耐熱性や凝集力の向上が不充分となる場合がある。前記カルボキシル基(d)の含有量とはカルボキシル基(d)を元から有する単量体または反応などによりカルボキシル基を有する単量体の重量%を表す。この含有量は、13C(1H)−NMR分析により算出することができる。
<メタアクリル系重合体ブロック(a)>
メタアクリル系重合体ブロック(a)を構成する単量体は、前記アクリル系ブロック共重合体(A)を構成するメタアクリル系重合体ブロック(a)とアクリル系重合体ブロック(b)のガラス転移温度の関係、Tga>Tgbを満たすもので、所望する物性のアクリル系ブロック共重合体を得やすい点、コストおよび入手しやすさの点から、メタアクリル酸エステル、およびこれと共重合可能な他のビニル系単量体からなることが好ましい。また、酸無水物基(c)、カルボキシル基(d)を有する単量体をメタアクリル酸エステルとして含んでいても良い。メタアクリル酸エステルの割合は、メタアクリル系重合体ブロック(a)全体中、50重量%以上であることが好ましく、75重量%以上であることがより好ましい。50重量%未満であると、メタアクリル酸エステルの特徴である、耐候性、高いガラス転移点、樹脂との相溶性などが損なわれる場合がある。共重合可能な他のビニル系単量体の割合は、0〜50重量%が好ましく、より好ましくは0〜25重量%である。
メタアクリル系重合体ブロック(a)に必要とされる分子量は、メタアクリル系重合体ブロック(a)に必要とされる凝集力と、その重合に必要な時間などから決めればよい。
凝集力は、分子間の相互作用と絡み合いの度合いに依存するとされており、分子量を増やすほど絡み合い点が増加して凝集力を増加させる。すなわち、メタアクリル系重合体ブロック(a)に必要とされる分子量をMaとし、メタアクリル系重合体ブロック(a)を構成する重合体の絡み合い点間分子量をMcaとしてMaの範囲を例示すると、凝集力が必要な場合には、好ましくはMa>Mcaである。さらに例をあげると、さらなる凝集力が必要とされる場合には、好ましくはMa>2Mcaであり、逆に、ある程度の凝集力とクリープ性を両立させたいときは、Mca<Ma<2Mcaが好ましい。絡み合い点間分子量は、Wuらの文献(ポリマー エンジニアリングアンドサイエンス(Polym.Eng.and Sci.)、1990年、30巻、753頁)などを参照すればよい。
たとえば、メタアクリル系重合体ブロック(a)がすべてメタアクリル酸メチルから構成されているとして、凝集力が必要とされる場合のメタアクリル系重合体ブロック(a)の数平均分子量の範囲を例示すると、9200以上であることが好ましい。ただし、酸無水物基(c)をメタアクリル系重合体ブロック(a)に含有させれば、酸無水物基(c)による凝集力が付与されるので、分子量はこれより低く設定することができる。また、数平均分子量が大きいと重合時間が長くなる傾向があるため、必要とする生産性に応じて設定すればよいが、好ましくは200000以下、さらに好ましくは100000以下である。
メタアクリル系重合体ブロック(a)を構成するメタアクリル酸エステルとしては、たとえば、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸n−プロピル、メタアクリル酸n−ブチル、メタアクリル酸イソブチル、メタアクリル酸n−ペンチル、メタアクリル酸n−ヘキシル、メタアクリル酸n−ヘプチル、メタアクリル酸n−オクチル、メタアクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸ノニル、メタアクリル酸デシル、メタアクリル酸ドデシル、メタアクリル酸ステアリルなどのメタアクリル酸脂肪族炭化水素(たとえば炭素数1〜18のアルキル)エステル;メタアクリル酸シクロヘキシル、メタアクリル酸イソボルニルなどのメタアクリル酸脂環式炭化水素エステル;メタアクリル酸ベンジルなどのメタアクリル酸アラルキルエステル;メタアクリル酸フェニル、メタアクリル酸トルイルなどのメタアクリル酸芳香族炭化水素エステル;メタアクリル酸2−メトキシエチル、メタアクリル酸3−メトキシブチルなどのメタアクリル酸とエーテル性酸素を有する官能基含有アルコールとのエステル;メタアクリル酸トリフルオロメチル、メタアクリル酸トリフルオロメチルメチル、メタアクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、メタアクリル酸2−トリフルオロエチル、メタアクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、メタアクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、メタアクリル酸2−パーフルオロエチル、メタアクリル酸パーフルオロメチル、メタアクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、メタアクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、メタアクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、メタアクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、メタアクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチルなどのメタアクリル酸フッ化アルキルエステルなどがあげられる。これらは少なくとも1種用いられる。これらの中でも、組み合わせる熱可塑性樹脂との相溶性、コストおよび入手しやすさの点で、メタアクリル酸メチルが好ましい。
メタアクリル系重合体ブロック(a)を構成するメタアクリル酸エステルと共重合可能なビニル系単量体としては、たとえば、アクリル酸エステル、芳香族アルケニル化合物、シアン化ビニル化合物、共役ジエン系化合物、ハロゲン含有不飽和化合物、不飽和カルボン酸化合物、不飽和ジカルボン酸化合物、ビニルエステル化合物、マレイミド系化合物などをあげることができる。
アクリル酸エステルとしては、たとえば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ペンチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸n−ヘプチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリルなどのアクリル酸脂肪族炭化水素(たとえば炭素数1〜18のアルキル)エステル;アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニルなどのアクリル酸脂環式炭化水素エステル;アクリル酸フェニル、アクリル酸トルイルなどのアクリル酸芳香族炭化水素エステル;アクリル酸ベンジルなどのアクリル酸アラルキルエステル;アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸3−メトキシブチルなどのアクリル酸とエーテル性酸素を有する官能基含有アルコールとのエステル;アクリル酸トリフルオロメチルメチル、アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチル、アクリル酸パーフルオロメチル、アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチルなどのアクリル酸フッ化アルキルエステルなどをあげることができる。
芳香族アルケニル化合物としては、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレンなどをあげることができる。
シアン化ビニル化合物としては、たとえば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどをあげることができる。
共役ジエン系化合物としては、たとえば、ブタジエン、イソプレンなどをあげることができる。
ハロゲン含有不飽和化合物としては、たとえば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンなどをあげることができる。
不飽和カルボン酸化合物としては、たとえば、メタアクリル酸、アクリル酸などをあげることができる。
不飽和ジカルボン酸化合物としては、たとえば、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステルおよびジアルキルエステル、フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステルおよびジアルキルエステルなどをあげることができる。
ビニルエステル化合物としては、たとえば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニルなどをあげることができる。
マレイミド系化合物としては、たとえば、マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミドなどをあげることができる。
これらは少なくとも1種用いられる。これらのビニル系単量体は、アクリル系ブロック共重合体を、架橋ゴム(B)、熱可塑性樹脂(C)および/または熱可塑性エラストマー(D)と組み合わせる場合の相溶性によって好ましいものを選択することができる。また、メタアクリル酸メチルの重合体は熱分解によりほぼ定量的に解重合するが、それを抑えるために、アクリル酸エステル、たとえば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−メトキシエチルもしくはそれらの混合物、または、スチレンなどを共重合することができる。また、さらなる耐油性の向上を目的として、アクリロニトリルを共重合することができる。
メタアクリル系重合体ブロック(a)のガラス転移温度は、好ましくは100℃以上、より好ましくは110℃以上である。ガラス転移温度が100℃未満では、高温でのゴム弾性が低下する。
メタアクリル系重合体ブロック(a)のガラス転移温度(Tg)の設定は、前記のFox式に従い、各重合体部分の単量体の重量比率を設定することにより行なうことができる。ここで、ガラス転移温度とは、各重合単量体のガラス転移温度としてPolymer Handbook Third Edition(Wiley−Interscience 1989)記載の値を用いて、各単量体の重合比率を用いて、Fox式にしたがって計算したものとする。
<アクリル系重合体ブロック(b)>
アクリル系重合体ブロック(b)を構成する単量体は、前記アクリル系ブロック共重合体(A)を構成するメタアクリル系重合体ブロック(a)とアクリル系重合体ブロック(b)のガラス転移温度の関係、Tga>Tgbを満たすもので、所望する物性の組成物を得やすい点、コストおよび入手しやすさの点から、アクリル酸エステルおよびこれと共重合可能なビニル系単量体からなることが好ましい。また、酸無水物基(c)、カルボキシル基(d)を有する単量体をアクリル酸エステルとして含んでいても良い。アクリル酸エステルの割合は、アクリル系重合体ブロック(b)全体中、50重量%以上であることが好ましく、70重量%以上であることがより好ましい。50重量%未満であると、アクリル酸エステルを用いる場合の特徴である組成物の物性、とくに耐衝撃性や柔軟性、耐油性が損なわれる場合がある。共重合可能な他のビニル系単量体の割合は、0〜50重量%が好ましく、より好ましくは0〜30重量%である。
アクリル系重合体ブロック(b)に必要とされる分子量は、アクリル系重合体ブロック(b)に必要とされる弾性率とゴム弾性、その重合に必要な時間などから決めればよい。
弾性率は、分子鎖の動き易さとその分子量に密接な関連があり、ある一定以上の分子量でないと本来の弾性率を示さない。ゴム弾性についても同様であるが、ゴム弾性の観点からは、分子量が大きい方が望ましい。すなわち、アクリル系重合体ブロック(b)に必要とされる分子量をMbとしてその範囲を例示すると、好ましくはMb>3000、より好ましくはMb>5000、さらに好ましくはMb>10000、とくに好ましくはMb>20000、最も好ましくはMb>40000である。ただし、数平均分子量が大きいと重合時間が長くなる傾向があるため、必要とする生産性に応じて設定すればよいが、好ましくは500000以下であり、さらに好ましくは300000以下である。
アクリル系重合体ブロック(b)を構成するアクリル酸エステルとしては、メタアクリル系重合体ブロック(a)に用いられる前記アクリル酸エステルと同様のものをあげることができる。これらは少なくとも1種用いられる。
これらの中でも、耐衝撃性、圧縮永久歪、コスト、および入手しやすさの点で、アクリル酸n−ブチルが好ましい。また、耐油性が必要な場合は、アクリル酸エチルが好ましい。また、柔軟性や低温特性、より低硬度な材料が必要な場合はアクリル酸2−エチルヘキシルが好ましい。また、柔軟性と機械強度のバランス、およびより低硬度な材料が必要なときにはアクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルの混合物が好ましい。さらに、耐油性と低温特性を両立させたいときにはアクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−メトキシエチルの混合物が好ましい。また、耐油性と柔軟性が必要なときには、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−メトキシエチルの混合物が好ましい。
アクリル系重合体ブロック(b)を構成するアクリル酸エステルと共重合可能なビニル系単量体としては、たとえば、メタアクリル酸エステル、芳香族アルケニル化合物、シアン化ビニル化合物、共役ジエン系化合物、ハロゲン含有不飽和化合物、不飽和ジカルボン酸化合物、ビニルエステル化合物、マレイミド系化合物などをあげることができ、これらの具体例としては、メタアクリル系重合体ブロック(a)に用いられる前記のものと同様のものをあげることができる。
これらは少なくとも1種用いられる。これらのビニル系単量体は、アクリル系重合体ブロック(b)に要求されるガラス転移温度、弾性率、極性、また、組成物に要求される物性、架橋ゴム、熱可塑性樹脂および/または熱可塑性エラストマーとの相溶性などの観点から好ましいものを選択することができる。たとえば、組成物の耐油性の向上を目的としてアクリロニトリルを共重合することができる。
アクリル系重合体ブロック(b)のガラス転移温度は、好ましくは50℃以下、より好ましくは0℃以下である。ガラス転移温度が50℃より高いと、アクリル系ブロック共重合体(A)のゴム弾性が低下する場合がある。
アクリル系重合体ブロック(b)のガラス転移温度(Tg)の設定は、前記のFox式に従い、各重合体部分の単量体の重量比率を設定することにより行なうことができる。ここで、ガラス転移温度とは、各重合単量体のガラス転移温度としてPolymer Handbook Third Edition(Wiley−Interscience 1989)記載の値を用い、各単量体の重合比率を用いて、Fox式にしたがって計算したものとする。
<酸無水物基(c)>
酸無水物基(c)は、アミノ基、水酸基、エポキシ基などを有する化合物との反応性を有することから、重合体を変性する場合の反応点として、架橋ゴム、熱可塑性樹脂および/または熱可塑性エラストマーとブレンドする場合の相溶性改良部位として、ソフトセグメントにさらなるゴム弾性を付与する際の架橋点として用いることができるなどの特徴を有する。また、酸無水物基(c)はガラス転移温度(Tg)が高いことから、ハードセグメントに導入した場合には、アクリル系ブロック共重合体(A)の耐熱性を向上させる効果を有する。酸無水物基を有する重合体のガラス転移温度は、たとえば、ポリメタアクリル酸無水物が159℃と高く、これらを構成する単位を導入することでアクリル系ブロック共重合体の耐熱性を向上することができる。
前記酸無水物基(c)の導入方法としては、酸無水物基の前駆体となる形でアクリル系ブロック共重合体に導入し、そののちに環化させることが好ましい。特に限定されないが、一般式(2):
Figure 0004493498
(式中、R2は水素またはメチル基を表す。R3は水素、メチル基、またはフェニル基を表し、少なくともひとつのメチル基を含むこと以外は互いに同一でも異なっていてもよい)で表わされる単位を少なくともメタアクリル系重合体ブロック(a)かメタアクリル系重合体ブロック(b)の何れかに、少なくとも1つ有することを特徴とするアクリル系ブロック共重合体(A’)を、180〜300℃の温度で溶融混練して環化導入することが好ましい。
アクリル系ブロック共重合体への一般式(2)で表される単位の導入は、一般式(2)に由来するアクリル酸エステル、またはメタアクリル酸エステル単量体を共重合することによって行なうことができる。
一般式(2)で表される単位は、高温下で隣接するエステルユニットと脱離、環化し、酸無水物基を生成する(たとえば、畑田(Hatada)ら、J.M.S.−PURE APPL.CHEM.,A30(9&10),PP.645−667(1993)参照)。これらによると、一般的に、エステルユニットが嵩高く、β−水素を有する重合体は、高温下でエステルユニットが分解し、それに引き続き、環化が起こり酸無水物基が生成する。これらの方法を利用することで、アクリル系ブロック共重合体中に、容易に酸無水物基を導入することができる。
特に限定されないが、具体的にはこのような単量体として、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸α,α−ジメチルベンジル、アクリル酸α−メチルベンジル、メタアクリル酸t−ブチル、メタアクリル酸イソプロピル、メタアクリル酸α,α−ジメチルベンジル、メタアクリル酸α−メチルベンジルなどがあげられる。このなかでも、入手容易性や重合容易性、酸無水物基生成容易性などの点からアクリル酸t−ブチル、メタアクリル酸t−ブチルが好ましい。
前記酸無水物基の形成はアクリル系ブロック共重合体(A’)を高温下で加熱することが好ましく、特に限定されないが、180〜300℃で加熱することが好ましい。180℃より低いと酸無水物基の生成が不充分となる場合があり、300℃より高くなると、重合体(A’)自体が分解する場合がある。
<カルボキシル基(d)およびカルボキシル基(e)>
カルボキシル基は強い凝集力をもち、カルボキシル基を有する単量体はガラス転移温度(Tg)が高く、アクリル系ブロック共重合体の耐熱性を向上させる効果を有する。ヒドロキシル基などの官能基も水素結合能を有するが、カルボキシル基を有する単量体に比較するとTgも低く、耐熱性を向上させる効果は小さい。よって、アクリル系ブロック共重合体(A)の耐熱性や凝集力のさらなる向上の点から、カルボキシル基(d)および/またはカルボキシル基(e)を含んでいてもよい。
カルボキシル基(d)の導入方法については、特に限定されないが導入容易性の点などからアクリル系ブロック共重合体(A)への酸無水物基(c)の導入の過程で生成させることが好ましい。
以下に、その方法について説明する。
一般式(2)で示される単位を有するアクリル系ブロック共重合体(A’)において、一般式(2)で示される単位は、高温下で隣接するエステルユニットと脱離、環化し、酸無水物基(c)を生成する。この際、エステルユニットが分解してカルボキシル基(d)を生成し、それに引き続き、環化が起こり酸無水物基(c)が生成する経路を一部有する。これを利用して、一般式(2)で示される単位の種類や含有量に応じて、加熱温度や時間を適宜調整することでカルボキシル基(d)を導入することができる。具体的には、アクリル系ブロック共重合体(A’)を重合体溶液の状態で加圧下で加熱してもよく、アクリル系ブロック共重合体(A’)を直接、加熱、溶融してもよい。製造の簡便さなどの点で、アクリル系ブロック共重合体(A’)を溶融混練することがより好ましい。アクリル系ブロック共重合体(A’)を溶融混練する際、溶融混練時間(押出機を用いた場合は押出機中での滞留時間)は、溶融混練する温度、スクリュー構成、L/D(スクリュー有効長さLとスクリュー径Dの比)、スクリュー回転数などに応じて適宜決めればよい。この方法では、カルボキシル基(d)が高温下で隣接するエステルユニットと環化しやすい傾向にあることから、カルボキシル基(d)を50重量%を超えて導入する場合には、導入操作が煩雑になる傾向がある。また、成形加工後の物性が変化し、安定した物性の製品を得ることが困難になる傾向がある。
