JP4488750B2 - L−アラビノース含有シロップ - Google Patents

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Description

本発明は、L−アラビノース含量シロップ及びそれを含む食品、化粧品及び医薬品等の組成物に関するものである。
L−アラビノースは、シュクロースに近い味質を持ち、難吸収性を示すノンカロリーの糖質である。自然界では、高等植物のヘミセルロース中にアラビナン、アラビノキシラン等多糖体の構成糖等として存在している。また、単糖の状態で微量ではあるが味噌や酒等の発酵食品、インスタントコーヒー等に含まれている。
L−アラビノースは、シュクロース等の二糖類の加水分解酵素を阻害する活性(α−グルコシダーゼ阻害活性)を有することから、シュクロース等摂取時の血糖値の上昇を抑制するという効果が知られており(例えば、非特許文献1参照)、特定保健用食品等の機能性食品用原料として、粉末やシロップの形態での利用が期待されている。
このようなL−アラビノースを製造する方法として、天然素材より得る方法が知られている。例えば、L−アラビノースをヘミセルロースの構成糖として含有する植物体よりアルカリ抽出により得られたヘミセルロースを酸加水分解あるいは酵素分解することにより(例えば、特許文献1参照)、またL−アラビノースをヘミセルロースの構成糖として含有する植物体を直接酸加水分解(例えば、特許文献2参照)、あるいは酵素分解(例えば、特許文献3、4参照)することにより得られた粗糖液を、常法にしたがい脱塩、精製等の処理をする方法である。このようにして得られたL−アラビノースの形態は、水溶液や粉末、結晶、さらには結晶化の際の母液や半晶出状態のスラリーであり、全糖質中に占めるL−アラビノースの割合は通常55〜90%程度である。さらに精製処理を行った純粋な(95%以上の)L−アラビノースも知られている。
J.Appl.Glucosci.,Vol.46,No.2,p.159−165(1999) 特許第3031534号公報 特開平11−313700号公報 特開2001−286294号公報 特開2002−95491号公報
L−アラビノースを食品分野や医薬分野等で利用する場合にはその取り扱いの利便性からシロップ(溶液)とすることが望まれている。しかしながら、シロップでの保存は腐敗しやすく、それを抑えるために濃度を上げようとしても、L−アラビノースは水に対する溶解度が比較的低いため、溶解度(ブリックス糖度で35〜40%程度)を超えた溶液は室温下できわめて不安定で容易にL−アラビノース含水結晶の析出を起こし、シロップの特長である均質流動性を失うという問題があった。また、腐敗を抑えるために保存温度を低く設定するとシロップが凍結しやすく、いずれの場合でもタンク貯蔵、ポンプ輸送などに重大な支障をきたすという問題があった。
また、前述の方法で得られたL−アラビノース含有物は、全糖質中に占めるL−アラビノースの割合が55〜90%と低いものの、室温環境下で晶出しない程度の溶液はブリックス糖度が50%以下と低く、やはり腐敗しやすいという問題があった。
一方、α,α−トレハロースは、L−アラビノースと同様、水に対する溶解度が比較的低く、また、室温環境下で晶出しない程度の溶液ではブリックス糖度が低く、腐敗しやすいといわれているものの一つである。この糖質の場合、他の糖質を添加してある範囲の組成において難晶質性乃至非晶質性としたシロップが知られている(例えば、特開2000−325033号公報参照)が、両者の性状の違いにより、糖質の組成範囲や種類をそのままL−アラビノースに応用することは困難であった。
本発明は、室温環境下での長期間の保存において晶出や腐敗をせず、かつ0℃保管下で凍結もしないL−アラビノースを含有するシロップを提供することを目的とするものである。
本発明者らは、このような課題を解決するために鋭意検討した結果、L−アラビノース純度が低くなれば晶出を生じない溶液のブリックス糖度が若干上昇する現象が観られたことから、L−アラビノースと他の糖質の割合及びブリックス糖度を特定の範囲に調整することが有効であるという事実を見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、(1)L−アラビノース、D−グルコース、D−ガラクトース及びD−フルクトースを含むシロップであって、全糖質中に占めるL−アラビノースの割合が16〜49%であり、かつ、ブリックス糖度が55〜75%であることを特徴とするL−アラビノース含有シロップを要旨とするものである。
