JP4491514B1 - コンタクトレンズ保存容器 - Google Patents

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Abstract

本発明の課題は、優れたコスト効率をもって、バイオフィルムの形成を抑えることが出来ると共に、レンズの取り出しを容易に行うことの出来る、新規な構造のコンタクトレンズ保存容器を提供することにある。
かかる課題を解決するために、本発明は、ケース本体14における皿状収容部12の内面24を全体に亘って凹凸の無い滑らかで且つ連続的に変化する曲率半径をもって形成すると共に、該内面24を全体に亘って表面粗さが60nm以下の滑面とし、更に、該皿状収容部12の溶液容量を3.8mL以上とした。
【選択図】図6

Description

本発明は、コンタクトレンズを保存液への浸漬状態で収容保存するために頻回使用されるコンタクトレンズ保存容器に係り、特に、レンズの取り出しを容易に行ない得ると共に、容器への微生物汚染を抑制し得るコンタクトレンズ保存容器に関するものである。
従来から、コンタクトレンズの一種として、複数日に亘って繰り返し使用される頻回使用のコンタクトレンズが知られている。例えば、ディスポーザブル(所謂使い捨て)でないソフトコンタクトレンズ、およびディスポーザブルタイプの中でも1日使い捨てでないソフトコンタクトレンズなどが、それである。このような頻回使用されるコンタクトレンズは、就寝時等に眼球から取り外された際、保存液に浸漬せしめた状態で保存容器に収容されて保存される。
ところで、このような頻回使用されるコンタクトレンズを収容するための保存容器は、一般に、保存液を貯留してコンタクトレンズを浸漬状態で収容する略皿状の収容部と、該収容部の開口部を覆蓋する蓋部材を含んで構成されている(例えば、特許文献1(特開2000−281162号公報)参照)。
そして、かかる保存容器は、適当な期間に亘って、例えば毎日、コンタクトレンズの収容と取り出しを繰り返して頻回使用される。それ故、保存容器においては、容器内に収容したコンタクトレンズを、使用者が容易に取り出せることが要求される。
そのような要求に対処するために、従来構造の保存容器では、容器内面が適当な粗面とされており、内面へのコンタクトレンズの張り付きの防止が図られていた。また、同様の目的で、容器内面を経線方向に延びる屈曲線で繋いだ多面体形状を採用したものもあった。
さらに、収容部の開口部から差し入れた指先で、コンタクトレンズを押さえつつ、収容部の底部から開口部に向かってコンタクトレンズを容易に手繰り寄せることが出来るように、容器底部内面に適当なガイド用凹凸が付されているものが多かった。かかるガイド用凹凸は、例えば、収容部の底部中央からそれぞれ開口部に向かって放射状に延びる複数本の突条によって形成されている。
一方、近年では、コンタクトレンズ使用者の眼疾患増加の報告もあり、その真偽や原因が検討されている。
ここにおいて、本発明者は、コンタクトレンズ使用者の疾病原因について研究を重ねた結果、上述の如き頻回使用されるコンタクトレンズの不適切な保存状態が原因の一つとなる可能性に着眼した。即ち、従来構造の保存容器について本発明者が試験したところ、収容部内面へのバイオフィルムの発生を認めた。バイオフィルムとは、細菌同士がフィルム状に凝集した集合体であり、バイオフィルムが形成されると、バイオフィルム内部の細菌は抗菌剤から保護されて、殺菌が困難となる。それ故、収容部の内面にバイオフィルムが形成されると、抗菌性の保存液を収容部内に充填したとしても、バイオフィルムで保護された細菌がレンズに付着し、延いては眼球に入ることによって細菌感染を引き起こすおそれのあることが明らかとなってきた。
さらに、このようなコンタクトレンズ保存容器は、一般的に、保存液とセットで販売されており、保存液を使い切って新たに購入した場合には、保存容器も新品に交換して使用することが想定されている。しかし、想定された使用方法に従っていないユーザも多く、これが比較的早期にバイオフィルムを発生してしまう原因となって、近年のコンタクトレンズ使用者の眼疾患増大の一因になっていると推測される。
そこで、バイオフィルムの形成を抑制するための特別な加工等を施した保存容器も幾つか提案されているが、何れも、実用化は困難なものであった。
具体的には、例えば、特許文献2(特表2005−511427号公報)には、抗微生物剤を含有するポリマー材料で形成されたコンタクトレンズ保存容器が開示されている。しかし、抗微生物剤の重合それ自体がコスト高を招くと共に、抗微生物剤の安全性を充分に担保するために、更なるコスト高を招くという問題があり、実用性に乏しい。
また、特許文献3(特表2002−526184号公報)や、特許文献4(特開2002−6274号公報)には、コンタクトレンズ保存容器に光触媒機能を付与することが提案されている。しかし、これらの手法もコスト高を招く。しかも、光触媒機能は、光が当たることによって抗菌効果が発揮されるものであることから、収容部内面が蓋部等で覆われた形状とされており、室内や鞄の中などの暗所で保管されることが多いコンタクトレンズ保存容器では、収容部内面に充分に光が当たらず、充分な抗菌効果は発揮され難いものと考えられる。
特開2000−281162号公報 特表2005−511427号公報 特表2002−526184号公報 特開2002−6274号公報
ここにおいて、本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、優れたコスト効率をもって、バイオフィルムの形成を抑えることが出来ると共に、レンズの取り出しを容易に行うことの出来る、新規な構造のコンタクトレンズ保存容器を提供することにある。
