JP4487168B2 - ステージ装置及びその駆動方法、並びに露光装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、第1部材に対して第2部材を相対的に駆動するためのステージ装置に関し、例えば半導体素子、撮像素子、液晶表示素子、又は薄膜磁気ヘッド等のデバイスを製造するためのフォトリソグラフィ工程中で、マスクパターンを基板上に転写するために使用される露光装置のマスクステージや基板ステージに使用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば半導体素子を製造する際に、マスクとしてのレチクルのパターンを基板としてのフォトレジストが塗布されたウエハ(又はガラスプレート等)の各ショット領域に転写するために、一括露光方式又は走査露光方式の露光装置が使用されている。前者の一括露光方式の露光装置は、主にウエハやレチクルを高精度に位置決めするために、また後者の走査露光方式の露光装置は、主に走査露光中のレチクル及びウエハの等速性を高精度に維持するために、それぞれレチクルステージ及びウエハステージを備えている。これらのステージの駆動用アクチュエータとして、かつては回転モータが用いられていたが、最近では、実質的に摩擦がなく、そのためステージに加わる外乱を低く、更には事実上なくすことができるリニアモータが用いられることが多い。
【0003】
リニアモータは、基本的な構成として可動子と固定子とを有し、例えばムービングマグネット型のリニアモータでは、可動子に所定ピッチで磁石が配置され、固定子に磁石の配置に応じてコイルが配置されている。通常、ストロークが長い場合、3相のリニアモータが用いられ、固定子(3相のコイル)に対する可動子(磁石)の位置(相対位置)により、各相のコイルの電流が設定される。
【0004】
この場合、磁石の幅及びピッチを適当に調整することで、コイルに鎖交する磁束密度は位置に応じて略正弦波状になっており、磁束密度のピッチは、一例として正弦波の周期として考えると磁石の配列ピッチの2倍となり、3相コイルのピッチは磁束密度のピッチの2/3である(例えば特許文献1参照)。なお、別の例として、コイルのピッチを磁束密度のピッチの1/6等とすることも可能であり、何れの場合でも磁石の配列ピッチとコイルのピッチとの間には所定の関係がある。
【0005】
リニアモータの発生する推力はフレミングの左手の法則に従い、その大きさは磁束密度に比例し、電流に比例する。また、可動子の位置が変わるとコイルに鎖交する磁束密度が変化するため、コイルに一定の電流を流し続けると、可動子の位置により推力は変化する。この場合、各相のコイルによって発生する推力は、各相のコイルの推力定数(単位電流当たりに発生する推力)に電流を乗ずることによって求めることができる。その推力定数は、可動子の位置の関数であり、ほぼその位置に関する正弦波状の関数である。ステージに用いられるリニアモータの場合、どの位置でも一定の推力が得られることが求められるため、3相のリニアモータでは、3相のコイルに流す電流の位相を120°ずつずらして、以下のように各相のコイルによって発生する推力の和が一定になるようにしている。
【0006】
即ち、各コイルが磁束密度のピーク位置にあるときに当該コイルに流す電流のピークが来るようにし、磁束密度が0になるところではその電流も0になるようにし、それらの中間の位置ではその電流を正弦波状に変化させる。このとき、磁束密度Bは次式で近似することができる。
B=B0 sin(2πX/P) …(1)
ここで、B0 は磁束密度のピーク値であり、Xは磁石に沿った座標値である。また、可動子(磁石)に対する固定子としてのU相(0π)コイルの相対位置をxとして、電流のピーク値をI0 とすると、U相、V相(−2π/3又は+4π/3)、W相(+2π/3)のコイルに流す電流Iu,Iv,Iwはそれぞれ次のようになる。
【0007】
Iu=I0 sin(2πx/P) …(2)
Iv=I0 sin(2πx/P−2π/3) …(3)
Iw=I0 sin(2πx/P+2π/3) …(4)
そして、U相、V相、W相のコイルで発生する推力をfu,fv,fwとすると、電磁力の基本的な式F=B×I×L(F:力、I:電流、L:コイルの長さ)から、次式が得られる。なお、簡略化のためコイルのターン数(巻回数)は省略してある。
【0008】
fu=B0 sin(2πx/P)×I0 sin(2πx/P) …(5)
fv=B0 sin(2πx/P−2π/3)×I0 sin(2πx/P−2π/3) …(6)
fw=B0 sin(2πx/P+2π/3)×I0 sin(2πx/P+2π/3) …(7)
従って、リニアモータ全体の推力Ftotalは、次のようになる。
【0009】
Ftotal=fu+fv+fw=1.5×B0×I0 …(8)
即ち、上記の如く電流を可動子の位置によって変化させることによって、可動子の位置にかかわらず、一定の推力が得られる。
【0010】
【特許文献1】
特開2001−190088号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上記の如く、3相のリニアモータでは、磁石の配列ピッチや磁石とコイルとの位置関係等が設計通りであれば、予め例えば計算によって求められている推力定数に基づいて各相のコイルに流す電流を制御することによって、可動子の位置によらずに一定の推力を得ることができる。しかしながら、実際にはモータ部品の加工誤差やステージ及びリニアモータの組立誤差等によって、磁石の配列ピッチ、コイルの線密度(ひいては電流密度)、及び磁石とコイルとの位置関係等には或る程度のばらつきが生じており、各相のコイルの推力定数には誤差が残存している。また、各磁石の磁束密度のばらつき等も推力定数の誤差要因となる。
【0012】
このような推力定数の誤差は推力変動の要因となり、例えばステージの加減速時等に、可動子の位置によらずに一定の推力でその可動子を駆動したいときに、推力が変動することとなる。
半導体素子の一層の高集積化及びスループットの更なる向上の要求に応えるために、露光装置においてはステージの一層の高精度化及び高速化が求められている。そのため、上述のようなリニアモータの推力変動等の性能のばらつきはできるだけ小さくすることが望まれている。
【0013】
本発明は斯かる点に鑑み、移動対象の部材を高精度に駆動できるステージ技術を提供することを目的とする。
また、本発明は、そのステージ技術を用いて、高精度にマスクパターンを基板上に転写できる露光技術及びデバイス製造技術を提供することをも目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明によるステージ装置は、第1部材(18)と、その第1部材に対して案内面に沿って少なくとも一方向に相対的に移動するとともに、その案内面内で回転移動可能な第2部材(RST)と、その一方向に電磁力による推力を発生してその第2部材をその第1部材に対してその一方向に相対的に駆動する第1の1対の駆動装置(78A,76A)と、その第2部材に関してその第1の1対の駆動装置と対向するように配置され、その一方向に電磁力による推力を発生してその第2部材をその第1部材に対して相対的に駆動する第2の1対の駆動装置(78B,76B)とを含む複数の駆動装置と、その第1の1対の駆動装置を介してその第1部材に対してその一方向にその第2部材を駆動したときに、その推力を発生していないその第2の1対の駆動装置に生じる起電力を検出する検出装置(192U〜192W,193U〜193W,194)と、その第1の1対の駆動装置によってその第2部材をその回転移動を拘束しつつその一方向に駆動するとともにその検出器の検出結果を取得し、その検出結果に基づいてその第2の1対の駆動装置が発生するその推力を補正する制御装置(90R)と、を有するものである。
【0015】
斯かる本発明によれば、第1部材に対して第2部材を駆動すると、例えばフレミングの右手の法則に従って、推力を発生していない他の駆動装置(以下、「被検駆動装置」と呼ぶ)では起電力(誘導起電力)が発生する。そこで、その起電力を検出することによって、その被検駆動装置の推力定数(単位電流当たりに発生する推力)を求めることができる。そして、そのようにして求められた推力定数を用いて、その他の駆動装置を駆動することによって、その第1部材に対してその第2部材を目標とする推力で高精度に駆動することができる。
【0016】
この場合、その第1部材に対するその第2部材の相対的な駆動の自由度をN(Nは2以上の整数)とすると、その第1部材に対して自由度Nでその第2部材を相対的に駆動する複数の駆動装置の個数は少なくとも(N+2)であることが望ましい。これによって、その第2部材をその第1部材に対して自由度Nで駆動する際に、少なくとも1軸の駆動装置は推力を発生しなくともよいため、この駆動装置の起電力を検出することができる。
【0017】
また、一例として、その第1の1対の駆動装置(78A,76A)は、その第2部材に関してその一方向に交差する方向に配置されている。
【0018】
この場合、その第1部材とその第2部材とがガイドレス方式で相対移動しても、第1の1対の駆動装置だけでその第2部材を安定に駆動できる。従って、第2の1対の駆動装置に発生する起電力を高精度に検出することができる。
また、その第2部材の位置を計測する位置計測装置(69YA,69YB)を有し、その制御装置(90R)は、その位置計測装置によって求められたその第2部材の移動速度とその検出装置が検出する起電力とに基づいて、その他の駆動装置が発生する推力を補正することが望ましい。その検出された起電力をその第2部材の移動速度で除算することによって、その他の駆動装置の推力定数を容易に求めることができ、その求められた推力定数に基づいてその他の駆動装置を高精度に駆動することができる。
【0019】
また、その複数の駆動装置のうちの推力を発生する1対の駆動装置と、推力を発生しない他の1対の駆動装置とは互いに切替可能であることが望ましい。これによって、その1対の駆動装置と他の1対の駆動装置とで交互に起電力の検出を行うことができる。従って、2対の駆動装置の起電力を求めることができ、これに基づいて、2対の駆動装置を高精度に駆動することができる。
【0020】
また、本発明のステージ装置の駆動方法は、本発明の何れかのステージ装置の駆動方法であって、その複数の駆動装置のうちのその第1の1対の駆動装置が発生するその推力によりその第2部材をその回転移動を拘束しつつその一方向に駆動したときに、その推力を発生していないその第2の1対の駆動装置に生じる起電力を検出する第1ステップ(ステップ201,202)と、その第1ステップで検出された起電力に基づいて、その第2の1対の駆動装置が発生する推力の補正値を求める第2ステップ(ステップ203)と、その第2ステップで求められた補正値を用いてその第2の1対の駆動装置が発生する推力を補正してその第2部材を駆動する第3ステップ(ステップ207)とを有するものである。
