JP4489561B2 - 繊維状ナノカーボン・金属複合材料およびその製造方法 - Google Patents

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本発明は平滑な表面が得られる繊維状ナノカーボン・金属複合材料およびその製造方法に関する。
金属の表面保護や外観性を高めるために、表面を金属薄膜で覆うめっき法が普及している。
一方、直径が1.0nm(ナノメートル)〜50nmであるナノカーボン材料と称する超微細な炭素材料を含む複合金属めっきが提案されている。炭素材料は特に熱伝導性及び電気伝導性に優れ金属に複合させることによって、熱的特性や電気的特性を改善することができる。
本発明者らは、ナノカーボン材料と金属を複合させた複合めっきに関する発明を次に掲げる非特許文献1により先に提案した。
特願2004−106191明細書(請求項1、図5)
非特許文献1は、それの請求項1に示すとおり「金属系めっき液に、界面活性剤とともにカーボンナノファイバを混合することで、複合めっき用めっき液を調整し、この複合めっき液を用いてめっき処理を施すことによって得られた複合めっき物であって、この複合めっき物は、めっき金属の割合が50〜98体積%,カーボンナノファイバの含有量が2〜50体積%である」ことを特徴とする。すなわち、界面活性剤を使用することで、本来濡れ性の悪いカーボンナノファイバの濡れ性を改善し、耐久性のある複合めっき物を提供することができるというものである。
非特許文献1(図5)を次図に基づいて説明する。
図3は従来の技術による粒子の断面図であって、実際の破断面における電子顕微鏡観察でも亜鉛の析出と共にファイバが巻き込まれて複合化されており,破断面ではほぼ一様にファイバが存在している状態であり、鉄板100に10μm未満の厚さのカーボンナノファイバを含んだめっき膜101が形成され、その後、カーボンナノファイバを含んだ亜鉛塊102を主体とした凹凸形状が形成され、このカーボンナノファイバを含んだ亜鉛塊102の凸部に亜鉛が集中して析出するようになり、その際に,カーボンナノファイバ103も凸部に集中して巻き込まれて複合化された状態となる。
基本的なめっき膜成長の原理として,金属イオンの析出は,形成されためっき膜の表面全体で均一に起こるのではなく,相対的に凸となった部分に集中する。そのような凸部に金属の析出が集中すると,凹となった部分ではほとんど析出が起こらずめっき膜の成長が乏しくなる。したがって,金属の析出初期に凹凸が形成されると,めっき処理時間の延長と共に益々助長し,凹凸が激しい表面となる。
上記のような理由のため,金属析出の激しい凸部に集中してカーボンナノファイバが巻き込まれていると考えられる。実際,電子顕微鏡写真でも凸となった部分にカーボンナノファイバがより集中した結果を示している。
以上に示した凸部は、外観面に臨むため、従来技術の複合金属めっきによるめっき膜101を鉄板100に施しても、外観性はよくない。
すなわち、熱的特性や電気的特性の改善を目的に金属材料(鉄板100など)にめっき膜101を被覆した場合、外観性が低下するため、この複合めっきの用途が限定される。
用途を拡大するには、平滑な複合めっきが求められる。
本発明は、金属にカーボンナノ材料を複合する複合めっきにおいて、表面を平滑に仕上げることのできる複合めっき技術を提供することを課題とする。
請求項1に係る発明は、金属材料と、この金属材料に被せられカーボンナノファイバを含む複合めっき層とからなる繊維状ナノカーボン・金属複合材料であって、
硫酸ニッケルと塩化ニッケルを主成分とするワット浴に、サッカリンナトリウム及び2−ブチン1.4ジオールからなる光沢剤と、ポリアクリル酸と、カーボンナノファイバとを混合して複合めっき液を調製し、このめっき液に金属材料を投入し、電解めっき処理を施すことで、ニッケルに繊維状カーボンナノ材料を複合させてなり、表面が平滑であることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、表面が平滑な繊維状ナノカーボン・金属複合材料を製造する製造方法であって、
硫酸ニッケルと塩化ニッケルを主成分とするワット浴に、サッカリンナトリウム及び2−ブチン1.4ジオールからなる光沢剤と、ポリアクリル酸と、カーボンナノファイバとを混合して複合めっき液を調製し、このめっき液に金属材料を投入し、電解めっき処理を施すことで、ニッケルに繊維状カーボンナノ材料を複合させた複合めっき層を金属材料に積層することを特徴とする繊維状ナノカーボン・金属複合材料の製造方法である。
