JP4487093B2 - 磁気センサ - Google Patents

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Description

本発明は、可動被検出物の移動量、位置、角度などの変位量の検出を行う磁気センサに関するものであって、特に、磁気抵抗素子の配置によって、検出された実際の出力信号の基本波成分に重畳する高調波成分をキャンセルすることが可能な磁気センサに関するものである。
従来より、可動被検出物の変位量を検出するセンサとして磁気センサがある。この磁気センサの一態様としては、例えば、可動被検出物に一定のピッチで着磁された多極着磁層を形成し、この多極着磁層に対向して磁気センサを配設し、この磁気センサに多極着磁のピッチよりも狭いピッチで4個の磁気抵抗素子を配置し、可動被検出物の回転に起因して変化する磁気抵抗素子の抵抗値を検知することによって変位量を検出する、というものである。
かかる磁気センサでは、可動被検出物の位置を検出するに際し、可動被検出物の変位に対応して設けられたA相センサとB相センサから出力される正弦波状の信号(sinθ及びcosθ)を取得して、次式により算出された両信号の逆正接信号を利用することによって変位量を検出している。
Figure 0004487093
従って、A相センサとB相センサから出力される正弦波状のA相信号とB相信号の奇麗さは、磁気スケール(磁気センサ)の精度と密接な関連があり、磁気センサの精度向上のためには、磁気抵抗変化の飽和に起因した歪みなどの影響が少ない滑らかな信号を得ることが求められる。
近年、磁気センサからの出力信号は、一般的に、基本波成分と、その基本波成分に重畳した高調波成分と、から形成されていることを利用し、2組のセンサパターンによって取り除きたい高調波を打ち消そうとする技術がある(例えば特許文献1参照)。
特許文献1に開示された発明によれば、多極着磁層に対向して配設された磁気センサに磁気抵抗素子を配置するにあたって、互いに所定の間隔を保って平行に並ぶようにすることで、磁気抵抗変化の飽和に起因した少なくとも1つの奇数高調波成分を逆相で打ち消すことができ、ひいては滑らかな正弦波出力信号を得ることが可能になる。
より具体的には、図10において、ピッチλで着磁された磁気スケール200と対向して配設された磁気センサ100に、磁気抵抗素子R101〜R104を、図示する間隔で並べて配置することによって、第3次高調波及び第5次高調波を打ち消すことができる。
特許第2529960号公報(第10図)
しかしながら、上記特許文献1記載の発明では、第3次高調波と第5次高調波を打ち消すにあたって、いずれの高調波に対しても、同じ本数(図10においては2本ずつ)の磁気抵抗素子の配置により行っているが、これでは以下のような問題が生ずる。
まず、熱特性の均一化の問題が生ずる。すなわち、図10において、第5次高調波を打ち消すためには、R101とR103との間隔、R102とR104との間隔、をそれぞれ(λ/2+λ/10)空ける必要があるが、この間隔が原因で、磁気抵抗素子R101〜R104の熱特性を均一化することができないという問題が生ずる。これは、例えば図10において、3本以上の複数本ずつの磁気抵抗素子の配置により、磁気抵抗素子間の間隔を狭くすることで解消する問題であるとも考えられる。しかし、第3次高調波及び第5次高調波を、それぞれ3本以上の同じ本数の磁気抵抗素子で打ち消すとなると、磁気抵抗素子間の間隔が極めて狭くなる場合があり、ひいては製造が困難になって製造コストの上昇に繋がるおそれがある。
一方で、3本以上の複数本の磁気抵抗素子の配置により第3次高調波及び第5次高調波を打ち消した場合には、複数本の磁気抵抗素子から得られる出力信号の相互干渉によって、第7次高調波や第9次高調波などの予期しない高調波が打ち消され、更なる識別精度向上に寄与することができる。しかし、上記特許文献1記載の発明では、各高調波を打ち消す磁気抵抗素子の本数が一定であることから、全体として磁気抵抗素子間の間隔が極めて狭くなり、ひいては製造が困難になって製造コストの上昇に繋がってしまうという問題が生ずる。
このように、熱特性の均一化と識別精度の向上を図る観点から、各高調波を打ち消す磁気抵抗素子の本数は増やした方が望ましいが、上記特許文献1記載の発明では、各高調波を打ち消す磁気抵抗素子の本数が一定であることから、結果として、磁気抵抗素子の本数を増やすと製造が困難になって製造コストが上昇してしまっていた。
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、その目的は、磁気抵抗素子間の間隔を柔軟に調整しつつ、製造困難とならない程度に各高調波を打ち消す磁気抵抗素子の本数を増やすことができ、ひいては熱特性の均一化と識別精度の向上を図ることが可能な磁気センサを提供することにある。
以上のような課題を解決するために、本発明は、磁気スケールの磁界を検出する磁気抵抗素子が配置されて形成された磁気抵抗パターンを有する磁気センサにおいて、その磁気抵抗パターンの出力信号の基本波成分に重畳する高調波成分を取り除く磁気抵抗素子の本数をLとしたとき、そのL本の磁気抵抗素子は、所定の間隔Pで配置されることを特徴とする。