【0021】
これによって、その第2部材を目標とする推力で高精度に駆動することができる。
また、本発明による露光装置は、露光ビームで第1物体(R)を照明し、その露光ビームでその第1物体を介して第2物体(W)を露光する露光装置において、その第1物体及び第2物体の少なくも一方を駆動するために本発明の何れかのステージ装置を用いるものである。
【0022】
本発明のステージ装置によってその第1物体又はその第2物体を高精度に駆動できるため、一括露光型であれば高い位置決め精度が得られ、走査露光型であれば高い等速性が得られるため、その第1物体のパターンを高精度にその第2物体上に転写することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施形態につき図1〜図13を参照して説明する。本例は、ステップ・アンド・スキャン方式よりなる走査露光型の投影露光装置(スキャニング・ステッパ)に備えられたステージ装置に本発明を適用したものである。
【0024】
図1は、本例の投影露光装置10の概略構成を示し、この図1において、投影露光装置10に備えられている投影光学系PLの光軸AXに平行にZ軸を取り、Z軸に垂直な平面内で走査露光時のレチクル及びウエハ(詳細後述)の走査方向にY軸を取り、その走査方向に直交する非走査方向にX軸を取って説明を行う。本例の投影露光装置10は、照明光学系ユニットIOP、マスク(第1物体)としての回路パターンが形成されたレチクルRをY方向に所定のストロークで駆動するとともに、X方向、Y方向及びθz方向(Z軸の回りの回転方向)に微少駆動するステージ装置としてのレチクルステージ装置12、投影光学系PL、基板(第2物体)としてのウエハWをXY平面内でXY2次元方向に駆動するウエハステージWST、及びこれらの制御系等を備えている。
【0025】
照明光学系ユニットIOPは、露光光源及び照明光学系を含み、その内部に配置された視野絞り(レチクルブラインド)で規定されるレチクルRのパターン面の矩形又は円弧状の照明領域IARを露光ビームとしての露光光ILで均一な照度分布で照明する。その照明光学系と同様の照明系は、例えば特開平6−349701号公報などに開示されている。本例の露光光ILとしては、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)或いはF2 レーザ光(波長157nm)などの真空紫外光が用いられる。なお、露光光ILとして、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)などの遠紫外光、超高圧水銀ランプからの紫外域の輝線(g線、i線等)等を用いることも可能である。
【0026】
次に、レチクルステージ装置12は、照明光学系IOPの下端部に連結された環状の取り付け部101を有するプレートとしての照明系側プレート(キャッププレート)14の図1における下方に配置されている。照明系側プレート14は、略水平に不図示の支持部材によって支持され、そのほぼ中央部には露光光ILの光路(通路)となる矩形の開口14aが形成されている。
【0027】
レチクルステージ装置12は、図1及びレチクルステージ装置12の斜視図である図2から分かるように、前記照明系側プレート14の下方に所定間隔を隔ててほぼ平行に配置された定盤としてのレチクルベース16、このレチクルベース16と照明系側プレート14との間に配置されたスライダとしてのレチクルステージRST、及びこのレチクルステージRSTを取り囲む状態でレチクルベース16と照明系側プレート14との間に配置された枠状部材18、及びレチクルステージRSTを駆動するレチクルステージ駆動系等を備えている。
【0028】
レチクルベース16は、不図示の支持部材によって略水平に支持されている。このレチクルベース16は、図2の分解斜視図である図3に示すように、概略板状の部材から成り、そのほぼ中央には、凸のガイド部16aが形成されている。このガイド部16aの上面(ガイド面)は極めて高い平面度に仕上げられ、ガイド部16aのほぼ中央には、露光光ILをZ方向に通過させるためのX方向を長手方向とする矩形開口16bが形成されている。レチクルベース16の下面側には、図1に示すように、矩形開口16bに対応して投影光学系PLが配置されている。
【0029】
レチクルステージRSTは、図4(A)に示すような特殊な形状のレチクルステージ本体22及びこのレチクルステージ本体22に固定された各種磁石ユニット(詳細後述)等を備えている。レチクルステージ本体22は、上方から見て概略矩形の板状部24Aと、この板状部24Aの−X方向の端部に設けられたミラー部24Bと、板状部24AのY方向の一側及び他側の端部からそれぞれY方向に突設された各一対の延設部24C1,24C2,24D1,24D2とを備えている。
【0030】
前記板状部24Aのほぼ中央部には、露光光ILを通過させるための開口がその中央に形成された段付き開口22aが形成され、この段付き開口22aの段部(1段掘り下げられた部分)には、レチクルRを下側から複数点(例えば3点)で支持する複数(例えば3つ)のレチクル支持部材34が設けられている。また、各レチクル支持部材34にそれぞれ対応して、レチクルRを挟んで固定するために、板状部24Aには複数(例えば3つ)のレチクル固定機構34Pが設けられている。
【0031】
そして、レチクルRは、そのパターン面(下面)が、レチクルステージ本体22(レチクルステージRST)の中立面CT(曲げモーメントを受けた場合に伸縮しない面)に略一致する状態で、複数の支持部材34によって支持されている(図4(B)参照)。なお、レチクル支持部材34及びレチクル固定機構34Pに代えて、或いはこれとともに、真空チャックや静電チャックなどの各種チャックを用いることは可能である。
【0032】
また、前記ミラー部24Bは、図4(A),(B)から分かるように、Y方向を長手方向とする概略角柱状の形状を有し、その中心部分には軽量化を図るための断面円形の空洞部CHが形成されている。ミラー部24Bの−X方向の端面は鏡面加工が施された反射面124m(図5参照)とされている。
板状部24A、ミラー部24Bを含むレチクルステージ本体部22は、一体成形(例えば、一つの部材を削り出すことにより成形)されているが、本例では、説明を分かり易くするため、必要に応じて各部が別部材であるかのような表現をも用いている。勿論、上記各部の何れか1つを他と別部材で構成しても良いし、全てを別部材で構成しても良い。
【0033】
また、図4(A)において、レチクルステージ本体22の板状部24Aの−Y方向の端部には、2つの凹部24g1,24g2が形成され、この凹部24g1,24g2のそれぞれには、移動鏡としてのレトロリフレクタ32A,32Bが設けられている。そして、前記4つの延設部24C1,24C2,24D1,24D2は、概略板状の形状を有し、各延設部には強度向上のための断面三角形状の補強部が設けられている。レチクルステージ本体22の底面には、延設部24C1から延設部24D1に至るY方向の全域に亘る第1の差動排気型の気体静圧軸受けが形成され、延設部24C2から延設部24D2に至るY方向の全域に亘る第2の差動排気型の気体静圧軸受けが形成されている。
【0034】
図1のレチクルステージ装置12の一部の断面図である図6に示すように、レチクルステージ本体22の底面の第1、第2の差動排気型の気体静圧軸受けからレチクルベース16のガイド部16aの上面に噴き付けられる加圧気体の静圧と、レチクルステージRST全体の自重とのバランスにより、ガイド部16aの上面上方に数μm程度のクリアランスを介して、レチクルステージRSTが非接触で浮上支持されている。
【0035】
図2に戻り、前記枠状部材18の上面には、概略環状の凹溝83,85が二重に形成されている。このうちの内側の凹溝(以下、「給気溝」と呼ぶ)83には、その内部に複数の給気口(不図示)が形成され、外側の凹溝(以下、「排気溝」と呼ぶ)85には、複数の排気口(不図示)が形成されている。給気溝83の内部に形成された給気口は、不図示の給気管路及び給気管を介して不図示のガス供給装置に接続されている。また、排気溝85の内部に形成された排気口は、不図示の排気管路及び排気管を介して不図示の真空ポンプに接続されている。
【0036】
また、枠状部材18の底面にも、上面の給気溝83及び排気溝85に対応するように概略環状の凹溝からなる給気溝及び排気溝(不図示)が形成され、これらの給気溝及び排気溝もそれぞれ不図示のガス供給装置及び真空ポンプに接続されている。その給気溝及び排気溝を含んで、実質的に、レチクルベース16の上面に枠状部材18を浮上支持する差動排気型の気体静圧軸受けが構成されている。
【0037】
即ち、ガス供給装置と真空ポンプとが作動状態にあるときは、枠状部材18の底面の給気溝(不図示)からレチクルベース16の上面に加圧気体が噴き付けられ、この噴き付けられた加圧気体の静圧により枠状部材18の自重が支えられ、枠状部材18がレチクルベース16の上面に数μm程度のクリアランスを介して浮上支持される。
【0038】
同様に、枠状部材18の上面の給気溝83及び排気溝85を含んで、実質的に、枠状部材18と照明系側プレート14との間のクリアランスを維持する差動排気型の気体静圧軸受けが構成されている。
即ち、ガス供給装置と真空ポンプとが作動状態にあるときは、枠状部材18の上面に形成された給気溝83から照明系側プレート14の下面に加圧気体が噴き付けられ、該噴き付けられた加圧気体の静圧と真空吸引力とのバランスによって、枠状部材18と照明系側プレート14との間に所定のクリアランスが維持される。
【0039】
次に、図2に示すように、レチクルステージ駆動系は、レチクルステージRSTをY方向に駆動するとともにθz方向(Z軸の回りの回転方向)に微小駆動する第1駆動機構と、レチクルステージRSTをX方向に微小駆動する第2駆動機構とを備えている。前者の第1駆動機構は、枠状部材18の内部に、Y方向にそれぞれ架設された一対のY軸リニアガイド36、38を含んで構成され、後者の第2駆動機構は、枠状部材18の内部の+X方向側のY軸リニアガイド38の−X方向側にY方向に架設された固定子ユニット40を含んで構成されている。
【0040】
前記一方のY軸リニアガイド36は、図3の分解斜視図に示すように、Y方向を長手方向とする一対のそれぞれコイルユニットが配置された固定子ユニット136A,136Bと、これらの固定子ユニット136A,136BをY方向(長手方向)の一端部と他端部とで保持する一対の固定部材152とを備えている。この場合、一対の固定部材152により、固定子ユニット136A,136Bは、Z方向(上下方向)に所定間隔をあけて相互に対向してかつXY平面にそれぞれ平行に保持されている。一対の固定部材152のそれぞれは、前述の枠状部材18の内壁面に固定されている。