また、アクリル系ブロック共重合体(A)にさらなる耐熱性が必要とされる場合、カルボキシル基(e)を導入することもできる。カルボキシル基(e)の導入方法としては、アクリル系ブロック共重合体(A)の酸無水物基を加水分解して開環することにより導入することが、コスト面や製造の簡便性の点で好ましい。上述したように、アクリル系ブロック共重合体(A)への酸無水物基(c)の導入の過程でカルボキシル基(d)を生成させる方法では、カルボキシル基(d)は隣接するエステルユニットと環化しやすい傾向があることから、50重量%を超えるとカルボキシル基(d)の導入操作が煩雑になる傾向があるためである。一方、カルボキシル基を有する単量体を重合条件下で直接重合して導入する場合には、カルボキシル基を有する単量体が重合時に触媒を失活させてしまう場合がある。特開2001−234147号公報、特開平10−298248号公報などには、カルボキシル基を適当な保護基で保護した形、または、カルボキシル基の前駆体となる官能基の形でアクリル系ブロック共重合体に導入し、そののち、選択的な分解を行なうことにより、カルボキシル基を導入する方法が記載されているが、コスト面で問題があったり、製造が煩雑になるなどの傾向がある。
前記カルボキシル基(e)は、酸無水物基(c)を加水分解して生成したものを意味するが、酸無水物基(c)の導入の過程で生成したカルボキシル基(d)と区別する必要はなく、カルボキシル基(d)を有する単量体とカルボキシル基(e)を有する単量体の合計にて、アクリル系ブロック共重合体(A)を構成する単量体のうち、50重量%以上導入することが簡便にできる。さらに、酸無水物基(c)をすべて加水分解することにより、官能基として、カルボキシル基のみを有するブロック共重合体を得ることもできる。
このようなアクリル系ブロック共重合体は、アクリル系ブロック共重合体(A)の酸無水物基(c)を加水分解して開環することにより好適に製造できる。加水分解してカルボキシル基(e)を導入する方法は特に限定されず、アクリル系ブロック共重合体(A)を水と共に加圧下にて加熱してもよく、アクリル系ブロック共重合体(A)を水と共に溶融混練してもよい。製造の簡便性、コスト面から(A)を水とともに溶融混練することが好ましい。
前記アクリル系ブロック共重合体(A)を水と共に加圧下にて加熱する方法としては、耐圧性の反応容器で行なうことができる。また、前記アクリル系ブロック共重合体(A)を水と共に溶融混練する方法としては、加熱と混練とを同時に行ない得る種々の装置中で行なうことが可能であって、たとえば通常のゴムの加工に用いられるバンバリー、ニーダー、単軸または多軸の押出機などがあげられる。カルボキシル基への反応性や、製造の簡便さなどの点で、押出し機が好適に用いられ、密閉式の押出し機がより好適に用いられる。前記アクリル系ブロック共重合体(A)を溶融混練する際、溶融混練時間(押出し機を用いた場合は押出し機中での滞留時間)は、溶融混練する温度、スクリュー構成、L/D(スクリュー有効長さLとスクリュー径Dの比)、スクリュー回転数などに応じて適宜決めればよい。
カルボキシル基(d)および/またはカルボキシル基(e)を有する重合体のガラス転移温度は、たとえば、ポリメタアクリル酸が228℃と高く、これらを構成する単量体を導入することでアクリル系ブロック共重合体(A)の耐熱性を向上できる。
また、カルボキシル基の含有量は、アクリル系ブロック共重合体(A)に必要とされる物性などに応じて適宜設定すればよい。
<アクリル系ブロック共重合体(A’)の製法>
前記アクリル系ブロック共重合体(A’)を製造する方法としては、とくに限定されないが、高分子開始剤を用いた制御重合を用いることが好ましい。制御重合としては、リビングアニオン重合や連鎖移動剤を用いるラジカル重合、近年開発されたリビングラジカル重合があげられる。なかでも、リビングラジカル重合が、アクリル系ブロック共重合体の分子量および構造の制御の点から好ましい。
リビングラジカル重合は、重合末端の活性が失われることなく維持されるラジカル重合である。リビング重合とは狭義においては、末端が常に活性をもち続ける重合のことを指すが、一般には、末端が不活性化されたものと活性化されたものが平衡状態にある擬リビング重合も含まれる。ここでの定義も後者である。リビングラジカル重合は、近年様々なグループで積極的に研究がなされている。
その例としては、ポリスルフィドなどの連鎖移動剤を用いるもの、コバルトポルフィリン錯体(ジャーナルオブアメリカンケミカルソサエティ(J.Am.Chem.Soc.)、1994年、116巻、7943頁)やニトロキシド化合物などのラジカル捕捉剤を用いるもの(マクロモレキュールズ(Macromolecules)、1994年、27巻、7228頁)、有機ハロゲン化物などを開始剤とし遷移金属錯体を触媒とする原子移動ラジカル重合(Atom Transfer Radical Polymerization:ATRP)などをあげることができる。本発明において、これらのうちどの方法を使用するかはとくに制約はないが、制御の容易さの点などから原子移動ラジカル重合が好ましい。
原子移動ラジカル重合は、有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤とし、周期律表第7族、8族、9族、10族または11族元素を中心金属とする金属錯体を触媒として重合される(たとえば、マティジャスツェウスキー(Matyjaszewski)ら、ジャーナルオブアメリカンケミカルソサエティ(J.Am.Chem.Soc.)、1995年、117巻、5614頁、マクロモレキュールズ(Macromolecules)、1995年、28巻、7901頁、サイエンス(Science)、1996年、272巻、866頁、または、澤本(Sawamoto)ら、マクロモレキュールズ(Macromolecules)、1995年、28巻、1721頁参照)。
これらの方法によると、一般的に、非常に重合速度が高く、ラジカル同士のカップリングなどの停止反応が起こりやすいラジカル重合でありながら、重合がリビング的に進行し、分子量分布の狭い(Mw/Mn=1.1〜1.5)重合体が得られ、分子量を単量体と開始剤の仕込み比によって自由にコントロールすることができる。
原子移動ラジカル重合法において、開始剤として用いられる有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物としては、1官能性、2官能性、または、多官能性の化合物が使用できる。これらは目的に応じて使い分ければよいが、ジブロック共重合体を製造する場合は、開始剤の入手のしやすさの点から1官能性化合物が好ましく、a−b−a型のトリブロック共重合体、b−a−b型のトリブロック共重合体を製造する場合は、反応工程数、時間の短縮の点から2官能性化合物を使用するのが好ましく、分岐状ブロック共重合体を製造する場合は、反応工程数、時間の短縮の点から多官能性化合物を使用するのが好ましい。
また、前記開始剤として高分子開始剤を用いることも可能である。高分子開始剤とは、有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物のうち、分子鎖末端にハロゲン原子の結合した重合体からなる化合物である。このような高分子開始剤は、リビングラジカル重合法以外の制御重合法でも製造することが可能であるため、異なる重合法で得られる重合体を結合したブロック共重合体が得られるという特徴がある。
1官能性化合物としては、たとえば、
65−CH2X、
65−C(H)(X)−CH3
65−C(X)(CH32
4−C(H)(X)−COOR5
4−C(CH3)(X)−COOR5
4−C(H)(X)−CO−R5
4−C(CH3)(X)−CO−R5
4−C64−SO2
で示される化合物などがあげられる。
式中、C65はフェニル基、C64はフェニレン基(オルト置換、メタ置換、パラ置換のいずれでもよい)を表わす。R4は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、または、炭素数7〜20のアラルキル基を表わす。Xは、塩素、臭素またはヨウ素を表わす。R5は炭素数1〜20の一価の有機基を表わす。
4として、炭素数1〜20のアルキル基(脂環式炭化水素基を含む)の具体例としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、イソボルニル基などがあげられる。炭素数6〜20のアリール基の具体例としては、たとえば、フェニル基、トリイル基、ナフチル基などがあげられる。炭素数7〜20のアラルキル基の具体例としては、たとえば、ベンジル基、フェネチル基などがあげられる。
5である炭素数1〜20の1価の有機基の具体例としては、たとえばR4と同様の基などがあげられる。
1官能性化合物の具体例としては、たとえば、臭化トシル、2−臭化プロピオン酸メチル、2−臭化プロピオン酸エチル、2−臭化プロピオン酸ブチル、2−臭化イソ酪酸メチル、2−臭化イソ酪酸エチル、2−臭化イソ酪酸ブチルなどがあげられる。これらのうちでは、2−臭化プロピオン酸エチル、2−臭化プロピオン酸ブチルが、アクリル酸エステル単量体の構造と類似しているために重合を制御しやすい点から好ましい。
2官能性化合物としては、たとえば、
X−CH2−C64−CH2−X、
X−CH(CH3)−C64−CH(CH3)−X、
X−C(CH32−C64−C(CH32−X、
X−CH(COOR6)−(CH2n−CH(COOR6)−X、
X−C(CH3)(COOR6)−(CH2n−C(CH3)(COOR6)−X
X−CH(COR6)−(CH2n−CH(COR6)−X、
X−C(CH3)(COR6)−(CH2n−C(CH3)(COR6)−X、
X−CH2−CO−CH2−X、
X−CH(CH3)−CO−CH(CH3)−X、
X−C(CH32−CO−C(CH32−X、
X−CH(C65)−CO−CH(C65)−X、
X−CH2−COO−(CH2n−OCO−CH2−X、
X−CH(CH3)−COO−(CH2n−OCO−CH(CH3)−X、
X−C(CH32−COO−(CH2n−OCO−C(CH32−X、
X−CH2−CO−CO−CH2−X、
X−CH(CH3)−CO−CO−CH(CH3)−X、
X−C(CH32−CO−CO−C(CH32−X、
X−CH2−COO−C64−OCO−CH2−X、
X−CH(CH3)−COO−C64−OCO−CH(CH3)−X、
X−C(CH32−COO−C64−OCO−C(CH32−X、
X−SO2−C64−SO2−X
で示される化合物などがあげられる。
式中、R6は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20アリール基、または、炭素数7〜20アラルキル基を表わす。nは0〜20の整数を表わす。C65、C64、Xは、前記と同様である。
6の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基の具体例は、R4の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基の具体例と同じである。
2官能性化合物の具体例としては、たとえば、ビス(ブロモメチル)ベンゼン、ビス(1−ブロモエチル)ベンゼン、ビス(1−ブロモイソプロピル)ベンゼン、2,3−ジブロモコハク酸ジメチル、2,3−ジブロモコハク酸ジエチル、2,3−ジブロモコハク酸ジブチル、2,4−ジブロモグルタル酸ジメチル、2,4−ジブロモグルタル酸ジエチル、2,4−ジブロモグルタル酸ジブチル、2,5−ジブロモアジピン酸ジメチル、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル、2,5−ジブロモアジピン酸ジブチル、2,6−ジブロモピメリン酸ジメチル、2,6−ジブロモピメリン酸ジエチル、2,6−ジブロモピメリン酸ジブチル、2,7−ジブロモスベリン酸ジメチル、2,7−ジブロモスベリン酸ジエチル、2,7−ジブロモスベリン酸ジブチルなどがあげられる。これらのうちでは、ビス(ブロモメチル)ベンゼン、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル、2,6−ジブロモピメリン酸ジエチルが、原料の入手性の点から好ましい。
多官能性化合物としては、たとえば、
63−(CH2−X)3
63−(CH(CH3)−X)3
63−(C(CH32−X)3
63−(OCO−CH2−X)3
63−(OCO−CH(CH3)−X)3
63−(OCO−C(CH32−X)3
63−(SO2−X)3
で示される化合物などがあげられる。
式中、C63は三価のフェニル基(3つの結合手の位置は1位〜6位のいずれにある組み合わせでもよい)、Xは前記と同じである。
多官能性化合物の具体例としては、たとえば、トリス(ブロモメチル)ベンゼン、トリス(1−ブロモエチル)ベンゼン、トリス(1−ブロモイソプロピル)ベンゼンなどがあげられる。これらのうちでは、トリス(ブロモメチル)ベンゼンが、原料の入手性の点から好ましい。
なお、重合を開始する基以外に、官能基をもつ有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物を用いると、容易に末端または分子内に重合を開始する基以外の官能基が導入された重合体が得られる。このような重合を開始する基以外の官能基としては、アルケニル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、シリル基などがあげられる。
前記開始剤として用いることができる有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物は、ハロゲン基(ハロゲン原子)が結合している炭素がカルボニル基またはフェニル基などと結合しており、炭素−ハロゲン結合が活性化されて重合が開始する。使用する開始剤の量は、必要とするアクリル系ブロック共重合体の分子量に合わせて、単量体とのモル比から決定すればよい。すなわち、開始剤1分子あたり、何分子の単量体を使用するかによって、アクリル系ブロック共重合体の分子量を制御することができる。
前記原子移動ラジカル重合の触媒として用いられる遷移金属錯体としては、とくに限定はないが、好ましいものとして、1価および0価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄、ならびに、2価のニッケルの錯体があげられる。
これらの中でも、コストや反応制御の点から銅の錯体が好ましい。1価の銅化合物としては、たとえば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅などがあげられる。その中でも塩化第一銅、臭化第一銅が、重合の制御の観点から好ましい。1価の銅化合物を用いる場合、触媒活性を高めるために、2,2′−ビピリジル、その誘導体(たとえば4,4′−ジノリル−2,2′−ビピリジル、4,4′−ジ(5−ノリル)−2,2′−ビピリジルなど)などの2,2′−ビピリジル系化合物;1,10−フェナントロリン、その誘導体(たとえば4,7−ジノリル−1,10−フェナントロリン、5,6−ジノリル−1,10−フェナントロリンなど)などの1,10−フェナントロリン系化合物;テトラメチルジエチレントリアミン(TMEDA)、ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチル(2−アミノエチル)アミンなどのポリアミンなどを配位子として添加してもよい。
また、2価の塩化ルテニウムのトリストリフェニルホスフィン錯体(RuCl2(PPh33)も触媒として好ましい。ルテニウム化合物を触媒として用いる場合は、活性化剤としてアルミニウムアルコキシド類を添加してもよい。さらに、2価の鉄のビストリフェニルホスフィン錯体(FeCl2(PPh32)、2価のニッケルのビストリフェニルホスフィン錯体(NiCl2(PPh32)、及び、2価のニッケルのビストリブチルホスフィン錯体(NiBr2(PBu32)も、触媒として好ましい。
使用する触媒、配位子および活性化剤は、とくに限定されないが、使用する開始剤、単量体および溶媒と必要とする反応速度の関係から適宜決定すればよい。たとえば、アクリル酸エステルなどのアクリル系単量体の重合には、高分子鎖の成長末端が炭素−臭素結合をもつことが重合の制御の点から好ましいことから、使用する開始剤が有機臭化物または臭化スルホニル化合物であり、溶媒がアセトニトリルであることが好ましく、臭化銅、好ましくは臭化第一銅に含まれる銅を中心金属とする金属錯体触媒を用い、ペンタメチルジエチレントリアミンなどの配位子を用いることが好ましい。また、メタアクリル酸エステルなどのメタアクリル系単量体の重合には、高分子鎖の成長末端が炭素−塩素結合をもつことが重合の制御の点から好ましいことから、使用する開始剤が有機塩化物または塩化スルホニル化合物であり、溶媒がアセトニトリル、必要に応じてトルエンなどとの混合溶媒であることが好ましく、塩化銅、好ましくは塩化第一銅に含まれる銅を中心金属とする金属錯体触媒を用い、ペンタメチルジエチレントリアミンなどの配位子を用いることが好ましい。
使用する触媒、配位子の量は、使用する開始剤、単量体および溶媒の量と必要とする反応速度の関係から決定すればよい。たとえば、分子量の高い重合体を得ようとする場合には、分子量の低い重合体を得ようとする場合よりも、開始剤/単量体の比を小さくしなければならないが、そのような場合に、触媒、配位子を多くして、反応速度を増大させることができる。また、ガラス転移点が室温より高い重合体が生成する場合、系の粘度を下げて撹拌効率を上げるために適当な有機溶媒を添加した場合には、反応速度が低下する傾向があるが、そのような場合には、触媒、配位子を多くして、反応速度を増大させることができる。
前記原子移動ラジカル重合は、無溶媒中で(塊状重合)、または、各種の溶媒中で行なうことができる。また、塊状重合、各種の溶媒中で行なう重合において、重合を途中で停止させることもできる。
前記溶媒としては、たとえば、炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、アルコール系溶媒、ニトリル系溶媒、エステル系溶媒、カーボネート系溶媒などを用いることができる。
炭化水素系溶媒としては、ベンゼン、トルエンなどをあげることができる。エーテル系溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどをあげることができる。ハロゲン化炭化水素系溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルムなどをあげることができる。ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどをあげることができる。アルコール系溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノールなどをあげることができる。ニトリル系溶媒としては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどをあげることができる。エステル系溶媒としては、酢酸エチル、酢酸ブチルなどをあげることができる。カーボネート系溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどをあげることができる。
上記であげた溶媒は、少なくとも1種用いることができる。
溶媒を使用する場合、その使用量は、系全体の粘度と必要とする撹拌効率の関係から適宜決定すればよい。また、塊状重合、各種の溶媒中で行なう重合において重合を途中で停止させる場合においても、反応を停止させる点での単量体の転化率は、系全体の粘度と必要とする撹拌効率の関係から適宜決定すればよい。
前記重合は、23℃〜200℃の範囲、好ましくは50〜150℃の範囲で行なうことができる。
前記重合により、アクリル系ブロック共重合体を製造するには、単量体を逐次添加する方法、あらかじめ合成した重合体を高分子開始剤として次のブロックを重合する方法、別々に重合した重合体を反応により結合する方法などがあげられる。これらの方法はいずれによってもよく、目的に応じて使い分ければよい。製造工程の簡便性の点からは単量体の逐次添加による方法が好ましい。また、前のブロックの単量体が残存して次のブロックに共重合してしまうことを避けたい場合には、あらかじめ合成した重合体を高分子開始剤として次のブロックを重合する方法が好ましい。
