JP4493013B2 - 半導体装置 - Google Patents
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Description
また、熱可塑性樹脂という安価な材料を用い、さらに射出成形と言う生産性に優れた工程を経るため、パッケージにかかるコストを低減することができるとともに、熱可塑性樹脂はリサイクルも可能なため、環境面での優位性をも有している。
しかし、発光ダイオードが高出力化し、発生する熱や光が増大するとともに、チップをパッケージにダイボンド実装する際の加熱等の製造工程中の熱履歴による影響と、発光ダイオードを回路基板へ実装する際に鉛フリー半田を用いることとに起因して、それらの工程が高温化するため、何れの耐熱性ポリマーを用いても、その耐光性、耐熱黄変性が十分ではない。
また、一般にリードフレーム材として用いられている銀メッキ材は、樹脂との密着性が低く、さらに、これらの接触部位が異種材料の接合部となるため、半田熱衝撃、冷熱サイクル時の熱応力集中点と重なる。したがって、リードフレーム材と樹脂との間に容易に剥離が発生し、現状では銀メッキのリードフレーム材を採用する表面実装型発光ダイオードのほぼ全てに銀メッキ面の剥離が認められる。そして、この剥離が進行した場合には、ワイヤーオープン、銀ペースト浮き等、発光ダイオードの信頼性にとって致命的な欠陥を招くこととなる。
さらに、パッケージ成形体の底部において露出した金属基体が、サブマウント基板及び/又はコーティング部材によって被覆されているために、金属基体として、反射率が低い材料を使用した場合においても、パッケージ成形体の底部及び側部に配置するコーティング部材によって半導体素子から照射される光の反射率を確保することができ、光出力を向上させることができる。
しかも、半導体素子がコーティング部材と非接触状態であるため、つまり、半導体素子側面及び上面がコーティング部材で被覆されることがないために、半導体素子の側面や上面から照射される光が、コーティング部材により吸収されることがなくなり、発光出力を高めることができる。
パッケージ成形体は、通常、有底状又は部分的な有底状であって、底部を囲うように底部から側部が延設されており、底部に対向する領域が開放された容器として形成されている。パッケージ成形体は、公知の材料、通常、耐熱性樹脂である熱可塑性エンジニアリングポリマー、熱硬化性樹脂等の1種又は2種以上を組み合わせて形成することができる。例えば、液晶ポリマー(LCP)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、芳香族ナイロン(PPA)、エポキシ樹脂、硬質シリコーンレジン等が挙げられる。なかでも、熱可塑性エンジニアリングポリマーがコスト面で適当である。また、これらの樹脂には、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、シリカ、チタン酸バリウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、タルク、炭酸マグネシウム、窒化ホウ素、グラスファイバー等の無機フィラー等の1種又は2種以上が組み合わせられて添加されていてもよい。さらに、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤等の添加剤が適宜添加されていてもよい。例えば、樹脂100重量部に対して、無機フィラー等が10〜80重量部、好ましくは40〜80重量部添加されていること適当である。
パッケージ成形体の形状は、特に限定されるものではなく、底部の投影形状が、円、楕円、四角形、多角形又は略これらに対応する形状等、種々のものが挙げられる。また、その大きさは特に限定されるものではなく、例えば、0.05mm2〜100mm2が挙げられる。底部を囲うように底部から延設される側部は、必ずしも明確に底部と区別できるように形成されていなくてもよく、底部から傾斜を有して(例えば、5〜90°程度)立ち上がりがあればよい。側部の高さは、例えば、100μm〜10mm程度が挙げられる。
金属基体は、1つでもよいが、少なくとも2つ、さらに3つ配置されていることが好ましい。金属基体は、いわゆるリード、リードフレーム、リード電極等と呼ばれ、半導体素子等に電力を供給する一対の導電体や、ヒートシンクとして機能するものである。金属基体は、パッケージ成形体の底部に載置される半導体素子と直接的に、又はサブマウント基板を介して間接的に電気的に接続することが可能な状態で備えられていれば、どのように配置されていてもよい。例えば、一端部がパッケージ成形体に挿入されてパッケージ成形体内の底部において露出され、他端部がパッケージ成形体外に延設されるように設けられていることが好ましい。また、これを実現するためには、パッケージ成形体と金属基体とが一体成型により形成されていることが適当である。
サブマウント基板としては、特に限定されるものではなく、熱伝導性に優れた材料及び/又は光吸収が低い、言い換えると光反射率が高い材料で形成されていることが好ましい。具体的には、金属、単結晶半導体(シリコン、窒化アルミニウム等)、単結晶絶縁体(サファイア等)、セラミックス等が挙げられる。サブマウント基板は、単にその表面に導電性パターンが形成されているのみでもよく、後述する保護素子等の回路が形成されたものであってもよい。また、その大きさは、例えば、その上に載置する半導体素子の大きさ、数等によって適宜調整することができる。膜厚は、例えば、1μm〜200μm程度、好ましくは10μm〜100μm程度が挙げられる。サブマウント基板は、適当な接着剤、例えば、後述するコーティング部材や封止材として用いられる樹脂、銀ペースト、共晶接合、半田接合等を用いて、パッケージ成形体に固定することができる。
(A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物、
(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物、
(C)ヒドロシリル化触媒、
(D)シランカップリング剤及び/又はエポキシ基含有化合物、
(E)シラノール縮合触媒及び
を必須成分として含む硬化性組成物により形成してもよい。この硬化性組成物は、さらに(F)無機部材を含むことが好ましい。
成分(A)の有機化合物は、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有するものであれば特に限定されず、構成元素としてC、H、N、O、S及びハロゲンのみを含むものであることが好ましい。なお、有機化合物として、ポリシロキサン−有機ブロックコポリマー、ポリシロキサン−有機グラフトコポリマー等のシロキサン単位(Si−O−Si)を含むものはガス透過性及びはじきの問題がある。
有機重合体系化合物としては、例えば、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリアリレート系、ポリカーボネート系、飽和炭化水素系、不飽和炭化水素系、ポリアクリル酸エステル系、ポリアミド系、フェノール−ホルムアルデヒド系(フェノール樹脂系)、ポリイミド系の化合物が挙げられる。