上述の如き課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明者は、従来からレンズの取り出しを容易とするために収容部内面に形成されていた粗面や突条が、バイオフィルムの形成を容易としてしまうことを発見した。更に、これらの粗面や突条は、実はレンズの取り出しの容易性向上にもそれ程有効ではないとの知見を得るに至った。
すなわち、収容部内面の粗面や突条は、これによって形成される凹部に細菌が入り込む等してしまい、バイオフィルムの形成を容易にしてしまう。また、取り出しの面においても、特に、ソフトコンタクトレンズのような軟質のものでは、粗面や突条の凹凸形状でレンズ接触面積は減少するかもしれないが、凹凸形状に倣ってレンズ表面が変形することに起因してレンズが指先に張り付きにくくなったり、粗面との物理的摩擦により、レンズを上手く取り出せないことがある事実を発見したのである。
そこで、本発明者は、従来からの技術認識とは反対の、全く異なる新規な発想によって、本発明に至ったものである。
以下、前述の如き課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。
本発明の第一の態様は、ソフトコンタクトレンズを保存液に浸漬した状態で保存するために頻回使用されるコンタクトレンズ保存容器において、上方に開口する皿状収容部を設けたケース本体と、該皿状収容部の開口部を覆蓋する蓋部材を含んで構成されており、該皿状収容部の内面が全体に亘って凹凸の無い滑らかで且つ連続的に変化する曲率半径をもって形成されていると共に、該皿状収容部の内面が全体に亘って表面粗さが60nm以下の滑面とされており、更に、該皿状収容部の溶液容量が3.8mL以上とされていることを、特徴とする。
本態様に従う構造とされたコンタクトレンズ保存容器においては、皿状収容部の内面が凹凸の無い滑らかな形状とされている。ここにおいて、全体に亘って凹凸の無い滑らかで且つ連続的に変化する曲率半径とは、全ての点で共通接線をもって連続されており、共通接線を持たない屈曲点が存在しないようになっていることをいう。即ち、従来のコンタクトレンズ容器には、レンズの取り出しを容易とするために収容部の内面に凹凸形状が付されたものが多いが、本発明者は、かかる凹凸形状にバイオフィルムが形成され易いことを発見した。そこで、皿状収容部の内面から凹凸形状を無くすことによって、バイオフィルムの発生を効果的に抑えることが出来ることを見出したのである。
しかし乍、収容部内面から凹凸形状を無くしてしまうと、レンズが内面に張り付いて取り出しが困難となるおそれがある。そこにおいて、本発明者は、収容部内面の表面粗さを60nm以下に設定することによって、レンズの張り付きを抑えることが出来ることを見出した。更に、収容部内面が充分に滑らかに形成されることから、細菌の内面への入り込み等を抑えることも出来て、バイオフィルムの形成に対する抑制効果も向上せしめられることを見出した。そして、かかる新たな知見に基づき、皿状収容部の内面を本態様の如き滑面とすることによって、レンズの取り出し易さを確保しつつ、バイオフィルムの発生を効果的に抑えることを可能としたのである。
加えて、本態様においては、皿状収容部の溶液容量が3.8mL以上に設定されている。これにより、容器内の微生物汚染を抑制することが可能とされた。即ち、従来構造に従うレンズ容器においては、保存液の使用量を軽減するために、収容部の溶液容量は可及的に小さくされる傾向にあったが、本態様においては、敢えて大きな溶液容量を採用した。これにより、容器から取り出されたコンタクトレンズに付着してユーザーの目に入る細菌の総量を、溶液による希釈効果によって抑えることが可能となる。その結果、たとえ細菌が発生した場合でも、細菌感染のおそれを低減することが可能となるのである。
このように、本態様においては、従来技術認識とは全く反対の特定構造を備えたことによって、バイオフィルム形成の抑制効果とレンズ取出の容易性を、何れも有効に発揮することを可能と成し得たのである。そして、本態様においては、抗微生物剤や光触媒機能を有する部材等の特別な部材を用いる必要も無いことから、安価に製造することが出来て、優れたコスト効率を得ることも可能とされるのである。
本発明の第二の態様は、前記第一の態様に係るコンタクトレンズ保存容器において、前記ソフトコンタクトレンズとして、低含水非イオン性のソフトコンタクトレンズを保存することを、特徴とする。
低含水非イオン性のソフトコンタクトレンズは、含水率が低いことから保存液中を浮遊する細菌がレンズに捕捉される等のおそれを低減出来ると共に、非イオン性であることから汚れも付着し難く、細菌が汚れと共にレンズに付着するようなおそれも低減することが出来る。そこで、低含水非イオン性のソフトコンタクトレンズと本発明の如きコンタクトレンズ保存容器を組み合わせて用いることによって、より優れた細菌感染抑制効果を得ることが出来る。ここにおいて、低含水非イオン性のソフトコンタクトレンズとしては、2−ヒドロキシエチルメタクリレート( HEMA)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)、メタクリル酸グリセリル(GMA)、3−ヒドロキシプロピル=メタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチル=メタクリレート、4−ヒドロキシブチル=アクリレート、N−ビニルピロリドン(NVP)、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)、N,N−ジメチルメタクリルアミド(DMMA)などの重合性の親水性モノマーや、トリス(トリメチルシロキシ)−γ−メタクリロキシプロピルシランなどのシリコーン系モノマー、さらに、側鎖にポリシロキサン構造を有し、数平均分子量が約1000〜10000 であるシロキサンマクロモノマーや主鎖にポリシロキサン構造を有するポリ( オルガノシロキサン) マクロモノマー等から形成されたソフトコンタクトレンズが例示される。