より具体的には、本発明は、以下のものを提供する。
(1) 磁気スケールの磁界を検出するため、磁気抵抗体薄膜からなる磁気抵抗素子が所定の間隔で基板上に配置されて形成された磁気抵抗パターンを有する磁気センサにおいて、前記磁気抵抗パターンの出力信号の基本波成分に重畳する高調波成分を取り除く前記磁気抵抗素子の本数をLとしたとき、前記L本の前記磁気抵抗素子は、下式により算出された間隔Pで、その磁気スケールの相対移動方向に順々に配置されることを特徴とする磁気センサ。
P=nλ/mL
m:取り除く高調波成分の次数、λ:出力信号の基本波成分の波長
n:自然数
本発明によれば、磁気抵抗体薄膜からなる磁気抵抗素子が所定の間隔で基板上に配置されて形成された磁気抵抗パターンを有する磁気センサにおいて、その磁気抵抗パターンの出力信号となる変位検出信号の基本波成分に重畳する高調波成分を取り除く磁気抵抗素子の本数をLとしたとき、そのL本の磁気抵抗素子は、P=nλ/mL(m:取り除く高調波成分の次数、λ:出力信号の基本波成分の波長、n:自然数)の計算式によって算出された間隔Pで、その磁気スケールの相対移動方向に(磁気抵抗素子の長手方向と略直交する方向に)順々に配置されることとしたから、L本の磁気抵抗素子から得られる変位検出信号の重ね合わせ(和)によって、第m次高調波を取り除くことができ、ひいては識別精度を向上させることができる。
また、従来技術のように各高調波を打ち消す磁気抵抗素子の本数を一定にする必要はなく、各高調波を打ち消す磁気抵抗素子の本数を柔軟に変更し、磁気抵抗素子間の間隔を柔軟に調整することができるので、製造困難とならない程度に各高調波を打ち消す磁気抵抗素子の本数を増やすことができ、ひいては熱特性の均一化を図ることができる。
(2) 磁気スケールの磁界を検出するため、磁気抵抗体薄膜からなる磁気抵抗素子が所定の間隔で基板上に配置されて形成された磁気抵抗パターンを有する磁気センサにおいて、前記磁気抵抗パターンの出力信号の基本波成分に重畳する複数の高調波成分のうち、1の奇数次高調波成分を取り除く前記磁気抵抗素子の本数をL、その1の奇数次高調波成分以外の1の奇数次高調波成分を取り除く前記磁気抵抗素子の本数をL (L1≠L2)としたとき、前記L本の前記磁気抵抗素子は、下式により算出された間隔Pで、その磁気スケールの相対移動方向に順々に配置され、前記磁気抵抗パターンは、前記L本の前記磁気抵抗素子を、相対的に、下式により算出された間隔Pで、その磁気スケールの相対移動方向に順々に前記L組配置することによって形成されることを特徴とする磁気センサ。
=nλ/mL
=nλ/mL
m:取り除く高調波成分の次数、λ:出力信号の基本波成分の波長
n:自然数
本発明によれば、磁気スケールの磁界を検出する磁気センサにおいて、磁気抵抗パターンの出力信号の基本波成分に重畳する複数の高調波成分のうち、1の高調波成分を取り除く磁気抵抗素子の本数をLとし、その1の高調波成分以外の1の高調波成分を取り除く磁気抵抗素子の本数をLとしたとき、L本の磁気抵抗素子は、P=nλ/mL(m:取り除く高調波成分の次数、λ:出力信号の基本波成分の波長、n:自然数)の計算式によって算出された間隔Pで、その磁気スケールの相対移動方向に(磁気抵抗素子の長手方向と略直交する方向に)順々に配置されるとともに、磁気抵抗パターンは、それらのL本の磁気抵抗素子を、相対的に、P=nλ/mL(m:取り除く高調波成分の次数、λ:出力信号の基本波成分の波長、n:自然数)の計算式によって算出された間隔Pで、その磁気スケールの相対移動方向に順々にL組配置することによって形成されることとしたから、L本の磁気抵抗素子によって1の高調波成分を取り消し、また、それらのL本の磁気抵抗素子をL組配置することによって、その1の高調波成分以外の1の高調波成分を取り消すことができる。
従って、合計(L×L)本の磁気抵抗素子から得られる変位検出信号の重ね合わせによって複数の高調波成分を取り除くことができ、ひいては識別精度を向上させることができる。
(3) 磁気スケールの磁界を検出するため、磁気抵抗体薄膜からなる磁気抵抗素子が所定の間隔で基板上に配置されて形成された磁気抵抗パターンを備えた磁気センサにおいて、前記磁気抵抗パターンからの出力信号の基本波成分に対する少なくとも2以上の高調波成分を取り除くため、下式のように設定された前記磁気抵抗素子の間隔Pが組み合わされて前記磁気抵抗パターンが形成されたことを特徴とする磁気センサ。
P=nλ/mL
m:取り除く高調波成分の次数、λ:出力信号の基本波成分の波長
L:次数mの高調波成分を取り除くための磁気抵抗素子の本数(但し、L≠2なるLを少なくとも1つ含む)
n:自然数
本発明によれば、磁気センサにおいて、上述した磁気抵抗パターンの出力信号の基本波成分に対する少なくとも2以上の高調波成分を取り除くため、P=nλ/mL(m:取り除く高調波成分の次数、λ:出力信号の基本波成分の波長、n:自然数)の計算式によって算出された間隔Pが組み合わされて磁気抵抗パターンが形成されることとしたから、L本の磁気抵抗素子の組み合わせによって複数の高調波成分を一度に打ち消すことができ、ひいては識別精度を向上させることができる。