成分(A)の有機化合物においては、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の種類は特に限定されず、例えば、下記一般式(II)
で表される部分構造を環内に有する脂環式の基が、コーティング部材の耐熱性が高いという点から好適である。特に、原料の入手の容易さから、下記式(IIIa)で表される部分構造を環内に有する脂環式の基が好適である。
骨格部分に共有結合する基(以下、「共有結合基」と記することがある)の例としては、ビニル基、アリル基、メタリル基、アクリル基、メタクリル基、2−ヒドロキシ−3−(アリルオキシ)プロピル基、2−アリルフェニル基、3−アリルフェニル基、4−アリルフェニル基、2−(アリルオキシ)フェニル基、3−(アリルオキシ)フェニル基、4−(アリルオキシ)フェニル基、2−(アリルオキシ)エチル基、2、2−ビス(アリルオキシメチル)ブチル基、3−アリルオキシ−2、2−ビス(アリルオキシメチル)プロピル基、
成分(A)の有機化合物の具体的な例としては、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、1,1,2,2−テトラアリロキシエタン、ジアリリデンペンタエリスリット、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、ジビニルベンゼン類(純度50〜100%のもの、好ましくは純度80〜100%のもの)、ジビニルビフェニル、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ジイソプロペニルベンゼン及びそれらのオリゴマー、1,2−ポリブタジエン(1、2比率10〜100%のもの、好ましくは1、2比率50〜100%のもの)、ノボラックフェノールのアリルエーテル、アリル化ポリフェニレンオキサイド、
成分(A)の有機化合物は、上記のように骨格部分とアルケニル基とに分けて表現しがたい、低分子量化合物であってもよい。これらの低分子量化合物の具体例としては、ブタジエン、イソプレン、オクタジエン、デカジエン等の脂肪族鎖状ポリエン化合物系、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、ノルボルナジエン等の脂肪族環状ポリエン化合物系、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキセン等の置換脂肪族環状オレフィン化合物系等が挙げられる。
成分(A)の有機化合物のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の数は、平均して1分子当たり少なくとも2個あればよいが、力学強度をより向上したい場合には2を越えることが好ましく、3個以上であることがより好ましい。成分(A)のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の数が1分子内当たり1個以下の場合は、成分(B)と反応してもグラフト構造となるのみで架橋構造となりにくい。
また、貯蔵安定性が良好となりやすいという観点から、1分子中にビニル基を6個以下含有していることが好ましく、1分子中にビニル基を4個以下含有していることがより好ましい。
成分(A)の有機化合物は、他の成分との均一な混合及び良好な作業性を得るために、23℃において1000ポイズ未満の粘度ものが好ましく、300ポイズ未満のものがより好ましく、30ポイズ未満のものがさらに好ましい。粘度はE型粘度計によって測定することができる。
また、硬化性組成物の粘度を低減させる観点からは、ビニルシクロヘキセン、ジビニルベンゼン、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、トリアリルイソシアヌレートが特に好ましい。
成分(A)の有機化合物は、他の反応性基を有していてもよい。この場合の反応性基としては、エポキシ基、アミノ基、ラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、アルコキシシリル基等が挙げられる。これらの官能基を有している場合には得られる硬化性組成物の接着性が高くなりやすく、得られるコーティング部材の強度が高くなりやすい。接着性がより高くなり得るという点からは、エポキシ基が好ましい。また、得られるコーティング部材の耐熱性が高くなりやすいという点においては、反応性基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。
特に、成分(A)の有機化合物は、耐熱性・耐光性が高いという観点から、下記一般式(I)
で表されるトリアリルイソシアヌレート及びその誘導体であるか、これを含むものであることが特に好ましい。
また、化学的な熱安定性が良好になりうるという観点からは、2個以下の酸素原子を含みかつ構成元素としてC、H及びOのみを含む炭素数1〜50の一価の有機基であることが好ましく、炭素数1〜50の一価の炭化水素基であることがより好ましい。
さらに、一般式(I)のR1として、得られるコーティング部材の各種材料との接着性が良好になり得るという観点からは、3つのR1のうち少なくとも1つがエポキシ基を1つ以上含む炭素数1〜50の一価の有機基であることが好ましく、
で表される有機化合物(複数のR5及びR6はそれぞれ異なっていても同一であってもよい。)がさらに好ましい。
一般式(V)のR5は、得られるコーティング部材の化学的な熱安定性が良好になり得るという観点からは、結合手又は2つ以下の酸素原子を含み、かつ構成元素としてC、H及びOのみを含む炭素数1〜48の二価の有機基であることが好ましく、結合手又は炭素数1〜48の二価の炭化水素基であることがより好ましい。これらの好ましいR5の例としては、
一般式(I)で表される有機化合物の好ましい具体例としては、トリアリルイソシアヌレート、
硬化性組成物の粘度を低減する観点からは、トリアリルイソシアヌレートが好ましい。
コーティング部材の接着性向上のためには、成分(A)としてはジアリルモノグリシジルイソシアヌレートが好ましい。
なお、成分(A)は、単独又は2種以上のものを混合して用いることが可能である。
成分(B)のケイ素化合物は、1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物であれば特に限定されるものではなく、例えば、国際公開WO96/15194号に記載された化合物等が挙げられる。
これらのうち、入手の容易さから、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状及び/又は環状オルガノポリシロキサンが好ましく、成分(A)との相溶性が良いという観点からは、下記一般式(VI)
一般式(VI)で表される化合物としては、入手容易性の観点から、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンが好ましい。
成分(B)のケイ素化合物の分子量は特に限定されるものではなく、任意のものが好適に使用できる。コーティング部材の流動性をより発現しやすいという観点からは低分子量のものが好ましい。例えば、分子量が50以上であり、100,000以下、より好ましくは1,000以下、さらに好ましくは700以下である。