請求項に係る発明では、ポリアクリル酸は、めっき液1m当たり0.1〜1.0kg混合し、カーボンナノファイバは、めっき液1m当たり2〜20kg混合することを特徴とする。
請求項1に係る繊維状ナノカーボン・金属複合材料では、表面粗さが非特許文献1の表面粗さの約1/50まで改善することができた。詳細なデータは後述するが、本発明のめっき層の表面は十分に平滑であった。
したがって、請求項1によれば、カーボンナノファイバを含む複合めっきであるにも拘わらず、平滑な表面が得られるので、カーボンナノファイバ混入に基づき熱的特性及び電気的特性に優れ、外見性の良いめっき層を提供することができる。
請求項2に係る発明では、めっき層の表面粗さを非特許文献1の表面粗さの約1/50まで改善することができる。
したがって、請求項2によれば、カーボンナノファイバを含む複合めっきであるにも拘わらず、平滑な表面が得られるので、カーボンナノファイバ混入に基づいて熱的特性及び電気的特性に優れ、外見性の良いめっきを金属材料に施すことができる。
この結果、カーボンナノファイバを含む複合めっきの用途を飛躍的に拡大させることができる。
加えて、請求項に係る発明では、光沢剤は、サッカリンナトリウム及び2−ブチン1.4ジオールとした。光沢剤には分散剤(界面活性剤)と相性が悪く、表面に凹凸を形成するものと、働きを弱めるものとがある。サッカリンナトリウム及び2−ブチン1.4ジオールは、界面活性剤との相性が良く、界面活性剤の働きを阻害しない。
したがって、請求項3によれば、めっきの品質を高めることができる。
請求項に係る発明では、ポリアクリル酸は、めっき液1m当たり0.1〜1.0kg混合し、カーボンナノファイバは、めっき液1m当たり2〜20kg混合する。
ポリアクリル酸は、めっき液1m当たり0.1kg未満では、分散機能が弱く、カーボンナノファイバが凝集する。また、ポリアクリル酸は、めっき液1m当たり1.0kgを超えると添加過多になり、めっき液中に分解生成物が析出し、この析出物がめっきの品質を低下させる。
また、カーボンナノファイバが2kg/m未満であると、浴内での濃度不足であり、めっき物中への複合が不十分であり、20kg/mを超えると浴中に必要な界面活性剤の絶対量が増えるため、好ましくない。
そこで、ポリアクリル酸は、めっき液1m当たり0.1〜1.0kg混合し、カーボンナノファイバは、めっき液1m当たり2〜20kg混合することとした。
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
図1は本発明に係る電気めっきを施す電気めっき設備の原理図であり、電気めっき設備10は、めっき槽11に正極として亜鉛板又はニッケル板12を下げるとともに負極として鉄板、アルミ板、銅板又はステンレス板の金属板13を下げ、両板12、13に電源14を連結し、めっき層11に次に述べるめっき液15を満たした設備である。めっき液15を撹拌し循環させる撹拌手段、循環手段は必須であるが周知の手段が採用できるので説明は省略する。
めっき液15は、比較例1では(水+塩化亜鉛+塩化アンモニウム+界面活性剤+カーボンナノファイバ)とし、実施例1では(水+硫酸ニッケル+塩化ニッケル+ほう酸+光沢剤+界面活性剤+カーボンナノファイバ)とした。混合量(添加量)は後述する。
比較例1では、亜鉛イオンとともにカーボンナノファイバが、金属板13に到達する。したがって、亜鉛とカーボンナノファイバとが混合した形態の被膜を金属板13に形成することができる。
実施例1では、ニッケルイオンとともにカーボンナノファイバが、金属板13に到達する。したがって、ニッケルとカーボンナノファイバとが混合した形態の被膜を金属板13に形成することができる。
(実験例)
本発明に係る実験例を以下に述べる。なお、本発明は実験例に限定されるものではない。
○電気めっきにおける共通条件:
陰極:鉄板(脱脂処理した清浄な板)
陽極:亜鉛板(比較例1)、電解ニッケル板(実施例1)
めっき液温:25℃
電流密度:5A/dm
処理時間:3分30秒(実施例1−2及び比較例1−2は、20分)
○比較例1でのめっき液の組成:
水:1.0m
塩化亜鉛:70kg/m
塩化アンモニウム:180kg/m