(4)前記磁気抵抗パターンは、下式により算出された間隔P'で、その磁気スケールの相対移動方向に2組配置されて電気的に直列接続されるとともに、2組の前記磁気抵抗パターンの電気的な接点から出力信号を取り出すことを特徴とする磁気センサ。
P'=nλ/m'
m':取り除く偶数次高調波成分の次数、λ:出力信号の基本波成分の波長
n:自然数
本発明によれば、上述した磁気抵抗パターン、すなわち、L本の磁気抵抗素子が間隔Pで配置されるとともに、それらのL本の磁気抵抗素子を、相対的に、間隔PでL組配置することによって形成された磁気抵抗パターンは、P'=nλ/m(m:取り除く高調波成分の次数、λ:出力信号の基本波成分の波長、n:自然数)の式により算出された間隔P'で、その磁気スケールの相対移動方向に2組配置されて電気的に直列接続されるとともに、2組の磁気抵抗パターンの電気的な接点から出力信号を取り出すこととしたから、合計{(L×L)×2}本の磁気抵抗素子から得られる変位検出信号の和及び差によって複数の高調波成分を取り除くことができ、ひいては識別精度を向上させることができる。
また、本発明によれば、数多くの磁気抵抗素子から得られる変位検出信号の和及び差によって高調波成分を取り除くことにしたから、それらの変位検出信号の相互干渉によって高次高調波成分が打ち消され、更なる識別精度向上に寄与することができる。
(5) 前記磁気抵抗パターンは、下式により算出された間隔P'で、その磁気スケールの相対移動方向に2組配置されて、電気的に並列接続されるとともに、2組の前記磁気抵抗パターンのそれぞれの対称点から出力信号を取り出すことを特徴とする磁気センサ。
P'=nλ/m'
m':取り除く偶数次高調波成分の次数、λ:出力信号の基本波成分の波長
n:自然数
本発明によれば、上述した磁気抵抗パターン、すなわち、L本の磁気抵抗素子が間隔Pで配置されるとともに、それらのL本の磁気抵抗素子を、相対的に、間隔PでL組配置することによって形成された磁気抵抗パターンは、P'=nλ/m(m:取り除く高調波成分の次数、λ:出力信号の基本波成分の波長、n:自然数)の式により算出された間隔P'で、その磁気スケールの相対移動方向に2組配置されて、電気的に並列接続されるとともに、2組の磁気抵抗パターンのそれぞれの対称点から出力信号を取り出すこととしたから、合計{(L×L)×2}本の磁気抵抗素子から得られる変位検出信号の和及び差によって複数の高調波成分を取り除くことができ、ひいては識別精度を向上させることができる。
ここで、2組の磁気抵抗パターンの「対称点」とは、合計L本が直列接続された磁気抵抗素子のうち、直列接続された一方の(L/2)本の磁気抵抗素子と、直列接続された他方の(L/2)本の磁気抵抗素子と、の電気的な接続点をいう。
(6) 磁気スケールの磁界を検出するため、磁気抵抗体薄膜からなる磁気抵抗素子が所定の間隔で基板上に配置されて形成された磁気抵抗パターンを有する磁気センサにおいて、前記磁気抵抗パターンの出力信号の基本波成分に重畳する高調波成分を取り除くため、その磁気スケールの相対移動方向における前記磁気抵抗素子の幅を、下式により算出された幅Wとすることを特徴とする磁気センサ。
W=nλ/m
m:取り除く高調波成分の次数、λ:出力信号の基本波成分の波長
n:自然数
本発明によれば、磁気スケールの磁界を検出する磁気センサにおいて、磁気抵抗パターンの出力信号の基本波成分に重畳する高調波成分を取り除くため、その磁気スケールの相対移動方向における前記磁気抵抗素子の幅を、W=nλ/m(m:取り除く高調波成分の次数、λ:出力信号の基本波成分の波長、n:自然数)の計算式によって算出された幅Wとすることとしたから、上述したL本の磁気抵抗素子を、1本の磁気抵抗素子によって代用することができる。
従って、高調波成分の打ち消しを1本の磁気抵抗素子で実現することによって、高調波を取り除いて識別精度を向上させるとともに、構造を簡略化することができる。
本発明に係る磁気センサは、以上説明したように、磁気抵抗素子間の間隔を柔軟に調整しつつ各高調波成分を打ち消すことが可能なので、製造困難とならない程度に磁気抵抗素子の本数を増やし、識別精度の向上に資することができるのみならず、熱特性の均一化に資することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
[概略構造]
図1は、本発明の実施の形態に係る磁気センサ1の概略構造を示す図である。
図1において、まず、磁気センサ1から出力される変位検出信号の波形位相を決定づけることになる磁気センサ1と、被検出体の磁気スケール2と、の対向配置関係について説明する。
図1において、磁気スケール2には、N極とS極がピッチλで交互に配列された着磁磁石が設けられている。すなわち、N極からN極までのピッチ及びS極からS極までのピッチは共にλとなっている。これに対し、磁気センサ1には、4個の磁気抵抗R〜Rが、この順で、隣の磁気抵抗とのピッチがλ/4,λ/4,λ/4の間隔となるように、互いに並列に配置されている。