本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に係るコンタクトレンズ保存容器において、前記蓋部材において前記皿状収容部の前記開口部を覆蓋する内面が凹凸の無い滑面とされていることを、特徴とする。
本態様によれば、皿状収容部と蓋部材によって画成されるレンズ収容領域の内面の略全体が凹凸の無い形状とされる。これにより、バイオフィルムの形成をより抑えることが出来る。但し、皿状収容部の開口部を覆蓋する内面は、必ずしもその全体が凹凸無く形成されている必要は無く、例えば該内面の外周部分にシール突起が形成される等しても差し支えない。また、該内面としては平面が好適に採用されるが、膨状や凹状の球状面等も採用可能である。ここにおいて、より好適には、蓋部材において皿状収容部の開口部を覆蓋する内面についても、皿状収容部の内面と同様に、表面粗さが60nm以下の滑面とされる。このようにすれば、蓋部材の内面におけるバイオフィルムの形成をより抑制することが出来る。
本発明の第四の態様は、前記第一乃至第三の何れか一つの態様に係るコンタクトレンズ保存容器において、前記蓋部材が前記皿状収容部に対する密閉構造とされていることを、特徴とする。
すなわち、本発明における蓋部材は、必ずしも皿状収容部を密閉する構造のものに限定されるものではなく、例えばケース本体が平面上に載置した状態でだけ使用されるものである場合には、蓋部材で皿状収容部の開口部を覆うのみでも良い。そこにおいて、本態様によれば、蓋部材で皿状収容部を密閉することによって保存液の流出が防止されることから、保存容器を鞄等に入れて持ち運ぶこと等が可能となる。
本発明の第五の態様は、前記第一乃至第四の何れか一つの態様に係るコンタクトレンズ保存容器において、前記皿状収容部の内面の曲率半径が、該皿状収容部に収容されるソフトコンタクトレンズの凸面の曲率半径よりも大きくされていることを、特徴とする。このようにすれば、収容領域内でのレンズの変形を抑えることが出来て、レンズの損傷のおそれを軽減することが出来る。更に、レンズ表面と収容部内面との接触面積が小さくされることから、レンズの取出しをより容易に行うことも出来る。
本発明の第六の態様は、前記第一乃至第五の何れか一つの態様に係るコンタクトレンズ保存容器において、前記皿状収容部の内面が、表面粗さが1nm〜60nmの滑面とされていることを、特徴とする。
本態様によれば、レンズ取り出しの容易性とバイオフィルムの形成抑止効果とを何れも有効に発揮し得る保存容器を、優れた製造効率をもって形成することができる。即ち、皿状収容部内面の表面粗さを60nm以下、より好適には、50nm以下とすることによって、レンズの皿状収容部内面への張り付きをより有効に抑えることが出来て、レンズの取出しをより容易にすることが出来ると共に、内面の凹凸形状をより小さくして、バイオフィルム形成の抑制効果も高め得る。一方、皿状収容部内面の表面粗さを1nm以上、より好適には、5nm以上とすることによって、高度な研磨工程等を不要とすることが出来て、製造コストの軽減を図ることが出来る。
本発明の第七の態様は、前記第一乃至第六の何れか一つの態様に係るコンタクトレンズ保存容器において、前記ケース本体が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン及びこれらの共重合体や、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂からなる群より選択された少なくとも1種以上の樹脂材料によって形成されていることを、特徴とする。
本態様によれば、成形性に優れた樹脂材料を用いることによって、ケース本体をコスト効率良く形成することが出来る。本態様における樹脂材料としては、具体的には、日本ポリプロ株式会社製の商品名「ノバテックPP」、サンアロマー株式会社製の商品名「サンアロマー」、日本ポリスチレン株式会社製の商品名「G757X」、越前ポリマー株式会社製の商品名「A−PET」、ユーエムジー・エービーエス株式会社製の商品名「UMG ABS」等が例示される。
本発明の第八の態様は、前記第一乃至第七の何れか一つの態様に係るコンタクトレンズ保存容器において、前記皿状収容部の内面に対応する成形面が滑面とされた金型によって成形されて、該成形面が転写されることによって該皿状収容部の内面が滑面とされていることを、特徴とする。
本態様によれば、金型に形成された滑面を皿状収容部の内面に転写することから、金型を繰り返し用いることによって、滑面を金型に形成するのみで、皿状収容部の内面に滑面を有するケース本体を複数製造することが出来る。これにより、ケース本体の製造ライン上での実質的な工数の増加を招くことなく、優れた製造効率が得られると共に、皿状収容部内面の優れた品質安定性を得ることも出来る。
本発明の一実施形態としてのコンタクトレンズ保存容器を示す上面図。 同コンタクトレンズ保存容器の側面図。 同コンタクトレンズ保存容器を構成するケース本体の上面図。 同ケース本体の側面図。 同ケース本体の底面図。 図4におけるVI−VI断面図。 図3に示したケース本体を形成するための金型をモデル的に示す断面説明図。 同コンタクトレンズ保存容器を構成する蓋部材の上面図。 同蓋部材の側面図。 同蓋部材の底面図。 図8におけるX−X断面図。 コンタクトレンズの収容状態を説明するための断面説明図。