(成分α)
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に1個以上含有する有機化合物である成分αは、この二重結合を1分子中に2個以上含有する有機化合物(成分α1)と、この二重結合を1分子中に1個含有する有機化合物(成分α2)とを含む。
また、成分α2は、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に1個含有する有機化合物であれば特に限定されないが、成分(B)が成分(A)と相溶性がよくなるという点において、ポリシロキサン−有機ブロックコポリマー、ポリシロキサン−有機グラフトコポリマーのようなシロキサン単位(Si−O−Si)を含むものではなく、構成元素としてC、H、N、O、S及びハロゲンのみを含むものであることが好ましい。成分α2を用いることにより、得られるコーティング部材が低弾性となりやすい。
成分α2の化合物は、重合体系化合物と単量体系化合物に分類できる。
重合体系化合物としては、例えば、ポリシロキサン系、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリアリレート系、ポリカーボネート系、飽和炭化水素系、不飽和炭化水素系、ポリアクリル酸エステル系、ポリアミド系、フェノール−ホルムアルデヒド系(フェノール樹脂系)、ポリイミド系の化合物が挙げられる。
成分α2のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合としては特に限定されず、上述した一般式(II)で示される基が反応性の点から好適である。また、原料の入手の容易さからは、上述した式(IIa)で示される基が特に好ましい。
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合は成分α2の骨格部分に直接結合していてもよく、2価以上の置換基を介して共有結合していてもよい。2価以上の置換基としては炭素数0〜10の置換基であれば特に限定されないが、成分(B)が成分(A)と相溶性がよくなりやすいという点から、構成元素としてC、H、N、O、S、及びハロゲンのみを含むものが好ましい。これらの置換基の例としては、上述の「化5」で例示したものと同様のものが挙げられる。また、これらの2価以上の置換基の2つ以上が共有結合によりつながって1つの2価以上の置換基を構成していてもよい。
成分α2の具体例としては、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−ウンデセン、出光石油化学社製リニアレン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン、2,3,3−トリメチル−1−ブテン、2,4,4−トリメチル−1−ペンテン等のような鎖状脂肪族炭化水素系化合物類、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、メチレンシクロヘキサン、ノルボルニレン、エチリデンシクロヘキサン、ビニルシクロヘキサン、カンフェン、カレン、αピネン、βピネン等のような環状脂肪族炭化水素系化合物類、スチレン、αメチルスチレン、インデン、フェニルアセチレン、4−エチニルトルエン、アリルベンゼン、4−フェニル−1−ブテン等のような芳香族炭化水素系化合物、アルキルアリルエーテル、アリルフェニルエーテル等のアリルエーテル類、グリセリンモノアリルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン等の脂肪族系化合物類、1,2−ジメトキシ−4−アリルベンゼン、o−アリルフェノール等の芳香族系化合物類、モノアリルジベンジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート等の置換イソシアヌレート類、ビニルトリメチルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリフェニルシラン等のシリコン化合物等が挙げられる。さらに、片末端アリル化ポリエチレンオキサイド、片末端アリル化ポリプロピレンオキサイド等のポリエーテル系樹脂、片末端アリル化ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂、片末端アリル化ポリブチルアクリレート、片末端アリル化ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂等の片末端にビニル基を有するポリマー及びオリゴマー類等を挙げることができる。
成分α2としては、得られるコーティング部材の耐熱性が高くなるという点から、炭化水素化合物であることが好ましい。この場合の好ましい炭素数の下限は7であり、上限は10である。
成分α2は、その他の反応性基を有していてもよい。この場合の反応性基としては、エポキシ基、アミノ基、ラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、アルコキシシリル基等が挙げられる。これらの官能基を有している場合には得られる硬化性組成物の接着性が高くなりやすく、得られるコーティング部材の強度が高くなりやすい。接着性がより高くなりうるという点からは、これらの官能基のうちエポキシ基が好ましい。また、得られるコーティング部材の耐熱性が高くなりやすいという点から、反応性基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。具体的には、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、アリルグリシジルエーテル、アリロキシエチルメタクリレート、アリロキシエチルアクリレート、ビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
(成分β)
成分βは、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状及び/又は環状のポリオルガノシロキサンを含む限り、その種類は特に限定されない。例えば、
(成分αと成分βとの反応)
成分αと成分βとをヒドロシリル化反応に付する場合、これらの混合比率は、特に限定されないが、得られる成分(B)と成分(A)とのヒドロシリル化によるコーティング部材の強度を考えた場合、成分(B)のSiH基が多い方が好ましいため、一般に混合する成分α中のSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合の総数(X)と、混合する成分β中のSiH基の総数(Y)との比が、Y/X≧2となるように設定することが好ましく、Y/X≧3であることがより好ましい。
成分αと成分βとをヒドロシリル化反応させる場合には適当な触媒を用いてもよい。