また、本発明は、0℃の環境下に1週間以上放置しても凍結しないことを特徴とする(1)記載のL−アラビノース含有シロップを要旨とするものである。
また、本発明は、10℃環境下に1週間以上放置しても、L−アラビノース含水結晶が晶出しないことを特徴とする(1)記載のL−アラビノース含有シロップを要旨とするものである。
また、本発明は、20℃環境下に1週間以上放置しても腐敗しないことを特徴とする(1)記載のL−アラビノース含有シロップを要旨とするものである。
さらに、本発明は、前記したいずれかのL−アラビノース含有シロップを含有する組成物を要旨とするものであり、好ましくは、組成物が、食品、化粧品又は医薬品であるものである。
本発明によれば、室温環境下で長期間保存してもL−アラビノース含水結晶の晶出や腐敗を抑えることができ、さらに0℃保管下での凍結も抑えることができるため、タンク貯蔵、ポンプ輸送、タンクローリー輸送が容易となる。したがって、甘味料、呈味改良剤、品質改良剤などとして各種飲食物、化粧品、医薬品など各種組成物の製造に有利に利用できることから、本発明は、食品、化粧品、医薬品等の関係産業界に与える影響は大きいといえる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いられるL−アラビノースは、その製造方法は問わない。市販されている純度95%以上の純粋なL−アラビノースであってもよく、また前述したように植物体より得られたL−アラビノース含有物であってもよい。このようなL−アラビノース含有物は、全糖質中に占めるL−アラビノースの割合が通常55〜90%程度であり、本発明において有効に用いられる。
本発明で用いられるD−グルコースも、その製造方法は問わない。市販されている純粋なD−グルコースでも、とうもろこしやじゃがいもの澱粉を糖化処理、加水分解した後、常法にしたがい脱塩、精製等の工程を経て得られたD−グルコースの水溶液、粉末、結晶も有用である。
本発明で用いられる、D−グルコース以外の他の糖質としては、水に易溶性であって、L−アラビノースの晶出を抑制しうる糖質であるD−ガラクトース及びD−フラクトースが必要である。D−ガラクトース及びD−フラクトースは、組成の調整や水溶液の特性(比重、ブリックス糖度値等)がL−アラビノースと似通っている点で好ましい。D−ガラクトース及びD−フラクトースもその製造方法は特に指定する必要はなく、市販されている純粋な糖質を用いるほか、植物体原料から得られる該糖質を含む水溶液、粉末、結晶のいずれもが使用可能である。
本発明のL−アラビノース含有シロップは、上記したL−アラビノース、D−グルコース、D−ガラクトース及びD−フルクトースを含むシロップであって、シロップに含まれる全糖質中に占めるL−アラビノースの割合が特定の範囲内であり、かつシロップのブリックス糖度が特定の範囲内であることが必要である。
本発明において、L−アラビノース含有シロップに含まれるL−アラビノースと他の糖質の量は、該シロップを必要に応じて希釈した後、高速液体クロマトグラフシステム(カラム;バイオラッド製イオン交換カラム、ミネックスHPX−87H、φ×300mm、カラム温度;60℃、移動相;0.005規定硫酸、流速;0.6mL/分、検出;示差屈折率)により定量される量である。
本発明においては、シロップに含まれる全糖質中に占めるL−アラビノースの割合が質量として16〜49%であることが必要であり、好ましくは30〜45%であり、さらに好ましくは35〜45%である。
また、本発明において、シロップのブリックス糖度とは、ブリックス糖度計(例えば、アタゴ製、デジタル糖度計パレットシリーズ)により得られた20℃における値のことをいう。
本発明においては、シロップのブリックス糖度が55〜75%であることが必要であり、好ましくは60〜65%であり、さらに好ましくは60〜63%である。
本発明のL−アラビノース含有シロップは、L−アラビノース及び他の糖質以外に、タンパク質、脂質や、甘味料、増量剤、酸化防止剤などを含んでいても構わない。