そして、磁気抵抗R〜Rのそれぞれの一方の端子には、電源ライン3を介してバイアス電圧源Vccが接続されている。一方で、磁気抵抗R〜Rのそれぞれの他方の端子からは、各変位検出信号が出力されることとなる。すなわち、磁気抵抗Rからは+a相信号、磁気抵抗Rからは+b相信号、磁気抵抗Rからは−a相信号、磁気抵抗Rからは−b相信号、の変位検出信号が取り出されることとなる。なお、磁気センサ1には、バイアス磁界が加えられている。
磁気センサ1と被検出体の磁気スケール2とは上述のような対向配置関係にあることから、磁気センサ1から出力される変位検出信号の波形位相は次のように決定付けられることとなる。すなわち、磁気抵抗Rと磁気抵抗Rのピッチはλ/2であることから、被検出体の磁気スケール2から受ける磁界によって、両者の抵抗値は180°の位相差をもって変化する。従って、磁気抵抗Rから取り出される+a相信号の信号波形と、磁気抵抗Rから取り出される−a相信号の信号波形とは、位相が180°ずれたものとなる。また、磁気抵抗Rと磁気抵抗Rのピッチもλ/2であることから、上記同様、磁気抵抗Rから取り出される+b相信号の信号波形と、磁気抵抗Rから取り出される−b相信号の信号波形とは、位相が180°ずれたものとなる。
また、磁気抵抗Rと磁気抵抗Rのピッチはλ/4であることから、被検出体の磁気スケール2から受ける磁界によって、両者の抵抗値は90°の位相差をもって変化する。従って、磁気抵抗Rから取り出される+a相信号の信号波形と、磁気抵抗Rから取り出される+b相信号の信号波形とは、位相が90°ずれたものとなる。また、磁気抵抗Rと磁気抵抗Rのピッチもλ/4であることから、上記同様、磁気抵抗Rから取り出される−a相信号の信号波形と、磁気抵抗Rから取り出される−b相信号の信号波形とは、位相が90°ずれたものとなる。
以上説明した各変位検出信号の信号波形について図示すると、理想的には、図2のようになる。すなわち、+a相信号の波形を基準に考えると(図2(a))、+b相信号は、+a相信号の波形から位相が90°ずれた図2(b)のような波形になり、−a相信号は、+a相信号の波形から位相が180°ずれた図2(c)のような波形になり、−b相信号は、+a相信号の波形から位相が270°ずれた図2(d)のような波形になる。
ここで、図2では、各変位検出信号とも理想的な(滑らかな)波形を考えたが、一般には、実際の変位検出信号に基本波成分以外の高調波成分が重畳する。より具体的には、図3を用いて説明する。図3は、磁気スケール2からの入力磁界Hに対する磁気抵抗素子の抵抗Rの変化特性を示すグラフである。
図3において、磁気スケール2からの入力磁界の絶対値が0から次第に大きくなると、通常、磁気抵抗素子の抵抗値は小さくなるが、入力磁界の絶対値がある一定の磁界Hを超えると、磁気抵抗素子の抵抗値は飽和する(図3中のX部分)。従って、この抵抗値の飽和の影響により、図2で示した理想的な各変位検出信号の波形は、実際は、図4(a)に示すような波形となる。なお、図4では、図2における+a相信号の波形のみを抽出・拡大して図示しているが、+b相信号、−a相信号、−b相信号、の各変位検出信号についても、位相が異なるだけで同様のことがいえる。
図4において、図4(a)に示す実際に得られた変位検出信号は、図4(b)に示す基本波成分と、図4(c)に示す第2次高調波成分と、図4(d)に示す第3次高調波成分と、図4(e)に示す第4次高調波成分と、図4(f)に示す第5次高調波成分と、その他の高次高調波成分と、の重ね合わせで表される。従って、第2次以降の高調波成分を取り除けば、図4(b)に示す基本波成分のような滑らかな波形をもった変位検出信号が得られることになる。
[磁気抵抗パターンの形成]
図5は、本発明の実施の形態に係る磁気センサ1が有する磁気抵抗パターンの形成態様の一例を示す図である。なお、上述した磁気抵抗R〜Rのそれぞれが、図5(a)でいう磁気抵抗パターンに相当する。図5(a)に示す磁気抵抗パターンにおいて、6個の磁気抵抗素子R11〜R16は、3本セットで第5次高調波成分を打ち消し、2本セットで第3次高調波成分を打ち消すために、それぞれP=nλ/mL(m:取り除く高調波成分の次数、λ:出力信号の基本波成分の波長、L:高調波成分を打ち消す本数、n=1)の式によって算出された間隔で、被検出体の磁気スケール2の相対移動方向に順々に配置されており、導電体によって電気的に直列接続されている。なお、ここではn=1としたが、本発明はnをこれに限定する趣旨ではなく、例えばn=2であってもn=3であってもよい。具体的には、図5(b)〜図5(f)を用いて説明する。
まず、3本セットで第5次高調波成分を打ち消す原理を説明する。磁気抵抗素子R11〜R13の3本セットにおいて、磁気抵抗素子R11とR12の間隔、磁気抵抗素子R12とR13の間隔は、上式でm=5、L=3を代入し、いずれもP(=λ/5×3)となる(図5(b))。