触媒としては、例えば、白金の単体;アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの;塩化白金酸;塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体;白金−オレフィン錯体(例えば、Pt(CH2=CH2)2(PPh3)2、Pt(CH2=CH2)2Cl2);白金−ビニルシロキサン錯体(例えば、Pt(ViMe2SiOSiMe2Vi)n、Pt[(MeViSiO)4]m);白金−ホスフィン錯体(例えば、Pt(PPh3)4、Pt(PBu3)4);白金−ホスファイト錯体(例えば、Pt[P(OPh)3]4、Pt[P(OBu)3]4);ジカルボニルジクロロ白金;カールシュテト(Karstedt)触媒;アシュビー(Ashby)の米国特許第3159601号及び3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体;ラモロー(Lamoreaux)の米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラート触媒;モディック(Modic)の米国特許第3516946号明細書中に記載された塩化白金−オレフィン複合体等が挙げられる。なお、上記の式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは、整数を示す。また、RhCl(PPh)3、RhCl3、RhAl2O3、RuCl3、IrCl3、FeCl3、AlCl3、PdCl2・2H2O、NiCl2、TiCl4等の白金化合物以外の触媒を用いてもよい。これらの触媒は単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。なかでも、触媒活性の点から、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体等が好ましい。
また、上記触媒には助触媒を併用してもよい。助触媒としては、トリフェニルホスフィン等のリン系化合物、マレイン酸ジメチル等の1、2−ジエステル系化合物、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチン等のアセチレンアルコール系化合物、単体の硫黄等の硫黄系化合物、トリエチルアミン等のアミン系化合物等が挙げられる。
成分α、成分β及び触媒を混合する方法としては、各種方法をとることができるが、成分αに触媒を混合したものを、成分βに混合する方法が好ましい。成分α、成分βの混合物に触媒を混合する方法の場合、反応の制御が困難である。成分βに触媒を混合したものに成分αを混合する方法の場合、触媒の存在下、成分βが、混入している水分と反応性を有するため、変質することがある。
反応時間、反応時の圧力は、必要に応じ種々設定できる。
溶媒としては、ヒドロシリル化反応を阻害しない限り特に限定されるものではなく、例えば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1, 4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、1, 2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒を好適に用いることができる。使用する溶媒量は適宜調整することができる。溶媒は2種類以上の混合溶媒として用いてもよい。
成分αと成分βを反応させて成分(B)を得た際、得られた成分(B)を単離することなく混合物のままで用いてもよいし、未反応の成分及び/又は溶媒を除去してもよい。揮発分を除去する場合には、得られる成分(B)が揮発分を有さないため、成分(A)とともに硬化させる際に、揮発分の揮発によるボイド、クラックの問題が生じにくい。揮発分を除去する方法としては、例えば、減圧脱揮;活性炭、ケイ酸アルミニウム、シリカゲル等による処理等が挙げられる。減圧脱揮する場合には低温(例えば、100℃以下、好ましくは60℃以下)で処理することが好ましい。高温で処理すると増粘等の変質を伴いやすい。
コーティング部材の耐熱性・耐光性の点から、ジビニルベンゼンと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンとの反応物、トリアリルイソシアヌレートと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンとの反応物が好ましい。
成分(B)のケイ素化合物は、単独又は2種以上のものを混合して用いることができる。
成分(C)
成分(C)のヒドロシリル化触媒としては、ヒドロシリル化反応の触媒活性があれば、特に限定されず、成分αと成分βとのヒドロシリル化反応に使用することができる触媒と同様のものが挙げられる。また、好ましい触媒の例、添加量、助触媒についても、上記と同様のものが挙げられる。
硬化遅延剤としては、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機イオウ化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等の1種又は2種以上が挙げられる。
硬化遅延剤の添加量は種々設定できるが、使用するヒドロシリル化触媒1molに対して10-1モル以上、より好ましくは1モル以上であり、103モル以下、より好ましくは50モル以下である。
成分(D)のシランカップリング剤としては、分子中に有機基と反応性のある官能基と、加水分解性のケイ素基とを各々少なくとも1個有する化合物が挙げられる。
例えば、有機基と反応性のある官能基としては、取扱い性の点からエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基及びカルバメート基から選ばれる少なくとも1個の官能基が好ましく、硬化性及び接着性の点から、エポキシ基、メタクリル基、アクリル基が、特に好ましい。
シランカップリング剤としては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ官能基を有するアルコキシシラン類:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン等のメタクリル基及びアクリル基を有するアルコキシシラン類等が挙げられる。
シラノール源としては、例えば、トリフェニルシラノール、ジフェニルジヒドロキシシラン等のシラノール化合物、ジフェニルジメトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン類等を挙げることができる。シラノール源化合物は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
カルボン酸類、酸無水物類としては特に限定されないが、例えば、
成分(E)
成分(E)のシラノール縮合触媒としては特に限定されず、有機アルミニウム化合物、ほう酸エステル、チタン系化合物等が挙げられる。なかでも、硬化時及び高温下での着色性が低い点から、ほう酸エステルが好ましい。また、接着性の向上及び/又は安定化が可能である点から、チタン系化合物を用いることもできる。
B(OR8)3 (VII)
B(OCOR8)3 (VIII)
(式中、R8は炭素数1〜48の有機基を表す。)