【0041】
前記固定子ユニット136A,136Bは、図3及び図1のレチクルステージ本体22付近の断面図である図5からも分かるように、断面矩形(長方形)の非磁性材料から成るフレームを有し、その内部には、Y方向に所定間隔で複数のコイルが配設されている。
前記+X方向側のY軸リニアガイド38も上記一方のY軸リニアガイド36と同様に構成されている。即ち、Y軸リニアガイド38は、Y方向を長手方向とする上下一対のそれぞれコイルユニットが配置された固定子ユニット138A,138Bと、これらの固定子ユニット138A,138BをZ方向に所定間隔を維持した状態で両端部にて固定する一対の固定部材154とを備えている。一対の固定部材154のそれぞれは、前述の枠状部材18の内壁面に固定されている。固定子ユニット138A,138Bは、前述の固定子ユニット136A,136Bと同様に構成されている(図5参照)。
【0042】
また、上側の固定子ユニット136A,138Aと、下側の固定子ユニット136B,138Bとの間には、図5に示すように、それぞれ所定のクリアランスを介して、レチクルステージRSTが配設されている。この場合、固定子ユニット136A,136Bにそれぞれ対向して、レチクルステージRSTの上面、下面には、一対のそれぞれ磁石ユニット(磁極ユニット)が配置された可動子ユニット26A,26Bが埋め込まれ、固定子ユニット138A,138Bに対向して、レチクルステージRSTの上面、下面には、一対のそれぞれ磁石ユニットが配置された可動子ユニット28A,28Bが埋め込まれている。本例では、可動子ユニット26A,26B及び28A,28Bの磁石ユニットとして、それぞれZ方向に磁界を発生する複数の永久磁石を所定ピッチで極性を反転しながらY方向に配置したユニットが使用されているが、その永久磁石の代わりに電磁石等も使用することができる。
【0043】
可動子ユニット26A,26Bのそれぞれは、図4(B)に示すように、前述のレチクルステージ本体22の板状部24Aの段付き開口22aの−X方向側に、レチクルステージ本体22の中立面CTに対して対称に上下面側にそれぞれ形成された凹部24e1,24e2内に配置されている。この場合、図5の固定子ユニット136A,136Bは、上記中立面CTを基準としてほぼ対称な位置に位置している。そして、一対の可動子ユニット26A,26Bは、磁性体部材と、この磁性体部材の表面にY方向に沿って所定間隔で配置された複数の磁石とを、それぞれ備えている。複数の磁石は、隣り合う磁石同士で逆極性とされている。従って、可動子ユニット26Aの上方の空間及び可動子ユニット26Bの下方の空間にはそれぞれY方向に沿って交番磁界が形成されている。
【0044】
同様に、前記一対の可動子ユニット28A,28Bのそれぞれは、図4(B)に示すように、前述のレチクルステージ本体22の板状部24Aの段付き開口22aの+X方向側に、レチクルステージ本体22の中立面CTに関して対称に上下面側にそれぞれ形成された凹部24f1,24f2内に配置されている。また、一対の可動子ユニット28A,28Bは、段付き開口22aのX方向の中心位置(レチクルステージRSTの重心のX方向の位置とほぼ一致)を通るZ軸に平行な直線に関して、可動子ユニット26A,26Bとほぼ左右対称の配置となっている。また、図5の第1固定子ユニット138A,138Bは、中立面CTを基準としてほぼ対称な位置に位置している。
【0045】
そして、一対の可動子ユニット28A,28Bは、磁性体部材と、この磁性体部材の表面にY方向に沿って所定間隔で配置された複数の磁石とをそれぞれ備えている。複数の磁石は、隣り合う磁石同士で逆極性とされている。従って、可動子ユニット28Aの上方の空間及び可動子ユニット28Bの下方の空間にもそれぞれY方向に沿って交番磁界が形成されている。
【0046】
本例では、上述したY軸リニアガイド36及び38の上側の固定子ユニット136A及び138Aと、レチクルステージ本体22側に対向して配置された可動子ユニット26A及び28Aとから、それぞれ図5に示すように第1のY軸リニアモータ76A及び第2のY軸リニアモータ78Aが構成されている。そして、Y軸リニアガイド36及び38の下側の固定子ユニット136B及び138Bと、レチクルステージ本体22側の対応する可動子ユニット26B及び28Bとから、それぞれ図5に示すように第3のY軸リニアモータ76B及び第4のY軸リニアモータ78Bが構成されている。また、それぞれ1軸の駆動装置としての第1、第2、第3、及び第4のY軸リニアモータ76A,78A,76B,78Bから上記の第1駆動機構が構成されている。本例の4軸のY軸リニアモータ76A,78A,76B,78Bはそれぞれムービングマグネット型であり、広いストロークで移動する部材側には配線を接続する必要がないため、移動速度を高めることができる。
【0047】
例えば第1のY軸リニアモータ76Aでは、固定子としての固定子ユニット136A内のコイルにX方向に電流が供給されることにより、そのコイルを流れる電流と可動子としての可動子ユニット26A内の磁石がZ方向に発生する磁界との電磁相互作用によって、フレミングの左手の法則に従って、固定子ユニット136A内のコイルにY方向への電磁力(ローレンツ力)が発生する。そして、この電磁力の反作用(反力)が固定子ユニット136Aに対して相対的に可動子ユニット26AをY方向に駆動する推力となる。同様に、図5の第2のY軸リニアモータ78Aは、固定子ユニット138Aに対して相対的に可動子ユニット28AをY方向に駆動する推力を発生する。また、第3及び第4のY軸リニアモータ76B及び78Bは、それぞれ固定子ユニット136B及び138Bに対して相対的に可動子ユニット26B及び28BをY方向に駆動する推力を発生する。
【0048】
このように、固定子(固定子ユニット136A,138A,136B,138B)と可動子(可動子ユニット26A,28A,26B,28B)とが電磁相互作用のような物理的相互作用を行って駆動力を発生する際には、その固定子とその可動子とが「協働」して駆動力を発生するとも言うことができる。また、実際にはその電磁力(作用)によって固定子も可動子とは反対方向に僅かに移動する。そのため、本明細書では、相対的な移動量が多い方の部材を可動子又は可動子ユニットと呼び、相対的な移動量が少ない方の部材を固定子又は固定子ユニットと呼んでいる。
【0049】
この場合、第1、第2、第3、及び第4のY軸リニアモータ76A,78A,76B,78Bの固定子ユニット136A,138A,136B,138Bはそれぞれ図2のY軸リニアガイド36,38を介して第1部材としての枠状部材18に連結され、可動子ユニット26A,28A,26B,28Bはそれぞれ図2の第2部材としてのレチクルステージRST(レチクルステージ本体22)に固定されている。また、第1及び第2のY軸リニアモータ76A及び78Aは、レチクルRを挟むようにほぼ対称にX方向に離れて配置されて、それぞれ枠状部材18に対して相対的にレチクルステージRSTをY方向に駆動する。また、第3及び第4のY軸リニアモータ76B及び78Bは、第1及び第2のY軸リニアモータ76A及び78Aに対向するように配置されて、それぞれ枠状部材18に対して相対的にレチクルステージRSTをY方向に駆動する。従って、第1及び第2のY軸リニアモータ76A及び78Aが第1の1対の駆動装置に対応し、第3及び第4のY軸リニアモータ76B及び78Bが第2の1対の駆動装置に対応している。
【0050】
また、本例では図2のY軸リニアガイド36,38が内側に固定された枠状部材18は、底面側のレチクルベース16及び上面側の照明系側プレート14との間で気体軸受けを介して非接触に支持されている。そのため、Y軸リニアモータ76A,78A,76B,78BによってレチクルステージRSTをY方向に駆動する際に、反力を相殺するように枠状部材18が逆方向に僅かに移動する。これによってレチクルステージRSTを駆動する際の振動の発生が抑制される。但し、レチクルステージRSTの質量に対して枠状部材18の質量はかなり大きいため、枠状部材18の移動量は僅かである。
【0051】
本例では、通常は、図5において、−X方向側の第1及び第3のY軸リニアモータ76A及び76Bは、同期してY方向に同じ推力を発生するように駆動される。同様に、+X方向側の第2及び第4のY軸リニアモータ78A及び78Bも、同期してY方向に同じ推力を発生するように駆動される。そして、レチクルステージRST(レチクルR)をY方向に等速駆動するような場合には、第1及び第3のY軸リニアモータ76A,76Bと、第2及び第4のY軸リニアモータ78A,78Bとが更に同期してほぼ等しい推力で枠状部材18に対してレチクルステージRSTをY方向に駆動する。また、レチクルステージRSTの回転角θz(ヨーイング)を補正する必要のある場合には、第1及び第3のY軸リニアモータ76A,76Bが発生する推力と、第2及び第4のY軸リニアモータ78A,78Bが発生する推力との大きさの比が制御される。
【0052】
本例の場合、図4(B)に示すように、レチクルステージRSTの中立面CTを基準として、可動子ユニット26A及び26B、並びに可動子ユニット28A及び28Bがそれぞれ対称に配置され、これらの可動子ユニットに対応する図5の固定子ユニット136A及び136B、並びに固定子ユニット138A及び138Bもそれぞれ中立面CTを基準として上下対称に配置されている。このため、固定子ユニット136A,136B,138A,138Bのコイルにそれぞれ対応する電流を供給して、互いに同一の駆動力を可動子ユニット26A,26B,28A,28Bに与えることによって、レチクルステージRSTの中立面CT(図4(B)参照)上の2箇所にY方向の駆動力(可動子ユニット26A,26Bの駆動力の合力、及び可動子ユニット28A,28Bの駆動力の合力)を作用させることができる。これにより、レチクルステージRSTにはピッチングモーメントが極力作用しないようになっている。
【0053】
更に、可動子ユニット26A,26Bと、可動子ユニット28A,28Bとは、X方向に関しても、レチクルステージRSTの重心近傍位置に関してほぼ対称に配置されている。そのため、レチクルステージRSTの重心からX方向に等距離の2箇所で上記のY方向の駆動力が作用するので、この2箇所に同一の力を発生させることでレチクルステージRSTの重心位置近傍にY方向の駆動力の合力を作用させることが可能となっている。従って、例えばレチクルステージ本体22をY方向に直線的に駆動するような場合に、レチクルステージRSTにはヨーイングモーメントも極力作用しないようになっている。
【0054】