以下に、単量体の逐次添加による場合、あらかじめ合成した重合体を高分子開始剤として次のブロックを重合する場合について詳細に説明するが、本発明のアクリル系ブロック共重合体の製造方法を限定するものでは全くない。
単量体の逐次添加による場合、先に重合させるべく仕込んだ単量体の転化率が80〜95%の時点で、つぎに重合させたい単量体を仕込むことが望ましい。転化率が95%をこえるまで重合を進行させた場合には、高分子鎖の成長反応が高確率でおさえられる。また、高分子ラジカル同士が反応しやすくなるために、不均化、カップリング、連鎖移動などの副反応が起こりやすくなる傾向がある。転化率が80%未満の時点でつぎに重合させたい単量体を仕込んだ場合には、先に重合させるために仕込んだ単量体がつぎに重合させたい単量体と混合して共重合してしまうことが問題となる場合がある。
また、この場合、単量体の添加の順序として、まずアクリル系単量体を仕込んで重合させたのちにメタアクリル系単量体を仕込んで重合させる方法(p1)と、まずメタアクリル系単量体を仕込んで重合させたのちにアクリル系単量体を仕込んで重合させる方法(q1)とが考えられるが、まずアクリル系単量体を仕込んで重合させたのちにメタアクリル系単量体を仕込んで重合させる方法(p1)が、重合の制御の観点から好ましい。これは、アクリル系重合体ブロックの末端からメタクリル系重合体ブロックを成長させることが好ましいからである。
あらかじめ合成した重合体を高分子開始剤として次のブロックを重合する方法として、たとえば、1つ目のブロックの重合を、所望の時点で、リビング状態で一旦温度を下げ、重合を止めて、1つ目のブロックの単量体を減圧留去などしたのち、2つ目のブロックの単量体を添加する方法があげられる。3つ目以降のブロックを重合させたい場合にも、2つ目のブロックの場合と同様に操作すればよい。この方法では、2つ目以降のブロックの重合時に、残存した前のブロックの単量体が共重合してしまうことを避けることができる。
また、この場合、ブロックの重合の順序として、まずアクリル系ブロックを重合させたのちにメタアクリル系ブロックを重合させる方法(p2)と、まずメタアクリル系ブロックを重合させたのちにアクリル系ブロックを重合させる方法(q2)とが考えられるが、まずアクリル系ブロックを重合させたのちにメタアクリル系ブロックを重合させる方法(p2)が重合の制御の観点から好ましい。これは、アクリル系重合体ブロックの末端からメタアクリル系重合体ブロックを成長させることが好ましいからである。
ここで、アクリル系単量体、メタアクリル系単量体などの転化率の求め方について説明する。転化率を求めるのには、ガスクロマトグラフ(GC)法、重量法などが適用可能である。GC法は、重合系の反応液を反応開始前および反応途中で随時サンプリングしてGC測定し、単量体と重合系内にあらかじめ添加された内部標準物質との存在比から、単量体の消費率を求める方法である。この方法の利点は、複数の単量体が系内に存在している場合でも、それぞれの転化率を独立して求めることができることである。重量法は、重合系の反応液をサンプリングして、その乾燥前の重量と乾燥後の重量から固形分濃度を求め、単量体の全体しての転化率を求める方法である。この方法の利点は、簡単に転化率を求めることができることである。これらの方法のうち、複数の単量体が系内に存在する場合、たとえば、メタアクリル系単量体の共重合成分としてアクリル系単量体が含まれている場合などには、GC法が好ましい。
重合によって得られた反応液は、重合体と金属錯体の混合物を含んでおり、カルボキシル基、もしくは、スルホニル基を含有する有機酸を添加して金属錯体と金属塩を生成させ、生成した金属錯体を濾過などにより、固形分を除去し、引き続き、塩基性活性アルミナ、塩基性吸着剤、固体無機酸、陰イオン交換樹脂、セルロース陰イオン交換体吸着処理により溶液中に残存する酸などの不純物を除去することで、アクリル系ブロック共重合体溶液を得ることができる。
このようにして得られた重合体溶液は、引き続き、蒸発操作により重合溶媒及び未反応モノマーを除去して、アクリル系ブロック共重合体を単離する。蒸発方式としては薄膜蒸発方式、フラッシュ蒸発方式、押出しスクリューを備えた横型蒸発方式などを用いることができる。アクリル系ブロック共重合体は粘着性を有するため、上記蒸発方式の中でも押出しスクリューを備えた横型蒸発方式単独、あるいは他の蒸発方式と組み合わせることにより効率的な蒸発が可能である。
<アクリル系ブロック共重合体(A)の製法>
アクリル系ブロック共重合体(A)は、アクリル系ブロック共重合体(A’)を高温下180〜300℃で加熱する方法が好ましく用いられる。その際、アクリル系ブロック共重合体(A’)を重合体溶液の状態で加圧下で加熱してもよく、重合体溶液から溶剤を蒸発、除去しながら加熱してもよく、アクリル系ブロック共重合体(A’)を直接、加熱溶融してもよいが、酸無水物基への反応性や、製造の簡便さなどの点で、アクリル系ブロック共重合体(A’)を直接、加熱溶融することが好ましい。さらには、アクリル系ブロック共重合体(A’)を溶融混練することがより好ましい。
アクリル系ブロック共重合体(A’)を重合体溶液の状態で加熱する方法としては、耐圧性の反応容器で行なうことができる。また、アクリル系ブロック共重合体(A’)を重合体溶液から溶剤を蒸発、除去しながら加熱する方法としては、押し出しスクリューを備えた横型蒸発方式などを用いることができる。アクリル系ブロック共重合体(A’)を直接、加熱溶融する方法としては、プレス機や射出成形機などを用いることができる。
更に反応を効率よく進めるためには、アクリル系ブロック共重合体(A’)を溶融混練する方法があげられ、加熱と混練とを同時に行ない得る種々の装置中で行なうことが可能であって、たとえば通常のゴムの加工に用いられるバンバリー、ニーダー、単軸または多軸の押出機などがあげられる。特に限定されないが、酸無水物基への反応性や、製造の簡便さなどの点で、押出機が好適に用いられる。アクリル系ブロック共重合体(A’)を溶融混練する際、溶融混練時間(押出機を用いた場合は押出機中での滞留時間)は、溶融混練する温度、スクリュー構成、L/D(スクリュー有効長さLとスクリュー径Dの比)、スクリュー回転数などに応じて適宜決めればよい。
<組成物>
本発明のアクリル系ブロック共重合体(A)は、架橋ゴム(B)、熱可塑性樹脂(C)、熱可塑性エラストマー(D)、滑剤(E)、無機充填剤(F)、安定剤(G)からなる群より選ばれる少なくとも1種を配合した組成物として用いることができる。また、それらの組成物はシール製品などとして好適に使用することができる。
特に限定されないが、たとえば以下のような場合に、アクリル系ブロック共重合体(A)と、架橋ゴム(B)、熱可塑性樹脂(C)、熱可塑性エラストマー(D)、滑剤(E)、無機充填剤(F)、安定剤(G)を配合し、好適に使用することができる。
アクリル系ブロック共重合体(A)に架橋ゴム(B)を加え、アクリル系ブロック共重合体(A)にゴム弾性を付与したり、低温特性等の物性を改善する場合や、架橋ゴム(B)にアクリル系ブロック共重合体(A)を加えることで熱可塑性を付与し、架橋ゴム(B)の加工性およびリサイクル性を改善する場合;アクリル系ブロック共重合体(A)に熱可塑性樹脂(C)および/または熱可塑性エラストマー(D)を加えてアクリル系ブロック共重合体(A)の硬度を調整したり、機械特性、低温特性等の物性を改善する場合や、熱可塑性樹脂(C)および/または熱可塑性エラストマー(D)にアクリル系ブロック共重合体(A)を軟質化剤として添加し、熱可塑性樹脂(C)および/または熱可塑性エラストマー(D)の高弾性率を維持しつつ、硬度を調整したり圧縮永久歪み特性を改善する場合;アクリル系ブロック共重合体(A)の反応性を利用して、2種以上の架橋ゴム(B)および/または熱可塑性樹脂(C)および/または熱可塑性エラストマー(D)にアクリル系ブロック共重合体(A)を相溶化剤として添加して、機械特性を改善する場合などがある。また、アクリル系ブロック共重合体(A)またはその組成物に、滑剤(E)と無機充填剤(G)を加えて、アクリル系ブロック共重合体(A)またはその組成物の表面の摩擦性を小さくしたり、弾性率などの機械特性を改善したり、さらには加工性を改善する場合などがある。安定剤(G)は加工時の熱劣化や酸劣化を防いだり、製品の耐熱性や耐候性等を改善する場合に使用できる。
アクリル系ブロック共重合体(A)と架橋ゴム(B)、熱可塑性樹脂(C)および/または熱可塑性エラストマー(D)、さらに滑剤(E)および/または無機充填剤(F)および/または安定剤(G)の配合割合は、得られる組成物に必要とされる物性、例えばシール製品の特性などに応じて適宜決定すれば良い。
アクリル系ブロック共重合体(A)にゴム弾性を付与したり、低温特性の改善が必要とされる場合や、架橋ゴムに熱可塑性を付与するためにアクリル系ブロック共重合体(A)を加える場合、アクリル系ブロック共重合体(A)0.5〜99.5重量%および、架橋ゴム(B) 99.5〜0.5重量%からなることが好ましく、アクリル系ブロック共重合体(A)0.5〜90重量%および、架橋ゴム(B)99.5〜10重量%からなることがより好ましい。アクリル系ブロック共重合体(A)が0.5重量%より少ないと、架橋ゴムへの熱可塑性付与が不充分になる傾向があり、架橋ゴム(B)が0.5重量%より少なくなるとアクリル系ブロック共重合体(A)へのゴム弾性付与や低温特性改善が不充分になる傾向がある。
アクリル系ブロック共重合体(A)と熱可塑性樹脂(C)および/または熱可塑性エラストマー(D)の配合割合は必要に応じて適宜決定すればよく、特に制限されないが、アクリル系ブロック共重合体(A)0.5〜99.5重量%と、熱可塑性樹脂(C)および/または熱可塑性エラストマー(D)99.5〜0.5重量%からなることが好ましく、アクリル系ブロック共重合体(A)0.5〜90重量%と、熱可塑性樹脂(C)および/または熱可塑性エラストマー(D)99.5〜10重量%からなることがより好ましい。
アクリル系ブロック共重合体(A)に熱可塑性樹脂(C)および/または熱可塑性エラストマー(D)を加えアクリル系ブロック共重合体(A)の硬度を調整したり、機械特性、機械特性等の物性を改善する場合、アクリル系ブロック共重合体(A)は99.5〜50重量%、熱可塑性樹脂(C)および/または熱可塑性エラストマー(D)は0.5〜50重量%が好ましい。熱可塑性樹脂(C)および/または熱可塑性エラストマー(D)が0.5重量%より少ないと、アクリル系ブロック共重合体の硬度の調整や機械特性等の物性改善が不充分になる場合がある。
また、熱可塑性樹脂(C)および/または熱可塑性エラストマー(D)にアクリル系ブロック共重合体(A)を軟質化剤として添加し、熱可塑性樹脂(C)および/または熱可塑性エラストマー(D)の高弾性率を維持しつつ、硬度を調整したり、圧縮永久歪特性を改善する場合は、アクリル系ブロック共重合体(A)は0.5〜50重量%、熱可塑性樹脂(C)および/または熱可塑性エラストマー(D)は99.5〜50重量%が好ましい。アクリル系ブロック共重合体(A)が0.5重量%より少ないと、熱可塑性樹脂(C)および/または熱可塑性エラストマー(D)の硬度の調整や機械特性等の物性の改善が不充分になる場合があり、2種以上の架橋ゴム(B)および/または熱可塑性樹脂(C)および/または熱可塑性エラストマー(D)にアクリル系ブロック共重合体(A)を相溶化剤として添加し、機械特性を改善する場合、アクリル系ブロック共重合体(A)は0.5〜20重量%、架橋ゴム(B)および/または熱可塑性樹脂(C)および/または熱可塑性エラストマー(D)は80〜99.5重量%が好ましい。アクリル系ブロック共重合体(A)が0.5重量%より少ないと、機械特性の改善や相溶性の改善が不充分になる場合がある。
アクリル系ブロック共重合体(A)またはその組成物に滑剤(E)、無機充填剤(F)、安定剤(G)を配合する場合、アクリル系ブロック共重合体(A)またはその組成物100重量部に対して滑剤(E)0.01〜50重量部、無機充填剤(F)0.01〜300重量部、安定剤(G)0.01〜15重量部からなることが好ましく、より好ましくは、滑剤(E)0.1〜30重量部、無機充填剤(F)0.1〜100重量部である。滑剤(E)が0.01重量部より少ないと、表面の摩擦性が低減されない場合があり、50重量部より多いと、アクリル系ブロック共重合体(A)またはその組成物からブリードアウトしたり、耐油性が低下する場合がある。また無機充填剤(F)が0.01重量部より少ないと、弾性率などの機械特性改善が不充分になる場合があり、300重量部より多いと、引張り時の伸びが低下したり、圧縮永久歪特性が悪化する場合がある。また、安定剤(G)が0.01重量部より少ないと、加工時の熱劣化や酸劣化を防いだり、製品の耐熱性や耐候性等を改善する効果が不充分になる場合があり、15重量部より多い場合、アクリル系ブロック共重合体(A)またはその組成物の機械特性が低下したり、着色する場合がある。
<架橋ゴム(B)>
本発明において、架橋ゴム(B)とは、加硫したゴムまたはコアシェルタイプでグラフト交叉剤などを添加して架橋させたものであり、コアシェルタイプがアクリル系ブロック共重合体(A)との相溶性などの点で好ましい。
架橋ゴム(B)の具体例としては、たとえばアクリルゴム(ACM)、エチレン−アクリル酸エステル共重合ゴム(AEM)、アクリルニトリル−アクリル酸エステル共重合ゴム(ANM)、塩素化ポリエチレン(CM)、クロロスルフォン化ポリエチレン(CSM)、エチレン−プロピレン共重合ゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、エチレン−酢酸ビニル共重合ゴム(EVA)、四フッ化エチレン−プロピレンゴム(FEPM)、四フッ化エチレン−プロピレン−フッ化ビニリデンゴム、フッ素ゴム(FKM)、ポリイソブチレン(PIB)、エピクロロヒドリンゴム(CO)、アクリレートブタジエンゴム(ABR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、臭素化ブチルゴム(BIIR)、塩素化ブチルゴム(CIIR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(H−NBR)、クロロプレンゴム、ノルボルネンゴム(NOR)、ポリエステルウレタンゴム(AU)、ポリエーテルウレタンゴム(EU)、シリコーンゴム(VMQ)、フロロシリコーンゴム(FVMQ)、ポリジメチルシロキサン(MQ)、多硫化ゴム、エチレン−メチルアクリレート共重合ゴム(EMA)、エチレン−エチルアクリレート共重合ゴム(EEA)、エチレン−メチルメタクリレート共重合ゴム(EMMA)などがあげられる。また、他の樹脂との優れた相溶性を特徴とするコアシェルタイプの架橋ゴムとしては、特に限定されないが、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS樹脂)、アクリル系グラフト共重合体、アクリル−シリコーン複合ゴム系グラフト共重合体などがあげられる。MBS樹脂としては、カネエースBシリーズ、カネエースMシリーズ(いずれも、鐘淵化学工業株式会社製)、アクリル系グラフト共重合体としては、カネエースFMシリーズ(鐘淵化学工業株式会社製)、アクリル−シリコーン複合ゴム系グラフト共重合体としては、メタブレンS−2001(三菱レイヨン株式会社製)などが、工業製品として入手可能である。
これらは少なくとも1種使用してもよい。これらのうちでは、各種シール製品に必要とされる低温特性、高温特性(耐熱性)に優れる点から、シリコーンゴム(VMQ)が好ましい。さらに、機械的特性をも併せもつ点から、シリコーンをコア部とし、シェル部にメチルメタクリレートなどを用いたコアシェルタイプの架橋シリコーンゴムが好ましい。これ以外にも、アクリル系ブロック共重合体(A)と相溶性のよいゴムを好適に使用することができる。
<熱可塑性樹脂(C)>
本発明で使用しうる熱可塑性樹脂(C)としては、特に限定されず、たとえば、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、環状オレフィン共重合樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、スチレン−メチルメタクリレート樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、およびポリアミドイミド樹脂などがあげられる。これらは少なくとも1種用いることができる。特に限定されないが、アクリル系ブロック共重合体(A)と相溶性のよいものが好適に用いられ、酸無水物基と反応しうる官能基を有するものがより好適に用いられる。酸無水物基と反応しうる官能基としては、アミノ基、水酸基などが例示され、これらを有する熱可塑性樹脂として、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂などをあげることができる。これ以外にも、酸無水物基と反応する官能基を含有する熱可塑性樹脂なども好適に使用することができる。また、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、メチルメタクリレート−スチレン共重合樹脂、ポリカーボネート樹脂を用いた場合は、アクリル系ブロック共重合体(A)と相溶性がよいことから、機械強度は維持しつつ硬度を改善したり、前記樹脂とポリエステル樹脂やポリアミド樹脂との相溶化剤として有効に作用するという効果を有する。
<熱可塑性エラストマー(D)>
本発明で使用しうる熱可塑性エラストマー(D)としては、特に限定されず、たとえば、スチレンエラストマーやオレフィンエラストマー、ウレタンエラストマー、塩化ビニルエラストマー、エステルエラストマー、アミドエラストマー、アクリルエラストマーなどの熱可塑性エラストマーを用いることができる。これらは少なくとも1種用いることができる。なかでも耐油性、耐熱性、相溶性の点でアクリルエラストマーが、耐油性、耐熱性、酸無水物基と反応しうる官能基を有する点で、エステルエラストマー、アミドエラストマーが好ましい。これ以外にも、酸無水物基と反応する官能基を含有する熱可塑性エラストマーなども好適に使用することができる。スチレンエラストマー、オレフィンエラストマー、ウレタンエラストマー、塩化ビニルエラストマーを用いた場合は、ゴム弾性や柔軟性などの特性を維持したまま、耐油、耐熱性、耐候性、耐傷つき性を付与できるなどの効果を有する。
<滑剤(E)>
本発明で使用し得る滑剤(E)としては、たとえば、ステアリン酸、パルミチン酸などの脂肪酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、パルミチン酸カリウム、パルミチン酸ナトリウムなどの脂肪酸金属塩、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、モンタン酸系ワックスなどのワックス類、低分子量ポリエチレンや低分子量ポリプロピレンなどの低分子量ポリオレフィン、ジメチルポリシロキサンなどのポリオルガノシロキサン、オクタデシルアミン、リン酸アルキル、脂肪酸エステル、エチレンビスステアリルアミドなどのアミド系滑剤、4フッ化エチレン樹脂などのフッ素樹脂粉末、二硫化モリブデン粉末、シリコーン樹脂粉末、シリコーンゴム粉末、シリカなどがあげられる。これらは少なくとも1種用いることができる。なかでもコスト面や加工性に優れる点から、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムが好ましい。得られる組成物を各種シール製品に利用する場合等は、必要な低摩擦性を付与できる点などからステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムが好ましい。
<無機充填剤(F)>