磁気抵抗素子R11〜R13をこの間隔Pで配置することによって、磁気抵抗素子R11の部分から得られる変位検出信号の基本波成分をsinθとすると、次式で示すように、その磁気抵抗素子R11の部分から得られる変位検出信号の第5次高調波成分sin5θと、磁気抵抗素子R11の部分から得られる変位検出信号と位相が2π/(5×3)だけずれた磁気抵抗素子R12の部分から得られる変位検出信号の第5次高調波成分sin5{θ+2π/(5×3)}と、磁気抵抗素子R11の部分から得られる変位検出信号と位相が{2π/(5×3)+2π/(5×3)}だけずれた磁気抵抗素子R13の部分から得られる変位検出信号の第5次高調波成分sin5{θ+2π/(5×3)+2π/(5×3)}と、の重ね合わせによって、磁気抵抗素子R11〜R13を直列接続したときの変位検出信号の5次高調波成分は零になる。
Figure 0004487093
また、磁気抵抗素子R14〜R16の3本セットにおいても、磁気抵抗素子R14とR15の間隔、磁気抵抗素子R15とR16の間隔は、上式でm=5、L=3を代入し、いずれもP(=λ/5×3)となる(図5(c))。このように、磁気抵抗素子R14〜R16をこの間隔Pで配置することによって、第5次高調波成分は零になるが、その原理については、上述同様であるため説明を省略する。
磁気抵抗素子R11〜R13の3本セットだけでなく、磁気抵抗素子R14〜R16の3本セットが必要になるのは、次に説明するように、第3次高調波成分を2本セットで打ち消すためである。
2本セットで第3次高調波成分を打ち消す原理を説明する。磁気抵抗素子R11とR14の2本セットにおいて、磁気抵抗素子R11とR14の間隔は、上式でm=3、L=2を代入し、P(=λ/3×2)となる(図5(d))。
磁気抵抗素子R11の部分から得られる変位検出信号の基本波成分をsinθとすると、磁気抵抗素子R11とR14をこの間隔Pで配置することによって、次式で示すように、その磁気抵抗素子R11の部分から得られる変位検出信号の第3次高調波成分sin3θと、磁気抵抗素子R11の部分から得られる変位検出信号と位相が2π/(3×2)だけずれた磁気抵抗素子R14の部分から得られる変位検出信号の第3次高調波成分sin3{θ+2π/(3×2)}と、の重ね合わせによって、磁気抵抗素子R11とR14を直列接続したときの変位検出信号の3次高調波成分は零になる。
Figure 0004487093
また、磁気抵抗素子R12とR15の2本セットにおいても、磁気抵抗素子R12とR15の間隔は、上式でm=3、L=2を代入し、P(=λ/3×2)となる(図5(e))。磁気抵抗素子R13とR16の2本セットにおいても、磁気抵抗素子R13とR16の間隔は、上式でm=3、L=2を代入し、P(=λ/3×2)となる(図5(f))。このように、磁気抵抗素子R12とR15、磁気抵抗素子R13とR16をこの間隔Pで配置することによって、第3次高調波成分は零になるが、その原理については、上述同様であるため説明を省略する。
以上説明したように、6個の磁気抵抗素子R11〜R16が、図5(b)〜図5(f)に示す間隔の要請を全て満たす図5(a)に示す間隔で配置されて形成された磁気抵抗パターンによれば、第3次高調波成分及び第5次高調波成分を打ち消すことができ、ひいては基本波成分のような滑らかな波形をもった変位検出信号を得ることができる。
また、第3次高調波成分及び第5次高調波成分を打ち消すために、何本の磁気抵抗素子を使うかは任意であり、磁気抵抗素子間の間隔を柔軟に調整しつつ、製造困難とならない程度に、第3次高調波成分及び第5次高調波成分を打ち消す磁気抵抗素子の本数を増やすことができ、ひいては熱特性の均一化と識別精度の向上を図ることができる。
さらに、本実施形態では、2種類の高調波成分を打ち消すこととしたが、上記同様に考えれば、例えば3種類、4種類といった複数種類の高調波成分を一度に打ち消すことも可能である。
図6は、本発明の実施の形態に係る磁気センサ1が有する磁気抵抗パターンの形成態様の他の一例を示す図である。
図6(a)に示す磁気抵抗パターンにおいて、6個の磁気抵抗素子R11〜R16は、3本セットで第3次高調波成分を打ち消し、2本セットで第5次高調波成分を打ち消すために、それぞれP=nλ/mL(m:取り除く高調波成分の次数、λ:出力信号の基本波成分の波長、n=1)の式によって算出された間隔で、被検出体の磁気スケール2の相対移動方向に順々に配置されており、導電体によって電気的に直列接続されている。なお、ここではn=1としたが、本発明はnをこれに限定する趣旨ではなく、例えばn=2であってもn=3であっても、自然数であればなんでもよい。
より具体的には、磁気抵抗素子R11、R12、R14の3本セットにおいて、磁気抵抗素子R11とR12の間隔、磁気抵抗素子R12とR14の間隔は、上式でm=3、L=3を代入し、いずれもP(=λ/3×3)となる(図6(b))。また、磁気抵抗素子R13、R15、R16の3本セットにおいても、磁気抵抗素子R13とR15の間隔、磁気抵抗素子R15とR16の間隔は、上式でm=3、L=3を代入し、いずれもP(=λ/3×3)となる(図6(c))。このように、磁気抵抗素子R11、R12、R14と、磁気抵抗素子R13、R15、R16と、をそれぞれこの間隔Pで配置することによって、第3次高調波成分を零にすることができる。なお、その原理については上述同様である。