界面活性剤:2、4、7、9−テトラメチル−5−デシン−4、7−ジオールに非イオン性界面活性剤を混合してなる界面活性剤(製品名 オルフィン PD−002W 日信化学工業(株)製 ):2000cm/m
カーボンナノファイバ:2kg/m
○実施例1でのめっき液の組成:
水:1.0m
硫酸ニッケル:240kg/m
塩化ニッケル: 45kg/m
ほう酸: 30kg/m
光沢剤:サッカリンナトリウム 2kg/m
+2−ブチン1.4ジオール 0.2kg/m
界面活性剤:ポリアクリル酸 0.1kg/m
カーボンナノファイバ:2kg/m
比較例1、実施例1では、めっき液に超音波振動を付与しながら、カーボンナノファイバを混入した。これで、カーボンナノファイバの分散を促すことができた。
実験の結果を次表に示す。なお、表面粗さRaはレーザ顕微鏡で計測した。RaはJIS B0601で定義される中心線平均粗さである。
なお、比較例1−2、実施例1−2の条件は処理時間を除き、比較例1、実施例1と同じである。
Figure 0004489561
比較例1では表面粗さは10μmあり(図3参照)、実施例1では表面粗さは0.75μmであった。表面粗さについて、比較例1を「1」とすれば、実施例1は「1/13」となり、実施例1は十分に平滑であることが確認できた。
比較例1−2では表面粗さは40μmあり、実施例1−2では表面粗さは0.8μmであった。表面粗さについて、比較例1−2を「1」とすれば、実施例1−2は「1/50」となり、実施例1−2は、より十分に平滑であることが確認できた。
比較例1の界面活性剤がPD−002Wであり、実施例1の界面活性剤がポリアクリル酸であることから、PD−002Wは表面に凹凸を形成し、ポリアクリル酸は表面を平滑にすることが分かった。しかし、比較例1は亜鉛浴であり、実施例1はニッケル浴であることから界面活性剤はめっき浴に関係があるか否かを調べる必要がある。
そこで、界面活性剤を除く条件を同一にして、比較例2を実験した。
○比較例2でのめっき液の組成:
水:1.0m
硫酸ニッケル:240kg/m
塩化ニッケル: 45kg/m
ほう酸: 30kg/m
光沢剤:サッカリンナトリウム 2kg/m
+2−ブチン1.4ジオール 0.2kg/m
界面活性剤:2、4、7、9−テトラメチル−5−デシン−4、7−ジオールに非イオン性界面活性剤を混合してなる界面活性剤(製品名 オルフィン PD−002W 日信化学工業(株)製 ):2000cm/m
カーボンナノファイバ:2kg/m
結果、比較例2は、実施例1に比べて大きな凹凸が発生した。さらに、析出した複合めっきは脆弱なものであった。
したがって、PD−002Wは表面に凹凸を形成し、さらに表面を脆弱化させてしまうが、ポリアクリル酸は表面の硬度を保ったまま平滑にすることが再度確認できた。
以上で表面粗さの評価を終える。
次にカーボンナノファイバの混合量についての実験を行う。
条件は、前記実施例1の条件をベースにカーボンナノファイバの量だけを変化させる。
○実施例1〜6及び比較例3でのめっき液の組成:
水:1.0m
硫酸ニッケル:240kg/m
塩化ニッケル: 45kg/m
ほう酸: 30kg/m
光沢剤:サッカリンナトリウム 2kg/m
+2−ブチン1.4ジオール 0.2kg/m
界面活性剤:ポリアクリル酸 0.1kg/m
カーボンナノファイバ:2kg/m(実施例1)、4kg/m(実施例2)、6
kg/m(実施例3)、12kg/m(実施例4)、20kg/m(実施例5)、
30kg/m(比較例3)
そして、複合状態、表面状態を調べ、ほぼ良を○、良を◎とし、最右の評価欄は悪い方の評価を記載する。
Figure 0004489561
表面状態は、ポリアクリル酸が効果を発揮し、良好であった。しかし、カーボンナノファイバが均一に分布しているか否かを調べる複合状態では、評価に差が出た。
すなわち、比較例3では、カーボンナノファイバが多過ぎて、界面活性剤が不足し、部分的にカーボンナノファイバの凝集が発生し、複合状態は悪かった。また、実施例1、2はカーボンナノファイバが不足気味であり、許容範囲ではあるがカーボンナノファイバの偏りが見られた。実施例5も同様であった。
したがって、カーボンナノファイバは、めっき液1m当たり2〜20kg、好ましくは6〜12kgの混合量とする。
以上の説明から明らかなように、カーボンナノファイバの凝集を防止するために添加する分散剤としてのポリアクリル酸の添加量は重要である。そこで、カーボンナノファイバの添加量とポリアクリル酸の添加量との相関を調べた。その結果を次図で説明する。