本発明で使用し得る無機充填剤(F)としては、たとえば、酸化チタン、硫化亜鉛、酸化亜鉛、カーボンブラック、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、クレー、カオリン、シリカ、雲母粉、アルミナ、ガラス繊維、金属繊維、チタン酸カリウィスカー、アスベスト、ウォラストナイト、マイカ、タルク、ガラスフレーク、ミルドファイバー、金属粉末などがあげられるが、これらに限定されるものではない。これらは少なくとも1種用いることができる。なかでも機械特性の改善や補強効果、コスト面等から、酸化チタン、カーボンブラック、炭酸カルシウム、シリカ、タルクが好ましい。得られる組成物を各種シール製品に利用する場合は、必要な高弾性率、耐候性、また顔料としても用いることができる点から、カーボンブラックや酸化チタンが好ましい。
<安定剤(G)>
本発明で使用し得る安定剤(G)としては、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤などがあげられる。特に限定されないが、具体的には、老化防止剤としては、フェニル−α−ナフチルアミン(PAN)、オクチルジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(DPPD)、N,N’−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン(DNPD)、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン(IPPN)、N,N’−ジアリル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン誘導体、ジアリル−p−フェニレンジアミン混合物、アルキル化フェニレンジアミン、4,4’−ビス(α、α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N−フェニル−N’−(3−メタクリロイロキシ−2−ヒドロプロピル)−p−フェニレンジアミン、ジアリルフェニレンジアミン混合物、ジアリル−p−フェニレンジアミン混合物、N−(1−メチルヘプチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、ジフェニルアミン誘導体などのアミン系老化防止剤、2−メルカプトベンゾイミダゾール(MBI)などのイミダゾール系老化防止剤、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ペンタエリスリチルテトラキス[3−(5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)−プロピネート]などのフェノール系老化防止剤、ニッケルジエチル−ジチオカーバメイトなどのリン酸塩系老化防止剤、トリフェニルホスファイトなどの2次老化防止剤、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートなどがあげられる。また、光安定剤や紫外線吸収剤としては、4−t−ブチルフェニルサリシレート、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、エチル−2−シアノ−3,3‘−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、2−ヒドロキシ−5−クロルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、モノグリコールサリチレート、オキザリック酸アミド、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどがあげられる。
工業製品としては、Irganox1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)、サノールLS770(三共ライフテック株式会社)、アデカスタブLA−57(旭電化工業株式会社製)、アデカスタブLA−68(旭電化工業株式会社製)、Chimassorb944(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)、サノールLS765(三共ライフテック株式会社)、アデカスタブLA−62(旭電化工業株式会社製)、TINUVIN144(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)、アデカスタブLA−63(旭電化工業株式会社製)、TINUVIN622(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)、アデカスタブLA−32(旭電化工業株式会社製)、アデカスタブLA−36(旭電化工業株式会社製)、TINUVIN571(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)、TINUVIN234(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)、アデカスタブLA−31(旭電化工業株式会社製)、TINUVIN1130(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)、アデカスタブAO−20(旭電化工業株式会社製)、アデカスタブAO−50(旭電化工業株式会社製)、アデカスタブ2112(旭電化工業株式会社製)、アデカスタブPEP−36旭電化工業株式会社製)、スミライザーGM(住友化学工業株式会社)、スミライザーGS(住友化学工業株式会社)、スミライザーTP−D(住友化学工業株式会社)などがあげられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。なかでもアクリル系ブロック体の熱や光による劣化防止効果やコストなので点で、サノールLS770、Irganox1010、スミライザーGS、TINUVIN234が好ましい。
<熱可塑性エラストマー組成物の製造方法>
本発明のアクリル系ブロック共重合体(A)、ならびに、アクリル系ブロック共重合体(A)と架橋ゴム(B)、熱可塑性樹脂(C)、熱可塑性エラストマー(D)、滑剤(E)、無機充填剤(F)、安定剤(G)からなる群より選ばれる少なくとも1種を配合した組成物を加工あるいは、製造する方法としては特に限定されず、例えば、バンバリーミキサー、ロールミル、ニーダー、単軸または多軸の押出機などの公知の装置を用い、機械的に混合しペレット状に賦形する方法などの既存の方法を用いることができる。混練時の温度は、生産性や使用するアクリル系ブロック共重合体(A)、架橋ゴム(B)、熱可塑性樹脂(C)、熱可塑性エラストマー(D)、滑剤(E)、安定剤(G)の溶融温度や、得られるアクリル系ブロック共重合体(A)、ならびに組成物の機械特性などに応じて調整するのがよく、たとえば、100〜300℃で溶融混練することにより製造でき、130〜300℃がより好ましく、150〜250℃がさらに好ましい。100℃より低いと、アクリル系ブロック共重合体(A)の溶融が不充分となり、架橋ゴム(B)、熱可塑性樹脂(C)、熱可塑性エラストマー(D)、滑剤(E)、無機充填剤(F)、安定剤(G)等との混練が不均一になる場合がある。また、300℃より高いと、アクリル系ブロック共重合体(A)自体が分解する場合がある。
前記アクリル系ブロック共重合体(A)ならびに、アクリル系ブロック共重合体(A)と架橋ゴム(B)、熱可塑性樹脂(C)、熱可塑性エラストマー(D)、滑剤(E)、無機充填剤(F)、安定剤(G)からなる群より選ばれる少なくとも1種を配合した組成物は、必要に応じて柔軟性付与剤、難燃剤、顔料、離型剤、帯電防止剤、抗菌抗カビ剤、相溶化剤などを添加してもよい。これらの添加剤は、必要とされる物性や、使用される用途などに応じて、適宜最適なものを選択すればよい。
上記柔軟性付与剤としては、例えば、熱可塑性樹脂やゴムに通常配合される可塑剤;プロセスオイルなどの軟化剤;オリゴマー;動物油、植物油などの油分;灯油、重油、軽油、ナフサなどの石油留分などの化合物があげられるが、それらに限定されるものではない。軟化剤としては、プロセスオイルがあげられ、より具体的にはパラフィンオイル;ナフテン系プロセスオイル;芳香族系プロセスオイルなどの石油系プロセスオイルなどがあげられる。
可塑剤としては、たとえば、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジ−(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸オクチルデシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸−β−ヒドロキシエチル−2−エチルヘキシルなどのフタル酸誘導体;ジメチルイソフタレートのようなイソフタル酸誘導体;ジ−(2−エチルヘキシル)テトラヒドロフタル酸のようなテトラヒドロフタル酸誘導体;アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−(2−エチルヘキシル)、アジピン酸イソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジブチルジグリコールなどのアジピン酸誘導体;アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシルなどのアゼライン酸誘導体;セバシン酸ジブチルなどのセバシン酸誘導体;ドデカン−2−酸誘導体;マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジ−2−エチルヘキシルなどのマレイン酸誘導体;フマル酸ジブチルなどのフマル酸誘導体;p−オキシ安息香酸−2−エチルヘキシルなどのp−オキシ安息香酸誘導体;トリメリト酸トリス−2−エチルヘキシルなどのトリメリト酸誘導体;ピロメリト酸誘導体;クエン酸アセチルトリブチルなどのクエン酸誘導体;イタコン酸誘導体;オレイン酸誘導体;リシノール酸誘導体;ステアリン酸誘導体;その他脂肪酸誘導体;スルホン酸誘導体;リン酸誘導体;グルタル酸誘導体;アジピン酸、アゼライン酸、フタル酸などの二塩基酸とグリコールおよび一価アルコールなどとのポリマーであるポリエステル系可塑剤、グルコール誘導体、グリセリン誘導体、塩素化パラフィンなどのパラフィン誘導体、エポキシ誘導体ポリエステル系重合型可塑剤、ポリエーテル系重合型可塑剤、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート誘導体、N−ブチルベンゼンスルホンアミド、N−エチルトルエンスルホンアミド、N−シクロヘキシルトルエンスルホンアミドなどのスルホンアミド誘導体;アクリル系可塑剤を始めとするビニル系モノマーを種々の方法で重合して得られるビニル系重合体類などがあげられる。本発明において可塑剤はこれらに限定されることがなく、種々の可塑剤を用いることができ、ゴム用または熱可塑性樹脂用可塑剤として広く市販されているものも用いることができる。市販されている可塑剤としては、チオコールTP(モートン社製)、アデカサイザーO−130P、C−79、UL−100、P−200、RS−735(旭電化(株)製)、サンソサイザーN−400(新日本理化(株))、BM−4(大八化学工業(株))、EHPB(上野製薬(株))、UP−1000(東亜合成(株))などがあげられる。植物油としては、たとえばひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、パインオイル、トール油などがあげられる。
上記柔軟性付与剤において、アクリル系ブロック共重合体(A)や架橋ゴム(B)、熱可塑性樹脂(C)、熱可塑性エラストマー(D)との親和性に優れたものを用いるのが好ましい。特に限定されないが、このなかでも低揮発性で加熱減量の少ない可塑剤であるアジピン酸誘導体、フタル酸誘導体、グルタル酸誘導体、トリメリト酸誘導体、ピロメリト酸誘導体、ポリエステル系可塑剤、グリセリン誘導体、エポキシ誘導体ポリエステル系重合型可塑剤、ポリエーテル系重合型可塑剤、アクリル系可塑剤などが好適に使用される。以上の柔軟性付与剤は少なくとも1種用ることができる。
上記の難燃剤としては、つぎの化合物があげられるが、それらに限定されない:トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、デカブロモビフェニル、デカブロモビフェニルエーテル、三酸化アンチモンなど。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。
上記の顔料としては、つぎの化合物があげられるが、それらに限定されない:酸化チタン、硫化亜鉛、酸化亜鉛などがあげられる。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。
上記相溶化剤としては、クレイトンシリーズ(シェルジャパン(株)製)、タフテックシリーズ(旭化成工業(株)製)、ダイナロン(日本合成ゴム(株)製)、エポフレンド(ダイセル化学工業(株)製)、セプトン(クラレ(株)製)、ノフアロイ(日本油脂(株)製)、レクスパール(日本ポリオレフィン(株)製)、ボンドファースト(住友化学工業(株)製)、ボンダイン(住友化学工業(株)製)、アドマー(三井化学(株)製)、ユーメックス(三洋化成工業(株)製)、VMX(三菱化学(株)製)、モディーパー(日本油脂(株)製)、スタフィロイド(武田薬品工業(株)製)、レゼタ(東亜合成(株)製)などの市販品をあげることができる。
本発明のアクリル系ブロック共重合体(A)は、構成する単量体の種類や、メタアクリル系重合体ブロック(a)とアクリル系重合体ブロック(b)の組成比等により、幅広い硬度領域のものを得ることができ、低硬度で、柔軟性を有するものはパウダー状やペレット状に製造する場合、ブロッキングする場合がある。よって、本発明のアクリル系ブロック共重合体(A)、ならびに、アクリル系ブロック共重合体(A)と、架橋ゴム(B)、熱可塑性樹脂(C)、熱可塑性エラストマー(D)、滑剤(E)、無機充填剤(F)、安定剤(G)からなる群より選ばれる少なくとも1種を配合した組成物において、パウダー状やペレット状に製造する場合、ブロッキング防止するために種々の滑剤を塗布してもよい。滑剤の具体例としては前記の滑剤(E)や炭酸カルシウム、タルク、カオリン、アルミナ、水酸化アルミ、アクリル系高分子微粒子などをあげることができる。これらの群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。コストの点から炭酸カルシウム、タルクが好ましく、特にメタアクリル系ブロック共重合体におけるメタアクリレート系重合体ブロック(a)がメタアクリル酸メチルを主成分として用いた場合には、ポリメタアクリル酸メチル樹脂粉末を滑剤として用いたことで、滑剤添加による製品物性の影響がほとんど考えられないことから好ましい。
本発明においてパウダーやペレットに滑剤を付与する方法としては、滑剤なしにパウダーやペレットを製造し、得られたパウダーやペレットに滑剤を塗布してもよいし、パウダーやペレット製造工程時に同時に塗布してもよい。
滑剤なしにペレットを製造し、得られたペレットに滑剤を塗布する手法としては、滑剤を含有する溶剤中に重合体ペレットを分散させる方法や、ペレットに滑剤を含有する溶剤を噴霧する用法や、ペレットおよび滑剤を直接混合する方法などがあげられる。また、ペレット製造工程時に同時に塗布する方法としては、例えば、アンダーウォーターカット方式やストランドカット方式などがあげられる。アンダーウォーターカット方式によるペレット製造においては、ダイスおよびカッター近傍のペレットのブロッキングを防止することが必要な場合がある。この場合、重合体のカットが循環冷却水中で行われるため、この循環冷却水中に滑剤を1種または2種以上を添加することよりブロッキング性を改善できる。また、ストランドカット方式では、ダイスから払い出された樹脂は高温であり、ストランドを水相にて冷却し、樹脂を固化させた後カッティングする方法が一般的であるが、その水相中に予め滑剤を添加、分散させておき、ストランドを水相中に浸漬させることにより表面に滑剤を付着させることでペレットのブロッキング防止効果を発現することも可能である。
<自動車、電気・電子用部品>
本発明のアクリル系ブロック共重合体(A)、ならびに、アクリル系ブロック共重合体(A)と、架橋ゴム(B)、熱可塑性樹脂(C)、熱可塑性エラストマー(D)、滑剤(E)、無機充填剤(F)、安定剤(G)からなる群から選ばれる少なくとも1種を配合した組成物は、アクリル系ブロック共重合体が本来有する特性を維持しながら、耐油性、耐熱性、耐熱分解性、耐候性、機械特性、圧縮永久歪などが改善されていることから、自動車、電気・電子部品、たとえば自動車用シール製品、家庭用電気製品用シール製品、事務用電気製品用シール製品としてより好適に用いることができる。本発明のシール製品は、優れた耐油性、耐熱性、などを有するものであり、従来のシール製品、たとえば加硫ゴム系と比較して、成形工程の簡素化やリサイクル性に優れ、オレフィン系熱可塑性エラストマーと比較して、より優れた耐油性、耐候性を有することができる。
具体的には、その種類はオイルシール、往復動用オイルシールなどの各種オイルシール、グランドパッキン、リップパッキン、スクィーズパッキンなどの各種パッキン、等速ジョイント用ブーツ、ストラットブーツ、ラック&オピニオン用ブーツ、ブレーキブースター用ブーツ、ステアリングボールジョイント用ブーツなどの各種ブーツ、サスペンション用ダストカバー、サスペンション・タイロッド用ダストカバー、スタビライザ・ダイロッド用ダストカバーなどの各種ダストカバー、樹脂インテークマニホールドガスケット、スロットルボディ用ガスケット、パワーステアリングベーンポンプ用ガスケット、ヘッドカバー用ガスケット、給湯機自給式ポンプ用ガスケット、フィルタガスケット、配管継手(ABS&HBB)用ガスケット、HDD用トップカバーガスケット、HDD用コネクタガスケット、また金属と合わせたシリンダヘッドガスケット、カークーラーコンプレッサーガスケット、エンジン周りガスケット、ATセパレートプレート、汎用ガスケット(工業用ミシン、釘打ち機など)などの各種ガスケット、ニードルバルブ、プランジャーバルブ、水・ガス用バルブ、ブレーキ用バルブ、飲用バルブ、アルミ電解コンデンサ用安全バルブなどの各種バルブ、真空倍力装置用や水・ガス用のダイヤフラム、シールワッシャー、ボアプラグ、高精度ストッパなどの緩衝性能を主とした各種ストッパ、プラグチューブシール、インジェクションパイプシール、オイルレシーバ、ブレーキドラムシール、遮光シール、プラグシール、コネクタシール、キーレスエントリーカバーなどの精密シールゴムなどがある。そのほか、自動車用品のドアウェザストリップなどの各種ウェザストリップ、トランクシール、ガラスランチャンネルなどのシール製品があげられる。
アクリル系ブロック共重合体(A)、ならびに、アクリル系ブロック共重合体(A)と、架橋ゴム(B)、熱可塑性樹脂(C)、熱可塑性エラストマー(D)、滑剤(E)、無機充填剤(F)、安定剤(G)からなる群から選ばれる少なくとも1種を配合した組成物は、自動車、電気・電子部品以外にも、包装材料、建築、土木材料、雑貨品などの分野でホース、シート、フィルム材料、制振材、防振材、グリップ、緩衝材、粘着剤のベースポリマー、樹脂改質剤などとして広く好適に用いることができる。
前記製品の成形には、前記アクリル系ブロック共重合体(A)またはその組成物を、押出し成形、圧縮成形、ブロー成形、カレンダー成形、真空成形、発泡成形、射出成形、パウダースラッシュ成形、インジェクションブローなどの任意の成形加工法によって成形加工することができる。これらのうちでは、射出成形が、簡便である点から好ましい。
つぎに、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
なお、実施例におけるBA、EA、MEA、2EHA、MMA、TBMA、TBAは、それぞれ、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸t−ブチル、およびアクリル酸t−ブチルを表わす。
<試験方法>
(分子量)
本実施例に示す分子量は以下に示すGPC分析装置で測定し、クロロホルムを移動相として、ポリスチレンゲルカラムを使用したGPC測定を行ない、ポリスチレン換算の分子量を求めた。GPC測定はGPC分析装置(システム:ワッカー(Waters)社製のGPCシステム、カラム:昭和電工(株)製のShodex K−804(ポリスチレンゲル))で測定した。クロロホルムを移動相とし、ポリスチレン換算の分子量を求めた。
(酸無水物基変換分析)