なお、本例では、後述のように、例えば投影露光装置の組立調整時又はメンテナンス時等に、第1及び第2のY軸リニアモータ76A及び78A(第1の1対の駆動装置)を介してレチクルステージRSTをY方向に駆動しているときに、第3及び第4のY軸リニアモータ76B及び78B(第2の1対の駆動装置)側では固定子ユニット136B,138Bのコイルを駆動源から切り離して所定の駆動情報を検出できるように構成されている。更に、第1及び第2のY軸リニアモータ76A及び78Aと第3及び第4のY軸リニアモータ76B及び78Bとを切り替えることによって、第3及び第4のY軸リニアモータ76B及び78B(第2の1対の駆動装置)を介してレチクルステージRSTをY方向に駆動しているときに、第1及び第2のY軸リニアモータ76A及び78A(第1の1対の駆動装置)側では固定子ユニット136A,138Aのコイルを駆動源から切り離して所定の駆動情報を検出できるようにも構成されている。
【0055】
次に、第2駆動機構側の固定子ユニット40は、図3に示すように、Y方向を長手方向とする一対の固定子としてのコイルユニット140A,140Bと、これらのコイルユニット140A,140BをY方向(長手方向)の一端部と他端部とで保持する一対の固定部材156とを備えている。この場合、一対の固定部材156により、コイルユニット140A,140Bは、Z方向(上下方向)に所定間隔をあけて相互に対向してかつXY平面にそれぞれ平行に保持されている。一対の固定部材156のそれぞれは、前述の枠状部材18の内壁面に固定されている。
【0056】
コイルユニット140A,140Bは、図5からも分かるように、断面矩形(長方形)の非磁性材料から成るフレームを有し、その内部には、コイルが配置されている。コイルユニット140A,140Bの間には、図5に示すように、それぞれ所定のクリアランスを介して、レチクルステージRSTの+X方向の端部に固定された可動子としての断面矩形(長方形)の板状のZ方向に磁界を発生する永久磁石30が配置されている。永久磁石30に代えて、磁性体部材とその上下面にそれぞれ固定された一対の平板状の永久磁石とから成る磁石ユニットを用いても良い。
【0057】
この場合、永久磁石30及びコイルユニット140A,140Bは、中立面CTを基準としてほぼ対称な形状及び配置となっている(図4(B)及び図5参照)。従って、永久磁石30によって形成されるZ方向の磁界とコイルユニット140A,140Bをそれぞれ構成するコイルをY方向に流れる電流との間の電磁相互作用により、フレミングの左手の法則に従ってそのコイルにX方向の電磁力(ローレンツ力)が発生し、この電磁力の反力が永久磁石30(レチクルステージRST)をX方向に駆動する推力となる。また、この場合にも、レチクルステージRSTをX方向に駆動する際の反力を相殺するように、逆方向に枠状部材18が僅かに移動する。従って、レチクルステージRSTをX方向に駆動する際の振動の発生も抑制されている。
【0058】
この場合、コイルユニット140A,140Bをそれぞれ構成するコイルに同一の電流を供給することにより、レチクルステージRSTの中立面CT(図4(B)参照)上の位置にX方向の駆動力を作用させることができ、これにより、レチクルステージRSTにはローリングモーメントが極力作用しないようになっている。
【0059】
上述のように、コイルユニット140A,140Bと永久磁石30とにより、レチクルステージRSTをX方向に微小駆動可能なムービングマグネット型のX軸ボイスコイルモータ79が構成されている。この駆動装置としてのX軸ボイスコイルモータ79によって、第2駆動機構が構成されている。
この結果、図2の本例のレチクルステージRSTは、枠状部材18に対してガイドレス方式でX方向、Y方向、θz方向の3自由度で相対的に変位できるように支持されており、枠状部材18に対してレチクルステージRSTを相対的に駆動するために、Y方向に推力を発生する4軸のY軸リニアモータ76A,78A,76B,78BとX方向に推力を発生する1軸のX軸ボイスコイルモータ79とからなる5軸の駆動装置が設けられている。即ち、レチクルステージRSTの移動の自由度(=3)に対して、レチクルステージRSTを駆動する複数の駆動装置の個数は2だけ多く設けられている。これによって、後述のように例えばその複数の駆動装置のうち所定の駆動装置を駆動しない状態でも、レチクルステージRSTを少なくとも一方向に駆動することができる。
【0060】
本例では、更に、前述の枠状部材18の+X方向の側面及び+Y方向の側面には、図3に示すように、Z方向の磁界を形成する磁石ユニットを含む可動子60A,60B,60Cが設けられている。これらの可動子60A,60B,60Cに対応してレチクルベース16には、支持台64A,64B,64Cを介して、Y方向に電流を流すコイルを含む固定子62A,62B及びX方向に電流を流すコイルを含む固定子62Cが設けられている。即ち、可動子60Aと固定子62Aとにより、及び可動子60Bと固定子62Bとにより、それぞれムービングマグネット型のボイスコイルモータから成るX方向駆動用のトリムモータが構成されている。また、可動子60Cと固定子62Cとによりムービングマグネット型のボイスコイルモータから成るY方向駆動用のトリムモータが構成されている。これら3つのトリムモータを用いることにより、レチクルベース16に対して枠状部材18をX方向、Y方向、及びθz方向の3自由度方向に駆動することが可能である。
【0061】
上述のようにレチクルステージRSTをX方向、Y方向、θz方向に駆動する際には、その作用を相殺するように枠状部材18が僅かに移動するため、枠状部材18のXY平面内の位置が次第にずれる恐れがある。そこで、可動子60A〜60C及び固定子62A〜62Cよりなるトリムモータを用いて、例えば定期的に枠状部材18の位置を中央に戻すことで、枠状部材18の位置がレチクルベース16から外れることが防止できる。
【0062】
前記枠状部材18の−X方向側の側壁のほぼ中央には、図3に示すように、凹状部18aが形成されている。この凹状部18aには枠状部材18の内部と外部とを連通する矩形開口18bが形成されている。また、枠状部材18の−Y側の側壁には、枠状部材18の内部と外部とを連通する矩形開口18cが形成されている。矩形開口18bの外側には、図5から分かるように、レチクルステージRSTのミラー部24Bの反射面124mに対向してX軸レーザ干渉計69Xが設けられている。このX軸レーザ干渉計69Xからの測長ビームが矩形開口18bを介してミラー部24Bの反射面124mに対して投射され、その反射光が矩形開口18bを介してX軸レーザ干渉計69X内に戻る。この場合、測長ビームの光路のZ方向の位置は、中立面CTの位置に一致し、中立面CTの位置はレチクルRのパターン面(レチクル面)に一致している。
【0063】
また、図5に示すように、投影光学系PLの鏡筒の上端部近傍には、固定鏡Mrxが取付部材92を介して設けられている。X軸レーザ干渉計69Xからの参照ビームはレチクルベース16に形成された貫通孔(光路)71を介して、固定鏡Mrxに対して投射され、その反射光がX軸レーザ干渉計69X内に戻る。X軸レーザ干渉計69Xでは、測長ビームの反射光、参照ビームの反射光を内部の光学系により同軸にかつ同一の偏光方向の光に合成し、両反射光の干渉光を内部のディテクタによって受光する。そして、ディテクタの検出信号に基づいて、X軸レーザ干渉計69Xは、レチクルステージ本体22のX方向の位置を、固定鏡Mrxを基準として、例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出する。また、X方向の位置の差分からレチクルステージ本体22のX方向の速度(通常はほぼ0)も検出されている。
【0064】
一方、矩形開口18cの外側(−Y方向側)には、図1のレチクルステージ装置12近傍のYZ断面図である図6から分かるように、レチクルステージ本体22に設けられた前述のレトロリフレクタ32A,32Bの反射面に対向してY軸レーザ干渉計69YA,69YBが設けられている。各Y軸レーザ干渉計69YA,69YBからの測長ビームは矩形開口18cを介してレトロリフレクタ32A,32Bの反射面に対してそれぞれ投射され、それぞれの反射光が窓ガラスg2を介して各Y軸レーザ干渉計69YA,69YB内に戻る。この場合、測長ビームの照射点のZ方向の位置は、中立面CTの位置(レチクル面)にほぼ一致している。
【0065】
また、図6に示すように、投影光学系PLの鏡筒の上端部近傍には、固定鏡Mryが取付部材93を介して設けられている。各Y軸レーザ干渉計69YA,69YBからの参照ビームはレチクルベース16に形成された貫通孔(光路)72を介して、固定鏡Mryに対してそれぞれ投射され、それぞれの反射光が各Y軸レーザ干渉計69YA,69YB内に戻る。そして、各Y軸レーザ干渉計69YA,69YBは、前述のX軸レーザ干渉計69Xと同様に、測長ビームの反射光と参照ビームの反射光との干渉光に基づいて、それぞれの測長ビームの投射位置(レトロリフレクタ32A,32Bの反射面の位置)におけるレチクルステージ本体22のY方向の位置を、固定鏡Mryをそれぞれ基準として例えば0.5〜1nm程度の分解能でそれぞれ常時検出する。この場合、一対のY軸レーザ干渉計69YA,69YBによって、レチクルステージRSTのZ軸回りの回転量も検出することが可能となっている。また、Y方向の位置の差分からレチクルステージ本体22のY方向の速度も検出されている。
【0066】
本例では、前述の如く、X軸レーザ干渉計69Xの測長ビームの光路のZ方向の位置は、中立面CTの位置(レチクル面)に一致しているので、いわゆるアッベ誤差がなく、レチクルステージRST(レチクルR)のX方向の位置を精度良く計測することができる。一対のY軸レーザ干渉計69YA,69YBにおいても、同様の理由により、いわゆるアッベ誤差がなく、高い計測精度が得られる。
【0067】
なお、上記の移動鏡としての、ミラー部24B、及びレトロリフレクタ32A,32Bの3つが図1では移動鏡Mmとして図示され、X軸レーザ干渉計69Xと一対のY軸レーザ干渉計69YA,69YBとが図1ではレチクル干渉計69として図示されている。また、図1では、図5及び図6の固定鏡(固定鏡Mrx,Mry)は図示省略されている。
【0068】
以下の説明においては、レチクル干渉計69によってレチクルステージRSTのXY平面内の位置(θz回転を含む)が計測されているものとする。このレチクル干渉計69からのレチクルステージRSTの位置情報(又は速度情報でも良い)は図1のステージ制御系90及びこれを介して主制御装置70に送られ、ステージ制御系90では主制御装置70からの指示に応じ、レチクルステージRSTの位置情報に基づいてレチクルステージRSTの駆動を制御する。
【0069】