図2は本発明におけるカーボンナノファイバ添加量とポリアクリル酸添加量との相関図であり、横軸はカーボンナノファイバ添加量、縦軸はポリアクリル酸添加量を示す。
上記表2で説明したとおりに、ポリアクリル酸0.1kg/mで、カーボンナノファイバが2〜20kg/mの範囲では、複合状態は良好であった。そこで、ポリアクリル酸を変化させて評価したところ、0.1kg/m未満では、分散機能が弱く、カーボンナノファイバが凝集する。また、1.0kg/mを超えると添加過多になり、めっき液中に分解生成物が析出し、この析出物がめっきの品質を低下させる。
カーボンナノファイバの添加量に比例してポリアクリル酸を増量すべきであるから、適量範囲は、座標(2,0.1)、(20,0.1)、(20,1.0)を結んだ大きな三角形の領域となる。この領域を「良」とする。
また、ポリアクリル酸が多過ぎると析出物が顕著となるため、寧ろ少なめの方が好ましい。実験の結果、最適範囲は、座標(2,0.1)、(20,0.1)、(20,0.5
)を結んだ小さな三角形の領域となった。この領域を「優」とする。
したがって、カーボンナノファイバ添加量とポリアクリル酸添加量は良の領域、好ましくは優の領域に設定することが望ましい。
本発明では,めっき浴内におけるカーボンナノファイバの分散状態が非常に重要であり,実施例1に示す割合でめっき浴を建浴した場合でも,浴内におけるカーボンナノファイバの分散状態が不十分なままめっき処理を行った場合では十分な複合効果が得られない。
実際,ニッケルめっき浴を建浴した後に,カーボンナノファイバおよび界面活性剤を添加しても直ちに分散はおこらない。
したがって,分散を十分に行うためにはある程度長い時間の超音波振動および攪拌を交互に行うことによる分散工程が必要になる。
実験的には,下記の表のように最低でも1時間程度は分散させた方が良好な複合効果を得られることを確認している。
Figure 0004489561
なお,界面活性剤の添加量については,カーボンナノファイバの添加量を増やしたときに分散が悪いようであれば添加量を増やす程度が良い。上記に示す表のように分散にはかなり長い時間を要するため,分散が悪いからといってむやみに添加量を増やすことは逆効果である。
つまり,20kg/mのカーボンナノファイバを添加する場合でも界面活性剤をはじめから1kg/mを入れるのではなく,まずは少量で分散状態を確認し,十分な分散工程後に目視でカーボンナノファイバの凝集がみられないようであったら,それ以上界面活性剤は添加しないほうが良い。
さらに,カーボンナノファイバを2kg/m以上添加する場合には,一度に全ての量を浴内に入れると,浴内での分散が著しく悪くなり,通常よりもたくさんの界面活性剤を添加しなければ十分に分散しなくなってしまう。したがって,例えば,20kg/mのカーボンナノファイバを添加する場合では,まず界面活性剤を0.1kg/m添加し,続いてカーボンナノファイバを2kg/m添加し,攪拌や超音波振動により浴内に十分分散させる。
その後,カーボンナノファイバを2kg/mずつ添加して,分散を繰り返す。このように,カーボンナノファイバを少量ずつ添加することによって,一度に添加するよりも少ない界面活性剤によって分散させることができる。
なお,カーボンナノファイバを2kg/mずつ添加して,分散を繰り返しているうちに明らかに分散状態が悪くなるようであれば,今度は界面活性剤を少量添加し,再度分散を行うようにすれば,カーボンナノファイバの添加量が多い場合でも,少量の界面活性剤の添加により十分に分散させることができる。
次に、熱的性質(放射率及び熱伝導率)について評価する。
比較例4は、実施例1、3、4と比較対照するために、カーボンナノファイバ無しで実験した。
○比較例4でのめっき液の組成:
水:1.0m
硫酸ニッケル:240kg/m
塩化ニッケル: 45kg/m
ほう酸: 30kg/m
光沢剤:サッカリンナトリウム 2kg/m
+2−ブチン1.4ジオール 0.2kg/m
界面活性剤:ポリアクリル酸 0.1kg/m
放射率は、λ=10μmの条件で放射率測定装置で測定した。結果を次表に示す。
Figure 0004489561
比較例4でのめっき層は、ニッケル層であるため、放射率は小さく、0.07であった。この値は、通常のニッケルめっき層とほぼ同じである。これに対して、カーボンナノファイバを含む実施例1は0.80、実施例3は0.85、実施例4は0.86と、何れも放射率は格段に大きかった。