アクリル系ブロック共重合体の酸無水物基変換反応の確認は、赤外スペクトル((株)島津製作所製、FTIR−8100)、および核磁気共鳴(BRUKER社製AM400)を用いて行なった。
核磁気共鳴分析用溶剤として、カルボン酸エステル構造のブロック体は重クロロホルム、酸無水物基含有のブロック体は重アセトンを測定溶剤として分析を行なった。
(カルボキシル基変換分析)
アクリル系ブロック共重合体のカルボキシル基変換反応の確認は、赤外スペクトル((株)島津製作所製、FTIR−8100)、および核磁気共鳴(BRUKER社製AM400)を用いて行なった。
核磁気共鳴分析用溶剤として、カルボン酸エステル構造のブロック体は重クロロホルム、カルボキシル基含有のブロック体は重メタノールを測定溶剤として分析を行なった。
(硬度)
JIS K6253に従い、23℃における硬度(直後、JIS A)を測定した。ただし、タイプAデュロメータによる硬度が90をこえたものは、タイプDデュロメータにより測定した(JIS D)。
(機械強度)
JIS K7113に記載の方法に準用して、(株)島津製作所製のオートグラフAG−10TB形を用いて測定した。測定はn=3にて行ない、試験片が破断したときの強度(MPa)と伸び(%)の値の平均値を採用した。試験片は2(1/3)号形の形状にて、厚さが約2mm厚のものを用いた。試験は23℃にて500mm/分の試験速度で行なった。試験片は原則として、試験前に温度23±2℃、相対湿度50±5%において48時間以上状態調節したものを用いた。
(圧縮永久歪み)
JIS K6301に準拠し、円柱型成形体を圧縮率25%の条件で、70℃、100℃あるいは120℃で22時間または72時間保持し、23℃で30分放置したのち、成形体の厚みを測定し、歪みの残留度を計算した。すなわち圧縮永久歪み0%で歪みが全部回復し、圧縮永久歪み100%で歪みが全く回復しないことに相当する。
(耐油性)
ASTM D638に準拠し、組成物の成形体を150℃に保持したASTMオイルNo.3中に72時間浸し、重量変化率(重量%)を求めた。
また、浸漬後の形状を次の基準で評価した。
形状:保持=○、やや膨潤=○〜△、膨潤=△、激しく膨潤または一部溶解=×、完全溶解=××
(耐熱性)
流動開始温度を比較することにより行なった。流動開始温度は島津製作所製の高化式フローテスターCFT−500C型を用いて5℃/分の昇温速度で加熱された樹脂を荷重60Kgf/cm2のもとで、内径1mm、長さ10mmのノズルから押出したときに、フローテスターの樹脂押出ピストンが明らかに降下し始める温度(本測定器においてはTfbと表示される)とした。
(熱重量分析)
アクリル系ブロック共重合体の耐熱分解性は、(株)島津製作所(SHIMADZU)製の示差熱熱重量同時測定装置(DTG−50)で測定した。測定は流量50.0ml/分の窒素気流下、加熱速度10.0℃/分の条件でおこなった。5%重量損失温度は、100℃における重量を基準として求めた。
(不溶分率(重量%))
不溶分率(重量%)は試料1g(Wu)を100メッシュ金網に包み、80℃のトルエンまたは60℃のアセトン中で24時間浸漬したのち(トルエンかアセトンかはアクリル系ブロック共重合体が可溶な方を選択する)、トルエンまたはアセトン可溶分を分別し、残留固形分を60℃で真空乾燥し、乾燥後の残留固形分の重量g(Wc)を測定して、試料1g(Wu)に対する残留固形分(Wc)の重量から求めた。不溶分率(重量%)から、反応の進行を確認することができる。
(摩擦性)
JIS K7215に準拠し、同材料同士の擦れによる摩擦性を測定するため、2mm厚のシートを相手材料として20×20mm、試験片として80×200mmの形状に切り出し、SURFACE PROPERTY TESTER(HEIDON社製 TYPE:14DR)を用いて動的摩擦係数を求めた。試験条件は荷重100gf、速度50mm/分で行なった。粘着性などが強いために測定できない場合は、×と判定した。
(リサイクル性)
前記引張特性などの評価のために得たシートを、再度、ラボプラストミル(東洋精機(株)製)にて前記シートを作製するために行なった加工温度で混練し、各温度でプレス加工を行なった。
リサイクル性の評価は、混練前と同様のシートが得られた場合は、リサイクル性がよいと判断して○、混練前と同様のシートを得られなかった場合は、リサイクル性がわるいと判断して×と判定した。
(低温脆化性)
JIS K7216に準拠し、2mm厚の成形体シートを38×6mmに切り出して低温脆化温度測定器(東洋精機(株)製)にて低温脆化温度を測定した。
(加工性)
前記引張特性などを評価するために得た2mm厚の成形体シートを細かくペレット状にして溶融粘度(1500poise)に対する加工温度をキャピログラフ(東洋精機(株)製)で測定した。測定条件は次の通りである。キャピラリー長さ10mm、キャピラリー径1mm、バレル径9.55mm。
<アクリル系ブロック共重合体の製造>
製造例1
(MMA−co−TBMA)−b−BA−b−(MMA−co−TBMA)(MMA/TBMA=50/50mol%、BA/(MMA−co−TBMA)=70/30重量%)型アクリル系ブロック共重合体(以下50TBA7と記載する)の合成
50TBA7を得るために以下の操作を行なった。5Lのセパラブルフラスコの重合容器内を窒素置換したのち、臭化銅11.3g(78.5ミリモル)を量り取り、アセトニトリル(窒素バブリングしたもの)180mLを加えた。30分間70℃で加熱攪拌したのち、開始剤2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル5.65g(15.7ミリモル)およびBA900ml(6.28モル)を加えた。85℃で加熱攪拌し、配位子ジエチレントリアミン1.64ml(7.85ミリモル)を加えて重合を開始した。
重合開始から一定時間ごとに、重合溶液からサンプリング用として重合溶液約0.2mLを抜き取り、サンプリング溶液のガスクロマトグラム分析によりBAの転化率を決定した。トリアミンを随時加えることで重合速度を制御した。BAの転化率が95%の時点で、TBMA351ml(2.16モル)、MMA232ml(2.16モル)、塩化銅7.77g(78.5ミリモル)、ジエチレントリアミン1.64ml(7.85ミリモル)およびトルエン(窒素バブリングしたもの)1148mlを加えた。同様にして、TBMA、MMAの転化率を決定した。TBMAの転化率が70%、MMAの転化率が62%の時点で、トルエン1500mlを加え、水浴で反応器を冷却して反応を終了させた。
反応溶液をトルエン2.0Lで希釈し、p−トルエンスルホン酸一水和物17.9gを加えて室温で3時間撹拌した。ポリマー溶液に吸着剤キョーワード500SH(協和化学(株)製)を12.0g加えて室温でさらに3時間撹拌した。桐山漏斗で吸着剤を濾過し、無色透明のポリマー溶液を得た。この溶液を乾燥させて溶剤および残存モノマーを除き、目的のアクリル系ブロック共重合体50TBA7を得た。
得られたアクリル系ブロック共重合体50TBA7のGPC分析を行なったところ、数平均分子量Mnが108240、分子量分布Mw/Mnが1.49であった。
製造例2
(MMA−co−TBMA)−b−BA−b−(MMA−co−TBMA)(MMA/TBMA=95/5mol%、BA/(MMA−co−TBMA)=70/30重量%)型アクリル系ブロック共重合体(以下5TBA7と記載する)の合成
5Lのセパラブルフラスコを用い、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル5.80g(16.1ミリモル)、BA900ml(6.28モル)の仕込み比で重合を行ない、BAの転化率が95%の時点でTBMA40.9ml(0.25モル)、MMA512.6ml(4.82モル)を添加した。TBMAの転化率が60%、MMAの転化率が57%の時点で反応を終了させた。それ以外は製造例1と同様に製造し、目的とするアクリル系ブロック共重合体5TBA7を得た。
得られたアクリル系ブロック共重合体5TBA7のGPC分析を行なったところ、数平均分子量Mnが107312、分子量分布Mw/Mnが1.58であった。
製造例3
(MMA−co−TBMA)−b−BA−b−(MMA−co−TBMA)(MMA/TBMA=80/20mol%、BA/(MMA−co−TBMA)=70/30重量%)型アクリル系ブロック共重合体(以下20TBA7と記載する)の合成
5Lのセパラブルフラスコを用い、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル5.65g(15.7ミリモル)、BA900ml(6.28モル)の仕込み比で重合を行ない、BAの転化率が95%の時点でTBMA151.9ml(0.94モル)、MMA400.9ml(3.77モル)を添加した。TBMAの転化率が70%、MMAの転化率が64%の時点で反応を終了させた。それ以外は製造例1と同様に製造し、目的とするアクリル系ブロック共重合体20TBA7を得た。
得られたアクリル系ブロック共重合体20TBA7のGPC分析を行なったところ、数平均分子量Mnが122858、分子量分布Mw/Mnが1.46であった。
製造例4
TBMA−b−BA−b−TBMA(BA/TBMA=70/30重量%)型アクリル系ブロック共重合体(以下100TBA7と記載する)の合成
2Lのセパラブルフラスコを用い、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル2.26g(6.3ミリモル)、BA360ml(2.51モル)の仕込み比で重合を行ない、BAの転化率が95%の時点でTBMA243ml(1.50モル)を添加した。TBMAの転化率が70%、MMAの転化率が68%の時点で反応を終了させた。それ以外は製造例1と同様に製造し、目的とするアクリル系ブロック共重合体100TBA7を得た。
得られたアクリル系ブロック共重合体100TBA7のGPC分析を行なったところ、数平均分子量Mnが95491、分子量分布Mw/Mnが1.44であった。
製造例5
(MMA−co−TBMA)−b−(BA−co−EA−co−MEA)−b−(MMA−co−TBMA)(MMA/TBMA=95/5mol%、(BA−co−EA−co−MEA)/(MMA−co−TBMA)=70/30重量%)型アクリル系ブロック共重合体(以下5T3A7と記載する)の合成
5Lのセパラブルフラスコを用い、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル6.04g(16.8ミリモル)、BA362ml(2.52モル)、EA344ml(3.17モル)、MEA195ml(1.51モル)の仕込み比で重合を行ない、BAの転化率が95%、EAの転化率が95%、MEAの転化率が97%の時点でTBMA42.5ml(0.26モル)、MMA534ml(5.02モル)を添加した。TBMAの転化率が63%、MMAの転化率が58%の時点で反応を終了させた。それ以外は製造例1と同様に製造し、目的とするアクリル系ブロック共重合体5T3A7を得た。
得られたアクリル系ブロック共重合体5T3A7のGPC分析を行なったところ、数平均分子量Mnが12400、分子量分布Mw/Mnが1.45であった。
製造例6
(MMA−co−TBMA)−b−(BA−co−EA−co−MEA)−b−(MMA−co−TBMA)(MMA/TBMA=80/20mol%、(BA−co−EA−co−MEA)/(MMA−co−TBMA)=70/30重量%)型アクリル系ブロック共重合体(以下20T3A7と記載する)の合成
5Lのセパラブルフラスコを用い、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル5.89g(16.4ミリモル)、BA362ml(2.52モル)、EA344ml(3.17モル)、MEA195ml(1.51モル)の仕込み比で重合を行ない、BAの転化率が95%、EAの転化率が95%、MEAの転化率が97%の時点でTBMA158ml(0.98モル)、MMA418ml(3.92モル)を添加した。TBMAの転化率が64%、MMAの転化率が59%の時点で反応を終了させた。それ以外は製造例1と同様に製造し、目的とするアクリル系ブロック共重合体20T3A7を得た。
得られたアクリル系ブロック共重合体20T3A7のGPC分析を行なったところ、数平均分子量Mnが111000、分子量分布Mw/Mnが1.47であった。
製造例7
(MMA−co−TBMA)−b−(BA−co−EA−co−MEA)−b−(MMA−co−TBMA)(MMA/TBMA=80/20mol%、(BA−co−EA−co−MEA)/(MMA−co−TBMA)=60/40重量%)型アクリル系ブロック共重合体(以下20T3A6と記載する)の合成
5Lのセパラブルフラスコを用い、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル5.31g(14.8ミリモル)、BA281ml(1.96モル)、EA267ml(2.47モル)、MEA151ml(1.18モル)の仕込み比で重合を行ない、BAの転化率が95%、EAの転化率が95%、MEAの転化率が97%の時点でTBMA193ml(1.20モル)、MMA509ml(4.78モル)を添加した。TBMAの転化率が64%、MMAの転化率が61%の時点で反応を終了させた。それ以外は製造例1と同様に製造し、目的とするアクリル系アクリル系ブロック共重合体20T3A6を得た。
得られたアクリル系ブロック共重合体20T3A6のGPC分析を行なったところ、数平均分子量Mnが118927、分子量分布Mw/Mnが1.49であった。
製造例8
(MMA−co−TBMA)−b−(BA−co−EA−co−MEA)−b−(MMA−co−TBMA)(MMA/TBMA=50/50mol%、(BA−co−EA−co−MEA)/(MMA−co−TBMA)=60/40重量%)型アクリル系ブロック共重合体(以下50T3A6と記載する)の合成
5Lのセパラブルフラスコを用い、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル5.31g(14.8ミリモル)、BA281ml(1.96モル)、EA267ml(2.47モル)、MEA151ml(1.18モル)の仕込み比で重合を行ない、BAの転化率が95%、EAの転化率が95%、MEAの転化率が98%の時点でTBMA435ml(2.70モル)、MMA287ml(2.70モル)を添加した。TBMAの転化率が67%、MMAの転化率が59%の時点で反応を終了させた。それ以外は製造例1と同様に製造し、目的とするアクリル系ブロック共重合体50T3A6を得た。
得られたアクリル系ブロック共重合体50T3A6のGPC分析を行なったところ、数平均分子量Mnが96778、分子量分布Mw/Mnが1.46であった。
製造例9
TBMA−b−(BA−co−EA−co−MEA)−b−TBMA((BA−co−EA−co−MEA)/TBMA=60/40重量%)型アクリル系ブロック共重合体(以下100T3A6と記載する)の合成
5Lのセパラブルフラスコを用い、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル5.69g(15.8ミリモル)、BA301ml(2.10モル)、EA286ml(2.64モル)、MEA162ml(1.26モル)の仕込み比で重合を行ない、BAの転化率が96%、EAの転化率が96%、MEAの転化率が98%の時点でTBMA636ml(3.94モル)を添加した。TBMAの転化率が77%の時点で反応を終了させた。それ以外は製造例1と同様に製造し、目的とするアクリル系ブロック共重合体100T3A6を得た。
得られたアクリル系ブロック共重合体100T3A6のGPC分析を行なったところ、数平均分子量Mnが90416、分子量分布Mw/Mnが1.43であった。
製造例10
TBMA−b−(BA−co−MEA)−b−TBMA(BA/MEA=50/50mol%、(BA−co−MEA)/TBMA=60/40(重量%))型ブロック共重合体(以下、100T2A6と記載する)の合成
5Lセパラブルフラスコを用い、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル5.45g(15.1mmol)、BA 369ml(2.57mol)、MEA 331ml(2.57mol)の仕込み比で重合を行ない、BAの転化率が94%、MEAの転化率が97%の時点でTBMA 503ml(3.10mol)を添加した。TBMAの転化率が72%の時点で反応を終了させた。それ以外は製造例1と同様に製造し、目的とするブロック共重合体(100T2A6)を得た。
得られたブロック共重合体(100T2A6)のGPC分析を行なったところ、数平均分子量(Mn)が80400、分子量分布(Mw/Mn)が1.55であった。
製造例11
(MMA−co−TBMA)−b−(BA−co−MEA)−b−(MMA−co−TBMA)(MMA/TBMA=60/40mol%、BA/MEA=67/33mol%、(BA−co−MEA)/(MMA−co−TBMA)=65/35重量%)型ブロック共重合体(以下、40T2A’6.5と記載する)の合成
5Lセパラブルフラスコを用い、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル5.34g(14.8mmol)、BA 518ml(3.61mol)、MEA 232ml(1.80mol)の仕込み比で重合を行ない、BAの転化率が95%、MEAの転化率が97%の時点でTBMA 311ml(1.93mol)、MMA308ml(2.90モル)を添加した。TBMAの転化率が68%、MMAの転化率が62%の時点で反応を終了させた。それ以外は製造例1と同様に製造し、目的とするブロック共重合体(40T2A’6.5)を得た。
得られたブロック共重合体(40T2A’6.5)のGPC分析を行なったところ、数平均分子量Mnが102500、分子量分布Mw/Mnが1.36であった。
製造例12
(MMA−co−TBMA)−b−(BA−co−2EHA)−b−(MMA−co−TBMA)(MMA/TBMA=50/50mol%、BA/2EHA=70/30重量%、(BA−co−2EHA)/(MMA−co−TBMA)=80/20重量%)型アクリル系ブロック共重合体(以下50TEBA8と記載する)の合成
5Lのセパラブルフラスコを用い、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル5.55g(15.4ミリモル)、BA 696ml(4.85モル)、2EHA304ml(1.46モル)の仕込み比で重合を行ない、BAの転化率が95%、2EHAの転化率が95%の時点でTBMA126ml(1.39モル)、MMA124ml(1.39モル)を添加した。TBMAの転化率が83%、MMAの転化率が80%の時点で反応を終了させた。それ以外は製造例1と同様に製造し、目的とするアクリル系ブロック共重合体50TEBA8を得た。
得られたアクリル系ブロック共重合体50TEBA8のGPC分析を行なったところ、数平均分子量Mnが95830、分子量分布Mw/Mnが1.34であった。
製造例13
MMA−BA−MMA(BA/MMA=70/30重量%)型アクリル系ブロック共重合体(以下BA7と略称する)の合成
BA7を得るために以下の操作を行なった。
5lのセパラブルフラスコの重合容器内を窒素置換したのち、臭化銅11.3g(78.5mモル)を量り取り、アセトニトリル(モレキュラーシーブス3Aで乾燥後窒素バブリングしたもの)180mLを加えた。5分間70℃で加熱攪拌したのち、再び室温に冷却し、開始剤2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル5.7g(15.7mモル)、アクリル酸−n−ブチル804.6g(900.0ml)を加えた。80℃で加熱攪拌し、配位子ジエチレントリアミン1.6ml(7.9mモル)を加えて重合を開始した。重合開始から一定時間ごとに、重合溶液からサンプリング用として重合溶液約0.2mlを抜き取り、サンプリング溶液のガスクロマトグラム分析によりアクリル酸ブチルの転化率を決定した。トリアミンを随時加えることで重合速度を制御した。アクリル酸−n−ブチルの転化率が95%の時点で、メタアクリル酸メチル345.7g(369.3ml)、塩化銅7.8g(78.5mモル)、ジエチレントリアミン1.6ml(7.9mモル)、トルエン(モレキュラーシーブス3Aで乾燥後窒素バブリングしたもの)1107.9mlを加えた。同様にして、メタアクリル酸メチルの転化率を決定した。メタアクリル酸メチルの転化率が85%、アクリル−n−酸ブチルの転化率が98%の時点で、トルエン1500mlを加え、水浴で反応器を冷却して反応を終了させた。反応中常に重合溶液は緑色であった。