符号の説明
10 保存容器
12 収容部
14 ケース本体
16 キャップ
19 開口部
24 内面
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
先ず、図1および図2に、本発明の一実施形態としてのコンタクトレンズ保存容器10を示す。保存容器10は、上方に開口する一対の皿状収容部としての収容部12、12が一体形成されたケース本体14と、それぞれの収容部12、12を覆蓋する一対の蓋部材としてのキャップ16,16を含んで構成されている。なお、以下の説明において、特に断りの無い限り、上下方向とは、図2における上下方向をいうものとする。
図3乃至図5に、ケース本体14を示す。ケース本体14は、一対の収容部12、12が、平板状の連結板部18で連結された一体成形品とされている。これら一対の収容部12、12は互いに同様の構造とされていることから、以下、一方の収容部12について説明する。
図6にも示すように、収容部12は、上方に開口する開口部19が形成された略有底円筒形状とされており、上方に凹となる略球殻形状とされた底部20と、底部20の外周縁部から上方に立ち上がる略円筒形状の筒状部22を含んで形成されている。そして、筒状部22の上端部が収容部12の開口部19とされており、開口部19の内径寸法は、収容すべきコンタクトレンズのレンズ径寸法よりも大きくされている。
また、収容部12の内面24は、底部20の内面である底面26と、筒状部22の内面である筒状面28を含んで形成されている。底面26は、上方に凹となる湾曲面とされている。ここにおいて、底面26の曲率半径は略一定とされていても良いが、特に本実施形態においては、底面26は中央部分に行くに連れて曲率半径が大きくなるように連続的に変化せしめられており、その曲率半径は、底面26の全体に亘って、収容すべきコンタクトレンズのレンズ前面の曲率半径よりも大きくされている。これにより、底面26は、中央部分に行くに連れて平面に近づく湾曲面とされている。
一方、筒状面28は、底面26の外周縁部から滑らかに連続して上方に立ち上げられて形成されており、特に本実施形態においては、上方に行くに連れて僅かに拡径せしめられた緩やかなテーパ面とされている。
ここにおいて、底面26および筒状面28は、何れも、全ての点で共通接線をもって連続されており、共通接線を持たない屈曲点が存在しない形状とされている。そして、これら底面26と筒状面28が共通接線をもって滑らかに接続されている。これにより、収容部12の内面24は、全体に亘って凹凸の無い滑らかで且つ連続的に変化する曲率半径をもって形成されている。
さらに、内面24は、その全体に亘って、光沢を有する程に充分な滑面とされており、具体的には、表面線粗さ:Raが60nm以下、より好適には、1nm以上60nm以下、更に好適には、5nm以上50nm以下の滑面とされる。即ち、内面24の表面線粗さ:Raを1nm以上とすることによって、高度な研磨工程などを不要とすることが出来て、製造コストの低減を図ることが出来る。それと共に、内面24の表面線粗さ:Raを60nm以下とすることによって、細菌の内面24への入り込み等を抑えて、バイオフィルムの形成をより有効に抑制すると共に、より滑らかな面とすることによって、レンズの取り出しの容易性をより向上することが出来る。
このような構造とされた内面24を有する収容部12には、コンタクトレンズの保存液が貯留されるようになっている。そこにおいて、収容部12の溶液容量は、少なくとも3mLの保存液を収容して7〜8分目となるように、3.8mL以上に設定されることが好ましい。なお、収容部12の溶液容量の上限値は特に限定されるものではないが、使用する保存液が過剰にならない程度とされることが好ましく、例えば6mL以下に設定されることが好ましい。
また、筒状部22の外周面には、ネジ30が一体形成されている。更に、底部20の外面には、下方に突出する板状の脚部32が適当な個数だけ一体形成されている。本実施形態においては、底部20においてケース本体14の外側に位置する部位に、3つの脚部32が底部20の周方向で略等しい間隔を隔てて形成されている。これら脚部32は、底部20の下端縁部よりも下方に突出せしめられており、複数の脚部32の突出先端縁部の高さ位置が互いに等しくされている。なお、特に本実施形態における脚部32は、突出先端部が丸みをもって形成されていると共に、上端の基端部は底部20の外面と連結板部18の下面に跨って形成されているが、脚部32の具体的な形状が何等限定されないのは勿論である。
このような構造とされた収容部12の一対が、連結板部18によって互いに連結されている。連結板部18は、所定の厚さ寸法を有する板形状とされており、収容部12の外周面における筒状部22と底部20の接続部分から収容部12の軸直角方向に広がるように収容部12と一体形成されている。これにより、一対の収容部12は、開口方向を等しくして連結板部18で互いに連結されている。なお、連結板部18の具体的な形状は何等限定されるものではないが、特に本実施形態においては、一対の収容部12の間に跨る端縁部の一方に、内方に窪む凹部34が形成されており、凹部34によって、右眼用の収容部12と左眼用の収容部12の判別が容易とされている。また、一対の収容部12は、一対の梁部36で互いに連結されている。梁部36は、連結板部18の下方に突出形成されて、互いの底部20の外周面の間に跨って形成されている。これら梁部36によって、ケース本体14における一対の収容部12の間の強度が向上せしめられている。