パワートランジスタなどの発熱源を、金属の箱に入れ、この箱の外面にめっきを施した場合、めっき層表面の放射率が小さいときには、箱の外面から外部へ放出する放射熱は小さくなる。すると、熱が籠もってしまい、金属の箱の温度が上がり、発熱源の温度も上がるという悪循環が起こり、パワートランジスタの温度劣化が進行する。
この点、放射率が大きければ、熱が籠もることがなく、箱の温度が下がり、発熱源の温度も下がり、パワートランジスタの寿命が延びる。
次に、熱伝導率をレーザーフラッシュ法により測定したので、その結果を説明する。
Figure 0004489561
比較例4が60〜70W/mKであったが、カーボンナノファイバを含む実施例1は65〜75W/mK、実施例3は80〜90W/mK、実施例4は80〜90W/mKと増大した。
熱伝導量は厚さに影響を強く受けるため、めっき層の厚さがμmオーダでは影響が少ないが、100μm〜1mmの厚づけめっき層の場合は影響が顕著となる。
パワートランジスタを収納する金属箱は、一般に0.5〜1.0mmの厚さの金属板で構成する。これに0.1〜1.0mmの厚づけめっき層を施した場合は、厚づけめっき層の熱伝導率が大きいほど、箱及びパワートランジスタの温度を下げることができる。
したがって、発熱源を収納する金属箱に施すめっき層は、放射率が大きいほど好ましいと言える。
次に、機械的性質について評価する。
機械的性質の評価として、めっき層の硬さを調べた。その結果を次表に示す。
Figure 0004489561
比較例4ではビッカース硬度が476であったものが、実施例3では559、実施例4では648まで増加した。通常の光沢ニッケルめっき層の硬さが400〜500であるから、実施例3、4はそれより十分に硬い。特に、実施例4の648は、250℃で焼き入れ処理した無電解ニッケル燐めっきの硬さに匹敵する。
めっき層が硬いほど、傷が付きにくくなるため、柔らかい金属の保護に最適である。
したがって、本発明のめっき層は、平滑であるため外観性が良く、放射率が高いため発熱源を収納する金属製筐体の表皮に最適であると共に、硬度が高いため内部の金属を保護することができる。したがって、従来の光沢ニッケルめっきでは得られない付加価値のあるめっき層を提供することができる。
尚、金属板13は、鉄板の他、アルミ板、銅板、ステンレス板についても実験した。いずれもめっき層の付着性は問題なく、本発明の作用、効果を発揮することが確認できた。
本発明は、パワートランジスタを内蔵する金属製筐体を被覆するめっき層に好適である。
本発明に係る電気めっきを施す電気めっき設備の原理図である。 本発明におけるカーボンナノファイバ添加量とポリアクリル酸添加量との相関図である。 従来の技術による粒子の断面図である。
符号の説明
10…電解めっき設備、13…金属材料(金属板)、15…めっき液、101…複合めっき膜(めっき層)、103…カーボンナノファイバ。

Claims (3)

  1. 金属材料と、この金属材料に被せられカーボンナノファイバを含む複合めっき層とからなる繊維状ナノカーボン・金属複合材料であって、
    硫酸ニッケルと塩化ニッケルを主成分とするワット浴に、サッカリンナトリウム及び2−ブチン1.4ジオールからなる光沢剤と、ポリアクリル酸と、カーボンナノファイバとを混合して複合めっき液を調製し、このめっき液に金属材料を投入し、電解めっき処理を施すことで、ニッケルに繊維状カーボンナノ材料を複合させてなり、表面が平滑であることを特徴とする繊維状ナノカーボン・金属複合材料。
  2. 表面が平滑な繊維状ナノカーボン・金属複合材料を製造する製造方法であって、
    硫酸ニッケルと塩化ニッケルを主成分とするワット浴に、サッカリンナトリウム及び2−ブチン1.4ジオールからなる光沢剤と、ポリアクリル酸と、カーボンナノファイバとを混合して複合めっき液を調製し、このめっき液に金属材料を投入し、電解めっき処理を施すことで、ニッケルに繊維状カーボンナノ材料を複合させた複合めっき層を金属材料に積層することを特徴とする繊維状ナノカーボン・金属複合材料の製造方法。
  3. 前記ポリアクリル酸は、めっき液1m当たり0.1〜1.0kg混合し、カーボンナノファイバは、めっき液1m当たり2〜20kg混合することを特徴とする請求項2記載の繊維状ナノカーボン・金属複合材料の製造方法。
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