上記した特定のL−アラビノースの割合を有し、かつ特定のブリックス糖度を示すL−アラビノース含有シロップは、0℃の環境下で1週間以上放置しても凍結しないものであり、好ましくは−20℃の環境下に1週間以上放置しても凍結しないものである。
また、上記した特定のL−アラビノースの割合を有し、かつ特定のブリックス糖度を示すL−アラビノース含有シロップは、10℃の環境下に1週間以上放置しても、L−アラビノース含水結晶を晶出しないものであり、好ましくは1℃の環境下に1週間以上放置しても、L−アラビノース含水結晶を晶出しないものであり、さらに好ましくは−20℃の環境下に1週間以上放置しても、L−アラビノース含水結晶を晶出しないものである。
さらに、上記した特定のL−アラビノースの割合を有し、かつ特定のブリックス糖度を示すL−アラビノース含有シロップは、20℃の環境下に1週間以上放置しても腐敗しないものである。
次に、本発明のL−アラビノース含有シロップの製造方法について説明する。
本発明のL−アラビノース含有シロップを製造するには、水にL−アラビノースと他の糖質とを、所定のL−アラビノースの割合及び所定のブリックス糖度を示すように溶解すればよい。L−アラビノースの割合の調整は、L−アラビノース又は他の糖質の添加により可能であり、またブリックス糖度の調整は水による希釈又は減圧などにより濃縮することで可能である。
製造方法の具体例としては、(1)水にL−アラビノースを所定量を加えて加熱溶解させ、次いで、これにD−グルコース及び/又は他の糖質を所定量添加し溶解含有させる、(2)L−アラビノースを加熱溶解して調製した高濃度溶液と、別に調製したD−グルコース及び/又は他の糖質の高濃度溶液とを所定量混合する、(3)所定量のL−アラビノースとD−グルコース、他の糖質を溶解し、所定のブリックス糖度になるまで減圧濃縮する、等の方法のほか、(4)L−アラビノースをヘミセルロースの構成糖として含有する植物体より種々の方法で得られるL−アラビノース含有組成物にD−グルコース及び/又は他の糖質を添加し所定の組成範囲及びブリックス糖度に調整する方法が挙げられる。
(4)の方法においてL−アラビノース含有組成物を得る方法としては、アラビナン、アラビノキシラン又はアラビノガラクタンを含有する天然物に作用してL−アラビノースを遊離する活性を有する酵素を、アラビナン、アラビノキシラン又はアラビノガラクタンを含有する天然物からアラビナン、アラビノキシラン又はアラビノガラクタンを分離抽出した後、あるいは分離抽出せず天然物に直接に作用方法が挙げられる。
アラビナン、アラビノキシラン又はアラビノガラクタンを含有する天然物としては、リンゴ、ビート、大豆、とうもろこし、コメ、麦などのほか、これらの残さであるオレンジファイバー、みかんジュース粕、アップルファイバー、りんごジュース粕、ビートファイバー、ビートパルプ、落花生粕、米糠、とうもろこし粕、大豆粕、コーンファイバーや落花生油かす等の副産物が挙げられる。
また、アラビナン、アラビノキシラン又はアラビノガラクタンを含有する天然物に作用してL−アラビノースを遊離する活性を有する酵素としては、アラビナーゼ(アラバナーゼ)、アラビノフラノシダーゼ等のアラビナン分解酵素が挙げられる(詳細は、特開2001−286294号公報参照)。
別の本発明である組成物は、上記のL−アラビノース含有シロップを含有するものであり、L−アラビノース含有シロップを甘味料、呈味改良剤、品質改良剤、安定剤、賦形剤等として、飲食物、飼料、餌料、化粧品、医薬品等の各種組成物に有利に利用できる。
それらの組成物に含まれるL−アラビノース含有シロップの添加量としては、その用途により適宜決めればよく、概ね0.01〜100%添加するようにすればよい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
実施例中、L−アラビノース及び他の糖質の定量法は上述した高速液体クロマトグラフシステムにより行った。また、ブリックス糖度は、上述したブリックス糖度計により測定した。
L−アラビノース含有シロップの腐敗の有無は、サンプル中の生菌数により評価した。すなわち、サンプルを0.1gずつ採取し2mLの生理食塩水に希釈し、うち1mLはSCD寒天培地(日水製薬製)に混釈し37℃恒温槽内で24時間培養し検出される一般細菌コロニーを計数して一般細菌数とし、残り1mLはサブロー寒天培地(日水製薬製)に混釈し25℃恒温槽内で5〜7日間培養し検出される真菌コロニーを計数して真菌数とした。