このような構造とされたケース本体14は、好適には、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)及びこれらの共重合体や、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(ABS)からなる群より選択された少なくとも1種以上の樹脂材料によって形成される。具体的には、日本ポリプロ株式会社製の商品名「ノバテックPP」、サンアロマー株式会社製の商品名「サンアロマー」、日本ポリスチレン株式会社製の商品名「G757X」、越前ポリマー株式会社製の商品名「A−PET」、ユーエムジー・エービーエス株式会社製の商品名「UMG ABS」等が例示される。
そこにおいて、ケース本体14は、従来公知の樹脂成形法等を適宜に用いて製造可能であり、例えば以下に説明する射出成形法が有利に採用され得る。図7にモデル的に示すように、先ず、金型としての雄型40と雌型42を用意する。なお、図7にはモデル的に示しているが、これら両型40,42は適宜に分割構造とされる。また、これら両型40、42としては、例えばブリハードン鋼等が好適に採用されるが、その他任意の金属材が採用可能である。
雄型40には、凸状の雄側成形面44が形成されている。そこにおいて、雄側成形面44は、ケース本体14の内面24に対応した形状を有する内面成形面46を含んで形成されている。かかる内面成形面46は、適当な研磨加工等が施されることによって、全体に亘って、凹凸の無い滑らかで且つ連続的に変化する曲率半径をもって形成されており、表面線粗さ:Raが60nm以下、より好適には、1nm以上60nm以下、更に好適には、5nm以上50nm以下の滑面とされている。
一方、雌型42には、凹状の雌側成形面48が形成されている。雌側成形面48は、ケース本体14における底部20の外面や、ネジ30、脚部32や梁部36等に対応する形状を含んで形成されている。
そして、図示しない型締装置によって雄型40と雌型42を軸方向(図7中、上下方向)で型閉じして、両型40,42の型合わせ面間に成形キャビティ50を形成する。かかる成形キャビティ50に対して、例えば図示しない射出装置等によって熱可塑性樹脂材料を図示しないスプルやランナを通じて成形キャビティ50内に射出充填する。かかる熱可塑性樹脂材料としては、上述の如きケース本体14の材料として好適に用いられる樹脂材料が採用可能である。そして、成形キャビティ50内に射出充填された熱可塑性樹脂材料を冷却固化した後に、成形品を両型40,42の型開きにより取り出すことによって、ケース本体14を得ることが出来る。
このようにすれば、滑面とされた雄型40の内面成形面46がケース本体14の内面24に転写されることによって、内面24を滑面に成形することが出来る。従って、両型40、42を繰り返して使用することによって、特別な研磨加工等を要することなく、滑面とされた内面24を有するケース本体14を優れたコスト効率と品質安定性をもって多数製造することが出来る。但し、必要に応じて、射出成形後のケース本体14の内面24に研磨加工等を施して、内面24の表面粗さをより小さくすること等も、勿論可能である。
一方、一対のキャップ16、16は互いに略同様の構造とされており、以下、左眼用のキャップ16について説明する。図8乃至図11に、キャップ16を示す。キャップ16はケース本体14における筒状部22の外径寸法よりもやや大きな内径寸法を持って下方に開口する略有底円筒形状とされている。また、キャップ16は、好適には、前述の如きケース本体14と同様の樹脂材料から形成される。ここにおいて、ケース本体14とキャップ16の材質の組み合わせは、PPやPE等の比較的柔らかい樹脂材と、PS,PC、PET,ABS等の比較的硬い樹脂材との組み合わせとなるが、好適には、ケース本体14およびキャップ16が共に比較的柔らかい樹脂材から形成された組み合わせが好ましい。なお、特に本実施形態においては、キャップ16はプロピレン・エチレン共重合体から形成された透明の部材とされており、収容部12の覆蓋状態においてキャップ16を通して外部から収容部12の内部が視認出来るようになっている。
さらに、キャップ16の上底面52には、キャップ16の開口方向に向けて突出するシール突壁54が一体形成されている。シール突壁54は、上底面52の外周部分において上底面52と同心軸上に形成された略円筒形状とされており、その外周面は、突出先端部に行くに連れて径寸法が次第に小さくなるテーパ形状とされている。そして、特に本実施形態においては、上底面52におけるシール突壁54の非形成部分は平坦面とされており、上底面52は、ケース本体14の内面24と同様の滑面とされている。
また、キャップ16の内周面には、収容部12のネジ30と噛合するネジ56が内方に突出して一体形成されている。更に、キャップ16の外周面には、上下方向に延びる複数の突条58からなる滑り止め部60が、周方向に所定間隔を隔てて複数形成されている。
なお、特に本実施形態においては、一方のキャップ16の上面62には、当該キャップ16で覆蓋された収容部12内に、右眼用のコンタクトレンズが収容されていることを示すための「R」の文字が上方に浮き上がるように突出形成されている一方、他方のキャップ16の上面62は平坦面とされている。更に、本実施形態においては、上面62に「R]の文字が形成されたキャップ16は青色透明とされている一方、他方のキャップ16は無色透明とされている。
また、キャップ16についても、従来公知の樹脂成形法等を適宜に採用して製造可能であり、好適には、前記ケース本体14と同様の射出成形法により有利に製造され得る。