反応溶液をトルエン4000mLで希釈し、p−トルエンスルホン酸一水和物22.1gを加えて23℃で3時間撹拌した。析出した不溶部を桐山漏斗で濾過して除いたのち、ポリマー溶液に吸着剤キョーワード500SHを9.7g加えて23℃でさらに3時間撹拌した。桐山漏斗で吸着剤を濾過し、無色透明のポリマー溶液を得た。この溶液を乾燥させて溶剤および残存モノマーを除き、目的のBA7を得た。
得られたBA7のGPC分析を行なったところ、数平均分子量Mnが119200、分子量分布Mw/Mnが1.51であった。またNMRによる組成分析を行なったところ、BA/MMA=72/28(重量%)であった。
製造例14
MMA−b−(BA−co−EA−co−MEA)−b−MMA((BA−co−EA−co−MEA)/MMA=70/30重量%)型アクリル系ブロック共重合体(以下3A7と略称する)の合成
3A7を得るために以下の操作を行なった。
500mLセパラブルフラスコを用い、臭化銅1.37g(9.5ミリモル)、アセトニトリル(窒素バブリングしたもの)20mL、開始剤2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル0.69g(1.9ミリモル)、40.2ml(280ミリモル)、EA38.2ml(352ミリモル)およびMEA21.6ml(168ミリモル)を実施例1と同様の手順で加えたのち、配位子ジエチレントリアミン0.20ml(1.0ミリモル)を加えて重合を開始した。
BAの転化率が95%、EAの転化率が95%およびMEAの転化率が96%の時点で、MMA42.8ml(400ミリモル)、塩化銅1.82g(18.5ミリモル)、ジエチレントリアミン0.20ml(1.0ミリモル)およびトルエン(窒素バブリングしたもの)128.5mlを加え、BAの転化率が97%、EAの転化率が97%、MEAの転化率が98%、MMAの転化率が82%の時点で、トルエン150mlを加え、水浴で反応器を冷却して反応を終了させた。
反応溶液をトルエン400mLで希釈し、p−トルエンスルホン酸一水和物2.21gを加えて23℃で3時間撹拌した。析出した不溶部を桐山漏斗で濾過して除いたのち、ポリマー溶液に吸着剤キョーワード500SHを0.97g加えて23℃でさらに3時間撹拌した。桐山漏斗で吸着剤を濾過し、無色透明のポリマー溶液を得た。この溶液を乾燥させて溶剤および残存モノマーを除き、目的の3A7を得た。
得られたアクリル系ブロック共重合体のGPC分析を行なったところ、数平均分子量Mnが113000、分子量分布Mw/Mnが1.49であった。組成分析を行なったところ、EA/BA/MEA/MMA=24/33/15/28(重量%)であった。
製造例15
MMA−b−(BA−co−MEA)−b−MMA(BA/MEA=67/33mol%、(BA−co−MEA)/MMA=65/35重量%)型ブロック共重合体(以下、2A’6.5と記載する)の合成
5Lセパラブルフラスコを窒素置換したのち、臭化銅10.4g(72.2ミリモル)を量り取り、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル10.4g(28.9ミリモル)、BA691ml(4.82モル)、MEA309ml(2.41モル)、アセトニトリル100ml(1.91モル)を加え、85度で30分加熱撹拌し、配位子ジエチレントリアミン1.64ml(7.85ミリモル)を加えて重合を開始した。トリアミンを随時加えることで重合速度を制御した。BAの転化率が97%、MEAの転化率が98%の時点でトルエン1050ml(9.86モル)、塩化銅7.15g(72.2ミリモル)、MMA535ml(5.00モル)を添加した。トリアミンを随時加えることで重合速度を制御した。MMAの転化率が89%の時点でトルエン1500mlを加え、冷却して反応を終了させた。
反応溶液をトルエン4.0lで希釈し、p−トルエンスルホン酸一水和物20.6gを加えて室温で3時間撹拌したのち、桐山漏斗で固形分を濾過した。得られたポリマー溶液に吸着剤キョーワード500SH(協和化学(株)製)を14.4g加えて室温でさらに1時間撹拌した。桐山漏斗で吸着剤を濾過し、無色透明のポリマー溶液を得た。この溶液を乾燥させて溶剤および残存モノマーを除き、目的のアクリル系ブロック共重合体2A’6.5を得た。
得られたブロック共重合体(2A’6.5)のGPC分析を行なったところ、数平均分子量Mnが71416、分子量分布Mw/Mnが1.40であった。
製造例16
MMA−b−(BA−co−2EHA)−b−MMA(BA/2EHA=70/30重量%、(BA−co−2EHA)/MMA=80/20重量%)型アクリル系ブロック共重合体(以下EBA8と記載する)の合成
5Lのセパラブルフラスコを用い、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル5.55g(15.4ミリモル)、BA695ml(4.85モル)、2EHA305ml(1.46モル)の仕込み比で重合を行ない、BAの転化率が95%、2EHAの転化率が95%の時点でMMA299ml(3.35モル)を添加した。MMAの転化率が70%の時点で反応を終了させた。それ以外は製造例1と同様に製造し、目的とするアクリル系ブロック共重合体EBA8を得た。
得られたアクリル系ブロック共重合体EBA8のGPC分析を行なったところ、数平均分子量Mnが109184、分子量分布Mw/Mnが1.33であった。
製造例17
50TBA7−B1の合成
窒素置換した後真空脱揮した500L反応機に、アセトニトリル6272gおよびBA、8940gを予め混合しておいた溶液を、反応機内を減圧にした状態で仕込んだ。次に臭化第一銅813.7gを仕込み、68℃に昇温して30分間攪拌した。その後、BA、57216.0gおよび酢酸ブチル1305.4gの混合溶液、ならびに2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル408.4gをアセトニトリル3528.0gに溶解させた溶液を仕込み、75℃に昇温しつつさらに30分間攪拌を行った。ペンタメチルジエチレントリアミン98.2gを加えて、第一ブロックとなるアクリル酸ブチルの重合を開始した。トリアミンを随時加えることで重合速度を制御した。BAの転化率が95%に到達したところで、トルエン100249.6g、塩化第一銅561.5g、MMA、17459.8g、TBMA、24797.4gを仕込み、ペンタメチルジエチレントリアミン98.2gを加えて、第二ブロックとなるMMA/TBMAの共重合を開始した。MMAの転化率が58%に到達したところで、トルエン77940gを加えて反応溶液を希釈すると共に反応機を冷却して重合を停止させた。得られたブロック共重合体のGPC分析を行ったところ、数平均分子量Mnが104800、分子量分布Mw/Mnが1.25であった。得られたブロック共重合体溶液に対しトルエンを加えて重合体濃度を25wt%になるよう調整し、及びp−トルエンスルホン酸を728g加え、反応機内を窒素置換し、室温で3時間撹拌した。反応液をサンプリングして中和処理を行い、溶液が無色透明になっていることを確認して反応を停止させた。その後溶液を払い出し、固液分離を行って固形分を除去した。このブロック共重合体溶液に対し、キョーワード500SH(協和化学工業(株)製)1200gを加え、反応機内を窒素置換し、室温で1時間撹拌した。反応液をサンプリングし、溶液が中性になっていることを確認して反応を停止させた。その後溶液を払い出し、固液分離を行って吸着剤を除去した。上記重合体溶液をベント口付き横形蒸発機(株式会社栗本鉄工所製、横型蒸発機SCP−100)に供給し溶媒及び未反応モノマーの蒸発を行うことで重合体を単離した。蒸発機の胴部ジャケット及びスクリューは熱媒で180℃に温度調節し、蒸発機内部は真空ポンプにより約0.01MPa以下の減圧状態を保持した。このようにして標記ブロック共重合体のペレットを作製した。
製造例18
20T3A6.8−B1の合成
窒素置換した後、真空脱揮した500L反応機に、アセトニトリル7056gおよびBA、8046gを予め混合しておいた溶液を、反応機内を減圧にした状態で仕込んだ。次に臭化第一銅851.5gを仕込み、68℃に昇温して30分間攪拌した。その後、BA、14588.8g、EA、22226.9g、MEA、13789.9gおよび酢酸ブチル1111.3gの混合溶液、ならびに2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル427.4gをアセトニトリル2822.4gに溶解させた溶液を仕込み、75℃に昇温しつつさらに30分間攪拌を行った。ペンタメチルジエチレントリアミン102.9gを加えて、第一ブロックとなるBA/EA/MEAの共重合を開始した。トリアミンを随時加えることで重合速度を制御した。BAの転化率が95%に到達したところで、トルエン96202.9g、塩化第一銅587.7g、MMA、30513.5g、TBMA、10834.2gを仕込み、ペンタメチルジエチレントリアミン102.9gを加えて、第二ブロックとなるMMA/TBMAの共重合を開始した。MMAの転化率が59%に到達したところで、トルエン69280gを加えて反応溶液を希釈すると共に反応機を冷却して重合を停止させた。得られたブロック共重合体のGPC分析を行ったところ、数平均分子量Mnが95900、分子量分布Mw/Mnが1.36であった。得られたブロック共重合体溶液に対しトルエンを加えて重合体濃度を24wt%になるよう調整し、及びp−トルエンスルホン酸を847g加え、反応機内を窒素置換し、室温で3時間撹拌した。反応液をサンプリングして中和処理を行い、溶液が無色透明になっていることを確認して反応を停止させた。その後溶液を払い出し、固液分離を行って固形分を除去した。このブロック共重合体溶液に対し、キョーワード500SH(協和化学工業(株)製)940gを加え、反応機内を窒素置換し、室温で2時間撹拌した。反応液をサンプリングし、溶液が中性になっていることを確認して反応を停止させた。その他は製造例17と同様にして標記ブロック共重合体のペレットを作製した。
製造例19
20T3A6.8−B2の合成
窒素置換した後、真空脱揮した500L反応機に、BA、32694.7g、EA、32105.6g、MEA、19918.7g、アセトニトリル2430.4gおよび酢酸ブチル1605.2gを予め混合しておいた溶液を、反応機内を減圧にした状態で仕込んだ。次に臭化第一銅615.0gを仕込み、15分間攪拌した。その後、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル617.4gをアセトニトリル4704.0gに溶解させた溶液を仕込み、75℃に昇温しつつさらに50分間攪拌を行った。ペンタメチルジエチレントリアミン74.3gを加えて、第一ブロックとなるBA/EA/MEAの共重合を開始した。トリアミンを随時加えることで重合速度を制御した。BAの転化率が96%に到達したところで、トルエン73751.1g、塩化第一銅424.4g、MMA、29530.3g、TBMA、10485.1gを仕込み、ペンタメチルジエチレントリアミン74.3gを加えて、第二ブロックとなるMMA/TBMAの共重合を開始した。トリアミンを随時加えることで重合速度を制御した。MMAの転化率が91%に到達したところで、トルエン220000gを加えて反応溶液を希釈すると共に反応機を冷却して重合を停止させた。得られたブロック共重合体のGPC分析を行ったところ、数平均分子量Mnが110200、分子量分布Mw/Mnが1.27であった。得られたブロック共重合体溶液に対しトルエンを加えて重合体濃度を25wt%になるよう調整し、及びp−トルエンスルホン酸を1468g加え、反応機内を窒素置換し、室温で3時間撹拌した。反応液をサンプリングして中和処理を行い、溶液が無色透明になっていることを確認して反応を停止させた。その後溶液を払い出し、固液分離を行って固形分を除去した。このブロック共重合体溶液に対し、キョーワード500SH(協和化学工業(株)製)1680gを加え、反応機内を窒素置換し、室温で1時間撹拌した。反応液をサンプリングし、溶液が中性になっていることを確認して反応を停止させた。その他は製造例17と同様にして標記ブロック共重合体のペレットを作製した。
製造例20
20T3A6−B1の合成
2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル371.8g、BA17604.8、EA17287.6g、MEA10725.4gの仕込み比で重合を行ない、BAの転化率が95%に到達したところでMMA33333.3g、TBMA11835.4gを添加した。MMAの転化率が58%に到達したところで反応を終了させた。それ以外は製造例18と同様に製造し、標記ブロック共重合体のペレットを作製した。 得られたアクリル系ブロック共重合体のGPC分析を行なったところ、数平均分子量Mnが103400、分子量分布Mw/Mnが1.36であった。
製造例21
50T3A6.5−B1の合成
2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル483.0g、BA24431.2、EA23991.0g、MEA14884.3gの仕込み比で重合を行ない、BAの転化率が95%に到達したところでMMA21046.7g、TBMA29891.6gを添加した。MMAの転化率が58%に到達したところで反応を終了させた。それ以外は製造例18と同様に製造し、標記ブロック共重合体のペレットを作製した。
得られたアクリル系ブロック共重合体のGPC分析を行なったところ、数平均分子量Mnが98900、分子量分布Mw/Mnが1.28であった。
製造例22
50T3A6−B1の合成
2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル424.9g、BA20119.8g、EA19757.3g、MEA12257.7gの仕込み比で重合を行ない、BAの転化率が94%に到達したところでMMA21516.7g、TBMA30559.2gを添加した。MMAの転化率が56%に到達したところで反応を終了させた。それ以外は製造例18と同様に製造し、標記ブロック共重合体のペレットを作製した。得られたアクリル系ブロック共重合体のGPC分析を行なったところ、数平均分子量Mnが101200、分子量分布Mw/Mnが1.28であった。
製造例23
40T2A’6.5−B1の合成
2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル421.7g、BA37031.5g、MEA18800.7gの仕込み比で重合を行ない、BAの転化率が95%に到達したところでMMA23103.6g、TBMA21875.3gを添加した。MMAの転化率が61%に到達したところで反応を終了させた。それ以外は製造例19と同様に製造し、標記ブロック共重合体のペレットを作製した。
得られたアクリル系ブロック共重合体のGPC分析を行なったところ、数平均分子量Mnが93700、分子量分布Mw/Mnが1.36であった。
製造例24
50TEBA8−B1の合成
2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル377.1g、BA42289.3g、2EHA18337.1gの仕込み比で重合を行ない、BAの転化率が95%に到達したところでMMA7865.0g、TBMA11170.3gを添加した。MMAの転化率が71%に到達したところで反応を終了させた。それ以外は製造例18と同様に製造し、標記ブロック共重合体のペレットを作製した。
得られたアクリル系ブロック共重合体のGPC分析を行なったところ、数平均分子量Mnが91800、分子量分布Mw/Mnが1.29であった。
製造例25
BA7−B1の合成
500L反応機で合成を行い、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル339.0g、BA48276.0gの仕込み比で重合を行ない、BAの転化率が96%に到達したところでMMA31094.8gを添加した。MMAの転化率が60%に到達したところで反応を終了させた。それ以外は製造例17と同様に製造し、標記ブロック共重合体のペレットを作製した。
得られたアクリル系ブロック共重合体のGPC分析を行なったところ、数平均分子量Mnが105300、分子量分布Mw/Mnが1.38であった。
製造例26
3A6−B1の合成
2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル360.4g、BA16167.7g、EA15876.4g、MEA9849.9gの仕込み比で重合を行ない、BAの転化率が96%に到達したところでMMA41887.0gを添加した。MMAの転化率が61%に到達したところで反応を終了させた。それ以外は製造例18と同様に製造し、標記ブロック共重合体のペレットを作製した。
得られたアクリル系ブロック共重合体のGPC分析を行なったところ、数平均分子量Mnが104200、分子量分布Mw/Mnが1.36であった。
製造例27
2A’6.5−B1の合成
2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル611.5g、BA53720.6g、MEA27232.8gの仕込み比で重合を行ない、BAの転化率が96%に到達したところでMMA43528.4gを添加した。MMAの転化率が92%に到達したところで反応を終了させた。それ以外は製造例19と同様に製造し、標記ブロック共重合体のペレットを作製した。得られたアクリル系ブロック共重合体のGPC分析を行なったところ、数平均分子量Mnが108300、分子量分布Mw/Mnが1.33であった。
製造例28
MMA−b−(BA−co−TBA)−b−MMA(BA/TBA=97.5/2.5mol%、(BA−co−TBA)/MMA=70/30重量%)型アクリル系ブロック共重合体(以下2.5STBA7と記載する)の合成
5Lのセパラブルフラスコを用い、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル5.65g(15.7ミリモル)、BA877ml(6.12モル)、TBA22.9ml(0.16モル)の仕込み比で重合を行ない、BAの転化率が95%、TBAの転化率が95%の時点でMMA369ml(3.45モル)を添加した。MMAの転化率が65%の時点で反応を終了させた。それ以外は製造例1と同様に製造し、目的とするアクリル系ブロック共重合体2.5STBA7を得た。
得られたアクリル系ブロック共重合体2.5STBA7のGPC分析を行なったところ、数平均分子量Mnが116000、分子量分布Mw/Mnが1.52であった。
製造例29
MMA−b−(BA−co−TBA)−b−MMA(BA/TBA=90/10mol%、(BA−co−TBA)/MMA=70/30重量%)型アクリル系ブロック共重合体(以下10STBA7と記載する)の合成
5Lのセパラブルフラスコを用い、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル5.64g(15.7ミリモル)、BA808ml(5.64モル)、TBA91.6ml(0.63モル)の仕込み比で重合を行ない、BAの転化率が95%、TBAの転化率が96%の時点でMMA461ml(4.31モル)を添加した。MMAの転化率が79%の時点で反応を終了させた。それ以外は製造例1と同様に製造し、目的とするアクリル系ブロック共重合体10STBA7を得た。
得られたアクリル系ブロック共重合体10STBA7のGPC分析を行なったところ、数平均分子量Mnが113408、分子量分布Mw/Mnが1.35であった。
実施例1
アクリル系ブロック共重合体50TBA7の酸無水物化反応および特性評価