一方で、磁気抵抗素子R11とR13の2本セットにおいて、磁気抵抗素子R11とR13の間隔は、上式でm=5、L=2を代入し、P(=λ/5×2)となる(図6(d))。また、磁気抵抗素子R12とR15の2本セットにおいても、磁気抵抗素子R12とR15の間隔は、上式でm=5、L=2を代入し、P(=λ/5×2)となる(図6(e))。磁気抵抗素子R14とR16の2本セットにおいても、磁気抵抗素子R14とR16の間隔は、上式でm=5、L=2を代入し、P(=λ/5×2)となる(図6(f))。このように、磁気抵抗素子R11、R12と、磁気抵抗素子R12、R15と、R14、R16と、をそれぞれこの間隔Pで配置することによって、第5次高調波成分を零にすることができる。なお、その原理については上述同様である。
以上説明したように、6個の磁気抵抗素子R11〜R16が、図6(b)〜図6(f)に示す間隔の要請を全て満たす図6(a)に示す間隔で配置されて形成された磁気抵抗パターンによれば、第3次高調波成分及び第5次高調波成分を打ち消すことができ、ひいては滑らかな波形をもった変位検出信号を得ることができる。
図7は、本発明の実施の形態に係る磁気センサ1が有する磁気抵抗パターンの形成態様の他の一例を示す図である。
図7(a)に示す磁気抵抗パターンにおいて、6個の磁気抵抗素子R11〜R16は、3本セットで第2次高調波成分を打ち消し、2本セットで第3次高調波成分を打ち消しすために、それぞれP=nλ/mL(m:取り除く高調波成分の次数、λ:出力信号の基本波成分の波長、n=1)の式によって算出された間隔で、被検出体の磁気スケール2の相対移動方向に順々に配置されており、導電体によって電気的に直列接続されている。なお、ここではn=1としたが、本発明はnをこれに限定する趣旨ではなく、例えばn=2であってもn=3であってもよい。
より具体的には、磁気抵抗素子R11、R13、R15の3本セットにおいて、磁気抵抗素子R11とR13の間隔、磁気抵抗素子R13とR15の間隔は、上式でm=2、L=3を代入し、いずれもP(=λ/2×3)となる(図7(b))。また、磁気抵抗素子R12、R14、R16の3本セットにおいても、磁気抵抗素子R12とR14の間隔、磁気抵抗素子R14とR16の間隔は、上式でm=2、L=3を代入し、いずれもP(=λ/2×3)となる(図7(c))。このように、磁気抵抗素子R11、R13、R15と、磁気抵抗素子R12、R14、R16と、をそれぞれこの間隔Pで配置することによって、第3次高調波成分を零にすることができる。なお、その原理については上述同様である。
一方で、磁気抵抗素子R11とR12の2本セットにおいて、磁気抵抗素子R11とR12の間隔は、上式でm=3、L=2を代入し、P(=λ/3×2)となる(図7(d))。また、磁気抵抗素子R13とR14の2本セットにおいても、磁気抵抗素子R13とR14の間隔は、上式でm=3、L=2を代入し、P(=λ/3×2)となる(図7(e))。磁気抵抗素子R15とR16の2本セットにおいても、磁気抵抗素子R15とR16の間隔は、上式でm=3、L=2を代入し、P(=λ/3×2)となる(図7(f))。このように、磁気抵抗素子R11、R12と、磁気抵抗素子R13、R14と、R15、R16と、をそれぞれこの間隔Pで配置することによって、第3次高調波成分を零にすることができる。なお、その原理については上述同様である。
以上説明したように、6個の磁気抵抗素子R11〜R16が、図7(b)〜図7(f)に示す間隔の要請を全て満たす図7(a)に示す間隔で配置されて形成された磁気抵抗パターンによれば、第3次高調波成分及び第5次高調波成分を打ち消すことができ、ひいては滑らかな波形をもった変位検出信号を得ることができる。
上述した磁気パターンの形成態様では、磁気抵抗素子の間隔を上式P=nλ/mLによって調整することで高調波成分を打ち消していたが、本発明は、線幅を上式W=nλ/mによって調整することで、高調波成分を打ち消すこととしてもよい。例えば、図8に示すように、2本セットの磁気抵抗素子で高調波成分を打ち消すことを考えた場合において、これらの磁気抵抗素子を間隔Pで配置しなければならないときには(図8(a))、間隔Pと同じ線幅の磁気抵抗素子1本で代用することができる(図8(b))。より具体的には、図8(b)に示す1本の磁気抵抗素子は、線幅が極めて狭い複数(無数)の磁気抵抗素子を磁気スケールの相対移動方向に重ね合わせたもの、と考えることができるから、上式P=nλ/mLにL=1を代入したときのPと同値であり、図8(a)に示す2本の磁気抵抗素子と同じ機能(高周波成分を打ち消す機能)を発揮しつつ、磁気センサ自体の更なる小型化を図ることができる。
図5〜図7を用いて磁気抵抗パターンの形成態様は、P=nλ/mLによって算出された間隔で各々の磁気抵抗素子を配置し、それぞれの部分から得られる「変位検出信号の和」を全体の変位検出信号とすることで、各高調波成分を打ち消す、というものであるが、次に、「変位検出信号の差」を全体の変位検出信号とすることで、各高調波成分を打ち消す、という磁気抵抗パターンの形成態様について説明する。