このような構造とされたキャップ16は、ケース本体14における収容部12に上方から被されて捻じ込まれることによって、収容部12のネジ30とキャップ16のネジ56により筒状部22に螺着される。そこにおいて、キャップ16の上底面52が収容部12の開口部19に接近せしめられ、シール突壁54が開口部19内に入り込むことによって、開口部19がシールされる。これにより、図12にモデル的に示すように、収容部12の開口部19が、キャップ16の上底面52で覆蓋された密閉状態とされる。
このような構造とされた保存容器10は、レンズを保存する際には、収容部12に保存液64を貯留せしめて、保存液64内にコンタクトレンズ66を浸漬せしめた後に、収容部12の開口部19をキャップ16で覆蓋することによって、コンタクトレンズ66を収容部12内に保存液64への浸漬状態で保存する。そして、レンズ使用時には、キャップ16をケース本体14から取り外して、収容部12内からレンズ66を取り出すと共に保存液64を廃棄して、繰り返して頻回使用される。
ここにおいて、保存容器10に収容されるコンタクトレンズ66としては、ソフトコンタクトレンズであれば特に限定されるものではないが、FDA(Food
and Drug Administration:米国食品医薬品局)分類におけるグループIに属する、低含水非イオン性のソフトコンタクトレンズが好適に組み合わせて用いられる。低含水非イオン性のソフトコンタクトレンズとしては、2−ヒドロキシエチルメタクリレート( HEMA)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)、メタクリル酸グリセリル(GMA)、3−ヒドロキシプロピル=メタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチル=メタクリレート、4−ヒドロキシブチル=アクリレート、N−ビニルピロリドン(NVP)、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)、N,N−ジメチルメタクリルアミド(DMMA)などの重合性の親水性モノマーや、トリス(トリメチルシロキシ)−γ−メタクリロキシプロピルシランなどのシリコーン系モノマー、さらに、側鎖にポリシロキサン構造を有し、数平均分子量が約1000〜10000 であるシロキサンマクロモノマーや主鎖にポリシロキサン構造を有するポリ( オルガノシロキサン) マクロモノマー等から形成されたものが例示される。
そこにおいて、本実施形態における保存容器10によれば、収容部12の内面24が凹凸の無い滑らかな面とされていることから、バイオフィルムの形成を抑えることが可能とされる。特に本実施形態においては、収容部12の開口部19を覆蓋するキャップ16の上底面52も平坦な滑面とされていることから、上底面52におけるバイオフィルムの形成も抑制される。更に、収容部12の溶液容量が3.8mL以上と大きく確保されていることから、保存液による微生物量の希釈効果も期待されて、レンズへの微生物汚染のおそれをより軽減することが出来る。特に、保存容器10と低含水非イオン性のソフトコンタクトレンズを組み合わせて用いた場合には、含水や汚れの付着に伴って、保存液中を浮遊する微生物や汚れに付着した微生物をレンズが捕捉してしまうおそれをより軽減することが出来る。
そして、単に収容部12の内面24から凹凸を無くしたのみでは、内面24とレンズとの接触面積が大きくなって、レンズの取り出しが容易に行なえなくなるおそれがある。しかし、本実施形態によれば、内面24を表面粗さ60nm以下の十分に滑らかな面としたことによって、内面24へのレンズの張り付きを抑えることが可能とされている。これにより、レンズを内面24に沿って滑らせて開口部19まで容易に導くことが可能とされており、レンズの取り出しも容易に行なうことが可能とされている。
加えて、本実施形態によれば、これらバイオフィルム形成に対する抑制効果とレンズ取出しの容易性の向上が、保存容器の特定形状によって実現されており、これら優れた効果を高度に両立し得るコンタクトレンズ保存容器を、極めて安価に提供することが可能とされるのである。
以上、本発明の一実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
例えば、前記実施形態における収容部12の底面26を、中央部分において平面とする等しても良い。このような場合には、共通接線を持たない屈曲点が存しないように中央部分の平面とその外側の湾曲面が連接されることとなる。また、脚部32は必ずしも必要ではないから、例えば脚部32を形成する代わりに、底部20の下端部を平坦に形成してケース本体14を自立可能にする等しても良い。
また、蓋部材は必ずしも収容部に対する密閉構造とされている必要は無い。例えば前記実施形態におけるキャップ16に代えて、単なる板状の蓋部材を収容部12における開口部19の開口端面上に非固定的に載せて開口部19を覆う等でも良い。
更にまた、前記実施形態においてキャップ16の外周面に形成されていた滑り止め部60や上面62に形成されていた「R」の文字等はあくまでも例示であって、必ずしも必要ではないし、その具体的な形状は任意に設定可能である。例えば滑り止め部60をキャップ16の全周に亘って形成しても良いし、上面62に、メーカー名を示すマークや文字、任意の文字や記号を前記実施形態と同様の突出形成で形成したり、或いは塗装等により行なうことも勿論可能である。
本発明に従うコンタクトレンズの製造方法による技術的効果について確認するために行った試験を、以下に実施例として記載する。但し、本発明が、これら実施例の記載によって、何等、限定的に解釈されるものでないことは、言うまでもない。