図1に戻り、前記投影光学系PLとしては、両側テレセントリックで屈折系又は反射屈折系よりなる投影倍率が1/4又は1/5等の縮小系が用いられている。走査露光中には、露光光ILのもとで、レチクルRの照明領域IAR内のパターンの投影光学系PLを介した縮小像は、投影光学系PLの像面上に配置されたウエハW上の一つのショット領域のレジスト層上の細長い露光領域IA上に転写される。被露光基板としてのウエハWは、半導体(シリコン等)又はSOI(silicon on insulator)等の直径が例えば150〜300mmの円板状の基板である。
【0070】
投影光学系PLは、鏡筒部に設けられたフランジ部FLGを介して、不図示の保持部材によって保持されている。
次に、ウエハステージWSTは、ウエハ室80内に配置されている。このウエハ室80は、天井部の略中央部に投影光学系PLの下端部を通すための円形開口71aが形成された隔壁71で覆われている。この隔壁71は、ステンレス(SUS)等の脱ガスの少ない材料で形成されている。
【0071】
ウエハ室80内には、定盤よりなるウエハベースBSが、複数の防振ユニット86を介してほぼ水平に支持されている。ウエハステージWSTは、ウエハホルダ25を介してウエハWを真空吸着等により保持し、例えばリニアモータ等を含む不図示のウエハ駆動系によってウエハベースBSの上面に沿ってXY2次元方向に駆動される。
【0072】
ウエハ室80の隔壁71の−Y方向側の側壁には光透過窓85が設けられている。これと同様に、図示は省略されているが、隔壁71の+X方向側の側壁にも光透過窓が設けられている。また、ウエハホルダ25の−Y方向側の端部には、平面鏡から成るY軸移動鏡56YがX方向に延設されている。同様に、図示は省略されているが、ウエハホルダ25の+X方向側の端部には、平面鏡から成るX軸移動鏡がY方向に延設されている。そして、ウエハ室80の外部のY軸レーザ干渉計57Y及びX軸レーザ干渉計(不図示)からの測長ビームが、それぞれ光透過窓85及び不図示の透過窓を介してY軸移動鏡56Y及び不図示のX軸移動鏡に照射されている。Y軸レーザ干渉計57Y及びX軸レーザ干渉計は、それぞれ例えば内部の参照鏡を基準として対応する移動鏡の位置及び回転角、即ちウエハWのX方向、Y方向の位置、及びX軸、Y軸、Z軸の回りの回転角を計測する。Y軸レーザ干渉計57Y及びX軸レーザ干渉計の計測値は、ステージ制御系90及び主制御装置70に供給され、ステージ制御系90は、その計測値及び主制御装置70からの制御情報に基づいて、不図示の駆動系を介してウエハステージWSTの位置及び速度を制御する。
【0073】
次に、上述のようにして構成された投影露光装置10による基本的な露光動作の流れについて簡単に説明する。
先ず、主制御装置70の管理の下、不図示のレチクルローダ、ウエハローダによって、レチクルロード、ウエハロードが行なわれる。その後、レチクルアライメント系、ウエハステージWST上の基準マーク板、オフアクシス・アライメント検出系(いずれも図示省略)等を用いて、レチクルアライメント及びウエハアライメントが実行される。次に、先ず、ウエハWの位置が、ウエハW上の最初のショット領域(ファースト・ショット)の露光のための走査開始位置となるように、ウエハステージWSTが移動される。同時に、レチクルRの位置が走査開始位置となるように、レチクルステージRSTが移動される。そして、主制御装置70からの指示により、ステージ制御系90がレチクル干渉計69によって計測されたレチクルRの位置情報、及びウエハ側のY軸レーザ干渉計57Y及びX軸レーザ干渉計によって計測されたウエハWの位置情報に基づき、レチクルR(レチクルステージRST)とウエハW(ウエハステージWST)とをY方向(走査方向)に同期移動させて、露光光ILを照射することにより、ファースト・ショットへの走査露光が行なわれる。続いて、ウエハステージWSTが非走査方向(X方向)又はY方向に1ショット領域分だけステップ移動した後、次のショット領域に対する走査露光が行なわれる。このようにして、ショット間のステップ移動と走査露光とが順次繰り返されて、ウエハW上の各ショット領域にレチクルRのパターンが転写される。
【0074】
次に、本例のレチクルステージRSTをY方向及びθz方向に駆動するための図5の4軸のY軸リニアモータ76A,78A,76B,78Bの詳細な構成及び駆動系につき説明する。以下では、Y軸リニアモータ76A〜78Bは3相リニアモータであるとして、先ず第2及び第4のY軸リニアモータ78A,78Bの構成につき図7を参照して説明する。
【0075】
図7(A)は、図5の第2のY軸リニアモータ78Aの固定子ユニット138Aを示す平面図、図7(B)はY軸リニアモータ78Aの可動子ユニット28Aを示す平面図、図7(C)は図7(B)の側面図、図7(D)は図7(B)の正面図、図7(E)は可動子ユニット28Aの磁石によって発生する磁束密度BのY方向の分布(このピッチをPとする)をそれぞれ表している。なお、図7(B)は図7(C)のBB線に沿う断面図でもある。また、図7(A)〜(C)では、レチクルステージ本体22を簡略化して表している。
【0076】
図7(B)に示すように、Y軸リニアモータ78Aの可動子ユニット28Aは、Z方向に磁場を発生する永久磁石MNと、この永久磁石MNをZ方向に反転した永久磁石MSとをY方向に交互にピッチP/2(Pは磁束密度Bのピッチ)で、レチクルステージ本体22上に配置したものである。レチクルステージ本体22の永久磁石MN,MSが配置されている部分は、ヨークとしても作用している。また、図7(D)に示すように、第4のY軸リニアモータ78Bの可動子ユニット28Bは、第2のY軸リニアモータ78Aの可動子ユニット28Aの各永久磁石に対向するように、それぞれZ方向に反転した極性の永久磁石をY方向に配置して構成されている。
【0077】
次に、図7(A),(D)に示すように、第2のY軸リニアモータ78Aの固定子ユニット138Aは、磁界をX方向に横切る多数のコイルをY方向にピッチP1(=2P/3)で配列したものであり、第4のY軸リニアモータ78Bの固定子ユニット138Bも、固定子ユニット138Aと対称に構成されている。この場合、図7(E)のピッチPの磁束密度Bの分布は、可動子ユニット28Aによってその上の固定子ユニット138Aに発生する磁束密度を表しており、可動子ユニット28Bによってその下の固定子ユニット138Bに発生する磁束密度は、図7(E)とは極性が反転している(位相がπずれている)。そして、固定子ユニット138A及び138Bは、それぞれU相(0π)のコイルCU、V相(−2π/3又は+4π/3)のコイルCV、及びW相(+2π/3)のコイルCWを順次Y方向に配列したものである。なお、固定子ユニット138Aに作用する磁界と固定子ユニット138Bに作用する磁界とは極性が反転しているため、下方の固定子ユニット138Bのコイルには、上方の固定子ユニット138Aのコイルに対して逆方向に電流が供給される。
【0078】
図5における第1及び第3のY軸リニアモータ76A,76Bも、図7(D)の第2及び第4のY軸リニアモータ78A,78Bと同様に構成されている。
次に、図8は、第2のY軸リニアモータ78Aの固定子ユニット138Aの駆動系を示し、この図8において、固定子ユニット138Aの複数のU相コイルCUがU相コイル群196Uとしてスター結線され、複数のW相コイルCWがW相コイル群196Wとしてスター結線され、複数のV相コイルCVがV相コイル群196Vとしてスター結線され、これらのU相、W相、V相のコイル群196U,196W,196Vの一方の共通の端子はグランド端子Gに接続されている。なお、以下で説明する駆動系は、図1のステージ制御系90に組み込まれているものである。
【0079】
図8において、固定子ユニット138Aの各コイルに電流を供給するための制御部90Aが配置されており、制御部90A内にデジタル・シグナル・プロセッサよりなる電流値設定部190が配置されている。更に、コンピュータを含む外部のレチクルステージ制御部90RにX軸レーザ干渉計69X、及びY軸レーザ干渉計69YA,69YBの計測値が供給されている。レチクルステージ制御部90Rは、主制御装置70からの制御情報及びそれらのレーザ干渉計の計測値より、Y軸リニアモータ78Aによるレチクルステージ本体22のY方向の速度を所定周期で設定し、その速度指令を順次電流値設定部190に供給する。電流値設定部190は、その速度指令に応じてY軸リニアモータ78AのY方向の推力を算出し、算出された推力を得るためのU相、W相、V相のコイル群196U,196W,196Vの各コイルの電流値を算出し、算出した電流値に対応する電圧をそれぞれU相、W相、V相のアンプ191U,191W,191Vに出力する。アンプ191U,191W,191Vは、入力された電圧に対応する電流を出力する。
【0080】
この際に予め、レチクルステージ制御部90Rから電流値設定部190に対してU相、W相、V相のコイル群196U,196W,196Vに関する推力定数(単位電流当たりに発生する推力)の情報が供給されており、この推力定数に基づいて電流値設定部190は各コイル群の電流を算出する。また、制御部90Aには、駆動電流を出力すると共に、必要に応じて外部で発生する電圧が印加される3個の出力端子197U,197W,197Vと、外部の電圧計に接続するための3個の電圧計測端子193U,193W,193Vとが設けられている。また、出力端子197UをU相のアンプ191U又は電圧計測端子193Uの何れかに接続するための第1の切替スイッチ192Uと、出力端子197WをW相のアンプ191W又は電圧計測端子193Wの何れかに接続するための第2の切替スイッチ192Wと、出力端子197VをV相のアンプ191V又は電圧計測端子193Vの何れかに接続するための第3の切替スイッチ192Vとが設けられている。切替スイッチ192U,192W,192Vは、マニュアル方式で切り替えることができる。
【0081】
その3個の出力端子197U,197W,及び197Vは、それぞれU相、W相、V相のコイル群196U,196W,及び196Vの他方の共通の端子に接続されている。この場合、V相のコイル群196Vの各コイルと出力端子197Vとの間、U相のコイル群196Uの各コイルと出力端子197Uとの間、及びW相のコイル群196Wの各コイルと出力端子197Wとの間には、それぞれ電流の流れのオン・オフの切り替えを電子的に行うことができるスイッチング素子S01〜S09,S11〜S20,S21〜S30が接続され、出力端子197Vとグランド端子Gとの間には更に、スイッチング素子S01と同じスイッチング素子S10とダミーの抵抗138Rとが直列に接続されている。スイッチング素子S01〜S30のオン・オフの切り替えは電流値設定部190が行う。スイッチング素子S10は通常はオフ(遮断)にされている。
【0082】