製造例1で得られたアクリル系ブロック共重合体50TBA7、45gとイルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.09gを240℃に設定したラボプラストミル50C150(ブレード形状:ローラー形R60,東洋精機株式会社製)を用いて100rpmで20分間溶融混練して、目的の酸無水物基含有アクリル系ブロック共重合体(得られたポリマーを以下50ANBA7と記載する)を得た。
t−ブチルエステル部位の酸無水物基およびカルボキシル基への変換は、IR(赤外線吸収スペクトル)および13C(1H)−NMR(核磁気共鳴スペクトル)により確認できた。すなわち、IRでは、変換後には1800cm-1あたりに酸無水物基に由来する吸収スペクトルが見られるようになることから確認できた。13C(1H)−NMRでは、変換後には、t−ブチル基の4級炭素由来の82ppmのシグナルとメチル炭素由来の28ppmシグナルが消失し、新たに酸無水物基のカルボニル炭素由来の172〜173ppm(m)のシグナルと、カルボキシル基のカルボニル炭素由来の176〜179ppm(m)のシグナルが出現することから確認できた。酸無水物基を有する単量体、カルボキシル基を有する単量体は、得られたアクリル系ブロック共重合体のメタアクリル系重合体ブロック中にそれぞれ、24重量%、21重量%であった。それぞれの含有量は13C(1H)−NMR分析における上記シグナルの積分値より算出した。
また、得られた塊状のサンプルを、240℃で熱プレス成形し、直径30mmおよび厚さ12mmで円筒状の圧縮永久歪み評価用の成形体を得た。これらの成形体について、硬度、圧縮永久歪みを測定した。また、同様に熱プレス成形し、厚さ2mmのシート状の成形体を得た。これらのシートにて耐油性、機械強度および耐熱性を測定した。また、得られたシート状成形体を再度ラボプラストミルで混練し、リサイクル性を評価した。
なお、酸無水物基含有アクリル系ブロック共重合体50ANBA7の熱重量分析をおこなったところ、5%重量損失温度が357℃であった。
実施例2〜12
酸無水物化反応および特性評価
製造例2〜11および製造例12で得られたアクリル系ブロック共重合体(5TBA7、20TBA7、100TBA7、5T3A7、20T3A7、20T3A6、50T3A6、100T3A6、100T2A6、40T2A’6.5、50TEBA8)を、実施例1と同様の処方により酸無水物基含有アクリル系ブロック共重合体を合成した(以下、得られたアクリル系ブロック共重合体を、それぞれ5ANBA7、20ANBA7、100ANBA7、5AN3A7、20AN3A7、20AN3A6、50AN3A6、100AN3A6、100AN2A6、40AN2A’6.5、50ANEBA8と記載する)。
また、実施例1と同様に酸無水物基を有する単量体、カルボキシル基を有する単量体の含有量を13C(1H)−NMR分析により算出した。
得られたアクリル系ブロック共重合体のメタアクリル系重合体ブロック中の酸無水物基を有する単量体、カルボキシル基を有する単量体の含有量を酸無水物基を有する単量体、カルボキシル基を有する単量体の順にそれぞれ以下に記載する。
5ANBA7は、メタアクリル系重合体ブロック中にそれぞれ、2重量%、4重量%であった。
20ANBA7は、メタアクリル系重合体ブロック中にそれぞれ、11重量%、19重量%であった。
100ANBA7は、メタアクリル系重合体ブロック中にそれぞれ、69重量%、31重量%であった。
5AN3A7は、メタアクリル系重合体ブロック中にそれぞれ、2重量%、7重量%であった。
20AN3A6は、メタアクリル系重合体ブロック中にそれぞれ、3重量%、17重量%であった。
50AN3A6は、メタアクリル系重合体ブロック中に、22重量%、18重量%であった。
100AN3A6は、メタアクリル系重合体ブロック中にそれぞれ、45重量%、55重量%であった。
40AN2A’6.5は、メタアクリル系重合体ブロック中にそれぞれ、20重量%、20重量%であった。
50ANEBA8は、メタアクリル系重合体ブロック中にそれぞれ、26重量%、27重量%であった。
また、実施例1と同様の処方により、直径30mmおよび厚さ12mmの円筒状の圧縮永久歪み評価用の成形体を得た。これらの成形体について、硬度、圧縮永久歪みを測定した。また、同様に熱プレス成形し、厚さ2mmのシート状の成形体を得た。これらのシートにて耐油性、機械強度および耐熱性を測定した。さらに、得られたシート状成形体を再度プラストミルで混練し、リサイクル性を評価した。
実施例13
酸無水物基含有アクリル系ブロック共重合体の加水分解によるカルボキシル化反応および特性評価
20AN3A6、20gを水40gと共に耐圧容器に入れ、200℃にて2時間加熱し、目的のカルボキシル基含有アクリル系ブロック共重合体(得られたポリマーを以下20C3A6と記載する)を得た。
酸無水物基のカルボキシル基への変換は、IR(赤外線吸収スペクトル)および13C(1H)−NMR分析(核磁気共鳴スペクトル)により確認できた。
すなわち、IR分析では、変換後には1800cm-1あたりの酸無水物基に由来する吸収スペクトルが消失することから確認することができた。また、13C(1H)−NMR分析では、酸無水物基のカルボニル炭素由来の172〜173ppm(m)のシグナルが、定量的にカルボキシル基のカルボニル炭素由来の176〜179ppm(m)のシグナルに変換されることから確認することができた。
得られたカルボキシル基含有アクリル系ブロック共重合体の耐熱性を高化式フローにて測定した。また、得られたカルボキシル基含有アクリル系ブロック共重合体100重量部に対して、イルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.2重量部を配合し、240℃に設定したラボプラストミル(東洋精機(株)製)用いてを50rpmで20分間溶融混練して、塊状のサンプルを得た。得られたサンプルを、設定温度240℃で熱プレス成形し、厚さ2mmの物性評価用の成形体を得た。
実施例14
50AN3A6を用いたほかは、実施例13と同様の方法により、目的のカルボキシル基含有アクリル系ブロック共重合体(得られたポリマーを以下50C3A6と記載する)を得た。また実施例13と同様の方法により、特性評価用のサンプルを作製した。
実施例15
100AN3A6を用いたほかは、実施例13と同様に方法により、目的のカルボキシル基含有アクリル系ブロック共重合体(得られたポリマーを以下100C3A6と記載する)を得た。また実施例13と同様の方法により、特性評価用のサンプルを作製した。
比較例1〜4
製造例13〜16で製造した重合体100重量部に対して、イルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.2重量部を配合し、190℃に設定したラボプラストミル(東洋精機(株)製)を用いて50rpmで20分間溶融混練して、塊状のサンプルを得た。
得られたサンプルを、設定温度190℃で熱プレス成形し、直径30mmおよび厚さ12mmの円筒状の圧縮永久歪み評価用の成形体を得た。これらの成形体について、硬度、圧縮永久歪みを測定した。また、同様に熱プレス成形し、厚さ2mmのシート状の成形体を得た。これらのシートにて耐油性、機械強度および耐熱性を測定した。さらに、得られたシート状成形体を再度プラストミルで混練し、リサイクル性を評価した。
比較例1で得た酸無水物基を有さないこのアクリル系ブロック共重合体BA7の熱重量分析を測定したところ、5%重量損失温度は280℃であった。以上の結果から酸無水物基の導入によって、その耐熱分解性が著しく向上する効果が示された。
比較例5
オレフィン系エラストマーであるサントプレーン211−55(エーイーエス・ジャパン(株)製)をスクリュー回転数100rpmにて170℃に設定したラボプラストミル(東洋精機(株)製)を用いて溶融混練してサンプルを得た。
得られたサンプルを設定温度170℃で熱プレス成形し、直径30mmおよび厚さ12mmの円筒状の成形体を得た。これらの成形体について、硬度、圧縮永久歪み測定した。また、同様に設定温度170℃で熱プレス成形し、厚さ2mmのシート状の成形体を得た。これらのシートにて耐油性、機械強度および耐熱性を測定した。オレフィン系エラストマーでは圧縮永久歪みが良好であるものの、耐油性のレベルが不充分であることがわかる。
比較例6
エステル系エラストマーであるペルプレンP−30B(東洋紡績(株)製)をスクリュー回転数50rpmにて190℃に設定したラボプラストミル(東洋精機(株)製)を用いて溶融混練してサンプルを得た。
得られたサンプルを設定温度190℃で熱プレス成形し、直径30mmおよび厚さ12mmの円筒状の成形体を得た。これらの成形体について、硬度、圧縮永久歪みを測定した。また、同様に設定温度190℃で熱プレス成形し、厚さ2mmのシート状の成形体を得た。これらのシートにて耐油性、機械強度および耐熱性を測定した。ポリエステル系エラストマーでは、良好な機械特性は示すものの、低硬度のグレードのものでも柔軟性が不充分である上に、耐油性、圧縮永久歪みも不充分であることがわかる。
比較例7
架橋された厚さ2mmのクロロプレンシート(CR)状成形体から直径30mmの円形物を切り出し、それを6枚重ねて圧縮永久歪み評価用成形体を得、得られた成形体を用いて、硬度および圧縮永久歪みを測定した。また、シート状成形体からダンベルなどを切り出し、耐油性および引張特性を測定した。さらに、シート状成形体を再度プラストミルで混練し、リサイクル性を評価した。架橋されたクロロプレンは良好な機械特性、耐油性、圧縮永久歪み特性を示すものの、リサイクルできないことがわかる。
Figure 0004493498
Figure 0004493498
Figure 0004493498
実施例1〜12の試験結果を表1に、実施例13〜15の試験結果を表2に、比較例1〜7の試験結果を表3に示す。
酸無水物基を導入した酸無水物基含有ブロック共重合体は、酸無水物基を導入していないブロック共重合体に比較して、高温における圧縮永久歪が良好であり、耐熱性および耐熱分解性が向上していることがわかる(実施例1〜12)。かつ、成形などに必要な強度を維持していることがわかる。また、酸無水物基含有アクリル系ブロック共重合体中のアクリル系重合体ブロックの組成および、アクリル系ブロックおよびメタアクリル系重合体ブロックの組成比、および酸無水物基の含有量により柔軟でありながら、低硬度から高硬度までの種々の硬度を有する材料が得られることがわかる。
アクリル系重合体ブロックがBAからなる酸無水物基含有ブロック共重合体は柔軟かつ、耐熱性や機械特性、低温特性のバランスに優れる材料であることがわかる。
アクリル系重合体ブロックがBA、EA、MEAからなる酸無水物基含有ブロック共重合体は極めて耐油性に優れる上に、耐熱性や機械特性のバランスに優れる材料であることがわかる。
アクリル系重合体ブロックがBA、MEAからなる酸無水物基含有ブロック共重合体は耐油性や耐熱性や機械特性のバランスに優れる材料であることがわかる。
アクリル系重合体ブロックがBA、2EHAからなる酸無水物基含有ブロック共重合体は、柔軟かつ極めて低硬度な上に、耐熱性や機械特性、低温特性のバランスに優れる材料であることがわかる。
酸無水物基を加水分解により開環したカルボキシル基含有ブロック体は、高温における圧縮永久歪が良好であり耐熱性がより向上していることがわかる(実施例13〜15)。かつ、成形などに必要な強度を維持していることがわかる。加えてカルボキシル基の導入によって、凝集力が向上されているにもかかわらず、硬度はほとんど変化しておらず、低硬度で良好な圧縮永久歪・機械強度を示す材料であることがわかる。
一方、比較例1〜4はいずれも、リサイクル性は有するが、圧縮永久歪みや耐熱性や耐熱分解性が不充分であることがわかる。比較例5の場合、リサイクル性を有し、圧縮永久歪みが良好であるが、耐油性が不充分であることがわかる。比較例6の場合、リサイクル性を有し、良好な引張特性は示すが、耐油性および圧縮永久歪みが不充分であることがわかる。また、柔軟性が不足する。比較例7の場合、引張特性および圧縮永久歪は良好であるが、架橋ゴムであるため、リサイクルできないことがわかる。
表1〜3から明らかなように、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、リサイクル性を有し、圧縮永久歪み特性や耐油性、耐熱性が良好であり、かつ、成形などに必要な強度を維持していることがわかる。加えて官能基の導入によって、凝集力が向上されているにもかかわらず、低硬度かつ柔軟で良好な圧縮永久歪み・機械強度を示す材料であることがわかる。
実施例16
20T3A6の酸無水物化反応
製造例7で得られた重合体20T3A6、100重量部に対して、イルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.2重量部を配合し、ベント付二軸押出機(44mm、L/D=42.25)(日本製鋼所(株)製)を用い、50rpmの回転数、設定温度240℃で押出混練して、目的の酸無水物基含有アクリル系ブロック共重合体(20AN3A6)を得た。t−ブチルエステル部位の酸無水物基への変換は、実施例1と同様にIR(赤外線吸収スペクトル)および13C−NMR(核磁気共鳴スペクトル)により確認できた。このことから、種々の加工機を用いて酸無水物基含有アクリル系ブロック共重合体を得ることができることが確認された。また、押出し機にて製造できることから、製造プロセスが簡便になることがわかる。
実施例17
酸無水物化反応および特性評価
製造例17で得られた重合体50TBA7-B1、100重量部に対して、イルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.3重量部を配合し、ベント付二軸押出機(44mm、L/D=42.25)(日本製鋼所(株)製)を用い、300rpmの回転数、設定温度240℃で押出混練して、目的の酸無水物基含有アクリル系ブロック共重合体(50ANBA7-B1)を得た。また、この時、二軸押出機の先端に水中カットペレタイザー(GALA INDUSTRIES INC.製CLS−6−8.1 COMPACT LAB SYSTEM)を接続し、水中カットペレタイザーの循環水中に防着剤としてアルフローH−50ES(日本油脂株式会社製)を添加することで、防着性のない球形状のペレットを得た。
t−ブチルエステル部位の酸無水物基への変換は、実施例1と同様にIR(赤外線吸収スペクトル)および13C−NMR(核磁気共鳴スペクトル)により確認できた。また、得られたペレットを、220℃に設定したラボプラストミル(東洋精機(株)製)を用いて100rpmで10分間溶融混練した後、220℃で熱プレス成形し、直径30mmおよび厚さ12mmの円筒状の圧縮永久歪み評価用の成形体を得た。これらの成形体について、硬度、圧縮永久歪みを測定した。また、同様に熱プレス成形し、厚さ2mmのシート状の成形体を得た。これらのシートにて耐油性、機械強度および耐熱性を測定した。また、得られたシート状成形体を再度プラストミルで混練し、リサイクル性を評価した。
実施例18〜24
酸無水物化反応および特性評価
製造例18〜24で得られたアクリル系ブロック共重合体(20T3A6.8−B1、20T3A6.8−B2、20T3A6−B1、50T3A6.5−B1、50T3A6−B1、40T2A’6.5−B1、50TEBA8−B1)を用いて、実施例17と同様の処方により酸無水物基含有アクリル系ブロック共重合体を合成した(以下、得られたアクリル系ブロック共重合体を、それぞれ20AN3A6.8−B1、20AN3A6.8−B2、20AN3A6−B1、50AN3A6.5−B1、50AN3A6−B1、40AN’2A6.5−B1、50ANEBA8−B1と記載する)。
また、実施例17と同様の処方により、直径30mmおよび厚さ12mmの円筒状の圧縮永久歪み評価用の成形体を得た。これらの成形体について、硬度、圧縮永久歪みを測定した。また、同様に熱プレス成形し、厚さ2mmのシート状の成形体を得た。これらのシートにて耐油性、機械強度および耐熱性を測定した。さらに、得られたシート状成形体を再度プラストミルで混練し、リサイクル性を評価した。
比較例8〜10
製造例25〜27で得られたアクリル系ブロック共重合体(BA7−B1、3A6−B1、2A’6.5−B1)100重量部に対して、イルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.3重量部を配合し、ベント付二軸押出機(44mm、L/D=42.25)(日本製鋼所(株)製)を用い、300rpmの回転数、設定温度190℃で押出混練した。また、この時、二軸押出機の先端に水中カットペレタイザー(GALA INDUSTRIES INC.製CLS−6−8.1 COMPACT LAB SYSTEM)を接続し、水中カットペレタイザーの循環水中に防着剤としてアルフローH−50ES(日本油脂株式会社製)を添加することで、防着性のない球形状のペレットを得た。
得られた球形状のペレットを190℃に設定したラボプラストミル(東洋精機(株)製)を用いて50rpmで10分間溶融混練して、塊状のサンプルを得た。
得られたサンプルを、設定温度190℃で熱プレス成形し、直径30mmおよび厚さ12mmの円筒状の圧縮永久歪み評価用の成形体を得た。これらの成形体について、硬度、圧縮永久歪みを測定した。また、同様に熱プレス成形し、厚さ2mmのシート状の成形体を得た。これらのシートにて耐油性、機械強度および耐熱性を測定した。さらに、得られたシート状成形体を再度プラストミルで混練し、リサイクル性を評価した。
Figure 0004493498
実施例17〜24の試験結果および、比較例8〜10の試験結果を表4に示す。
押出し機にて酸無水物化反応を行いながら、ペレット化することが可能であり、押出し機にて作製した酸無水物基含有ブロック体においても、酸無水物基を導入していないブロック体に比較して、高温における圧縮永久歪が良好であり、耐熱性および圧縮永久歪み特性が向上していることがわかる。かつ、成形などに必要な強度を維持していることがわかる。また、酸無水物基含有アクリル系ブロック共重合体中のアクリル系重合体ブロックの組成および、アクリル系重合体ブロックおよびメタアクリル系重合体ブロックの組成比、および酸無水物基の含有量により柔軟でありながら、低硬度から高硬度まで種々の硬度を有する材料が得られることがわかる。
表4から明らかなように、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、リサイクル性を有し、圧縮永久歪み特性や耐油性、耐熱性が良好であり、かつ、成形などに必要な強度を維持していることがわかる。加えて官能基の導入によって、凝集力が向上されているにもかかわらず、低硬度かつ柔軟で良好な圧縮永久歪み・機械強度を示す材料であることがわかる。
実施例25
酸無水物基含有ブロック共重合体の加水分解によるカルボキシル化反応
20AN3A6、100重量部に対して、イルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.2重量部を配合し、サーモミキサー(30mm、L/D=12)(ノリタケ(株)製)を先端に2連にて取り付けた、可視化押出機(30mm、L/D=36)((株)プラスチック工学研究所製)を用い、0.14Kg/時間で水を圧入しながら、25rpmの回転数、設定温度200℃で押出混練して、目的のカルボキシル基含有ブロック体(20C3A6)を得た。
酸無水物基のカルボキシル基への変換は、IR(赤外線吸収スペクトル)および13C(1H)−NMR分析(核磁気共鳴スペクトル)により確認できた。
すなわち、IR分析では、変換後には1800cm-1あたりの酸無水物基に由来する吸収スペクトルが消失することから確認することができた。また、13C(1H)−NMR分析では、酸無水物基のカルボニル炭素由来の172〜173ppm(m)のシグナルが、定量的にカルボキシル基のカルボニル炭素由来の176〜179ppm(m)のシグナルに変換されることから確認することができた。
このことから、種々の加工機を用いて酸無水物基を開環反応させ、カルボキシル基含有アクリル系ブロック共重合体を得ることができることが確認された。また、押出し機にて製造できることから、製造プロセスが簡便になることがわかる。
<熱可塑性樹脂組成物>
実施例26
アクリル系ブロック共重合体2.5STBA7の酸無水物化反応