で示されるものを好適に用いることができる。
また、硬化時の揮発性を抑制できる点から、ほう酸ノルマルトリオクタデシル、ほう酸トリノルマルオクチル、ほう酸トリフェニル、トリメチレンボレート、トリス(トリメチルシリル)ボレート、ほう酸トリノルマルブチル、ほう酸トリ−sec−ブチル、ほう酸トリ−tert−ブチル、ほう酸トリイソプロピル、ほう酸トリノルマルプロピル、ほう酸トリアリル、ほう素メトキシエトキサイドが好ましく、ほう酸ノルマルトリオクタデシル、ほう酸トリ−tert−ブチル、ほう酸トリフェニル、ほう酸トリノルマルブチルがさらに好ましい。
揮発性の抑制、作業性の点から、ほう酸トリノルマルブチル、ほう酸トリイソプロピル、ほう酸トリノルマルプロピルが好ましく、ほう酸トリノルマルブチルがさらに好ましい。
また、高温下での着色性が低い点から、ほう酸トリエチルが好ましく、ほう酸トリメチルがさらに好ましい。
チタン系化合物としては、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタン等のテトラアルコキシチタン類:チタンテトラアセチルアセトナート等のチタンキレート類:オキシ酢酸やエチレングリコール等の残基を有する一般的なチタネートカップリング剤が例示できる。
シラノール縮合触媒を用いる場合の使用量は種々設定できるが、シランカップリング剤及び/又はエポキシ基含有化合物100重量部に対して0.1重量部以上、より好ましくは1重量部以上であり、50重量部以下、より好ましくは30重量部以下である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いとコーティング部材の物性に悪影響を及ぼす場合がある。
成分(F)
成分(F)である無機部材は、硬化性組成物中に分散することにより、外部から照射された光を反射、散乱及び/又は拡散等させることができる材料であることが好ましい。
例えば、アルミナ、シリカ(ヒュームシリカ、沈降性シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、超微粉無定形シリカ、無水珪酸等)、石英、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛、一酸化錫、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム等の酸化物、窒化硼素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の金属窒化物、SiC等の金属炭化物、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム等の金属炭酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、ほう酸アルミニウム、チタン酸バリウム、リン酸カルシウム、珪酸カルシウム、クレー、石膏、硫酸バリウム、マイカ、ケイソウ土、白土、無機バルーン、タルク、蛍光物質、金属片(銀粉等)等からなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
コーティング部材中の無機部材の配合量は特に限定されないが、コーティング部材全体量の0.1〜90重量%が挙げられる。塗布性の点から、80重量%以下、より好ましくは70重量%以下、さらに好ましくは50重量%以下、特に好ましくは40重量%以下、より特に好ましくは30重量以下である。配合量が多いと塗布性が低下し、塗布不良のため反射性が低下する。反射性の点から、5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは30重量%以上、特に好ましくは40重量%以上、より特に好ましくは50重量%以上である。塗布性と反射性の両立のためには、10重量%以上80重量%以下、さらに好ましくは20重量%以上70重量%以下、特に好ましくは30重量%以上60重量%以下である。
無機部材は、分散性や反射性等を考慮して球状、針状、フレーク状等種々の形状をとることができる。
アルミナ、シリカ、窒化硼素、窒化アルミニウム等は、耐侯性に強く、高反射率を維持させることができる。
なお、シリカは、チクソ性付与の点からは表面処理をしていないことが好ましい。例えば、日本アエロジル株式会社製のAEROSIL 300、130、200等を好適に用いることができる。一方、増粘効果の点からは表面処理をしていることが好ましい。例えば、日本アエロジル株式会社製のAEROSIL R812、R972、R974、R976、RX200、RX300等を好適に用いることができる。
特に、蛍光物質の使用量は、変換性が良好である点から、コーティング部材の全体量の5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは30重量%以上、特に好ましくは40重量%以上、より特に好ましくは50重量%以上である。
硬化性組成物の調製
硬化性組成物は、上述した成分(A)〜(E)、任意に(F)を混合し、組成物中のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合と、SiH基の一部又は全部とを反応させることによって調製することができる。その後、任意に成分(F)を混合してもよい。
成分(A)〜(E)は、室温で反応させてもよいし、加熱して反応させてもよい。反応が速く、一般に耐熱性の高い材料が得られやすいという観点から加熱して反応させる方法が好ましい。反応温度としては種々設定できるが、例えば30〜300℃の温度が適用でき、50〜250℃がより好ましく、100〜200℃がさらに好ましい。反応温度が低いと十分に反応させるための反応時間が長くなり、反応温度が高いと成形加工が困難となりやすい。
その他の成分(a)〜(h)
硬化性組成物には、上記成分(A)〜(E)の必須成分の他に、さらに、(a)熱硬化性樹脂、(b)熱可塑性樹脂、(c)充填材、(d)老化防止剤、(e)ラジカル禁止剤、(f)紫外線吸収剤、(g)着色剤、離型剤、難燃剤、難燃助剤、界面活性剤、消泡剤、乳化剤、レベリング剤、はじき防止剤、イオントラップ剤、チクソ性付与剤、粘着性付与剤、保存安定改良剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、増粘剤、可塑剤、反応性希釈剤、酸化防止剤、熱安定化剤、導電性付与剤、帯電防止剤、放射線遮断剤、核剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、染料、顔料、金属不活性化剤、熱伝導性付与剤、物性調整剤等の添加剤の1種以上を本発明の目的及び効果を損なわない範囲において添加することができる。また、硬化性組成物は、(h)溶剤に溶解して用いてもよい。これらの各種物質は、それぞれ単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