(皿状収容部溶液容量に関する試験)
先ず、試験体1として、FDA分類でグループIに属する株式会社メニコン社製の低含水非イオン性レンズ(商品名:メニコンプレミオ)と、グループIVに属する株式会社メニコン社製の高含水イオン性レンズ(商品名:Acuvue2)の2つの試験体を用意した。そして、人工的な汚れを付けるために牛血清に試験体を浸漬し、試験体を血清から取り出した後に、過剰な血清をふき取ってから微生物的な汚れとして、以下の細菌又は真菌を約106 cfu/Lensとなるように接種した。
細菌:バイオフィルム形成能を有するStaphylococcus epidermidis ATCC35983
真菌:Candida albicans IFO1594
次に、株式会社メニコン社製のコンタクトレンズ消毒剤(商品名:エピカコールド)を2mL,3mL,4mLのプラスチックチューブに分注し、上記菌を接種した試験体を浸漬して、4時間後の菌減少量(Log reduction値)を下式に基づいて算出した。
Log reduction=Log(接種菌数/残存生菌数)
Figure 0004491514
Figure 0004491514
表1に、上記試験の結果を示す。なお、ISO14729 Stand alone test第一基準において、コンタクトレンズのケア用品は所定の殺菌時間(例えば、4時間)内に細菌は3log以上、真菌は1log以上減少させるよう定められていることから、表2に示すように、細菌については2.4log未満を「×」、2.4log以上3.6log未満を「△」、3.6log以上を「○」とし、真菌については0.8log未満を「×」、0.8log以上1.2log未満を「△」、1.2log以上を「○」として表1に示した。
上記表1の結果から、少なくとも3mLの液量があれば、試験体1および試験体2の何れにおいても略良好な結果が得られることが確認された。通常、コンタクトレンズの保存容器は、レンズ全体が浸漬出来て、且つ液が零れない程度に、収容部の7〜8分目程度まで液を入れた状態で使用される。従って、少なくとも3mLの液量が7〜8分目となる、本発明の如き3.8mL以上の溶液容量を確保することによって、良好な殺菌効果を得られることが明らかとなった。
(ケース内面形状および表面粗さに関する試験)
以下に示す、本発明に従う構造を有する実施例1〜3の保存容器と、従来構造に従う比較例1〜6の保存容器を用意して、バイオフィルム形成量およびレンズの取り出し易さについて試験した結果を、下記表3に示す。なお、以下の実施例および比較例の説明中の表面粗さは、表面線粗さ[Ra]をいう。
実施例1:収容部内面の表面粗さ5.5nm。内面に凹凸を有さない。開口部内径23mm。溶液容量4.9mL。( 本体:PP、蓋材:プロピレン・ エチレン共重合体)
実施例2:収容部内面の表面粗さ29.3nm。内面に凹凸を有さない。開口部内径23mm。溶液容量4.9mL。( 本体:PP、蓋材:プロピレン・ エチレン共重合体)
実施例3:収容部内面の表面粗さ55.7nm。内面に凹凸を有さない。開口部内径23mm。溶液容量4.9mL。( 本体:PET、蓋材:PET)
比較例1:収容部内面の表面粗さ72.4nm。内面に凹凸を有さない。開口部内径23mm。溶液容量4.9mL。( 本体:PP、蓋材:PP)
比較例2:収容部内面の表面粗さ233nm。内面に凹凸を有さない。開口部内径23mm。溶液容量4.9mL。( 本体:PP、蓋材:PP)
比較例3:収容部内面の表面粗さ10nm。内面は12の平面から形成されており、面と面の接合部に0.06〜0.2mm程度の高低差を有する。開口部内径26mm。溶液容量6.4mL。( 本体:PP、蓋材:PP)
比較例4:収容部内面の表面粗さ17.7nm。内面の底部中央に、十字状に4本の突起状の構造(長さ約10mm、高さ0.1〜0.4mm、幅0.3〜1.2mm)を有する。開口部内径24mm。溶液容量4.8mL。( 本体:PP、蓋材:ABS樹脂)
比較例5:収容部内面の表面粗さ63.1nm。内面は12の平面から形成されており、面と面の接合部に0.06〜0.2mm程度の高低差を有する。開口部内径23mm。溶液容量4.8mL。( 本体:ABS樹脂、蓋材:ABS樹脂)
比較例6:収容部内面の表面粗さ72.4nm。内面の底部中央から開口部に向かって放射状に延びる12本の突起(高さ0.2〜0.3mm、幅1.2mm)を有する。開口部内径23mm。溶液容量5.4mL。( 本体:PP、蓋材:PP)
Figure 0004491514
(バイオフィルム形成量A)
上記実施例1〜3および比較例1〜6の各試験体に、培養液(0.25%グルコース添加ソイビーン・カゼイン・ダイジェスト培地を20倍希釈したもの)を2mL充填し、バイオフィルム形成能を有するStaphylococcus epidermidis ATCC35983を約105 cfu/mL接種した。そして、37℃で24時間培養後、培養液を除去し、形成されたバイオフィルムを滅菌水で回収して、液1mLあたりの生菌数を測定した。
Figure 0004491514
Figure 0004491514
表4に、上記試験による測定値を示す。なお、表4中の評価としては、ISO14729 Stand−alone testでは試験を行なう菌量を106 cfu/mLと定めているように、一般的には106 cfu/mL程度の菌量が病原性発現と関連していると考えられていることから、本試験においては、表5に示すように、106 cfu/mL以上を「×」、105 〜106 cfu/mLを「△」、105 cfu/mL以下を「○」として評価した。