製造例28で得られたアクリル系ブロック共重合体2.5STBA7、45gとイルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.09gを240℃に設定したラボプラストミル(東洋精機(株)製)を用いて100rpmで20分間溶融混練して、目的の酸無水物基含有アクリル系ブロック共重合体(得られたポリマーを以下2.5SANBA7と記載する)を得た。
t−ブチルエステル部位の酸無水物基およびカルボキシル基への変換は、IR(赤外線吸収スペクトル)および13C(1H)−NMR(核磁気共鳴スペクトル)により確認できた。すなわち、IRでは、変換後には1800cm-1あたりに酸無水物基に由来する吸収スペクトルが見られるようになることから確認できた。酸無水物基を有する単量体、カルボキシル基を有する単量体は、得られたアクリル系ブロック共重合体のアクリル系重合体ブロック中にそれぞれ、0.6重量%、1.9重量%であった。
酸無水物基を有する単量体、カルボキシル基を有する単量体の含有量は、アクリル系ブロック体中のカルボキシル基をジアゾメタンを用いてメチル化した後、熱分解GC((株)島津製作所製GC−9A)することにより算出した。
得られた2.5SANBA7、100重量部に対して、ウベスタ3012U(宇部興産株式会社製)を30重量部加え、設定190℃、回転数100rpmで20分間ラボプラストミル(東洋精機(株)製)で混練し、塊状のサンプルを得た。得られた塊状のサンプルを、190℃で熱プレス成形し、直径30mmおよび厚さ12mmの円筒状の圧縮永久歪み評価用の成形体を得た。これらの成形体について、硬度、圧縮永久歪みを測定した。また、同様に熱プレス成形し、厚さ2mmのシート状の成形体を得た。これらのシートにて耐油性、機械強度を測定した。
実施例27
アクリル系ブロック共重合体10STBA7の酸無水物化反応
製造例29で得られたアクリル系ブロック共重合体10STBA7を用いた以外は実施例26と同様に酸無水物化反応を行い、目的の酸無水物基含有アクリル系ブロック共重合体(得られたポリマーを以下10SANBA7と記載する)を得た。また、実施例26と同様に、ウベスタ3012Uと混練して評価用サンプルを得た。酸無水物基を有する単量体、カルボキシル基を有する単量体は、得られたアクリル系ブロック共重合体のアクリル系重合体ブロック中にそれぞれ、2重量%、7重量%であった。それぞれの含有量は13C(1H)−NMR分析における上記シグナルの積分値より算出した。
また、実施例26と同様に、ウベスタ3012Uと混練して評価用サンプルを得た。
比較例11
製造例13で得られたBA7、100重量部に対してイルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.2重量部およびウベスタ3012U(宇部興産株式会社製)を30重量部加え、設定190℃、回転数100rpmで20分間ラボプラストミル(東洋精機(株)製)で混練し、塊状のサンプルを得た。得られた塊状のサンプルを、190℃で熱プレス成形し、直径30mmおよび厚さ12mmの円筒状の圧縮永久歪み評価用の成形体を得た。これらの成形体について、硬度、圧縮永久歪みを測定した。また、同様に熱プレス成形し、厚さ2mmのシート状の成形体を得た。これらのシートにて耐油性、機械強度を測定した。
Figure 0004493498
実施例26、27および比較例11を表5に示す。表5から明らかなように、アクリル系重合体ブロックに酸無水物基を有するアクリル系ブロック共重合体を用いた組成物は、酸無水物基を有さないアクリル系ブロック共重合体を用いた組成物に比べて、柔軟かつ、機械強度、耐油性および圧縮永久歪み特性に優れることがわかる。
また、アセトンへの不溶分(wt%)が増加することから、ポリアミド樹脂と酸無水物基含有ブロック共重合体が反応することがわかる。よって、酸無水物基含有アクリル系ブロック共重合体および、熱可塑性樹脂との組成物は相溶化剤としても好適に使用可能である。
実施例28
20ANBA7、100重量部に対して、ポリブチレンテレフタラート樹脂(ジュラネックス2002、ポリプラスチックス(株)製)を100重量部加え、設定温度240℃、回転数100rpmで20分間ラボプラストミル(東洋精機(株)製)で混練し、塊状のサンプルを得た。得られたサンプルを、設定温度240℃で熱プレス成形し、厚さ2mmの物性評価用の成形体を得た。得られた成形体の物性を、それぞれ所定の形状に打ち抜き評価した。
実施例29
酸無水物型アクリル系ブロック共重合体20ANBA7、100重量部に対して、ダイアミドE47−S1(ダイセルヒュルス製)を100重量部加え、設定温度190℃、回転数100rpmで20分間ラボプラストミル(東洋精機(株)製)で混練し、設定温度190℃で熱プレス成形したほかは、実施例28と同様にして成形体を作製し、評価した。
実施例30
20ANBA7、100重量部に対して、ウベスタ3012U(宇部興産(株)製)を100重量部加えたほかは、実施例28と同様にして成形体を作製し、評価した。
比較例12
ポリブチレンテレフタラート樹脂(ジュラネックス2002、ポリプラスチックス(株)製)を設定温度240℃、回転数100rpmで20分間ラボプラストミル(東洋精機(株)製)で混練し、塊状のサンプルを得た。得られたサンプルを、設定温度240℃で熱プレス成形し、厚さ2mmの物性評価用の成形体を得た。
得られた成形体の物性を、それぞれ所定の形状に打ち抜き評価した。
比較例13
ダイアミドE47−S1(ダイセルヒュルス製)を用いたほかは比較例12と同様にして成形体を作製し、評価した。
比較例14
ウベスタ3012U(宇部興産(株)製)を用いたほかは比較例12と同様にして成形体を作製し、評価した。
比較例15
20ANBA7を用いたほかは比較例12と同様にして成形体を作製し、評価した。
Figure 0004493498
実施例28〜30および比較例12〜15の試験結果を表6に示す。表6から明らかなように、本発明では、所望の柔軟性のある成形体が得られることがわかった。実施例29、30においては、トルエンへの不溶分(wt%)が増加することから、樹脂と酸無水物基含有アクリル系ブロック体が反応していることがわかる。よって、酸無水物基含有アクリル系ブロック共重合体および、熱可塑性樹脂との組成物は相溶化剤としても好適に使用可能である。
<ゴム組成物および熱可塑性エラストマー組成物>
実施例31
酸無水物基含有ブロック体(20AN3A6)100重量部に対して、架橋ゴム1(シリコーン−アクリル複合ゴム、三菱レイヨン(株)製、S−2001)を10重量部加え、設定温度180℃、回転数100rpmで10分間ラボプラストミル(東洋精機(株)製)で混練し、塊状の組成物を得た。
得られた組成物を用いて直径30mm、厚さ12mmの円柱状成形体を製造し、硬度、圧縮永久歪みを測定した。また、得られた組成物を設定温度180℃で熱プレス成形し、厚さ2mmの物性評価用の成形体を得た。得られた成形体を用いて、耐油性および引張特性、低温脆化性を測定した。
実施例32、33
カルボキシル基含有ブロック共重合体(20C3A6)100重量部に対して、実施例32では架橋ゴム2(パウダー状NBR、JSR(株)製、PN20HA)、実施例33では架橋ゴム1(シリコーン−アクリル複合ゴム、三菱レイヨン(株)製、S−2001)をそれぞれ10重量部加え、設定温度180℃、回転数100rpmで10分間プラストミルで混練し、塊状の組成物を得た。実施例32と同様にして評価を行なった。
実施例34
カルボキシル基含有ブロック共重合体(100C3A6)100重量部に対して、架橋ゴム1(シリコーン−アクリル複合ゴム、三菱レーヨン(株)製、S−2001)57重量部を加え、設定温度230℃、回転数100rpmで10分間ラボプラストミル(東洋精機(株)製)で混練し、設定温度230℃で熱プレス成形した他は、実施例31と同様にして成形体を作製し、評価した。
実施例35
カルボキシル基含有ブロック共重合体(100C3A6)100重量部に対して、架橋ゴム1(シリコーン−アクリル複合ゴム、三菱レーヨン(株)製、S−2001)64.5重量部、滑剤1(ステアリン酸、ナカライテスク(株)製)0.6重量部および無機充填剤1(カーボンブラック、旭カーボン(株)製、旭#15)1.6重量部を加え、設定温度230℃、回転数100rpmで10分間ラボプラストミル(東洋精機(株)製)で混練し、設定温度230℃で熱プレス成形した他は、実施例31と同様にして成形体を作製し、評価した。
実施例7B
実施例7でプレス成形した厚さ2mmのシート状成形体を用いて低温脆性を測定した。
実施例13B
カルボキシル基含有ブロック共重合体20C3A6、100重量部に対して、イルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.2重量部を配合し、180℃に設定したラボプラストミル(東洋精機(株)製)を用いて100rpmで20分間溶融混練して、塊状のサンプルを得た。得られたサンプルを、180℃で熱プレス成形し、直径30mm、厚さ12mmの円柱状成形体を製造し、硬度、圧縮永久歪みを測定した。また、得られた組成物を設定温度180℃で熱プレス成形し、厚さ2mmの物性評価用の成形体を得た。得られた成形体を用いて、耐油性および引張特性、低温脆化性を測定した。
実施例15B
カルボキシル基含有ブロック共重合体100C3A6、100重量部に対して、イルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.2重量部を配合し、230℃に設定したラボプラストミル(東洋精機(株)製)を用いて100rpmで20分間溶融混練して、塊状のサンプルを得た。
得られたサンプルを、230℃で熱プレス成形した以外は比較例13Bと同様に評価をおこなった。
Figure 0004493498
実施例31〜35、実施例7B、13B、15Bの試験結果を表7に示す。表7の結果から明らかなように、実施例31〜35では、架橋ゴムを添加しても、所望の柔軟性、圧縮永久歪、耐油性および引張特性などを有する成形体が得られることがわかる。また、低Tgを有する架橋ゴムを添加することで、耐油性を損わずに、低温脆化性を改良できることがわかる。
<充填剤含有組成物>
実施例36
カルボキシル基含有ブロック共重合体(20C3A6)100重量部に対して、滑剤1(ステアリン酸、ナカライテスク(株)製)5重量部および無機充填剤1(カーボンブラック、旭カーボン(株)製、旭#15)0.25重量部を加え、設定温度180℃、回転数100rpmで10分間ラボプラストミル(東洋精機(株)製)で混練し、塊状の組成物を得た。
得られた組成物を180℃で熱プレス成形し、直径30mmおよび厚さ12mmの円柱状成形体を得た。得られた成形体を用いて、硬度および圧縮永久歪みを測定した。また、同様にして得られた組成物を熱プレス成形し、厚さ2mmのシート状成形体を得た。得られたシート状成形体を用いて耐油性、引張特性および摩擦性を測定した。さらに、加工性を測定した。
実施例37
酸無水物基含有ブロック共重合体(20AN3A6)100重量部に対して、滑剤1(ステアリン酸、ナカライテスク(株)社製)20重量部および無機充填剤1(カーボンブラック、旭カーボン(株)製、旭#15)1.25重量部を加えた他は、実施例36と同様にして成形体を作製し、評価した。
実施例38
カルボキシル基含有ブロック共重合体(20C3A6)100重量部に対して、滑剤2(ステアリン酸亜鉛、日本油脂(株)製)2重量部および無機充填剤2(カーボンブラック、旭カーボン(株)製、旭#60HN)10重量部を加えた他は、実施例36と同様にして成形体を作製し、評価した。
実施例39
カルボキシル基含有ブロック共重合体(20C3A6)100重量部に対して、滑剤3(ステアリン酸カルシウム、堺化学工業(株)製、SC−100)5重量部および無機充填剤2(カーボンブラック、旭カーボン(株)製、旭#60HN)0.25重量部を加えた他は、実施例36と同様にして成形体を作製し、評価した。
比較例1Bおよび2B
比較例1および比較例2でプレス成形した厚さ2mmのシート状成形体を用いて摩擦性を評価したが、いずれの摩擦性も粘着性が高いため、測定できないレベルであった。
実施例13C
実施例13Bでプレス成形した厚さ2mmのシート状成形体を用いて摩擦性を評価した。また、該シート状成形体を細かく切ってペレット状にし、加工温度を測定した。
実施例40
カルボキシル基含有ブロック共重合体(20C3A6)100重量部に対して、可塑剤(ポリアクリル酸ブチル、東亞合成(株)製、UP−1000)25重量部、滑剤2(ステアリン酸Zn、堺化学(株)製、SZ−2000)3重量部、無機充填剤2(カーボンブラック、旭カーボン(株)製、旭#60HN)15重量部を加え、設定温度180℃、回転数100rpmで10分間ラボプラストミル(東洋精機(株)製)で混練し、塊状の組成物を得た。得られた組成物を180℃で熱プレス成形し、直径30mmおよび厚さ12mmの円柱状成形体を得た。得られた成形体を用いて、硬度および圧縮永久歪みを測定した。また、同様にして得られた組成物を熱プレス成形し、厚さ2mmのシート状成形体を得た。得られたシート状成形体を用いて耐油性、引張特性を測定した。可塑剤を添加、しても所望の柔軟性、圧縮永久歪、耐油性および引張特性などを有する成形体が得られることがわかる。
Figure 0004493498
実施例36〜40、比較例1B、2Bおよび実施例13Cの試験結果を表8に示す。表8の結果から明らかなように、本発明で使用するアクリル系ブロック共重合体に滑剤、無機充填剤を添加したものは、所望の柔軟性、耐油性、圧縮永久歪および引張特性などを有し、樹脂表面の動的摩擦性が小さいことがわかる。
また、実施例36と実施例13Cとの比較から明らかなように、本発明に使用するアクリル系ブロック共重合体に滑剤、無機充填剤を添加することにより、加工温度を低くすることができ、射出成形する場合などにおいて、良好な成形をすることができることがわかる。
<相溶化剤>
実施例41
BA7、100重量部に対して、ウベスタ3012U(宇部興産(株)製)25重量部、20ANBA7、4重量部を配合し、設定温度240℃、回転数100rpmで20分間プラストミルで混練し、塊状のサンプルを得た。得られたサンプルを、設定温度240℃で熱プレス成形し、厚さ2mmの物性評価用の成形体を得た。得られた成形体の物性を、それぞれ所定の形状に打ち抜き評価した。
比較例16
BA7、100重量部に対して、ウベスタ3012U(宇部興産(株)製)25重量部を配合し、設定温度240℃、回転数100rpmで20分間プラストミルで混練し、塊状のサンプルを得た。得られたサンプルを、設定温度240℃で熱プレス成形し、厚さ2mmの物性評価用の成形体を得た。得られた成形体の物性を、それぞれ所定の形状に打ち抜き評価した。
Figure 0004493498
実施例41および比較例16の試験結果を表9に示す。表9から明らかなように、本発明では、酸無水物基含有ブロック体を添加したものは、破断伸びが向上し、ウベスタ3012UとMBAMとの相溶化剤として好適に作用していることがわかる。
以上の結果から、本発明のアクリル系ブロック共重合体は、柔軟性に富み、機械強度、成形加工性、耐油性、耐熱性、熱分解性に優れ、さらには反応性に富むことがわかる。また、本発明のアクリル系ブロック共重合体をゴムあるいは熱可塑性樹脂および/または熱可塑性エラストマーと組み合わせることで、柔軟性、耐油性、耐熱性などに富む新規な組成物が得られることがわかる。また、耐油性や、耐熱性や圧縮永久歪にとくに優れることから、自動車、電気・電子部品に好適に広く使用できることがわかる。

Claims (22)

  1. (A)アクリル系ブロック共重合体であって、(a)メタアクリル系重合体ブロック、および(b)アクリル系重合体ブロックからなり、少なくとも一方の重合体ブロックの主鎖中に
    一般式(1):
    Figure 0004493498
    (式中、R1は水素またはメチル基で、互いに同一でも異なっていてもよい。nは0〜3の整数、mは0または1の整数)で表わされる(c)酸無水物基を少なくとも1つ有することを特徴とするアクリル系ブロック共重合体。
  2. (d)カルボキシル基を0.1〜50重量%有する請求項1記載のアクリル系ブロック共重合体。
  3. (a−b)n型、b−(a−b)n型および(a−b)n−a型からなる群より選択される少なくとも1種のアクリル系ブロック共重合体からなる請求項1記載のアクリル系ブロック共重合体。
  4. 数平均分子量が30000〜500000である請求項1記載のアクリル系ブロック共重合体。
  5. ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したアクリル系ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1〜1.8である請求項1記載のアクリル系ブロック共重合体。
  6. メタアクリル系重合体ブロック(a)5〜80重量%およびアクリル系重合体ブロック(b)95〜20重量%からなる請求項1記載のアクリル系ブロック共重合体。
  7. 酸無水物基(c)をメタアクリル系重合体ブロック(a)に有する請求項1記載のアクリル系ブロック共重合体。
  8. 酸無水物基(c)をアクリル系重合体ブロック(b)に有する請求項1記載のアクリル系ブロック共重合体。
  9. 酸無水物基(c)を0.1〜99.9重量%有する請求項7記載のアクリル系ブロック共重合体。
  10. 酸無水物基(c)を0.1〜99.9重量%有する請求項8記載のアクリル系ブロック共重合体。
  11. 酸無水物基(c)を有するブロックと同じブロックに、カルボキシル基(d)を有する請求項1記載のアクリル系ブロック共重合体。
  12. アクリル系重合体ブロック(b)が、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸エチルおよびアクリル酸2−メトキシエチルからなる群より選ばれた1種以上のアクリル酸エステル50〜100重量%、ならびに、これらと共重合可能な他のアクリル酸エステルおよび/または他のビニル系単量体0〜50重量%からなる請求項1記載のアクリル系ブロック共重合体。
  13. アクリル系重合体ブロック(b)が、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−メトキシエチルからなることを特徴とする請求項1記載のアクリル系ブロック共重合体。
  14. アクリル系重合体ブロック(b)が、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−メトキシエチルからなることを特徴とする請求項1記載のアクリル系ブロック共重合体。
  15. アクリル系重合体ブロック(b)が、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルからなることを特徴とする請求項1記載のアクリル系ブロック共重合体。
  16. 請求項1記載のアクリル系ブロック共重合体を加水分解して酸無水物基が開環し、側鎖に(e)カルボキシル基を有するアクリル系ブロック共重合体。
  17. 原子移動ラジカル重合により製造されたブロック共重合体である請求項1記載のアクリル系ブロック共重合体。
  18. メタアクリル系重合体ブロック(a)、アクリル系重合体ブロック(b)の少なくとも一方の重合体ブロックの主鎖中に
    一般式(2):
    Figure 0004493498
    (式中、R2は水素またはメチル基を表す。R3は水素、メチル基、またはフェニル基を表し、少なくともひとつのメチル基を含むこと以外は互いに同一でも異なっていてもよい。)で表わされる単位を少なくとも1つ有する(A’)アクリル系ブロック共重合体を、180〜300℃の温度で溶融混練することを特徴とする請求項1記載のアクリル系ブロック共重合体の製造方法。
  19. アクリル系ブロック共重合体(A’)が制御ラジカル重合により製造された請求項18記載のアクリル系ブロック共重合体の製造方法。
  20. アクリル系ブロック共重合体(A)を水と共に溶融混練することを特徴とする請求項16記載のアクリル系ブロック共重合体の製造方法。
  21. 請求項1記載のアクリル系ブロック共重合体(A)を成形してなるシール製品。
  22. 請求項1記載のアクリル系ブロック共重合体(A)からなる自動車・電気・電子用部品。
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