参考例1〔L−アラビノースの水に対する溶解度の測定〕
まず、室温環境下での水に対するL−アラビノースの溶解度を調べた。ガラス製ビーカーに水10gおよびL−アラビノース(和光純薬製、特級試薬)20gを入れ、これを撹拌混合しながら温度を10、15、20、25、30、35及び40℃それぞれに24時間保ち、次いで濾紙(アドバンテック製No.5C)にて濾過し、濾液のブリックス糖度を約1%になるまで希釈した後、濾液中のL−アラビノース及び他の糖質を定量した。また、20℃における比重を天秤にて測定した。これらの結果より、各温度での水100gに対するL−アラビノース溶解度を求めた。結果を表1に示した。
Figure 0004488750
表1の結果から、L−アラビノースの水に対する溶解度は比較的低く、室温下で晶出しやすい糖質であることが判る。
参考例2〔L−アラビノース含有水溶液の調製〕
ビートパルプ4.5Kg(カーギル社製、水分11%)に水22.5Lを加えて、100℃、3時間の熱処理を行なった。処理後、さらに22.5Lの水を添加し、45℃まで放冷した後、L−アラビノース遊離酵素としてスミチームPX(新日本化学製ペクチナーゼ、液体、ペクチナーゼ活性5000ユニット/g、アラバナーゼ活性80ユニット/g含む)67.5gを添加し、L−アラビノースを遊離させた。反応後スラリーを濾布を用いて圧搾濾過し、得られた反応液を遠心分離にかけ、不溶物のない粗糖液43Lを得た。これをロータリーエバポレータにて10Lまで濃縮し、限外濾過膜(旭化成製SIP3013、分画分子量6000)に通した後、カチオン交換カラム(三菱化学製PK216、H+型、φ135×280mm、4L)、アニオン交換カラム(三菱化学製WA30、OH−型、φ135×490mm、7L)、混床カラム(三菱化学製PK216、H+型、0.5L、PA412、OH−型、1L、φ135×105mm、計1.5L)に順次通し、脱塩を行なった。得られた精製糖液40Lに粉末活性炭(武田薬品工業製カルボラフィン)1Kgを添加し、60℃に保温しながら30分間処理した後、珪藻土濾過により活性炭を除去し、さらにロータリーエバポレータにて2Lまで濃縮、ポアサイズ0.45μmのフィルタで除菌濾過を行ない、L−アラビノース1.1Kgを含有する水溶液3.1Kg(ブリックス糖度56.3%)を得た。
得られたL−アラビノース含有水溶液のブリックス糖度は56.3%であり、全糖質に占めるL−アラビノースの割合は63.8%(その他、D−グルコース;20.3%、D−ガラクトース;8.0%、D−フルクトース;7.9%)であった。
試験1〔L−アラビノース含有水溶液の保存試験(比較例1)〕
参考例2により得られたL−アラビノース含有水溶液を20gずつサンプル瓶に分取し、0℃、10℃、20℃の恒温環境下に保存し、1日目、3日目、1週目に観察を行ない、凍結の有無、晶出の有無を目視にて評価し、また上記した方法により腐敗の有無を評価した。得られた結果を表2に示した。
Figure 0004488750
表2の結果より明らかなように、0℃以下の保存においては3日目までに凍結した。また、20℃以下の環境下では、1週目までに全てのサンプルで晶出が見られた。さらに、10℃〜20℃の環境下で1週目までに全てのサンプルで腐敗(真菌コロニーの検出)が見られた。以上の結果より参考例2により得られるL−アラビノース水溶液のような糖質の組成ならびにブリックス糖度では、長期保管は困難であることが判明した。
試験2〔L−アラビノース含有シロップの作成と保存試験2(実施例1、比較例2)〕
参考例2により得られたL−アラビノース含有水溶液(全糖質中に占めるL−アラビノースの割合;63.8%、(その他、D−グルコース;20.3%、D−ガラクトース;8.0%、D−フルクトース;7.9%)、ブリックス糖度;56.3%)をロータリーエバポレータにて濃縮し、ブリックス糖度を60%、75%に調整した(比較例2)。また、表3に示すように他の糖質としてD−グルコース、D−ガラクトース、D−フルクトースを添加、溶解させ組成を調整した(実施例1)。これらをそれぞれ0、10、20℃の恒温環境下に一週間放置し、比較例1と同様に、0℃の環境下における凍結の有無、20℃以下の環境下における晶出の有無、20℃の環境下における腐敗の有無を評価した。結果を表3に示した。
Figure 0004488750