表3および表4から明らかなように、実施例1〜3によれば、バイオフィルムの形成に対する有効な抑制効果が発揮され得ることが確認された。なお、バイオフィルム形成量のみに着目すれば、比較例1も良好な抑制効果が得られている。従って、収容部内面に凹凸を有さなければ、内面の表面粗さが本発明の如き特定範囲をやや超える程度であればバイオフィルム形成に対しては略同様に有効な抑制効果が発揮され得るものと考えられ、バイオフィルムの形成には、内面の凹凸の有無が大きく起因するものと考えられる。
(バイオフィルム形成量B)
ソフトコンタクトレンズ(株式会社メニコン社製の商品名:Acuvue2)を牛血清に1時間浸漬して人工的な汚れを付着した後に、バイオフィルム形成能を有するStaphylococcus epidermidis ATCC35983を約105 cfu/Lensとなるように接種した。かかるレンズを、保存液(株式会社メニコン社製の商品名:エピカコールド)を3mL入れておいた実施例1〜3、比較例1〜6の各レンズケースで1晩保存した。以上の操作を3回繰り返した後、レンズケース内にバイオフィルムが形成しているか否かを、サフラニン染色にて確認した。なお、表3には、バイオフィルムの形成が認められた場合を「×」、バイオフィルムの形成が認められなかった場合を「○」として示す。
表3から明らかなように、収容部内面の表面粗さに関わらず、内面に凹凸形状を有さない実施例1〜3および比較例1、2においてバイオフィルムの形成が認められなかった一方、内面に凹凸形状を有する比較例3〜6ではバイオフィルムの形成が認められた。このことからも、バイオフィルムの形成には内面の凹凸形状の有無が大きく関連しており、内面が凹凸を有さない滑らかな形状とされた本発明によれば、バイオフィルム形成に対して有効な抑制効果を得られることが確認された。
(レンズの取り出し易さ)
FDA分類におけるグループIに属する低含水非イオン性レンズ(株式会社メニコン社製の商品名:メニコンソフトMA)、グループIIに属する高含水非イオン性レンズ(株式会社メニコン社製の商品名:マンスウエア)、グループIVに属する高含水イオン性レンズ(株式会社メニコン社製の商品名:メニコンフォーカス)を用意し、実施例および比較例の各レンズケースにレンズを入れた。そして、生理食塩水をレンズケースの8分目程度まで入れてレンズを完全に浸漬した後に、レンズケースからレンズを円滑に取り出せるかを評価した。なお、表3には、全てのレンズが収容部内面に張り付かず、円滑に取り出せた場合を「○」、一部又は全てのレンズで収容部内面への張り付きが見られた場合を「×」として示す。
本試験の結果から、収容部内面に凹凸を有する場合には、内面の表面粗さに関わらず取り出しが容易であるものの、内面に凹凸を有さない場合には、内面の表面粗さが60nmよりも大きいと、レンズ取り出しの容易性が損なわれることが明らかとなった。
以上の試験から、収容部内面に凹凸を有さないことによって、バイオフィルムの形成を抑えることが出来る一方、内面の表面粗さを60nm以下とすることによって、レンズ取出しの容易性が向上せしめられることが確認された。そして、収容部内面に凹凸を有さず、内面の表面粗さを60nm以下に設定した本発明によれば、バイオフィルム形成に対する抑制効果とレンズ取出しの容易性を高度に両立し得ることが確認された。

Claims (8)

  1. ソフトコンタクトレンズを保存液に浸漬した状態で保存するために頻回使用されるコンタクトレンズ保存容器において、
    上方に開口する皿状収容部を設けたケース本体と、該皿状収容部の開口部を覆蓋する蓋部材を含んで構成されており、該皿状収容部の内面が全体に亘って凹凸の無い滑らかで且つ連続的に変化する曲率半径をもって形成されていると共に、該皿状収容部の内面が全体に亘って表面粗さが60nm以下の滑面とされており、更に、該皿状収容部の溶液容量が3.8mL以上とされていることを特徴とするコンタクトレンズ保存容器。
  2. 前記ソフトコンタクトレンズとして、低含水非イオン性のソフトコンタクトレンズを保存する請求項1に記載のコンタクトレンズ保存容器。
  3. 前記蓋部材において前記皿状収容部の前記開口部を覆蓋する内面が凹凸の無い滑面とされている請求項1又は2に記載のコンタクトレンズ保存容器。
  4. 前記蓋部材が前記皿状収容部に対する密閉構造とされている請求項1乃至3の何れか一項に記載のコンタクトレンズ保存容器。
  5. 前記皿状収容部の内面の曲率半径が、該皿状収容部に収容されるソフトコンタクトレンズの凸面の曲率半径よりも大きくされている請求項1乃至4の何れか一項に記載のコンタクトレンズ保存容器。
  6. 前記皿状収容部の内面が、表面粗さが1nm〜60nmの滑面とされている請求項1乃至5の何れか一項に記載のコンタクトレンズ保存容器。
  7. 前記ケース本体が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン及びこれらの共重合体や、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂からなる群より選択された少なくとも1種以上の樹脂材料によって形成されている請求項1乃至6の何れか一項に記載のコンタクトレンズ保存容器。
  8. 前記皿状収容部の内面に対応する成形面が滑面とされた金型によって成形されて、該成形面が転写されることによって該皿状収容部の内面が滑面とされている請求項1乃至7の何れか一項に記載のコンタクトレンズ保存容器。
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