図7(D)に示すように、本例のY軸リニアモータ78Aはムービングマグネット方式であるため、固定子ユニット138A中には可動子ユニット28Aと対向しておらず、推力の発生に寄与しないコイルが存在する。そこで、本例では図8のY軸レーザ干渉計69YA,69YBによって計測されたY方向の位置がレチクルステージ制御部90Rを介して電流値設定部190に供給されており、電流値設定部190は、そのY方向の位置(可動子ユニット28AのY座標)から推力の発生に寄与しないコイルを特定する。そして、電流値設定部190は、スイッチング素子S01〜S30の内で推力の発生に寄与しないコイルに接続されているスイッチング素子をオフ(遮断)にする。これによって、固定子ユニット138Aのコイルユニットにおける電流消費量を低減することができ、レチクルステージRST(レチクルR)の温度上昇を抑えることができる。
【0083】
なお、図5の第1のY軸リニアモータ76Aの固定子ユニット136A及びその制御部も、図8の第2のY軸リニアモータ78Aの固定子ユニット138A及びその制御部90Aと同様に構成され、固定子ユニット136Aの制御部もレチクルステージ制御部90Rに制御されている。
次に、図9は、第4のY軸リニアモータ78Bの固定子ユニット138Bの駆動系を示し、この図9において、固定子ユニット138B及びその制御部90Bは、図8の固定子ユニット138A及び制御部90Aとそれぞれ同様に構成されている。更に、図5の第2のY軸リニアモータ76Bの固定子ユニット136B及びその制御部も、図9の固定子ユニット138B及びその制御部90Bと同様に構成され、制御部90B中の電流値設定部190もレチクルステージ制御部90Rに制御されている。
【0084】
また、図9においては、電圧計測端子193U,193W,193Vに電圧計194が接続されている。電圧計194は、電圧計測端子193U,193W,193Vの電圧を所定タイミングで並列に計測し、計測データをデジタルデータとしてレチクルステージ制御部90Rに供給する。
次に、図5の4軸のY軸リニアモータ76A,78A,76B,78Bを駆動するための推力定数を補正する動作の一例につき図12のフローチャートを参照して説明する。この推力定数の補正動作は、例えば本例の投影露光装置の機構部の組立調整が終了した時点又はメンテナンス時などで実行される。
【0085】
先ず、図12のステップ201において、図8の第1及び第2のY軸リニアモータ76A,78A用の制御部90Aにおいて、例えばオペレータが切替スイッチ192U,192W,192VをそれぞれU相、W相、V相のアンプ191U,191W,191Vの出力端子が出力端子197U,197W,197Vに接続されるように設定する(図8の状態)。これによって、第1及び第2のY軸リニアモータ76A,78Aは、予めレチクルステージ制御部90Rから電流値設定部190に設定されている推力定数に基づいて駆動されることになる。
【0086】
図10は、図8の電流値設定部190に設定されている推力定数の一例を示し、この図10において、正弦波状の曲線CFU,CFV,CFWはそれぞれU相、V相、及びW相の推力定数(単位電流当たりに発生する推力)(N/A)を表している。この推力定数は、一例として図7(E)に示されている磁束密度Bの理論値に基づくものである。その磁束密度Bは、ピーク値をB0 として、次のようにレチクルステージ本体22のY方向の位置の関数で表すことができる。
【0087】
B=B0 sin(2πY/P) …(11)
図10の例では、ピッチPは約70mmである。そして、図10の曲線CFU,CFW,CFVで表されるU相、W相、及びV相の推力定数をFAU(Y),FAW(Y),FAV(Y)として、図8のU相、W相、V相のコイル群196U,196W,196Vに供給される電流IAu,IAw,IAvは次のように設定されるものとする。なお、位置Yは、図7(D)における固定子ユニット138Aに対する可動子ユニット28AのY方向の位置であり、電流のピーク値をI0 としている。
【0088】
IAu=I0 sin(2πY/P) …(12)
IAv=I0 sin(2πY/P−2π/3) …(13)
IAw=I0 sin(2πY/P+2π/3) …(14)
そして、図8の電流値設定部190では、U相、W相、V相のコイル群196U,196W,196Vで発生する全体の推力FAtを次式より計算する。
【0089】
FAt=FAU(Y)・IAu+FAW(Y)・IAw+FAV(Y)・IAv …(15)
そして、電流値設定部190は、(15)式の3相の全体の推力FAtが目標値の1/2に合致するように例えば電流のピーク値I0 を設定すればよい。なお、図5の2つの固定子ユニット136A,138Aで互いに等しい推力を発生することによって、全体の推力は目標値になる。
【0090】
図12のステップ201の初めに、更に図9の第3及び第4のY軸リニアモータ76B,78Bの制御部90Bにおいて、例えばオペレータが切替スイッチ192U,192W,192Vをそれぞれ出力端子197U,197W,197Vが電圧計測端子193U,193W,193Vに接続されるように設定する(図9の状態)。また、電圧計測端子193U,193W,193Vに電圧計194を接続し、電圧計194の計測値がレチクルステージ制御部90Rに取り込まれるようにする。電圧計194は、第3及び第4のY軸リニアモータ76B,78B用に2台用意される。これによって、第3及び第4のY軸リニアモータ76B,78Bは推力を発生しない状態に設定されると共に、Y軸リニアモータ76B,78BのU相、W相、V相のコイル群196U,196W,196Vで発生する逆起電力を電圧計194によって計測することができる。
【0091】
この状態で、図8の主制御装置70及びレチクルステージ制御部90Rの制御のもとで、図5の上方の第1及び第2のY軸リニアモータ76A,78Aを駆動して、レチクルステージRST(レチクルステージ本体22)をY方向に全ストロークでほぼ一定速度で駆動するとともに、同時にX軸ボイスコイルモータ79を駆動してレチクルステージRSTのX方向位置を一定に保つ。このようにレチクルステージRSTの駆動方向(Y方向)に対して交差する方向であるX方向に離れて対称に配置された1対のY軸リニアモータ76A,78A及びX軸ボイスコイルモータ79を用いてレチクルステージRSTを駆動することによって、レチクルステージRSTを回転の恐れなくY方向に直進させることができる。この動作と並行してステップ202で示すように、図9のレチクルステージ制御部90Rは、Y軸レーザ干渉計69YA,69YBの計測値と2台の電圧計194で計測される第3及び第4のY軸リニアモータ76B,78Bの3相のコイル群196U,196W,196Vで発生する逆起電力を所定のサンプリングレートで記憶部に順次取り込む。
【0092】
この場合、本例の図5の第3及び第4のY軸リニアモータ76B,78Bの固定子ユニット136B,138Bは、駆動回路と切り離されている。そのため、固定子ユニット136B,138Bに対して可動子ユニット26B,28Bが相対的にY方向に移動すると、図9において、固定子ユニット136B,138Bの3相のコイル群196U,196W,196Vの各コイルに、フレミングの右手の法則に従って逆起電力(誘導起電力)(V)が発生する。その逆起電力が本発明の起電力に対応している。その各コイルに発生する逆起電力は、電圧計測端子193U,193W,193Vを介して電圧計194で計測される。
【0093】
次のステップ203において、レチクルステージ制御部90R内の演算部は、第3及び第4のY軸リニアモータ76B,78Bの各相の推力定数を補正する。そのため、レチクルステージ制御部90R内の演算部は、ステップ202で所定のサンプリングレートで順次取り込んだY軸レーザ干渉計69YA,69YBのY座標の計測値の差分から、レチクルステージRSTのY方向の各位置Yi(i=1,2,3,…)でのレチクルステージRSTのY方向の速度VYiを算出する。
【0094】
この場合、リニアモータの各コイルに発生する逆起電力を、計測時点での可動子と固定子との相対移動速度で除算した値は、逆起電力定数(V・s/m)と呼ばれ、この逆起電力定数は各相の推力定数に等しいことが分かっている。そこで、レチクルステージ制御部90Rの演算部は、Y方向の各位置Yiで計測された第3のY軸リニアモータ76BのU相、W相、V相の逆起電力をそれぞれレチクルステージRSTの移動速度VYiで除算することによって、U相、W相、V相の逆起電力定数VBUi,VBWi,VBViを算出し、これら各相の逆起電力定数を各相の推力定数とする。この推力定数は、第3及び第4のY軸リニアモータ76B,78Bで互いに独立に算出される。
【0095】
図11は、このようにして算出された3相の逆起電力定数の一例を示し、曲線CVU,CVW,CVV上のデータがそれぞれ逆起電力定数VBUi,VBWi,VBViである。そして、レチクルステージ制御部90Rの演算部は、その逆起電力定数VBUi,VBWi,VBViを例えば補間によってY方向に所定間隔の一連の位置での値に直して得られる推力定数FBU(Y),FBW(Y),FBV(Y)を、図9の第3及び第4のY軸リニアモータ76B,78Bの制御部90Bの電流値設定部190に設定する。これで推力定数の補正が完了する。
【0096】
なお、図9の固定子ユニット138B(又は136B)のU相、W相、V相のコイル群196U,196W,196Vに供給される(12)式〜(14)式と同様の電流をそれぞれIBu,IBw,IBvとすると、補正後の推力定数FBU(Y),FBW(Y),FBV(Y)を用いて、Y軸リニアモータ78B(又は76B)全体としての推力FBtは(15)式と同様の次式から求めることができる。
【0097】
FBt=FBU(Y)・IBu+FBW(Y)・IBw+FBV(Y)・IBv …(16)
ここで(12)式〜(14式)における電流ピーク値Ioを1(単位電流)とすると、この推力FBtは、Y軸リニアモータ78B(又は76B)全体としての推力定数FB(Y)と等しくなる。この推力定数FB(Y)は、図11の曲線CVとして表されている。この曲線CVから分かるように、本来は一定であるはずの推力定数FB(Y)が位置Yによって僅かに変動している。これは、実測して補正された推力定数FBU(Y),FBW(Y),FBV(Y)が初めに設定されていた推力定数とは僅かに異なっていたことを意味する。
【0098】
そこで、次に第3及び第4のY軸リニアモータ76B,78Bを駆動する場合には、図9の電流値設定部190は、補正後の推力定数FBU(Y),FBW(Y),FBV(Y)、3相のコイル群に供給される電流IBu,IBw,IBvを(16)式に代入して得られる推力FBtが目標値となるように、3相の電流IBu,IBw,IBvを設定する。これによって、推力定数の実測値に基づいて可動子ユニット26B,28Bを目標とする推力で高精度に駆動することができる。
【0099】