熱硬化樹脂は、樹脂原料及び/又は硬化させたものを、成分(A)及び/又は成分(B)に溶解させて均一な状態として混合してもよいし、粉砕して粒子状態で混合してもよいし、溶媒に溶解させて混合する等して分散状態としてもよい。得られるコーティング部材がより均一になりやすいという点においては、成分(A)及び/又は成分(B)に溶かして均一な状態として混合することが好ましい。この場合も、熱硬化性樹脂を成分(A)及び/又は成分(B)に直接溶解させてもよいし、溶媒等を用いて均一に混合してもよいし、その後溶媒を除いて均一な分散状態及び/又は混合状態としてもよい。
熱硬化性樹脂を分散させて用いる場合は、平均粒子径は種々設定できるが、10nm以上、10μm以下が好ましい。粒子系の分布はあってもよく、単一分散であっても複数のピーク粒径を有していてもよいが、コーティング部材の粘度が低く塗布性が良好となりやすいという観点からは粒子径の変動係数が10%以下であることが好ましい。
熱可塑性樹脂は、その他の架橋性基を有していてもよい。この場合の架橋性基としては、エポキシ基、アミノ基、ラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、アルコキシシリル基等が挙げられる。得られるコーティング部材の耐熱性が高くなりやすいという点から、架橋性基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。
熱可塑性樹脂は、成分(A)及び/又は成分(B)に溶かして均一な状態として混合してもよいし、粉砕して粒子状態で混合してもよいし、溶媒に溶かして混合する等して分散状態としてもよい。得られるコーティング部材がより均一になりやすいという点から、成分(A)及び/又は成分(B)に溶かして均一な状態として混合することが好ましい。この場合も、熱可塑性樹脂を成分(A)及び/又は成分(B)に直接溶解してもよいし、溶媒等を用いて均一に混合してもよいし、その後溶媒を除いて均一な分散状態及び/又は混合状態としてもよい。
充填材及び/又は無機部材(以下、単に「充填剤等」と記すことがある)は適宜表面処理してもよい。表面処理としては、アルキル化処理、トリメチルシリル化処理、シリコーン処理、カップリング剤による処理等が挙げられる。なお、カップリング剤は、成分(D)において例示したシランカップリング剤と同様のものが挙げられる。
充填材等の平均粒径としては、浸透性が良好となりやすいという点から、10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましい。
充填材等の粒径50μm以上の粒子の割合としては、浸透性が良好となりやすいという点から、1重量%以下であることが好ましく、0.1重量%以下であることがより好ましい。
充填材等の平均粒子径、充填材等の粒径50μm以上の粒子の割合はレーザー法マイクロトラック粒度分析計を用いて測定することができる。
比表面積はBET法モノソーブ比表面積測定装置によって測定することができる。
充填材等の形状としては、硬化性組成物の粘度が低くなりやすい観点からは、球状の充填材であることが好ましい。
充填材等の添加量は特に限定されないが、線膨張係数の低減化効果が高く、かつ硬化性組成物の流動性が良好であるという観点から、全組成物中30重量%以上、より好ましくは50重量%以上であり、80重量%以下、より好ましくは70重量%以下である。
(g)着色剤、離型剤、難燃剤、難燃助剤、界面活性剤、消泡剤、乳化剤、レベリング剤、はじき防止剤、イオントラップ剤、チクソ性付与剤、粘着性付与剤、保存安定改良剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、増粘剤、可塑剤、反応性希釈剤、酸化防止剤、熱安定化剤、導電性付与剤、帯電防止剤、放射線遮断剤、核剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、染料、顔料、金属不活性化剤、熱伝導性付与剤、物性調整剤、蛍光物質等は、当該分野で公知のもののいずれをも用いることができる。
特に、コーティング部材は、白色であることが好ましい。ここで白色とは、「JIS Z8110−1995 参考図1の系統色名の一般的な色度区分」に記載された白色領域の色を意味する。
保護素子としては、例えば、ツェナーダイオード、コンデンサ等が挙げられる。
ツェナーダイオードは、正電極を有するp型半導体領域と、負電極を有するn型半導体領域とを有し、保護素子の負電極及び正電極が発光素子のp側電極とn側電極に対して逆並列となるように接続される。このように、保護素子をツェナーダイオードとすることにより、正負電極間に過大な電圧が印加されても、発光素子の正負両電極間はツェナー電圧に保持されることとなり、過大な電圧から発光素子を保護し、素子破壊や性能劣化の発生を防止することができる。
また、本発明の半導体装置においては、封止部材により、単独で又は2種以上組み合わせて、単層で又は積層構造で封止されている。封止部材としては、耐熱性、耐光性、透明性を有する樹脂であることが適当であり、上述した樹脂又はコーティング部材として例示した硬化性組成物(成分(A)〜(E)を含む)のなかから適宜選択して用いることができる。封止部材には、蛍光物質、拡散剤、フィラー、あるいは成分(F)の無機部材及びその他の成分(a)〜(h)として挙げた添加剤等を含有させてもよいし、発光素子からの光に対して特定のフィルター効果等を発揮させるために、染料や顔料等を添加してもよい。なお、封止部材は、その上面、つまり、外気側において、中央部が突出した曲面を有していることが好ましい。これにより、発光素子から照射された光を正面方向に効率良く収束することができ、正面方向の光度を高めることができる。
まず、半導体素子として、サファイア基板上にn型層、活性層及びp型層を含む窒化物半導体層を順次形成し、活性層及びp型層の一部を除去してn型層の一部を露出させる。この露出させたn型層の上にn電極、p型層の上にp電極をそれぞれ形成し、単色性発光ピークが可視光である475nmの青色の発光が可能な窒化ガリウム系化合物半導体のLEDを形成した。
つまり、樹脂100重量部に、強化材としてグラスファイバーを40重量部、顔料として酸化チタン20重量部に微量の熱安定剤を添加して混練し、パラジウムメッキされたリードフレーム材と一体型に射出成形した。
このパッケージ成形体19内に、2つの電極を有す保護素子を兼ねるシリコン半導体からなる膜厚200μmのサブマウント基板18にフェイスダウン接合された発光素子15を、銀ペーストを用いてダイボンドして固定した。
続いて、コーティング部材17として、以下に示したコーティング樹脂A〜Eを、パッケージ成形体19の底部のリード電極11、12表面を完全に被覆し、サブマウント基板18の側面にのみ接触させ、発光素子15に接触しないように、それぞれ塗布、乾燥し、以下の条件で硬化させた。
・コーティング樹脂A(白色エポキシ樹脂)
一液カチオン硬化型エポキシ樹脂 100重量部
石原産業製 タイベークR−820 100重量部
日本アエロジル製 アエロジル#380 5重量部
PGMEA* 25重量部
90℃で3時間、その後150℃で4時間硬化させた。
・コーティング樹脂B(白色シリコーン樹脂)
シリコーン樹脂 100重量部
石原産業製 タイベークR-820 100重量部
日本アエロジル製 アエロジル#380 1重量部
ヘキサン 12重量部