図9は、本発明の実施の形態に係る磁気センサ1が有する磁気抵抗パターンの形成態様の他の一例を示す図である。
図9(a)に示す磁気抵抗パターンの形成態様は、図5(a)に示す磁気抵抗パターンを2組直列に配置し、その接続点から変位検出信号を取り出すことで、各高調波成分を打ち消す、というものである。
より具体的には、図9(a)の左側に示す磁気抵抗パターン(6個の磁気抵抗素子R11〜R16)は、3本セットで第5次高調波成分を打ち消し、2本セットで第3次高調波成分を打ち消すために、図5(a)に示す態様で配置されている。また、図9(a)の右側に示す磁気抵抗パターン(6個の磁気抵抗素子R17〜R22)も、3本セットで第5次高調波成分を打ち消し、2本セットで第3次高調波成分を打ち消すために、図5(a)に示す態様で配置されている。さらに、2組の磁気抵抗パターンは、電気的に接続されており、その接続点から出力(変位検出信号)Outが取り出されるようになっている。
ここで、図9(a)に示す2組の磁気抵抗パターンは、相対的に、2本セットで第2次高調波成分及び第4次高調波成分を打ち消すべく、P'=nλ/m(m:取り除く高調波成分の次数、n=1)の式によって算出された間隔で配置される。すなわち、例えば第m次高調波成分を打ち消す場合には、相対的に、第m次高調波成分の波長分(=λ/m)だけずらし、磁気抵抗素子R11とR17、磁気抵抗素子R12とR18、磁気抵抗素子R13とR19、磁気抵抗素子R14とR20、磁気抵抗素子R15とR21、磁気抵抗素子R16とR22は、それぞれ偶次高調波成分を打ち消すことができるようなP'=λ/mの間隔で配置される。なお、この際、第m次高調波成分の波長分(=λ/m)ではなく、第m次高調波成分の波長分(=λ/m)と基本波の半波長分(=λ/2)ずらすことで間隔を調整することも可能である。基本波の半波長分(=λ/2)は、第2次以降の第m次高調波成分(mは2以上の偶数)の波長(=λ/m)の整数倍だからである。
このように、1の磁気抵抗パターンの内部における各磁気抵抗素子間は、P=λ/mLの間隔で配置し、他の磁気抵抗パターンの内部の対応する磁気抵抗素子との間は、P'=λ/mの間隔で配置することによって、一度に複数の高調波成分を打ち消すことができ、ひいては大幅に識別精度を向上させることができる。
以下同様に、「変位検出信号の和」及び「変位検出信号の差」を全体の変位検出信号とすることで一度に複数の高調波成分を打ち消すのみならず、相互干渉に起因して高次高調波成分を打ち消すことができる磁気抵抗パターンの形成態様について説明する。
図9(b)に示す磁気抵抗パターンの形成態様は、第3次高調波成分を打ち消すための磁気抵抗素子をP=λ/(3×5)の間隔で5本配置して形成された磁気抵抗パターンを、相対的に、間隔P=λ/2+nλ(n:自然数)で2組配置し、両磁気抵抗パターンを電気的に直列接続し、その接続点から出力(変位検出信号)Outを取り出すようにしている。
図9(c)に示す磁気抵抗パターンの形成態様は、第3次高調波成分を打ち消すための磁気抵抗素子をP=λ/3の間隔で2本ずつ、第5次高調波成分を打ち消すための磁気抵抗素子をP=λ/(5×2)の間隔で2本ずつ配置して形成された磁気抵抗パターンを、相対的に、間隔P=λ/2+nλ(n:自然数)で2組配置し、両磁気抵抗パターンを電気的に並列接続し、それぞれの磁気抵抗パターンの対称点から出力(変位検出信号)Out及びOutを取り出すようにしている。従って、この出力(変位検出信号)Out及びOutを差動増幅器等の外部電子回路に入力することによって、複数の高調波成分を打ち消すことができるようになる。
なお、この図9(c)の結線方法は、外部電子回路に差動増幅器を用いた場合の一例に過ぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、これ以外の結線方法を採用することも可能である。
図9(d)に示す磁気抵抗パターンの形成態様は、図9(c)に示される2本の磁気抵抗素子を、その間隔と同じ幅をもつ1本の磁気抵抗素子で代用するものである。この形成態様によれば、構造が簡単となるため着磁ピッチを小さくしてもパターン配置が可能となり、結果として高分解能なスケールが可能となる。
まず、図9(a)に示す磁気抵抗パターンの形成態様において、信号周期λを0.8mmとし、出力(変位検出信号)Outを測定した。その結果、図9(a)に示す磁気抵抗パターンの形成態様によれば、第3次及び第5次並びに第2次及び第4次の高調波成分が全てキャンセルされるのみならず、磁気抵抗素子が12本あることに起因した変位検出信号の相互干渉により、第9次高調波成分が全てキャンセルされ、第7次高調波成分が72%低減した。このように、図9(a)に示す磁気抵抗パターンの形成態様によれば、第9次高調波成分までのトータル歪みを同時に低減できることが分かる。