次のステップ204において、図8の第1及び第2のY軸リニアモータ76A,78A用の制御部90Aにおいて、例えばオペレータが切替スイッチ192U,192W,192Vをそれぞれ出力端子197U,197W,197Vが電圧計測端子193U,193W,193Vに接続されるように設定する。また、電圧計測端子193U,193W,193Vに図9の電圧計194を接続し、電圧計194の計測値がレチクルステージ制御部90Rに取り込まれるようにする。電圧計194は、第1及び第2のY軸リニアモータ76A,78A用に2台用意される。これによって、第1及び第2のY軸リニアモータ76A,78Aは推力を発生しない状態に設定されると共に、Y軸リニアモータ76A,78AのU相、W相、V相のコイル群196U,196W,196Vで発生する逆起電力を電圧計194によって計測することができる。
【0100】
更に、図9の第3及び第4のY軸リニアモータ76B,78Bの制御部90Bにおいて、例えばオペレータが切替スイッチ192U,192W,192VをそれぞれU相、W相、V相のアンプ191U,191W,191Vの出力端子が出力端子197U,197W,197Vに接続されるように設定する。これによって、第3及び第4のY軸リニアモータ76B,78Bは、ステップ203で補正された推力定数及び上記の(16)式に基づいて駆動されることになる。
【0101】
この状態で、図9の主制御装置70及びレチクルステージ制御部90Rの制御のもとで、図5の下方の第3及び第4のY軸リニアモータ76B,78Bを駆動して、レチクルステージRST(レチクルステージ本体22)をY方向に全ストロークでほぼ一定速度で駆動する。この動作と並行してステップ205で示すように、図8のレチクルステージ制御部90Rは、Y軸レーザ干渉計69YA,69YBの計測値と、2台の電圧計194で計測される第1及び第2のY軸リニアモータ76B,78Bの3相のコイル群196U,196W,196Vで発生する逆起電力とを所定のサンプリングレートで記憶部に順次取り込む。
【0102】
次のステップ206において、レチクルステージ制御部90Rは、ステップ203と同様にして第1及び第2のY軸リニアモータ76A,78Aの各相の推力定数を補正する。補正後の推力定数は、図8の第1及び第2のY軸リニアモータ76A,78Aの制御部90Aの電流値設定部190に設定される。次に第1及び第2のY軸リニアモータ76A,78Aを駆動する場合には、図8の電流値設定部190は、補正後の推力定数FAU(Y),FAW(Y),FAV(Y)と、3相のコイル群に供給される電流IAu,IAw,IAvとを(15)式に代入して得られる推力FAtが目標値となるように、3相の電流IAu,IAw,IAvを設定する。これによって、推力定数の実測値に基づいて可動子ユニット26A,28Aを目標とする推力で高精度に駆動することができる。
【0103】
この結果、図5の4軸のY軸リニアモータ76A,78A,76B,78Bの推力定数を、実際の露光工程で使用される投影露光装置に装着した状態で計測した逆起電力に基づいて正確に補正できたことになる。従って、Y軸リニアモータ76A,78A,76B,78Bの取り付け誤差等に起因する推力誤差が補正されるため、位置決め性や等速性を向上させることができる。
【0104】
次のステップ207において、例えばオペレータが、図8の第1及び第2のY軸リニアモータ76A,78Aの制御部90Aにおいて、切替スイッチ192U,192W,192VをそれぞれU相、W相、V相のアンプ191U,191W,191Vの出力端子が出力端子197U,197W,197Vに接続されるように設定する。これ以降は、4軸のY軸リニアモータ76A,78A,76B,78Bは補正後の推力定数を用いて同期して駆動することができる。
【0105】
そこで、一例として図8の主制御装置70及びレチクルステージ制御部90Rの制御のもとで、図5の4軸のY軸リニアモータ76A,78A,76B,78Bを同期して駆動することによって、レチクルステージRSTをY方向及びθz方向に駆動して、レチクルステージRSTをレチクルロード位置に移動する。その後、ステップ208において通常の露光工程が実行される。この露光工程では、図5の4軸のY軸リニアモータ76A,78A,76B,78Bは補正後の推力定数を用いて駆動されるため、レチクルステージRST(レチクルR)を所望の推力で高精度に駆動することができる。
【0106】
但し、本例では、別途、電圧計194を用意して、逆起電力の計測時に制御部90A,90Bの切替スイッチ192U,192W,192Vの切り替えや配線の接続を行う必要がある。しかしながら、装置本体に電圧計を常備する必要が無く、装置全体のコストが上昇しないという利点がある。
また、上記の逆起電力の計測値から推力定数を求めるためのソフトウェア(プログラム)は、レチクルステージ制御部90R内に記憶されている。その他に、その逆起電力の計測値から推力定数を求める動作を外部のコンピュータで実行し、求められた推力定数をオペレータがレチクルステージ制御部90Rに書き込むようにしてもよい。
【0107】
上述のように、本例の図7に示すY軸リニアモータ78A,78Bの固定子ユニット138A,138Bは、配列ピッチP1が2P/3の複数のコイルより構成されている。その変形例として、図7に対応する部分に同一又は類似の符号を付した図13に示すように、その固定子ユニットを構成する複数のコイルをより小さいピッチで配置してもよい。
【0108】
図13(A)は、その変形例のY軸リニアモータ78Aの固定子ユニット198Aを示す平面図、図13(B)はそのY軸リニアモータ78Aの可動子ユニット28Aを示す平面図、図13(C)は図13(B)の側面図、図13(D)は図13(B)の正面図、図13(E)は可動子ユニット28Aの磁石によって発生する磁束密度B(ピッチP)のY方向の分布をそれぞれ表している。
【0109】
図13(D)に示すように、この変形例の1対のY軸リニアモータ78A及び78Bは、それぞれ固定子ユニット198A及び198Bと、可動子ユニット28A及び28Bとを有し、可動子ユニット28A,28Bの構成は図7の例と同様である。一方、上方の固定子ユニット198Aは、3層のコイルユニットを磁界の方向(Z方向)に重ねて構成され、第1層目のコイルユニットは、Z方向の磁界をX方向に横切るU相(0π)のコイルCU、V相(−2π/3)のコイルCV、W相(+2π/3)のコイルCWをY方向にピッチP1(=2P/3)で順次配列したものである。また、第2層目のコイルユニットは、第1層目のコイルCU,CV,CW,…をそれぞれP2(=P/6)だけY方向にずらしたコイルCV1(V相),CW1(W相),CU1(U相),…から構成され、第3層目のコイルユニットは、第2層目のコイルCV1,CW1,CU1,…を更にそれぞれP2(=P/6)だけY方向にずらしたコイルCW2(W相),CU2(U相),CV2(V相),…から構成されている。
【0110】
この場合、第2層目のコイルCV1,CW1,CU1は、機械的な位相はそれぞれπ/3、5π/3、π/2であるため、電流の方向を逆にすることによってV相、W相、U相となる。従って、固定子ユニット198AのU相、W相、V相のコイル群は、図8の駆動系と同様の回路で駆動することができる。
また、図13(D)に示すように、下方の固定子ユニット198Bは、上方の固定子ユニット198Aと同様の3層のコイルユニットより構成されており、これらのコイルユニットもU相、V相、W相のコイル群に分けることができる。従って、固定子ユニット198Bは、図9の駆動系と同様の回路で駆動することができる。
【0111】
また、上記の実施形態では、3相のリニアモータが使用されているが、2相又は4相等のリニアモータも使用することができる。更に、上記の実施形態では、レチクルステージRSTを駆動するためにムービングマグネット方式のリニアモータが使用されているが、ムービングコイル方式のリニアモータも使用することができる。
【0112】
次に、本発明の第2の実施形態につき図14を参照して説明する。本例は、図8の制御部90A中に電圧計を備えたものであり、図14において図8に対応する部分には同一符号を付してその詳細説明を省略する。
図14は、本例の第2のY軸リニアモータ78A(図5参照)の固定子ユニット138Aの駆動系を示し、この図14において、図8のマニュアル方式の切替スイッチ192U,192W,192Vの代わりに、主制御装置70からの制御信号によって切り替え可能なスイッチング素子195U,195W,195Vが設けられている。また、制御部90A内には電圧計194が設置され、スイッチング素子195U,195W,195Vのそれぞれの一つの出力部が電圧計194の計測信号入力部に接続されている。電圧計194は、3つの計測信号入力部の電圧を並列に所定のサンプリングレートで取り込み、計測データをデジタルデータとしてレチクルステージ制御部90Rに供給する機能を備えている。これ以外の構成は図8の例と同様である。
【0113】
図14の実施形態では、Y軸リニアモータ78Aを駆動する際には、スイッチング素子195U,195W,195Vを、U相、W相、V相のアンプ191U,191W,191Vの出力部がそれぞれ出力端子197U,197W,197Vに接続されるように設定する。一方、固定子ユニット138Aの3相のコイル群の逆起電力を計測する際には、スイッチング素子195U,195W,195Vを、出力端子197U,197W,197Vがそれぞれ電圧計194の計測信号入力部に接続されるように設定する。これによって、例えば露光工程の途中であっても、自動的に固定子ユニット138Aの3相のコイル群の逆起電力を計測して、推力定数の補正を行うことができる。
【0114】
このように本例では、最初から電圧計194が制御部90Aに組み込まれているため、特別な工具無しで、いつでも推力定数を測定でき、例えば、長期的なリニアモータの経時変化をモニタしたい場合に有効である。また、例えば露光中に推力異常やその他の異常が検出された場合、即座に、コイルの絶縁破壊、断線等のリニアモータの故障の有無が検出できるという利点もある。
【0115】
次に、本発明の第3の実施形態につき図15を参照して説明する。本例は、所定のガイドに沿ってステージを駆動する場合に本発明を適用したものである。
図15は、本例のステージ装置の要部を示す斜視図であり、この図15において、定盤よりなるベース301の表面の直交する2方向にX軸及びY軸を取って説明する。ベース301上にY方向に沿ってY軸ガイド302が設置され、Y軸ガイド302に沿ってY方向に移動自在にスライダ304が配置され、スライダ304にテーブル303が固定され、テーブル303の中央部にホルダ305を介してレチクルなどの移動対象物306が保持されている。ホルダ305の中央部及びテーブル303の対応する部分には、例えば移動対象物306を透過した光を通すための開口が形成されており、ベース301にもその光を通すための開口301aが形成されている。