デカン 28重量部
40℃で1時間、その後150℃で4時間硬化させた。
・コーティング樹脂C(白色変成シリコーン樹脂)
変成シリコーン樹脂 100重量部
石原産業製 タイベークR-820 100重量部
日本アエロジル製 アエロジル#380 1重量部
PGMEA* 2重量部
60℃で3時間、その後100℃で1時間硬化させた。
2‐アセトキシプロパン)を示す。
さらに、パッケージ成形体19の上から、封止部材として、以下に示す組み合わせにて、封止樹脂を注入、硬化させ、半導体装置10として発光ダイオードをそれぞれ作製した。
・封止樹脂A(白色エポキシ樹脂)
一液カチオン硬化型エポキシ樹脂 100重量部
90℃で3時間、その後150℃で4時間硬化させた。
・封止樹脂B(白色シリコーン樹脂)
シリコーン樹脂 100重量部
40℃で1時間、その後150℃で4時間硬化させた。
封止樹脂Bは、コーティング樹脂Bを用いたものに適用した。
・封止樹脂C(白色変成シリコーン樹脂)
変成シリコーン樹脂 100重量部
60℃で3時間、その後100℃で1時間、さらに150℃で1時間硬化させた。
また、比較例1として、図2に示すように、パッケージ成形体40と一体形成されたリード電極41、42が銀メッキされたものであり、サブマウント基板を用いず、コーティング部材を形成しない以外、上記の実施例と同様の発光ダイオード43を作製した。
さらに、比較例2として、比較例1のリードフレーム材として実施例1と同様にパラジウムメッキしたものを用いた以外、比較例1と同様の発光ダイオードを作製した。
得られた発光ダイオードに20mA通電した際の光出力を測定した。その結果を以下の表に示す。
また、コーティング部材として、コーティング樹脂B、Cを用いた場合も、コーティング樹脂Aを用いたものとほぼ同等の結果が得られた。
その結果、500時間後において、光出力の保持率が、実施例1については約6割であったのに対し、比較例1については約2割であった。
(実施例2)
合成例1:トリアリルイソシアヌレートと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンとの反応物B1(成分(B))の合成
5Lのセパラブルフラスコに、トルエン1.8kg、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン1.44kgを加えて、内温が104℃になるように加熱した。そこに、トリアリルイソシアヌレート200g、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)1.44mL、トルエン200gの混合物を滴下した。120℃のオイルバス中で7時間加熱還流させた。さらに、1−エチニル−1−シクロヘキサノール1.7gを加えた。
得られた生成物の1H−NMRを測定したところ、以下の構造式に示す1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンのSiH基の一部がトリアリルイソシアヌレートと反応した反応物B1(SiH価:8.2mmol/g、アリル価:0.12mmol/g)を主成分として含有していることが確認された。なお、この生成物には、ヒドロシリル化触媒(成分(C))である白金ビニルシロキサン錯体が含有されている。
成分(A)としてトリアリルイソシアヌレート54.51gとジアリルモノグリシジルイソシアヌレート87.03gとの混合物、成分(B)として合成例1の反応物B1を162.64g、成分(C)として白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)913mg、成分(D)としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン7.60g、成分(E)としてほう酸トリメチル1.52gを用いる。
成分(A)、成分(C)及び成分(E)をあらかじめ混合、攪拌し、混合物A液を調製した。
また、(B)成分、(D)成分及び1−エチニル−1−シクロヘキサノール90mgをあらかじめ混合、攪拌し、混合物B液を調製した。
混合物A液と混合物B液とを混合し、攪拌・脱泡を行い、一液混合物とした。
この一液混合物2.5gに成分(F)である酸化チタン(石原産業(株)、タイペークR−820)2.5gを混合し、攪拌・脱泡を行い、コーティング組成物Dを得た。
コーティング組成物Eの製造
コーティング組成物Dのために調製した成分(A)〜(E)の一液混合物2.5gに、成分(F)である酸化チタン(石原産業(株)、タイペークR−820)2.5gを混合し、さらにシリカ(日本アエロジル(株)、アエロジル300)75mgを混合し、攪拌・脱泡を行い、コーティング組成物Eを得た。
コーティング組成物Fの製造
成分(A)としてトリアリルイソシアヌレート12.04g、成分(B)として合成例1で得られた反応物B1を17.96g、成分(C)として白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)90mg、成分(D)としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン750mg、成分(E)としてほう酸トリメチル150mgを用いる。
また、成分(B)、成分(D)及び1−エチニル−1−シクロヘキサノール913mgをあらかじめ混合、攪拌し、混合物D液を調製した。
混合物C液と混合物D液を混合し攪拌・脱泡を行い、一液混合物とした。
(コーティング組成物の評価)
接着剤の作製
トリアリルイソシアヌレート12.04g、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)90mg及びほう酸トリメチル150mgをあらかじめ混合、攪拌し混合物E液を調製する。
得られた混合物E液と混合物F液とを混合し攪拌・脱泡を行い、接着剤とした。
ダイシェア試験用のダイの作製
上記で得られた混合物E液と混合物F液とを混合し攪拌・脱泡を行い、一液混合物とした。
得られた透明な成形体を、3mm(縦)×3mm(横)×1mm(厚)にダイヤモンドカッターを用いて切削し、ダイとした。
試験片の作製
コーティング組成物D〜Fを、それぞれ、ポリフタルアミド樹脂成形体の上に、テープをスペーサーとして、膜厚制御しながら塗布し、100℃/1時間硬化させ、コーティング層を形成した。
また、これとは別に、比較例として、ポリフタルアミド樹脂成形体の上に接着剤によりダイシェア試験用のダイを接着させた。接着剤は60℃/6時間、70℃/1時間、80℃/1時間、120℃/1時間、150℃/1時間加熱し、180℃/30分間加熱し、硬化させ、試験片を得た。
ダイシェア試験及び耐光性試験
上記で得られた各試験片について、ダイシェア試験により接着性を評価した。
また、上記で得られた各試験片について、ダイを通して接着面に光が照射されるようにした状態で耐光性試験を実施し、耐光性試験後に、上記と同様にダイシェア試験を行った。なお、耐光性試験はスガ試験機製スーパーキセノンウエザーメーターを用い、放射照度0.18kW/m2、1時間42分照射に引き続き18分降雨のサイクル試験、ブラックパネル温度63℃、湿度50%の試験条件で330時間実施した。