表3の結果から明らかなように、参考例2により得られたL−アラビノース含有水溶液のブリックス糖度を高めたもの(比較例2)では、L−アラビノース含有シロップの凍結、腐敗は起こらないものの、室温環境下において容易に晶出が起こるが、他の糖質を添加して全糖質中に占めるL−アラビノースの割合を調整したもの(実施例1)では、L−アラビノース含有シロップの晶出、腐敗ならびに凍結を抑制することが可能となった。
試験3〔L−アラビノース含有シロップの保存試験3(実施例2〜5、比較例3,4)〕
参考例2により得られたL−アラビノース含有水溶液(全糖質中に占めるL−アラビノースの割合;63.8%、(その他、D−グルコース;20.3%、D−ガラクトース;8.0%、D−フルクトース;7.9%)、ブリックス糖度;56.3%)に、他の糖質としてD−グルコース、D−ガラクトース、D−フルクトースを添加、溶解させ、全糖質中に占めるL−アラビノースの割合を50%(比較例3)、45%(実施例2)、41.2%(実施例3)、30%(実施例4)、20%(実施例5)、15%(比較例4)に調整、ロータリーエバポレータにて濃縮し、表4に示す組成とした。これをそれぞれ0、10、20℃の恒温環境下に一週間放置し、比較例1と同様に、0℃の環境下における凍結の有無、20℃以下の環境下における晶出の有無、20℃の環境下における腐敗の有無を評価した。結果を表4に示した。
Figure 0004488750
表4の結果から明らかなように、他の糖質を添加して全糖質中に占めるL−アラビノースの割合を調整したもの(実施例2〜5)では、L−アラビノース含有シロップの晶出、腐敗ならびに凍結を抑制することが可能となった。全糖質中に占めるL−アラビノースの割合がある範囲を外れるもの(比較例3、4)では、L−アラビノース含有シロップの凍結、腐敗は起こらないものの、室温環境下において容易に晶出が起こった。
試験4〔L−アラビノース含有シロップの保存試験4(実施例6〜8、比較例5〜7)〕
参考例2により得られたL−アラビノース含有水溶液(全糖質中に占めるL−アラビノースの割合;63.8%、(その他、D−グルコース;20.3%、D−ガラクトース;8.0%、D−フルクトース;7.9%)、ブリックス糖度;56.3%)に、他の糖質としてD−グルコース、D−ガラクトース、D−フルクトースを添加、溶解させ、全糖質中に占めるL−アラビノースの割合を41.2%に調整した。これに水を添加、あるいはロータリーエバポレータにて濃縮し、ブリックス糖度を50%(比較例5)、54%(比較例6)、60%(実施例6)、63%(実施例7)、75%(実施例8)、76.5%(比較例7)に調整し、これをそれぞれ0、10、20℃の恒温環境下に一週間放置し、比較例1と同様に、0℃の環境下における凍結の有無、20℃以下の環境下における晶出の有無、20℃の環境下における腐敗の有無を評価した。結果を表5に示した。
Figure 0004488750
表5の結果から明らかなように、ブリックス糖度がある範囲を超えるもの(比較例5〜7)では、室温環境下においてL−アラビノース含有シロップの晶出や腐敗、0℃保管下での凍結がみられ、本発明のL−アラビノース含有シロップとして適さないことが明らかである。


Claims (6)

  1. L−アラビノース、D−グルコース、D−ガラクトース及びD−フルクトースを含むシロップであって、全糖質中に占めるL−アラビノースの割合が16〜49%であり、かつ、ブリックス糖度が55〜75%であることを特徴とするL−アラビノース含有シロップ。
  2. 0℃の環境下に1週間以上放置しても凍結しないことを特徴とする請求項1記載のL−アラビノース含有シロップ。
  3. 10℃環境下に1週間以上放置しても、L−アラビノース含水結晶が晶出しないことを特徴とする請求項1記載のL−アラビノース含有シロップ。
  4. 20℃環境下に1週間以上放置しても腐敗しないことを特徴とする請求項1記載のL−アラビノース含有シロップ。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のL−アラビノース含有シロップを含有する組成物。
  6. 組成物が、食品、化粧品又は医薬品である請求項5記載の組成物。
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