【0116】
また、Y軸ガイド302をX方向に挟むように、それぞれY軸に平行に磁石ユニットを含む固定子308A及び308Bが配置され、固定子308A及び308Bは不図示の保持部材によってベース301に固定されている。そして、固定子308A及び308Bにはそれぞれコイルユニットを含む可動子307A及び307BがY方向に相対移動自在に連結され、可動子307A及び307Bはテーブル303の底面に固定されている。この場合、可動子307A及び固定子308Aより第1のY軸リニアモータ309Aが構成され、可動子307B及び固定子308Bより第2のY軸リニアモータ309Bが構成されている。更に、ホルダ305に設けられた移動鏡310に外部のレーザ干渉計311から計測用のレーザビームを照射することによって、テーブル303のY方向の位置が計測され、この計測値に基づいてY軸リニアモータ309A,309Bが駆動される。
【0117】
本例のテーブル303(第2部材)は、ベース301(第1部材)に対してY軸ガイド302に沿ってY方向に1自由度で移動すると共に、ベース301に対してテーブル303をY方向に駆動するための駆動装置として、X方向に離れた2軸のY軸リニアモータ309A及び309Bが設けられている。従って、移動の自由度に比べて駆動装置の軸数が1だけ多いため、例えば第1のY軸リニアモータ309Aのみでテーブル303をY方向に駆動して、第2のY軸リニアモータ309Bは推力を発生しない状態に設定して、可動子307B内のコイル群で発生する逆起電力を計測することができる。これによって第2のY軸リニアモータ309Bの推力定数を補正することができる。同様に、第2のY軸リニアモータ309Bのみでテーブル303を駆動して、第1のY軸リニアモータ309Aの可動子307A内のコイル群で発生する逆起電力を計測することで、第1のY軸リニアモータ309Aの推力定数を補正することができる。
【0118】
本例では、片側のリニアモータ(309A又は309B)だけでもテーブル303のY方向への移動は可能であるが、位置決め性能や等速性は2軸のY軸リニアモータ309A,309Bで動かした場合に比べて劣る。しかし、ステージ装置としての最高速度で動かさなくても、逆起電力測定には何ら問題がないため、異常な機械共振やその他不具合を発生させない程度にステージ速度を遅くすることによって、コイルに発生する逆起電力は測定でき、第1の実施形態と同様に推力定数を補正することができる。これにより、位置決め性能や等速性を向上させることができる。
【0119】
なお、上記の実施の形態の投影露光装置は、複数のレンズから構成される照明光学系、投影光学系を露光装置本体に組み込み光学調整をして、多数の機械部品からなるレチクルステージやウエハステージを露光装置本体に取り付けて配線や配管を接続し、更に総合調整(電気調整、動作確認等)をすることにより製造することができる。なお、その露光装置の製造は温度及びクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0120】
また、上記の実施の形態の投影露光装置を用いて半導体デバイスを製造する場合、この半導体デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、このステップに基づいてレチクルを製造するステップ、シリコン材料からウエハを形成するステップ、上記の実施の形態の投影露光装置によりアライメントを行ってレチクルのパターンをウエハに露光するステップ、エッチング等の回路パターンを形成するステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、及び検査ステップ等を経て製造される。
【0121】
なお、本発明は、露光装置のレチクルステージのみならず、ウエハステージにも適用することができる。また、本発明は、走査露光型の露光装置のみならず、一括露光型の露光装置のレチクルステージやウエハステージにも適用することができる。また、本発明の露光装置の用途としては半導体デバイス製造用の露光装置に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに形成される液晶表示素子、若しくはプラズマディスプレイ等のディスプレイ装置用の露光装置や、撮像素子(CCD等)、マイクロマシーン、薄膜磁気ヘッド、及びDNAチップ等の各種デバイスを製造するための露光装置にも広く適用できる。更に、本発明は、各種デバイスのマスクパターンが形成されたマスク(フォトマスク、レチクル等)をフォトリソグフィ工程を用いて製造する際の、露光工程(露光装置)にも適用することができる。
【0122】
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得ることは勿論である。
【0123】
【発明の効果】
本発明によれば、推力を発生していない駆動装置の起電力を検出しているため、その駆動装置の駆動性能を向上することができ、移動対象の部材を高精度に駆動することができる。
また、本発明を露光装置に適用することによって、各種デバイスを高精度に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態の投影露光装置の概略構成を示す一部を切り欠いた図である。
【図2】 図1の枠状部材18及びレチクルステージRSTの構成を示す斜視図である。
【図3】 図1のレチクルステージRST、枠状部材18、及びレチクルベース16の構成を示す分解斜視図である。
【図4】 (A)は図1のレチクルステージRSTを示す斜視図、(B)はレチクルステージRSTをY方向に見た断面図である。
【図5】 図1の照明系側プレート14、レチクルステージRST、及びレチクルベース16をY方向に見た断面図である。
【図6】 図1の照明系側プレート14、レチクルステージRST、及びレチクルベース16の要部をX方向に見た断面図である。
【図7】 図5のY軸リニアモータ78A,78Bの固定子ユニット138A,138B及び可動子ユニット28A,28Bの構成を示す図である。
【図8】 図7の一方の固定子ユニット138Aの駆動系を示す図である。
【図9】 図7の他方の固定子ユニット138Bの駆動系を示す図である。
【図10】 図7のY軸リニアモータ78Aの推力定数の一例を示す図である。
【図11】 図7のY軸リニアモータ78Bの逆起電力定数の一例を示す図である。
【図12】 本発明の第1の実施形態でリニアモータの推力定数を補正するための動作の一例を示すフローチャートである。
【図13】 図7のY軸リニアモータ78A,78Bの固定子ユニットの変形例を示す図である。
【図14】 本発明の第2の実施形態のリニアモータの固定子ユニット138Aの駆動系を示す図である。
【図15】 本発明の第3の実施形態のステージ装置の要部を示す斜視図である。
【符号の説明】
RST…レチクルステージ、R…レチクル、16…レチクルベース、18…枠状部材、76A,78A,76B,78B…Y軸リニアモータ、136A,138A,136B,138B…固定子ユニット、26A,28A,26B,28B…可動子ユニット、69YA,69YB…Y軸レーザ干渉計、90R…レチクルステージ制御部、90A,90B…制御部、190…電流値設定部、192U,192W,192V…切替スイッチ、193U,193W,193V…電圧計測端子、194…電圧計、196U,196W,196V…コイル群
Claims (7)
- 第1部材と、
前記第1部材に対して案内面に沿って少なくとも一方向に相対的に移動するとともに、前記案内面内で回転移動可能な第2部材と、
前記一方向に電磁力による推力を発生して前記第2部材を前記第1部材に対して前記一方向に相対的に駆動する第1の一対の駆動装置と、前記第2部材に関して前記第1の一対の駆動装置と対向するように配置され、前記一方向に電磁力による推力を発生して前記第2部材を前記第1部材に対して相対的に駆動する第2の一対の駆動装置と、を含む複数の駆動装置と、
前記第1の一対の駆動装置を介して前記第1部材に対して前記一方向に前記第2部材を駆動したときに、前記推力を発生していない前記第2の一対の駆動装置に生じる起電力を検出する検出装置と、
前記第1の一対の駆動装置によって前記第2部材を前記回転移動を拘束しつつ前記一方向に駆動するとともに前記検出装置の検出結果を取得し、前記検出結果に基づいて前記第2の一対の駆動装置が発生する前記推力を補正する制御装置と、を有することを特徴とするステージ装置。 - 前記第1部材に対する前記第2部材の相対的な駆動の自由度はN(Nは2以上の整数)であり、
前記第1部材に対して自由度Nで前記第2部材を相対的に駆動する複数の駆動装置の個数は少なくとも(N+2)であることを特徴とする請求項1に記載のステージ装置。 - 前記第1の一対の駆動装置は、前記第2部材に関して前記案内面の前記一方向に交差する方向に配置されたことを特徴とする請求項1または2に記載のステージ装置。
- 前記第2部材の位置を計測する位置計測装置を備え、
前記制御装置は、前記位置計測装置によって求められた前記第2部材の移動速度と前記検出装置が検出する起電力とに基づいて、前記第2の一対の駆動装置が発生する推力を補正することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のステージ装置。 - 前記第1の一対の駆動装置および前記第2の一対の駆動装置のそれぞれの駆動装置のうちの推力を発生する一対の駆動装置と、推力を発生しない他の一対の駆動装置とは互いに切替可能であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のステージ装置。
- 請求項1〜5の何れか一項に記載のステージ装置の駆動方法であって、
前記第1の一対の駆動装置が発生する前記推力により前記第2部材を前記回転移動を拘束しつつ前記一方向に駆動したときに、前記推力を発生していない前記第2の一対の駆動装置に生じる起電力を検出する第1ステップと、
前記第1ステップで検出された起電力に基づいて、前記第2の一対の駆動装置が発生する推力の補正値を求める第2ステップと、
前記第2ステップで求められた補正値を用いて前記第2の一対の駆動装置が発生する推力を補正して前記第2部材を駆動する第3ステップとを有することを特徴とするステージ装置の駆動方法。 - 露光ビームで第1物体を照明し、前記露光ビームで前記第1物体を介して第2物体を露光する露光装置において、
前記第1物体及び第2物体の少なくも一方を駆動するために請求項1〜5の何れか一項に記載のステージ装置を用いることを特徴とする露光装置。
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