半導体装置の作製
図1に示したパッケージ成形体10に、コーティング組成物D〜Fを、それぞれ塗布し、乾燥させて、半導体装置として発光ダイオードをそれぞれ作製し、実施例1と同様に光出力を測定した。
11、12、41、42 リード電極(金属基体)
15 発光素子(半導体素子)
16 Au線
17、47 コーティング部材
19、40 パッケージ成形体
Claims (22)
- 上面に、凹部を有し、該凹部の底面に金属基体が露出したパッケージ成形体と、
前記凹部の底面に露出した金属基体上に位置するサブマウント基板と、
前記サブマウント基板上に載置された半導体発光素子と、
前記半導体発光素子から照射される光に対して85%以上の反射率を有し、前記凹部の底面及び側面を被覆するコーティング部材とを備えてなり、
前記パッケージ成形体の凹部は、底面に近づくにつれて幅狭となる傾斜した側面を有し、
前記コーティング部材は、パッケージ成形体の側面の上端部において薄く、底面に近づくにつれて徐々に厚膜となり、かつ前記サブマウント基板の厚みと同じ又はそれよりも薄く配置されており、
前記凹部の底面において露出した金属基体の上面が、少なくとも前記サブマウント基板及びコーティング部材により被覆され、かつ前記コーティング部材が半導体発光素子に非接触状態で配置してなることを特徴とする半導体装置。 - パッケージ成形体の底部において露出した金属基体の表面が、サブマウント基板又はコーティング部材により完全に被覆されている請求項1に記載の半導体装置。
- 金属基体が、銅、鉄もしくはこれらの合金、銅、鉄もしくはこれらの合金の表面にパラジウムメッキ、銅メッキ、アルミ蒸着もしくは酸素プラズマ処理された銀メッキが施されたものからなる群から選択される1種以上の材料から構成される請求項1又は2に記載の半導体装置。
- 金属基体が、その一端部においてパッケージ成形体に挿入されてパッケージ成形体内の底部にて露出され、他端部がパッケージ成形体外に延設されてなる請求項1〜3のいずれか1つに記載の半導体装置。
- コーティング部材が、パッケージ成形体の底部と側部とをテーパー状に被覆してなる請求項1〜4のいずれか1つに記載の半導体装置。
- コーティング部材が白色部材である請求項1〜5のいずれか1つに記載の半導体装置。
- コーティング部材が、エポキシ樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリノルボルネン樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種により形成されてなる請求項1〜6のいずれか1つに記載の半導体装置。
- コーティング部材が、
(A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物、
(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物、
(C)ヒドロシリル化触媒、
(D)シランカップリング剤及び/又はエポキシ基含有化合物、ならびに
(E)シラノール縮合触媒を必須成分として含む硬化性組成物により形成されてなる請求項1〜7のいずれか1つに記載の半導体装置。 - 硬化性組成物が、さらに(F)無機部材を含有してなる請求項8に記載の半導体装置。
- 半導体発光素子の上面が、
(A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物、
(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物、
(C)ヒドロシリル化触媒、
(D)シランカップリング剤及び/又はエポキシ基含有化合物、
(E)シラノール縮合触媒を必須成分として含む硬化性組成物を硬化させてなる硬化物により封止されてなる請求項1〜9に記載の半導体装置。 - 成分(A)が、トリアリルイソシアヌレート又はトリアリルイソシアヌレートとジアリルモノグリシジルイソシアヌレートとの混合物であり、成分(B)が、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンとトリアリルイソシアヌレートとの反応物である請求項8〜11のいずれか1つに記載の半導体装置。
- 成分(D)が、分子中にエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基及びカルバメート基からなる群より選ばれる少なくとも1個の官能基と加水分解性のケイ素基とを有するシランカップリング剤である請求項8〜12のいずれか1つに記載の半導体装置。
- 成分(D)が、分子中にエポキシ基と加水分解性のケイ素基とを有するシランカップリング剤である請求項13に記載の半導体装置。
- 成分(E)が、有機アルミニウム化合物及び/又はほう酸エステルである請求項8〜14のいずれか1つに記載の半導体装置。
- 成分(E)が、アルミニウムキレート化合物又はアルミニウムアルコラート化合物である請求項15に記載の半導体装置。
- 成分(E)が、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソブチレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムビスエチルアセトアセテートモノアセチルアセトネート及びアルミニウムトリス(アセチルアセトネート)からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項15に記載の半導体装置。
- 成分(E)が、ほう酸トリノルマルオクタデシル、ほう酸トリノルマルオクチル、ほう酸トリノルマルブチル、ほう酸トリイソプロピル、ほう酸トリノルマルプロピル、ほう酸トリエチル及びほう酸トリメチルからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項15に記載の半導体装置。
- 成分(F)が、酸化チタンである請求項9〜18のいずれか1つに記載の半導体装置。
- 酸化チタンがルチル型であり、その平均粒子径が0.1〜1.0μmである請求項19に記載の半導体装置。
- コーティング部材が、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、シリカ、チタン酸バリウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、タルク、炭酸マグネシウム、窒化ホウ素からなる群から選択される少なくとも1種を含有してなる請求項1〜19のいずれか1つに記載の半導体装置。
- 半導体発光素子の上面が、エポキシ樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリノルボルネン樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、非晶質ポリアミド樹脂、フッ素樹脂からなる群から選択される少なくとも1種により封止されてなる請求項1〜21のいずれか1つに記載の半導体装置。
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