次に、図9(b)に示す磁気抵抗パターンの形成態様において、信号周期λを0.8mmとし、出力(変位検出信号)Outを測定した。その結果、図9(b)に示す磁気抵抗パターンの形成態様によれば、第3次並びに第2次及び第4次の高調波成分が全てキャンセルされ、第5次高調波成分は80%低減された。また、磁気抵抗素子が10本あることに起因した変位検出信号の相互干渉により、第7次高調波成分が82%低減した。このように、図9(b)に示す磁気抵抗パターンの形成態様によれば、図9(a)に示す磁気抵抗パターンの形成態様よりも第7次高調波成分を大幅に低減することができるのが分かる。
次に、図9(c)に示す磁気抵抗パターンの形成態様において、信号周期λを0.8mmとし、出力(変位検出信号)OutとOutの差動出力を測定した。その結果、図9(c)に示す磁気抵抗パターンの形成態様によれば、第3次及び第5次並びに第2次及び第4次の高調波成分が全てキャンセルされるのみならず、磁気抵抗素子が8本あることに起因した変位検出信号の相互干渉により、第9次高調波成分が全てキャンセルされ、第7次高調波成分が49%低減した。このように、図9(c)に示す磁気抵抗パターンの形成態様によれば、第9次高調波成分までのトータル歪みを同時に低減できることが分かる。
次に、図9(d)に示す磁気抵抗パターンの形成態様において、信号周期λを0.8mmとし、出力(変位検出信号)OutとOutの差動出力を測定した。その結果、図9(d)に示す磁気抵抗パターンの形成態様によれば、第3次及び第5次並びに第2次及び第4次の高調波成分が全てキャンセルされた。また、磁気抵抗素子が4本あることに起因した変位検出信号の相互干渉により、第7次高調波成分が63%低減し、第9次高調波成分が41%低減した。このように、図9(d)に示す磁気抵抗パターンの形成態様によれば、第9次高調波成分までのトータル歪みを同時に低減できることが分かる。
本発明に係る磁気センサは、複数の磁気抵抗素子の間隔を柔軟に調整しながら、その本数を増加させることができ、ひいては識別精度の向上及び熱特性の均一化を図ることが可能なものとして有用である。
本発明の実施の形態に係る磁気センサの概略構造を示す図である。 本発明の実施の形態に係る磁気センサから得られる変位検出信号の信号波形を示す波形図である。 磁気スケール2からの入力磁界Hに対する磁気抵抗素子の抵抗R変化特性を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係る磁気センサから得られる変位検出信号を各成分に分解する様子を示す図である。 本発明の実施の形態に係る磁気センサが有する磁気抵抗パターンの形成態様の一例を示す図である。 本発明の実施の形態に係る磁気センサが有する磁気抵抗パターンの形成態様の他の一例を示す図である。 本発明の実施の形態に係る磁気センサが有する磁気抵抗パターンの形成態様の他の一例を示す図である。 複数の磁気抵抗素子を、1本の磁気抵抗素子によって代用する様子を示す図である。 本発明の実施の形態に係る磁気センサが有する磁気抵抗パターンの形成態様の他の一例を示す図である。 従来の磁気センサの概略構造を示す図である。
符号の説明
1 磁気センサ
2 磁気スケール

Claims (3)

  1. 磁気スケールの磁界を検出するため、磁気抵抗体薄膜からなる磁気抵抗素子が所定の間隔で基板上に配置されて形成された磁気抵抗パターンを有する磁気センサにおいて、
    前記磁気抵抗パターンの出力信号の基本波成分に重畳する複数の高調波成分のうち、1の奇数次高調波成分を取り除く前記磁気抵抗素子の本数をL、その1の奇数次高調波成分以外の1の奇数次高調波成分を取り除く前記磁気抵抗素子の本数をL (L1≠L2)としたとき、
    前記L本の前記磁気抵抗素子は、下式により算出された間隔Pで、その磁気スケールの相対移動方向に順々に配置され、
    前記磁気抵抗パターンは、前記L本の前記磁気抵抗素子を、相対的に、下式により算出された間隔Pで、その磁気スケールの相対移動方向に順々に前記L組配置することによって形成されることを特徴とする磁気センサ。
    =nλ/mL
    =nλ/mL
    m:取り除く高調波成分の次数、λ:出力信号の基本波成分の波長
    n:自然数
  2. 前記磁気抵抗パターンは、下式により算出された間隔P'で、その磁気スケールの相対移動方向に2組配置されて電気的に直列接続されるとともに、
    2組の前記磁気抵抗パターンの電気的な接点から出力信号を取り出すことを特徴とする請求項記載の磁気センサ。
    P'=nλ/m'
    m':取り除く偶数次高調波成分の次数、λ:出力信号の基本波成分の波長
    n:自然数
  3. 前記磁気抵抗パターンは、下式により算出された間隔P'で、その磁気スケールの相対移動方向に2組配置されて電気的に並列接続されるとともに、
    2組の前記磁気抵抗パターンのそれぞれの対称点から出力信号を取り出すことを特徴とする請求項記載の磁気センサ。
    P'=nλ/m'
    m':取り除く偶数次高調波成分の次数、λ:出力信号の基本波成分の波長
    n:自然数
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